説明

受信器ダイバーシティを伴う同調可能なアンテナシステム

【課題】電子装置用の改良されたワイヤレス回路を提供する。
【解決手段】ワイヤレス電子装置はアンテナ構造体及びアンテナ同調回路を備える。この装置はハウジング内にマウントされたディスプレイを備える。ディスプレイ及びハウジングの縁の周りに周辺導電性部材が延びる。誘電体充填ギャップは、周辺導電性部材を個々のセグメントへ分割する。ハウジング内には接地平面が形成される。接地平面及び周辺導電性部材のセグメントは、ハウジングの上部及び下部にアンテナを形成する。アンテナ同調回路は、上部及び下部アンテナのためのスイッチ可能なインダクタ回路及び可変キャパシタ回路を含む。上部アンテナに関連したスイッチ可能なインダクタ回路は、少なくとも2つの当該高帯域周波数範囲でカバレージを与えるよう同調され、一方、上部アンテナに関連した可変キャパシタ回路は、少なくとも2つの当該低帯域周波数範囲でカバレージを与えるよう同調される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ワイヤレス通信回路に係り、より詳細には、ワイヤレス通信回路を有する電子装置に係る。
【0002】
本出願は、参考としてここにそのまま援用する2011年3月7日に出願された米国特許出願第13/041,905号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
ポータブルコンピュータ及びセルラー電話のような電子装置には、ワイヤレス通信能力がしばしば設けられる。例えば、電子装置は、850MHz、900MHz、1800MHz、1900MHz及び2100MHzのセルラー電話帯域を使用して通信するためにセルラー電話回路のような長距離ワイヤレス通信回路を使用することができる。電子装置は、短距離のワイヤレス通信リンクを使用して近傍の装置との通信を取り扱うこともできる。例えば、電子装置は、2.4GHz及び5GHzのWiFi(登録商標)(IEEE802.11)帯域、並びに2.4HGzのBluetooth(登録商標)帯域を使用して通信することができる。
【0004】
フォームファクタの小さいワイヤレス装置に対する消費者の需要を満足するため、製造者は、コンパクトな構造を使用するアンテナコンポーネントのようなワイヤレス通信回路を具現化するよう努力を続けている。しかしながら、従来のアンテナ構造を小さな装置に適合させることは困難である。例えば、小さな体積で構成されるアンテナは、しばしば、大きな体積で具現化されるアンテナより狭い動作帯域巾しか示さない。アンテナの帯域巾が小さ過ぎると、アンテナは、全ての当該通信帯域をカバーすることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことから、電子装置用の改良されたワイヤレス回路を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ワイヤレス通信回路を備えた電子装置が提供される。ワイヤレス通信回路は、高周波トランシーバ回路及びアンテナ構造体を含む。電子装置は、ハウジング内にマウントされたディスプレイを備えている。ディスプレイ及びハウジングの縁の周りに周辺導電性部材が延びる。
【0007】
周辺導電性部材は、その長さに沿った種々の点で周辺導電性部材にギャップを形成することにより個々のセグメントへと分割される。ギャップには、プラスチックのような誘電体が充填され、導電性部材の対向部分間に開路を形成する。1つの例示的構成では、周辺導電性部材に3つのギャップが形成されて、周辺導電性部材を3つの各セグメントに分割する。
【0008】
ハウジングの巾に及ぶ導電性中間プレート部材のような導電性ハウジング部材が、ディスプレイの左右の縁において周辺導電性部材に接続される。導電性ハウジング部材、及び他の導電性構造体、例えば、電気的コンポーネント及びプリント回路が接地平面を形成する。接地平面及び周辺導電性部材セグメントが誘電体開口を取り巻いて、アンテナ構造体を形成する。例えば、ハウジングの上端には、上部セルラー電話アンテナが形成され、そしてハウジングの下端には、下部セルラー電話アンテナが形成される。上部セルラー電話アンテナでは、第1の周辺導電性部材セグメントの少なくとも若干及び接地平面の部分により第1の誘電体開口が取り巻かれる。下部セルラー電話アンテナでは、第2の周辺導電性部材セグメントの少なくとも若干及び接地平面の部分により第2の誘電体開口が取り巻かれる。上部セルラー電話アンテナは、2分岐逆F字アンテナである。下部セルラー電話アンテナは、ループアンテナである。
【0009】
上部及び下部アンテナは、それに関連したアンテナ同調回路を含む。アンテナ同調回路は、第1及び第2の周辺導電性部材セグメントを接地プレートに橋絡するスイッチ可能なインダクタ回路、同調可能なインピーダンスマッチング回路、及び周辺導電性部材における各ギャップを橋絡する可変キャパシタ回路を備えている。同調可能なマッチング回路は、高周波トランシーバ回路を下部及び上部アンテナに結合するのに使用される。
【0010】
電子装置の動作中に、下部アンテナは、装置の一次セルラーアンテナとして働く。高周波アンテナ信号は、750MHz、850MHz、900MHz、1800MHz、1900MHz、及び2100MHzのようなセルラー電話帯域において下部アンテナにより送信及び受信される。上部アンテナは、電子装置が受信器ダイバーシティを実施できるようにする二次アンテナとして働く。下部アンテナの性能が動作中に低下すると、装置の高周波トランシーバ回路が、下部アンテナではなく、上部アンテナで信号を受信することができる。
【0011】
上部アンテナは、下部アンテナによりサポートされる帯域のサブセットしかサポートしない。上部アンテナに関連したスイッチ可能なインダクタがターンオフされ且つ上部アンテナに関連した可変キャパシタが低いキャパシタンス値を示すように同調される第1アンテナモードの間に、上部アンテナは、第1の低帯域周波数範囲(例えば、850MHz及び900MHzをカバーする低帯域領域)及び第1の高帯域周波数範囲(例えば、1800MHz及び1900MHzをカバーする高帯域領域)をサポートする。上部アンテナのカバレージは、上部アンテナに関連したアンテナ同調回路をリアルタイムで同調することにより拡張することができる。
【0012】
例えば、上部アンテナは、可変キャパシタが高いキャパシタンス値を示すように同調される第2のアンテナモードにおいて、上部アンテナが、第1の低帯域周波数範囲より周波数が低い第2の低帯域周波数範囲(例えば、750MHzをカバーする低帯域領域)をサポートするように構成される。上部アンテナは、スイッチ可能なインダクタがターンオンされる第3のアンテナモードにおいて、上部アンテナが、第1の高帯域周波数範囲より周波数が高い第2の高帯域周波数範囲(例えば、2100MHzをカバーする高帯域領域)をサポートするように構成される。
【0013】
本発明の更に別の特徴、その性質及び種々の効果は、添付図面及び好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態によるワイヤレス通信回路を伴う例示的電子装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるワイヤレス通信回路を伴う例示的電子装置の回路図である。
【図3】本発明の一実施形態によるワイヤレス通信回路を伴う例示的電子装置の断面端面図である。
【図4】本発明の一実施形態による複数のアンテナを含む例示的ワイヤレス回路を示す図である。
【図5A】本発明の一実施形態により図4のワイヤレス回路に関連して使用される形式の例示的な同調可能なインピーダンスマッチング回路を示す回路図である。
【図5B】本発明の一実施形態により図4のワイヤレス回路に関連して使用される形式の例示的な同調可能なインピーダンスマッチング回路を示す回路図である。
【図6】図1に示す形式の電子装置の図であって、本発明の一実施形態によりアンテナ同調回路をもつアンテナを装置内にどのように形成するか示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による図6の装置の上部に示された形式のアンテナの図である。
【図8】本発明の一実施形態による図6の装置の上部に示された形式のアンテナの図である。
【図9】本発明の一実施形態による図6の装置の上部に示された形式のアンテナの図である。
【図10】本発明の一実施形態により関連アンテナ同調回路を調整することにより当該通信帯域をカバーするために図6に示す形式のアンテナをどのように使用するか示す図である。
【図11】本発明の一実施形態により複数の当該低帯域周波数範囲をカバーするために図6の上部アンテナをどのように同調するか示すグラフである。
【図12】本発明の一実施形態により複数の当該高帯域周波数範囲をカバーするために図6の上部アンテナをどのように同調するか示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
電子装置には、ワイヤレス通信回路が設けられる。このワイヤレス通信回路は、複数のワイヤレス通信帯域でのワイヤレス通信をサポートするのに使用される。ワイヤレス通信回路は、1つ以上のアンテナを含む。
【0016】
アンテナは、ループアンテナ、逆F字アンテナ、ストリップアンテナ、平坦な逆F字アンテナ、スロットアンテナ、2つ以上の形式のアンテナ構造体を含むハイブリッドアンテナ、又は他の適当なアンテナを含む。アンテナの導電性構造体は、もし要望があれば、導電性電子装置構造体で形成される。導電性電子装置構造体は、導電性ハウジング構造体を含む。ハウジング構造体は、電子装置の周囲に延びる周辺導電性部材を含む。この周辺導電性部材は、ディスプレイのような平坦な構造体のためのベゼルとして働いてもよいし、装置ハウジングの側壁構造体として働いてもよいし、又は他のハウジング構造体を形成してもよい。周辺導電性部材のギャップがアンテナに関連される。
【0017】
1つ以上のアンテナが設けられる形式の例示的な電子装置が図1に示されている。電子装置10は、ポータブル電子装置又は他の適当な電子装置である。例えば、電子装置10は、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、腕時計装置のような若干小型の装置、ペンダント装置、ヘッドホーン装置、イヤホン装置、或いは他の着用型又は小型装置、セルラー電話、メディアプレーヤ、等である。
【0018】
装置10は、ハウジング12のようなハウジングを備えている。時々、ケースとも称されるハウジング12は、プラスチック、ガラス、セラミック、ファイバ複合物、金属(例えば、ステンレススチール、アルミニウム、等)、他の適当な材料、或いはそれら材料の組み合わせで形成される。ある状況では、ハウジング12の部品は、誘電体又は他の低導電率材料から形成される。他の状況では、ハウジング12、又はハウジン12を作り上げる構造体の少なくとも幾つかは、金属素子で形成される。
【0019】
装置10は、必要に応じて、ディスプレイ14のようなディスプレイを有する。ディスプレイ14は、例えば、容量性タッチ電極を組み込んだタッチスクリーンである。ディスプレイ14は、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、プラズマセル、電子インク素子、液晶ディスプレイ(LCD)コンポーネント、又は他の適当な画像ピクセル構造体から形成される画像ピクセルを含む。カバーガラス層がディスプレイ14の表面をカバーする。ボタン19のようなボタンがカバーガラスの開口を通過している。
【0020】
ハウジング12は、周辺部材16のような構造体を含む。この部材16は、装置10及びディスプレイ14の長方形の周囲に延びる。部材16又は部材16の一部分は、ディスプレイ14のベゼルとして働く(例えば、ディスプレイ14の4辺全部を取り巻き、及び/又はディスプレイ14を装置10に保持する上で助けとなるコスメティックトリム)。又、部材16は、必要に応じて、装置10の側壁構造体も形成する。
【0021】
部材16は、導電性材料で形成され、それ故、時々、周辺導電性部材又は導電性ハウジング構造体と称される。部材16は、ステンレススチール、アルミニウム又は他の適当な材料のような金属で形成される。部材16を形成するのに、1つ、2つ又は3つ以上の個別の構造体が使用されてもよい。典型的な構成において、部材16は、厚み(寸法TT)が約0.1mmないし3mmである(一例として)。部材16の側壁部分は、一例として、実質的に垂直である(垂直軸Vに平行)。軸Vに平行に、部材16の寸法TZは、約1mmないし2cmである(一例として)。部材16のアスペクト比R(即ち、TZ対TTの比R)は、典型的に1より大きい(即ち、Rは、1以上であるか、2以上であるか、4以上であるか、10以上であるか、等々である)。
【0022】
部材16が均一な断面を有する必要はない。例えば、部材16の上部は、必要に応じて、ディスプレイ14を位置保持する上で役立つ内方に突出したリップを有する。又、必要に応じて、部材16の底部に拡大リップがあってもよい(例えば、装置10の後面の平面内に)。図1の例では、部材16は、実質的にまっすぐな垂直側壁を有する。これは、単なる例示に過ぎない。部材16の側壁は、カーブしてもよいし、又は他の適当な形状でもよい。ある構成では(例えば、部材16がディスプレイ14のベゼルとして働くとき)、部材16は、ハウジング12のリップの周りに延びる(即ち、部材16は、ディスプレイ14を取り巻くハウジング12の縁のみをカバーし、ハウジング12の側壁のハウジング12の後縁はカバーしない)。
【0023】
ディスプレイ14は、容量性電極のアレイ、ピクセル素子をアドレスするための導電性ライン、ドライバ回路、等の導電性構造体を含む。又、ハウジングは、内部構造体、例えば、金属フレーム部材、ハウジング12の壁に及ぶ平坦なハウジング部材(時々、中間プレートと称される)(即ち、部材16の対向側部間に溶接され又はその他接続される実質的に長方形の部材)、プリント回路板、及び他の内部導電性構造体、も含む。これらの導電性構造体は、ハウジング12の中央CNに配置される(一例として)。
【0024】
領域22及び20において、装置10を作り上げる導電性ハウジング構造体と導電性の電気部品との間に開口が形成される。これらの開口には、空気、プラスチック、又は他の誘電体が充填される。装置10の領域CNにおける導電性ハウジング構造体及び他の導電性構造体は、装置10のアンテナに対する接地平面として働く。領域20及び22における開口は、開又は閉スロットアンテナのスロットとして働くか、ループアンテナにおいて導電性材料経路により取り巻かれる中央誘電体領域として働くか、ストリップアンテナ共振素子又は逆F字アンテナ共振素子のようなアンテナ共振素子を接地平面から分離するスペースとして働くか、さもなければ、領域20及び22に形成されたアンテナ構造体の一部分として働く。
【0025】
部材16の部分にギャップ構造体が設けられる。例えば、部材16には、図1に示すように、ギャップ18A、18B、18C及び18Dのような1つ以上のギャップが設けられる。これらギャップには、ポリマー、セラミック、ガラス、等の誘電体が充填される。ギャップ18A、18B、18C及び18Dは、部材16を1つ以上の周辺導電性部材セグメントへと分割する。例えば、部材16の2つのセグメントがあり(例えば、2つのギャップをもつ構成)、部材16の3つのセグメントがあり(例えば、3つのギャップをもつ構成)、又は部材16の4つのセグメントがある(例えば、4つのギャップをもつ構成)、等々。このように形成される周辺導電性部材16のセグメントは、装置10においてアンテナの部分を形成する。
【0026】
典型的なシナリオでは、装置10は、上部及び下部アンテナを有する(一例として)。上部アンテナは、例えば、装置10の上端で領域22に形成される。下部アンテナは、例えば、装置10の下端で領域20に形成される。これらアンテナは、個別の当該通信帯域をカバーするように別々に使用されてもよいし、或いはアンテナダイバーシティスキーム又は多入力多出力(MIMO)アンテナスキームを実施するように一緒に使用されてもよい。
【0027】
装置10のアンテナは、当該通信帯域をサポートするのに使用される。例えば、装置10は、ローカルエリアネットワーク通信、音声及びデータセルラー電話通信、グローバルポジショニングシステム(GPS)通信又は他の衛星ナビゲーションシステム通信、Bluetooth(登録商標)通信、等をサポートするためのアンテナ構造体を備えている。
【0028】
電子装置10の回路図が、図2に示されている。図2に示すように、電子装置10は、記憶及び処理回路28を備えている。この記憶及び処理回路28は、ハードディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、ソリッドステートドライブを形成するように構成されたフラッシュメモリ又は他の電気的にプログラム可能なリードオンリメモリ)、揮発性メモリ(例えば、スタティック又はダイナミックランダムアクセスメモリ)、等の記憶装置を含む。記憶及び処理回路28の処理回路は、装置10の動作を制御するのに使用される。この処理回路は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、基本帯域プロセッサ、電力管理ユニット、オーディオコーデックチップ、特定用途向け集積回路、等に基づくものである。
【0029】
記憶及び処理回路28は、インターネットブラウジングアプリケーション、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VOIP)電話コールアプリケーション、e−メールアプリケーション、メディア再生アプリケーション、オペレーティングシステム機能、等のソフトウェアを装置10上で実行するのに使用される。外部装置との対話をサポートするために、記憶及び処理回路28は、通信プロトコルを具現化するのにも使用される。記憶及び処理回路28を使用して具現化される通信プロトコルは、インターネットプロトコル、ワイヤレスローカルエリアネットワークプロトコル(例えば、IEEE802.11プロトコル、時々、WiFi(登録商標)とも称される)、他の短距離ワイヤレス通信リンクのためのプロトコル、例えば、Bluetooth(登録商標)プロトコル、セルラー電話プロトコル、等を含む。
【0030】
回路28は、装置10のアンテナの使用を制御する制御アルゴリズムを実施するように構成される。例えば、アンテナダイバーシティスキーム及びMIMOスキーム又は他のマルチアンテナスキームをサポートするため、回路28は、信号クオリティ監視動作、センサ監視動作、及び他のデータ収集動作を遂行し、そして収集したデータに応答して、そのデータを受け取って処理するために装置10内のどのアンテナ構造体を使用するか制御することができる。一例として、回路28は、到来する高周波信号を受信するのに2つ以上のアンテナのどれを使用するか制御し、高周波信号を送信するのに2つ以上のアンテナのどれを使用するか制御し、装置10の2つ以上のアンテナを経て到来データストリームを並列にルーティングするプロセスを制御し、等々を行う。これらの制御操作を遂行する際に、回路28は、スイッチを開閉し、受信器及び送信器をターンオン及びオフにし、インピーダンスマッチング回路を調整し、高周波トランシーバ回路とアンテナ構造体との間に介在するフロントエンドモジュール(FEM)高周波回路(例えば、インピーダンスマッチング及び信号ルーティングに使用されるフィルタリング及びスイッチング回路)内のスイッチを構成し、そしてその他、装置10のコンポーネントを制御及び調整する。
【0031】
入力/出力回路30は、データを装置10へ供給できるようにすると共に、データを装置10から外部装置へ供給できるようにするために使用される。入力/出力回路30は、入力/出力装置32を含む。入力/出力装置32は、タッチスクリーン、ボタン、ジョイスティック、クリックホイール、スクロールホイール、タッチパッド、キーパッド、キーボード、マイクロホン、スピーカ、トーンジェネレータ、バイブレータ、カメラ、センサ、発光ダイオード、及び他の状態インジケータ、データポート、等も含む。ユーザは、その入力/出力装置32を通してコマンドを供給することにより装置10の動作を制御することができ、そして入力/出力装置32の出力リソースを使用して装置10から状態情報及び他の出力を受け取る。
【0032】
ワイヤレス通信回路34は、1つ以上の集積回路で形成された高周波(RF)トランシーバ回路、電力増幅器回路、低ノイズ入力増幅器、受動的RFコンポーネント、1つ以上のアンテナ、及びRFワイヤレス信号を取り扱うための他の回路を備えている。又、ワイヤレス信号は、光を使用して(例えば、赤外線通信を使用して)送信することもできる。
【0033】
ワイヤレス通信回路34は、グローバルポジショニングシステム(GPS)受信回路35のような衛星ナビゲーションシステム受信回路(例えば、1575MHzの衛星ポジショニングシステムを受信するための)を含む。トランシーバ回路36は、WiFi(登録商標)(IEEE802.11)通信のために2.4GHz及び5GHz帯域を取り扱うと共に、2.4GHzのBluetooth(登録商標)通信帯域を取り扱う。回路34は、700MHz、710MHz、750MHz、850MHz、900MHz、1800MHz、1900MHz及び2100MHz帯域のようなセルラー電話帯域、或いは他の当該セルラー電話帯域におけるワイヤレス通信を取り扱うためにセルラー電話トランシーバ回路38を使用する。
【0034】
ワイヤレス通信回路34は、必要に応じて、他の短距離及び長距離ワイヤレスリンクのための回路を含む。例えば、ワイヤレス通信回路34は、グローバルポジショニングシステム(GPS)受信装置、ラジオ及びテレビ信号を受信するためのワイヤレス回路、ページング回路、等を含む。WiFi(登録商標)及びBluetooth(登録商標)リンク並びに他の短距離ワイヤレスリンクでは、典型的に、数十又は数百フィートにわたってデータを搬送するためにワイヤレス信号が使用される。セルラーネットワークリンク及び他の長距離リンクでは、典型的に、数千フィート又はマイルにわたってデータを搬送するためにワイヤレス信号が使用される。
【0035】
ワイヤレス通信回路34は、アンテナ40を備えている。アンテナ40は、適当なアンテナ形式を使用して形成される。例えば、アンテナ40は、ループアンテナ構造、パッチアンテナ構造、逆F字アンテナ構造、閉及び開スロットアンテナ構造、平坦逆F字アンテナ構造、螺旋アンテナ構造、ストリップアンテナ、モノポール、ダイポール、これら設計の混成、等で形成される共振素子を伴うアンテナを含む。異なる帯域及び帯域の組み合わせに対して異なる形式のアンテナが使用されてもよい。例えば、ローカルワイヤレスリンクアンテナを形成するのに1つの形式のアンテナが使用され、そしてリモートワイヤレスリンクを形成するのに別の形式のアンテナが使用される。
【0036】
図1の24−24線に沿って方向26に見た図1の装置10の断面側面図が図3に示されている。図3に示すように、ディスプレイ14は、装置10の前面にマウントされる。ハウジング12は、部材16から形成される側壁と、平面後部ハウジング構造体42のような構造体から形成される1つ以上の後壁とを含む。構造体42は、ガラス、セラミック又はプラスチックのような誘電体、及び/又は金属又は他の適当な材料(例えば、ファイバ複合物)から形成される。ハウジング12の部品を一緒にアッセンブルするのに、スナップ、クリップ、スクリュー、接着剤、及び他の構造体が使用される。
【0037】
装置10は、プリント回路板46のようなプリント回路板を備えている。装置10内のプリント回路板46及び他のプリント回路板は、堅牢なプリント回路板材料(例えば、ファイバーガラス充填エポキシ)、又はポリマーのような柔軟な材料シートで形成される。柔軟なプリント回路板(フレックス回路)は、例えば、ポリイミドの柔軟なシートから形成される。
【0038】
プリント回路板46は、相互接続部48のような相互接続部を含む。この相互接続部48は、導電性トレース(例えば、金メッキされた銅又は他の金属のトレース)から形成される。コネクタ50のようなコネクタが、半田又は導電性接着剤(一例として)を使用して相互接続部48に接続される。プリント回路板46には、集積回路や、抵抗器、キャパシタ及びインダクタのような個別コンポーネントや、他の電子部品がマウントされる。
【0039】
図3に例示するアンテナ40のような装置10のアンテナは、アンテナフィード端子を有する。例えば、装置10の各アンテナは、正のアンテナフィード端子58のような正のアンテナフィード端子と、接地アンテナフィード端子54のような接地アンテナフィード端子とを有する。図3に示す構成では、同軸ケーブル52のような伝送線経路が、端子58及び54から形成されたアンテナフィードと、コンポーネント44内のトランシーバ回路との間に、コネクタ50及び相互接続部48を経て結合される。コンポーネント44は、図2のワイヤレス回路34(例えば、受信器35、並びにトランシーバ回路36及び38)を具現化する1つ以上の集積回路を含む。
【0040】
コネクタ50のようなコネクタは、装置10の伝送線を、基板46のようなプリント回路板に結合するのに使用される。コネクタ50は、例えば、半田を使用してプリント回路板46に接続される同軸ケーブルコネクタである(一例として)。ケーブル52は、同軸ケーブル又は他の伝送線である。装置10に使用される伝送線は、例えば、同軸ケーブルや、フレックス回路又は堅牢なプリント回路板から形成されたマイクロストリップ及びストリップライン伝送線や、そのような複数の伝送線構造体から形成される伝送線、等を含む。
【0041】
アンテナ40のフィードに結合されるときに、伝送線52は、アンテナ40を使用して高周波信号を送信及び受信するのに使用される。図3に示すように、端子58は、同軸ケーブル中心コネクタ56に結合される。端子54は、ケーブル54の接地導体(例えば、外側の導電性編組導体)に接続される。装置10のトランシーバを必要に応じてアンテナ40に結合するのに他の構成が使用されてもよい。例えば、トランシーバ回路をアンテナ構造体に結合するのにインピーダンスマッチング回路が使用されてもよい。図3の構成は、単なる例示に過ぎない。
【0042】
図3に示す例では、装置10は、アンテナ40を含む。信号のクオリティを向上させ、複数の当該帯域をカバーするために、装置10は、複数のアンテナを含む。一例としてここに時々示す1つの適当な構成では、WiFi(登録商標)アンテナが領域22に配置され、第1(例えば、一次)のセルラー電話アンテナが領域20に配置され、そして第2(例えば、二次)のセルラー電話アンテナが領域22に配置される。第2のセルラー電話アンテナは、必要に応じて、GPS信号を受信するように構成される。この形式のアンテナ構成体を含む例示的ワイヤレス回路34が、図4に示されている。
【0043】
図4に示したように、ワイヤレス回路34は、記憶及び処理回路28のデジタルデータ回路とインターフェイスするためのポート100及び130のような入力/出力ポートを有する。ワイヤレス回路34は、基本帯域プロセッサ102及びセルラー電話トランシーバ回路38のようなトランシーバ回路を具現化するための1つ以上の集積回路を含む。ポート100は、記憶及び処理回路28からデジタルデータを受け取り、アンテナ40Lを経て送信する。アンテナ40U及び40L、セルラートランシーバ回路38及び基本帯域プロセッサ102により受け取られた到来データは、ポート100を経て記憶及び処理回路28へ供給される。ポート130は、WiFi(登録商標)信号のような送信及び受信されるワイヤレスローカルエリアネットワーク信号に関連したデジタルデータを取り扱うのに使用される(一例として)。記憶及び処理回路28によりポート130に供給される出発デジタルデータは、ワイヤレスローカルエリアネットワークトランシーバ回路36、経路128のような経路、及びアンテナ40WFのような1つ以上のアンテナを使用して送信される。データ受信動作中に、アンテナ40WFにより受信される信号は、経路128を経てトランシーバ36に与えられる。トランシーバ36は、到来信号をデジタルデータに変換する。デジタルデータは、ポート130を経て記憶及び処理回路28に与えられる。必要に応じて、Bluetooth(登録商標)信号のようなローカル信号も、アンテナ40WFのようなアンテナを経て送信及び受信される。
【0044】
トランシーバ回路38は、1つ以上の送信器及び1つ以上の受信器を含む。図4の例では、トランシーバ回路38は、高周波送信器104及び高周波受信器110を含む。送信器104及び受信器110(即ち、受信器RX1及び受信器RX2)は、セルラー電話通信を取り扱うために使用される。経路118を経て送信器104により受け取られた信号は、送信器104により電力増幅器106へ供給される。電力増幅器106は、これらの出発信号を、アンテナ40Lを経て送信するために強化する。アンテナ40Lにより受け取られる到来信号は、低ノイズ増幅器112により増幅されて、受信器RX1に送られる。受信器RX1は、アンテナ40Uから受け取ったデータを、経路118を経てプロセッサ102に与える。アンテナ40Uにより受信した到来信号は、低ノイズ増幅器124により増幅され、そして受信器RX2(又はスイッチを使用してRX1)へ送られる。受信器RX2は、アンテナ40Lから受け取ったデータを、経路118を経てプロセッサ102に与える。送信器104及び受信器110のような回路は、各々、複数のポートを有し(例えば、異なる各通信帯域を取り扱うために)、そして1つ以上の個々の集積回路を使用して実施される。
【0045】
アンテナ40U及び40Lは、インピーダンスマッチング回路、フィルタ及びスイッチのような回路を使用してトランシーバ回路38に結合される。時々フロントエンドモジュール(FEM)回路とも称されるこの回路は、装置10の記憶及び処理回路(例えば、基本帯域プロセッサ102のようなプロセッサからの制御信号)により制御される。図4の例に示すように、ワイヤレス回路34におけるフロントエンド回路は、同調可能なマッチング回路M1及び同調可能なマッチング回路M2のようなインピーダンスマッチング回路108を含む。インピーダンスマッチング回路M1及びM2は、関連キャパシタンス値、抵抗値及びインダクタンス値をもつ導電性構造体、及び/又はトランシーバ回路38及びアンテナ40U、40Lのインピーダンスをマッチングするための回路を形成するインダクタ、キャパシタ及び抵抗器のような個別コンポーネントを使用して形成される。マッチング回路M1は、ワイヤレストランシーバ回路38(関連増幅回路106及び112を含む)とアンテナ40Lとの間に結合される。マッチング回路M2は、経路132及び122を使用してトランシーバ回路38(及び関連増幅器124)とアンテナ40Uとの間に結合される。
【0046】
マッチング回路M1及びM2は、固定であっても調整可能であってもよい。例えば、マッチング回路M1が固定で、マッチング回路M2が調整可能であってもよい。別の例として、マッチング回路M1が調整可能で、マッチング回路M2が固定であってもよい。別の例として、マッチング回路M1及びM2の両方が調整可能でもよい。この形式の構成では、基本帯域プロセッサ102のような制御回路は、信号SELECT1のような制御信号を経路117に発生して同調可能なマッチング回路M1を構成すると共に、信号SELECT2のような制御信号を経路116に発生して同調可能なマッチング回路M2を構成する。
【0047】
マッチング回路M1は、SELECT1が第1の値を有するときに第1の構成に入れられ、そしてSELECT1が第2の値を有するときに第2の構成に入れられる。マッチング回路M1の状態は、アンテナ40Lにより与えられるカバレージを微同調するように働く。同様に、マッチング回路M2は、SELECT2が第1の値を有するときに第1の構成に入れられ、そしてSELECT2が第2の値を有するときに第2の構成に入れられる。マッチング回路M2の状態は、アンテナ40Uによって与えられるカバレージを微同調するように働く。マッチング回路M1及びM2は、使用されてもされなくてもよい。この形式のアンテナ同調スキームを使用することにより、アンテナ40L及び40Uは、そうでない場合に可能であるよりも広い範囲の通信周波数をカバーすることができる。アンテナ40L及び40Uのための同調を使用することで、必要に応じて、アンテナ40L及び40Uに対して比較的狭い帯域巾(及び潜在的にコンパクトな)設計を使用することができる。
【0048】
制御信号が経路119を経て受信器回路110に送られて、ワイヤレス回路34が受信器RX1及びRX2の一方又は両方を選択的にアクチベートできるようにするか、さもなければ、どのアンテナ信号をリアルタイムで受信するか選択できるようにする(例えば、選択された1つのアンテナからの信号を共有受信器へルーティングしてその受信器をアンテナ間で共有できるように回路34内のマルチプレクサを制御することにより)。例えば、装置10内の基本帯域プロセッサ102又は他の記憶及び処理回路は、アンテナ40U及び40Lにより受信される信号に対して信号クオリティ(ビットエラー率、信号対雑音比、フレームエラー率、信号電力、等)を監視することができる。リアルタイム信号クオリティ情報又は他のデータ(例えば、特定のアンテナがブロックされたことを指示するセンサデータ)に基づいて、経路119の信号又は他の適当な制御信号を調整して、最適な受信回路(例えば、受信器RX1又はRX2)を使用して到来信号を受信するようにすることができる。高周波信号が固定アンテナ及び送信器(即ち、アンテナ40L及び送信器104)により送信される間に、回路34が、信号クオリティ測定又は他の情報に基づいて、使用すべき最適なアンテナ及び受信器をリアルタイムで選択するこのようなアンテナダイバーシティスキームは、時々、受信器ダイバーシティスキームを称される。
【0049】
受信器ダイバーシティ構成(即ち、送信器ダイバーシティをもたない装置)では、装置の高周波送信器回路は、2つ以上の異なるアンテナを通して信号を受信して、最適なアンテナをリアルタイムで選択して信号受信を向上させるように構成され、一方、高周波トランシーバ回路は、アンテナの1つのみを通し、他は通さずに信号を送信するように構成される。必要に応じて、ワイヤレス回路34は、受信器及び送信器の両ダイバーシティを実施するように構成され、及び/又は(例えば、MIMO構成を使用して)複数の同時データストリームを取り扱うように構成される。ワイヤレス回路34を使用して受信器ダイバーシティスキームを実施する一方、専用アンテナを使用して送信信号を取り扱うことは、単なる例示に過ぎない。
【0050】
図4に示すように、ワイヤレス回路34には、フィルタ回路126のようなフィルタ回路が設けられる。この回路126は、周波数により信号をルーティングし、セルラー電話信号がアンテナ40Uと受信器RX2との間で搬送される一方、アンテナ40Uによって受信されたGPS信号がGPS受信器35へルーティングされるようにする。
【0051】
マッチング回路M1を実施するのに使用される例示的な構成可能な回路が図5Aに示されている。図5Aに示すように、マッチング回路M1は、スイッチ134及び136のようなスイッチを有する。スイッチ134及び136は、複数の位置を有する(図5Aに例示的なA及びB位置で示された)。信号SELECT1が第1の値を有するとき、スイッチ134及び136がそれらのA位置に入れられ、そしてマッチング回路MAが使用状態へ切り換えられ(図5Aに示すように)、マッチング回路MAが経路120と増幅器106及び112の間に電気的に結合されるようにする。信号SELECT1が第2の値を有するときには、スイッチ134及び136は、それらのB位置に入れられる。
【0052】
マッチング回路M2を実施するのに使用される例示的な構成可能な回路が図5Bに示されている。図5Bに示すように、マッチング回路M2は、スイッチ134及び136のようなスイッチを有する。スイッチ134及び136は、複数の位置を有する(図5Bに例示的なA及びB位置で示された)。信号SELECT2が第1の値を有するとき、スイッチ134及び136がそれらのA位置に入れられ、そしてマッチング回路MAが使用状態へ切り換えられる。信号SELECT2が第2の値を有するときは、スイッチ134及び136がそれらのB位置に入れられ(図5Bに示すように)、マッチング回路MAが経路122と132との間に電気的に結合されるようにする。
【0053】
図6は、装置10の内部の上面図で、ハウジング12内でアンテナ40L、40U及び40WFをどのように実施するか示している。図6に示すように、ハウジング12内には接地平面Gが形成される。接地平面Gは、アンテナ40L、40U及び40WFのためのアンテナ接地部を形成する。接地平面Gは、アンテナ接地部として働くので、接地平面Gは、時々、アンテナ接地部、接地部、又は接地平面素子とも称される(一例として)。
【0054】
装置10の中央部Cにおいて、接地平面10は、部材16の左縁と右縁との間に接続された導電性ハウジング中間プレート部材、導電性接地トレースをもつプリント回路板、等の導電性構造体によって形成される。装置10の端22及び20において、接地平面Gの形状は、接地部に結合される導電性構造体の形状及び位置により決定される。接地平面Gを形成するように重畳する導電性構造体は、例えば、ハウジング構造体(例えば、突出部分を有する導電性ハウジング中間プレート構造体)、導電性コンポーネント(例えば、スイッチ、カメラ、データコネクタ、フレックス回路及び堅牢なプリント回路板のようなプリント回路、高周波シールドカン、ボタン144及び導電性ボタンマウント構造体146のようなボタン)、並びに装置10の他の導電性構造体を含む。図6に示すレイアウトでは、導電性であって接地部に結合されて接地平面Gの一部分を形成する装置10の部分が陰影付けされ、中央部分Cに隣接している。
【0055】
開口72及び140のような開口は、接地平面Gと、周辺導電性部材16の各部分との間に形成される。開口72及び140には、空気、プラスチック、及び他の誘電体が充填される。開口72は、アンテナ構造体40Lに関連され、一方、開口140は、アンテナ構造体40U及び40WFに関連される。
【0056】
周辺導電性部材16には、ギャップ18B、18C及び18Dのようなギャップが存在する(図1のギャップ18Aは、存在しないか、又は表面的に装置10の外部からのギャップのように見える仮想ギャップ構造を使用して実施されるが、ハウジング12の内部で電気的に短絡され、ギャップ18Aの位置には電気的にギャップが存在しない)。ギャップ18B、18C及び18Dの存在は、周辺導電性部材16をセグメントに分割する。図6に示すように、周辺導電性部材16は、第1セグメント16−1、第2セグメント16−2、及び第3セグメント16−3を含む。
【0057】
下部アンテナ40Lは、接地平面Gの下部及び導電性ハウジングセグメント16−3の形状により少なくとも一部分決定される形状を有する並列フィードのループアンテナ構造体を使用して形成される。図6に示すように、アンテナ40Lは、装置10の下部領域20に形成される。開口72を取り巻く導電性セグメント16−3の部分、及び接地平面Gの縁GEに沿って存在する接地平面Gの部分は、開口72の周りの導電性ループを形成する。開口72の形状は、マイクロホン、フレックス回路トレース、データポートコネクタ、ボタン、スピーカ、等の導電性構造体を領域20に配置することで指定される。
【0058】
導電性構造体202は、誘電体開口72を橋絡し、そして接地平面Gを周囲ハウジングセグメント16−3に電気的に短絡するのに使用される。導電性構造体202は、導電性材料のストリップ、フレックス回路トレース、導電性ハウジング構造体、又は他の導電性構造体を使用して形成される。必要に応じて、導電性構造体202は、表面取り付け技術(STM)インダクタのような個別コンポーネントを使用して形成される。伝送線52−1(例えば、同軸ケーブル)は、各々、正及び負のアンテナフィード端子58−1及び54−1においてアンテナ40Lにフィードするために使用される。
【0059】
アンテナ40Lは、スイッチ可能なインダクタ回路210、同調可能なインピーダンスマッチング回路M1、可変キャパシタ回路212、及び他の適当な同調可能な回路のような関連する同調可能な(構成可能な)アンテナ回路を含む。アンテナ40Lに関連した同調可能なアンテナ回路は、例えば、アンテナ40Lが少なくとも6つのワイヤレス通信帯域で動作できるようにする(例えば、750MHz、800MHz、900MHz、1800MHz、1900MHz、2100MHz、等の高周波信号を送信及び受信するために)。
【0060】
導電性構造体202は、周辺セグメント16−3と接地部Gとの間に直列に形成された第1の導電性セグメントSG及び第2の導電性セグメントSG’を有する。セグメントSGは、第1のインダクタンスを示し、セグメントSG’は、第2のインダクタンスを示し、そして回路202は、第3のインダクタンスを示す。スイッチ可能なインダクタ回路(同調可能なインダクタ回路、構成可能なインダクタ回路、又は調整可能なインダクタ回路とも称される)210は、セグメントSG及びSG’が接合される点と、接地平面の縁GE上の対応点101との間に結合される。
【0061】
回路210が使用状態へスイッチされると(例えば、回路210がターンオンされると)、セグメントSG及び回路210は、全体として、アンテナ40Lのアンテナフィードを橋絡する第1の伝送線経路を形成する。第1の伝送線経路は、そのインダクタンスが、第1及び第3インダクタンスの直列インダクタンスに等しい。回路210が非使用状態へスイッチされると(例えば、回路210がターンオフされると)、セグメントSG及びSG’は、全体として、アンテナ40Lのアンテナフィードを橋絡する第2の伝送線経路を形成する。この第2の伝送線経路は、そのインダクタンスが、第1及び第2のインダクタンスの直列インダクタンスに等しい。スイッチ可能なインダクタ210は、第2の伝送線経路の一部分をシャントするように働き、回路210がターンオンされたときの第1の伝送線経路に関連したインダクタンスが、回路210がターンオフされたときの第2の伝送線経路に関連したインダクタンスより低くなるようにする。
【0062】
第1の伝送線インダクタンス(即ち、第1の伝送線経路のインダクタンス)は、第2の伝送線インダクタンス(即ち、第2の伝送線経路のインダクタンス)とは異なる。第1の伝送線インダクタンスは、18nHに等しく、一方、第2の伝送線インダクタンスは、20nHに等しい(一例として)。第1の伝送線経路(回路210がイネーブルされた場合)及び第2の伝送線経路(回路210がディスエイブルされた場合)は、フィード端子54−1と58−1との間に並列に接続され、そしてアンテナ40Lのための並列な誘導性同調素子として働く。それ故、第1及び第2の伝送線経路は、時々、可変インダクタと称される。セグメントSG及びSG’のインダクタンスは、望ましい帯域カバレージを与えるように入念に選択される。
【0063】
同調可能なインピーダンスマッチング回路M1は、同軸ケーブル52−1と、正のフィード端子58−1との間に結合される。インピーダンスマッチング回路M1は、図5Aを参照して述べた形式のスイッチング回路、関連するキャパシタンス値、抵抗値及びインダクタンス値をもつ導電性構造体、及び/又はトランシーバ回路38及びアンテナ40Lのインピーダンスをマッチングするための回路を形成するインダクタ、キャパシタ及び抵抗器のような個別コンポーネント、を使用して形成される。
【0064】
可変キャパシタ回路(時々、バラクタ回路、同調可能なキャパシタ回路、調整可能なキャパシタ回路、等とも称される)212は、ベゼルギャップ18Bの対向端間に結合される。基本帯域プロセッサ102は、アンテナ40Lが望ましい周波数で動作するように、バラクタ212を微同調する制御電圧VtuneBを発生する。
【0065】
ベゼルギャップ18Bは、例えば、1pFの固有キャパシタンス(例えば、ギャップ18Bの平行導電性表面により形成される固有キャパシタンス値)を有する。コンポーネント212は、例えば、連続可変キャパシタ、又は半連続調整可能キャパシタであり、後者は、固有キャパシタンスに並列に結合できる2ないし4又はそれ以上の異なるキャパシタンス値を有するものである。必要に応じて、コンポーネント212は、連続可変インダクタ、或いは2ないし4又はそれ以上の異なるインダクタンス値を有する半連続調整可能インダクタでよい。
【0066】
アンテナ40WFは、ストリップ142のような導体のストリップから形成されたアンテナ共振素子を有する。ストリップ142は、フレックス回路上のトレース、堅牢なプリント回路板上のトレース、メタルホイルのストリップ、又は他の導電性構造体から形成される。アンテナ40WFは、アンテナフィード端子58−2及び54−2を使用して伝送線52−2によりフィードされる(例えば、図4の経路128を参照)。
【0067】
アンテナ40Uは、スイッチ可能なインダクタ回路210’、同調可能なインピーダンスマッチング回路M2、可変キャパシタ回路212−1及び212−2、並びに他の適当な同調可能な回路のような関連する同調可能な(構成可能な)アンテナ回路を含む。アンテナ40Uに関連した同調可能なアンテナ回路は、アンテナ40Uが、そうでない場合に可能である以上の広いカバレージをもつことができるようにする。
【0068】
アンテナ40Uは、2分岐逆F字アンテナである。伝送線52−3(例えば、図4の経路120を参照)は、アンテナフィード端子58−3及び54−3においてアンテナ40Uにフィードするのに使用される。導電性構造体150は、誘電体開口140を橋絡し、そして接地平面Gを周囲のハウジング部材16に電気的に短絡するのに使用される。導電性構造体148及びマッチング回路M2は、アンテナフィード端子58−3を点152において周辺導電性部材16に接続するのに使用される。構造体148及び150のような導電性構造体は、フレックス回路のトレース、導電性ハウジング構造体、スプリング、スクリュー、又は他の導電性構造体によって形成される。
【0069】
周辺導電性セグメント16−1は、アンテナ40Uのためのアンテナ共振素子アームを形成する。特に、(アーム長さLBAを有する)セグメント16−1の第1部分は、(セグメント16−1がフィードされる)点152から、ギャップ18Cにより画成されたセグメント16−1の端まで延び、そして(アーム長さHBAを有する)セグメント16−1の第2部分は、点152から、ギャップ18Dにより画成されたセグメント16−1の反対端まで延びる。セグメント16−1の第1及び第2部分は、逆F字アンテナの各岐路を形成し、そしてアンテナ40Uのための各低帯域(LB)及び高帯域(HB)アンテナ共振に関連している。
【0070】
スイッチ可能なインダクタ回路210’は、セグメント16−1と接地平面Gとの間で構造体148及び150に並列に結合される。回路210’は、(図6に示したように、装置10を上から見たときに)構造体150の右側に接続されるか、又は構造体150の左側に結合される。回路210’は、アンテナ40Uのための広い高帯域カバレージを与えるように働く。アンテナ40Uは、回路210’が非使用状態へスイッチされたときに第1の高帯域領域で動作し、一方、アンテナ40Uは、回路210’が使用状態へスイッチされたときに第1の高帯域領域より周波数が高い第2の高帯域領域で動作する。例えば、アンテナ40Uは、回路210’がターンオフされたときは1900MHz帯域で、そして回路210’がターンオンされたときは2100MHz帯域で、信号を受信するように使用される。
【0071】
可変キャパシタ回路212−1は、導電性ベゼルギャップ18Cの対向端間に結合され、一方、可変キャパシタ回路212−2は、ベゼルギャップ18Dの対向端間に結合される。回路212−2は、場合によっては形成されなくてもよい。バラクタ212−1及び212−2は、集積回路、1つ以上の個別コンポーネント(例えば、SMTコンポーネント)、等を使用して形成される。
【0072】
可変キャパシタ212−1は、アンテナ40Uのためのより広い低帯域カバレージを与えるように働く。基本帯域プロセッサ102は、アンテナ40Uを第1及び第2の低帯域領域で動作するよう構成するためにバラクタ212−1を同調する制御電圧VtuneCを発生する。例えば、アンテナ40Uは、バラクタ212−1が低キャパシタンス値(例えば、0.1pF未満)を示すように同調されたときに850MHz帯域で信号を受信し、そしてバラクタ212−1が高キャパシタンス値(例えば、0.2pFより高い)を示すように同調されたときに750MHz帯域で信号を受信するのに使用される。
【0073】
例えば、ベゼルギャップ18C及び18Dは、各々、1.0pFの固有キャパシタンス(例えば、ギャップ18C及び18Dにおける並列導電性表面により形成される固有キャパシタンス値)を有する。バラクタ212−1及び212−2は、例えば、連続可変キャパシタ、又は半連続調整可能キャパシタであり、後者は、固有キャパシタンスに並列に結合できる2ないし4又はそれ以上の異なるキャパシタンス値を有するものである。
【0074】
図7は、アンテナ40Uの回路図である。図7に示すように、キャパシタンスCC及びCDは、各々、ギャップ18C及び18Dに関連したものである。キャパシタンスCCは、ギャップ18C及びバラクタ212−1の寄生キャパシタンスを含む集中キャパシタンスを表し、一方、キャパシタンスCDは、ギャップ18D及びバラクタ212−2の寄生キャパシタンスを含む集中キャパシタンスを表す。接地平面Gは、アンテナ接地部を形成する。短絡岐路150は、周辺導電性部材セグメント16−1を接地部Gに接続してアンテナフィード(フィード端子58−3及び54−3で形成される)とアンテナ40Uとの間のインピーダンスマッチングを容易にするためのスタブを形成する。短絡岐路150は、関連インダクタンスLsを有する。
【0075】
アンテナ40Uは、回路210’が非使用状態へスイッチされたときには第1の高帯域モード(例えば、帯域1900MHzをカバーするモード)で、又、回路210’が使用状態へスイッチされたときには第2の高帯域モード(例えば、帯域2100MHzをカバーするモード)で、動作する。図7は、スイッチ可能なインダクタ回路210’の1つの適当な回路実施を示す。図7に示すように、回路210は、直列に結合されたスイッチSW及び誘導性素子214を含む。スイッチSWは、p−i−nダイオード、ガリウムヒ素電界効果トランジスタ(FET)、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEM)スイッチ、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、擬似格子整合HEMT(PHEMT)、シリコンオンインスレータ(SOI)基板に形成されたトランジスタ、等を使用して実施される。
【0076】
誘導性素子214は、1つ以上の電気的コンポーネントで形成される。素子214の全部又は一部分として使用されるコンポーネントは、インダクタ及びキャパシタを含む。素子214に対して望まれるインダクタンス及びキャパシタンスは、集積回路を使用し、個別コンポーネント(例えば、表面取り付け技術のインダクタ)を使用し、及び/又は個別コンポーネント又は集積回路の部分でない誘電体及び導電性構造体を使用して形成される。例えば、キャパシタンスは、2つの導電性パッドを互いに接近離間して誘電体で分離することにより形成でき、そしてインダクタンスは、プリント回路板に導電性経路(例えば、伝送線)を生成することにより形成できる。
【0077】
別の適当な構成では、構成可能なインダクタ回路209は、アンテナ40Uの短絡経路を形成するのに使用される(即ち、図7の短絡構造体150及び回路210’は、形成されない)。図8に示すように、回路209は、導電性セグメント16−1とスイッチ218との間に結合されたインダクタ214及び216を含む。スイッチ218は、複数の位置を有する(例示的なA及びB位置により示された)。スイッチ218は、第2の高帯域モード中にはアンテナフィード間(例えば、正及び負の端子58−3及び54−3間)にインダクタ214を結合するためにそのA位置に入れられ、そして第1の高帯域モード中にはアンテナフィード間にインダクタ216を結合するためにそのB位置に入れられる。インダクタ216は、例えば、インダクタンス値がほぼLs(図8)に等しい。
【0078】
別の適当な構成では、構成可能なインダクタ回路211は、アンテナ40Uの短絡経路を形成するのに使用される(即ち、図7の短絡構造体150及び回路210’は、形成されない)。図9に示したように、回路211は、セグメント16−1と接地部Gとの間に直列に結合されたインダクタ214及び第1スイッチSWを含み、そしてセグメント16−1と接地部Gとの間に直列に結合されたインダクタ216及び第2スイッチSWを含む。第1の高帯域モード中には、第1スイッチSWが開で、第2スイッチSWが閉で、アンテナフィード端子間にインダクタ216を電気的に接続する。第2の高帯域モード中には、第2スイッチSWがディスエイブルされ、第1スイッチがイネーブルされて、アンテナフィード端子間にインダクタ214を電気的に接続する。
【0079】
図7−9は、単なる例示に過ぎない。必要に応じて、アンテナ40Uは、3つ以上の低帯域領域でワイヤレスカバレージをサポートするために3つ以上の誘導性岐路を含む。
【0080】
アンテナ40Lは、図10のテーブルに示したように、少なくとも6つの送信及び受信通信帯域(例えば、700MHz、850MHz、900MHz、1800MHz、1900MHz及び2100MHz)をカバーする。アンテナ40Uは、これら6つの例示的通信帯域のサブセットをカバーするように構成される。例えば、アンテナ40Uは、3つの当該受信帯域をカバーし、そして同調で、6つの当該受信帯域をカバーするように構成される。
【0081】
アンテナ40Uは、キャパシタ212−1が第1のキャパシタンス値を与えるように同調され且つインダクタ回路210’がターンオフされる第1の動作モードに構成される。第1の動作モードでは(例えば、図10の行250を参照)、アンテナ40Uは、受信帯域850RX(850MHz受信帯域)、900RX(900MHz受信帯域)、1800RX(1800MHz受信帯域)、1900RX(1900MHz受信帯域)、及び他の当該通信帯域をカバーすることができる。
【0082】
アンテナ40Uは、キャパシタ212−1が、第1のキャパシタンス値より高い第2のキャパシタンス値を与えるように同調され且つインダクタ回路210’がオフされる第2の動作モードに構成される。第2の動作モードでは(例えば、図10の行252を参照)、アンテナ40Uは、受信帯域750RX(750MHz受信帯域)、1800RX、1900RX、及び他の当該通信帯域をカバーすることができる。
【0083】
アンテナ40Uは、キャパシタ212−1が第1のキャパシタンス値を与えるように同調され且つインダクタ回路210’がターンオンされる第3の動作モードに構成される。第3の動作モードでは(例えば、図10の行254を参照)、アンテナ40Uは、受信帯域850RX、900RX、2100RX(2100MHz受信帯域)、及び他の当該通信帯域をカバーすることができる。
【0084】
図10を参照して説明するモードは、単なる例示に過ぎない。必要に応じて、回路210’は、ターンオン/オフされ、そしてキャパシタ212−1は、希望の当該高帯域及び低帯域周波数範囲をカバーするための適当なキャパシタンスを与えるように同調される。又、必要に応じて、アンテナ40Uは、指示された帯域で高周波信号を送信するようにも使用される。
【0085】
図4ないし10を参照して述べた形式のアンテナ同調スキームを使用することにより、アンテナ40L及び40Uは、そうでない場合に可能であるよりも広い範囲の通信周波数をカバーすることができる。図11のSWR曲線のような、定在波比(SWR)対周波数曲線は、アンテナ40Uに対する低帯域同調能力を示す。図11に示すように、実線のSWR周波数特性曲線300は、装置10のアンテナ40Uが(850MHz帯域をカバーするための)低帯域周波数f1及び(例えば、1900MHz帯域をカバーするための)高帯域周波数f2において満足な共振ピークを示す第1のアンテナ同調モードに対応する。第1のアンテナ同調モードでは、可変キャパシタ回路212−1は、第1のキャパシタンスに同調され、一方、スイッチ可能なインダクタ回路210’は、ターンオフされる。
【0086】
点線のSWR周波数特性曲線302は、装置10のアンテナが(750MHz帯域をカバーするための)低帯域周波数F1’及び高帯域周波数f2において満足な共振ピークを示す第2のアンテナ同調モードに対応する。この第2のアンテナ同調モードでは、可変キャパシタ回路212−1は、ワイヤレスカバレージを周波数f1からf1’へシフトするために第1のキャパシタンスより大きな第2のキャパシタンスに同調される。
【0087】
図12は、アンテナ40Uが第3のアンテナ同調モードで動作するところを示す。図12に示すように、点線のSWR周波数特性曲線304は、アンテナ40Uが低帯域周波数F1及び(2100MHz帯域をカバーするための)高帯域周波数f2’において満足な共振ピークを示す第3のアンテナ同調モードに対応する。この第3のアンテナ同調モードでは、回路210’は、ワイヤレスカバレージを周波数f2からf2’へシフトするために使用状態へとスイッチされる。
【0088】
一般的に、図7−9を参照して述べたスイッチ可能なインダクタ回路は、アンテナ40Uのための高帯域カバレージを同調するように使用され(例えば、スイッチ可能なインダクタ回路は、少なくとも2つの高帯域周波数範囲においてワイヤレスカバレージを与えるために少なくとも2つの状態で構成され)、一方、可変キャパシタ212−2は、アンテナ40Uのための低帯域カバレージを調整するように同調される(例えば、低帯域ギャップ18Cに関連した可変キャパシタは、少なくとも2つの低帯域周波数範囲においてワイヤレスカバレージを与えるように同調される)。図11及び12は、単なる例示に過ぎない。必要に応じて、アンテナ40L、40U、及び40WFは、装置10が適当な数の高周波通信帯域においてワイヤレス信号を送信及び受信できるようにするアンテナ同調回路を含むことができる。
【0089】
一実施形態によれば、周辺導電性部材が少なくとも幾つかの縁の周りに延びるハウジングと、アンテナ接地部及び前記周辺導電性部材の一部分で形成される逆F字アンテナと、前記アンテナ接地部と前記周辺導電性部材の一部分との間に結合されたスイッチ可能なインダクタとを備えた電子装置が提供される。
【0090】
別の実施形態によれば、前記周辺導電性部材は、その周辺導電性部材を複数のセグメントへと分割する少なくとも1つのギャップを含み、前記一部分は、前記複数のセグメントの少なくとも1つを含む。
【0091】
別の実施形態によれば、前記アンテナ接地部は、前記電子装置内に形成された導電性ハウジング構造体を含む。
【0092】
別の実施形態によれば、前記導電性ハウジング構造体は、プリント回路板を含む。
【0093】
別の実施形態によれば、前記逆F字アンテナは、第1及び第2のアンテナフィード端子を含み、前記スイッチ可能なインダクタは、それら第1及び第2のアンテナフィード端子間に結合される。
【0094】
別の実施形態によれば、前記スイッチ可能なインダクタは、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に接続されたインダクタ及びスイッチを含む。
【0095】
別の実施形態によれば、前記電子装置は、更に、ワイヤレストランシーバ回路を備え、そのワイヤレストランシーバ回路は、前記第1のアンテナフィード端子に結合される。
【0096】
別の実施形態によれば、前記電子装置は、更に、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に前記スイッチ可能なインダクタと並列に結合された導電性経路を備えている。
【0097】
別の実施形態によれば、前記電子装置は、更に、前記周辺導電性部材における少なくとも1つのギャップを橋絡する可変キャパシタ回路を備えている。
【0098】
一実施形態によれば、アンテナ接地部を形成する導電性構造体を収容しそして周辺導電性部材が少なくとも幾つかの縁の周りに延びるハウジングと、前記アンテナ接地部及び周辺導電性部材の一部分で形成されたアンテナと、前記アンテナ接地部と前記周辺導電性部材の一部分との間に結合されたスイッチ可能なインダクタ回路であって、このスイッチ可能なインダクタ回路が非使用状態へスイッチされたときは、前記アンテナが低帯域周波数範囲及び第1の高帯域周波数範囲で動作するように構成され、そしてこのスイッチ可能なインダクタ回路が使用状態へスイッチされたときは、前記アンテナが低帯域周波数範囲で動作すると共に、前記第1の高帯域周波数範囲より周波数が高い第2の高帯域周波数範囲で動作するように構成されたスイッチ可能なインダクタ回路と、を備えたワイヤレス電子装置が提供される。
【0099】
別の実施形態によれば、前記アンテナは、第1及び第2のアンテナフィード端子を備え、前記スイッチ可能なインダクタ回路は、それら第1及び第2のアンテナフィード端子間に結合され、そして前記電子装置は、更に、第1のアンテナフィード端子に結合されたワイヤレストランシーバ回路を備えている。
【0100】
別の実施形態によれば、前記アンテナは、逆F字アンテナを含む。
【0101】
別の実施形態によれば、前記周辺導電性部材は、少なくとも2つのギャップを有し、前記ワイヤレス電子装置は、更に、2つのギャップの一方を橋絡する可変キャパシタ回路を備えている。
【0102】
別の実施形態によれば、前記スイッチ可能なインダクタ回路は、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に接続されたインダクタ及びスイッチを含む。
【0103】
別の実施形態によれば、前記スイッチ可能なインダクタ回路は、スイッチと、第1のインダクタであって、該第1のインダクタ及び前記スイッチが前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に結合されるような第1のインダクタと、第2のインダクタであって、該第2のインダクタ及び前記スイッチが前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に結合されるような第2のインダクタと、を備えている。
【0104】
別の実施形態によれば、前記スイッチ可能なインダクタ回路は、第1及び第2のスイッチと、第1のインダクタであって、該第1のインダクタ及び前記第1のスイッチが前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に結合されるような第1のインダクタと、第2のインダクタであって、該第2のインダクタ及び前記第2のスイッチが前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に結合されるような第2のインダクタと、を備えている。
【0105】
一実施形態によれば、周辺部を有するハウジングと、前記周辺部に沿って延びそして前記周辺部に少なくとも2つのギャップを有する導電性構造体と、前記導電性構造体から少なくとも一部分形成された逆F字アンテナと、前記周辺導電性部材における2つのギャップの少なくとも一方を橋絡する可変キャパシタであって、該可変キャパシタが第1のキャパシタンスを与えるように同調されたときは、前記逆F字アンテナが第1の低帯域周波数範囲及び高帯域周波数範囲で動作するように構成され、そして該可変キャパシタが前記第1のキャパシタンスとは異なる第2のキャパシタンスを与えるように同調されたときは、前記逆F字アンテナが前記第1の低帯域周波数範囲より周波数が低い第2の低帯域周波数範囲で動作するよう構成されると共に、前記高帯域周波数範囲で動作するように構成された可変キャパシタと、を備えたワイヤレス電子装置が提供される。
【0106】
別の実施形態によれば、前記逆F字アンテナは、第1及び第2のアンテナフィード端子を備え、そして前記ワイヤレス電子装置は、更に、第1のアンテナフィード端子に結合されたワイヤレストランシーバ回路を備えている。
【0107】
別の実施形態によれば、前記ワイヤレス電子装置は、更に、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に結合されたスイッチ可能なインダクタを備えている。
【0108】
別の実施形態によれば、前記スイッチ可能なインダクタは、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に結合されたインダクタ及びスイッチを含む。
【0109】
別の実施形態によれば、前記ワイヤレス電子装置は、更に、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に前記スイッチ可能なインダクタと並列に結合された導電性短絡経路を含む。
【0110】
別の実施形態によれば、前記ワイヤレス電子装置は、更に、前記第1及び第2のキャパシタンスを与えるように前記可変キャパシタを同調する制御信号を発生する処理回路を備えている。
【0111】
以上の説明は、本発明の原理を単に例示するものに過ぎず、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、種々の変更が明らかであろう。前記実施形態は、個々に具現化されてもよいし、何らかの組み合わせで具現化されてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10:電子装置
12:ハウジング
14:ディスプレイ
16:部材
18A、18B、18C、18D:ギャップ
19:ボタン
20、22:領域
28:記憶及び処理回路
30:入力/出力回路
32:入力/出力装置
34:ワイヤレス通信回路
35:GPS受信回路
36:トランシーバ回路
38:セルラー電話トランシーバ回路
40U、40L、40WF:アンテナ
42:ハウジング構造体
46:プリント回路板
48:相互接続部
50:コネクタ
52:伝送線
100、130:ポート
102:基本帯域プロセッサ
104:高周波送信器
106、112:電力増幅器
110:受信器
118、128:経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺導電性部材が少なくとも幾つかの縁の周りに延びるハウジングと、
アンテナ接地部及び前記周辺導電性部材の一部分で形成される逆F字アンテナと、
前記アンテナ接地部と前記周辺導電性部材の一部分との間に結合されたスイッチ可能なインダクタと、
を備えた電子装置。
【請求項2】
前記周辺導電性部材は、その周辺導電性部材を複数のセグメントへ分割する少なくとも1つのギャップを含み、前記一部分は、前記複数のセグメントの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記アンテナ接地部は、前記電子装置内に形成された導電性ハウジング構造体を含む、請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記導電性ハウジング構造体は、プリント回路板を含む、請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記逆F字アンテナは、第1及び第2のアンテナフィード端子を含み、前記スイッチ可能なインダクタは、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に結合される、請求項2に記載の電子装置。
【請求項6】
前記スイッチ可能なインダクタは、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に接続されたインダクタ及びスイッチを含む、請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
ワイヤレストランシーバ回路を更に備え、該ワイヤレストランシーバ回路は、前記第1のアンテナフィード端子に結合される、請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に前記スイッチ可能なインダクタと並列に結合された導電性経路を更に備えた、請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記周辺導電性部材における少なくとも1つのギャップを橋絡する可変キャパシタ回路を更に備えた、請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
アンテナ接地部を形成する導電性構造体を収容しそして周辺導電性部材が少なくとも幾つかの縁の周りに延びるハウジングと、
前記アンテナ接地部及び周辺導電性部材の一部分で形成されたアンテナと、
前記アンテナ接地部と前記周辺導電性部材の一部分との間に結合されたスイッチ可能なインダクタ回路であって、
このスイッチ可能なインダクタ回路が非使用状態へスイッチされたときは、前記アンテナが低帯域周波数範囲及び第1の高帯域周波数範囲で動作するように構成され、そして
このスイッチ可能なインダクタ回路が使用状態へスイッチされたときは、前記アンテナが低帯域周波数範囲で動作すると共に、前記第1の高帯域周波数範囲より周波数が高い第2の高帯域周波数範囲で動作するように構成された、
スイッチ可能なインダクタ回路と、
を備えたワイヤレス電子装置。
【請求項11】
前記アンテナは、第1及び第2のアンテナフィード端子を備え、前記スイッチ可能なインダクタ回路は、それら第1及び第2のアンテナフィード端子間に結合され、更に、
第1のアンテナフィード端子に結合されたワイヤレストランシーバ回路、
を備えた請求項10に記載のワイヤレス電子装置。
【請求項12】
前記アンテナは、逆F字アンテナを含む、請求項11に記載のワイヤレス電子装置。
【請求項13】
前記周辺導電性部材は、少なくとも2つのギャップを有し、更に、
前記2つのギャップの一方を橋絡する可変キャパシタ回路、
を備えた請求項12に記載のワイヤレス電子装置。
【請求項14】
前記スイッチ可能なインダクタ回路は、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に接続されたインダクタ及びスイッチを含む、請求項12に記載のワイヤレス電子装置。
【請求項15】
前記スイッチ可能なインダクタ回路は、
スイッチと、
第1のインダクタであって、該第1のインダクタ及び前記スイッチが前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に結合されるような第1のインダクタと、
第2のインダクタであって、該第2のインダクタ及び前記スイッチが前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に結合されるような第2のインダクタと、
を備えた請求項12に記載のワイヤレス電子装置。
【請求項16】
前記スイッチ可能なインダクタ回路は、
第1及び第2のスイッチと、
第1のインダクタであって、該第1のインダクタ及び前記第1のスイッチが前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に結合されるような第1のインダクタと、
第2のインダクタであって、該第2のインダクタ及び前記第2のスイッチが前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に結合されるような第2のインダクタと、
を備えた請求項12に記載のワイヤレス電子装置。
【請求項17】
周辺部を有するハウジングと、
前記周辺部に沿って延びそして前記周辺部に少なくとも2つのギャップを有する導電性構造体と、
前記導電性構造体から少なくとも一部分形成された逆F字アンテナと、
前記周辺導電性部材における2つのギャップの少なくとも一方を橋絡する可変キャパシタであって、
該可変キャパシタが第1のキャパシタンスを与えるように同調されたときは、前記逆F字アンテナが第1の低帯域周波数範囲及び高帯域周波数範囲で動作するよう構成され、そして
該可変キャパシタが前記第1のキャパシタンスとは異なる第2のキャパシタンスを与えるように同調されたときは、前記逆F字アンテナが前記第1の低帯域周波数範囲より周波数が低い第2の低帯域周波数範囲で動作するよう構成されると共に、前記高帯域周波数範囲で動作するように構成された、
可変キャパシタと、
を備えたワイヤレス電子装置。
【請求項18】
前記逆F字アンテナは、第1及び第2のアンテナフィード端子を備え、更に、
第1のアンテナフィード端子に結合されたワイヤレストランシーバ回路と、
前記第1及び第2のキャパシタンスを与えるように前記可変キャパシタを同調する制御信号を発生する処理回路と、
を備えた、請求項17に記載のワイヤレス電子装置。
【請求項19】
前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に結合されたスイッチ可能なインダクタを更に備え、該スイッチ可能なインダクタは、前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に直列に結合されたインダクタ及びスイッチを含む、請求項18に記載のワイヤレス電子装置。
【請求項20】
前記第1及び第2のアンテナフィード端子間に前記スイッチ可能なインダクタと並列に結合された導電性短絡経路を含む、請求項19に記載のワイヤレス電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−186811(P2012−186811A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−62670(P2012−62670)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】