説明

収納構造物

【課題】自家発電機能を備えていて、省エネルギの達成や環境問題を解決する上で有効となる収納構造物を提供すること。
【解決手段】電気機器となっている電動式シャッター装置10を備えていて、自動車40を内部空間に収納するための収納構造物となっている車庫1には、自然力利用発電装置となっている太陽光発電装置20が設置されており、この太陽光発電装置20は、車庫の屋根部6に配置され、発電手段となっているソーラーパネル21と、ソーラーパネル21で発電された電気を電動式シャッター装置10や外部照明装置30、内部照明装置31等の電気機器に供給し、車庫1の内部に配置されている給電手段22とを含むものとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に物体を収納するための空間を有している収納構造物に係り、例えば、出入口を開閉するための電動式シャッター装置等の電気機器を備えている車庫や物置等の収納構造物に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
自動車を内部空間に収納する車庫は、内部に物体を収納するための空間を有している収納構造物の一つであり、下記の特許文献1には、自動車を出し入れするための出入口を電動式シャッター装置で開閉するようにした車庫が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−257360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動式シャッター装置を備えている車庫には、この電動式シャッター装置以外に、例えば、防犯灯を兼ねた外部照明装置や内部照明装置等が配設される場合があり、これらの電気式シャッター装置や、外部照明装置、内部照明装置等の電気機器には電気を供給しなければならない。車庫のこのような電気機器に給電するうえで、今日では、省エネルギの達成や環境問題を解決できる上で有効な手段が求められる。
【0005】
本発明の目的は、自家発電機能を備えていて、省エネルギの達成や環境問題を解決する上で有効となる収納構造物を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る収納構造物は、内部に物体を収納するための空間を有し、かつ電気機器を備えている収納構造物において、前記電気機器に供給される電気を自然力を利用して発生させるための自然力利用発電装置が設置されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る収納構造物には、電気機器に供給される電気を自然力を利用して発生させるための自然力利用発電装置が設置されているため、自家発電機能を備えていることになり、自家発電された電気が上記電気機器に供給されるため、省エネルギを達成する上や環境問題を解決する上で有効となる。
【0008】
本発明において、上記自然力利用発電装置の一例は太陽光発電装置であり、自然力利用発電装置は、この太陽光発電装置以外では、風力発電装置でもよく、水素と酸素の化学反応で発電する燃料電池装置でもよく、地熱発電装置等でもよい。また、本発明に係る自然力利用発電装置は、例えば、太陽光発電装置と風力発電装置とを併用するように、異種の発電装置を組み合わせたものでもよい。
【0009】
また、本発明が適用される収納構造物は、内部に物体を収納するための空間を有し、かつ電気機器を備えているものであれば、任意なものでよい。その一例は、車庫であり、他の例は、物置であり、車庫は、物置を兼ねた車庫でもよく、さらに、収納構造物の他の例は、作業道具を収納するスペースを有している作業用建屋等である。
【0010】
また、収納構造物が備えている電気機器は、その収納構造物の特性に応じて必要とされる種類のものでよく、例えば、収納構造物が車庫である場合には、出入口を開閉するための電動式シャッター装置でもよく、防犯灯を兼ねた外部照明装置や内部照明装置、換気装置等でもよく、また、電動式シャッター装置は、リモコン式のものでもよく、スイッチ操作式のものでもよい。さらに、車庫に収納される自動車が電気自動車やハイブリッド型電気自動車である場合には、収納構造物が備えている電気機器は、これらの自動車に充電するための充電装置でもよい。
【0011】
さらに、上述の自然力利用発電装置で発電された電気が供給される電気機器の個数は、1個でもよく、複数個でもよい。
【0012】
また、自然力利用発電装置と、この自然力利用発電装置で発電された電気が供給される電気機器とは、これらを繋ぐための電気配線の距離の短縮化及び電気配線工事の容易化等を考慮すると、できるだけ近づけることが好ましい。具体的には、これらの距離を、収納構造物の全長の半分以下とすることが好ましく、収納構造物の全長の3分の1以下とすることは、一層好ましいことである。
【0013】
また、自然力利用発電装置が、太陽光発電装置のように、収納構造物の外面(又は外部)に設置されるソーラーパネル等の発電手段と、収納構造物の内部に配置され、発電手段で発電された電気を電気機器に供給するためのバッテリ等からなる給電手段とを含んで構成される場合には、この給電手段は、収納構造物の内部空間に収納される前述の物体の収納に影響を与えない又は影響の少ない箇所に配置することが好ましい。このような箇所の一例は、収納構造物の内部に設けられる棚の上であり、他の例は、収納構造物の奥のコーナー部であり、さらに他の例は、天井と屋根との間の空間(小屋裏空間)である。
【0014】
また、収納構造物が備えている電気機器に供給される電気は、前述の自然力利用発電装置で発電された電気だけでもよく、自然力利用発電装置で発電された電気だけでは不足する場合等の非常時を考慮して、例えば、一般商用電気を補助用として上記電気機器に供給できるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、収納構造物には自然力利用発電装置が設置されているため、この収納構造物は自家発電機能を備えており、このため、省エネルギの達成や環境問題を解決する上で有効となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る収納構造物となっている車庫の全体を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の車庫の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る収納構造物は、住宅地に母屋に隣接してまたは隣接せずに建築された車庫であり、図1には、この車庫1の全体斜視図が示されており、図2には、この車庫1の側断面図が示されている。
【0018】
図1に示されているように、車庫1は、前面壁部2と、左右の側壁部3,4と、後面壁部5と、屋根部6とからなる箱形状となっており、前面壁部2には、図2で示す自動車40や人等が出入するための出入口7が形成されている。この出入口7は、本実施形態の電気機器となっている電動式シャッター装置10のシャッターカーテン13で開閉され、この電動式シャッター装置10は、出入口7で上下の開閉移動を行うようになっているこのシャッターカーテン13と、このシャッターカーテン13の上端部が連結され、正逆回転を行うことにより、シャッターカーテン13に上述の開閉移動を行わせるための巻取軸14と、図2に示されているように、この巻取軸14に正回転、逆回転、回転停止を行わせるための開閉機15とを有するものとなっている。シャッターカーテン13の上下の開閉移動は、前面壁部2のうち、出入口7の左右部分に取り付けられている一対のガイドレール12に案内されて行われる。また、開閉機15は、電動モーターと機械式ブレーキとの組み合わせで構成され、電動モーターの駆動軸と巻取軸14は、図2示すスプロケットホイールやチェーン等による伝動手段16により連結されている。
【0019】
なお、巻取軸14及び開閉機15は、車庫1の内部に設けられているシャッターボックス17の内部に収納されて配置されており、このシャッターボックス17は、前面壁部2のうち、出入口7よりも上側の内面に設けられている。
【0020】
また、電動式シャッター装置10は、図示しない送信機から送信される信号がアンテナ18等で構成される受信機で受信されて図示しない制御装置に送られるリモコン式の装置となっている。このため、送信機から送信される信号に応じて制御装置が開閉機15を駆動制御し、これにより、巻取軸14が正回転、逆回転、回転停止を行うことにより、シャッターカーテン13は、左右のガイドレール12において上昇する開き移動と、これらのガイドレール12において下降する閉じ移動と、移動停止とを行う。
【0021】
本実施形態における自然力利用発電装置は、太陽光発電装置20である。このため、車庫1の屋根部6の外面には、太陽光発電装置20の発電手段となっているソーラーパネル21が設置台21Aにより設置されており、本実施形態では、複数個のソーラーパネル21が車庫1の長さ方向(奥行き方向)に並べられて配置されている。また、それぞれのソーラーパネル21で発電された電気を、本実施形態の電気機器となっている電動式シャッター装置10に供給するための給電手段22は、図2に示されているように、車庫1の内部に配置されており、この給電手段22は、ソーラーパネル21で発電された電気の過電流防止や電圧制御のためのコントローラ22Aと、このコントローラ22Aから送られた電気を蓄電するためのバッテリ22Bと、このバッテリ22Bからの電気を直流から交流に変換するためのインバーター22Cとを備えたものとなっており、このインバーター22Cから、開閉機15の交流式となっている前述の電動モーターに給電されるようになっている。
【0022】
なお、開閉機15の電動モーターが直流式のものとなっている場合には、この電動モーターには、給電手段22のバッテリ22Bから直流電気を供給する。
【0023】
また、本実施形態の給電手段22は、コントローラ22Aとバッテリ22Bとインバーター22Cを1個のベース部材22Dに取り付けたものとなっているため、この給電手段22は、ユニット化されたものとなっている。
【0024】
また、車庫1の内部での給電手段22の配置箇所は、図2に示されているように、車庫1の床1Aよりも高い位置に設けられている棚23の上である。このため、車庫1の内部での給電手段22の配置は、車庫1の内部空間に自動車40を収納した際に、この自動車40の収納に影響が生じない箇所において行われている。
【0025】
また、棚23が設けられている車庫1の内部の位置は、図1に示されている車庫1の左右の側壁部3,4のうち、図2で分かるように、車庫1の外部から出入口7に向かって左側となっている側壁部3の内面である。そして、この棚23は、車庫1の前面壁部2から後面壁部5までの車庫1の全長に渡って設けられており、このような棚23のうち、給電手段22が配置されている箇所は、後面壁部5よりも出入口7に近い箇所となっている。したがって、棚23における給電手段22から電動式シャッター装置10までの距離は、車庫1の全長の半分以下となっている。
【0026】
このため、本実施形態によると、給電手段22から電動式シャッター装置10までの電気配線の距離が短縮化されており、また、これらの給電手段22と電動式シャッター装置10とを電気配線で繋ぐための工事を容易に実施できるようになっている。
【0027】
特に、本実施形態では、給電手段22から電気が供給される前述の開閉機15は、図1に示されているように、車庫1の左右の側壁部3,4のうち、側壁部4よりも側壁部3に近い箇所に配置されている。言い換えると、この側壁部3には、給電手段22が配置されている棚23が設けられているため、開閉機15は、出入口7の左右中央位置よりも給電手段22に近い箇所に配置されている。
【0028】
このため、この点でも本実施形態では、給電手段22から電動式シャッター装置10までの電気配線の距離が短縮化されており、また、これらの給電手段22と電動式シャッター装置10とを電気配線で繋ぐための工事を容易に実施できるようになっている。
【0029】
また、図2に示されているように、太陽光発電装置20を構成する手段のうち、車庫1の外面に設置された発電手段となっているソーラーパネル21の配置箇所は、車庫1の前面壁部2から後面壁部5までの車庫1の全長のうち、後面壁部5よりも出入口7に近い箇所となっている。そして、ソーラーパネル21の真下の位置又は略真下の位置に給電手段22が配置されているため、これらのソーラーパネル21から給電手段22までの電気配線の距離も短縮化されており、また、ソーラーパネル21と給電手段22とを電気配線で繋ぐための工事も容易に実施できるようになっている。
【0030】
なお、図2では、ソーラーパネル21と給電手段22とを繋ぐための電気配線は車庫1屋根部6に挿通されているが、この電気配線は側壁部3又は4に挿通させてもよい。
【0031】
本実施形態において、車庫1に設けられている電気機器は、電動式シャッター装置10だけではなく、図1に示されているように、車庫1の前面壁部2の上部に配置され、防犯灯を兼ねている外部照明装置30や、図2に示されているように、車庫1の屋根部6の下面、すなわち、車庫1の天井面に配置されている内部照明装置31も、本実施形態における車庫1に設けられている電気機器となっており、さらには、車庫1の側壁部3の下部に配置され、自動車40を修理するための電動工具等のプラグが差し込まれるコンセント32や、図1に示されているように、車庫1の側壁部4に嵌め込み配置され、車庫1の内外の間で換気するための換気装置33も、本実施形態における車庫1に設けられている電気機器となっている。
【0032】
図2には、給電手段22の前述したインバーター22Cからコンセント32まで延びている電気配線23Aと、インバーター22Cから車庫1の側壁部3に設けられたスイッチ34まで延びている電気配線34Aとが示されている。また、図2には、スイッチ34から外部照明装置30及び内部照明装置31まで延びている電気配線30A,31Aも示されている。スイッチ34には、外部照明装置30と内部照明装置31を個別に点灯、消灯させるためのボタン等の操作部が設けられているため、外部照明装置30と内部照明装置31は、スイッチ34の操作部を操作することにより個別に点灯、消灯する。
【0033】
また、図面では示されていないが、インバーター22Cから換気装置33まで延びている電気配線も設けられている。
【0034】
さらに、図2に示されているように、車庫1の床1Aには、側壁部3に沿った箇所において、充電装置35が設置されており、給電手段22のバッテリ22Bと電気配線35Aによって繋がっているこの充電装置35は、車庫1の内部空間に収納される自動車40が電気自動車やハイブリッド型電気自動車となる場合を考慮して、このような自動車40に充電できるようにしたものであり、このため、充電装置35には、電気自動車やハイブリッド型電気自動車に設けられているプラグが差し込まれるコンセント部35Bが設けられている。
【0035】
以上の説明で明らかなように、本実施形態に係る収納構造物となっている車庫1には、自然力利用発電装置となっていて、自然力である太陽光を利用して発電することができる太陽光発電装置20が設置されているとともに、この車庫1には、電気機器となっている電動式シャッター装置10、外部照明装置30、内部照明装置31、コンセント32、換気装置33、充電装置35が設けられており、これらの電気機器に太陽光発電装置20で発電された電気が供給でき、この電気は、太陽光発電装置20により車庫1が自家発電したものであり、車庫1は自家発電機能を備えているため、本実施形態によると、省エネルギの達成や環境問題を解決する上で有効となる。
【0036】
なお、上述の電気機器に供給される電気は、太陽光発電装置20により車庫1が自家発電したものだけでもよいが、車庫1に隣接している前述の母屋から一般商用電気を給電手段22に供給できる電気配線を設け、これにより、太陽光発電装置20で発電された電気だけでは不足する非常時、あるいは通常時において、一般商用電気を補助用等として上述の電気機器に供給するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、電動式シャッター装置等の電気機器を備えている車庫を含む各種の収納構造物に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 収納構造物である車庫
10 電気機器である電動式シャッター装置
20 自然力利用発電装置である太陽光発電装置
30 電気機器である外部照明装置
31 電気機器である内部照明装置
32 電気機器であるコンセント
33 電気機器である換気装置
35 電気機器である充電装置
40 車庫の内部空間に収納される物体である自動車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に物体を収納するための空間を有し、かつ電気機器を備えている収納構造物において、前記電気機器に供給される電気を自然力を利用して発生させるための自然力利用発電装置が設置されていることを特徴とする収納構造物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−1956(P2012−1956A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137140(P2010−137140)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】