説明

口腔用組成物

【課題】バイオフィルム形成抑制作用を有する口腔用組成物の提供。
【解決手段】少なくとも1種のけい皮酸またはその類縁体を含有する口腔用組成物であって、けい皮酸またはその類縁体が少なくとも1つのメトキシ基を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規う蝕バイオフィルム形成抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌および細菌が産生する菌体外粘性多糖体(グリコカリックス)が固相表面に形成した集合体をバイオフィルムといい、地球環境で水のあるところには大抵バイオフィルムがみられ、口腔内のデンタルプラーク(歯垢)は唾液を介して起こるバイオフィルムの典型例である。口腔内常在菌・う蝕原性細菌が歯表面に形成するバイオフィルムや歯周病原性細菌等が歯周ポケット内に形成するバイオフィルムは複数の微生物とそれらの産物で構成されていて、相互に影響を及ぼしあい、栄養源を融通しあったり、薬剤に対して抵抗性を示すなど共同体として小宇宙(ミクロコスモス)を形成している。既存の抗菌剤や抗体はこのバイオフィルムの中へ浸透しにくく、浮遊細菌で効果のあった抗菌剤や抗体がバイオフィルムの形成を抑制する点に関し実際には効果は非常に弱い。これらの薬剤のバイオフィルム形成抑制効果を発揮させるためには一度このバイオフィルムを機械的に破壊する必要がある。バイオフィルム内の病原性細菌が関与する感染症をバイオフィルム感染症といい、う蝕、歯周病などはバイオフィルム感染症の一つである。
【0003】
歯垢は、口腔内の変化に富む環境に住んでいるバクテリアと他の微生物のコミュニティで構成されている。このコミュニティは『バイオフィルム』と呼ばれ、歯のエナメル質などの硬い組織表面に主に形成される。バイオフィルムは連続的なプロセスを経て形成され、いくつかの段階に分けることが出来る。第一段階で、獲得被膜が形成され、これは歯の表面に特定の唾液タンパクが吸着し、タンパク分子間での凝集により蓄積して膜になったもので、これに多くはバクテリアが付着する。口腔内の連鎖球菌などが初期のコロニー形成バクテリアとして最初に被膜上に付着し、クラスターを形成する。初期のコロニー形成バクテリアが分裂・増殖を開始すると第二段階に入り、マトリックスがバクテリアのまわりに形成される。このマトリックスにより、中期から後期のコロニー形成バクテリアが付着できるようになる。付着したバクテリアのコロニーが成長し、歯垢中の生物の量が増え、成熟してくるとバイオフィルムの複雑な構造が変化する。その結果、抗菌薬への耐性が強くなり取り除くことがより難しくなる。バイオフィルム外側のバクテリアは酸素が十分得られるので栄養素と酸素を使い果たしてしまい、また内側の囲まれた隙間では、酸素がなくても増殖できる嫌気性バクテリアが増殖を開始する。このようなバクテリアの多くが病原になると考えられており、実際、歯周病発症に関連している。またプラークバイオフィルムは、歯間や噛み合わせ部分の穴などの隙間にも形成される。
【0004】
物体の表面に付着した微生物は単独で存在しているのではなく、特徴ある構造の中で他の微生物とともにバイオフィルムを形成している。このバイオフィルムは、固定化微生物の利用に見られるように人間にとって有益に働くかと思えば、逆にう蝕や食品汚染を引き起こす原因となることが明らかとなり、近年盛んに研究がなされている。
【0005】
口腔バイオフィルムは、700種類以上の細菌で構成され1mg中に108個以上の菌が存在している。その中で多数(20%〜40%)を占めるStreptococciは、口腔表面で細菌間コミュニケーションのもとに、ダイナミックに細菌間活性物質を介してバイオフィルムを形成している。なかでもStreptococcus mutans (S. mutans)は、粘着性のある菌体外多糖を産生し、病原性のあるバイオフィルム形成の中心的な役割を演じている。口腔バイオフィルムがう蝕や歯周病の原因になることが分かっており、これらの病気が微生物感染症として捉えられてきている。
【0006】
従来のう蝕予防では、S. mutansを殺菌しう蝕を抑制するという考え方が主流であったが、実際のう蝕病巣にはバイオフィルムが存在し抗菌物質の浸透を妨げていることから、思ったような効果が得られないことが多いうえ、耐性菌出現の危険性と常に隣り合わせであった。また、バイオフィルムの抑制方法ではブラッシングやスケーリングなどの機械的除去がもっとも効果的と言われているが、要介護高齢者などそのような機械的な口腔バイオフィルムのコントロールが困難な人々に対しては、現状の方法で的確な口腔ケアを実践することは難しく、今までとは異なる切り口でのバイオフィルム除去、虫歯予防方法の開発が望まれている。
【0007】
近年、情報伝達系の分子メカニズムであるクオラムセンシング(QS;細菌密度依存的遺伝子発現制御系)がS. mutansのバイオフィルムの病原性発現に働いていることや、S. mutansのQSは、受容能刺激ペプチドCompetens stimulating peptide(CSP)によりコントロールされていることが明らかになった。現在では、このQSをターゲットとした病原性の発現制御研究が、口腔疾患のみならず、他の微生物感染症の予防方法開発に繋がると期待され、様々な研究が試みられているが、実用化にはいまだ至っていない。
【0008】
特許文献1は、虫歯(う蝕)の形成に重大な関与をしているストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)に代表される口腔内微生物の増殖阻止に優れた阻止効果を示し、口腔内微生物が関与する歯垢形成を防止でき、虫歯予防に有用な虫歯防止剤に関する。この虫歯防止剤には、有効成分としてイソ吉草酸、2−メチル酪酸等が好適であることを開示しており、ストレプトコッカス・ミュータンスに対する増殖阻止効果を示す化合物群としてけい皮酸を例示している。しかしながらけい皮酸の歯垢形成に対する阻止効果は確認されておらず、バイオフィルム形成に対する効果については全く開示も示唆もしていない。
【0009】
本発明は、バイオフィルム形成抑制効果を示す物質を見出すことを目的とし、S. mutansのバイオフィルム形成におけるクオラムセンシングシステムに着目し、CSP依存性のバイオフィルム形成を阻害することでう蝕バイオフィルム形成阻害を成し遂げる物質を探索し、新規う蝕抑制素材としての開発を試みた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平3−60802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来、抗菌剤を用いたう蝕抑制法では、口腔バイオフィルムが抗菌剤の浸透を妨げ、狙ったとおりのう蝕抑制効果を出すことが困難であり、また、抗菌剤の使用は耐性菌が出現する危険性が高く、好ましくないという問題があった。このような問題を解決すべく、う蝕原因菌のコントロールではなく、より安全で効果の高いう蝕抑制法であるバイオフィルム制御という点から検討した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決すべく、鋭意研究を進めた結果、けい皮酸とその類縁体の中にクオラムセンシングに関連する虫歯バイオフィルム形成阻害効果を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、虫歯菌が虫歯バイオフィルムを形成するクオラムセンシングシステムを抑制することにより虫歯を予防するものであり、そのクオラムセンシング抑制剤をけい皮酸とその類縁体に見出したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、バイオフィルム形成抑制作用を有する化合物に関し、新規な作用機作によるう蝕予防剤であり、虫歯菌の抗菌剤やグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤よりも、効果的で安全であることから、新規口腔組成物における新規オリジナル素材として、チューインガムやキャンディーなどのような種々の製品への応用展開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】けい皮酸類似構造化合物のバイオフィルム形成抑制活性を示すグラフである。
【図2】けい皮酸類縁体の異なる用量でのバイオフィルム形成抑制活性を示すグラフである。
【図3】化学構造中の二重結合の有無によるバイオフィルム形成抑制活性の差を示すグラフである。
【図4】けい皮酸への置換基の違いによるバイオフィルム形成抑制活性に及ぼす影響を示すグラフである。
【図5】ジメトキシけい皮酸の結合位置の違いによるバイオフィルム形成抑制活性を示すグラフである。
【図6】けい皮酸に導入されたメトキシ基の数によるバイオフィルム形成抑制活性の差を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
従来の素材とは異なるメカニズムで働くう蝕予防素材を見出すため、S. mutansのクオラムセンシングに着目し、CSP誘導バイオフィルム形成抑制物質の研究を行った。Bodet Cらにより、Acronychia baueri Schottに含まれる3-(4’-geranyloxy-3’-methoxyphenyl)-2-transpropenoic acidの、S. mutansおよびPrphyromonas gingivalisのバイオフィルム形成抑制効果が報告されていたため、類似構造化合物についてCSP誘導バイオフィルム形成抑制活性を確認したところ、けい皮酸およびその類縁体に活性を認めた。けい皮酸と構造が似ている他の化合物について活性の比較を行ったところ、構造中のわずかな差が活性に影響を及ぼし、形成されるバイオフィルムの量に大きな変化が認められた。この現象が化合物中のどの部位を認識して起こるかについてはまだ不明であるが、S. mutansがわずかな差を認識していると考えると、非常に興味深い現象である。
【0016】
さらに、けい皮酸の置換基について検討を行ったところ、メトキシ基が活性発現の一つの鍵になっている可能性が示唆された。けい皮酸の他にも、メトキシベンズアルデヒドやスコポレチン、ジメトキシ安息香酸、アネトールなど、メトキシ基を含む化合物にバイオフィルム形成抑制活性が見られたことから、メトキシ基が活性に与える影響は大きいのではないかと考えられた。
【0017】
抗菌剤、殺菌剤などを用いた微生物の制御・感染症の克服は、耐性菌出現との戦いであり、新規抗生物質開発と、その耐性菌出現とのいたちごっこが続いている状態である。しかし、情報伝達分子やクオラムセンシングを標的とした微生物制御方法では、耐性菌出現の危険性は低いと言われていることから、これからの微生物制御方法としては、抗菌・殺菌から、細菌内・細菌外の情報伝達阻害へとシフトしていくのではないかと考えられる。本発明で得られたけい皮酸類のバイオフィルム形成抑制活性は、CSP添加時にのみ確認されているため、クオラムセンシングに関連した系で効果を発揮している可能性が高く、耐性菌出現の観点から考えると、安全性が高いと考えられる。
【0018】
本発明は、少なくとも1種のけい皮酸またはその類縁体を含有する口腔用組成物に関し、 けい皮酸が、少なくとも1つのメトキシ基を有する口腔用組成物に関する。
さらに、本発明は、少なくとも1種のけい皮酸またはその類縁体を含有するクオラムセンシング抑制剤に関し、けい皮酸が、少なくとも1つのメトキシ基を有するクオラムセンシング抑制剤に関する。
【0019】
また、本発明は、少なくとも1種のけい皮酸またはその類縁体を含有するバイオフィルム形成抑制剤に関し、けい皮酸が、少なくとも1つのメトキシ基を有するバイオフィルム形成抑制剤に関する。
【0020】
さらに、本発明は、上記した口腔用組成物からなる含そう剤、練り歯磨き剤、吸入剤、トローチ剤、および食品に関する。
【実施例】
【0021】
以下に具体的実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0022】
本実施例では、バイオフィルム形成抑制活性評価を以下の観点から行った。
1.けい皮酸、類縁体の各個別の活性(図1)
2.けい皮酸、けい皮アルデヒド、けい皮酸メチルの用量変化による活性(図2)
3.けい皮酸、フェニルプロピオン酸の活性比較(図3)
4.けい皮酸の 置換基の相違による活性比較(図4)
5.3種のメトキシ基の置換位置が相違するジメトキシけい皮酸の活性(図5)
6.けい皮酸に導入されたメトキシ基の数による活性の差(図6)
【0023】
(実施例1)
(けい皮酸およびその類縁体のバイオフィルム形成抑制活性評価)
(1−1)披験物質
けい皮酸および類縁体として、披験物質のけい皮酸、バニリン、フェルラ酸、クロロゲン酸、カフェ酸、p-クマル酸、けい皮アルデヒド、けい皮酸メチル、フェニルプロピオン酸、2-メトキシけい皮酸、3-メトキシけい皮酸、4-メトキシけい皮酸、3-ブロモけい皮酸、3-フルオロけい皮酸、3-メチルけい皮酸、4-アセトキシけい皮酸、4-ブロモけい皮酸、4-エトキシけい皮酸、4-フルオロけい皮酸、3,4-ジメトキシけい皮酸、2,3-ジメトキシけい皮酸、2,5-ジメトキシけい皮酸、2,3,4-トリメトキシけい皮酸、3,4,5-トリメトキシけい皮酸は全て市販特級品を用いた。
【0024】
(1−2) バイオフィルム形成
S. mutans UA159株を5mlのBrain Heart Infusion(BHI)液体培地にて37℃で10時間嫌気培養し、3000rpmで10分間遠心分離して集めた細菌を、PBSにてOD550nm=0.5に調製し、これを供試菌懸濁液とした。バイオフィルム形成は、96穴マイクロプレートを用いて試験を行った。各ウェルに、バイオフィルム形成阻害サンプル60μl、CSP20μl、S. mutans供試菌懸濁液20μl、0.1% Sucrose添加 Todd Hewitt Broth 100μlを添加し、37℃で5%CO2条件下で16時間培養を行った。
【0025】
(1−3) バイオフィルム形成量の定量
上記培養後の上清を取り除き、PBSにて2回各ウェルの洗浄を行った。洗浄後、各ウェルに0.25%サフラニン溶液を添加し15分間静置後余剰サフラニン溶液を取り除き、PBSにて2回各ウェルの洗浄を行った。洗浄後各ウェルにエタノールを添加し、30分間振盪することで染色させたサフラニンを溶出させ、マイクロプレートリーダーを用いて492nmの吸光度を測定し、バイオフィルム形成量を定量した。
バイオフィルム形成量は、サンプルを添加していないときの形成量を100としたときの割合で示した。
【0026】
(1−4)試験結果
けい皮酸および類似化合物について:
けい皮酸およびけい皮酸類似構造化合物のバイオフィルム形成抑制効果を図1に示した。けい皮酸、p-クマル酸、カフェ酸を添加したときに、バイオフィルム形成量は約20%低下した。一方、クロロゲン酸、フェルラ酸、バニリンを添加したときにはバイオフィルム形成量は変わらず、類似構造化合物でも挙動が異なることが確認された。
また、けい皮酸に着目してみると、構造中にカルボン酸を含むけい皮酸ではバイオフィルム形成抑制活性が濃度依存的に認められていたが、エステルであるけい皮酸メチルやけい皮アルデヒドなどの類縁体では、バイオフィルム形成抑制活性は認められなかった。さらに、フェニルプロピオン酸にも活性が認められなかった。このことから、バイオフィルム形成抑制活性を示すためには、けい皮酸構造中にカルボン酸と二重結合が必要であることが示唆された(図2、3)。
【0027】
けい皮酸中の置換基の影響について:
各種置換基による活性への影響を確認したところ、メトキシ基が付与したときにのみ、バイオフィルム形成抑制活性を示した。付与する位置についての検討を行ったところ、3位の位置でのみ活性が認められ、2位、4位に付与した場合には、むしろバイオフィルム形成量は増加する傾向が確認された(図4)。また、ジメトキシけい皮酸を用いて、メトキシ基の位置と活性の強弱との相関を確認したところ、3位にメトキシ基が付与した、3,4-ジメトキシけい皮酸と2,3-ジメトキシけい皮酸添加時には濃度依存的なバイオフィルム形成抑制が確認されたが、2,5-ジメトキシけい皮酸では活性は認められなかった(図5)。
メトキシ基の付与する数とバイオフィルム形成抑制活性との関連を調べるため、けい皮酸、メトキシけい皮酸、ジメトキシけい皮酸、トリメトキシけい皮酸を用いて活性を比較した。その結果、メトキシ基の数に比例してバイオフィルム形成量が低下しており、付与するメトキシ基の数がバイオフィルム形成抑制活性に影響を与えていることが確認された(図6)。
【0028】
以上の実施例1から、クオラムセンシングを介したバイオフィルム形成抑制物質を探索したところ、いくつかのけい皮酸類縁体に活性が認められた。けい皮酸に付与する置換基によりその活性は増減し、3位にメトキシ基が付いたときにもっとも顕著な活性が認められた。
【0029】
次に、本発明のけい皮酸および類縁体を含有するバイオフィルム形成抑制剤を含有する含そう剤、練り歯磨き、口臭用スプレー、トローチ、チューインガム、キャンディ、錠菓、グミゼリー、飲料を常法にて製造した。以下にそれらの処方を示した。以下の処方においては、けい皮酸および類縁体の中で、バイオフィルム形成抑制効果が最も顕著であった2,3,4−トリメトキシけい皮酸を使用した。なお、これらによって本発明品の範囲を制限するものではない。
【0030】
(実施例2)
下記処方に従って含そう剤を製造した。
エタノール 2.0重量%
2,3,4−トリメトキシけい皮酸 1.0
香料 1.0
水 残
100.0
【0031】
(実施例3)
下記処方に従って練り歯磨きを製造した。
炭酸カルシウム 50.0重量%
グリセリン 19.0
2,3,4−トリメトキシけい皮酸 1.0
カルボオキシメチルセルロース 2.0
ラルリル硫酸ナトリウム 2.0
香料 1.0
サッカリン 0.1
クロルヘキシジン 0.01
水 残
100.0
【0032】
(実施例4)
下記処方に従って口臭用スプレーを製造した。
エタノール 10.0重量%
グリセリン 5.0
2,3,4−トリメトキシけい皮酸 1.0
香料 0.05
着色料 0.001
水 残
100.0
【0033】
(実施例5)
下記処方に従ってトローチを製造した。
2,3,4−トリメトキシけい皮酸 92.3重量%
アラビアガム 6.0
香料 1.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.7
100.0
【0034】
(実施例6)
下記処方に従ってチューインガムを製造した。
ガムベース 20.0重量%
キシリトール 54.7
マルトース 15.0
ソルビトール 9.3
香料 0.5
2,3,4−トリメトキシけい皮酸 0.5
100.0
【0035】
(実施例7)
下記処方に従ってキャンディを製造した。
砂糖 50.0重量%
還元水あめ 33.0
クエン酸 1.0
香料 0.2
L-メントール 1.0
2,3,4−トリメトキシけい皮酸 0.4
水 残
100.0
【0036】
(実施例8)
下記処方に従って錠菓を製造した。
砂糖 74.7重量%
乳糖 18.9
2,3,4−トリメトキシけい皮酸 2.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.15
水 4.25
100.0
【0037】
(実施例9)
下記処方に従ってグミゼリーを製造した。
ゼラチン 60.0重量%
還元水あめ 32.4
2,3,4−トリメトキシけい皮酸 0.5
植物油脂 4.5
リンゴ酸 2.0
香料 0.5
100.0
【0038】
(実施例10)
下記処方に従って飲料を製造した。
オレンジ果汁 30.0重量%
2,3,4−トリメトキシけい皮酸 0.5
クエン酸 0.1
ビタミンC 0.04
香料 0.1
水 残
100.0
【産業上の利用可能性】
【0039】
本願発明の口腔用組成物は、従来の虫歯菌の抗菌剤やグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤と異なる作用である、バイオフィルム形成抑制作用を示すう蝕抑制作用を有することから、新しい着眼点でのう蝕予防剤である。従って、既存の抗菌剤などと比較して、耐性菌出現リスクが低いなどのメリットが考えられ、種々の製品への応用化が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のけい皮酸またはその類縁体を含有する口腔用組成物。
【請求項2】
前記けい皮酸が、少なくとも1つのメトキシ基を有する請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
少なくとも1種のけい皮酸またはその類縁体を含有するバイオフィルム形成抑制剤。
【請求項4】
前記けい皮酸が、少なくとも1つのメトキシ基を有する請求項3に記載のバイオフィルム形成抑制剤。
【請求項5】
少なくとも1種のけい皮酸またはその類縁体を含有するクオラムセンシング抑制剤。
【請求項6】
前記けい皮酸が、少なくとも1つのメトキシ基を有する請求項5に記載のクオラムセンシング抑制剤。
【請求項7】
請求項1または2に記載の口腔用組成物からなる含そう剤。
【請求項8】
請求項1または2に記載の口腔用組成物からなる練り歯磨き剤。
【請求項9】
請求項1または2に記載の口腔用組成物からなる吸入剤。
【請求項10】
請求項1または2に記載の口腔用組成物からなるトローチ剤。
【請求項11】
請求項1または2に記載の口腔用組成物を含有する食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−56854(P2013−56854A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196314(P2011−196314)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】