説明

受信装置

【課題】マルチパス環境においても良好な受信性能が得られる受信装置を得ること。
【解決手段】本発明は、航空機に搭載されたトランスポンダより送信されたモードS信号を受信する受信装置であって、受信データをオーバサンプルし、連続または非連続な複数のビット区間における全サンプル結果について、受信電力に基づき量子化を行い、量子化後の各サンプル結果のパターンを、予め用意しておいた、取りうるサンプルパターンにそれぞれに対応するビット判定値が示されたテーブルと比較してビット判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線信号の受信装置に関するものであり、特に、航空機に搭載されるトランスポンダなどから送信されるモードS応答信号の受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機のトランスポンダなどから発せられるモードS応答信号は、二次監視レーダ(Secondary Surveillance Radar)で利用される1090MHz帯で伝送される伝送方式のひとつである。モードS信号は、ADS−B(Automatic Dependent Surveillance−Broadcast)と呼ばれる放送型のデータリンクの物理伝送方式としても利用され、この信号を空港周辺の複数の地上受信局で受信し、到来時間差から測位を行うマルチラテレーションへの適用が検討されている。
【0003】
モードS信号は伝送速度が1Mbpsの2値PPM方式で伝送される。1つの応答信号は、8μsのプリアンブル部と、それに続く56μsまたは112μsのデータブロック区間で構成される。プリアンブル部を含むモードS信号の冒頭の波形を図7(a)に示す。データ1ビットは、前半部と後半部のいずれかにパルス(レベルがHighの区間)が配置される1μsの区間で伝送される。一般的なモードS信号の受信装置は、受信RF信号に対して包絡線検波を実施し、その出力を対数アンプで変換した結果をA/D変換し、プリアンブル部において受信信号レベルに基づくタイミング抽出および基準レベル生成を実施した後、その結果に基づき、データブロック区間の各ビットの判定を実施する。
【0004】
具体的なビット判定方法として、1ビット区間に2つ含まれるパルス候補のそれぞれの中点でサンプルして、2点のレベル比較によって判定する方法(第1の方法)のほか、1ビット区間の受信信号を複数点でサンプルして、上記基準レベルからの相対電力によって各サンプルを4値に量子化した系列からテーブルに対するインデクス(引数)を生成し、予め用意したテーブルから判定ビットを取り出す方法(第2の方法)が非特許文献1で開示されている。図7(b)に図7(a)の希望波波形に対して一定の位相オフセットをもった同一の波形が0.3μs程度の遅延時間で重畳した場合の波形例を示す。図7の(a),(b)それぞれについて送信ビット「1」である場合の1ビット区間の受信信号を切り出したものをそれぞれ図8の(a),(b)に示す。後者の方式(第2の方法)では、各ビットに対応する受信区間について、例えば10点サンプリングを行い、各サンプルをプリアンブル部で測定した基準の受信レベルに対する相対値−6dB,−3dB,3dBを境界として4値に量子化する。この量子化した系列からテーブルのインデクスを生成する。図8(a)ではインデクスは4進数表現で「2222200000」、図8(b)では「2223311100」である。干渉や雑音が無視できる環境では送信ビット1に対して図8(a)の波形が得られるが、干渉の混入によって図8(b)のような乱れた波形が受信されることがある。この方式では、図8(b)の信号を受信した場合でも一定の精度で信号検出が可能なようにテーブルを作成しておく。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Radio Technical Commission for Aeronautics(RTCA),‘Minimum Operational Performance Standards for 1090Mhz Automatic Dependent Surveillance−Broadcast’,DO−260A,2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のビット判定方法のうち、1ビット受信区間を多数回サンプルしてテーブルから判定ビットを引き出す方式では、1ビットのパルス候補点をそれぞれ1回サンプルする場合と比較して性能向上を期待できる。しかしながら、マルチパスによる遅延波が受信信号に重畳する環境では適した方法とは言えない。この理由について以下に説明する。
【0007】
図7(b)に示した受信信号に含まれている遅延波成分を希望波に対して偶然同じ系列を出力する別航空機からの非同期干渉であるとみなせば、マルチパスによる遅延波に対しても一定の性能改善効果を得ることができるものの、マルチパスは希望波に対して相関を持った波形であり、データブロック全体に影響を及ぼす。この点で、各ビット判定を1ビット受信信号区間のみで行う場合十分な性能が得られない可能性がある。例えば図7(b)のように、遅延波の遅延時間が0.5μs以下の場合は、1ビット区間の前半にパルスが存在する送信ビット「1」の波形(図7(a)の9〜10μsの区間の波形など)に対する受信信号の遅延波成分はこの1ビット区間内に収まっているが、1ビット区間の後半にパルスが存在する送信ビット「0」の波形(図7(a)の8〜9μsの区間の波形など)は次の1ビット区間に受信信号の遅延波成分が漏れてしまう。また、図7(c)のように、0.5μsより大きい遅延時間の波形が到来する場合は、送信ビット「0」および「1」の波形に対する受信信号は次の1ビット区間以降に遅延波成分が漏れるようになる。このため、マルチパスによる遅延波が波形歪みの要因として支配的な環境では、1ビット受信区間内だけで各送信ビットを判定することは、十分なビット検出性能が得られない可能性がある。これに対して、テーブル作成時のシミュレータに非同期干渉の他にマルチパスを模擬した環境を用意することで性能を改善できる可能性があるが、一定のチャネルモデルを仮定した環境で生成したテーブルを用いて判定を行う受信機は、シミュレータ上の伝搬環境モデルと、実運用環境との間に差異がある場合は、性能が十分に引き出せない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、マルチパス環境においても良好な受信性能が得られる受信装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、航空機に搭載されたトランスポンダより送信されたモードS信号を受信する受信装置であって、受信データをオーバサンプルし、連続または非連続な複数のビット区間における全サンプル結果について、受信電力に基づき量子化を行い、量子化後の各サンプル結果のパターンを、予め用意しておいた、取りうるサンプルパターンにそれぞれに対応するビット判定値が示されたテーブルと比較してビット判定を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、希望波と遅延波を含む複数のビット区間にわたってビット判定を行うこととしたので、遅延波部分の受信電力を有効に利用することができ、その結果、データブロックのビット判定精度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明にかかる受信装置が使用するテーブルの説明図である。
【図2】図2は、本発明にかかる受信装置の実施の形態1の構成例を示す図である。
【図3】図3は、実施の形態1の受信装置によるプリアンブル検出およびチャネル推定の一例を示す図である。
【図4】図4は、複数ビット区間での受信データのサンプリング例を示す図である。
【図5】図5は、判定ビットを取り出すテーブルの一例を示す図である。
【図6】図6は、実施の形態2の受信装置の構成例を示す図である。
【図7】図7は、モードS信号の波形の一例を示す図である。
【図8】図8は、モードS信号のサンプル結果を量子化する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる受信装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
後述する各実施の形態においては、1ビット区間の受信信号を複数点でサンプルして、上記基準レベルからの相対電力によって各サンプルを4値に量子化した系列からテーブルに対するインデクス(引数)を生成し、予め用意したテーブルから判定ビットを取り出すことにより受信データを復号する場合を想定する。
【0014】
ここで、復号処理で使用するテーブルの作成方法を示す。図1は、本発明にかかる受信装置が使用するテーブルの説明図であり、テーブル作成の概念を説明する図である。適当な干渉頻度,雑音条件を予め設定し、ランダムな系列を送信する送信機からの希望波と、別送信機から非同期に到来する妨害波を重畳して受信信号を生成するシミュレータを構築し、1ビット区間を複数回(例えば10回)サンプリングし、4値の量子化を行って得たパターンに対して、その時の希望波を生成した送信機からの送信ビットを記録する。これを十分な回数繰り返して、各パターンに対する送信ビットが「1」である割合と、「0」である割合の比を算出する。算出結果の例を図1(a)に示す。図1(a)の例では、パターン「0000000000」を受信した場合の送信側の送信ビットが1である確率が48%、0である確率が52%であったことを示している。この比に応じて、各パターンつまりインデクスに対応する判定ビットと、その判定ビットの信頼性を計算する。各パターンに対して50%以上送信した側を判定ビットとし、判定ビット側の割合が例えば90%を超えている場合に信頼度をHighとする。それ以外の場合は信頼度をLowとする。図1(a)の結果から生成されたテーブルの例を図1(b)に例を示す。図1(b)に示すようにテーブルが構成されている場合、「2222200000」、「2223311100」に対しては両者とも「1」と判定することができる。
【0015】
ここで、信頼度は、ビット判定後に実施されるCRC(Cyclic Redundancy Check)によるシンドローム計算に基づく誤り検出・誤り訂正などに利用される。また、テーブルのインデクス数は、量子化レベルの取り得る値と1ビットに対して使用するサンプル点数で決まり、4値の量子化で10点取得する場合では、4の10乗となる。
【0016】
実施の形態1.
図2〜図5を用いて本実施の形態の受信装置を説明する。図2は、本発明にかかる受信装置の実施の形態1の構成例を示す図である。図3は、本実施の形態の受信装置によるプリアンブル検出およびチャネル推定の一例を示す図であり、図4は、複数ビット区間での受信データのサンプリング例を示す図であり、図5は、取得したサンプルから判定ビットを取り出すテーブルの一例を示す図である。
【0017】
図2に示したように、本実施の形態の受信装置は、アンテナ1、検波部2、プリアンブル検出部3、チャネル情報推定部4、インデクス生成部5、ビット・信頼度判定部6、テーブル制御部7、CRC計算部8およびレポート生成部9を備える。
【0018】
このような構成の受信装置において、検波部2は、アンテナ1が受信したアナログ信号を包絡線検波し、包絡線検波結果である振幅情報をデジタル信号に変換して出力する。検波部2は、包絡線検波後に対数アンプを通過させる処理を含む構成としても良い。また、出力する情報は振幅情報の2乗である電力情報としてもよい。以降の説明では、振幅と電力は2乗と平方根で結びつくため、読み替えて実施することが可能である。さらに、検波部2の内部処理は、上述の包絡線検波のかわりに直交検波を利用し、同相成分と直交成分をそれぞれデジタル信号として出力する構成としても良い。この場合は、後述する各処理部で振幅情報もしくは電力情報が必要な場合には、同相成分の2乗と直交成分の2乗の和によって算出すればよい。
【0019】
なお、検波部2から出力される受信データは、1ビットの受信区間である1μsの間に規定の回数だけサンプルされたデータ列である。検波部2からの出力は、プリアンブル検出部3、チャネル情報推定部4およびインデクス生成部5に供給される。
【0020】
プリアンブル検出部3では、検波部2から受け取った情報(振幅情報、電力情報など)に基づいてプリアンブル検出を行う。具体的には、振幅情報を受け取ったのであれば、振幅データ列の変化率をもとにパルス立ち上がり検出を行い、プリアンブル部(プリアンブル区間)に存在する4つのパルス(図7(a)参照)の受信状況を、振幅データが規定の時刻の間で閾値を超えているかどうか確かめることによってプリアンブル検出を実施し、データブロックのビットタイミングを知るためのタイミング情報と、プリアンブル部の各パルスから推定した受信電力を示す受信レベル情報とをチャネル情報推定部4に出力する。
【0021】
図3では、プリアンブル部の先頭2μs分の受信信号の例を示しており、図3(a)は希望波のみが受信される場合、図3(b)はマルチパスが0.75μs程度の遅延時間を持って重畳した場合の受信信号例を示している。上述の通り、プリアンブル検出部3は、受信信号レベルと変化率の大きさに基づいてプリアンブルを検出するため、たとえば2つの連続するサンプル間の受信信号の差である変化率を計算するエッジ検出回路(不図示)を含んでいる。図3の(a)と(b)の下部には対応するエッジ検出回路出力の例を示している。図3(a)に示した希望波のみの受信時では、先頭のパルス立ち上がりから0.50μs後に受信信号のレベルが低下し、1.00μs後に再度立ち上がる様子を示している。プリアンブル検出部3では、エッジ検出回路の出力絶対値が閾値を超えているかどうかで振幅の変動を検出し、パルス検出のために利用することができる。一方、図3(b)に示したマルチパス環境では、先頭のパルス立ち上がりから、遅延波遅延時間である0.75μs後に立ち上がりを検出し、本来の希望波到来タイミングである1.00μs時点では、エッジ検出回路の出力絶対値は、図3(a)と比較して異なるものになっている。これは遅延波が重畳したことで振幅が強めあうもしくは弱めあうことによる。このため、マルチパス対策を含む本実施の形態のプリアンブル検出部3では、図3(b)のような信号を受信してもプリアンブル検出を見逃さないようにするため、先頭のパルス立ち上がり検出から後の受信信号で想定時刻におけるパルスの受信レベルやエッジ検出出力の絶対値などによる確認処理では、閾値を低く設定するようにすることが望ましい。
【0022】
チャネル情報推定部4は、プリアンブル検出部3から得られるタイミング情報および受信レベル情報と、検波部2から受け取った受信信号データ列とに基づいて、遅延波の検出、遅延波到来時間など遅延波に関する情報の推定、およびモードS信号のパルス幅の推定を行う。また、遅延波に関する情報の推定結果およびパルス幅の推定結果をチャネル情報としてインデクス生成部5およびテーブル制御部7に出力する。
【0023】
チャネル情報推定部4は、検波部2からの受信信号データ列からエッジ検出を実施するためのエッジ検出回路を持つか、もしくはプリアンブル検出部3内のエッジ検出回路で生成されたエッジ検出回路出力を受け取るように構成される。チャネル情報推定部4は、上記タイミング情報および受信レベル情報から、図3(a)のような各時刻で想定される受信レベルおよびエッジ検出回路出力を生成でき、例えば、想定したエッジ検出回路出力の絶対値が大きくなる時刻での実際のエッジ検出出力値や、想定したパルス受信時間での受信レベルが閾値を超えているかどうかによって、受信した信号の波形が想定した受信波形(希望波のみの波形)と一致しているかどうかを確認する。図3(b)の例では、0.75μs後に遅延波成分の先頭が現れるが、図3(a)のように本来想定したエッジ検出回路出力に対して、異なるタイミングである0.75μsの時点でエッジを検出しており、それまでの時刻では図3(b)と図3(a)は同一のデータとなっている。これより、想定された図3(a)と初めて異なるエッジ検出回路のピークもしくは受信レベルを検出した時刻が遅延波の遅延時間(遅延波到来時間)であることを推定できる。遅延波の遅延時間推定後は、この推定値が正しいかどうかを確かめることができる。例えば、0.75μsに遅延波のパルス立ち上がれば、さらに0.5μs後には遅延波成分のパルスは立ち下がる。立ち上がり,立ち下がりを例えばエッジ検出結果について閾値を設けて判定する等の方法により、推定した遅延波遅延時間が正しいかどうかを確認する処理をプリアンブル部に含まれる4つのパルスについて実施することで、遅延波の到来時間を精度良く推定することが可能になる。
【0024】
なお、検波部2が直交検波方式を採用しており、振幅(電力)情報の他に位相情報を利用できる場合、チャネル情報推定部4は、マルチパス到来タイミングの推定を位相情報を利用して行ってもよい。受信信号の位相は、送信機固有の周波数偏差を持って一定の速度で回転するが、遅延波が重畳する瞬間に位相が不連続になるため、遅延波遅延時間の推定に位相情報を使用することができる。また、遅延波の推定した遅延時間をもとに、遅延波単独の受信電力を求めても良い。例えば図3(b)のように遅延波が1波であれば、0.75μsから1.00μsの区間におけるレベル測定をもとに遅延波電力を推定可能である。また、位相情報が使用可能であれば、遅延波単独の受信期間が明瞭でない場合も、希望波電力と希望波と遅延波の位相等が算出できれば、遅延波単独の電力を推定することができる。
【0025】
チャネル情報推定部4は、遅延波に関するチャネル情報の他に、送信機側のパルス整形性能の差異に起因するパルス幅を検出することができる。図3(b)の例では、遅延波遅延時間である0.75μsまでの間は希望波のみが受信できるので、この区間における受信値が設定した閾値(例えば、プリアンブル検出部3で生成した基準レベル−3dB)を超えている時間幅によってパルス幅を計算する。
【0026】
以上のように、チャネル情報推定部4では、遅延波に関する情報やパルス幅の情報を含むチャネル情報を生成し、このチャネル情報を、プリアンブル検出部3から受け取った情報(タイミング情報および受信レベル情報)と共にインデクス生成部5とテーブル制御部7に渡す。なお、遅延波の推定に関して、遅延時間の異なる複数の遅延波を推定して出力してもよい。多数の遅延波を検出した場合は、より希望波に対して強い干渉を起こすと見られる遅延波以外を無視する構成としても良い。例えば、上述の通り遅延波単独の受信電力が推定できる構成において、遅延波単独の電力が小さい遅延波は出力しないように構成することで、この機能を実現できる。
【0027】
インデクス生成部5は、テーブルを参照するためのインデクスを生成する。すなわち、インデクス生成部5は、検波部2から受け取った受信信号データ列と、チャネル情報推定部4から受け取ったチャネル情報と、プリアンブル検出部3からチャネル情報推定部4を経由して取得したタイミング情報および受信レベル情報とを入力とし、これらの入力情報に基づいてテーブルインデクスを生成・出力する。
【0028】
インデクスの生成例について、図4を用いて説明する。図4(b)のように、遅延波の遅延時間が1μsに満たない場合は、各送信ビットに対して希望波と遅延波の受信期間は2ビットの受信区間に収まるため、各ビットの判定に際して、希望波の受信タイミングの1ビット区間に加え、直後に続く1ビットの区間の計2ビット区間の受信信号を対象として、インデクスを生成する。ここでは、遅延波遅延時間0.75μsで、連続な2ビット区間(2μs)を対象にインデクス生成を行う場合の例について説明する。また、各受信サンプルは上述した従来例と同様に4値で量子化し、1ビット区間あたりのサンプル数を10点として説明する。この場合、連続な2ビット区間(2μs)で取得されるサンプルは計20個である。
【0029】
例えば、図4(b)で先頭のビットを判定するための合計20個の受信データ系列から生成されるインデクスは、「22222000112222200011」である。この2ビット区間の受信データに対して1ビットの判定値と、信頼度を出力するテーブルを用意し、ビット判定を実施することができる。次のビット判定では、インデクス判定に使用する対象区間を1ビットずらして同様に処理する。例えば、図4(b)で2ビット目を判定するための合計20個の受信データ系列から生成されるインデクスは、「22222000111110022222」である。上記の例において、1ビット区間で10サンプル取得し、2ビット区間で合計20サンプルデータを取得してテーブルから判定値を取り出す処理を説明したが、この時のテーブルサイズ(総インデクス数)は4の20乗になる。このようなサイズのテーブルを実装するのは困難であるため、図4のようにサンプルを複数個にグループ化して複数個のテーブルに対するインデクスを生成するように構成することができる。図4ではサンプルを交互にグループA,グループBの2つに分割する例を示している。このとき、先頭ビットの判定に対してグループAから生成されるインデクスは「2220122201」、グループBから生成されるインデクスは「2200122001」である。なお、A/D変換により生成されるデータのレートがテーブルに利用するデータのサンプルレートより高い場合のレート変換方法としては、単純に間引き処理する方法や、平均化処理による方法が挙げられる。
【0030】
ビット・信頼度判定部6は、インデクス生成部5で生成されたインデクスを受けとり、シミュレーションにより生成されたテーブルから判定値と信頼度を出力する。インデクス生成部5で生成されるインデクスが例えば上述の説明のようにグループAとグループBの2つのグループに分割される場合は、図5のようにグループAに対するテーブル10、グループBに対するテーブル11を保持し、それぞれ判定値と信頼度を出力する。
【0031】
例えば、グループAのテーブル10から「2220122201」の判定値Pと信頼度pを、グループBのテーブル11から「2200122001」の判定値Qと信頼度qを取り出したとする。この2つの結果から最終的な出力を導出する方法の例として、P=Qが成り立つ場合は判定値Pを出力し、P=Qでない場合は両者の信頼度p,qの大小関係に基づき、より高い信頼度の判定値PもしくはQを出力する。P=Qでなくかつp=qである場合は、例えば既存の非特許文献1と同様に1ビット区間の受信期間に基づくインデクスを生成し、予め用意した別の1ビット受信区間に対応するテーブルからそのインデクスに対して判定値を出力するようにしてもよい。p=qになる確率を低下させるために、信頼度の値をLow,Highの1ビット表現でなく、多ビット表現としてもよい。より多くのグループに分割して並列に判定ビットを生成する構成にする場合は、最終的な判定ビットは多数決によって決定するように構成しても良い。
【0032】
以上のようにして出力した各ビットの判定結果に対する後段の処理は、従来と同様である。すなわち、CRC計算部8は、例えばCRCによる誤り検出と誤り訂正を行い、誤りのないデータブロックを検出した場合は、CRC計算結果およびデコード結果(ビット・信頼度判定部6における各ビットの判定結果)をレポート生成部9に出力し、レポート生成部9にてデータブロックをデコードしてターゲットレポート生成を行う。
【0033】
このように、本実施の形態の受信装置においては、希望波と遅延波を含む複数のビット区間にわたってビット判定を行うこととしたので、遅延波部分の受信電力を有効に利用することができ、その結果、データブロックのビット判定精度を向上させることができる。また、取得データをグループ化して各グループ用のテーブルから判定結果を導き、信頼度もしくは多数決に基づいて最終的な判定ビットを出力するように構成することで、テーブルサイズの拡大を抑えながらビット判定の精度向上が可能になる。
【0034】
以上の説明においては、遅延波遅延時間が0.75μsの場合を想定し、連続な2ビット区間(2μs)を対象にインデクス生成を行う場合について説明したが、一般的に、希望波の受信タイミングの1ビット区間と、対応する遅延波成分を含む受信区間を対象としてデータを取得すればよく、遅延波が1波であれば、連続または非連続な複数のビット区間を対象に合計で2μs程度の取得サンプルからインデクスを生成すればよい。遅延波成分を含む受信区間は、チャネル情報推定部4で推定した遅延波遅延時間から求めることができ、インデクス生成部5は、遅延波遅延時間に基づいて各ビット判定に際してインデクス生成に用いる受信サンプル区間を変更する。テーブル制御部7では、インデクス生成部5におけるインデクス生成に使用されるサンプル区間に対応したテーブルがビット・信頼度判定部6で使用されるように、テーブル選択のための制御信号をビット・信頼度判定部6に送る。
【0035】
ビット・信頼度判定部6では、様々な遅延波遅延時間およびサンプル区間に対応したテーブルを用意しておき、テーブル制御部7から入力される選択のための制御信号に基づきテーブルを選択した後、インデクス生成部5からのインデクス値に基づいて判定値を出力する。なお、テーブル制御部7は削除可能である。この場合、インデクス生成部5は、生成したインデクスを出力する際に、例えばインデクス生成に使用したビット区間の情報を併せて出力し、この情報に基づいてビット・信頼性生成部6が対応するテーブルを選択して使用する。また、遅延波を複数検出した場合は、全遅延波成分を含むよう対象区間を拡大すればよいが、上述の通りチャネル情報推定部4で相対的にレベルの低い遅延波を無視するなどして対象データの絞り込みを行い、処理の複雑性や、テーブルサイズの抑制をはかってもよい。
【0036】
また、上記の複数ビット区間のデータ取得に際して、連続な2ビット区間を対象として各ビット判定をする場合、遅延波が重畳する2ビット目の区間には、希望波の後続ビット成分が含まれているので、後続ビットも含めて同時に判定してもよい。具体的には、テーブルから出力するビットを対象区間である2ビット分とする。3ビット以上の区間を対象にする場合は、同様に同時判定のビット数を増加させて良い。言うまでもなく、不連続なビット区間を対象にしたデータ取得を実施する場合も、同様に複数ビット出力テーブルを構成することができる。
【0037】
また、上述の通りチャネル情報推定部4で遅延波単独の受信電力や、希望波のパルス幅を推定している構成においては、推定した遅延波遅延時間に加えてこれらの結果も利用してテーブルの切り替え、インデクス生成のための受信データサンプル区間の切り替えを行っても良い。具体的には、遅延波電力の異なる環境を模擬するシミュレータで生成したテーブルを使うような切り替えを実施する、パルス幅が短い場合には、各パルスの端点に相当するサンプルを取得せずにテーブルも端点を無視して生成したものを利用する、などの方法が考えられる。
【0038】
以上のように、推定したチャネル情報に基づいてテーブルを切り替えたり、各ビット判定に対する受信データ取得区間を切り替えたりすることによって、シミュレータ上のチャネルモデルと、実機のチャネル状況を近づけることができ、よりビット判定の精度を向上させることができる。なお、チャネル情報に基づいてテーブルを切り替える方法は、1ビット判定における取得サンプル区間が複数ビット分に渡らない方式でも適用可能である。
【0039】
実施の形態2.
つづいて、実施の形態2の受信装置について説明する。本実施の形態の受信装置では、過去に測定したチャネル情報に基づいて受信処理を繰り返し行うことにより受信性能をさらに向上させる。すなわち、機体ごとのチャネル情報を記憶し、データブロック受信時には、同一機体からデータブロックを再度受信したものかどうかを判定し、CRC計算結果などに基づき受信失敗を検出した場合は、記憶しておいたチャネル情報に基づき再度受信処理を実施する。本実施の形態の受信装置は、実施の形態1で説明した受信装置(図2参照)に対し、チャネル情報に基づく受信処理を繰り返し行うための機能が付加された構成となっている。
【0040】
図6は、実施の形態2の受信装置の構成例を示す図である。本実施の形態の受信装置は、図2に示した受信装置のインデクス生成部5をインデクス生成部5aに置き換え、さらに、チャネル設定部12、機体判定部13、チャネル情報記憶部14および再処理制御部15を追加した構成をとる。図6においては、実施の形態1の受信装置と共通の構成要素に同一の符号を付している。実施の形態1と同一の符号を付した構成要素については説明を省略する。
【0041】
チャネル設定部12は、チャネル情報推定部4の出力(チャネル情報)を受け取り、インデクス生成部5aとテーブル制御部7に渡す機能に加え、受信データブロックに対する設定値(ビット判定動作の設定値)を記憶する機能を有している。また、記憶している設定値を再処理制御部15に伝える機能、再受信処理の対象となるデータと再受信処理で使用するチャネル情報とを再処理制御部15から受け取り、インデクス生成部5aとテーブル制御部7に渡す機能を有する。なお、図6に示したとおり、本実施の形態のチャネル情報推定部4は、実施の形態1で説明したチャネル情報をチャネル設定部12のみに出力し、インデクス生成部5a、テーブル制御部7に直接出力することはしない。
【0042】
インデクス生成部5aは、実施の形態1で説明したインデクス生成部5(図2参照)が有している機能に加え、異なるチャネル情報を用いて複数回の受信処理が可能となるように、受信信号を内部のメモリに記憶する機能を有する。チャネル設定部12からインデクス生成部5aに入力される情報は、チャネル情報推定部4で生成されるチャネル情報に加えて、再処理制御部15を介して得られる制御情報(チャネル情報推定部4で生成されるチャネル情報と同種の情報)、および、記憶した受信信号から設定したパラメータに従って再度インデクスを生成するよう命令する制御信号となる。
【0043】
テーブル制御部7の動作は、実施の形態1の受信装置に含まれているテーブル制御部7と同様であり、ひとつのデータブロックに対して受信処理を複数回行う機能はチャネル設定部12がテーブル制御部7を制御することで実現する。ビット・信頼度判定部6,CRC計算部8,レポート生成部9の内部動作も実施の形態1の受信装置に含まれている構成要素(同一符号が付された構成要素)と同様である。ただし、CRC計算部8は、レポート生成部9にCRC計算結果およびデコード結果を渡すとともに、機体判定部13および再処理制御部15にもこれらの情報を渡す。
【0044】
機体判定部13は、モードS信号の規格に従って、ビット・信頼度判定部6からの復号パターンなどから機体固有のアドレスを取り出し、チャネル情報記憶部14に渡す。このアドレスは、データブロック先頭5ビットのDFコードと呼ばれる信号の種類を示す識別符号によって伝送方法が異なるが、例えばDFコードが10進値で17である信号では、データブロック先頭から9ビット目およびこれ以降の24ビット(9〜32ビット目)の情報である。
【0045】
チャネル情報記憶部14は、各機体のアドレスと対応付けてチャネル情報を記憶する。記憶されるチャネル情報は、上記のビット判定動作の設定値に相当する情報であり、各機体において長期間変動しないとみなせる情報(例えば上述したパルス幅情報)である。チャネル情報推定部4で生成されるチャネル情報と区別するため、これ以降においては、チャネル情報記憶部14で記憶されるチャネル情報を「不変チャネル情報」と呼ぶ。
【0046】
以下、本実施の形態の受信装置における特徴的な動作を説明する。本実施の形態の受信装置において、機体判定部13は、CRC計算結果を解析して受信誤りの有無を確認し、受信誤りを検出しなかった場合(信号を正常受信した場合)、チャネル情報記憶部14に機体アドレスを出力するとともに、チャネル情報の更新を要求する。この要求を受けた場合、チャネル情報記憶部14は、受け取った機体アドレスと信号を正常に受信したときに使用していたチャネル情報(不変チャネル情報)とを対応付けて記憶する。例えば、チャネル情報記憶部14は、再処理制御部15に更新要求を転送し、再処理制御部15は、チャネル設定部12からチャネル情報を読み取り、チャネル情報記憶部14に渡す。チャネル情報記憶部14は、機体判定部13から受け取った機体アドレスと再処理制御部15から受け取ったチャネル情報(不変チャネル情報)とを対応付けて記憶する。以上の動作により、正常に受信した信号に対して、機体の識別情報(機体アドレス)とビット判定処理で使用した不変チャネル情報を記憶することができる。なお、不変チャネル情報を記憶後、長時間にわたって更新されない場合には、記憶している不変チャネル情報の信頼度が低くなるおそれがあるので、チャネル情報記憶部14は、不変チャネル情報を記憶した後、これば更新されることなく一定時間が経過した場合には、これを削除するようにしてもよい。
【0047】
また、機体判定部13は、CRC計算結果を解析して受信誤りを検出した場合(信号を正常受信できなかった場合)には、誤りを含むデータブロックの復号結果から機体のアドレスを推定し、推定した機体アドレスをチャネル情報記憶部14に対して送る。機体アドレスの推定結果を機体判定部13から受け取ったチャネル情報記憶部14は、自身のメモリ内に該当する機体アドレスが存在しているかどうか確認し、存在している場合、つまり、機体アドレスの推定結果が示す機体から過去にデータブロックを正常受信した実績がある場合、この機体アドレス(機体アドレスの推定結果)およびこれに対応する不変チャネル情報を再処理制御部15に対して送る。
【0048】
再処理制御部15は、チャネル情報記憶部14から受け取った不変チャネル情報とチャネル設定部12が保持しているチャネル情報(今回の受信処理で使用したチャネル情報のうち長期間変動しないとみなせる情報)を比較し、これらが異なる場合は、チャネル情報記憶部14から受け取った不変チャネル情報をチャネル設定部12に送り、再受信処理を指示する(送った情報を使用した受信動作を再度行うよう指示する)。チャネル設定部12は、正常受信できなかったデータブロックに対して前回使用した(誤りが発生したときの受信処理で使用した)チャネル情報に対し、再処理制御部15から渡された不変チャネル情報を上書きしてチャネル情報を更新し、更新後のチャネル情報をインデクス生成部5a渡すとともに、再度受信処理するように指示する。インデクス生成部5aおよびビット・信頼度生成部6は、チャネル設定部12の指示に従い、再度受信処理を実行する。
【0049】
なお、再処理制御部15は、チャネル情報記憶部14から受け取った不変チャネル情報とチャネル設定部12が保持しているチャネル情報が同じ場合、チャネル設定部12に対する再受信処理の指示を行わない。
【0050】
このように、本実施の形態の受信装置では、データブロック全体を正常に受信できなかった信号、特に機体アドレス情報部分は受信できたが、それ以外の区間に短い非同期干渉を受けた場合や、プリアンブル部分で一部のチャネル情報推定に失敗したデータブロックに対して、異なるパラメータ(更新後のチャネル情報に相当)によって各ビットの取得データ区間の制御・テーブルの切り替えを行って再受信を行うこととした。また、更新後のチャネル情報は、過去に同一機体から正常に受信できたときに使用していたチャネル情報のうち、長時間変動しないとみなせる情報(不変チャネル情報)を受信失敗時に使用したチャネル情報に上書きすることにより得ることとした。これにより、正常に受信できた実績のある情報を用いた再受信動作が実現され、ビット・信頼度判定部6におけるビット判定誤りがなくなる可能性が高まり、受信性能の向上を期待できる。
【0051】
なお、検波部2が直交検波方式を採用して後段で位相情報が利用できる構成の場合、受信データブロックから推定できる周波数偏差情報をチャネル情報記憶部14に保存する不変チャネル情報に含めるようにしても良い。この場合、受信処理時にインデクス生成部5aにおいて受信系列を電力に変換する前に、推定した周波数偏差を中心としたバンドパスフィルタを通過させるか、周波数変換した後ローパスフィルターを通過させることによって、他の航空機からの干渉の抑圧を行ってもよい。誤り検出時には、チャネル情報記憶部14から取り出した周波数偏差情報をもとに同様にフィルタを通過させて再受信処理を行う構成としても良い。このような構成の受信処理は、各実施の形態で説明したテーブルを用いた方式の他に、ビットの時間区間のうちに2つ含まれるパルス候補の中点でサンプルして、2点のレベル比較によって判定する非特許文献1に記載の方法(第1の方法)においても適用可能である。本方式により、数MHzの周波数偏差を許容するモードS信号環境について、不要な干渉波を抑圧できる可能性が高まり、受信性能向上に寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明にかかる受信装置は、航空機に搭載されるトランスポンダなどから送信されるモードS応答信号を受信する受信装置として有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 アンテナ
2 検波部
3 プリアンブル検出部
4 チャネル情報推定部
5,5a インデクス生成部
6 ビット・信頼度判定部
7 テーブル制御部
8 CRC計算部
9 レポート生成部
10,11 テーブル
12 チャネル設定部
13 機体判定部
14 チャネル情報記憶部
15 再処理制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機に搭載されたトランスポンダより送信されたモードS信号を受信する受信装置であって、
受信データをオーバサンプルし、連続または非連続な複数のビット区間における全サンプル結果について、受信電力に基づき量子化を行い、量子化後の各サンプル結果のパターンを、予め用意しておいた、取りうるサンプルパターンにそれぞれに対応するビット判定値が示されたテーブルと比較してビット判定を行うことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
航空機に搭載されたトランスポンダより送信されたモードS信号を受信する受信装置であって、
受信信号を検波し、さらに検波結果をオーバサンプルして、サンプル結果を出力する検波手段と、
前記サンプル結果のうち、連続または非連続な複数のビット区間におけるサンプル結果それぞれについて、受信電力に基づき量子化を行い、量子化後の各サンプル結果のパターンをテーブルのインデクス情報として出力するインデクス生成手段と、
前記インデクス情報を、当該インデクス情報が取りうるサンプルパターンにそれぞれに対応するビット判定値が示されたテーブルと比較してビット判定を行うビット判定手段と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項3】
前記インデクス生成手段は、
前記複数のビット区間におけるサンプル結果を複数のグループにグループ化するとともにグループごとのインデクス情報を生成し、
前記ビット判定手段は、
前記グループごとのインデクス情報それぞれについて、取りうるサンプルパターンそれぞれに対応するビット判定値が示されている、前記グループにそれぞれ対応させて作成されたテーブルと個別に比較してビット判定を行うことを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記グループにそれぞれ対応させて作成されたテーブルは、取りうるサンプルパターンそれぞれに対応するビット判定値および当該ビット判定値の信頼度情報を含み、
前記ビット判定手段は、
前記グループそれぞれについて行ったビット判定結果がグループ間で異なる場合、各ビット判定結果に対応するそれぞれのビット判定値のうち、信頼度が最も高いビット判定値をビット判定結果として取り扱うことを特徴とする請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記ビット判定手段は、
前記グループそれぞれについて行ったビット判定結果がグループ間で異なる場合、各ビット判定結果に対応するそれぞれのビット判定値のうち、より多くのグループで選択されたビット判定値をビット判定結果として取り扱うことを特徴とする請求項3に記載の受信装置。
【請求項6】
受信信号の復号が正常に行われた場合、当該受信信号の送信元のトランスポンダが搭載されている機体の識別情報を復号結果から取得し、一方、受信信号の復号が正常に行われなかった場合には、復号結果に基づいて当該受信信号の送信元のトランスポンダが搭載されている機体の識別情報を推定する機体情報取得手段と、
受信信号の復号が正常に行われた場合、前記機体情報取得手段により取得された機体識別情報と復号動作で使用した動作パラメータとを記憶する記憶手段と、
受信信号の復号が正常に行われなかった場合、当該受信信号の送信元のトランスポンダが搭載されている機体の識別情報の推定結果を前記機体情報取得手段から取得し、当該推定結果が示す機体識別情報と同一の機体識別情報が前記記憶手段で記憶されており、かつ当該機体識別情報に対応する第1の動作パラメータと受信信号の復号に失敗した際に使用していた第2の動作パラメータが一致していなければ、当該第1の動作パラメータを使用して復号動作を再度実施するよう前記インデクス生成手段および前記ビット判定手段に指示する制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の受信装置。
【請求項7】
前記サンプル結果のうち、連続する複数のビット区間におけるサンプル結果の受信電力変動状態に基づいて、モードS信号のプリアンブル区間に含まれるパルスの幅および遅延波到来タイミングを推定するチャネル推定手段、
をさらに備え、
前記ビット判定手段は、前記テーブルとして、遅延波到来タイミングおよびモードS信号のプリアンブル区間に含まれるパルスの幅により特定される、複数のチャネル環境を想定して予め作成しておいたチャネル環境ごとの複数のテーブルを保持しておき、前記チャネル推定手段による推定結果に対応するテーブルを選択使用してビット判定を行うことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載の受信装置。
【請求項8】
前記検波手段は、前記受信信号を直交検波し、前記サンプル結果とともに受信信号の周波数偏差推定結果を出力し、
前記インデクス生成手段は、前記周波数偏差推定結果に対応する特性のフィルタを用いて前記サンプル結果に含まれる干渉成分を抑圧し、干渉成分抑圧後のサンプル結果を用いて前記インデクス情報を生成することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一つに記載の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−173106(P2012−173106A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34795(P2011−34795)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】