説明

収音装置

【課題】小型の電子機器にも搭載可能な収音装置を提供することを目的とする。
【解決手段】収音装置は、第1の筐体100と、第2の筐体200と、第1マイク111L、111Rと、第2マイク111Cとを、備えている。第2の筐体200は、第1の筐体100に対して姿勢を変更可能である。第1マイク111L、111Rは、収音により第1音声信号を出力する。第1マイク111L、111Rは、第1の筐体100に設けられている。第2マイク111Cは、収音により第2音声信号を出力する。第2マイク111Cは、第2の筐体200に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される技術は、入力される音声信号に各種処理を施すことにより音声信号の品質を向上させる収音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、収音装置を備えた電子機器に対する小型化の要望が、高まっている。電子機器が小型化されると、この小型化に伴って機器の表面積が減少する。そのため、電子機器の表面にマイクロホンを配置することが困難となる場合がある。そこで、電子機器が備える可動部材上に未だ利用されていないスペースがある場合、その可動部材上にマイクロホンを配置することが考えられる。例えば、特許文献1は、ビデオカメラのポップアップ式のストロボ上にステレオマイクを備えた構成を、開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−348419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のビデオカメラ(以下、カメラと呼ぶ)では、ストロボ上に2つのマイクロホンが設けられている。2つのマイクロホンは、左右方向に指向性が得られるように、ストロボ上において左右に配置されている。しかしながら、これら2つのマイクロホンでは、撮影対象に向かう方向(奥行き方向)の指向性を得ることが難しい。そこで、奥行き方向の指向性を得るためには、マイクロホンを前後方向(光軸方向)に配置することが、考えられる。この場合、マイクロホンを前後方向に配置するためのスペースを、ストロボ上に確保しようとしても、このスペースをさらに確保することは難しい。
【0005】
ここに開示される技術は、小型の電子機器にも搭載可能な収音装置を提供することを目的とする。また、入力される音声信号に各種処理を施すことにより音声信号の品質を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示される収音装置は、第1の筐体と、第2の筐体と、第1マイクと、第2マイクとを、備えている。第2の筐体は、第1の筐体に対して姿勢を変更可能である。第1マイクは、収音により第1音声信号を出力する。第1マイクは、第1の筐体に設けられている。第2マイクは、収音により第2音声信号を出力する。第2マイクは、第2の筐体に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
ここに開示される技術によれば、小型の電子機器にも搭載可能な収音装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の正面斜視図
【図2】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の背面図
【図3】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の電気的構成を示すブロック図
【図4】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の動画撮影モード時の動作の流れを示すフローチャート
【図5】実施の形態1に係るデジタルカメラ100のストロボ開閉検出処理の動作の流れを示すフローチャート
【図6】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の音声記録の動作の流れを示すフローチャート
【図7】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の指向性合成処理の例を示す図
【図8】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の指向性合成処理の詳細を示す図
【図9】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の鏡筒141とマイクロホン111L、111R、111Cとの位置関係を示す図
【図10】他の実施の形態に係るデジタルカメラ100の正面斜視図および指向性合成処理の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施の形態1〕
次に、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0010】
なお、以下の実施の形態では、収音装置を備えた電子機器である撮像装置として、デジタルカメラを例に挙げて説明する。以下の説明では、通常姿勢(以下、横撮り姿勢ともいう)の撮像装置を基準として、被写体に向かう方向を「前方」、被写体の反対に向かう方向を「後方」、鉛直上方を「上方」、鉛直下方を「下方」、被写体に正対した状態における右向きを「右方」、被写体に正対した状態における左向きを「左方」、と表現する。
【0011】
実施の形態1のデジタルカメラ100は、マイクロホン部111を備え、動画撮影時にマイクロホン部111で収音し、画像記録と共に音声記録を行う。以下、デジタルカメラ100の構成および動作を説明する。
【0012】
〔1.構成〕
〔1−1.デジタルカメラ100の構成〕
以下、図を用いてデジタルカメラ100の構成を説明する。
【0013】
図1(a)は、ストロボ200が閉じた状態(本体に収納された状態)のデジタルカメラ100の正面斜視図である。デジタルカメラ100は、その正面に鏡筒141を備える。また、デジタルカメラ100は、その上面に、レリーズ釦181、電源スイッチ183、およびモードダイヤル184などの操作部180を、備える。
【0014】
また、デジタルカメラ100は、その上面に、ストロボ200およびポップアップレバー201を、備える。
【0015】
また、デジタルカメラ100は、その上面にマイクロホン部111を備える。マイクロホン部111は、3つのマイクロホンを含む。3つのマイクロホンは、マイクロホン111L、マイクロホン111R、およびマイクロホン111Cから構成される。このうち、マイクロホン111Lおよびマイクロホン111Rは、デジタルカメラ100の本体の上面に、左右方向に並んで位置する。また、マイクロホン111Cは、マイクロホン111Lが位置する点と、マイクロホン111Rが位置する点とを結ぶ線分に対する垂直二等分線上、かつ、マイクロホン111Lおよびマイクロホン111Rの前方に位置する。また、マイクロホン111Cは、ストロボ200の上面に位置する。ストロボ200が閉じた状態では、3つのマイクロホン(すなわちマイクロホン111Lおよびマイクロホン111Rおよびマイクロホン111C)を含む平面と、鏡筒141の光軸とは、ほぼ平行である。
【0016】
図1(b)は、ストロボ200が上方に開いた状態(本体から上方に突出した状態)のデジタルカメラ100の正面斜視図である。デジタルカメラ100の本体上面には、ストロボ200を回動させるための回転軸(図示せず)が、設けられている。この回転軸は、ストロボ200の後方において左右方向に延びている。ストロボ200はこの回転軸を中心として所定範囲内で回動することにより、ストロボ200の前方が上方に突出した状態、すなわち開いた状態となる。ストロボ200が開いた状態では、ストロボ200が閉じた状態を基準として、マイクロホン111Cが、デジタルカメラ100の上面から離れる方向に、所定量だけ移動する。したがって、ストロボ200が開いた状態では、3つのマイクロホン(すなわち、マイクロホン111L、マイクロホン111R、およびマイクロホン111C)を含む平面と、鏡筒141の光軸とは、ある角度θを成している。
【0017】
図9は、鏡筒141とマイクロホン111L、111R、111Cとの位置関係を示す図である。図9(a)は、ストロボ200が閉じた状態を示す。ストロボ200が閉じた状態では、鏡筒141の光軸と、マイクロホン111L、111R、111Cを含む平面とが、ほぼ平行である。図9(b)は、ストロボ200が開いた状態を示す。ストロボ200が開いた状態では、鏡筒141の光軸と、マイクロホン111L、111R、111Cを含む平面とが、ある角度θを成している。
【0018】
このように、デジタルカメラ100の本体と、デジタルカメラ100の本体に対して姿勢が変化するようなストロボ200とに、複数のマイクロホンが分散して配置されるような構成を取る場合は、デジタルカメラ100の本体とストロボ200との相対的な姿勢の変化により、収音される音声信号の特性も変化してしまう。そこで、本実施の形態のデジタルカメラ100は、後述するように、コントローラ130が、ストロボ開閉検出部202によるストロボ200の開閉状態の検出結果に応じて、指向特性の制御内容を決定する。そして、デジタル画像・音声処理部120が、この制御内容に応じて、マイクロホン111L、111Rの出力およびマイクロホン111Cの出力に対して、指向性合成処理を行う。これにより、デジタルカメラ100の本体とストロボ200との相対的な姿勢の変化(ストロボ200の開閉状態の変化)による指向性の差異を、軽減することができる。
【0019】
なお、ここに示す姿勢という文言は、ストロボの向きおよび位置のうち少なくともいずれか一方を含む文言である。
【0020】
図2は、デジタルカメラ100の背面構成図である。デジタルカメラ100は、その背面に中央釦185および十字釦186などの操作部180を、備える。また、デジタルカメラ100は、その背面に表示部190およびビューファインダー191を、備える。
【0021】
図3は、デジタルカメラ100の電気的構成図である。デジタルカメラ100は、画像入力系140、音声入力系110、デジタル画像・音声処理部120、コントローラ130、RAM150、ストロボ200、ストロボ開閉検出部202、外部記憶媒体160、ROM170、操作部180、表示部190、ビューファインダー191、およびスピーカー195を、備える。
【0022】
デジタルカメラ100は、外部から得られた情報に基づいて、画像情報および音声信号を生成する。画像情報は、画像入力系140によって生成される。音声信号は、音声入力系110によって生成される。ここで生成された画像情報および音声信号は、A/D変換され、デジタル画像・音声処理部120で各処理が施された後、メモリカード等の外部記憶媒体160に記録される。外部記憶媒体160に記録された画像情報は、使用者による操作部180の操作を受け付けて、表示部190および/またはビューファインダー191に表示される。外部記憶媒体160に記録された音声信号は、使用者による操作部180の操作を受け付けて、スピーカー195から出力される。
【0023】
以下、図1から図3に示す各部の詳細を説明する。
【0024】
画像入力系140は、鏡筒141、レンズ制御部142、CCDイメージセンサ143、およびAFE(アナログ・フロント・エンド)144を、備える。
【0025】
鏡筒141は、複数のレンズを有する光学系である。鏡筒141は、レンズ制御部142から通知された制御信号に従って駆動されたモータによって、被写体のフォーカス調節、画角調節、入射する光量調節、および手ぶれ補正などを行い、被写体像を形成する。
【0026】
CCDイメージセンサ143は、鏡筒141を通して形成された被写体像を撮像して、画像情報を生成する。CCDイメージセンサ143の受光面には、多数のフォトダイオードが、2次元的に(マトリクス状に)配列されている。また、各フォトダイオードに対応する、R、GまたはBの原色カラーフィルターが、配置されている。R、GおよびBの原色カラーフィルターは、所定の配列構造で配置されている。撮像対象となる被写体からの光は、鏡筒141を通過した後に、CCDイメージセンサ143の受光面に結像される。結像された被写体像は、各フォトダイオードへ入射した光量に応じて、R、GまたはBに仕分けられたそれぞれの色情報に、変換される。その結果、被写体像全体を示す画像情報が、生成される。各フォトダイオードは、CCDイメージセンサ143の画素に対応する。しかし、各フォトダイオードから実際に出力される色情報は、R、G、Bのいずれかの原色情報である。そのため、各画素のそれぞれで発現させるべき色は、後段のデジタル画像・音声処理部120において、各画素に対応するフォトダイオードおよび、その周辺のフォトダイオードから出力される原色情報(色、光量)に基づき生成される。なお、CCDイメージセンサ143は、デジタルカメラ100が撮影モードにあるとき、一定時間ごとに新しいフレームの画像情報を生成することができる。
【0027】
AFE144では、CCDイメージセンサ143から読み出された画像情報に対して相関二重サンプリングによる雑音抑圧、アナログゲインコントローラによるA/Dコンバータの入力レンジ幅への増幅、A/DコンバータによるA/D変換が、施される。その後、AFE144は、画像情報をデジタル画像・音声処理部120に出力する。
【0028】
ストロボ開閉検出部202は、ストロボ200が開いた状態であるか閉じた状態であるかを検出し、その検出結果をコントローラ130に入力する。開閉状態の検出は、例えば、ストロボ200を閉じたときにストロボ200により押下されてオンとなり、開いたときにオフとなるようなスイッチを設け、このスイッチのオン/オフをコントローラ130に入力することにより実現される。
【0029】
音声入力系110は、マイクロホン部111およびアナログ音声処理部115を、備える。マイクロホン部111は、マイクロホン111L、111R、111Cを含む。マイクロホン部111は、音響信号を各マイクロホンにより電気信号に変換して、アナログ音声処理部115に入力する。アナログ音声処理部115は、処理した音声信号をA/DコンバータによりA/D変換し、デジタル画像・音声処理部120に出力する。
【0030】
デジタル画像・音声処理部120は、AFE144から出力された画像情報、およびアナログ音声処理部115から出力された音声信号に対して、各種の処理を施す。例えば、デジタル画像・音声処理部120は、コントローラ130からの指示に従って、画像情報に対して、ガンマ補正、ホワイトバランス補正、傷補正、および符号化処理等を行う。また、デジタル画像・音声処理部120は、コントローラ130からの指示に従って、音声信号に対する各種処理を行う。デジタル画像・音声処理部120は、ハードワイヤードな電子回路で実現してもよいし、プログラムを実行するマイクロコンピュータなどで実現してもよい。デジタル画像・音声処理部120は、コントローラ130などと一体化した1つの半導体チップとして、実現してもよい。
【0031】
デジタル画像・音声処理部120は、マイクロホン部111の出力を演算処理して、指向性合成処理を行う。図7は、指向性合成処理の例である。鏡筒141の光軸に垂直な同一平面状にマイクロホン111Lとマイクロホン111Rとを配置する。マイクロホン111Lとマイクロホン111Rとが作る線分の垂直二等分線上にマイクロホン111Cを配置する。結果、マイクロホン111L、111R、111Cは、マイクロホン111Lとマイクロホン111Rとが作る線分を底辺とした二等辺三角形を、構成する。
【0032】
ここで、マイクロホン部111の配置、およびデジタル画像・音声処理部120による指向性合成処理について、図7を参照して詳細に説明する。
【0033】
図7(a)は、マイクロホン111L、111R、111C、および仮想マイクロホン111Bの位置を示す図である。仮想マイクロホン111Bについては、後述する。図7(a)は、ストロボ200の開閉の状態に関わらず、マイクロホン111L、111R、111Cを含む平面が紙面と平行となるように、マイクロホン111L、111R、111Cを図示している。マイクロホン111Lおよび111Rは、左右方向に並んで配置される。仮想マイクロホン111Bは、仮想的にマイクロホン111Lおよび111Rを結ぶ線分の中点上に位置するマイクロホンである。デジタル画像・音声処理部120は、仮想マイクロホン111Bの出力を、マイクロホン111Lおよび111Rの出力に基づいて演算することにより、生成する。マイクロホン111Lおよび111Rを結ぶ線分と、仮想マイクロホン111Bおよびマイクロホン111Cを結ぶ線分とは互いに垂直である。
【0034】
仮想マイクロホン111Bとマイクロホン111Cとの距離は、記号dで表されている。
【0035】
各マイクロホン111L、111R、111Cの出力を用いて、左方、右方、前方のそれぞれに指向性を有するように指向性合成処理が実行された場合の出力を、それぞれLch出力、Rch出力、Cch出力とする。
【0036】
図7(b)は、Lch出力を得るための指向性合成処理を示す図である。デジタルカメラ100の右方から来る音波は、先に右側のマイクロホン111Rに到達して、その後、時間τ1後に、左側のマイクロホン111Lに到達する。このため、右側のマイクロホン111Rの出力をこの時間τ1だけ遅延させて、この結果を左側のマイクロホン111Lの出力から引くことによって、右方から来る音波に対する出力は相殺される。遅延器1201は、時間τ1の遅延を、マイクロホン111Rの出力に与える。減算器1202は、マイクロホン111Lの出力から遅延器1201の出力を減算して、Lch出力を得る。以上の処理により、右方から来る音波に対して感度が低いLch出力が、得られる。
【0037】
図7(c)は、Rch出力を得る為の指向性合成処理を示す図である。左右が逆になっていること以外は、図7(b)と同様の処理である。すなわち、遅延器1203は、時間τ1の遅延を、マイクロホン111Lの出力に与える。減算器1204は、マイクロホン111Rの出力から遅延器1203の出力を減算して、Rch出力を得る。以上の処理により、左方から来る音波に対して感度が低いRch出力が得られる。
【0038】
図7(d)は、図7(a)に記載の仮想マイクロホン111Bの出力を得るための処理を示す図である。左右のマイクロホン111L、111Rの出力の平均を取ることで、幾何学的に左右のマイクロホンの中央に位置する仮想マイクロホン111Bの出力を、得る。増幅器1205は、マイクロホン111Lの出力を半分にする。増幅器1206は、マイクロホン111Rの出力を半分にする。加算器1207は、増幅器1205の出力と1206の出力とを足し合わせる。これにより、仮想マイクロホン111Bの出力を得る。
【0039】
図7(e)は、Cch出力を得るための指向性合成処理を示す図である。後方から来る音波は、先に後側のマイクロホン、すなわち仮想マイクロホン111Bに到達して、その後、時間τ2後に、前側のマイクロホン111Cに到達する。後側の仮想マイクロホン111Bの出力をこの時間τ2だけ遅延させて、この結果を前側のマイクロホン111Cの出力から引けば、後方から来る音波に対する出力は相殺される。遅延器1208は、時間τ2の遅延を、仮想マイクロホン111Bの出力に与える。減算器1209は、マイクロホン111Cの出力から遅延器1208の出力を減算して、Cch出力を得る。以上の処理により、後方からくる音波に対して感度が低いCch出力が得られる。
【0040】
上述した指向性合成処理によって出力される各出力は、次のように表現される。
【0041】
Lch出力;Lch(t)=Lcho(t)−Rcho(t−τ1)
Rch出力;Rch(t)=Rcho(t)−Lcho(t−τ1)
Cch出力;Cch(t)=Ccho(t)−Bcho(t−τ2)、Bcho(t−τ2)=Lcho(t−τ2)/2+Rcho(t−τ2)/2
ここでは、各マイクロホン111L、111R、111C、111Bの実出力を、Lcho(t)、Rcho(t)、Ccho(t)、Bcho(t)と記し、指向性合成処理によって出力される出力を、Lch(t)、Rch(t)、Cch(t)と記している。Lch(t)、Rch(t)、およびCch(t)それぞれは、上述した、Lch出力、Rch出力、Cch出力に対応している。
【0042】
図8に示すように、指向性合成処理後の各出力Lch(t)、Rch(t)、Cch(t)は、実出力Lcho(t)、Rcho(t)、Bcho(t)を、遅延器1201、1203、1208によって遅延させることによって、求められる。
【0043】
例えば、遅延器1201、1203、1208では、新しいデータLcho(t)、Rcho(t)、Bcho(t)が入力されると、古いデータLcho(t−τ1)、Rcho(t−τ1)、Bcho(t−τ2)が出力される。より具体的には、図8では、実出力Lcho(t)、Rcho(t)、Bcho(t)が、遅延時間τ1、τ2の半分の時間ごとに、遅延器1201、1203、1208に入力される。そして、遅延時間τ1、τ2が経過すると、過去の実出力Lcho(t−τ1)、Rcho(t−τ1)、Bcho(t−τ2)が、出力される。
【0044】
ここでは、遅延器1201、1203、1208は、デジタル画像・音声処理部120に含まれている。例えば、デジタル画像・音声処理部120が、DSP(Digital Signal Processor)を有する場合、DSPの遅延メモリ上、例えばDSPのレジスタ上で、上記の遅延処理が実行される。これにより、実出力Lcho(t)、Rcho(t)、Bcho(t)をRAM150に格納する場合より、データに対するアクセス速度を向上することができるので、指向性合成処理を高速化することができる。
【0045】
以上説明したような指向性合成処理をデジタル画像・音声処理部120おいて実行することによって、Lch出力Lch(t)、Rch出力Rch(t)、およびCch出力Cch(t)が、得られる。これにより、デジタルカメラ100によって撮影された対象(撮影対象)に対応する音声のみを、抽出することができる。すなわち、後方の音声の影響を除外することによって、撮影対象に対応する音声を、リアリティのある音声として、記録することができる。
【0046】
なお、図8では、説明を容易にするために、実出力Lcho(t)、Rcho(t)、Bcho(t)が、遅延時間τ1、τ2の半分の時間ごとに、遅延器1201、1203、1208に入力される場合の例を示したが、実出力Lcho(t)、Rcho(t)、Bcho(t)が遅延器1201、1203、1208に入力される時間間隔は、前記実施形態に限定されず、どのようにしてもよい。
【0047】
表示部190は、デジタルカメラ100の背面に配置される。本実施の形態では、表示部190は、液晶ディスプレイである。表示部190は、デジタル画像・音声処理部120にて処理された画像情報に対応する画像を、表示する。表示部190が表示する画像には、スルー画像および再生画像などがある。スルー画像は、CCDイメージセンサ143により一定時間ごとに連続的に新たに生成されるフレームの画像である。通常は、デジタルカメラ100が撮影モードに設定された状態において、静止画撮影を行っていない待機状態、または動画撮影状態にあるときに、デジタル画像・音声処理部120が、CCDイメージセンサ143の生成した画像情報から、スルー画像を生成する。使用者は、表示部190に表示されるスルー画像を、参照することにより、被写体の構図を確認しながら被写体を撮影できる。
【0048】
再生画像は、デジタルカメラ100が再生モードにあるときに、デジタル画像・音声処理部120により生成される。再生画像は、外部記憶媒体160等に記録された高画素の記録画像を、表示部190のサイズに合わせて低画素に縮小した画像である。外部記憶媒体160に記録される高画素の画像情報は、レリーズ釦181が使用者による所定の操作を受け付けた後に、CCDイメージセンサ143が生成した画像情報に基づいて、デジタル画像・音声処理部120により生成される。スピーカー195は、外部記憶媒体160に記録された音声信号を、出力する。表示部190が表示する表示内容は、ビューファインダー191に表示することもできる。
【0049】
コントローラ130は、デジタルカメラ100全体の動作を統括制御する。
【0050】
ROM170は、コントローラ130が実行するためのプログラム、例えばオートフォーカス制御(AF制御)や自動露出制御(AE制御)、ストロボ200の発光制御などに関するプログラム、およびデジタルカメラ100全体の動作を統括制御するためのプログラム等を、格納している。
【0051】
また、ROM170は、ストロボ開閉検出部の検出結果(ストロボが閉じた状態か開いた状態かを検出した結果)を含む、デジタルカメラ100に関する各種条件および設定を、記憶する。なお、本実施の形態では、ROM170は、フラッシュROMである。
【0052】
コントローラ130は、ハードワイヤードな電子回路で実現してもよいし、プログラムを実行するマイクロコンピュータなどで実現してもよい。また、コントローラ130は、デジタル画像・音声処理部120などと一体的に1つの半導体チップとして実現してもよい。また、ROM170は、コントローラ130の外部に(コントローラ130とは別体として)存在している必要はなく、コントローラ130の内部に組み込まれていてもよい。
【0053】
RAM150は、デジタル画像・音声処理部120およびコントローラ130のワークメモリとして機能する。RAM150は、SDRAMやフラッシュメモリなどで実現できる。RAM150は、画像情報および音声信号などを記録するための内部メモリとしても機能する。なお、ストロボ開閉検出部の検出結果をRAM150に記憶するようにしてもよい。
【0054】
外部記憶媒体160は、内部にフラッシュメモリ等の不揮発性の記録部を備えた外部メモリである。外部記憶媒体160は、デジタル画像・音声処理部120で処理される画像情報および音声信号などのデータを、記録可能である。
【0055】
操作部180は、デジタルカメラ100の外装に配置される操作釦や操作ダイヤルなどの操作インターフェースの総称である。操作部180は、使用者による操作を受け付ける。操作部180は、例えば、図1、図2および図3に示したレリーズ釦181、電源スイッチ183、モードダイヤル184、中央釦185および十字釦186などを、含んでいる。操作部180は、使用者による操作を受け付けると、コントローラ130に対して、種々の動作を指示する信号を、通知する。
【0056】
レリーズ釦181は、半押し状態と全押し状態の二段階に遷移する押下式釦である。レリーズ釦181が使用者により半押しされると、コントローラ130は、AF(Auto Focus)制御および/またはAE(Auto Exposure)制御などを実行し、撮影条件を決定する。AF制御においては、デジタル画像・音声処理部120が画像情報の所定領域におけるコントラスト値を算出し、これに基づいてコントローラ130がレンズ制御部142を通じて鏡筒141を駆動させ、コントラスト値が最大になるようにフィードバック制御を行う。AF制御の結果、コントローラ130は、AF制御対象の被写体までの焦点距離を得る。また、AF制御の結果、鏡筒141は、AF制御対象の被写体像をCCDイメージセンサ143に結像させる。続いて、レリーズ釦181が使用者により全押しされると、コントローラ130は、全押しのタイミングに撮像された画像情報を外部記憶媒体160などに記録する。
【0057】
電源スイッチ183は、デジタルカメラ100の各部への電力供給をON/OFFするためのスライド式スイッチである。電源OFF時に電源スイッチ183が使用者により右方にスライドされると、コントローラ130は、デジタルカメラ100の各部に電力を供給し、各部を起動する。電源ON時に電源スイッチ183が使用者により左方にスライドされると、コントローラ130は、デジタルカメラ100の各部への電力供給を停止する。
【0058】
モードダイヤル184は、回転式のダイヤルである。モードダイヤル184が使用者により回転されると、コントローラ130は、デジタルカメラ100の動作モードを、モードダイヤル184の現在の回転位置に対応する動作モードに、切り替える。動作モードには、例えば、オート撮影モード、マニュアル撮影モード、シーン選択モードなどが、含まれる。なお、ここでは、オート撮影モード、マニュアル撮影モード、およびシーン選択モードを総称して撮影モードと、呼ぶ。
【0059】
中央釦185は、押下式釦である。デジタルカメラ100が撮影モードあるいは再生モードにあるときに、中央釦185が使用者により押下されると、コントローラ130は、表示部190にメニュー画面を表示する。メニュー画面とは、使用者に様々な撮影条件および再生条件を設定させるための画面である。メニュー画面上で各種条件の設定項目の値が使用者により選択されている状態で、中央釦185が押下されると、その設定項目がその値に決定される。決定された設定は、ROM170に記憶される。
【0060】
十字釦186は、上下左右方向に設けられた4つの押下式釦を、備える。使用者は、十字釦186のいずれかの方向の釦を押下することにより、メニュー画面上に表示される各種条件の設定項目の値を、選択することができる。
【0061】
ストロボ200は、キセノン管を備える。キセノン管は、コンデンサと昇圧回路と発光トリガ回路とにより駆動される。昇圧回路は、コントローラ130からの制御信号に従って、コンデンサに高電圧を印加する。発光トリガ回路は、撮影と同期して、コンデンサに高電圧を放電させる。具体的には、発光トリガ回路は、コントローラ130からの制御信号に従って、印加充電されたコンデンサに高電圧を放電させて、キセノン管内のキセノンガスを瞬間的に発光させる。これにより、デジタルカメラ100は、発光された被写体を撮影することができる。すなわち、ストロボ200のキセノン管が被写体に対して撮像時に瞬間的に発光することによって、被写体の明るさを補った撮影ができる。
【0062】
なお、ストロボ200のキセノン管の発光には、プリ発光と本発光がある。プリ発光は、撮影前の発光である。プリ発行では、キセノン管の発光によって被写体からの反射光量の度合が測定され、この反射光量の度合いに基づいて被写体までの距離が判定される。そして、この判定結果に応じて、撮影時のキセノン管の発光量が求められる。本発光は、プリ発光により求められた発光量で、撮影のタイミングと同期して実行される。
【0063】
〔1−2.本発明との対応関係〕
デジタルカメラ100の本体は、本発明の第1の筐体の一例である。ストロボ200は、本発明の第2の筐体の一例である。マイクロホン部111は、本発明の収音部の一例である。マイクロホン111L、111Rは、本発明の第1マイクの一例である。マイクロホン111Cは、本発明の第2マイクの一例である。アナログ音声処理部115は、本発明の音声受付部の一例である。音声入力系110は、本発明の音声入力部の一例である。デジタル画像・音声処理部120は、本発明の指向性制御部の一例である。ストロボ開閉検出部202は、本発明の検出部の一例である。コントローラ130は、本発明の制御部の一例である。操作部180は、本発明の設定部の一例である。表示部190は、本発明の表示部の一例である。デジタルカメラ100は、本発明の収音装置の一例である。デジタルカメラ100は、本発明の電子機器の一例である。
【0064】
〔2.動作〕
続いて、本実施の形態1に係るデジタルカメラ100の動画撮影モード時の動作について説明する。デジタルカメラ100は、動画撮影モードにおける待機状態または動画撮影中である動画撮影状態において、スルー画像を表示部190に表示する。以下では、図4から図6を用いて、まず動画撮影モード時の全体的な動作の流れについて説明し、次にストロボ開閉検出処理の動作の流れについて説明し、次に動画撮影における音声記録の動作の流れについて説明する。
【0065】
図4は、デジタルカメラ100の動画撮影モード時の動作の全体的な流れを示すフローチャートである。モードダイヤル184が動画撮影モードを示した状態で、使用者により電源スイッチ183が操作されると、電源が投入される。すると、デジタルカメラ100は、動画撮影モードに入る。ステップS501の待機状態は、ステップS501aのスルー画像表示処理と、ステップS501bのストロボ開閉検出処理とを、含む。ステップS501aにおいて、コントローラ130は、表示部190に、デジタル画像・音声処理部120が出力するスルー画像を、表示する。ステップS501bにおいて、ストロボ開閉検出部202は、ストロボ200が閉じた状態か開いた状態かを検出し、検出結果をコントローラ130に入力する。ステップS501は、動画撮影モードにおける待機状態である。次に、ステップS502において、コントローラ130は、レリーズ釦181が押下されたかどうかを判定する。
【0066】
ステップS502において、コントローラ130が、レリーズ釦181が押下されたと判定すると(S502でYes)、ステップS504の動画撮影動作が実行される。ステップS504の動画撮影動作は、ステップS504vの画像記録動作と、ステップS504aの音声記録動作とを、含む。ステップS504の動画撮影動作においては、例えば1フレーム期間分の画像情報および音声信号の記録処理が行われる。なお、1フレーム期間とは、動画撮影時のフレームレートの逆数であり、例えばフレームレートが60フレーム/秒であれば、1フレーム期間は1/60秒となる。ステップS504vの画像記録動作については、構成の説明において概略を説明したとおりであり、詳細な説明は省略する。また、ステップS504aの音声記録動作の詳細については後述する。
【0067】
続いて、ステップS505において、コントローラ130は、レリーズ釦181が押下されたかどうかを判定する。ステップS505において、コントローラ130が、レリーズ釦181が押下されていないと判定すると(S505でNo)、コントローラ130は、ステップS504において次の1フレーム期間分の動画撮影動作を行う。また、コントローラ130が、レリーズ釦181が押下されたと判定すると(S505でYes)、コントローラ130は、動画撮影動作を終了し、ステップS501の待機状態を管理する。このように、動画撮影モードでは、デジタルカメラ100は、レリーズ釦181が押下されてから再び押下されるまでの間において、動画撮影動作を行う。
【0068】
一方、ステップS502において、コントローラ130がレリーズ釦を押下していないと判定すると(S502でNo)、コントローラ130は、ステップS503において撮影モードを判定する。ステップS503では、コントローラ130が、現在の動作モードが動画撮影モードかどうかを、判定する。ステップS503において、コントローラ130が、動作モードが動画撮影モードであると判定すると(S503でYes)、コントローラ130は、動画撮影モードの動作の始点であるステップS501を再び実行する。ステップS503において、コントローラ130が、動作モードが動画撮影モードでないと判定すると(S503でNo)、コントローラ130は動画撮影モードの動作を終了する。
【0069】
図5は、図4のフローチャートに記載のストロボ開閉検出処理(ステップS501b)の動作の流れを示すフローチャートである。以下、ストロボ開閉検出処理の動作の流れについて、説明する。
【0070】
ステップS701において、ストロボ開閉検出部202は、ストロボ200が開いた状態であるか閉じた状態であるかを検出し、その検出結果をコントローラ130に入力する。
【0071】
ステップS702において、コントローラ130は、ストロボ200が開いた状態かどうかを、ストロボ開閉検出部202の検出結果により判定する。ステップS702において、コントローラ130が、ストロボ200が開いた状態であると判定すると(S702でYes)、ステップS703が実行される。ステップS702において、コントローラ130が、ストロボ200が閉じた状態であると判定すると(S702でNo)、ステップS705が実行される。
【0072】
ステップS703では、コントローラ130は、ROM170に格納されたストロボオープンフラグをONに、更新する。また、ステップS705では、コントローラ130は、ROM170に格納されたストロボオープンフラグを、OFFに更新する。
【0073】
ステップS703のストロボオープンフラグをONに更新する処理、およびステップS705のストロボオープンフラグをOFFに更新する処理のいずれか一方の処理が終了した場合、ストロボ開閉検出処理の動作は終了する。
【0074】
図6は、図4のフローチャートに記載の音声記録(ステップS504a)の動作の流れを示すフローチャートである。以下、音声記録の動作の流れについて、説明する。
【0075】
ステップS601において、アナログ音声処理部115は、マイクロホン部111が出力する音声信号を受け付け、各種のアナログ信号処理を施した後にデジタル画像・音声処理部120に出力する。
【0076】
ステップS605において、コントローラ130は、ROM170にアクセスし、ROM170に格納されたストロボオープンフラグがONであるのかどうかを、判断する。コントローラ130が、ストロボオープンフラグがONでないと判断した場合(S605でYes)、ステップS606が実行される。コントローラ130が、ストロボオープンフラグがONであると判断した場合(S605でNo)、ステップS607が実行される。
【0077】
ステップS606では、デジタル画像・音声処理部120は、コントローラ130が読み出したストロボオープンフラグの値(すなわちOFF)に対応して、予め設定された指向性合成処理Aを施す。この場合、ストロボオープンフラグがOFFであるので、ストロボ200は閉じた状態である。つまり、マイクロホン111L、111R、111Cが位置する平面と、鏡筒141の光軸とは、図9(a)に示すようにほぼ平行である。
【0078】
ここでは、仮想マイクロホン111Bとマイクロホン111Cとの距離をdとし、音波の速度をcとする。この場合、後方から来る音波が、仮想マイクロホン111Bに到達してから、マイクロホン111Cに到達するまでの時間、すなわち遅延器1208の遅延量τ2は、
τ2=d/c ・・・式(1)
に設定される。
【0079】
ステップS607では、デジタル画像・音声処理部120は、コントローラ130が読み出したストロボオープンフラグの値(すなわちON)に対応して、予め設定された指向性合成処理Bを施す。この場合、ストロボオープンフラグがONであるので、ストロボ200は開いた状態である。つまり、マイクロホン111L、111R、111Cが位置する平面と、鏡筒141の光軸とは、図9(b)に示すように角度θを成す。
【0080】
この場合、後方から来る音波が、仮想マイクロホン111Bに到達してから、マイクロホン111Cに到達するまでの時間、すなわち遅延器1208の遅延量τ2は、
τ2=(d・cosθ)/c ・・・式(2)
に設定される。
【0081】
続いて、ステップ609では、上記のように指向性合成処理を施された音声信号を記録処理が、行われる。
【0082】
以上のように、遅延器で遅延させる遅延時間τ2を、ストロボ200の開閉に応じて変更することによって、ストロボ200の開閉による指向性の変化を、小さくすることができる。すなわち、図7に示す指向性合成処理を行うことにより、ストロボ200の開閉状態による指向性の差異を、軽減することができる。
【0083】
〔3.まとめ〕
以上のように、本実施の形態のデジタルカメラ100は、デジタルカメラ100の本体と、デジタルカメラ100の本体に対して位置および向きの少なくともいずれか一方の状態が可変なストロボ200と、デジタルカメラ100の本体に設けられ、収音により第1音声信号を出力するマイクロホン111Lおよび/または111Rと、ストロボ200に設けられ、収音により第2音声信号を出力するマイクロホン111Cと、を備える。
【0084】
このようにすることで、デジタルカメラを小型化した際に、デジタルカメラ100の本体にマイクロホンを配置するスペースが足りなくなったとしても、本体とは別の部材上、すなわち本体に対する可動部材であるストロボ200上に、マイクロホンを配置することができる。これにより、小型の機器にも搭載可能な収音装置を、提供することができる。
【0085】
また、本実施の形態のデジタルカメラ100において、デジタルカメラ100の本体に対するストロボ200の位置および向きの少なくともいずれか一方の状態を検出するストロボ開閉検出部202と、ストロボ開閉検出部202によるストロボ200の状態の検出結果に応じて指向特性の制御内容を決定するコントローラ130と、この制御内容に応じて、第1音声信号および第2音声信号に対して指向性合成処理を行うデジタル画像・音声処理部120と、をさらに備える。
【0086】
このようにすることで、ストロボ200の開閉に応じて制御内容を変更することによって、ストロボ200の開閉状態の違いによる指向性の変化を、小さくすることができる。すなわち、このような指向性合成処理を行うことにより、ストロボ200の開閉状態による指向性の差異を、軽減することができる。
【0087】
〔他の実施の形態〕
本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の実施形態が考えられる。以下、本発明の他の実施の形態についてまとめて記載する。
【0088】
上記実施の形態において、マイクロホン111Cを備えたストロボ200は、デジタルカメラ100の本体に対して所定範囲内で回動することにより、デジタルカメラ100の本体に収納された状態(閉じた状態)、および上方に突出した状態(開いた状態)を取るものとした。しかしながら、ストロボ200は、デジタルカメラ100の本体に対して位置および向きのうち少なくともいずれか一方の状態が可変であればよい。より厳密には、マイクロホン111Cが、デジタルカメラ100の本体上に設けられたマイクロホン111L、111Rに対して位置および向きのうち少なくともいずれか一方の関係が変化するように、本体に対して可動部材であるストロボ200が可動すればよい。
【0089】
上記実施の形態において、デジタルカメラ100の本体はマイクロホン111Lおよび111Rを備え、マイクロホン111Lおよび111Rの出力から仮想的に仮想マイクロホン111Bの出力を得る構成とした。しかしながら、マイクロホン111Lおよび111Rの代わりに、マイクロホン111B’を備えるようにしてもよい。すなわち、マイクロホン111Lおよび111Rを配置すべき位置を結ぶ線分の中点上に、仮想マイクロホン111Bの代わりにマイクロホン111B’を備えるようにしてもよい。この場合、仮想マイクロホン111Bの出力の代わりに、マイクロホン111B’の出力が使用される。
【0090】
上記実施の形態において、ストロボ200が開いたときは、遅延器1208の遅延量τ2を、ストロボ200を閉じたときとは異なる値に設定することによって、Cch出力を得る構成とした。これに代えて、ストロボ200が開いた状態では、マイクロホン111cを用いずに、マイクロホン111Lの出力とマイクロホン111Rの出力とを加算してCch出力を得る構成としても良い。また、ここで得られたCch出力に対して所定の計数を乗じることによって、Cch出力を調整しても良い。なお、ストロボ200が閉じた状態では、前記実施形態と同様の処理が実行される。
【0091】
上記実施の形態において、マイクロホン部を構成する3個のマイクロホンが、三角形を形成するように構成した。この場合、マイクロホン111Cが前側に配置され、マイクロホン111L、111Rが後側に配置されている。これに代えて、図10(a)に示すように、マイクロホン111Cを後側(デジタルカメラ100の本体)に配置し、マイクロホン111L、111Rを前側(ストロボ200)に配置する構成としてもよい。この場合、マイクロホン111Cは、デジタルカメラ100の本体に設けられ、マイクロホン111L、111Rはストロボ200に設けられる。
【0092】
この場合、図10(b)に示すように、仮想マイクロホン111Bの出力が加算器1207に直接入るようにラインは構成され、遅延器1208’がマイクロホン111Cの出力ラインに配置される。そして、前述の式(2)で示した遅延量τ2の遅延器1208’の出力と、マイクロホン111Bの出力とを、加算器1207により加算することによって、Cch出力を得る構成としても良い。
【0093】
上記実施の形態において、Lch出力とRch出力およびCch出力とは、図7(a)〜図7(e)に示す指向性合成処理により構成するとした。しかし、鏡筒141の光軸指向性合成処理は図7(a)〜図7(e)に示す以外の構成でも良い。
【0094】
上記実施の形態において、ストロボ200が開いたときは、遅延器1208の遅延量τ2を変えてCch出力を得る構成とした。これに代えて、ストロボ200が開いた状態では、マイクロホン111cを用いない構成としても良い。なお、ストロボ200が閉じた状態では、前記実施形態と同様の処理が実行される。
【0095】
上記実施の形態において、マイクロホン111L、111Rがデジタルカメラ100の本体に配置され、マイクロホン111Cがストロボ200に配置されるものとした。しかしながら、3個のマイクロホンが、デジタルカメラ100の本体およびストロボ200に分散して配置されていれば、ストロボ200の開閉により各々の位置や向きの関係が変化するようになっていれば、3個のマイクロホンはどのように配置してもよい。言い換えると、デジタルカメラ100の本体およびストロボ200の各々に、少なくとも1つのマイクロホンが配置されるような構成であればよい。配置が上記実施の形態と異なる場合であっても、ストロボ200の開閉による指向性の変化を軽減するように、遅延器で遅延させる時間τ2を、ストロボ200の開閉に応じて変更すればよい。
【0096】
上記実施の形態において、マイクロホン部111はマイクロホン3個で構成するようにした。しかしながら、マイクロホン部111は3個に限らない。少なくとも2個以上のマイクロホンで構成するようにしても良い。
【0097】
上記実施の形態において、音声処理装置としてデジタルカメラ100を例に挙げて説明した。しかしながら、入力される音声に対して同様の処理を行う電子機器であればよい。すなわち、画像に関する処理を行わない装置であってもよく、例えばボイスレコーダのような電子機器であってもよい。また、本体に対する可動部材はストロボ200でなくともよく、本体および、本体に対して可動する部材にマイクロホンが分散して配置されていればよい。
【0098】
上記実施の形態において、デジタル画像・音声処理部120およびコントローラ130は、各々上記のような機能および構成を有するものとして説明したが、これら機能および構成は、の一部が他方に含まれるような構成としてもよい。
【0099】
上記実施の形態において、CCDイメージセンサ143を、撮像部の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、CMOSイメージセンサや、NMOSイメージセンサなど他の撮像素子であっても本発明に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
ここに開示される技術によれば、小型の電子機器にも搭載可能な収音装置を提供することができるため、デジタルカメラ、ムービーカメラ、携帯電話、ボイスレコーダなど、音声データの記録を行う機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0101】
100 デジタルカメラ
110 音声入力系
111 マイクロホン部
111L マイクロホン
111R マイクロホン
111C マイクロホン
111B 仮想マイクロホン
115 アナログ音声処理部
120 デジタル画像・音声処理部
130 コントローラ
140 画像入力系
141 鏡筒
142 レンズ制御部
143 CCDイメージセンサ
150 RAM
160 外部記憶媒体
170 ROM
180 操作部
181 レリーズ釦
182 ズームレバー
183 電源スイッチ
184 モードダイヤル
185 中央釦
186 十字釦
190 表示部
195 スピーカー
200 ストロボ
202 ストロボ開閉検出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、
前記第1の筐体に対して姿勢を変更可能な第2の筐体と、
前記第1の筐体に設けられ、収音により第1音声信号を出力する第1マイクと、
前記第2の筐体に設けられ、収音により第2音声信号を出力する第2マイクと、
を備えた収音装置。
【請求項2】
前記第1の筐体に対する前記第2の筐体の前記姿勢を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記第2筐体の前記姿勢に応じて、指向特性の制御内容を決定する制御部と、
前記制御内容に応じて、前記第1音声信号および前記第2音声信号に対する信号処理を行う指向性制御部と、
を備えた請求項1記載の収音装置。
【請求項3】
前記第2の筐体は、前記第1の筐体に対して、位置および向きの少なくともいずれか一方を変更可能なように、装着されている、
請求項1又は2に記載の収音装置。
【請求項4】
前記第1の筐体は、カメラ本体であり、
前記第2の筐体は、前記カメラ本体に対して収納姿勢および突出姿勢の少なくとも2つの姿勢をとるストロボ部材である、
請求項1記載の収音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−195922(P2012−195922A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122125(P2011−122125)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】