説明

受信システム

【課題】 可変指向性アンテナの指向性の方向を誤った方向に設定することを防止する。
【解決手段】 可変指向性アンテナ2は、自己を中心とする円の円周方向に沿ってステップ状に指向性の方向を変化させられる。アンテナ2で受信された高周波信号のうち所望のものをチューナ8が選択して受信する。チューナ8は、受信信号のレベルを検出し、制御部10に供給する。制御部10は、アンテナ2の指向性の方向を異ならせた複数の状態における受信信号のレベルのうち閾値以上のものを検索し、検索された受信信号に対応する指向性の方向である検索指向性方向に隣接する方向での信号対雑音比を検出する。さらに、制御部10は、各信号対雑音比のうち最も良好なものに対応する検索指向性の方向を可変指向性アンテナ2の受信方位と決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信システムに関し、特に可変指向性アンテナを用いたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のような受信システムには、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。特許文献1の技術によれば、指向性の方向を所定の角度ごとに順に円周方向に沿って変更することができる。
【0003】
【特許文献1】国際公開番号WO2004/091043号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような可変指向性アンテナを使用して、或る電波を受信しようとした場合、指向性の方向を順に変化させていき、指向性の方向での受信レベルを検出し、受信レベルが、予め定めた閾値以上になると、この受信レベルに対応する指向性の方向を、この可変指向性アンテナの方位とすることがある。この場合、例えば可変指向性アンテナがマルチパスの影響を受けていると、真の電波の到来方向とは異なる方向に指向性の方向が向いているにも拘わらず、受信レベルが閾値以上となることがある。その結果、この可変指向性アンテナの方位を誤った方向とすることがある。例えば受信しようとしている電波が地上デジタル放送の特定のチャンネルの電波の場合、誤った方向に指向性の方向を向けていると、S/N比やBERの劣化により、表示された画像にブロックノイズが発生したり、画面がブラックアウトしたりすることがある。可変指向性アンテナを初めて設置したときに、上記のようにして方位の設定を行ってしまうと、以後、その特定のチャンネルは、ブロックノイズが発生したり、ブラックアウトしたりするものとなり、良好に地上デジタル放送を受信することができなくなる。
【0005】
本発明は、可変指向性アンテナの指向性の方向を誤った方向に設定することを防止することができる受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の受信システムは、可変指向性アンテナを有している。この可変指向性アンテナは、自己を中心とする円の円周方向に沿ってステップ状に指向性の方向を変化させることができるものである。例えば機械的にアンテナの向きを変更することによって、指向性の方向を変更することもできる。或いは、例えばアンテナを複数のアンテナ素子、例えばダイポールアンテナ素子によって構成し、これらアンテナ素子は、指向性の方向が互いに異なるように機械的配置とし、例えば直交するように配置し、これらアンテナ素子の各受信信号をレベル調整手段によってレベル調整したり、或いは各受信信号の位相を電気的に変更したりした後に合成することによって、アンテナの機械的な向きは変更せずに、電気的に指向性の方向を変更することもできる。この可変指向性アンテナで受信された高周波信号のうち所望のものを受信手段が選択して受信する。受信手段としては、例えば所望の周波数の電波を選択することができる同調手段を有するものを使用することができ、同調手段の同調周波数を可変にして、異なる周波数の電波のうち所望のものを選択することもできる。この受信手段の受信信号のレベルをレベル検出手段が検出する。レベル検出手段は、受信手段が選択した高周波信号自体のレベルを検出することもできるし、受信手段が受信した高周波信号を中間周波信号に周波数変換した後に、復調するものである場合、中間周波信号のレベルを検出することもできるし、復調後の信号のレベルを検出することもできる。前記可変指向性アンテナの指向性の方向を異ならせた複数の状態における前記受信信号のレベルのうち予め定めた閾値以上のものを検索手段が検索する。検索手段としては、例えば受信信号と予め定めた閾値とを比較する比較手段を使用することができる。比較手段には、異なる受信信号が順に供給される。検索された受信信号に対応する指向性の方向である検索指向性の方向に隣接する指向性の方向における受信信号の雑音に対する比率、受信信号の搬送波の雑音に対する比率またはビットエラー比率を検出手段が検出する。検出された各比率のうち最も良好なものに対応する前記検索指向性の方向を、前記可変指向性アンテナの受信方位とする判定手段が設けられている。
【0007】
例えばマルチパスの影響で真の電波の到来方向と異なる方向に指向性の方向を向けている場合、現在向けている方向に隣接する方向に指向性の方向を向けて信号対雑音比(S/N)を測定すると、真の電波がその方向の周囲には存在しないのでS/Nは悪い。一方、真の電波の到来方向に指向性の方向を向けている場合、現在向けている方向に隣接する方向に指向性の方向を向けて信号対雑音比(S/N)を測定すると、真の電波がその方向の周囲に存在するので、S/Nは上述した場合よりも確実に良好である。従って、閾値以上の受信レベルが複数存在する場合、それらの受信レベルを生じている指向性の方向に隣接する方向のS/Nを検出手段で測定し、最もS/N比が良好な方向に対応する検索指向性の方向を、可変指向性アンテナの方位とすることによって、可変指向性アンテナの指向性の方向を誤った方向に設定することを防止できる。受信信号の搬送波対雑音比(C/N)を用いた場合でも同様であるし、受信信号がデジタル信号で搬送波を変調したものである場合にはビットエラーレートを用いても同様である。
【0008】
前記検出手段は、前記検索指向性方向の両側で隣接する指向性の方向における前記比率を検出することもできる。両側で検出された2つの比率を平均化することもできるし、或いは2つの比率のうち値が低いものまたは高いものの一方を選択することもできる。それぞれ異なる方向ごとに平均化されたまたは選択された比率が、判定手段において比較され、最も良好な比率のものが決定され、これに対応する検索指向性が方位とされる。
【0009】
このように検索指向性方向の両側で比率を測定しているので、より高精度に可変指向性アンテナの指向性の方向を誤った方向に設定することを防止できる。
【0010】
前記受信信号のレベルのうち前記閾値以上のものが予め定めた個数以上あるとき、これら閾値以上の受信信号のうち最大値のものからその大きさに従って予め定めた個数だけ順に選択したものの指向性の方向に隣接する指向性の方向での前記比率を、前記検出手段が検出することもできる。閾値以上の受信信号が多数ある場合、全てについて上述した比率を測定していると、その測定に要する時間が長くなる。一般に受信レベルが高いものほど、検索指向性方向が真の電波の到来方向を向いている可能性が高い。そこで、受信信号のレベルのうち前記閾値以上のものが予め定めた個数以上あるとき、これら閾値以上の受信信号のうち最大値のものから、その大きさに従って予め定めた個数だけ順に選択したもののみ上述した比率を測定し、可変指向性アンテナの方位の決定に要する時間を短縮している。
【0011】
前記受信手段または前記可変指向性アンテナに増幅手段を設けることもできる。この増幅手段は、前記受信信号のレベルのうち前記閾値以上のものが不存在のとき動作し、或いは、前記受信信号のレベルのうち前記閾値以上のものが予め定めた個数未満のとき動作し、可変指向性アンテナで受信した高周波信号または受信手段での受信信号を増幅する。増幅された高周波信号は、受信手段に供給され、増幅された受信信号はレベル検出手段と検出手段に供給される。そして、レベル検出手段、検出手段及び判定手段が上述したのと同じ動作をする。
【0012】
このように構成すると、例えば高周波信号のレベルが低い場合でも、高周波信号自体または受信信号が増幅されるので、受信信号のレベルが閾値以上となり、可変指向性アンテナの指向性の方向を誤った方向に設定することを防止できる可能性が高くなる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、可変指向性アンテナの指向性の方向を誤った方向に設定することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施形態の受信システムは、地上デジタル放送の受信システムである。この受信システムは、図1に示すように可変指向性アンテナ2を有している。可変指向性アンテナ2は、例えば国際公開公報WO2004/091043号に開示されているように、複数、例えば2つのアンテナ素子、例えばダイポールアンテナを水平面内において直交するように配置してある。これらダイポールアンテナで受信した高周波信号がそれぞれレベル調整手段、例えば各可変減衰器を介して合成器に供給され、合成される。各可変減衰器での減衰量を外部から制御することによって、2つのダイポールアンテナの合成指向性の方向を、例えば図2に示すように可変指向性アンテナ2を中心とする円周に沿って所定角度、例えば22.5度ずつステップ状に変更し、複数、例えば16個の異なる方向に指向性の方向を変更する。この可変指向性アンテナ2は、地上デジタル放送を受信するためのものであるので、UHF帯の各地上デジタル放送のいずれも受信することができる広帯域のものである。
【0015】
この可変指向性アンテナ2は、図示していないが、内部に増幅手段、例えば高周波増幅器を内蔵している。各ダイポールアンテナ素子で受信されたUHF帯の高周波信号は、各高周波増幅器でそれぞれ増幅されるか、或いは、単に高周波増幅器をバイパスさせられるか、いずれかに切換可能にも構成されている。
【0016】
この可変指向性アンテナ2で受信されたUHF帯の高周波信号は、制御ボックス4を介してセットトップボックス6に供給される。また、指向性を変化させるための制御信号や、高周波増幅器での増幅またはバイパスの制御信号は、セットトップボックス6において生成され、制御ボックス4を介して可変指向性アンテナ2に供給される。なお、可変指向性アンテナ2と制御ボックス4との間は、実際には1本の同軸ケーブルによって接続され、この同軸ケーブルを介して高周波信号や制御信号が伝送される。また、可変指向性アンテナ2の高周波増幅器を動作させるための電力も、セットトップボックス6から制御ボックス4に供給され、同軸ケーブルを介して可変指向性アンテナ2に供給される。電力供給と制御信号とを可変指向性アンテナ2に供給するため、制御信号は、制御ボックス4において変調されている。この変調のために制御ボックス4が設けられている。従って、セットトップボックス6からそれぞれ個別に制御信号や電力を供給する場合には、制御ボックス4は不要である。
【0017】
セットトップボックス6内には、制御ボックス4からのUHF帯の高周波信号が供給されるチューナ8が設けられている。チューナ8は、UHF帯の高周波信号から所望の周波数帯(チャンネル)の地上デジタル放送信号を選択するための同調手段、例えば同調回路を有している。この同調回路が選択する地上デジタル放送のチャンネルを変更することができるように、同調回路は構成されている。また、チューナ8は、選択したチャンネルの地上デジタル放送信号を中間周波信号に変換した後に、ベースバンド信号に復調して、テレビジョン受信機に供給する。チューナ8は、図示していないが、選択したチャンネルの地上デジタル放送信号、それの中間周波信号またはこれを変換したベースバンド信号の信号レベルを検出するレベル検出手段、例えば一定時間内のピーク値レベルを検出するレベル検出回路も備えている。このレベル検出回路からのレベル検出信号は、制御部10に供給される。
【0018】
制御部10は、制御手段、例えばCPU12と、記憶手段、例えばROM14及びRAM16を有している。ROM14は、CPU12を動作させるためのプログラムやCPU12が動作する際に必要なデータが記憶されており、RAM16は、CPU12が動作する際のワークエリアとして使用される。CPU12は、図示していないが操作手段、例えばリモートコントロール送信機から供給されるチャンネル選択信号を受信し、この信号による指示に従って、チューナ8での選択チャンネルを切り換え、かつインターフェース18を介して制御ボックス4に各制御信号を生成して、選択チャンネルの地上デジタル放送を受信できる方向に可変指向性アンテナ2の指向性の方向を向ける。なお、制御部10、チューナ8、可変指向性アンテナ2内の高周波増幅器を動作させるための電力を供給するための電源部20が設けられている。
【0019】
この受信システムでは、上述したように、受信しようとする地上デジタル放送のチャンネルがリモートコントロール送信機から制御部10に送信されたとき、この地上デジタル放送の電波が到来する方向に可変指向性アンテナ2の指向性の方向を向ける必要がある。そのために、この受信システムを設置したときに、図3以下に示すような受信方位の決定処理を制御部10が行う。
【0020】
この処理では、まず受信しようとする各地上デジタル放送の各チャンネルのうち1つのチャンネルをチューナ8が受信するように設定を行う(ステップS2)。次に、可変指向性アンテナ2内のアンテナ素子が受信した高周波信号が可変指向性アンテナ2内の高周波増幅器で増幅されずにバイパスされるように制御信号を可変指向性アンテナ2に供給するアンプスルー処理を行う(ステップS4)。次に、図2に示すように、可変指向性アンテナ2の指向性の方向を基準方向aから順に22.5度ずつ異なる各方向に変化させ、各方向ごとにチューナ8によって生成されたレベル検出信号が制御部10に供給され、その方向と共に記憶される(ステップS6)。これに続いて、各レベル検出信号のうち、地上デジタル放送信号を良好に受信するために必要な受信レベルである閾値TH以上のものが存在するか判断する(ステップS8)。即ち、可変指向性アンテナ2の高周波増幅器での増幅を行わなくても、選択されたチャンネルの地上デジタル放送を受信できているか判断する。なお、閾値THは予め設定されている。
【0021】
この判断の答えがイエスの場合、図4に示すように、閾値TH以上の受信レベルが3個以上存在するか判断する(ステップS10)。即ち、マルチパス等の影響によって、本来の受信方向と異なる2つ以上の方向でも、選択されたチャンネルの地上デジタル放送を受信できているか判断する。この判断の答えがイエスの場合、閾値TH以上の受信レベルのうち大きいものから順に3つを選択する(ステップS12)。これによって、例えば図2(a)に示す方向b、g、lの受信レベルが選択される。以下、これら選択された指向性の方向を検索指向性方向と称する。
【0022】
これら検索指向性方向の両側で隣接する方向での信号対雑音比(S/N)を複数回測定する(ステップS14)。例えば図2(b)に示す検索指向性方向bで言えば、その両側の方向a、cにおいてS/Nがそれぞれ複数回測定され、検索指向性方向gで言えば、その両側のf、hにおいてS/Nがそれぞれ複数回測定され、検索指向性方向lで言えば、その両側のk、mにおいてS/Nがそれぞれ複数回測定される。そのため、制御部10は、検索指向性方向bの場合、可変指向性アンテナ2の指向性の方向を方向aに向けて複数回S/Nを測定し、次に可変指向性アンテナ2の指向性の方向を方向cに向けて複数回S/Nを測定する。他の検索指向性方向の場合でも同様である。なお、S/Nの測定方法は公知であるので、詳細な説明は省略する。
【0023】
このようにして得られた各S/Nを平均化する(ステップS16)。この平均化は、例えば検索指向性方向の一方の側でのS/Nを平均し、かつ他方の側のS/Nを平均し、これら両平均値のさらに平均値を求める。例えば検索指向性方向bの場合、方向aでの複数のS/Nを平均し、方向cでの複数のS/Nを平均し、これら2つの平均値をさらに平均する。
【0024】
このようにして検索指向性方向ごとにS/Nの平均値が求められたので、これらS/Nの平均値を比較して、最もS/Nが良好な検索指向性方向を、選択チャンネルの方位と決定し、制御部10が選択チャンネルと対応させて記憶する(ステップS18)。一般に、可変指向性アンテナの指向性の方向が電波の到来方向を向いている場合には、その両側の方向でも或る程度のレベルで電波は受信されており、その結果、両側の方向でのS/Nは良好である。これに対し、マルチパス等の影響で真の電波の到来方向と異なる方向では、その両側の方向では真の電波の受信レベルは低くなり、S/Nは悪化する。従って、両側でのS/Nが良好である方向を真の電波の到来方向と判定することができる。
【0025】
閾値TH以上の受信レベルの全てについて上述したようにその両側の方向でのS/Nの平均値を求め、それらのうちで最も良好なS/Nの方向を方位とすることもできる。しかし、これでは方位の決定に要する時間が長くなる可能性があるので、この実施形態では、上位の3つの受信レベルに限定している。但し、使用する受信レベルの数は3に限ったものではなく、2以上で全受信レベル数までの数であれば、方位の決定に掛けることができる時間を勘案して、使用する受信レベルの数を任意に決定できる。
【0026】
このようにして、1つのチャンネルでの方位が決定されたので、全てのチャンネルについて方位の設定が終了したか判断し(ステップS20)、この判断の答えがイエスの場合、この受信方位決定の処理を終了する。この判断の答えがノーの場合、図3のステップS2において新たなチャンネルを指定して、上述した動作を繰り返す。
【0027】
ステップS10において閾値TH以上の受信レベルが3個以上存在しないと判断されると、図5に示すように、可変指向性アンテナ2内の高周波増幅において受信された高周波信号が増幅されるようにアンプオン処理を行う(ステップS22)。この処理が行われるのは、アンプオン処理を行うことによって閾値TH以上の受信レベルが3個以上となる可能性があるかもしれないからである。次に、ステップS6と同様に各方向での受信レベルをその方向と共に記憶し(ステップS24)、ステップS10と同様に、閾値TH以上の受信レベルが3個以上存在するか判断する(ステップS26)。この判断の答えがイエスの場合、ステップS12、14、16、18と同一の処理をステップS28、30、32、34で行って、選択チャンネルの方位を決定し、ステップS20を実行して、次のチャンネルの方位の決定に移行する。
【0028】
ステップS26において、閾値TH以上の受信レベルが3個以上存在しないと判断されると、図6に示すように閾値TH以上の受信レベルが2つか判断する(ステップS36)。この判断の答えがイエスの場合、2つの検索指向性方向の受信レベルの両側の方向の受信レベルに対してステップS14、S16、S18と同一の処理をステップS38、40、42で行って、選択チャンネルの方位を決定し、ステップS20を実行して、次のチャンネルの方位の決定に移行する。
【0029】
ステップS36において閾値TH以上の受信レベルが2つで無いと判断されると、閾値TH以上の受信レベルは1つしか存在しないので、その受信レベルの方向を方位に決定し(ステップS44)、ステップS20を実行して、次のチャンネルの方位の決定に移行する。
【0030】
ステップS8において受信レベルが閾値TH以上のものが存在しないと判断されると、図7に示すように、ステップS22と同様にアンプオン処理を行い(ステップS46)、ステップS6と同様に各方向での受信レベルをその方向と共に記憶し(ステップS48)、ステップS10と同様に、閾値TH以上の受信レベルが3個以上存在するか判断する(ステップS50)。この判断の答えがイエスの場合、ステップS28以降の処理を行う。
【0031】
ステップS50において、閾値TH以上の受信レベルが3個以上存在しないと判断されると、受信レベルが大きいものを3つ選択する(ステップS52)。即ち、ステップS6と同様に可変指向性アンテナ2の指向性の方向を順に変更し、変更ごとに受信レベルを測定する。これを複数回行って、各指向性の方向ごとに受信レベルの平均値を求め、これら平均値の中から上位のもの3つを選択する。これら3つの受信レベルのうち閾値TH以上のものがあるか判断する(ステップS54)。再測定によって閾値TH以上の受信レベルのものが出現しているかもしれないので、この処理を行っている。ステップS54の判断の答えがイエスの場合には、閾値TH以上の受信レベルのうち最大のものを方位に決定する(ステップS56)。ステップS54の判断の答えがノーの場合には、受信不能であるので、方位に関するチャンネル情報は未登録の処理を行い(ステップS58)、ステップS20を実行して、次のチャンネルの方位の決定に移行する。
【0032】
上記の実施形態では、地上デジタル放送の受信システムに本発明を実施したが、これに限ったものではなく、例えば衛星放送や衛星通信の受信システムに、本発明を実施することができる。上記の実施形態では、ステップS8の判断の答えがノーの場合、ステップS46以降の処理を行うように構成したが、場合によっては、ステップS58のように方位に関するチャンネル情報は未登録の処理を行うこともできる。同様に、ステップS10の判断の答えがノーの場合にも、ステップS58のように方位に関するチャンネル情報は未登録の処理を行うこともできる。或いは、ステップS10の判断の答えがノーの場合、アンプスルーの状態のままで、ステップS26以降の処理を行うようにすることもできる。また、上記の実施形態では、閾値TH以上となる3つの受信レベルが得られる方向の両側の方向でS/Nを測定したが、少なくとも一方の方向のみでS/Nを測定することもできる。また、上記の実施形態では、信号対雑音比(S/N)を用いたが、これに代えて搬送波対雑音比(C/N)を測定して、同様に用いることができる。或いは、受信レベルがTH以上である各受信方向において、それら方向の少なくとも片側、望ましくは両側でビットエラーレートを複数回測定し、その平均値を算出し、これら平均値のうち最も小さい受信方向を、このアンテナの方位とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の1実施形態の受信システムのブロック図である。
【図2】図1の受信システムにおいて可変指向性アンテナの指向性の変化状態と、特定の方向における受信レベルとを示す図である。
【図3】図1の受信システムにおける方位設定処理の第1の部分を示すフローチャートである。
【図4】図3の方位設定処理の第2の部分を示すフローチャートである。
【図5】図3の方位設定処理の第3の部分を示すフローチャートである。
【図6】図3の方位設定処理の第4の部分を示すフローチャートである。
【図7】図3の方位設定処理の第5の部分を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
2 可変指向性アンテナ
8 チューナ(受信手段、レベル検出手段)
10 制御部(検索手段、信号対雑音比検出手段、判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己を中心とする円の円周方向に沿ってステップ状に指向性の方向を変化させられる可変指向性アンテナと、
この可変指向性アンテナで受信された高周波信号のうち所望のものを選択して受信する受信手段と、
この受信手段の受信信号のレベルを検出するレベル検出手段と、
前記可変指向性アンテナの指向性の方向を異ならせた複数の状態における前記受信信号のレベルのうち予め定めた閾値以上のものを検索する検索手段と、
検索された受信信号に対応する指向性の方向である検索指向性の方向に隣接する指向性の方向における前記受信信号の雑音に対する比率、前記受信信号の搬送波の雑音に対する比率またはビットエラーの比率を検出する検出手段と、
検出された前記各比率のうち最も良好なものに対応する前記検索指向性の方向を、前記可変指向性アンテナの受信方位とする判定手段とを、
具備する受信システム。
【請求項2】
請求項1記載の受信システムにおいて、前記検出手段は、前記検索指向性方向の両側で隣接する指向性の方向における前記比率を検出する受信システム。
【請求項3】
請求項1記載の受信システムにおいて、前記受信信号のレベルのうち前記閾値以上のもが予め定めた個数以上あるとき、これら閾値以上の受信信号のうち最大値のものからその大きさに従って予め定めた個数だけ順に選択したものの指向性の方向に隣接する指向性の方向での前記比率を、前記検出手段が検出する受信システム。
【請求項4】
請求項1記載の受信システムにおいて、前記受信手段または前記可変指向性アンテナに設けられ、前記受信信号のレベルのうち前記閾値以上のものが不存在のとき、動作する増幅手段を設けた受信システム。
【請求項5】
請求項1記載の受信システムにおいて、前記受信手段または前記可変指向性アンテナに設けられ、前記受信信号のレベルのうち前記閾値以上のものが予め定めた個数未満のとき、動作する増幅手段を設けた受信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−207089(P2009−207089A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50056(P2008−50056)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】