説明

収納ボックス

【課題】押圧部の使用感を向上させることのできる収納ボックスを提供する。
【解決手段】収納ボックス20は、開口を開閉可能なドア22を有するボックス部21と、ボックス部21に設けられて使用に際して同ボックス部21の内部側に押圧されるシガーソケット61とを備える。シガーソケット61は、ドア22の閉時にはボックス部21の内部に収容された状態になるとともにドア22の開時にはボックス部21の外部に突出した状態になるように、ドア22の開閉動作に連動して出没可能な状態で配設されている。ドア22の開時においてシガーソケット61が押圧されたときに、同シガーソケット61のボックス部21の内部への没入動作が禁止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用に際してボックス内部側に押圧される押圧部が内部に配設された収納ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両のキャビンの内部に、小物を収納可能な収納ボックスを設けることが多用されている。また、そうした収納ボックスに、そのキャビン側の開口を開閉可能なドアを設けることも多用されている。さらに、特許文献1に見られるように、収納ボックスにシガーソケットが設けられたものもある。
【特許文献1】実開平5−18977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した収納ボックスは、その内部にシガーソケットが設けられているために、例えばシガーソケットが見難くなるなど同シガーソケットの使い勝手が悪くなり易く、この点において改善の余地がある。なお、内部にシガーソケットが設けられた収納ボックスに限らず、例えば電源ソケットなど、使用に際して収納ボックスの内部側に押圧される部分(押圧部)が同内部に設けられる収納ボックスであれば、上述した理由と同様の理由からやはり改善の余地がある。
【0004】
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、押圧部の使用感を向上させることのできる収納ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、開口を開閉可能なドアを有するボックス部と、同ボックス部に設けられて使用に際して前記ボックス部の内部側に押圧される押圧部とを有する収納ボックスにおいて、前記押圧部が、前記ドアの閉時には前記ボックス部の内部に収容された状態になるとともに前記ドアの開時には前記ボックス部の外部に突出した状態になるように、前記ドアの開閉動作に連動して出没可能な状態で配設されてなり、前記ドアの開時において前記押圧部が押圧されたときに同押圧部の前記ボックス部の内部への没入動作を禁止する禁止手段を備えてなることをその要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、ドアの開方向への動作に連動して押圧部がボックス部の外部に突出するようになるために、使用時における押圧部の視認性を向上させることができ、同押圧部の使用感を向上させることができる。しかも、ドアが開放された状態で押圧部が押圧されたとき、すなわち押圧部の使用時において同押圧部が収納ボックス内部に没入することを回避することができ、この押圧部に連動して開閉動作するドアが閉じることについてもこれを回避することができる。そのため押圧部の使用時における同押圧部の不要な没入やドアの不要な閉動作を抑制することができ、これによっても押圧部の使用感を向上させることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の収納ボックスにおいて、前記ドアの開時において同ドアが閉方向に操作されたときに前記禁止手段による前記没入動作の禁止を解除する解除手段を更に備えてなることをその要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、ドアを閉方向に操作するといった通常の操作を通じて、前記禁止手段による没入動作の禁止を解除するための特段の操作を行うことなく、同ドアを閉じることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の収納ボックスにおいて、前記禁止手段は、前記ボックス部に形成された案内溝と前記ドアに形成されて前記案内溝に係合する凸部とを有する案内機構であり、前記ドアは前記案内機構の案内溝による前記凸部の移動の案内を通じて開閉動作するものであり、前記案内溝は前記ドアの開時において前記凸部の位置する部分が、前記押圧部が押圧されたときに前記ドアの閉方向への動作を禁止する形状に延設されてなることをその要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、凸部と同凸部の移動を案内する案内溝とを有する案内機構が設けられた収納ボックスにあってその案内溝の延設形状を設定するといった簡素な構成により、同押圧部の不要な没入やドアの不要な閉方向への動作を禁止することができるようになる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の収納ボックスにおいて、前記禁止手段および前記解除手段は、前記ボックス部に形成された案内溝と前記ドアに形成されて前記案内溝に係合する凸部とを有する案内機構であり、前記ドアは前記案内機構の案内溝による前記凸部の移動の案内を通じて開閉動作するものであり、前記案内溝は前記ドアの開時において前記凸部の位置する部分が、前記押圧部が押圧されたときに前記ドアの閉方向への動作を禁止する形状であって、前記ドアが閉方向に操作されたときに同ドアの閉方向への動作を許可する形状に延設されてなることをその要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、凸部と同凸部の移動を案内する案内溝とを有する案内機構が設けられた収納ボックスにあってその案内溝の延設形状を設定するといった簡素な構成により、同押圧部の不要な没入やドア22の不要な閉方向への動作を禁止する構成と、ドアの閉方向への操作のみをもって同ドアを閉じることが可能になる構成とを実現することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の収納ボックスにおいて、前記案内溝は、前記ドアの開方向への動作に際して前記押圧部の移動が完了した後に前記ドアをさらに開方向に動作させる形状に延設されてなることをその要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、案内溝の「前記ドアをさらに開方向に動作させる」部分(特定部分)においては、押圧部を移動させることなくドアを開閉方向に動作させることができる。そして上記特定部分に、押圧部が押圧されたときにおいてドアの閉方向への動作が禁止されるようになる部分(禁止部分)や、ドアが閉方向に操作されたときにおいて同ドアの閉方向への動作が許可されるようになる部分(許可部分)を設定することにより、ドアの開閉方向への動作に伴って押圧部が移動する部分に禁止部分や許可部分を設定する場合と比較して、それら禁止部分や許可部分を案内溝に容易に設定することができる。そして、そうした禁止部分や許可部分を設定することにより、前記押圧部が押圧されたときに前記ドアの閉方向への動作を禁止する構成(請求項3および4)や、前記ドアが閉方向に操作されたときに同ドアの閉方向への動作を許可する構成(請求項4)を実現することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の収納ボックスにおいて、当該収納ボックスは車両のインストルメントパネルに取り付けられるものであることをその要旨とする。
【0016】
車両のインストルメントパネルには、例えば収納ボックスやスイッチ類など、種々の機器が設けられている。そのため、そうしたインストルメントパネルに取り付けられた収納ボックスの押圧部は視認性が悪くなり易く、使い勝手が悪くなり易い。上記構成によれば、そうした車両のインストルメントパネルに取り付けられた収納ボックスの押圧部の使用感を好適に向上させることができる。
【0017】
なお前記押圧部は、電源ソケットの他、請求項7によるように、車両のキャビン内に設けられるシガーソケットを含む。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の収納ボックスにおいて、当該収納ボックスは、前記ドアの閉時には前記ボックス部の内部に収容された状態になるとともに前記ドアの開時には前記ボックス部の外部に突出した状態になるように前記ドアの開閉動作に連動して出没可能な状態のトレイが設けられてなり、前記押圧部は前記トレイに設けられてなることをその要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、ドアの開方向への動作に連動してトレイがボックス部の外部に突出するようになるために、同トレイ上に置かれた収容物の視認性を向上させることができ、収納ボックスの利便性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、押圧部の使用感を向上させることのできる収納ボックスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明にかかる収納ボックスを具体化した一実施の形態について説明する。
図1に、本実施の形態にかかる収納ボックスおよびその周辺の構造を示す。
同図1に示すように、車両10のキャビン11の内部にはインストルメントパネル12が取り付けられている。そして、このインストルメントパネル12に、本実施の形態にかかる収納ボックス20が取り付けられている。
【0021】
図2および図3に収納ボックス20の側面構造を示す。なお図2はドアが閉じられた状態の収納ボックス20を示しており、図3はドアが開かれた状態の収納ボックス20を示している。
【0022】
図2および図3に示すように、収納ボックス20は小物を収容可能なボックス部21を備えており、同ボックス部21は上記キャビン11側が開口した箱形状に形成されている。収納ボックス20には上記ボックス部21の上記キャビン11側の開口を開閉可能なドア22が取り付けられている。
【0023】
以下、上記収納ボックス20の具体的な構造について詳しく説明する。
図4は収納ボックス20の図2のA−A線に沿った断面構造を示しており、図5は収納ボックス20の分解斜視構造を示している。
【0024】
図4および図5に示すように、収納ボックス20は大きくは、ドア22、ボックス本体23、ドアホルダ24、トレイ25を備えている。
ボックス本体23は車両10に固定される部分であり、その一部(具体的には、車両上方側の部分)が上記ボックス部21を構成している。ボックス本体23の車幅方向における両側壁の内面にはそれぞれ、上記ドア22を案内するためのドア案内溝31が形成されている。なお、それらドア案内溝31としては、収納ボックス20を車両左側から見た場合において略C字形状で延びる形状の溝がそれぞれ形成されている。また、各ドア案内溝31の車両上方側の端部31aは車両上方側に向けて折れ曲がる形状に延設されている。ボックス部21の車両下方側の壁部には、車両前後方向に延びる形状であって歯面が車両上方に向かう形状のラックギア32が固定されている。
【0025】
上記収納ボックス20には、一方の係合部33(図5)に他方の係合部51を押し込むことによってそれら係合部33,51が互いに係合した状態になり、同状態で一方の係合部33に他方の係合部51を押し込むことによって同係合が解除された状態になる、いわゆるプッシュオフ式のスイッチ26が設けられている。そして、ボックス本体23には上記スイッチ26の一方の係合部33が設けられている。
【0026】
図4および図5に示すように、ドアホルダ24の車幅方向における両側壁の内面にはそれぞれ凸部41とラックギア42とが一体に形成されている。上記凸部41は車両前後方向に延びる形状のものが形成されている。またラックギア42としては、車両前後方向に延びる形状であって歯面が車両上方に向かう形状のものが形成されている。一方、ドアホルダ24の車幅方向における両側壁の外面にはそれぞれ、その車両後方側の位置に、車幅方向に向けて突出する円柱形状の支持凸部43が一体に形成されている。
【0027】
上記ドア22の車幅方向における両端部の近傍にはそれぞれ、ドアアーム52が固定されている。各ドアアーム52は、上記ドア22が閉じられた状態において同ドア22のボックス部21側の面から同ボックス部21側に突出する形状であってドア22に沿うように車両下方側に向けて延びる形状に形成されている。
【0028】
各ドアアーム52の一端には車幅方向に延びる断面円形状の支持孔53が形成されており、他端には車幅方向に延びる円柱形状の凸部54が形成されている。各ドアアーム52の支持孔53には上記ドアホルダ24の支持凸部43が挿入されている。これにより各ドアアーム52は、上記ドアホルダ24の車幅方向における両側壁にそれぞれ回転可能な状態で支持されている。また、各ドアアーム52の凸部54は前記ボックス本体23のドア案内溝31にそれぞれ係合している。そして、ドア22はドア案内溝31による上記凸部54の移動の案内を通じて開閉動作する。本実施の形態では、ボックス部21のドア案内溝31とドア22の凸部54とによって案内機構が構成されており、この案内機構が禁止手段および解除手段として機能する。
【0029】
また、各ドアアーム52の一方には前記スイッチ26の係合部51(図5)が設けられている。この係合部51は、ドア22の閉時において前記ボックス本体23の係合部33に接触する位置に設けられている。
【0030】
図4および図5に示すように、ボックス本体23のボックス部21には小物載置用のトレイ25が設けられており、同トレイ25にはシガーソケット61が固定されている。本実施の形態では、このシガーソケット61が、ボックス部に設けられて使用に際して同ボックス部の内部側に押圧される押圧部として機能する。また、ボックス部21の車両下方側の壁部にはスライドレール34が取り付けられており、このスライドレール34に上記トレイ25が固定されている。このスライドレール34を介して、トレイ25がボックス本体23に対して車両前後方向に移動可能に取り付けられている。
【0031】
トレイ25の車幅方向における両側壁の外面にはそれぞれ、車両前後方向に延びる形状のホルダ案内溝62が形成されている。これらホルダ案内溝62は、前記ドアホルダ24の車幅方向側の両側壁の内面に形成された凸部41に係合する形状に形成されている。そして、ドアホルダ24の凸部41の移動がトレイ25のホルダ案内溝62によって案内されることにより、トレイ25が車両前方(ドアホルダ24に対してキャビン11の内部に没入する没入方向)あるいは車両後方(ボックス部21の内部から脱出する脱出方向)に移動するようになっている。
【0032】
トレイ25の車両前方側の端部には、その車幅方向における両端部の近傍にそれぞれ、車両前方側に向けて突出する形状のトレイアーム63が設けられている。それらトレイアーム63には車幅方向に延びる形状の一本のシャフト64が回転可能な状態で支持されている。またシャフト64の両端部には、小径のギア65と大径のギア66とが一体に形成されたギア部67が固定されている。このギア部67は、小径のギア65がドアホルダ24に一体形成されたラックギア42と噛み合うように、且つ大径のギア65がボックス部21に固定されたラックギア32に噛み合うように配設されている。
【0033】
また、トレイ25の車両前方側の端部には、その車幅方向における中央部分に、車両前方側に向けて延びる固定壁部68が形成されている。そして、この固定壁部68が上記スライドレール34に固定されている。
【0034】
以下、収納ボックス20の開閉動作について説明する。
ここでは先ず、ドア22が開方向に移動する際の同ドア22とドアホルダ24との連動について説明する。
【0035】
図6に、収納ボックス20の図4におけるB−B線に沿った断面構造を示す。なお図6において(a)はドア22の閉時における収納ボックス20の断面構造を示しており、(b)はドア22の開時における同断面構造を示している。
【0036】
ドア22が閉じられた状態(図6(a)に示す状態)で同ドア22がボックス部21側に押し込まれると(図2の一点鎖線参照)、前記スイッチ26の各係合部33,51の係合が解除され、これによりドア22(詳しくはドアアーム52)とボックス本体23との係合が解除される。そのため、その後においてドア22を開方向に移動させることが可能な状態になる。そして、ドア22の開方向への動作に際してはドアアーム52の凸部54の移動がドア案内溝31によって案内され、これによりドアアーム52がドア22ともども前記支持孔53の中心を回転中心としてドアホルダ24に対して回転移動しつつキャビン11側(詳しくは、車両後方側)に移動するようになる。これに伴い、ドアアーム52に連結されているドアホルダ24についても同様にキャビン11側に移動するようになる。なお、本実施の形態にかかる収納ボックス20では、トレイ25がボックス本体23に対して車両前後方向に移動可能に設けられるとともに同トレイ25に対して車両前後方向に移動可能な状態でドアホルダ24が設けられているために、ドアホルダ24が上記ドア22の開方向への動作に際して車両後方側に移動するようになる。
【0037】
その後、各ドア案内溝31が車両上方側に折れ曲がった部分(曲折部31b)までドアアーム52の凸部54が移動した状態(図3に一点鎖線で示す状態)になると、ドアホルダ24の移動が停止する。すなわち、その後においてドアホルダ24は移動しなくなる。そして、その後においてドアアーム52の凸部54がドア案内溝31の曲折部31bより車両上方側の部分(前記端部31a)によって車両上方側に案内されることにより、ドア22が上記支持孔53の中心を回転中心として回転してさらに開方向に動作した状態(図6(b)に示す状態)になる。このように本実施の形態では、ドア22の開方向への動作に際してドアアーム52の移動が完了した後に上記ドア22がさらに開方向に動作するようになっている。
【0038】
次に、ドア22が開方向に移動する際のドアホルダ24とトレイ25との連動について説明する。
図7に、収納ボックス20の図4におけるC−C線に沿った断面構造を示す。なお図7において(a)はドア22の閉時における収納ボックス20の断面構造を示しており、(b)はドア22の開時における同断面構造を示している。
【0039】
前述したように、ドア22が開方向に動作する際にはドアホルダ24が車両後方側に移動する。このとき、ドアホルダ24(詳しくは、そのラックギア42)の車両後方側への移動量や、同ラックギア42とギア部67の小径のギア65との噛み合い関係、並びにボックス本体23のラックギア32とギア部67の大径のギア66との噛み合い関係に依存して、ギア部67が回転しつつ車両後方側に移動する。そして、このギア部67の車両後方側への移動に伴い、同ギア部67に連結された上記トレイ25が車両後方側(前記脱出方向)に移動するようになる。
【0040】
なお、このときギア部67が回転しつつ車両後方側に移動するために、トレイ25の脱出方向への移動量は、同ギア部67の小径のギア65が噛み合うラックギア42(同ラックギア42が一体形成されたドアホルダ24)の移動量より大きくなる。本実施の形態では、こうしたギア機構によってドア22を開方向に動作させるときにおけるトレイ25の脱出方向への移動量を大きくするようにしている。
【0041】
以下、本実施の形態にかかる収納ボックス20の作用について説明する。
上記収納ボックス20には、ドア22の開閉動作に連動して出没可能な状態のトレイ25が設けられており、同トレイ25にシガーソケット61が固定されている。そして、このトレイ25は、ドア22の閉時にボックス部21の内部に収容された状態になる一方、同ドア22の開時にボックス部の外部に突出した状態になるといったように移動する。
【0042】
こうした収納ボックス20では、ドア22の開方向への動作に連動してシガーソケット61がボックス部21の外部に突出するようになるため(図3参照)、使用時におけるシガーソケット61の視認性を向上させることができ、同シガーソケット61の使用感を向上させることができる。
【0043】
また、ドア22の開方向への動作に連動してトレイ25がボックス部21の外部に突出するようになるために、同トレイ25上に置かれた収容物の視認性を向上させることができ、収納ボックス20の利便性を向上させることができる。
【0044】
なお、車両10のインストルメントパネル12には、例えば収納ボックスやスイッチ類など、種々の機器が設けられている(図1参照)。そのため、そうしたインストルメントパネル12に取り付けられた収納ボックス20のシガーソケット61は視認性が悪くなり易く、使い勝手が悪くなり易い。本実施の形態によれば、そうした車両10のインストルメントパネル12に取り付けられた収納ボックス20のシガーソケット61の使用感を好適に向上させることができる。
【0045】
ここで、その使用に際してシガーソケット61がボックス部21の内部側に押圧された場合に、同シガーソケット61がトレイ25ともども没入方向に移動するようなことがあると、シガーソケット61の使い勝手が非常に悪くなる。また、シガーソケット61の使用に際してトレイ25に連結されたドアホルダ24が没入方向に移動するようなことがあると、同ドアホルダ24に連結されたドア22が動作して閉じられてしまうおそれもある。
【0046】
本実施の形態にかかる収納ボックス20では、図3に示すように、ドア案内溝31の端部31aが車両上方側に向けて折れ曲がった形状に形成されている。そして、ドア22の開方向への動作に際してドアアーム52の移動が完了した後に上記ドア22をさらに開方向に動作させることにより、ドアアーム52の凸部54が上記端部31aに案内されるようになっている。すなわち、ドア22の開時においてドアアーム52の凸部がドア案内溝31の端部31aに位置するようになる。
【0047】
そのため、ドア22の開時にシガーソケット61がボックス部21の内部側(車両前方側)に押圧された場合であっても、ドアアーム52の凸部54がドア案内溝31の車両前方側の壁面に突き当たるようになり、ドアアーム52およびドア22はボックス部21の内部側に移動しない。これにより、ドアアーム52に連結されているドアホルダ24やトレイ25についても、その没入方向への移動が禁止されるようになる。
【0048】
このように本実施の形態では、ドア案内溝31の端部31a、すなわちドア22の開時においてドアアーム52の凸部54の位置する部分が、シガーソケット61が押圧されたときにドア22の閉方向への動作を禁止する形状に延設されている。そのため、ドア22が開放された状態でシガーソケット61が押圧されたとき、すなわちシガーソケット61の使用時において同シガーソケット61がボックス部21の内部に没入することが回避されるようになり、同シガーソケット61に連動して開閉動作するドア22が閉じることについても回避されるようになる。
【0049】
一方、ドア22の開時において同ドア22が閉方向に操作されると、ドアアーム52の凸部54がドア案内溝31の端部31aによって案内されることにより、ドアホルダ24およびトレイ25が移動しない状態で、ドア22が前記支持孔53の中心を回転中心として回転して開方向に動作する。そして、ドアアーム52の凸部54がボックス部21の内部側に移動可能な位置(図3中に一点鎖線で示す位置)まで移動することにより、ドアアーム52およびドア22が、ドアホルダ24やトレイ25ともどもボックス部21の内部側に移動することの可能な状態になる。この状態でドア22をさらに閉方向に操作することにより、トレイ25がドアホルダ24ともども車両前方側に移動して上記ボックス部21の内部に没入して収容されるようになる。本実施の形態では、ドア案内溝31の端部31aが、ドア22が閉方向に操作されたときに同ドア22の閉方向への動作を許可する形状に延設されている。
【0050】
その後、ドア22が閉じられた状態(図6(a)に示す状態)で同ドア22がボックス部21側に押し込まれると、前記スイッチ26の各係合部33,51が互いに係合し、これによりドア22とボックス本体23とが係合して同ドア22が閉じられた状態でボックス本体23に係止されるようになる。
【0051】
このように本実施の形態では、ドア22の開時においてシガーソケット61が押圧されたときに同シガーソケット61の没入方向への移動が禁止されるとともに、ドア22の開時において同ドア22が閉方向に操作されたときに上記シガーソケット61の没入方向への移動の禁止が解除される。これにより、シガーソケット61の使用時における同シガーソケット61の不要な没入やドア22の不要な閉動作を抑制することができる。しかも、ドア22を閉方向に操作するといった通常の操作を通じて、シガーソケット61の没入方向への移動の禁止を解除するための特段の操作を行うことなく、同ドア22を閉じることができる。
【0052】
また本実施の形態では、前記案内機構のドア案内溝31の延設形状を設定するといった簡素な構成により、シガーソケット61の不要な没入やドア22の不要な閉方向への動作を禁止する構成とドア22の閉方向への操作のみをもって同ドア22を閉じることが可能になる構成とを実現することができる。
【0053】
さらに本実施の形態では、ドア案内溝31の端部31aが、ドア22の開方向への動作に際してシガーソケット61(詳しくは、トレイ25)の移動が完了した後に同ドア22をさらに開方向に動作させる形状に延設されている。これにより、ドア案内溝31の端部31aにおいてはトレイ25を移動させることなくドア22が開閉方向に動作するようになる。そして、そうしたドア案内溝31の端部31aに、トレイ25が押圧されたときにおいてドア22の閉方向への動作が禁止されるようになる部分(禁止部分)や、ドア22が閉方向に操作されたときにおいて同ドア22の閉方向への動作が許可されるようになる部分(許可部分)が設定されている。そのため、上記ドア22の開閉方向への動作に伴ってトレイ25が移動する部分に禁止部分や許可部分を設定する場合と比較して、同トレイ25を移動させるための構成を追加する必要が無い分だけ、上記禁止部分や許可部分をドア案内溝31に容易に設定することができるようになる。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)シガーソケット61を、ドア22の閉時にはボックス部21の内部に収容された状態になるとともに同ドア22の開時にはボックス部21の外部に突出した状態になるように、ドア22の開閉動作に連動して出没可能な状態で配設した。これにより、ドア22の開方向への動作に連動してシガーソケット61がボックス部21の外部に突出するようになるために、使用時におけるシガーソケット61の視認性を向上させることができ、同シガーソケット61の使用感を向上させることができる。また、ドア22の開時においてシガーソケット61が押圧されたときに同シガーソケット61の没入方向への移動を禁止するようにした。そのためシガーソケット61の使用時において同シガーソケット61がボックス部21の内部に没入することを回避することができ、このシガーソケット61に連動して開閉動作するドア22が閉じることについてもこれを回避することができる。したがって、シガーソケット61の使用時における同シガーソケット61の不要な没入やドア22の不要な閉動作を抑制することができ、これによってもシガーソケット61の使用感を向上させることができる。
【0055】
(2)ドア22の開時において同ドア22が閉方向に操作されたときにシガーソケット61の没入方向への移動の禁止を解除するようにした。そのため、ドア22を閉方向に操作するといった通常の操作を通じて、シガーソケット61の没入方向への移動の禁止を解除するための特段の操作を行うことなく、同ドア22を閉じることができる。
【0056】
(3)ドア案内溝31の端部31aを、シガーソケット61が押圧されたときにドア22の閉方向への動作を禁止する形状であって、ドア22が閉方向に操作されたときに同ドア22の閉方向への動作を許可する形状に延設するようにした。そのため、案内機構のドア案内溝31の延設形状を設定するといった簡素な構成により、同シガーソケット61の不要な没入やドア22の不要な閉方向への動作を禁止する構成と、ドア22の閉方向への操作のみをもって同ドア22を閉じることが可能になる構成とを実現することができる。
【0057】
(4)ドア案内溝31の端部31aを、ドア22の開方向への動作に際してシガーソケット61の移動が完了した後に同ドア22をさらに開方向に動作させる形状に延設するようにした。そのため、上記ドア22の開閉方向への動作に伴ってトレイ25およびシガーソケット61が移動する部分に禁止部分や許可部分を設定する場合と比較して、それら禁止部分や許可部分をドア案内溝31に容易に設定することができる。
【0058】
(5)車両10のインストルメントパネル12に取り付けられているために使い勝手が悪くなり易いシガーソケット61の使用感を好適に向上させることができる。
(6)ドア22の閉時にはボックス部21の内部に収容された状態になる一方、同ドア22の開時にはボックス部21の外部に突出した状態になるといったようにドア22の開閉動作に連動して出没可能な状態のトレイ25を収納ボックス20に設け、同トレイ25にシガーソケット61を固定するようにした。そのため、ドア22の開方向への動作に連動してトレイ25がボックス部21の外部に突出するようになり、同トレイ25上に置かれた収容物の視認性を向上させることができ、収納ボックス20の利便性を向上させることができる。
【0059】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態は、シガーソケット61に代えて、電源ソケットや各種スイッチなど、使用に際してボックス部21の内部側に押圧される部分(押圧部)が設けられた収納ボックスにも適用することができる。
【0060】
・上記実施の形態においてトレイ25を省略することができる。この場合には、シガーソケット61を、ドア22の閉時にはボックス部21の内部に収容された状態になるとともに同ドア22の開時にはボックス部21の外部に突出した状態になるように、ドア22の開閉動作に連動して出没可能な状態で配設するようにすればよい。
【0061】
・シガーソケット61の没入方向への移動(没入動作)を禁止する構成やドア22の閉方向への操作によってシガーソケット61の没入動作の禁止を解除する構成を、ドア案内溝31の延設形状以外の構成によって実現するようにしてもよい。こうした構成としては、例えばドア22の開時において同ドア22とシガーソケット61(あるいは同シガーソケット61に連結された部材)とを係合させる係合部を設けることや、ドア22の開時においてシガーソケット61(あるいは同シガーソケット61に連結された部材)を同ドア22に係止するためのスイッチを設けることなどが考えられる。また、こうした構成にあっては、ドア案内溝31の端部31aを省略することができる。すなわち、ドア22の開方向への動作に際してシガーソケット61の移動が完了した後に同ドア22をさらに開方向に動作させなくてもよい。
【0062】
・シガーソケット61の没入動作の禁止を解除するための操作としては、ドア22の閉方向への操作に限らず、例えばドア22の閉方向以外の方向(開方向や車幅方向など)への操作や、新たに設けた閉スイッチの操作など、他の操作を採用するようにしてもよい。
【0063】
・本発明は、車両のキャビン内におけるインストルメントパネル以外の部分に取り付けられる収納ボックスにも適用することができる。また、車両以外のものに取り付けられる収納ボックスにも本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明を具体化した一実施の形態にかかる収納ボックスおよびその周辺の構造を示す概略構成図。
【図2】ドアが閉じられた状態の収納ボックスの側面図。
【図3】ドアが開かれた状態の収納ボックスの側面図。
【図4】収納ボックスの図2のA−A線に沿った断面図。
【図5】収納ボックスの分解斜視図。
【図6】(a)および(b)収納ボックスの図4のB−B線に沿った断面図。
【図7】(a)および(b)収納ボックスの図4のC−C線に沿った断面図。
【符号の説明】
【0065】
10…車両、11…キャビン、12…インストルメントパネル、20…収納ボックス、21…ボックス部、22…ドア、23…ボックス本体、24…ドアホルダ、25…トレイ、26…スイッチ、31…ドア案内溝、31a…端部、31b…曲折部、32…ラックギア、33…係合部、34…スライドレール、41…凸部、42…ラックギア、43…支持凸部、51…係合部、52…ドアアーム、53…支持孔、54…凸部、61…シガーソケット、62…ホルダ案内溝、63…トレイアーム、64…シャフト、65,66…ギア、67…ギア部、68…固定壁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を開閉可能なドアを有するボックス部と、同ボックス部に設けられて使用に際して前記ボックス部の内部側に押圧される押圧部とを有する収納ボックスにおいて、
前記押圧部が、前記ドアの閉時には前記ボックス部の内部に収容された状態になるとともに前記ドアの開時には前記ボックス部の外部に突出した状態になるように、前記ドアの開閉動作に連動して出没可能な状態で配設されてなり、
前記ドアの開時において前記押圧部が押圧されたときに同押圧部の前記ボックス部の内部への没入動作を禁止する禁止手段を備えてなる
ことを特徴とする収納ボックス。
【請求項2】
前記ドアの開時において同ドアが閉方向に操作されたときに前記禁止手段による前記没入動作の禁止を解除する解除手段を更に備えてなる
請求項1に記載の収納ボックス。
【請求項3】
請求項1に記載の収納ボックスにおいて、
前記禁止手段は、前記ボックス部に形成された案内溝と前記ドアに形成されて前記案内溝に係合する凸部とを有する案内機構であり、
前記ドアは前記案内機構の案内溝による前記凸部の移動の案内を通じて開閉動作するものであり、
前記案内溝は前記ドアの開時において前記凸部の位置する部分が、前記押圧部が押圧されたときに前記ドアの閉方向への動作を禁止する形状に延設されてなる
ことを特徴とする収納ボックス。
【請求項4】
請求項2に記載の収納ボックスにおいて、
前記禁止手段および前記解除手段は、前記ボックス部に形成された案内溝と前記ドアに形成されて前記案内溝に係合する凸部とを有する案内機構であり、
前記ドアは前記案内機構の案内溝による前記凸部の移動の案内を通じて開閉動作するものであり、
前記案内溝は前記ドアの開時において前記凸部の位置する部分が、前記押圧部が押圧されたときに前記ドアの閉方向への動作を禁止する形状であって、前記ドアが閉方向に操作されたときに同ドアの閉方向への動作を許可する形状に延設されてなる
ことを特徴とする収納ボックス。
【請求項5】
請求項3または4に記載の収納ボックスにおいて、
前記案内溝は、前記ドアの開方向への動作に際して前記押圧部の移動が完了した後に前記ドアをさらに開方向に動作させる形状に延設されてなる
ことを特徴とする収納ボックス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の収納ボックスにおいて、
当該収納ボックスは車両のインストルメントパネルに取り付けられるものである
ことを特徴とする収納ボックス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の収納ボックスにおいて、
前記押圧部は車両のキャビン内に設けられるシガーソケットである
ことを特徴とする収納ボックス。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の収納ボックスにおいて、
当該収納ボックスは、前記ドアの閉時には前記ボックス部の内部に収容された状態になるとともに前記ドアの開時には前記ボックス部の外部に突出した状態になるように前記ドアの開閉動作に連動して出没可能な状態のトレイが設けられてなり、
前記押圧部は前記トレイに設けられてなる
ことを特徴とする収納ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−132264(P2009−132264A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309865(P2007−309865)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】