説明

受信状態情報収集装置、そのプログラム、及び、受信状態情報収集システム

【課題】本発明は、受信状態情報の連続収集を可能とし、安値に構成できる受信状態情報収集装置を提供する。
【解決手段】受信状態情報収集装置4は、キャプチャ映像が映像キャプチャ装置2から入力されると共に、キャプチャ映像に付加された受信状態情報を抽出する受信状態情報抽出手段41と、収集時刻を取得する収集時刻取得手段42と、収集位置が入力される収集位置入力手段43と、受信状態情報抽出手段41が抽出した受信状態情報を記憶手段45に書き込む受信状態情報書込手段44と、受信状態情報を記憶する記憶手段45と、受信状態情報を出力する受信状態情報出力手段46とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャプチャ映像に付加された受信状態情報を収集する受信状態情報収集装置、そのプログラム、及び、受信状態情報収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地上デジタル放送波の受信状態を測定する発明が提案されている(例えば、特許文献1参照)。現在、地上デジタル放送波の受信状態の調査には、特許文献1に係る測定装置等を搭載した測定車によって、任意の測定地点において、例えば、10mの高さまでポールを上げて電測調査を行っている。このとき、従来の測定装置では、地上デジタル放送波の電圧以外の受信状態(例えば、C/N(Carrier to Noise)比、BER(Bit Error Rate)、MER(Modulation Error Ratio))を測定する場合、数秒から数十秒程度を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−311864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の測定装置では、受信状態の測定に数秒から数十秒程度を要するため、時間間隔が途切れることなく連続測定を行うことが困難である。特に、測定車によって連続測定を行う場合、測定間隔が長いにも関わらずその位置が刻々と変化することになる。このため、従来の測定装置では、測定車によって連続測定を行う場合、断続的となるような間隔を置いた点での測定しか行えず、測定結果の信頼性が低くなるという問題もある。この連続測定を行うためには、高速演算が可能な、非常に高価な測定装置が必要となり、現実的でない。
【0005】
本発明は、前記した課題を解決し、受信状態情報の連続収集を可能とし、安値に構成できる受信状態情報収集装置、そのプログラム、及び、受信状態情報収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者らは、地上デジタル放送チューナが、アンテナレベル等の地上デジタル放送波の受信状態を1秒〜数秒程度の短い測定間隔で測定することに着目し、本発明を完成させた。具体的には、本願第1発明に係る受信状態情報収集装置は、地上デジタル放送波の受信状態を示す受信状態情報を付加したキャプチャ映像が映像キャプチャ装置から入力されると共に、キャプチャ映像に付加された受信状態情報を収集する受信状態情報収集装置であって、受信状態情報抽出手段と、記憶手段と、受信状態情報書込手段と、受信状態情報出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、受信状態情報収集装置は、受信状態情報抽出手段によって、キャプチャ映像における受信状態情報を付加した領域が予め設定されると共に、キャプチャ映像の領域を解析して、キャプチャ映像に付加された受信状態情報を抽出する。ここで、キャプチャ映像は、例えば、地上デジタル放送チューナが測定した受信状態を示す受信状態情報を付加した映像を生成し、映像キャプチャ装置がこの映像をキャプチャしたものである。また、受信状態情報収集装置は、記憶手段によって、受信状態情報を記憶する。
【0008】
また、受信状態情報収集装置は、受信状態情報書込手段によって、受信状態情報抽出手段が抽出した受信状態情報を前記記憶手段に書き込む。そして、受信状態情報収集装置は、受信状態情報出力手段によって、記憶手段に書き込まれた受信状態情報を出力する。つまり、受信状態情報収集装置は、従来の地上デジタル放送チューナによって短い測定間隔で測定された受信状態情報を、従来の映像キャプチャ装置を介して、収集する。
【0009】
なお、受信状態情報は、地上デジタル放送波の受信状態(つまり、受信信号の品質)を示す任意の情報であり、例えば、地上デジタル放送チューナが測定したアンテナレベルである。このアンテナレベルは、地上デジタル放送チューナの機種やメーカによっては、受信強度、信号強度、受信レベル、電波レベル又は電波強度と定義されることもある。なお、受信状態情報は、アンテナレベルに制限されず、地上デジタル放送チューナが測定可能なものであれば良い。例えば、受信状態情報としては、地上デジタル放送波の強度を示す、受信電力指標値(IFAGC)、受信電界強度又は受信信号強度値(RSSI)がある。
【0010】
また、本願第2発明に係る受信状態情報収集装置は、受信状態情報書込手段が、受信状態情報を他の地上デジタル放送受信装置の測定結果に変換する変換規則が予め設定されると共に、受信状態情報抽出手段が抽出した受信状態情報を変換規則で変換して記憶手段に書き込むことを特徴とする。
【0011】
一般的に、地上デジタル放送チューナを製造するメーカは、受信状態情報をどのように算出しているか公表していない。このため、この受信状態情報は、他の地上デジタル放送受信装置の測定結果と比較することが難しく、定量的な判断基準とならない。そこで、受信状態情報収集装置は、変換規則を用いて、受信状態情報を他の地上デジタル放送受信装置測定装置の測定結果に変換する。
【0012】
なお、他の地上デジタル放送受信装置とは、地上デジタル放送を受信する装置及び地上デジタル放送の受信状態を測定する装置であって、受信状態情報を測定した地上デジタル放送チューナ以外のものである。
【0013】
また、本願第3発明に係る受信状態情報収集装置は、受信状態情報を収集した時刻を示す収集時刻を取得する収集時刻取得手段と、受信状態情報を収集した位置を示す収集位置が入力される収集位置入力手段と、をさらに備え、受信状態情報書込手段が、受信状態情報抽出手段が抽出した受信状態情報と、収集時刻取得手段が取得した収集時刻と、収集位置入力手段に入力された収集位置とを対応付けて記憶手段に書き込み、受信状態情報出力手段が、記憶手段に書き込まれた受信状態情報と収集時刻と収集位置とを出力することを特徴とする。かかる構成によれば、受信状態情報収集装置は、受信状態情報だけでなく、その受信状態情報を測定した収集時刻と収集位置とを把握できる。
【0014】
また、本願第4発明に係る受信状態情報収集プログラムは、地上デジタル放送波の受信状態を示す受信状態情報を付加したキャプチャ映像が映像キャプチャ装置から入力されると共に、キャプチャ映像に付加された前記受信状態情報を収集するために、受信状態情報を記憶する記憶手段を備えるコンピュータを、受信状態情報抽出手段、受信状態情報書込手段、受信状態情報出力手段、として機能させることを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、受信状態情報収集プログラムは、受信状態情報抽出手段によって、キャプチャ映像における受信状態情報を付加した領域が予め設定されると共に、キャプチャ映像の領域を解析して、キャプチャ映像に付加された受信状態情報を抽出する。また、受信状態情報収集プログラムは、受信状態情報書込手段によって、受信状態情報抽出手段が抽出した受信状態情報を記憶手段に書き込む。そして、受信状態情報収集プログラムは、受信状態情報出力手段によって、記憶手段に書き込まれた受信状態情報を出力する。つまり、受信状態情報収集プログラムは、従来の地上デジタル放送チューナによって短い測定間隔で測定された受信状態情報を、従来の映像キャプチャ装置を介して、収集する。
【0016】
また、本願第5発明に係る受信状態情報収集システムは、地上デジタル放送チューナと、映像キャプチャ装置と、本願第1発明に係る受信状態情報収集装置と、を備えることを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、受信状態情報収集システムは、従来の地上デジタル放送チューナによって、地上デジタル放送波の受信状態を測定すると共に、受信状態を示す受信状態情報を、受信した地上デジタル放送波から生成した映像に付加する。ここで、地上デジタル放送チューナは、短い測定間隔で受信状態情報を測定する。また、受信状態情報収集システムは、従来の映像キャプチャ装置によって、地上デジタル放送チューナが出力した映像をキャプチャして、受信状態情報を付加したキャプチャ映像を出力する。そして、受信状態情報収集システムは、本願第1発明に係る受信状態情報収集装置によって、地上デジタル放送チューナによって短い測定間隔で測定された受信状態情報を収集する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
本願第1,4発明によれば、従来の地上デジタル放送チューナによって短い測定間隔で測定された受信状態情報を、従来の映像キャプチャ装置を介して、収集する。このため、本願第1,4発明によれば、受信状態情報の連続収集を可能とし、安値に構成できる。
【0019】
本願第2発明によれば、受信状態情報を他の地上デジタル放送受信装置の測定結果に変換するため、受信状態情報と他の地上デジタル放送受信装置の測定結果とを容易に比較でき、受信状態情報の定量的な収集が可能となる。
【0020】
本願第3発明によれば、受信状態情報を測定した収集時刻と収集位置とを把握でき、測定車で測定する等の測定位置が刻々と変化する場合でも、面的な連続収集を行うことができる。
【0021】
本願第5発明によれば、従来の地上デジタル放送チューナと、従来の映像キャプチャ装置と、本願第1発明に係る受信状態情報収集装置とで受信状態情報収集システムを構築できるため、受信状態情報の連続収集を可能とし、安値に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る受信状態情報収集システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の映像キャプチャ装置がキャプチャしたキャプチャ映像の一例を示す図である。
【図3】図2のキャプチャ映像の表示窓の拡大図である。
【図4】図1の受信状態情報収集装置が記憶する受信状態情報のデータ構造を説明する図である。
【図5】図1の受信状態情報収集システムの動作を示すフローチャートである。
【図6】図1の受信状態情報収集装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[受信状態情報収集システムの構成]
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1を参照し、本発明の実施形態に係る受信状態情報収集システムの構成について、説明する。受信状態情報収集システム100は、地上デジタル放送チューナ1によって短い測定間隔で測定された受信状態情報を、映像キャプチャ装置2を介して、受信状態情報収集装置4が収集するものである。図1に示すように、受信状態情報収集システム100は、地上デジタル放送チューナ1と、映像キャプチャ装置2と、GPS測定装置3と、受信状態情報収集装置4とを備える。
【0024】
地上デジタル放送チューナ1は、地上デジタル放送波の受信状態を示す受信状態情報を測定すると共に、この受信状態情報を、受信した地上デジタル放送波から生成した映像に付加するものである。そして、地上デジタル放送チューナ1は、受信状態情報を付加した映像(地上デジタル放送信号)を映像キャプチャ装置2に出力する。なお、地上デジタル放送チューナ1は、例えば、アンテナ1aに接続され、受信状態情報の測定機能を備える従来の地上デジタル放送チューナ又はこの地上デジタル放送チューナを内蔵したテレビ受信機で実現できる。
【0025】
映像キャプチャ装置2は、地上デジタル放送チューナ1が出力した映像をキャプチャして、受信状態情報が付加されたキャプチャ映像を出力するものである。ここで、映像キャプチャ装置2は、キャプチャ映像として、受信状態情報が付加された映像(地上デジタル放送信号)を静止画又は動画等の画像ファイルに変換し、キャプチャ映像として受信状態情報収集装置4に出力する。なお、映像キャプチャ装置2は、例えば、USB(Universal Serial Bus)インタフェースを介してキャプチャ映像を出力する従来の映像キャプチャ装置、又は、コンピュータに内蔵される映像キャプチャボードで実現できる。
【0026】
GPS測定装置3は、受信状態情報収集装置4の近傍に配置され又は受信状態情報収集装置4に装着され、受信状態情報収集装置4の位置情報(収集位置)をGPS(Global Positioning System)測定するものである。そして、GPS測定装置3は、測定した位置情報を受信状態情報収集装置4に出力する。なお、GPS測定装置3は、例えば、USBインタフェースを介して位置情報を出力する従来のGPS測定装置で実現できる。
【0027】
受信状態情報収集装置4は、地上デジタル放送波の受信状態を示す受信状態情報を付加したキャプチャ映像が映像キャプチャ装置2から入力されると共に、キャプチャ映像に付加された受信状態情報を収集するものである。以下、受信状態情報収集装置4の構成について、説明する。
【0028】
[受信状態情報収集装置の構成]
図1に示すように、受信状態情報収集装置4は、受信状態情報抽出手段41と、収集時刻取得手段42と、収集位置入力手段43と、受信状態情報書込手段44と、記憶手段45と、受信状態情報出力手段46と、を備える。
【0029】
受信状態情報抽出手段41は、キャプチャ映像が映像キャプチャ装置2から入力されると共に、キャプチャ映像に付加された受信状態情報を抽出するものである。以下、図2を参照して、受信状態情報抽出手段41による受信状態情報の抽出について、説明する(適宜図1参照)。
【0030】
図2に示すように、キャプチャ映像には、放送番組「本日の天気」の映像以外に、受信状態情報を表示した表示窓Wが付加されている。ここで、表示窓Wは、キャプチャ映像において、予め決まった大きさ及び位置で表示される。また、図2では、表示窓Wは、「アンテナレベル」を示す数値が上部に表示され、「アンテナレベル」を示す測定値グラフGが下部に表示される。この測定値グラフGは、「アンテナレベル」の数値と比例するものであり、例えば、「アンテナレベル」の数値が大きくなるほど、左端から水平方向に長くなるように表示される。なお、図2では、測定値グラフGは、ハッチングして図示した。
【0031】
まず、受信状態情報抽出手段41は、キャプチャ映像から表示窓Wを抽出する。具体的には、受信状態情報抽出手段41は、キャプチャ映像において、表示窓Wが含まれる領域(例えば、表示窓Wの左上、右上、右下及び左下の4隅の画素位置)と、表示窓Wの表示色(例えば、紺色)とが予め設定されている。そこで、受信状態情報抽出手段41は、この4隅の画素の周辺が、表示窓Wの表示色であるか否かを判定する。ここで、4隅の画素の周辺が全て表示窓Wの色である場合、受信状態情報抽出手段41は、その4隅の画素で囲まれる領域を表示窓Wの領域と認識すると共に、キャプチャ映像に受信状態情報が有ると判定する。一方、4隅の画素の周辺の何れかが表示窓Wの表示色でない場合、受信状態情報抽出手段41は、キャプチャ映像に受信状態情報が無いと判定する。この場合、受信状態情報抽出手段41は、図示を省略したディスプレイにエラーを出力する。
【0032】
キャプチャ映像に受信状態情報が有ると判定した場合、受信状態情報抽出手段41は、キャプチャ映像の数値を解析して、受信状態情報を抽出する。以下、受信状態情報抽出手段による受信状態情報の抽出の第1例及び第2例を説明する。
【0033】
<第1例:アンテナレベルの数値の解析>
具体的には、受信状態情報抽出手段41は、表示窓Wにおいて、「アンテナレベル」の数値が表示されている領域が予め設定されている。ここで、受信状態情報抽出手段41は、例えば、地上デジタル放送チューナ1の機種毎に異なる領域が設定される。そして、受信状態情報抽出手段41は、この領域に対して、「アンテナレベル」の表示色で色領域を抽出し、数字パターンを用いたパターンマッチングを行い、「アンテナレベル」の数値を抽出しても良い。その後、受信状態情報抽出手段41は、この「アンテナレベル」の数値を受信状態情報として受信状態情報書込手段44に出力する。
【0034】
ここで、前記したように、「アンテナレベル」の数値を抽出する場合、キャプチャ映像をキャプチャしたタイミング(例えば、フレーム間でキャプチャした場合)、この数値がキャプチャ映像で正しく表示されず、受信状態情報抽出手段41が、この数値を抽出できないことがある。また、「アンテナレベル」の数値が激しく変動した場合も、受信状態情報抽出手段41が、この数値を抽出できないことがある。
【0035】
<第2例:アンテナレベルを示す測定値グラフの解析>
前記した弊害を防止するため、受信状態情報抽出手段41は、「アンテナレベル」を示す測定値グラフGを解析して、受信状態情報を抽出することが好ましい。以下、図3を参照して、測定値グラフGを解析して、受信状態情報を抽出する方法について、説明する(適宜図1及び図2参照)。
【0036】
この場合、図3に示すように、受信状態情報抽出手段41は、表示窓Wにおいて、測定値グラフGの水平方向中央軸に沿って、測定値グラフGを判定する基準となるグラフ判定ラインLの位置が予め設定されている。また、受信状態情報抽出手段41は、測定値グラフGの表示色(例えば、濃い紺色)と、測定値グラフ最大値Max(測定値グラフGの水平方向最大画素数)とが予め設定されている。ここで、受信状態情報抽出手段41は、表示窓Wの領域を認識しているため、グラフ判定ラインLに沿って(走査線3〜5ライン程度)、測定値グラフGの表示色の領域を抽出し、測定値グラフ現在値Nowを求める。なお、この測定値グラフ現在値Nowは、測定値グラフGの水平方向画素数、つまり、図2のハッチング部分の水平方向画素数である。
【0037】
そして、受信状態情報抽出手段41は、下記式(1)より受信状態情報を求める。例えば、測定値グラフ最大値Maxが「313」と設定され、測定値グラフ現在値Nowが「253」であった場合、受信状態情報抽出手段41は、式(1)より、「約81」というアンテナレベルを求めることができる。その後、受信状態情報抽出手段41は、式(1)より求めた値を受信状態情報として受信状態情報書込手段44に出力する。
【0038】
Ans=Now/Max×100・・・式(1)
なお、式(1)では、Ansが受信状態情報であり、Nowが測定値グラフ現在値であり、Maxが測定値グラフ最大値である。
【0039】
以下、図1に戻り、受信状態情報収集装置4の構成について、説明を続ける。
収集時刻取得手段42は、受信状態情報を収集した時刻を示す収集時刻を取得するものである。ここで、収集時刻取得手段42は、受信状態情報書込手段44から収集時刻の出力要求があった場合、収集時刻の出力要求に応じて、収集時刻を受信状態情報書込手段44に出力する。このとき、収集時刻取得手段42は、コンピュータの内蔵時計の時刻情報、又は、NTP(Network Time Protocol)を用いて時刻情報を取得し、この時刻情報を収集時刻として出力しても良い。
【0040】
収集位置入力手段43は、GPS測定装置3から、受信状態情報を収集した位置を示す収集位置が入力されるものである。ここで、収集時刻取得手段42は、受信状態情報書込手段44から収集位置の出力要求があった場合、収集位置の出力要求に応じて、収集位置を受信状態情報書込手段44に出力する。
【0041】
受信状態情報書込手段44は、受信状態情報抽出手段41が抽出した受信状態情報を記憶手段45に書き込むものである。ここで、受信状態情報書込手段44は、受信状態情報抽出手段41から受信状態情報が入力されたら、収集時刻取得手段42に収集時刻の出力要求を行い、収集位置入力手段43に収集位置の出力要求を行う。そして、受信状態情報書込手段44は、受信状態情報と、物理チャンネルIDと、収集時刻の出力要求に応じて出力された収集時刻と、収集位置の出力要求に応じて出力された収集位置とを対応付けて、記憶手段45に書き込む。なお、物理チャンネルIDは、例えば、オペレータ等によって手動で設定される。
【0042】
ここで、受信状態情報書込手段44は、受信状態情報を他の地上デジタル放送受信装置の測定結果に変換する変換規則が予め設定されると共に、受信状態情報抽出手段41が抽出した受信状態情報を変換規則で変換して記憶手段45に書き込むことが好ましい。これによって、受信状態情報書込手段44が、受信状態情報を他の地上デジタル放送受信装置の測定結果に変換するため、受信状態情報を他の地上デジタル放送受信装置における測定結果と比較を容易にでき、受信状態情報の定量的な収集が可能となる。以下、この変換規則の具体例を示す。
【0043】
なお、以下の変換規則は、例えば、受信状態情報収集システム100として、車載用の地上デジタル放送チューナ1と車載用のアンテナ1aとを想定したものである。また、この変換規則は、例えば、他の地上デジタル放送受信装置として、14素子アンテナ(受信高10m)と、5C同軸ケーブル(15m)と、従来の地上デジタル放送チューナ1とを想定したものである。
【0044】
<変換規則の一例>
受信状態情報:他の地上デジタル放送受信装置の測定結果
52以上:受信可能
46以上52未満:殆どの状況で受信可能
40以上46未満:概ね受信可能
30以上40未満:周辺状況によっては受信不可
30未満:受信不可
【0045】
例えば、アンテナレベルが「81」であれば、受信状態情報書込手段44は、この変換規則により、「受信可能」という結果が得られる。そして、受信状態情報書込手段44は、アンテナレベル「81」と変換後アンテナレベル「受信可能」とを、物理チャンネルID等と共に記憶手段45に書き込む。
【0046】
なお、前記した変換規則は一例であり、これに限定されない。例えば、この変換規則は、アンテナレベルをC/N比に変換する変換規則としても良い。ここで、地上デジタル放送チューナは、例えば、C/N比を測定し、このC/N比を換算してアンテナレベルとすることが多い。この場合、地上デジタル放送波の受信状態が同一条件であっても、地上デジタル放送チューナのアンテナレベルと、地上デジタル放送波の測定装置におけるC/N比との間では、測定結果に差が生じる。このため、受信状態情報収集装置は、アンテナレベルをC/N比に変換する変換規則を用いれば、アンテナレベルをC/N比に変換し、地上デジタル放送波の測定装置における測定結果と比較可能とする。
【0047】
記憶手段45は、受信状態情報抽出手段41が抽出した受信状態情報と、収集時刻取得手段42が取得した収集時刻と、収集位置入力手段43に入力された収集位置とを記憶するものである。ここで、記憶手段45は、図4に示すように、物理チャンネルIDと、アンテナレベルと、変換後アンテナレベルと、収集時刻と、収集位置とを記憶している。図4では、物理チャンネルID「27」のアンテナレベルが「81」であり、変換後アンテナレベルが「受信可能」であり、その収集時刻が「2009年1月1日13時0分0秒」であることを示す。なお、図4では、収集位置のデータ内容は、省略した。
【0048】
受信状態情報出力手段46は、記憶手段45に書き込まれた受信状態情報と収集時刻と収集位置とを出力するものである。ここで、受信状態情報出力手段46は、記憶手段45から物理チャンネルIDとアンテナレベルと変換後アンテナレベルと受信状態情報と収集時刻と収集位置とを読み出して、図示を省略したディスプレイに表示する。また、受信状態情報出力手段46は、物理チャンネルIDとアンテナレベルと変換後アンテナレベルと受信状態情報と収集時刻と収集位置とを、図示を省略したプリンタに印刷させても良い。さらに、受信状態情報出力手段46は、物理チャンネルIDとアンテナレベルと変換後アンテナレベルと受信状態情報と収集時刻と収集位置とを、カンマ区切り形式等のファイルとして出力しても良い。
【0049】
[受信状態情報収集システムの動作]
以下、図5を参照して、受信状態情報収集システム100の動作について、説明する(適宜図1参照)。まず、受信状態情報収集システム100は、地上デジタル放送チューナ1によって、地上デジタル放送波を受信して映像を生成する(ステップS1)。また、受信状態情報収集システム100は、地上デジタル放送チューナ1によって、受信状態を測定する(ステップS2)。そして、受信状態情報収集システム100は、地上デジタル放送チューナ1によって、ステップS2で測定した受信状態を示す受信状態情報を、ステップS1で生成した映像に付加する(ステップS3)。
【0050】
ステップS3の処理に続いて、受信状態情報収集システム100は、映像キャプチャ装置2によって、ステップS3で受信状態情報が付加された映像をキャプチャして、受信状態情報が付加されたキャプチャ映像を出力する(ステップS4)。また、受信状態情報収集システム100は、受信状態情報収集装置4によって、ステップS4で出力したキャプチャ映像に付加された受信状態情報を収集する(ステップS5)。
【0051】
[受信状態情報収集装置の動作]
以下、図6を参照して、受信状態情報収集装置4の動作、つまり、図5のステップS5について説明する(適宜図1参照)。
【0052】
まず、受信状態情報収集装置4は、受信状態情報抽出手段41によって、表示窓Wの表示位置を判定し、キャプチャ映像から表示窓Wを抽出する(ステップS11)。そして、 受信状態情報収集装置4は、受信状態情報抽出手段41によって、表示窓Wの有無により、キャプチャ映像に受信状態情報が有るか否かを判定する(ステップS12)。ここで、受信状態情報が有ると判定された場合(ステップS12でYes)、受信状態情報収集装置4は、ステップS13の処理に進む。一方、受信状態情報が無い判定された場合(ステップS12でNo)、受信状態情報収集装置4は、ステップS18の処理に進む。
【0053】
ステップS12でYesのとき、受信状態情報収集装置4は、受信状態情報抽出手段41によって、キャプチャ映像から受信状態情報を抽出する(ステップS13)。ここで、受信状態情報収集装置4は、受信状態情報抽出手段41によって、表示窓Wの測定値グラフGから受信状態情報(アンテナレベル)を抽出しても良い。
【0054】
ステップS13の処理に続いて、受信状態情報収集装置4は、収集位置入力手段43によって、GPS測定装置3から、受信状態情報を収集した位置を示す収集位置が入力される(ステップS14)。また、受信状態情報収集装置4は、収集時刻取得手段42によって、受信状態情報を収集した時刻を示す収集時刻を取得する(ステップS15)。
【0055】
ステップS15の処理に続いて、受信状態情報収集装置4は、受信状態情報書込手段44によって、受信状態情報と収集時刻と収集位置とを対応付けて、記憶手段45に書き込む(ステップS16)。ここで、受信状態情報収集装置4は、受信状態情報書込手段44によって、受信状態情報抽出手段41が抽出した受信状態情報を変換規則で変換してから記憶手段45に書き込むことが好ましい。
【0056】
ステップS16の処理に続いて、受信状態情報収集装置4は、受信状態情報出力手段46によって、記憶手段45に書き込まれた受信状態情報(例えば、アンテナレベル)と収集時刻と収集位置とを出力する(ステップS17)。
【0057】
また、ステップS12でNoのとき、受信状態情報収集装置4は、受信状態情報抽出手段41によって、エラーを出力する(ステップS18)。
【0058】
以上のように、本発明の実施形態に係る受信状態情報収集装置4は、従来の地上デジタル放送チューナ1によって短い測定間隔で測定された受信状態情報を、従来の映像キャプチャ装置2を介して収集する。これによって、本発明の実施形態に係る受信状態情報収集装置4は、受信状態情報の連続収集を可能とし、安値に構成できる。特に、本発明の実施形態に係る受信状態情報収集装置4は、SFN(Single Frequency Network)を用いた中継局において、開局時の受信状態の調査(地上デジタル放送波の受信難地域の把握)や、山岳部、都市部等のマルチパス影響地域での受信状態の調査(地上デジタル放送波の受信可否の判定)に有効である。
【0059】
また、本発明の実施形態に係る受信状態情報収集システム100は、車載用の地上デジタル放送チューナ1と、GPS位置出力機能を備えるカーナビゲーションシステムと、映像キャプチャ装置2と、受信状態情報収集装置4とを組み合わせることで、容易に測定車用の受信状態情報収集システムとすることもできる。これによって、本発明の実施形態に係る受信状態情報収集システム100は、測定車で移動しながらの受信状態を収集可能となり、従来の測定車に比べて収集間隔を短くして、受信状態の連続収集が可能となる。
【0060】
なお、本発明の実施形態では、受信状態情報として、アンテナレベルを収集する例を説明したが、本発明に係る受信状態情報収集装置4は、これに限定されない。例えば、本発明に係る受信状態情報収集装置4は、受信状態情報として、アンテナレベルの代わりに又はアンテナレベルと共に、受信状態指標値を収集しても良い。
【0061】
なお、実施形態では、本発明に係る受信状態情報収集装置4を独立した装置として説明したが、本発明では、従来のコンピュータ(ノート型パーソナルコンピュータ)の演算装置、記憶手段等のハードウェア資源を、前記した各手段として協調動作させるプログラムによっても実現できる。このプログラムは、通信回線を介して配布しても良く、CD−ROMやフラッシュメモリ等の記録媒体に書き込んで配布しても良い。
【符号の説明】
【0062】
1 地上デジタル放送チューナ
1a アンテナ
2 映像キャプチャ装置
3 GPS測定装置
4 受信状態情報収集装置
41 受信状態情報抽出手段
42 収集時刻取得手段
43 収集位置入力手段
44 受信状態情報書込手段
45 記憶手段
46 受信状態情報出力手段
100 受信状態情報収集システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上デジタル放送波の受信状態を示す受信状態情報を付加したキャプチャ映像が映像キャプチャ装置から入力されると共に、前記キャプチャ映像に付加された前記受信状態情報を収集する受信状態情報収集装置であって、
前記キャプチャ映像における前記受信状態情報を付加した領域が予め設定されると共に、前記キャプチャ映像の前記領域を解析して、前記キャプチャ映像に付加された前記受信状態情報を抽出する受信状態情報抽出手段と、
前記受信状態情報を記憶する記憶手段と、
前記受信状態情報抽出手段が抽出した前記受信状態情報を前記記憶手段に書き込む受信状態情報書込手段と、
前記記憶手段に書き込まれた前記受信状態情報を出力する受信状態情報出力手段と、を備えることを特徴とする受信状態情報収集装置。
【請求項2】
前記受信状態情報書込手段は、前記受信状態情報を他の地上デジタル放送受信装置の測定結果に変換する変換規則が予め設定されると共に、前記受信状態情報抽出手段が抽出した前記受信状態情報を前記変換規則で変換して前記記憶手段に書き込むことを特徴とする請求項1に記載の受信状態情報収集装置。
【請求項3】
前記受信状態情報を収集した時刻を示す収集時刻を取得する収集時刻取得手段と、
前記受信状態情報を収集した位置を示す収集位置が入力される収集位置入力手段と、をさらに備え、
前記受信状態情報書込手段は、前記受信状態情報抽出手段が抽出した前記受信状態情報と、前記収集時刻取得手段が取得した前記収集時刻と、前記収集位置入力手段に入力された前記収集位置とを対応付けて前記記憶手段に書き込み、
前記受信状態情報出力手段は、前記記憶手段に書き込まれた前記受信状態情報と前記収集時刻と前記収集位置とを出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の受信状態情報収集装置。
【請求項4】
地上デジタル放送波の受信状態を示す受信状態情報を付加したキャプチャ映像が映像キャプチャ装置から入力されると共に、前記キャプチャ映像に付加された前記受信状態情報を収集するために、前記受信状態情報を記憶する記憶手段を備えるコンピュータを、
前記キャプチャ映像における前記受信状態情報を付加した領域が予め設定されると共に、前記キャプチャ映像の前記領域を解析して、前記キャプチャ映像に付加された前記受信状態情報を抽出する受信状態情報抽出手段、
前記受信状態情報抽出手段が抽出した前記受信状態情報を前記記憶手段に書き込む受信状態情報書込手段、
前記記憶手段に書き込まれた前記受信状態情報を出力する受信状態情報出力手段、として機能させることを特徴とする受信状態情報収集プログラム。
【請求項5】
地上デジタル放送波の受信状態を測定すると共に、当該受信状態を示す受信状態情報を、受信した前記地上デジタル放送波から生成した映像に付加する地上デジタル放送チューナと、
前記地上デジタル放送チューナが出力した前記映像をキャプチャして、前記受信状態情報が付加されたキャプチャ映像を出力する映像キャプチャ装置と、
請求項1に記載の受信状態情報収集装置と、を備える受信状態情報収集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−232744(P2010−232744A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75292(P2009−75292)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】