説明

口腔内ケア用具

【課題】水溶性口腔内ケア剤が脱落しにくく、簡便な方法で製造することのできる口腔内ケア用具用部材及びそれを用いた口腔内ケア用具を提供する。
【解決手段】口腔内ケア用具用部材が、3次元連通孔を有するシリコーン樹脂硬化物と、該連通孔内に充填されている20℃で固体の水溶性口腔内ケア剤とを含む。この口腔内ケア用具用部材は、硬化型シリコーンと、20℃で固体の水溶性口腔内ケア剤とを混練後、硬化型シリコーンを硬化させることにより得られる。口腔内ケア用具用部材からなる歯間挿入部14を一体形成した歯間ケア用具10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内の汚れの除去、歯ぐきのマッサージ等を行う口腔内ケア用具用部材およびそれを用いた口腔内ケア用具に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内の清掃用具として歯ブラシ、歯間ブラシ、フロス、ピック(楊枝)及び舌ブラシ等が広く知られている。これらの用具は、単独で使用するか、または歯磨剤や洗口剤と一緒に使用されている。
【0003】
一方、口腔内で使用する際に薬剤を放出し、口腔内の殺菌、炎症の抑制、汚れの除去を行う口腔内ケア用具も知られている。例えば、特許文献1には、気泡を含む物質あるいは3次元的網目構造をもつ物質から作られた歯間清掃体に、歯垢分解酵素、殺菌剤、フッ化物、研磨剤、抗炎症剤、ビタミン類、収斂剤、消臭剤から選ばれる1種または複数種の有効成分を含浸、吸着または塗布した歯間清掃用具が開示されている。また、特許文献2には、液体の薬剤を、保液性を有する軟質な基材に含浸させた清拭材が開示されている。この清拭材に使用可能な基材としては、繊維の集合体である不織布や、独立気泡または連続気泡を有するスポンジ状素材が記載されている。これら薬剤含浸清拭材は、そのまま、もしくはスティック状の持ち手の先端に取り付けた状態で使用できる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−192245号
【特許文献2】特開2000−86475号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、口腔内で使用する際に薬剤を放出する口腔内ケア用具は、いずれも、口腔内清掃用具等の基材を作製する第1の工程と、その基材に薬効成分を含浸、吸着または塗布する第2の工程に分けて製造することになるため、製造工程が複雑となる。
【0006】
また、いずれの口腔内ケア用具も薬効成分の含浸又は吸着を液状で行う必要があるため、薬効成分が常温で固体の場合は一旦それを液体に溶解させて基材に含浸させた後に乾燥させて再結晶させることになるので、薬効成分は、基材である不織布の繊維やスポンジ状部材との付着力が小さく、脱落しやすいことが考えられる。さらに、薬効成分を液状で含浸させるため、種類や配合量に限りがある。
【0007】
本発明は、水溶性口腔内ケア剤が脱落しにくくなり、簡便な方法で製造することのできる口腔内ケア用具用部材及びそれを用いた口腔内ケア用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、硬化型シリコーンと20℃で固体の水溶性口腔内ケア剤とを混練した後、それを硬化させて得られる部材は口腔内ケア用具の材料として好適であり、これにより本発明の目的を達成できることを見出した。
【0009】
即ち、本発明は、3次元連通孔を有するシリコーン樹脂硬化物と、該連通孔内に充填されている20℃で固体の水溶性口腔内ケア剤とを含む口腔内ケア用具用部材を提供する。
【0010】
また、この口腔内ケア用具用部材の製造方法として、硬化型シリコーンと、20℃で固体の水溶性口腔内ケア剤とを混練した後、硬化型シリコーンを硬化させる口腔内ケア用具用部材の製造方法を提供する。
【0011】
さらに、本発明は、上述の口腔内ケア用具用部材を用いた口腔内ケア用具を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の口腔内ケア用具用部材は、使用前には水溶性口腔内ケア剤が固体の状態でシリコーン樹脂硬化物の3次元連通孔内に多量に充填された状態となっているため、口腔内で使用する際に徐々にその表面から口腔内ケア剤が口腔内に溶解し、かつ、口腔内ケア剤の溶解した部分が気孔を形成したスポンジ状となる。そのため、口腔内に溶解した口腔内ケア剤と共にスポンジ状になった部分で口腔内を擦ることにより、薬効成分を効果的に付与でき、かつ口腔内の汚れの除去、歯ぐきのマッサージ等を効果的に行うことが可能となる。
【0013】
さらに、その製造工程で、基材の成形工程と、基材に口腔内ケア剤を保持させる工程とを別工程で行う必要が無く、口腔内ケア用具用部材自体の成形と、口腔内ケア用具用部材に口腔内ケア剤を含有させることを一段の工程で行うことができるので、簡便に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0015】
本発明の口腔内ケア用具用部材(以下、ケア用具用部材とする。)は、3次元連通孔を有するシリコーン樹脂硬化物と、その連通孔内に充填されている20℃で固体の水溶性口腔内ケア剤(以下、ケア剤とする)とを含む。このケア用具用部材は、使用前はシリコーン樹脂硬化物の3次元連通孔内に固形のケア剤が略完全に充填された構造を有するのでほとんど弾力性を持たないが、口腔内で使用することにより、徐々にケア剤が口腔内に溶解し、溶出した跡は気孔となる。そのため、ケア用具用部材を口腔内で使用するのに伴い、弾力性を有するスポンジ体が形成されることとなる。
【0016】
本発明のケア用具用部材は、硬化型シリコーンと20℃で固体のケア剤とを混練し、所定形状に成形し、硬化させることにより製造することができる。
【0017】
硬化型シリコーンとしては、1液硬化型シリコーンや2液混合の硬化型シリコーンのいずれも用いることができる。特に、ケア剤との混練後に硬化させるために、硬化反応時にアルコールや水等の副生成物が少ないものが好ましい。また、製造工程上、使用するケア剤の融点以下で硬化可能なものが好ましい。より具体的には、シラン基を有するシリコーンとビニル基をもつシリコーンの2液混合硬化型シリコーン等を使用できる。
【0018】
本発明においてケア剤は20℃で固体の水溶性のものであり、平均粒径5〜800μmの単一又は複数成分からなる粉体ないし粒状体とすることが好ましい。平均粒径がこの範囲であると、シリコーン樹脂硬化物が好適な3次元連通孔を形成するので、使用時にケア剤を良好に口腔内に溶出させることができる。粒径が小さすぎると連通孔の直径が小さくなり唾液が浸透しづらくなり、ケア用具用部材全体をスポンジ化させるための時間が長くなる。また、硬化型シリコーンとの混練中にケア剤同士の凝集が起こり、粒子径が大きく不ぞろいの凝集体を形成してしまう。反対に、平均粒径が大きすぎると、好適な3次元連通孔が得られないだけでなく、ケア剤自体の唾液への溶出速度が遅くなり、ケア用具用部材全体をスポンジ化させるための時間が長くなる。特に、シリコーン樹脂硬化物に最適な連通孔を形成し、ケア剤に良好な溶出速度、溶解性を付与する点から、ケア剤の平均粒径は10〜600μmの固体であることが好ましい。
【0019】
ケア剤には、口腔用組成物に使用可能な成分を含むことができ、具体的には、糖アルコール類、フッ化物、カルシウム塩化合物から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を使用することができる。糖アルコールとしては、例えば、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、およびラクチトール等が含まれる。中でも、エリスリトールは、むし歯、歯肉炎、口臭の原因となる細菌の集合体(歯垢・舌苔)に素早く浸透し、口中の細菌の集合体を分散しやすくする効果が高いことから特に好ましい。フッ化物としては、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等を使用することができる。カルシウム塩化合物としては、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム等を使用することができる。
【0020】
ケア剤には、その効果を向上させるために、必要に応じて水溶性の粘稠剤を添加することができる。粘稠剤は20℃で固体のものが好ましく、平均粒径5〜800μmのものがより好ましい。また、ケア剤では20℃で液体の粘調剤を混合して使用してもよい。粘調剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム等が挙げられる。粘調剤の配合量は、口腔内で溶解する過程でのケア剤の粘度を高めて、ケア剤と口中の細菌集合体との接触時間を長くする点で、ケア剤中に0.1〜5質量%、特に1〜2質量%配合することが好ましい。
【0021】
ケア用具用部材の製造に際し、硬化型シリコーンとケア剤との配合割合は、硬化型シリコーン(A)に対するケア剤(B)の重量比(B/A)として、B/A=2〜4とすることが好ましく、B/A=2.5〜3.5とすることが、ケア剤の口中への溶解時間が短くなるとともに溶解後に形成されるスポンジ強度や弾力性の観点から特に好ましい。
【0022】
ケア剤が少なすぎると、硬化型シリコーンとケア剤との混練物を硬化させたケア用具用部材に十分に連通孔が形成されず、ケア剤が口中に溶解しづらくなるとともに、ケア剤が溶解した後のケア用具用部材がスポンジ状になりにくいので好ましくない。反対にケア剤が多すぎると、ケア用具用部材の強度が不足し、成形不良が生じるので好ましくなく、また、ケア用具用部材からケア剤が溶出した後のスポンジ状部分の強度も不足するので好ましくない。
【0023】
また、本発明のケア用具用部材には、歯面の清掃性を向上させることを目的として、研磨剤を配合することができる。
【0024】
研磨剤は、十分な研磨効果を付与し、ざらつき等の使用時の違和感を奏しない観点から、平均粒径1〜20μmの粒状が好ましい。粒径が小さすぎると研磨効果が不十分となり、反対に大きすぎると歯面を傷つけたりざらつき感が出たりするおそれがある。
【0025】
研磨剤の種類としては、例えば、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酢酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。
【0026】
研磨剤の配合量は、研磨剤によるの歯面清掃効果と、研磨剤によりケア剤の口腔内への溶出が妨げられる点を考慮すると、ケア剤(B)に対する研磨剤(C)の重量比C/Bが0.01〜0.7の範囲であることが好ましい。この比が小さすぎると、すなわち研磨剤が少ないと歯面の清掃効果が不十分となるので好ましくない。反対に大きすぎるとケア剤の口中への溶出が遅くなる。
【0027】
さらに、好適な3次元連通孔の形成の観点から、硬化型シリコーン(A)に対するケア剤(B)と研磨剤(C)との合計量(B+C)の割合(B+C)/Aを重量比で2〜4とすることが好ましく、特に(B+C)/A=2.5〜3.5とすることが好ましい。この範囲であると、さらにケア剤の口中への溶出が良好であり、十分な洗浄効果が得られる。硬化型シリコーンに対するケア剤や研磨剤等の粉体成分の配合割合が少ないと、シリコーン樹脂硬化物に十分に連通孔が形成されず、ケア剤が溶出しづらくなると共に溶出後の部材がスポンジ状になり難い。反対に、ケア剤や研磨剤の配合割合が多くなりすぎるとケア用具用部材の強度が不足し、成形不良が生じるとともに、ケア剤が溶出した後のスポンジ状部分の強度も不足してしまう。
【0028】
本発明のケア用具用部材には、上記以外に口腔用組成物に使用できる各種添加剤、例えば、殺菌剤、酵素、発泡剤、香味剤や甘味剤、顔料や色素、香料等を配合することができる。
【0029】
殺菌剤としては、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、グルコン酸クロルヘキシジンおよび塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール等を使用することができる。殺菌剤は単独で用いても2種以上を併用してもよく、その含有量はケア用具用部材中に0.001〜0.5質量%が好ましい。
【0030】
発泡剤としては、陰イオン、非イオン、陽イオン、及び両性界面活性剤が挙げられる。陰イオン性界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、アミノ酸系界面活性剤、スルホコハク酸系界面活性剤等が挙げられる。非イオン性界面活性剤には、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド系界面活性剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等が挙げられる。
【0031】
本発明のケア用具用部材は、硬化型シリコーン、ケア剤、及び必要に応じて配合される研磨剤その他の成分を混練後、その混練物をシート状、棒状、球状、マウスピース状等の任意の形状に成形し、硬化させることにより製造することができる。この場合、硬化型シリコーンと、ケア剤と、研磨剤等その他の成分を同時に混練してもよく、順次混練してもよい。また、硬化型シリコーン以外の粉体成分を予め混合した後に硬化型シリコーンと混練りしてもよい。また、殺菌剤等は、ケア剤や研磨剤等の粉末ないし粒状成分と噴霧又は含浸等により混合してもよい。さらに、加熱により変性しやすいその他の成分は、硬化型シリコーンの硬化後にケア用具用部材に噴霧又は含浸等により添加しても良い。
【0032】
混練後の硬化条件は、硬化型シリコーンの硬化型の種類に応じて適宜定めることができ、例えば、熱硬化型シリコーンを使用した場合には、硬化温度は80〜150℃、硬化時間は1〜20分とすることが好ましい。
【0033】
本発明の口腔内ケア用具は、その一部又は全部に上述の本発明のケア用具用部材を用いたものである。この口腔内ケア用具の例としては、歯間クリーナーの歯間挿入部、フロスの糸の部分、舌クリーナーの舌当接部分、歯ブラシのブラシ部分等に本発明の口腔内ケア用具用部材を用いたものを挙げることができる。
【実施例】
【0034】
実施例1(歯間ケア用具)
(1)歯間ケア用具本体の作製
図1Aに示すように、柄部12がエチレン酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)、ウルトラセン710)からなり、芯材13が直径0.2mmの形状記憶合金(古河電工(株)、NT合金)からなる歯間ケア用具本体11を射出成形法により作製した。
【0035】
(2)ケア剤の調製
表1の成分を25℃で混合し、ケア剤(イ)を調製した。
【0036】
(3)ケア用具用部材と歯間ケア用具の作製
2種の熱硬化型シリコーン(信越化学工業(株)、KE1950AとKE1950B)を重量比1/1で混練した。続いて、混練した硬化型シリコーン10gと表1のケア剤(イ)25gとを混練し、その後加圧し、厚み0.2mmのシートを得た。
【0037】
この厚み0.2mmのシートにて、(1)で作製した歯間ケア用具本体11の芯材13の上下面を挟み込み、軽く加圧した後、温度100℃にて10分間硬化させた後、周縁部を打ち抜くことにより、図1Bに示すように、本発明の口腔内ケア用具用部材からなる歯間挿入部14を一体形成した歯間ケア用具10を作製した。
【0038】
この歯間ケア用具10の歯間挿入部14を用いて奥歯の歯間清掃を行った。清掃開始直後からエリスリトールが口中に溶出し始め、約1分後にはケア用具用部材が弾力性のスポンジ状になっていた。使用中の感触は、使用直後からエリスリトールの溶出にともないエリスリトールの冷涼感のある甘味を感じ、約1分後においてはスポンジの優しい感触にて歯間部を清掃できた。
【0039】
実施例2(舌クリーナー用具)
(1)舌クリーナー用具本体の作製
図2Aに示すように、柄部22がエチレン酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)ウルトラセン710)からなる舌クリーナー用具本体21を射出成形法により作製した。この用具本体には、同図に示すように穴部23を設け、舌クリーナーシートとの接着性を高めるようにした。
【0040】
(2)ケア剤の調製
表1の成分を25℃で混合し、ケア剤(ロ)を調製した。
【0041】
(3)ケア用具用部材と舌クリーナー用具の作製
2種の熱硬化型シリコーン(信越化学工業(株)、KE1950−70AとKE1950−70B)を重量比1/1で混練した。続いて、混練した硬化型シリコーン10gと表1のケア剤(ロ)25gとを混練し、その後加圧し、厚み1mmのシートを得た。
【0042】
この厚み1mmのシートにて、(1)で作製した舌クリーナー用具本体21の穴部23形成域の上下面を挟み込み、軽く加圧するとともに温度100℃にて10分間硬化させた後、周縁部を打ち抜くことにより、図2Bに示すように、本発明の口腔内ケア用具用部材からなる舌クリーナー部24を一体形成した舌クリーナー用具20を作製した。
【0043】
この舌クリーナー用具20を用いて舌表面の清掃を行った。清掃開始直後からエリスリトールが口中に溶出し始め、約3分後にはケア剤がすべて溶出し、ケア用具用部材が弾力性のあるスポンジ状になっていた。使用中の感触は、使用直後からエリスリトールの溶出にともないエリスリトールの冷涼感のある甘味を感じ、約30秒後にケア剤の溶出したケア用具用部材表面部分においてはスポンジの優しい感触にて舌表面を清掃できた。
【0044】
このスポンジ状部分の拡大断面画像を撮影した(リアルサーフェイスビューアVE7800;(株)キーエンス)ところ、図4に示すように、均一に連通孔が形成されていることが確認できた。
【0045】
実施例3(フロス用具)
(1)ケア剤の調製
表1の成分を25℃で混合し、ケア剤(ハ)を調製した。
【0046】
(2)ケア用具用部材とフロス用具の作製
2種の熱硬化型シリコーン(信越化学工業(株)、KE1950−70AとKE1950−70B)を重量比1/1で混練した。続いて、混練した硬化型シリコーン10gと表1のケア剤(ハ)25gとを混練し、その後加圧し、厚み0.2mmのシートを得た。
【0047】
この厚み0.2mmのシートを市販のナイロン糸31(直径0.05mm)に強く圧着させるとともに温度100℃で10分間硬化させた後、周縁部を打ち抜くことにより、図3に示すように、本発明の口腔内ケア用具用部材からなる歯間当接部32をナイロン糸31に一体形成したフロス用具30を作製した。
【0048】
このフロス用具30を用いて歯間当接部31の清掃を行った。清掃開始直後からエリスリトールが口中に溶出し始め、約1分後にはケア剤がすべて溶出しケア用具用部材が弾力性のあるスポンジ状になっていた。使用中の感触は、使用直後からエリスリトールの溶出にともない全体が柔らかくなり、約10秒後においてはスポンジの優しい感触にて歯間部を清掃できた。
【0049】
【表1】

*1:平均粒径70μm、三菱化学フーズ(株)
*2:平均粒径25μm、長州化学工業(株)
*3:平均粒径6μm、昭和化工(株)
*4:平均粒径4μm、富士シリシア化学(株)
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、種々の形態の口腔内ケア用具に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1A】実施例の歯間ケア用具本体の模式図である。
【図1B】実施例の歯間ケア用具の模式図である。
【図2A】実施例の舌クリーナー用具本体の模式図である。
【図2B】実施例の舌クリーナー用具の模式図である。
【図3】実施例のフロスの模式図である。
【図4】スポンジ状になった舌クリーナー用具用部材の拡大断面画像である。
【符号の説明】
【0052】
10 歯間ケア用具
11 歯間ケア用具本体
12 柄部
13 芯材
14 歯間挿入部
20 舌クリーナー用具
21 舌クリーナー用具本体
22 柄部
23 穴部
24 舌クリーナー部
30 フロス用具
31 ナイロン糸
32 歯間当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元連通孔を有するシリコーン硬化物と、該連通孔内に充填されている20℃で固体の水溶性口腔内ケア剤とを含む口腔内ケア用具用部材。
【請求項2】
水溶性口腔内ケア剤の平均粒子径が5〜800μmである請求項1記載の口腔内ケア用具用部材。
【請求項3】
硬化型シリコーン(A)に対する水溶性口腔内ケア剤(B)の重量比(B/A)が、B/A=2〜4である請求項1又は2記載の口腔内ケア用具用部材。
【請求項4】
水溶性口腔内ケア剤が、20℃で固体の糖アルコール類、フッ化物、カルシウム塩化合物から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の口腔内ケア用具用部材。
【請求項5】
更に、研磨剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の口腔内ケア用具用部材。
【請求項6】
硬化型シリコーンと20℃で固体の水溶性口腔内ケア剤とを混練した後、硬化型シリコーンを硬化させる口腔内ケア用具用部材の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の口腔内ケア用具用部材を用いた口腔内ケア用具。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−161349(P2008−161349A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352782(P2006−352782)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】