説明

可変キャパシタ

【課題】MEMS可変キャパシタにおいて、交流駆動信号を起因とする駆動ノイズがキャパシタの静電容量変化に伴い変化する対象信号に与える影響を低減する。
【解決手段】MEMS可変キャパシタにおいて、固定電極21と可動電極23との対によって構成され、駆動信号により可動電極23が振動駆動する駆動部2と、固定電極31と可動電極33との対によって構成されたキャパシタ部3とが、互いに分離した別体として形成され、かつ互いに離隔して基板上1に配置されている。さらに、駆動部可動電極23とキャパシタ可動電極33との間を、電気絶縁性を有する支持梁部4によって互いに連結している。駆動部可動電極24で発生した振動エネルギを支持梁部4を介してキャパシタ可動電極31へ伝達することで、このキャパシタ可動電極31を振動駆動させてキャパシタ部2の静電容量を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた可変キャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS技術は、半導体プロセスにより機械要素部品、センサ、アクチュエータ、電子回路等を1つの基板上に集積して機械的動作をするデバイスを製作する技術であり、例えば加速度センサ、圧力センサ、触覚センサ、慣性センサ等に応用されている。また、MEMS技術を応用した可変キャパシタも実現している(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
従来、可変キャパシタとしては半導体のPN接合構造を利用して静電容量を変化させるバラクタダイオードが広く用いられている。このバラクタダイオードがPN接合を要因とするショット雑音の影響を避けられないのに対して、機械的動作で静電容量を変化させるMEMS可変キャパシタでは、このノイズの影響を抑えられる利点がある。このため、MEMS可変キャパシタは、携帯電話を始めとする通信機器分野で多用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3696193号公報
【特許文献2】特許第3712123号公報
【特許文献3】特開2006−93463号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日本機械学会「非線形系のダイナミクス―非線形現象の解析入門」コロナ社(2007/7/1)P23〜
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MEMS可変キャパシタの駆動方法としては、引用文献1〜3に開示されているように、圧電アクチュエータに直流電圧を印加することでこれを変形させ、キャパシタの静電容量を定常的に変化させる手法が知られている。この他にも、固定電極と可動電極との対で構成される駆動部に周期的に変化する駆動信号を印加することで可動電極を周期的に振動させ、この振動によりキャパシタの可動電極を振動させて静電容量を周期的に変化させる手法がある。
【0007】
後者の手法のとおり駆動部を振動駆動させる場合、最低でも振幅が5V程度の交流駆動信号の印加が必要とされている。ところが、交流駆動信号で駆動部を振動駆動させる場合、直流電圧を印加する場合と違って、この交流駆動信号に起因する電磁的な駆動ノイズが発生する。この駆動ノイズがキャパシタ側に伝播するとキャパシタの処理対象となる電気信号にこの駆動ノイズが重畳してしまう。
【0008】
駆動ノイズに対して比較的電圧の大きい一般的な電気信号を扱う場合、この駆動ノイズの影響は僅かであるが、通信分野や生体を測定対象とする分野等で扱う数10μV〜数100mV程度の電気信号を対象とする場合、駆動ノイズは対象信号に対して電位が相対的に高くなる。このため、可変キャパシタにおける信号雑音比の低下、あるいは、駆動ノイズを低減するためのフィルタ回路増設に伴う回路規模増大という問題がある。
【0009】
特に、従来のMEMS可変キャパシタでは、駆動部と、これに連動して可動するキャパシタ部の可動電極とが一体で構成されており、交流駆動信号に起因する駆動ノイズがキャパシタ側に電気的に伝播しやすく、駆動ノイズの影響が顕著になる。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされており、MEMS可変キャパシタにおいて、交流駆動信号を起因とする駆動ノイズがキャパシタの静電容量変化に伴い変化する対象信号に与える影響を低減するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の可変キャパシタは、駆動部とキャパシタ部の可動電極とが、互いに分離した別体として形成され、かつ互いに離隔して基板上に配置されており、さらに、駆動部とキャパシタ部の可動電極との間を絶縁するための電気絶縁構造を有する支持梁を介して互いに連結されていることを特徴とする。
【0012】
駆動部とキャパシタ部の可動電極とが、互いに分離した別体として形成されて互いに離隔した構造を採用することで、両者が電気的に分離するため、駆動部で発生した電磁的な駆動ノイズがキャパシタ部へ波及しにくくなり、駆動ノイズの影響を低減できる。
【0013】
さらに、駆動部とキャパシタ部の可動電極とを電気絶縁構造を有する支持梁で連結し、この支持梁を介して駆動部で発生した振動エネルギをキャパシタ部へ伝達する構造を採用した。この支持梁を設けたことで、駆動部と支持梁とキャパシタ部の可動電極とのそれぞれの固有振動数の違いにより、駆動部とキャパシタ部とを別周波数で振動させることができる。これにより、駆動ノイズの周波数と、キャパシタ部の動作周波数とをある程度の範囲で変えることができ、駆動部とキャパシタ部との離隔を超えてなおキャパシタ部へ波及してくる駆動ノイズと、キャパシタ部による処理対象の電気信号(対象信号)とを分離し易くできる。その結果、対象信号における駆動ノイズの影響を低減できる。
【0014】
なお、駆動部とキャパシタ部が別周期で動作することについての理論的な裏づけの一例として、非特許文献1に原周波数の1/3,1/5等の周期で共振する非線形現象についての解説が記載されている。
【0015】
さらに、請求項2に記載のように、キャパシタ部の可動電極と駆動部とを、互いに異なる固有振動数を持つ部材として形成するように設計するとよい。このようにすることで、駆動部とキャパシタ部の可動電極とのそれぞれの固有振動数の違いにより、駆動部とキャパシタ部とを別周波数で振動させることができ、駆動ノイズとキャパシタ部の対象信号とを分離し易くできる。その結果、対象信号における駆動ノイズの影響をより効果的に低減できる。
【0016】
より具体的には、請求項3に記載のように、キャパシタ部の可動電極と駆動部とが、断面形状、長さ若しくは幅、又は材質の少なくとも何れか互いに異なるように形成することで互いに異なる固有振動数を持つように構成するとよい。物体の固有振動数は、その物体の長さや幅、断面形状といった形状的性質、あるいは密度やヤング率といった電極材料そのものの材質等の各諸元によって決まる。そこで、これらの諸元を適宜設定することで、キャパシタ部の可動電極及び駆動部の固有振動数がそれぞれ異なるように設計することができる。また、具体的にどのような設計にすべきかについては、可変キャパシタの使用目的に応じた動作周波数でキャパシタ部が振動するように駆動部及びキャパシタ部の固有振動数を設定し、その固有振動数に応じて駆動部及びキャパシタ部の各諸元を設計すればよい。
【0017】
つぎに、請求項4に記載の可変キャパシタは、駆動部とキャパシタ部の可動電極とを連結する支持梁が、基板との間に空間をあけて基板に固定されていることを特徴とする。このようにすることで、駆動部の振動エネルギを効率よくキャパシタ部へ伝達させることができる。
【0018】
一方、上記目的を達成するためになされた請求項5に記載の可変キャパシタは、駆動部とキャパシタの可動電極とが、互いに分離した別体として形成され、かつ互いに離隔して基板上に配置されており、駆動部とキャパシタの可動電極との間には、駆動部の振動を伝達する電気絶縁性流体が介在していることを特徴とする。
【0019】
駆動部とキャパシタ部の可動電極とが、互いに分離した別体として形成されて互いに離隔した構造を採用することで、両者が電気的に分離するため、駆動部で発生した電磁的な駆動ノイズがキャパシタ部へ波及しにくくなり、駆動ノイズの影響を低減できる。
【0020】
さらに、駆動部とキャパシタ部の可動電極との間に電気絶縁性流体が介在し、この流体の粘性を利用して駆動部で発生した振動エネルギをキャパシタ部へ伝達する構造を採用した。このようにしたことで、駆動部とキャパシタ部の可動電極とのそれぞれの固有振動数の違いにより、駆動部とキャパシタ部とを別周波数で振動させることができる。これにより、駆動ノイズの周波数と、キャパシタ部の動作周波数とをある程度の範囲で変えることができ、駆動部とキャパシタ部との離隔を超えてなおキャパシタ部へ波及してくる駆動ノイズと、キャパシタ部の対象信号とを分離し易くできる。その結果、対象信号における駆動ノイズの影響を低減できる。
【0021】
なお、駆動部とキャパシタ部の可動電極との間に介在させる電気絶縁性流体としては、気体及び液体の何れを用いてもよい(請求項6,7)。気体の場合、例えば、空気や特定成分で構成されるガス等を用いることが考えられる。また、液体の場合、例えば、絶縁油や不活性液体、その他の絶縁性液体等を用いることが考えられる。
【0022】
さらに、請求項8に記載のように、キャパシタ部の可動電極と駆動部とを、互いに異なる固有振動数を持つ部材として形成するように設計するとよい。より具体的には、請求項9に記載のように、キャパシタ部の可動電極と駆動部とが、断面形状、長さ若しくは幅、高さ、又は材質の少なくとも何れか互いに異なるように形成することで互いに異なる固有振動数を持つように構成するとよい。
【0023】
このようにすることで、駆動部とキャパシタ部の可動電極とのそれぞれの固有振動数の違いにより、駆動部とキャパシタ部とを別周波数で振動させることができ、駆動ノイズとキャパシタ部の対象信号とを分離し易くできる。その結果、対象信号における駆動ノイズの影響をより効果的に低減できる。なお、具体的にどのような設計にすべきかについては、可変キャパシタの使用目的に応じた動作周波数でキャパシタ部が振動するように駆動部及びキャパシタ部の固有振動数を設定し、その固有振動数に応じて駆動部及びキャパシタ部の各諸元を設計すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態の可変キャパシタの構成を示す図である。
【図2】第2実施形態の可変キャパシタの構成を示す図である。
【図3】第3実施形態の可変キャパシタの構成を示す図である。
【図4】第4実施形態の可変キャパシタの構成を示す図である。
【図5】第5実施形態の可変キャパシタの構成を示す図である。
【図6】第6実施形態の可変キャパシタの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は下記の実施形態に何ら限定されるものではなく様々な態様にて実施することが可能である。
[第1実施形態]
図1(a)は、第1実施形態の可変キャパシタの上面図であり、図1(b)は、図1(a)のA方向からの側面図である。
【0026】
図1(a)に示すように、シリコンやガラス等の絶縁材料で形成された基板1上には、それぞれ別体として形成された駆動部2とキャパシタ部3とが、図中X軸方向沿って並列に配設されている。また、基板1上には駆動部2及びキャパシタ部3を支持するための支持梁部4及び絶縁層5が形成されている。さらに、駆動部2を構成する2つの電極21,23には、交流の駆動信号を印加するための電路が接続しており、キャパシタ部3を構成する2つの電極31,33には、制御対象の電子回路へ接続する電路が接続している。
【0027】
駆動部2は、キャパシタ部3の静電容量を変化させるのに必要な振動エネルギを発生させるための機械要素部品であり、互いに平行に配置された2つの電極である駆動部固定電極21及び駆動部可動電極23と、駆動部可動電極23と一体に形成され、これを支持する支持用ダンパ25とから構成される。駆動部固定電極21は、基板1又は絶縁層5の少なくとも何れかに固定された不可動の電極であり、駆動信号源からの電路の一方が接続している。一方、駆動部可動電極23は基板1に固定されておらず、図中Y軸方向上端側が弾性を有する支持用ダンパ25によって絶縁層5に支持されており、Y軸方向下端側が絶縁性を有する支持梁部4に固定されている。この支持用ダンパ25は、駆動部可動電極23を弾性的な動きをするように支持すると共に、駆動部可動電極23の振動モードを必要な特定のモードに限定する。また、駆動信号源からのもう一方の電路が接続しており、駆動信号を駆動部可動電極23へ印加するための電路を兼ねている。
【0028】
駆動部固定電極21及び駆動部可動電極23には、それぞれ相手の電極と対向する側に複数の櫛歯部22及び24が一体に形成されており、相手の電極の櫛歯部と接触しないように互い違いに位置して対向するようになっている。このように、駆動部固定電極21及び駆動部可動電極23がそれぞれ櫛歯構造を有し、これらの櫛歯構造が互いに対向することで、この2つの電極間の静電容量を増加させている。
【0029】
駆動部2の2つの電極21,23間に交流の駆動信号を印加すると、2つの電極21,23間に駆動信号の波形に応じて周期的に変化する静電気力(引力)が働く。このとき、この周期的に変化する静電気力と、支持用ダンパ25及び駆動部可動電極23自体が有する弾性による復元力とによって、駆動部可動電極23は駆動信号の周期に応じてX軸方向に振動する。このようにして発生した振動エネルギによって駆動部2はキャパシタ部3を振動駆動する。
【0030】
キャパシタ部3は、互いに平行に配置された2つの電極であるキャパシタ固定電極31及びキャパシタ可動電極33と、キャパシタ可動電極33と一体に形成され、これを支持する支持用ダンパ35とから構成される。キャパシタ固定電極31は、基板1又は絶縁層5の少なくとも何れかに固定された不可動の電極であり、制御対象の電子回路へ至る電路の一方が接続している。一方、キャパシタ可動電極33は基板1には固定されておらず、Y軸方向上端側が弾性を有する支持用ダンパ35によって絶縁層5に支持されており、Y軸方向下端側が絶縁性を有する支持梁部4に固定されている。この支持用ダンパ35は、キャパシタ可動電極33を弾性的な動きをするように支持すると共に、キャパシタ可動電極33の振動モードを必要な特定のモードに限定する。また、制御対象の電子回路へ至るもう一方の電路が接続しており、処理対象の電気信号をキャパシタ可動電極33へ印加するための電路を兼ねている。
【0031】
キャパシタ固定電極31及びキャパシタ可動電極33には、それぞれ相手の電極と対向する側に複数の櫛歯部32及び34が一体に形成されており、相手の電極の櫛歯部と接触しないように互い違いに位置して対向するようになっている。このように、キャパシタ固定電極31及びキャパシタ可動電極33がそれぞれ櫛歯構造を有し、これらの櫛歯構造が互いに対向することで、この2つの電極間の静電容量を増加させている。
【0032】
駆動部可動電極23とキャパシタ可動電極33とは、電気絶縁性を有する支持梁部4によって連結されている。これにより、駆動信号により駆動部可動電極23で発生した振動エネルギは支持梁部4を通じてキャパシタ可動電極33へと伝播する。よって、キャパシタ可動電極33は、駆動部可動電極23からの振動エネルギを受けてX軸方向に振動駆動する。キャパシタ可動電極33が振動することで、この振動に応じてキャパシタ固定電極31及びキャパシタ可動電極33の両電極間の距離が変わるため、キャパシタ部3の静電容量が周期的に変化する。この状態で電子回路側から両電極間に対象信号を印加すると、静電容量の変化に比例した信号波形の変化として取り出すことができる。
【0033】
支持梁部4は、電気絶縁性を有する材料で構成されており、駆動部可動電極23とキャパシタ可動電極33とを連結すると共に、両電極間の絶縁を確保している。また、図1(b)に示すとおり、支持梁部4は、中央部が基板1から浮いた状態になるように両端が基板1上に固定されており、基板1との間に空間40を形成する梁構造になっている。この梁構造により、駆動部可動電極23で発生した振動エネルギを効率よくキャパシタ可動電極33へ伝達できるようになっている。
【0034】
一方、駆動部可動電極23及びキャパシタ可動電極33は、互いに異なる固有振動数を持つ部材として形成されている。具体的には、電極の長さ、幅、断面形状といった形状的性質、あるいは密度やヤング率等の電極材料そのものの材質といった、物体の固有振動数を決める各諸元の少なくとも何れかが互いに異なるように形成することで、互いに異なる固有振動数を与えることができる。また、具体的にどのような設計にすべきかについては、可変キャパシタの使用目的に応じた動作周波数でキャパシタ可動電極33が振動するように駆動部可動電極23及びキャパシタ可動電極33の固有振動数を設定し、その固有振動数に応じて両電極23,33の各諸元を設計すればよい。また、固有振動数の設定次第でキャパシタ可動電極33を駆動信号の周波数に対して低周波側で動作させることも高周波側で動作させることも可能である。
【0035】
以上のような構成を有する本実施形態の可変キャパシタによれば、駆動部2とキャパシタ部3とが互いに分離した別体として形成され、かつ互いに離隔した構造を採用することで、両者が電気的に分離するため、駆動部2で発生した電磁的な駆動ノイズがキャパシタ部3へ波及しにくくなり、駆動ノイズの影響を低減できる。さらに、駆動部可動電極23、キャパシタ可動電極33及び支持梁部4のそれぞれの固有振動数の違いにより、駆動部可動電極23とキャパシタ可動電極33とを別周波数で振動させることができ、駆動ノイズとキャパシタ部3の対象信号とを分離し易くできる。その結果、対象信号における駆動ノイズの影響をより効果的に低減できる。
【0036】
また、本構成において、容量結合によって駆動信号電圧が支持梁部4や絶縁層5を通じて回路信号に重畳されるのを防ぐために、支持梁部4及び絶縁層5それぞれの内部に駆動部2側とキャパシタ部3側とを分断するGND電極面を設けてもよい。これにより、容量結合よって支持梁部4及び絶縁層5内部を伝播する電気的ノイズを遮蔽できる。
【0037】
[第2実施形態]
図2(a)は、第2実施形態の可変キャパシタの上面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A´における断面図である。なお、ここでは前述の実施形態の構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付している。また、前述の実施形態と説明内容が重複する事項については、以下での記述を省略する。
【0038】
図2(a)に示すように、基板1上には、それぞれ別体として形成された駆動部2とキャパシタ部3とが、図中Y軸方向沿って縦列配設されている。つまり、駆動部2とキャパシタ部3との位置関係が上記第1実施形態と異なり、その他の構成については共通である。また、基板1上には、駆動部可動電極23とキャパシタ可動電極33とを連結する支持梁部4が駆動部2とキャパシタ部3との間に形成されている。また、駆動部2のY軸方向上端側には、駆動部2を支持するための絶縁層51が形成されており、キャパシタ部3のY軸方向下端側には、キャパシタ部3を支持するための絶縁層52が形成されている。
【0039】
駆動部固定電極21は、基板1又は絶縁層51の少なくとも何れかに固定されており、不可動である。一方、駆動部可動電極23は基板1には固定されておらず、Y軸方向上端側が支持用ダンパ25によって絶縁層51に支持されており、Y軸方向下端側が支持梁部4に固定されている。駆動部2の2つの電極21,23間に交流の駆動信号を印加すると、この周期的に変化する静電気力と、支持用ダンパ25及び駆動部可動電極23自体が有する弾性による復元力とによって、駆動部可動電極23は駆動信号の周期に応じて図中のX軸方向に振動する。このようにして発生した振動エネルギによって駆動部2はキャパシタ部3を振動駆動する。
【0040】
キャパシタ固定電極31は、基板1又は絶縁層52の少なくとも何れかに固定されており不可動である。一方、キャパシタ可動電極33は基板1には固定されておらず、Y軸方向下端側が支持用ダンパ35によって絶縁層52に支持されており、Y軸方向上端側が支持梁部4に固定されている。
【0041】
駆動部可動電極23とキャパシタ可動電極33とは、支持梁部4のX軸方向両側面にそれぞれ固定されることによって互いに連結されている。これにより、駆動信号により駆動部可動電極23で発生した振動エネルギは支持梁部4を通じてキャパシタ可動電極33へと伝播する。よって、キャパシタ可動電極33は、駆動部可動電極23からの振動エネルギを受けて振動駆動し、この振動に応じてキャパシタ部3の静電容量が周期的に変化する。この状態で電子回路側から両電極間に対象信号を印加すると、静電容量の変化に比例した信号波形の変化として取り出すことができる。
【0042】
支持梁部4は、電気絶縁性を有する材料で構成されており、駆動部可動電極23とキャパシタ可動電極33とを連結すると共に、両電極間の絶縁を確保している。また、図2(b)に示すとおり、支持梁部4は、中央部が基板1から浮いた状態になるように両端が基板1上に固定されており、基板1との間に空間40を形成する梁構造になっている。この梁構造により、駆動部可動電極23で発生した振動エネルギを効率よくキャパシタ可動電極33へ伝達できるようになっている。
【0043】
一方、駆動部可動電極23及びキャパシタ可動電極33は、互いに異なる固有振動数を持つ部材として形成されている。具体的には、電極の長さ、幅、断面形状といった形状的性質、あるいは密度やヤング率等の電極材料そのものの材質といった、物体の固有振動数を決める各諸元の少なくとも何れかが互いに異なるように形成することで、互いに異なる固有振動数を与えることができる。
【0044】
また、本構成において、容量結合によって駆動信号電圧が支持梁部4を通じて回路信号に重畳されるのを防ぐために、支持梁部4の内部に駆動部2側とキャパシタ部3側とを分断するGND電極面を設けてもよい。これにより、容量結合よって支持梁部4内部を伝播する電気的ノイズを遮蔽できる。
【0045】
[第3実施形態]
図3(a)は、第3実施形態の可変キャパシタの外観斜視図である。また、図3(b)は、第3実施形態の可変キャパシタの駆動部2の上面図であり、図3(c)は、同じくキャパシタ部3の上面図である。また、図3(d)は、図3(b),(c)のA−A´における断面図である。なお、ここでは前述の実施形態の構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付している。また、前述の実施形態と説明内容が重複する事項については、以下での記述を省略する。
【0046】
第3実施形態の可変キャパシタは、図3(a)に示すように、基板1上に駆動部2を構成する層が形成されており、さらに、この駆動部2の層の上にキャパシタ部3を構成する層が形成されている。
【0047】
駆動部2は、上方に積置されているキャパシタ部3を駆動させる機械要素部品であり、図3(b)に示すように、互いに平行に配置された駆動部固定電極21及び駆動部可動電極23と、駆動部可動電極23と一体に形成され、これを支持する支持用ブリッジ26とから構成される。駆動部固定電極21は、駆動部2の外縁に沿って形成されている絶縁層27,28に固定された不可動の電極であり、駆動部2のX軸方向左端部に配置されている。また、この駆動部固定電極21には駆動信号源からの電路の一方が接続している。
【0048】
一方、駆動部可動電極23は、駆動部2の中央部に配置されており、Y軸方向上端側及び下端部からそれぞれ延出する支持用ブリッジ26によって絶縁層27に支持されている。この支持用ブリッジ26は、駆動部可動電極23を弾性的な動きをするように支持する。また、駆動信号源からのもう一方の電路が接続しており、駆動信号を駆動部可動電極23へ印加するための電路を兼ねている。駆動部固定電極21及び駆動部可動電極23には、それぞれ相手の電極と対向する側に複数の櫛歯部22及び24が一体に形成されており、相手の電極の櫛歯部と接触しないように互い違いに位置して対向するようになっている。
【0049】
駆動部2の2つの電極21,23間に交流の駆動信号を印加すると、2つの電極21,23間に駆動信号の波形に応じて周期的に変化する静電気力(引力)が働く。このとき、この周期的に変化する静電気力と、支持用ブリッジ26が有する弾性による復元力によって、駆動部可動電極23は駆動信号の周期に応じてX軸方向に振動する。このようにして発生した振動エネルギによって駆動部2はキャパシタ部3を振動駆動する。
【0050】
キャパシタ部3は、図3(c)に示すように、互いに平行に配置されたキャパシタ固定電極31及びキャパシタ可動電極33と、キャパシタ可動電極33と一体に形成され、これを支持する支持用ブリッジ36とから構成される。キャパシタ固定電極31は、キャパシタ部3の外縁に沿って形成されている絶縁層37,38に固定された不可動の電極であり、キャパシタ部3のX軸方向左端部に配置されている。また、このキャパシタ固定電極31には制御対象の電子回路へ至る電路の一方が接続している。
【0051】
一方、キャパシタ可動電極33は、キャパシタ部3の中央部、可変キャパシタの上方から見て下層の駆動部2の駆動部可動電極23に重なる位置に配置されており、Y軸方向上端側及び下端部からそれぞれ延出する支持用ブリッジ36によって絶縁層37に支持されている。この支持用ブリッジ36は、キャパシタ可動電極33を弾性的な動きをするように支持する。また、制御対象の電子回路へ至るもう一方の電路が接続しており、処理対象の電気信号をキャパシタ可動電極33へ印加するための電路を兼ねている。キャパシタ固定電極31及びキャパシタ可動電極33には、それぞれ相手の電極と対向する側に複数の櫛歯部32及び34が一体に形成されており、相手の電極の櫛歯部と接触しないように互い違いに位置して対向するようになっている。
【0052】
図3(d)に示すように、駆動部可動電極23とキャパシタ可動電極33とは、一定の空間6を隔てて互いに対向するように配置されている。そして、この空間6には、駆動部可動電極23で発生した振動エネルギを伝達するための絶縁性流体が充満している。すなわち、駆動部可動電極23とキャパシタ可動電極33とは離隔しており、両電極の間には絶縁性流体の層が介在する構成となっている。これにより、駆動信号により駆動部可動電極23で発生した振動エネルギは、絶縁性流体の粘性によってキャパシタ可動電極33へと伝播する。よって、キャパシタ可動電極33は、駆動部可動電極23からの振動エネルギを受けてX軸方向に振動駆動する。キャパシタ可動電極33が振動することで、この振動に応じてキャパシタ固定電極31及びキャパシタ可動電極33の両電極間の距離が変わるため、キャパシタ部3の静電容量が周期的に変化する。この状態で電子回路側から両電極間に対象信号を印加すると、静電容量の変化に比例した信号波形の変化として取り出すことができる。
【0053】
なお、駆動部可動電極23とキャパシタ可動電極33との間に充填する絶縁性流体としては、気体又は液体の何れを用いてもよい。気体の場合、例えば、空気や特定成分で構成されるガス等を用いることが考えられる。また、液体の場合、例えば、絶縁油や不活性液体、その他の絶縁性液体等を用いることが考えられる。
【0054】
一方、駆動部可動電極23及びキャパシタ可動電極33は、互いに異なる固有振動数を持つ部材として形成されている。具体的には、電極の長さ、幅、高さ、断面形状といった形状的性質、あるいは密度やヤング率等の電極材料そのものの材質といった、物体の固有振動数を決める各諸元の少なくとも何れかが互いに異なるように形成することで、互いに異なる固有振動数を与えることができる。
【0055】
以上のような構成を有する本実施形態の可変キャパシタによれば、駆動部2とキャパシタ部3とが互いに分離した別体として形成され、かつ互いに離隔した構造を採用することで、両者が電気的に分離するため、駆動部2で発生した電磁的な駆動ノイズがキャパシタ部3へ波及しにくくなり、駆動ノイズの影響を低減できる。さらに、駆動部可動電極23、キャパシタ可動電極33及び両電極間に介在する絶縁性流体のそれぞれの固有振動数の違いにより、駆動部可動電極23とキャパシタ可動電極33とを別周波数で振動させることができ、駆動ノイズとキャパシタ部3の対象信号とを分離し易くできる。その結果、対象信号における駆動ノイズの影響をより効果的に低減できる。
【0056】
また、本構成において、容量結合によって駆動信号電圧が絶縁層37,38を通じて回路信号に重畳されるのを防ぐために、絶縁層37,38それぞれの内部に駆動部2側とキャパシタ部3側とを分断するGND電極面を設けてもよい。これにより、容量結合よって絶縁層37,38内部を伝播する電気的ノイズを遮蔽できる。
【0057】
[第4実施形態]
図4(a)は、第4実施形態の可変キャパシタの上面図であり、図4(b)は、図4(a)のA方向からの側面図である。なお、ここでは前述の実施形態の構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付している。また、前述の実施形態と説明内容が重複する事項については、以下での記述を省略する。
【0058】
図4(a)に示すように、基板1上には、それぞれ別体として形成された駆動部2とキャパシタ部3とが、図中X軸方向沿って並列に配設されている。このうち、キャパシタ部3には、駆動部2から伝播する駆動エネルギによって振動駆動するキャパシタ可動電極33の左右振動方向両側に、2つの固定電極31a,31bが設けられており、1つのキャパシタ可動電極33を共通電極とする2つのキャパシタが構成されている。つまり、第4実施形態の可変キャパシタは、キャパシタ部3においてキャパシタ可動電極33と対をなすキャパシタ固定電極31が2つ存在する点で上記第1実施形態と異なり、その他の構成については共通である。
【0059】
キャパシタ固定電極31a,31bは、基板1又は絶縁層5の少なくとも何れかに固定された不可動の電極である。このキャパシタ固定電極31a,31bには、キャパシタ可動電極33に接続された電路と対となる電路が各個に接続している。また、キャパシタ固定電極31a,31bには、それぞれキャパシタ可動電極33と対向する側に複数の櫛歯部32a,32bが一体に形成されており、キャパシタ可動電極33の左右両側に同様に形成された櫛歯部34と接触しないように互い違いに位置して対向するようになっている。このように、2つのキャパシタ固定電極31a,31bとキャパシタ可動電極33とがそれぞれ櫛歯構造を有し、これらの櫛歯構造が互いに対向することで、両固定電極31a,31bとキャパシタ可動電極33との間の静電容量をそれぞれ増加させている。
【0060】
駆動信号により駆動部可動電極23で発生した振動エネルギは、支持梁部4を通じてキャパシタ可動電極33へと伝播する。これにより、キャパシタ可動電極33はX軸方向に左右に振動駆動する。キャパシタ可動電極33の振動に応じて両固定電極31a,31bとキャパシタ可動電極33との距離がそれぞれ変わるため、両固定電極31a,31bとキャパシタ可動電極33とがなす2つのキャパシタの静電容量がそれぞれ周期的に変化する。このとき、一方のキャパシタの静電容量が極大であるときに、他方のキャパシタの静電容量が極小となるといった具合に、2つのキャパシタの静電容量の変化は互いに逆位相の関係になる。
【0061】
以上のような構成によれば、単一の駆動部によって異なる動作をする2つのキャパシタを備えた可変キャパシタを構成可能であり、逆位相で変動する一対の可変キャパシタを必要とする用途において効率的な回路設計が可能である。
【0062】
また、別の工夫として、駆動部2の駆動部固定電極21及びキャパシタ部3のキャパシタ固定電極31a,31bは、それぞれY軸方向下端部が支持梁部4に当接しないように、支持梁部4と間隔をあけて形成されている。このように構成することで、支持梁部4の振動が固定電極によって阻害されることがなく、駆動部可動電極23で発生した振動エネルギを支持梁部4を介してキャパシタ可動電極33へ効率よく伝達できる。このような構成は、駆動部可動電極23で生じる振動エネルギが小さい場合に特に有効である。
【0063】
また、本構成において、容量結合によって駆動信号電圧が支持梁部4及び絶縁層5を通じて回路信号に重畳されるのを防ぐために、支持梁部4及び絶縁層5それぞれの内部に駆動部2側とキャパシタ部3側とを分断するGND電極面を設けてもよい。これにより、容量結合よって絶縁層37,38内部を伝播する電気的ノイズを遮蔽できる。
【0064】
[第5実施形態]
図5(a)は、第5実施形態の可変キャパシタの上面図であり、図5(b)は、図5(a)のA方向からの側面図である。なお、ここでは前述の実施形態の構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付している。また、前述の実施形態と説明内容が重複する事項については、以下での記述を省略する。
【0065】
図5(a)に示すように、基板1上には、それぞれ別体として形成された駆動部2とキャパシタ部3とが、図中Y軸方向沿って縦列配設されている。このうち、キャパシタ部3には、駆動部2から伝播する駆動エネルギによって振動駆動するキャパシタ可動電極33の左右振動方向両側に、2つの固定電極31a,31bが設けられており、1つのキャパシタ可動電極33を共通電極とする2つのキャパシタが構成されている。つまり、第5実施形態の可変キャパシタは、キャパシタ部3においてキャパシタ可動電極33と対をなすキャパシタ固定電極31が2つ存在する点で上記第2実施形態と異なり、その他の構成については共通である。
【0066】
キャパシタ固定電極31a,31bは、基板1又は絶縁層52の少なくとも何れかに固定されており不可動である。このキャパシタ固定電極31a,31bには、キャパシタ可動電極33に接続された電路と対となる電路が各個に接続している。
【0067】
駆動信号により駆動部可動電極23で発生した振動エネルギは、支持梁部4を通じてキャパシタ可動電極33へと伝播する。これにより、キャパシタ可動電極33はX軸方向に左右に振動駆動する。キャパシタ可動電極33の振動に応じて両固定電極31a,31bとキャパシタ可動電極33との距離がそれぞれ変わるため、両固定電極31a,31bとキャパシタ可動電極33とがなす2つのキャパシタの静電容量がそれぞれ周期的に変化する。このとき、一方のキャパシタの静電容量が極大であるときに、他方のキャパシタの静電容量が極小となるといった具合に、2つのキャパシタの静電容量の変化は互いに逆位相の関係になる。
【0068】
また、駆動部2の駆動部固定電極21及びキャパシタ部3のキャパシタ固定電極31a,31bは、それぞれ端部が支持梁部4に当接しないように支持梁部4と間隔をあけて形成されている。これにより、駆動部可動電極23で発生した振動エネルギを支持梁部4を介してキャパシタ可動電極33へ効率よく伝達できる。
【0069】
また、本構成において、容量結合によって駆動信号電圧が支持梁部4を通じて回路信号に重畳されるのを防ぐために、支持梁部4の内部に駆動部2側とキャパシタ部3側とを分断するGND電極面を設けてもよい。これにより、容量結合よって支持梁部4内部を伝播する電気的ノイズを遮蔽できる。
【0070】
[第6実施形態]
図6(a)は、第6実施形態の可変キャパシタの外観斜視図である。また、図6(b)は、第6実施形態の可変キャパシタの駆動部2の上面図であり、図6(c)は、同じくキャパシタ部3の上面図である。また、図6(d)は、図6(b),(c)のA−A´における断面図である。なお、ここでは前述の実施形態の構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付している。また、前述の実施形態と説明内容が重複する事項については、以下での記述を省略する。
【0071】
第6実施形態の可変キャパシタは、図6(a)に示すように、基板1上に駆動部2を構成する層が形成されており、さらに、この駆動部2の層の上にキャパシタ部3を構成する層が形成されている。このうち、図6(b)に詳細を示した駆動部2は、上方に積置されているキャパシタ部3を駆動させる機械要素部品であり、上記第3実施形態における駆動部2と同様の構成を有する。
【0072】
一方、キャパシタ部3は、図6(c)に示すように、駆動部2から伝播する駆動エネルギによって振動駆動するキャパシタ可動電極33の左右振動方向両側に、2つの固定電極31a,31bが設けられており、1つのキャパシタ可動電極33を共通電極とする2つのキャパシタが構成されている。つまり、第6実施形態の可変キャパシタは、キャパシタ部3においてキャパシタ可動電極33と対をなすキャパシタ固定電極31が2つ存在する点で上記第3実施形態と異なり、その他の構成については共通である。
【0073】
キャパシタ固定電極31a,31bは、キャパシタ部3の外縁に沿って形成されている絶縁層37,38に固定された不可動の電極であり、キャパシタ部3のX軸方向左右両端部にそれぞれ配置されている。このキャパシタ固定電極31a,31bには、キャパシタ可動電極33に接続された電路と対となる電路が各個に接続している。また、キャパシタ固定電極31a,31bには、それぞれキャパシタ可動電極33と対向する側に複数の櫛歯部32a,32bが一体に形成されており、キャパシタ可動電極33の左右両側に同様に形成された櫛歯部34と接触しないように互い違いに位置して対向するようになっている。
【0074】
駆動信号により駆動部可動電極23で発生した振動エネルギは、駆動部可動電極23とキャパシタ可動電極との間の空間6に充填された絶縁性流体を介してキャパシタ可動電極33へと伝播する。これにより、キャパシタ可動電極33はX軸方向に左右に振動駆動する。キャパシタ可動電極33の振動に応じて両固定電極31a,31bとキャパシタ可動電極33との距離がそれぞれ変わるため、両固定電極31a,31bとキャパシタ可動電極33とがなす2つのキャパシタの静電容量がそれぞれ周期的に変化する。このとき、一方のキャパシタの静電容量が極大であるときに、他方のキャパシタの静電容量が極小となるといった具合に、2つのキャパシタの静電容量の変化は互いに逆位相の関係になる。
【0075】
また、本構成において、容量結合によって駆動信号電圧が絶縁層38を通じて回路信号に重畳されるのを防ぐために、絶縁層38の内部に駆動部2側とキャパシタ部3側とを分断するGND電極面を設けてもよい。これにより、容量結合よって絶縁層38内部を伝播する電気的ノイズを遮蔽できる。
【符号の説明】
【0076】
1…基板、2…駆動部、21…駆動部固定電極、22…櫛歯部、23…駆動部可動電極、24…櫛歯部、25…支持用ダンパ、26…支持用ブリッジ、27,28…絶縁層、3…キャパシタ部、31,31a,31b…キャパシタ固定電極、32,32a,32b…櫛歯部、33…キャパシタ可動電極、34…櫛歯部、35…支持用ダンパ、36…支持用ブリッジ、37,38…絶縁層、4…支持梁部、40…空間部、5,51,52…絶縁層、6…流体層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の基板上に可動電極と固定電極との対によって構成されたキャパシタ部と、駆動信号により振動駆動する部材からなる駆動部とが形成されており、前記駆動部により前記キャパシタ部の可動電極を振動駆動させることで前記キャパシタ部の静電容量を変更可能な可変キャパシタであって、
前記駆動部と前記キャパシタ部の可動電極とが、互いに分離した別体として形成され、かつ互いに離隔して前記基板上に配置されており、前記駆動部と前記キャパシタ部の可動電極との間を絶縁するための電気絶縁構造を有する支持梁を介して互いに連結されていること
を特徴とする可変キャパシタ。
【請求項2】
請求項1に記載の可変キャパシタにおいて、
前記キャパシタ部の可動電極と前記駆動部とは、互いに異なる固有振動数を持つ部材として形成されていること
を特徴とする可変キャパシタ。
【請求項3】
請求項2に記載の可変キャパシタにおいて、
前記キャパシタ部の可動電極と前記駆動部とは、断面形状、長さ若しくは幅、又は材質の少なくとも何れか互いに異なるように形成することで互いに異なる固有振動数を持つように構成されていること
を特徴とする可変キャパシタ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の可変キャパシタにおいて、
前記支持梁は、前記基板との間に空間をあけて前記基板に固定されていること
を特徴とする可変キャパシタ。
【請求項5】
同一の基板上に可動電極と固定電極との対によって構成されたキャパシタ部と、駆動信号により振動駆動する部材からなる駆動部とが形成されており、前記駆動部により前記キャパシタ部の可動電極を振動駆動させることにより前記キャパシタ部の静電容量を変化可能な可変キャパシタであって、
前記駆動部と前記キャパシタの可動電極とが、互いに分離した別体として形成され、かつ互いに離隔して前記基板上に配置されており、前記駆動部と前記キャパシタの可動電極との間には、前記駆動部の振動を伝達する電気絶縁性流体が介在していること
を特徴とする可変キャパシタ。
【請求項6】
請求項5に記載の可変キャパシタにおいて、
前記電気絶縁性流体が気体であること
を特徴とする可変キャパシタ。
【請求項7】
請求項5に記載の可変キャパシタにおいて、
前記電気絶縁性流体が液体であること
を特徴とする可変キャパシタ。
【請求項8】
請求項5ないし7の何れか1項に記載の可変キャパシタにおいて、
前記キャパシタ部の可動電極と前記駆動部とは、互いに異なる固有振動数を持つ部材として形成されていること
を特徴とする可変キャパシタ。
【請求項9】
請求項8に記載の可変キャパシタにおいて、
前記キャパシタ部の可動電極と前記駆動部とは、断面形状、長さ若しくは幅、高さ、又は材質の少なくとも何れか互いに異なるように形成することで互いに異なる固有振動数を持つように構成されていること
を特徴とする可変キャパシタ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−108989(P2011−108989A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264844(P2009−264844)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】