説明

収納体

【課題】梱包性および組み立て性を良好に保持し、材料コストおよび輸送コストを抑えつつ、施工現場において組み立てられ、背板の強度が十分な収納体を提供すること。
【解決手段】収納体1において、ジョイナー8は、互いに平行な前押さえ板と後押さえ板とが各々の略中央部において垂直に配置された連結板により連結されて形成され、連結板を挟んで左右両側に前押さえ板と後押さえ板とによる挟持部を有し、挟持部において分割板部材7の端縁が挟持可能とされ、ジョイナーの後押さえ板にジョイナーの背側に突出する連結支持部14が配設され、連結支持部は、縦芯材9の内壁面に当接可能な背面9aと同一平面上に配置される背面14aを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解され、コンパクトに梱包された各部材を施工現場において組み立てて形成される収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
下駄箱や箪笥などの収納家具として用いられる収納体は、生産工場における梱包、倉庫からの運搬および施工現場での組み立てを容易とし、コストを低減させるなどのために、天板、地板、左右両側板、背板などの各部材に分解され、コンパクトに梱包している(特許文献1)。
【0003】
本出願人は、上記収納体についてさらに検討を進め、背板とともに全体としても補強され、コストアップを抑えることのできる箱型収納家具を提供している(特許文献2)。
【0004】
上記箱型収納家具は、背板を複数に分割した分割板部材を並置された隣接する2枚の分割板部材の端縁において連結棒部材により接続し、分割板部材の端縁に沿って背面に補強桟材を固着し、連結棒部材には、中程背側に補強凸部を形成するとともに、両側方に開口した長手方向に延びる凹溝部を形成し、連結棒部材の凹溝部に分割板部材の端縁を嵌合させ、補強凸部の両側に補強桟材を当接した状態において隣接する2枚の分割板部材の端縁同士を連結棒部材により接続固定して組み立てられる。
【特許文献1】特開平11−137357号公報
【特許文献2】特開2007−82921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記箱型収納家具は、分割板部材が、端縁に沿って背面に固着される補強桟材により補強されるため、分割板部材の厚みを大きくする必要がなく、分割板部材はベニヤ板などの厚みの薄い板材とすることができ、梱包性、材料コストおよび輸送コスト、組み立て性などの問題を解消することができるという利点を有している。
【0006】
しかしながら、その後の検討により、上記箱型収納家具については、分割板部材毎に背面の周縁に沿って補強桟材を固着しなければならないため、製造に手間がかかり、また、補強桟材の分分割板部材の厚みが増すため、梱包性に影響し、これらの点はひいてはコストに反映するという問題が指摘された。
【0007】
また、上記箱型収納家具については、全体の強度アップは、連結棒部材の中程背側に形成された補強凸部がその両側に配置される補強桟材で挟持される結果として実現されるのであり、補強桟材の存在なくして箱型収納家具全体の強度アップは望めないという問題も指摘された。
【0008】
さらに、上記箱型収納家具については、連結棒部材の凹溝部における分割板部材の端縁の嵌合寸法が短く、収納体内に物品を収納するなどの際に背板に後方に向かう押圧力が作用すると、分割板部材が連結棒部材から抜け外れることがあるという問題も指摘された。
【0009】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、先に提供している箱型収納家具の上記問題を解消し、梱包性および組み立て性を良好に保持し、材料コストおよび輸送コストを抑えつつ、施工現場において組み立てられ、背板の強度が十分な収納体を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の収納体は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
【0011】
すなわち、第1の発明は、上下に対向して配置された天板および地板の左右両側に左右一対の側板が連結され、背板が、背面を側板の背面より前方に配置して天板、地板および左右両側板に連結され、背板は、左右に分割された複数の分割板部材が、並置された隣接する2枚の分割板部材の端縁において上下方向に延びるジョイナーによって連結されて形成され、左右両側板に隣接する背板の左右両端縁部の背面に上下方向に延びる縦芯材が配設された、前方に開口する箱型の収納体であって、ジョイナーは、互いに平行な前押さえ板と後押さえ板とが各々の略中央部において垂直に配置された連結板により連結されて形成され、連結板を挟んで左右両側に前押さえ板と後押さえ板とによる挟持部を有し、挟持部において分割板部材の端縁が挟持可能とされ、ジョイナーの後押さえ板にジョイナーの背側に突出する連結支持部が配設され、連結支持部は、縦芯材の内壁面に当接可能な背面と同一平面上に配置される背面を有していることを特徴としている。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、背板背面から後方に突出する左右両側板の背面と縦芯材の背面とが同一平面上に配置されていることを特徴としている。
【0013】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、ジョイナーの後押さえ板の連結板を挟んで左右両側に、前押さえ板および連結板に向かって斜め前方に突出する補強リブが配設されていることを特徴としている。
【0014】
第4に、上記第3の発明において、ジョイナーにおいて前押さえ板の横幅が後押さえ板の横幅より短いことを特徴としている。
【0015】
第5に、上記第1ないし第4いずれか一つの発明において、ジョイナーの連結支持部は断面略コ字型形状を有していることを特徴としている。
【0016】
第6に、上記第1ないし第4いずれか一つの発明において、ジョイナーの連結支持部は、後押さえ板の略中央部から垂直に突設された支持板と、支持板の後押さえ板と反対側に位置する一端に後押さえ板に平行に配置された当接板とから形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
上記第1の発明によれば、ジョイナーは、互いに平行な前押さえ板と後押さえ板とが各々の略中央部において垂直に配置された連結板により連結されて形成され、連結板を挟んで左右両側に前押さえ板と後押さえ板とによる挟持部を有し、挟持部において分割板部材の端縁が挟持可能とされ、ジョイナーの後押さえ板にジョイナーの背側に突出する連結支持部が配設され、連結支持部は、縦芯材の内壁面に当接可能な背面と同一平面上に配置される背面を有しているので、挟持部が分割板部材の端縁を挟持する挟持幅を大きくすることができ、ジョイナーによる分割板部材の連結強度は十分高く、背板の強度は十分高い。
【0018】
しかも、ジョイナーは、収納体において上下方向に延びているので、ジョイナーは縦芯材としても機能し、背板の補強のために配設される縦芯材の本数を左右両側板に隣接する背板の左右両端縁部の2本にまで減らしても、組み立てられた収納体は、上下方向の圧縮力に対抗することができ、収納体全体の強度が高く、変形しにくい。
【0019】
また、ジョイナーの連結支持部の背面は、収納体の設置の際に内壁面に当接するため、2枚の分割板部材がジョイナーによって連結される背板の連結部において背板は連結支持部により支持され、背板の連結部における強度は十分であり、収納体内に物品を収納するなどの際に背板に後方に向かう押圧力が作用しても、分割板部材がジョイナーから抜け外れることはない。背板の強度は十分高く保持され、分割板部材にベニヤ板などの厚みの薄い板材を採用することが可能となる。
【0020】
そして、縦芯材の本数が減り、分割板部材の厚みを薄くすることができるので、梱包性は良好であり、組み立て性も良好であり、また、製造に手間がかかることはないので、総じてコストを抑えることができる。
【0021】
上記第2の発明によれば、背板背面から後方に突出する左右両側板の背面と縦芯材の背面とが同一平面上に配置されているので、ジョイナーおよび縦芯材の背面側において内壁面との間に隙間が形成されず、収納体設置後の見栄えが良好となる。
【0022】
上記第3の発明によれば、ジョイナーの後押さえ板の連結板を挟んで左右両側に、前押さえ板および連結板に向かって斜め前方に突出する補強リブが配設されているので、挟持部における分割板部材の挟持力が増大し、ジョイナーによる分割板部材の連結強度がさらに高くなり、背板の強度がさらに高くなる。
【0023】
上記第4の発明によれば、上記補強リブによって挟持部における分割板部材の挟持力が増大するので、ジョイナーにおいて前押さえ板の横幅を後押さえ板の横幅より短くしても、ジョイナーによる分割板部材の連結強度は十分であり、前押さえ板の横幅を後押さえ板の横幅より短くすることによって、梱包のコンパクト化およびコスト低減を図ることができる。また、背板の表面側に露出する前押さえ板の面積が縮小するので、収納体の見栄えが良好となる。
【0024】
上記第5の発明によれば、ジョイナーの連結支持部は断面略コ字型形状を有しているので、ジョイナーの連結支持部は構成の簡略化されたものであり、簡略化された構成によっても、ジョイナーは縦芯材と同等の機能を果たし、また、梱包のコンパクト化およびコスト低減をより図ることができる。
【0025】
上記第6の発明によれば、ジョイナーの連結支持部は、後押さえ板の略中央部から垂直に突設された支持板と、支持板の後押さえ板と反対側に位置する一端に後押さえ板に平行に配置された当接板とから形成されているので、上記第5の発明と同様に、ジョイナーの連結支持部は構成の簡略化されたものであり、簡略化された構成によっても、ジョイナーは縦芯材と同等の機能を果たし、また、梱包のコンパクト化およびコスト低減をより図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明の収納体の一実施形態を示した背側斜視図である。
【0027】
図1に示した収納体1は、天板2、地板3、左右両側板4、5、背板6などの各部材に分解され、コンパクトに梱包された梱包品から荷解きされ、施工現場において組み立てられた前方に開口する箱型のものであり、下駄箱、箪笥などとして使用される。このように収納体1は、生産工場における梱包、倉庫からの運搬および施工現場での組み立てが容易とされ、コスト低減が図られたものである。
【0028】
天板2および地板3は上下に対向して配置され、各々の左側に左側板4、右側に右側板5が連結されている。左側板4の上端面4aおよび右側板5の上端面5aは天板2の天面2aと同一平面上に配置され、左側板4の下端面4bおよび右側板5の下端面5bは地板3の底面3aと同一平面上に配置されている。すなわち、天板2、地板3はともに左側板4および右側板5の間に架設されている。
【0029】
背板6は、背面6aを左側板4および右側板5の背面4c、5cより前方に配置して天板2、地板3、左側板4および右側板5に連結されている。背板6は、左右に2分割され、上下方向に延びる縦長の2枚の分割板部材7が、同一平面上に並置され、隣接する左右の分割板部材7の端縁において上下方向に収納体1の略全長にわたって延びる縦長のジョイナー8によって連結されている。このように、他の部材に比べ面積の大きい背板6が左右2枚の分割板部材7に分割されているので、1枚の分割板部材7当たりの面積を抑え、コンパクトな梱包を可能にしている。
【0030】
背板6の背面6aには、左右両側板4、5に隣接する左右両端縁部、すなわち、一方の分割板部材7の背面7aにおいて左側板4に隣接する左端縁部および他方の分割板部材7の背面7aにおいて右側板5に隣接する右端縁部に、ジョイナー8の長さに略等しい収納体1の略全長にわたって上下方向に延びる縦長の縦芯材9が配設されている。縦芯材9は、幅方向の中央部において長さ方向に沿って貼り付けられた両面テープによって分割板部材7の背面7aに貼着したり、接着剤によって分割板部材7の背面7aに接着したりするなどして配設することができる。両面テープの使用は縦芯材9の施工を容易とし、収納体1の施工現場での作業性に優れる。配設された縦芯材9の背面9aは、左側板4の背面4cおよび右側板5の背面5cと同一平面上に配置され、収納体1の設置に際し内壁面に当接可能としている。
【0031】
ジョイナー8は、図2に示したように、互いに平行な前押さえ板10と後押さえ板11とが各々の略中央部において垂直に配置された連結板12により連結されて形成され、連結板12を挟んで左右両側に前押さえ板10と後押さえ板11とによる挟持部13を有している。挟持部13は、前押さえ板10、後押さえ板11および連結板12によって囲まれて形成されている。ジョイナー8は、挟持部13において分割板部材7の端縁7bを挟持可能であり、挟持部13における前押さえ板10と後押さえ板11との間隔は分割板部材7の厚みより若干小さくし、挟持部13が弾性的に分割板部材7の端縁7bを挟持して挟持力を高めることができる。分割板部材7のジョイナー8からの抜け外れを効果的に抑えることができる。
【0032】
また、ジョイナー8には、後押さえ板11に、ジョイナー8の背側に突出する連結支持部14が配設されている。連結支持部14は、断面略コ字型形状を有し、後押さえ片11の左右両端縁部に接続一体化され、後押さえ片11とによって断面矩形の中空部15を形成し、ジョイナー8の軽量化を図っている。このように、連結支持部14の構成が断面略コ字型形状という簡略化された構成であっても、ジョイナー8は縦芯材9と同等の機能を果たし、また、梱包のコンパクト化およびコスト低減をより図ることができる。連結支持部14の背面14aは、図1に示したように、縦芯材9の背面9aと同一平面上に配置されている。
【0033】
このように、ジョイナー8では、挟持部13が分割板部材7の端縁7bを挟持する挟持幅が大きくなっている。ジョイナー8では、前押さえ板10の横幅wと後押さえ板11の横幅wが等しく、たとえば15mm程度とすることができ、連結板12の厚みを十分抑えることにより挟持部13の挟持幅の拡大が実現される。したがって、ジョイナー8による分割板部材7の連結強度は十分高く、背板6の強度は十分高い。
【0034】
しかも、ジョイナー8は、収納体1において上下方向に延びているので、ジョイナー8は縦芯材9としても機能し、背板6の補強のために配設される縦芯材9の本数を左右両側板4、5に隣接する背板6の左右両端縁部の2本にまで減らしても、組み立てられた収納体1は、上下方向の圧縮力に対抗することができ、収納体1全体の強度が高く、変形しにくい。
【0035】
また、図3に示したように、収納体1は、地板3側を下に向け、縦芯材9の背面9aを内壁16の内壁面16aに当接させて設置されるが、ジョイナー8の連結支持部14の背面14aは、上記の通り、縦芯材9の背面9aと同一平面上に配置されているため、連結支持部14の背面14aは収納体1の設置の際に内壁面16aに当接する。この当接によって、2枚の分割板部材7がジョイナー8によって連結される背板6の連結部において背板6は連結支持部14により支持されるため、背板6の連結部における強度は十分であり、収納体1内に物品を収納するなどの際に、図3図中に矢印で示したように、背板6に後方に向かう押圧力が作用しても、分割板部材7がジョイナー8から抜け外れることはない。
【0036】
したがって、ジョイナー8により背板6の強度は十分高く保持され、分割板部材7に2〜3mm程度のベニヤ板などの厚みの薄い板材を採用することが可能となる。また、背板6は十分な強度を有するため、3枚以上の分割板部材7に分割することも可能である。分割板部材7の枚数は、収納体1の梱包性および組み立て性を考慮して適宜決めることができる。
【0037】
そして、縦芯材9の本数が減り、分割板部材7の厚みを薄くすることができるので、収納体1の梱包性は良好であり、組み立て性も良好であり、また、製造に手間がかかることはないので、総じてコストを抑えることができる。
【0038】
また、収納体1では、上記の通り、縦芯材9の背面9aは、左側板4の背面4cおよび右側板5の背面5cと同一平面上に配置されてもいるので、収納体1を設置した際に、ジョイナー8および縦芯材9の背面14a、9a側において内壁面16aとの間に隙間が形成されず、収納体1の設置後の見栄えが良好となる。収納体1における背板6の背面6aと左右両側板4、5の背面4c、5cとの間の寸法は10〜15mm程度が一般的であり、背面9aを左右両側板4、5の背面4c、5cと同一平面上に配置する場合の縦芯材9の厚みはさほど厚いものではないが、上記寸法と同程度の厚みの縦芯材9であっても背板6を十分に補強することができる。同様に、ジョイナー8の厚みもさほど厚くないが、背板6を十分に補強することができる。このように厚みのさほど厚くない縦芯材9およびジョイナー8は収納体1の梱包性の向上に寄与する。
【0039】
なお、縦芯材9の背面9aは、必ずしも収納体1の左右両側板4、5の背面4c、5cと同一平面上に配置される必要はなく、収納体1の設置後の見栄えに支障を与えない程度に、縦芯材9の背面9aを左右両側板4、5の背面4c、5cから後方に突出させることは可能である。ただし、ジョイナー8の連結支持部14の背面14aは、2枚の分割板部材7がジョイナー8によって連結される背板6の連結部において背板6を支持することができるように、縦芯材9の背面9aと同一平面上に配置する。
【0040】
また、図2に示したジョイナー8には、後押さえ片11の左右両側端縁に沿って、前押さえ板10および連結板12に向かって斜め前方に突出する補強リブ17が配設されている。補強リブ17は、ジョイナー8の分割板部材7との接続時に端縁7bが挟持部13に差し込まれることにともなって内側に傾倒するため、弾性復元力を発生させることができ、挟持部13における分割板部材7の挟持力が増大する。ジョイナー8による分割板部材7の連結強度がさらに高くなり、背板6の強度がさらに高くなる。
【0041】
このような補強リブ17の配設位置は、ジョイナー8の後押さえ板11の連結板12を挟んで左右両側であれば特に制限はなく、後押さえ片11の左右両側端縁に限定されない。
【0042】
図1に示した収納体1の組み立ては施工現場において行われる。
【0043】
図4に示したように、まず、施工現場において、外側面を下にして左側板4を配置し、左端縁部に天板2を、右端縁部に地板3をダボおよび接着剤を用いて連結する。次いで、天板2および地板3の内面部において背側端縁に沿って形成された結合凹溝18に上端から1枚目の分割板部材7を差し込み、嵌め込みながら、左側板4の内面部において同じく背側端縁に沿って形成された結合凹溝18に分割板部材7の端縁を嵌合させる。その際、各結合凹溝18には接着剤を塗布しておき、分割板部材7が天板2、地板3および左側板4に強固に固定されるようにする。また、分割板部材7は、端縁部において左側板4の内面部背側に固着されたL型結合具19によって固定し、より強固に固定することができる。結合凹溝18に端縁を嵌合させて分割板部材7を固定するため、分割板部材7により形成される図1に示した背板6は、収納体1において、背面6aが左右両側板4、5の背面4c、5cより前方に配置される。
【0044】
この後、固定した分割板部材7の端縁7bを一方の挟持部13によって挟持するようにして分割板部材7の端縁7bにジョイナー8を接続する。このとき、図5に示したように、ジョイナー8は、後押さえ片11に背側に突出する連結支持部14が配設されているが、連結支持部14は、断面コ字型形状を有し、後押さえ片11との間に中空部15を形成していることから軽量であり、接続後に手を離してもジョイナー8は後下方に回動して分割板部材7の端縁7bから抜け落ちることがない。施工性に優れている。
【0045】
ジョイナー8の接続後には、図4に示したように、2枚目の分割板部材7を1枚目の分割板部材7と同様にして天板2および地板3の結合凹溝18に上端から差し込み、嵌め込んで端縁7bをジョイナー8の他方の挟持部13に挟持させ、2枚目の分割板部材7をジョイナー8に接続する。なお、ジョイナー8の両挟持部13には内側に接着剤を塗布しておき、2枚の分割板部材7のジョイナー8による連結強度を高める。
【0046】
そして、右側板5をダボおよび接着剤を用いて天板2および地板3に連結し、前方に開口する箱型の収納体1を組み立てる。組み立てた収納体1では、図1に示したように、左側板4の上端面4aおよび右側板5の上端面5aが天板2の天面2aと同一平面上に配置され、左側板4の下端面4bおよび右側板5の下端面5bが地板3の底面3aと同一平面上に配置される。
【0047】
次いで、図1に示したように、組み立てた収納体1の背板6の背面6aにおいて左右両側板4、5に隣接する左右両端縁部に縦芯材9を1本ずつ配設する。その際、収納体1は、図4に示した左側板4が下を向いた横倒し状態としても、図1に示したように、地板3側を下にして起こした状態としてもどちらでもよい。高さの高い収納体1については、図4に示したような横倒し状態として縦芯材9を配設すると、施工が容易となる。この場合、縦芯材9は横方向に施工することになる。
【0048】
こうして組み立て完成した収納体1を図3に示したように、地板3側を下に向け、床に置き、内壁16の際に設置する。
【0049】
本発明の収納体は、ジョイナーにいくつかのバリエーションを有する。
【0050】
図6<a>に示したジョイナー81は、図2に示したジョイナー8とほぼ同様な構成を有しているが、補強リブ17の配設にともなう挟持部13の挟持力の増大が望めるので、前押さえ板10の横幅wを後押さえ板11の横幅wより短くしている。たとえば、wを15mmとするとき、wは10mmにすることができる。前押さえ板10の横幅wの短縮によって材料コストの低減が図られ、梱包のコンパクト化が向上する。また、背板6の表面側に露出する前押さえ板10の面積が縮小するので、収納体1の見栄えが良好となる。
【0051】
なお、補強リブ17は、十分な挟持力が得られるように、前押さえ板10の左右両端縁に対向させており、図2に示したジョイナー8に比べ、連結板12寄りに配設されている。
【0052】
図6<b>に示したジョイナー82は、図6<a>に示したジョイナー81と同様に、前押さえ板10の横幅wを後押さえ板11の横幅wより短くしているとともに、分割板部材7の後方への抜け外れをより確実に押さえられるように、後押さえ板11の横幅wを図6<a>に示したジョイナー81の後押さえ板11の横幅wより長くしている。
【0053】
また、ジョイナー82では、連結支持部14は、断面コ字型形状を有するが、後押さえ板11の中央部よりに接続され、横幅が、図2に示したジョイナー8および図6<a>に示したジョイナー81の連結支持部14の横幅より短くなっている。内壁面16aへの当接により背板6の連結部を十分支持することができる程度に連結支持部14の構成にバリエーションを持たせることができる。断面コ字型形状の連結支持部14の横幅を短縮することによって材料コストのさらなる低減が図られ、梱包のコンパクト化がさらに向上する。
【0054】
なお、補強リブ17の配設位置は、図6<a>に示したジョイナー81と同様にしている。
【0055】
図6<c>に示したジョイナー83は、図6<b>に示したジョイナー82と連結支持部14の構成において異なっている。その他の構成は同様である。
【0056】
図6<c>に示したジョイナー83では、後押さえ板11の略中央部から垂直に突設された支持板20と、支持板20の後押さえ板11と反対側に位置する一端に後押さえ板11に平行に配置された当接板21とから形成されている。当接板21の背面14aを縦芯材9の背面9aと同一平面上に配置させることができれば、このように支持板20によって当接板21を後押さえ板11に連結することができる。連結支持部14のより軽量化が図られ、施工性を向上させることができる。
【0057】
上記いずれのジョイナー8、81、82、83も、構成が簡略化され、簡略化された構成によっても縦芯材9と同等の機能を果たし、また、梱包のコンパクト化およびコスト低減をより図ることができる。ジョイナー8、81、82、83は、たとえば樹脂成形品、アルミニウムなどの軽金属からの成形品とすることができ、この場合、製造が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の収納体の一実施形態を示した背側斜視図である。
【図2】図1に示したジョイナーを分割板部材とともに示した背側斜視図である。
【図3】図1に示した収納体の設置状態を示した要部断面図である。
【図4】図1に示した収納体の組み立て手順を示した分解斜視図である。
【図5】図4に示した収納体の組み立て手順における一枚目の分割板部材とジョイナーとの接続状態を示した要部断面図である。
【図6】<a><b><c>は、それぞれ、本発明の収納体におけるジョイナーのバリエーションを示した断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 収納体
2 天板
3 地板
4 左側板
4c 背面
5 右側板
5c 背面
6 背板
6a 背面
7 分割板部材
7b 端縁
8、81、82、83 ジョイナー
9 縦芯材
9a 背面
10 前押さえ板
11 後押さえ板
12 連結板
13 挟持部
14 連結支持部
14a 背面
16a 内壁面
17 補強リブ
20 支持板
21 当接板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に対向して配置された天板および地板の左右両側に左右一対の側板が連結され、背板が、背面を側板の背面より前方に配置して天板、地板および左右両側板に連結され、背板は、左右に分割された複数の分割板部材が、並置された隣接する2枚の分割板部材の端縁において上下方向に延びるジョイナーによって連結されて形成され、左右両側板に隣接する背板の左右両端縁部の背面に上下方向に延びる縦芯材が配設された、前方に開口する箱型の収納体であって、ジョイナーは、互いに平行な前押さえ板と後押さえ板とが各々の略中央部において垂直に配置された連結板により連結されて形成され、連結板を挟んで左右両側に前押さえ板と後押さえ板とによる挟持部を有し、挟持部において分割板部材の端縁が挟持可能とされ、ジョイナーの後押さえ板にジョイナーの背側に突出する連結支持部が配設され、連結支持部は、縦芯材の内壁面に当接可能な背面と同一平面上に配置される背面を有していることを特徴とする収納体。
【請求項2】
背板背面から後方に突出する左右両側板の背面と縦芯材の背面とが同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の収納体。
【請求項3】
ジョイナーの後押さえ板の連結板を挟んで左右両側に、前押さえ板および連結板に向かって斜め前方に突出する補強リブが配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の収納体。
【請求項4】
ジョイナーにおいて前押さえ板の横幅が後押さえ板の横幅より短いことを特徴とする請求項3に記載の収納体。
【請求項5】
ジョイナーの連結支持部は断面略コ字型形状を有していることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項に記載の収納体。
【請求項6】
ジョイナーの連結支持部は、後押さえ板の略中央部から垂直に突設された支持板と、支持板の後押さえ板と反対側に位置する一端に後押さえ板に平行に配置された当接板とから形成されていることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項に記載の収納体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−5748(P2009−5748A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167690(P2007−167690)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】