説明

受像機及び画像送信機からなる無線通信システム及び、その無線通信方法

【課題】受信機側からの複数の送信機から選択して接続する場合に、ID入力などの操作を伴い、繁雑であり入力ミスによる誤接続が発生する。
【解決手段】画像送信機毎に設定された通信識別子と、送信の際に設定されたチャンネルとを用いて、通信識別子が付与された画像データを設定されたチャンネルを用いて送信することにより、複数の画像データを受信した受像機は、受信した画像データに対して通信識別子とチャンネルとを関連付けて記憶する。表示画面に各画像データにおける縮小画像化された画像を一画面に表示させて、その中から画像を選択することにより、選択された画像に関連付けられた通信識別子とチャンネルにより、その画像を送信した画像送信機が特定されて専有的に接続を行い、以降に撮像された画像が時系列的に拡大されて表示部に表示される画像送信機と受像機による無線通信システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDを用いて選択的に接続を行う受像機及び画像送信機からなる無線通信システム及び、その無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、無線通信システムは、受信機と送信機とで構成される。これらの間で通信を行う場合、送信側と受信側が通信周波数を同調することで接続され、通信データのやり取りが行われる。また、無線通信機は、種別や認可等により使用する周波数帯域が規定されているため、その帯域内では相当数の無線機が使用されており、種々の方法を用いて所望する通信相手を選択している。その1つの方法として、互いにIDを取り交わして、選択した受信機を呼び出し、接続を行う通信方法がある。
【0003】
このIDを利用した無線通信の中には、画像データを無線送信して受像機側で画像を再生して表示する無線通信システムがある。このシステムでは、送信機と受像機とを無線接続する際に、チャンネル(通信周波数)と個別識別番号:ID(例えば、ネットワークID)とを互いに一致させている。
【0004】
一般的な接続方式としては、無線機にチャンネルスイッチとIDスイッチを設けて、各々を手動で相手先のチャンネル及びIDに一致させて通信設定を行う。この接続方法では、チャンネルスイッチもIDスイッチも通信者の手動であり、接続設定が煩雑になる。そこで、接続設定を簡単にする方法として、特許文献1に開示される通信システムが提案されている。この特許文献1には、被検者の心電図や呼吸データなどをデジタルテレメータで監視する際に用いられる医用モニタ装置が開示されている。
【特許文献1】特許第3223438号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に開示される医用モニタ装置は、特に、受信チャンネルの設定を自動的に行なえるようにした医用モニタ装置であり、受信機は送信されてきた送信機の設定要求データだけで接続相手を判断している。
【0006】
そのため、通信可能エリア内に画像を送信する送信機が複数個存在した場合に、受像機側で所望の1つの送信機を選択するには、設定要求データだけでは、必ずしも接続したい送信機であることが判断できない事態が発生し、ユーザが意図しない送信機と接続されてしまう可能性がある。このような誤接続が発生した場合には、ユーザは、送信機を確認して、再度接続し直さなければならない。従って、設定要求データだけではなく、更に接続されるべき送信機を特定することが必要となっている。
【0007】
そこで本発明は、送信機と受像機とが簡単に且つ確実に接続できる通信設定機能を有する受像機及び画像送信機からなる無線通信システム及び、その無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、無線ネットワーク上で同一の通信識別子を有する少なくとも1つ以上の画像送信機から送信される画像を受信する画像受信手段と、前記画像送信機から送信される画像を表示する表示手段と、前記画像送信機から前記画像が送信される際に利用されたチャンネルと、当該送信された画像との対応関係の情報を記憶する記憶手段と、縮小画像化されて表示される前記送信された画像の中から画像を選択する画像選択手段と、前記記憶手段に記憶された前記チャンネルと前記送信された画像との対応関係の情報を用いて、前記画像選択手段により選択された画像が送信される際に利用されたチャンネルを選択し、当該チャンネルを介して前記画像送信機から時系列に送信される画像を、前記表示手段に時系列に表示させる第1の表示制御手段と、を具備する受像機を提供する。
【0009】
この受像機に従えば、表示画面に複数表示される縮小画像化されて表示される複数の画像を見ながら、所望する画像を選択することで、画像に付与された通信識別子と通信に使用されたチャンネルとに基づき、その画像を送信している画像送信機と専有的に接続され、更に詳細な画像が送信される。従って、ユーザは、縮小画像化されて表示される画像を選択することにより、送信機との接続手続が完了して、入力ミスによる誤選択が防止される。
【0010】
また本発明は、無線ネットワーク上で同一の通信識別子を有する受像機に画像を送信する画像送信手段と、前記受像機と一対一の双方向通信を確立させる第2の通信制御手段と、前記双方向通信が確立するまでは前記画像送信手段に前記画像を間欠的に送信させる送信制御手段と、を備える画像送信機を提供する。
【0011】
この画像送信機に従えば、撮像した画像データに通信識別子を付与して、予め設定された中から選択されたチャンネルを用いて受像機に通信する。受像機側では、画像データに付与された通信識別子と通信に使用されたチャンネルから複数の送信機が送信する通信環境下であっても、送信した画像送信機を特定することができる。
【0012】
更に、本発明は、被写体を任意の画角で結像して撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された画像データに付与するための共通及び固有の通信識別子を記憶する記憶部と、無線通信チャンネルを設定するチャンネル設定部と、設定されたチャンネルにより前記通信識別子が付与された前記画像データを無線でパケット送信する第1の無線通信部と、で構成され、それぞれに異なるチャンネルを用いて送信する複数の画像送信機と、複数の前記画像送信機から無線で送信された画像データに対して、前記共通の通信識別子により認証した画像データをそれぞれに受信する第2の無線通信部と、前記受信した画像データ及び前記固有の通信識別子に基づく接続識別子と、前記画像送信機毎に通信に用いられた前記チャンネルと、当該画像データが画面表示される領域とをそれぞれに関連付けて記憶する記憶部と、前記記憶部から読み出されて縮小画像化された各画像を1画面上に表示する表示部と、前記表示部に表示される縮小画像化された各画像のうちの少なくとも1つを選択する画像選択部と、選択された画像を前記表示部に主画像として拡大表示し、当該画像に付与された前記接続識別子及び使用された前記チャンネルに基づき、専有的に双方向通信接続する画像送信機を選択する通信制御部と、で構成される受像機と、を備える無線通信システムを提供する。
【0013】
この無線通信システムに従えば、画像送信機毎に設定された通信識別子と、送信の際に設定されたチャンネルとを用いて、通信識別子が付与された画像データを設定されたチャンネルを用いて送信することにより、このような画像データを複数受信した受像装置は、予め画像データに対して、通信識別子とチャンネルとを関連付けて記憶しておくことで、表示画面に各画像データにおける縮小画像化された画像を一画面に表示させて、1つの縮小画像化された画像を選択することにより、選択された画像に関連付けられた通信識別子とチャンネルにより、その画像を送信した画像送信機が特定されて専有的に接続を行い、以降に撮像された画像が時系列的に拡大されて表示部に表示される。ユーザによる画像の選択のみの操作で画像送信機との接続が実施される。
【0014】
更に、本発明は、無線ネットワーク上で共通の通信識別子及び画像送信機毎に設定された固有の通信識別子がそれぞれに付与されて、異なるチャンネルを通じて無線送信された複数の画像データを受信し、当該画像データのうち、前記共通の通信識別子で認証された画像データを取り込み、取り込まれた複数の前記画像データから前記固有の通信識別子をそれぞれ取り出して、当該固有の通信識別子に基づく接続識別子を設定して、当該画像データ及び当該接続識別子を通信に用いられた前記チャンネルと、当該画像データが画面表示される領域とそれぞれに関連付けて記憶し、前記記憶された各画像を縮小画像化して1画面上に表示し、縮小画像化して表示される複数の前記画像の中から1つの画像を選択し、前記選択された画像を前記1画面上に主画像として拡大表示すると共に、当該画像に付与された前記接続識別子及び使用された前記チャンネルに基づき、当該画像を送信した画像送信機に対して受像機を専有的に双方向通信接続して、時系列に送信される画像を表示する無線通信方法を提供する。
【0015】
この無線通信方法に従えば、画像送信機から送信された画像データには、通信識別子が付与され、送信時のチャンネルが関連付けられているため、複数の画像データを受信して表示画面にそれぞれに表示された際に、それらの画像の中から少なくとも1つの画像を選択すると、その選択された画像に関連付けられた通信識別子とチャンネルとにより送信した画像送信機が特定されるため、その画像送信機と接続される。従って、ユーザの画像送信機との接続操作は、画像の選択のみとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像送信機と受像機とが簡単に且つ確実に接続できる通信設定機能を有する受像機及び画像送信機からなる無線通信システム及び、その無線通信方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る無線通信システムの構成例を示している。このシステムは、ネットワーク形式に無線通信を行う複数の画像送信機1と1台の受像機20で構成されるが、代表として各1台の画像送信機1と受像機20の例を示している。
【0018】
画像送信機1は、被写体をズーミングによる任意の画角で結像し撮像素子によって撮像する撮像部2と、撮像部2を制御する撮像制御部3、撮像した画像データや予め定めた通信識別子(ID)等を記憶する記憶部4と、アンテナ5aを通じて画像データを無線で送受信する無線通信部5と、無線通信チャンネル(又は、通信周波数)を設定するチャンネル設定部6と、外部からの指示を入力する入力部7と、各構成部位を制御しデータ処理を行う処理部8と、被写体が暗い(低輝度)場合に照明を行う発光部9と、発光部9を駆動する光源部10と、撮像される画像や操作指示等の種々の情報を表示する表示部12とから構成される。記憶部4は更に、受像機20との通信接続を行うための共通IDを記憶する共通ID記憶部4aと、画像送信機毎の固有ID(例えば、シリアル番号やMACアドレス)を記憶する固有ID記憶部4bを備える。処理部8は更に、撮像データを圧縮する画像圧縮部8aを備える。
【0019】
受像機20は、アンテナ21aを通じてデータを無線で送受信する無線通信部21と、外部からの指示を入力する入力部22と、データを記憶する記憶部23と、データを処理する処理部24と、データを表示する表示部25と、表示部25の表示動作を制御する表示制御部26と、表示される画像を選択する画像選択部30と、から構成される。
【0020】
記憶部23は、更に、受信した画像データと受信チャンネルとを関連付けて記憶する画像チャンネル関連記憶部23aと、受信した画像データとIDとを関連付けて記憶する画像ID関連記憶部23bとを備える。
【0021】
また処理部24は更に、受信した画像データから圧縮画像を抽出して伸張し、再生した画像を出力する画像伸張部24aと、固有IDに基づき、接続IDを生成する接続ID生成部24bとを備える。
【0022】
無線通信部21内には、通信制御部27が設けられている。この通信制御部27は、画像チャンネル関連記憶部23aからの受信チャンネルと関連付けられた画像データとの対応関係の情報を用いて、ユーザ又は画像選択部30により選択されたサムネイル表示による画像が送信される際に利用されたチャンネルを選択し、このチャンネルを用いた画像送信機1を専有的に受像機20と、一対一に接続し、双方向通信を確立させる。この双方向通信において、受像機20は、画像送信機1から時系列に送信される画像を伸長して再生し、表示部25に時系列に表示させる。画像選択部30は、ユーザが指示した所望する画像を選択するためのマウスやタッチパネル等の入力デバイスである。
【0023】
次に、図2に示す画像送信機側のフローチャート及び図3に示す受像機側のフローチャートを参照して、通信設定について説明する。図4(a),(b)は、画像送信機1A,1B及び1Cと受像機20との接続前と接続後の画像状態を示す。図5は、画像データが表示されるチャンネルと共通IDと固有IDと画面上の表示位置となる領域1,2,3との関連を示す図である。
【0024】
まず、通信エリア内に複数台あるうちの1台の画像送信機1Aは、電源が投入されると起動した後、設定モードに移行して、チャンネル設定部6から既に設定されているチャンネル設定値(例えば、CH1)を取得する(ステップS1)。更に、記憶部4から共通IDと固有IDと読み出し(ステップS2)、チャンネル設定値と併せて設定データを生成する(ステップS3)。
【0025】
その後、撮像部2が被写体を撮像して撮像データを生成し、撮像データは処理部7の画像圧縮部8aで圧縮される(ステップS4)。更に、設定データと圧縮された画像データとから送信パケットが処理部8によって生成され、無線通信部5に渡される(ステップS5)。無線通信部5では、送信パケットに所定の変調を施してアンテナ5aから受像機20に向けて放射する(ステップS6)。
【0026】
図4(a)に示すように通信エリア内には、画像送信機1Aの他にも2台の画像送信機1B,1Cが存在する。これらの画像送信機1B,1Cにおいても同様に受像機20に向けて、チャンネル、共通ID、固有ID及び画像データが送信パケットとして放射されている。
【0027】
以後、図3のフローチャートに移行して、受像機側の動作について説明する。これらの画像送信機1A,1B,1Cとの接続前において、受像機20の電源が投入されると、設定モードに移行して、受信チャンネルを順次検索する(ステップS11)。予め定めたチャンネルで画像送信機1A,1B,1Cから放射された送信パケットをアンテナ21aで受信すると、無線通信部21によって復調された各信号が取り出され、共通IDが含まれたパケットを受信したか否かを判断し(ステップS12)、共通IDが検出された画像データであれば(YES)、処理部24に渡される。
【0028】
処理部24は、画像伸張部24aによって画像が伸張され、画像データとして復号される(ステップS13)。
【0029】
復号された画像データは、受信チャンネル設定値と固有IDと関連付けられて記憶部23に記憶される(ステップS14)。即ち、図5に示すように、画像データが表示されるチャンネルと、共通IDと、固有IDと、画面上の表示位置となる領域1,2,3とが関連付けられる。
【0030】
そして、図4(a)に示すように、表示制御部26によって、チャンネル毎にサムネイル表示(縮小画像化表示)するために、受信した画像データは処理部24で縮小処理されて、表示部25に表示される(ステップS15)。このサムネイル表示画面は、画像が選択されるまでの間、画像送信機毎即ち、チャンネル毎の受信画像がリアルタイム又は所定時間毎に更新されて表示される。また、図4(a)に示すサムネイル表示画面は、チャンネルごとの表示に関して説明したが、共通ID毎に切り換わり表示してもよいし、チャンネルと共通IDで、更に細かく表示されてもよい。
【0031】
次に、画像が選択されたか否かを判断する(ステップS16)。この判断は、ユーザにより入力部22が操作されて、所望の画像例えば、画面中央のチャンネルCH2の画像が選択された場合には(YES)、画像チャンネル関連記憶部23aに記憶されているチャンネル(CH2)に固定され(ステップS17)、図4(b)に示すように、受像機20の画面はチャンネルCH2の画面に占有される。尚、本実施形態では、表示画面を1つのチャンネル画像で占有する表示であったが、これに限定されず、例えば、画面の隅に、接続されなかった画像送信機の更に縮小したサムネイル表示画面を表示しておいてもよいし、例えば、入力部22に画面切り替えスイッチを設けておき、適宜、サムネイル表示画面を画面上に再表示させてもよい。
【0032】
この選択操作により、接続ID生成部24bによって、固有IDから接続IDが生成され、その接続IDが画像送信機1Bに送信され、接続確認パケットを受信したか否かを待機する(ステップS18)。尚、本実施形態では、接続IDを固有IDから作成している(接続ID=固有ID)が、これに限定されるものではなく、接続IDは固有ID以外の任意のIDから作成してもよい。
【0033】
以後、図2に示すフローチャートに戻り、画像送信機側の動作について説明する。
画像送信機1は、受像機20から接続要求のIDパケットの受信があるか否かを判断し(ステップS7)、接続要求のIDパケットを受信したならば(YES)、固有IDを接続IDとして設定し(ステップS8)、受像機20に対して接続確認パケットを送信する(ステップS9)。そして、図3に示す受像機20側で接続確認パケットの受信を確認して(ステップS19)、サムネイル表示したうちの所望の画像送信機1と受像機20の接続が完了する。この送受信により、画像送信機と受像機間とでのみ有効なIDが共有され、以降の通信が開始される。
【0034】
尚、接続要求の確認処理におけるステップS7〜ステップS9及びステップS18,S19は省略してもよい。すなわち、受像機20から画像送信機1に対して接続要求を省略して、選択された画像を表示部で拡大して表示することで、更に簡便なシステムになる。
【0035】
以上のように構成された第1の実施形態の無線通信システムによれば、受像機側の表示画面に複数表示される簡略化された画像を見ながら、所望する画像を選択するだけで、所望の画像を送信している画像送信機と専有的に接続され、更に詳細な画像が得ることができる。従って、ユーザは、表示画面と画像送信機を関連付けたID等の英数字入力による設定操作が不要となり、簡単且つ確実に接続設定が完了することができる。また、受像機側で見たい画面を選ぶだけの操作であるため、従来のように、画像送信機のID入力ミスによる誤選択が防止できる。
【0036】
次に、第1の実施形態における第1の変形例について説明する。
図6には、第1の変形例の構成例を示す。尚、第1の変形例の構成部位において、前述した図1に示した構成部位と同等の構成部位には、同じ参照符号を付して、その説明を省略する。第1の変形例の構成は、前述した第1の実施形態における装置構成の受像機20には、画像のエラーレートを測定するエラーレート測定部28及び画像選択制御部29を追加した構成である。
【0037】
無線状況(又は、電波環境)の悪化により、選択されたチャンネルにおいて受信したデータのエラーレートが高くなり、予め設定したエラーレートの上限値(所定値)を超えて不適切な表示状態になる場合がある。無線状況の悪化は、画像送信機1が通信エリア内を移動した場合や、受像機20との間に又は近傍に機器、例えば他の装置の駆動源となる高周波電源等が配置されて使用した場合、また、同じチャンネルが使用された場合などに発生する。
【0038】
画像選択制御部29は、不適切な表示状態となった画像を他の画像に切り替える制御を行う。選択制御においては、画像選択制御部29は、画像選択部30に対して、再度、チャンネル選択画面であるサムネイル表示を行うように指示して、ユーザに画面を切り換えることを告知した後、サムネイル表示画面に切り替える。勿論、ユーザが、表示状態が悪くなったと判断し、自ら操作してサムネイル表示画面に切り替えて、サムネイル表示から選択してもよい。
【0039】
次に、第1の実施形態における第2の変形例について説明する。
【0040】
図7は、受像機20における画像データの受信状態を示す図である。第3の変形例において、受像機20の表示部25がチャンネル選択画面としてサムネイル表示を行っている時には、画像送信機1は高い圧縮率の画像を受像機20に送信する。また、画像選択が成された双方向通信のための接続完了後には、画像送信機1は低い圧縮率の画像を受像機20に送信する。
【0041】
この圧縮率の変更は、受像機20の処理部24が接続完了後に、無線通信部21及び無線通信部5を通じて、画像送信機1の処理部8へ指示が行われる。画像送信機1は、この指示を受けた後、処理部8の制御に基づき、圧縮率を下げた画像データを生成し、受像機20に送信する。このように、処理部24が圧縮率の変更を指示する。
【0042】
このように、複数の小画面の画像を通信する場合には、高い圧縮率の画像で通信し、選択された1つの画像を画面全体に表示する場合には、低い圧縮率の画像で通信することにより、画像送信機1及び受像機20に掛かる通信負荷を軽減し、高画質の画像を表示することができる。
【0043】
次に、第1の実施形態における第3の変形例について説明する。図8は、受像機20における画像データの受信状態を示す図である。
第3の変形例において、画像送信機1の無線通信部5は、図4(a)に示すようにチャンネル選択画面としてサムネイル表示を行っている際に、サムネイル表示をリアルタイムで更新するのではなく、画像送信機1から間欠的に画像を送信して、受像機20の表示部25に、全ての送信機で一定又は、それぞれの送信機側で予め設定された時間間隔で更新される静止画像が表示される。
【0044】
また、画像選択が成された接続完了後には、画面全体に表示される1つの画像は、間欠されずにリアルタイム表示される。このように、複数の画像送信機に送信された全画像を表示しなければならないサムネイル表示中においては、処理負荷の増大を軽減させることができる。
【0045】
次に、第1の実施形態における第4の変形例について説明する。
第4の変形例においては、受像機20の表示部25がチャンネル選択画面としてサムネイル表示からユーザがその中から1つのサムネイル表示を選択した際に、表示制御部26は、選択されなかった他のサムネイル画像は、表示部25の画面の隅に判別可能な範囲で縮小されて表示され、選択された画像がサムネイル表示から表示領域を拡大して主として表示される。ここで、縮小表示されるサムネイル表示を選択指示したならば、そのサムネイル画像が現在表示されている主画像と入れ替わって、拡大されて表示される。
【0046】
以上のような第4の変形例によれば、選択された画像を拡大して画面中央に表示して、選択されなかった画像送信機から送信されるサムネイル表示も判別可能な大きさで併せて表示されるため、ユーザが画像を切り替えようとする際に、チャンネル選択画面に戻らなくても、画面隅に表示されるサムネイル表示を選択するだけで、観たい画像を切り替えることができる。
【0047】
次に図9を参照して、第2の実施形態について説明する。
図9には、本実施形態として、前述した第1の実施形態及びそれら変形例による画像送信機及び受像機による無線通信システムを内視鏡装置システムに適用した例を示している。尚、本実施形態における構成部位で前述した図1に示した構成部位と同等のものには同じ参照符号を付して、その説明は省略する。
【0048】
この内視鏡装置システムは、複数の内視鏡本体31A,31Bと装置本体33とモニタ34とにより構成される。本実施形態の内視鏡装置は、画像送信機が内視鏡本体31A,31Bに搭載され、受像機20がプロセッサ装置(内視鏡装置本体)33に搭載され、無線通信により、画像データ及び制御信号の送受を行っている。
【0049】
この内視鏡本体31A,31Bの湾曲可能な挿入部32の先端には、撮像素子からなる撮像部2と、発光ダイオード(LED)からなる発光部9が設けられている。以下、内視鏡本体31Aを例にとって説明する。
【0050】
内視鏡本体31Aの基端側には、前述した構成の画像送信機1が設けられている。ここでは、前述した画像送信機1の構成部位を全て搭載しているが、適宜、必要最小限の構成部位を搭載すれば良い。例えば、チャンネル設定部6と入力部7は、湾曲部32を湾曲動作させる操作ダイヤルと兼用したスイッチでもよいし、表示部においても他の動作指示やパラメータを表示するものと兼用してもよい。
【0051】
内視鏡本体31Aは、被検体に内部に挿入部32が挿入され、発光部9に照明された体腔内を撮像部2で撮像する。撮像部2により撮像された病変等の画像データは、処理部8により圧縮等の処理が施された後、無線通信部5で無線信号化され、アンテナ5aから放射される。
【0052】
プロセッサ装置33には、少なくとも前述した受像機20と、撮像された画像及びその画像に関するデータ及び装置状態や操作指示等を表示するモニタ34とで構成される。モニタ34は、前述した受像機20の表示部25と兼用される。
【0053】
プロセッサ装置33は、無線通信部5から無線送信された圧縮された画像データをアンテナ21aで受け取り、処理部24により画像を伸張して再生し、モニタ34に表示する。
【0054】
以上説明したように、内視鏡装置に本発明による無線通信システムを搭載することにより、術者は、手元にある内視鏡本体31Aで撮像した画像を見ながら、所望の画像を選択することで接続設定が完了するので、ID等を意識することなく簡単且つ確実に接続することができる。更に、無線を用いた通信であるため、内視鏡本体と装置本体とを繋ぐ信号用ケーブルが無くなり、内視鏡本体における移動の自由度が向上して術者の取り回しが格段に改善され、手術のしやすさや疲労度を低くすることができる。
【0055】
以上説明した各実施形態には、以下の発明を含んでいる。
(1)手元で任意に撮像範囲を変えられて被写体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で得た撮像データを圧縮する圧縮手段と、データの送受信を行う第1の無線通信手段と、通信チャンネルを設定する設定手段と、を有する画像送信機と、
データの送受信を行う第2の無線通信手段と、前記撮像データを前記第2の無線通信手段で受信して前記画像送信機の設定毎にサムネイル表示する第1の表示手段と、前記撮像データを伸張する伸張手段と、前記第1の表示手段で表示された画像を選択する選択手段とを有する受像機と、で構成される無線通信システムであって、
前記受像機は、前記撮像データと前記設定手段による設定値との対応関係の情報を格納する記憶手段と、
前記選択手段で選択した結果と前記記憶手段に記憶されている内容に基づいて、特定の画像送信機から受信した撮像データのみを表示する第2の表示手段と、
を有することを特徴とする無線通信システム。
【0056】
(2)前記(1)項に記載される前記第2の無線通信手段は、前記第2の表示手段で前記撮像データを表示中に、受信したデータのエラーレートを測定するエラーレート測定手段を、更に備え、エラーレートが所定の値よりも大きい場合は、第1の表示手段で表示するように制御する。
【0057】
(3)前記(1)項又は(2)項に記載される前記伸張手段は、前記第1の表示手段で表示する場合においは、撮像データを間引いて表示し、前記第2の表示手段で表示する場合においては、間引かないで表示する。
(4)前記(1)項又は(3)項に記載される前記圧縮手段は、前記(1)項又は前記(2)項に記載される、前記第1の表示手段で表示する場合においては、圧縮率を高くし、前記第2の表示手段で表示する場合においては圧縮率を低くする。
(5)前記(1)項又は(3)項に記載される前記第1の無線通信手段は、前記第1の表示手段で表示する場合においては撮像データを間欠的に送信する。
【0058】
(6)被写体を任意の画角で結像して撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された画像データに付与するための共通及び固有の通信識別子を記憶する記憶部と、無線通信チャンネルを設定するチャンネル設定部と、設定されたチャンネルにより前記通信識別子が付与された前記画像データを無線でパケット送信する第1の無線通信部と、で構成され、それぞれに異なるチャンネルを用いて送信する複数の画像送信機と、
複数の前記画像送信機から無線で送信された画像データに対して、前記共通の通信識別子により認証した画像データをそれぞれに受信する第2の無線通信部と、前記受信した画像データ及び前記固有の通信識別子に基づく接続識別子と、前記画像送信機毎に通信に用いられた前記チャンネルと、当該画像データが画面表示される領域とをそれぞれに関連付けて記憶する記憶部と、前記記憶部から読み出されて縮小画像化された各画像を1画面上に表示する表示部と、前記表示部に表示される縮小画像化された各画像のうちの少なくとも1つを選択する画像選択部と、選択された画像を前記表示部に主画像として拡大表示し、当該画像に付与された前記接続識別子及び使用された前記チャンネルに基づき、専有的に双方向通信接続する画像送信機を選択する通信制御部と、で構成される受像機と、
を具備することを特徴とする無線通信システム。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、画像送信機側の送信動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】図3は、受像機側の受信動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4(a),(b)は、画像送信機と受像機との接続前と接続後の画像状態を示す図である。
【図5】図5は、画像データが表示されるチャンネルと共通IDと固有IDと画面上の表示位置となる領域との関連を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態の第1の変形例における無線通信システムの構成例を示す図である。
【図7】図7は、第1の実施形態の第2の変形例に係る受像機における画像データの受信状態を示す図である。
【図8】図8は、第1の実施形態の第3の変形例に係る受像機における画像データの受信状態を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施形態に係る無線通信システムを搭載する内視鏡装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1…画像送信機、2…撮像部、3…撮像制御部、4,23…記憶部、4a…共通ID記憶部、4b…固有ID記憶部、5…無線通信部、5a,21a…アンテナ、6…チャンネル設定部、7,22…入力部、8…処理部、8a…画像圧縮部、9…発光部、10…光源部、12,25…表示部、20…受像機、21…無線通信部、23a…画像チャンネル関連記憶部、23b…画像ID関連記憶部、24…処理部、24a…画像伸張部、24b…接続ID生成部、26…表示制御部、27…通信制御部、28…エラーレート測定部、29…画像選択制御部、30…画像選択部、31A,31B…内視鏡本体、32…挿入部、33…装置本体、34…モニタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワーク上で同一の通信識別子を有する少なくとも1つ以上の画像送信機から送信される画像を受信する画像受信手段と、
前記画像送信機から送信される画像を表示する表示手段と、
前記画像送信機から前記画像が送信される際に利用されたチャンネルと、当該送信された画像との対応関係の情報を記憶する記憶手段と、
縮小画像化されて表示される前記送信された画像の中から画像を選択する画像選択手段と、
前記記憶手段に記憶された前記チャンネルと前記送信された画像との対応関係の情報を用いて、前記画像選択手段により選択された画像が送信される際に利用されたチャンネルを選択し、当該チャンネルを介して前記画像送信機から時系列に送信される画像を、前記表示手段に時系列に表示させる第1の表示制御手段と、
を具備することを特徴とする受像機。
【請求項2】
前記記憶手段に記憶された前記チャンネルと前記送信された画像との対応関係の情報を用いて、前記画像選択手段により選択された画像が送信される際に利用されたチャンネルを選択し、当該チャンネルを介して前記画像送信機と一対一の双方向通信を確立させる第1の通信制御手段を、更に、
具備することを特徴とする請求項1に記載の受像機。
【請求項3】
前記双方向通信を確立させた画像送信機に対して、圧縮率を変更した画像を送信する旨を指示する指示手段を更に具備することを特徴とする請求項2に記載の受像機。
【請求項4】
前記記憶手段に記憶された前記チャンネルと前記送信された画像との対応関係の情報を用いて、前記画像が選択されるまでは、前記表示手段に、前記送信された画像を前記チャンネル毎に異なる表示領域に表示させる第2の表示制御手段を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の受像機。
【請求項5】
前記記憶手段に記憶された前記チャンネルと前記送信された画像との対応関係の情報を用いて、前記画像選択手段により選択された画像が送信される際に利用されたチャンネルを選択し、当該チャンネルを介して前記画像送信機から時系列に送信される画像を、他のチャネルを介して受信した画像よりも表示領域を大きくして前記表示手段に表示させる第3の表示制御手段を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の受像機。
【請求項6】
前記画像が選択されるまでは、前記送信された画像を間引いて、前記表示手段に表示させる第4の表示制御手段を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の受像機。
【請求項7】
前記選択されたチャンネルを介して送信される画像のみを、前記表示手段に時系列に表示させる第5の表示制御手段を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の受像機。
【請求項8】
受信した各画像のエラーレートを測定するエラーレート測定手段と、
前記各画像の中から選択された画像におけるエラーレートが、所定の期間及び所定の値よりも大きくなった場合に、前記エラーレートが低い他の画像を選択するように、前記画像選択手段に指示する又は、当該他の画像を選択する画像選択制御手段と、
を更に、具備することを特徴とする請求項1に記載の受像機。
【請求項9】
前記画像送信機は、被写体を照明する照明手段と、被写体を撮像する撮像手段と、を具備する無線内視鏡装置に搭載され、
前記受像機は、前記撮像された画像を前記表示手段で表示するプロセッサ装置に搭載されることを特徴とする請求項1に記載の受像機。
【請求項10】
無線ネットワーク上で同一の通信識別子を有する受像機に画像を送信する画像送信手段と、
前記受像機と一対一の双方向通信を確立させる第2の通信制御手段と、
前記双方向通信が確立するまでは前記画像送信手段に前記画像を間欠的に送信させる送信制御手段と、
を具備することを特徴とする画像送信機。
【請求項11】
画像送信機と受像機とで構成される無線通信システムであって、
前記画像送信機は、
無線ネットワーク上で同一の通信識別子を有する受像機に画像を送信する画像送信手段と、
前記受像機と一対一の双方向通信を確立させる第2の通信制御手段と、
前記双方向通信が確立するまでは前記画像送信手段に前記画像を間欠的に送信させる送信制御手段と、を具備し、
前記受像機は、
無線ネットワーク上で同一の通信識別子を有する少なくとも1つ以上の画像送信機から送信される画像を受信する画像受信手段と、
前記画像送信機から送信される画像を表示する表示手段と、
前記画像送信機から前記画像が送信される際に利用されたチャンネルと、当該送信された画像との対応関係の情報を記憶する記憶手段と、
縮小画像化されて表示される前記送信された画像の中から画像を選択する画像選択手段と、
前記記憶手段に記憶された前記チャンネルと前記送信された画像との対応関係の情報を用いて、前記画像選択手段により選択された画像が送信される際に利用されたチャンネルを選択し、当該チャンネルを介して前記画像送信機から時系列に送信される画像を、前記表示手段に時系列に表示させる第1の表示制御手段と、
を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項12】
無線ネットワーク上で共通の通信識別子及び画像送信機毎に設定された固有の通信識別子がそれぞれに付与されて、異なるチャンネルを通じて無線送信された複数の画像データを受信し、当該画像データのうち、前記共通の通信識別子で認証された画像データを取り込み、
取り込まれた複数の前記画像データから前記固有の通信識別子をそれぞれ取り出して、当該固有の通信識別子に基づく接続識別子を設定して、当該画像データ及び当該接続識別子を通信に用いられた前記チャンネルと、当該画像データが画面表示される領域とそれぞれに関連付けて記憶し、
前記記憶された各画像を縮小画像化して1画面上に表示し、
縮小画像化して表示される複数の前記画像の中から1つの画像を選択し、
前記選択された画像を前記1画面上に主画像として拡大表示すると共に、当該画像に付与された前記接続識別子及び使用された前記チャンネルに基づき、当該画像を送信した画像送信機に対して受像機を専有的に双方向通信接続して、時系列に送信される画像を表示することを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−11281(P2010−11281A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170281(P2008−170281)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】