説明

口唇化粧料

【課題】本発明は、口唇化粧料であり、外観の審美性、使用感や透明性、くすみが消えた印象による健康的なツヤ感、化粧持続効果を有する口唇化粧料に関する。
【解決手段】次の成分(A)〜(C);
(A)反射光の色相が異なるポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムの2種以上を貼り合わせた、厚さが20〜50μmである積層ラメ剤;
(B)ミリスチン酸デキストリン;
(C)ポリイソブチレン、ポリブテン、重質流動イソパラフィンから選ばれる1種又は2種以上の炭化水素系の油剤;
を配合することにより、外観の審美性が高く、使用感や透明性も良好で、くすみが消えた印象による健康的なツヤ感、化粧持続効果を有する口唇化粧料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口唇化粧料に関し、詳しくは、反射光の色相が異なるポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムの2種以上を貼り合わせた、厚さ20〜50μmである積層ラメ剤とミリスチン酸デキストリンとポリイソブチレン、ポリブテン、重質流動イソパラフィンから選ばれる1種又は2種以上の炭化水素系の油剤を配合することにより、外観の審美性が高く、使用感や透明性も良好で、くすみが消えた印象により健康的なツヤ感を付与し、化粧持続効果に優れた口唇化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、メイクアップ製品においては、肌や口唇の欠点を隠蔽し、色味や輝きを与えることによって、理想とする肌や口唇になるための検討がなされてきた。例えば、高い隠蔽性と鮮明な光輝感を付与する目的で、粒子径の大きい光輝性粉体と隠蔽性粉体、酸化鉄被覆板状粉体を配合したメイクアップ化粧料や(特許文献1参照)、高い光輝性と優れた使用感を付与するする目的で、光輝性ガラスフレークや水添ポリイソブテン、水酸基を有するエステル油を配合したメイクアップ化粧料(特許文献2参照)がある。
また、肌の色ムラ、シミ等の色調トラブルをカバーする目的で干渉光を有する物質と鉄含有酸化チタンと球状樹脂粉末を配合した化粧料(特許文献3参照)が挙げられる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−123681号公報
【特許文献2】特開2007−277108号公報
【特許文献3】特開2002−241212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、粒子径の大きい光輝性粉体と隠蔽性粉体、酸化鉄被覆板状粉体を配合する技術を示した特許文献1は、唇に塗布した場合、唇本来の色味をカバーしながら色味や輝きを付与するため、仕上がりに不自然な印象を与えてしまうといった場合があった。また、光輝性ガラスフレークや水添ポリイソブテン、水酸基を有するエステル油を配合する技術を示した特許文献2は、高い輝きや彩りを与えるという点では優れているが、口唇への使用では過剰な輝度で不自然さを与える要因となってしまう。 近年、若年層におけるトータルメイクの嗜好性はアイメイク主体の構成が主流であり、口唇化粧料においては、様々な色味を付与するのではなく、顔全体の表情を明るく生き生きと
した印象に仕上げるために、唇の色味はそのままに適度なツヤ感を与えることで、自然な仕上がりを求める傾向にある。一方で、血色の悪さから唇がくすんで見えるといった自分の唇の色味に対して悩みを抱えている女性も多く存在している。また、化粧料を選択する際には、仕上がりの化粧膜や感触だけでなく、外観が美しいものも重要な因子となっている。そのために、外観の審美性が高く、使用感や透明性も良好で、くすみが消えた印象により健康的なツヤ感を付与し、化粧持続効果に優れた口唇化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情において、本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、口唇化粧料において、顔全体の表情を明るく生き生きとした印象に仕上げるために、着色による効果ではなく、反射光によって色くすみが消えた印象を付与すると考え、透明な粉体であるポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムのラメ剤の検討を行った。その結果、反射光の色相が異なるポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムの2種以上を貼り合わせた、厚さ20〜50μmである積層ラメ剤とミリスチン酸デキストリンとポリイソブチレン、ポリブテン、重質流動イソパラフィンから選ばれる1種又は2種以上の炭化水素系の油剤を配合することで、外観の審美性が高く、使用感や透明性も良好で、くすみが消えた印象により健康的なツヤ感を付与し、化粧持続効果に優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、成分(A)反射光の色相が異なるポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムの2種以上を貼り合わせた、厚さ20〜50μmである積層ラメ剤、成分(B)ミリスチン酸デキストリン、成分(C)ポリイソブチレン、ポリブテン、重質流動イソパラフィンから選ばれる1種又は2種以上の炭化水素系の油剤を配合したことを特徴とする口唇化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の口唇化粧料は、外観の審美性が高く、使用感や透明性も良好で、色を着色することにより唇をカバーするのではなく、くすみが消えた印象により健康的なツヤ感を付与することで、自然で健康的な表情を演出し、化粧持続効果に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の口唇化粧料の成分(A)に用いられる反射光の色相が異なるポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムは、ポリエチレンテレフタレートおよびポリメチルメタクリレートの板状ポリマーを積層し、厚みや積層数を制御することで様々な干渉光を呈するフィルムであり、用途に応じ裁断し、従来より化粧料に配合されてきたものである。このような積層フィルムの2種以上を貼り合わせることにより、これまでになかった独特の色相を有する積層ラメ剤を得ることができる。貼り合わせる2種以上のポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムの選択は特に限定されないが、入射角20°、受光角20°で測定したときに、LCh表色系においてh値の差が20以上あることが好ましい。この範囲であれば、従来にない独特の色相の積層ラメ剤が得られる。
本発明の色相の測定には、村上色彩技術研究所社製 変角高速分光光度計 GSP−1B型を用いた。光源は12V、100Wとするハロゲンランプを使用し、光源が照射される面積を確保するために、積層ラメ剤の裁断前のフィルムを試料とし、試料に対して入射角20°、受光角20°での拡散反射率を測定した。表色系はCIE LabをベースとしたLCh表色系にて表した。ここでL値は明度を表し、C値は彩度、h値は色相角度を表す。
本発明に用いられる成分(A)の積層ラメ剤は厚みが20〜50μmが好ましく、30〜40μmがより好ましい。さらに、粒径は0.01〜0.5mmが好ましく、0.05〜0.3mmがより好ましい。この範囲であると、使用感が良好で、くすみが消えた印象により健康的なツヤ感を付与する点で満足のいくものが得られる。ここで、厚みの測定は、マイクロメーターを用い、粒径の測定においては、試料を2g秤量し、振動ふるい器で5分振とう後、95%以上通過した時のメッシュの大きさを用いている。
また入射角20°、受光角20°における色相が、LCh表色系において、C値は100〜200が好ましく、h値は0〜10もしくは350〜360が好ましい。この範囲であると、くすみが消えた印象により健康的なツヤ感を得られ易く、光輝感が強くなりすぎることがない。ここで定めたh値の範囲は、色相において赤味を呈することを意味する。
配合量は、0.1〜5質量%(以下、単に「%」で示す)が好ましく、0.5〜3%がより好ましい。この範囲であれば、透明性や外観の審美性が高く、使用感も良好で、くすみが消えた印象により健康的なツヤ感を付与し、化粧持続効果の点で満足のいくものが得られる。
本発明に用いられる成分(A)の積層ラメ剤は必要に応じて、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、アミノ酸、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の一種又は二種以上を用いて表面処理を施しても良い。
【0009】
本発明の口唇化粧料に用いられる成分(B)のミリスチン酸デキストリンは油溶性のものでミリスチン酸と平均重合度10〜50(好ましくは20〜30)のデキストリンとのエステル化合物であり、通常化粧品に使用されるものであれば特に制限されず、いずれのものも使用することができ、油性のゲル化剤として系の安定化やラメ剤の沈降防止、使用性の向上を目的として配合される。市販品としては、例えば、「レオパール MKL」(千葉製粉社製)等が挙げられる。これらの成分(B)は必要に応じ、1種又は2種以上を使用することができる。
配合量は、0.5〜15%が好ましく、2〜12%がより好ましい。この範囲であれば、透明性や外観の審美性が高く、使用感も良好で、化粧持続効果の点で満足のいくものが得られる。
【0010】
本発明の口唇化粧料に用いられる成分(C)のポリイソブチレン、ポリブテン、重質流動イソパラフィンから選ばれる1種又は2種以上の炭化水素系の油剤は、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず必要に応じて1種又は2種以上使用することができ、基剤として配合されるほか、仕上がり化粧膜のツヤ感の付与や適正な粘度調整、使用性の向上を目的として配合され、25℃で液状のものが好ましい。市販品としては、例えば、精製ポリブテンHV−100F(SB)(日本ナチュラルプロダクツ社製)、ポリブテン100R、ポリブテン300R、ポリブテン300H、ポリブテン2000H(以上、出光興産社製)、パールリーム18、パールリーム24、パールリーム46(以上、日本油脂社製)等が挙げられる。
配合量は、30〜80%が好ましく、40〜70%がより好ましい。この範囲であれば、透明性や外観の審美性が高く、使用感も良好で、化粧持続効果の点で満足のいくものが得られる。
【0011】
本発明の口唇化粧料は、成分(B)および(C)を配合量することで透明性が良好となり、また仕上がりの化粧膜の使用性や付着力、ツヤ感にも優れる。加えて成分(A)を配合した際は、成分(A)のもつ特異的な光輝性を最大限に発揮することで、くすみが消えた印象により健康的なツヤ感を付与することが可能となる。くすみが消えた印象により健康的なツヤ感を付与するためには、成分(A)の反射光が赤味を呈し、またC値が100〜200と、C値が300以上になる酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性粉体より低い値であることが好ましい。
【0012】
本発明の口唇化粧料には、上記(A)〜(C)の他に、通常化粧料に配合される成分として、成分(B)および(C)以外の油性成分、成分(A)以外の光輝性粉体、無機顔料、有機顔料及び体質顔料等の粉体、界面活性剤、水や多価アルコール、低級アルコール、水溶性高分子、保湿剤等の水性成分、糖類、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、リパーゼやプロテアーゼ等の酵素類、レゾルシンやイオウ等の各種薬剤、清涼剤、色素、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
【0013】
油性成分としては、成分(B)および(C)以外の化粧料に一般に使用される動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、エーテル類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン、油性ゲル化剤等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン、モンタンワックス、エチレンホモポリマー、(エチレン/プロピレン)コポリマー、オゾケライトワックス、セレシンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ゲイロウ、キャンデリラワックス、ライスワックス、カルナウバワックス等のロウ類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸ポリグリセリル、アジピン酸ジグリセリル混合脂肪酸エステル、ジカプリン酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソトリデシル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、炭酸ジアルキル、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、トリメリト酸トリデシル、トリメリト酸トリトリデシル、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ホホバ油などのエステル類、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、デキストリン脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、庶糖脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類、キャンデリラ樹脂、α−オレフィン・ビニルピロリドン共重合体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0014】
粉体成分としては、成分(A)以外の化粧料に一般に使用される粉体として用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、炭化珪素、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、等が挙げられる。これら粉体はその一種又は二種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。なお、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の一種又は二種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0015】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。
【0016】
更に、水性成分はモイスチャー効果を付与する目的で用いることができ、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、エチアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のもの、他にタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2−ペンタジオール等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。
【0017】
本発明の口唇化粧料としては、油性、油中水型、水中油型が挙げられ、性状は固形(皿状等)、半固形、液状などが挙げられる。最も適しているのは、油を連続相とする油性の液状である。
【0018】
本発明の口唇化粧料の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば成分(C)のポリイソブチレン、ポリブテン、重質流動イソパラフィンから選ばれる1種又は2種以上の炭化水素系の油剤を含む油性成分と成分(B)のミリスチン酸デキストリンを加熱溶融したのち、成分(A)の反射光の色相が異なるポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムの2種以上を貼り合わせた、厚さ20〜50μmである積層ラメ剤や任意の粉体や水系成分などを均一に混合分散し、これを脱泡後、容器または型に流し込み充填し、冷却させて得ることができる。
【実施例】
【0019】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0020】
実施例1〜5および比較例1〜4:口唇化粧料(油性液状)
表1に示す組成の口唇化粧料を下記の製造方法により調製し、各試料について、外観の審美性、使用感、透明性、くすみが消えた印象による健康的なツヤ感、化粧持続効果の項目の評価を行い、その結果も併せて表1に示した。
【0021】
【表1】

【0022】
*1:レオパール MKL2(千葉製粉社製)
*2:レオパール KL2(千葉製粉社製)
*3:精製ポリブテンHV−100F(SB)(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*4:ポリブテン2000H(出光興産社製)
*5:AEROSIL R−976S(日本アエロジル社製)
*6:LCh表色系において、C値が147、h値が2.5であり、粒径が0.15mm、厚みが35μm、反射光は赤色を呈する。
*7:LCh表色系において、C値が320、h値が49であり、粒径が0.15mm、厚みが19μm、反射光は黄味よりの赤色を呈する。
*8:FLAMENCO SPARKLE RED 420J(BASF社製)平均粒径が0.05mm、反射光は赤色を呈する。
(製造方法)
A:成分1〜7を100℃に加温して溶解する。
B:Aに成分8〜15を加え均一に分散する。
C:Bを脱泡後、成分15を加えて均一に混合し、90℃にて容器に流し込み冷却する。
【0023】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
a.外観の審美性
b.使用感
c.透明性
d.くすみが消えた印象による健康的なツヤ感
e.化粧持続効果
各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。aについては透明容器に充填された試料が透明性が高く、配合されている光輝性粉体の輝きに鮮やかさがあるかを目視にて判断した。bcdeについてはパネル各人に各試料を唇に塗布し、bについては、塗布時に滑らかに伸び広がるかを判断し、cおよびdについては仕上がりの化粧膜について、cは本来の唇の色を隠蔽することなく生かす透明性があるかを、dは自分の唇がもつ色味に対して、くすみが消えた印象による健康的なツヤ感があるかを判断した。eについては試料を塗布後、パネル各人に通常の生活をしてもらい、4時間後に化粧膜が落ちていないかどうかの評価を下記絶対評価基準にて6段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
【0024】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える :非常に良好
○:3.5点を超える5点以下:良好
△:2点を超える3.5点以下:やや不良
×:2点以下 :不良
【0025】
表1の結果から明らかな如く、本発明の実施例1〜5の口唇化粧料は、比較例1〜4に比べ、外観の審美性、使用感や透明性、くすみが消えた印象による健康的なツヤ感、化粧持続効果を有するものであった。
一方、成分(A)の積層ラメ剤の代わりに、厚みが19μm、LCh表色系において、C値が320、h値が49、粒径が0.15mm、干渉光は黄味よりの赤色を呈するポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムを等量の配合量で置き換えた比較例1は、外観の審美性や使用感、透明性は同様の効果が得られるものの、彩度が高すぎるためくすみが消えた印象による健康的なツヤ感が得られず、また、彩度が高いため、少しの化粧膜のはく離でも輝度の減少が顕著に感じられるため、化粧持続効果において満足のいくものが得られなかった。また、成分(A)の積層ラメ剤の代わりに、酸化チタン被覆マイカを等量の配合量で置き換えた比較例2では、隠蔽性が高くなり、充填品が白濁状になり外観の審美性が失われ、また仕上がり化粧膜は唇の色味をカバーしてしまい、かつ彩度が高すぎるため、くすみが消えた印象による健康的なツヤ感が得られず、さらに化粧膜のはく離が目立ってしまい、持続効果の点で満足の行くものが得られなかった。さらに、成分(B)の代わりにパルミチン酸デキストリンに置き換えた比較例3では、油性層が白濁してしまい、外観の審美性が損なわれ、成分(A)の持つ特異的な光輝性が発揮されないため、くすみが消えた印象による健康的なツヤ感が得られず、塗布時の伸び広がりも重いものであった。成分(C)の炭化水素系の油剤が配合されていない比較例4では、油性層の透明性が損なわれ外観の審美性が得られず、使用感においても付着力が少ないために一度でしっかり塗布することができず、また成分(A)の持つ特異的な光輝性が発揮されないため、くすみが消えた印象による健康的なツヤ感が得られず、仕上がり化粧膜の付着力が落ちることから化粧持続効果においても満足のいく効果が得られなかった。
【0026】
実施例6:口唇化粧料(油性固形状)
(成分) (%)
1.ミリスチン酸デキストリン*1 12
2.ポリイソブチレン混合物*9 1
3.重質流動イソパラフィン*10 45
4.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
5.トリイソステアリン酸ポリグリセリル 20
6.メチルフェニルポリシロキサン 5
7.無水ケイ酸*11 2
8.成分(A)の積層ラメ剤*6 1
9.防腐剤(フェノキシエタノール) 適量
10.ビタミンE 0.1
* 9:ブチルワックス 201(ポリイソブチレン 67%)(興立化学社製)
*10:パールリーム18(日本油脂社製)
*11:AEROSIL 380S(日本アエロジル社製)
(製造方法)
A:成分1〜6を90℃に加温して均一に混合溶解する。
B:Aに成分7〜10を加え均一に分散する。
C:Bを脱泡後、樹脂皿容器に流し込み充填し冷却する。
実施例6は、外観の審美性、使用感、透明性、くすみが消えた印象による健康的なツヤ感、化粧持続効果を有する口唇化粧料であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C);
(A)反射光の色相が異なるポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムの2種以上を貼り合わせた、厚さ20〜50μmである積層ラメ剤;
(B)ミリスチン酸デキストリン;
(C)ポリイソブチレン、ポリブテン、重質流動イソパラフィンから選ばれる1種又は2種以上の炭化水素系油剤;
を配合したことを特徴とする口唇化粧料。
【請求項2】
成分(A)の積層ラメ剤が入射角20°、受光角20°における色相をLCh表色系で表現した場合、C値が100〜200、h値が0〜10もしくは350〜360であることを特徴とする請求項1に記載の口唇下地料。
【請求項3】
成分(A)の積層ラメ剤の平均粒径が0.01〜0.5mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の口唇化粧料。
【請求項4】
成分(A)の積層ラメ剤を0.1〜5質量%、成分(B)のミリスチン酸デキストリンを0.5〜15質量%、成分(C)のポリイソブチレン、ポリブテン、重質流動イソパラフィンから選ばれる1種又は2種以上の炭化水素系油剤を30〜80質量%配合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の口唇化粧料。
【請求項5】
成分(A)の積層ラメ剤を除いた部分が、透明であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の口唇化粧料。


【公開番号】特開2011−184415(P2011−184415A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54129(P2010−54129)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】