説明

受け皿及びこれを備えたオーブンレンジ

【課題】被加熱物から出る余分な油などが表面に溜ることがなく、被加熱物がヘルシーに加熱調理され、また、均一な焦げ目がついてからっと焼き上げることのできる受け皿及びこれを備えたオーブンレンジを提供する。
【解決手段】被加熱物を載置する受け皿11の本体部12と、この本体部12の裏面に設けられマイクロ波によって発熱する発熱体13とからなり、本体部12を溶岩石によって構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物を載置する受け皿及びこの受け皿を備えたオーブンレンジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の高周波加熱装置の焦げ目付け皿に、調理物を載置するセラミック製の受け皿の裏面に、高周波加熱により発熱可能な高周波発熱体を複数の区画に分割して設け、非加熱物の表面に均一に焦げ目を付けるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、高周波加熱調理器において、複数の食器載置皿の少なくとも1つは、マイクロ波を吸収して発熱する発熱体を有し、かつ他の食器載置皿に比べて少なくとも底部の材厚を厚く構成したものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−254737号公報(第3−4頁、図1)
【特許文献2】特開2004−3746号公報(第4−5頁、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2の高周波加熱調理器に使用される受け皿はセラミック製で、その表面が釉薬処理されており、被調理物が載置される面は釉薬で覆われて孔のない非孔面となっている。そのため、被加熱物である肉などを直接載置して加熱調理(焼く)する場合、加熱中に肉などから出る余分な油が受け皿の表面に溜り、肉などに付着して焦げ目が付きにくいばかりでなく、ベチャついてからっと焼き上げることができなかった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、被加熱物から出る余分な油などが表面に溜ることがなく、被加熱物がヘルシーに加熱調理され、また、均一な焦げ目がついてからっと焼き上げることのできる受け皿及びこの受け皿を備えたオーブンレンジを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る受け皿は、被加熱物を載置する本体部と、該本体部の裏面に設けられマイクロ波によって発熱する発熱体とからなり、前記本体部を溶岩石によって構成したものである。
【0008】
また、本発明に係るオーブンレンジは、上記の受け皿を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る受け皿は、本体部を無数の小孔を有する多孔質構造の溶岩石で構成したので、裏面に発熱体を形成するためのコーティングが小孔に食い込むため密着性がよく、剥れることがない。また、肉などを加熱調理するときに、肉などから出る余分な油などを小孔が吸収するため、ベタつかずヘルシーに調理され、またからっと焼き上げることができる。
また、本発明に係るオーブンレンジは、上記の受け皿を備えたので、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る受け皿を備えたオーブンレンジの模式的説明図である。
【図2】図1の受け皿の平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図3の一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の一実施の形態に係る受け皿を備えたオーブンレンジの模式的説明図である。
マイクロ波やヒータで被加熱物を加熱し調理するオーブンレンジの本体1内には、前面が開口された箱状で、被加熱物を加熱調理する加熱室2が設けられており、加熱室2の両側壁には、対向して1段又は複数段の受け皿の載置用レール3が設けられている。4は加熱室2の下部に設けられたマイクロ波を透過する食品載置台である。
【0012】
5は加熱室2の外側に設けられてマイクロ波を発生するマグネトロン、6はマグネトロン5に取付けられた導波管である。7は加熱室2の底部において、食品載置台4の下方に配設されたアンテナで、導波管6を貫通したアンテナモータ8の回転軸に取付けられ、マイクロ波を放射しながら回転駆動され、食品載置台4を介して加熱室2内にマイクロ波を供給する。
【0013】
9は加熱室2の上部に設けられた上ヒータ、10は食品載置台4の下側において、アンテナ7の両側に設けられた下ヒータである。11は平面四角形状の受け皿で、加熱室2内において載置用レール3に出し入れ可能に載置される。
【0014】
受け皿11は、図2、図3に示すように、基材として溶岩石が用いられた本体部12と、本体部12の裏面に設けられ、マイクロ波を吸収して発熱する発熱体13とからなっている。そして、本体部12の上面には被調理物が載置される平坦な載置面14が形成されており、また、外周にはフランジ部15が設けられている。なお、受け皿11の本体部12を構成する溶岩石の成分はSiO2、Al22、MgO等で構成されている。
【0015】
このような受け皿11は、載置面14に被加熱物が載せられ、フランジ部15が載置用レール3に載置されて加熱室2内に収納される。そして、マグネトロン5を駆動して、アンテナ7から食品載置台4を介して加熱室2内にマイクロ波を放射させることにより、受け皿11の発熱体13がマイクロ波を吸収して発熱し、この熱が溶岩石からなる本体部12に伝わり、載置面14上の被加熱物を加熱し、調理する。なお、必要に応じて、マイクロ波と上下のヒータ9,10とによって加熱調理し、あるいは上下のヒータ9,10のみで加熱調理を行うこともある。
【0016】
図4は受け皿11の一部拡大断面図である。受け皿11の本体部12を構成する基材には、無数の小孔16を有する多孔質の天然素材である溶岩石が用いられている。また、本体部12の裏面に設けられた発熱体は、例えば、本体部12の裏面に酸化金属皮膜をコーティングして形成されるが、本体部12の小孔16にコーティングが食い込んで密着性が向上するため、コーティングが剥れにくくなっている。このため、コーティングを行う前に本体部12に対するブラスト等の下地処理が不要であり、コストを低減できる。
【0017】
また、受け皿11の載置面14に被加熱物である肉などを載置して加熱したときに、肉などから出る余分な油分や塩分は、本体部12の無数の小孔16内に吸い取られるのでベチャつきがなく、ヘルシーに調理され、からっと焼き上げることができる。
また、載置面14には無数の小孔16が存在するため被加熱物の接触部分が少なく、被加熱物が貼り付きにくいため、油を引く必要がなく、ヘルシーに加熱調理することができる。
【0018】
受け皿11の本体部12を構成する溶岩石の小孔16は、発熱体13を形成するためのコーティングの密着性や、油などの吸収性などから、孔径はφ2mm以下が望ましく、また、本体部12の厚みは赤外線効果及び強度上から10mm以上であることが望ましい。
【0019】
また、本発明においては、受け皿11の載置面14に水を流すことにより、小孔16に水を溜めることができるので、マイクロ波加熱による発熱体13の発熱により、小孔16に溜った水が水蒸気となるため、これによりスチーム調理を行うことができる。
さらに、受け皿11の載置面14は無数の小孔16の気泡による空気断熱効果により冷めにくいので、調理後に受け皿11に載せたまま被加熱物をテーブルに出して保温することができる。
【0020】
本発明に係る受け皿11が汚れた場合は、調理後の受け皿11が熱いうちにぬるま湯に浸すことにより、小孔16から気泡が発生して汚れが載置面14から浮き出るので、これを洗い流せばよい。
【0021】
本発明に係る受け皿11によれば、本体部12を無数の小孔16を有する多孔質構造の溶岩石で構成したので、裏面に発熱体13を形成するためのコーティングが小孔16に食い込むため、密着性がよく、剥れることがない。また、オーブンレンジで肉などを加熱調理するときに、肉などから出る余分な油などを小孔16が吸収するため、ベタつかずヘルシーに調理され、また、からっと焼き上げることができる。
なお、上記の説明では、受け皿11を四角形状に形成した場合を示したが、これに限定するものではなく、平面円形等、他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 オーブンレンジの本体、2 加熱室、3 載置用レール、5 マグネトロン、6 導波管、7 アンテナ、8 アンテナモータ、9 上ヒータ、10 下ヒータ、11 受け皿、12 溶岩石からなる本体部、13 発熱体、14 載置面、15 フランジ部、16 小孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を載置する本体部と、該本体部の裏面に設けられマイクロ波によって発熱する発熱体とからなり、
前記本体部を溶岩石によって構成したことを特徴とする受け皿。
【請求項2】
前記本体部を、無数の小孔を有する多孔質構造の溶岩石で構成したことを特徴とする請求項1記載の受け皿。
【請求項3】
前記本体部を、溶岩石により平坦な載置面とその外周に設けたフランジ部とによって形成し、該本体部の裏面に酸化金属皮膜をコーティングして発熱体を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の受け皿。
【請求項4】
前記発熱体を、前記本体部を構成する溶岩石の小孔に食い込ませたことを特徴とする請求項3記載の受け皿。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれかの受け皿を備えたことを特徴とするオーブンレンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−78482(P2011−78482A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231404(P2009−231404)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】