可変リラクタンス位置センサ
本発明は、ターゲット(1)の位置変化を決定するための可変リラクタンスアナログ位置装置に関し、強磁性材料と少なくとも一つの磁石(2)とからなるターゲット(1)を含み、前記ターゲットと磁石とが双方の間にギャップ(8)を画定し、装置が、さらに、磁石(2)に対するターゲット(1)の相対移動によりギャップに生じる誘導変化を検知する磁気感知素子(3)を含む。本発明は、磁石(2)が、ギャップの縁を画定する磁石の前面(9)に対してほぼ垂直な方向に磁化され、前記磁石が、この磁石の前記前面(9)に開かれている空洞(10)を有し、磁気感知素子(3)が、前記空洞(10)に収容され、ターゲット(1)は、このターゲット(1)の前記位置に応じた誘導変化が予め決められた機能に対応するように所定の幾何学的構成を有することを特徴とする。本発明は、また、前記ターゲット(1)を構成する方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変リラクタンスアナログ位置センサ装置および方法に関する。本発明は、限定的ではないが、特に、強磁性ターゲットとセンサとの間のギャップの変化を測定可能な装置に関し、強磁性ターゲットは、センサの正面で線形移動または回転移動する。
【0002】
一般に、本発明は、最大感度で非常に線形の誘導変化が得られる無接点の回転センサまたはリニアセンサからなる。本発明は、タンク内の液体レベルの測定に特に適用可能であり、液体を入れたタンクの内部にターゲットを配置し、外部に磁石を配置して、タンクの壁を介してターゲットの位置を測定する。
【背景技術】
【0003】
以下、本発明および磁気センサ装置についていっそう理解するために、「ゼロガウス」の概念を理解することが重要である。
【0004】
実際、ゼロガウスに等しい信号を送る測定位置は、安定性および感度が最も高い地点に対応する。増幅すべき「オフセット」、すなわちゼロガウスに対する著しい偏差はなく、有効信号だけを処理すべきであるので、電子的な観点から大きな利得が得られ、SN比が良好である。また、磁石の磁気特性の可逆的な変化を補償するために温度補償装置が必要である。温度に応じたセンサの感度の変化を補償しなければならないが、完全な補償を実施することはできず、これらの補償誤差の影響は、測定される誘導が小さければ小さいほど少ない。
【0005】
現時点では、優れた線形性、すなわち±0.5%の線形性を得られる回転センサ装置が存在するが、角範囲の狭い行程に限られる。
【0006】
そのため、本出願人名義で出願された公知の仏国特許第2670286号明細書が開示する位置センサは、ギャップを画定するステータを含み、連結手段に結合される可動磁石がギャップの内部を移動する。センサは、ギャップ内の誘導変化を測定するホール効果センサを含む。ステータは、第一の固定部分と、固定または可動式の第二の部分とからなり、二つの部分が互いに主要ギャップを画定し、可動部材の一部がこのギャップ内で移動する。可動部材は、交互の方向に横に磁化される少なくとも2個の薄い隣接部分を有し、磁化部分は、作業領域全体でほぼ線形の消磁特性と、空気に近い可逆透磁率とを有する材料から構成される。固定部分は、主要ギャップにほぼ垂直な少なくとも2個の第二のギャップを有し、可動部材がこのギャップ内で移動する。ホール効果センサは、前記第二のギャップの一つに収容される。
【0007】
同様に、本出願人名義で出願された欧州特許第0665416号明細書が知られており、この特許は、連結軸に結合される半径方向に磁化された筒状の薄型永久磁石を含むタイプの磁気位置センサを記載している。前記永久磁石は、ヨークと、軽磁性材料からなるステータとから画定される円筒形の主要ギャップ内で回転移動し、ステータが第二のギャップを有し、ホール効果センサがこの第二のギャップ内に配置されており、ステータが、永久磁石の内部に同軸に配置されること、また、永久磁石が発生する磁束を閉鎖するヨークが、磁石およびロータと同軸の筒状部品から形成されることを特徴とする。
【0008】
さらに、アナログではなくデジタル出力のセンサ装置が市場化されている。このようなセンサは、一般に、歯付きの強磁性ターゲットの検出、すなわちターゲットの有無の検出に使用される。この種のセンサの出力信号は、こうした強磁性ターゲットの線形または角方向の位置に比例しない。何故なら、出力信号は、センサ付近に配置されるものに応じて通常1または0と記される2つの状態だけを含むからである。このタイプの装置に比べて、仏国特許第2735222号明細書および仏国特許第2734913号明細書は、強磁性部品の付近にあるホール効果センサを開示している。本出願人名義で出願された仏国特許第2724722号明細書もまた、歯付きの強磁性ターゲットの検出、すなわち有無だけを検出可能にする装置を記載している。
【0009】
従来技術である公知の米国特許第4785242号明細書は、角位置と出力信号との間の伝達関数を保証する可変区間ロータを備えた角センサによる解決方法を記載している。しかし、ホール効果センサが永久磁石の空洞に収容される特徴は開示されていない。
【0010】
独国特許出願第19503075号明細書は、センサを配置するための機械的な構成を記載している。この特許出願は、ゼロガウスを形成しようとする可変リラクタンスアナログ位置センサを全く開示していない。
【0011】
本発明による装置の永久磁石内に形成される空洞により、磁界の磁力線の一部が空洞に流れて磁界を「負」にし、一方で、磁界の磁力線の他の部分が磁石の外側に流れて磁界を「正」にし、この二つの磁界の間にゼロガウス点が配置される。ゼロガウスにより、以下が得られる。
−温度安定性:0ガウス=あらゆる温度で0ガウスである。
−共通の増幅モードがないために信号が適切に増幅される。
【0012】
上記のさまざまな特許に開示された技術的な解決方法は、特定の用途で満足を与えることができるが、これらの装置の主な欠点は、磁気誘導の変化による角位置の測定機能が、ゼロガウス位置を中心として±90°の最大行程を備えるにすぎないことにある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そのため、現在のところ、全周すなわち360°の行程で強磁性ターゲットの位置を決定可能な、デジタルではなくアナログの磁気位置センサ装置が全く存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、特に、この欠点を解消することを目的とする。このため、本発明は、ターゲットの位置変化を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサを提案し、強磁性材料と少なくとも一つの磁石とからなるターゲットを含み、前記ターゲットと磁石とが双方の間にギャップを画定し、装置が、さらに、磁石に対するターゲットの相対移動によりギャップに生じる誘導変化を検知する磁気感知素子を含み、磁石が、ギャップの縁を画定する磁石の前面に対してほぼ垂直な方向に磁化され、前記磁石が、この磁石の前記前面に開かれている空洞を有し、磁気感知素子が前記空洞に収容され、ターゲットは、このターゲットの前記位置に応じた誘導変化が予め決められた機能に対応するように所定の幾何学的構成を有することを特徴とする。
【0015】
従って、これらの特徴により、本発明は、優れた線形性を備え、また、回転センサに対してはゼロガウス付近で測定される平均誘導または初期誘導による最大行程を360°近くにすることが可能な、リニアセンサおよび回転センサをごく簡単に製造できる。
【0016】
さらに、本発明による装置の製造コストは非常に安価であって、リニアセンサ用でも回転センサ用でも、様々な形状または構造のターゲットによって、センサが非常に多様化される。
【0017】
好適には、前記磁石がU字形である。
【0018】
本発明が提供する可能性によれば、ターゲットが、前記磁石の磁化軸に垂直な軸を中心として回転移動する。
【0019】
本発明が提供する別の可能性によれば、ターゲットが、前記磁石の磁化軸に平行な軸を中心として回転移動する。
【0020】
本発明の有利な特徴によれば、ターゲットの移動が行われる面が、磁気感知素子の中心を通る面に含まれる。
【0021】
有利には、磁気感知素子が、磁石の空洞または溝に収容される。
【0022】
同様に、ターゲットは、前記磁石の磁化軸に垂直な軸に沿って移動する。
【0023】
本発明の特徴によれば、ターゲットは、前記ターゲットの移動に応じて線形誘導Bを供給可能な、特定の形状または最適化された形状を有する。
【0024】
本発明が提供する可能性によれば、磁気感知素子をホール効果センサとすることができる。同様に、この磁気感知素子を磁気抵抗とすることができる。
【0025】
有利には、本発明による装置が、前記磁石の背面に貼り合わされる強磁性部品を含む。
【0026】
前記磁石が、また、T字形の強磁性部品に貼り合わされる半磁石の形状をとることができる。
【0027】
さらに、本発明が提供する可能性によれば、磁気感知素子を、たとえば、出力電圧がプログラマブル関数である「HAL855−Micronas」等の「インテリジェント」タイプのセンサとすることができる。この場合、ターゲットは任意の形状にすることができ、すなわち、ターゲットは、後述する本発明によるターゲットの形成方法によって製造もしくは形成する必要がない。
【0028】
本発明の特に有利な特徴によれば、磁気感知素子は、ゼロガウスに近い平均誘導または初期誘導を有することができる。
【0029】
本発明は、また、強磁性材料からなり、所望の誘導信号Bを有し、前記ターゲットを含む線形または回転式のアナログ位置磁気センサ装置で用いられるように構成され、磁石が磁気感知素子に結合された、ターゲットの製造方法に関し、
−前記ターゲットのための第一の幾何学的形状を設定するステップと、
−平面座標(x、y)さらには空間座標(x、y、z)を有する点をターゲット(1)に配置するステップと、
−ターゲットの移動が所定の行程で実施され、ターゲットの線形移動または回転移動に応じて磁気誘導信号Bを計算するステップと、
−前記点のうちの一点の座標を修正し、ターゲットの位置に応じて誘導Bを再計算することにより、前記磁石により測定された誘導Bに対するこの点の影響を決定するステップと、
−マトリクスを決定し、ターゲットに対して予め決定された前記第一の形状から新しい幾何学的な形状を画定できる方程式を解くステップと、
−満足のいくターゲットの線形移動または回転移動に応じて、すなわち、所望の線形基準または非線形関数f(x)に従って、磁気誘導Bを得るまで前記計算ステップ、修正ステップ、および決定ステップを繰り返すステップとを含むことを特徴とする。
【0030】
添付図面に関して本発明の実施形態を限定的ではなく例として示す説明により、本発明がいっそう理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の原理の一つは、平均値が小さい、すなわち数百ガウスのアナログ誘導変化を形成することにあり、これは、強磁性部品の線形位置または角位置の関数からなり、磁気感知素子により利用される。
【0032】
各図から分かるように、ターゲット1の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサは、透磁率が無限と仮定された強磁性材料からなる前記ターゲット1と、永久磁石2と、たとえばホール効果センサ等の磁界の方向および強度を感知する素子(以下、「磁気感知素子」とする)3とを含み、センサは、前記磁石2とターゲット1との間に形成されたギャップに配置される。
【0033】
磁石2は双極磁石であり、一方の極が、ギャップの縁を形成する磁石の面でギャップ側に配向され、他方の極が反対側にある。
【0034】
磁化は、この2つの側に対して垂直ないずれかの方向に行われる。磁化は、ギャップに向いた磁石の面に対して垂直である。
【0035】
磁石の磁極面にほぼ平行な面に沿って並進移動するターゲットの場合、誘導変化は、ギャップ、すなわち、ターゲット3の断面と、向かい合った磁石1の断面との間にあるスペースの変化によって生じる。この変化は、ターゲットの表面と磁石との距離が所定の曲線に沿って並進軌道上の相対位置に応じて変わるように、計算もしくは実験によって決定されるターゲットの幾何学的な構成によるものである。
【0036】
軸方向に沿って並進移動するターゲット、すなわち磁石の磁極面に対して垂直に移動するターゲットの場合、誘導変化は、磁石に対するターゲットの軸方向の位置によって生ずる。
【0037】
磁石の磁極面にほぼ平行な面に沿って回転移動するターゲットの場合、誘導変化は、半径方向に沿ったターゲットの厚みの変化によって生ずる。
【0038】
センサの磁気感知素子3は、磁石2のほぼU字形の構成に対して図15に示されているように、理想的には、「ゼロガウス」点4のできるだけ近くに配置する。また、図17に示されているように、T字形の強磁性部品に磁石2を貼り合わせるように構成することもできる。いずれの場合にも、磁石2の形状により、誘導が比較的ゼロガウスに近くなるような位置を磁石内部で得ることができる。
【0039】
誘導値は、ターゲットの存在により修正され、この修正は、ターゲットと、磁石および磁気感知素子からなるアセンブリとの間のギャップに直接関係する。
【0040】
図示された様々な事例において、ターゲット1の移動は、磁石2の磁化にほぼ垂直な軸に沿って行われる。
【0041】
考慮された面におけるターゲット1の輪郭は、Z=f(x)タイプの関数に近づけることができる。Z軸の所定の点Aで磁石2が発生する磁気誘導は、その場合、B=k*x +bタイプの一次関数である。ターゲット1の輪郭は、磁気シミュレーションソフトウェアと、形状を最適化する数学的なアルゴリズムとの結合によって得られ、これらによって本発明の方法が実現される。
【0042】
本発明では、ターゲット1を必ずしも最適化する必要はなく、実際、磁石2をHAL855−Micronasタイプのような「インテリジェント」センサと組み合わせることにより、簡単な形状の強磁性ターゲット1を使用できる。このセンサは、出力信号をプログラムして、移動に応じた任意の関数、特に一次関数を得ることができ、センサには予め数値テーブルが保存されている。
【0043】
企業家および当業者にとって、本発明は、所定のターゲット1に対して線形信号を指示可能であるが、本発明は、また、どのようなタイプの信号でも指示可能であり、そのためには、ターゲット1の形状を所望の出力信号に適合させるか、または、もっと単純に、たとえば「MICRONAS HAL855」タイプの「インテリジェント」センサを適切な関数でプログラムするだけで十分である。
【0044】
本発明の説明のために選択した図3の実施形態では、本発明による装置が、長さ40mmのターゲットを含んでいる。適切な輪郭または形状のターゲットの形成方法により、図4に示した20ミリメートル範囲の5個の点でのターゲット1の移動時に、磁石と磁気感知素子とからなるアセンブリが感知する誘導結果は、完全な直線からなり、これは、移動に応じて決められる誘導の優れた線形性に対応する。
【0045】
もちろん、実際には、このような長さのターゲット1を選択する場合、もっと長い行程が得られる。
【0046】
図5に示したケースでは、本発明による装置が、120°の角度のところにそれぞれ配置された、長さ20ミリメートルの3個の螺旋状の歯5を有するターゲット1を含む。また、特定の誘導を得るために、1個、2個、または3個以上の螺旋状の歯5を備えるターゲット1を検討することも可能である。
【0047】
図6では、80°の範囲の9個の点でターゲット1が移動する時の、磁石と磁気感知素子とからなるアセンブリの誘導に関する結果を示した。先の結果と同様に、この移動範囲で優れた線形性が得られる。
【0048】
図16から分かるように、本発明の実施形態によれば、磁石2と磁気感知素子3とからなるアセンブリが、強磁性ダイアフラム6の正面に配置され、このダイアフラムは、前記ダイアフラム6に対して垂直に及ぼされる応力7の作用で変形可能である。従って、応力7が付与されると前記ダイアフラム6が変形し、このダイアフラム6と、磁石/磁気感知素子アセンブリとの間のギャップが修正される。
【0049】
こうしたギャップの変化によって、磁気感知素子3の位置で誘導変化が発生し、この変化が、前記ダイアフラムに及ぼされる力に結合される。このセンサは、特に自動車シート用の質量体を測定する用途に使用可能である。
【0050】
本発明の一つの目的は、磁石/磁気感知素子アセンブリの誘導の線形応答を有する強磁性ターゲット1を提案することにある。そのため、本発明は、前記線形応答を得るようにこのターゲットの適切な幾何学的形状を形成または決定できる方法を提案する。もちろん、現在のところ、多数の用途で誘導の線形性を得ることが有利であり、また望ましくもあるが、ほかにもこの誘導のあらゆる形態を、非常に特殊な誘導の曲線または線図に至るまで、実現可能である。
【0051】
かくして、最初は、ターゲット1のために幾何学的な形状を選択し、座標(x、y)により画定されるn個の点pを通る「スプライン」関数を介して、ターゲットの外側の形状または構成、すなわち磁石/磁気感知素子アセンブリに面した形状または構成を決定する。磁石/磁気感知素子アセンブリに面したターゲット1の輪郭の形状は、当業者によれば前記輪郭の最終形状にできるだけ近くなるように、理想的には最初から選択する。
【0052】
本発明による装置の磁気感知素子により感知される誘導は、ターゲットの線形または角方向のk個の位置(k>1)に対してシミュレーションされる。これらのk個の値を用いて、以下のタイプの汎関数が定義される。
【0053】
J(p)=Σ|I(xk,p)− f(xk)|
【0054】
この汎関数は、シミュレーションされた誘導値I(xk,p)と、所望の関数f(xk)との間の差異を量子化できる。
【0055】
次のステップでは、ターゲット1のk個の位置に対して磁気感知素子3が感知する誘導に対するターゲット1のn個の点の影響を量子化できる。ターゲット1のn個の点の各々が修正され、この新しいターゲット1で、ターゲット1の線形または角方向のk個の位置に対して、磁気感知素子3が感知する誘導の計算が再び実施される。このようにして、(n+1)個のターゲット1によりシミュレーションされるk個の誘導値を用いて決定された、寸法k*(n+1)のマトリクスAが得られる。あとは、下記の方程式を解いて、選択された出力信号に近づくようにターゲットに実施すべき変形に対応するベクトルd(n個の成分)を見つけるだけである。
【0056】
(AtA+λI)d=−Atφ(p)、ここで、φk(p)=|I(xk,p)−Ik|
【0057】
その後、所定の関数に十分に近い誘導応答を得るまで、または磁気感知素子による誘導を感知するまで、ステップを繰り返す。
【0058】
以上、本発明を例として説明した。当業者が、特許の範囲を逸脱することなく本発明の様々な変形実施形態を実現できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】120°のところで3個の線形信号を得られる、本発明による装置の実施形態を示す図である。
【図2】図1に示した装置の上面図である。
【図3】線形移動するターゲットを含む、本発明による装置を示す図である。
【図4】図3に示した装置の誘導Bに関するグラフである。
【図5】回転移動するターゲットを含む、本発明による装置を示す図である。
【図6】図5に示した装置の誘導Bに関するグラフである。
【図7】図1と同じ装置であるが、但し、ターゲットの内部に磁石が配置されている装置を示す斜視図である。
【図8】図7に示した装置の上面図である。
【図9】ターゲットが円筒形であって、偏心回転によって移動し、180°のところで2個の信号を得られる、本発明による装置の上面図である。
【図10】図9と同じ装置であるが、但し、ターゲットの内部に磁石が配置されている装置を示す図である。
【図11】ターゲットが回転式であり、360度にわたって線形信号が得られる、本発明による装置の上面図である。
【図12】ターゲットの全周、すなわち360°にわたって、本発明による装置が感知する誘導信号の変化を示すグラフである。
【図13】本発明による装置の正面に配置されて、前記装置に面して線形移動する、平面輪郭のターゲットを示す図である。
【図14】装置の磁気感知素子が感知する誘導を、図13に示したターゲットの位置に応じて示すグラフであり、出力信号は、HAL855センサ等のプログラマブル「インテリジェント」センサにより修正され、すなわち線形にされている。
【図15】「ゼロガウス」点が配置される中心に平行六面体の溝を含む、U字形磁石の断面図である。
【図16】本発明による装置の実施形態を示す図である。この特定の実施形態では、ターゲットが変形可能な強磁性ダイアフラムから構成され、ダイアフラムは、応力または圧力の作用下で前記ターゲットとセンサ磁石との間のギャップを修正する。
【図17】0ガウス位置を得られるようにT字形の強磁性磁極部品にセットされた磁石を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 ターゲット
2 磁石
3 磁気感知素子
4 ゼロガウス点
5 螺旋状の歯
6 ダイアフラム
7 応力
8 ギャップ
9 磁石の前面
10 空洞
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変リラクタンスアナログ位置センサ装置および方法に関する。本発明は、限定的ではないが、特に、強磁性ターゲットとセンサとの間のギャップの変化を測定可能な装置に関し、強磁性ターゲットは、センサの正面で線形移動または回転移動する。
【0002】
一般に、本発明は、最大感度で非常に線形の誘導変化が得られる無接点の回転センサまたはリニアセンサからなる。本発明は、タンク内の液体レベルの測定に特に適用可能であり、液体を入れたタンクの内部にターゲットを配置し、外部に磁石を配置して、タンクの壁を介してターゲットの位置を測定する。
【背景技術】
【0003】
以下、本発明および磁気センサ装置についていっそう理解するために、「ゼロガウス」の概念を理解することが重要である。
【0004】
実際、ゼロガウスに等しい信号を送る測定位置は、安定性および感度が最も高い地点に対応する。増幅すべき「オフセット」、すなわちゼロガウスに対する著しい偏差はなく、有効信号だけを処理すべきであるので、電子的な観点から大きな利得が得られ、SN比が良好である。また、磁石の磁気特性の可逆的な変化を補償するために温度補償装置が必要である。温度に応じたセンサの感度の変化を補償しなければならないが、完全な補償を実施することはできず、これらの補償誤差の影響は、測定される誘導が小さければ小さいほど少ない。
【0005】
現時点では、優れた線形性、すなわち±0.5%の線形性を得られる回転センサ装置が存在するが、角範囲の狭い行程に限られる。
【0006】
そのため、本出願人名義で出願された公知の仏国特許第2670286号明細書が開示する位置センサは、ギャップを画定するステータを含み、連結手段に結合される可動磁石がギャップの内部を移動する。センサは、ギャップ内の誘導変化を測定するホール効果センサを含む。ステータは、第一の固定部分と、固定または可動式の第二の部分とからなり、二つの部分が互いに主要ギャップを画定し、可動部材の一部がこのギャップ内で移動する。可動部材は、交互の方向に横に磁化される少なくとも2個の薄い隣接部分を有し、磁化部分は、作業領域全体でほぼ線形の消磁特性と、空気に近い可逆透磁率とを有する材料から構成される。固定部分は、主要ギャップにほぼ垂直な少なくとも2個の第二のギャップを有し、可動部材がこのギャップ内で移動する。ホール効果センサは、前記第二のギャップの一つに収容される。
【0007】
同様に、本出願人名義で出願された欧州特許第0665416号明細書が知られており、この特許は、連結軸に結合される半径方向に磁化された筒状の薄型永久磁石を含むタイプの磁気位置センサを記載している。前記永久磁石は、ヨークと、軽磁性材料からなるステータとから画定される円筒形の主要ギャップ内で回転移動し、ステータが第二のギャップを有し、ホール効果センサがこの第二のギャップ内に配置されており、ステータが、永久磁石の内部に同軸に配置されること、また、永久磁石が発生する磁束を閉鎖するヨークが、磁石およびロータと同軸の筒状部品から形成されることを特徴とする。
【0008】
さらに、アナログではなくデジタル出力のセンサ装置が市場化されている。このようなセンサは、一般に、歯付きの強磁性ターゲットの検出、すなわちターゲットの有無の検出に使用される。この種のセンサの出力信号は、こうした強磁性ターゲットの線形または角方向の位置に比例しない。何故なら、出力信号は、センサ付近に配置されるものに応じて通常1または0と記される2つの状態だけを含むからである。このタイプの装置に比べて、仏国特許第2735222号明細書および仏国特許第2734913号明細書は、強磁性部品の付近にあるホール効果センサを開示している。本出願人名義で出願された仏国特許第2724722号明細書もまた、歯付きの強磁性ターゲットの検出、すなわち有無だけを検出可能にする装置を記載している。
【0009】
従来技術である公知の米国特許第4785242号明細書は、角位置と出力信号との間の伝達関数を保証する可変区間ロータを備えた角センサによる解決方法を記載している。しかし、ホール効果センサが永久磁石の空洞に収容される特徴は開示されていない。
【0010】
独国特許出願第19503075号明細書は、センサを配置するための機械的な構成を記載している。この特許出願は、ゼロガウスを形成しようとする可変リラクタンスアナログ位置センサを全く開示していない。
【0011】
本発明による装置の永久磁石内に形成される空洞により、磁界の磁力線の一部が空洞に流れて磁界を「負」にし、一方で、磁界の磁力線の他の部分が磁石の外側に流れて磁界を「正」にし、この二つの磁界の間にゼロガウス点が配置される。ゼロガウスにより、以下が得られる。
−温度安定性:0ガウス=あらゆる温度で0ガウスである。
−共通の増幅モードがないために信号が適切に増幅される。
【0012】
上記のさまざまな特許に開示された技術的な解決方法は、特定の用途で満足を与えることができるが、これらの装置の主な欠点は、磁気誘導の変化による角位置の測定機能が、ゼロガウス位置を中心として±90°の最大行程を備えるにすぎないことにある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そのため、現在のところ、全周すなわち360°の行程で強磁性ターゲットの位置を決定可能な、デジタルではなくアナログの磁気位置センサ装置が全く存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、特に、この欠点を解消することを目的とする。このため、本発明は、ターゲットの位置変化を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサを提案し、強磁性材料と少なくとも一つの磁石とからなるターゲットを含み、前記ターゲットと磁石とが双方の間にギャップを画定し、装置が、さらに、磁石に対するターゲットの相対移動によりギャップに生じる誘導変化を検知する磁気感知素子を含み、磁石が、ギャップの縁を画定する磁石の前面に対してほぼ垂直な方向に磁化され、前記磁石が、この磁石の前記前面に開かれている空洞を有し、磁気感知素子が前記空洞に収容され、ターゲットは、このターゲットの前記位置に応じた誘導変化が予め決められた機能に対応するように所定の幾何学的構成を有することを特徴とする。
【0015】
従って、これらの特徴により、本発明は、優れた線形性を備え、また、回転センサに対してはゼロガウス付近で測定される平均誘導または初期誘導による最大行程を360°近くにすることが可能な、リニアセンサおよび回転センサをごく簡単に製造できる。
【0016】
さらに、本発明による装置の製造コストは非常に安価であって、リニアセンサ用でも回転センサ用でも、様々な形状または構造のターゲットによって、センサが非常に多様化される。
【0017】
好適には、前記磁石がU字形である。
【0018】
本発明が提供する可能性によれば、ターゲットが、前記磁石の磁化軸に垂直な軸を中心として回転移動する。
【0019】
本発明が提供する別の可能性によれば、ターゲットが、前記磁石の磁化軸に平行な軸を中心として回転移動する。
【0020】
本発明の有利な特徴によれば、ターゲットの移動が行われる面が、磁気感知素子の中心を通る面に含まれる。
【0021】
有利には、磁気感知素子が、磁石の空洞または溝に収容される。
【0022】
同様に、ターゲットは、前記磁石の磁化軸に垂直な軸に沿って移動する。
【0023】
本発明の特徴によれば、ターゲットは、前記ターゲットの移動に応じて線形誘導Bを供給可能な、特定の形状または最適化された形状を有する。
【0024】
本発明が提供する可能性によれば、磁気感知素子をホール効果センサとすることができる。同様に、この磁気感知素子を磁気抵抗とすることができる。
【0025】
有利には、本発明による装置が、前記磁石の背面に貼り合わされる強磁性部品を含む。
【0026】
前記磁石が、また、T字形の強磁性部品に貼り合わされる半磁石の形状をとることができる。
【0027】
さらに、本発明が提供する可能性によれば、磁気感知素子を、たとえば、出力電圧がプログラマブル関数である「HAL855−Micronas」等の「インテリジェント」タイプのセンサとすることができる。この場合、ターゲットは任意の形状にすることができ、すなわち、ターゲットは、後述する本発明によるターゲットの形成方法によって製造もしくは形成する必要がない。
【0028】
本発明の特に有利な特徴によれば、磁気感知素子は、ゼロガウスに近い平均誘導または初期誘導を有することができる。
【0029】
本発明は、また、強磁性材料からなり、所望の誘導信号Bを有し、前記ターゲットを含む線形または回転式のアナログ位置磁気センサ装置で用いられるように構成され、磁石が磁気感知素子に結合された、ターゲットの製造方法に関し、
−前記ターゲットのための第一の幾何学的形状を設定するステップと、
−平面座標(x、y)さらには空間座標(x、y、z)を有する点をターゲット(1)に配置するステップと、
−ターゲットの移動が所定の行程で実施され、ターゲットの線形移動または回転移動に応じて磁気誘導信号Bを計算するステップと、
−前記点のうちの一点の座標を修正し、ターゲットの位置に応じて誘導Bを再計算することにより、前記磁石により測定された誘導Bに対するこの点の影響を決定するステップと、
−マトリクスを決定し、ターゲットに対して予め決定された前記第一の形状から新しい幾何学的な形状を画定できる方程式を解くステップと、
−満足のいくターゲットの線形移動または回転移動に応じて、すなわち、所望の線形基準または非線形関数f(x)に従って、磁気誘導Bを得るまで前記計算ステップ、修正ステップ、および決定ステップを繰り返すステップとを含むことを特徴とする。
【0030】
添付図面に関して本発明の実施形態を限定的ではなく例として示す説明により、本発明がいっそう理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の原理の一つは、平均値が小さい、すなわち数百ガウスのアナログ誘導変化を形成することにあり、これは、強磁性部品の線形位置または角位置の関数からなり、磁気感知素子により利用される。
【0032】
各図から分かるように、ターゲット1の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサは、透磁率が無限と仮定された強磁性材料からなる前記ターゲット1と、永久磁石2と、たとえばホール効果センサ等の磁界の方向および強度を感知する素子(以下、「磁気感知素子」とする)3とを含み、センサは、前記磁石2とターゲット1との間に形成されたギャップに配置される。
【0033】
磁石2は双極磁石であり、一方の極が、ギャップの縁を形成する磁石の面でギャップ側に配向され、他方の極が反対側にある。
【0034】
磁化は、この2つの側に対して垂直ないずれかの方向に行われる。磁化は、ギャップに向いた磁石の面に対して垂直である。
【0035】
磁石の磁極面にほぼ平行な面に沿って並進移動するターゲットの場合、誘導変化は、ギャップ、すなわち、ターゲット3の断面と、向かい合った磁石1の断面との間にあるスペースの変化によって生じる。この変化は、ターゲットの表面と磁石との距離が所定の曲線に沿って並進軌道上の相対位置に応じて変わるように、計算もしくは実験によって決定されるターゲットの幾何学的な構成によるものである。
【0036】
軸方向に沿って並進移動するターゲット、すなわち磁石の磁極面に対して垂直に移動するターゲットの場合、誘導変化は、磁石に対するターゲットの軸方向の位置によって生ずる。
【0037】
磁石の磁極面にほぼ平行な面に沿って回転移動するターゲットの場合、誘導変化は、半径方向に沿ったターゲットの厚みの変化によって生ずる。
【0038】
センサの磁気感知素子3は、磁石2のほぼU字形の構成に対して図15に示されているように、理想的には、「ゼロガウス」点4のできるだけ近くに配置する。また、図17に示されているように、T字形の強磁性部品に磁石2を貼り合わせるように構成することもできる。いずれの場合にも、磁石2の形状により、誘導が比較的ゼロガウスに近くなるような位置を磁石内部で得ることができる。
【0039】
誘導値は、ターゲットの存在により修正され、この修正は、ターゲットと、磁石および磁気感知素子からなるアセンブリとの間のギャップに直接関係する。
【0040】
図示された様々な事例において、ターゲット1の移動は、磁石2の磁化にほぼ垂直な軸に沿って行われる。
【0041】
考慮された面におけるターゲット1の輪郭は、Z=f(x)タイプの関数に近づけることができる。Z軸の所定の点Aで磁石2が発生する磁気誘導は、その場合、B=k*x +bタイプの一次関数である。ターゲット1の輪郭は、磁気シミュレーションソフトウェアと、形状を最適化する数学的なアルゴリズムとの結合によって得られ、これらによって本発明の方法が実現される。
【0042】
本発明では、ターゲット1を必ずしも最適化する必要はなく、実際、磁石2をHAL855−Micronasタイプのような「インテリジェント」センサと組み合わせることにより、簡単な形状の強磁性ターゲット1を使用できる。このセンサは、出力信号をプログラムして、移動に応じた任意の関数、特に一次関数を得ることができ、センサには予め数値テーブルが保存されている。
【0043】
企業家および当業者にとって、本発明は、所定のターゲット1に対して線形信号を指示可能であるが、本発明は、また、どのようなタイプの信号でも指示可能であり、そのためには、ターゲット1の形状を所望の出力信号に適合させるか、または、もっと単純に、たとえば「MICRONAS HAL855」タイプの「インテリジェント」センサを適切な関数でプログラムするだけで十分である。
【0044】
本発明の説明のために選択した図3の実施形態では、本発明による装置が、長さ40mmのターゲットを含んでいる。適切な輪郭または形状のターゲットの形成方法により、図4に示した20ミリメートル範囲の5個の点でのターゲット1の移動時に、磁石と磁気感知素子とからなるアセンブリが感知する誘導結果は、完全な直線からなり、これは、移動に応じて決められる誘導の優れた線形性に対応する。
【0045】
もちろん、実際には、このような長さのターゲット1を選択する場合、もっと長い行程が得られる。
【0046】
図5に示したケースでは、本発明による装置が、120°の角度のところにそれぞれ配置された、長さ20ミリメートルの3個の螺旋状の歯5を有するターゲット1を含む。また、特定の誘導を得るために、1個、2個、または3個以上の螺旋状の歯5を備えるターゲット1を検討することも可能である。
【0047】
図6では、80°の範囲の9個の点でターゲット1が移動する時の、磁石と磁気感知素子とからなるアセンブリの誘導に関する結果を示した。先の結果と同様に、この移動範囲で優れた線形性が得られる。
【0048】
図16から分かるように、本発明の実施形態によれば、磁石2と磁気感知素子3とからなるアセンブリが、強磁性ダイアフラム6の正面に配置され、このダイアフラムは、前記ダイアフラム6に対して垂直に及ぼされる応力7の作用で変形可能である。従って、応力7が付与されると前記ダイアフラム6が変形し、このダイアフラム6と、磁石/磁気感知素子アセンブリとの間のギャップが修正される。
【0049】
こうしたギャップの変化によって、磁気感知素子3の位置で誘導変化が発生し、この変化が、前記ダイアフラムに及ぼされる力に結合される。このセンサは、特に自動車シート用の質量体を測定する用途に使用可能である。
【0050】
本発明の一つの目的は、磁石/磁気感知素子アセンブリの誘導の線形応答を有する強磁性ターゲット1を提案することにある。そのため、本発明は、前記線形応答を得るようにこのターゲットの適切な幾何学的形状を形成または決定できる方法を提案する。もちろん、現在のところ、多数の用途で誘導の線形性を得ることが有利であり、また望ましくもあるが、ほかにもこの誘導のあらゆる形態を、非常に特殊な誘導の曲線または線図に至るまで、実現可能である。
【0051】
かくして、最初は、ターゲット1のために幾何学的な形状を選択し、座標(x、y)により画定されるn個の点pを通る「スプライン」関数を介して、ターゲットの外側の形状または構成、すなわち磁石/磁気感知素子アセンブリに面した形状または構成を決定する。磁石/磁気感知素子アセンブリに面したターゲット1の輪郭の形状は、当業者によれば前記輪郭の最終形状にできるだけ近くなるように、理想的には最初から選択する。
【0052】
本発明による装置の磁気感知素子により感知される誘導は、ターゲットの線形または角方向のk個の位置(k>1)に対してシミュレーションされる。これらのk個の値を用いて、以下のタイプの汎関数が定義される。
【0053】
J(p)=Σ|I(xk,p)− f(xk)|
【0054】
この汎関数は、シミュレーションされた誘導値I(xk,p)と、所望の関数f(xk)との間の差異を量子化できる。
【0055】
次のステップでは、ターゲット1のk個の位置に対して磁気感知素子3が感知する誘導に対するターゲット1のn個の点の影響を量子化できる。ターゲット1のn個の点の各々が修正され、この新しいターゲット1で、ターゲット1の線形または角方向のk個の位置に対して、磁気感知素子3が感知する誘導の計算が再び実施される。このようにして、(n+1)個のターゲット1によりシミュレーションされるk個の誘導値を用いて決定された、寸法k*(n+1)のマトリクスAが得られる。あとは、下記の方程式を解いて、選択された出力信号に近づくようにターゲットに実施すべき変形に対応するベクトルd(n個の成分)を見つけるだけである。
【0056】
(AtA+λI)d=−Atφ(p)、ここで、φk(p)=|I(xk,p)−Ik|
【0057】
その後、所定の関数に十分に近い誘導応答を得るまで、または磁気感知素子による誘導を感知するまで、ステップを繰り返す。
【0058】
以上、本発明を例として説明した。当業者が、特許の範囲を逸脱することなく本発明の様々な変形実施形態を実現できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】120°のところで3個の線形信号を得られる、本発明による装置の実施形態を示す図である。
【図2】図1に示した装置の上面図である。
【図3】線形移動するターゲットを含む、本発明による装置を示す図である。
【図4】図3に示した装置の誘導Bに関するグラフである。
【図5】回転移動するターゲットを含む、本発明による装置を示す図である。
【図6】図5に示した装置の誘導Bに関するグラフである。
【図7】図1と同じ装置であるが、但し、ターゲットの内部に磁石が配置されている装置を示す斜視図である。
【図8】図7に示した装置の上面図である。
【図9】ターゲットが円筒形であって、偏心回転によって移動し、180°のところで2個の信号を得られる、本発明による装置の上面図である。
【図10】図9と同じ装置であるが、但し、ターゲットの内部に磁石が配置されている装置を示す図である。
【図11】ターゲットが回転式であり、360度にわたって線形信号が得られる、本発明による装置の上面図である。
【図12】ターゲットの全周、すなわち360°にわたって、本発明による装置が感知する誘導信号の変化を示すグラフである。
【図13】本発明による装置の正面に配置されて、前記装置に面して線形移動する、平面輪郭のターゲットを示す図である。
【図14】装置の磁気感知素子が感知する誘導を、図13に示したターゲットの位置に応じて示すグラフであり、出力信号は、HAL855センサ等のプログラマブル「インテリジェント」センサにより修正され、すなわち線形にされている。
【図15】「ゼロガウス」点が配置される中心に平行六面体の溝を含む、U字形磁石の断面図である。
【図16】本発明による装置の実施形態を示す図である。この特定の実施形態では、ターゲットが変形可能な強磁性ダイアフラムから構成され、ダイアフラムは、応力または圧力の作用下で前記ターゲットとセンサ磁石との間のギャップを修正する。
【図17】0ガウス位置を得られるようにT字形の強磁性磁極部品にセットされた磁石を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 ターゲット
2 磁石
3 磁気感知素子
4 ゼロガウス点
5 螺旋状の歯
6 ダイアフラム
7 応力
8 ギャップ
9 磁石の前面
10 空洞
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット(1)の位置変化を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサであって、強磁性材料と少なくとも一つの磁石(2)とからなるターゲット(1)を含み、前記ターゲットと磁石とが双方の間にギャップ(8)を画定し、装置が、さらに、磁石(2)に対するターゲット(1)の相対移動によりギャップに生じる誘導変化を検知する磁気感知素子(3)を含み、磁石(2)が、ギャップ(8)の縁を画定する磁石の前面(9)に対してほぼ垂直な方向に磁化され、前記磁石が、この磁石の前記前面(9)に開かれている空洞(10)を有し、磁気感知素子(3)が、前記空洞(10)に収容され、ターゲット(1)は、このターゲット(1)の前記位置に応じた誘導変化が予め決められた機能に対応するように所定の幾何学的構成を有することを特徴とする位置センサ。
【請求項2】
ターゲット(1)が、前記磁石(2)の磁化軸に垂直な軸に沿って並進移動することを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項3】
ターゲット(1)が、前記磁石(2)の磁化軸に平行な軸に沿って並進移動することを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項4】
ターゲット(1)が、前記磁石(2)の磁化軸に垂直な軸を中心として回転移動することを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項5】
ターゲット(1)が、前記磁石(2)の磁化軸に平行な軸を中心として回転移動することを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項6】
ターゲット(1)の移動が行われる面が、磁気感知素子(2)の中心を通る面に含まれることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項7】
強磁性材料からなる部品が、前記磁石(2)の背部に貼り合わされることを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項8】
前記磁石(2)が、T字形の強磁性部品に貼り合わされることを特徴とする請求項7に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項9】
ターゲット(1)が、前記ターゲット(1)の移動に応じた線形誘導Bを供給可能な、特定の形状または最適化された形状を有することを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項10】
磁気感知素子(3)が、最小誘導エリア(4)内の空洞に配置されることを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項11】
ターゲット(1)が、少なくとも一つの螺旋状の歯(5)を含むことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項12】
ターゲット(1)が、それぞれ角度120°のところに配置される3個の螺旋状の歯を含むことを特徴とする請求項11に記載のアナログ位置センサ。
【請求項13】
測定可能な最大角行程が360°に近いことを特徴とする請求項11または12に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項14】
ターゲット(1)が、磁石(2)に対する相対移動に応じてギャップの厚み変化を発生するための所定の形状を有することを特徴とする請求項2または3に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項15】
磁石(2)および磁気感知素子(3)が、強磁性ダイアフラム(6)の正面に配置され、このダイアフラムが、前記ダイアフラム(6)に対して垂直に及ぼされる力(7)の作用で変形可能であることを特徴とする請求項3に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項16】
請求項4、5、または6に記載のアナログ位置センサを含むことを特徴とするカムシャフトまたはクランク軸の角位置センサ。
【請求項17】
強磁性材料からなり、所望の誘導信号Bを有する、請求項1から15に記載のアナログ位置センサのためのターゲット(1)の製造方法であって、
−前記ターゲット(1)のための第一の幾何学的形状を設定するステップと、
−平面座標(x、y)さらには空間座標(x、y、z)を有する点をターゲット(1)に配置するステップと、
−ターゲット(1)の移動が所定の行程で実施され、ターゲット(1)の線形移動または回転移動に応じて磁気誘導信号Bを計算するステップと、
−前記点のうちの一点の座標を修正し、ターゲット(1)の位置に応じて誘導Bを再計算することにより、前記磁石(2)により測定された誘導Bに対する前記点の影響を決定するステップと、
−マトリクスを決定し、ターゲット(1)に対して予め決定された前記第一の形状から新しい幾何学的な形状を画定できる方程式を解くステップと、
−満足のいくターゲット(1)の線形移動または回転移動に応じて、すなわち、所望の線形基準または非線形関数f(x)に従って、磁気誘導Bを得るまで前記計算ステップ、修正ステップ、および決定ステップを繰り返すステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項1】
ターゲット(1)の位置変化を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサであって、強磁性材料と少なくとも一つの磁石(2)とからなるターゲット(1)を含み、前記ターゲットと磁石とが双方の間にギャップ(8)を画定し、装置が、さらに、磁石(2)に対するターゲット(1)の相対移動によりギャップに生じる誘導変化を検知する磁気感知素子(3)を含み、磁石(2)が、ギャップ(8)の縁を画定する磁石の前面(9)に対してほぼ垂直な方向に磁化され、前記磁石が、この磁石の前記前面(9)に開かれている空洞(10)を有し、磁気感知素子(3)が、前記空洞(10)に収容され、ターゲット(1)は、このターゲット(1)の前記位置に応じた誘導変化が予め決められた機能に対応するように所定の幾何学的構成を有することを特徴とする位置センサ。
【請求項2】
ターゲット(1)が、前記磁石(2)の磁化軸に垂直な軸に沿って並進移動することを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項3】
ターゲット(1)が、前記磁石(2)の磁化軸に平行な軸に沿って並進移動することを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項4】
ターゲット(1)が、前記磁石(2)の磁化軸に垂直な軸を中心として回転移動することを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項5】
ターゲット(1)が、前記磁石(2)の磁化軸に平行な軸を中心として回転移動することを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項6】
ターゲット(1)の移動が行われる面が、磁気感知素子(2)の中心を通る面に含まれることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項7】
強磁性材料からなる部品が、前記磁石(2)の背部に貼り合わされることを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項8】
前記磁石(2)が、T字形の強磁性部品に貼り合わされることを特徴とする請求項7に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項9】
ターゲット(1)が、前記ターゲット(1)の移動に応じた線形誘導Bを供給可能な、特定の形状または最適化された形状を有することを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項10】
磁気感知素子(3)が、最小誘導エリア(4)内の空洞に配置されることを特徴とする請求項1に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項11】
ターゲット(1)が、少なくとも一つの螺旋状の歯(5)を含むことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項12】
ターゲット(1)が、それぞれ角度120°のところに配置される3個の螺旋状の歯を含むことを特徴とする請求項11に記載のアナログ位置センサ。
【請求項13】
測定可能な最大角行程が360°に近いことを特徴とする請求項11または12に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項14】
ターゲット(1)が、磁石(2)に対する相対移動に応じてギャップの厚み変化を発生するための所定の形状を有することを特徴とする請求項2または3に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項15】
磁石(2)および磁気感知素子(3)が、強磁性ダイアフラム(6)の正面に配置され、このダイアフラムが、前記ダイアフラム(6)に対して垂直に及ぼされる力(7)の作用で変形可能であることを特徴とする請求項3に記載のターゲット(1)の位置を決定するための可変リラクタンスアナログ位置センサ。
【請求項16】
請求項4、5、または6に記載のアナログ位置センサを含むことを特徴とするカムシャフトまたはクランク軸の角位置センサ。
【請求項17】
強磁性材料からなり、所望の誘導信号Bを有する、請求項1から15に記載のアナログ位置センサのためのターゲット(1)の製造方法であって、
−前記ターゲット(1)のための第一の幾何学的形状を設定するステップと、
−平面座標(x、y)さらには空間座標(x、y、z)を有する点をターゲット(1)に配置するステップと、
−ターゲット(1)の移動が所定の行程で実施され、ターゲット(1)の線形移動または回転移動に応じて磁気誘導信号Bを計算するステップと、
−前記点のうちの一点の座標を修正し、ターゲット(1)の位置に応じて誘導Bを再計算することにより、前記磁石(2)により測定された誘導Bに対する前記点の影響を決定するステップと、
−マトリクスを決定し、ターゲット(1)に対して予め決定された前記第一の形状から新しい幾何学的な形状を画定できる方程式を解くステップと、
−満足のいくターゲット(1)の線形移動または回転移動に応じて、すなわち、所望の線形基準または非線形関数f(x)に従って、磁気誘導Bを得るまで前記計算ステップ、修正ステップ、および決定ステップを繰り返すステップとを含むことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2006−502381(P2006−502381A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540900(P2004−540900)
【出願日】平成15年10月7日(2003.10.7)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002949
【国際公開番号】WO2004/031693
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(502388194)ムービング マグネット テクノロジーズ (ソシエテ アノニム) (3)
【氏名又は名称原語表記】MOVING MAGNET TECHNOLOGIES (S.A.)
【住所又は居所原語表記】ZAC La Fayette,1,rue Christian Huygens,F−25000 Besancon, France
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月7日(2003.10.7)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002949
【国際公開番号】WO2004/031693
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(502388194)ムービング マグネット テクノロジーズ (ソシエテ アノニム) (3)
【氏名又は名称原語表記】MOVING MAGNET TECHNOLOGIES (S.A.)
【住所又は居所原語表記】ZAC La Fayette,1,rue Christian Huygens,F−25000 Besancon, France
【Fターム(参考)】
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