説明

口唇化粧料

【課題】 化粧膜のツヤ感及びその持続性、奥行きを感じるふっくらとした立体感の演出に優れた口唇化粧料を提供する。
【解決手段】 赤色干渉色を有する光輝性粉体を赤色有機色素で被覆した複合粉体を1種または2種以上配合することを特徴とする口唇化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤色干渉色を有する光輝性粉体を赤色有機色素で被覆した複合粉体を配合した口唇化粧料に関する。より詳細には、化粧膜のツヤ感及びその持続性、奥行きを感じるふっくらとした立体感の演出に優れた口唇化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より口唇化粧料は、塗布膜のツヤに優れ、ツヤが持続し、また口紅を口唇に塗布した後、口唇がふっくらと見えるための立体感を感じる化粧膜が重要な品質として求められ、このような化粧膜を具現化するために、様々な複合粉体が使用されてきた。
【0003】
このような複合粉体を配合する技術としては、無機粉体もしくは真珠光沢顔料の表面に赤色226号を強固に固着せしめた複合粉体を用いる技術(例えば、特許文献1参照)や無機白色顔料に赤色226号被覆した複合粉体用いる技術(例えば、特許文献2参照)、さらに、結晶構造と透明性を有する無機粉体を着色剤で被覆処理した複合粉体を用いる技術が挙げられる。(例えば、特許文献3参照)また、ガラスフレークに2種以上の着色剤を層状に被覆した複合粉体を用いる技術(例えば特許文献4)や、酸化チタン被覆雲母を赤色有機色素で被覆した複合粉体を用いる技術(例えば特許文献5)、色素アニオンを光沢ガラスフレークにハイドロタルサイトを用いて被覆した複合粉体を用いる技術(例えば特許文献6)も開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−169716号公報
【特許文献2】特開平7−267824号公報
【特許文献3】特開2003−155215号公報
【特許文献4】特開2004−307424号公報
【特許文献5】特開2004−315426号公報
【特許文献6】特開2006−257176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、最近の市場ニーズは、化粧膜のツヤとツヤの持続性、化粧膜の立体感に関して以前に比べかなり高い品質が要求されるようになってきており、無機粉体もしくは真珠光沢顔料の表面に赤色226号を強固に固着せしめた複合粉体を用いる技術や無機白色顔料に赤色226号被覆した複合粉体用いる技術、さらに結晶構造と透明性を有する無機粉体を着色剤で被覆処理した複合粉体を用いる技術では、化粧膜の透明感を低下させることで、化粧膜のツヤとツヤの持続、化粧膜の立体感に欠けることがあった。また、ガラスフレークに2種以上の着色剤を層状に被覆した複合粉体を用いる技術は、化粧膜のツヤとツヤの持続密には優れるが、彩度が得られないことにより立体感は満足できないものであった。一方、酸化チタン被覆雲母を赤色有機色素で被覆した複合粉体を用いる技術や色素アニオンを光沢ガラスフレークにハイドロタルサイトを用いて被覆した複合粉体を用いる技術は立体感に優れるものであったが、ツヤの程度が満足できないものであった。
そこで、化粧膜のツヤとツヤの持続性、化粧膜の立体感に優れる化粧料が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、赤色干渉色を有する光輝性粉体を赤色有機色素で被覆して複合粉体とすることにより、赤色干渉色を有する光輝性粉体だけでは見る角度により白く見えていた部分も、赤色有機色素の発色があり、また、赤色有機色素だけでは平坦に見える部分も、赤色の強弱が変化することを見出した。加えて、口唇化粧料にこの複合粉体を用いることにより、化粧膜のツヤとツヤの持続性、及び奥行きを感じるふっくらとした立体感に優れる口唇化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、赤色干渉色を有する光輝性粉体を赤色有機色素で被覆した複合粉体を1種または2種以上配合することを特徴とする口唇化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の口唇化粧料は、口唇への化粧膜にツヤがあり、またそのツヤが持続し、赤色の強弱により口唇が奥行きを感じ、ふっくらとした立体感に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に用いられる、赤色干渉色を有する光輝性粉体の基材としては、通常化粧料に用いられる薄片状粉体であり、例えば、雲母、タルク、セリサイト、合成雲母、合成セリサイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、劈開タルク、板状無水ケイ酸、板状ガラス、板状アルミニウム、板状酸化アルミニウム、板状カオリン、板状窒化硼素、板状オキシ塩化ビスマス等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を用いることができる。
【0010】
また、本発明に用いられる赤色干渉色を有する光輝性粉体としては、粉体を両面テープにブラシで塗布してガラス板に固定し、変角色差計(変角分光側色システムGCMS−WIN:株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて、入射角が45°、受光角が45°で測定したときのa値が1.1〜30.0のものが好ましい。この市販品としては、例えばTIMIRON SUPER RED、TIMIRON SPLENDID RED(MERK社製)、FLAMENCO SPARKLE RED(エンゲルハード社製)、メタシャイン 1080RR(日本板硝子社製)等が挙げられ、奥行きを感じ、ふっくらとした立体感の観点からは、板状ガラスであるメタシャイン 1080RR(日本板硝子社製)が好ましい。
【0011】
本発明に用いられる、赤色有機色素は、通常化粧料に用いられる赤色有機色素であり、例えば、赤色104号、赤色201号、赤色202号、赤色226号等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を用いることができる。また、化粧膜の立体感の観点からは、赤色201号が好ましい。複合粉体中の含有量は、特に限定されないが、0.1〜3質量%(以下、単に「%」で示す。)が好ましく、特に、0.2〜2%がより好ましい。赤色有機色素をこの範囲で含有した複合粉体を配合した口唇化粧料は、化粧膜の透明性が良好で、奥行きを感じ、ふっくらとした立体感に優れるものとなる。
【0012】
本発明の複合粉体の最外層には、赤色有機色素が存在する。本発明において、赤色有機色素をそのまま薄片状基材の被覆に用いてもよいが、赤色有機色素をハイドロタルサイト型層状複水酸化物無機フレーク粒子に固着させた状態にして用いるのが発色の点で好ましい。すなわち、赤色有機色素をハイドロタルサイト型層状複水酸化物無機フレーク粒子に固着させた状態にし、この状態にした赤色有機色素で赤色干渉色を有する光輝性粉体を被覆することにより、赤色有機色素の発色が向上し、色がくすんだりしなく、ブリーディング(水や有機溶媒に色素が溶出すること)せず、見る角度による色の変化が鮮明になり、口唇化粧料に配合した際にも、口唇をより鮮明な色の変化によって立体的に見せる点で非常に優れたものが得られる。
【0013】
ハイドロタルサイト型層状複水酸化物無機フレーク粒子に赤色有機色素を固着するには、既知の方法、例えば次の方法で行うことができる。すなわち、赤色有機色素を水に溶解させ、二種類以上の無機塩の存在下でpHを調整しながら二種類の無機水酸化物を析出させ、ハイドロタルサイト型層状複水酸化物無機フレーク粒子を添加して、赤色有機色素と二種類の無機水酸化物とハイドロタルサイト型層状複水酸化物無機フレーク粒子とを固着させることによって、赤色有機色素をハイドロタルサイト型層状複水酸化物無機フレーク粒子に固着させる。赤色有機色素の固着は、ハイドロタルサイト型層状複水酸化物無機フレーク粒子の結晶構造層間に固着させるのが好ましい。この赤色有機色素を結晶構造層間に含有するハイドロタルサイト型層状複水酸化物は、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の二価金属イオン(M)とアルミニウム等の三価金属イオン(M’)と赤色有機色素(An−)から形成される[M1−x M’ (OH)](An−x/n・mHO(0.10<x<0.75)の構造を有する。ここで二価金属イオン(M)としては亜鉛、三価金属イオン(M’)としてはアルミニウムが、赤色有機色素を固着するためには好ましい。
【0014】
本発明に用いられる複合粉体の製造方法は、例えば、赤色有機色素或はハイドロタルサイト型層状複水酸化物無機フレーク粒子に固着させた赤色有機色素と、赤色干渉色を有する光輝性粉体とを一緒に水に分散し、室温で2時間熟成させる。その後、生成物をろ過し、水、アセトンで洗浄した後、50℃で乾燥する。薄片状基材に赤色有機色素を被覆させた複合粉体が得られる。また、薄片状基材を均一に分散させたスラリーに、赤色有機色素と、ハイドロタルサイト型層状複水酸化物の原料となる二価金属イオンと三価金属イオンとを添加、撹拌し、徐々にpHを中和しながら、赤色有機色素を含むハイドロタルサイト型層状複水酸化物を薄片状基材表面に析出させることによって、薄片状基材に赤色有機色素を被覆させた複合粉体を得ることができる。
【0015】
前記のようにして得られた複合粉体の赤みの強弱を、前記変角色差計を用いた方法で、入射角を45°に固定し受光角を−75°〜75°まで5°づつ変化させ、a値の測定を行なった結果を表1に示した。表1の比率は下記式(1)を用いて計算した。
比率=(本発明の複合粉体のa値)/(赤色干渉色を有する光輝性粉体のa値)・・・(1)
【0016】
【表1】

【0017】
表1から明らかなごとく、赤色干渉色を有する光輝性粉体のみに比べ、赤色干渉色を有する光輝性粉体に赤色有機色素を被覆した複合粉体は各受光角にて、赤色の色相が変わらず強弱のみが変化していた。
【0018】
本発明に用いられる複合粉体の口唇化粧料への配合量は0.01〜5%が好ましく、より好ましくは、0.1〜3%である。この範囲であれば、発色性が良く、ツヤ感を損なわない点で好ましい。本発明に用いられる複合粉体は、必要によりフッ素化合物、シリコーン化合物、無水ケイ酸、界面活性剤等の通常公知の処理剤により表面処理を施して用いてもよい。この中でも、フッ素化合物、シリコーン化合物の表面処理が、口唇化粧料中の油剤の変質防止の観点から好ましい。
【0019】
本発明の化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前記必須成分以外の各種成分、例えば、油性成分、粉体成分、水性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、水溶性高分子、保湿剤、皮膜形成剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、ラメ剤、香料などを各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
【0020】
油性成分としては、化粧料に一般に使用される動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、パラフィンワックス、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリブテン、セレシンワックス、オゾケライトワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ゲイロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス等のロウ類、トリオクタン酸グリセリル,ジイソステアリン酸ポリグリセリル,トリイソステアリン酸ジグリセリル,トリベヘン酸グリセリル,2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、トリグリセライド等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、ポリオキシアルキル変性オルガノポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0021】
粉体としては、球状、板状、針状等の形状や煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、あるいは多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等を使用することがでる。具体的な粉体としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、二酸化珪素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等を例示することができる。これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。なお、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0022】
また、界面活性剤は粉体の分散性向上の目的で用いることができ、化粧品一般に用いられている界面活性剤であれば特に制約はなく、非イオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が使用される。更に、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
【0023】
更にまた、水性成分はモイスチャー効果を付与する目的で用いることができ、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
【0024】
また更に、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等がそれぞれ挙げられる。
【0025】
本発明の口唇化粧料の剤型は、特に限定されないが水中油型乳化物、油中水型乳化物、油性物、含水油性物、粉末物等とすることができ、固形状、クリーム状、ゲル状、液状等の形状をとることができる。口唇化粧料としては、例えば口紅、リップグロス、リップクリーム等が挙げられる。
【0026】
次に実施例をもって本発明をより詳細に説明する。尚、本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0027】
(製造例1) 複合粉体A
酸化チタン被覆ガラス末〔メタシャイン 1080RR〕(日本板硝子社製)100gと赤色201号1gを3Lの水に分散させた。次に塩化アルミニウム6水塩12gと塩化亜鉛10gを溶解させ、90分以上かけて2%水酸化ナトリウム溶液で中和して赤色201号を含有するハイドロタルサイト型層状複水酸化物を雲母チタン表面に析出させた。その後90℃まで温度を上げ熟成し、ろ液が透明になるまで水洗を行ない100℃で乾燥した。乾燥後粉砕を行ない複合粉体を得た(色素含有1%)。
【0028】
(製造例2) 複合粉体B
合成例1の酸化チタン被覆ガラス末に代えて雲母チタン〔「FLAMENCO SPARKLE RED 420J」(エンゲルハード社製)製造例1と同様にして複合粉体を製造した。
【0029】
(実施例1〜6及び比較例1〜3)
スティック状口紅の調製
表2に示す処方及び下記に示す製法により、スティック状口紅を製造した。得られた各スティック状口紅について、光沢計の測定値にてツヤを評価した。また、官能評価により、ツヤの持続性、立体感を評価した。その結果を表1にあわせて示す。
【0030】
【表2】

【0031】
注1:Performaren 655(ニューフェーズテクノロジー社製)
注2:ペトロライトEP−700(Baker Petrolite社製)
注3:製造例1記載の複合粉体
注4:製造例2記載の複合粉体
注5:メタシャイン 1080RR(日本板硝子社製)
注6:FLAMENCO SPARKLE RED 420J(エンゲルハード社製)
注7:AEROSIL380S(日本アエロジル社製)
(製造方法)
A.成分(1)〜(7)を110〜120℃にて加熱溶解後、成分(8)〜(17)を加えて、均一混合する。
B.Aに成分(18)〜(19)を加えて均一に混合する。
C.Bに成分(20)を加えて加熱し、脱泡後、型に流し込み充填し、冷却して成型する。
【0032】
(評価方法)
1.ツヤ
各スティック状口紅をローラー処理を2回行いペースト状にし、膜厚16mil(約0.4mm)のアプリケーターにてガラス板に展開して測定サンプルとする。これを光沢計VG−1D(日本電色工業社製)にて、光沢度を測定した。その測定値を下記の基準により判断し、◎〜××の5段階にて判定した。
(光沢度) :(判定)
45.0以上 : ◎
40.0以上45.0未満: ○
35.0以上40.0未満: △
30.0以上35.0未満: ×
30.0未満 : ××
【0033】
2.官能評価
(イ)のツヤの持続性、(ロ)の立体感について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて7段階に評価し評点を付け、各試料毎にパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
なお、(イ)のツヤの持続性については、各試料を唇に塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、3時間後のツヤについて評価した。
(絶対評価)
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
(判定基準)
(評点平均値) (判定)
5点を超える : ◎
3.5点を超えて5点以下 : ○
2点を超えて3.5点以下 : △
2点以下 : ×
【0034】
表2から明らかなごとく、本発明のスティック状口紅は、化粧膜のツヤとツヤの持続性、立体感に優れるものであった。これに対して複合粉体が含有されていない比較例1では、すべての項目で、また、複合粉体Aの替わりに酸化チタン被覆ガラス末を含有した比較例2では、化粧膜が部分的に白っぽくなるため奥行きのある立体感に欠け、さらに、複合粉体Bの替わりに雲母を含有した比較例3では、特にツヤの持続性と化粧膜の立体感の点で満足いくものが得られず、赤色干渉色を有する光輝性粉体と赤色有機色素を複合化せずに単独で配合した比較例4では、部分的に白っぽくなり、赤色の強弱が無く、奥行きのある立体感が得られなかった。
【0035】
(実施例7) 液状口紅
(成分) (%)
1.デキストリン脂肪酸エステル注8 3
2.2−エチルヘキサン酸セチル 5
3.シリル化処理無水ケイ酸注9 2
4.流動パラフィン 10
5.ポリブテン 50
6.トリイソステアリン酸ジグリセリル 5
7.トリオクタン酸グリセリル 10
8.紫外線吸収剤(パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル) 0.1
9.酸化防止剤(天然ビタミンE) 0.1
10.リンゴ酸ジイソステアリル 残量
11.複合粉体A注3 1
注8:レオパールKL(千葉製粉社製)
注9:AEROSIL R972 (日本アエロジル社製)
(製造方法)
A.成分(1)〜(10)を90℃にて均一に加熱混合した後、成分(11)を加え、均一に混合分散する。
B.Aを90℃に加熱して脱泡し、アプリケーター容器に充填し、冷却して製品とする。
本実施例で得られたリキッド状口紅は、化粧膜のツヤとツヤの持続性、立体感に優れるものであった。
【0036】
(実施例8) 流し込み口紅
(成分) (%)
1.エチレン・ピロピレンコポリマー注2 5
2.フィッシャートロプシュワックス注10 3
3.キャンデリラワックス 1
4.セレシン 1
5.デカイソステアリン酸デカグリセリル注4 30
6.トリオクタン酸グリセリル 残量
7.テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 10
8.トリイソステアリン酸ジグリセリル 5
9.ダイマージリノール酸(フィトステリル/
イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)注12 2
10.トリイソステアリン酸グリセリル 4
11.重質流動イソパラフィン 5
12.酸化防止剤(ビタミンEアセテート) 0.1
13.シリル化処理無水ケイ酸注11 1
14.赤色202号 1
15.黄色4号 0.5
16.酸化チタン 0.5
17.黒酸化鉄 0.1
18.雲母チタン 5
19.酸化チタン被覆ガラス末 1
20.複合粉体A注3 2
21.香料 適量
注10:CIREBELLE 108(CIREBELLE社製)
注11:AEROSIL R976S (日本アエロジル社製)
注12:PLANDOOL−S(日本精化社製)
(製造方法)
A.成分(1)〜(12)を110〜120℃にて加熱溶解後、成分(13)〜(20)を加えて、均一混合する。
B.Aに成分(21)を加えて加熱し、脱泡後、金皿に流し込み充填し、冷却して成型する。
本実施例で得られた流し込み口紅は、化粧膜のツヤとツヤの持続性、立体感に優れるものであった。
【0037】
(実施例9) リップクリーム
(成分) (%)
1.エチレン・プロピレンコポリマー注2 1
2.オゾケライトワックス 3
3.ポリエチレンワックス注1 1
4.マイクロクリスタリンワックス 3
5.パラフィン 2
6.2−エチルヘキサン酸セチル 3
7.炭酸ジアルキル 30
8.ポリブテン 5
9.リンゴ酸ジイソステアリル 5
10.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
11.紫外線吸収剤
(4−ターシャリーブチル−4‘−メトキシジベンゾイルメタン) 0.1
12.酸化防止剤(酢酸トコフェロール) 0.1
13.複合粉体B注4 1
(製造方法)
A.成分(1)〜(12)を110℃にて均一に加熱混合する。
B.Aに成分(13)を加え、均一に分散する。
C.Bを脱泡し、型に流し込み充填し、冷却して成型する。
本実施例で得られたリップクリームは、化粧膜のツヤとツヤの持続性、立体感に優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色干渉色を有する光輝性粉体を赤色有機色素で被覆した複合粉体を配合したことを特徴とする口唇化粧料。
【請求項2】
前記赤色干渉色を有する光輝性粉体が薄片状ガラス基材であることを特徴とする請求項1記載の口唇化粧料。
【請求項3】
前記赤色有機色素が、ハイドロタルサイト型層状複水酸化物無機フレーク粒子に固着された赤色有機色素であることを特徴とする請求項1又は2記載の口唇化粧料。
【請求項4】
前記複合粉体中の赤色有機色素の含有量が0.1〜3.0質量%であることを特徴とする請求項1〜3の何れかの項記載の口唇化粧料。

【公開番号】特開2008−255012(P2008−255012A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95543(P2007−95543)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】