説明

口腔疾患治療用の薬草組成物

本発明は、クルクミノイド物質を有効成分として含有する、経口投与用の生体付着性組成物に関する。また、本発明は、当該生体付着性組成物を用いて、歯肉炎および他の歯周疾患等の歯周疾患を予防および治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クルクミノイド物質を有効成分として含有する、経口投与用の生体付着性組成物に関する。また、本発明は、当該経口投与用の生体付着性組成物を用いて、歯肉炎および他の歯周疾患を治療および予防する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔の疾患である歯周疾患は、歯の周囲の組織に影響する疾患の一群である。歯周とは、「歯の周囲」を意味し、歯を支える歯茎や骨も含む。歯肉炎は、歯周(歯茎)疾患の最も軽い状態である。歯肉炎は、歯垢の蓄積に繋がる不十分な口腔衛生により発生することが多い。よく知られているように、歯肉炎とは、例えば、毒性や細菌性の原因、異混和症(dyscrasias)、ビタミン欠乏症等の様々な原因から生じ、唾液中の歯石または他の要因により支持され悪化する、歯茎の炎症を含む一般的な用語である。その他、歯周疾患には、侵襲性歯周炎、慢性歯周炎、ならびにHIV、糖尿病、栄養不良、および免疫抑制等の全身状態に伴う歯周炎が含まれる。
【0003】
歯肉炎および/または他の種類の歯周疾患に寄与し得る他の要因には、糖尿病、喫煙、加齢、遺伝的素因、全身疾患および症状、ストレス、栄養不足、思春期、ホルモン変動、妊娠、薬物乱用、HIV感染、ならびにある種の薬物使用が含まれる。
【0004】
一般的に、炎症または腫れがある場合は出血している可能性が高い。出血は、通常行われている口腔の衛生ケアによる非常に小さい外傷性原因等によってさえ引き起こされる。
【0005】
歯垢中の細菌は、歯茎を刺激し、感染を起こす。身体がこれらの侵略物質に対する免疫反応を開始すると、歯茎が炎症を起こす。
【0006】
通常、歯肉炎の患者は、不快感を殆どまたは全く感じない。したがって、歯茎が赤い、腫れる、または出血しやすい等の症候を認識することが重要である。
【0007】
歯周疾患は、通常、歯石除去および根面平滑化等の物理的手段、ならびに、抗菌薬の局所投与による後続の補助的療法で治療される。
【0008】
歯肉炎に一般的に推奨される治療には、特別な練り歯磨、口内洗浄剤、または局所的に使用される歯茎用液剤を用いることが含まれる。公知の製品は、腫れまたは炎症および出血の一時的な緩和をもたらすのみであり、多くの場合、このような製品は繰り返し不断に使用する必要がある。このため、これらはいずれも、上記のような歯周組織疾患の問題に迅速かつ決定的な解決を提供するための適切な回答を示すものとはなっていない。
【0009】
歯周疾患に対するいくつかの手法が特許および文献に示されている。
【0010】
米国特許第6,007,795号には、分解性物質および抗菌薬を含有する粒子を患者の口腔内に入れることを含む、患者の口腔内の細菌を抑制する方法が開示されている。概して、当該発明は、分解性物質および抗菌薬を含有する粒子を患者の口腔内に入れることを含む、患者の口腔内の細菌を抑制する方法に関する。口腔内の唾液が粒子中の分解性物質を分解することにより、抗菌薬が経時的に制御されて放出される。粒子の外側は耐水性であり、例えば、使用前に、すすぎ水溶液または練粉中の水分で分解性物質を尚早に分解させることなく、すすぎ液または練粉中に当該粒子を組み込むことが可能である。
【0011】
米国特許第5,061,106号には、歯ブラシの毛を植え込むタフトホール中のカプセルまたはマイクロスフェアが開示されている。カプセルまたはマイクロスフェアは、使用中に放出される殺菌剤または薬剤を含有する。色素も当該構造体に含有されていてもよい。色素も経時的に放出され、これによって、使用者は、カプセルの内容物の消耗に気付くことができる。
【0012】
米国特許第5,976,506号には、感覚的に知覚可能な清浄上の利点を向上させた練り歯磨等の口腔ケア製品が開示されている。当該製品は、有機および/または無機結合剤を実質的に含まない凝集体を口腔ケア製品に含めることによって得られ、当該凝集体は、化学的および/または物理的に異なり、特定の粒径を有する少なくとも2つの粒子性物質を含有する。歯または歯茎に対して治療上の利点を有する物質をクエン酸亜鉛等の凝集体中に含めることにより、当該物質が凝集体から緩やかに放出し、より長時間にわたる物質の送達が可能となるというさらなる利点が得られる。使用に際し、粗い凝集体がより小さい粒子へと砕け、まず清浄感次いで歯磨き感を消費者に提供する。
【0013】
米国特許第4,780,320号には、歯周ポケット内に入れられる制御放出ドラッグデリバリーシステムが開示されている。微粒子は、溶媒蒸発プロセスにより調製され、10〜500ミクロンの寸法を有する。当該微粒子の基質は、セルロースアセテート、エチルセルロース、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリカーボネート、および乳酸・グリコール酸共重合体を含有する。
【0014】
しかし、これらの組成物はいずれも何らかの点において十分ではないことが分かっている。従来の放出システムにおいて、投与後に送達システムを局所化させるための対策が何らとられておらず、さらに、生体内におけるシステムと特定の部位との接触時間は非常に短いことが多いため、組織透過性の変更等に関する利点は期待できない。
【0015】
さらに、口腔疾患治療における使用のための薬草系経口組成物が、当該技術分野において公知である。また、薬草は世界中で多くの症状の治療に用いられており、薬草医薬品は合成薬品よりも有害な副作用が少ない傾向にあるという裏付けがある。「クルクミノイド物質」という用語は、クルクマロンガ(Curcuma longa(C.ロンガ))という植物から得られるまたはそれに由来する、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、ビスヒドロクルクミン、溶媒抽出物、生薬等の物質を広く含む。一般にウコンとして知られるC.ロンガは、ショウガ科に属する植物である。インドでは香辛料として一般的に用いられている。インドの古来の文献および伝統的な民間伝承によると、C.ロンガは、特に炎症疾患、風邪、および創傷の治療用の薬としても用いられている。根茎および根茎に由来する物質は、抗菌薬、創傷治癒、脂質低下、抗炎症、抗酸化、および抗発癌性の性質を有することが示されている。
【0016】
有効成分としてクルクミン等のクルクミノイド物質を他の成分と組み合わせて含有する組成物、特に経口組成物が、従来技術において報告されている。
【0017】
例えば、英国特許出願GB2317339には、必須成分としてクルクミノイドおよびフッ素イオン源を、抗結石剤と抗菌剤と抗歯垢剤とのうち1つ以上、ならびに歯肉炎、歯周炎、および他の疾患の予防および治療に有用な1つ以上の担体物質と組み合わせて含有する経口組成物、特に歯磨剤組成物が開示されている。当該特許出願には、口腔衛生組成物中の多糖または多糖の誘導体、タンパク質またはゲル体上にクルクミンを吸着させて、口腔の衛生的な清浄の目的を満たすのに十分な時間口腔内に存在したことを示す指示薬として、組成物のpHに応じて色を変化させることを開示している日本特許出願としての従来技術をも引用している。
【0018】
上記の英国特許出願においてさらに引用されるUSSR発明者証第1132945号には、口腔組織の抗炎効果の向上、ならびに口腔粘膜のある種の疾患および辺縁性歯周炎の治療のために、ウコンまたはショウガの抽出物を練り歯磨組成物に含ませることが開示されている。
【0019】
上記引用された従来の特許/特許出願は経口投与用の組成物を提供するが、治療中に遭遇する問題、すなわち、組成物が局所治療を提供しより長い持続時間使用部位に留まることが治療に要求される場合の、歯肉炎および他の歯周疾患等の疾患に対する治療の困難性に対する対応策がない。クルクミノイド物質を用いる組成物に関する上記引用された従来技術には、歯肉炎および他の歯周疾患に対する治療のために長時間留まる局所治療を提供しないという欠点がある。
【0020】
したがって、歯肉炎および歯周炎等の歯周疾患ならびに他の歯周疾患の予防および治療用の生体付着性経口組成物であり、生体内におけるシステムと部位との接触時間が実質的に延長されることにより有効になる組成物が提供されることが望ましい。
【0021】
本発明者らは、歯肉炎および歯周炎等の歯周疾患ならびに他の口腔疾患の予防および治療を提供する経口組成物に対する長年の要求を満たし、効用の高い経口組成物を見出した。本発明の組成物は、有効性を向上させるために、より長時間にわたり対象部位と接触するものである。本発明の組成物は、クルクミン等のクルクミノイド、その誘導体、類似体、またはクルクミン抽出物、粗薬草、および感覚受容性を増強する他の必要な賦形剤を含有する。
【0022】
したがって、本発明は、歯肉炎および他の歯周疾患の予防および治療用のクルクミノイド物質を含有する、経口投与用の生体付着性組成物を提供することを目的とする。
【0023】
また、本発明は、クルクミノイド物質を含有する生体付着性組成物を経口投与することを含む、歯肉炎および他の歯周疾患を治療および予防する方法を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0024】
本発明は、
a)約0.01%〜約10%のクルクミノイド物質と、
b)1つ以上のポリマーと、
c)塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、またはその混合物と、
d)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含有する歯肉炎および他の歯周疾患の治療および予防用の経口投与用の経口生体付着性組成物を提供する。
【0025】
また、本発明は、
a)約0.01%〜約10%のクルクミノイド物質と、
b)1つ以上のポリマーと、
c)塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、またはその混合物と、
d)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含有し、
約1.5〜3.5グラムの生体付着強度を示す経口投与用の生体付着性組成物を提供する。
【0026】
また、本発明は、当該経口投与用の生体付着性組成物を用いて、歯肉炎および他の歯周疾患を治療および予防する方法に関する。
【0027】
本発明の生体付着性組成物は、クルクミノイド物質と、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、またはその混合物と、1つ以上のポリマーと、薬学的に許容可能な賦形剤とを含有する。
【0028】
ここで用いられる「クルクミノイド物質」という用語は、C.ロンガから得られる生薬、ならびにC.ロンガ植物の一部から得られるまたはそれに由来する化合物および溶媒抽出物を含むものとされる。また、「クルクミノイド物質」という用語は、C.ロンガ植物から単離される化合物の誘導体を含むものとされる。
【0029】
ここで用いられる「生薬」という用語は、溶媒で抽出されていないC.ロンガ植物の一部または全部を意味する。これらには、C.ロンガ植物の根茎の粉末または他の小径体が含まれる。
【0030】
本発明で用いるC.ロンガから得られるまたはそれに由来する化合物には、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、ビスヒドロクルクミン、メチルクルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、ナトリウムクルクミネートおよび他のアルカリクルクミネート(sodium and other alkali curcuminates)、p,p−ジヒドロキシシンナモイルメタン、p−ヒドロキシシンナモイル(フェルロイル)メタン、トリエチルクルクミン、ジアセチルクルクミン、ならびにツルメロンが含まれる。
【0031】
本発明で用いるのに適切なクルクミノイド物質は、C.ロンガ植物の様々な部分の粉末、ならびにC.ロンガ植物の一部から得られるまたはそれに由来する化合物および溶媒抽出物であることが好ましい。
【0032】
本発明で用いるのにより適切なクルクミノイド物質は、テトラヒドロクルクミン、ビスヒドロクルクミン、クルクミン、ならびにC.ロンガ根茎の粉末および溶媒抽出物である。
【0033】
本発明で適切に用いられる好適なクルクミノイド物質は、テトラヒドロクルクミンである。
【0034】
本発明で用いられる他の好適なクルクミノイド物質は、クルクミンである。
【0035】
本発明で用いられる他の好適なクルクミノイド物質は、ビスヒドロクルクミンである。
【0036】
本発明で用いられる他の好適なクルクミノイド物質は、C.ロンガ根茎の粉末である。
【0037】
本発明で用いるのに適切なC.ロンガの好適な抽出物は、クルクミン含有率が乾燥抽出物の少なくとも95重量%であるC.ロンガ根茎のエタノール抽出物である。この種の抽出物は、ケミロイズ(Chemiloids)により市販されている。このような抽出物は本発明において用いられ、本発明において「C.ロンガ抽出物(95%)」と示される。
【0038】
ここで用いられる「生体付着」または「生体付着性」という用語は、口内洗浄剤および磨歯粉等の従来の組成物よりも長時間にわたって、粘膜または任意の他の生体表面に付着する組成物の性質を意味するものとされる。
【0039】
ここで用いられる「歯周疾患」という用語は、歯茎および歯を支える他の構造体に関する疾患を意味する。
【0040】
歯肉炎は、歯周疾患の最も軽い状態の1つであり、不快感が殆どまたは全くない状態で、歯茎が赤くなる、腫れる、および/または出血することにより特徴付けられる。
【0041】
その他、歯周疾患には、侵襲性歯周炎、慢性歯周炎、ならびにHIV、糖尿病、栄養不良、および免疫抑制等の全身状態に伴う歯周炎が含まれる。
【0042】
本明細書および添付の請求項で用いられる「約」という用語は、特定の値の±10%の値の範囲を意味する。例えば、「約1%」の場合、「0.9〜1.1%」を意味する。
【0043】
本明細書および添付の請求項で用いられる場合、特に明記されない限り、単数形は複数を含む。
【0044】
本発明の組成物は、口腔内に存在する表面に生体付着するものとされることが好ましい。
【0045】
本発明の組成物の生体付着強度は、グラム重量で測定される。本発明の生体付着性組成物は、約1.5〜3.5グラムの生体付着強度を示す。
【0046】
本発明で用いるポリマーは、生体付着性を示すポリマーである。実施例で説明するように、本発明で用いるポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボマー、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択されるが、これらに限定されない。当該技術分野において公知の、生体付着性を示す多くの他のポリマーが本発明において使用可能であることが認識されるべきである(『生体付着性ドラッグデリバリーシステム:基礎、新規の手法および展開』、E.マショーズ(E.Mathiowitz)、ドナルド・E.チッカリングIII(Donald E.Chickering III)、クラウス−マイケル・レアー編、1999年を参照)。
【0047】
本発明で用いる好適なポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0048】
本発明で用いる他の好適なポリマーは、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0049】
本発明で用いる他の好適なポリマーは、カルボマーである。カルボマーは、種々のグレードのカルボポール(Carbopol)として市販されている。このような好適なカルボマーの1つに、カルボポール934Pがある。
【0050】
本発明の組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含有する。
【0051】
本発明で用いる薬学的に許容可能な賦形剤は、着香料、希釈剤、甘味剤、可溶化剤、酸化防止剤、保存料、着色剤、および緩衝剤からなる群から選択される。
【0052】
本発明で用いるのに適切な着香料は、ペパーミント油、メントール、スペアミント油、レモン油、オレンジ油、桂皮油、石灰ソーダ、およびオイカリプトールからなる群から選択可能である。
【0053】
本発明で用いるのに適切な甘味剤は、アスパルテーム、サッカリンナトリウム、スクロース、マンニトール、キシリトール、マルトース、およびデキストロースからなる群から選択可能である。
【0054】
本発明で用いるのに適切な可溶化剤は、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、N−メチルピロリドン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、オリーブ油、ヒマシ油、トリステアリン酸グリセリル、および安息香酸ベンジルからなる群から選択可能である。
【0055】
本発明で用いるのに適切な着色剤は、規制当局によって経口使用が認可されている任意の着色剤である。本発明で用いるのに適切な着色剤は、ブリリアントブルー、アルーラレッド、アマランス、タートラジン、二酸化チタン、酸化鉄イエロー、酸化鉄ブラック、および酸化鉄レッドからなる群から選択可能である。
【0056】
本発明で用いるのに適切な酸化防止剤は、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、およびアスコルビン酸からなる群から選択可能である。
【0057】
本発明で用いるのに適切な保存料は、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびクレゾールからなる群から選択可能である。
【0058】
本発明で用いるのに適切な希釈剤は、グリセリンおよびソルビトール溶液からなる群から選択可能である。
【0059】
本発明のpHは、緩衝剤を用いて約pH6〜約pH8の範囲に調整されることが好ましい。本発明で用いるのに適切な緩衝剤は、クエン酸、酢酸、リン酸、シュウ酸、およびアミノ酸緩衝剤システムからなる群から選択可能である。
【0060】
また、本発明は、有効成分としてクルクミノイド物質を含有する生体付着性組成物を経口投与することを含む、歯肉炎および他の歯周疾患を治療および予防する方法に関する。
【0061】
生体付着性組成物の量は決定的ではないが、投与にあたっては、治療対象である疾患に対して良好な作用をもたらすのに十分ではあるが悪影響(もしあるとすれば)を避けることができる程度に少ない、有効な量の組成物を投与し得る。生体付着性組成物の量は、患者の年齢および治療対象である疾患の重度に応じて変化し得る。
【0062】
また、本発明は、歯肉炎および他の歯周疾患の治療および予防用の薬剤の製造のための、当該生体付着性組成物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下の実施例により、本発明の範囲内にある実施形態を説明する。これらの実施例は、説明のためのみに与えられるものであって、本発明の範囲を制限するものとして解釈されてはならない。
<実施例1>
【0064】
【表1】

【0065】
1.塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、およびサッカリンナトリウムを、別々に小分けした精製水に溶解させた。
2.工程1の溶液を攪拌しながら混合して、透明な溶液を得た。
3.ポリエチレングリコール400を約50℃〜60℃まで加熱し、これにメチルパラベンおよびプロピルパラベンを緩やかに加えて混合し、透明な溶液を得た。
4.工程3の溶液と工程2の溶液とを攪拌しながら混合して、均一な分散体を得た。
5.カルボキシメチルセルロースナトリウムを、工程4の分散体に攪拌しながら加えた。
6.テトラヒドロクルクミンを、工程5の分散体に少量ずつ攪拌しながら加えて、均一な分散体を得た。
7.工程6の分散体の最終的な重量をソルビトール溶液で補い攪拌して、均一なゲル体を得た。
<実施例2>
【0066】
【表2】

【0067】
1.塩化ナトリウム、メチルパラベン、およびプロピルパラベンを、小分けした精製水に溶解させた。
2.サッカリンナトリウムを、小分けした精製水に溶解させた。
3.工程2で得られた溶液を、工程1で得られた溶液に加えて混合し、溶液を得た。
4.カルボキシメチルセルロースナトリウムを小分けした精製水に分散させ、均一な濃分散体が得られるまで攪拌した。
5.工程4で得られた分散体を、工程3で得られた溶液に加え、よく混合した。
6.小分けした精製水にテトラヒドロクルクミンを加え、よく混合した。
7.工程6で得られた分散体を、工程5で得られた分散体に連続的に攪拌しながら加えた。
8.スペアミント油を工程7の分散体に加えた。
9.精製水を攪拌しながら加えることにより、工程8の分散体をある重量まで補って、均一なゲル体を得た。
<実施例3>
【0068】
【表3】

【0069】
1.塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、およびサッカリンナトリウムを、別々に小分けした精製水に溶解させた。
2.工程1の溶液を混合して、透明な溶液を得た。
3.小分けした精製水を約50〜60℃まで加熱し、これに、スクロースを、透明なシロップが得られるまで攪拌しながら加えた。
4.工程3のシロップを濾過し、工程2の溶液と攪拌しながら混合した。
5.クエン酸を小分けした精製水に溶解させ、工程4の溶液に攪拌しながら加えた。
6.C.ロンガ根茎の粉末を、工程5の溶液に攪拌しながら加えた。
7.カルボキシメチルセルロースナトリウム、二酸化チタン、およびスペアミント油を、工程6の溶液に少量ずつ連続的に攪拌しながら加えた。
8.工程7の分散体の最終的な重量を攪拌しながら精製水で調整して、均一なゲル体を得た。
<実施例4>
【0070】
【表4】

【0071】
C.ロンガ根茎の粉末の代わりにC.ロンガ抽出物(95%)を用いたこと以外は、実施例3と同一の手順とした。
<実施例5>
【0072】
【表5】

【0073】
重量を精製水で補う前にブリリアントブルーを加え、スペアミント油の代わりに石灰ソーダ着香料を用いたこと以外は、実施例3と同一の手順とした。
<実施例6>
【0074】
【表6】

【0075】
重量を精製水で補う前にブリリアントブルーを加え、スペアミント油の代わりに石灰ソーダ着香料を用いたこと以外は、実施例3と同一の手順とした。
<実施例7>
【0076】
【表7】

【0077】
C.ロンガ根茎の粉末の代わりにC.ロンガ抽出物(95%)を用い、重量を精製水で最終的に補う前にブリリアントブルーを加えたこと以外は、実施例3と同一の手順とした。
<実施例8>
【0078】
【表8】

【0079】
C.ロンガ根茎の粉末の代わりにC.ロンガ抽出物(95%)を用い、重量を精製水で最終的に補う前にメタ重亜硫酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムを加えたこと以外は、実施例3と同一の手順とした。
<実施例9>
【0080】
【表9】

【0081】
C.ロンガ根茎の粉末の代わりにC.ロンガ抽出物(95%)を用い、スペアミント油の代わりに石灰ソーダ着香料を用い、重量を精製水で最終的に補う前にメタ重亜硫酸ナトリウム、ブリリアントブルー、およびクエン酸ナトリウムを加えたこと以外は、実施例3と同一の手順とした。
<実施例10>
【0082】
【表10】

【0083】
1.C.ロンガ抽出物(95%)およびペミュレンTR−2を、小分けしたポリエチレングリコール400に攪拌しながら溶解させ、約50℃まで加熱した。
2.スパン80を精製水に攪拌しながら加え、約50℃まで加熱した。
3.温度を50℃に維持したまま、工程1の溶液を、工程2の溶液に加え、攪拌混合した。
4.サッカリンナトリウムおよびメタ重亜硫酸ナトリウムを、小分けした精製水に溶解させた。
5.メチルパラベンおよびプロピルパラベンを、小分けしたポリエチレングリコール400に溶解させた。
6.工程5の溶液を、工程4の溶液に加え、攪拌混合した。
7.塩化ナトリウム、クエン酸、およびブリリアントブルーを、工程6で得られた混合物に攪拌しながら加えた。
8.工程7で得られた分散体に、カルボポール934Pを少量ずつ攪拌しながら加え、次いで、二酸化チタンを少量ずつ攪拌しながら加えた。
9.石灰ソーダ着香料を工程8で得られた分散体に加え、重量を精製水で補い完全に混合して、均一なゲル体を得た。
<実施例11>
【0084】
【表11】

【0085】
1.C.ロンガ抽出物(95%)を、小分けした精製水に攪拌しながら分散させた。
2.小分けした精製水を60℃まで加熱した。メチルパラベン、プロピルパラベン、およびスクロースを、当該加熱した精製水に加えて攪拌し、透明な溶液を得た。
3.重炭酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを、少量の精製水に溶解させた。
4.工程3の溶液を工程2の溶液に加え、よく攪拌混合した。
5.サッカリンナトリウム、クエン酸、およびメタ重亜硫酸ナトリウムを、別々に小分けした精製水に溶解させた。
6.工程5の溶液を工程4の溶液に加え、よく攪拌混合した。
7.カルボキシメチルセルロースナトリウムを小分けした精製水に分散させ、約1時間攪拌を続けた。
8.工程7の分散体を、工程6の溶液に攪拌しながら加えた。
9.ヒドロキシプロピルメチルセルロースをプロピレングリコールに分散させた。
10.工程9の分散体を、工程8の分散体に攪拌しながら加えた。
11.工程1の分散体を工程10の分散体に加え、よく攪拌混合した。重量を精製水で補い混合して、均一なゲル体を得た。
<実施例12>
【0086】
【表12】

【0087】
1.C.ロンガ抽出物(95%)を、小分けしたポリエチレングリコール400に溶解させた。
2.メチルパラベンおよびプロピルパラベンを、小分けしたポリエチレングリコール400に溶解させた。
3.工程1の溶液と工程2の溶液とをよく攪拌しながら混合して、均一な溶液を得た。
4.重炭酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを、小分けした精製水に溶解させた。
5.クエン酸ナトリウムおよびメタ重亜硫酸ナトリウムを、小分けした精製水に溶解させた。
6.工程4および5で得られた溶液を、工程3で得られた溶液に加え、よく混合して、均一な分散体を得た。グリセリンを、このように得られた分散体に攪拌しながら加えた。
7.工程6の分散体に、ヒドロキシプロピルセルロースを少量ずつ攪拌しながら加え、均一な分散体を得た。
8.サッカリンナトリウムおよびクエン酸を小分けした精製水に溶解させ、工程7で得られた分散体に攪拌しながら加えた。
9.最終的な重量を精製水で補い、分散体をよく混合して、均一なゲル体を得た。
<実施例13>
【0088】
【表13】

【0089】
1.C.ロンガ抽出物(95%)を、N−メチルピロリドンに溶解させた。
2.ポリオキシル40硬化ヒマシ油、メチルパラベン、およびプロピルパラベンを、小分けした精製水に溶解させた。
3.塩化ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムを、小分けした精製水に溶解させた。
4.工程3の溶液を工程2の溶液に加え、よく混合した。
5.サッカリンナトリウムおよびクエン酸を、小分けした精製水に溶解させた。
6.工程5の溶液を工程4の溶液に加えた。
7.工程6の溶液に、ヒドロキシプロピルセルロースを、少量ずつ連続的に攪拌しながら加えて、均質な分散体を得た。
8.工程7の分散体に、工程1の溶液を攪拌しながら加えた。
9.工程8の分散体の重量を精製水で補い攪拌して、均一なゲル体を得た。
【0090】
<実施例14>:生体付着強度の測定
生体付着強度を重量について評価した。使用した装置は、1つの皿を取り除いて平面の錠剤器で置き換えるように変更を加えた2皿天秤であった。錠剤器は、5%カルボキシメチルセルロースナトリウムで被覆した。本発明の組成物を、予め被覆した錠剤器に約3〜4分間接触させた。次いで、天秤を静止位置から移動させ、小さい重りをゆっくりと皿に載せた。錠剤器と組成物との間の接触が途切れた点を、グラムで示される生体付着強度として記録した。
【0091】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.約0.01%〜約10%のクルクミノイド物質と、
b.1つ以上のポリマーと、
c.塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、またはその混合物と、
d.少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含有する経口投与用の生体付着性組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の生体付着性組成物であって、
前記クルクミノイド物質が、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、ビスヒドロクルクミン、ならびにクルクマロンガ(Curcuma longa)の生薬および溶媒抽出物からなる群から選択される生体付着性組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の生体付着性組成物であって、
前記ポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、およびカルボマーからなる群から選択される生体付着性組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の生体付着性組成物であって、
前記組成物の2重量%までの塩化ナトリウムを含有する生体付着性組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の生体付着性組成物であって、
前記組成物の2重量%までの重炭酸ナトリウムを含有する生体付着性組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体付着性組成物であって、
約1.5〜約3.5グラムの生体付着強度を示す生体付着性組成物。
【請求項7】
有効な量の請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体付着性組成物を、治療を必要とする患者に経口投与することを含む、歯肉炎および他の歯周疾患を治療および予防する方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体付着性組成物の使用であり、歯肉炎および他の歯周疾患の治療用の薬剤の製造のための使用。

【公表番号】特表2009−542620(P2009−542620A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517564(P2009−517564)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052521
【国際公開番号】WO2008/001325
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(502435661)ピラマル・ライフ・サイエンシーズ・リミテッド (15)
【Fターム(参考)】