説明

受信装置、受信方法、送信装置、送信方法、プログラム、および放送システム

【課題】デジタルテレビジョン放送の放送帯域にデータ放送用コンテンツを放送するための帯域を設けることなく、番組のAVコンテンツに連動し得るデータ放送用コンテンツのサービスを実現する。
【解決手段】図6は、PCRパケットにおいてトリガ情報が格納される位置を示している。PCRパケットは、TSパケットのadaptation_fieldにPCRが格納されたものであり、トリガ情報(TriggerInfo_descriptor)は、PCRの後に続くtransport_private_deta_byteに格納される。なお、トリガ情報が格納される場合、PCRの前に設けられているVarious_flagsのtransport_private_deta_flagが1とされる。本発明は、例えば米国などにおいてデータ放送を実現する場合に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、受信方法、送信装置、送信方法、プログラム、および放送システムに関し、特に、例えばデジタルテレビジョン放送において、いわゆる番組に相当するAVコンテンツの進行に連動してデータ放送のコンテンツを実行させる場合に用いて好適な受信装置、受信方法、送信装置、送信方法、プログラム、および放送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日本ではテレビジョン放送のデジタル化が推進されており、地上デジタル放送やBSデジタル放送などが普及している。また、地上デジタル放送などのデジタルテレビジョン放送では、いわゆる番組に相当するAVコンテンツの放送のみならず、いわゆるデータ放送も実現されている。このデータ放送におけるコンテンツによれば、例えば、放送中の番組(AVコンテンツ)に関連する情報を表示したり、放送中の番組に関連しない情報(他の番組の告知、ニュース、天気予報、交通情報など)を表示したり、放送中の番組(AVコンテンツ)に連動するアプリケーションを実行させたりすることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、日本におけるデータ放送は、テレビジョン放送のデジタル化に際してデジタルテレビジョン放送の放送帯域内にデータ放送用の帯域が予め確保され、この帯域を用いてデータ放送用コンテンツが放送されることにより実現されている。
【0004】
ところで、米国におけるデジタルテレビジョン放送では、日本のデジタルテレビジョン放送におけるデータ放送に相当するものが実現されていない。すなわち、米国の現状においては、図1Aに示すようにデジタルテレビジョン放送の放送帯域は、映像用帯域、音声用帯域、および制御情報用帯域によって占められており、データ放送用コンテンツを放送するための帯域が設けられていない。したがって、デジタルテレビジョン放送の限られた放送帯域に、データ放送用コンテンツを放送するための帯域を確保するためには、図1Bに示すように、映像用帯域および音声用帯域を狭める必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−50237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、映像用帯域および音声用帯域を狭めて、データ放送用コンテンツを放送するための帯域を確保することは、テレビジョン番組の画質および音質の劣化につながるので、現実的な対応とは言い難い。
【0007】
また、米国においては、CATV(ケーブルTV)網を用いたデジタルテレビジョン番組の再送信システムが普及しているが故に、以下のような問題も生じ得る。
【0008】
図2は、CATV網を用いたデジタルテレビジョン番組の再送信システムの構成の一例を示している。
【0009】
この再送信システムは、主に放送装置1、CATV再送信装置2、CATV網3、デジタルテレビジョン受像機4、セットトップボックス(STB)5、およびテレビジョン受像機6から構成される。
【0010】
放送局などに設けられる放送装置1は、デジタルテレビジョン放送信号を地上波または衛星波を用いて放送する。ケーブルTV局などに設けられるCATV再送信装置2は、放送されたデジタルテレビジョン放送を受信し、不要な情報を除去するとともにCATV独自の情報を追加して、CATV網3を介してデジタルデジタルテレビジョン受像機4、セットトップボックス5などに再送信する。
【0011】
CATV再送信装置2は、チューナ11、所定のパケットIDのパケットをPIDフィルタ12、CATV独自信号発生部13、多重化部14、および変調部15から構成される。
【0012】
チューナ11は、各チャンネルのデジタルテレビジョン放送信号を受信して復調し、その結果得られるTS(トランスポートストリーム)をPIDフィルタ12に出力する。PIDフィルタ12は、TSから所定のパケットIDに対応するパケット(番組としてのAVコンテンツに関係がないパケット)を除去して多重化部14に出力する。CATV独自信号発生部13は、当該CATV局の独自の情報が格納されたパケットを生成して多重化部14に出力する。多重化部14は、PIDフィルタ12の出力と、CATV独自信号発生部13の出力とを多重化して変調部15に出力する。変調部15は、多重化部14の出力を、CATV網3に適して変調方式により変調して、CATV網3を介してデジタルテレビジョン受像機4、セットトップボックス5などに再送信する。
【0013】
CATVに対応したデジタルテレビジョン受像機4は、CATV網3を介して、再送信されたデジタルテレビジョン放送のTSを受信してデコードし、その結果得られる映像を表示するとともに音声を出力する。
【0014】
CATVに対応したセットトップボックス5は、CATV網3を介して、再送信されたデジタルテレビジョン放送のTSを受信してデコードし、その結果得られる映像信号および音声信号を、HDMIケーブルなどを介してテレビジョン受像機6に出力する。テレビジョン受像機6は、セットトップボックス5からHDMIケーブルなどを介して入力される映像信号および音声信号に基づき、その映像を表示するとともに音声を出力する。
【0015】
上述したように、CATV再送信装置2においては、PIDフィルタ12により、デジタル放送信号のTSから、所定のパケットIDに対応するパケット(番組としてのAVコンテンツに関係がないパケット)が除去される。したがって、仮に図1Bに示されたように、放送帯域に、データ放送用コンテンツを放送するための帯域を確保したとしても、このPIDフィルタ12により、データ放送用コンテンツが格納されているパケットが排除されてしまうことが起こり得る。
【0016】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、デジタルテレビジョン放送の放送帯域にデータ放送用の帯域を設けることなく、テレビジョン番組の進行に連動し得るデータ放送用コンテンツのサービスを実現できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の側面である受信装置は、AVコンテンツを受信する受信装置において、前記AVコンテンツの進行に連動して実行されるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツ中から抽出する抽出手段と、抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、前記アプリケーションプログラムの起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を制御する制御手段とを含む。
【0018】
前記トリガ情報は、さらに、前記トリガ情報を有効とみなして処理するか、無効とみなして破棄するかの判定確率を示すパラメータを含むことができ、前記制御手段は、抽出された前記トリガ情報に含まれる前記パラメータに基づいて、前記トリガ情報を有効とみなして処理するか、無効とみなして破棄するかを判定するようにすることができる。
【0019】
前記トリガ情報は、さらに、前記アプリケーションプログラムの取得先を示す取得先情報を含むことができ、前記制御手段は、抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、前記アプリケーションプログラムの取得および起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を制御するようにすることができる。
【0020】
前記制御手段は、抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、前記アプリケーションプログラムの取得および起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、実行中の前記アプリケーションプログラムの終了、または今後実行されるアプリケーションプログラムの事前取得を制御するようにすることができる。
【0021】
前記トリガ情報は、さらに、前記アプリケーションプログラムを自動的に起動させる自動起動か、またはユーザの起動操作に応じて起動させるマニュアル起動かを示す自動起動フラグを含みことができ、前記制御手段は、抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて前記アプリケーションプログラムの起動を制御する場合、前記自動起動フラグに応じて、前記アプリケーションプログラムを起動させるか、またはユーザに対して起動を指示するための操作入力を促すようにすることができる。
【0022】
前記トリガ情報は、前記AVコンテンツに対応するトランスポートストリームを構成するパケットのアダプテーションフィールドに格納されているようにすることがきる。
【0023】
前記トリガ情報は、前記AVコンテンツに対応するトランスポートストリームを構成するパケットのアダプテーションフィールドにPCR(Program Clock Reference)とともに格納されているようにすることがきる。
【0024】
前記トリガ情報は、前記AVコンテンツに対応する映像に埋め込まれているようにすることがきる。
【0025】
本発明の第1の側面である受信方法は、AVコンテンツを受信する受信装置の受信方法において、前記受信装置による、前記AVコンテンツの進行に連動して実行されるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツ中から抽出する抽出ステップと、抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、前記アプリケーションプログラムの起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を制御する制御ステップとを含む。
【0026】
本発明の第1の側面であるプログラムは、AVコンテンツを受信する受信装置の制御用のプログラムであって、前記AVコンテンツの進行に連動して実行されるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツ中から抽出する抽出ステップと、抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、前記アプリケーションプログラムの起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を制御する制御ステップとを含む処理を受信装置のコンピュータに実行させる。
【0027】
本発明の第1の側面によれば、AVコンテンツの進行に連動して実行されるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報がAVコンテンツ中から抽出され、抽出されたトリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、アプリケーションプログラムの起動、実行中のアプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、または実行中のアプリケーションプログラムの終了が制御される。
【0028】
本発明の第2の側面である送信装置は、AVコンテンツを送信する送信装置において、前記AVコンテンツの進行に連動し、受信装置にて実行させるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツに格納して送信する送信手段を含み、前記トリガ情報に含まれるトリガタイプには、前記アプリケーションプログラムの起動を指示するアプリ起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火を指示するアプリイベント、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を指示するアプリ終了のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0029】
前記トリガ情報は、さらに、前記トリガ情報を有効とみなして処理するか、無効とみなして破棄するかの判定確率を示すパラメータを含むことができる。
【0030】
前記送信手段は、前記トリガ情報を、前記AVコンテンツに対応するトランスポートストリームを構成するパケットのアダプテーションフィールドに格納して送信するようにすることができる。
【0031】
前記送信手段は、前記トリガ情報を、前記AVコンテンツに対応するトランスポートストリームを構成するパケットのアダプテーションフィールドにPCR(Program Clock Reference)とともに格納して送信するようにすることができる。
【0032】
前記送信手段は、前記トリガ情報を、前記AVコンテンツに対応する映像に埋め込んで送信するようにすることができる。
【0033】
本発明の第2の側面である送信方法は、AVコンテンツを送信する送信装置の送信方法において、前記送信装置による、前記AVコンテンツの進行に連動し、受信装置にて実行させるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツに格納して送信する送信ステップを含み、前記トリガ情報に含まれるトリガタイプには、前記アプリケーションプログラムの起動を指示するアプリ起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火を指示するアプリイベント、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を指示するアプリ終了のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0034】
本発明の第2の側面であるプログラムは、AVコンテンツを送信する送信装置の制御用のプログラムであって、前記AVコンテンツの進行に連動し、受信装置にて実行させるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツに格納して送信する送信ステップを含み、前記トリガ情報に含まれるトリガタイプには、前記アプリケーションプログラムの起動を指示するアプリ起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火を指示するアプリイベント、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を指示するアプリ終了のうちの少なくとも1つが含まれる処理を送信装置のコンピュータに実行させる。
【0035】
本発明の第2の側面によれば、AVコンテンツの進行に連動し、受信装置にて実行させるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報がAVコンテンツに格納して送信される。なお、トリガ情報に含まれるトリガタイプには、アプリケーションプログラムの起動を指示するアプリ起動、実行中のアプリケーションプログラムにおけるイベントの発火を指示するアプリイベント、または実行中のアプリケーションプログラムの終了を指示するアプリ終了のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0036】
本発明の第3の側面である放送システムは、AVコンテンツを送信する送信装置と、送信された前記AVコンテンツを受信する受信装置とからなる放送システムにおいて、前記送信装置が、前記AVコンテンツの進行に連動し、受信装置にて実行させるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツに格納して送信する送信手段を含み、前記受信装置が、前記AVコンテンツの進行に連動して実行されるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツ中から抽出する抽出手段と、抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、前記アプリケーションプログラムの起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を制御する制御手段とを含む。
【0037】
本発明の第3の側面によれば、送信装置により、AVコンテンツの進行に連動し、受信装置にて実行させるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報がAVコンテンツに格納して送信される。また、受信装置により、トリガ情報がAVコンテンツ中から抽出され、抽出されたトリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、アプリケーションプログラムの起動、実行中のアプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、または実行中のアプリケーションプログラムの終了が制御される。
【発明の効果】
【0038】
本発明の第1の側面によれば、テレビジョン番組などのAVコンテンツの進行に連動してアプリケーションプログラムを起動したり、イベントを発火させたり、終了したりすることができる。
【0039】
本発明の第2の側面によれば、デジタルテレビジョン放送の放送帯域にデータ放送用の帯域を設けることなく、テレビジョン番組などのAVコンテンツの進行に連動してアプリケーションプログラムの起動、イベントの発火、終了を制御することができる。
【0040】
本発明の第3の側面によれば、デジタルテレビジョン放送の放送帯域にデータ放送用の帯域を設けることなく、テレビジョン番組などのAVコンテンツの進行に連動してアプリケーションプログラムを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】デジタルテレビジョン放送の放送帯域を示す図である。
【図2】既存のCATV再送信システムの構成の一例を示す図である。
【図3】本発明を適用した放送システムの構成例を示す図である。
【図4】本発明を適用した受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】TSのPCRパケットにトリガ情報を含めて送信する概念を示す図である。
【図6】PCRパケットにおけるトリガ情報の具体的な配置を示す図である。
【図7】トリガ情報に含まれる項目を示す図である。
【図8】トリガ情報のシンタックスの一例を示す図である。
【図9】トリガ情報対応処理を説明するフローチャートである。
【図10】サーバに対するアクセス分散を説明する図である。
【図11】データ放送用アプリケーションを実行したときの画面表示例である。
【図12】データ放送用アプリケーションを実行したときの他の画面表示例である。
【図13】トリガ情報をベースバンド映像信号に埋め込む例を示す図である。
【図14】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と称する)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0043】
<1.実施の形態>
[放送システムの構成例]
図3は、本実施の形態である放送システムを示している。この放送システム30は、例えば現状の米国において、デジタルテレビジョン放送の放送帯域にデータ放送用コンテンツを放送するための帯域を設けることなく、番組のAVコンテンツに連動し得るデータ放送用コンテンツのサービスを実現するものである。
【0044】
この放送システム30は、放送局側に設けられる放送装置41およびサーバ42、並びに、受信者側に設けられる受信装置60から構成される。
【0045】
放送装置41は、デジタルテレビジョン放送信号を送信するようになされている。このデジタルテレビジョン放送信号の放送帯域は、図1Aに示されたように、映像用帯域、音声用帯域、および制御情報用帯域によって占められており、データ放送用コンテンツを放送するための帯域は設けられていないものとする。
【0046】
また、放送装置41は、所定のタイミングで、デジタル放送信号のTSを構成するTSパケットのうちのPCR(Program Clock Reference)を含むパケット(以下、PCRパケットと称する)にトリガ情報を格納して送信する。
【0047】
ここで、トリガ情報とは、データ放送用コンテンツの実行タイミングを示す情報、データ放送用コンテンツの取得先を示す情報などからなる。トリガ情報については、図5乃至図8を参照して詳述する。
【0048】
サーバ42は、インタネット50を介してアクセスしてきた受信装置60からの要求に応じて、データ放送用コンテンツなどを供給する。
【0049】
受信装置60は、放送装置41から放送されたデジタル放送信号を受信し、テレビジョン番組に相当するAVコンテンツの映像および音声を取得してモニタ(不図示)に出力する。また、受信装置60は、インタネット50を介してサーバ42にアクセスし、データ放送用コンテンツを取得する。なお、この受信装置60は、単体として存在してもよいし、例えば、テレビジョン受像機やビデオレコーダなどに内蔵されているようにしてもよい。
【0050】
[受信装置の構成例]
図4は、受信装置60の構成例を示している。受信装置60は、チューナ61、多重分離部62、オーディオデコーダ63、音声出力部64、ビデオデコーダ65、トリガ検出部66、映像出力部67、制御部68、メモリ69、操作部70、記録部71、通信I/F72、およびブラウザ73から構成される。
【0051】
チューナ61は、ユーザによって選局されたチャンネルに対応するデジタルテレビジョン放送信号を受信して復調し、その結果得られるTSを多重分離部62に出力する。多重分離部62は、チューナ61から入力されるTSをオーディオ符号化信号、ビデオ符号化信号、および制御信号に分離し、それぞれをオーディオデコーダ63、ビデオデコーダ65、または制御部68に出力する。
【0052】
さらに、多重分離部62は、TSに配置されたトリガ情報を含むPCRパケットを抽出して制御部68に出力する。
【0053】
オーディオデコーダ63は、入力されたオーディオ符号化信号をデコードし、その結果得られる音声信号を音声出力部64に出力する。音声出力部64は、入力された音声信号を後段(例えば、モニタ)に出力する。
【0054】
ビデオデコーダ65は、入力されたビデオ符号化信号をデコードし、その結果得られる映像信号をトリガ検出部66および映像出力部67に出力する。トリガ検出部66は、入力された映像信号を常に監視し、映像信号に埋め込まれているトリガ情報を検出する(トリガ情報がPCRパケットに格納された場合とは異なる、他の送信方法(後述)に対応)。映像出力部67は、ビデオデコーダ65から入力された映像信号を後段(例えば、モニタ)に出力する。また、映像出力部67は、ブラウザ73から入力されるデータ放送用コンテンツの映像と、ビデオデコーダ65から入力された映像信号を合成して、後段に出力する。なお、音声出力部64および映像出力部67から後段への出力は、例えばHDMI(High-Definition Multimedia Interface)ケーブルを用いることができる。
【0055】
制御部68は、メモリ69に記録されている制御用プログラムを実行することにより受信装置60の全体を制御する。また、制御部68は、多重分離部62(またはトリガ検出部66)から入力されるトリガ情報に基づき、テレビジョン番組に連動したデータ放送用コンテンツを実現するためのアプリケーションプログラムの取得、起動、イベント発火、終了等を制御する。
【0056】
メモリ69には、制御部68によって実行される制御用プログラムが記録されている。この制御用プログラムは、デジタルテレビジョン放送信号、またはインタネット50を介して取得する更新データに基づいて更新することができる。操作部70は、ユーザからの各種の操作を受け付けて、それに対応する操作信号を制御部68に通知する。
【0057】
記録部71は、データ放送用アプリケーションがデジタルテレビジョン放送信号を用いて配信される場合において、ダウンロードされたデータ放送用アプリケーションを内蔵する記録媒体に保持する。
【0058】
通信I/F72は、ブラウザ73からの制御に従い、インタネット50を介してサーバ42に接続する。ブラウザ73は、制御部68からの制御に従い、通信I/F72およびインタネット50を介してサーバ42からデータ放送用のアプリケーションプログラム(以下、単にデータ放送用アプリケーション、またはデータ放送用アプリとも称する)を取得する。
【0059】
[トリガ情報の詳細]
図5は、トリガ情報がTSのPCRパケットに格納された送信される場合の概念を示している。同図に示すように、トリガ情報は全てのPCRパケットに格納されるわけではなく、テレビジョン番組に相当するAVコンテンツと連動させるための適切なタイミングにおいてのみ、PCRパケットに格納される。PCRパケットは、通常、図2に示されたようなCATV再送信装置2のPIDフィルタ12を通過するので、CATV網を利用する受信装置(図2のデジタルテレビジョン受像機4)に対してもトリガ情報を通知することができる。
【0060】
なお、トリガ情報の内容によっては、受信装置60にて受信されなかった場合を考慮して、同一内容のトリガ情報を複数回送信することがある。
【0061】
図6は、PCRパケットにおいてトリガ情報が格納される位置を示している。PCRパケットは、TSパケットのadaptation_fieldにPCRが格納されたものであり、トリガ情報(TriggerInfo_descriptor)は、PCRの後に続くtransport_private_deta_byteに格納される。なお、トリガ情報が格納される場合、PCRの前に設けられているVarious_flagsのtransport_private_deta_flagが1とされる。
【0062】
図7は、トリガ情報に含まれる情報の項目の一例を示している。
【0063】
トリガIDは、当該トリガ情報を識別するための情報である。同一内容のトリガ情報が複数回送信される場合、各トリガ情報のトリガIDは同一のものとなる。また、後述するサーバアクセス分散パラメータのみが異なるトリガ情報に対しても、同一のトリガIDを付与するものとする。トリガタイプは、当該トリガ情報がアプリ起動(データ放送用アプリケーションの取得と起動を指示するもの)、アプリ終了(実行中のデータ放送用アプリケーションの終了を指示するもの)、アプリイベント(実行中のデータ放送用アプリケーションにおいてイベント(表示内容の更新など)の発火を指示するもの)、またはプリキャッシュ(データ放送用アプリケーションの取得のみを指示するもの)のいずれであるかを示す。
【0064】
アプリケーションIDは、当該トリガ情報に対応するデータ放送用アプリケーションを識別するための情報である。アプリケーションタイプは、当該トリガ情報に対応するデータ放送用アプリケーションのタイプ(例えば、html,javaなど)を示す情報である。事業者IDは、当該トリガ情報に対応するデータ放送用アプリケーションの実行サービスを行う事業者(放送局など)を識別するための情報である。アプリケーションURL(Uniform Resource Locator)は、トリガタイプがアプリ起動、またはプリキャッシュである場合において、データ放送用アプリケーションの取得先(いまの場合、サーバ42)のURLである。蓄積アプリケーションIDは、トリガタイプがアプリ起動である場合において、データ放送用アプリケーションの即時取得を行わず、起動すべき蓄積済み(既に取得済み)のデータ放送用アプリケーションを指定する場合にのみ記述される。
【0065】
自動起動フラグは、トリガタイプがアプリ起動である場合に記述され、オンまたはオフに設定される。当該自動起動フラグがオンとされているときには自動起動(データ放送用アプリケーションを自動的に起動する)とされる。当該自動起動フラグがオフとされているときにはマニュアル起動(ユーザに対して操作入力が促され、この操作入力が行われたことに応じて起動する)とされる。
【0066】
アプリケーション終了時刻は、トリガタイプがアプリ終了であるトリガ情報を受信できなかった場合において、実行中のデータ放送用アプリケーションを終了させる時刻を示す情報である。
【0067】
サーバアクセス分散パラメータは、トリガ情報を受信した各受信装置60がサーバ42からデータ放送用アプリケーションを取得するに際し、そのアクセスが一時期に集中せず分散させるための値N(2以上の正数)である。例えば、数多く存在し得る受信装置60からのサーバ42に対するアクセスを4回に分散させるためには、同一のトリガ情報を4回送信するようにし、1回目のトリガ情報におけるサーバアクセス分散パラメータN=4とし、2回目のトリガ情報におけるサーバアクセス分散パラメータN=3とし、3回目のトリガ情報におけるサーバアクセス分散パラメータN=2とし、4回目のトリガ情報におけるサーバアクセス分散パラメータN=1とすればよい。なお、当該トリガ情報がサーバ42に対するアクセスに関係しないものである場合、サーバアクセス分散パラメータN=1とすればよい。サーバアクセス分散パラメータの詳細については、図10を参照して後述する。
【0068】
アプリケーションの名称は、自動起動フラグがマニュアル起動である場合などにおいて、ユーザに提示するデータ放送用アプリケーションの名称である。イベントIDは、トリガタイプがアプリイベントである場合において、そのイベントを識別するための情報である。なお、トリガ情報には、上述した全ての項目が常に含まれるわけではなく、そのタイミングにおいて必要な項目のみが含まれている。
【0069】
図8は、トリガ情報のシンタックスの一例を示している。なお、トリガ情報のシンタックスは任意であって図8に限定されるものではない。
【0070】
[動作説明]
次に、受信装置60がトリガ情報を受信したときの動作(以下、トリガ情報対応処理と称する)について説明する。
【0071】
図9は、トリガ情報対応処理を説明するフローチャートである。このトリガ情報対応処理は、ユーザがテレビジョン番組を視聴しているとき、すなわち、デジタルテレビジョン放送信号を受信している間、繰り返して実行される。
【0072】
ステップS1において、制御部68は、多重分離部62からの入力に基づき、トリガ情報を含むPCRパケットが受信されるまで待機する。そして、トリガ情報を含むPCRパケットが受信された場合、処理をステップS2に進める。
【0073】
ステップS2において、制御部68は、受信されたPCRパケットからトリガ情報を抽出し、当該トリガ情報に対してステップS4以降の処理を既に実行済みであるか否かを判定する。既にステップS4以降の処理を実行済みであると判定された場合、処理ステップS1に戻されて、それ以降が繰り返される。反対に、当該トリガ情報に対してステップS4以降の処理を実行していないと判定された場合、処理はステップS3に進められる。
【0074】
ステップS3において、制御部68は、トリガ情報のサーバアクセス分散パラメータNに基づき、今回の処理が有効であるか(処理を、サーバアクセスを行うステップS4以降に進めるか)、無効であるか(処理をステップS1に戻すか)を判定する。なお、トリガ情報にサーバアクセス分散パラメータNが記述されていない場合、処理はステップS4に進められる。
【0075】
ここで、ステップS3における今回の処理が有効であるか無効であるかの判定について図10を参照して詳述する。
【0076】
同図Bに示すように、放送局側の意図として、数多く存在し得る受信装置60からのサーバ42に対するアクセスを4回に分散させるためには、放送装置41により同一のトリガ情報が4回送信され、1回目のトリガ情報におけるサーバアクセス分散パラメータN=4とされ、2回目のトリガ情報におけるサーバアクセス分散パラメータN=3とされ、3回目のトリガ情報におけるサーバアクセス分散パラメータN=2とされ、4回目のトリガ情報におけるサーバアクセス分散パラメータN=1とされる。
【0077】
これに対して、受信装置60の制御部68では、確率1/Nで有効と判定される条件の下で、乱数などにより有効または無効を判定するようにする。
【0078】
これにより、例えば10000台の受信装置60が同時にトリガ情報対応処理を実行していると仮定すれば、1回目のトリガ情報(サーバアクセス分散パラメータN=4)によって、約2500(=10000/4)台の受信装置60で有効と判定され、2回目のトリガ情報(サーバアクセス分散パラメータN=3)によって、さらに約2500台(=7500/3)の受信装置60で有効と判定され、3回目のトリガ情報(サーバアクセス分散パラメータN=2)によって、さらに約2500台(=5000/2)の受信装置60で有効と判定され、4回目のトリガ情報(サーバアクセス分散パラメータN=1)によって、残りすべて(=2500/1)の受信装置60で有効と判定される。
【0079】
図9に戻る。ステップS4において、制御部68は、当該トリガ情報のトリガタイプがアプリ起動、アプリイベント、アプリ終了、またはプリキャッシュのいずれであるかを判別する。
【0080】
ステップS4にて、当該トリガ情報のトリガタイプがアプリ起動であると判別された場合、処理はステップS5に進められる。ステップS5において、制御部68は、当該トリガ情報にて蓄積アプリケーションIDが指定されており、かつ、それに対応するデータ放送用アプリケーションが記録部71に蓄積済みであるか否かを判定する。ここで、否と判定された場合、処理はステップS6に進められる。ステップS6において、制御部68は、ブラウザ73を制御して、トリガ情報のアプリケーションURLに対応するサーバ42にアクセスさせ、トリガ情報のアプリケーションIDに対応するデータ放送用アプリケーションを取得させる。ここで、後述するステップS15により既に上記URLに対応するサーバ42より該当するデータ放送アプリケーションを取得してプリキャッシュしている場合、それを利用する。この後、処理はステップS8に進められる。
【0081】
反対に、ステップS5において、当該トリガ情報にて蓄積アプリケーションIDが指定されており、かつ、それに対応するデータ放送用アプリケーションが記録部71に蓄積済みであると判定された場合、処理はステップS7に進められる。ステップS7において、制御部68は、ブラウザ73を制御して、トリガ情報の蓄積アプリケーションIDに対応するデータ放送用アプリケーションを記録部71から読み出させる。この後、処理はステップS8に進められる。
【0082】
ステップS8において、制御部68は、トリガ情報の自動起動フラグが自動起動であるか否かを判定する。
【0083】
ステップS8にて、トリガ情報の自動起動フラグが自動起動ではない(すなわち、マニュアル起動である)と判定された場合、処理はステップS9に進められる。ステップS9において、ブラウザ73は、制御部68からの制御に基づき、例えば、「(アプリケーションの名称)を実行しますか?」などと画面に表示させることにより、ユーザに対してデータ放送用アプリケーションの起動操作を促す。この促し表示に応じ、ステップS10において、ユーザから起動操作が入力されたと判定された場合、処理はステップS12に進められる。ステップS12において、ブラウザ73は、制御部68の制御に従い、ステップS6で取得した、またはステップS7で読み出したデータ放送用アプリケーションを起動する。この後、処理はステップS1に戻されて、それ以降が繰り返される。
【0084】
なお、ステップS9における促し表示の後、ステップS10にて、ユーザから起動操作が入力されないと判定され、このステップS11において、ユーザから起動操作が入力されないまま所定の時間が経過したと判定された場合、処理はステップS1に戻されてそれ以降が繰り返される。
【0085】
なお、ステップS8にて、トリガ情報の自動起動フラグが自動起動であると判定された場合は、処理はステップS12に進められる。ステップS12において、ブラウザ73は、制御部68の制御に従い、ステップS6で取得した、またはステップS7で読み出したデータ放送用アプリケーションを起動する。この後、処理はステップS1に戻されて、それ以降が繰り返される。
【0086】
ステップS4にて、当該トリガ情報のトリガタイプがアプリイベントであると判別された場合、処理はステップS13に進められる。ステップS13において、制御部68は、当該トリガ情報のアプリケーションIDと、動作中のデータ放送用アプリケーションのアプリケーションIDが一致する場合のみ、ブラウザ73を制御して、動作中のアプリケーションにおいて、トリガ情報のイベントIDに対応するイベントを発火(実行)させる。この後、処理はステップS1に戻されて、それ以降が繰り返される。
【0087】
ステップS4にて、当該トリガ情報のトリガタイプがアプリ終了であると判別された場合、処理はステップS14に進められる。ステップS14において、制御部68は、当該トリガ情報のアプリケーションIDと、動作中のデータ放送用アプリケーションのアプリケーションIDが一致する場合のみ、ブラウザ73を制御して、動作中のアプリケーションを終了させる。この後、処理はステップS1に戻されて、それ以降が繰り返される。
【0088】
なお、トリガタイプがアプリ終了であるトリガ情報を受信しない場合であっても、動作中のデータ放送用アプリケーションを起動させたときのトリガ情報に記述されたアプリケーション終了時刻に現在の時刻が達した場合、動作中のデータ放送用アプリケーションは終了される。
【0089】
ステップS4にて、当該トリガ情報のトリガタイプがプリキャッシュであると判別された場合、処理はステップS15に進められる。ステップS15において、制御部68は、ブラウザ73を制御して、トリガ情報のアプリケーションURLに対応するサーバ42にアクセスさせ、トリガ情報のアプリケーションIDに対応するデータ放送用アプリケーションを取得させてブラウザ73に含まれるキャッシュメモリ等の記憶手段に記憶しておく。この後、処理はステップS1に戻されて、それ以降が繰り返される。
【0090】
ステップS15のように、トリガタイプをプリキャッシュとすれば、連動させたいテレビジョン番組の放送時刻よりも先に対応するデータ放送用アプリケーションを取得させることができる。これにより、連動させたいテレビジョン番組の開始と同時に、対応するデータ放送用アプリケーションを実行させることができる。また、サーバ42に対するアクセス集中を分散させる効果も期待できる。以上で、トリガ情報対応処理の説明を終了する。
【0091】
[データ放送用アプリケーションを実行したときの画面表示例]
次に、図11は、トリガ情報の自動起動フラグがオフ(マニュアル起動)とされている場合において、テレビジョン番組の進行に連動してデータ放送用アプリケーションを実行したときの画面の遷移を示している。
【0092】
ユーザがテレビジョン番組を視聴しているときに、トリガタイプがアプリ起動、自動起動フラグがオフ(マニュアル起動)であるトリガ情報が受信されると、対応するデータ放送用アプリケーションが取得される。次に、ユーザに対してデータ放送用アプリケーションの起動操作を促す表示がテレビジョン番組の映像に重畳して表示される。この促しに応じ、ユーザが起動操作を入力すると、データ放送用アプリケーションが起動されて、画面表示は、データ放送用アプリケーションに対応する映像と、テレビジョン番組の映像が合成されたものとなる。
【0093】
データ放送用アプリケーションが実行されている状態において、トリガタイプがアプリイベントであるトリガ情報が受信されると、実行中のデータ放送用アプリケーションにて、トリガ情報のイベントIDに対応するイベントが発火される。これにより、画面表示のうち、データ放送用アプリケーションに対応する領域が、トリガ情報のイベントIDに対応する映像に変更される。
【0094】
その後、トリガタイプがアプリ終了であるトリガ情報が受信されると、実行中のデータ放送用アプリケーションが終了されて、画面全体にテレビジョン番組の映像が表示される。
【0095】
[データ放送用アプリケーションを実行したときの他の画面表示例]
ところで、テレビジョン番組の進行に連動して実行されるデータ放送用アプリケーションは、必ずしも画面表示を伴うものではない。このようなデータ放送用アプリケーションを用いれば、受信装置60のユーザに知られることなく、それを実行することができる。このようなデータ放送用アプリケーションは、例えば、テレビジョン番組の視聴率調査を実行する場合に適用することができる。具体的には、トリガタイプがアプリイベントであるトリガ情報に対応して、視聴しているか否かを記録するようにし、その記録結果を所定のタイミングで所定のサーバなどに通知するようにすれば、トリガタイプがアプリイベントであるトリガ情報の送信間隔でテレビジョン番組の視聴率を調べることができる。
【0096】
図12は、トリガ情報の自動起動フラグがオン(自動起動)とされている場合において、テレビジョン番組の進行に連動して、画面表示を伴わないデータ放送用アプリケーションを実行したときの画面の遷移を示している。
【0097】
ユーザがテレビジョン番組を視聴しているときに、トリガタイプがアプリ起動、自動起動フラグがオン(自動起動)であるトリガ情報が受信されると、対応するデータ放送用アプリケーションが取得されて起動される。ただし、画面表示は、テレビジョン番組の映像が表示されたまま変更されない。
【0098】
データ放送用アプリケーションが実行されている状態において、トリガタイプがアプリイベントであるトリガ情報が受信されると、実行中のデータ放送用アプリケーションにて、トリガ情報のイベントIDに対応するイベントが発火される。この場合にも画面表示は、テレビジョン番組の映像が表示されたままであり変化はない。
【0099】
その後、トリガタイプがアプリ終了であるトリガ情報が受信されると、実行中のデータ放送用アプリケーションが終了される。
【0100】
[トリガ情報の他の送信方法]
以上の説明においては、トリガ情報をTSのPCRパケットに格納して送信するようにしたが、トリガ情報をベースバンド映像信号に埋め込んで送信するようにしてもよい。
【0101】
図13は、トリガ情報をベースバンド映像信号に埋め込む2種類の例を示している。
【0102】
同図Aは、トリガ情報を2次元バーコード化して、ベースバンド映像信号の画像の所定の位置(いまの場合、右下隅)に重畳合成する例を示している。同図Bは、トリガ情報を映像コード化して、ベースバンド映像信号の画像の下部の数ラインに合成する例を示している。同図Aおよび同図Bにおけるトリガ情報は、受信装置60のトリガ検出部66によって検出される。
【0103】
同図Aと同図Bの双方ともに、トリガ情報がテレビジョン番組の画面上に配置されているので、例えば、CATV網を利用した受信装置(例えば、図2のテレビジョン受像機6)に対しても、トリガ情報を通知することができる。
【0104】
また、同図Aと同図Bの双方ともに、画面上のトリガ情報(2次元バーコードまたは映像コード)は受信装置60のユーザによって視認され得るが、これが好ましくない場合、2次元バーコードまたは映像コードを、その周囲の画素と同じ画素によりマスクしてから表示するようにすればよい。
【0105】
以上に説明したように、本発明を適用した放送システム30によれば、データ放送に関わるトリガ情報をPCRパケット、またはベースバンド映像信号に埋め込んで送信し、データ放送用アプリケーションはサーバからインタネットを介して供給するようにしたので、デジタルテレビジョン放送の放送帯域にデータ放送用の帯域を設けることなく、テレビジョン番組に連動し得るデータ放送用コンテンツのサービスを実現できる。
【0106】
また、サーバに対するアクセスが一時期に集中しないように、それを分散させることができる。
【0107】
さらに、デジタルテレビジョン番組がCATV網や衛星通信網などを介して再送信される場合においても、テレビジョン番組に連動し得るデータ放送用コンテンツのサービスを実現することができる。
【0108】
ところで、
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0109】
図14は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0110】
このコンピュータ100において、CPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)102,RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
【0111】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部106、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部107、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部108、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部109、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111を駆動するドライブ110が接続されている。
【0112】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105及びバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0113】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであってもよいし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであってもよい。
【0114】
また、プログラムは、1台のコンピュータにより処理されるものであってもよいし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであってもよい。
【0115】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0116】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0117】
30 放送システム, 41 放送装置, 42 サーバ, 60 受信装置, 61 チューナ, 62 多重分離部, 63 オーディオデコーダ, 64 音声出力部, 65 ビデオデコーダ, 66 トリガ検出部, 67 映像出力部, 68 制御部, 69 メモリ, 70 操作部, 71 記録部, 72 通信I/F, 73 ブラウザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AVコンテンツを受信する受信装置において、
前記AVコンテンツの進行に連動して実行されるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツ中から抽出する抽出手段と、
抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、前記アプリケーションプログラムの起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を制御する制御手段と
を含む受信装置。
【請求項2】
前記トリガ情報は、さらに、前記トリガ情報を有効とみなして処理するか、無効とみなして破棄するかの判定確率を示すパラメータを含み、
前記制御手段は、抽出された前記トリガ情報に含まれる前記パラメータに基づいて、前記トリガ情報を有効とみなして処理するか、無効とみなして破棄するかを判定する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記トリガ情報は、さらに、前記アプリケーションプログラムの取得先を示す取得先情報を含み、
前記制御手段は、抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、前記アプリケーションプログラムの取得および起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を制御する
請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記制御手段は、抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、前記アプリケーションプログラムの取得および起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、実行中の前記アプリケーションプログラムの終了、または今後実行されるアプリケーションプログラムの事前取得を制御する
請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記トリガ情報は、さらに、前記アプリケーションプログラムを自動的に起動させる自動起動か、またはユーザの起動操作に応じて起動させるマニュアル起動かを示す自動起動フラグを含み、
前記制御手段は、抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて前記アプリケーションプログラムの起動を制御する場合、前記自動起動フラグに応じて、前記アプリケーションプログラムを起動させるか、またはユーザに対して起動を指示するための操作入力を促す
請求項2乃至4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記トリガ情報は、前記AVコンテンツに対応するトランスポートストリームを構成するパケットのアダプテーションフィールドに格納されている
請求項2に記載の受信装置。
【請求項7】
前記トリガ情報は、前記AVコンテンツに対応するトランスポートストリームを構成するパケットのアダプテーションフィールドにPCR(Program Clock Reference)とともに格納されている
請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記トリガ情報は、前記AVコンテンツに対応する映像に埋め込まれている
請求項2に記載の受信装置。
【請求項9】
AVコンテンツを受信する受信装置の受信方法において、
前記受信装置による、
前記AVコンテンツの進行に連動して実行されるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツ中から抽出する抽出ステップと、
抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、前記アプリケーションプログラムの起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を制御する制御ステップと
を含む受信方法。
【請求項10】
AVコンテンツを受信する受信装置の制御用のプログラムであって、
前記AVコンテンツの進行に連動して実行されるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツ中から抽出する抽出ステップと、
抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、前記アプリケーションプログラムの起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を制御する制御ステップと
を含む処理を受信装置のコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
AVコンテンツを送信する送信装置において、
前記AVコンテンツの進行に連動し、受信装置にて実行させるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツに格納して送信する送信手段を含み、
前記トリガ情報に含まれるトリガタイプには、前記アプリケーションプログラムの起動を指示するアプリ起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火を指示するアプリイベント、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を指示するアプリ終了のうちの少なくとも1つが含まれる
送信装置。
【請求項12】
前記トリガ情報は、さらに、前記トリガ情報を有効とみなして処理するか、無効とみなして破棄するかの判定確率を示すパラメータを含む
請求項11に記載の送信装置。
【請求項13】
前記送信手段は、前記トリガ情報を、前記AVコンテンツに対応するトランスポートストリームを構成するパケットのアダプテーションフィールドに格納して送信する
請求項12に記載の送信装置。
【請求項14】
前記送信手段は、前記トリガ情報を、前記AVコンテンツに対応するトランスポートストリームを構成するパケットのアダプテーションフィールドにPCR(Program Clock Reference)とともに格納して送信する
請求項13に記載の送信装置。
【請求項15】
前記送信手段は、前記トリガ情報を、前記AVコンテンツに対応する映像に埋め込んで送信する
請求項12に記載の送信装置。
【請求項16】
AVコンテンツを送信する送信装置の送信方法において、
前記送信装置による、
前記AVコンテンツの進行に連動し、受信装置にて実行させるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツに格納して送信する送信ステップを含み、
前記トリガ情報に含まれるトリガタイプには、前記アプリケーションプログラムの起動を指示するアプリ起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火を指示するアプリイベント、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を指示するアプリ終了のうちの少なくとも1つが含まれる
送信方法。
【請求項17】
AVコンテンツを送信する送信装置の制御用のプログラムであって、
前記AVコンテンツの進行に連動し、受信装置にて実行させるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツに格納して送信する送信ステップを含み、
前記トリガ情報に含まれるトリガタイプには、前記アプリケーションプログラムの起動を指示するアプリ起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火を指示するアプリイベント、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を指示するアプリ終了のうちの少なくとも1つが含まれる
処理を送信装置のコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項18】
AVコンテンツを送信する送信装置と、送信された前記AVコンテンツを受信する受信装置とからなる放送システムにおいて、
前記送信装置は、
前記AVコンテンツの進行に連動し、受信装置にて実行させるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツに格納して送信する送信手段を
含み、
前記受信装置は、
前記AVコンテンツの進行に連動して実行されるアプリケーションプログラムに関するトリガ情報を前記AVコンテンツ中から抽出する抽出手段と、
抽出された前記トリガ情報に含まれるトリガタイプに応じて、前記アプリケーションプログラムの起動、実行中の前記アプリケーションプログラムにおけるイベントの発火、または実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を制御する制御手段と
を含む
放送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−248908(P2012−248908A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287228(P2009−287228)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】