説明

収納容器

【課題】上部に張り出しを有する被収納物の収納スペースを小さくし、かつ、被収納物の浮き上がりを防止する収納容器を提供すること。
【解決手段】底壁の辺と連接する辺の対辺に折り曲げ可能に連接され、折り返しにより空隙を形成するフラップ23〜25とを備える外箱10と、四本の平行な折り目を有するほぼ長方形状の板を、内側の2本は谷折りに、外側の2本は山折りに折り曲げて五つの面41a/b、42a/b、43を形成し、外側の2面41a/bをそれぞれ中央の面43とほぼ平行に形成し、内側の2本の折り目には、該折り目が途切れている不連続部が形成され、該不連続部の両側の折り目から中央の面の側にせり出した切込みが形成され、切込みで切られた部分44は、外側の面と中央の面との間の面42a/bと折り曲げられずに接続し、外箱に収納される中仕切り40を備える収納容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被収納物を収納するための収納容器に関し、特に上部に張り出しを有する被収納物の収納スペースを小さくし、かつ、被収納物の浮き上がりを防止する収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
試薬等の入ったカートリッジは、例えば図7に示すように、数種類の試薬を一つのカートリッジに収容するため、長さの異なる筒を有し、該筒の上端を1枚の長方形板にて結合している。そのため、カートリッジは、上部に張り出しを有する形状をしている。従来は、該カートリッジの上部張り出しを下から支える、平行な2辺を有する長方形の枠により、複数のカートリッジを数列に並べて収容していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】登録実用新案第3095009号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、張り出しを有するカートリッジを同一平面上に並べると、張り出しの張り出し方向において、張り出しの長さの分だけスペースが必要となるので、その分だけ余計にスペースを要することになる。また、下から支えているので、輸送中などにカートリッジが浮き上がることがあり、浮き上がりのためにカートリッジがケースから脱落する可能性もあった。さらに、ケースが横にある他のケースに乗り上げる可能性があった。そこで、本発明は、上部に張り出しを有する被収納物の収納スペースを小さくし、かつ、被収納物の浮き上がりを防止する収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る収納容器は、例えば図1、図3および図4に示すように、矩形の底壁31と、底壁31の四辺にそれぞれ連接して枡形を形成する第1〜第4の側壁11〜14と、第1の側壁11において底壁31の辺と連接する辺Aの対辺Bに折り曲げ可能に連接する蓋21と、第1の側壁11に隣接する第2の側壁の少なくとも一方の側壁12(14)において、底壁31の辺と連接する辺Aの対辺Bに折り曲げ可能に連接され、折り返しにより空隙を形成するフラップ23〜25とを備える外箱10と;四本の平行な折り目45〜48を有するほぼ矩形の板を、内側の2本46、47は谷折りに、外側の2本45、48は山折りに折り曲げて五つの面41a、42a、43、42b、41bを形成し、外側の2面41a、41bをそれぞれ中央の面43とほぼ平行に形成し、内側の2本の折り目46、47には、該折り目が途切れている不連続部が形成され、該不連続部の両側の折り目46、47から中央の面43の側にせり出した切込み49が形成され、切込み49で切られた部分44は、外側の面41a、41bと中央の面43との間の面42a、42bと折り曲げられずに接続し、外箱10に収納される中仕切り40とを備える。
【0005】
このように構成すると、中仕切りの中央の面は切込みで切られた部分に支えられ底壁より高い位置となり、その中仕切りの中央の面に一の被収納物を載置し、外側の面の下にそれぞれ被収納物を収めることにより、張り出しを有する被収納物の高さを違えて収納することができる。そのために、張り出しが互い違いになり、上部に張り出しを有する被収納物の収納スペースを小さくすることができる。また、折り返しにより空隙の形成されたフラップで、中央の面に載置され高さの高くなった被収納物を上から押えることができ、また、中仕切りの外側の面で、外側の面の下に収められた被収納物の上部を押えることができる。フラップには空隙が形成されているので、フラップがクッションのようにたわみ性を持って被収納物を安定的に押えることができ、そのために、被収納物の浮き上がりが防止される。
【0006】
また、請求項2に記載の発明に係る収納容器においては、請求項1に記載の収納容器において、例えば図2に示すように、フラップ23〜25が、2本の折り目により断面コの字状に形成されてもよい。
【0007】
このように構成すると、フラップの断面がコの字状に形成されるので、空隙が形成されてクッションのようにたわみ性を持ったフラップが、容易に形成できる。
【0008】
また、請求項3に記載の発明に係る収納容器においては、請求項1または請求項2に記載の収納容器において、例えば図2(c)に示すように、外箱10の底壁26、28が、ワンタッチ底であるように構成してもよい。
【0009】
このように構成すると、外箱がワンタッチ底であるので組立て易く、使い勝手のよい収納容器となる。
【0010】
さらに、請求項4に記載の発明に係る収納容器においては、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の収納容器において、例えば、図1および図6に示すように、正方形断面を有する四角柱状の形状で、各側面61〜64に異なる数または大きさの穴66が形成されているボトル中仕切り60を備えてもよい。
【0011】
このように構成すると、例えば、上部に張り出しを有する被収納物に加え、複数のボトルを収納するときに、一つのボトル中仕切りで、異なる本数あるいは大きさのボトルを収納することができる収納容器となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の収納容器によれば、四本の平行な折り目を有するほぼ長方形状の板を、内側の2本は谷折りに、外側の2本は山折りに折り曲げて五つの面を形成し、外側の2面をそれぞれ中央の面とほぼ平行に形成し、内側の2本の折り目には、該折り目が途切れている不連続部が形成され、該不連続部の両側の折り目から中央の面の側にせり出した切込みが形成され、切込みで切られた部分は、外側の面と中央の面との間の面と折り曲げられずに接続ている中仕切りを備えているので、被収納物を高さを違えて収納することができ、また、折り返しにより空隙を形成するフラップを備えているので、被収納物の天面をフラップで押え、加えて、中仕切りの外側の面でも被収納物の上部を抑えることができる。そのために、被収被収納物の収納スペースを小さくすることができ、かつ、被収納物の浮き上がりが防止される収納容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する部品等には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
図1を参照して、本発明による収納容器の典型的な実施の形態を説明する。図1(a)は、本発明による収納容器の典型的な実施の形態を示す断面側面図である。図1(a)では、上部に張り出しを有する被収納物70(個々の被収納物70a、70b、70cの総称として、特に個々を区別する必要がないときに「70」とする。以下の接尾記号a、b、・・・が付加された符号と付加されない符号においても、同様の関係である。)を3列収納し、かつ、被収納物70よりも背の高い被収納物であるボトル80を収納する収納容器1を示す。収納容器1は、外箱10と、被収納物70の収納される位置を定める中仕切り40と、ボトル80の収納される位置を定めるボトル中仕切り60とを備える。
【0015】
ここで、図1(a)に加えて図2および図3を参照して、外箱10について説明する。図2(a)は外箱10の斜視図、図3は外箱10の展開図である。なお、図3中、破線は折り目を示す。外箱10は、矩形の底壁31と、底壁と折り目Aを介して連接した四つの側壁11〜14と、第1の側壁としての側壁11に折り曲げ可能に折り目Bを介して連接した蓋21と、側壁11に隣接する第2の側壁としての側壁12、14に折り曲げ可能に折り目Bを介して連接したフラップ23〜25とを備える。ここで、矩形とは、正方形と長方形とを含んだ形状である。底壁31と側壁11〜14とで枡形をなすが、蓋21を閉めることにより、外箱10は直方体となる。蓋21の側壁11と連接する辺と対向する辺
に、折り曲げ可能に差し込み片22が連接されている。差し込み片22は、蓋21を閉じるときに、側壁13の内側に差し込まれ、蓋21が開くのを防止している。
【0016】
フラップ23〜25は、側壁12、14に連接するフラップ基23と、フラップ基23において側壁12、14とは反対の側に折り曲げ可能に連接するフラップ折込24と、フラップ折込24においてフラップ基23とは反対の側に折り曲げ可能に連接するフラップ先25とを有する。フラップ基23は、側壁12、14側からフラップ折込24側に向けて僅かに細くなる台形形状を有するが、同じ幅を有する長方形であってもよい。ここで、フラップ23〜25について、フラップ基23が側壁12、14と連接する辺の向きを幅、展開図においてフラップ基23からフラップ先25が並ぶ向きを長さとし、フラップ基23からフラップ先25への方向が、「先」とする。フラップ基23の幅を僅かに細く形成することにより、フラップ23〜25を蓋21の下で側壁11〜14で囲まれた枡形内に入れ易くなる。フラップ折込24は、フラップ基23と連接する部分と同じ幅を有し、長さの短い長方形形状をしている。フラップ先25は、フラップ折込24と同じ幅で、フラップ基23の長さ(すなわち、台形の高さ)より僅かに短い長さの長方形である。フラップ折込24は、フラップ基23の先端で、底壁31方向にほぼ直角に折り曲げられ、フラップ先25は、フラップ折込24の先端で、フラップ基23の連接する側壁12、14方向にほぼ直角に折り曲げられる。すなわち、フラップ23〜25は、断面がコの字状に形成され、空隙を形成する。フラップ先25の長さがフラップ基23の長さより僅かに短いので、フラップ先25の先端が側壁12、14の内面に当接することがなく、上下に動き易くなる。しかし、フラップ先25の長さをフラップ基23と同じ長さとしてもよい。なお、図2(b)の部分断面図に示すように、フラップ23〜25には、そのフラップ先25のフラップ折込24とは反対の側に、更にフラップ端29を折り曲げ可能に連接し、フラップ端29をフラップ基23と貼り合わせて、断面をロの字状としてもよい。この断面ロの字状は、断面コの字状の変形であり、その一形態である。あるいは、フラップ基23の先端で折り返されたフラップ先が波型断面を有するなど、他の形の断面であっても、空隙を形成するような形状を有していればよい。
【0017】
外箱10は、相似な形状のフラップ2組23a、24a、25a、23b、24b、25bを備え、それぞれが相対する側壁12、14に連接している。そして、フラップ基23a、23bの長さは、二つのフラップ23a〜25a、23b〜25bを蓋21の下に組み入れたときに、ちょうどフラップ折込24a、24bが接触するくらいに近づくように、側壁11、13の長さの約半分となっている。なお、フラップ基23a、23bの長さは互いに異なっていてもよく、その場合にも、フラップ折込24a、24bが接触するくらいに近づくように、2つのフラップ基23a、23bの長さの合計が、側壁11、13の長さとほぼ等しくなるようにすることが好ましい。あるいは、一つのフラップ23〜25だけが、側壁12、14の少なくとも一方の側壁にだけ連接していてもよい。
【0018】
側壁11〜14は、4枚の長方形板が、図3に示す糊代片15でつながれることにより、断面が長方形に形成されたもので、底壁31(図3では、26、28)の四辺にそれぞれ直角に接続し、底壁31と共に、枡形に形成される。この底壁31と側壁11〜14で形成された枡形の上部の開口部を、フラップ23〜25および蓋21で蓋をする構成となっている。
【0019】
底壁31は、1枚の長方形板で形成されてもよいが、外箱10では、図3に示すように、大底片26および底糊代片27と、小底片28とで構成されている。図3の展開図のように加工された平板を用い、糊代片15を側壁14に貼り合せ、側壁11〜14を連続に形成した上で、底糊代片27を小底片28に貼り合せる。そして、大底片26と底糊代片27との間の折り目を折り目として、貼り合せた大底片26と小底片28とを、側壁11〜14の内面に接するように折り曲げる。すると、大底片26aと小底片28aとは側壁11、12に、大底片26bと小底片28bとは側壁13、14に挟まれることになる。すなわち、側壁11と側壁14とが平らに、また側壁12と側壁13とが平らになり、側壁11と側壁12および側壁13と側壁14との折れ曲がり箇所は、ほぼ180度曲げられた形となる。このように薄く折りたたんだ外箱10のほぼ180度曲げられた2つの折れ曲がり箇所を互いに押す(図2(c)中、F方向に押す)ことにより、大底片26a、26bと小底片28a、28bとの貼り合わされた2つの片が底壁を構成することになる。よって、箱とすることができる。上述のように、薄く折りたたんだ外箱10の2つのほぼ180度曲げられた折れ曲がり箇所を互いに押すことにより、簡単に箱を形成できる底壁の構造をワンタッチ底という。なお、図2(c)中、側壁13、14で隠された部分であって、大底片26と小底片28とを二点鎖線で、大底片26あるいは小底片28と側壁11〜14との折り目を破線で示す。
【0020】
図1(a)に戻り、収納容器1の説明を続ける。3列の被収納物70は、中仕切り40で仕切られ、張り出し方向に3列並べて収納されている。3列の被収納物70のうちの中央の被収納物70bは、中仕切り40により持ち上げられた位置で収納されている。そのために、3列の被収納物70の張り出しが当接することなく、張り出しは上下互い違いに重ねられたような状態となる。
【0021】
ここで、さらに図4を参照して、中仕切り40について説明する。図4(a)は、中仕切り40の成形前の状態を示す平面図、(b)は成形後(使用状態)の中仕切り40の斜視図である。成形前の中仕切り40は、1枚四隅に丸みを持った、ほぼ長方形の平板から成形される。平板は、ほぼ正方形であってもよい。なお、四隅に丸みを持っていなくてもよいが、丸みを持たせることにより、四隅が損傷を受けにくくすることができる。ほぼ長方形の平板は、その長手方向に平行な折り目45〜48を4本有しており、いずれもほぼ長方形の、2つの外側の面41a、41b、1つの中央の面43および、2つの外側の面41a、bと中央面43との間の面42a、42b(以降、中間面42a、42bという。)とに区画されている。4本の折り目45〜48のうち、内側の2本の折り目46、47には、途中で途切れた不連続部がある。その不連続部と折り目との境界(折り目の端部)から、板厚を貫通している切込み49が中央の面43側にせり出しており、切込み49は不連続部の両側の折り目をつないでいる。すなわち、切込み49により中央の面43側にせり出した膨らみ部44が形成されている。膨らみ部44は、2本の折り目46、47に対し、同じ形状にそれぞれ2つずつ形成されており、後述するように中仕切り40を使用状態に成形した後は脚44となる。そのため、同じ形状でなくてもよいが、折り目46、47からせり出す長さは等しくする。また、膨らみ部44は、ほぼ長方形に形成されているが、他の形状であってもよい。ただし、せり出した先端の部分に折り目46、47と平行となる辺を有する形状とすることが、脚として用いられたときに、底壁31と接する部分が損傷を受けにくいので、好ましい。
【0022】
図4(a)では、内側の折り目46、47を一点鎖線で、外側の折り目45、48を破線で示しているが、内側の折り目46、47は谷折り、外側の折り目45、48は山折りすることにより、逆Ω形に成形し、外側の面41と中央の面43とをほぼ平行とする。そのときに、膨らみ部44は、中間面42と一体に保たれ、折り曲げられない。すると、図4(b)の斜視図に示すような、あるいは、図1(a)に断面を示すような形状となる。使用状態に成形した後の中仕切り40については、、外側の面41を天板41と、中間面42を側板42と、中央の面43を底板43と、膨らみ部44を脚44という。すなわち、中仕切り40は、底板43が、脚44の高さだけ持ち上げられ、その両側で、側板42の高さだけ上方に、両側に広がった天板41を有する。
【0023】
なお、図5に示すように、内側の2本の折り目56、57の途中で途切れた不連続部が、折り目56、57のそれぞれの中央部付近で、長く1箇所だけであり、すなわち切込み59がそれぞれ1本で、一つの膨らみ部(あるいは脚)54が形成されていてもよい。図5(a)は、中仕切り50の成形前の状態を示す平面図、(b)は成形後(使用状態)の中仕切り50の斜視図である。膨らみ部54が1つずつであると、中仕切り50を組立て易くなる。あるいは、膨らみ部(脚)は、3つずつあるいはそれ以上に形成されてもよい。膨らみ部が多く形成されていると、底板43に被収納物70を載置したときに、被収納物70の重量を分散して受け、底板43の変形が小さく抑えられる。さらに、膨らみ部44の形成される位置が2本の折り目46、47で成形前に互いに干渉しない位置とすることにより、同じ底板の幅であっても、脚44の高さを大きく形成することができる。
【0024】
再び図1(a)に戻り、収納容器1の説明を続ける。収納容器1は、ボトル中仕切り60を備えている。ボトル中仕切り60は、ボトル80が収納容器1内で動かないようにするための中仕切りである。ボトル中仕切り60は、所定の幅を有し、収納容器1内で被収納物70と一緒になって、外箱10の幅(図1(a)のX方向)と略等しい幅となる。すなわち、所定の幅とは、被収納物70と一緒になって外箱10の幅と略等しくなるだけの幅をいう。ボトル80は、ボトル中仕切り60に形成された穴に入れられることにより、収納容器1内で動かなくなる。
【0025】
ここで、さらに図6を参照して、ボトル中仕切り60について説明する。図6(a)は、ボトル中仕切り60の展開図を、(b)は、斜視図を示す。図6(a)で破線は折り目を、図6(a)および(b)で、一点鎖線は、切込みであって一部が切り込まれずに残され、切り離されていない状態であることを示す。ボトル中仕切り60は、ほぼ長方形の平板を均等な間隔で4つの面61〜64に区切る、3本の平行な折り目を有し、同じ向きに各折り目で直角に折り曲げられる。折り曲げられて接触する端面のいずれか一方(図6(a)では、面61側)に糊代片65を備え、糊代片65を接触する面64に貼り合わせることにより、断面が正方形の四角柱形状に形成される。ボトル中仕切り60では、四角柱の端部は開口しているが、端部に正方形の面を形成してもよい。端部が面で閉じられることにより、四角柱形状が変形しにくくなる。一方、端部に面を形成しなければ、製作が容易となる。
【0026】
各面61〜64には、ボトル80を入れるための穴67を形成する切込みが入れられている。切込みは、切込みで囲まれた部分(この部分が除去されることにより、ボトルを入れる穴が形成される)が切り離されないように僅かに一部が切り込まれずに残されている。このような状態であっても、穴66が形成されているという。穴66の切込みで囲まれた部分を切り離し削除することで、ボトル80を入れるための穴67となる。穴66は、各面61〜64によって、異なる数だけ形成されている。すなわち、面61には1、面62には2、面63には3、面64には4の穴66が形成されている。なお、ボトル中仕切り60では、同じ大きさの1から4の穴66が形成されているが、穴66の数は上記に限られない。また、大きさを変えた穴66を、各面61〜64に形成してもよい。ここで、「大きさ」には、相似形状の穴における大きさだけではなく、形状も含むものとし、大きさを変えた穴66とは、形状が異なる穴をも含む。例えば、ボトル80の断面が円形であれば、穴の形状も円形でよいが、例えばボトル80の断面が四角形であれば、穴の形状も四角形とすることが、ボトル80の動きを抑える上で好ましく、円形の穴と四角形の穴とが形成されている場合も、大きさの異なる穴という。
【0027】
ここで、図1に戻り、収納容器1の説明を続ける。図1(b)は、収納容器1の上面図である。図1(b)では、図1(a)に示した蓋21や差込片22を省略し、被収納物70およびボトル80も省略している。図1(b)中、フラップ基23等に隠された部分について、フラップ先25は破線で、中仕切り40およびボトル中仕切り60は二点鎖線で示す。図1(b)に示すように、中仕切り40およびボトル中仕切り60は、その長さ方向(図1(b)の上下方向)において、外箱10とほぼ同じ長さを有しており、収納容器1において、長さ方向に動くことがない。
【0028】
外箱10、中仕切り40およびボトル中仕切り60は、典型的には紙製であるが、材質は紙には限られない。例えば、プラスチックや、アルミニウムなどの金属であってもよい。外箱10と中仕切り40とボトル中仕切り60との材質は同一であるのが一般的であるが、それぞれの材質が異なっていてもよい。
【0029】
次に、図1(a)を参照して、本発明の収納容器1の作用効果を詳しく説明する。先ず、上部に張り出しを有する被収納物70が中仕切り40で3列に仕切られているので、前述のように、3列の被収納物70のうちの中央の被収納物70bは、中仕切り40の底板43により持ち上げられた位置で収納されている。一方、両端の被収納物70a、70cは、底壁31上に直接載置される。そのために、3列の被収納物70の張り出しが、上下互い違いに重ねられたような状態となり、当接することがなくなる。したがって、3列の被収納物70の全体の幅に占める張り出しの長さを減少させることができ、それだけ収納スペースを小さくすることができる。また、中央の被収納物70bが他の被収納物70a、70cよりも上方に突き出ているので、つまみ易く、すなわち、被収納物70を収納容器1から取り出し易くなる。
【0030】
ここで、図7を参照して、被収納物70の典型例として、試薬カートリッジ71のカートリッジセット73について、簡単に説明する。試薬カートリッジ71は、例えば、抗原結合固相または抗体結合固相を入れ、反応、検出等を行う試験管状の筒75aと、検体または希釈液を入れ、反応、希釈等を行う試験管状の筒75bと、標識抗体または標識抗原を入れる試験管状の筒75cとで構成される3本の筒75(75a、75b、75cの総称で、「75」とする。)を備え、抗原結合固相または抗体結合固相を入れる筒75aが、他の2本より長くなっている。これら3本の筒75が、開口部を上向きにして、上面を揃えて直線状に並び、その開口部付近で、ほぼ長方形の結合片76にて一の試薬カートリッジ71としてまとめられている。結合片76は3本の筒が並んでいる方向の両側で、3本の筒75よりも外側に張り出している。なお、3本の筒75の開口部は、1枚のシールで覆われ、筒75内の試薬が蒸発することや筒75内に塵などが侵入することなどが防止されている。
【0031】
試薬カートリッジ71は、3本の筒75が並んだ方向に長い形状をしている。この試薬カートリッジ71は、カートリッジケース72に、3本の筒75が並んだ方向と垂直の方向に並べて収容される。カートリッジケース72は、試薬カートリッジの張り出した結合片76の両側を下から支える2本の平行な辺を有し、該辺と直交する2辺とで形成されている長方形の枠77を有する。枠77は、上面が開いた直方体の支持体78により支持される。支持体78は、試薬カートリッジ71を枠77で支えたときに、長い筒75aの底が当たらないだけの高さを有する。なお、枠77は長方形ではなく、試薬カートリッジの張り出した結合片76の両側を下から支える2本の平行な辺に該当する2本の棒を有し、支持体78は上面が開いた直方体ではなく、枠77あるいは2本の棒を支える支柱で構成されてもよい。枠77内に、複数の試薬カートリッジ71を、枠77の短辺方向に結合片76の張り出し方向を向けて並べることにより、カートリッジケース72に試薬カートリッジ71が収容されたカートリッジセット73となる。カートリッジセット73は、ほぼ直方体であるが、その上部で、試薬カートリッジ71の張り出しおよび枠77の分だけ、水平断面の短手方向に張り出しを有する。
【0032】
図1(a)に戻って、収納容器1の作用効果の説明を続ける。中仕切り40の底板43上に載置された被収納物70bの天面が、フラップ先25で押さえられている。実際には、被収納物70bの天面が、断面コの字状に形成されたフラップ23〜25の下面、すなわちフラップ先25に接する高さとなるように、中仕切り40の脚44の高さを調整している。このように、フラップ23〜25により被収納物70bの天面を押さえることにより、被収納物70bが、例えば輸送中に、浮き上がることが防止される。なお、フラップ23〜25は、フラップ基23が蓋21の直下に位置するので、上方に浮き上がることが防止されている。ここで、フラップ23〜25に空隙が形成されているので、フラップ先25はクッションのように上下に変形可能であり、被収納物70bの高さの変動に追随することができる。また、収納容器1が上下に振動したときにも、被収納物70bに衝撃力を与えなくて済む。なお、図2(b)に示すように、フラップ23〜25、29が断面ロの字状に形成されていると、フラップ23〜25、29のクッションのようなたわみ性の位置による差異が少なくなる。
【0033】
また、中仕切り40の天板41は、両側の被収納物70a、70cの天面を押える。すなわち、側板42の高さ(成形前の幅)は、天板41が被収納物70a、70cの天面と一致するように調整されている。中仕切り40自体は、底板43に被収納物70bを載置し、被収納物70bがその天面をフラップ23〜25により押えられているので、浮き上がることが防止されている。そのため、天板41により天面を押えられた被収納物70a、70cも、例えば輸送中に、浮き上がることが防止される。なお、天板41は、側板42から折り曲げられることによりほぼ水平(底板43に平行)の状態を保っているが、その天板41がその端部(図1(b)の上下端)において、外箱10の内面と接触していると、被収納物70a、70cが浮き上がろうとして、天板41を上方向に押しても、天板41の端部と外箱10の内面との摩擦により、天板41の変形がさらに抑えられるので、好適である。あるいは、中央の被収納物70bの張り出しを天板41の上に被せるようにして、天板41の浮き上がりを中央の被収納物70bの張り出しで押えるようにしてもよい。このように被収納物70の天面を押えるので、被収納物70がカートリッジセット73(図7参照)の場合には、カートリッジ71(図7参照)がカートリッジケース72(図7参照)から浮き上がることも防止される。
【0034】
収納容器1は、さらにボトル80を収納している。ボトル80は、例えば、試薬カートリッジ71(図7参照)と共に用いられる試薬を入れたボトルであって、試薬カートリッジセット73(図7参照)と組になって、試薬セットを構成する。このようなボトル80は、試薬カートリッジセット73と一緒に収納されることが好ましいが、典型的には、ボトル80は試薬カートリッジセット73よりも、高さが高い。そこで、収納容器1によれば、脚44で持ち上げられた底板43上に載置した被収納物70b(すなわち試薬カートリッジセット73)の高さを、ボトル80の高さと同じにすることができるので、ボトル80の浮き上がりがフラップ23〜25で防止され、一つの箱で、被収納物70bもボトル80も浮き上がりを防止することができる。また、ボトル80の高さが被収納物70bの高さよりも高い場合には、ボトル80の上部の形状に対応した穴やフラップを変形させた凹部(図示せず)をフラップ25に設けることもできる。さらに、ボトル80の高さが被収納物70bの高さより低い場合には、ボトル80の頂部に位置するフラップの一部を変形させて凸部(図示せず)をフラップ25に設けることもできる。
【0035】
また、ボトル中仕切り60には、四角柱形状の各面61〜64に異なる数あるいは大きさの穴66(図6参照)が形成されているので、ボトルの本数は種類の異なる試薬セットを一つの収納容器1で収納することができる。したがって、製作する収納容器の種類を減少させ、また、ストックを減らすことができる。
【0036】
ここで、ボトル中仕切り60に形成された穴66(図6参照)は、僅かに一部が切り込まれずに残されていることにより、切込みで囲まれた部分が切り離されていない。すなわち、使用する面の穴66だけが切込みで囲まれた部分が切り離され実際に穴67が開けられており、他の穴66は閉じられたままである。そこで、ボトル80を収容すべき穴67だけが開いており、その穴67にはボトルが収容された状態となる。そのために、収納容器1を開けたときに、もしボトルを収容していない開けられた穴67があれば、作業に手違いがあったことが分かる。よって、収納されているボトル80の本数が誤っていないことが容易に確認される。
【0037】
また、収納容器1では、被収納物70とボトル中仕切り60とで、外箱10の幅(図1(a)のX方向)とほぼ同じ幅とすることが好ましい。被収納物70とボトル中仕切り60との隙間が、被収納物70やボトル中仕切り60が幅方向に移動しない程度に小さくすることにより、例えば輸送中の被収納物70やボトル中仕切り60の動きが抑えられる。
【0038】
また、外箱10がワンタッチ底を有しているので、使用するまでは外箱10を平たくつぶしておいて、輸送やストックを容易にし、かつ、使用するときには、容易に箱に成形できるので、使用し易い。
【0039】
なお、これまでの説明では、収納容器1を中仕切り40とボトル中仕切り60とを備えているとしてきたが、ボトル中仕切り60は、必ずしも備えていなくてもよい。そのときには、被収納物70だけで、外箱10の幅とほぼ等しくなるように外箱10の形状を変更すればよい。
【0040】
また、図8の模式的部分断面図に示すように、被収納物は3列でなくてもよい。(a)は被収納物70が2列の場合、(b)は5列の場合、(c)は6列の場合の被収納物70と中仕切り40との断面形状を示している。2列のときには、図1(a)に示した両側の被収納物70a、70cの内のいずれか一つと中央の被収納物70bとを収納すればよく(図8(a)参照)、4列以上であれば、中仕切り40を並列に配置すればよい。その際に、4列あるいは5列であれば、中仕切り40の天板41を、同じ列の被収納物70cに被せればよいし(図8(b)参照)、6列であれば、図1(a)に示す中仕切り40と被収納物70との組み合わせを2つ並べればよい(図8(c)参照)。このように、列の数が異なっていても、対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による収納容器の典型的な実施の形態を説明する図である。(a)は、断面側面図、(b)は上面図である。
【図2】外箱を説明する図である。(a)は斜視図、(b)は断面ロの字状に形成されたフラップの部分断面図、(c)はワンタッチ底の作用を説明する斜視図である。
【図3】外箱の展開図である。
【図4】中仕切りを説明する図である。(a)は、成形前の中仕切りを説明する平面図、(b)は成形後の中仕切りを説明する斜視図である。
【図5】中仕切りの変形例を説明する図である。(a)は、成形前の中仕切りを説明する平面図、(b)は成形後の中仕切りを説明する斜視図である。
【図6】ボトル中仕切りを説明する図である。(a)は、展開図、(b)は斜視図である。
【図7】被収納物の典型例としてのカートリッジセットを示す斜視図である。
【図8】被収納物の列数を変えたときの、被収納物と中仕切りの構成を説明する模式的部分断面図である。(a)は被収納物が2列の場合、(b)は5列の場合、(c)は6列の場合を示す。
【符号の説明】
【0042】
1 収納容器
10 外箱
11〜14 側壁
15 糊代片
21 蓋
22 差込片
23 フラップ基(フラップ)
24 フラップ折込(フラップ)
25 フラップ先(フラップ)
26a、26b 大底片(底壁)
27a、27b 底糊代片(底壁)
28a、28b 小底片(底壁)
29 フラップ端(フラップ)
31 底壁
40、50 中仕切り
41a、41b 天板(外側の面)
42a、42b 側板(外側の面と中央の面の間の面、中間面)
43 底板(中央の面)
44、54 脚(膨らみ部)
45〜48、56、57 折り目
49、59 切込み
60 ボトル中仕切り
61〜64 面
65 糊代片
66、67 穴
70 被収納物
71 カートリッジ
72 カートリッジケース
73 カートリッジセット
80 ボトル
A、B 折り目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の底壁と、
該底壁の四辺にそれぞれ連接して枡形を形成する第1〜第4の側壁と、
第1の側壁において前記底壁の辺と連接する辺の対辺に折り曲げ可能に連接する蓋と、
前記第1の側壁に隣接する第2の側壁の少なくとも一方の側壁において、前記底壁の辺と連接する辺の対辺に折り曲げ可能に連接され、折り返しにより空隙を形成するフラップとを備える外箱と;
四本の平行な折り目を有するほぼ矩形の板を、内側の2本は谷折りに、外側の2本は山折りに折り曲げて五つの面を形成し、外側の2面をそれぞれ中央の面とほぼ平行に形成し、
前記内側の2本の折り目には、該折り目が途切れている不連続部が形成され、該不連続部の両側の前記折り目から前記中央の面の側にせり出した切込みが形成され、該切込みで切られた部分が、前記外側の面と前記中央の面との間の面と折り曲げられずに接続されている、
前記外箱に収納される中仕切りとを備える;
収納容器。
【請求項2】
前記フラップが、2本の折り目により断面コの字状に形成される;
請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記外箱の底壁が、ワンタッチ底である;
請求項1または請求項2に記載の収納容器。
【請求項4】
正方形断面を有する四角柱状の形状で、各側面に異なる数または大きさの穴が形成されているボトル中仕切りを備える;
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の収納容器。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−312469(P2006−312469A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−135253(P2005−135253)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(306008724)富士レビオ株式会社 (55)
【Fターム(参考)】