説明

取付けブラケット、壁パネルの取付け構造及び壁パネルの取付け方法

【課題】躯体へ壁パネルを取り付ける際の作業効率を向上させることが可能な、取付けブラケット、壁パネルの取付け構造及び壁パネルの取付け方法を提供する。
【解決手段】壁パネル4の裏面に当接して取り付けられる壁パネル取付け部12と、壁パネル取付け部12に対して壁パネル4の厚さ方向へオフセットして配置されるとともに、躯体2に当接して取り付けられる躯体取付け部14を備えた取付けブラケット1であって、壁パネル取付け部12に、壁パネル4を取り付けるための壁パネル側取付け孔18を形成し、躯体取付け部14の少なくとも一部に、壁パネル4の端部24から張り出した張出し部22を形成し、張出し部22における壁パネル4の表面側から見て視認可能な位置に、躯体2へ取り付けるための躯体側取付け孔26を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、住宅の外壁等、建築物の躯体に壁パネルを取り付ける取付けブラケット、壁パネルの取付け構造及び壁パネルの取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅の外壁等、建築物の躯体に壁パネルを取り付ける際には、例えば、特許文献1に記載されているような取付けブラケットが用いられている。
特許文献1に記載されている取付けブラケットは、図14及び図15に示すように、第一取付け部材44と、第二取付け部材46と、締結手段48とを備えている。なお、図14は、従来例の取付けブラケットを用いて躯体に壁パネルを取り付けた状態を示す図であり、図15は、図14のA−A線断面図である。
第一取付け部材44は、壁パネル4の厚さ方向に延在する板状部材であり、壁パネル4の枠側面50と平行に配置されている。第一取付け部材44の一方の端部は、壁パネル4の枠側面50に回転自在に取り付けられている。第一取付け部材44の壁パネル4の厚さ方向に沿った長さは、壁パネル4と躯体2との間に、例えば、グラスウール等の断熱材を配置するための隙間20が形成される長さとなっている。
【0003】
第二取付け部材46は、外壁面に沿って延在する板状部材であり、第一取付け部材44と同様、壁パネル4の枠側面50と平行に配置されている。第二取付け部材46の一方の端部は、躯体2側に固定されている。
締結手段48は、ボルト8及びナット10から形成されており、第一取付け部材44の他方の端部と第二取付け部材46の他方の端部とを接合している。
このような構成の取付けブラケットであれば、第一取付け部材44を壁パネル4に取付ける際に、ウレタンボード等の内装面材を切り欠く必要がないため、構成が簡素化され、施工コストを低減させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−97435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている取付けブラケットでは、第一取付け部材及び第二取付け部材が、壁パネルの枠側面と平行に配置されている。
このため、第一取付け部材と第二取付け部材とを接合する際には、壁パネルと躯体との間に形成された隙間内で、ボルトとナットを嵌合させる作業を行う必要があり、作業効率が低下してしまうおそれがある。
本発明は、上述したような問題点に着目してなされたもので、躯体へ壁パネルを取り付ける際の作業効率を向上させることが可能な、取付けブラケット、壁パネルの取付け構造及び壁パネルの取付け方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、建築物の躯体に壁パネルを取り付ける取付けブラケットであって、
前記壁パネルの裏面に当接して取り付けられる壁パネル取付け部と、当該壁パネル取付け部に対して前記壁パネルの厚さ方向へオフセットして配置されるとともに前記躯体に当接して取り付けられる躯体取付け部と、を備え、
前記壁パネル取付け部に、前記壁パネルを取り付けるための壁パネル側取付け孔を形成し、
前記躯体取付け部の少なくとも一部を、前記壁パネルの端部から張り出した張出し部とし、
前記張出し部における前記壁パネルの表面側から見て視認可能な位置に、前記躯体へ取り付けるための躯体側取付け孔を形成したことを特徴とするものである。
【0007】
本発明によると、躯体取付け部に設定した張出し部における、壁パネルの表面側から見て視認可能な位置に、壁パネルを躯体へ取り付けるための躯体側取付け孔を形成している。なお、上記の「躯体」とは、例えば、住宅の外壁等を形成する外部躯体や、住宅の内壁等を形成する内部躯体である。また、上記の「壁パネル」とは、例えば、住宅の外壁等を形成する外部躯体に取り付ける外壁パネルや、住宅の内壁等を形成する内部躯体に取り付ける内壁パネルである。
このため、躯体取付け部を躯体へ取付ける際に躯体側取付け孔に挿通するビス等の固定部品を、壁パネルの表面側から躯体側取付け孔へ挿通することが可能となる。
【0008】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明であって、平板を屈曲成形して前記壁パネル取付け部及び前記躯体取付け部を形成したことを特徴とするものである。
本発明によると、壁パネル取付け部及び躯体取付け部を、平板を屈曲成形して形成しているため、取付けブラケットの成形が容易かつ安価となる。なお、取付けブラケットは、躯体よりも外側、すなわち、防水面よりも外側に配置されるため、平板の材料としては、ステンレスを用いることが好適である。
【0009】
次に、請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した発明であって、取付けブラケットを、前記壁パネルの表面側から見てL字形状に形成し、
前記壁パネルの端部と平行な前記張出し部の寸法長さを、前記壁パネルの端部と平行な前記壁パネル取付け部の寸法長さよりも短くしたことを特徴とするものである。
本発明によると、取付けブラケットを、壁パネルの表面側から見てL字形状に形成しているとともに、壁パネルの端部と平行な張出し部の寸法長さを、壁パネルの端部と平行な壁パネル取付け部の寸法長さよりも短くしている。
このため、隣り合う壁パネルを躯体へ取り付ける際に、一方の取付けブラケットに形成された張出し部を、隣り合う壁パネルの配列方向から見て、他方の取付けブラケットに形成された壁パネル取付け部と、互いに重なった状態で配置することが可能となる。
【0010】
次に、請求項4に記載した発明は、請求項2または3に記載した発明であって、前記壁パネル取付け部及び前記躯体取付け部のうち少なくとも一方の曲げ変形を抑制する曲げ変形抑制部を備え、
前記曲げ変形抑制部は、前記平板の一部を厚さ方向に突出するように成形して形成したことを特徴とするものである。
本発明によると、取付けブラケットが、壁パネル取付け部及び躯体取付け部のうち少なくとも一方の曲げ変形を抑制する曲げ変形抑制部を備えているため、躯体への壁パネルの取付け状態を安定させることが可能となる。
また、本発明によると、曲げ変形抑制部を、平板の一部を厚さ方向に突出するように成形して形成しているため、曲げ変形抑制部を容易に形成することが可能となる。
【0011】
次に、請求項5に記載した発明は、請求項2から4のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記壁パネル側取付け孔及び前記躯体側取付け孔のうち少なくとも一方は、前記壁パネルの上下方向または左右方向へ延在する長孔形状に形成されていることを特徴とするものである。
本発明によると、壁パネル側取付け孔及び躯体側取付け孔のうち少なくとも一方を、壁パネルの上下方向または左右方向へ延在する長孔形状に形成している。
このため、壁パネル側取付け孔と壁パネルとの間や、躯体側取付け孔と躯体との間に、壁パネルの上下方向または左右方向への取付け精度のずれが発生しても、このずれを吸収することが可能となる。
【0012】
次に、請求項6に記載した発明は、請求項2から5のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記壁パネル側取付け孔及び前記躯体側取付け孔のうち少なくとも一方は、複数形成されていることを特徴とするものである。
本発明によると、壁パネル側取付け孔及び躯体側取付け孔のうち少なくとも一方を、複数形成している。
このため、壁パネル側取付け孔を複数形成している場合、複数形成した壁パネル側取付け孔の両方を用いて、壁パネル取付け部に壁パネルを取付けることにより、壁パネル取付け部と壁パネルとの相対回転を防止することが可能となる。
【0013】
また、本発明によると、壁パネル側取付け孔及び躯体側取付け孔のうち少なくとも一方を、複数形成している。
このため、躯体側取付け孔を複数形成している場合、躯体と取付けブラケットとの取付け状態が好適ではない場合等に、未使用の躯体側取付け孔を用いて、取付けブラケットを躯体へ取付けることが可能となる。
【0014】
次に、請求項7に記載した発明は、請求項2から6のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記躯体側取付け孔を、前記躯体取付け部のうち前記躯体に当接する部分よりも前記壁パネルの表面側にオフセットして配置したことを特徴とするものである。
本発明によると、躯体側取付け孔を、躯体取付け部のうち躯体に当接する部分よりも、壁パネルの表面側にオフセットして配置している。
このため、躯体側取付け孔が、躯体取付け部のうち躯体に当接する部分に配置されている場合と比較して、躯体側取付け孔に挿通されるビス等の固定部品を用いた作業が容易となり、取付けブラケットの躯体への取付け作業が容易となる。
【0015】
次に、請求項8に記載した発明は、請求項2から7のうちいずれか1項に記載した発明であって、隣り合う前記壁パネルの裏面にそれぞれ取り付けられる二つの前記壁パネル取付け部と、これら二つの壁パネル取付け部の間に配置される一つの前記躯体取付け部と、を備えたことを特徴とするものである。
本発明によると、取付けブラケットが、隣り合う壁パネルにそれぞれ取り付けられる二つの壁パネル取付け部と、これら二つの壁パネル取付け部の間に配置される一つの躯体取付け部とを備えている。
このため、一つの取付けブラケットによって、二つの壁パネルを躯体へ取付けることが可能となる。
【0016】
次に、請求項9に記載した発明は、請求項1から8のうちいずれか1項に記載した取付けブラケットを用いて躯体に複数の壁パネルを取り付ける壁パネルの取付け構造であって、
隣り合う前記壁パネルにそれぞれ取り付けられた二つの前記取付けブラケットを、これらの取付けブラケットの前記張出し部に形成された前記躯体側取付け孔同士が前記端部の長さ方向から見て互いに重なり、且つ前記躯体側取付け孔同士の間隔が所定の間隔以上となるように配置したことを特徴とするものである。
本発明によると、隣り合う壁パネルにそれぞれ取り付けられた取付けブラケットに形成された躯体側取付け孔同士が、壁パネルの端部の長さ方向から見て互いに重なり、且つ互いの間隔が所定の間隔以上となるように配置されている。
【0017】
このため、躯体側取付け孔に挿通されるビス等の固定部品同士の間隔が、所定の間隔以上となり、ビス等の固定部品が躯体から外れることを防止することが可能となるため、躯体から取付けブラケットが外れることを防止することが可能となる。
なお、「所定の間隔」とは、例えば、壁パネルの端部の長さ方向から見て互いに重なるように配置された躯体側取付け孔に、それぞれ挿通されるビス等の固定部品によって、躯体に損傷が生じてビス等の固定部品が躯体から外れることの無い間隔である。
【0018】
次に、請求項10に記載した発明は、請求項1から8のうちいずれか1項に記載した取付けブラケットを用いて躯体に壁パネルを取り付ける壁パネルの取付け方法であって、
前記壁パネル取付け部に前記壁パネルを取り付けた後、前記躯体取付け部を前記躯体に取り付けることを特徴とするものである。
本発明によると、取付けブラケットを用いて躯体に壁パネルを取り付ける際に、壁パネル取付け部に壁パネルを取り付けた後、躯体取付け部を躯体に取り付けている。
このため、壁パネル取付け部に壁パネルを取り付ける際には、壁パネルと躯体との間に形成される空間よりも広い空間において、壁パネル取付け部に壁パネルを取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、躯体取付け部を躯体に取り付ける際に、躯体側取付け孔に挿通するビス等の固定部品を、壁パネルの表面側から躯体側取付け孔へ挿通することが可能となるため、躯体へ壁パネルを取り付ける際の作業効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一実施形態の取付けブラケットを用いて、建築物の躯体に複数の壁パネルを取り付けた状態を示す図である。
【図2】図1のII線矢視図である。
【図3】本発明の第一実施形態の取付けブラケットの構成を示す図である。
【図4】図3のIV線矢視図である。
【図5】本発明の第一実施形態の変形例を示す図であり、図5(a)は、取付けブラケットを壁パネルの表面側から見た図、図5(b)は、図5(a)のB線矢視図、図5(c)は、図5(a)のC線矢視図である。
【図6】本発明の第一実施形態の変形例を示す図であり、図6(a)は、取付けブラケットを壁パネルの表面側から見た図、図6(b)は、図6(a)のB線矢視図、図6(c)は、図6(a)のC線矢視図である。
【図7】本発明の第一実施形態の変形例を示す図であり、図7(a)は、取付けブラケットを壁パネルの表面側から見た図、図7(b)は、図7(a)のB線矢視図、図7(c)は、図7(a)のC線矢視図である。
【図8】本発明の第一実施形態の変形例を示す図であり、図8(a)は、取付けブラケットを壁パネルの表面側から見た図、図8(b)は、図8(a)のB線矢視図、図8(c)は、図8(a)のC線矢視図である。
【図9】本発明の第二実施形態の取付けブラケットの構成を示す図である。
【図10】本発明の第三実施形態の取付けブラケットを用いて、躯体に壁パネルを取り付けた状態を示す図である。
【図11】本発明の第三実施形態の取付けブラケットの構成を示す図であり、図11(a)は、取付けブラケットを壁パネルの表面側から見た図、図11(b)は、図11(a)のB線矢視図、図11(c)は、図11(a)のC線矢視図である。
【図12】本発明の第三実施形態の変形例を示す図である。
【図13】本発明の第四実施形態の取付けブラケットの構成を示す図である。
【図14】従来例の取付けブラケットを用いて躯体に壁パネルを取り付けた状態を示す図である。
【図15】図14のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
(構成)
まず、図1から図4を用いて、本実施形態の構成を説明する。
図1は、本実施形態の取付けブラケット1を用いて、建築物の躯体2に複数の壁パネル4を取り付けた状態を示す図であり、図2は、図1のII線矢視図である。また、図3は、取付けブラケット1の詳細な構成を示す図であり、図4は、図3のIV線矢視図である。
【0022】
なお、本実施形態では、躯体2を、住宅の外壁等を形成する外部躯体とし、壁パネル4を、住宅の外壁に取り付ける外壁パネルとした場合を例にあげて説明する。
なお、図1中では、躯体2に取り付けた複数の壁パネル4のうち、隣り合う二枚の壁パネル4a,4bを示しており、以下の説明では、この壁パネル4a,4bを躯体2に取り付ける取付けブラケット1について記載する。また、以下の説明では、必要に応じて、壁パネル4aを躯体2に取り付ける取付けブラケット1を、取付けブラケット1aと記載し、壁パネル4bを躯体2に取り付ける取付けブラケット1を、取付けブラケット1bと記載する。
【0023】
躯体2の外側面には、防水シートの接着や防水塗料の塗装等により、防水面(図示せず)が設けられている。また、躯体2の内部には、木材等によって構成された芯材6が配置されている。
壁パネル4は、例えば、気泡コンクリート等を用いて形成され、耐火性を有する板状部材となっており、その裏面には、後述するボルト8が嵌合するナット10が複数個埋め込まれている。なお、以下の説明では、必要に応じて、壁パネル4aに埋め込まれているナット10を、ナット10aと記載し、壁パネル4bに埋め込まれているナット10を、ナット10bと記載する。また、以下の説明では、必要に応じて、ナット10aに嵌合するボルト8を、ボルト8aと記載し、ナット10bに嵌合するボルト8を、ボルト8bと記載する。
【0024】
ナット10は、壁パネル4の重量等、壁パネル4及びナット10に、通常の状態で加わる負荷によって、壁パネル4の裏面からナット10が外れることが無く、取付けブラケット1から壁パネル4が外れることの無い位置に埋め込まれている。壁パネル4の裏面において、ナット10が埋め込まれる位置としては、例えば、壁パネル4の端部から、65mmの位置が設定される。また、壁パネル4a,4bは、共に、同じ位置に複数個のナット10a,10bが埋め込まれている。
【0025】
図1から図4中に示すように、本実施形態の取付けブラケット1は、壁パネル取付け部12と、躯体取付け部14と、曲げ変形抑制部16とを備えている。なお、以下の説明においては、必要に応じて、取付けブラケット1aが備えている壁パネル取付け部12、躯体取付け部14及び曲げ変形抑制部16を、それぞれ、壁パネル取付け部12a、躯体取付け部14a及び曲げ変形抑制部16aと記載する。同様に、取付けブラケット1bが備えている壁パネル取付け部12、躯体取付け部14及び曲げ変形抑制部16を、壁パネル取付け部12b、躯体取付け部14b及び曲げ変形抑制部16bと記載する。
【0026】
壁パネル取付け部12及び躯体取付け部14は、共に躯体2と平行をなしており、ステンレス製の平板を屈曲成形して形成されている。
壁パネル取付け部12は、壁パネル4の裏面に当接して取り付けられている。また、壁パネル取付け部12には、壁パネル4を取り付けるための壁パネル側取付け孔18が形成されている。なお、以下の説明においては、必要に応じて、壁パネル取付け部12aに形成されている壁パネル側取付け孔18を、壁パネル側取付け孔18aと記載し、壁パネル取付け部12bに形成されている壁パネル側取付け孔18を、壁パネル側取付け孔18bと記載する。
【0027】
壁パネル側取付け孔18は、壁パネル取付け部12の中心付近に配置されており、隣り合う二枚の壁パネル4a,4bの配列方向、すなわち、壁パネル4の左右方向へ延在する長孔形状に形成されている。
躯体取付け部14は、壁パネル取付け部12に対して壁パネル4の厚さ方向へオフセットして配置されるとともに、躯体2に当接して取り付けられている。
躯体取付け部14の、壁パネル取付け部12に対する壁パネル4の厚さ方向へのオフセット量は、壁パネル4と躯体2との間に、例えば、グラスウール等の断熱材を配置するための隙間20が形成されるオフセット量となっている。
【0028】
また、躯体取付け部14の一部は、張出し部22に設定されている。なお、以下の説明においては、必要に応じて、躯体取付け部14aに形成されている張出し部22を、張出し部22aと記載し、躯体取付け部14bに形成されている張出し部22を、張出し部22bと記載する。
張出し部22aは、壁パネル4aの、隣り合う壁パネル4、すなわち、壁パネル4bと対向する端部24から張り出している。なお、以下の説明においては、必要に応じて、壁パネル4aの、壁パネル4bと対向する端部24を、端部24aと記載する。
張出し部22bは、壁パネル4bの、隣り合う壁パネル4、すなわち、壁パネル4aと対向する端部24から張り出している。なお、以下の説明においては、必要に応じて、壁パネル4bの、壁パネル4aと対向する端部24を、端部24bと記載する。
【0029】
張出し部22の、端部24と平行な寸法長さL1は、壁パネル取付け部12の、端部24と平行な寸法長さL2よりも短く形成されている。これにより、取付けブラケット1は、壁パネル4の表面側から見て、L字形状に形成されている。
また、張出し部22の、端部24と平行な寸法長さL1と、壁パネル取付け部12の、端部24と平行な寸法長さL2は、L1≦L2/2の関係式を満足している。
張出し部22における壁パネル4の表面側から見て視認可能な位置には、躯体側取付け孔26が形成されており、この躯体側取付け孔26は、壁パネル4の表面側から見て、躯体2内に配置された芯材6と重なっている。なお、以下の説明においては、必要に応じて、張出し部22aに形成されている躯体側取付け孔26を、躯体側取付け孔26aと記載し、張出し部22bに形成されている躯体側取付け孔26を、躯体側取付け孔26bと記載する。
【0030】
躯体側取付け孔26は、躯体取付け部14、具体的には、張出し部22を躯体2へ取り付けるための孔であり、壁パネル側取付け孔18と同様、壁パネル4の左右方向へ延在する長孔形状に形成されている。
躯体側取付け孔26a,26bは、張出し部22a,22bにおいて、躯体側取付け孔26aと躯体側取付け孔26bが、端部24の長さ方向から見て互いに重なった状態で、躯体側取付け孔26a,26b同士の間隔が所定の間隔以上となる位置に形成されている。
【0031】
ここで、「所定の間隔」とは、躯体側取付け孔26a,26bにそれぞれ挿通される固定部品28によって、芯材6に損傷が生じ、固定部品28が芯材6から外れることの無い間隔であり、取付けブラケット1が躯体2から外れることの無い間隔である。「所定の間隔」としては、例えば、50mm程度の間隔が設定される。なお、本実施形態では、固定部品28をステンレス製のビスとする。
曲げ変形抑制部16は、壁パネル側変形抑制部30と、躯体側変形抑制部32とを備えている。なお、以下の説明においては、必要に応じて、曲げ変形抑制部16aに形成されている壁パネル側変形抑制部30及び躯体側変形抑制部32を、それぞれ、壁パネル側変形抑制部30a及び躯体側変形抑制部32aと記載する。同様に、曲げ変形抑制部16bに形成されている壁パネル側変形抑制部30及び躯体側変形抑制部32を、それぞれ、壁パネル側変形抑制部30b及び躯体側変形抑制部32bと記載する。
【0032】
壁パネル側変形抑制部30は、平板の一部を、その厚さ方向に突出するように成形して形成されており、壁パネル取付け部12の曲げ変形を抑制する形状に形成されている。
具体的には、壁パネル取付け部12と躯体取付け部14との間に配置されて、壁パネル取付け部12と躯体取付け部14とを連結する中間部34を、中間部34の厚さ方向へ突出するように成形している。また、壁パネル取付け部12の中間部34側の一部を、壁パネル取付け部12の厚さ方向へ突出するように成形している。そして、中間部34に成形した突出部分と、壁パネル取付け部12の中間部34側の一部に成形した突出部分とを連続させて、壁パネル側変形抑制部30を形成している。なお、以下の説明においては、必要に応じて、壁パネル取付け部12aと躯体取付け部14aとを連結する中間部34を、中間部34aと記載し、壁パネル取付け部12bと躯体取付け部14bとを連結する中間部34を、中間部34bと記載する。
【0033】
これにより、壁パネル取付け部12の一部と中間部34との間にリブが形成されることとなり、このリブによって、壁パネル取付け部12の、中間部34及び躯体取付け部14に対する曲げ変形が抑制される。
躯体側変形抑制部32は、壁パネル側変形抑制部30と同様、平板の一部を、その厚さ方向に突出するように成形して形成されており、躯体取付け部14の曲げ変形を抑制する形状に形成されている。
【0034】
具体的には、中間部34を、中間部34の厚さ方向へ突出するように成形し、躯体取付け部14の中間部34側の一部を、躯体取付け部14の厚さ方向へ突出するように成形している。そして、中間部34に成形した突出部分と、躯体取付け部14の中間部34側の一部に成形した突出部分とを連続させて、躯体側変形抑制部32を形成している。
これにより、躯体取付け部14の一部と中間部34との間にリブが形成されることとなり、このリブによって、躯体取付け部14の、中間部34及び壁パネル取付け部12に対する曲げ変形が抑制される。
【0035】
(作用)
次に、図1から図4を参照しつつ、上記の構成を備えた取付けブラケット1の作用等を説明する。
上述した取付けブラケット1a,1bを用いて、躯体2に壁パネル4a,4bを取り付ける作業は、例えば、以下の手順に沿って行う。
まず、壁パネル取付け部12aを壁パネル4aの裏面に当接させるとともに、ナット10aに、壁パネル側取付け孔18aを挿通させたボルト8aを嵌合させて、壁パネル取付け部12aに壁パネル4aを取り付ける。
【0036】
このとき、壁パネル側取付け孔18aは、壁パネル4aの左右方向へ延在する長孔形状に形成されているため、ナット10aと壁パネル側取付け孔18aとの間に、壁パネル4aの左右方向への取付け精度のずれが発生している場合であっても、このずれを吸収することが可能となっている。
壁パネル取付け部12aに壁パネル4aを取り付けると、壁パネル側変形抑制部30aにより、壁パネル取付け部12aの、中間部34a及び躯体取付け部14aに対する曲げ変形が抑制される。
また、壁パネル取付け部12aに壁パネル4aを取り付ける際には、壁パネル4の表面側から見て、張出し部22aが取付けブラケット1aの上端側に配置されるように、壁パネル取付け部12aに壁パネル4aを取り付ける。
【0037】
次に、壁パネル取付け部12bを壁パネル4bの裏面に当接させるとともに、ナット10bに、壁パネル側取付け孔18bを挿通させたボルト8bを嵌合させて、壁パネル取付け部12bに壁パネル4bを取り付ける。
このとき、壁パネル側取付け孔18bは、壁パネル4bの左右方向へ延在する長孔形状に形成されているため、ナット10bと壁パネル側取付け孔18bとの間に、壁パネル4bの左右方向への取付け精度のずれが発生している場合であっても、このずれを吸収することが可能となっている。
壁パネル取付け部12bに壁パネル4bを取り付けると、壁パネル側変形抑制部30bにより、壁パネル取付け部12bの、中間部34b及び躯体取付け部14bに対する曲げ変形が抑制される。
【0038】
また、壁パネル取付け部12bに壁パネル4bを取り付ける際には、壁パネル4の表面側から見て、張出し部22bが取付けブラケット1bの下端側に配置されるように、壁パネル取付け部12bに壁パネル4bを取り付ける。
このとき、取付けブラケット1は、壁パネル4の表面側から見て、L字形状に形成されている。また、壁パネル4の表面側から見て、張出し部22aが取付けブラケット1aの上端側に配置されるとともに、張出し部22bが取付けブラケット1bの下端側に配置されるように、壁パネル取付け部12a,12bに壁パネル4a,4bを取り付けている。
このため、取付けブラケット1aと取付けブラケット1bは、互いに180度回転させた状態で、壁パネル4a,4bに取り付けられている。
【0039】
壁パネル取付け部12aに壁パネル4aを取り付け、壁パネル取付け部12bに壁パネル4bを取り付けた後、取付けブラケット1aを、躯体側取付け孔26aが壁パネル4の表面側から見て芯材6と重なる位置に配置する。
そして、壁パネル4の表面側から、躯体側取付け孔26aに、固定部品28を挿通させ、この挿通させた固定部品28の先端側を芯材6内へねじ込むことにより、躯体取付け部14aを躯体2に取り付けて、壁パネル4aを躯体2に取り付ける。
躯体取付け部14aを躯体2に取り付けると、躯体側変形抑制部32aにより、躯体取付け部14aの、中間部34a及び躯体取付け部14aに対する曲げ変形が抑制される。
【0040】
また、躯体取付け部14aは、壁パネル取付け部12aに対して壁パネル4aの厚さ方向へオフセットしているため、躯体取付け部14aを躯体2に取り付けると、壁パネル4aと躯体2との間に隙間20が形成される。
このとき、躯体側取付け孔26aは、壁パネル4aの左右方向へ延在する長孔形状に形成されているため、躯体2と躯体側取付け孔26aとの間に、壁パネル4aの左右方向への取付け精度のずれが発生している場合であっても、このずれを吸収することが可能となっている。
【0041】
壁パネル4aを躯体2に取り付けた後、取付けブラケット1bを、躯体側取付け孔26bが壁パネル4の表面側から見て芯材6と重なるとともに、躯体側取付け孔26aと躯体側取付け孔26bが、端部24の長さ方向から見て互いに重なり、且つ躯体側取付け孔26a,26b同士の間隔が所定の間隔以上となるように配置する。
このとき、張出し部22の、端部24と平行な寸法長さL1と、壁パネル取付け部12の、端部24と平行な寸法長さL2は、L1≦L2/2の関係式を満足しており、取付けブラケット1aと取付けブラケット1bは、互いに180度回転させた状態となっている。
【0042】
このため、取付けブラケット1bを上述した位置に配置すると、躯体取付け部14aのうち、張出し部22aが形成されていない部分によって形成される空間に、張出し部22bが配置されて、取付けブラケット1aと取付けブラケット1bとの、端部24の長さ方向に沿った位置が、壁パネル4の表面側から見て同じ高さとなる。すなわち、張出し部22aが、壁パネル4a,4bの配列方向から見て、壁パネル取付け部12bと、互いに重なった状態で配置される。
そして、壁パネル4の表面側から、躯体側取付け孔26bに固定部品28を挿通させ、この挿通させた固定部品28の先端側を芯材6内へねじ込むことにより、躯体取付け部14bを躯体2に取り付けて、壁パネル4bを躯体2に取り付け、躯体2に壁パネル4a,4bを取り付ける作業を終了する。
【0043】
躯体取付け部14bを躯体2に取り付けると、躯体側変形抑制部32bにより、躯体取付け部14bの、中間部34b及び躯体取付け部14bに対する曲げ変形が抑制される。
また、躯体取付け部14bは、壁パネル取付け部12bに対して壁パネル4bの厚さ方向へオフセットしているため、躯体取付け部14bを躯体2に取り付けると、壁パネル4bと躯体2との間に隙間20が形成される。
このとき、躯体側取付け孔26bは、壁パネル4bの左右方向へ延在する長孔形状に形成されているため、躯体2と躯体側取付け孔26aとの間に、壁パネル4bの左右方向への取付け精度のずれが発生している場合であっても、このずれを吸収することが可能となっている。
【0044】
なお、上述した作業手順では、壁パネル取付け部12aに壁パネル4aを取り付けた後に、壁パネル取付け部12bに壁パネル4bを取り付けているが、これに限定されるものではなく、壁パネル取付け部12bに壁パネル4bを取り付けた後に、壁パネル取付け部12aに壁パネル4aを取り付けてもよい。
同様に、壁パネル4aを躯体2に取り付けた後に、壁パネル4bを躯体2に取り付けているが、これに限定されるものではなく、壁パネル4bを躯体2に取り付けた後に、壁パネル4aを躯体2に取り付けてもよい。
【0045】
(第一実施形態の効果)
以下、本実施形態の取付けブラケット1、取付けブラケット1を用いた壁パネル4の取付け構造及び取付け方法の効果を列挙する。
(1)本実施形態の取付けブラケット1であれば、張出し部22における、壁パネル4の表面側から見て視認可能な位置に、壁パネル4を躯体2へ取り付けるための躯体側取付け孔26を形成している。
このため、躯体取付け部14を躯体2へ取付ける際に躯体側取付け孔26に挿通させる固定部品28を、壁パネル4の表面側から躯体側取付け孔26へ挿通させることが可能となる。
その結果、躯体取付け部14を躯体2へ取付ける際の、作業効率を向上させることが可能となり、躯体2へ壁パネル4を取り付ける際の、作業効率を向上させることが可能となる。
【0046】
(2)本実施形態の取付けブラケット1であれば、壁パネル取付け部12及び躯付け部14を、平板を屈曲成形して形成しているため、取付けブラケット1の成形が容易かつ安価となる。
その結果、取付けブラケット1の製造コストを低減することが可能となるとともに、取付けブラケット1の製造工程を簡略化することが可能となる。
(3)本実施形態の取付けブラケット1であれば、取付けブラケット1を、ステンレス製の平板を用いて形成しているため、躯体2の外側面に形成された防水面よりも外側に配置される取付けブラケット1に、錆が発生することを抑制することが可能となる。
その結果、取付けブラケット1の耐久性を向上させることが可能となり、躯体2に対する壁パネル4の取り付け状態を、長期間に亘って維持することが可能となる。
【0047】
(4)本実施形態の取付けブラケット1であれば、取付けブラケット1を、壁パネル4の表面側から見てL字形状に形成している。
このため、隣り合う壁パネル4a,4bを躯体2へ取り付ける際に、張出し部22aを、隣り合う壁パネル4a,4bの配列方向から見て、壁パネル取付け部12bと、互いに重なった状態で配置することが可能となる。
その結果、取付けブラケット1aと取付けブラケット1bを、互いに180度回転させた状態で、隣り合う壁パネル4a,4bを躯体2へ取り付けることが可能となり、取付けブラケット1a,1b同士の位置決めを行うことが可能となる。
【0048】
(5)本実施形態の取付けブラケット1であれば、張出し部22の、端部24と平行な寸法長さL1と、壁パネル取付け部12の、端部24と平行な寸法長さL2が、L1≦L2/2の関係式を満足している。
その結果、取付けブラケット1aと取付けブラケット1bを、左右及び上下対称の状態で配置することが可能となり、取付けブラケット1a,1b同士の位置決めが容易となる。
(6)本実施形態の取付けブラケット1であれば、曲げ変形抑制部16が、壁パネル側変形抑制部30と、躯体側変形抑制部32とを備えている。
その結果、躯体2への壁パネル4の取付け状態を安定させることが可能となる。
【0049】
(7)本実施形態の取付けブラケット1であれば、壁パネル取付け部12の曲げ変形を抑制する壁パネル側変形抑制部30を備えているため、壁パネル取付け部12の、中間部34及び躯体取付け部14に対する曲げ変形が抑制される。
その結果、壁パネル4への取付けブラケット1の取付け状態を安定させることが可能となる。
(8)本実施形態の取付けブラケット1であれば、躯体取付け部14の曲げ変形を抑制する躯体側変形抑制部32を備えているため、躯体取付け部14の、中間部34及び壁パネル取付け部12に対する曲げ変形が抑制される。
その結果、取付けブラケット1の躯体2への取付け状態を安定させることが可能となる。
【0050】
(9)本実施形態の取付けブラケット1であれば、曲げ変形抑制部16を、平板の一部を厚さ方向に突出するように成形して形成しているため、曲げ変形抑制部16を容易に形成することが可能となる。
その結果、取付けブラケット1の製造コストの低減及び製造工程の簡略化が可能となるとともに、躯体2への壁パネル4の取付け状態を安定させることが可能となる。
(10)本実施形態の取付けブラケット1であれば、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26を、壁パネル4の左右方向へ延在する長孔形状に形成している。
このため、壁パネル側取付け孔18と壁パネル4との間や、躯体側取付け孔26と躯体2との間に、壁パネル4の左右方向への取付け精度のずれが発生しても、このずれを吸収することが可能となる。
その結果、躯体2への壁パネル4の取付け精度を向上させることが可能となる。
【0051】
(11)本実施形態の取付けブラケット1を用いた壁パネル4の取付け構造であれば、取付けブラケット1a,1bを、躯体側取付け孔26a,26b同士が、端部24の長さ方向から見て互いに重なり、且つ互いの間隔が所定の間隔以上となるように配置している。
その結果、躯体側取付け孔26a,26bに挿通される固定部品28同士の間隔が、所定の間隔以上となり、固定部品28が躯体2から外れることを防止することが可能となるため、躯体2から取付けブラケット1が外れることを防止することが可能となる。
【0052】
(12)本実施形態の取付けブラケット1を用いた壁パネル4の取付け方法であれば、取付けブラケット1を用いて躯体2に壁パネル4を取り付ける際に、壁パネル取付け部12に壁パネル4を取り付けた後、躯体取付け部14を躯体2に取り付けている。
このため、壁パネル取付け部12に壁パネル4を取り付ける際には、ナット10に嵌合するボルト8を、壁パネル4と躯体2との間に形成される空間よりも広い空間において、壁パネル側取付け孔18を挿通させることが可能となる。
その結果、壁パネル取付け部12に壁パネル4を取付ける際の、作業効率を向上させることが可能となり、躯体2へ壁パネル4を取り付ける際の、作業効率を向上させることが可能となる。
【0053】
(応用例)
以下、本実施形態の取付けブラケット1、取付けブラケット1を用いた壁パネル4の取付け構造及び取付け方法の応用例を列挙する。
(1)本実施形態の取付けブラケット1、取付けブラケット1を用いた壁パネル4の取付け構造及び取付け方法では、躯体2を、住宅の外壁等を形成する外部躯体とし、壁パネル4を、住宅の外壁に取り付ける外壁パネルとしたが、これに限定するものではない。すなわち、躯体2を、住宅の内壁等を形成する内部躯体とし、壁パネル4を、住宅の内壁に取り付ける内壁パネルとしてもよい。
【0054】
(2)本実施形態の取付けブラケット1では、壁パネル取付け部12及び躯体取付け部14を、平板を屈曲成形して形成しているが、これに限定されるものではなく、壁パネル取付け部12及び躯体取付け部14を、例えば、鋳造成形によって形成してもよい。もっとも、本実施形態のように、壁パネル取付け部12及び躯体取付け部14を、平板を屈曲成形して形成することが、取付けブラケット1の成形が容易かつ安価となるため、好適である。
(3)本実施形態の取付けブラケット1では、ステンレスによって取付けブラケット1を形成しているが、これに限定されるものではなく、取付けブラケット1を、例えば、炭素鋼等、ステンレス以外の材料を用いて形成してもよい。もっとも、本実施形態のように、ステンレスによって取付けブラケット1を形成することが、取付けブラケット1に、錆が発生することを抑制することが可能となるため、好適である。
【0055】
(4)本実施形態の取付けブラケット1では、取付けブラケット1を、壁パネル4の表面側から見てL字形状に形成しているが、これに限定されるものではなく、取付けブラケット1を、例えば、壁パネル4の表面側から見て四角形状に形成してもよい。もっとも、本実施形態のように、取付けブラケット1を、壁パネル4の表面側から見てL字形状に形成することが、取付けブラケット1aと取付けブラケット1bを、互いに180度回転させた状態で、隣り合う壁パネル4a,4bを躯体2へ取り付けることが可能となるため、好適である。
【0056】
(5)本実施形態の取付けブラケット1では、張出し部22の、端部24と平行な寸法長さL1と、壁パネル取付け部12の、端部24と平行な寸法長さL2が、L1≦L2/2の関係式を満足しているが、これに限定されるものではない。すなわち、寸法長さL1と寸法長さL2が、例えば、L1<L2の関係式を満足していてもよく、L1>L2の関係式を満足していてもよい。もっとも、本実施形態のように、寸法長さL1と寸法長さL2が、L1≦L2/2の関係式を満足していることが、取付けブラケット1aと取付けブラケット1bを、左右及び上下対称の状態で配置することが可能となるため、好適である。
【0057】
(6)本実施形態の取付けブラケット1では、曲げ変形抑制部16が、壁パネル側変形抑制部30と、躯体側変形抑制部32とを備えているが、これに限定されるものではなく、曲げ変形抑制部16が、壁パネル側変形抑制部30及び躯体側変形抑制部32のうち一方のみを備えている構成としてもよい。もっとも、本実施形態のように、曲げ変形抑制部16が、壁パネル側変形抑制部30及び躯体側変形抑制部32を備えている構成とすることが、躯体2への壁パネル4の取付け状態を安定させることが可能となるため、好適である。
【0058】
また、本実施形態の取付けブラケット1では、壁パネル取付け部12の曲げ変形を抑制する壁パネル側変形抑制部30を備えているが、これに限定されるものではなく、壁パネル側変形抑制部30を備えていない構成としてもよい。もっとも、本実施形態のように、壁パネル側変形抑制部30を備えている構成とすることが、壁パネル取付け部12の、中間部34及び躯体取付け部14に対する曲げ変形が抑制されるため、好適である。
(7)本実施形態の取付けブラケット1では、躯体取付け部14の曲げ変形を抑制する躯体側変形抑制部32を備えているが、これに限定されるものではなく、躯体側変形抑制部32を備えていない構成としてもよい。もっとも、本実施形態のように、躯体側変形抑制部32を備えた構成とすることが、躯体取付け部14の、中間部34及び壁パネル取付け部12に対する曲げ変形が抑制されるため、好適である。
【0059】
(8)本実施形態の取付けブラケット1では、壁パネル側変形抑制部30を、中間部34に成形した突出部分と、壁パネル取付け部12の中間部34側の一部に成形した突出部分とを連続させて形成しているが、これに限定されるものではない。すなわち、壁パネル側変形抑制部30を、例えば、図5に示すように、中間部34に成形した突出部分と、壁パネル取付け部12の全体に亘って成形した突出部分とを連続させて形成してもよい。この場合、壁パネル側取付け孔18を、壁パネル取付け部12の全体に亘って成形した突出部分と異なる位置に形成する。また、躯体側変形抑制部32に関しても、同様である。なお、図5は、本実施形態の変形例を示す図であり、図5(a)は、取付けブラケット1を壁パネル4の表面側から見た図、図5(b)は、図5(a)のB線矢視図、図5(c)は、図5(a)のC線矢視図である。
【0060】
(9)本実施形態の取付けブラケット1では、曲げ変形抑制部16を、平板の一部を厚さ方向に突出するように成形して形成しているが、これに限定されるものではなく、曲げ変形抑制部16を、例えば、図6から図8に示すように、平板の一部を折り曲げて形成してもよい。
具体的には、図6に示すように、躯体側変形抑制部32を、躯体取付け部14の一辺を折り曲げて形成してもよい。なお、図6は、本実施形態の変形例を示す図であり、図6(a)は、取付けブラケット1を壁パネル4の表面側から見た図、図6(b)は、図6(a)のB線矢視図、図6(c)は、図6(a)のC線矢視図である。
【0061】
また、図7に示すように、壁パネル側変形抑制部30及び躯体側変形抑制部32を、壁パネル取付け部12及び躯体取付け部14の一辺を折り曲げて形成してもよい。なお、図7は、本実施形態の変形例を示す図であり、図7(a)は、取付けブラケット1を壁パネル4の表面側から見た図、図7(b)は、図7(a)のB線矢視図、図7(c)は、図7(a)のC線矢視図である。
また、図8に示すように、壁パネル側変形抑制部30及び躯体側変形抑制部32を、壁パネル取付け部12及び躯体取付け部14の両辺を折り曲げて形成してもよい。なお、図8は、本実施形態の変形例を示す図であり、図8(a)は、取付けブラケット1を壁パネル4の表面側から見た図、図8(b)は、図8(a)のB線矢視図、図8(c)は、図8(a)のC線矢視図である。
【0062】
(10)本実施形態の取付けブラケット1では、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26を、壁パネル4の左右方向へ延在する長孔形状に形成しているが、これに限定されるものではなく、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26のうち一方を、壁パネル4の左右方向へ延在する長孔形状に形成してもよい。もっとも、本実施形態のように、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26を、壁パネル4の左右方向へ延在する長孔形状に形成することが、壁パネル側取付け孔18と壁パネル4との間や、躯体側取付け孔26と躯体2との間に、壁パネル4の左右方向への取付け精度のずれが発生しても、このずれを吸収することが可能となるため、好適である。
【0063】
(11)本実施形態の取付けブラケット1では、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26を、壁パネル4の左右方向へ延在する長孔形状に形成しているが、これに限定されるものではなく、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26を、壁パネル4の上下方向へ延在する長孔形状に形成してもよい。
(12)本実施形態の取付けブラケット1では、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26を長孔形状に形成しているが、これに限定されるものではなく、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26を、円形状に形成してもよい。もっとも、本実施形態のように、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26を長孔形状に形成することが、躯体2への壁パネル4の取付け制度を向上させることが可能となるため、好適である。
【0064】
(13)本実施形態の取付けブラケット1では、取付けブラケット1a,1bを、躯体側取付け孔26a,26b同士が、端部24の長さ方向から見て互いに重なり、且つ互いの間隔が所定の間隔以上となるように配置しているが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、取付けブラケット1a,1bを、躯体側取付け孔26a,26bの間隔が所定の間隔未満となるように配置してもよい。もっとも、本実施形態のように、取付けブラケット1a,1bを、躯体側取付け孔26a,26bの間隔が所定の間隔以上となるように配置することが、固定部品28が躯体2から外れることを防止することが可能となるため、好適である。
【0065】
(14)本実施形態の取付けブラケット1を用いた壁パネル4の取付け方法では、壁パネル取付け部12に壁パネル4を取り付けた後に、躯体取付け部14を躯体2に取り付けているが、これに限定されるものではない。すなわち、躯体取付け部14を躯体2に取り付けた後に、壁パネル取付け部12に壁パネル4を取り付けてもよい。もっとも、本実施形態のように、壁パネル取付け部12に壁パネル4を取り付けた後に、躯体取付け部14を躯体2に取り付けることが、壁パネル取付け部12に壁パネル4を取付ける際の、作業効率を向上させることが可能となるため、好適である。
【0066】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図9を用いて、本実施形態の取付けブラケット1の構成を説明する。
図9は、本実施形態の取付けブラケット1の構成を示す図である。
図9中に示すように、本実施形態の取付けブラケット1は、壁パネル(図示せず)、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。なお、壁パネル、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26以外の構成は、上述した第一実施形態と同様の構成となっているため、説明は省略する。
【0067】
壁パネルの裏面には、壁パネルの端部の長さ方向に沿って、二つのナットが埋め込まれている。
壁パネル側取付け孔18は、二つ形成されており、これらは、壁パネルの端部の長さ方向に沿って配置され、二つのナットと対応する位置に形成されている。なお、図9中では、二つの壁パネル側取付け孔18のうち、上側に配置されている壁パネル側取付け孔18を、壁パネル側取付け孔18uと記載し、下側に配置されている壁パネル側取付け孔18を、壁パネル側取付け孔18dと記載している。
【0068】
躯体側取付け孔26は、壁パネル側取付け孔18と同様、二つ形成されており、これらは、壁パネルの端部の長さ方向に沿って配置されている。なお、図9中では、二つの躯体側取付け孔26のうち、上側に配置されている躯体側取付け孔26を、躯体側取付け孔26uと記載し、下側に配置されている躯体側取付け孔26を、躯体側取付け孔26dと記載している。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0069】
(作用)
次に、図9を参照しつつ、上記の構成を備えた取付けブラケット1の作用等を説明する。なお、以下の説明では、壁パネル、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26以外の構成については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分を中心に説明する。
上述した取付けブラケット1を用いて、躯体に壁パネルを取り付ける作業においては、まず、二つのナットに、それぞれ、壁パネル側取付け孔18u,18dを挿通させたボルト(図示せず)を嵌合させて、壁パネル取付け部12に壁パネルを取り付ける。
このとき、二つのナットは、壁パネルの端部の長さ方向に沿って埋め込まれている。また、壁パネル側取付け孔18u,18dは、壁パネルの端部の長さ方向に沿って配置され、それぞれ、二つのナットと対応する位置に形成されている。
【0070】
このため、二つのナットに、それぞれ、壁パネル側取付け孔18u,18dを挿通させたボルトを嵌合させて、壁パネル取付け部12に壁パネルを取り付けると、壁パネルと壁パネル取付け部12との相対回転が防止される。
壁パネル取付け部12に壁パネルを取り付けた後、取付けブラケット1を、躯体側取付け孔26u,26dが壁パネルの表面側から見て芯材と重なる位置に配置する。
そして、壁パネル4の表面側から、躯体側取付け孔26uまたは躯体側取付け孔26dに、固定部品を挿通させ、この挿通させた固定部品の先端側を芯材内へねじ込むことにより、躯体取付け部14を躯体に取り付けて、壁パネルを躯体に取り付ける。
ここで、固定部品により芯材が損傷した場合等、躯体取付け部14の躯体への取付け状態が好適ではない場合には、躯体側取付け孔26uまたは躯体側取付け孔26dのうち、固定部品を挿通させていない側の躯体側取付け孔26に固定部品を挿通させて、躯体取付け部14を躯体に取り付ける。
【0071】
なお、一方の取付けブラケット1において、例えば、躯体側取付け孔26dを用いて、躯体取付け部14を躯体に取り付けた場合には、他方の取付けブラケット1においても、躯体側取付け孔26dを用いて、躯体取付け部14を躯体に取り付ける。そして、躯体取付け部14の躯体への取り付けに用いた躯体側取付け孔26同士(この場合、躯体側取付け孔26d同士)の間隔を、所定の間隔以上とする。
なお、上述した作業手順では、躯体側取付け孔26uまたは躯体側取付け孔26dのうち一方を用いて、躯体取付け部14を躯体に取り付けているが、これに限定されるものではない。すなわち、固定部品により芯材が損傷するおそれが無い場合には、躯体側取付け孔26u及び躯体側取付け孔26dを用いて、躯体取付け部14を躯体に取り付けてもよい。
【0072】
(第二実施形態の効果)
以下、本実施形態の取付けブラケット1の効果を列挙する。
(1)本実施形態の取付けブラケット1では、壁パネルの裏面に埋め込まれた二つのナットが、壁パネルの端部の長さ方向に沿って配置されている。また、壁パネル側取付け孔18u,18dが、壁パネルの端部の長さ方向に沿って配置されており、それぞれ、二つのナットと対応する位置に形成されている。
【0073】
このため、二つのナットに、それぞれ、壁パネル側取付け孔18u,18dを挿通させたボルトを嵌合させて、壁パネル取付け部12に壁パネルを取り付けることにより、壁パネルと壁パネル取付け部12との相対回転を防止することが可能となる。
その結果、壁パネル取付け部12の壁パネルへの取り付け状態を安定させることが可能となり、壁パネルへの取付けブラケット1の取付け状態を安定させることが可能となるため、躯体への壁パネルの取付け状態を安定させることが可能となる。
【0074】
(2)本実施形態の取付けブラケット1では、躯体側取付け孔26u,26dが、壁パネルの端部の長さ方向に沿って配置されている。
このため、固定部品により芯材が損傷した場合等、躯体取付け部14の躯体への取付け状態が好適ではない場合には、躯体側取付け孔26uまたは躯体側取付け孔26dのうち、固定部品を挿通させていない側の躯体側取付け孔26に固定部品を挿通させて、躯体取付け部14を躯体に取り付けることが可能となる。
その結果、躯体取付け部14の躯体への取り付け状態を安定させることが可能となり、壁パネルへの取付けブラケット1の取付け状態を安定させることが可能となるため、躯体への壁パネルの取付け状態を安定させることが可能となる。
その他の効果は、上述した第一実施形態と同様である。
【0075】
(応用例)
以下、本実施形態の取付けブラケット1の応用例を列挙する。
(1)本実施形態の取付けブラケット1では、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26を、それぞれ、二つ形成したが、これに限定されるものではなく、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26を、それぞれ、三つ以上形成してもよい。要は、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26を、複数形成すればよい。
(2)本実施形態の取付けブラケット1では、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26を、それぞれ、二つ形成したが、これに限定されるものではなく、壁パネル側取付け孔18及び躯体側取付け孔26のうち少なくとも一方を、複数形成すればよい。
【0076】
(第三実施形態)
以下、本発明の第三実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図10及び図11を用いて、本実施形態の取付けブラケット1の構成を説明する。
図10は、本実施形態の取付けブラケット1を用いて、躯体2に壁パネル4を取り付けた状態を示す図である。また、図11は、取付けブラケット1の詳細な構成を示す図であり、図11(a)は、取付けブラケット1を壁パネル4の表面側から見た図、図11(b)は、図11(a)のB線矢視図、図11(c)は、図11(a)のC線矢視図である。
【0077】
図10及び図11中に示すように、本実施形態の取付けブラケット1は、躯体側取付け孔26の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。なお、躯体側取付け孔26以外の構成は、上述した第一実施形態と同様の構成となっているため、説明は省略する。
躯体側取付け孔26は、張出し部22の一部に形成された、壁パネル取付け部12よりも躯体2側へオフセットしているオフセット部36に形成されており、オフセット部36を、壁パネル4の厚さ方向に貫通している。
すなわち、躯体側取付け孔26は、躯体取付け部14のうち、躯体2に当接する当接部分38よりも、壁パネル4の表面側にオフセットして配置されている。
【0078】
オフセット部36は、固定部品28の基端側に形成され、且つ躯体側取付け孔26よりも大径の頭部40が、張出し部22よりも壁パネル4の表面側へ突出しない形状に形成されている。
当接部分38には、躯体側取付け孔26に挿通された固定部品28の先端側が挿通される当接部分側開口部42が形成されている。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0079】
(作用)
次に、図10及び図11を参照しつつ、上記の構成を備えた取付けブラケット1の作用等を説明する。なお、以下の説明では、躯体側取付け孔26以外の構成については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分を中心に説明する。
上述した取付けブラケット1を用いて、躯体2に壁パネル4を取り付ける作業においては、まず、壁パネル取付け部12に壁パネル4を取り付ける。
壁パネル取付け部12に壁パネル4を取り付けた後、取付けブラケット1を、当接部分38が躯体2に当接するとともに、躯体側取付け孔26が壁パネル4の表面側から見て芯材6と重なる位置に配置する。
【0080】
そして、躯体側取付け孔26に固定部品28を挿通させ、躯体側取付け孔26に挿通させた固定部品28の先端側を、当接部分側開口部42へ挿通させる。そして、壁パネル4の表面側から、当接部分側開口部42に挿通させた固定部品28の先端側を芯材6内へねじ込むことにより、躯体取付け部14を躯体2に取り付けて、壁パネル4を躯体2に取り付ける。
ここで、躯体側取付け孔26は、当接部分38よりも、壁パネル4の表面側にオフセットして配置されている。
このため、躯体側取付け孔26に固定部品28を挿通させる際に用いるドライバー等の作業工具から、躯体側取付け孔26内に配置した固定部品28が外れた場合であっても、この固定部品28の先端側を芯材6内へねじ込む作業を、再び、作業工具によって行うことが容易となる。
【0081】
(第三実施形態の効果)
以下、本実施形態の取付けブラケット1の効果を記載する。
(1)本実施形態の取付けブラケット1では、躯体側取付け孔26を、躯体取付け部14のうち、躯体2に当接する当接部分38よりも、壁パネル4の表面側にオフセットして配置している。
このため、躯体側取付け孔26が、当接部分38に配置されている場合と比較して、躯体側取付け孔26に挿通される固定部品28を用いた作業が容易となり、躯体取付け部14の躯体への取り付け状態が容易となる。
その結果、取付けブラケット1の躯体2への取付け作業が容易となるため、躯体2への壁パネル4の取付け作業が容易となる。
その他の効果は、上述した第一実施形態と同様である。
【0082】
(応用例)
以下、本実施形態の取付けブラケット1の応用例を記載する。
(1)本実施形態の取付けブラケット1では、躯体側取付け孔26を、壁パネル取付け部12よりも躯体2側へオフセットしている構成としたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、図12に示すように、躯体側取付け孔26を、壁パネル取付け部12よりも壁パネル4の表面側にオフセットしている構成としてもよい。要は、躯体側取付け孔26は、当接部分38よりも壁パネル4の表面側にオフセットして配置されていればよい。なお、図12は、本実施形態の変形例を示す図である。
【0083】
(第四実施形態)
以下、本発明の第四実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図13を用いて、本実施形態の取付けブラケット1の構成を説明する。
図13は、本実施形態の取付けブラケット1の構成を示す図である。
図13中に示すように、本実施形態の取付けブラケット1は、二つの壁パネル取付け部12を備えている点を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。なお、二つの壁パネル取付け部12を備えている点以外の構成は、上述した第一実施形態と同様の構成となっているため、説明は省略する。なお、以下の説明においては、必要に応じて、二つの壁パネル取付け部12のうち、図13中の左側に記載されている壁パネル取付け部12を、壁パネル取付け部12Lと示し、図13中の右側に記載されている壁パネル取付け部12を、壁パネル取付け部12Rと示す。
【0084】
壁パネル取付け部12Lは、隣り合う二つの壁パネルのうち、一方の壁パネルの裏面に当接して取り付けられており、一方の壁パネルを取り付けるための壁パネル側取付け孔18が形成されている。なお、以下の説明においては、必要に応じて、壁パネル取付け部12Lに形成されている壁パネル側取付け孔18を、壁パネル側取付け孔18Lと示す。
壁パネル取付け部12Rは、隣り合う二つの壁パネルのうち、他方の壁パネルの裏面に当接して取り付けられており、他方の壁パネルを取り付けるための壁パネル側取付け孔18が形成されている。なお、以下の説明においては、必要に応じて、壁パネル取付け部12Rに形成されている壁パネル側取付け孔18を、壁パネル側取付け孔18Rと示す。
躯体取付け部14は、壁パネル取付け部12Lと壁パネル取付け部12Rとの間に配置され、壁パネル取付け部12Lと壁パネル取付け部12Rとを連結している。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
【0085】
(作用)
次に、図13を参照しつつ、上記の構成を備えた取付けブラケット1の作用等を説明する。なお、以下の説明では、二つの壁パネル取付け部12L,12Rを備えている点以外の構成については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分を中心に説明する。
上述した取付けブラケット1を用いて、躯体に壁パネルを取り付ける作業においては、まず、隣り合う二つの壁パネルのうち、一方の壁パネルを壁パネル取付け部12Lに取り付け、他方の壁パネルを壁パネル取付け部12Rに取り付ける。この状態では、一つの取付けブラケット1に、隣り合う二つの壁パネルが取り付けられている状態となる。
【0086】
隣り合う二つの壁パネルを、それぞれ、壁パネル取付け部12L,12Rに取り付けた後、取付けブラケット1を、躯体側取付け孔26が壁パネルの表面側から見て芯材と重なる位置に配置する。
そして、壁パネル4の表面側から、躯体側取付け孔26に、固定部品を挿通させ、この挿通させた固定部品の先端側を芯材内へねじ込むことにより、躯体取付け部14を躯体に取り付けて、壁パネルを躯体に取り付ける。
このとき、壁パネル取付け部12L,12Rには、それぞれ、隣り合う二つの壁パネルが取り付けられているため、躯体取付け部14を躯体に取り付けることにより、一つの取付けブラケット1によって、隣り合う二つの壁パネルを、同時に躯体に取り付けることが可能となる。
【0087】
(第四実施形態の効果)
以下、本実施形態の取付けブラケット1の効果を記載する。
(1)本実施形態の取付けブラケット1では、隣り合う壁パネルにそれぞれ取り付けられる二つの壁パネル取付け部12L,12Rと、壁パネル取付け部12L,12Rの間に配置される一つの躯体取付け部14とを備えている。
このため、壁パネル取付け部12L,12Rには、それぞれ、隣り合う二つの壁パネルが取り付けた状態で、躯体取付け部14を躯体に取り付けることにより、一つの取付けブラケット1によって、隣り合う二つの壁パネルを、同時に躯体に取り付けることが可能となる。
その結果、隣り合う二つの壁パネルを躯体に取り付ける際に、作業時間を短縮することが可能となり、躯体へ壁パネルを取り付ける際の作業効率を向上させることが可能となる。
その他の作用・効果等は、上述した第一実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0088】
1 取付けブラケット
2 躯体(外部躯体)
4 壁パネル(外壁パネル)
6 芯材
8 ボルト
10 ナット
12 壁パネル取付け部
14 躯体取付け部
16 曲げ変形抑制部
18 壁パネル側取付け孔
20 隙間
22 張出し部
24 壁パネルの端部
26 躯体側取付け孔
28 固定部品
30 壁パネル側変形抑制部
32 躯体側変形抑制部
34 中間部
36 オフセット部
38 当接部分
40 固定部品の頭部
42 当接部分側開口部
44 第一取付け部材
46 第二取付け部材
48 締結手段
50 壁パネルの枠側面
L1 壁パネルの端部と平行な張出し部の寸法長さ
L2 壁パネルの端部と平行な壁パネル取付け部の寸法長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の躯体に壁パネルを取り付ける取付けブラケットであって、
前記壁パネルの裏面に当接して取り付けられる壁パネル取付け部と、当該壁パネル取付け部に対して前記壁パネルの厚さ方向へオフセットして配置されるとともに前記躯体に当接して取り付けられる躯体取付け部と、を備え、
前記壁パネル取付け部に、前記壁パネルを取り付けるための壁パネル側取付け孔を形成し、
前記躯体取付け部の少なくとも一部を、前記壁パネルの端部から張り出した張出し部とし、
前記張出し部における前記壁パネルの表面側から見て視認可能な位置に、前記躯体へ取り付けるための躯体側取付け孔を形成したことを特徴とする取付けブラケット。
【請求項2】
平板を屈曲成形して前記壁パネル取付け部及び前記躯体取付け部を形成したことを特徴とする請求項1に記載した取付けブラケット。
【請求項3】
取付けブラケットを、前記壁パネルの表面側から見てL字形状に形成し、
前記壁パネルの端部と平行な前記張出し部の寸法長さを、前記壁パネルの端部と平行な前記壁パネル取付け部の寸法長さよりも短くしたことを特徴とする請求項2に記載した取付けブラケット。
【請求項4】
前記壁パネル取付け部及び前記躯体取付け部のうち少なくとも一方の曲げ変形を抑制する曲げ変形抑制部を備え、
前記曲げ変形抑制部は、前記平板の一部を厚さ方向に突出するように成形して形成したことを特徴とする請求項2または3に記載した取付けブラケット。
【請求項5】
前記壁パネル側取付け孔及び前記躯体側取付け孔のうち少なくとも一方は、前記壁パネルの上下方向または左右方向へ延在する長孔形状に形成されていることを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1項に記載した取付けブラケット。
【請求項6】
前記壁パネル側取付け孔及び前記躯体側取付け孔のうち少なくとも一方は、複数形成されていることを特徴とする請求項2から5のうちいずれか1項に記載した取付けブラケット。
【請求項7】
前記躯体側取付け孔を、前記躯体取付け部のうち前記躯体に当接する部分よりも前記壁パネルの表面側にオフセットして配置したことを特徴とする請求項2から6のうちいずれか1項に記載した取付けブラケット。
【請求項8】
隣り合う前記壁パネルの裏面にそれぞれ取り付けられる二つの前記壁パネル取付け部と、これら二つの壁パネル取付け部の間に配置される一つの前記躯体取付け部と、を備えたことを特徴とする請求項2から7のうちいずれか1項に記載した取付けブラケット。
【請求項9】
請求項1から8のうちいずれか1項に記載した取付けブラケットを用いて躯体に複数の壁パネルを取り付ける壁パネルの取付け構造であって、
隣り合う前記壁パネルにそれぞれ取り付けられた二つの前記取付けブラケットを、これらの取付けブラケットの前記張出し部に形成された前記躯体側取付け孔同士が前記端部の長さ方向から見て互いに重なり、且つ前記躯体側取付け孔同士の間隔が所定の間隔以上となるように配置したことを特徴とする壁パネルの取付け構造。
【請求項10】
請求項1から8のうちいずれか1項に記載した取付けブラケットを用いて躯体に壁パネルを取り付ける壁パネルの取付け方法であって、
前記壁パネル取付け部に前記壁パネルを取り付けた後、前記躯体取付け部を前記躯体に取り付けることを特徴とする壁パネルの取付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−180668(P2010−180668A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27353(P2009−27353)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】