説明

受信装置

【課題】電波強度が微弱な場合であっても、テレビ放送の受信信号に重畳された付加情報信号を安定して抽出することができる受信装置を提供する。
【解決手段】信号抽出手段は、テレビ放送の映像信号の垂直帰線期間に重畳されている付加情報信号に含まれる付加情報の種類を示す識別コードを抽出するコード抽出手段と、識別コードが所定の規格に定められた識別コードと一致するか否か判定するコード判定手段とを有し、識別コードが所定の規格に定められた識別コードと一致すると判定された場合、爾後の付加情報信号を抽出する。信号抽出手段を複数備え、一の信号抽出手段が有するコード抽出手段が識別コードの抽出に失敗した場合、又は一の信号抽出手段が有するコード判定手段により識別コードが所定の規格に定められた識別コードと一致しないと判定された場合、他の信号抽出手段が爾後の付加情報信号を抽出するようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン放送を受信する受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ(テレビジョン)放送のVBI(Vertical Blanking Interval)信号には、映像のアスペクト比を含むWSS(Wide Screen Signal)信号等の付加情報信号が重畳されている。WSS信号等は付加的な機能であるため、抽出精度や信号判定機能が弱い。そのため、従来の受信装置は、電波強度が微弱な場合、長時間をかけてWSS信号が複数回一致したとき、映像のアスペクト比を更新している。
特許文献1には、CRI(Clock Run In)信号、FC(Framing Code)信号及びWSS信号のデータエラーに基づいて、VBI信号の有無を判定するVBI信号有無判定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−228008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電波強度が微弱な場合、VBI信号の有無を判定しただけでは、VBI信号に含まれる付加情報を抽出することはできない。また、従来の受信装置は、電波強度が微弱な場合、WSS信号に含まれる映像のアスペクト比を抽出することができるときと、できないときとを繰り返す。そのため、従来の受信装置は、映像のアスペクト比を頻繁に切り替えることから、映像の視聴に悪影響を及ぼす。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、電波強度が微弱な場合であっても、テレビジョン放送の受信信号に重畳された付加情報信号を安定して抽出することができる受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る受信装置は、テレビジョン放送を受信する受信手段と、該受信手段が受信したテレビジョン放送の映像信号の垂直帰線期間に重畳されている付加情報信号を抽出する信号抽出手段とを備え、該信号抽出手段は、前記付加情報信号に含まれる付加情報の種類を示す識別コードを抽出するコード抽出手段と、該コード抽出手段が抽出した識別コードが所定の規格に定められた識別コードと一致するか否か判定するコード判定手段とを有し、該コード判定手段により識別コードが所定の規格に定められた識別コードと一致すると判定された場合、前記映像信号から爾後の付加情報信号を抽出するようにしてある受信装置において、前記信号抽出手段を複数備え、一の信号抽出手段が有する前記コード抽出手段が識別コードの抽出に失敗した場合、又は一の該信号抽出手段が有する前記コード判定手段により識別コードが所定の規格に定められた識別コードと一致しないと判定された場合、他の信号抽出手段が爾後の付加情報信号を抽出するようにしてあることを特徴とする。
【0007】
本願に係る受信装置は、前記受信手段が受信したテレビジョン放送の受信信号を増幅する増幅手段と、該増幅手段の利得を制御する利得制御手段とを備え、該利得制御手段は、前記信号抽出手段が有する前記コード抽出手段が識別コードの抽出に失敗した場合、又は該信号抽出手段が有する前記コード判定手段により識別コードが所定の規格に定められた識別コードと一致しないと判定された場合、前記増幅手段の利得を変更するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
本願に係る受信装置は、前記受信手段が受信したテレビジョン放送の映像信号に含まれる所定の信号を検出した時点と、前記付加情報信号の開始及び終了を各検出した時点の夫々との時間差を検出する時間差検出手段を備え、前記信号抽出手段は、前記所定の信号を検出したタイミング及び前記時間差検出手段が検出した各時間差に基づいて、爾後の付加情報信号を抽出するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
本願に係る受信装置は、前記時間差検出手段が検出した各時間差を記録する時間差記録手段を備え、前記信号抽出手段は、前記所定の信号を検出したタイミング及び前記時間差記録手段が記録した各時間差に基づいて、爾後の付加情報信号を抽出するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本願に係る受信装置は、前記受信手段が受信したテレビジョン放送の受信信号の強度を検出する強度検出手段と、該強度検出手段により検出された受信強度が所定の受信強度より弱か否か判定する強度判定手段とを備え、前記信号抽出手段は、前記強度判定手段が弱と判定した場合、爾後の付加情報信号を抽出するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本願に係る受信装置は、前記受信手段が受信するテレビジョン放送を選局する選局手段と、該選局手段が選局したテレビジョン放送の受信強度を検出する選局強度検出手段と、該選局強度検出手段により検出された受信強度が所定の受信強度より弱か否か判定する選局強度判定手段とを備え、前記信号抽出手段は、前記選局強度判定手段が弱と判定した場合、爾後の付加情報信号を抽出するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本願に係る受信装置は、前記付加情報信号は、映像のアスペクト比を指定するWSS信号を含むことを特徴とする。
【0013】
本願に係る受信装置にあっては、複数の信号抽出手段を備えている。信号抽出手段は、付加情報の種類を示す識別コードが所定の規格に定められた識別コードと一致する場合、受信したテレビジョン放送の映像信号から垂直帰線期間に重畳されている爾後の付加情報信号を抽出する。識別コードの抽出に失敗した場合、又は識別コードが所定の規格に定められた識別コードに一致しない場合、他の信号抽出手段が爾後の付加情報信号を抽出する。
【0014】
本願に係る受信装置にあっては、テレビジョン放送の受信信号を増幅する増幅手段と、増幅手段の利得を制御する利得制御手段とを備えている。利得制御手段は、識別コードの抽出に失敗した場合、又は識別コードが所定の規格に定められた識別コードに一致しない場合、増幅手段の利得を上げたり、下げたりする。
【0015】
本願に係る受信装置にあっては、時間差検出手段は、テレビジョン放送の映像信号に含まれる所定の信号を検出した時点と、付加情報信号の開始を検出した時点との時間差を検出する。また、時間差検出手段は、テレビジョン放送の映像信号に含まれる所定の信号を検出した時点と、付加情報信号の終了を検出した時点との時間差を検出する。信号抽出手段は、所定の信号を検出したタイミングと、時間差検出手段が検出した各時間差とに基づいて、爾後の付加情報信号を抽出する。
【0016】
本願に係る受信装置にあっては、時間差記録手段は検出した各時間差を記録する。信号抽出手段は、所定の信号を検出したタイミングと、時間差記録手段が記録した各時間差とに基づいて、爾後の付加情報信号を抽出する。
【0017】
本願に係る受信装置にあっては、テレビジョン放送の受信強度を検出する強度検出手段を備えている。信号抽出手段は、強度検出手段により検出された受信強度が所定の受信強度より弱と判定された場合、爾後の付加情報信号を抽出する。
【0018】
本願に係る受信装置にあっては、選局したテレビジョン放送の受信強度を検出する選局強度検出手段を備えている。信号抽出手段は、選局強度検出手段により検出された受信強度が所定の受信強度より弱と判定された場合、爾後の付加情報信号を抽出する。
【0019】
本願に係る受信装置にあっては、付加情報信号には、映像のアスペクト比を指定するWSS信号が含まれる。
【発明の効果】
【0020】
開示する受信装置は、電波強度が微弱な場合であっても、テレビジョン放送の受信信号に重畳された付加情報信号を安定して抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態に係る受信装置のブロック図である。
【図2】チューナ部の一例を示すブロック図である。
【図3】VBI信号、フィールド及びフレームの関係の一例を示す説明図である。
【図4】1フィールドにおける垂直帰線期間及びWSS信号の一例を示す説明図である。
【図5】受信装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】受信装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】受信装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】受信装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施例における受信装置を、実施の形態を示す図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
本実施の形態は、2つのチューナを搭載したダブルチューナ搭載型の受信装置に関する。1つのチューナがアナログテレビ放送の映像信号の垂直帰線期間に重畳されている付加情報信号を抽出できない場合、もう1つのチューナが付加情報信号を抽出する。
【0023】
また、本実施の形態は、付加情報信号を抽出するタイミングを予め記録しておき、電波強度が微弱な場合、記録したタイミングにより付加情報信号を抽出する形態に関する。
付加情報信号は、例えばWSS信号、CC(Closed Captioning)信号、テレテキスト信号等を含む。本実施の形態では、付加情報信号の一例として、WSS信号を扱う。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る受信装置1のブロック図である。
受信装置1は、チューナ部(受信手段)10、20、CPU11、メモリ12、受光部13及び選局部(選局手段)14を含む。
【0025】
チューナ部20の構成は、チューナ部10の構成と同じであるので、ここではチューナ部10のみについて説明する。
チューナ部10は、外部のアンテナAが受信したアナログテレビ放送信号を選局する。チューナ部10は、選局したアナログテレビ放送の受信信号を後述のAVスイッチ部15へ出力する。チューナ部10は、チャンネル自動チューニング時及びチャンネル手動チューニング時に、アンテナAからの受信強度及び選局しているチャンネルの受信強度を示す信号をCPU11に出力する。チューナ部10は、通常動作時にも、アンテナAの受信強度及び選局しているチャンネルの受信強度をCPU11に出力する。
【0026】
図2は、チューナ部10、20の一例を示すブロック図である。
チューナ部10は、増幅回路(増幅手段)10a、信号強度検出回路(強度検出手段、選局強度検出手段)10b、AGC(Automatic Gain Control)(利得制御手段)10c、タイマ10d及びVBI信号分離部(信号抽出手段)10eを含む。
増幅回路10aは、アナログテレビ放送の受信信号を所定の増幅率で増幅する。この増幅率はAGC10cから出力される信号によって制御される。増幅回路10aは、受信信号を信号強度検出回路10bに出力する。
信号強度検出回路10bは、増幅回路10aから受信信号を受け付け、受信信号の強度を検出する。信号強度検出回路10bは、受信信号の強度をAGC10c及びCPU11に出力する。
【0027】
AGC10cは、入力信号の強度を検出し、検出した入力信号が弱い場合にはゲイン(利得)を上げ、逆に入力信号が強い場合にはゲインを下げて出力することによって、出力が常に一定であるように、入力信号を可変制御する回路である。
AGC10cは、信号強度検出回路10bから受信信号の強度を受け付ける。AGC10cは、信号強度検出回路10bから受け付けた受信信号の強度を制御対象の強度と比較し、増幅回路10aに新たな増幅率を設定するための信号を出力する。
また、AGC10cは、CPU11からの制御に応じた信号を増幅回路10aに出力することにより、増幅回路10aのゲインを変更する。
【0028】
タイマ10dは、計時を信号としてVBI信号分離部10eに送信する。
なお、タイマ10dは、チューナ部10の外部に設けた受信装置1の構成部としてもよい。
【0029】
図3は、VBI信号、フィールド及びフレームの関係の一例を示す説明図である。周期的な1フレームは2フィールドからなり、1フィールドの先頭の垂直帰線期間にVBI信号が重畳又は付加されている。
図4は、1フィールドにおける垂直帰線期間及びWSS信号の一例を示す説明図である。図4Aは、アナログテレビ信号の1フィールドにおける垂直帰線期間を示す説明図である。WSS信号は、例えばPAL方式の場合、垂直帰線期間のVBI信号の23ライン目として付加されている。
図4Bは、WSS信号の概略波形を示す説明図である。WSS信号は、伝送データ信号のランインと、スタートコードと、14ビットのデータ部とを含む。WSS信号の詳細な規格は、例えばETS(欧州電気通信標準)300294等に規定されている。ランイン及びスタートコードは、これらを含むWSS信号が、所定の規格に合致するか否かを判定するための識別コードに該当する。
【0030】
VBI信号分離部10eは、映像信号の垂直帰線期間に重畳されている付加情報信号を抽出する構成部である。付加情報信号の一例は、WSS信号である。
図2に示すように、VBI信号分離部10eは、分離部11e、抽出部(コード抽出手段)12e、判定部(コード判定部)13e及び時間検出部14e(時間差検出手段)を含む。
分離部11eは、受信信号からVBI信号を分離する。分離部11eは、分離したVBI信号を抽出部12eに出力する。抽出部12eはVBI信号を受け付ける。抽出部12eは、受け付けたVBI信号からWSS信号に含まれるランイン及びスタートコードを抽出する。抽出部12eは、抽出したWSS信号に含まれるランイン及びスタートコードを判定部13eに出力する。
【0031】
判定部13eは、抽出部12eが抽出したWSS信号に含まれるランイン及びスタートコードを受け付ける。判定部13eは、受け付けたランイン及びスタートコードがWSS信号の規格に合致している場合、WSS信号の抽出は可能と判定する。判定部13eは、受け付けたランイン及びスタートコードがWSS信号の規格に合致していない場合、WSS信号の抽出は不可能と判定する。また、判定部13eは、電波強度が微弱なため、抽出部12eがランイン及びスタートコードを抽出することができないときも、WSS信号の抽出は不可能と判定する。判定部13eは、WSS信号の抽出の可否をCPU11に出力する。
【0032】
時間検出部14eは、映像信号に含まれる所定の信号からWSS信号の始まり及び終わりまでの経過時間を、タイマ10dに基づき夫々検出し、CPU11に出力する。所定の信号は、例えば垂直帰線期間の始まりの垂直同期信号である。
【0033】
VBI信号分離部10eは、判定部13eがWSS信号の抽出は可能と判定した場合、分離部11eが分離したVBI信号から爾後のWSS信号を抽出する。
VBI信号分離部10eは、判定部13eがWSS信号の抽出は可能と判定した場合、爾後のWSS信号のデータ部の読み込みを開始する。映像のアスペクト比は、PAL方式の場合、WSS信号のデータ部の11ビット目から14ビット目までの4ビットに記録されている。例えば、ビット列が1000である場合、アスペクト比は4:3である。ビット列が1011である場合、アスペクト比は16:9であり、レターボックスモードである。
【0034】
VBI信号分離部10eは、読み込んだデータ部から映像のアスペクト比を抽出し、抽出したアスペクト比をCPU11に出力する。なお、VBI信号分離部10eは、WSS信号をCPU11に出力し、CPU11が受け付けたWSS信号からアスペクト比を抽出してもよい。
VBI信号分離部10eは、WSS信号以外の付加情報信号も抽出し、抽出した付加情報信号をCPU11に出力する。
【0035】
VBI信号分離部10eは、電波強度が微弱である場合、WSS信号を抽出できないことがある。かかる場合、VBI信号分離部10eは、予め時間検出部14eがCPU11に出力した所定の信号からWSS信号の始まり及び終わりまでの経過時間をCPU11から受け付け、この経過時間に基づいてWSS信号を抽出する。すなわち、VBI信号分離部10eは所定の信号を検出したタイミングから上記の経過時間が経過したタイミングに基づいて、WSS信号を抽出する。
なお、WSS信号の始まり及び終わりのタイミングを検出する基準の信号は、垂直帰線期間の始まりの垂直同期信号に限らない。WSS信号の始まり及び終わりのタイミングを検出することができる信号であれば、どのような信号でもよい。
【0036】
時間検出部14eは、映像信号に含まれる垂直帰線期間の始まりの垂直同期信号からWSS信号の所定の信号(例えば、スタートコード)までの時間をCPU11に出力してもよい。電波強度が微弱である場合、VBI信号分離部10eは、予め時間検出部14eがCPU11に出力したスタートコードの信号までの時間をCPU11から受け付ける。VBI信号分離部10eは、垂直帰線期間の始まりの垂直同期信号を検出したタイミング及びスタートコードの信号までの時間に基づいて、スタートコードの信号以降のWSS信号を抽出する。WSS信号に含まれるスタートコードの信号からアスペクト比までのビット数は予め規定されているので、VBI信号分離部10eは、受け付けた所定の信号までの時間に基づいてアスペクト比を抽出することができる。
【0037】
CPU11は、図1に図示した回路又は図示しない回路を介して、受信装置1全体を制御する。CPU11は、ユーザからの命令を受光部13から受け付け、ユーザの命令を実行するよう受信装置1の各構成部を制御する。
例えば、CPU11は、信号強度検出回路10bから増幅回路10aが増幅した受信信号の強度を受け付け、増幅回路10aが所定の増幅率で増幅する前のアンテナAの受信強度を求める。同様にして、CPU11は、選局されているチャンネルの受信強度を求める。
CPU11は、AGC10cに受信感度を変更するよう命令する。また、CPU11は、VBI信号分離部10eから信号として各種付加情報を受け付け、受け付けた各種付加情報をメモリ12に記録する。CPU11は、VBI信号分離部10eから受け付けた各種付加情報のうち、映像処理に関する付加情報を映像出力変換部17に出力する。
【0038】
メモリ12は、書き換え可能な不揮発性メモリであり、例えばフラッシュメモリ、UV−EPROM(Ultra-Violet Erasable Programmable Read Only Memory)等である。メモリ12は、CPU11が実行する各種プログラムを記録している。メモリ12は、CPU11が処理中の一時的データ、VBI信号分離部10eから出力された各種付加情報等を記録する。
【0039】
チャンネル自動チューニング時及びチャンネル手動チューニング時に、チューナ部10がスキャンして検出したアンテナAの受信強度は、CPU11によりメモリ12に記録される。同様に、各チャンネルの受信強度もCPU11によりメモリ12に記録される。また、通常動作時にも、アンテナAの受信強度及び選局されているチャンネルの受信強度が、CPU11によりメモリ12に記録される。
さらに所定の垂直同期信号からWSS信号の始まり及び終わりまでの経過時間が、夫々CPU11によりメモリ12に記録される。
【0040】
受光部13は、外部のリモートコントローラ1aから赤外線の信号を受光し、受光した赤外線の信号を電気信号に変換して選局部14に出力する。
選局部14は、受光部13から受け付けた電気信号をチューナ部10に出力する。チューナ部10は、選局部14からの信号に基づき、受信するチャンネルを選局する。
【0041】
受信装置1は、AVスイッチ部15、映像セレクタ部16、映像出力変換部17、音声セレクタ部18及び音声出力変換部19を含む。
AVスイッチ部15は、チューナ部10、20から受け付けた受信信号から映像信号及び音声信号を抽出する。AVスイッチ部15は、抽出した映像信号及び音声信号を、夫々映像セレクタ部16及び音声セレクタ部18に出力する。
【0042】
映像セレクタ部16は、アナログテレビ放送と外部入力部21との映像信号を切り替え、切り替えた映像信号を映像出力変換部17に出力する。
【0043】
映像出力変換部17は、映像セレクタ部16から映像信号を、CPU11から映像のアスペクト比を受け付ける。映像出力変換部17は、図示しない記録部を有し、受け付けたアスペクト比を記録部に記録する。映像出力変換部17は、受け付けたアスペクト比を有する映像の映像信号を生成する。
映像出力変換部17は、CPU11から映像のアスペクト比の出力が途絶えた場合、CPU11から最後に受け付けたアスペクト比を記録部から読み込み、映像信号を生成する。
映像出力変換部17は、CC信号の字幕データ等をCPU11から受け付けた場合、受け付けた字幕データ等を生成した映像信号と重畳する。映像出力変換部17は、生成した映像信号又は字幕データ等と重畳された映像信号を出力用の映像信号に変換し、外部の表示装置3に出力する。
【0044】
外部の表示装置3は、映像出力変換部17から受け付けた映像信号に基づいて、映像を表示する。表示装置3は、例えば液晶パネルとバックライトとを有する液晶表示装置であるが、CRTディスプレイを有する表示装置であってもよい。
なお、アスペクト比の変更があった場合、上記では映像出力変換部17が新たなアスペクト比に対応した映像信号を生成した。しかし、表示装置3が映像出力変換部17からアスペクト比を受け付け、表示装置3が受け付けたアスペクト比に対応した映像を表示する形態であってもよい。かかる場合、表示装置3は、図示しない記録部を有し、受け付けたアスペクト比を記録部に記録する。表示装置3は、映像出力変換部17からアスペクト比の出力が途絶えた場合、映像出力変換部17から最後に受け付けたアスペクト比を記録部から読み込み、映像を表示する。
【0045】
音声セレクタ部18は、アナログテレビ放送と外部入力部21との音声信号を切り替え、切り替えた音声信号を音声出力変換部19に出力する。
音声出力変換部19は、音声セレクタ部18から受け付けた音声信号を出力信号に変換する。音声出力変換部19が変換した音声信号は、外部のスピーカ4に出力される。
外部のスピーカ4は、音声出力変換部19から受け付けた音声信号に基づいて、音声を出力する。
【0046】
受信装置1は、外部入力部21、記録再生部22、OPCセンサ31及び人感センサ32を含む。
外部入力部21は、記録再生装置2及び記録再生部22と接続されている。記録再生装置2は、BD、DVD、CD等の光ディスク、ハードディスク又は不揮発メモリ等の記録媒体2aから映像音声情報を再生し、記録媒体2aに映像音声情報を記録する。記録再生装置2は、外部の装置である。記録再生部22は、外部の記録媒体2aから映像音声情報を再生し、又は当該記録媒体2aに映像音声情報を記録する。
【0047】
外部入力部21は、記録再生装置2又は記録再生部22と映像音声情報の入出力をする。外部入力部21は、記録再生装置2又は記録再生部22から受け付けた映像音声情報を映像情報と音声情報とに分離し、夫々信号として映像セレクタ部16及び音声セレクタ部18に出力する。さらに、外部入力部21は、映像セレクタ部16及び音声セレクタ部18から夫々映像信号及び音声信号を受け付ける。
なお、受信装置1は、記録再生部22を含まなくてもよい。
【0048】
OPCセンサ31は、例えばフォトダイオードからなり、受信装置1が設置された環境の照度を検出し、検出した照度に対応する信号をCPU11に出力する。CPU11と表示装置3とは、図1に図示しない回線により電気的に接続されており、CPU11は、OPCセンサ31から受け付けた信号に応じて、表示装置3が表示する映像の輝度を調節する。例えば、表示装置3が液晶表示装置である場合、CPU11は液晶表示装置のバックライトの明暗を調節する。CPU11は、周囲が暗い場合にはバックライトの明るさを抑え、周囲が明るい場合にはバックライトの明るさを強めることで、液晶表示装置が表示する映像を見やすくすると共に、液晶表示装置の電力消費を抑える。
【0049】
人感センサ32は、例えば赤外線センサ、超音波センサであり、受信装置1の前にユーザがいるかいないかを検出し、その結果を信号としてCPU11へ出力する。CPU11は、人感センサ32からユーザがいる旨の信号を受信した場合、受信装置1を動作させる。CPU11は、人感センサ6からユーザがいない旨の信号を受信した場合、受信装置1をスタンバイモードにするか又はパワーオフモードにする。これにより、受信装置1の省電効果を図ることができる。
【0050】
なお、受信装置1のAVモードには、TVモード、外部入力モード、スタンバイモード及びパワーオフモードの4種類がある。
TVモードは、アナログテレビ放送の映像音声情報を外部の表示装置3及びスピーカ4に出力する場合のAVモードである。外部入力モードは、外部入力部21から外部の記録媒体2aに記録された映像音声情報を外部の表示装置3及びスピーカ4に出力する場合のAVモードである。スタンバイモードは、節電モードであり、受信装置1の限られた構成部のみに電力が供給される場合のAVモードである。スタンバイモードでも、CPU11には電力が供給される。パワーオフモードは、スタンバイモードよりもさらに低消費電力状態になるAVモードである。パワーオフモードでは、CPU11への電力供給は停止される。
【0051】
次に、本実施の形態に係る受信装置1の動作について説明する。
CPU11は、受光部13を介して外部のリモートコントローラ1aからモード切替信号を受信する毎に、受信装置1のAVモードをモード切替信号に対応したAVモードに切り替える。また、CPU11は、受光部13を介して外部のリモートコントローラ1aからモード切替信号を受信した場合、TVモード、外部入力モード又はスタンバイモードに移行したとき、移行した新たなTVモード、外部入力モード又はスタンバイモードの識別情報をメモリ12に記録する。
【0052】
受信装置1の電源スイッチが入れられた場合(パワーオン)、CPU11はメモリ12から最後に記録されたAVモード(TVモード、外部入力モード又はスタンバイモード)を読み込む。CPU11は、最後のAVモードがTVモードである場合、アナログテレビ放送の映像音声情報を外部の表示装置3及びスピーカ4に出力する。CPU11は、最後のAVモードが外部入力モード又はスタンバイモードである場合、外部入力部21又はリモートコントローラ1aからの信号入力を待機する。
【0053】
CPU11は、チューナ部10からアンテナAの受信強度及び選局しているチャンネルの受信強度を受け付け、メモリ12に記録する。VBI信号分離部10eは、受信信号からVBI信号を分離する。VBI信号分離部10eは、WSS信号のランイン及びスタートコードに基づいて、WSS信号を抽出できるか否か判断する。VBI信号分離部10eは、判断結果をCPU11に出力する。
【0054】
VBI信号分離部10eは、WSS信号を抽出できる場合、例えば垂直同期信号を検出した時点からWSS信号が始まるタイミング及び終わるタイミングを検出し、これらのタイミングをWSS信号のタイミングとしてCPU11に出力する。
VBI信号分離部10eは、WSS信号を抽出できる場合、爾後のWSS信号を抽出し、WSS信号から映像のアスペクト比を抽出する。VBI信号分離部10eは、抽出した映像のアスペクト比をCPU11に出力する。CPU11は、WSS信号のタイミング及び映像のアスペクト比を受け付け、受け付けた映像のアスペクト比をメモリ12に記録する。
【0055】
CPU11は、VBI信号分離部10eがWSS信号を抽出できない場合、別のチューナ部20のVBI信号分離部20eにWSS信号を抽出するように命じる。CPU11は、VBI信号分離部20eがWSS信号を抽出できない場合、チューナ部20のAGC20cに増幅回路20aのゲインを上げさせて、再びVBI信号分離部20eにWSS信号を抽出するように命じる。
VBI信号分離部20eは、WSS信号を抽出できる場合、例えば垂直同期信号を検出した時点からWSS信号が始まるタイミング及び終わるタイミングを検出し、これらのタイミングをWSS信号のタイミングとしてCPU11に出力する。
VBI信号分離部20eは、WSS信号を抽出できる場合、爾後のWSS信号を抽出し、WSS信号から映像のアスペクト比を抽出する。VBI信号分離部20eは、抽出した映像のアスペクト比をCPU11に出力する。CPU11は、WSS信号のタイミング及び映像のアスペクト比を受け付け、受け付けた映像のアスペクト比をメモリ12に記録する。
【0056】
CPU11は、メモリ12からアンテナAの受信強度及び選局しているチャンネルの受信強度を読み込む。CPU11は、読み込んだアンテナAの受信強度及び選局しているチャンネルの受信強度が、予め設定した強度値より上であると判断した場合、受信強度は通常であると判断する。そして、CPU11は、WSS信号に基づいて映像のアスペクト比を更新する通常の処理をする。一方、CPU11は、読み込んだアンテナAの受信強度又は選局しているチャンネルの受信強度が、予め設定した強度値以下である場合、受信強度は弱であると判断する。そして、CPU11は、記録したWSS信号のタイミングを利用して映像のアスペクト比を更新する処理をする。ここで予め設定する強度値は、例えばWSS信号を安定して抽出することができる強度値である。
【0057】
なお、上記において通常の処理をすると判断する場合は、アンテナAの受信強度等が予め設定した強度値より上である場合であるが、アンテナAの受信強度等が予め設定した強度値以上である場合に、通常の処理をすると判断してもよい。同様に、アンテナAの受信強度等が予め設定した強度値未満である場合に、WSS信号のタイミングを利用した処理を行ってもよい。
【0058】
まず、受信強度が通常である場合の処理について説明する。
CPU11は、次々とVBI信号分離部10eから映像のアスペクト比を受け付ける。CPU11は、受け付けたアスペクト比をメモリ12に記録する。そして、CPU11は、メモリ12から前回のアスペクト比を読み込み、前回のアスペクト比が最新のアスペクト比と一致するか否か判断する。
【0059】
CPU11は、アスペクト比の一致回数及び不一致回数を記録するカウンタ変数を用意する。CPU11は、アスペクト比の一致が継続する場合、一致回数のカウンタ変数をインクリメントする。CPU11は、アスペクト比の不一致が継続する場合、不一致回数のカウンタ変数をインクリメントする。CPU11は、アスペクト比の一致又は不一致が起こった場合、夫々不一致回数又は一致回数のカウンタ変数に0を代入して初期化する。CPU11は、一致回数及び不一致回数のカウンタ変数の値に基づいて、現時点のアスペクト比の一致回数及び不一致回数を把握する。
【0060】
CPU11はアスペクト比の一致回数が所定回数に達した場合、一致したアスペクト比に映像を反映させ、一致回数及び不一致回数のカウンタ変数を初期化する。WSS信号のアスペクト比に変化がない限り、アスペクト比の抽出を所定回数繰り返す毎に映像のアスペクト比は更新されるが、映像に変化はない。
WSS信号のアスペクト比が別の値に変化した場合、不一致回数のカウンタ変数がインクリメントされる。CPU11は、アスペクト比が不一致になった後、アスペクト比の一致が起きた場合、一致回数及び不一致回数のカウンタ変数を初期化して、処理を受信強度が通常である場合の処理の最初に戻す。
CPU11は、アスペクト比の不一致が所定回数連続した場合、アンテナAの受信強度又は選局しているチャンネルの受信強度が弱い場合の処理へ移行する。
【0061】
次に、受信強度が通常ではなく、弱い場合の処理について説明する。
CPU11は、WSS信号のタイミングをメモリ12から読み込む。CPU11は、垂直同期信号から読み込んだWSS信号のタイミングでWSS信号を抽出するようにVBI信号分離部10eに命令する。
VBI信号分離部10eは、受け付けたタイミングでWSS信号を抽出する。VBI信号分離部10eは、ランイン及びスタートコードに該当する情報から、抽出した信号がWSS信号か否か判定する。VBI信号分離部10eは、判定結果をCPU11に出力する。
【0062】
VBI信号分離部10eは、爾後のWSS信号を抽出した場合、WSS信号から映像のアスペクト比を抽出する。VBI信号分離部10eは、抽出した映像のアスペクト比をCPU11に出力する。CPU11は、映像のアスペクト比を受け付け、受け付けた映像のアスペクト比で映像信号を処理するように、映像出力変換部17に命令する。
CPU11は、VBI信号分離部10eがWSS信号を抽出できないと判定し、その結果を受け付けた場合、映像出力変換部17に何も命令しない。かかる場合、映像出力変換部17は、最後に記録部に記録されたアスペクト比に基づいて、映像信号を生成する。
【0063】
CPU11は、TVモードからTVモード以外のAVモードに移行するモード切替信号を受信したか否か判断する。CPU11は、TVモード以外のAVモードに移行するモード切替信号を受信していない場合、受信強度が弱い場合の上記の処理を繰り返す。
CPU11は、TVモード以外のAVモードに移行するモード切替信号を受信した場合、チューナ部10からアンテナAの受信強度及び選局しているチャンネルの受信強度を受け付け、メモリ12に記録する。ここで、TVモード以外のAVモードは、外部入力モード、スタンバイモード及びパワーオフモードである。アンテナA等の受信強度をメモリ12に記録する理由は、再びTVモードに移行した場合、その後アンテナA等の受信強度の検出及び記録処理を省くためである。
【0064】
CPU11は、受信したモード切替信号が外部入力モードであり、その後TVモードのモード切替信号を受信した場合、パワーオン後にWSS信号を抽出する処理に戻る。
CPU11は、受信したモード切替信号がスタンバイモードである場合、節電のため待機状態になる。
CPU11は、受信したモード切替信号がパワーオフモードである場合、処理を終了する。
【0065】
図5、図6、図7及び図8は、受信装置1の処理の手順を示すフローチャートである。
CPU11は、受信装置1の電源スイッチが入れられた場合、メモリ12から最後に記録されたAVモードを読み込み、当該AVモードがTVモードか否か判断する(ステップS101)。CPU11は、当該AVモードがTVモードでない場合(ステップS101:NO)、TVモードに移行するモード切替信号を受信したか否か判断する(ステップS102)。CPU11は、TVモードに移行するモード切替信号を受信しない場合(ステップS102:NO)、ステップS102に処理を戻す。
【0066】
CPU11は、受信装置1の電源スイッチが入れられた場合のAVモードがTVモードである場合(ステップS101:YES)、ステップS103に処理を進める。また、CPU11は、TVモードに移行するモード切替信号を受信した場合(ステップS102:YES)、ステップS103に処理を進める。
【0067】
CPU11は、アンテナAの受信強度及び選択されているチャンネルの受信強度をチューナ部10から受け付け、メモリ12に記録する(ステップS103)。
CPU11は、WSS信号を抽出できるか否か判断する(ステップS104)。CPU11は、WSS信号を抽出できると判断した場合(ステップS104:YES)、垂直同期信号からWSS信号の始まる時間と終わる時間とのタイミングを検出し、検出したタイミングをメモリ12に記録する(ステップS105)。CPU11は、WSS信号から映像のアスペクト比を抽出し、抽出した映像のアスペクト比をメモリ12に記録する(ステップS106)。CPU11は、メモリ12からアンテナAの受信強度及び選択されているチャンネルの受信強度を読み込む(ステップS107)。
【0068】
一方、CPU11は、WSS信号を抽出できないと判断した場合(ステップS104:NO)、ダブルチューナに係るステップS108〜ステップS112の処理に移行する。
CPU11は、WSS信号を抽出できないと判断した場合(ステップS104:NO)、受信装置1がダブルチューナ搭載型であるか否か判断する(ステップS108)。CPU11は、受信装置1がダブルチューナ搭載型でないと判断した場合(ステップS108:NO)、ステップS103に処理を戻す。CPU11は、受信装置1がダブルチューナ搭載型であると判断した場合(ステップS108:YES)、別のチューナ部20によりWSS信号を抽出できるか否か判断する(ステップS109)。
【0069】
CPU11は、別のチューナ部20によりWSS信号を抽出できないと判断した場合(ステップS109:NO)、別のチューナ部20のAGC20cにより増幅回路20aのゲインを所定の値だけ上げ(ステップS110)、ステップS109に処理を戻す。CPU11は、別のチューナ部20によりWSS信号を抽出できると判断した場合(ステップS109:YES)、垂直同期信号からWSS信号が始まる時間と終わる時間とのタイミングを夫々検出し、検出した各タイミングをメモリ12に記録する(ステップS111)。CPU11は、WSS信号から映像のアスペクト比を抽出し、抽出した映像のアスペクト比をメモリ12に記録する(ステップS112)。その後、CPU11は、ステップS107に処理を移す。
【0070】
ステップS110では、AGC20cにより増幅回路20aのゲインを上げる方向にのみ変更している。しかし、電波強度が強すぎてWSS信号を抽出できないような場合には、AGC20cにより増幅回路20aのゲインを下げてもよい。あるいは、ループ処理により、ステップS110が何回も繰り返される場合、AGC20cにより増幅回路20aのゲインを上げる処理とゲインを下げる処理とを所定回数ずつ繰り返してもよい。
また、VBI信号分離部20eがWSS信号を抽出できない場合、垂直同期信号からWSS信号が始まる時間と終わる時間とのタイミングを少しずつ変化させ、WSS信号を抽出してもよい。
【0071】
CPU11は、アンテナAの受信強度が弱か否か判断する(ステップS113)。CPU11は、アンテナAの受信強度が弱であると判断した場合(ステップS113:YES)、ステップS118に処理を進める。CPU11は、アンテナAの受信強度が弱でないと判断した場合(ステップS113:NO)、選択されているチャンネルの受信強度が弱か否か判断する(ステップS114)。CPU11は、選択されているチャンネルの受信強度が弱であると判断した場合(ステップS114:YES)、ステップS118に処理を進める。
【0072】
ステップS115〜ステップS117の処理は、アンテナA及び選択されているチャンネルの受信強度が弱でない場合、CPU11によって行われる通常処理である。
ステップS118以降の処理は、アンテナA又は選択されているチャンネルの受信強度が弱である場合、CPU11によって行われる処理である。
【0073】
CPU11は、選択されているチャンネルの受信強度が弱でないと判断した場合(ステップS114:NO)、アスペクト比の一致回数が4回以上か否か判断する(ステップS115)。ここで、一致回数が4回以上とは、次々と抽出した爾後のWSS信号から抽出したアスペクト比が連続して4回一致するという意味である。
CPU11は、アスペクト比の一致回数が4回以上と判断した場合(ステップS115:YES)、一致したアスペクト比に映像を反映させ(ステップS116)、ステップS115に処理を戻す。
【0074】
CPU11は、アスペクト比の一致回数が4回以上ではないと判断した場合(ステップS115:NO)、ステップS117へ処理を移す。ここで、アスペクト比の一致回数が4回以上ではない場合とは、アスペクト比の一致回数が4回になる前に、一回でもアスペクト比の不一致が起きた場合である。
【0075】
CPU11は、アスペクト比の不一致回数が11回以上か否か判断する(ステップS117)。ここでの不一致回数が11回以上とは、連続してアスペクト比が11回不一致になるという意味である。不一致回数が11回以上ではないとは、不一致回数が11回まで累積する前に、アスペクト比の一致が起こる場合である。
CPU11は、アスペクト比の不一致回数が11回以上と判断した場合(ステップS117:YES)、ステップS118に処理を移す。CPU11は、アスペクト比の不一致回数が11回以上ではないと判断した場合(ステップS117:NO)、ステップS115に処理を戻す。
【0076】
CPU11は、メモリ12からWSS信号のタイミングを読み込む(ステップS118)。CPU11は、読み込んだWSS信号のタイミングからWSS信号を抽出できるか否か判断する(ステップS119)。CPU11は、読み込んだタイミングでWSS信号を抽出できると判断した場合(ステップS119:YES)、爾後のWSS信号を抽出し、更にWSS信号から映像のアスペクト比を抽出し、抽出したアスペクト比に映像を反映させる(ステップS120)。CPU11は、読み込んだタイミングでWSS信号を抽出できないと判断した場合(ステップS119:NO)、ステップS121に処理を進める。
【0077】
CPU11は、TVモード以外のモード切替信号を受信したか否か判断する(ステップS121)。CPU11は、TVモード以外のモード切替信号を受信していないと判断した場合(ステップS121:NO)、ステップS118に処理を戻す。すなわち、CPU11は、TVモードのままである場合、ステップS118に処理を戻す。
CPU11は、TVモード以外のモード切替信号を受信したと判断した場合(ステップS121:YES)、アンテナAの受信強度及び選択されているチャンネルの受信強度をチューナ部10から受け付け、メモリ12に記録する(ステップS122)。なお、ステップS122で選択されているAVモードは、外部入力モード、スタンバイモード又はパワーオフモードである。
【0078】
CPU11は、ステップS121で判断した対象のAVモードが外部入力モードか否か判断する(ステップS123)。CPU11は、ステップS121で判断した対象のAVモードが外部入力モードであると判断した場合(ステップS123:YES)、TVモードへ切り替えるモード切替信号を受信したか否か判断する(ステップS124)。CPU11は、TVモードへ切り替えるモード切替信号を受信していないと判断した場合(ステップS124:NO)、ステップS124に処理を戻す。CPU11は、TVモードへ切り替えるモード切替信号を受信したと判断した場合(ステップS124:YES)、ステップS104に処理を戻す。
【0079】
CPU11は、ステップS121で判断した対象のAVモードが外部入力モードでないと判断した場合(ステップS123:NO)、ステップS121で判断した対象のAVモードがパワーオフモードか否か判断する(ステップS125)。ステップS125において、ステップS121で判断した対象のAVモードは、スタンバイモード又はパワーオフモードである。
CPU11は、ステップS121で判断した対象のAVモードがパワーオフモードでないと判断した場合(ステップS125:NO)、ステップS125に処理を戻す。すなわち、CPU11は、ステップS125においてスタンバイモードが選択されたと判断した場合、待機状態に入る。
CPU11は、ステップS121で判断した対象のAVモードがパワーオフモードであると判断した場合(ステップS125:YES)、処理を終了する。
【0080】
アナログテレビ放送、ディスクレコーダ等で扱われる映像信号には、映像信号以外の情報を表す付加情報が付加されている。例えば、画面を描き終わってから、次の画面を描きはじめるまでの垂直帰線期間には、VBI信号として付加情報が送信されている。付加情報には、文字放送情報に係るテレテキスト、字幕に係るCC、映像のアスペクト比に係るWSS等がある。
【0081】
電波強度が微弱な地域では、映像のアスペクト比の信号を含むWSS信号を正常に抽出できない場合がある。映像を描画するためのカラーバースト信号等については抽出精度が高いが、WSS信号は付加的な機能であるため、抽出精度及び信号判定精度が低い。テレビ受像機は、アスペクト比を検知した場合、検知したアスペクト比に従って映像の縦横のサイズを変更する。しかし、テレビ受像機は、アスペクト比を検知できない場合、映像の縦横のサイズを最後にメモリに記録した映像の縦横のサイズに戻す。
このため、テレビ受像機がアスペクト比を全く抽出できない場合、映像の縦横のサイズに変化は起こらず問題はない。しかし、電波強度が微弱な地域では、テレビ受像機はアスペクト比を抽出したり、抽出しなかったりを繰り返す。そのため、映像の縦横のサイズが不規則な時間間隔で頻繁に切り替わり、テレビ番組の視聴に悪影響を及ぼす。
【0082】
本実施の形態に係る受信装置1は、2つのチューナ部10、20を搭載している。1つのチューナ部10がWSS信号を抽出できない場合、表示装置3に映像信号を出力していないもう1つのチューナ部20がWSS信号を抽出する。もう1つのチューナ部20のAGC20cは、増幅回路20aのゲインを上げてWSS信号を抽出する。そのため、受信装置1は、WSS信号の抽出精度を上げることができ、アスペクト比の判定精度を向上させることができる。
【0083】
受信装置がチューナを1つだけ搭載し、そのチューナのAGCによりゲインの上げ下げを行う場合、信号強度が大きくなったり小さくなったりするため、ユーザは映像に対して違和感を感じる。しかしながら、受信装置1によれば、ユーザの視聴に係るチューナ部10とは別のチューナ部20のAGC20cにより増幅回路20aのゲインの上げ下げを行うため、視聴への悪影響は生じない。
【0084】
受信装置1は、2つのチューナ部10、20を含むが、3つ以上のチューナ部を含んでもよい。また、受信装置1は、複数のVBI信号分離部10e、20eを有するチューナ部10、20を1つ又は複数含んでもよい。
【0085】
受信装置1によれば、WSS信号のタイミングに基づいてWSS信号を抽出するため、電波強度が微弱な地域であっても、WSS信号を抽出することができる。映像信号は周期的なフィールド又はフレームを単位として繰り返し伝送されるので、例えば所定の垂直同期信号からWSS信号までのタイミングが既知であれば、WSS信号を抽出することができる。そこで、受信装置1はWSS信号のタイミングを予め検出し、メモリ12に記録しておくことにより、後にメモリ12からWSS信号のタイミングを読み込む。受信装置1はメモリ12から読み込んだWSS信号のタイミングに基づいてWSS信号を抽出する。これにより、受信装置1は電波強度が微弱な環境であっても、WSS信号の誤判定を減らすことができる。また、受信装置1はWSS信号に含まれる映像のアスペクト比を安定して抽出することができる。
【0086】
受信装置1によれば、アンテナAの受信強度及び選局チャンネルの受信強度に基づいて、通常の方法でWSS信号を抽出するか、又はWSS信号のタイミングを利用してWSS信号を抽出するかを判断する。受信強度が通常であれば、複数回一致によりWSS信号を抽出する。一方、受信強度が弱であれば、WSS信号のタイミングを利用してWSS信号を抽出する。受信強度に応じてWSS信号の抽出方法を切り分けることにより、WSS信号の誤判定を減らすことができる。
【0087】
選局チャンネルの受信強度は、その周波数によって異なる。また、選局チャンネルの受信強度は、アンテナAの受信強度とも異なる。そこで、アンテナAの受信強度及び選局チャンネルの受信強度を組み合わせて、受信強度が通常か弱かを判定することにより、よりきめ細かい対応が可能となる。
例えば、アンテナAの受信強度が通常であっても、ユーザが視聴する選択チャンネルの受信強度が弱であれば、通常の複数回一致を実施した場合、長時間を要す可能性が高い。かかる場合は、WSS信号のタイミングを利用したWSS信号の抽出が得策である。
【0088】
受信装置1は、例えば、テレビチューナ、テレビ受像機、テレビチューナを搭載したレコーダ、テレビチューナを搭載したパーソナルコンピュータ、テレビチューナを搭載した携帯電話、テレビチューナを搭載したPDA(personal digital assistant)等である。
【0089】
本実施の形態では、アナログテレビ放送を扱った。しかし、将来、デジタルテレビ放送及びIP放送の規格に垂直帰線期間の概念が盛り込まれた場合、本実施の形態に係る受信装置1をデジタルテレビ放送及びIP放送に好適に応用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 受信装置
10、20 チューナ部
10e、20e VBI信号分離部
12e、22e 抽出部
13e、23e 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョン放送を受信する受信手段と、
該受信手段が受信したテレビジョン放送の映像信号の垂直帰線期間に重畳されている付加情報信号を抽出する信号抽出手段と
を備え、
該信号抽出手段は、
前記付加情報信号に含まれる付加情報の種類を示す識別コードを抽出するコード抽出手段と、
該コード抽出手段が抽出した識別コードが所定の規格に定められた識別コードと一致するか否か判定するコード判定手段と
を有し、
該コード判定手段により識別コードが所定の規格に定められた識別コードと一致すると判定された場合、前記映像信号から爾後の付加情報信号を抽出するようにしてある受信装置において、
前記信号抽出手段を複数備え、
一の信号抽出手段が有する前記コード抽出手段が識別コードの抽出に失敗した場合、又は一の該信号抽出手段が有する前記コード判定手段により識別コードが所定の規格に定められた識別コードと一致しないと判定された場合、他の信号抽出手段が爾後の付加情報信号を抽出するようにしてある
ことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記受信手段が受信したテレビジョン放送の受信信号を増幅する増幅手段と、
該増幅手段の利得を制御する利得制御手段と
を備え、
該利得制御手段は、
前記信号抽出手段が有する前記コード抽出手段が識別コードの抽出に失敗した場合、又は該信号抽出手段が有する前記コード判定手段により識別コードが所定の規格に定められた識別コードと一致しないと判定された場合、前記増幅手段の利得を変更するようにしてある
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記受信手段が受信したテレビジョン放送の映像信号に含まれる所定の信号を検出した時点と、前記付加情報信号の開始及び終了を各検出した時点の夫々との時間差を検出する時間差検出手段
を備え、
前記信号抽出手段は、
前記所定の信号を検出したタイミング及び前記時間差検出手段が検出した各時間差に基づいて、爾後の付加情報信号を抽出するようにしてある
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記時間差検出手段が検出した各時間差を記録する時間差記録手段
を備え、
前記信号抽出手段は、
前記所定の信号を検出したタイミング及び前記時間差記録手段が記録した各時間差に基づいて、爾後の付加情報信号を抽出するようにしてある
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項5】
前記受信手段が受信したテレビジョン放送の受信信号の強度を検出する強度検出手段と、
該強度検出手段により検出された受信強度が所定の受信強度より弱か否か判定する強度判定手段と
を備え、
前記信号抽出手段は、
前記強度判定手段が弱と判定した場合、爾後の付加情報信号を抽出するようにしてある
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項6】
前記受信手段が受信するテレビジョン放送を選局する選局手段と、
該選局手段が選局したテレビジョン放送の受信強度を検出する選局強度検出手段と、
該選局強度検出手段により検出された受信強度が所定の受信強度より弱か否か判定する選局強度判定手段と
を備え、
前記信号抽出手段は、
前記選局強度判定手段が弱と判定した場合、爾後の付加情報信号を抽出するようにしてある
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項7】
前記付加情報信号は、映像のアスペクト比を指定するWSS信号を含む
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−228904(P2011−228904A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96229(P2010−96229)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】