説明

取引処理装置およびその制御プログラム

【課題】 別途に接続機器を用意したり、顧客が操作するための専用のデバイスを取引処理装置本体に設けたりすることなく顧客自身に一連のカード決済処理を行わせ、顧客のプライバシーを保護するとともに取引の安全を確保すること。
【解決手段】 表示ユニットを基台部に着脱可能とし、カード決済時に表示ユニットの取り外し指示を報知し、表示ユニットが基台部から取り外された状態で、カード決済を行う顧客の本人認証情報を取得して記憶する。また、カードから読み取った情報に基づいて本人認証情報と比較すべき登録認証情報を取得する。表示ユニットが当該基台部に装着されたとき、認証情報記憶手段が記憶した本人認証情報と登録情報取得手段が取得した登録認証情報とに基づいて本人認証を行い、この本人認証手段による本人認証の結果が肯定的である場合にカード決済を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、販売される商品の会計処理に使用され、クレジットカードなどの磁気カードを用いてカード決済が可能な取引処理装置およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、量販店などにおいて商品の決済を行う際には、POS端末などの取引処理装置が使用されている。
図8に従来の取引処理装置の一例を示す。この取引処理装置50は、基台部Aとその基台部Aの上面に上縁側が開閉自在に枢支された表示ユニットBからなり、基台部Aの開閉釦2の押下により表示ユニットBの下縁側と基台部Aとの係合が解除され、枢支軸を中心に表示ユニットBを開くことができる。基台部Aの前面部には、電源釦3、USB(登録商標)ポート4およびレシート発行口5が設けられている。レシート発行口5からは、基台部Aに内蔵されているプリンタにより印字されたレシートが排出される。基台部Aの後方には、店舗サーバなどの外部機器が接続されたネットワークとの接続に供されるLAN(Local Area Network)ケーブル6を接続するためのLANインターフェイスが設けられている。
【0003】
表示ユニットBには、タッチパネル式ディスプレイ7およびカードリーダ8が設けられている。タッチパネル式ディスプレイ7は、処理内容の表示及び操作入力の双方が可能なGUI(Graphical User Interface)として機能する。カードリーダ8は、クレジットカード、ポイントカード等の各種磁気カードやICカードが差し込まれてスライドされることにより、それらカードに記録されているデータを読み取る。
【0004】
取引処理装置50を用いた商品の販売に際しては、操作者が上記タッチパネル式ディスプレイのタッチ操作により販売商品の登録処理を行い、算出された小計金額に応じた現金を顧客から受け取る現金決済、若しくは上記カードリーダ8にて顧客が提示したクレジットカードやキャッシュカードなどの磁気カードに記憶された情報を読み取って上記LANケーブル6を介して決済情報をカード会社に送信するカード決済が行われる。近年では、上記カード決済が増加傾向にあり、店舗側も独自のカードを発行し、カード決済時にポイントなどの特典を付与する取り組みが行われている。
【0005】
上記カード決済には、カードの持ち主でない者が不正にカードを入手し、決済を行う蓋然性がある。そのため、顧客にカードの暗証番号を入力させて本人認証を行うことが一般的である。(例えば、特許文献1を参照)
また近年では、顧客の顔画像データなどのバイオメトリクス情報を用いた本人認証システムを利用した取引が行われる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−155254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カード決済を行う顧客の中には、カード情報の漏洩を危惧して顧客自身でカードの読み取りや取引を終了させるためのタッチ操作を行うことを所望する者もいる。特許文献1に記載された商品販売データ処理装置のように客面側にディスプレイや入力デバイスを備えている場合には、顧客自身による操作が容易に可能であるが、上記取引処理装置50のように客面側にディスプレイや入力デバイスを備えていない小型の取引処理装置を使用する場合には、逐次タッチパネル式ディスプレイ7の表示が顧客の正面に来るように設置方向を変更しなければ顧客自身に操作させることはできない。
【0008】
また、上記バイオメトリクス情報として顔画像データを用いて本人認証を行う場合、顔画像データを適切な角度で撮影する必要がある。しかし、上記取引処理装置50のように小型の取引処理装置を使用する場合には、別途に撮影専用の機器を用意して、適切な位置および角度から顧客の顔を撮影する必要がある。このように撮影専用の機器を別途用意した場合、設置スペースを確保しなければならないばかりか、レジ周りが煩雑になってしまう。
【0009】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、別途に接続機器を用意したり、顧客が操作するための専用のデバイスを本体に設けたりすることなく顧客自身に一連のカード決済処理を行わせ、顧客のプライバシーを保護するとともに取引の安全を確保することが可能な取引処理装置およびその制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、磁気カードに記憶された情報を読み取るカード読取手段を有し、取引の現金決済および前記カード読取手段が読み取った情報に基づくカード決済を行う取引処理装置において、商品登録処理に使用する各種情報を表示する表示手段を有する表示ユニットと、この表示ユニットを着脱可能な基台部と、現金決済とカード決済のいずれで会計を行うかの選択を受け付ける選択手段と、この選択手段にて現金決済が選択された場合に、顧客が支払った代金の入力を受け付ける入力手段と、前記選択手段にてカード決済が選択された場合に、前記表示ユニットの前記基台部からの取り外し指示を報知する報知手段とを備え、前記表示ユニットは、前記基台部から取り外された状態で、カード決済を行う顧客の本人認証情報を取得する認証情報取得手段と、この認証情報取得手段が取得した本人認証情報を記憶する認証情報記憶手段とを備え、前記基台部は、前記カード読取手段により読み取った情報に基づいて前記本人認証情報と比較すべき登録認証情報を取得する登録情報取得手段と、前記表示ユニットが当該基台部に装着されたとき、前記認証情報記憶手段が記憶した本人認証情報を参照し、この本人認証情報と前記登録情報取得手段が取得した登録認証情報とに基づいて本人認証を行う本人認証手段と、この本人認証手段による本人認証の結果が肯定的である場合にカード決済を許可するカード決済許可手段とを備えてなることを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、商品登録処理に使用する各種情報を表示する表示手段を有する表示ユニットと、この表示ユニットを着脱可能な基台部と、磁気カードに記憶された情報を読み取るカード読取手段とを有し、取引の現金決済および前記カード読取手段が読み取った情報に基づくカード決済を行う取引処理装置の制御プログラムであって、前記取引処理装置に、現金決済とカード決済のいずれで会計を行うかの選択を受け付ける機能と、現金決済が選択された場合に、顧客が支払った代金の入力を受け付ける機能と、カード決済が選択された場合に、前記表示ユニットの前記基台部からの取り外し指示を報知する機能と、前記表示ユニットが前記基台部から取り外された状態で、前記表示ユニットに設けられた本人認証情報を取得する認証情報取得手段によりカード決済を行う顧客の本人認証情報を取得し、所定の記憶手段に記憶する機能と、前記カード読取手段により読み取った情報に基づいて前記本人認証情報と比較すべき登録認証情報を取得する機能と、前記表示ユニットが前記基台部に装着されたとき、前記記憶手段に記憶された本人認証情報と前記取得した登録認証情報とに基づいて本人認証を行う機能と、前記本人認証の結果が肯定的である場合にカード決済を許可する機能とを実現させる。
【発明の効果】
【0012】
かかる手段を講じた本発明によれば、別途に接続機器を用意したり、顧客が操作するための専用のデバイスを本体に設けたりすることなく顧客自身に一連のカード決済処理を行わせ、顧客のプライバシーを保護するとともに取引の安全を確保することが可能な取引処理装置およびその制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における取引処理装置の外観を示す斜視図。
【図2】同実施形態における取引処理装置の表示ユニットを基台部から取り外した際の斜視図。
【図3】同実施形態における取引処理装置の制御回路を示すブロック図。
【図4】同実施形態における顔認証データベースのデータ構成の一例を示す模式図。
【図5】同実施形態における販売処理に際してCPUが実行する処理の流れ図。
【図6】同実施形態におけるカード決済処理の流れ図。
【図7】同実施形態における取外時間監視処理の流れ図。
【図8】従来の取引処理装置の外観を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る取引処理装置1の外観を示す斜視図である。取引処理装置1は、図8に示した取引処理装置50と同様に開閉釦2、電源釦3、USBポート4、レシート発行口5、タッチパネル式ディスプレイ7、カードリーダ8および図示しないLANインターフェイス(I/F)15を備え、上記LANインターフェイス15からLANケーブル6が延出している。さらに、取引処理装置1は、表示ユニットBの所定位置に後述の顔認証に使用される顧客の顔画像を撮影するためのCCD(Charge Coupled Device)カメラ9を備えている。
【0015】
また、取引処理装置1は、取引処理装置50と異なり基台部Aと表示ユニットBとが枢支軸により枢支されておらず、開閉釦2を操作することで図2のように表示ユニットBを基台部Aから取り外すことができる。
【0016】
図3は、取引処理装置1の制御回路を示すブロック図である。取引処理装置1は、その基台部Aに制御の中枢としてCPU10を搭載している。このCPU10に対し、チップセット11、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)からなるメモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)13、プリンタコントローラ14、LANインターフェイス15、上記USBポート4および電源制御部16がアドレスバスやデータバスなどのバスライン17を介して接続されている。また、バスライン17には基台部Aの制御回路を表示ユニットBの制御回路に結合するための着脱機構30aが接続されており、電源制御部16には、基台部Aの電源回路を表示ユニットBの電源回路に接続するための着脱機構31aが接続されている。
【0017】
チップセット11は、データ受渡しの管理等の情報流通を制御し、CPU10とバスライン17とを接続するために用いられるノースブリッジと、各種コントローラなどの機能を有するサウスブリッジとを備えている。メモリ12は、CPU10の制御動作を実行させるプログラムなどを予め格納し、CPU10が演算処理に使用する各種のメモリエリアを形成する。ハードディスクドライブ13には、取引処理の決済に必要な各種データベース、銀行のホストコンピュータとの通信時に用いる暗号化及び復元のための鍵データ、各種プログラムなどが記憶されている。プリンタコントローラ14は、プリンタ18を駆動制御する。このプリンタ18は、サーマルヘッドへの印加電圧を制御して感熱紙などの印字媒体への熱転写により文字などの印字パターンを形成するサーマルプリンタである。電源制御部16は、電源釦3の操作に応じて電源アダプタ19から供給される直流電力を取引処理装置1の各部へ供給する。電源アダプタ19は、商用電源32から供給される交流電力を安定した直流電源に変換した後、電源制御部16に供給する。
【0018】
表示ユニットBの制御回路は、ROMおよびRAMからなるメモリ21、所定時間を計時するタイマ22、ディスプレイコントローラ23、カードリーダコントローラ24およびカメラコントローラ25がアドレスバスやデータバスなどのバスライン26を介して接続して構成されている。また、バスライン26には、上記着脱機構30aと嵌合する形状に形成された着脱機構30bが接続されており、表示ユニットBの電源回路には、上記着脱機構31aと嵌合する形状に形成された着脱機構31bがスイッチ20を介して接続されている。
【0019】
ディスプレイコントローラ23は、タッチパネル式ディスプレイ7に対するメッセージなどの表示を行うとともに、ユーザによるタッチパネル式ディスプレイ7のタッチ操作に応じた入力データの取り込み処理を行う。カードリーダコントローラ24は、カードリーダ8にスライドされたカードが有する磁気情報を読み取る。カメラコントローラ25は、CCDカメラ9を駆動制御して顧客の顔画像を撮影する。
【0020】
上記スイッチ20は、表示ユニットB側の電源回路と基台部A側の電源回路を接続するための接続端子20aおよび表示ユニットB側の電源回路を表示ユニットBが備える駆動用バッテリー27に接続するための接続端子20bを備えている。
【0021】
基台部Aに表示ユニットBが適切に載置されているときには、着脱機構30aと着脱機構30bとが嵌合し、基台部A側の制御回路と表示ユニットB側の制御回路とが接続され、表示ユニットB側の各部は、CPU10による制御を受けて動作する。また、着脱機構31aと着脱機構31bとが嵌合し、基台部A側の電源回路と表示ユニットB側の電源回路とが接続されるとともにスイッチ20では接続端子20aが接続された状態になる。また、電源制御部16からの電力供給を受けて駆動用バッテリー27が充電される。
【0022】
一方、上記開閉釦2を操作して表示ユニットBが基台部Aから取り外されたときには、基台部A側の制御回路と表示ユニットB側の制御回路との接続は解除され、表示ユニットBの各部は、CPU10による制御を受けずに、各部がメモリ21に記憶された動作プログラムに基づいて動作する。また、基台部A側の電源回路と表示ユニットB側の電源回路との接続は解除され、スイッチ20が接続端子20bとの接続に切り換わり、表示ユニットBの各部への駆動用バッテリー27に蓄えられた電力の供給が開始される。
【0023】
なお、着脱機構30a,30b,31a,31bおよびスイッチ20は着脱手段を構成する。
【0024】
さて、取引処理装置1により会計処理をするに際して、クレジットカードやキャッシュカードなどによるカード決済が選択された場合には、カードの暗証番号や顔認証により顧客に対する本人認証処理が行われる。上記ハードディスクドライブ13には、上記顔認証に使用される顔画像データを登録した顔認証データベース40が記憶されている。図4は、顔認証データベース40のデータ構成の一例を示す模式図である。当該データベース40には、クレジットカードなどの磁気カードに記憶された顧客の識別子である顧客IDに紐付けて当該顧客の顔画像データが記憶されている。
【0025】
次に、上記のような構成による作用について説明する。
図5は、商品の販売処理に際して取引処理装置1のCPU10が実行する処理の流れ図である。なお、当該販売処理を実行するための動作プログラムは、メモリ12に格納されている。
【0026】
先ずCPU10は、ST101として操作者によるタッチパネル式ディスプレイ7のタッチ操作による商品の登録処理を受け付ける。商品の登録を受け付けたときには、LANインターフェイス15を介して店舗サーバなどの外部機器にアクセスし、当該商品の価格などの商品データを取得してメモリ12に記憶する。
【0027】
次に、ST102としてタッチパネル式ディスプレイ7に表示された小計キーがタッチ操作されたか否かを判断する。小計キーがタッチ操作されていないと判断したときには(ST102のNo)、再び商品登録処理を実行する。すなわち、小計キーがタッチ操作されるまでに登録を受け付けた商品の商品データは、累積的にメモリ12に記憶されていく。そして、小計キーがタッチ操作されたと判断したときには(ST102のYes)、ST103としてメモリ12に累積的に記憶した商品データに基づいて取引の合計金額を算出し、タッチパネル式ディスプレイ7に表示する。併せて、現金決済とカード決済のいずれで会計を行うかを選択するための会計方法選択釦をタッチパネル式ディスプレイ7に表示する。
【0028】
しかる後、ST104としてタッチパネル式ディスプレイ7に表示した上記会計方法選択釦の操作によりカード決済が選択されたか否かを判断する。カード決済が選択されていると判断したときには(ST104のYes)、ST105として図6の説明にて後述のカード決済処理を実行する。一方、カード決済が選択されていないと判断したときには(ST104のNo)、ST106として現金決済処理を実行する。現金決済処理においては、タッチパネル式ディスプレイ7に表示されたテンキーによる顧客が支払った代金の入力を受け付ける。
【0029】
そして、ST107としてタッチパネル式ディスプレイ7に表示された締めキーがタッチ操作されたか否かを判断する。この処理は、締めキーがタッチ操作されたと判断されるまで繰り返され(ST107のNo)、締めキーがタッチ操作されたと判断したときには(ST107のYes)、ST108としてプリンタコントローラ14を介してプリンタ18を駆動制御し、当該取引の内容を印字したレシートを発行する。なお、現金決済が行われた場合には、顧客が支払った代金および当該代金から小計額を差し引いて算出した釣銭額が取引内容とともにレシートに印字される。また、カード決済が行われた場合には、取引内容を印字したレシートと共に顧客の署名欄などを印字した店舗用控えが発行される。このようにレシートを発行した後、当該販売処理を終了する。
【0030】
次に、上記カード決済処理について説明する。
図6は、カード決済処理にて取引処理装置1の各部が実行する処理の流れ図である。先ず、ST201としてCPU10の制御によりタッチパネル式ディスプレイ7に表示ユニットBの取り外し指示が表示される。次に、CPU10は、ST202として表示ユニットBが基台部Aから取り外されたか否かを判断する。表示ユニットBが基台部Aから取り外されていないと判断される間(ST202のNo)、上記取り外し指示の表示は継続される。
【0031】
表示ユニットBが基台部Aから取り外されたと判断したときには(ST202のYes)、ST203としてスイッチ20の接続が接続端子20aから接続端子20bに切り換わり、表示ユニットBの各部に駆動用バッテリー27からの電力供給が開始される。表示ユニットBの電源が駆動用バッテリー27に切り換わった後には、メモリ21に記憶された動作プログラムに基づいて表示ユニットBの各部が動作する。
【0032】
先ず、ST204としてディスプレイコントローラ23の制御の下でタッチパネル式ディスプレイ7に顧客が所持する磁気カードをカードリーダ8にスライドするように指示が表示される。そして、ST205としてカードリーダコントローラ24によりカードがスライドされたか否かが判断される。タッチパネル式ディスプレイ7に表示された指示は、カードリーダコントローラ24によりカードが読み取られたと判断されるまで繰り返され(ST205のNo)、カードが読み取られたと判断されたときには(ST205のYes)、読み取った磁気情報をメモリ21に記憶した後、ST206として認証情報取得処理が実行される(認証情報取得手段)。
【0033】
具体的には、ディスプレイコントローラ23の制御の下でタッチパネル式ディスプレイ7に暗証番号の入力および顔画像の撮影処理を行う旨の指示が表示され、タッチパネル式ディスプレイ7に表示されたテンキーからの暗証番号の入力およびCCDカメラ9による顔画像の撮影を受け付ける。顔画像を撮影する際には、カメラコントローラ25の制御の下でCCDカメラ9により撮影される映像がディスプレイコントローラ23に送られる。このとき、ディスプレイコントローラ23によりCCDカメラ9の撮影映像がタッチパネル式ディスプレイ7にリアルタイムで表示される。そのため顧客は、タッチパネル式ディスプレイ7に表示される映像を確認しながら適切な位置および角度に撮影位置を調整することができ、撮影位置の調整が完了したときにタッチパネル式ディスプレイ7に表示された撮影キーのタッチ操作をトリガーとして自らの顔画像を撮影する。このようにして入力を受け付けた暗証番号や撮影した顔画像は、メモリ21に記憶される(認証情報記憶手段)。
【0034】
認証情報取得処理が完了した後、ST207としてディスプレイコントローラ23の制御の下でタッチパネル式ディスプレイ7に表示ユニットBを基台部Aに載置するように指示が表示される。そして、ST208としてディスプレイコントローラ23により表示ユニットBが基台部Aに載置されたか否かが判断される。タッチパネル式ディスプレイ7に表示された載置指示は、ディスプレイコントローラ23により表示ユニットBが基台部Aに載置されたと判断されるまで継続表示され(ST208のNo)、表示ユニットBが基台部Aに載置されたと判断されたときには(ST208のYes)、タッチパネル式ディスプレイ7に表示された載置指示が消去される。
【0035】
表示ユニットBが基台部Aに載置されて着脱機構30aと着脱機構30bとが嵌合したときには、基台部Aの制御回路と表示ユニットBの制御回路とが接続され、表示ユニットBの各部はCPU10の制御の下で動作する。また、着脱機構31aと着脱機構31bとが嵌合したときには、スイッチ20の接続が接続端子20bから接続端子20aに切り換わり、基台部Aの電源回路と表示ユニットBの電源回路とが接続されるとともに表示ユニットBの各部は電源制御部16からの電力供給を受けて動作する。さらに、駆動用バッテリー27は、電源制御部16からの電力供給を受けて充電を開始する。
【0036】
そして、ST209としてCPU10が登録情報取得処理を実行する(登録情報取得手段)。この処理では、カードリーダ8により読み取ってメモリ21に記憶したカードの磁気情報に基づいて当該カードの管理会社のサーバにLANインターフェイス15を介してアクセスし、当該カードに割り当てられた暗証番号を取得する。さらに、上記磁気情報から顧客IDを取得し、顔認証データベース40から当該顧客IDに対応した顔画像データを取得する。
【0037】
次に、ST210としてCPU10が本人認証処理を実行する(本人認証手段)。この処理では、上記登録情報取得処理にて取得した暗証番号とST206の処理にて入力を受け付けメモリ21に記憶された暗証番号とを比較し、上記登録情報取得処理にて取得した顔画像データとST206の処理にてCCDカメラ9により撮影されメモリ21に記憶された顔画像データとを比較する。顔画像データの比較においては、顔データ中の特徴となるポイントやそのポイント間の距離を計測することで同一人物であるか否かの認証が行われる。
【0038】
そして、ST211としてCPU10が認証番号および顔画像データの比較の結果、両認証情報が一致しているか否かを判断する。認証情報が一致していると判断したときには(ST211のYes)、ST212として当該取引のカード決済を実行し、決済結果をカード会社のサーバにLANインターフェイス15を介して送信してカード決済処理を終了する。一方、認証情報が一致していないと判断したときには(ST211のNo)、ST213としてエラーメッセージをディスプレイコントローラ23を介してタッチパネル式ディスプレイ7に表示し、カード決済は行わずにカード決済処理を終了する。すなわち、ST211,ST212およびST213の処理は、本人認証の結果が肯定的である場合にのみカード決済を許可するカード決済許可手段を構成する。
【0039】
ところで、上記カード決済処理と並行して、表示ユニットBでは基台部Aから取り外されている時間を監視する取外時間監視処理が実行される。図7は、取外時間監視処理にて実行される処理の流れ図である。先ず、ST301として表示ユニットBが基台部Aから取り外されたことをトリガーとしてタイマ22が所定時間の計時を開始する(計時手段)。
【0040】
しかる後、ST302としてタイマ22が所定時間を計時したか否かを判断する。所定時間を計時していないと判断される場合には(ST302のNo)、ST303として表示ユニットBが基台部Aに載置されたか否かを判断する。表示ユニットBが基台部Aに載置されていないと判断されるときには(ST303のNo)、再びST302の処理に戻って所定時間を計時したか否かを判断する。
【0041】
一方、ST302の処理にて所定時間を計時したと判断される場合には(ST302のYes)、タイマ22からディスプレイコントローラ23に所定の信号が送信され、これを受けたディスプレイコントローラ23は、ST304として表示ユニットBが基台部Aから取り外されてから所定時間が経過した旨の警告をタッチパネル式ディスプレイ7に表示して当該取外時間監視処理を終了する(警告手段)。また、ST303の処理にて表示ユニットBが基台部Aに載置されたと判断される場合には(ST303のYes)、上記警告を表示せずに当該取外時間監視処理を終了する。
【0042】
このように、取引処理装置1は、基台部Aから表示ユニットBを取り外した状態で表示ユニットBを操作してカードの読み取りや、カード決済に用いられる暗証番号および顔画像データの取得が可能である。そのため、別途に顔認証を行うためのカメラやディスプレイなどの接続機器を用意したり、顧客が暗証番号を入力するための専用のデバイスなどを本体に設けたりすることなく顧客自身が一連のカード決済処理を行うことが可能となるので、小型の取引処理装置1を用いてカード決済をするに際して、顧客のプライバシーを保護するとともに取引の安全を確保することができる。
【0043】
また、表示ユニットBでは上記取外時間監視処理が実行され、基台部Aから取り外された後所定時間が経過したときにはタッチパネル式ディスプレイ7に警告が表示されるので、長時間の取り外しによる駆動用バッテリー27の電力切れを未然に防止することができる。
【0044】
また、顔画像データを用いての本人認証を行うことにより、暗証番号による本人認証よりも確実な本人認証を行うことができるので、持ち主でない者によるクレジットカードなどの磁気カードの不正な使用が未然に防止できる。
【0045】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階においては、その要旨を逸脱しない範囲内にて各構成要素を適宜変形して具体化することができる。
【0046】
例えば、着脱機構30a,30bに代えて基台部Aと表示ユニットBとのそれぞれに無線ユニットを設け、それぞれの制御回路を無線で接続する。そして、表示ユニットBが基台部Aに載置されているか否かにかかわらず表示ユニットBの各部をCPU10により制御して、認証情報取得処理、登録情報取得処理および本人認証処理を行うようにする。このようにすれば、駆動用バッテリーに蓄えられた電力が持続する限り表示ユニットBを取り外したままカード決済を完了することができるので、より円滑な会計処理が行えるようになる。
【0047】
また、本人認証は、指紋認証や虹彩・網膜認証、または静脈パターン認証などのバイオメトリクス情報を用いたものであってもよいし、これらのバイオメトリクス情報や暗証番号のうちの複数を組み合わせて本人認証を行うようにしてもよい。
【0048】
また、顧客の顔画像データは顔認証データベース40に記憶せずにカードの管理会社のサーバに登録しておいてもよい。そして、登録情報取得処理にて暗証番号の取得と同様にカードの磁気情報に基づいて上記サーバにアクセスし、当該カードに割り当てられた顔画像データを取得する。このようにしておけば、顧客はカードの管理会社のサーバに顔画像データを登録しておくだけでよいので、異なる店舗において別途顔画像データを登録する手間が省ける。
【0049】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全体構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0050】
A…基台部、B…表示ユニット、1…データ処理装置、2…開閉釦、7…タッチパネル式ディスプレイ、8…カードリーダ、9…CCDカメラ、20…スイッチ、21…メモリ、22…タイマ、27…駆動用バッテリー、30,31…着脱機構、40…顔認証データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気カードに記憶された情報を読み取るカード読取手段を有し、取引の現金決済および前記カード読取手段が読み取った情報に基づくカード決済を行う取引処理装置において、
商品登録処理に使用する各種情報を表示する表示手段を有する表示ユニットと、
この表示ユニットを着脱可能な基台部と、
現金決済とカード決済のいずれで会計を行うかの選択を受け付ける選択手段と、
この選択手段にて現金決済が選択された場合に、顧客が支払った代金の入力を受け付ける入力手段と、
前記選択手段にてカード決済が選択された場合に、前記表示ユニットの前記基台部からの取り外し指示を報知する報知手段とを備え、
前記表示ユニットは、
前記基台部から取り外された状態で、カード決済を行う顧客の本人認証情報を取得する認証情報取得手段と、
この認証情報取得手段が取得した本人認証情報を記憶する認証情報記憶手段とを備え、
前記基台部は、
前記カード読取手段により読み取った情報に基づいて前記本人認証情報と比較すべき登録認証情報を取得する登録情報取得手段と、
前記表示ユニットが当該基台部に装着されたとき、前記認証情報記憶手段が記憶した本人認証情報を参照し、この本人認証情報と前記登録情報取得手段が取得した登録認証情報とに基づいて本人認証を行う本人認証手段と、
この本人認証手段による本人認証の結果が肯定的である場合にカード決済を許可するカード決済許可手段とを備えてなることを特徴とする取引処理装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記表示手段に現金決済とカード決済のいずれで会計を行うかを選択するための選択釦を表示させ、この選択釦の操作による決済方法の選択を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の取引処理装置。
【請求項3】
前記入力手段は、前記表示手段にテンキーを表示させ、このテンキーの操作による代金の入力を受け付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の取引処理装置。
【請求項4】
前記報知手段は、前記表示手段への表示により前記取り外し指示を報知することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1に記載の取引処理装置。
【請求項5】
前記認証情報取得手段が本人認証情報を取得した後、前記表示ユニットを前記基台部に装着すべき旨の指示を前記表示手段に表示させる装着指示手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1に記載の取引処理装置。
【請求項6】
商品登録処理に使用する各種情報を表示する表示手段を有する表示ユニットと、この表示ユニットを着脱可能な基台部と、磁気カードに記憶された情報を読み取るカード読取手段とを有し、取引の現金決済および前記カード読取手段が読み取った情報に基づくカード決済を行う取引処理装置の制御プログラムであって、
前記取引処理装置に、
現金決済とカード決済のいずれで会計を行うかの選択を受け付ける機能と、
現金決済が選択された場合に、顧客が支払った代金の入力を受け付ける機能と、
カード決済が選択された場合に、前記表示ユニットの前記基台部からの取り外し指示を報知する機能と、
前記表示ユニットが前記基台部から取り外された状態で、前記表示ユニットに設けられた本人認証情報を取得する認証情報取得手段によりカード決済を行う顧客の本人認証情報を取得し、所定の記憶手段に記憶する機能と、
前記カード読取手段により読み取った情報に基づいて前記本人認証情報と比較すべき登録認証情報を取得する機能と、
前記表示ユニットが前記基台部に装着されたとき、前記記憶手段に記憶された本人認証情報と前記取得した登録認証情報とに基づいて本人認証を行う機能と、
前記本人認証の結果が肯定的である場合にカード決済を許可する機能とを実現させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−34591(P2011−34591A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246567(P2010−246567)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【分割の表示】特願2008−193861(P2008−193861)の分割
【原出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】