収納位置検出システム
【課題】複数の被収納装置をそれらの並び順や収納方向をユーザが意識することなく収納装置に収納しても、各被収納装置の収納位置を管理することができる収納位置検出システムを得ること。
【解決手段】複数の被収納装置10Aと、該複数の被収納装置を収納する収納装置20Aとを備えた収納位置検出システム30Aを構成するにあたり、被収納装置には、発光素子と、受光素子と、発光コマンドが応じて発光素子を発光させ、受光素子で受光したときには面情報と識別情報とを収納装置に送る主回路部3とを設け、収納装置には、各被収納装置に収納位置検出開始コマンドを一斉に送ったときに特定の被収納装置から送られてくる面情報および識別情報、ならびに各被収納装置に所定の発光コマンドを一斉に送ったときに特定の被収納装置から送られてくる面情報および識別情報を用いて複数の被収納装置それぞれの収納位置を特定する収納位置識別部18を設ける。
【解決手段】複数の被収納装置10Aと、該複数の被収納装置を収納する収納装置20Aとを備えた収納位置検出システム30Aを構成するにあたり、被収納装置には、発光素子と、受光素子と、発光コマンドが応じて発光素子を発光させ、受光素子で受光したときには面情報と識別情報とを収納装置に送る主回路部3とを設け、収納装置には、各被収納装置に収納位置検出開始コマンドを一斉に送ったときに特定の被収納装置から送られてくる面情報および識別情報、ならびに各被収納装置に所定の発光コマンドを一斉に送ったときに特定の被収納装置から送られてくる面情報および識別情報を用いて複数の被収納装置それぞれの収納位置を特定する収納位置識別部18を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納装置に収納された複数の被収納装置それぞれの位置を検出することができる収納位置検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、電子ペーパの開発の進展に伴って、複数の電子ペーパを効率的に管理するシステムも提案されている。例えば(特許文献1)には、複数の電子ペーパを所定構造のバインダに綴じ、バインダから所望の電子ペーパに信号を送信して当該電子ペーパの表示部に所望の画像を表示させることができる電子ブックが記載されている。
【0003】
また、(特許文献2)には、データ記憶部に格納された情報を表示パネルに表示することができる紙状の情報担体(電子ペーパを用いた情報担体)をバインダ形式の処理ユニットに複数枚綴じ、各情報担体を識別コードにより識別して処理ユニットと所望の情報担体との間で情報を入出力し、当該情報担体に所定の情報を表示させる情報表示装置が記載されている。
【特許文献1】特開2002−169190号公報
【特許文献2】特開2005−181436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、(特許文献1)に記載された電子ブックや(特許文献2)に記載された情報表示装置では、所望の電子ペーパまたは情報担体をバインダまたは処理ユニットから取り外して他で利用し、その後に再びバインダまたは処理ユニットに綴じるときに当該電子ペーパまたは情報担体の綴じ順を最初の綴じ順から変えてしまうと、その後に電子ペーパまたは情報担体に情報を書き込むときにページ順が変わってしまう。
【0005】
勿論、全ての電子ペーパまたは情報担体にページ番号を表示する機能を付加し、ユーザがページ番号を確認しながらバインダまたは処理ユニットに電子ペーパまたは情報担体をページ順に綴じるようにすれば、電子ブックまたは情報表示装置でページ順が狂ってしまうのを防止し易くなるが、電子ペーパまたは情報担体を常にページ順に綴じるという作業はユーザにとっては煩雑な作業である。しかも、綴じ直す前にページ番号の表示を消すとそのページ順がわからなくなるため、綴じていないときには電子ペーパまたは情報担体に格納されている全ての表示情報を消去するわけにはゆかなくなり、利便性や情報セキュリティが低下する。
【0006】
さらに、両面表示が可能で、かつ綴じる方向を選ばない電子ペーパや情報担体では、綴じる方向によっては表と裏が入れ替わってしまうこともある。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、複数の被収納装置をそれらの並び順や収納方向をユーザが意識することなく収納装置に収納しても、各被収納装置の収納位置を管理することができる収納位置検出システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の収納位置検出システムは、複数の被収納装置と、該複数の被収納装置を収納する収納装置とを備え、収納装置と該収納装置に収納された被収納装置との間で信号の授受を行うことができる収納位置検出システムであって、複数の被収納装置の各々は、互いに平行な2つの面と、該2つの面の各々に配置された発光素子および受光素子と、収納装置から発光コマンドが送られてきたときには上記2つの面のうちの所定の面に配置された発光素子を発光させ、上記2つの面の各々に配置されている受光素子のいずれかが受光したときには該受光素子が配置されている面を示す面情報と該被収納装置の識別情報とを前記収納装置に送る主回路部とを有し、記収納装置は、隣り合う2つの被収納装置での一方の被収納装置の発光素子と他方の被収納装置の受光素子とが互いに対向する向きで前記複数の被収納装置を整列させて収納する収納部と、該収納部に整列して収納された複数の被収納装置のうちで最も外側に位置する1つの被収納装置に該被収納装置の外側から光を照射したときに送られてくる面情報および識別情報と、複数の被収納装置に所定の被収納装置の発光素子の発光を指示する発光コマンドを一斉に送ったときに特定の被収納装置から送られてくる面情報および識別情報とを用いて、複数の被収納装置それぞれの収納位置を特定する収納位置識別部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の収納位置検出システムでは、被収納装置における上記2つの面に発光素子と受光素子とがそれぞれ設けられ、被収納装置における一方の発光素子を発光させたときに当該発光子の発光を受光子で受光した被収納装置からは、上記の面情報と識別情報とが収納装置に送られてくるので、ある被収納装置の発光子を発光させることにより、その隣の被収納装置と該被収納装置の収納方向とを識別することができる。そして、当該識別操作を繰り返すことにより、各被収納装置の収納位置および収納方向を特定することができる。このため、ユーザは各被収納装置の並び順や収納方向を意識することなく収納装置に収納することができ、利便性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明の収納位置検出システムは、複数の被収納装置と、該複数の被収納装置を収納する収納装置とを備え、収納装置と該収納装置に収納された被収納装置との間で信号の授受を行うことができる収納位置検出システムであって、複数の被収納装置の各々は、互いに平行な2つの面と、該2つの面の各々に配置された発光素子および受光素子と、収納装置から発光コマンドが送られてきたときには上記2つの面のうちの所定の面に配置された発光素子を発光させ、上記2つの面の各々に配置されている受光素子のいずれかが受光したときには該受光素子が配置されている面を示す面情報と該被収納装置の識別情報とを収納装置に送る主回路部とを有し、収納装置は、隣り合う2つの被収納装置での一方の被収納装置の発光素子と他方の被収納装置の受光素子とが互いに対向する向きで複数の被収納装置を整列させて収納する収納部と、該収納部に整列して収納された複数の被収納装置のうちで最も外側に位置する1つの被収納装置に該被収納装置の外側から光を照射したときに送られてくる面情報および識別情報と、複数の被収納装置に所定の被収納装置の発光素子の発光を指示する発光コマンドを一斉に送ったときに特定の被収納装置から送られてくる面情報および識別情報とを用いて、複数の被収納装置それぞれの収納位置を特定する収納位置識別部とを有することを特徴とする。
【0011】
この収納位置検出システムでは、被収納装置における上記2つの面に発光素子と受光素子とがそれぞれ設けられ、被収納装置における一方の発光素子を発光させたときに当該発光子の発光を受光子で受光した被収納装置からは、上記の面情報と識別情報とが収納装置に送られてくるので、ある被収納装置の発光子を発光させることにより、その隣の被収納装置と該被収納装置の収納方向とを識別することができる。そして、当該識別操作を繰り返すことにより、各被収納装置の収納位置および収納方向を特定することができる。このため、ユーザは各被収納装置の並び順や収納方向を意識することなく収納装置に収納することができ、利便性が高い。
【0012】
第2の発明の収納位置検出システムは、上述した第1の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、収納装置は、外光が入射したときに該外光を透過させる光学窓を更に有し、該光学窓は、収納部に収納された被収納装置のうちで最も近接する被収納装置の受光素子と互いに対向することを特徴とする。この収納位置検出システムでは、最も端の被収納装置の受光素子に光学窓を介して外光を入射させることができるので、収納装置に発光素子を設けなくても最も端の被収納装置を識別することが可能である。
【0013】
第3の発明の収納位置検出システムは、上述した第2の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、収納装置は開閉可能な扉部を更に有し、該扉部を開状態としたときには上記の光学窓に外光が入射し、扉部を閉状態としたときには上記の光学窓に外光が入射しないことを特徴とする。この収納位置検出システムでは、扉部を開閉することにより光学窓への外光の入射を制御することができるので、不所望の時期に最も端の被収納装置の受光素子に外光が入射してしまうのを容易に防止することができる。
【0014】
第4の発明の収納位置検出システムは、上述した第1〜3の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、複数の被収納装置の各々は、該被収納装置をその厚さ方向に貫通する孔状端子部を更に有し、収納装置は、孔状端子部に通される柱状端子部を更に有し、複数の被収納装置の各々と収納装置とは、孔状端子部と柱状端子部とを介して信号の授受を行うことを特徴とする。この収納位置検出システムでは、被収納装置に孔状端子部が設けられており、収納装置に柱状端子部が設けられているので、その形態をバインダ型とすることが容易である。
【0015】
第5の発明の収納位置検出システムは、上述した第1〜4の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、複数の被収納装置の各々は、表示データに基づいて所定の画像を表示する表示部を更に有し、収納装置は、複数の被収納装置の各々に表示データを送ることができることを特徴とする。この収納位置検出システムでは、表示部を有する被収納装置についても収納位置および収納方向を特定することができると共に、被収納装置に表示させる画像を収納装置で指定することができるので、その用途が拡がる。
【0016】
第6の発明の収納位置検出システムは、上述した第5の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、前述の信号と表示データとは、収納装置から被収納装置に同じ伝搬経路を経て送られることを特徴する。この収納位置検出システムでは、前述の信号と表示データとを収納装置から被収納装置に同じ伝搬経路を経て送るので、システムの構成を簡略化することができる。
【0017】
第7の発明の収納位置検出システムは、上述した第5または6の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、表示部は、表示した画像を無電源状態で保持することができることを特徴とする。この収納位置検出システムでは、被収納装置の表示部に表示させた画像を無電源状態で保持することができるので、省電力化を図り易い。
【0018】
第8の発明の収納位置検出システムは、前述した第1の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、複数の被収納装置の各々は、ディスク状のリムーバブルメディアを収納可能なケース状物であり、収納装置の収納部は棚状を呈することを特徴とする。この収納位置検出システムでは、被収納装置が上述のケース状物であり、収納装置の収納部が棚状であるので、ディスク状のリムーバブルメディアを収納した被収納装置を収納装置に収納することにより、複数のリムーバブルメディアを管理することが可能になる。
【0019】
第9の発明の収納位置検出システムは、上述した第1〜8の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、収納装置は、上位装置と有線または無線により通信を行う通信部を更に有することを特徴とする。この収納位置検出システムでは、収納装置と上位装置とが通信を行うことができるので、被収納装置の収納位置および収納方向を特定すること以外に、より複雑な制御やデータベース化等を行い易い。
【0020】
以下、本発明の収納位置検出システムの実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する実施の形態に限定されるものではなく、下記の実施の形態以外にも種々の変形、修飾、組合せ等が可能である。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の収納位置検出システムの一例を概略的に示す概念図である。同図において、10a〜10nは被収納装置、20は収納装置、30は収納位置検出システムである。図示の収納位置検出システム30は、複数の被収納装置10a〜10nと、これらの被収納装置10a〜10nを収納する収納装置20とを備えており、上記複数の被収納装置10a〜10nは整列した状態で収納装置20に収納される。
【0022】
各被収納装置10a〜10nと収納装置20とは、互いに信号の授受を行うことができる。各被収納装置10a〜10nは、収納装置20に収納された状態下で、隣の被収納装置に向けて信号を発する機能と隣の被収納装置から発せられた信号を受信する機能とを有していると共に、隣の被収納装置から発信された信号を受信したときに所定の情報を収納装置20に送る機能とを有している。また、収納装置20は、特定の被収納装置に隣の被収納装置に向けて信号を発する指令を出したときに所定の被収納装置から送られてくる情報を基に、上記の指令の送り先の被収納装置と上記の情報を送ってきた被収納装置との相対的な位置関係を特定する機能を有している。
【0023】
このような構成を有する収納位置検出システム30は、個々の被収納装置10a〜10nの並び順や収納方向をユーザが意識することなく当該被収納装置10a〜10nを収納装置20に収納しても、各被収納装置10a〜10nの収納位置を検出してこれらの被収納装置10a〜10nを管理することができるものである。以下、図2〜図5を参照して、収納位置検出システム30を具体的に説明する。
【0024】
図2(a)〜図2(d)は、上述した収納位置検出システム30の一例を概略的に示す構成図であり、図3(a)〜図3(c)は当該収納位置検出システムで用いられる被収納装置を示す概略図である。
【0025】
図2(a)〜図2(d)において、1は表示部、3は主回路部、5は孔状端子部、7は受発光素子ユニット、10Aは被収納装置、11は表紙部、11dは表ラベル表示部、13は裏表紙部、15は背表紙部、15dは背ラベル表示部、17はバインディング部、17aは中空円柱状端子金具、17bは綴じ金具、pは棒状突起、17cは固定金具、OW1,OW2は光学窓、20Aは収納装置、30Aは収納位置検出システムである。
【0026】
また、図3(a)〜図3(c)において、1は表示部、3は主回路部、3Cは接触子、5は孔状端子部、7は受発光素子ユニット、7eは発光素子、7rは受光素子、7s1,7s2は遮光帯である。
【0027】
図2(a)〜図2(d)に示す収納位置検出システム30Aは、複数の被収納装置10Aと、1つの収納装置20Aとを備えている(図2(a)参照)。各被収納装置10Aは、表示データに基づいて画像を表示する表示機能と、表示した画像を無電源状態で保持する画像保持機能とを有する電子ペーパ状の装置であり(図2(d)および図3(a)参照)、収納装置20Aは表紙部11、裏表紙部13、背表紙部15、およびバインディング部17を具備したバインダ型の装置である(図2(a)および図2(b)参照)。
【0028】
収納位置検出システム30Aを構成する個々の被収納装置10Aは、互いに平行な2つの面(以下、一方の面「A面」と表記し、他方の面を「B面」と表記する。)を有し、各面には表示部が配置されている。図2(d)および図3(a)に示すように、各被収納装置10Aは表示部1を中心として構成されており、該被収納装置10Aにおける一辺側には主回路部3が配置され、主回路部3を平面視したときの中央付近には当該被収納装置10Aの中心から等距離になるようにして2つの孔状端子部5が設けられている。これら孔状端子部5,5は、収納装置20Aに電気的に接続される接触子3Cを構成している。一方の孔状端子部5と他方の孔状端子部5との間には、発光ダイオード等の発光素子7eとフォトダイオード等の受光素子7rとを有する受発光素子ユニット7が配置されている。受発光素子ユニット7は、被収納装置10AのA面側およびB面側にそれぞれ1つずつ配置されている。
【0029】
各受発光素子ユニット7での発光素子7eの発光面と受光素子7rの受光面とは、主回路部3の表面よりわずかに窪んだ位置にある。また、個々の受発光素子ユニット7では、発光素子7eと受光素子7rとの間に図3(b)に示すように遮光帯7s1が配置されている。各受発光素子ユニット7では、該受発光素子ユニット7をこのように構成することで、発光素子7eから出射した光が当該受発光素子ユニット7の受光素子7rに入射してしまうのを防止している。
【0030】
また、図3(b)中のIIIc−IIIc線に沿った断面を図3(c)に概略的に示すように、A面側の発光素子7eの裏面には、遮光帯7s2を介してB面側の受光素子ユニット7での受光素子7rが配置されている。図示を省略するが、A面側の受光素子の裏面には、遮光帯を介してB面側の受光素子ユニット7での発光素子が配置されている。
【0031】
したがって、被収納装置10Aでは、A面側の表示部1およびB面側の表示部1のどちらを上にしたときも、各孔状端子部5、発光素子7e、および受光素子7rの相対的な位置関係が一定である。ただし、1つの被収納装置10Aに設けられている2つの発光素子7e,7eは、一方がA面側の発光素子として識別され、他方がB面側の発光素子として識別されて、当該被収納装置10Aを管理する際には後述する面情報により明確に区別される。同様に、1つの被収納装置10Aに設けられている2つの受光素子7r,7rも、当該被収納装置10Aを管理する際には一方がA面側の受光素子、他方がB面側の受光素子として識別されて、後述する面情報により明確に区別される。
【0032】
なお、図3(a)および図3(b)では発光素子7eと受光素子7rとをこれらの開口面積がほぼ等しくなるように描いているが、発光素子7eでの開口面積と受光素子7rでの開口面積とは互いに異なっていてもよい。ただし、収納装置20Aに複数の被収納装置10Aを収納したときには、隣り合う被収納装置10A同士で発光素子7eと受光素子7rとが互いに対向することが好ましい。
【0033】
一方、図2(a)に示すように、収納装置20Aの表紙部11には表ラベル表示部11dが、また背表紙部15には背ラベル表示部15dがそれぞれ設けられている。図2(b)に示すように、表紙部11は開閉可能に構成されて収納装置20Aでの扉部として機能し、背表紙部15の内側表面上にはバインディング部17が取り付けられている。このバインディング部17は複数の被収納装置10Aを整列させて収納する収納部として機能する部位であり、パイプ式のバインダファイル構造を有している。すなわち、当該バインディング部17は、2本の中空円柱状端子金具17a,17aと、中空円柱状端子金具17aに挿入される2本の棒状突起p,pを有する綴じ金具17b(図2(c)参照)と、綴じ金具17bを固定する固定金具17cとを有している。
【0034】
各中空円柱状端子金具17aは裏表紙部13に取り付けられており、被収納装置10Aを収納する際には、該被収納装置10Aに形成されている孔状端子部5,5に当該中空円柱状端子金具17a,17aを通した後に、綴じ金具17bの各棒状突起pが中空円柱状端子金具17a,17aに挿入され、その後に当該綴じ金具17bが固定金具17cにより固定される。
【0035】
バインディング部17に被収納装置10Aを複数収納したときに、最も上の被収納装置10Aでの上面側(表紙部11側)の受光素子7rに外光を照射することができるように、綴じ金具17bには光学窓OW1が、また固定金具17cには光学窓OW2がそれぞれ形成されている。
【0036】
このような構造を有する収納位置検出システム30Aにおける各被収納装置10Aは、収納装置20Aに収納された状態下で、隣の被収納装置10Aに向けて信号を発する機能と隣の被収納装置10Aから発せられた信号を受信する機能とを有していると共に、隣の被収納装置10Aから発信された信号を受信したときに所定の情報を収納装置20Aに送る機能とを有している。また、収納装置20Aは、特定の被収納装置10Aに隣の被収納装置10Aに向けて信号を発する指令を出したときに所定の被収納装置10Aから送られてくる情報を基に、上記の指令の送り先の被収納装置10Aと上記の情報を送ってきた被収納装置10Aとの相対的な位置関係を特定する機能を有している。
【0037】
そのため、個々の被収納装置10Aの並び順や収納方向をユーザが意識することなく当該被収納装置10Aを収納装置20Aに収納しても、各被収納装置10Aの収納位置を検出してこれらの被収納装置10Aを管理することができる。
【0038】
このような技術的効果を奏する被収納装置10Aおよび収納装置20Aは、それぞれ種々の構成をとることができる。以下、図4および図5を参照して、被収納装置10Aおよび収納装置20Aそれぞれの具体的構成について説明する。
【0039】
図4は、図2(a)に示した収納位置検出システム30Aの構成例を示す機能ブロック図である。図4において、1は表示部、3は主回路部、3Aは中央演算処理装置(以下、「CPU3A」と略記する)、3BはROM(Read Only Memory)/RAM(Random Access Memory)、3Cは接触子、3Dはデータインタフェース回路部(図4においては「データIF部」と表記している)、3Eは電源回路部、3Fは蓄電池、3Gは発光回路部、3Hは受光回路部、PL1は電源ライン、B1はバス、9は記録制御回路部、10Aは被収納装置である。また、18は収納位置識別部、18AはCPU、18BはROM/RAM、18Cは接触子、18Dは接続制御回路部、18Eは電源回路部、18Fは蓄電池、18Gは操作部、PL2は電源ライン、B2はバス、20Aは収納装置、30Aは収納位置検出システムである。
【0040】
図4に示す被収納装置10Aは、前述の表示部1、主回路部3、接触子3C、および受発光素子ユニット(図4においては図示せず)を備えており、これらの他に記録制御回路部9も備えている。上記の接触子3Cは主回路部3の一部を構成しており、当該主回路部3には、接触子3C以外にも、CPU3A、記憶部としてのROM/RAM3B、データインタフェース回路部3D(以下、「データIF部3D」と略記する)、電源回路部3E、蓄電池3F、発光回路部3G、受光回路部3H、電源ラインPL1、およびバスB1が設けられている。
【0041】
図4には1個の表示部1しか現れていないが、前述のように、被収納装置10AにはA面側およびB面側にそれぞれ表示部1が配置されている。例えば、電気泳動方式や磁気泳動方式の電子ペーパが表示部1として用いられる。当該方式の電子ペーパは、対向配置した2枚のシートの間に所定の現像剤、すなわち光学的反射濃度や色が異なる1種類もしくは複数種類の帯電性微粒子を内包した現像剤を充填し、現像剤に電界もしくは磁界を印加することで当該現像剤を移動させて所望の表示を行うものであり、上記2枚のシートの少なくとも一方として光透過性シートが用いられる。勿論、他の方式の電子ペーパ、例えばツイスティングボール方式、双安定性液晶方式、CN(カイラルネマチック)液晶方式、トナーディスプレイ方式、電子粉流体方式等の電子ペーパを表示部1として用いることもできる。電子ペーパにより表示部1を構成すると、当該表示部1に表示させた画像をその後は電力を殆ど消費することなく無電源状態で保持することができる。
【0042】
主回路部3を構成するCPU3Aは、ROM/RAM3Bに格納された制御プログラムに従って各部の動作を制御する。ROM/RAM3Bは記憶装置であり、上記の制御プログラムが格納される他に、収納装置20A(図2(a)参照)から供給される表示データ、被収納装置10Aを識別する識別情報(以下、「ID情報」という)、個々の発光素子7eおよび受光素子7r(図3(b)および図3(c)参照)がA面側の素子であるかB面側の素子であるかを表す面情報等も格納される。
【0043】
データIF部3Dは、例えばハイパスフィルタを用いて構成されて、接触子3Cが2個の孔状端子部5,5によって収納装置20Aから受けた交流信号を復調し、上記の交流信号からデジタル信号を抽出する。電源回路部3Eは、被収納装置10Aで使用する一定電圧の電力を作り出して電源ラインPL1に出力し、蓄電池3Fは例えば着脱自在に電源回路部3Eに接続されて、電源回路部3Eの電源として機能する。
【0044】
発光回路部3Gは、2つの発光素子7e(図4においては図示せず。図3(b)参照)と各発光素子用の駆動回路とを有しており、CPU3Aからの発光コマンドに応じて所定の時期に所定の発光素子7eを発光させる。個々の発光素子7eから変調された光を出射させることができるように、発光回路部3Gには必要に応じて変調回路が設けられる。
【0045】
受光回路部3Hは、2つの受光素子7r(図4においては図示せず。図3(b)参照)と各受光素子7rでの受光量に応じた電気信号を受光素子7r毎に作り出す変換回路とを有している。受光素子7rにより変調した光を受光したときでも受光回路部3Hによって所定の電気信号を作り出すことができるように、当該受光回路部3Hには必要に応じて復調回路が設けられる。
【0046】
記録制御回路部9は、収納装置20Aから送られてくる表示データに基づいて表示部1に画像を表示させる際の駆動信号を作成する。上述のCPU3A、ROM/RAM3B、データIF部3D、電源回路部3E、発光回路部3G、受光回路部3H、および記録制御回路部9は電源ラインPL1に接続されており、CPU3A、ROM/RAM3B、データIF部3D、発光回路部3G、受光回路部3H、および記録制御回路部9はバスB1に接続されている。
【0047】
一方、図4に示す収納装置20Aは、前述した表紙部11(図示せず)、表ラベル表示部11d、裏表紙部13(図示せず)、背表紙部15(図示せず)、背ラベル表示部15d、バインディング部17の他に、収納位置識別部18を具備している。
【0048】
上記の収納位置識別部18は、CPU18Aと、ROM/RAM18Bと、接触子18Cと、接続制御回路部18Dと、電源回路部18Eと、蓄電池18Fと、操作部18Gと、電源ラインPL2と、バスB2とを有している。表ラベル表示部11d、背ラベル表示部15d、CPU18A、ROM/RAM18B、接続制御回路部18D、電源回路部18E、および操作部18Gは電源ラインPL2に接続されており、表ラベル表示部11d、背ラベル表示部15d、CPU18A、ROM/RAM18B、接続制御回路部18D、および操作部18GはバスB2に接続されている。
【0049】
CPU18Aは、ROM/RAM18Bに格納された制御プログラムに従って各部の動作を制御する他に、操作部18Gから入力された指令に応じて、ROM/RAM18Bに格納されている表示データや情報等を接続制御回路部18Cに転送したり、ROM/RAM18Bに格納されている情報を処理して表示データを作成し、これを表ラベル表示部11d、背ラベル表示部15d、または接続制御回路部18Cに転送したり、被収納装置10Aに対する所定のコマンドを接続制御回路部18Cに転送したりする。
【0050】
ROM/RAM18Bは記憶装置であり、上記の制御プログラムが格納される他に、表ラベル表示部11d、背ラベル表示部15d、または被収納装置10Aに表示させる表示データや情報、各被収納装置10Aを識別するID情報、および各種のコマンド等も格納される。このROM/RAM18Bへの制御プログラム、表示データや情報、ID情報、コマンド等の格納は、例えば図示を省略した上位装置により行われる。収納装置20Aは、上位装置と有線または無線により通信を行う通信部(図示せず)を有している。なお、ROM/RAM18Bは、収納装置20Aに着脱自在に設けることができる。
【0051】
接触子18Cは、被収納装置10Aの接触子3Cと電気的に接続される部材であり、前述した2本の中空円柱状端子金具17a,17a(図2(b)参照)を含んで構成される。接続制御回路18Dはデータ変調機能を有し、ROM/RAM18Bに格納されている表示データや情報、あるいは指令等のデジタルデータを交流信号に変調して接触子18Cに供給する。電源回路部18Eは、収納装置で使用する任意の電源電圧を作り出して電源ラインPL2に出力し、蓄電池18Fは、例えば着脱自在に収納装置20Aに設けられて、電源回路部18Eの電源として機能する。操作部18Gは、ユーザが所望の指令を入力する入力装置として機能する。
【0052】
次に、図5を参照して、上述の被収納装置10Aと収納装置20Aとを備えた収納位置検出システム30Aの動作を説明する。
【0053】
図5は、図2(a)に示した収納位置検出システム30Aの動作を概略的に示すフローチャートである。
【0054】
図5に示すように、収納位置検出システム30Aでは、操作部18G(図4参照)から各被収納装置10Aの収納位置の検出を指示するコマンド、具体的には各被収納装置10Aのページ位置の検出を指示するコマンドがユーザにより入力されると、収納装置20AがステップS1〜S13のうちの所定のステップを行うと共に各被収納装置10AがステップS21〜S36のうちの所定のステップを行って、収納装置20Aに綴じられた複数の被収納装置10Aそれぞれのページ位置を検出する。
【0055】
収納装置20Aで行われる上記のステップS1〜S13のうちのステップS1では、収納装置20AのCPU18Aが収納位置の検出の開始を指示する収納位置検出開始コマンド、具体的にはページ検出の開始を指示するページ検出開始コマンドを接続制御回路部18Dに書き込み、当該接続制御回路部18Dが所定の信号に変調してページ検出開始コマンドを接触子18C(図4参照)に出力する。この信号は、接触子18Cから各被収納装置10Aに伝えられる。
【0056】
続いて、収納装置20AのCPU18Aは、被接触装置10Aの総数をカウントするための変数MをステップS2でクリアする。すなわち、変数Mの値を0(ゼロ)にする。なお、「変数M」は、ROM/RAM18Bの所定のメモリセルに割り当てられる。また、ステップS3で、時間計測のための内蔵タイマー用カウンタをクリアする。すなわち、内蔵タイマー用カウンタのカウント数を0(ゼロ)にする。このカウンタは、クリアされた後においても一定時間(例えば100m秒)毎にカウントアップする。その後、ステップS4に進み、このステップS4で被収納装置10Aからの応答を待つ。
【0057】
一方、各被収納装置10AのCPU3Aは、収納装置20Aから接触子3C(図4参照)を介して電気信号を受けると動作を開始し、まず、ステップS21において、収納装置20Aから受けた電気信号がページコマンドであるか否かを判断する。ここでいう「ページコマンド」とは、上述のページ検出開始コマンドと、収納位置の検出の終了を指示するコマンド、具体的にはページ検出の終了を指示するページ検出終了コマンドと、特定の被収納装置10Aでの所定の面の発光素子の発光を指示する発光コマンドとの総称である。
【0058】
各被収納装置10Aの接触子3C(孔状端子部5)が収納装置20Aの接触子18C(中空円柱状端子金具17a;図2(b)参照)に接触していることから、個々の被収納装置10Aは、収納装置20Aから出力され上述の電気信号を接触子3Cを介して受け取ることができる。この電気信号を受け取った各被収納装置10Aは、当該電気信号をデータIF3Dで復調してCPU3A(図4参照)にて読み取り、ページコマンドであるか否かを判断する。
【0059】
上記の電気信号がページコマンド以外のコマンドであったときにはステップS33に進んで当該コマンドに従って所定の処理を行い、その後にステップS21に戻る。また、上記の電気信号がページコマンドであったときにはステップS22に進み、このステップS22で受光管理用の変数Nに1を書き込むと共に、各被収納装置10Aが2個ずつ有している受光素子7r,7r(図3(b)および図3(c)参照)それぞれについてのフラグ変数N(以下、「受光面フラグ変数N」という)をクリアする。なお、「受光面フラグ変数N」は、ROM/RAM3B(図4参照)の所定のメモリセルに割り当てられる。上記の受光面フラグ変数Nは、受光素子7rが受光したときには「1」に設定され、受光していないときには「0」に設定される。
【0060】
次いでステップS23において、個々の被収納装置10AのCPU3Aは、当該被収納装置10AでのA面とB面とに設定されている2つの受光面フラグ変数Nが2つとも「1」になっているか否かを判断する。2つの受光面フラグ変数Nの両方が「1」になっていれば当該被収納装置10Aは処理を一旦終了する。そうでないときはステップS24に進み、収納装置20Aから受けたページコマンドがページ検出終了コマンドであるか否かを判断する。そして、ページ検出終了コマンドであったときには各被収納装置10Aは処理を終了し、ページ検出終了コマンドでなかったときにはステップS25に進む。
【0061】
ステップS25では、上記ページコマンドが発光コマンドであるか否かを個々の被収納装置10AにおけるCPU3Aが判断する。このステップS25で発光コマンドであると判断されたときにはステップS26に進んで、当該発光コマンドに含まれているID情報と自己が保有するID情報とを個々の被収納装置10AのCPU3Aが比較する。
【0062】
ステップS26で2つのID情報が一致した被収納装置10AはステップS27に進み、当該被収納装置10AのCPU3Aが発光回路部3G(図4参照)の動作を制御して、2つの発光素子7e,7eのうちで発光コマンドに含まれている発光面情報によって特定されるA面側またはB面側の発光素子7e(図3(b)参照)を発光させる。その後、受光管理用の変数Nを1つカウントアップしてステップS34に進む。
【0063】
なお、上述のステップS25でページコマンドが発光コマンドでない、すなわちページ検出開始コマンドであると判断した各被収納装置10Aは、ステップS28に進む。このステップS28では、各被収納装置10AのCPU3Aが発光回路部3Gの動作を制御して各発光素子7eを消灯状態に保つ。
【0064】
また、上述のステップS26で発光コマンドにて2つのID情報が一致しなかった各被収納装置10AもステップS28に進み、各被収納装置10AのCPU3Aが発光回路部3Gの動作を制御して各発光素子7eを消灯状態にする。その後、これらの被収納装置10AはステップS29に進み、受光回路部3Hからの出力信号をCPU3Aが読み取って、個々の被収納装置10Aに2個ずつ設けられている受光素子7rの中に受光した受光素子7rがあるか否かを判断する。受光回路部3Hはアナログ/デジタル変換回路を有し、被収納装置10Aの両面に配置されている計2つの受光素子7r,7r(図3(b)参照)それぞれでの受光量に応じた大きさのデジタル数値を受光素子7r毎に生成して、上記の出力信号として出力する。
【0065】
収納装置20Aに複数の被収納装置10Aを綴じた場合、最も外側(最も上)に綴じられた被収納装置10Aでの上面側の受光素子7rの上方には発光素子が存在しないので、収納装置20Aの表紙部11(図2(a)参照)を閉じた状態では当該受光素子7rを含む受光回路部3Hからの出力信号が常に「受光していないときのデジタル数値」となって、正確なページ検出ができなくなる。このような不具合を防止するために、収納位置検出システム30Aでは、図6に概略的に示すように表紙部11(図6においては図示せず。図2(b)参照)を開いた状態でページ検出を行う。
【0066】
図6に示すように、表紙部11を開いた状態にすれば、固定金具17cの光学窓OW2と綴じ金具17bの光学窓OW1(図2(b)参照)とを通じて上記の受光素子7rに外光Lが照射されるので、当該受光素子7rを含む受光回路部3Hからの出力信号が「受光したときのデジタル数値」となる。その結果として、最も上に綴じられた被収納装置10AをそのID情報により特定することが可能になると共に、当該被収納装置10AでのA面およびB面のどちらの面が上になっているかを面情報により特定することが可能になるので、ページ検出を正確に行うことが可能になる。なお、図6に示す構成部材のうちで図2(b)または図2(c)に示した構成部材と共通するものについては、図2(b)または図2(c)で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0067】
上述のステップS29で2つの受光素子7r,7rの両方が受光していないと判断した被収納装置10Aは後述するステップS34に進み、2つの受光素子7r,7rの一方が受光していると判断した被収納装置10AはステップS30に進んで、受光していると判断した受光素子7rに対応する受光面フラグ変数Nが既に「1」になっているか、未だ「1」になっていないかをCPU3Aが判断する。そして、既に「1」になっていると判断されたときには本処理を終了し、未だ「1」になっていないと判断されたときにはステップS31に進む。
【0068】
ステップS31では、該ステップS31に進んだ被収納装置10AのID情報とステップS29で受光したと判断された受光素子7rがA面側およびB面側のいずれに位置しているかを示す面情報とをCPU3Aがステータス情報にまとめて、データIF部3Dを介して接触子3C(図4参照)に送出する。このステータス情報は、接触子3Cから収納装置20Aの接触子18Cを介してCPU18Aに伝えられる。その後にステップS32に進んで、ステップS29で受光したと判断された受光素子7rに対応する受光面フラグ変数Nを「1」に変更する。ステップS32が完了すると、ステップS23に進む。
【0069】
前述したステップS27を行った被収納装置10A、および前述したステップS29で2つの受光素子7r,7rの両方が受光していないと判断した被収納装置10Aは、その後にステップS34に進み、受光管理用の変数Nが「2」を超えているか否かをCPU3Aが判断する。被収納装置10Aでの発光が1回であった場合、当該被収納装置10Aでの受光管理用の変数は「2」となる。
【0070】
ステップS34で変数Nが2を超えていないと判断した各被収納装置10Aは、処理を一旦終了する。また、変数Nが2を超えていると判断した被収納装置10AはステップS35に進んでエラー処理を行った後にステップS36に進み、当該被収納装置10AのID情報とエラー情報とをCPU3Aがステータス情報にまとめて、データIF部3Dを介して接触子3Cに送出する。このステータス情報は、接触子3Cから収納装置20Aの接触子18Cを介してCPU18Aに伝えられる。上記のステータス情報を送出した被収納装置10Aは、その後に処理を一旦終了する。
【0071】
なお、上記のエラー処理では、例えばCPU3Aが発光回路部3Gの動作を制御して、両面に搭載されている発光素子7e,7eを周期的に点滅させる。エラー処理を行うステップS35を省略して、ステップS34で変数Nが2を超えていると判断されたときにはステップS36に進むように構成してもよい。
【0072】
一方、収納装置20Aは、前述したようにステップS4で被収納装置10Aからの応答を待ち、所定の被収納装置10Aが上述のステップS31またはステップS35でステータス情報を送ってくると、このステータス情報がID情報と面情報との両方を含んだものであるか否かを当該ステップS4でCPU18Aが判断する。そして、ID情報と面情報との両方は含んだものではないと判断されたときには後述するステップS12に進み、ID情報と面情報との両方を含んだものであると判断されたときにはステップS5に進む。
【0073】
ステップS5では、収納装置20AのROM/RAM18B(図4参照)に予め設定されているページ管理領域に上記のID情報と面情報とをCPU18Aが書き込む。例えば、上記のID情報と面情報とを送ってきた被収納装置10AのIDが「10A1」で、当該被収納装置10Aから送ってきた面情報がA面を示す情報であったとすると、第1ページがID=10A1の被収納装置10AのA面であることを上記のページ管理領域に書き込む。さらに、第1ページの確定に伴って第2ページも確定するので、第2ページがID=10A1の被収納装置10AのB面であることを上記のページ管理領域に書き込む。
【0074】
続いてステップS6に進み、収納装置20Aに綴じられている被収納装置10Aの総数を計数するための変数Mに1を加える処理をCPU18Aが行う。
【0075】
この後にステップS7に進んで、次に発光コマンドを送るべき被収納装置10AのID情報と面情報とを収納装置20AのCPU18Aが指定し、当該被収納装置10Aに宛てた発光コマンドを接触子18Cから各被収納装置10Aに一斉に送る。このとき指定されるID情報は、例えば、前述のステップS1で出力したページ検出開始コマンドに応答してID情報と面情報とを含むステータス情報を送出してきた被収納装置10A(最も上に綴じられている被収納装置10A)のID情報と同じであり、面情報は、当該ID情報によって特定される被収納装置10AのA面およびB面のうちで未だ面情報を得ていない面についての面情報である。
【0076】
なお、図5においては記載を省略しているが、CPU18Aは、ステップS7において時間計測のための内蔵タイマー用カウンタをクリアする処理も行う。前述のように、内蔵タイマー用カウンタは、クリアされた後においても一定時間(例えば100m秒)毎にカウントアップする。
【0077】
CPU18Aは、その後にステップS8に進んで、上記のステップS7で発光コマンドを送ってから被収納装置10Aがステータス情報を送ってくるまでの応答時間を上記のカウンタの計数値を基に計測し、このステップS8と並行して、計測した応答時間が事前に指定した時間値を超過したか否かを判断するステップS9を行う。CPU18Aが内蔵するタイマー回路での時間計測動作は、通常、CPU18Aの動作と並列に行われる。
【0078】
ステップS9で応答時間が上記の時間値を超過していないと判断されたときには前述のステップS4に戻って当該ステップS4以降を繰り返し、応答時間が上記の時間値を超過したと判断されたときにはステップS10に進んで、被収納装置10Aの総数を計測する変数Mの値が0(ゼロ)であるか否かを判断する。そして、変数Mが0のときには後述するステップS13に進み、変数Mが0でないときにはステップS11に進んでページ検索終了コマンドを各被収納装置10Aに送り、処理を一旦終了する。
【0079】
一方、前述したステップS4でステータス情報がID情報と面情報との両方を含んだものではないと判断されたときにはステップS12に進み、当該ステータス情報がID情報とエラー情報の両方を含んだものであるか否かをCPU18Aが判断する。このステップS12で上記のステータス情報がID情報とエラー情報の両方を含んだものではないと判断されたときには前述したステップS8に進んで当該ステップS8以降を行い、上記のステータス情報がID情報とエラー情報の両方を含んだものであると判断されたときにはステップS13に進んでエラー処理を行ってから処理を一旦終了する。
【0080】
なお、ステップS13でのエラー処理は、例えば、収納装置20Aに発光ダイオード、ブザー、バイブレータ等の報知器を設け、発光ダイオードを点滅ないし点灯させたり、ブザーを鳴動させたり、バイブレータを振動させたりする等、エラーが生じたことをユーザが認識できるように当該報知器を動作させることにより行われる。勿論、所定の被収納装置10Aの表示部1にエラーの発生を示すメッセージが表示されるように収納位置検出システム30Aを構成することも可能である。
【0081】
収納装置20Aが上述したステップS1からステップS11までを行うことにより、当該収納装置20Aに収納されている個々の被収納装置10Aの相対的な位置関係を各被収納装置10AでのA面およびB面の相対的な位置も含めて特定することができる。このとき、途中でエラーが生じなければ、全ての被収納装置10Aについてその相対的な位置関係が特定されるまで、ステップS9からステップS4に戻るという動作が繰り返される。ステップS7で発光コマンドを出力する際に特定するID情報および面情報は、収納装置20Aに収納されている全ての被収納装置10Aを対象にして、無作為に選定することができる。
【0082】
以上説明した収納位置検出システム30Aによれば、収納装置20Aに収納されている各被収納装置10Aの相対的な位置関係と収納方向(A面およびB面の相対的な位置)を当該収納装置20Aで検出できるので、複数の被収納装置10Aをそれらの並び順や収納方向をユーザが意識することなく収納装置20Aに収納しても、各被収納装置10Aの収納位置を管理することができる。
【0083】
また、例えば収納装置20Aに搭載したソフトウェアによって所望の被収納装置10Aの制御が可能となる。各被収納装置10Aが表示部1(図3(a)参照)を有しているので、例えば、複数ページに亘るドキュメント画像を各被収納装置10Aの綴じ順に従って書き込むことで、電子ブックのような機能を実現できる。
【0084】
なお、被収納装置10Aと収納装置20Aとの間での信号の授受をどのような形態の電気信号を用いて行うかは適宜選定可能である。図7(a)は、被収納装置10Aから収納装置20Aに送られる情報の一形態を示す概念図であり、図7(b)は、図7(a)に示した情報に対応する電気信号の一例を示す概略図であり、図7(c)は、収納装置20Aから被収納装置10Aに送られるコマンドの一形態を示す概念図である。
【0085】
図7(a)に示す情報はD1〜D5の5種類のデータにより構成されている。D1は、「1」と「0」を交互に出力する23ビット(bit)のデータからなるヘッダーである。D2は、被収納装置10AのID情報を表す256ビットのデータである。D3は、ID情報の終わりとD4の始まりとを示すセパレータとして機能する21ビットのデータである。D4は、収納装置20Aからのコマンドに対応したステータス情報を示す64ビットのデータである。そしてデータD5は、情報の終了を示す21ビットのデータである。例えば図5に示したステップS31で出力されるステータス情報では、データD4の一部として面情報が格納される。当該ステータス情報には、ID情報や面情報それぞれのデータから生成したパリティデータを付加することもできる。
【0086】
図7(b)は、図7(a)に示した各情報が振幅変調により「0」と「1」の電気信号として出力されることを示している。本例での1ビット情報は6サイクルの搬送波にて構成されている。なお、変調は周波数変調や位相変調で行うこともできる。さらには、収納装置20Aからキャリア信号を供給し、被収納装置10Aで接触子3Cの両端に接続する負荷を制御して変調させる負荷変調で行うこともできる。個々のデータを構成するビット数は上記の限りではない。
【0087】
図7(c)に示すコマンドはC1〜C5の5種類のデータにより構成されている。C1は、上述のデータD1と同様に23ビットのデータからなるヘッダーである。C2は、コマンドを定義する64ビットのデータである。C3は、コマンドの終わりとID情報の始まりとを示すセパレータとして機能する21ビットのデータである。C4は、特定の被収納装置10Aを指定するID情報を示す256ビットのデータであり、C5は、コマンドの終了を示す21ビットのデータである。なお、ID情報が不要なコマンドについては、上記のC3とC4とを削除して、C1、C2、およびC5のデータのみで構成することができる。例えば、図5に示したステップS1で出力されるページ検出開始コマンドは、この短いデータ構成にすることができる。
【0088】
収納装置に収納される被収納装置の中に片面表示しかできない被収納装置が存在する場合には、上述したステータス情報を示すデータD4にA面もしくはB面の表示が不能であることを示す情報を付加させて応答させることができる。この場合は、図5に示したステップS5でページ管理領域にID情報および面情報を書き込むときに、上記表示できない面のページカウントを禁止する。
【0089】
また、最も上に綴じられている被収納装置における上面の検出は、収納装置の表紙部を開けた状態下では当該被収納装置でのA面側の受光素子とB面側の受光素子との受光量差が一定値以上になることを利用して行うこともできる。さらには、外光を利用せずに、収納装置の表紙部の裏側に発光素子を設け、最も上に綴じられている被収納装置における上面の検出を検出するにあたっては、表紙部を閉じた状態で当該発光素子から任意の波長の光を被収納装置に照射してもよい。
【0090】
(実施の形態2)
図8は、本発明の収納位置管理システムの更に他の例を概略的に示す斜視図であり、図9(a)および図9(b)は、図8に示した収納位置管理システムにおける被収納装置を概略的に示す斜視図である。
【0091】
図8において、111は底板部、112は側壁部、113は背板部、114は天板部、115は傾斜付与部材、117は発光素子、118Cは接触子、118C1,118C2は接触子118Cを構成する端子部、120は収納装置、130は収納位置検出システムである。また、図8または図9において、102は箱部、104は蓋部、106は背部、103Cは接触子、103C1,103C2は接触子103Cを構成する端子部、107は受発光素子ユニット、110は被収納装置、RMはリムーバブルメディアである。
【0092】
図8に示すように、収納装置120は底板部111と、底板部111の長手方向の両端に配置された側壁部112,112と、これら側壁部112,112の間に架け渡された背板部113と、底板部111よりも小形の天板部114と、背板部113側が低くなるように底板部111を傾斜させる傾斜付与部材115とを有する棚状を呈しており、底板部111の上面が収納部の底面となる。各側壁部112における収納部側の表面には発光子117が配置されており、背板部113における収納部側の表面には、接触子118Cを構成する2つの端子部118C1,118C2が当該背板部113の長手方向に沿って互いに平行に配置されている。収納位置検出システム130では、複数の被収納装置110が収納装置120の底板部111の上に一列に整列して収納される。
【0093】
図9に示すように、各被収納装置110は光ディスク等のディスク状のリムーバブルメディアRMを収納可能なケース状物であり、箱部102と、蓋部104と、箱部102に連接されて蓋部104が開閉自在に取り付けられた背部106と、背部106の背面に配置されて接触子103Cを構成する1対の端子部103C1,103C2と、背部106での上下面(蓋部104側を上面としたときの上面および下面)にそれぞれ配置された受発光素子ユニット107とを有している。
【0094】
これらの被収納装置110は、背部106の背面が背板部113における収納部側の表面に接する向きで収納装置120の底板部111上に一列に配置され、収納される。このとき、各被収納装置110は、端子部103C1,103C2が収納装置120の端子部118C1,118C2に接した状態で収納される。背板部113側が低くなるように底板部111が傾斜しているので、被収納装置110を底板部111上に載せると、その自重により被収納装置110が背板部113側に滑動して、端子部103C1,103C2が端子部118C1,118C2に接する。最も外側(最も端)の被収納装置110での受発光素子ユニット107は、側壁部112に設けられている発光素子117と互いに対向する。
【0095】
このような構造を有する収納位置検出システム130での被収納装置110の構成は、例えば、表示部1、孔状端子部5、および記録制御回路9(図4参照)を設けない以外は実施の形態1で説明した被収納装置10Aの構成と同様にすることができる。また、収納装置120の構成は、例えば図10に示す構成とすることができる。
【0096】
図10は、上述した収納装置120の構成例を示す機能ブロック図である。同図において、118は収納位置識別部、118AはCPU、118BはROM/RAM、118Cは接触子、118Dは接続制御回路部、118Eは電源回路部、118Fは蓄電池、118Hは発光回路部、118Iは通信部、119は上位装置、PL3は電源ライン、B3はバスである。
【0097】
図10に示す構成要素のうち、CPU118A、ROM/RAM118B、接触子118C、接続制御回路部118D、電源回路部118E、蓄電池118F、電源ラインPL3、およびバスB3それぞれの機能は、図4に示したCPU18A、ROM/RAM18B、接触子18C、接続制御回路部18D、電源回路部18E、蓄電池18F、電源ラインPL2、またはバスB2の機能と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0098】
上記の発光回路部118Hは、2つの発光素子117(図10においては図示せず。図8参照)と各発光素子用の駆動回路とを有しており、CPU118Aからのコマンドに応じて所定の時期に所定の発光素子117を発光させる。個々の発光素子117から変調された光を出射させることができるように、発光回路部118Hには必要に応じて変調回路が設けられる。また、通信部118Iは、収納装置120とパーソナルコンピュータ等の上位装置119とを有線または無線により接続するものであり、例えば汎用的に利用されているUSB(Universal Serial Bus)仕様のインタフェースで構成される。
【0099】
被収納装置110および収納装置120がそれぞれ上述の構成を有する収納位置検出システム130では、図5を用いて説明した収納位置検出システム30A(図2)での収納位置の検出と同様の手順で各被収納装置110の収納位置を検出することができる。ただし、最初に1つまたは2つの発光素子117を発光させて、最も端に位置している被収納装置110を特定する。また、収納位置を検出する際のコマンドは、上位装置119から通信部118Iを介して収納装置120に送られ、その後に各被収納装置110に送られる。
【0100】
このように構成された収納位置検出システム130では、実施の形態1で説明した収納位置検出システム30,30A(図1または図2参照)におけるのと同様に、個々の被収納装置110の並び順や収納方向(表、裏)をユーザが意識することなく当該被収納装置110を収納装置120に収納しても、各被収納装置110の収納位置を検出してこれらの被収納装置110を管理することができる。また、上位装置119を有しているので、被収納装置110の収納位置および収納方向を特定すること以外に、より複雑な制御やデータベース化等を行い易い。このため、当該収納位置検出システム130を用いれば、CD−ROMやDVD−ROM等のリムーバブルメディアを入れた被収納装置110、ひいてはリムーバブルメディアRM(図8参照)を上位装置により管理する収納ラックを実現することができる。
【0101】
(実施の形態3)
図11は、本発明の収納位置管理システムの更に他の例を概略的に示す斜視図であり、図12(a)は、図11に示した収納位置管理システムにおける被収納装置を概略的に示す斜視図であり、図12(b)は図12(a)に示した被収納装置における受発光素子ユニットを概略的に示す断面図である。そして、図13は、図11に示した収納位置管理システムにおける収納装置を概略的に示す斜視図である。
【0102】
図11において、151は底板部、152は側壁部、153は背板部、158Cは接触子、160は収納装置、170は収納位置管理システムである。また、図11および図12(a)において、141は表示部、143Cは接触子、147は受発光素子ユニット、150は被収納装置である。そして、図12(b)における147eは発光素子、147rは受光素子、147sは遮光帯であり、図13における157は発光素子である。
【0103】
図11および図13に示すように、収納装置160は底板部151と、底板部151の長手方向の両端に配置された側壁部152,152と、これら側壁部152,152の間に架け渡された背板部153とを有する棚状を呈しており、底板部111の上面が収納部の底面となる。底板部151の上面における長手方向端部には、図13に示すように発光素子157が配置されている。また、底板部151の上面における幅方向両端部には、図11および図13に示すように、接触子158Cを構成する2つの端子部158C1,158C2が当該底板部151の長手方向に沿って互いに平行に配置されている。これら2つの端子部158C1,158C2の距離は、被収納装置150の1辺の長さよりも短い。したがって、底板部151上に被収納装置150を置くことで、端子部158C1,158C2と後述する端子部143C1,143C2とを接触させることができる。図11に示すように、収納位置検出システム170では、複数の被収納装置150が底板部151の上に一列に整列して収納される。
【0104】
一方、各被収納装置150は、図11または図12(a)に示すように正六面体状を呈しており、当該被収納装置150の各面には、表示部141と、2つの端子部143C1,143C2を有する接触子143Cと、受発光素子ユニット147とが設けられている。被収納装置150の各面において互いに対向する辺には互いに異なる端子部143C1,143C2が位置しており、各面の中央部には受発光素子ユニット147が配置されている。
【0105】
図12(b)に示すように、個々の受発光素子ユニット147は、光透過性を有する受光素子147rが発光素子147eの上に積層された構造をしており、発光素子147eと受光素子147rとの積層物の周囲には遮光帯147sが設けられている。発光素子147eと受光素子147rとが重なっているので、受光素子147rでの受光がその下の発光素子147eからの発光によるものであるのか他の発光素子147rからの発光によるものであるのかは、受光信号を発光信号でキャンセルすることで識別される。なお、受光素子147rとしては、例えば特開2005−294303号公報に示されている有機光電変換素子を利用することが好適である。
【0106】
このような構造を有する収納位置管理システム170での被収納装置150および収納装置160それぞれの構成は、例えば実施の形態1で説明した被収納装置10Aまたは収納装置20Aの構成と同様にすることができる。勿論、実施の形態2で説明した収納装置120におけるように、上位装置と有線または無線により接続されるインタフェース部を収納装置160に設け、各種のコマンドや表示データを上位装置から上記のインタフェース部を介して収納装置160に送り、その後に各被収納装置150に送るように構成することもできる。
【0107】
収納位置管理システム170での各被収納装置150の収納位置の検出は、図5を用いて説明した収納位置検出システム30A(図2)での収納位置の検出と同様の手順により行うことができる。ただし、最初に発光素子157を発光させて、最も外側(最も端)に位置している被収納装置150と、該被収納装置150において発光素子157からの発光を受光した受光素子147rが配置されている面とを特定し、その後は各被収納装置150の整列方向に面している発光素子147eが発光するように発光コマンドでの発光面情報を設定する。
【0108】
被収納装置150および収納装置160がそれぞれ上述の構成を有する収納位置管理システム170では、実施の形態1で説明した収納位置検出システム30,30A(図1または図2参照)におけるのと同様に、個々の被収納装置150の並び順や収納方向をユーザが意識することなく当該被収納装置150を収納装置160に収納しても、各被収納装置150の収納位置を検出してこれらの被収納装置150を管理することができる。
【0109】
各被収納装置150が六面に表示部141を有していることから、各被収納装置150の収納状態に合わせて所望の画像を各被収納装置150に表示させることができる。このため、従来にない知育用玩具や表示道具としても利用することができる。
【0110】
なお、上述した収納位置検出システム170は、各被収納装置150が収納装置160に1次元的に収納されるものであるが、個々の被収納装置が六面に受発光素子ユニット147を有していることから、複数の被収納装置150を所定形状の収納装置に2次元的に収納させても、上記との同様の技術的効果を奏する収納位置検出システムを構成することができる。各被収納装置の形状は、互いに平行な2つの面を有する形状であれば、正六面体以外の多面体にすることもできる。
【0111】
(実施の形態4)
本発明の収納位置検出システムにおける被収納装置および収納装置それぞれでの回路を形成するにあたっては、有機半導体を用いることができる。例えば、被収納装置に表示部を設ける場合には、表示部で用いるスイッチング素子を有機系電界効果トランジスタを用いて構成することにより、当該表示部の薄型化や軽量化が容易になる。
【0112】
導電性高分子であるPEDOT(poly−ethylene dioxy thiophene)をインクジェット法で所定形状に描画してソース領域およびドレイン領域を形成し、これらソース領域上およびドレイン領域上に共役系高分子の半導体層を膜厚が30nm以下となるようにスピンコート法で形成し、その上に膜厚500nm程度の高分子絶縁体層をスピンコート法で形成し、その上にPEDOTによりゲート電極を形成すれば、トップゲート構造の薄膜電界効果トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明に係る収納位置検出システムは、複数の被収納装置をそれらの並び順や収納方向をユーザが意識することなく収納装置に収納しても、各被収納装置の収納位置を管理することができるものであるので、多数の電子ペーパや多数のリムーバブルメディア等を管理するうえで有用である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の収納位置検出システムの一例を概略的に示す概念図
【図2】(a)図1に示した収納位置検出システムの一例を概略的に示す構成図、(b)図2(a)に示した収納位置検出システムでの収納装置を概略的に示す斜視図、(c)図2(b)に示した収納装置での綴じ金具を概略的に示す斜視図、(d)図2(a)に示した収納位置検出システムでの被収納装置を概略的に示す斜視図
【図3】(a)図2(a)に示した収納位置検出システムでの被収納装置を概略的に示す平面図、(b)図3(a)に示した被収納装置での送受光素子ユニットを概略的に示す平面図、(c)図3(b)に示したIIIc−IIIc線断面の概略図
【図4】図2(a)に示した収納位置検出システムでの被収納装置および収納装置それぞれの構成例を示す機能ブロック図
【図5】図2(a)に示した収納位置検出システムの動作を概略的に示すフローチャート
【図6】図2(a)に示した収納位置検出システムによりページ検出を行う際の状態を概略的に示す断面図
【図7】(a)被収納装置から収納装置に送られる情報の一形態を示す概念図、(b)図7(a)に示した情報に対応する電気信号の一例を示す概略図、(c)収納装置から被収納装置に送られるコマンドの一形態を示す概念図
【図8】本発明の収納位置管理システムの他の例を概略的に示す斜視図
【図9】(a)図8に示した収納位置管理システムでの被収納装置を概略的に示す斜視図、(b)図8に示した収納位置管理システムでの被収納装置を概略的に示す他の斜視図
【図10】図8に示した収納位置管理システムでの収納装置の構成例を示す機能ブロック図
【図11】本発明の収納位置管理システムの更に他の例を概略的に示す斜視図
【図12】(a)図11に示した収納位置管理システムでの被収納装置を概略的に示す斜視図、(b)図12(a)に示したXIIb−XIIb線断面の概略図
【図13】図11に示した収納位置管理システムでの収納装置を概略的に示す斜視図
【符号の説明】
【0115】
1,141 表示部
3 主回路部
5 孔状端子部
7 受発光素子ユニット
7e,147e 発光素子
7r,147r 受光素子
10a〜10n,10A,110,150 被収納装置
11 表紙部
17 バインディング部
17a 中空円柱状端子金具
18 収納位置識別部
20,20A,120,160 収納装置
30,30A,130,170 収納位置検出システム
118I 通信部
119 上位装置
OW1,OW2 光学窓
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納装置に収納された複数の被収納装置それぞれの位置を検出することができる収納位置検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、電子ペーパの開発の進展に伴って、複数の電子ペーパを効率的に管理するシステムも提案されている。例えば(特許文献1)には、複数の電子ペーパを所定構造のバインダに綴じ、バインダから所望の電子ペーパに信号を送信して当該電子ペーパの表示部に所望の画像を表示させることができる電子ブックが記載されている。
【0003】
また、(特許文献2)には、データ記憶部に格納された情報を表示パネルに表示することができる紙状の情報担体(電子ペーパを用いた情報担体)をバインダ形式の処理ユニットに複数枚綴じ、各情報担体を識別コードにより識別して処理ユニットと所望の情報担体との間で情報を入出力し、当該情報担体に所定の情報を表示させる情報表示装置が記載されている。
【特許文献1】特開2002−169190号公報
【特許文献2】特開2005−181436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、(特許文献1)に記載された電子ブックや(特許文献2)に記載された情報表示装置では、所望の電子ペーパまたは情報担体をバインダまたは処理ユニットから取り外して他で利用し、その後に再びバインダまたは処理ユニットに綴じるときに当該電子ペーパまたは情報担体の綴じ順を最初の綴じ順から変えてしまうと、その後に電子ペーパまたは情報担体に情報を書き込むときにページ順が変わってしまう。
【0005】
勿論、全ての電子ペーパまたは情報担体にページ番号を表示する機能を付加し、ユーザがページ番号を確認しながらバインダまたは処理ユニットに電子ペーパまたは情報担体をページ順に綴じるようにすれば、電子ブックまたは情報表示装置でページ順が狂ってしまうのを防止し易くなるが、電子ペーパまたは情報担体を常にページ順に綴じるという作業はユーザにとっては煩雑な作業である。しかも、綴じ直す前にページ番号の表示を消すとそのページ順がわからなくなるため、綴じていないときには電子ペーパまたは情報担体に格納されている全ての表示情報を消去するわけにはゆかなくなり、利便性や情報セキュリティが低下する。
【0006】
さらに、両面表示が可能で、かつ綴じる方向を選ばない電子ペーパや情報担体では、綴じる方向によっては表と裏が入れ替わってしまうこともある。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、複数の被収納装置をそれらの並び順や収納方向をユーザが意識することなく収納装置に収納しても、各被収納装置の収納位置を管理することができる収納位置検出システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の収納位置検出システムは、複数の被収納装置と、該複数の被収納装置を収納する収納装置とを備え、収納装置と該収納装置に収納された被収納装置との間で信号の授受を行うことができる収納位置検出システムであって、複数の被収納装置の各々は、互いに平行な2つの面と、該2つの面の各々に配置された発光素子および受光素子と、収納装置から発光コマンドが送られてきたときには上記2つの面のうちの所定の面に配置された発光素子を発光させ、上記2つの面の各々に配置されている受光素子のいずれかが受光したときには該受光素子が配置されている面を示す面情報と該被収納装置の識別情報とを前記収納装置に送る主回路部とを有し、記収納装置は、隣り合う2つの被収納装置での一方の被収納装置の発光素子と他方の被収納装置の受光素子とが互いに対向する向きで前記複数の被収納装置を整列させて収納する収納部と、該収納部に整列して収納された複数の被収納装置のうちで最も外側に位置する1つの被収納装置に該被収納装置の外側から光を照射したときに送られてくる面情報および識別情報と、複数の被収納装置に所定の被収納装置の発光素子の発光を指示する発光コマンドを一斉に送ったときに特定の被収納装置から送られてくる面情報および識別情報とを用いて、複数の被収納装置それぞれの収納位置を特定する収納位置識別部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の収納位置検出システムでは、被収納装置における上記2つの面に発光素子と受光素子とがそれぞれ設けられ、被収納装置における一方の発光素子を発光させたときに当該発光子の発光を受光子で受光した被収納装置からは、上記の面情報と識別情報とが収納装置に送られてくるので、ある被収納装置の発光子を発光させることにより、その隣の被収納装置と該被収納装置の収納方向とを識別することができる。そして、当該識別操作を繰り返すことにより、各被収納装置の収納位置および収納方向を特定することができる。このため、ユーザは各被収納装置の並び順や収納方向を意識することなく収納装置に収納することができ、利便性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明の収納位置検出システムは、複数の被収納装置と、該複数の被収納装置を収納する収納装置とを備え、収納装置と該収納装置に収納された被収納装置との間で信号の授受を行うことができる収納位置検出システムであって、複数の被収納装置の各々は、互いに平行な2つの面と、該2つの面の各々に配置された発光素子および受光素子と、収納装置から発光コマンドが送られてきたときには上記2つの面のうちの所定の面に配置された発光素子を発光させ、上記2つの面の各々に配置されている受光素子のいずれかが受光したときには該受光素子が配置されている面を示す面情報と該被収納装置の識別情報とを収納装置に送る主回路部とを有し、収納装置は、隣り合う2つの被収納装置での一方の被収納装置の発光素子と他方の被収納装置の受光素子とが互いに対向する向きで複数の被収納装置を整列させて収納する収納部と、該収納部に整列して収納された複数の被収納装置のうちで最も外側に位置する1つの被収納装置に該被収納装置の外側から光を照射したときに送られてくる面情報および識別情報と、複数の被収納装置に所定の被収納装置の発光素子の発光を指示する発光コマンドを一斉に送ったときに特定の被収納装置から送られてくる面情報および識別情報とを用いて、複数の被収納装置それぞれの収納位置を特定する収納位置識別部とを有することを特徴とする。
【0011】
この収納位置検出システムでは、被収納装置における上記2つの面に発光素子と受光素子とがそれぞれ設けられ、被収納装置における一方の発光素子を発光させたときに当該発光子の発光を受光子で受光した被収納装置からは、上記の面情報と識別情報とが収納装置に送られてくるので、ある被収納装置の発光子を発光させることにより、その隣の被収納装置と該被収納装置の収納方向とを識別することができる。そして、当該識別操作を繰り返すことにより、各被収納装置の収納位置および収納方向を特定することができる。このため、ユーザは各被収納装置の並び順や収納方向を意識することなく収納装置に収納することができ、利便性が高い。
【0012】
第2の発明の収納位置検出システムは、上述した第1の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、収納装置は、外光が入射したときに該外光を透過させる光学窓を更に有し、該光学窓は、収納部に収納された被収納装置のうちで最も近接する被収納装置の受光素子と互いに対向することを特徴とする。この収納位置検出システムでは、最も端の被収納装置の受光素子に光学窓を介して外光を入射させることができるので、収納装置に発光素子を設けなくても最も端の被収納装置を識別することが可能である。
【0013】
第3の発明の収納位置検出システムは、上述した第2の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、収納装置は開閉可能な扉部を更に有し、該扉部を開状態としたときには上記の光学窓に外光が入射し、扉部を閉状態としたときには上記の光学窓に外光が入射しないことを特徴とする。この収納位置検出システムでは、扉部を開閉することにより光学窓への外光の入射を制御することができるので、不所望の時期に最も端の被収納装置の受光素子に外光が入射してしまうのを容易に防止することができる。
【0014】
第4の発明の収納位置検出システムは、上述した第1〜3の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、複数の被収納装置の各々は、該被収納装置をその厚さ方向に貫通する孔状端子部を更に有し、収納装置は、孔状端子部に通される柱状端子部を更に有し、複数の被収納装置の各々と収納装置とは、孔状端子部と柱状端子部とを介して信号の授受を行うことを特徴とする。この収納位置検出システムでは、被収納装置に孔状端子部が設けられており、収納装置に柱状端子部が設けられているので、その形態をバインダ型とすることが容易である。
【0015】
第5の発明の収納位置検出システムは、上述した第1〜4の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、複数の被収納装置の各々は、表示データに基づいて所定の画像を表示する表示部を更に有し、収納装置は、複数の被収納装置の各々に表示データを送ることができることを特徴とする。この収納位置検出システムでは、表示部を有する被収納装置についても収納位置および収納方向を特定することができると共に、被収納装置に表示させる画像を収納装置で指定することができるので、その用途が拡がる。
【0016】
第6の発明の収納位置検出システムは、上述した第5の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、前述の信号と表示データとは、収納装置から被収納装置に同じ伝搬経路を経て送られることを特徴する。この収納位置検出システムでは、前述の信号と表示データとを収納装置から被収納装置に同じ伝搬経路を経て送るので、システムの構成を簡略化することができる。
【0017】
第7の発明の収納位置検出システムは、上述した第5または6の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、表示部は、表示した画像を無電源状態で保持することができることを特徴とする。この収納位置検出システムでは、被収納装置の表示部に表示させた画像を無電源状態で保持することができるので、省電力化を図り易い。
【0018】
第8の発明の収納位置検出システムは、前述した第1の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、複数の被収納装置の各々は、ディスク状のリムーバブルメディアを収納可能なケース状物であり、収納装置の収納部は棚状を呈することを特徴とする。この収納位置検出システムでは、被収納装置が上述のケース状物であり、収納装置の収納部が棚状であるので、ディスク状のリムーバブルメディアを収納した被収納装置を収納装置に収納することにより、複数のリムーバブルメディアを管理することが可能になる。
【0019】
第9の発明の収納位置検出システムは、上述した第1〜8の発明の収納位置検出システムに含まれるものであり、収納装置は、上位装置と有線または無線により通信を行う通信部を更に有することを特徴とする。この収納位置検出システムでは、収納装置と上位装置とが通信を行うことができるので、被収納装置の収納位置および収納方向を特定すること以外に、より複雑な制御やデータベース化等を行い易い。
【0020】
以下、本発明の収納位置検出システムの実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する実施の形態に限定されるものではなく、下記の実施の形態以外にも種々の変形、修飾、組合せ等が可能である。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の収納位置検出システムの一例を概略的に示す概念図である。同図において、10a〜10nは被収納装置、20は収納装置、30は収納位置検出システムである。図示の収納位置検出システム30は、複数の被収納装置10a〜10nと、これらの被収納装置10a〜10nを収納する収納装置20とを備えており、上記複数の被収納装置10a〜10nは整列した状態で収納装置20に収納される。
【0022】
各被収納装置10a〜10nと収納装置20とは、互いに信号の授受を行うことができる。各被収納装置10a〜10nは、収納装置20に収納された状態下で、隣の被収納装置に向けて信号を発する機能と隣の被収納装置から発せられた信号を受信する機能とを有していると共に、隣の被収納装置から発信された信号を受信したときに所定の情報を収納装置20に送る機能とを有している。また、収納装置20は、特定の被収納装置に隣の被収納装置に向けて信号を発する指令を出したときに所定の被収納装置から送られてくる情報を基に、上記の指令の送り先の被収納装置と上記の情報を送ってきた被収納装置との相対的な位置関係を特定する機能を有している。
【0023】
このような構成を有する収納位置検出システム30は、個々の被収納装置10a〜10nの並び順や収納方向をユーザが意識することなく当該被収納装置10a〜10nを収納装置20に収納しても、各被収納装置10a〜10nの収納位置を検出してこれらの被収納装置10a〜10nを管理することができるものである。以下、図2〜図5を参照して、収納位置検出システム30を具体的に説明する。
【0024】
図2(a)〜図2(d)は、上述した収納位置検出システム30の一例を概略的に示す構成図であり、図3(a)〜図3(c)は当該収納位置検出システムで用いられる被収納装置を示す概略図である。
【0025】
図2(a)〜図2(d)において、1は表示部、3は主回路部、5は孔状端子部、7は受発光素子ユニット、10Aは被収納装置、11は表紙部、11dは表ラベル表示部、13は裏表紙部、15は背表紙部、15dは背ラベル表示部、17はバインディング部、17aは中空円柱状端子金具、17bは綴じ金具、pは棒状突起、17cは固定金具、OW1,OW2は光学窓、20Aは収納装置、30Aは収納位置検出システムである。
【0026】
また、図3(a)〜図3(c)において、1は表示部、3は主回路部、3Cは接触子、5は孔状端子部、7は受発光素子ユニット、7eは発光素子、7rは受光素子、7s1,7s2は遮光帯である。
【0027】
図2(a)〜図2(d)に示す収納位置検出システム30Aは、複数の被収納装置10Aと、1つの収納装置20Aとを備えている(図2(a)参照)。各被収納装置10Aは、表示データに基づいて画像を表示する表示機能と、表示した画像を無電源状態で保持する画像保持機能とを有する電子ペーパ状の装置であり(図2(d)および図3(a)参照)、収納装置20Aは表紙部11、裏表紙部13、背表紙部15、およびバインディング部17を具備したバインダ型の装置である(図2(a)および図2(b)参照)。
【0028】
収納位置検出システム30Aを構成する個々の被収納装置10Aは、互いに平行な2つの面(以下、一方の面「A面」と表記し、他方の面を「B面」と表記する。)を有し、各面には表示部が配置されている。図2(d)および図3(a)に示すように、各被収納装置10Aは表示部1を中心として構成されており、該被収納装置10Aにおける一辺側には主回路部3が配置され、主回路部3を平面視したときの中央付近には当該被収納装置10Aの中心から等距離になるようにして2つの孔状端子部5が設けられている。これら孔状端子部5,5は、収納装置20Aに電気的に接続される接触子3Cを構成している。一方の孔状端子部5と他方の孔状端子部5との間には、発光ダイオード等の発光素子7eとフォトダイオード等の受光素子7rとを有する受発光素子ユニット7が配置されている。受発光素子ユニット7は、被収納装置10AのA面側およびB面側にそれぞれ1つずつ配置されている。
【0029】
各受発光素子ユニット7での発光素子7eの発光面と受光素子7rの受光面とは、主回路部3の表面よりわずかに窪んだ位置にある。また、個々の受発光素子ユニット7では、発光素子7eと受光素子7rとの間に図3(b)に示すように遮光帯7s1が配置されている。各受発光素子ユニット7では、該受発光素子ユニット7をこのように構成することで、発光素子7eから出射した光が当該受発光素子ユニット7の受光素子7rに入射してしまうのを防止している。
【0030】
また、図3(b)中のIIIc−IIIc線に沿った断面を図3(c)に概略的に示すように、A面側の発光素子7eの裏面には、遮光帯7s2を介してB面側の受光素子ユニット7での受光素子7rが配置されている。図示を省略するが、A面側の受光素子の裏面には、遮光帯を介してB面側の受光素子ユニット7での発光素子が配置されている。
【0031】
したがって、被収納装置10Aでは、A面側の表示部1およびB面側の表示部1のどちらを上にしたときも、各孔状端子部5、発光素子7e、および受光素子7rの相対的な位置関係が一定である。ただし、1つの被収納装置10Aに設けられている2つの発光素子7e,7eは、一方がA面側の発光素子として識別され、他方がB面側の発光素子として識別されて、当該被収納装置10Aを管理する際には後述する面情報により明確に区別される。同様に、1つの被収納装置10Aに設けられている2つの受光素子7r,7rも、当該被収納装置10Aを管理する際には一方がA面側の受光素子、他方がB面側の受光素子として識別されて、後述する面情報により明確に区別される。
【0032】
なお、図3(a)および図3(b)では発光素子7eと受光素子7rとをこれらの開口面積がほぼ等しくなるように描いているが、発光素子7eでの開口面積と受光素子7rでの開口面積とは互いに異なっていてもよい。ただし、収納装置20Aに複数の被収納装置10Aを収納したときには、隣り合う被収納装置10A同士で発光素子7eと受光素子7rとが互いに対向することが好ましい。
【0033】
一方、図2(a)に示すように、収納装置20Aの表紙部11には表ラベル表示部11dが、また背表紙部15には背ラベル表示部15dがそれぞれ設けられている。図2(b)に示すように、表紙部11は開閉可能に構成されて収納装置20Aでの扉部として機能し、背表紙部15の内側表面上にはバインディング部17が取り付けられている。このバインディング部17は複数の被収納装置10Aを整列させて収納する収納部として機能する部位であり、パイプ式のバインダファイル構造を有している。すなわち、当該バインディング部17は、2本の中空円柱状端子金具17a,17aと、中空円柱状端子金具17aに挿入される2本の棒状突起p,pを有する綴じ金具17b(図2(c)参照)と、綴じ金具17bを固定する固定金具17cとを有している。
【0034】
各中空円柱状端子金具17aは裏表紙部13に取り付けられており、被収納装置10Aを収納する際には、該被収納装置10Aに形成されている孔状端子部5,5に当該中空円柱状端子金具17a,17aを通した後に、綴じ金具17bの各棒状突起pが中空円柱状端子金具17a,17aに挿入され、その後に当該綴じ金具17bが固定金具17cにより固定される。
【0035】
バインディング部17に被収納装置10Aを複数収納したときに、最も上の被収納装置10Aでの上面側(表紙部11側)の受光素子7rに外光を照射することができるように、綴じ金具17bには光学窓OW1が、また固定金具17cには光学窓OW2がそれぞれ形成されている。
【0036】
このような構造を有する収納位置検出システム30Aにおける各被収納装置10Aは、収納装置20Aに収納された状態下で、隣の被収納装置10Aに向けて信号を発する機能と隣の被収納装置10Aから発せられた信号を受信する機能とを有していると共に、隣の被収納装置10Aから発信された信号を受信したときに所定の情報を収納装置20Aに送る機能とを有している。また、収納装置20Aは、特定の被収納装置10Aに隣の被収納装置10Aに向けて信号を発する指令を出したときに所定の被収納装置10Aから送られてくる情報を基に、上記の指令の送り先の被収納装置10Aと上記の情報を送ってきた被収納装置10Aとの相対的な位置関係を特定する機能を有している。
【0037】
そのため、個々の被収納装置10Aの並び順や収納方向をユーザが意識することなく当該被収納装置10Aを収納装置20Aに収納しても、各被収納装置10Aの収納位置を検出してこれらの被収納装置10Aを管理することができる。
【0038】
このような技術的効果を奏する被収納装置10Aおよび収納装置20Aは、それぞれ種々の構成をとることができる。以下、図4および図5を参照して、被収納装置10Aおよび収納装置20Aそれぞれの具体的構成について説明する。
【0039】
図4は、図2(a)に示した収納位置検出システム30Aの構成例を示す機能ブロック図である。図4において、1は表示部、3は主回路部、3Aは中央演算処理装置(以下、「CPU3A」と略記する)、3BはROM(Read Only Memory)/RAM(Random Access Memory)、3Cは接触子、3Dはデータインタフェース回路部(図4においては「データIF部」と表記している)、3Eは電源回路部、3Fは蓄電池、3Gは発光回路部、3Hは受光回路部、PL1は電源ライン、B1はバス、9は記録制御回路部、10Aは被収納装置である。また、18は収納位置識別部、18AはCPU、18BはROM/RAM、18Cは接触子、18Dは接続制御回路部、18Eは電源回路部、18Fは蓄電池、18Gは操作部、PL2は電源ライン、B2はバス、20Aは収納装置、30Aは収納位置検出システムである。
【0040】
図4に示す被収納装置10Aは、前述の表示部1、主回路部3、接触子3C、および受発光素子ユニット(図4においては図示せず)を備えており、これらの他に記録制御回路部9も備えている。上記の接触子3Cは主回路部3の一部を構成しており、当該主回路部3には、接触子3C以外にも、CPU3A、記憶部としてのROM/RAM3B、データインタフェース回路部3D(以下、「データIF部3D」と略記する)、電源回路部3E、蓄電池3F、発光回路部3G、受光回路部3H、電源ラインPL1、およびバスB1が設けられている。
【0041】
図4には1個の表示部1しか現れていないが、前述のように、被収納装置10AにはA面側およびB面側にそれぞれ表示部1が配置されている。例えば、電気泳動方式や磁気泳動方式の電子ペーパが表示部1として用いられる。当該方式の電子ペーパは、対向配置した2枚のシートの間に所定の現像剤、すなわち光学的反射濃度や色が異なる1種類もしくは複数種類の帯電性微粒子を内包した現像剤を充填し、現像剤に電界もしくは磁界を印加することで当該現像剤を移動させて所望の表示を行うものであり、上記2枚のシートの少なくとも一方として光透過性シートが用いられる。勿論、他の方式の電子ペーパ、例えばツイスティングボール方式、双安定性液晶方式、CN(カイラルネマチック)液晶方式、トナーディスプレイ方式、電子粉流体方式等の電子ペーパを表示部1として用いることもできる。電子ペーパにより表示部1を構成すると、当該表示部1に表示させた画像をその後は電力を殆ど消費することなく無電源状態で保持することができる。
【0042】
主回路部3を構成するCPU3Aは、ROM/RAM3Bに格納された制御プログラムに従って各部の動作を制御する。ROM/RAM3Bは記憶装置であり、上記の制御プログラムが格納される他に、収納装置20A(図2(a)参照)から供給される表示データ、被収納装置10Aを識別する識別情報(以下、「ID情報」という)、個々の発光素子7eおよび受光素子7r(図3(b)および図3(c)参照)がA面側の素子であるかB面側の素子であるかを表す面情報等も格納される。
【0043】
データIF部3Dは、例えばハイパスフィルタを用いて構成されて、接触子3Cが2個の孔状端子部5,5によって収納装置20Aから受けた交流信号を復調し、上記の交流信号からデジタル信号を抽出する。電源回路部3Eは、被収納装置10Aで使用する一定電圧の電力を作り出して電源ラインPL1に出力し、蓄電池3Fは例えば着脱自在に電源回路部3Eに接続されて、電源回路部3Eの電源として機能する。
【0044】
発光回路部3Gは、2つの発光素子7e(図4においては図示せず。図3(b)参照)と各発光素子用の駆動回路とを有しており、CPU3Aからの発光コマンドに応じて所定の時期に所定の発光素子7eを発光させる。個々の発光素子7eから変調された光を出射させることができるように、発光回路部3Gには必要に応じて変調回路が設けられる。
【0045】
受光回路部3Hは、2つの受光素子7r(図4においては図示せず。図3(b)参照)と各受光素子7rでの受光量に応じた電気信号を受光素子7r毎に作り出す変換回路とを有している。受光素子7rにより変調した光を受光したときでも受光回路部3Hによって所定の電気信号を作り出すことができるように、当該受光回路部3Hには必要に応じて復調回路が設けられる。
【0046】
記録制御回路部9は、収納装置20Aから送られてくる表示データに基づいて表示部1に画像を表示させる際の駆動信号を作成する。上述のCPU3A、ROM/RAM3B、データIF部3D、電源回路部3E、発光回路部3G、受光回路部3H、および記録制御回路部9は電源ラインPL1に接続されており、CPU3A、ROM/RAM3B、データIF部3D、発光回路部3G、受光回路部3H、および記録制御回路部9はバスB1に接続されている。
【0047】
一方、図4に示す収納装置20Aは、前述した表紙部11(図示せず)、表ラベル表示部11d、裏表紙部13(図示せず)、背表紙部15(図示せず)、背ラベル表示部15d、バインディング部17の他に、収納位置識別部18を具備している。
【0048】
上記の収納位置識別部18は、CPU18Aと、ROM/RAM18Bと、接触子18Cと、接続制御回路部18Dと、電源回路部18Eと、蓄電池18Fと、操作部18Gと、電源ラインPL2と、バスB2とを有している。表ラベル表示部11d、背ラベル表示部15d、CPU18A、ROM/RAM18B、接続制御回路部18D、電源回路部18E、および操作部18Gは電源ラインPL2に接続されており、表ラベル表示部11d、背ラベル表示部15d、CPU18A、ROM/RAM18B、接続制御回路部18D、および操作部18GはバスB2に接続されている。
【0049】
CPU18Aは、ROM/RAM18Bに格納された制御プログラムに従って各部の動作を制御する他に、操作部18Gから入力された指令に応じて、ROM/RAM18Bに格納されている表示データや情報等を接続制御回路部18Cに転送したり、ROM/RAM18Bに格納されている情報を処理して表示データを作成し、これを表ラベル表示部11d、背ラベル表示部15d、または接続制御回路部18Cに転送したり、被収納装置10Aに対する所定のコマンドを接続制御回路部18Cに転送したりする。
【0050】
ROM/RAM18Bは記憶装置であり、上記の制御プログラムが格納される他に、表ラベル表示部11d、背ラベル表示部15d、または被収納装置10Aに表示させる表示データや情報、各被収納装置10Aを識別するID情報、および各種のコマンド等も格納される。このROM/RAM18Bへの制御プログラム、表示データや情報、ID情報、コマンド等の格納は、例えば図示を省略した上位装置により行われる。収納装置20Aは、上位装置と有線または無線により通信を行う通信部(図示せず)を有している。なお、ROM/RAM18Bは、収納装置20Aに着脱自在に設けることができる。
【0051】
接触子18Cは、被収納装置10Aの接触子3Cと電気的に接続される部材であり、前述した2本の中空円柱状端子金具17a,17a(図2(b)参照)を含んで構成される。接続制御回路18Dはデータ変調機能を有し、ROM/RAM18Bに格納されている表示データや情報、あるいは指令等のデジタルデータを交流信号に変調して接触子18Cに供給する。電源回路部18Eは、収納装置で使用する任意の電源電圧を作り出して電源ラインPL2に出力し、蓄電池18Fは、例えば着脱自在に収納装置20Aに設けられて、電源回路部18Eの電源として機能する。操作部18Gは、ユーザが所望の指令を入力する入力装置として機能する。
【0052】
次に、図5を参照して、上述の被収納装置10Aと収納装置20Aとを備えた収納位置検出システム30Aの動作を説明する。
【0053】
図5は、図2(a)に示した収納位置検出システム30Aの動作を概略的に示すフローチャートである。
【0054】
図5に示すように、収納位置検出システム30Aでは、操作部18G(図4参照)から各被収納装置10Aの収納位置の検出を指示するコマンド、具体的には各被収納装置10Aのページ位置の検出を指示するコマンドがユーザにより入力されると、収納装置20AがステップS1〜S13のうちの所定のステップを行うと共に各被収納装置10AがステップS21〜S36のうちの所定のステップを行って、収納装置20Aに綴じられた複数の被収納装置10Aそれぞれのページ位置を検出する。
【0055】
収納装置20Aで行われる上記のステップS1〜S13のうちのステップS1では、収納装置20AのCPU18Aが収納位置の検出の開始を指示する収納位置検出開始コマンド、具体的にはページ検出の開始を指示するページ検出開始コマンドを接続制御回路部18Dに書き込み、当該接続制御回路部18Dが所定の信号に変調してページ検出開始コマンドを接触子18C(図4参照)に出力する。この信号は、接触子18Cから各被収納装置10Aに伝えられる。
【0056】
続いて、収納装置20AのCPU18Aは、被接触装置10Aの総数をカウントするための変数MをステップS2でクリアする。すなわち、変数Mの値を0(ゼロ)にする。なお、「変数M」は、ROM/RAM18Bの所定のメモリセルに割り当てられる。また、ステップS3で、時間計測のための内蔵タイマー用カウンタをクリアする。すなわち、内蔵タイマー用カウンタのカウント数を0(ゼロ)にする。このカウンタは、クリアされた後においても一定時間(例えば100m秒)毎にカウントアップする。その後、ステップS4に進み、このステップS4で被収納装置10Aからの応答を待つ。
【0057】
一方、各被収納装置10AのCPU3Aは、収納装置20Aから接触子3C(図4参照)を介して電気信号を受けると動作を開始し、まず、ステップS21において、収納装置20Aから受けた電気信号がページコマンドであるか否かを判断する。ここでいう「ページコマンド」とは、上述のページ検出開始コマンドと、収納位置の検出の終了を指示するコマンド、具体的にはページ検出の終了を指示するページ検出終了コマンドと、特定の被収納装置10Aでの所定の面の発光素子の発光を指示する発光コマンドとの総称である。
【0058】
各被収納装置10Aの接触子3C(孔状端子部5)が収納装置20Aの接触子18C(中空円柱状端子金具17a;図2(b)参照)に接触していることから、個々の被収納装置10Aは、収納装置20Aから出力され上述の電気信号を接触子3Cを介して受け取ることができる。この電気信号を受け取った各被収納装置10Aは、当該電気信号をデータIF3Dで復調してCPU3A(図4参照)にて読み取り、ページコマンドであるか否かを判断する。
【0059】
上記の電気信号がページコマンド以外のコマンドであったときにはステップS33に進んで当該コマンドに従って所定の処理を行い、その後にステップS21に戻る。また、上記の電気信号がページコマンドであったときにはステップS22に進み、このステップS22で受光管理用の変数Nに1を書き込むと共に、各被収納装置10Aが2個ずつ有している受光素子7r,7r(図3(b)および図3(c)参照)それぞれについてのフラグ変数N(以下、「受光面フラグ変数N」という)をクリアする。なお、「受光面フラグ変数N」は、ROM/RAM3B(図4参照)の所定のメモリセルに割り当てられる。上記の受光面フラグ変数Nは、受光素子7rが受光したときには「1」に設定され、受光していないときには「0」に設定される。
【0060】
次いでステップS23において、個々の被収納装置10AのCPU3Aは、当該被収納装置10AでのA面とB面とに設定されている2つの受光面フラグ変数Nが2つとも「1」になっているか否かを判断する。2つの受光面フラグ変数Nの両方が「1」になっていれば当該被収納装置10Aは処理を一旦終了する。そうでないときはステップS24に進み、収納装置20Aから受けたページコマンドがページ検出終了コマンドであるか否かを判断する。そして、ページ検出終了コマンドであったときには各被収納装置10Aは処理を終了し、ページ検出終了コマンドでなかったときにはステップS25に進む。
【0061】
ステップS25では、上記ページコマンドが発光コマンドであるか否かを個々の被収納装置10AにおけるCPU3Aが判断する。このステップS25で発光コマンドであると判断されたときにはステップS26に進んで、当該発光コマンドに含まれているID情報と自己が保有するID情報とを個々の被収納装置10AのCPU3Aが比較する。
【0062】
ステップS26で2つのID情報が一致した被収納装置10AはステップS27に進み、当該被収納装置10AのCPU3Aが発光回路部3G(図4参照)の動作を制御して、2つの発光素子7e,7eのうちで発光コマンドに含まれている発光面情報によって特定されるA面側またはB面側の発光素子7e(図3(b)参照)を発光させる。その後、受光管理用の変数Nを1つカウントアップしてステップS34に進む。
【0063】
なお、上述のステップS25でページコマンドが発光コマンドでない、すなわちページ検出開始コマンドであると判断した各被収納装置10Aは、ステップS28に進む。このステップS28では、各被収納装置10AのCPU3Aが発光回路部3Gの動作を制御して各発光素子7eを消灯状態に保つ。
【0064】
また、上述のステップS26で発光コマンドにて2つのID情報が一致しなかった各被収納装置10AもステップS28に進み、各被収納装置10AのCPU3Aが発光回路部3Gの動作を制御して各発光素子7eを消灯状態にする。その後、これらの被収納装置10AはステップS29に進み、受光回路部3Hからの出力信号をCPU3Aが読み取って、個々の被収納装置10Aに2個ずつ設けられている受光素子7rの中に受光した受光素子7rがあるか否かを判断する。受光回路部3Hはアナログ/デジタル変換回路を有し、被収納装置10Aの両面に配置されている計2つの受光素子7r,7r(図3(b)参照)それぞれでの受光量に応じた大きさのデジタル数値を受光素子7r毎に生成して、上記の出力信号として出力する。
【0065】
収納装置20Aに複数の被収納装置10Aを綴じた場合、最も外側(最も上)に綴じられた被収納装置10Aでの上面側の受光素子7rの上方には発光素子が存在しないので、収納装置20Aの表紙部11(図2(a)参照)を閉じた状態では当該受光素子7rを含む受光回路部3Hからの出力信号が常に「受光していないときのデジタル数値」となって、正確なページ検出ができなくなる。このような不具合を防止するために、収納位置検出システム30Aでは、図6に概略的に示すように表紙部11(図6においては図示せず。図2(b)参照)を開いた状態でページ検出を行う。
【0066】
図6に示すように、表紙部11を開いた状態にすれば、固定金具17cの光学窓OW2と綴じ金具17bの光学窓OW1(図2(b)参照)とを通じて上記の受光素子7rに外光Lが照射されるので、当該受光素子7rを含む受光回路部3Hからの出力信号が「受光したときのデジタル数値」となる。その結果として、最も上に綴じられた被収納装置10AをそのID情報により特定することが可能になると共に、当該被収納装置10AでのA面およびB面のどちらの面が上になっているかを面情報により特定することが可能になるので、ページ検出を正確に行うことが可能になる。なお、図6に示す構成部材のうちで図2(b)または図2(c)に示した構成部材と共通するものについては、図2(b)または図2(c)で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0067】
上述のステップS29で2つの受光素子7r,7rの両方が受光していないと判断した被収納装置10Aは後述するステップS34に進み、2つの受光素子7r,7rの一方が受光していると判断した被収納装置10AはステップS30に進んで、受光していると判断した受光素子7rに対応する受光面フラグ変数Nが既に「1」になっているか、未だ「1」になっていないかをCPU3Aが判断する。そして、既に「1」になっていると判断されたときには本処理を終了し、未だ「1」になっていないと判断されたときにはステップS31に進む。
【0068】
ステップS31では、該ステップS31に進んだ被収納装置10AのID情報とステップS29で受光したと判断された受光素子7rがA面側およびB面側のいずれに位置しているかを示す面情報とをCPU3Aがステータス情報にまとめて、データIF部3Dを介して接触子3C(図4参照)に送出する。このステータス情報は、接触子3Cから収納装置20Aの接触子18Cを介してCPU18Aに伝えられる。その後にステップS32に進んで、ステップS29で受光したと判断された受光素子7rに対応する受光面フラグ変数Nを「1」に変更する。ステップS32が完了すると、ステップS23に進む。
【0069】
前述したステップS27を行った被収納装置10A、および前述したステップS29で2つの受光素子7r,7rの両方が受光していないと判断した被収納装置10Aは、その後にステップS34に進み、受光管理用の変数Nが「2」を超えているか否かをCPU3Aが判断する。被収納装置10Aでの発光が1回であった場合、当該被収納装置10Aでの受光管理用の変数は「2」となる。
【0070】
ステップS34で変数Nが2を超えていないと判断した各被収納装置10Aは、処理を一旦終了する。また、変数Nが2を超えていると判断した被収納装置10AはステップS35に進んでエラー処理を行った後にステップS36に進み、当該被収納装置10AのID情報とエラー情報とをCPU3Aがステータス情報にまとめて、データIF部3Dを介して接触子3Cに送出する。このステータス情報は、接触子3Cから収納装置20Aの接触子18Cを介してCPU18Aに伝えられる。上記のステータス情報を送出した被収納装置10Aは、その後に処理を一旦終了する。
【0071】
なお、上記のエラー処理では、例えばCPU3Aが発光回路部3Gの動作を制御して、両面に搭載されている発光素子7e,7eを周期的に点滅させる。エラー処理を行うステップS35を省略して、ステップS34で変数Nが2を超えていると判断されたときにはステップS36に進むように構成してもよい。
【0072】
一方、収納装置20Aは、前述したようにステップS4で被収納装置10Aからの応答を待ち、所定の被収納装置10Aが上述のステップS31またはステップS35でステータス情報を送ってくると、このステータス情報がID情報と面情報との両方を含んだものであるか否かを当該ステップS4でCPU18Aが判断する。そして、ID情報と面情報との両方は含んだものではないと判断されたときには後述するステップS12に進み、ID情報と面情報との両方を含んだものであると判断されたときにはステップS5に進む。
【0073】
ステップS5では、収納装置20AのROM/RAM18B(図4参照)に予め設定されているページ管理領域に上記のID情報と面情報とをCPU18Aが書き込む。例えば、上記のID情報と面情報とを送ってきた被収納装置10AのIDが「10A1」で、当該被収納装置10Aから送ってきた面情報がA面を示す情報であったとすると、第1ページがID=10A1の被収納装置10AのA面であることを上記のページ管理領域に書き込む。さらに、第1ページの確定に伴って第2ページも確定するので、第2ページがID=10A1の被収納装置10AのB面であることを上記のページ管理領域に書き込む。
【0074】
続いてステップS6に進み、収納装置20Aに綴じられている被収納装置10Aの総数を計数するための変数Mに1を加える処理をCPU18Aが行う。
【0075】
この後にステップS7に進んで、次に発光コマンドを送るべき被収納装置10AのID情報と面情報とを収納装置20AのCPU18Aが指定し、当該被収納装置10Aに宛てた発光コマンドを接触子18Cから各被収納装置10Aに一斉に送る。このとき指定されるID情報は、例えば、前述のステップS1で出力したページ検出開始コマンドに応答してID情報と面情報とを含むステータス情報を送出してきた被収納装置10A(最も上に綴じられている被収納装置10A)のID情報と同じであり、面情報は、当該ID情報によって特定される被収納装置10AのA面およびB面のうちで未だ面情報を得ていない面についての面情報である。
【0076】
なお、図5においては記載を省略しているが、CPU18Aは、ステップS7において時間計測のための内蔵タイマー用カウンタをクリアする処理も行う。前述のように、内蔵タイマー用カウンタは、クリアされた後においても一定時間(例えば100m秒)毎にカウントアップする。
【0077】
CPU18Aは、その後にステップS8に進んで、上記のステップS7で発光コマンドを送ってから被収納装置10Aがステータス情報を送ってくるまでの応答時間を上記のカウンタの計数値を基に計測し、このステップS8と並行して、計測した応答時間が事前に指定した時間値を超過したか否かを判断するステップS9を行う。CPU18Aが内蔵するタイマー回路での時間計測動作は、通常、CPU18Aの動作と並列に行われる。
【0078】
ステップS9で応答時間が上記の時間値を超過していないと判断されたときには前述のステップS4に戻って当該ステップS4以降を繰り返し、応答時間が上記の時間値を超過したと判断されたときにはステップS10に進んで、被収納装置10Aの総数を計測する変数Mの値が0(ゼロ)であるか否かを判断する。そして、変数Mが0のときには後述するステップS13に進み、変数Mが0でないときにはステップS11に進んでページ検索終了コマンドを各被収納装置10Aに送り、処理を一旦終了する。
【0079】
一方、前述したステップS4でステータス情報がID情報と面情報との両方を含んだものではないと判断されたときにはステップS12に進み、当該ステータス情報がID情報とエラー情報の両方を含んだものであるか否かをCPU18Aが判断する。このステップS12で上記のステータス情報がID情報とエラー情報の両方を含んだものではないと判断されたときには前述したステップS8に進んで当該ステップS8以降を行い、上記のステータス情報がID情報とエラー情報の両方を含んだものであると判断されたときにはステップS13に進んでエラー処理を行ってから処理を一旦終了する。
【0080】
なお、ステップS13でのエラー処理は、例えば、収納装置20Aに発光ダイオード、ブザー、バイブレータ等の報知器を設け、発光ダイオードを点滅ないし点灯させたり、ブザーを鳴動させたり、バイブレータを振動させたりする等、エラーが生じたことをユーザが認識できるように当該報知器を動作させることにより行われる。勿論、所定の被収納装置10Aの表示部1にエラーの発生を示すメッセージが表示されるように収納位置検出システム30Aを構成することも可能である。
【0081】
収納装置20Aが上述したステップS1からステップS11までを行うことにより、当該収納装置20Aに収納されている個々の被収納装置10Aの相対的な位置関係を各被収納装置10AでのA面およびB面の相対的な位置も含めて特定することができる。このとき、途中でエラーが生じなければ、全ての被収納装置10Aについてその相対的な位置関係が特定されるまで、ステップS9からステップS4に戻るという動作が繰り返される。ステップS7で発光コマンドを出力する際に特定するID情報および面情報は、収納装置20Aに収納されている全ての被収納装置10Aを対象にして、無作為に選定することができる。
【0082】
以上説明した収納位置検出システム30Aによれば、収納装置20Aに収納されている各被収納装置10Aの相対的な位置関係と収納方向(A面およびB面の相対的な位置)を当該収納装置20Aで検出できるので、複数の被収納装置10Aをそれらの並び順や収納方向をユーザが意識することなく収納装置20Aに収納しても、各被収納装置10Aの収納位置を管理することができる。
【0083】
また、例えば収納装置20Aに搭載したソフトウェアによって所望の被収納装置10Aの制御が可能となる。各被収納装置10Aが表示部1(図3(a)参照)を有しているので、例えば、複数ページに亘るドキュメント画像を各被収納装置10Aの綴じ順に従って書き込むことで、電子ブックのような機能を実現できる。
【0084】
なお、被収納装置10Aと収納装置20Aとの間での信号の授受をどのような形態の電気信号を用いて行うかは適宜選定可能である。図7(a)は、被収納装置10Aから収納装置20Aに送られる情報の一形態を示す概念図であり、図7(b)は、図7(a)に示した情報に対応する電気信号の一例を示す概略図であり、図7(c)は、収納装置20Aから被収納装置10Aに送られるコマンドの一形態を示す概念図である。
【0085】
図7(a)に示す情報はD1〜D5の5種類のデータにより構成されている。D1は、「1」と「0」を交互に出力する23ビット(bit)のデータからなるヘッダーである。D2は、被収納装置10AのID情報を表す256ビットのデータである。D3は、ID情報の終わりとD4の始まりとを示すセパレータとして機能する21ビットのデータである。D4は、収納装置20Aからのコマンドに対応したステータス情報を示す64ビットのデータである。そしてデータD5は、情報の終了を示す21ビットのデータである。例えば図5に示したステップS31で出力されるステータス情報では、データD4の一部として面情報が格納される。当該ステータス情報には、ID情報や面情報それぞれのデータから生成したパリティデータを付加することもできる。
【0086】
図7(b)は、図7(a)に示した各情報が振幅変調により「0」と「1」の電気信号として出力されることを示している。本例での1ビット情報は6サイクルの搬送波にて構成されている。なお、変調は周波数変調や位相変調で行うこともできる。さらには、収納装置20Aからキャリア信号を供給し、被収納装置10Aで接触子3Cの両端に接続する負荷を制御して変調させる負荷変調で行うこともできる。個々のデータを構成するビット数は上記の限りではない。
【0087】
図7(c)に示すコマンドはC1〜C5の5種類のデータにより構成されている。C1は、上述のデータD1と同様に23ビットのデータからなるヘッダーである。C2は、コマンドを定義する64ビットのデータである。C3は、コマンドの終わりとID情報の始まりとを示すセパレータとして機能する21ビットのデータである。C4は、特定の被収納装置10Aを指定するID情報を示す256ビットのデータであり、C5は、コマンドの終了を示す21ビットのデータである。なお、ID情報が不要なコマンドについては、上記のC3とC4とを削除して、C1、C2、およびC5のデータのみで構成することができる。例えば、図5に示したステップS1で出力されるページ検出開始コマンドは、この短いデータ構成にすることができる。
【0088】
収納装置に収納される被収納装置の中に片面表示しかできない被収納装置が存在する場合には、上述したステータス情報を示すデータD4にA面もしくはB面の表示が不能であることを示す情報を付加させて応答させることができる。この場合は、図5に示したステップS5でページ管理領域にID情報および面情報を書き込むときに、上記表示できない面のページカウントを禁止する。
【0089】
また、最も上に綴じられている被収納装置における上面の検出は、収納装置の表紙部を開けた状態下では当該被収納装置でのA面側の受光素子とB面側の受光素子との受光量差が一定値以上になることを利用して行うこともできる。さらには、外光を利用せずに、収納装置の表紙部の裏側に発光素子を設け、最も上に綴じられている被収納装置における上面の検出を検出するにあたっては、表紙部を閉じた状態で当該発光素子から任意の波長の光を被収納装置に照射してもよい。
【0090】
(実施の形態2)
図8は、本発明の収納位置管理システムの更に他の例を概略的に示す斜視図であり、図9(a)および図9(b)は、図8に示した収納位置管理システムにおける被収納装置を概略的に示す斜視図である。
【0091】
図8において、111は底板部、112は側壁部、113は背板部、114は天板部、115は傾斜付与部材、117は発光素子、118Cは接触子、118C1,118C2は接触子118Cを構成する端子部、120は収納装置、130は収納位置検出システムである。また、図8または図9において、102は箱部、104は蓋部、106は背部、103Cは接触子、103C1,103C2は接触子103Cを構成する端子部、107は受発光素子ユニット、110は被収納装置、RMはリムーバブルメディアである。
【0092】
図8に示すように、収納装置120は底板部111と、底板部111の長手方向の両端に配置された側壁部112,112と、これら側壁部112,112の間に架け渡された背板部113と、底板部111よりも小形の天板部114と、背板部113側が低くなるように底板部111を傾斜させる傾斜付与部材115とを有する棚状を呈しており、底板部111の上面が収納部の底面となる。各側壁部112における収納部側の表面には発光子117が配置されており、背板部113における収納部側の表面には、接触子118Cを構成する2つの端子部118C1,118C2が当該背板部113の長手方向に沿って互いに平行に配置されている。収納位置検出システム130では、複数の被収納装置110が収納装置120の底板部111の上に一列に整列して収納される。
【0093】
図9に示すように、各被収納装置110は光ディスク等のディスク状のリムーバブルメディアRMを収納可能なケース状物であり、箱部102と、蓋部104と、箱部102に連接されて蓋部104が開閉自在に取り付けられた背部106と、背部106の背面に配置されて接触子103Cを構成する1対の端子部103C1,103C2と、背部106での上下面(蓋部104側を上面としたときの上面および下面)にそれぞれ配置された受発光素子ユニット107とを有している。
【0094】
これらの被収納装置110は、背部106の背面が背板部113における収納部側の表面に接する向きで収納装置120の底板部111上に一列に配置され、収納される。このとき、各被収納装置110は、端子部103C1,103C2が収納装置120の端子部118C1,118C2に接した状態で収納される。背板部113側が低くなるように底板部111が傾斜しているので、被収納装置110を底板部111上に載せると、その自重により被収納装置110が背板部113側に滑動して、端子部103C1,103C2が端子部118C1,118C2に接する。最も外側(最も端)の被収納装置110での受発光素子ユニット107は、側壁部112に設けられている発光素子117と互いに対向する。
【0095】
このような構造を有する収納位置検出システム130での被収納装置110の構成は、例えば、表示部1、孔状端子部5、および記録制御回路9(図4参照)を設けない以外は実施の形態1で説明した被収納装置10Aの構成と同様にすることができる。また、収納装置120の構成は、例えば図10に示す構成とすることができる。
【0096】
図10は、上述した収納装置120の構成例を示す機能ブロック図である。同図において、118は収納位置識別部、118AはCPU、118BはROM/RAM、118Cは接触子、118Dは接続制御回路部、118Eは電源回路部、118Fは蓄電池、118Hは発光回路部、118Iは通信部、119は上位装置、PL3は電源ライン、B3はバスである。
【0097】
図10に示す構成要素のうち、CPU118A、ROM/RAM118B、接触子118C、接続制御回路部118D、電源回路部118E、蓄電池118F、電源ラインPL3、およびバスB3それぞれの機能は、図4に示したCPU18A、ROM/RAM18B、接触子18C、接続制御回路部18D、電源回路部18E、蓄電池18F、電源ラインPL2、またはバスB2の機能と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0098】
上記の発光回路部118Hは、2つの発光素子117(図10においては図示せず。図8参照)と各発光素子用の駆動回路とを有しており、CPU118Aからのコマンドに応じて所定の時期に所定の発光素子117を発光させる。個々の発光素子117から変調された光を出射させることができるように、発光回路部118Hには必要に応じて変調回路が設けられる。また、通信部118Iは、収納装置120とパーソナルコンピュータ等の上位装置119とを有線または無線により接続するものであり、例えば汎用的に利用されているUSB(Universal Serial Bus)仕様のインタフェースで構成される。
【0099】
被収納装置110および収納装置120がそれぞれ上述の構成を有する収納位置検出システム130では、図5を用いて説明した収納位置検出システム30A(図2)での収納位置の検出と同様の手順で各被収納装置110の収納位置を検出することができる。ただし、最初に1つまたは2つの発光素子117を発光させて、最も端に位置している被収納装置110を特定する。また、収納位置を検出する際のコマンドは、上位装置119から通信部118Iを介して収納装置120に送られ、その後に各被収納装置110に送られる。
【0100】
このように構成された収納位置検出システム130では、実施の形態1で説明した収納位置検出システム30,30A(図1または図2参照)におけるのと同様に、個々の被収納装置110の並び順や収納方向(表、裏)をユーザが意識することなく当該被収納装置110を収納装置120に収納しても、各被収納装置110の収納位置を検出してこれらの被収納装置110を管理することができる。また、上位装置119を有しているので、被収納装置110の収納位置および収納方向を特定すること以外に、より複雑な制御やデータベース化等を行い易い。このため、当該収納位置検出システム130を用いれば、CD−ROMやDVD−ROM等のリムーバブルメディアを入れた被収納装置110、ひいてはリムーバブルメディアRM(図8参照)を上位装置により管理する収納ラックを実現することができる。
【0101】
(実施の形態3)
図11は、本発明の収納位置管理システムの更に他の例を概略的に示す斜視図であり、図12(a)は、図11に示した収納位置管理システムにおける被収納装置を概略的に示す斜視図であり、図12(b)は図12(a)に示した被収納装置における受発光素子ユニットを概略的に示す断面図である。そして、図13は、図11に示した収納位置管理システムにおける収納装置を概略的に示す斜視図である。
【0102】
図11において、151は底板部、152は側壁部、153は背板部、158Cは接触子、160は収納装置、170は収納位置管理システムである。また、図11および図12(a)において、141は表示部、143Cは接触子、147は受発光素子ユニット、150は被収納装置である。そして、図12(b)における147eは発光素子、147rは受光素子、147sは遮光帯であり、図13における157は発光素子である。
【0103】
図11および図13に示すように、収納装置160は底板部151と、底板部151の長手方向の両端に配置された側壁部152,152と、これら側壁部152,152の間に架け渡された背板部153とを有する棚状を呈しており、底板部111の上面が収納部の底面となる。底板部151の上面における長手方向端部には、図13に示すように発光素子157が配置されている。また、底板部151の上面における幅方向両端部には、図11および図13に示すように、接触子158Cを構成する2つの端子部158C1,158C2が当該底板部151の長手方向に沿って互いに平行に配置されている。これら2つの端子部158C1,158C2の距離は、被収納装置150の1辺の長さよりも短い。したがって、底板部151上に被収納装置150を置くことで、端子部158C1,158C2と後述する端子部143C1,143C2とを接触させることができる。図11に示すように、収納位置検出システム170では、複数の被収納装置150が底板部151の上に一列に整列して収納される。
【0104】
一方、各被収納装置150は、図11または図12(a)に示すように正六面体状を呈しており、当該被収納装置150の各面には、表示部141と、2つの端子部143C1,143C2を有する接触子143Cと、受発光素子ユニット147とが設けられている。被収納装置150の各面において互いに対向する辺には互いに異なる端子部143C1,143C2が位置しており、各面の中央部には受発光素子ユニット147が配置されている。
【0105】
図12(b)に示すように、個々の受発光素子ユニット147は、光透過性を有する受光素子147rが発光素子147eの上に積層された構造をしており、発光素子147eと受光素子147rとの積層物の周囲には遮光帯147sが設けられている。発光素子147eと受光素子147rとが重なっているので、受光素子147rでの受光がその下の発光素子147eからの発光によるものであるのか他の発光素子147rからの発光によるものであるのかは、受光信号を発光信号でキャンセルすることで識別される。なお、受光素子147rとしては、例えば特開2005−294303号公報に示されている有機光電変換素子を利用することが好適である。
【0106】
このような構造を有する収納位置管理システム170での被収納装置150および収納装置160それぞれの構成は、例えば実施の形態1で説明した被収納装置10Aまたは収納装置20Aの構成と同様にすることができる。勿論、実施の形態2で説明した収納装置120におけるように、上位装置と有線または無線により接続されるインタフェース部を収納装置160に設け、各種のコマンドや表示データを上位装置から上記のインタフェース部を介して収納装置160に送り、その後に各被収納装置150に送るように構成することもできる。
【0107】
収納位置管理システム170での各被収納装置150の収納位置の検出は、図5を用いて説明した収納位置検出システム30A(図2)での収納位置の検出と同様の手順により行うことができる。ただし、最初に発光素子157を発光させて、最も外側(最も端)に位置している被収納装置150と、該被収納装置150において発光素子157からの発光を受光した受光素子147rが配置されている面とを特定し、その後は各被収納装置150の整列方向に面している発光素子147eが発光するように発光コマンドでの発光面情報を設定する。
【0108】
被収納装置150および収納装置160がそれぞれ上述の構成を有する収納位置管理システム170では、実施の形態1で説明した収納位置検出システム30,30A(図1または図2参照)におけるのと同様に、個々の被収納装置150の並び順や収納方向をユーザが意識することなく当該被収納装置150を収納装置160に収納しても、各被収納装置150の収納位置を検出してこれらの被収納装置150を管理することができる。
【0109】
各被収納装置150が六面に表示部141を有していることから、各被収納装置150の収納状態に合わせて所望の画像を各被収納装置150に表示させることができる。このため、従来にない知育用玩具や表示道具としても利用することができる。
【0110】
なお、上述した収納位置検出システム170は、各被収納装置150が収納装置160に1次元的に収納されるものであるが、個々の被収納装置が六面に受発光素子ユニット147を有していることから、複数の被収納装置150を所定形状の収納装置に2次元的に収納させても、上記との同様の技術的効果を奏する収納位置検出システムを構成することができる。各被収納装置の形状は、互いに平行な2つの面を有する形状であれば、正六面体以外の多面体にすることもできる。
【0111】
(実施の形態4)
本発明の収納位置検出システムにおける被収納装置および収納装置それぞれでの回路を形成するにあたっては、有機半導体を用いることができる。例えば、被収納装置に表示部を設ける場合には、表示部で用いるスイッチング素子を有機系電界効果トランジスタを用いて構成することにより、当該表示部の薄型化や軽量化が容易になる。
【0112】
導電性高分子であるPEDOT(poly−ethylene dioxy thiophene)をインクジェット法で所定形状に描画してソース領域およびドレイン領域を形成し、これらソース領域上およびドレイン領域上に共役系高分子の半導体層を膜厚が30nm以下となるようにスピンコート法で形成し、その上に膜厚500nm程度の高分子絶縁体層をスピンコート法で形成し、その上にPEDOTによりゲート電極を形成すれば、トップゲート構造の薄膜電界効果トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明に係る収納位置検出システムは、複数の被収納装置をそれらの並び順や収納方向をユーザが意識することなく収納装置に収納しても、各被収納装置の収納位置を管理することができるものであるので、多数の電子ペーパや多数のリムーバブルメディア等を管理するうえで有用である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の収納位置検出システムの一例を概略的に示す概念図
【図2】(a)図1に示した収納位置検出システムの一例を概略的に示す構成図、(b)図2(a)に示した収納位置検出システムでの収納装置を概略的に示す斜視図、(c)図2(b)に示した収納装置での綴じ金具を概略的に示す斜視図、(d)図2(a)に示した収納位置検出システムでの被収納装置を概略的に示す斜視図
【図3】(a)図2(a)に示した収納位置検出システムでの被収納装置を概略的に示す平面図、(b)図3(a)に示した被収納装置での送受光素子ユニットを概略的に示す平面図、(c)図3(b)に示したIIIc−IIIc線断面の概略図
【図4】図2(a)に示した収納位置検出システムでの被収納装置および収納装置それぞれの構成例を示す機能ブロック図
【図5】図2(a)に示した収納位置検出システムの動作を概略的に示すフローチャート
【図6】図2(a)に示した収納位置検出システムによりページ検出を行う際の状態を概略的に示す断面図
【図7】(a)被収納装置から収納装置に送られる情報の一形態を示す概念図、(b)図7(a)に示した情報に対応する電気信号の一例を示す概略図、(c)収納装置から被収納装置に送られるコマンドの一形態を示す概念図
【図8】本発明の収納位置管理システムの他の例を概略的に示す斜視図
【図9】(a)図8に示した収納位置管理システムでの被収納装置を概略的に示す斜視図、(b)図8に示した収納位置管理システムでの被収納装置を概略的に示す他の斜視図
【図10】図8に示した収納位置管理システムでの収納装置の構成例を示す機能ブロック図
【図11】本発明の収納位置管理システムの更に他の例を概略的に示す斜視図
【図12】(a)図11に示した収納位置管理システムでの被収納装置を概略的に示す斜視図、(b)図12(a)に示したXIIb−XIIb線断面の概略図
【図13】図11に示した収納位置管理システムでの収納装置を概略的に示す斜視図
【符号の説明】
【0115】
1,141 表示部
3 主回路部
5 孔状端子部
7 受発光素子ユニット
7e,147e 発光素子
7r,147r 受光素子
10a〜10n,10A,110,150 被収納装置
11 表紙部
17 バインディング部
17a 中空円柱状端子金具
18 収納位置識別部
20,20A,120,160 収納装置
30,30A,130,170 収納位置検出システム
118I 通信部
119 上位装置
OW1,OW2 光学窓
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被収納装置と、該複数の被収納装置を収納する収納装置とを備え、前記収納装置と該収納装置に収納された被収納装置との間で信号の授受を行うことができる収納位置検出システムであって、
前記複数の被収納装置の各々は、
互いに平行な2つの面と、
該2つの面の各々に配置された発光素子および受光素子と、
前記収納装置から発光コマンドが送られてきたときには前記2つの面のうちの所定の面に配置された発光素子を発光させ、前記2つの面の各々に配置されている前記受光素子のいずれかが受光したときには該受光素子が配置されている面を示す面情報と該被収納装置の識別情報とを前記収納装置に送る主回路部と、
を有し、
前記収納装置は、
隣り合う2つの被収納装置での一方の被収納装置の発光素子と他方の被収納装置の受光素子とが互いに対向する向きで前記複数の被収納装置を整列させて収納する収納部と、
該収納部に整列して収納された複数の被収納装置のうちで最も外側に位置する1つの被収納装置に該被収納装置の外側から光を照射したときに送られてくる前記面情報および前記識別情報と、前記複数の被収納装置に所定の被収納装置の発光素子の発光を指示する発光コマンドを一斉に送ったときに特定の被収納装置から送られてくる前記面情報および前記識別情報とを用いて、前記複数の被収納装置それぞれの収納位置を特定する収納位置識別部と、
を有する、
ことを特徴とする収納位置検出システム。
【請求項2】
前記収納装置は、外光が入射したときに該外光を透過させる光学窓を更に有し、
該光学窓は、前記収納部に収納された被収納装置のうちで最も近接する被収納装置の前記受光素子と互いに対向することを特徴とする請求項1に記載の収納位置検出システム。
【請求項3】
前記収納装置は開閉可能な扉部を更に有し、
該扉部を開状態としたときには前記光学窓に外光が入射し、前記扉部を閉状態としたときには前記光学窓に外光が入射しないことを特徴とする請求項2に記載の収納位置検出システム。
【請求項4】
前記複数の被収納装置の各々は、該被収納装置をその厚さ方向に貫通する孔状端子部を更に有し、
前記収納装置は、前記孔状端子部に通される柱状端子部を更に有し、
前記複数の被収納装置の各々と前記収納装置とは、前記孔状端子部と前記柱状端子部とを介して信号の授受を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の収納位置検出システム。
【請求項5】
前記複数の被収納装置の各々は、表示データに基づいて所定の画像を表示する表示部を更に有し、
前記収納装置は、前記複数の被収納装置の各々に前記表示データを送ることができることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の収納位置検出システム。
【請求項6】
前記信号と前記表示データとは、前記収納装置から前記被収納装置に同じ伝搬経路を経て送られることを特徴する請求項7に記載の収納位置検出システム。
【請求項7】
前記表示部は、表示した画像を無電源状態で保持することができることを特徴とする請求項5または6に記載の収納位置検出システム。
【請求項8】
前記複数の被収納装置の各々は、ディスク状のリムーバブルメディアを収納可能なケース状物であり、
前記収納装置の前記収納部は棚状を呈する、
ことを特徴とする請求項1に記載の収納位置検出システム。
【請求項9】
前記収納装置は、上位装置と有線または無線により通信を行う通信部を更に有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の収納位置検出システム。
【請求項1】
複数の被収納装置と、該複数の被収納装置を収納する収納装置とを備え、前記収納装置と該収納装置に収納された被収納装置との間で信号の授受を行うことができる収納位置検出システムであって、
前記複数の被収納装置の各々は、
互いに平行な2つの面と、
該2つの面の各々に配置された発光素子および受光素子と、
前記収納装置から発光コマンドが送られてきたときには前記2つの面のうちの所定の面に配置された発光素子を発光させ、前記2つの面の各々に配置されている前記受光素子のいずれかが受光したときには該受光素子が配置されている面を示す面情報と該被収納装置の識別情報とを前記収納装置に送る主回路部と、
を有し、
前記収納装置は、
隣り合う2つの被収納装置での一方の被収納装置の発光素子と他方の被収納装置の受光素子とが互いに対向する向きで前記複数の被収納装置を整列させて収納する収納部と、
該収納部に整列して収納された複数の被収納装置のうちで最も外側に位置する1つの被収納装置に該被収納装置の外側から光を照射したときに送られてくる前記面情報および前記識別情報と、前記複数の被収納装置に所定の被収納装置の発光素子の発光を指示する発光コマンドを一斉に送ったときに特定の被収納装置から送られてくる前記面情報および前記識別情報とを用いて、前記複数の被収納装置それぞれの収納位置を特定する収納位置識別部と、
を有する、
ことを特徴とする収納位置検出システム。
【請求項2】
前記収納装置は、外光が入射したときに該外光を透過させる光学窓を更に有し、
該光学窓は、前記収納部に収納された被収納装置のうちで最も近接する被収納装置の前記受光素子と互いに対向することを特徴とする請求項1に記載の収納位置検出システム。
【請求項3】
前記収納装置は開閉可能な扉部を更に有し、
該扉部を開状態としたときには前記光学窓に外光が入射し、前記扉部を閉状態としたときには前記光学窓に外光が入射しないことを特徴とする請求項2に記載の収納位置検出システム。
【請求項4】
前記複数の被収納装置の各々は、該被収納装置をその厚さ方向に貫通する孔状端子部を更に有し、
前記収納装置は、前記孔状端子部に通される柱状端子部を更に有し、
前記複数の被収納装置の各々と前記収納装置とは、前記孔状端子部と前記柱状端子部とを介して信号の授受を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の収納位置検出システム。
【請求項5】
前記複数の被収納装置の各々は、表示データに基づいて所定の画像を表示する表示部を更に有し、
前記収納装置は、前記複数の被収納装置の各々に前記表示データを送ることができることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の収納位置検出システム。
【請求項6】
前記信号と前記表示データとは、前記収納装置から前記被収納装置に同じ伝搬経路を経て送られることを特徴する請求項7に記載の収納位置検出システム。
【請求項7】
前記表示部は、表示した画像を無電源状態で保持することができることを特徴とする請求項5または6に記載の収納位置検出システム。
【請求項8】
前記複数の被収納装置の各々は、ディスク状のリムーバブルメディアを収納可能なケース状物であり、
前記収納装置の前記収納部は棚状を呈する、
ことを特徴とする請求項1に記載の収納位置検出システム。
【請求項9】
前記収納装置は、上位装置と有線または無線により通信を行う通信部を更に有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の収納位置検出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−51079(P2009−51079A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219503(P2007−219503)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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