説明

取引処理装置および取引処理システム

【課題】取引処理装置において利用者の操作性を向上させる。
【解決手段】取引処理装置は、ホストコンピュータとの間で情報のやりとりを行う通信部と、利用者の操作に応じてホストコンピュータにおける利用者による所定の取引の実行可否の判定に用いられる判定情報を取得する判定情報取得部と、取得された判定情報を記憶する情報記憶部と、を備える。通信部は、判定情報が取得された後、ホストコンピュータとの間で少なくとも1回の情報のやりとりを行い、その後に情報記憶部に記憶された判定情報を判定のためにホストコンピュータに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引処理装置および取引処理装置を有する取引処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現金自動取引装置(Automated Teller Machine、以下「ATM」とも呼ぶ)は、利用者(顧客)が銀行等の金融機関の窓口で手続きを行わなくとも、利用者が自ら操作して現金の預け払い処理や振り込み処理等の取引処理を行うことを可能とする装置である。ATMは、例えば、入力機能および表示機能を備えたタッチパネルを有している。利用者は、タッチパネルに表示された「お引出し」「お預入れ」「通帳記入」「残高照会」「振込」等の取引種別ボタンの中から所望の取引に対応するボタンを選択し、その後、予め定められた手順に従ってタッチパネルに表示される誘導ガイダンスに沿って操作を進めていくことにより、所望の取引を行うことができる。
【0003】
ATMの利用者は、ATMにカードを挿入し、その後、通帳を挿入するかまたは暗証番号を入力することにより、ATMによる取引を開始することができる。通帳から読み取られた情報や入力された暗証番号は、ホストコンピュータに送信され、ホストコンピュータにおける利用者による取引の実行可否の判定に用いられる。
【0004】
ATMにおいて、ホストコンピュータとの間で通信を行い、ホストコンピュータから得られる取引手数料に関する情報(取引手数料の要否、取引手数料の額または範囲)をタッチパネル等に表示することにより、利用者が取引手数料を考慮した上で取引を実行できるようにする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−258750号公報
【特許文献2】特開2007−140881号公報
【特許文献3】特開2008−171226号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、ATMにおける取引手数料の有無や額(範囲)は、カードのみを利用した取引処理(以下、「カード単独取引」とも呼ぶ)とカードおよび通帳を併用した取引処理(以下、「併用取引」とも呼ぶ)とで互いに異なる場合がある。そのため、ATMにおいて取引手数料に関する情報の表示を行う場合には、カード単独取引か併用取引かが確定した後に、ATMからホストコンピュータにカード単独取引か併用取引かを示す情報が送られる。一方、カード単独取引の際に入力される暗証番号を示す情報は、ホストコンピュータにおいて取引手数料の有無や額を判断する際には必要とされない。
【0007】
そのため、ATMにおいて取引手数料に関する情報の表示を行う場合には、カード単独取引を行う利用者は、カードの挿入、通帳を使用しない旨の確認、表示された手数料の確認、暗証番号の入力、取引情報の入力の順で操作を行うものとなっていた。すなわち、カード単独取引を行う利用者は、カードの挿入の直後ではなく、通帳を使用しない旨の確認および手数料の確認の後に暗証番号の入力を行うものとなっていた。そのため、従来のATMは、利用者に煩わしさや戸惑いを感じさせる場合があり、操作性に向上の余地があった。
【0008】
なお、上記課題は、ATMに限らず、利用者の操作に応じて所定の取引処理を行う取引処理装置、およびそのような取引処理装置を有する取引処理システムに共通の課題であった。また、上記課題は、暗証番号に限らず、ホストコンピュータにおける利用者による取引の実行可否の判定に用いられる所定の情報を取得する取引処理装置、およびそのような取引処理装置を有する取引処理システムに共通の課題であった。また、上記課題は、取引手数料に関する情報の表示を行うための通信に限らず、ホストコンピュータとの間で何らかの通信を行う取引処理装置、およびそのような取引処理装置を有する取引処理システムに共通の課題であった。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、取引処理装置および取引処理装置を有する取引処理システムにおいて、利用者の操作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0011】
[適用例1]取引処理装置であって、
ホストコンピュータとの間で情報のやりとりを行う通信部と、
利用者の操作に応じて、前記ホストコンピュータにおける前記利用者による所定の取引の実行可否の判定に用いられる判定情報を取得する判定情報取得部と、
取得された前記判定情報を記憶する情報記憶部と、を備え、
前記通信部は、前記判定情報が取得された後、前記ホストコンピュータとの間で少なくとも1回の情報のやりとりを行い、その後に前記情報記憶部に記憶された前記判定情報を前記判定のために前記ホストコンピュータに送信する、取引処理装置。
【0012】
この取引処理装置では、判定情報取得部による判定情報の取得と通信部による判定情報のホストコンピュータへの送信との間に、取引処理装置とホストコンピュータとの間で少なくとも1回の情報のやりとりを行うことができるため、判定情報取得部による判定情報の取得タイミングの自由度が増す。従って、この取引処理装置では、利用者の操作性を向上させることができる。
【0013】
[適用例2]適用例1に記載の取引処理装置であって、さらに、
前記判定情報取得部による前記判定情報の取得の前に、前記利用者の操作に応じて、前記利用者を特定する利用者特定情報を読み取り可能な媒体を受け入れる媒体取扱部を備え、
前記通信部は、前記媒体取扱部による前記媒体の受け入れから前記判定情報取得部による前記判定情報の取得までの間に、前記ホストコンピュータとの間で情報のやりとりを行わない、取引処理装置。
【0014】
この取引処理装置では、媒体取扱部による媒体受け入れの直後に判定情報取得部による判定情報の取得が実行されるため、利用者は、自然な操作を実行することができると共に混乱が生ずるおそれのある操作を行う必要がない。従って、この取引処理装置では、利用者が煩わしさや戸惑いを感じることを抑制することができ、利用者の操作性を良好に向上させることができる。
【0015】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の取引処理装置であって、
前記少なくとも1回の情報のやりとりは、前記ホストコンピュータにおける前記所定の取引の手数料に関する判断に用いられる情報の前記ホストコンピュータへの送信と、前記手数料に関する判断の結果の前記ホストコンピュータからの受信と、を含み、
前記取引処理装置は、さらに、
受信された前記手数料に関する判断の結果を表示する手数料表示部を備える、取引処理装置。
【0016】
この取引処理装置では、判定情報のホストコンピュータへの送信の前に、手数料に関する判断の結果を表示することができ、利用者は、取引実行前に手数料を確認できる上、自然な操作を実行することができると共に混乱が生ずるおそれのある操作を行う必要がない。従って、この取引処理装置では、利用者の操作性を著しく向上させることができる。
【0017】
[適用例4]適用例3に記載の取引処理装置であって、さらに、
前記利用者の操作に応じて、前記利用者の通帳を受け入れる通帳取扱部を備え、
前記所定の取引の手数料に関する判断に用いられる情報は、前記通帳受領部により通帳が受け入れられたか否かを特定する情報を含む、取引処理装置。
【0018】
この取引処理装置では、所定の取引の手数料に関する判断に用いられる情報として、通帳受領部により通帳が受け入れられたか否かを特定する情報をホストコンピュータに送信することにより、ホストコンピュータにおける所定の取引の手数料に関する判断を実現することができる。
【0019】
[適用例5]適用例2に記載の取引処理装置であって、
前記媒体は、前記利用者のカードである、取引処理装置。
【0020】
この取引処理装置では、利用者のカードからの読み取りにより、利用者を特定する利用者特定情報を取得することができる。
【0021】
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれかに記載の取引処理装置であって、
前記判定情報は、暗証番号を含む、取引処理装置。
【0022】
この取引処理装置では、暗証番号の取得と通信部による暗証番号のホストコンピュータへの送信との間に、取引処理装置とホストコンピュータとの間で少なくとも1回の情報のやりとりを行うことができるため、暗証番号の取得タイミングの自由度が増す。従って、この取引処理装置では、利用者の操作性を向上させることができる。
【0023】
[適用例7]取引処理装置とホストコンピュータとを有する取引処理システムであって、
前記取引処理装置は、
前記ホストコンピュータとの間で情報のやりとりを行う通信部と、
利用者の操作に応じて、前記ホストコンピュータにおける前記利用者による所定の取引の実行可否の判定に用いられる判定情報を取得する判定情報取得部と、
取得された前記判定情報を記憶する情報記憶部と、を備え、
前記通信部は、前記判定情報が取得された後、前記ホストコンピュータとの間で少なくとも1回の情報のやりとりを行い、その後に前記情報記憶部に記憶された前記判定情報を前記判定のために前記ホストコンピュータに送信し、
前記ホストコンピュータは、
前記取引処理装置との間で情報のやりとりを行う通信部と、
前記判定情報に基づき前記利用者による所定の取引の実行可否の判定を行う判定部と、を備える、取引処理システム。
【0024】
この取引処理装置システムでは、判定情報取得部による判定情報の取得と通信部による判定情報のホストコンピュータへの送信との間に、取引処理装置とホストコンピュータとの間で少なくとも1回の情報のやりとりを行うことができるため、判定情報取得部による判定情報の取得タイミングの自由度が増す。従って、この取引処理装置システムでは、利用者の操作性を向上させることができる。
【0025】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、取引処理装置、取引処理装置を有する取引処理システム、これらの装置またはシステムにおける取引処理方法、等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例における取引処理システムの構成を概略的に示す説明図である。
【図2】取引処理システムに含まれる各要素の内部構成を概略的に示す説明図である。
【図3】本実施例の取引処理システムにおける取引処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】利用者に通帳の挿入または暗証番号の入力を促す画面の一例を示す説明図である。
【図5】第1の比較例の取引処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2の比較例の取引処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第2の比較例において利用者操作部130に表示される画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.実施例:
A−1.システム構成:
A−2.実施例の取引処理:
A−3.比較例の取引処理:
B.変形例:
【0028】
A.実施例:
A−1.システム構成:
図1は、本発明の実施例における取引処理システムの構成を概略的に示す説明図である。また、図2は、取引処理システムに含まれる各要素の内部構成を概略的に示す説明図である。本実施例の取引処理システムは、現金自動取引装置(以下、「ATM」とも呼ぶ)100と、ネットワークNETを介してATM100に接続されるホストコンピュータ200と、を備えている。ATM100は、例えば金融機関や小売店、公共施設等に設置され、利用者の操作に基づき現金出納等の所定の取引処理を行う装置である。ATM100は、現金自動預け払い機とも呼ばれることがある。
【0029】
図1および図2に示すように、ATM100は、ATM100全体を制御する制御部120と、利用者に対するインターフェースとしての利用者操作部(入力・表示部)130と、利用者のカードを取り扱うと共に取引内容を明細票に印字して排出するカード・明細票機構140と、利用者の通帳を取り扱う通帳機構150と、紙幣の入出金処理を行う紙幣入出金機構160と、硬貨の入出金処理を行う硬貨入出金機構170と、ホストコンピュータ200との接続のための回線接続部180と、を含んでいる。
【0030】
制御部120は、CPUとプログラムやデータを記憶するメモリとを有し、CPUがメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各種処理・取引の制御を行う。利用者操作部130は、例えば入力機能と表示機能とを備えるタッチパネルにより構成されており、種々の情報を画面に表示すると共に利用者の画面タッチ操作を検知することにより、利用者の取引操作を誘導したり、利用者による画面表示された項目の選択や暗証番号の入力等を受け付けたりする。カード・明細票機構140は、取引処理に必要な利用者情報が記録された利用者の磁気カードおよびICカードの受け入れ/排出動作や、カードに含まれる磁気ストライプまたはICチップを対象としたリード/ライト動作、カードのエンボス部分のイメージの読み取り動作等を行う。通帳機構150は、利用者の通帳の受け入れ/排出動作や、磁気ストライプを対象としたリード/ライト動作、通帳への印字動作等を行う。
【0031】
ホストコンピュータ200は、ホストコンピュータ200全体を制御する制御部220と、各種情報を記憶する記憶部230と、ATM100との接続のための回線接続部280と、を含んでいる。記憶部230には、過去の取引内容等を記憶する取引履歴ファイル232と、利用者の口座情報等を記憶する口座情報ファイル234と、その他の各種ファイル236と、が格納されている。
【0032】
A−2.実施例の取引処理:
図3は、本実施例の取引処理システムにおける取引処理の流れを示すフローチャートである。取引処理は、利用者がATM100を利用して所望の取引を行う際に取引処理システムにおいて実行される処理である。ステップS101では、ATM100の制御部120(図2)が、利用者操作部130を介して取引種別選択指示を取得する。取引種別選択指示は、利用者が、利用者操作部130に表示された「お引出し」、「お預入れ」、「残高照会」、「通帳記入」、「お振込」、「お振替」等の取引種別ボタンの中から所望の取引に対応するボタンを選択(押下)することにより実行される。
【0033】
ステップS102(図3)では、カード・明細票機構140(図2)が、利用者のカード挿入動作に応じて、挿入されたカードを受け入れる。カードは、利用者を特定する利用者特定情報を読み取り可能な媒体であり、カード・明細票機構140は、受け入れたカードから利用者特定情報を読み取り制御部120に通知する。なお、カード・明細票機構140は、本発明における媒体取扱部として機能する。
【0034】
制御部120は、利用者のカードが受け入れられると、利用者に対して通帳の挿入または暗証番号の入力を促す画面を利用者操作部130に表示する。図4は、利用者に通帳の挿入または暗証番号の入力を促す画面の一例を示す説明図である。利用者は、表示された画面に従い、通帳機構150への通帳の挿入か利用者操作部130を介した暗証番号の入力かのいずれか一方を実行する。
【0035】
ステップS103(図3)では、利用者の操作に応じて、通帳機構150(図2)による通帳の受け入れ、または利用者操作部130を介して入力された暗証番号の制御部120による取得が行われる。通帳の受け入れが行われた場合には、以後、カードおよび通帳を併用した取引処理(以下、「併用取引」とも呼ぶ)が行われる。一方、暗証番号の取得が行われた場合には、以後、カードのみを利用した取引処理(以下、「カード単独取引」とも呼ぶ)が行われる。以下では、カード単独取引が行われる場合について説明する。暗証番号の取得が行われると、制御部120は、取得された暗証番号を記憶する。暗証番号は、ホストコンピュータ200における利用者による取引の実行可否の判定に用いられ、本発明における判定情報に相当する。利用者操作部130および制御部120は、本発明における判定情報取得部として機能し、制御部120は、本発明における情報記憶部として機能する。
【0036】
ステップS105(図3)では、制御部120(図2)が、ホストコンピュータ200との間で情報のよりとりを行って取引処理の手数料を確認し、手数料に関する情報を利用者操作部130に表示する。具体的には、制御部120は、手数料の有無や額の決定(手数料に関する判断)に用いられる情報を回線接続部180を介してホストコンピュータ200に送信し、ホストコンピュータ200における手数料の決定処理(図3のステップS111)において決定され、回線接続部280を介してATM100に送信された手数料に関する判断結果(手数料の有無や額)を利用者操作部130に表示する。なお、ATM100からホストコンピュータ200へ送信される手数料に関する判断に用いられる情報は、通帳が受け入れられたか否かを特定する情報が含まれる。そのため、ホストコンピュータ200は、ATM100における取引が併用取引かカード単独取引かを特定することができ、手数料の有無や額を決定することができる。また、ホストコンピュータ200による手数料の決定処理には、暗証番号の情報は不要であるので、手数料に関する判断に用いられる情報には暗証番号の情報は含まれない。また、ホストコンピュータ200における手数料の決定処理は、制御部220が記憶部230に格納されたファイルを参照して実行する。利用者操作部130は、本発明における手数料表示部として機能し、制御部120と回線接続部180とは、本発明における通信部として機能する。
【0037】
ステップS107(図3)では、制御部120(図2)が、取引情報を取得する。取引情報は、例えば、紙幣入出金機構160や硬貨入出金機構170に投入された現金の金額、利用者操作部130を介して入力された引き出し希望金額等である。
【0038】
ステップS108(図3)では、制御部120(図2)が、取引を実行する。具体的には、制御部120は、ステップS107で取得され取引情報を回線接続部180を介してホストコンピュータ200に送信する。このとき、制御部120は、ステップS103で取得され記憶された暗証番号をホストコンピュータ200に送信する。ホストコンピュータ200の制御部220は、送信された取引情報(例えば取引の種類、口座番号、金額を示す情報)と共に暗証番号を取得し、記憶部230に格納されたファイルを参照して暗証番号の照合を行い、利用者による取引の実行可否を判定する(ステップS112)。ホストコンピュータ200は、暗証番号の照合結果や取引の回答をATM100に通知する。
【0039】
ATM100とホストコンピュータ200とが互いに通信を行い、取引が完了すると、制御部120は、カード・明細票機構140にカードを排出させると共に、通帳が受け入れられている場合には通帳機構150に通帳を排出させる(ステップS109)。
【0040】
以上説明したように、本実施例の取引処理システムにおける取引処理(図3)では、利用者による取引の実行可否の判定に用いられる判定情報としての暗証番号が取得された後、制御部120により記憶される(図3のステップS103)。その後、手数料の確認・表示のためのATM100とホストコンピュータ200との間の情報のやりとりが実行され、さらにその後、利用者による取引の実行可否の判定のために暗証番号がホストコンピュータ200に送信される。すなわち、本実施例の取引処理システムにおける取引処理では、ATM100による暗証番号の取得とホストコンピュータ200への暗証番号の送信との間に、ATM100とホストコンピュータ200との間の情報のやりとりが実行することができるため、ATM100による暗証番号の取得タイミングの自由度が増す。従って、本実施例では、ATM100およびATM100を有する取引処理システムにおいて利用者の操作性を向上させることができる。
【0041】
また、本実施例の取引処理システムにおける取引処理(図3)では、カード・明細票機構140によるカードの受け入れ(ステップS102)から制御部120による暗証番号の取得(ステップS103)までの間にATM100とホストコンピュータ200との間で情報のやりとりが行われない。そのため、カード単独取引を行う利用者は、ATM100へのカードの挿入の直後に暗証番号を入力するという自然な操作を実行することができると共に、例えば通帳を使用しない旨の確認操作といった混乱が生ずるおそれのある操作を行う必要がない。従って、本実施例では、利用者が煩わしさや戸惑いを感じることを抑制することができ、ATM100およびATM100を有する取引処理システムにおいて利用者の操作性を良好に向上させることができる。
【0042】
また、本実施例の取引処理システムにおける取引処理(図3)では、制御部120による暗証番号の取得(ステップS103)の後、ATM100とホストコンピュータ200との間で情報のやりとりを通じて、手数料の確認・表示(ステップS105)が行われ、その後に暗証番号がホストコンピュータ200に送信される。そのため、利用者は、取引実行前に手数料を確認できる上に、ATM100へのカードの挿入の直後に暗証番号を入力するという自然な操作を実行することができると共に、例えば通帳を使用しない旨の確認操作といった混乱が生ずるおそれのある操作を行う必要がない。従って、本実施例では、ATM100およびATM100を有する取引処理システムにおいて利用者の操作性を著しく向上させることができる。
【0043】
A−3.比較例の取引処理:
図5は、第1の比較例の取引処理の流れを示すフローチャートである。図5に示した第1の比較例の取引処理では、ATM100において取引実行前に手数料に関する情報の表示が行われない。すなわち、第1の比較例の取引処理では、図3に示した実施例の取引処理におけるステップS101〜S103と同様に、取引種別選択指示が取得され(ステップS301)、カードの受け入れが行われ(ステップS302)、通帳の受け入れまたは暗証番号の取得が行われる(ステップS303)。その後は、実施例の取引処理におけるステップS107〜S109と同様に、取引情報が取得され(ステップS307)、ホストコンピュータ200との情報のやりとりを通じて取引が実行され(ステップS308およびS312)、カード・通帳が排出される(ステップS309)。
【0044】
第1の比較例の取引処理では、ATM100へのカードの挿入の直後に暗証番号を入力するという自然な操作を実行することができると共に、例えば通帳を使用しない旨の確認操作といった混乱が生ずるおそれのある操作を行う必要がないが、取引実行前における手数料に関する情報の表示が行われないため、実施例の取引処理と比較して利用者の操作性に向上の余地がある。
【0045】
図6は、第2の比較例の取引処理の流れを示すフローチャートである。また、図7は、第2の比較例において利用者操作部130に表示される画面の一例を示す説明図である。図6に示した第2の比較例の取引処理では、図3に示した実施例の取引処理におけるステップS101〜S102と同様に、取引種別選択指示が取得され(ステップS401)、カードの受け入れが行われる(ステップS402)。その後、通帳の受け入れまたは通帳を使用しない旨の確認の取得が行われる(ステップS403)。図7(a)には、このときに利用者操作部130に表示される画面を示している。次に、実施例の取引処理におけるステップS105と同様に、ホストコンピュータ200との情報のやりとりを通じて手数料の確認・表示が行われ(ステップS405およびS411)、その後、利用者操作部130を介した暗証番号の取得が行われる(ステップS406)。図7(b)には、このときに利用者操作部130に表示される画面を示している。その後は、実施例の取引処理におけるステップS107〜S109と同様に、取引情報が取得され(ステップS407)、ホストコンピュータ200との情報のやりとりを通じて取引が実行され(ステップS408およびS412)、カード・通帳が排出される(ステップS409)。
【0046】
第2の比較例の取引処理では、取引実行前における手数料に関する情報の表示が行われるものの、カード単独取引を行う利用者は、通帳を使用しない旨の確認操作といった混乱が生ずるおそれのある操作を行う必要があると共に、ATM100へのカードの挿入の後、通帳を使用しない旨の確認操作および手数料の表示というステップを経て、暗証番号を入力するという自然とはいえない操作を要求されることとなり、煩わしさや戸惑いを感じるおそれがある。そのため、第2の比較例の取引処理は、実施例の取引処理と比較して利用者の操作性に向上の余地がある。
【0047】
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0048】
B1.変形例1:
上記実施例では、暗証番号の取得(図3のステップS103)が行われた後に、手数料の確認・表示のためにATM100とホストコンピュータ200との間で情報のやりとりが行われているが(ステップS105およびS111)、暗証番号の取得が行われた後に他の目的のためにATM100とホストコンピュータ200との間で情報のやりとりが行われるとしてもよい。また、暗証番号の取得が行われた後のATM100とホストコンピュータ200との間での情報のやりとりは、複数回行われるとしてもよい。
【0049】
また、上記実施例では、ホストコンピュータ200における取引の手数料に関する判断に用いられる情報は、通帳が受け入れられたか否かを特定する情報を含むとしているが、必ずしも通帳が受け入れられたか否かを特定する情報を含む必要はない。取引の手数料に関する判断に用いられる情報は、例えば取引時刻といった他の情報を含むとしてもよい。
【0050】
また、上記実施例では、ホストコンピュータ200における利用者による取引の実行可否の判定に用いられる判定情報として暗証番号が用いられるとしているが、判定情報として例えば生体認証に用いられる利用者の身体的特徴を特定する情報といった他の情報を採用することも可能である。また、上記実施例では、利用者を特定する利用者特定情報を読み取り可能な媒体としてカードが用いられているが、他の媒体が用いられるとしてもよい。
【0051】
B2.変形例2:
上記実施例におけるATM100およびホストコンピュータ200の構成は、あくまで一例であり、種々に変形可能である。例えば、ホストコンピュータ200の利用者操作部130がタッチパネルではなく、モニターと入力操作部とにより構成されるとしてもよい。また、上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
100…ATM
120…制御部
130…利用者操作部
140…カード・明細票機構
150…通帳機構
160…紙幣入出金機構
170…硬貨入出金機構
180…回線接続部
200…ホストコンピュータ
220…制御部
230…記憶部
232…取引履歴ファイル
234…口座情報ファイル
236…各種ファイル
280…回線接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引処理装置であって、
ホストコンピュータとの間で情報のやりとりを行う通信部と、
利用者の操作に応じて、前記ホストコンピュータにおける前記利用者による所定の取引の実行可否の判定に用いられる判定情報を取得する判定情報取得部と、
取得された前記判定情報を記憶する情報記憶部と、を備え、
前記通信部は、前記判定情報が取得された後、前記ホストコンピュータとの間で少なくとも1回の情報のやりとりを行い、その後に前記情報記憶部に記憶された前記判定情報を前記判定のために前記ホストコンピュータに送信する、取引処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の取引処理装置であって、さらに、
前記判定情報取得部による前記判定情報の取得の前に、前記利用者の操作に応じて、前記利用者を特定する利用者特定情報を読み取り可能な媒体を受け入れる媒体取扱部を備え、
前記通信部は、前記媒体取扱部による前記媒体の受け入れから前記判定情報取得部による前記判定情報の取得までの間に、前記ホストコンピュータとの間で情報のやりとりを行わない、取引処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の取引処理装置であって、
前記少なくとも1回の情報のやりとりは、前記ホストコンピュータにおける前記所定の取引の手数料に関する判断に用いられる情報の前記ホストコンピュータへの送信と、前記手数料に関する判断の結果の前記ホストコンピュータからの受信と、を含み、
前記取引処理装置は、さらに、
受信された前記手数料に関する判断の結果を表示する手数料表示部を備える、取引処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の取引処理装置であって、さらに、
前記利用者の操作に応じて、前記利用者の通帳を受け入れる通帳取扱部を備え、
前記所定の取引の手数料に関する判断に用いられる情報は、前記通帳受領部により通帳が受け入れられたか否かを特定する情報を含む、取引処理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の取引処理装置であって、
前記媒体は、前記利用者のカードである、取引処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の取引処理装置であって、
前記判定情報は、暗証番号を含む、取引処理装置。
【請求項7】
取引処理装置とホストコンピュータとを有する取引処理システムであって、
前記取引処理装置は、
前記ホストコンピュータとの間で情報のやりとりを行う通信部と、
利用者の操作に応じて、前記ホストコンピュータにおける前記利用者による所定の取引の実行可否の判定に用いられる判定情報を取得する判定情報取得部と、
取得された前記判定情報を記憶する情報記憶部と、を備え、
前記通信部は、前記判定情報が取得された後、前記ホストコンピュータとの間で少なくとも1回の情報のやりとりを行い、その後に前記情報記憶部に記憶された前記判定情報を前記判定のために前記ホストコンピュータに送信し、
前記ホストコンピュータは、
前記取引処理装置との間で情報のやりとりを行う通信部と、
前記判定情報に基づき前記利用者による所定の取引の実行可否の判定を行う判定部と、を備える、取引処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−28667(P2011−28667A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176130(P2009−176130)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】