説明

受動光ネットワークシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する方法および装置

【課題】高速PONシステムの受信端における比較的簡単な等化器の使用が可能になる、PONシステムにおいてアップリンクバーストデータの提供。
【解決手段】受動光ネットワークシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する方法は、長さが66ビットの整数倍であり、66ビット単位の因子ブロックの接続によって形成されているアップリンクバーストデータのSYNCパターンを提供することと、アップリンクバーストデータのバーストデリミタを提供することと、アップリンクバーストデータ内の前方誤り訂正で保護されたデータを提供することと、アップリンクバーストデータのEOBデリミタを提供することと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2008年6月19日に中国特許庁に出願された、「METHOD FOR PROVIDING UPLINK BURST DATA IN PASSIVE OPTICAL NETWORK SYSTEM」という名称の中国特許出願第200810068007.1号、2009年3月2日に中国特許庁に出願された、「METHOD AND DEVICE FOR PROVIDING UPLINK BURST DATA IN PASSIVE OPTICAL NETWORK SYSTEM」という名称の中国特許出願第200910008103.1号、および2008年11月21日に中国特許庁に出願された、「METHOD AND DEVICE FOR PROVIDING UPLINK BURST DATA IN PASSIVE OPTICAL NETWORK SYSTEM」という名称の出願番号PCT/CN2008/073140号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、受動光ネットワーク技術の分野に関し、詳細には、受動光ネットワーク(PON:passive optical network)においてアップリンクバーストデータを提供する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
PONは、保守が容易なこと、高帯域幅、低コストなどの利点により完璧な光アクセス技術になるものであり、音声、データ、映像などの様々なサービスが単一のプラットフォームによって統合されたアクセスを行い得る理想的な物理プラットフォームである。PON技術は、ポイントツーマルチポイント(P2MP:point−to−multipoint)の光ファイバアクセス技術である。PONは、(電話局側)光回線終端装置(OLT:Optical Line Terminal)、(ユーザ側)光回線終端装置(ONU:Optical Network Unit)、および光アクセス分配網(ODN:Optical Distribution Network)を含み、増幅および中継を行うことのできる素子を不要にするためにODNにおいて受動型スプリッタ/カプラを利用する。
【0004】
PONではポイントツーマルチポイントトポロジを使用するため、ポイントツーマルチポイント多元接続プロトコルを用いて、多数のONUがOLTおよび光ファイバ幹線を共用することができるようにする必要がある。PONシステムで規定されているように、OLTからONUに向かうデータの方向をダウンリンク方向といい、ONUからOLTに向かう方向をアップリンク方向という。現在、広範に適用されているPONシステムのアップリンクおよびダウンリンクの伝送モードは、PONダウンリンクにおける時分割多重化(TDM)のブロードキャストモードの使用、およびアップリンクにおける時分割多元接続(TDMA)のアクセスモードの使用を伴う。
【0005】
PONアップリンクでは、従来のポイントツーポイント連続通信モードと異なり、マルチポイントツーポイントバースト通信モードが用いられる。アップリンク通信路は、PONアップリンク伝送のためにTDMAアクセスモードで共用される。OLTは個々のONUに異なるタイムスロットを割り振ることができ、各ONUは、OLTによって割り当てられたタイムスロットにおいてのみそのONUのデータ情報ブロックを送信することができる。
【0006】
PONシステムではONUによってOLT端からの距離が異なるため、OLT端において異なるONUから受け取られる信号も異なる強度を有する。したがって、OLTにおけるONUからのバーストデータフレームの受信時に、OLT受信端は、受信バーストフレーム内のSYNCパターン(プリアンブル)を利用して、自動利得制御(AGC)およびクロックデータリカバリ(CDR)を実行する必要があり、その後OLTは、バーストデリミタを受信バーストフレームとマッチさせ、そのマッチから、受信バーストフレーム内のデータの開始位置を知り、それによってデータを受け取ることができる。
【0007】
既存のPONシステムのアップリンクで送信されるバーストフレームは、OLTが受信バーストフレームに対して自動利得制御およびクロックリカバリを実行するのに使用される現在のSYNCパターンとして、0と1とが交互に現れる「1010・・・」という2進シーケンス(「0x55・・・」という16進シーケンス)が定義されるという方法で構築される。実際には、SYNCパターン信号のスペクトルは高周波数成分のところに集中することが確認されており、これは、OLT受信端におけるあまり複雑でない等化器の使用にとって不都合となる可能性もある。さらに、頻繁な遷移により、既存のピーク検出器が受信信号の実際のピークを検出することができなくなり、したがっておそらくは、受信機の感度が低下するおそれもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の様々な実施形態は、SYNCパターンのスペクトル成分がスペクトル間隔全体にわたって比較的均一に分布しており、それによって高速PONシステムの受信端における比較的簡単な等化器の使用が可能になる、PONシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、PONシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する方法を提供する。方法は、長さが66ビットの整数倍であり、66ビット単位の因子ブロックのエンドツーエンド接続によって形成されている、アップリンクバーストデータのSYNCパターンを提供することと、アップリンクバーストデータのバーストデリミタを提供することと、アップリンクバーストデータ内の前方誤り訂正(FEC)で保護されたデータを提供することと、アップリンクバーストデータのバーストの終わり(EOB)デリミタを提供することと、を含む。
【0010】
また、本発明の一実施形態はさらに、受動光ネットワークシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する装置も提供する。装置は、長さが66ビットの整数倍であり、66ビット単位の因子ブロックのエンドツーエンド接続によって形成されている、アップリンクバーストデータのSYNCパターンを提供するように適合されたユニットと、アップリンクバーストデータのバーストデリミタを提供するように適合されたユニットと、アップリンクバーストデータ内の前方誤り訂正保護されたデータを提供するように適合されたユニットと、アップリンクバーストデータのEOBデリミタを提供するように適合されたユニットと、を含む。
【0011】
さらに本発明は、受動光ネットワークシステムにおけるアップリンクバーストデータであり、ビットストリームからなる信号であって、SYNCパターン、バーストデリミタ、前方誤り訂正で保護されたデータおよびEOBデリミタを含み、66ビット単位の因子ブロックのエンドツーエンド接続によって形成されており、長さが66ビットの整数倍である信号も提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態において設計されているアップリンクバーストデータでは、そのSYNCパターンのスペクトル成分がスペクトル間隔全体にわたって比較的均一に分布しており、それによって、高速PONシステムの受信端におけるあまり複雑ではない等化器の使用が可能になる。
【0013】
本発明の実施形態または従来技術における技術的解決法をより明確に説明するために、実施形態または従来技術の説明において必要とされる図面を以下で簡単に説明する。明らかに、以下で説明する図面は単に本発明のいくつかの実施形態を例示するにすぎず、当業者は、特に創意工夫せずとも、これらの図面から他の図面をさらに導出することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態によるアップリンクで送信されるバーストデータの構造を示す図である。
【図2】本発明によるSYNCパターンの因子ブロックの組を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるFIFO待ち行列における内容の変化を示す図である。
【図4】因子1のエンドツーエンド接続から生成されたSYNCパターンを示すスペクトル図である。
【図5】本発明の一実施形態による受動光ネットワークシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する装置を示すブロック図である。
【図6】本発明の別の実施形態によるアップリンクで送信されるバーストデータの構造を示す図である。
【図7】本発明の別の実施形態によるアップリンクバーストデータを提供する方法を示すプロセスフローチャートである。
【図8】因子10のエンドツーエンド接続から生成されたSYNCパターンを示すスペクトル図である。
【図9】本発明の別の実施形態による受動光ネットワークシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下で、本発明の実施形態における技術的解決法を、本発明の実施形態の図面を参照して明確かつ詳細に説明する。以下で説明する実施形態は明らかに、本発明の実施形態を網羅するものではなくその一部であるにすぎない。当業者が、本明細書における本発明の実施形態に照らして特に創意工夫せずとも思いつく他のいかなる実施形態も、本発明の範囲内に含まれるものである。
【0016】
本発明の1実施形態における1つの技術的解決法を、10Gイーサネット(登録商標)受動光ネットワーク(10G PON)システムを例に取って説明する。図1に示す本発明の実施形態に従ってアップリンクで送信されるバーストデータの構造において、ONUから送信されるアップリンクバーストデータは、SYNCパターン、バーストデリミタ(BD)、FEC保護されたイーサネット(登録商標)データおよびEOBデリミタを含む。詳細には、SYNCパターンおよびバーストデリミタはFEC符号化を用いて保護されておらず、FEC符号語、すなわちFEC保護されたイーサネット(登録商標)データがバーストデリミタの後に続く。バーストデリミタは、バースト内のFEC保護されたデータの始まりを指示する。SYNCパターンは、OLTが受信バーストフレームに対する自動利得制御およびクロックリカバリを実行するのに使用される。
【0017】
本発明の一実施形態で設計されるSYNCパターンは、拡張66ビット因子ブロックからなる。図2に、本発明のこの実施形態で説明するSYNCパターンの生成のための因子ブロックの組、すなわち基本因子ブロックを示す。図2に示す基本因子ブロックには、新しい設計のSYNCパターンの因子ブロックをもたらす、反転または鏡映または巡回シフトのプロセスが施される。本発明の実施形態で設計されるSYNCパターンは、エンドツーエンド接続されたこれらの因子ブロックからなる。
【0018】
図2の基本因子ブロックから、本発明で説明するSYNCパターンの生成のためにさらに因子ブロックを導出することもできる。例えば、基本因子ブロック1の反転は以下の因子ブロックをもたらす。
010000001011111101111001110101100001011100011011010010001001100101
【0019】
基本因子ブロック1に対する鏡映プロセスは以下の因子ブロックをもたらす。
010110011011101101001001110001011110010100011000010000001011111101
【0020】
鏡映プロセスは、反転プロセスとみなすこともでき、例えば、ABCDに対する鏡映プロセスはDCBAをもたらす。
【0021】
基本因子ブロック1に対する巡回シフトは以下の因子ブロックをもたらす。
010111111010000001000011000101001111010001110010010110111011001101
【0022】
上記プロセスは1ビット巡回シフトプロセスである。実際には任意の数のビットの巡回シフトプロセスが可能である。
【0023】
同じ方法で、図2に示す基本因子ブロックに対する反転、鏡映または巡回シフトからさらに因子ブロックを導出することができる。因子ブロックはさらに、反転または鏡映プロセスを施された基本因子ブロックに対する巡回シフトから導出することもできる。
【0024】
基本因子ブロックは以下のものを含み得る。
101111110100000010000110001010011110100011100100101101110110011010 又は、
101010011110100011100100101101110110011010101011111000001000011000 又は、
100110011110100011100100101101110110011010101011111000001000011000 又は、
100101011110100011100100101101110110011010101011111000001000011000 又は、
101000111101000111001001011101110110011010101011111000001000011000 又は、
101001111010001110010010101011101100110101011111011000001000011000 又は、
101001111010001110010010110111011001101010011111011000001000011000 又は、
101001111010000111001001011011110110011010101111110000001000011000 又は、
101001111010001110010010110111011001101010111111010000001000011000
【0025】
図2に示す基本因子ブロックおよび基本因子ブロックから導出される因子ブロックには、共通して以下のような特徴がある。
【0026】
本発明の実施形態に従って設計されるSYNCパターンは、長さが66ビットの整数倍であり、66ビット因子ブロックのエンドツーエンド接続からなる。
【0027】
本発明の実施形態に従って設計されるSYNCパターンは、最大ランレングスを6とする、同じランレングスの0および1を有する直流バランスシーケンスである。
【0028】
送信端におけるレーザのオン/オフは、既存の10G−EPONシステムではONUによって制御される。ONUに送信用データがないとき、ONUのレーザは、隣接するONUからの送信に対する影響を回避するためにオフにされる。レーザのスイッチはデータ検出器を用いて制御され、レーザは、データ検出器が送信用データの到来を検出すると、ONUによってオンにされる。
【0029】
アップリンクバーストデータを提供する方法を、図3の本発明の一実施形態によるFIFO待ち行列における内容の変化に関連して示す。
【0030】
置換の前と後のFIFO待ち行列は、以下の表で表わすことができる。
【表1】

【0031】
FIFO待ち行列の通し番号0は待ち行列の始まりを表し、N−1は待ち行列の終わりを表す。置換の前と後の値は、それぞれ、ブロック単位、すなわち66ビットの整数倍である。
【0032】
ONUのデータ検出器のところに送信用データが届くと、待ち行列(IDLE)の終わりのところの2つのFIFOブロック[N−1]および[N−2]の内容はそのまま保持され、FIFOブロック[N−3]の内容はバーストデリミタで置換され、FIFOブロック[N−4]から[0]までの内容は本発明に従って設計されたSYNCパターンで置換される。Nは待ち行列の長さを表し、同期時間に依存する。次いで、待ち行列内のデータが、先入れ先出しの規則によって順次送出される。
【0033】
FIFO待ち行列の先入れ先出しの規則により、アップリンクバーストデータのSYNCパターンが最初に提供され、例えばSYNCパターンは、N−3ブロックの本発明の実施形態による図2の66ビット因子1、すなわち、エンドツーエンド接続された、N−3ブロックの
101111110100000010000110001010011110100011100100101101110110011010(0x 4 BF 40 18 E5 C5 49 BB 59という16進値)からなる。次いで、アップリンクバーストデータのバーストデリミタが提供される。その後、アップリンクバーストデータ内のFEC保護されたデータが提供される。最後に、アップリンクバーストデータのバーストデリミタの終わりが提供される。ONUのデータ検出器のFIFO待ち行列内の内容がIDLEになると、ONU送信端はレーザをオフにする。アップリンクバーストデータの送信が完了する。
【0034】
したがって、実施形態で生成されるアップリンクバーストデータはビットストリームからなる信号であり、信号は、66ビット単位の因子ブロックのエンドツーエンド接続から構成された、SYNCパターン、バーストデリミタ、FEC保護されたデータおよびバーストデリミタの終わりを含み、長さは66ビットの整数倍である。SYNCパターンは、最大ランレングスを6とする、2進符号において同じランレングスの0および1を有する直流バランスシーケンスである。使用される66ビット因子ブロックは、図2に示す任意の基本因子のブロックとすることもでき、基本因子ブロックに対する反転または鏡映または巡回シフトのプロセスから導出することもでき、さらに、反転または鏡映プロセスが施された基本因子ブロックに対する巡回シフトから導出することもできる。
【0035】
OLT受信端は、ONUから送信されたバーストデータを受信した後、バーストデータフレーム内のバーストSYNCパターンの0と1との遷移を利用して、受信データに対するクロックリカバリおよび自動利得制御を実行することができる。
【0036】
本発明の実施形態で設計されるSYNCパターンは、受信端におけるピーク検出器が受信信号のピークレベルをほぼ100%検出することができるように、最大ランレングスを6とする、同じランレングスの0および1を有する直流バランスシーケンスである。
【0037】
本発明の実施形態において設計されるSYNCパターンのスペクトルは、スペクトル間隔全体にわたって比較的均一に分布しており、それによって、OLT受信端におけるあまり複雑でない等化器の使用が可能になる。図4に、因子1のエンドツーエンド接続から生成されたSYNCパターンのスペクトル図を示す。図4から明らかなとおり、実施形態におけるアップリンクバーストデータのSYNCパターンのスペクトルは、スペクトル間隔全体にわたって比較的均一な実線として表わされている。点線は、スペクトル成分が高周波数のところに集中する従来技術のSYNCパターンのスペクトル図を表している。図から分かるように、実施形態では優れた効果が達成されている。
【0038】
また、本発明の一実施形態は、図5に示すような、受動光ネットワークシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する装置も提供し、装置5は、長さが66ビットの整数倍であり、66ビット単位の因子ブロックの接続によって形成されている、アップリンクバーストデータのSYNCパターンを提供するように適合されたユニット501と、アップリンクバーストデータのバーストデリミタを提供するように適合されたユニット502と、アップリンクバーストデータ内の前方誤り訂正で保護されたデータを提供するように適合されたユニット503と、アップリンクバーストデータのEOBデリミタを提供するように適合されたユニット504と、を含む。
【0039】
詳細には、アップリンクバーストデータのSYNCパターンを提供するように適合されたユニットによって提供されるSYNCパターンは、最大ランレングスを6とする、その2進符号において同じランレングスの0および1を有する直流バランスシーケンスである。使用される66ビット因子ブロックは、図2に示す任意の基本因子ブロックとすることもでき、基本因子ブロックに対する反転または鏡映または巡回シフトのプロセスから導出することもでき、さらに、反転または鏡映プロセスが施された基本因子ブロックに対する巡回シフトから導出することもできる。
【0040】
本発明の一実施形態における技術的解決法を、ギガビット対応の受動光ネットワーク(GPON:Gigabit−Capable Passive Optical Network)システムを例に取って説明する。本発明の実施形態によるアップリンクで送信されるバーストデータの構造は図6に示すとおりである。ONUから送信されるアップリンクバーストデータは、物理層オーバーヘッドアップストリーム(PLOu)、GPON伝送コンバージェンス(GTC)オーバーヘッド、およびGTCペイロードを含む。物理層オーバーヘッドアップストリームは、SYNCパターン、バーストデリミタ(BD)およびバーストオーバーヘッドを含む。SYNCパターンおよびバーストデリミタは、Upstream_Overheadというパラメータによって設定される。Upstream_OverheadはOLTによって送られる。SYNCパターンは、OLTが受信バーストフレームに対して自動利得制御およびクロックリカバリを実行するのに使用される。
【0041】
本発明の一実施形態では、図7に示すような、受動光ネットワークシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する方法を開示する。
【0042】
ステップ101で、長さが32ビットの整数倍であり、32ビット単位の因子ブロックの接続によって形成されている、アップリンクバーストデータのSYNCパターンを送る。
【0043】
本発明の一実施形態において設計されるSYNCパターンは、拡張32ビット因子ブロックからなる。表1に、本発明の実施形態で説明するSYNCパターンの生成のための因子ブロックの組、すなわち基本因子ブロックを提示する。表1に示す基本因子ブロックには、新しい設計のSYNCパターンの因子ブロックをもたらす反転または鏡映または巡回シフトのプロセスが施される。本発明の実施形態で設計されるSYNCパターンはエンドツーエンド接続されたこれらの因子ブロックからなる。
【0044】
【表2】

【0045】
表1に示す基本因子ブロックに対する反転、鏡映または巡回シフトからさらに因子ブロックを導出することができる。因子ブロックは、さらに、反転または鏡映プロセスを施された基本因子ブロックに対する巡回シフトから導出することもできる。
【0046】
表1に示す基本因子ブロックおよび基本因子ブロックから導出される因子ブロックは、共通して以下のような特徴がある。
【0047】
本発明の実施形態に従って設計されるSYNCパターンは、長さが32ビットの整数倍であり、32ビット因子ブロックのエンドツーエンド接続からなる。
【0048】
本発明の実施形態に従って設計されるSYNCパターンは、最大ランレングスを4とする、同じランレングスの0および1を有する直流バランスシーケンスである。
【0049】
OLTが、システムパラメータに従って、表1の中から因子ブロックを選択する。一例では、0x BB52 1E26のような32ビットシーケンス、すなわち、1011 1011 0101 0010 0001 1110 0010 0110を使用する。OLTがUpstream_Overheadに32ビットシーケンスを設定し、ダウンストリームPLOAMdによってUpstream_Overheadを送る。ONUがUpstream_Overheadを受け取り、SYNCパターンを取得し、SYNCパターン、すなわち32ビットシーケンス0x BB52 1E26を送る。
【0050】
ステップ102:バーストデリミタが送られる。
【0051】
ステップ103:バーストオーバーヘッドが送られる。バーストオーバーヘッドは、ビット誤り率を検出し、ONU−IDおよびONUのリアルタイム状態をマークするのに使用される。
【0052】
ステップ104:GTCオーバーヘッドが送られる。
【0053】
ステップ105:GTCペイロードが送られる。
【0054】
ステップ101からステップ105までを終えた後で、ONUはビットストリームの信号を送る。
【0055】
OLT受信端は、ONUから送信されたバーストデータを受け取った後で、バーストデータフレーム内のバーストSYNCパターンの0と1との遷移を利用して、受信データに対するクロックリカバリおよび自動利得制御を実行することができる。
【0056】
本発明の実施形態で設計されるSYNCパターンのスペクトルは、スペクトル間隔全体にわたって比較的均一に分布しており、それによって、OLT受信端におけるあまり複雑でない等化器の使用が可能になる。図8に、表1の因子10のエンドツーエンド接続から生成されたSYNCパターンのスペクトル図を示す。図8から明らかなように、実施形態におけるアップリンクバーストデータのSYNCパターンのスペクトルは、スペクトル間隔全体にわたって比較的均一な実線として表わされている。点線は、スペクトル成分が高周波数のところに集中する従来技術のSYNCパターンのスペクトル図を表している。図から分かるように、実施形態では優れた効果が達成されている。
【0057】
また、本発明の一実施形態は、図9に示すような、受動光ネットワークシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する装置も提供し、装置90は、
長さが32ビットの整数倍であり、32ビット単位の因子ブロックの接続によって形成されており、最大ランレングスを4とする、同じランレングスの0および1を有する直流バランスシーケンスである、アップリンクバーストデータのSYNCパターンを送るように適合されたユニット901と、
アップリンクバーストデータのバーストデリミタを送るように適合されたユニット902と、
ビット誤り率を検出し、ONU−IDおよびONUのリアルタイム状態をマークするのに使用されるバーストオーバーヘッドを送るように適合されたユニット903と、
GTCオーバーヘッドを送るように適合されたユニット904と、
GTCペイロードを送るように適合されたユニット905と、
を含む。
【0058】
本発明一実施形態においてユニット901によって送られるSYNCパターンは、拡張32ビット因子ブロックからなる。表1に、本発明の実施形態で説明するSYNCパターンの生成のための因子ブロックの組、すなわち基本因子ブロックが示されている。表1に示す基本因子ブロックには、新しい設計のSYNCパターンの因子ブロックをもたらす反転または鏡映または巡回シフトのプロセスが施される。本発明の実施形態で設計されるSYNCパターンは、エンドツーエンド接続されたこれらの因子ブロックからなる。
【0059】
本発明の実施形態による装置によって設計されるSYNCパターンのスペクトルは、スペクトル間隔全体にわたって比較的均一に分布しており、それによって、高速PONシステムの受信端におけるあまり複雑でない等化器の使用が可能になる。
【0060】
以上の説明は単に本発明のいくつかの実施形態を例示するものにすぎず、当業者は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本願の開示に照らして本発明の様々な変更または変形を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動光ネットワークシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する方法であって、
長さが66ビットの整数倍であり、66ビット単位の因子ブロックの接続によって形成されている、前記アップリンクバーストデータのSYNCパターンを提供することと、
前記アップリンクバーストデータのバーストデリミタを提供することと、
前記アップリンクバーストデータ内の前方誤り訂正で保護されたデータを提供することと、
前記アップリンクバーストデータのバーストの終わり、すなわちEOBデリミタを提供することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記SYNCパターンが、その2進符号において同じランレングスの0および1を有する直流バランスシーケンスであり、最大ランレングスが6である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記66ビット因子ブロックが、
101111110100000010000110001010011110100011100100101101110110011010
という2進数として表わされ、または前記因子ブロックに対する反転、鏡映又は巡回シフトから、または反転又は鏡映のプロセスが施されている前記因子ブロックに対する巡回シフトから導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記66ビット因子ブロックが、
101010011110100011100100101101110110011010101011111000001000011000、又は、
100110011110100011100100101101110110011010101011111000001000011000、又は、
100101011110100011100100101101110110011010101011111000001000011000、又は、
101000111101000111001001011101110110011010101011111000001000011000、又は、
101001111010001110010010101011101100110101011111011000001000011000、又は、
101001111010001110010010110111011001101010011111011000001000011000、又は、
101001111010000111001001011011110110011010101111110000001000011000、又は、
101001111010001110010010110111011001101010111111010000001000011000、
という2進数として表わされ、または前記因子ブロックのいずれかに対する反転、鏡映又は巡回シフトから、または反転又は鏡映のプロセスが施されている前記因子ブロックに対する巡回シフトから導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
受動光ネットワークシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する装置であって、
長さが66ビットの整数倍であり、66ビット単位の因子ブロックの接続によって形成されている前記アップリンクバーストデータのSYNCパターンを提供するように適合されたユニットと、
前記アップリンクバーストデータのバーストデリミタを提供するように適合されたユニットと、
前記アップリンクバーストデータ内の前方誤り訂正で保護されたデータを提供するように適合されたユニットと、
前記アップリンクバーストデータのバーストの終わり、すなわちEOBデリミタを提供するように適合されたユニットと、
を備える装置。
【請求項6】
前記SYNCパターンが、その2進符号において同じランレングスの0および1を有する直流バランスシーケンスであり、最大ランレングスが6である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記アップリンクバーストデータの前記SYNCパターンを提供するように適合された前記ユニットによって提供される前記66ビット因子ブロックが、
101111110100000010000110001010011110100011100100101101110110011010
という2進数として表わされ、または前記因子ブロックに対する反転、鏡映又は巡回シフトから、または反転又は鏡映のプロセスが施されている前記因子ブロックに対する巡回シフトから導出される、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記アップリンクバーストデータの前記SYNCパターンを提供するように適合された前記ユニットによって提供される前記66ビット因子ブロックが、
101010011110100011100100101101110110011010101011111000001000011000、又は、
100110011110100011100100101101110110011010101011111000001000011000、又は、
100101011110100011100100101101110110011010101011111000001000011000、又は、
101000111101000111001001011101110110011010101011111000001000011000、又は、
101001111010001110010010101011101100110101011111011000001000011000、又は、
101001111010001110010010110111011001101010011111011000001000011000、又は、
101001111010000111001001011011110110011010101111110000001000011000、又は、
101001111010001110010010110111011001101010111111010000001000011000、
という2進数として表わされ、または前記因子ブロックのいずれかに対する反転、鏡映又は巡回シフトから、または反転又は鏡映のプロセスが施されている前記因子ブロックに対する巡回シフトから導出される、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
受動光ネットワークシステムにおけるアップリンクバーストデータであり、ビットストリームからなる信号であって、66ビット単位の因子ブロックの接続によって形成されるSYNCパターン、バーストデリミタ、FEC保護されたデータおよびバーストの終わり、すなわちEOBデリミタを備え、長さが66ビットの整数倍である信号。
【請求項10】
前記SYNCパターンが、その2進符号において同じランレングスの0および1を有する直流バランスシーケンスであり、最大ランレングスが6である、請求項9に記載の信号。
【請求項11】
前記66ビット因子ブロックが、
101111110100000010000110001010011110100011100100101101110110011010
という2進数で表され、または前記因子ブロックに対する反転、鏡映又は巡回シフトから、または反転又は鏡映のプロセスが施されている前記因子ブロックに対する巡回シフトから導出される、請求項9に記載の信号。
【請求項12】
前記66ビット因子ブロックが、
101010011110100011100100101101110110011010101011111000001000011000、又は、
100110011110100011100100101101110110011010101011111000001000011000、又は、
100101011110100011100100101101110110011010101011111000001000011000、又は、
101000111101000111001001011101110110011010101011111000001000011000、又は、
101001111010001110010010101011101100110101011111011000001000011000、又は、
101001111010001110010010110111011001101010011111011000001000011000、又は、
101001111010000111001001011011110110011010101111110000001000011000、又は、
101001111010001110010010110111011001101010111111010000001000011000、
という2進数として表わされ、または前記因子ブロックに対する反転、鏡映又は巡回シフトから、または反転又は鏡映のプロセスが施されている前記因子ブロックに対する巡回シフトから導出される、請求項9に記載の信号。
【請求項13】
受動光ネットワークシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する方法であって、
長さが32ビットの整数倍であり、32ビット単位の因子ブロックの接続によって形成されている、前記アップリンクバーストデータのSYNCパターンを送ることと、
バーストデリミタを送ることと、
ビット誤り率を検出し、ONU−IDおよびONUのリアルタイム状態をマークするのに使用されるバーストオーバーヘッドを送ることと、
GPON伝送コンバージェンスオーバーヘッドを送ることと、
GPON伝送コンバージェンスペイロードを送ることと、
を含む方法。
【請求項14】
前記SYNCパターンが、その2進符号において同じランレングスの0および1を有する直流バランスシーケンスであり、最大ランレングスが4である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記32ビット因子ブロックが、
10111011010100100001111000100110、又は、
00010011010011110111010000101011、又は、
11010011011100101011110100010000、又は、
11110001001101011101101010010000、又は、
10111011110010110010001101010000、又は、
10101100010011010011110111010000、又は、
10001011110101001110110010110000、又は、
11110110101001000101001101110000、又は、
10010101101110101100100011110000、又は、
11101100101000100101011011110000、
という2進数として表わされ、又は前記因子ブロックのいずれかに対する反転、鏡映又は巡回シフトから、または反転又は鏡映のプロセスが施されている前記因子ブロックに対する巡回シフトから導出される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
受動光ネットワークシステムにおいてアップリンクバーストデータを提供する装置であって、
長さが32ビットの整数倍であり、32ビット単位の因子ブロックの接続によって形成されている、前記アップリンクバーストデータのSYNCパターンを送るように構成されたユニットと、
前記アップリンクバーストデータのバーストデリミタを送るように構成されたユニットと、
ビット誤り率を検出し、ONU−IDおよびONUのリアルタイム状態をマークするのに使用されるバーストオーバーヘッドを送るように構成されたユニットと、
GTCオーバーヘッドを送るように構成されたユニットと、
GTCペイロードを送るように構成されたユニットと、
を備える装置。
【請求項17】
前記SYNCパターンが、その2進符号において同じランレングスの0および1を有する直流バランスシーケンスであり、最大ランレングスが4である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記アップリンクバーストデータの前記SYNCパターンを提供するように適合された前記ユニットによって提供される前記32ビット因子ブロックが、
10111011010100100001111000100110、又は、
00010011010011110111010000101011、又は、
11010011011100101011110100010000、又は、
11110001001101011101101010010000、又は、
10111011110010110010001101010000、又は、
10101100010011010011110111010000、又は、
10001011110101001110110010110000、又は、
11110110101001000101001101110000、又は、
10010101101110101100100011110000、又は、
11101100101000100101011011110000、
という2進数として表わされ、または前記因子ブロックのいずれかに対する反転、鏡映又は巡回シフトから、または反転又は鏡映のプロセスが施されている前記因子ブロックに対する巡回シフトから導出される、請求項5に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−35153(P2010−35153A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−145215(P2009−145215)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(502385872)華為技術有限公司 (139)
【Fターム(参考)】