受信装置及び伝送システム
【課題】コンテンツの要求元がインターネットの通信網とデジタル放送の伝送路とを区別することなくコンテンツの配信を受けることができるように、要求元からの配信要求を処理可能な受信装置及び伝送システムを提供する。
【解決手段】高度BS受信装置200のマルチキャスト管理部101は、配信要求を受信すると、コンテンツが含まれるIPパケットを特定するためのあて先アドレス、送信元アドレス等の情報と、コンテンツダウンロードサービスを識別するためのサービスIDとを対応付けるアドレスマップテーブルを参照し、サービスIDを特定する。フロントエンド制御部102は、NITを参照し、サービスIDから所望のIPパケットが伝送される信号の搬送周波数を特定する。高度BS受信装置200は、この搬送周波数の信号を復調し、IPパケットを要求元のアプリケーション301〜303へ送信する。
【解決手段】高度BS受信装置200のマルチキャスト管理部101は、配信要求を受信すると、コンテンツが含まれるIPパケットを特定するためのあて先アドレス、送信元アドレス等の情報と、コンテンツダウンロードサービスを識別するためのサービスIDとを対応付けるアドレスマップテーブルを参照し、サービスIDを特定する。フロントエンド制御部102は、NITを参照し、サービスIDから所望のIPパケットが伝送される信号の搬送周波数を特定する。高度BS受信装置200は、この搬送周波数の信号を復調し、IPパケットを要求元のアプリケーション301〜303へ送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送に用いる受信装置及び伝送システムに関し、特に、マルチキャストグループを特定するための情報に基づいて、復調すべき信号を選択し、復調した信号からIP(Internet Protocol)パケットを選択する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテンツをパケット化し、時分割多重によりMPEG−2 TS(Transport Stream)の放送波を送出する送信装置と、放送衛星を介して放送波を受信する受信装置とにより構成される衛星放送システムが知られている(特許文献1を参照)。例えば、特許文献1には、受信装置を操作するユーザが、コンテンツを視聴するための選局(チューニング)をインタラクティブに行う技術が開示されている。
【0003】
選局を行うためには、送信装置と受信装置との間で送受信されるMPEG−2 TSに含まれる制御情報が用いられる。この制御情報は規格化されている(非特許文献1を参照)。例えば、非特許文献1の第1部付属第31頁の記載によれば、ユーザによって選局の操作が行われると、受信装置は、制御情報に含まれるNIT(Network Information Table)を参照して、ユーザの希望するコンテンツを含むTSの搬送周波数を取得し、復調対象となる搬送周波数に切り替える。このようにして、制御情報を用いた選局が行われる。
【0004】
ところで、2011年から利用可能となるBS周波数によるデジタル放送の方式として、新たな高度BSデジタル放送の伝送方式が提案されている(非特許文献2を参照)。この新たな高度BSデジタル放送の伝送方式を用いることにより、テレビ放送サービスだけでなく、コンテンツダウンロードサービスの実現に向けた研究開発が進められている。高度BSデジタル放送によるコンテンツダウンロードサービスは、ユーザによる端末装置の操作に従って、ユーザが視聴するコンテンツを放送波から取得し、端末装置に蓄積するものである。
【0005】
一般に、コンテンツのダウンロードサービスとして、インターネットを介してサーバーからダウンロードするものが知られている。このサービスとの共通化を図るために、高度BSデジタル放送によるコンテンツダウンロードサービスでは、IPパケットをTLV(Type Length Value)として送受信する仕組みが検討されている(非特許文献3を参照)。TLVの詳細については後述する。
【0006】
【特許文献1】特許第3382569号公報
【非特許文献1】ARIB STD−B.32、「デジタル放送における映像符号化、音声符号化及び多重化方式」
【非特許文献2】橋本、鈴木、筋誡、田中、木村、正源等、「高度BSデジタル放送の伝送方式」、電子情報通信学会、技術研究報告SAT2007−10、pp13−18、June 2007
【非特許文献3】青木、西村、青木、木村等、「高度BSデジタル放送におけるIPパケット伝送方式の一検討」、映像情報メディア学会、2007年冬季大会3−3、Dec. 2007
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
衛星放送システムにおける選局は、ユーザがチャンネルを指定することによって、その時間に放送している複数のコンテンツの中から、ユーザが視聴したいコンテンツを選択することにより行われる。具体的には、MPEG−2 Systemsで規定されているPSI(Program Specific Information)及びARIB STD−B.10「デジタル放送に使用する番組配列情報」で規定されているSI(Service Information)の制御情報が用いられる。受信装置は、ユーザのチャンネル指定に伴ってサービスIDが指定されることにより、そのサービスを構成する映像及び音声のES(Elementary Stream)のPID(Packet IDentifier)を取得し、そのPIDが示すESを受信する。
【0008】
一方、IPを用いたインターネット等の通信網におけるコンテンツのマルチキャスト配信またはオンデマンド配信では、ユーザが操作する端末装置は、コンテンツを特定するためのURI(Uniform Resource Identifier)、すなわち、コンテンツの配信元である送信元アドレス及びマルチキャストのグループであるグループアドレスを選択し、最寄りのルータまたはURIに示されるサーバーに、IPパケットの送信を要求し、送信される一連のIPパケットを受信する。これにより、端末装置は、所望のコンテンツを取得することができる。
【0009】
前述した高度BSデジタル放送によるコンテンツダウンロードサービスでは、現在のデジタル放送と同様に、MPEG−2 SystemsまたはARIB STD−B.10で規定されているPSI/SIを用いることにより、コンテンツをMPEG−2 TSとして伝送する。この伝送方式の他に、非特許文献3に記載されているように、IPパケットをTLVとして伝送路に多重することにより、コンテンツを伝送する方式がある。
【0010】
高度BSデジタル放送に用いる受信装置は、伝送路に多重されたTLVからIPパケットを取り出し、受信装置の内外にあるアプリケーションにIPパケットを出力する。したがって、アプリケーションが、ホームネットワーク等のネットワークにより高度BS受信装置とインターネットの通信網の両方に接続される場合、アプリケーションは、インターネットの通信網を経由して伝送されるIPパケットを受信できることに加え、高度BSデジタル放送の伝送路を経由して伝送されるIPパケットを受信することが可能になる。
【0011】
しかしながら、インターネットの通信網を介してコンテンツを受信する仕組みと、高度BSデジタル放送の伝送路を介してコンテンツを受信する仕組みとの間に違いがある。このため、アプリケーションは、コンテンツの配信を要求する場合、インターネットの通信網を介してコンテンツの配信を受けるのか、高度BSデジタル放送の伝送路を介してコンテンツの配信を受けるのかを区別する必要がある。また、高度BSデジタル放送の伝送路を介してコンテンツを受信するときには、高度BS受信装置は、アプリケーションにより選択されたコンテンツを含むIPパケットを特定する必要がある。また、アプリケーションはそれぞれに適した配信要求処理を行い、高度BS受信装置は、配信要求に合った選局処理を行う必要がある。
【0012】
そこで、本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コンテンツの要求元がインターネットの通信網とデジタル放送の伝送路とを区別することなくコンテンツの配信を受けることができるように、要求元からの配信要求を処理可能な受信装置及び伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の簡単な例として、以下に示す構成の伝送システムを提案する。送信装置は、コンテンツが含まれるIPパケットを特定するためのあて先アドレス、送信元アドレス、またはあて先アドレスと送信元アドレスとの組み合わせと、IPパケットを用いて行われるコンテンツダウンロードサービスを識別するためのサービスIDとを対応付けるアドレスマップテーブルを作成し、高度BSデジタル放送の伝送路へ送信する。ここで、アドレスマップテーブルは、高度BSデジタルの伝送路を介して送信されるようにしてもよいし、インターネットの通信網を介して送信されるようにしてもよい。受信装置は、アドレスマップテーブルを受信し、コンテンツのダウンロードを行うための配信要求に含まれるあて先アドレス等の情報に基づいて、IPパケットが伝送される信号を選択するために必要な搬送周波数等の情報を特定し、復調する信号を選択する。
【0014】
すなわち、本発明による請求項1の受信装置は、テレビ放送サービスの情報を含むMPEG−2 TS、及び、コンテンツダウンロードサービスによりマルチキャストグループ毎に配信されるコンテンツのIPパケットを含むTLV(Type Length Value)の放送波を、デジタル放送の伝送路を介して受信する受信装置において、指定された搬送周波数により前記放送波の信号を選択し、該信号を復調する復調部と、前記復調されたTMCC信号に基づいて、前記MPEG−2 TSとTLVとを分類する分類部と、前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスを含む配信要求を、前記コンテンツダウンロードサービスを受ける要求元から受信し、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスと、前記マルチキャストグループのコンテンツが配信される搬送周波数とを対応付けるテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定し、該指定した搬送周波数にて復調されたTLVのIPパケットのうち、前記配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットを、前記配信要求に対するコンテンツのIPパケットとして前記要求元へ送信するパケットアダプタと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明による請求項2の受信装置は、請求項1に記載の受信装置において、前記パケットアダプタは、前記分類部により分類されたTLVを、コンテンツのデータ用のIPパケット、前記コンテンツダウンロードサービスを識別するためのサービスIDとマルチキャストグループを特定するためのIPアドレスとを含むアドレスマップテーブルからなる制御用のTLV、及び、サービスIDと搬送周波数とを含むNIT(Network Information Table)からなる制御用のTLVに分類するタイプ分類部、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスを含む配信要求を、前記コンテンツダウンロードサービスを受ける要求元から受信し、前記タイプ分類部により分類された制御用のTLVにおけるアドレスマップテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスからサービスIDを特定するマルチキャスト管理部、前記タイプ分類部による分類された制御用のTLVにおけるNITを用いて、前記マルチキャスト管理部により特定されたサービスIDから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定するフロントエンド制御部、及び、前記タイプ分類部により分類されたデータ用のIPパケットのうち、前記マルチキャスト管理部により受信された配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットを、前記配信要求に対するコンテンツのIPパケットとして送信するパケットフィルタ部を有することを特徴とする。
【0016】
本発明による請求項3の受信装置は、請求項1または2に記載の受信装置において、前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスは、コンテンツがマルチキャスト配信される送信元アドレス及びあて先となるグループアドレスであることを特徴とする。
【0017】
本発明による請求項4の受信装置は、請求項1または2に記載の受信装置において、前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスは、コンテンツがマルチキャスト配信される、あて先となるグループアドレスであることを特徴とする。
【0018】
本発明による請求項5の受信装置は、請求項1に記載の受信装置において、前記パケットアダプタは、前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスに対応付けたCID(Context IDentification)を含む配信要求を、前記コンテンツダウンロードサービスを受ける要求元から受信し、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスに対応付けたCIDと、前記マルチキャストグループのコンテンツが配信される搬送周波数とを含むテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定し、該指定した搬送周波数にて復調されたTLVのIPパケットのうち、前記配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットを、前記配信要求に対するコンテンツのIPパケットとして前記要求元へ送信することを特徴とする。
【0019】
本発明による請求項6の受信装置は、テレビ放送サービスの情報を含むMPEG−2 TS、及び、コンテンツダウンロードサービスによりマルチキャストグループ毎に配信されるコンテンツのIPパケットを含むTLV(Type Length Value)の放送波を、デジタル放送の伝送路を介して受信する受信装置において、指定された搬送周波数により前記放送波の信号を選択し、該信号を復調する復調部と、前記復調されたTMCC信号に基づいて、前記MPEG−2 TSとTLVとを分類する分類部と、前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスを含む配信要求に対し、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスと、前記マルチキャストグループのコンテンツが配信される搬送周波数とを対応付けるテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定し、該指定した搬送周波数にて復調されたTLVのIPパケットのうち、前記配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットのデータを、前記配信要求に対するコンテンツとするパケットアダプタと、を備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明による請求項7の受信装置は、請求項1または6に記載の受信装置において、前記パケットアダプタにより用いられるテーブルは、前記デジタル放送の伝送路を介して放送波として受信され、前記復調部により復調されたTLVに含まれることを特徴とする。
【0021】
本発明による請求項8の受信装置は、請求項1または6に記載の受信装置において、前記パケットアダプタにより用いられるテーブルは、インターネットの通信網を介して受信されることを特徴とする。
【0022】
本発明による請求項9の伝送システムは、テレビ放送サービスの情報を含むMPEG−2 TSの放送波を送信すると共に、コンテンツダウンロードサービスによりマルチキャストグループ毎に配信されるコンテンツのIPパケットを含む放送波を送信する送信装置と、該送信装置からデジタル放送の伝送路を介して前記放送波を受信する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の受信装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、IPパケットの送信元アドレス、あて先アドレス、または送信元アドレスとあて先アドレスとの組み合わせ等のマルチキャストグループを特定するためのIPアドレスの情報に基づいて、コンテンツダウンロードサービスが行われる放送波の信号を区別することができる。この結果、コンテンツの要求元は、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスの情報を含むデータを配信要求とすることにより、インターネットの通信網とデジタル放送の伝送路とを区別することなく、配信を要求することができ、かつ、コンテンツの配信を受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔伝送システム〕
まず、伝送システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態による伝送システムの構成を示す図である。この伝送システムは、衛星放送システムであり、放送波を送信する送信装置400と、送信装置400から送信された放送波を増幅等して送信する放送衛星500と、放送衛星500から送信された放送波を受信する高度BS受信装置200と、コンテンツの配信要求等を行うアプリケーション301〜303をそれぞれ有する端末装置と、インターネット305に接続されるサーバー306とを備えて構成される。高度BS受信装置200、端末装置及びインターネット305は、ホームネットワーク304により接続され、ホームネットワーク304及びサーバー306はインターネット305により接続される。
【0025】
送信装置400は、テレビ放送サービスを実現するための情報を含むMPEG−2 TS、及び、コンテンツダウンロードサービスを実現するためのコンテンツを含むTLVを生成し、放送波として送信する。送信装置400は、放送波の送信に際し、マルチキャスト配信されるコンテンツのIPパケットをTLVに格納する。また、NITを制御用のTLVに格納し、アドレスマップテーブルを制御用のTLVに格納する。TLV、NIT及びアドレスマップテーブルについては後述する。
【0026】
アプリケーション301〜303は、端末装置に備えた処理手段であり、高度BS受信装置200及びインターネット305から、マルチキャスト配信されるコンテンツの一覧情報を受信し格納する。また、端末装置を操作するユーザが所望のコンテンツを要求する場合、コンテンツの一覧に基づいて配信要求を生成して送信し、その要求したコンテンツの配信を受ける。また、コンテンツの配信を受けている途中でその配信の停止を要求する場合、配信停止要求を送信する。
【0027】
具体的には、アプリケーション301〜303は、コンテンツ名称、ID、コンテンツの送信元アドレス、コンテンツのあて先であるマルチキャストのグループアドレス等により構成されるコンテンツの一覧情報を受信する。ユーザ操作によりコンテンツの配信要求があると、アプリケーション301〜303は、ユーザ操作により指定されたコンテンツに関する情報を、コンテンツの一覧情報から取得し、送信元IPアドレス(以下、送信元アドレスという。)、マルチキャストのグループアドレス等の情報を付加した配信要求を送信する。また、ユーザ操作によりコンテンツの配信停止要求があると、アプリケーション301〜303は、配信を受けているコンテンツの送信元アドレス、マルチキャストのグループアドレス等の情報を付加した配信停止要求を送信する。
【0028】
ここで、マルチキャストの方式には、ASM(Any Source Multicast)とSSM(Source Specific Multicast)とがある。ASMは、送信元アドレスに関係なくIPパケットのあて先となるグループアドレスのみで、マルチキャスト配信される一連のIPパケットを識別する方式である。SSMは、送信元アドレスとIPパケットのあて先となるグループアドレスとの組み合わせでマルチキャスト配信される一連のIPパケットを識別する方式である。本実施形態では、アプリケーション301〜303は、それぞれのマルチキャストの仕組みに応じて、グループアドレスのみ、または送信元アドレスとグループアドレスとの組み合わせを含む配信要求または配信停止要求を生成し、コンテンツの配信要求を送信し、または配信停止要求を送信する。配信要求及び配信停止要求の方式としては、IGMPv2(RFC2236にて規定されている。)、IGMPv3(RFC2710にて規定されている。)、MLDv1(RFC2710にて規定されている。)またはMLDv2(RFC3810にて規定されている。)を、IPのバージョンやマルチキャストの方式に応じて用いている。
【0029】
アプリケーション301〜303により送信された配信要求または配信停止要求は、ホームネットワーク304を介して高度BS受信装置200及びインターネット305へ送信される。
【0030】
高度BS受信装置200は、コンテンツの送信元である送信装置400から放送衛星500を介して、時分割多重された複数のコンテンツを受信しており、アプリケーション301〜303からコンテンツの配信要求を受信すると、そのコンテンツを構成するIPパケットを選択して要求元のアプリケーション301〜303へ送信する。また、コンテンツの配信停止要求を受信すると、そのコンテンツについてのIPパケットの送信を停止する。また、受信した配信要求または配信停止要求に対応するコンテンツが存在しない場合は、これらの要求を無視する。受信した配信要求または配信停止要求に対応するコンテンツが存在するか否かは、その要求に付加された送信元アドレス、マルチキャストのグループアドレス等の情報に基づいて判断する。
【0031】
サーバー306は、インターネット305の通信網により送信されるコンテンツの送信元である。インターネット305に接続されたルータは、アプリケーション301〜303からコンテンツの配信要求を受けると、マルチキャストの処理を行い、そのコンテンツを要求元のアプリケーション301〜303へ送信する。また、コンテンツの配信停止要求を受信すると、そのコンテンツについてのIPパケットの送信を停止する。また、受信した配信要求または配信停止要求に対応するコンテンツが存在しない場合は、これらの要求を無視する。受信した配信要求または配信停止要求に対応するコンテンツが存在するか否かは、その要求に付加された送信元アドレス、マルチキャストのグループアドレス等の情報に基づいて判断する。尚、マルチキャストの制御は公知技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0032】
インターネット305は、様々なコンテンツプロバイダが自由に接続される通信網に加え、接続されるコンテンツプロバイダは限定されるが伝送品質が保証される通信網も含む。
【0033】
〔高度BS受信装置〕
次に、高度BS受信装置200について説明する。図2は、図1に示した高度BS受信装置200の構成を示す図である。この高度BS受信装置200は、BS−IF復調部201、誤り訂正部202、ストリーム分類部203、AVデコーダ204及びパケットアダプタ100を備えている。
【0034】
BS−IF復調部201は、アンテナを介してBS−IF信号を入力し、BS−IF信号を復調する。これにより、映像、音声、データコンテンツまたはIPパケットを取り出すことができる。ここで、BS−IF復調部201は、BS−IF信号の復調に先立って、復調するBS−IF信号を選択する必要がある。本実施形態では、説明を簡単にするため、BS−IF信号の選択を搬送周波数のみにより行うものとする。
【0035】
ここで、復調する信号を選択する方式には2種類ある。第1の方式は、MPEG−2 TSにより伝送されるPSI/SIに基づいて、復調する信号を選択するものである。第2の方式は、図2に示すパケットアダプタ100により搬送周波数を特定し、特定した搬送周波数のBS−IF信号のみを復調するものである。第1の方式は公知技術であるから、ここでは説明を省略する。第1の方式の例として、受信装置が、リモコンに備えたチャンネルのボタンを用いてサービスIDを入力し、そのサービスに含まれる映像及び音声が多重される搬送波を選択し、その搬送波を復調することにより、ユーザが所望するコンテンツを取得するものである。尚、第1の方式は公知技術であるから、ここでは詳細な説明を省略する。詳細については、ARIB STD−B.32第31頁における図1−2(a)の記載等を参照されたい。
【0036】
誤り訂正部202は、BS−IF復調部201により復調された信号を入力し、誤り訂正処理を行う。これにより、スロットを取り出すことができる。スロットは、物理的な伝送単位であり、高度BSデジタル放送では、複数のスロットをまとめたフレームという単位で変調され伝送される。
【0037】
図3は、フレーム、ストリーム、スロット及びTLVの関係を示す図である。図3において、TLVはIPパケットにより構成され、「A,B,C,・・・,H」は、そのTLVに格納されるIPパケットのマルチキャストグループを示している。「制御」は、制御情報からなるTLVを示している。スロットは複数のTLVにより構成される。ストリームは、ストリームIDにて識別される複数のスロットで伝送されるバイト列により構成される。フレームは複数のスロットにより構成される。
【0038】
バイト列は、TLVのみで構成される場合と、MPEG−2 TSパケットのみで構成される場合とがある。図3は、TLVのみで構成される例であり、搬送周波数f1で伝送されるフレームにおいて、上から1番目、2番目、3番目のスロットを、ストリームIDが0x0101のストリームとしている。ストリームIDが0x0101のストリームにより、マルチキャストグループのA,B,C,Dに属するIPパケットをTLVとして伝送している。
【0039】
いずれのストリームにMPEG−2 TSが多重されているか、またはTLVが多重されているかについては、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号に示される。TMCC信号は、デジタル放送における伝送多重制御信号であり、その放送波で伝送される信号の変調方式や多重される情報の種別(高度BS放送では、MPEG−2 TSパケットまたはTLVの種別)等の識別のために用いられる。
【0040】
図2に戻って、ストリーム分類部(DEMUX)203は、誤り訂正部202により誤り訂正処理がされた信号を入力し、TMCC信号を取り出し、そのTMCC信号に基づいて、MPEG−2 TSが格納されたストリームとTLVが格納されたストリームとに分類する。そして、MPEG−2 TSが格納されたストリームからMPEG−2 TSを取り出し、AVデコーダ204に出力し、TLVが格納されたストリームからTLVを取り出し、パケットアダプタ100に出力する。
【0041】
図4は、TLVの構成を示す図である。TLVは、TLVのバージョン「01」を格納するフィールド、未定義フィールド、後述するValueフィールドにおけるデータの種別を格納するタイプ(type)フィールド、Valueフィールドの長さを格納するレングス(Length)フィールド、及び、IPパケット、NIT、アドレスマップテーブル等の制御情報の実際のデータを格納するバリュー(Value)フィールドにより構成される。
【0042】
図2に戻って、AVデコーダ204は、ストリーム分類部203からMPEG−2 TSを入力し、映像、音声、データコンテンツ、またはPSI/SIが多重されたMPEG−2 TSを処理する。尚、AVデコーダ204の処理は、既存のデジタル放送の受信装置と同様であり公知の技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0043】
パケットアダプタ100は、ストリーム分類部203からTLVを入力し、ホームネットワーク304を介してアプリケーション301〜303からコンテンツの配信要求または配信停止要求を受信し、BS−IF信号を選択するための搬送周波数をBS−IF復調部201に出力し、配信要求に対応するコンテンツのIPパケットを送信する。また、パケットアダプタ100は、配信停止要求に従って、IPパケットの送信を停止する。
【0044】
〔パケットアダプタ〕
次に、パケットアダプタ100について説明する。図5は、図2に示したパケットアダプタ100の構成を示す図である。このパケットアダプタ100は、マルチキャスト管理部101、フロントエンド制御部102、パケットフィルタ部103、IPヘッダ復元部104、タイプ分類部105及び入出力インターフェース106を備え、以下の2つの機能を有する。
(1)ストリーム分類部203からTLVを入力し、必要なIPパケットを送信する。
(2)アプリケーション301〜303からコンテンツの配信要求及び配信停止要求を受信し、要求されたコンテンツのIPパケットを送信するために、BS−IF復調部201において復調する信号を選択するための搬送波信号を特定して出力する。
【0045】
タイプ分類部105は、TLVを構成するタイプに応じて、入力したTLVを分類し、TLVを構成するバリューフィールドに格納されたデータをタイプ毎に出力する。TLVのタイプには、「ヘッダが圧縮されないIPパケット」、「ヘッダが圧縮されたIPパケット」、「制御」、「NULL」を示す種別が示される。
【0046】
タイプ分類部105は、タイプが「NULL」の場合、出力処理を行わない。タイプが「ヘッダが圧縮されないIPパケット」の場合、バリューフィールドに格納されたデータをIPパケットとしてパケットフィルタ部103に出力する。タイプが「ヘッダが圧縮されたIPパケット」の場合、バリューフィールドに格納されたデータをIPヘッダ復元部104に出力する。タイプが「制御」の場合、バリューフィールドに格納されたデータについて、NITが格納されているときに(図6を参照)、NITをフロントエンド制御部102に出力する。一方、バリューフィールドに格納されたデータについて、アドレスマップテーブルが格納されているときに(図7を参照)、アドレスマップテーブルをマルチキャスト管理部101に出力する。
【0047】
IPヘッダ復元部104は、タイプ分類部105から「ヘッダが圧縮されたIPパケット」のタイプのデータを入力し、ヘッダ情報が圧縮されたパケットのヘッダを復元し、IPパケットとしてパケットフィルタ部103に出力する。ヘッダを復元する手法には様々な公知技術があるため、ここでは詳細な説明を省略する。尚、公知技術ではないが、圧縮されたヘッダ情報に格納されているCID(Context IDentification)に基づいて、ヘッダを復元するようにしてもよい。CIDについては後述する。
【0048】
パケットフィルタ部103は、IPヘッダ復元部104及びタイプ分類部105からIPパケットを入力し、マルチキャスト管理部101からIPアドレスを入力し、IPアドレスで指定されたIPパケットのみを選択し、入出力インターフェース106に出力する。この場合、パケットフィルタ部103は、入力したIPアドレスが、入力したIPパケットのヘッダに格納されている送信元アドレス及びあて先アドレスに相当するか否かを判断し、相当する場合に、そのIPパケットを出力する。
【0049】
入出力インターフェース106は、モジュラー端子であり、ホームネットワーク304との間でIPパケットを送受信する。
【0050】
マルチキャスト管理部101は、タイプ分類部105からアドレスマップテーブルを入力し、アプリケーション301〜303からホームネットワーク304及び入出力インターフェース106を介してコンテンツの配信要求または配信停止要求を入力する。マルチキャスト管理部101は、入力した配信要求または配信停止要求と入力したアドレスマップテーブルとに基づいて、配信要求されたコンテンツのIPパケットがマルチキャストされているか否かを判断する。マルチキャストされていないと判断した場合、その要求を無視する。一方、マルチキャストされていると判断した場合、配信要求及びアドレスマップテーブルに基づいてサービスIDを特定し、フロントエンド制御部102に出力すると共に、配信要求されたIPパケットに対応するIPアドレスを特定し、パケットフィルタ部103に出力する。また、マルチキャスト管理部101は、入力した配信停止要求、アドレスマップテーブル及び既に入力した配信要求を参照して、配信停止要求されたIPパケットに対応するIPアドレスを特定し、パケットフィルタ部103に出力する。
【0051】
フロントエンド制御部102は、タイプ分類部105からNITを入力し、マルチキャスト管理部101からサービスIDを入力し、NITを構成するサービスリスト記述子及び衛星分配システム記述子(詳細については後述する。)から、復調するべき信号の搬送周波数を特定し、その搬送周波数をBS−IF復調部201に出力する。
【0052】
〔配信要求処理フロー〕
次に、配信要求処理フローについて説明する。図8は、アプリケーション301〜303が配信要求を送信してから、所望のコンテンツのIPパケットを受信するまでの配信要求処理フローを示す図である。
【0053】
高度BS受信装置200におけるパケットアダプタ100のマルチキャスト管理部101は、前述したIGMPまたはMLD等により、コンテンツの配信要求を示すIPパケット(ASMの場合はあて先となるグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先となるグループアドレスを含むjoinメッセージ)をアプリケーション301〜303から受信する(ステップS801)。マルチキャスト管理部101は、配信要求を示すIPパケットを入力したことを認識し、配信が要求されたマルチキャストのグループを特定する。ASMの場合、配信要求を示すIPパケットに記述されるグループアドレスを取り出し、SSMの場合、配信要求を示すパケットに記述される送信元アドレス及びグループアドレスを取り出す。マルチキャスト管理部101は、アドレスマップテーブルを参照し、要求されたマルチキャストグループのIPパケットが伝送されるサービスIDを特定する。
【0054】
図9は、アドレスマップテーブルの例を示す図である。このアドレスマップテーブルは、あるサービスIDに属するマルチキャストグループを示すテーブルである。図9において、送信元アドレスの範囲をsrc_addr及びsrc_maskにて示している。src_maskは、src_addrとして記述されるIPアドレスの先頭から何ビットまでを識別するかを示す情報である。src_addrが202.214.202.0、src_maskが24の例では、src_addrの先頭から24ビットまでを送信元アドレスとして識別することを意味する。したがって、この例では、202.214.202.0〜202.214.202.255の範囲のアドレスを意味する。同様に、あて先アドレスの範囲をdst_addr及びdst_maskにて示している。dst_maskは、dst_addrとして記述されるIPアドレスの先頭から何ビットまでを識別するかを示す情報である。dst_addrが239.192.0.1、dst_maskが32の例では、dst_addrの先頭から32ビットを識別するため、あて先アドレスに幅はなく239.192.0.1のただ一つのアドレスを意味する。
【0055】
以上より、図9の例では、IPバージョンであるip_verが4であるため、IPv4のパケットを対象としており、かつ送信元アドレスが202.214.202.0〜202.214.202.255、かつあて先アドレスが239.192.0.1のIPパケットがサービスID 0x0001として伝送されることを意味する。IPv6の場合も同様である。図9に示したアドレスマップテーブルの例では、送信元アドレス202.214.202.2及びあて先アドレス239.192.0.1をグループA、送信元アドレス202.214.202.4及びあて先アドレス239.192.0.1をグループB、送信元アドレス202.214.202.10及びあて先アドレス239.192.0.2をグループC、送信元アドレス202.214.202.14及びあて先アドレス239.192.0.2をグループD、送信元アドレス2001:c90:7000::9876及びあて先アドレスff38:1234::5678をグループE、送信元アドレス2001:c90:7000::9876及びあて先アドレスff38:1234::8765をグループFとした場合、グループA及びBはサービスIDが0x0001、グループC及びDはサービスIDが0x0002、グループEはサービスIDが0x0003、グループFはサービスIDが0x0004であることがわかる。
【0056】
尚、図9には明示してないが、任意の送信元アドレスに対し、あて先アドレスだけでマルチキャストグループを区別する例もあり、この場合、src_maskを0としたアドレスマップテーブルにより識別することができる。アドレスマップテーブルには、当該アドレスマップテーブルが伝送されるネットワーク(高度BSというネットワーク)と同一のネットワークにおいて伝送される各サービスを構成するための情報、すなわち、同一のネットワークにおいて伝送されるIPパケットのマルチキャストグループの情報が格納される。
【0057】
マルチキャスト管理部101は、アドレスマップテーブルを参照することにより、配信要求の対象となるマルチキャストグループのIPパケットが、いずれのサービスIDにより伝送されるかを特定する(ステップS802)。このように特定したサービスIDをフロントエンド制御部102に出力する(ステップS803)。また、マルチキャスト管理部101は、配信要求の対象となるIPアドレス(ASMの場合はあて先となるグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先となるグループアドレス)を有するIPパケットを送信するように、パケットフィルタ部103を制御する(ステップS804)。
【0058】
フロントエンド制御部102は、NITを参照し、マルチキャスト管理部101から入力したサービスIDが、いずれの搬送周波数で伝送され、いずれのストリームIDとして伝送されるかを特定する(ステップS805,ステップS806)。そして、フロントエンド制御部102は、搬送周波数をBS−IF復調部201に出力してチューニング制御を行う(ステップS807)。
【0059】
NITは、衛星分配システム記述子、システム管理記述子及びサービスリスト記述子により構成される。衛星分配システム記述子は、衛星伝送路の物理的な条件を示す記述子である。システム管理記述子は、放送と非放送とを識別するために使用される記述子である。サービスリスト記述子は、あるストリームIDで伝送されるサービスIDのリストを示す記述子である。詳細についてはARIB STD−B.32を参照されたい。
【0060】
図10は、NITの例を示す図である。図10において、伝送パラメータが衛星分配システム記述子であり、種別がシステム管理記述子であり、ストリームID及びサービスIDがサービスリスト記述子である。ストリームIDが0x0101のストリームは、周波数がf1の搬送波の信号で伝送され、そのストリームは、種別が放送であるサービスIDが0x0001とサービスIDが0x0002の両方を含むことを示している。
【0061】
BS−IF復調部201は、フロントエンド制御部102から搬送周波数を入力し、その搬送周波数の信号の復調を開始する。これにより、パケットアダプタ100は、特定されたストリームIDに属するTLVを入力することができる。具体的には、パケットフィルタ部103は、特定されたストリームIDのスロットに多重されたIPパケットを入力する(ステップS808)。パケットフィルタ部103は、マルチキャスト管理部101により、所定のIPアドレス(ASMの場合はあて先となるグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先となるグループアドレス)を有するIPパケットを送信するように制御されているため、アプリケーション301〜303からの配信要求の対象となるIPパケットを選択し、入出力インターフェース106を介して送信する(ステップS809)。
【0062】
〔配信停止要求処理フロー〕
次に、配信停止要求処理フローについて説明する。図11は、アプリケーション301〜303が配信停止要求を送信してから、所望のコンテンツのIPパケットの配信が停止されるまでの配信停止要求処理フローを示す図である。
【0063】
高度BS受信装置200におけるパケットアダプタ100のマルチキャスト管理部101は、前述したIGMPまたはMLD等により、コンテンツの配信停止要求を示すIPパケット(ASMの場合はあて先となるグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先となるグループアドレスを含むleaveメッセージ)をアプリケーション301〜303から受信する(ステップS1101)。
【0064】
マルチキャスト管理部101は、配信停止要求を示すIPパケットを入力したことを認識し、配信停止要求の対象となるIPアドレス(ASMの場合はグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先アドレス)のIPパケットの送信を停止するように、パケットフィルタ部103を制御する(ステップS1102)。これにより、パケットフィルタ部103は、ステップS808に示したように、特定されたストリームIDのスロットに多重されたIPパケットを入力するが(ステップS1103)、マルチキャスト管理部101により、所定のIPアドレス(ASMの場合はあて先となるグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先となるグループアドレス)を有するIPパケットを送信しないように制御されているため、アプリケーション301〜303からの配信停止要求の対象となるIPパケットの送信を停止する。
【0065】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、前記実施形態では、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレス(ASMの場合はあて先となるグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先となるグループアドレス)を、アドレスマップテーブルを用いてサービスIDに対応付け、一つのサービスIDが複数のマルチキャストグループを含むように構成した。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、IPパケットのマルチキャストグループを、MPEG−2 SystemsにおいてESを特定するPIDに一対一に対応付けるようにしてもよい。サービスIDで識別するサービスを構成する要素が、MPEG−2 TSパケットの映像、音声及びデータストリームに加え、2つのマルチキャストグループのIPパケットである例を図12に示す。
【0066】
このような構成とすることにより、高度BS受信装置200は、MPEG−2 TSパケットで伝送される映像及び音声を再生表示しながら、IPパケットで伝送される情報を処理することが可能となる。この場合、アドレスマップテーブルにおいて、サービスIDの代わりにPIDまたはcomponent_tagを、マルチキャストグループを特定するための情報に対応付ける。図13に、PIDとIPパケットのマルチキャストグループとを対応付けるアドレスマップテーブルの例を示す。また、図14に、component_tagとIPパケットのマルチキャストグループとを対応付けるアドレスマップテーブルの例を示す。アドレスマップテーブルを用いてIPパケットのマルチキャストグループをPIDまたはcomponent_tagに対応付けることにより、既存のPAT(Program Association Table)及びPMT(Program Map Table)で記述されるコンポーネントの一つとして、IPパケットで伝送される情報を含むことができる。
【0067】
具体的には、高度BS受信装置200におけるパケットアダプタ100のマルチキャスト管理部101は、図13または図14に示したアドレスマップテーブルをタイプ分類部105から入力し、PIDまたはcomponent_tagを特定してフロントエンド制御部102に出力する。フロントエンド制御部102は、タイプ分類部105からNIT、PAT及びPMTを入力し、フロントエンド制御部102からPIDまたはcomponent_tagを入力し、PAT及びPMTを用いてPIDまたはcomponent_tagからサービスIDを特定し、NITを用いてサービスIDから搬送周波数を特定し、その搬送周波数をBS−IF復調部201に出力する。
【0068】
また、前記実施形態では、IPパケットを特定するための情報として、マルチキャストグループを用いた。しかしながら、本発明はマルチキャストにおける配信に限定されるものではなく、IPパケットのあて先アドレス、送信元アドレスまたはあて先アドレスと送信元アドレスの組み合わせにより、一連のIPパケットを特定するようにしてもよい。さらに、本願と同一の出願人によりなされた未公開の特許出願(特願2007−304333号)に記載されているように、IPパケットのフローを示すCIDにより、一連のIPパケットを特定するようにしてもよい。図15に、サービスIDとCIDとを対応付けるためのアドレスマップテーブルの例を示す。図15に示すように、アドレスマップテーブルは、図9に示したip_ver、src_addr、src_mask、dst_addr、dst_maskの全ての情報に代わって、CIDが用いられる。高度BS受信装置200におけるパケットアダプタ100のマルチキャスト管理部101は、IPアドレスの代わりにCIDが付加された配信要求を受信し、図15に示したアドレスマップテーブルを用いてCIDからサービスIDを特定することができる。
【0069】
ここで、CIDについて説明する。一般に、IPヘッダを圧縮するフォーマットとして、RFC2508(Compressing IP/UDP/RTP Headers for Low-Speed Serial Links)、RFC3095(Robust Header Compression(ROHC):Framework and four profiles:RTP, UDP, ESP, and uncompressed)等が知られている。これらのヘッダ圧縮技術は、同一フローに属するIPパケットのヘッダ情報が、全く同一であるという性質、または予測可能な情報が多く含まれているという性質を利用して行われるものである。前記、未公開の特許出願(特願2007−304333号)に記載された具体例では、ヘッダ情報の全てを含むIPパケットを伝送する代わりに、ヘッダ情報の全て及びCIDを含むIPパケット(以下、フルヘッダのIPパケットという。)を間欠的に伝送すると共に、それ以外のIPパケットとして、CIDを含むが、ヘッダ情報の一部のみを含む(IPv4では一部のみを含むが、IPv6ではヘッダ情報は全く含まない)圧縮ヘッダを付加して伝送する。フルヘッダのIPパケットの伝送により、IPパケットを送信する装置及び受信する装置の間で、CIDをキーとしたヘッダ情報を共有することができる。IPパケットを受信する装置(高度BS受信装置200)は、フルヘッダのIPパケットを受信すると、CIDとヘッダ情報との間の対応付けを可能としたCIDテーブルを生成する。そして、CIDを含む圧縮ヘッダが付加されたIPパケットを受信すると、CIDテーブルを参照することにより、ヘッダ情報を復元する。このようにして、全てのIPパケットのヘッダ情報を復元することができる。したがって、CIDを用いることにより、伝送時のオーバヘッドを削減することができる。
【0070】
また、前記実施形態では、アプリケーション301〜303から送信される配信要求及び配信停止要求の制御として、既存のIGMPまたはMLDを用いるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、送信元アドレス、あて先アドレス、送信元アドレスとあて先アドレスとの組み合わせ、または、これらに送信元ポート番号またはあて先ポート番号の任意な組み合わせにより、高度BS受信装置200において送信すべき一連のIPパケットまたは停止すべき一連のIPパケットを特定するための制御を行うようにしてもよい。
【0071】
さらに、前記実施形態では、送信装置400が、アドレスマップテーブルを高度BSデジタル放送の伝送路で伝送されるTLVに多重して、高度BS受信装置200へ伝送する例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、アドレスマップテーブルは、インターネット305及びホームネットワーク304を介して、高度BS受信装置200へ伝送されるようにしてもよい。
【0072】
さらに、前記実施形態では、高度BSデジタル放送に用いる高度BS受信装置200とアプリケーション301〜303とがホームネットワーク304を介して接続された形態の例で説明したが、アプリケーション301〜303が高度BSデジタル放送に用いる高度BS受信装置200と同一筐体内に存在する場合は、その接続はホームネットワーク304を介する必要はない。この場合、高度BSデジタル放送とアプリケーション301〜303間の、情報の授受はIPパケットの形式である必要はなく、前記実施形態でIPパケットにより伝送される情報が、異なる形式により伝送されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態による伝送システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態による高度BS受信装置の構成を示す図である。
【図3】フレーム、ストリーム、スロット及びTLVの関係を示す図である。
【図4】TLVの構成を示す図である。
【図5】パケットアダプタの構成を示す図である。
【図6】NITを含む制御用のTLVの構成を示す図である。
【図7】アドレスマップテーブルを含む制御用のTLVの構成を示す図である。
【図8】配信要求処理フローを示す図である。
【図9】アドレスマップテーブルの例を示す図である。
【図10】NITの例を示す図である。
【図11】配信停止要求処理フローを示す図である。
【図12】マルチキャストグループをPIDに対応付け、ESと組み合わせて用いる場合の例を示す図である。
【図13】他のアドレスマップテーブルの例を示す図である。
【図14】他のアドレスマップテーブルの例を示す図である。
【図15】他のアドレスマップテーブルの例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1 伝送システム
100 パケットアダプタ
101 マルチキャスト管理部
102 フロントエンド制御部
103 パケットフィルタ部
104 IPヘッダ復元部
105 タイプ分類部
106 入出力インターフェース
200 高度BS受信装置
201 BS−IF復調部
202 誤り訂正部
203 ストリーム分類部
204 AVデコーダ
301〜303 アプリケーション
304 ホームネットワーク
305 インターネット
306 サーバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送に用いる受信装置及び伝送システムに関し、特に、マルチキャストグループを特定するための情報に基づいて、復調すべき信号を選択し、復調した信号からIP(Internet Protocol)パケットを選択する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテンツをパケット化し、時分割多重によりMPEG−2 TS(Transport Stream)の放送波を送出する送信装置と、放送衛星を介して放送波を受信する受信装置とにより構成される衛星放送システムが知られている(特許文献1を参照)。例えば、特許文献1には、受信装置を操作するユーザが、コンテンツを視聴するための選局(チューニング)をインタラクティブに行う技術が開示されている。
【0003】
選局を行うためには、送信装置と受信装置との間で送受信されるMPEG−2 TSに含まれる制御情報が用いられる。この制御情報は規格化されている(非特許文献1を参照)。例えば、非特許文献1の第1部付属第31頁の記載によれば、ユーザによって選局の操作が行われると、受信装置は、制御情報に含まれるNIT(Network Information Table)を参照して、ユーザの希望するコンテンツを含むTSの搬送周波数を取得し、復調対象となる搬送周波数に切り替える。このようにして、制御情報を用いた選局が行われる。
【0004】
ところで、2011年から利用可能となるBS周波数によるデジタル放送の方式として、新たな高度BSデジタル放送の伝送方式が提案されている(非特許文献2を参照)。この新たな高度BSデジタル放送の伝送方式を用いることにより、テレビ放送サービスだけでなく、コンテンツダウンロードサービスの実現に向けた研究開発が進められている。高度BSデジタル放送によるコンテンツダウンロードサービスは、ユーザによる端末装置の操作に従って、ユーザが視聴するコンテンツを放送波から取得し、端末装置に蓄積するものである。
【0005】
一般に、コンテンツのダウンロードサービスとして、インターネットを介してサーバーからダウンロードするものが知られている。このサービスとの共通化を図るために、高度BSデジタル放送によるコンテンツダウンロードサービスでは、IPパケットをTLV(Type Length Value)として送受信する仕組みが検討されている(非特許文献3を参照)。TLVの詳細については後述する。
【0006】
【特許文献1】特許第3382569号公報
【非特許文献1】ARIB STD−B.32、「デジタル放送における映像符号化、音声符号化及び多重化方式」
【非特許文献2】橋本、鈴木、筋誡、田中、木村、正源等、「高度BSデジタル放送の伝送方式」、電子情報通信学会、技術研究報告SAT2007−10、pp13−18、June 2007
【非特許文献3】青木、西村、青木、木村等、「高度BSデジタル放送におけるIPパケット伝送方式の一検討」、映像情報メディア学会、2007年冬季大会3−3、Dec. 2007
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
衛星放送システムにおける選局は、ユーザがチャンネルを指定することによって、その時間に放送している複数のコンテンツの中から、ユーザが視聴したいコンテンツを選択することにより行われる。具体的には、MPEG−2 Systemsで規定されているPSI(Program Specific Information)及びARIB STD−B.10「デジタル放送に使用する番組配列情報」で規定されているSI(Service Information)の制御情報が用いられる。受信装置は、ユーザのチャンネル指定に伴ってサービスIDが指定されることにより、そのサービスを構成する映像及び音声のES(Elementary Stream)のPID(Packet IDentifier)を取得し、そのPIDが示すESを受信する。
【0008】
一方、IPを用いたインターネット等の通信網におけるコンテンツのマルチキャスト配信またはオンデマンド配信では、ユーザが操作する端末装置は、コンテンツを特定するためのURI(Uniform Resource Identifier)、すなわち、コンテンツの配信元である送信元アドレス及びマルチキャストのグループであるグループアドレスを選択し、最寄りのルータまたはURIに示されるサーバーに、IPパケットの送信を要求し、送信される一連のIPパケットを受信する。これにより、端末装置は、所望のコンテンツを取得することができる。
【0009】
前述した高度BSデジタル放送によるコンテンツダウンロードサービスでは、現在のデジタル放送と同様に、MPEG−2 SystemsまたはARIB STD−B.10で規定されているPSI/SIを用いることにより、コンテンツをMPEG−2 TSとして伝送する。この伝送方式の他に、非特許文献3に記載されているように、IPパケットをTLVとして伝送路に多重することにより、コンテンツを伝送する方式がある。
【0010】
高度BSデジタル放送に用いる受信装置は、伝送路に多重されたTLVからIPパケットを取り出し、受信装置の内外にあるアプリケーションにIPパケットを出力する。したがって、アプリケーションが、ホームネットワーク等のネットワークにより高度BS受信装置とインターネットの通信網の両方に接続される場合、アプリケーションは、インターネットの通信網を経由して伝送されるIPパケットを受信できることに加え、高度BSデジタル放送の伝送路を経由して伝送されるIPパケットを受信することが可能になる。
【0011】
しかしながら、インターネットの通信網を介してコンテンツを受信する仕組みと、高度BSデジタル放送の伝送路を介してコンテンツを受信する仕組みとの間に違いがある。このため、アプリケーションは、コンテンツの配信を要求する場合、インターネットの通信網を介してコンテンツの配信を受けるのか、高度BSデジタル放送の伝送路を介してコンテンツの配信を受けるのかを区別する必要がある。また、高度BSデジタル放送の伝送路を介してコンテンツを受信するときには、高度BS受信装置は、アプリケーションにより選択されたコンテンツを含むIPパケットを特定する必要がある。また、アプリケーションはそれぞれに適した配信要求処理を行い、高度BS受信装置は、配信要求に合った選局処理を行う必要がある。
【0012】
そこで、本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コンテンツの要求元がインターネットの通信網とデジタル放送の伝送路とを区別することなくコンテンツの配信を受けることができるように、要求元からの配信要求を処理可能な受信装置及び伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の簡単な例として、以下に示す構成の伝送システムを提案する。送信装置は、コンテンツが含まれるIPパケットを特定するためのあて先アドレス、送信元アドレス、またはあて先アドレスと送信元アドレスとの組み合わせと、IPパケットを用いて行われるコンテンツダウンロードサービスを識別するためのサービスIDとを対応付けるアドレスマップテーブルを作成し、高度BSデジタル放送の伝送路へ送信する。ここで、アドレスマップテーブルは、高度BSデジタルの伝送路を介して送信されるようにしてもよいし、インターネットの通信網を介して送信されるようにしてもよい。受信装置は、アドレスマップテーブルを受信し、コンテンツのダウンロードを行うための配信要求に含まれるあて先アドレス等の情報に基づいて、IPパケットが伝送される信号を選択するために必要な搬送周波数等の情報を特定し、復調する信号を選択する。
【0014】
すなわち、本発明による請求項1の受信装置は、テレビ放送サービスの情報を含むMPEG−2 TS、及び、コンテンツダウンロードサービスによりマルチキャストグループ毎に配信されるコンテンツのIPパケットを含むTLV(Type Length Value)の放送波を、デジタル放送の伝送路を介して受信する受信装置において、指定された搬送周波数により前記放送波の信号を選択し、該信号を復調する復調部と、前記復調されたTMCC信号に基づいて、前記MPEG−2 TSとTLVとを分類する分類部と、前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスを含む配信要求を、前記コンテンツダウンロードサービスを受ける要求元から受信し、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスと、前記マルチキャストグループのコンテンツが配信される搬送周波数とを対応付けるテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定し、該指定した搬送周波数にて復調されたTLVのIPパケットのうち、前記配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットを、前記配信要求に対するコンテンツのIPパケットとして前記要求元へ送信するパケットアダプタと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明による請求項2の受信装置は、請求項1に記載の受信装置において、前記パケットアダプタは、前記分類部により分類されたTLVを、コンテンツのデータ用のIPパケット、前記コンテンツダウンロードサービスを識別するためのサービスIDとマルチキャストグループを特定するためのIPアドレスとを含むアドレスマップテーブルからなる制御用のTLV、及び、サービスIDと搬送周波数とを含むNIT(Network Information Table)からなる制御用のTLVに分類するタイプ分類部、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスを含む配信要求を、前記コンテンツダウンロードサービスを受ける要求元から受信し、前記タイプ分類部により分類された制御用のTLVにおけるアドレスマップテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスからサービスIDを特定するマルチキャスト管理部、前記タイプ分類部による分類された制御用のTLVにおけるNITを用いて、前記マルチキャスト管理部により特定されたサービスIDから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定するフロントエンド制御部、及び、前記タイプ分類部により分類されたデータ用のIPパケットのうち、前記マルチキャスト管理部により受信された配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットを、前記配信要求に対するコンテンツのIPパケットとして送信するパケットフィルタ部を有することを特徴とする。
【0016】
本発明による請求項3の受信装置は、請求項1または2に記載の受信装置において、前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスは、コンテンツがマルチキャスト配信される送信元アドレス及びあて先となるグループアドレスであることを特徴とする。
【0017】
本発明による請求項4の受信装置は、請求項1または2に記載の受信装置において、前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスは、コンテンツがマルチキャスト配信される、あて先となるグループアドレスであることを特徴とする。
【0018】
本発明による請求項5の受信装置は、請求項1に記載の受信装置において、前記パケットアダプタは、前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスに対応付けたCID(Context IDentification)を含む配信要求を、前記コンテンツダウンロードサービスを受ける要求元から受信し、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスに対応付けたCIDと、前記マルチキャストグループのコンテンツが配信される搬送周波数とを含むテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定し、該指定した搬送周波数にて復調されたTLVのIPパケットのうち、前記配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットを、前記配信要求に対するコンテンツのIPパケットとして前記要求元へ送信することを特徴とする。
【0019】
本発明による請求項6の受信装置は、テレビ放送サービスの情報を含むMPEG−2 TS、及び、コンテンツダウンロードサービスによりマルチキャストグループ毎に配信されるコンテンツのIPパケットを含むTLV(Type Length Value)の放送波を、デジタル放送の伝送路を介して受信する受信装置において、指定された搬送周波数により前記放送波の信号を選択し、該信号を復調する復調部と、前記復調されたTMCC信号に基づいて、前記MPEG−2 TSとTLVとを分類する分類部と、前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスを含む配信要求に対し、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスと、前記マルチキャストグループのコンテンツが配信される搬送周波数とを対応付けるテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定し、該指定した搬送周波数にて復調されたTLVのIPパケットのうち、前記配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットのデータを、前記配信要求に対するコンテンツとするパケットアダプタと、を備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明による請求項7の受信装置は、請求項1または6に記載の受信装置において、前記パケットアダプタにより用いられるテーブルは、前記デジタル放送の伝送路を介して放送波として受信され、前記復調部により復調されたTLVに含まれることを特徴とする。
【0021】
本発明による請求項8の受信装置は、請求項1または6に記載の受信装置において、前記パケットアダプタにより用いられるテーブルは、インターネットの通信網を介して受信されることを特徴とする。
【0022】
本発明による請求項9の伝送システムは、テレビ放送サービスの情報を含むMPEG−2 TSの放送波を送信すると共に、コンテンツダウンロードサービスによりマルチキャストグループ毎に配信されるコンテンツのIPパケットを含む放送波を送信する送信装置と、該送信装置からデジタル放送の伝送路を介して前記放送波を受信する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の受信装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、IPパケットの送信元アドレス、あて先アドレス、または送信元アドレスとあて先アドレスとの組み合わせ等のマルチキャストグループを特定するためのIPアドレスの情報に基づいて、コンテンツダウンロードサービスが行われる放送波の信号を区別することができる。この結果、コンテンツの要求元は、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスの情報を含むデータを配信要求とすることにより、インターネットの通信網とデジタル放送の伝送路とを区別することなく、配信を要求することができ、かつ、コンテンツの配信を受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔伝送システム〕
まず、伝送システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態による伝送システムの構成を示す図である。この伝送システムは、衛星放送システムであり、放送波を送信する送信装置400と、送信装置400から送信された放送波を増幅等して送信する放送衛星500と、放送衛星500から送信された放送波を受信する高度BS受信装置200と、コンテンツの配信要求等を行うアプリケーション301〜303をそれぞれ有する端末装置と、インターネット305に接続されるサーバー306とを備えて構成される。高度BS受信装置200、端末装置及びインターネット305は、ホームネットワーク304により接続され、ホームネットワーク304及びサーバー306はインターネット305により接続される。
【0025】
送信装置400は、テレビ放送サービスを実現するための情報を含むMPEG−2 TS、及び、コンテンツダウンロードサービスを実現するためのコンテンツを含むTLVを生成し、放送波として送信する。送信装置400は、放送波の送信に際し、マルチキャスト配信されるコンテンツのIPパケットをTLVに格納する。また、NITを制御用のTLVに格納し、アドレスマップテーブルを制御用のTLVに格納する。TLV、NIT及びアドレスマップテーブルについては後述する。
【0026】
アプリケーション301〜303は、端末装置に備えた処理手段であり、高度BS受信装置200及びインターネット305から、マルチキャスト配信されるコンテンツの一覧情報を受信し格納する。また、端末装置を操作するユーザが所望のコンテンツを要求する場合、コンテンツの一覧に基づいて配信要求を生成して送信し、その要求したコンテンツの配信を受ける。また、コンテンツの配信を受けている途中でその配信の停止を要求する場合、配信停止要求を送信する。
【0027】
具体的には、アプリケーション301〜303は、コンテンツ名称、ID、コンテンツの送信元アドレス、コンテンツのあて先であるマルチキャストのグループアドレス等により構成されるコンテンツの一覧情報を受信する。ユーザ操作によりコンテンツの配信要求があると、アプリケーション301〜303は、ユーザ操作により指定されたコンテンツに関する情報を、コンテンツの一覧情報から取得し、送信元IPアドレス(以下、送信元アドレスという。)、マルチキャストのグループアドレス等の情報を付加した配信要求を送信する。また、ユーザ操作によりコンテンツの配信停止要求があると、アプリケーション301〜303は、配信を受けているコンテンツの送信元アドレス、マルチキャストのグループアドレス等の情報を付加した配信停止要求を送信する。
【0028】
ここで、マルチキャストの方式には、ASM(Any Source Multicast)とSSM(Source Specific Multicast)とがある。ASMは、送信元アドレスに関係なくIPパケットのあて先となるグループアドレスのみで、マルチキャスト配信される一連のIPパケットを識別する方式である。SSMは、送信元アドレスとIPパケットのあて先となるグループアドレスとの組み合わせでマルチキャスト配信される一連のIPパケットを識別する方式である。本実施形態では、アプリケーション301〜303は、それぞれのマルチキャストの仕組みに応じて、グループアドレスのみ、または送信元アドレスとグループアドレスとの組み合わせを含む配信要求または配信停止要求を生成し、コンテンツの配信要求を送信し、または配信停止要求を送信する。配信要求及び配信停止要求の方式としては、IGMPv2(RFC2236にて規定されている。)、IGMPv3(RFC2710にて規定されている。)、MLDv1(RFC2710にて規定されている。)またはMLDv2(RFC3810にて規定されている。)を、IPのバージョンやマルチキャストの方式に応じて用いている。
【0029】
アプリケーション301〜303により送信された配信要求または配信停止要求は、ホームネットワーク304を介して高度BS受信装置200及びインターネット305へ送信される。
【0030】
高度BS受信装置200は、コンテンツの送信元である送信装置400から放送衛星500を介して、時分割多重された複数のコンテンツを受信しており、アプリケーション301〜303からコンテンツの配信要求を受信すると、そのコンテンツを構成するIPパケットを選択して要求元のアプリケーション301〜303へ送信する。また、コンテンツの配信停止要求を受信すると、そのコンテンツについてのIPパケットの送信を停止する。また、受信した配信要求または配信停止要求に対応するコンテンツが存在しない場合は、これらの要求を無視する。受信した配信要求または配信停止要求に対応するコンテンツが存在するか否かは、その要求に付加された送信元アドレス、マルチキャストのグループアドレス等の情報に基づいて判断する。
【0031】
サーバー306は、インターネット305の通信網により送信されるコンテンツの送信元である。インターネット305に接続されたルータは、アプリケーション301〜303からコンテンツの配信要求を受けると、マルチキャストの処理を行い、そのコンテンツを要求元のアプリケーション301〜303へ送信する。また、コンテンツの配信停止要求を受信すると、そのコンテンツについてのIPパケットの送信を停止する。また、受信した配信要求または配信停止要求に対応するコンテンツが存在しない場合は、これらの要求を無視する。受信した配信要求または配信停止要求に対応するコンテンツが存在するか否かは、その要求に付加された送信元アドレス、マルチキャストのグループアドレス等の情報に基づいて判断する。尚、マルチキャストの制御は公知技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0032】
インターネット305は、様々なコンテンツプロバイダが自由に接続される通信網に加え、接続されるコンテンツプロバイダは限定されるが伝送品質が保証される通信網も含む。
【0033】
〔高度BS受信装置〕
次に、高度BS受信装置200について説明する。図2は、図1に示した高度BS受信装置200の構成を示す図である。この高度BS受信装置200は、BS−IF復調部201、誤り訂正部202、ストリーム分類部203、AVデコーダ204及びパケットアダプタ100を備えている。
【0034】
BS−IF復調部201は、アンテナを介してBS−IF信号を入力し、BS−IF信号を復調する。これにより、映像、音声、データコンテンツまたはIPパケットを取り出すことができる。ここで、BS−IF復調部201は、BS−IF信号の復調に先立って、復調するBS−IF信号を選択する必要がある。本実施形態では、説明を簡単にするため、BS−IF信号の選択を搬送周波数のみにより行うものとする。
【0035】
ここで、復調する信号を選択する方式には2種類ある。第1の方式は、MPEG−2 TSにより伝送されるPSI/SIに基づいて、復調する信号を選択するものである。第2の方式は、図2に示すパケットアダプタ100により搬送周波数を特定し、特定した搬送周波数のBS−IF信号のみを復調するものである。第1の方式は公知技術であるから、ここでは説明を省略する。第1の方式の例として、受信装置が、リモコンに備えたチャンネルのボタンを用いてサービスIDを入力し、そのサービスに含まれる映像及び音声が多重される搬送波を選択し、その搬送波を復調することにより、ユーザが所望するコンテンツを取得するものである。尚、第1の方式は公知技術であるから、ここでは詳細な説明を省略する。詳細については、ARIB STD−B.32第31頁における図1−2(a)の記載等を参照されたい。
【0036】
誤り訂正部202は、BS−IF復調部201により復調された信号を入力し、誤り訂正処理を行う。これにより、スロットを取り出すことができる。スロットは、物理的な伝送単位であり、高度BSデジタル放送では、複数のスロットをまとめたフレームという単位で変調され伝送される。
【0037】
図3は、フレーム、ストリーム、スロット及びTLVの関係を示す図である。図3において、TLVはIPパケットにより構成され、「A,B,C,・・・,H」は、そのTLVに格納されるIPパケットのマルチキャストグループを示している。「制御」は、制御情報からなるTLVを示している。スロットは複数のTLVにより構成される。ストリームは、ストリームIDにて識別される複数のスロットで伝送されるバイト列により構成される。フレームは複数のスロットにより構成される。
【0038】
バイト列は、TLVのみで構成される場合と、MPEG−2 TSパケットのみで構成される場合とがある。図3は、TLVのみで構成される例であり、搬送周波数f1で伝送されるフレームにおいて、上から1番目、2番目、3番目のスロットを、ストリームIDが0x0101のストリームとしている。ストリームIDが0x0101のストリームにより、マルチキャストグループのA,B,C,Dに属するIPパケットをTLVとして伝送している。
【0039】
いずれのストリームにMPEG−2 TSが多重されているか、またはTLVが多重されているかについては、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号に示される。TMCC信号は、デジタル放送における伝送多重制御信号であり、その放送波で伝送される信号の変調方式や多重される情報の種別(高度BS放送では、MPEG−2 TSパケットまたはTLVの種別)等の識別のために用いられる。
【0040】
図2に戻って、ストリーム分類部(DEMUX)203は、誤り訂正部202により誤り訂正処理がされた信号を入力し、TMCC信号を取り出し、そのTMCC信号に基づいて、MPEG−2 TSが格納されたストリームとTLVが格納されたストリームとに分類する。そして、MPEG−2 TSが格納されたストリームからMPEG−2 TSを取り出し、AVデコーダ204に出力し、TLVが格納されたストリームからTLVを取り出し、パケットアダプタ100に出力する。
【0041】
図4は、TLVの構成を示す図である。TLVは、TLVのバージョン「01」を格納するフィールド、未定義フィールド、後述するValueフィールドにおけるデータの種別を格納するタイプ(type)フィールド、Valueフィールドの長さを格納するレングス(Length)フィールド、及び、IPパケット、NIT、アドレスマップテーブル等の制御情報の実際のデータを格納するバリュー(Value)フィールドにより構成される。
【0042】
図2に戻って、AVデコーダ204は、ストリーム分類部203からMPEG−2 TSを入力し、映像、音声、データコンテンツ、またはPSI/SIが多重されたMPEG−2 TSを処理する。尚、AVデコーダ204の処理は、既存のデジタル放送の受信装置と同様であり公知の技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0043】
パケットアダプタ100は、ストリーム分類部203からTLVを入力し、ホームネットワーク304を介してアプリケーション301〜303からコンテンツの配信要求または配信停止要求を受信し、BS−IF信号を選択するための搬送周波数をBS−IF復調部201に出力し、配信要求に対応するコンテンツのIPパケットを送信する。また、パケットアダプタ100は、配信停止要求に従って、IPパケットの送信を停止する。
【0044】
〔パケットアダプタ〕
次に、パケットアダプタ100について説明する。図5は、図2に示したパケットアダプタ100の構成を示す図である。このパケットアダプタ100は、マルチキャスト管理部101、フロントエンド制御部102、パケットフィルタ部103、IPヘッダ復元部104、タイプ分類部105及び入出力インターフェース106を備え、以下の2つの機能を有する。
(1)ストリーム分類部203からTLVを入力し、必要なIPパケットを送信する。
(2)アプリケーション301〜303からコンテンツの配信要求及び配信停止要求を受信し、要求されたコンテンツのIPパケットを送信するために、BS−IF復調部201において復調する信号を選択するための搬送波信号を特定して出力する。
【0045】
タイプ分類部105は、TLVを構成するタイプに応じて、入力したTLVを分類し、TLVを構成するバリューフィールドに格納されたデータをタイプ毎に出力する。TLVのタイプには、「ヘッダが圧縮されないIPパケット」、「ヘッダが圧縮されたIPパケット」、「制御」、「NULL」を示す種別が示される。
【0046】
タイプ分類部105は、タイプが「NULL」の場合、出力処理を行わない。タイプが「ヘッダが圧縮されないIPパケット」の場合、バリューフィールドに格納されたデータをIPパケットとしてパケットフィルタ部103に出力する。タイプが「ヘッダが圧縮されたIPパケット」の場合、バリューフィールドに格納されたデータをIPヘッダ復元部104に出力する。タイプが「制御」の場合、バリューフィールドに格納されたデータについて、NITが格納されているときに(図6を参照)、NITをフロントエンド制御部102に出力する。一方、バリューフィールドに格納されたデータについて、アドレスマップテーブルが格納されているときに(図7を参照)、アドレスマップテーブルをマルチキャスト管理部101に出力する。
【0047】
IPヘッダ復元部104は、タイプ分類部105から「ヘッダが圧縮されたIPパケット」のタイプのデータを入力し、ヘッダ情報が圧縮されたパケットのヘッダを復元し、IPパケットとしてパケットフィルタ部103に出力する。ヘッダを復元する手法には様々な公知技術があるため、ここでは詳細な説明を省略する。尚、公知技術ではないが、圧縮されたヘッダ情報に格納されているCID(Context IDentification)に基づいて、ヘッダを復元するようにしてもよい。CIDについては後述する。
【0048】
パケットフィルタ部103は、IPヘッダ復元部104及びタイプ分類部105からIPパケットを入力し、マルチキャスト管理部101からIPアドレスを入力し、IPアドレスで指定されたIPパケットのみを選択し、入出力インターフェース106に出力する。この場合、パケットフィルタ部103は、入力したIPアドレスが、入力したIPパケットのヘッダに格納されている送信元アドレス及びあて先アドレスに相当するか否かを判断し、相当する場合に、そのIPパケットを出力する。
【0049】
入出力インターフェース106は、モジュラー端子であり、ホームネットワーク304との間でIPパケットを送受信する。
【0050】
マルチキャスト管理部101は、タイプ分類部105からアドレスマップテーブルを入力し、アプリケーション301〜303からホームネットワーク304及び入出力インターフェース106を介してコンテンツの配信要求または配信停止要求を入力する。マルチキャスト管理部101は、入力した配信要求または配信停止要求と入力したアドレスマップテーブルとに基づいて、配信要求されたコンテンツのIPパケットがマルチキャストされているか否かを判断する。マルチキャストされていないと判断した場合、その要求を無視する。一方、マルチキャストされていると判断した場合、配信要求及びアドレスマップテーブルに基づいてサービスIDを特定し、フロントエンド制御部102に出力すると共に、配信要求されたIPパケットに対応するIPアドレスを特定し、パケットフィルタ部103に出力する。また、マルチキャスト管理部101は、入力した配信停止要求、アドレスマップテーブル及び既に入力した配信要求を参照して、配信停止要求されたIPパケットに対応するIPアドレスを特定し、パケットフィルタ部103に出力する。
【0051】
フロントエンド制御部102は、タイプ分類部105からNITを入力し、マルチキャスト管理部101からサービスIDを入力し、NITを構成するサービスリスト記述子及び衛星分配システム記述子(詳細については後述する。)から、復調するべき信号の搬送周波数を特定し、その搬送周波数をBS−IF復調部201に出力する。
【0052】
〔配信要求処理フロー〕
次に、配信要求処理フローについて説明する。図8は、アプリケーション301〜303が配信要求を送信してから、所望のコンテンツのIPパケットを受信するまでの配信要求処理フローを示す図である。
【0053】
高度BS受信装置200におけるパケットアダプタ100のマルチキャスト管理部101は、前述したIGMPまたはMLD等により、コンテンツの配信要求を示すIPパケット(ASMの場合はあて先となるグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先となるグループアドレスを含むjoinメッセージ)をアプリケーション301〜303から受信する(ステップS801)。マルチキャスト管理部101は、配信要求を示すIPパケットを入力したことを認識し、配信が要求されたマルチキャストのグループを特定する。ASMの場合、配信要求を示すIPパケットに記述されるグループアドレスを取り出し、SSMの場合、配信要求を示すパケットに記述される送信元アドレス及びグループアドレスを取り出す。マルチキャスト管理部101は、アドレスマップテーブルを参照し、要求されたマルチキャストグループのIPパケットが伝送されるサービスIDを特定する。
【0054】
図9は、アドレスマップテーブルの例を示す図である。このアドレスマップテーブルは、あるサービスIDに属するマルチキャストグループを示すテーブルである。図9において、送信元アドレスの範囲をsrc_addr及びsrc_maskにて示している。src_maskは、src_addrとして記述されるIPアドレスの先頭から何ビットまでを識別するかを示す情報である。src_addrが202.214.202.0、src_maskが24の例では、src_addrの先頭から24ビットまでを送信元アドレスとして識別することを意味する。したがって、この例では、202.214.202.0〜202.214.202.255の範囲のアドレスを意味する。同様に、あて先アドレスの範囲をdst_addr及びdst_maskにて示している。dst_maskは、dst_addrとして記述されるIPアドレスの先頭から何ビットまでを識別するかを示す情報である。dst_addrが239.192.0.1、dst_maskが32の例では、dst_addrの先頭から32ビットを識別するため、あて先アドレスに幅はなく239.192.0.1のただ一つのアドレスを意味する。
【0055】
以上より、図9の例では、IPバージョンであるip_verが4であるため、IPv4のパケットを対象としており、かつ送信元アドレスが202.214.202.0〜202.214.202.255、かつあて先アドレスが239.192.0.1のIPパケットがサービスID 0x0001として伝送されることを意味する。IPv6の場合も同様である。図9に示したアドレスマップテーブルの例では、送信元アドレス202.214.202.2及びあて先アドレス239.192.0.1をグループA、送信元アドレス202.214.202.4及びあて先アドレス239.192.0.1をグループB、送信元アドレス202.214.202.10及びあて先アドレス239.192.0.2をグループC、送信元アドレス202.214.202.14及びあて先アドレス239.192.0.2をグループD、送信元アドレス2001:c90:7000::9876及びあて先アドレスff38:1234::5678をグループE、送信元アドレス2001:c90:7000::9876及びあて先アドレスff38:1234::8765をグループFとした場合、グループA及びBはサービスIDが0x0001、グループC及びDはサービスIDが0x0002、グループEはサービスIDが0x0003、グループFはサービスIDが0x0004であることがわかる。
【0056】
尚、図9には明示してないが、任意の送信元アドレスに対し、あて先アドレスだけでマルチキャストグループを区別する例もあり、この場合、src_maskを0としたアドレスマップテーブルにより識別することができる。アドレスマップテーブルには、当該アドレスマップテーブルが伝送されるネットワーク(高度BSというネットワーク)と同一のネットワークにおいて伝送される各サービスを構成するための情報、すなわち、同一のネットワークにおいて伝送されるIPパケットのマルチキャストグループの情報が格納される。
【0057】
マルチキャスト管理部101は、アドレスマップテーブルを参照することにより、配信要求の対象となるマルチキャストグループのIPパケットが、いずれのサービスIDにより伝送されるかを特定する(ステップS802)。このように特定したサービスIDをフロントエンド制御部102に出力する(ステップS803)。また、マルチキャスト管理部101は、配信要求の対象となるIPアドレス(ASMの場合はあて先となるグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先となるグループアドレス)を有するIPパケットを送信するように、パケットフィルタ部103を制御する(ステップS804)。
【0058】
フロントエンド制御部102は、NITを参照し、マルチキャスト管理部101から入力したサービスIDが、いずれの搬送周波数で伝送され、いずれのストリームIDとして伝送されるかを特定する(ステップS805,ステップS806)。そして、フロントエンド制御部102は、搬送周波数をBS−IF復調部201に出力してチューニング制御を行う(ステップS807)。
【0059】
NITは、衛星分配システム記述子、システム管理記述子及びサービスリスト記述子により構成される。衛星分配システム記述子は、衛星伝送路の物理的な条件を示す記述子である。システム管理記述子は、放送と非放送とを識別するために使用される記述子である。サービスリスト記述子は、あるストリームIDで伝送されるサービスIDのリストを示す記述子である。詳細についてはARIB STD−B.32を参照されたい。
【0060】
図10は、NITの例を示す図である。図10において、伝送パラメータが衛星分配システム記述子であり、種別がシステム管理記述子であり、ストリームID及びサービスIDがサービスリスト記述子である。ストリームIDが0x0101のストリームは、周波数がf1の搬送波の信号で伝送され、そのストリームは、種別が放送であるサービスIDが0x0001とサービスIDが0x0002の両方を含むことを示している。
【0061】
BS−IF復調部201は、フロントエンド制御部102から搬送周波数を入力し、その搬送周波数の信号の復調を開始する。これにより、パケットアダプタ100は、特定されたストリームIDに属するTLVを入力することができる。具体的には、パケットフィルタ部103は、特定されたストリームIDのスロットに多重されたIPパケットを入力する(ステップS808)。パケットフィルタ部103は、マルチキャスト管理部101により、所定のIPアドレス(ASMの場合はあて先となるグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先となるグループアドレス)を有するIPパケットを送信するように制御されているため、アプリケーション301〜303からの配信要求の対象となるIPパケットを選択し、入出力インターフェース106を介して送信する(ステップS809)。
【0062】
〔配信停止要求処理フロー〕
次に、配信停止要求処理フローについて説明する。図11は、アプリケーション301〜303が配信停止要求を送信してから、所望のコンテンツのIPパケットの配信が停止されるまでの配信停止要求処理フローを示す図である。
【0063】
高度BS受信装置200におけるパケットアダプタ100のマルチキャスト管理部101は、前述したIGMPまたはMLD等により、コンテンツの配信停止要求を示すIPパケット(ASMの場合はあて先となるグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先となるグループアドレスを含むleaveメッセージ)をアプリケーション301〜303から受信する(ステップS1101)。
【0064】
マルチキャスト管理部101は、配信停止要求を示すIPパケットを入力したことを認識し、配信停止要求の対象となるIPアドレス(ASMの場合はグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先アドレス)のIPパケットの送信を停止するように、パケットフィルタ部103を制御する(ステップS1102)。これにより、パケットフィルタ部103は、ステップS808に示したように、特定されたストリームIDのスロットに多重されたIPパケットを入力するが(ステップS1103)、マルチキャスト管理部101により、所定のIPアドレス(ASMの場合はあて先となるグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先となるグループアドレス)を有するIPパケットを送信しないように制御されているため、アプリケーション301〜303からの配信停止要求の対象となるIPパケットの送信を停止する。
【0065】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、前記実施形態では、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレス(ASMの場合はあて先となるグループアドレス、SSMの場合は送信元アドレス及びあて先となるグループアドレス)を、アドレスマップテーブルを用いてサービスIDに対応付け、一つのサービスIDが複数のマルチキャストグループを含むように構成した。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、IPパケットのマルチキャストグループを、MPEG−2 SystemsにおいてESを特定するPIDに一対一に対応付けるようにしてもよい。サービスIDで識別するサービスを構成する要素が、MPEG−2 TSパケットの映像、音声及びデータストリームに加え、2つのマルチキャストグループのIPパケットである例を図12に示す。
【0066】
このような構成とすることにより、高度BS受信装置200は、MPEG−2 TSパケットで伝送される映像及び音声を再生表示しながら、IPパケットで伝送される情報を処理することが可能となる。この場合、アドレスマップテーブルにおいて、サービスIDの代わりにPIDまたはcomponent_tagを、マルチキャストグループを特定するための情報に対応付ける。図13に、PIDとIPパケットのマルチキャストグループとを対応付けるアドレスマップテーブルの例を示す。また、図14に、component_tagとIPパケットのマルチキャストグループとを対応付けるアドレスマップテーブルの例を示す。アドレスマップテーブルを用いてIPパケットのマルチキャストグループをPIDまたはcomponent_tagに対応付けることにより、既存のPAT(Program Association Table)及びPMT(Program Map Table)で記述されるコンポーネントの一つとして、IPパケットで伝送される情報を含むことができる。
【0067】
具体的には、高度BS受信装置200におけるパケットアダプタ100のマルチキャスト管理部101は、図13または図14に示したアドレスマップテーブルをタイプ分類部105から入力し、PIDまたはcomponent_tagを特定してフロントエンド制御部102に出力する。フロントエンド制御部102は、タイプ分類部105からNIT、PAT及びPMTを入力し、フロントエンド制御部102からPIDまたはcomponent_tagを入力し、PAT及びPMTを用いてPIDまたはcomponent_tagからサービスIDを特定し、NITを用いてサービスIDから搬送周波数を特定し、その搬送周波数をBS−IF復調部201に出力する。
【0068】
また、前記実施形態では、IPパケットを特定するための情報として、マルチキャストグループを用いた。しかしながら、本発明はマルチキャストにおける配信に限定されるものではなく、IPパケットのあて先アドレス、送信元アドレスまたはあて先アドレスと送信元アドレスの組み合わせにより、一連のIPパケットを特定するようにしてもよい。さらに、本願と同一の出願人によりなされた未公開の特許出願(特願2007−304333号)に記載されているように、IPパケットのフローを示すCIDにより、一連のIPパケットを特定するようにしてもよい。図15に、サービスIDとCIDとを対応付けるためのアドレスマップテーブルの例を示す。図15に示すように、アドレスマップテーブルは、図9に示したip_ver、src_addr、src_mask、dst_addr、dst_maskの全ての情報に代わって、CIDが用いられる。高度BS受信装置200におけるパケットアダプタ100のマルチキャスト管理部101は、IPアドレスの代わりにCIDが付加された配信要求を受信し、図15に示したアドレスマップテーブルを用いてCIDからサービスIDを特定することができる。
【0069】
ここで、CIDについて説明する。一般に、IPヘッダを圧縮するフォーマットとして、RFC2508(Compressing IP/UDP/RTP Headers for Low-Speed Serial Links)、RFC3095(Robust Header Compression(ROHC):Framework and four profiles:RTP, UDP, ESP, and uncompressed)等が知られている。これらのヘッダ圧縮技術は、同一フローに属するIPパケットのヘッダ情報が、全く同一であるという性質、または予測可能な情報が多く含まれているという性質を利用して行われるものである。前記、未公開の特許出願(特願2007−304333号)に記載された具体例では、ヘッダ情報の全てを含むIPパケットを伝送する代わりに、ヘッダ情報の全て及びCIDを含むIPパケット(以下、フルヘッダのIPパケットという。)を間欠的に伝送すると共に、それ以外のIPパケットとして、CIDを含むが、ヘッダ情報の一部のみを含む(IPv4では一部のみを含むが、IPv6ではヘッダ情報は全く含まない)圧縮ヘッダを付加して伝送する。フルヘッダのIPパケットの伝送により、IPパケットを送信する装置及び受信する装置の間で、CIDをキーとしたヘッダ情報を共有することができる。IPパケットを受信する装置(高度BS受信装置200)は、フルヘッダのIPパケットを受信すると、CIDとヘッダ情報との間の対応付けを可能としたCIDテーブルを生成する。そして、CIDを含む圧縮ヘッダが付加されたIPパケットを受信すると、CIDテーブルを参照することにより、ヘッダ情報を復元する。このようにして、全てのIPパケットのヘッダ情報を復元することができる。したがって、CIDを用いることにより、伝送時のオーバヘッドを削減することができる。
【0070】
また、前記実施形態では、アプリケーション301〜303から送信される配信要求及び配信停止要求の制御として、既存のIGMPまたはMLDを用いるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、送信元アドレス、あて先アドレス、送信元アドレスとあて先アドレスとの組み合わせ、または、これらに送信元ポート番号またはあて先ポート番号の任意な組み合わせにより、高度BS受信装置200において送信すべき一連のIPパケットまたは停止すべき一連のIPパケットを特定するための制御を行うようにしてもよい。
【0071】
さらに、前記実施形態では、送信装置400が、アドレスマップテーブルを高度BSデジタル放送の伝送路で伝送されるTLVに多重して、高度BS受信装置200へ伝送する例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、アドレスマップテーブルは、インターネット305及びホームネットワーク304を介して、高度BS受信装置200へ伝送されるようにしてもよい。
【0072】
さらに、前記実施形態では、高度BSデジタル放送に用いる高度BS受信装置200とアプリケーション301〜303とがホームネットワーク304を介して接続された形態の例で説明したが、アプリケーション301〜303が高度BSデジタル放送に用いる高度BS受信装置200と同一筐体内に存在する場合は、その接続はホームネットワーク304を介する必要はない。この場合、高度BSデジタル放送とアプリケーション301〜303間の、情報の授受はIPパケットの形式である必要はなく、前記実施形態でIPパケットにより伝送される情報が、異なる形式により伝送されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態による伝送システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態による高度BS受信装置の構成を示す図である。
【図3】フレーム、ストリーム、スロット及びTLVの関係を示す図である。
【図4】TLVの構成を示す図である。
【図5】パケットアダプタの構成を示す図である。
【図6】NITを含む制御用のTLVの構成を示す図である。
【図7】アドレスマップテーブルを含む制御用のTLVの構成を示す図である。
【図8】配信要求処理フローを示す図である。
【図9】アドレスマップテーブルの例を示す図である。
【図10】NITの例を示す図である。
【図11】配信停止要求処理フローを示す図である。
【図12】マルチキャストグループをPIDに対応付け、ESと組み合わせて用いる場合の例を示す図である。
【図13】他のアドレスマップテーブルの例を示す図である。
【図14】他のアドレスマップテーブルの例を示す図である。
【図15】他のアドレスマップテーブルの例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1 伝送システム
100 パケットアダプタ
101 マルチキャスト管理部
102 フロントエンド制御部
103 パケットフィルタ部
104 IPヘッダ復元部
105 タイプ分類部
106 入出力インターフェース
200 高度BS受信装置
201 BS−IF復調部
202 誤り訂正部
203 ストリーム分類部
204 AVデコーダ
301〜303 アプリケーション
304 ホームネットワーク
305 インターネット
306 サーバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ放送サービスの情報を含むMPEG−2 TS、及び、コンテンツダウンロードサービスによりマルチキャストグループ毎に配信されるコンテンツのIPパケットを含むTLV(Type Length Value)の放送波を、デジタル放送の伝送路を介して受信する受信装置において、
指定された搬送周波数により前記放送波の信号を選択し、該信号を復調する復調部と、
前記復調されたTMCC信号に基づいて、前記MPEG−2 TSとTLVとを分類する分類部と、
前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスを含む配信要求を、前記コンテンツダウンロードサービスを受ける要求元から受信し、
マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスと、前記マルチキャストグループのコンテンツが配信される搬送周波数とを対応付けるテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定し、
該指定した搬送周波数にて復調されたTLVのIPパケットのうち、前記配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットを、前記配信要求に対するコンテンツのIPパケットとして前記要求元へ送信するパケットアダプタと、
を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信装置において、
前記パケットアダプタは、
前記分類部により分類されたTLVを、コンテンツのデータ用のIPパケット、前記コンテンツダウンロードサービスを識別するためのサービスIDとマルチキャストグループを特定するためのIPアドレスとを含むアドレスマップテーブルからなる制御用のTLV、及び、サービスIDと搬送周波数とを含むNIT(Network Information Table)からなる制御用のTLVに分類するタイプ分類部、
マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスを含む配信要求を、前記コンテンツダウンロードサービスを受ける要求元から受信し、前記タイプ分類部により分類された制御用のTLVにおけるアドレスマップテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスからサービスIDを特定するマルチキャスト管理部、
前記タイプ分類部による分類された制御用のTLVにおけるNITを用いて、前記マルチキャスト管理部により特定されたサービスIDから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定するフロントエンド制御部、及び、
前記タイプ分類部により分類されたデータ用のIPパケットのうち、前記マルチキャスト管理部により受信された配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットを、前記配信要求に対するコンテンツのIPパケットとして送信するパケットフィルタ部を有することを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の受信装置において、
前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスは、コンテンツがマルチキャスト配信される送信元アドレス及びあて先となるグループアドレスであることを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の受信装置において、
前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスは、コンテンツがマルチキャスト配信される、あて先となるグループアドレスであることを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の受信装置において、
前記パケットアダプタは、
前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスに対応付けたCID(Context IDentification)を含む配信要求を、前記コンテンツダウンロードサービスを受ける要求元から受信し、
マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスに対応付けたCIDと、前記マルチキャストグループのコンテンツが配信される搬送周波数とを含むテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定し、
該指定した搬送周波数にて復調されたTLVのIPパケットのうち、前記配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットを、前記配信要求に対するコンテンツのIPパケットとして前記要求元へ送信することを特徴とする受信装置。
【請求項6】
テレビ放送サービスの情報を含むMPEG−2 TS、及び、コンテンツダウンロードサービスによりマルチキャストグループ毎に配信されるコンテンツのIPパケットを含むTLV(Type Length Value)の放送波を、デジタル放送の伝送路を介して受信する受信装置において、
指定された搬送周波数により前記放送波の信号を選択し、該信号を復調する復調部と、
前記復調されたTMCC信号に基づいて、前記MPEG−2 TSとTLVとを分類する分類部と、
前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスを含む配信要求に対し、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスと、前記マルチキャストグループのコンテンツが配信される搬送周波数とを対応付けるテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定し、
該指定した搬送周波数にて復調されたTLVのIPパケットのうち、前記配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットのデータを、前記配信要求に対するコンテンツとするパケットアダプタと、
を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項7】
請求項1または6に記載の受信装置において、
前記パケットアダプタにより用いられるテーブルは、前記デジタル放送の伝送路を介して放送波として受信され、前記復調部により復調されたTLVに含まれることを特徴とする受信装置。
【請求項8】
請求項1または6に記載の受信装置において、
前記パケットアダプタにより用いられるテーブルは、インターネットの通信網を介して受信されることを特徴とする受信装置。
【請求項9】
テレビ放送サービスの情報を含むMPEG−2 TSの放送波を送信すると共に、コンテンツダウンロードサービスによりマルチキャストグループ毎に配信されるコンテンツのIPパケットを含む放送波を送信する送信装置と、
該送信装置からデジタル放送の伝送路を介して前記放送波を受信する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の受信装置とを備えたことを特徴とする伝送システム。
【請求項1】
テレビ放送サービスの情報を含むMPEG−2 TS、及び、コンテンツダウンロードサービスによりマルチキャストグループ毎に配信されるコンテンツのIPパケットを含むTLV(Type Length Value)の放送波を、デジタル放送の伝送路を介して受信する受信装置において、
指定された搬送周波数により前記放送波の信号を選択し、該信号を復調する復調部と、
前記復調されたTMCC信号に基づいて、前記MPEG−2 TSとTLVとを分類する分類部と、
前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスを含む配信要求を、前記コンテンツダウンロードサービスを受ける要求元から受信し、
マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスと、前記マルチキャストグループのコンテンツが配信される搬送周波数とを対応付けるテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定し、
該指定した搬送周波数にて復調されたTLVのIPパケットのうち、前記配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットを、前記配信要求に対するコンテンツのIPパケットとして前記要求元へ送信するパケットアダプタと、
を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信装置において、
前記パケットアダプタは、
前記分類部により分類されたTLVを、コンテンツのデータ用のIPパケット、前記コンテンツダウンロードサービスを識別するためのサービスIDとマルチキャストグループを特定するためのIPアドレスとを含むアドレスマップテーブルからなる制御用のTLV、及び、サービスIDと搬送周波数とを含むNIT(Network Information Table)からなる制御用のTLVに分類するタイプ分類部、
マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスを含む配信要求を、前記コンテンツダウンロードサービスを受ける要求元から受信し、前記タイプ分類部により分類された制御用のTLVにおけるアドレスマップテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスからサービスIDを特定するマルチキャスト管理部、
前記タイプ分類部による分類された制御用のTLVにおけるNITを用いて、前記マルチキャスト管理部により特定されたサービスIDから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定するフロントエンド制御部、及び、
前記タイプ分類部により分類されたデータ用のIPパケットのうち、前記マルチキャスト管理部により受信された配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットを、前記配信要求に対するコンテンツのIPパケットとして送信するパケットフィルタ部を有することを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の受信装置において、
前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスは、コンテンツがマルチキャスト配信される送信元アドレス及びあて先となるグループアドレスであることを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の受信装置において、
前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスは、コンテンツがマルチキャスト配信される、あて先となるグループアドレスであることを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の受信装置において、
前記パケットアダプタは、
前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスに対応付けたCID(Context IDentification)を含む配信要求を、前記コンテンツダウンロードサービスを受ける要求元から受信し、
マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスに対応付けたCIDと、前記マルチキャストグループのコンテンツが配信される搬送周波数とを含むテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定し、
該指定した搬送周波数にて復調されたTLVのIPパケットのうち、前記配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットを、前記配信要求に対するコンテンツのIPパケットとして前記要求元へ送信することを特徴とする受信装置。
【請求項6】
テレビ放送サービスの情報を含むMPEG−2 TS、及び、コンテンツダウンロードサービスによりマルチキャストグループ毎に配信されるコンテンツのIPパケットを含むTLV(Type Length Value)の放送波を、デジタル放送の伝送路を介して受信する受信装置において、
指定された搬送周波数により前記放送波の信号を選択し、該信号を復調する復調部と、
前記復調されたTMCC信号に基づいて、前記MPEG−2 TSとTLVとを分類する分類部と、
前記マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスを含む配信要求に対し、マルチキャストグループを特定するためのIPアドレスと、前記マルチキャストグループのコンテンツが配信される搬送周波数とを対応付けるテーブルを用いて、前記配信要求に含まれるIPアドレスから搬送周波数を特定し、該特定した搬送周波数を、前記復調部により選択される信号の搬送周波数として指定し、
該指定した搬送周波数にて復調されたTLVのIPパケットのうち、前記配信要求に含まれるIPアドレスを有するIPパケットを選択し、該選択したIPパケットのデータを、前記配信要求に対するコンテンツとするパケットアダプタと、
を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項7】
請求項1または6に記載の受信装置において、
前記パケットアダプタにより用いられるテーブルは、前記デジタル放送の伝送路を介して放送波として受信され、前記復調部により復調されたTLVに含まれることを特徴とする受信装置。
【請求項8】
請求項1または6に記載の受信装置において、
前記パケットアダプタにより用いられるテーブルは、インターネットの通信網を介して受信されることを特徴とする受信装置。
【請求項9】
テレビ放送サービスの情報を含むMPEG−2 TSの放送波を送信すると共に、コンテンツダウンロードサービスによりマルチキャストグループ毎に配信されるコンテンツのIPパケットを含む放送波を送信する送信装置と、
該送信装置からデジタル放送の伝送路を介して前記放送波を受信する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の受信装置とを備えたことを特徴とする伝送システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−182751(P2009−182751A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20156(P2008−20156)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
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