説明

可変光学系

光学系と相互作用する電磁放射への影響を制御可能な可変光学系が、容器(1)と、容器に収容された誘電性の第1の流体(9X)と、第1の流体との間に相界面(11)を形成しており、第1の流体と異なる比誘電率を有する第2の流体(92)と、少なくとも1つの第1の電極(15)と、少なくとも1つの第2の電極(17)であって、第1の電極と第2の電極との間に印加された電圧により相界面(11)を貫く電界が発生するように第1の電極に対応して配置された少なくとも1つの第2の電極(17)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変光学系、特にその電磁放射(例えばIR光および/またはUV光を含めた光)との相互作用特性に電気的に影響を及ぼし得る光学系に関するものである。本発明は、特に光学系と相互作用する放射に制御可能に影響を及ぼす可変光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
結像光学からは、比較的高次数の収差がモノクロ画像の品質に悪影響を与えることが知られている。この影響を除去または抑制するために、非球面レンズまたは反射光学系を作製することが知られていた。また結像品質を改善するために、モノリシックな位相板を用いて固定収差を補償することもできる。
【0003】
可変光学系は、その可変性が2つの光学要素間の間隔の変化に基づくものと、可変性が屈折率の変化に基づくものと、可変性が表面曲率の変化に基づくものとが知られている。最後のものとしては、最近、特に電圧を印加することで表面に対する液体の接触角に影響を及ぼすことによって、表面曲率の変化を達成するものが市販されている。このような装置は、翻訳された欧州特許公表DE69804119T2に記載されており、その開示の全体を本願明細書に援用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の可変光学系では、屈折力を大きな範囲でしか可変に調整し直すことができない(比較的高い収差は、現況技術では、目下のところ<10μmの小さな振幅でのみ、例えばアダプティブ・ミラーまたはアダプティブ液晶光学系によって、動的に補正できる)。20Dまでの範囲の屈折力および任意の比較的高い収差を、光学要素で同時に補正することは、これまで知られていない。
【0005】
このような種類の既知の装置は、2つの点で不十分なことが判明している。1つには、このような装置は屈折力に影響を及ぼすことしか可能でなく、多くの応用例に対して不十分であり、もう1つには、このような構成の光学作用の質が、多くの要件を満たしていない。
【0006】
したがって本発明の課題は、より多種多様または/および正確に制御可能な可変光学系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって本発明は、独立請求項に基づく可変の、特に膜のない光学系を提案する。
既知の可変光学系の機能が不十分であることの内的原因は、とりわけ重力および温度に依存する影響にある。
【0008】
重力および温度に依存する界面形状の誤差は、本発明によれば、特定の補正‐電位‐プロフィールを個々の電極に印加することによる補正によって調整することが可能である。その際、補正プロフィールは、個別にかつ動的に調整することが可能である。また複数の補正プロフィールを保存し、特定の用途に割り当てることができる。
【0009】
第1の態様では、本発明による可変光学系は、2種の誘電性流体が収容された容器を有しており、これらの流体の間に相界面が形成されている。さらに、この光学系は、それに電圧を印加し、それにより相界面を貫く電界が発生するようにするための少なくとも2つの電極を備えている。
【0010】
調整した電圧に基づく界面の状態変化によって、光学系の特性が意図した通りに変化する。これにより容器または/および電極の形状に応じて、界面の非球面性が提供され、あるいは元々の非球面性が軽減または除去される。
【0011】
本発明の第2の態様では、伝導性の流体と誘電性の流体が容器に収容され、これらの流体は間に相界面を形成しており、この相界面が壁部に沿って容器に接触している。さらに光学系は、それに電圧を印加するための少なくとも2つの電極を備えており、そのうちの1つの電極は、前記の壁部に対し角度をつけて配置されたもう1つの壁部に配置されている。
【0012】
本発明の第3の態様では、伝導性の流体と誘電性の流体が容器に収容され、これらの流体は間に相界面を形成している。さらに光学系は、電圧を印加するための少なくとも2つの電極を容器に備えており、そのうちの1つの電極は、透過性の壁部に配置されている。
【0013】
本発明の更なる形態では、流体の1つが反射性の、特に金属の液体である。
本発明の機能方法を説明すると、電極に電圧を印加することにより、誘電性の流体中に、不均一な電界が形成され、それがこの流体に力を及ぼす。それによって、界面は、流体に及ぼされた力が界面の表面張力によって生じる反力と釣り合うようにその状態を変える。
【0014】
例えば加速および配置の影響を軽減するために、流体として、類似のまたは同様の密度の液体を提供することができる。
容器の互いに対向する壁部は透過性の部分を備えることができ、この部分を通って放射経路を導くことができる。この放射経路は界面を貫き、かつ/または界面で反射されることができ、その際、印加電圧によって界面の(主)曲率に影響を及ぼし得る。
【0015】
しかし1つの流体を部分的にまたはほぼ不透過性とすることによって、放射経路を制限することもできる。この場合、もう1つの透過性の流体が、容器の互いに対向する壁部の両方に接触しており、不透過性の流体が、この接触部分の少なくとも1つを取り囲んでいる。この場合、放射の制限は、形状または/および大きさにおいて、電極に印加される電圧の影響を受ける。
【0016】
同様に、2つの流体が異なるスペクトル透過性を有してもよい。このような場合、1つの流体だけを通る中央の放射線束は、容器から出る際に、両方の流体を通る外周部または周辺部の放射線束とは異なるスペクトル分布を有する。つまり後者は、中央の放射線束と異なる色を有しており、貫通面における中央放射線束の割合は、印加電圧によって制御可能である。
【0017】
界面が反射性である場合、容器の周囲壁を通って入射した光線は、界面での(全)反射後に、周囲壁の対向する部分を通って再び外に出ることができる。その際、光が出射する場所または/および角度が、電極に電圧を印加することによって影響を受ける。
【0018】
容器は、平行な放射経路内に配置することができ、その際、光源から発射される発散光線は、コリメート光学系によってコリメートされる。これに関しては、界面の相関的な屈折力に対応する界面からの距離において、電極に印加される電圧が、チャンバを通り抜ける光の強度分布に影響を及ぼし得る。
【0019】
容器を、分析される放射が通り抜ける間隙とこの放射に応答性のある検出器の間に配置してもよい。界面での光の屈折が波長に依存するので、検出器に記録される分析される放射のスペクトル領域は変化する。
【0020】
容器を通り抜ける光線が、界面から、電極に電圧を印加することで選択可能な方向に導かれるように、容器をコリメートされた放射経路内に配置することもできる。
本発明の更なる有利な実施形態および態様は、従属請求項および以下の例に、図に関して記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1には、チャンバ1、底部3、周縁部5、および蓋部7を備えた可変光学系が示されている。チャンバ1には、密度dおよびd、比誘電率εおよびε、および屈折率nおよびnを有する2つの誘電性流体9および9が収容されている。2つの流体の混合性が乏しいため、その間に(相)界面11が形成される。その際、両方の流体は、それぞれもう1つの流体に僅かに可溶性でもよい。界面11は、チャンバ1の一部である周囲部13で制限されている。さらに両方の流体9および9は、周囲部13の表面材料に対する付着性を有し、また凝集性を有しており、そのため周囲部13の表面と界面11の間に接触角αが生じる。
【0022】
さらにチャンバ1は電極15,17を有しており、これらの電極は、本例では蓋部7および底部3に配置されている。本例のチャンバ1は円筒形であり、電極15は複数のリング状で同心円状の単電極からなり、また電極17は透過性で底3を覆っている。さらに、チャンバの周りに制御電極18が取り付けられている。あるいは、チャンバは直方体状であってもよく、かつ/および電極がそれぞれ帯状または多角形であってもよい。またそれぞれ複数の電極を備えていてもよい。さらに、電極は、チャンバ壁の光線(下記参照)が通る部分に配置され、したがって透過性である場合、例えば酸化インジウムスズ(ITO)で作製してもよい。
【0023】
好ましいITO層は、所望の抵抗に応じて厚みが15nm〜310nmであり、また好ましくは、厚みが20nm〜70nmのSiO層で基盤、つまり蓋から分離されている。このような層は80%超の透過度を有している。隣接する透過性の電極は、通過時間の差を減らすため、同様に透過性であるが絶縁性で、好ましくは電極材料と同一または類似の屈折率を有する材料で分離されていることが好ましい。さらに電極リードの歪曲的な影響を減らすため、上方のカバーガラスと制御電極の間に格子状の集合電極を配置することができ、これにより、力線は局所的に格子の隙間に束ねられる。
【0024】
電極は、制御コンピュータで制御可能な電圧源19に接続されており、したがって誘電性流体9および9に電圧を印加すると電界が生じる。電極の形状または/および比誘電率が異なる誘電体の間で界面が歪曲する結果、発生した電界は界面部分で不均一かつ不安定であり、そのため誘電体およびその界面に力を加える。このため界面が変形し、したがって表面張力に基づく反力が生じる。界面は、平衡状態のとき、作用力と反力が互いに補償し合う形をとる。適切な誘電体は、例えば水(ε≒80.4)および類似の密度の炭化水素混合物(ε≒2.2)である。
【0025】
チャンバ1は、その中に収容されている流体と共に、透過性の蓋部5および底部3を通り抜ける放射線束2に対してレンズのように作用し、その作用は、屈折率nとnの差、および界面曲率に応じて、集束性または拡散性である。図示された例では、界面11が上から入射する放射線束2に対して凸面であり、かつ第2の流体の屈折率が、第1の流体の屈折率より高いので、集束作用が起こる。電極に電圧を印加すると、界面の形状が変化し、液体レンズの集束作用が、電圧の高さに応じて、多少とも影響を受ける。本例では、接触角αは影響を受けず、円筒対称の配置が維持されるので、電圧に依存する影響は、主に中心部における界面の斜面または膨らみ(図1で矢印で示す)の部分に存在し、界面の周辺部は、流体の体積がほぼ同じままであるため(電気ひずみを除いて)逆方向にずれる。両方の流体が実質的に同じ密度である場合(d1≒d2)、電圧が印加されない状態で界面はほぼ完全に球面であり(最小面)、したがって電圧を印加するとある程度の放射相称の非球面性が生じる。流体が同じ密度でない場合は、界面は電圧が印加されない状態で球面でなく、適切な電圧を印加することで非球面性を減少させることができる。
【0026】
上述した光学系の一変形形態では、少なくとも1つの電極、例えば蓋部に配置された電極が、リング状または円形ではなく、それぞれほぼ直線状で互いに交差する複数の電極から形成される。図14にその配置例が示されている。それぞれの電極には、個別に調整可能な電圧が印加されている。適切で対称的な電圧を選ぶことで、界面はほぼ円環状に歪曲し、この場合の主軸の方向は、互いに交差する電極の電圧の比によって決まる。非対称的な電圧分布は、ゼロ電場における光軸の状態に対する、界面の横方向のずれを生じさせる。電極41の狭隘部83が十分な大きさの電気抵抗を有している場合、電極の両方の端部43,45に印加された電位の差が、平面的であり、そのためより伝導性が高い部分81を有する電極41を通る電流フローをもたらし、したがって電極の長手方向に沿って階段状の電位降下をもたらす。このため、前述のような電極配置16で覆われた面の各部分81に対し、電位をほぼ自由に調整することができる。このような複数の電極によって電位モデルを作製した場合、界面がそれに対応して変形される。その結果、通り抜けた後の光線2の断面の強度モデルが、光学系からの距離に応じてほぼ自由に形成可能になる。
【0027】
他方、電極は、同心円状に、しかしセクタに区分して配置することができ、したがって異なるセクタを異なる電圧で制御することができる。これにより界面は、互いに対向するセクタが逆方向に制御される場合に横に移動され、あるいは例えば楕円形に歪曲される。
【0028】
隣接する透過性構造物との間隔は、好ましくは5μm〜100μmの範囲であるが、2μm以上、または400μmまででもよい。帯状電極の総数は少なくとも10本〜40本であるが、応用例に応じて1000本まで、あるいはさらに4000本まででもよい。制御は、例えばデジタルで、例えば約1000本の帯状電極を用いて行い、その際、正電圧でも負電圧でも可能である。電圧の切り替えは、好ましくは数(例えば3)ミリ秒以内で行う。発生した電界の強度は、局所的に1000V/mまでの範囲であり、好ましくは最大400V/mであり、その際、電界勾配、つまり電界強度の局所的変化は約10kV/cmまで、特に約10kV/mまでの範囲である。
【0029】
電極構造物の配置は、ラスタ状でよく、あるいは特別の光学的誤差の調整のために円形または楕円形でもよい。
特定の電界分布を継続的に記憶するために、分離された、好ましくは透過性で、フラッシュ・メモリ方式に基づいて形成され、特定の電荷分布を1度記憶させるとその電荷分布を長期間保ち続ける電荷アイランドによって、電極を形成することができる。
【0030】
以下に示す変形形態では、構造または/および機能が対応するコンポーネントには同じ数字を付し、ただし区別するために小文字を添えて示す。
図2には、周囲部13aが1つの電極17aに対向している装置が示されており、この場合、電圧制御部は図1に示されたものに対応している。両方の流体9aと9aの比誘電率が異なるため、電界強度が異なり、そのため一方では電気力線の密度が、他方では電気力線の方向が、両方の流体で異なっており、したがって、この場合も流体9aおよび9aの間の界面11aに力が加えられる。電極15aに様々な電位を選定することで、界面をほぼ自由に形成することができる。
【0031】
図3に示された装置では、リング状の電極17bが底部1bに配置されており、一方で対電極15bが周縁部3bに配置されている。図示された例において周囲部13bに隣接する界面周縁は、周縁部3bにおいて対電極15bに対向する。これも電界強度が高い部分(縞状電気力線で示す)であり、電極15bおよび17bが互いに角度を持って配置されているので、電界の不均一性も高い。つまり本例においても、電極15bおよび17bに印加される電圧が界面の形状に影響を及ぼす。
【0032】
これらの変形形態および実施形態のすべてにおいて、下に配置されているのが底部か蓋部かに関わらず、密度の高い方の流体を下に配置することが好ましい。流体の密度差が十分に小さく、特に相対的な密度差Δd=2*|d−d|/(d+d)が0.1より小さい場合、可変光学系は重力方向に対して斜めであっても、または、ほんの僅かにだけ密度の高い方の流体が上に配置されていてもよい。幾つかの応用例においては、ここでの重力方向が加速方向であってもよい。
【0033】
本出願において誘電体とは、その伝導性がゼロであるか、または伝導性が小さい、つまり実際の静電誘電率が特に1S/m、好ましくは0.1S/mより小さいか、あるいはその固有電気抵抗が1Ωm、好ましくは10Ωmより大きい物質である。固有電気抵抗が1Ωmより小さいか、または伝導性が1S/mより大きい流体は、本出願においては伝導性があるとみなし、これには例えば十分に濃い食塩水が属す。食塩水を用いる場合、電気分解作用を回避するため、直流電圧の代わりに低周波の交流電圧を、例えば10000Hz以下の、好ましくは100Hz〜2000Hzの周波数領域で使用することが好ましい。
【0034】
図4に示された装置では、そのような伝導性の液体9cが、誘電性の流体9cの下に配置されており、その他の点でこの可変光学系は図2に示されたものと類似の構造である。液体9cが伝導性、例えば20%のLiCl水溶液またはNaCrO水溶液、であるため、その表面は、したがって誘電性の流体9c、例えば四臭化炭素を添加したフェニルメチルシロキサン混合物で、食塩水と同じ密度との界面も等電位面であり、この等電位面に電気力線が垂直に立っている。これは、電極15c,17cに電圧を印加することによって誘電性流体9cに生じる電界が不均一であることを意味している。さらに、印加された電圧は、電極17cに対向する伝導性の液体の一部において過充電を発生させる。間にある底部3cの一部を含めて生じるキャパシタンスによって、電圧に依存する新たな、界面11cと底部表面の間の接触角αが生じる。流体の体積が一定である場合、接触角の変化は界面形状の変化、例えば平坦化をも意味する。流体の屈折率が異なるので、光学系の光学特性も電圧によって変化し、例えば界面がなだらかになると、界面11cの屈折力が減少する。界面曲率をできるだけ正確に調整するために、少なくとも周囲部の周りのチャンバ壁は、接触角のヒステリシスδαが好ましくは2°またはそれ未満(δα<2°)に制限されるように形成されることが好ましい。
【0035】
上述の実施形態および変形形態では、チャンバの底部および蓋部は平らであり、互いに平行であるが、好ましい一実施形態においては、それらの1つまたは両方が凹面または特に凸面の形状であってもよい。後者の場合は、チャンバの底部と蓋部が直接接触して、一緒に平凸または両凸のレンズを形成することにより、周縁部をなくすことも可能である。特定の応用例においては、チャンバの底部および蓋部が平らで、互いに角度をつけて配置することができ、この場合、底部と蓋部はプリズム形状を形成する。特別の場合、底部および蓋部は、光学的作用を有する光学的に透過性の材料からなることができる。底部および蓋部は、平ら、凸面、凹面、非球面、または回折作用をもつ構造にすることができる。これによって所望の屈折作用および回折作用が達成される。透過性の電極が、平らな、または歪曲された表面上に設置される。これらの場合、光学的作用はすでに、流体外面の歪曲または流体の相互の傾きから生じる。これに、電極に電圧を印加することで影響を及ぼし得る界面による、可変の光学的作用が加わる。
【0036】
さらに蓋部、底部、および場合によっては、周縁部は、様々な、特に誘電性の材料からなることができ、あるいは様々な方法で表面加工することができる。それらは特にチャンバに収容されている流体に対して、様々な付着性(濡れ性)を、したがって様々な接触角を有することができる。これらの1つまたは複数の部分に、例えば光軸の周りへ流体を集中させるのを助けるために、付着力の異なる部分を光軸の周りに同心円状に配置することもできる。蓋部に接触して配置された流体が、底部の表面に対してよりも蓋部の表面に対して高い付着性を有し、または/かつ底部に接触して配置された流体が、蓋部の表面に対してよりも底部の表面に対して高い付着性を有することが特に好ましい。図2または図4のような装置の場合、周縁部に接触して配置された流体が、底部の表面に対してもより周縁部の表面に対して高い付着性を有することが好ましい。これらの配置は、それぞれ界面の安定性を向上させる。
【0037】
図5に示された実施形態では、界面11dが反射性であり、このため界面11dで反射された光線は、可変光学系の底部または蓋部を通らない。図示された実施形態において、下側の流体9dは金属の液体であり、その界面11dで、入射光線2dはほぼ反射される。したがって界面11dは、電極に印加される電圧によって調整可能なミラーとして作用する。
【0038】
適切な金属液体は、例えば水銀、ガリウム・アルミニウム合金、およびナトリウム・カリウム合金であり、この場合、最後のものには特にセシウムを添加してもよい。78原子%のKおよび22原子%のNaからなる合金は、−12.6℃で融解し、密度は0.73g/cmである。誘電性流体として適した炭化水素または炭化水素混合物は、容易に同じ密度に調整可能である。例えばn−デカンの密度は同様に0.73g/cm(融点−29.7℃)であり、n−ウンデカンの密度は0.74g/cm(融点−25.6℃)である。産地に応じて少し高めの密度および少し高めの融点を有するケロシンもこれに適している。アルカリ金属合金に適量のセシウムを添加することで、合金の融点がさらに下がり、また合金の密度がケロシンの密度に対応して上昇する。アルカリ金属合金の電気伝導性が高いため、炭化水素(混合物)に対する界面の反射性は高い。
【0039】
非金属流体間の界面も、その屈折率が異なっている場合は、ある程度の反射性を有する。例えば放射誘導の制御目的など幾つかの応用例では、僅かな反射度で十分である。特に大きな反射性は、光学密度が比較的高い媒質と光学密度が比較的低い媒質の間の界面で(図6を参照)、表面から引いた垂線に対する入射角が十分に大きい場合にみられる(全反射)。例えば一方の流体9e2は、密度1.12g/cmで、屈折率1.38の、20%のLiCl水溶液であり、他方の流体9eは、水溶液と同じ密度で、屈折率が約1.55の、フェニルメチルシロキサン混合物中に数パーセントの四臭化炭素を含む溶液である。この屈折率の比から、全反射の臨界角は63°弱となり、つまり63°以上の入射角で有機相/水相の界面に当たる光線は100%反射される。この場合の光線2eは、表面から引いた垂線4eの周りの領域を通らないため、この領域でのチャンバ1eの蓋部7eには不透過性の電極15eを配置し得る。これらの電極15eは、誘電性(有機質)の相の側の界面11eのすぐ近くにあり、つまり、これらの電極から発生した電界は、特に界面11eに効果的に影響する。反射された光線が、チャンバ1eの周縁部5eを通るように導くと、それによってコンパクトな構成が可能になるので、好ましい。周縁部5eは、入射して反射されて出射する光線が、周縁部の対向する部分を最小限の光屈折効果で通り抜けるように形成されることが好ましい。この場合、周縁部5e”の光線が出射する部分は、表面から引いた垂線の方向に歪曲させて形成することができる。
【0040】
図7および図8では、それぞれ非金属であるが伝導性の液体、例えばLiCl水溶液の上に、誘電性の液体が層をなしている。この場合の誘電性の液体は水溶液より大きな屈折率を有しているので、光学系は、図示された凸面のメニスカスの場合、通り抜ける光線2fに対する拡散作用を有している。水溶液は、電極17fと直接(ガルバニック)接触している。周囲部13fから離れ、また特に斜めに配置された対電極15fは、この場合も誘電性の液体中に不均一な電界を発生させることができる。界面はここでも等電位面であり、その電位は電圧を印加することによって与えられる。接触角αは、主として周囲部13fの表面状態、ならびに両方の液体9fおよび9fの付着特性および凝集特性によって規定される。一変形形態では、ガルバニック接触を、少なくとも部分的に金属被覆された底部によって提供してもよい。
【0041】
図9の装置では、接触角αにも影響を及ぼし得るように、周囲部13gに、液体に接触していない電極18gが設けられている。この装置は、その他の点では図7に対応している。電極18gに電圧を印加することによって、別の電位にある伝導性液体と対向する電極表面で過充電が生じ、伝導性液体では符号が逆の同様の過充電が生じる。帯電した層は、間にあるチャンバの底部の一部と共に、電圧に依存して帯電するコンデンサを形成する。このコンデンサのエネルギーは、周囲部の状態に応じて、電極18gに対して変化し、これにより界面への力、および電圧に依存する接触角の変化が生じる。つまり電極18gに印加される電圧によって接触角が調整可能であり、したがって界面の歪曲が調整可能である。これに加えて、対向する電極15gは、界面形状に更なる影響を与える不均一な電界を、誘電性液体中に発生させる。
【0042】
2つの流体間の界面は、流体が異なる屈折率を有する場合、一般的にスペクトルによって異なる放射偏向を生じさせる。図10に基づく可変光学系の電極15h,17hに電圧を印加することで、分析する光線2hの衝突角に影響を及ぼすことにより、光線中の異なるスペクトル成分が異なる度合いに偏向される。つまり偏向された光線の領域に配置された検出器21hの各感光素子は、印加された電圧に応じて、分析される光の別々のスペクトル成分を記録する。要するに、このような配置によってスペクトロメータが実現される。
【0043】
スペクトルの組成が重要ではない、例えば適切な光源25iから出るほぼ単色のレーザ光線の場合、図11に基づく装置によって、入射光線2iは、印加する電圧に従って偏向され、あるいは垂直な入射の場合は偏向されない。この場合のチャンバ形状は直方体であり、つまり周囲部5iは4つの矩形からなる。それぞれの矩形に、個別に制御可能な電極18i’,18i”が配置されており、このため、チャンバに収容されている流体9i,9iは、光線2iの入射方向を横断する方向を向いている電界に曝され得る。したがって界面11iは、光軸23iに対して非対称に傾けられ(破線で示された11i’),これにより、電圧を印加することによって調整可能な偏向が、放射方向に対し垂直な1つまたは両方の方向に生じる。つまり、この装置は、入射光線(または赤外線)を、1つまたは互いに垂直な2つの方向に調整可能に偏向させるのに適している。後者の場合、偏向は、互いに垂直な2つの方向に、異なる速さで鋸歯状に変化し、その周期が好ましくは整数比である電圧によって、列をなす偏向の形で実施することができる。
【0044】
上述されたようなラスタ状の電極構造を用いる場合、電極構造中の異なるラスタにおいて異なる偏向電界を発生させることによって、入射光線2iから、複数の偏向された部分放射を形成することもできる。
【0045】
図12に基づく流体の装置において、一方の流体9jは、蓋部7jの中心部にも底部3jにも接触しており、もう一方の流体9jは、蓋部7jの周辺部のみと、周縁部5jの一部に接触している。周辺部の流体9jは、コリメータ光学系27jによって平行にされて光学系に当てられる放射2jに対する透過性がかなり低い。この装置では2つの周囲部13j’,13j”が、1つは周縁部に、もう1つは蓋部に生じる。蓋部および底部は交換可能である。界面11jに、特に周縁部、蓋部、および底部の1つにおける接触角αに影響を及ぼすと、蓋部または底部への透過性流体の接触部12jの直径が変化する。つまり電極に印加される電圧の変化によって、通り抜ける放射2j’の強度が変化する。したがって、このような装置によって、調整可能な絞り作用が実現される。透過性は、周囲部13j’で急激に変化するのではなく、接触角が90°ではないので徐々に放射状に変化するため(図12の概略的な強度グラフを参照)、このような絞りは、調整可能なだけでなく、回折作用の減少特性も有している。
【0046】
図13に示された、図12に基づく装置の変形形態では、透過度が異なっているか、または全体的にのみ異なっているのではなく、とりわけスペクトルの一部において異なっている。つまりT(λ)≠T(λ)であり、式中、λは光の波長を表し、またT(λ)はスペクトル透過度を表す。例えば1つの流体9kが主として青色および紫外スペクトル領域を吸収し(つまり黄からオレンジに見える)、もう1つの流体9kが主として赤色および赤外スペクトル領域を吸収する(つまり緑がかって見える)。印加される電圧を変化させると、通り抜ける放射2k'に対して、光透過性流体のフィルタ作用が変化する(図13に示された概略的なスペクトルを参照)。つまり、この装置は、調整可能なカラー・フィルタを実現する。
【0047】
この変形形態において望ましくない屈折作用を最小限に抑えるには、できるだけ類似する屈折率nおよびnを有するが、色が異なる流体を選ぶことがこの応用例では有利となり得る。これに加え、チャンバの後に配置された、例えば中央に配置され、通り抜ける放射の方向に対して斜めに傾けられた副鏡(図示せず)の形の物理的ビーム・スプリッタによって、放射の中央部分を、放射の周辺部分から分割することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
更なる応用分野は眼科分野にあり、例えば本発明に従って自由に形成可能な界面によって眼球異常の補正を行う。これによって眼科用の診断機器ならびに治療機器を用いた、目の観察、測定、および記録、ならびに目への治療用放射の照射を著しく改善することができる。有利な一実施形態は、高解像度の眼底カメラの実現である。微小構造を形づくる電極設計によって、光学要素の比較的高い収差が、意図通りに、動的に、かつ可変に調整可能になる。これにより、平らな基本構造という特殊なケースにおいて、動的に可変で屈折性を有する微小光学系が製造される。
【0049】
自由に形成可能な界面は、例えば眼底カメラおよび細隙灯における、機械的焦点合せ、レンズターレット、およびフィルタの方向転換器の代用にもなる。細隙灯の場合、自由に形成可能な放射の輪郭を用いて、例えば個別に調整可能な輪郭を有する眼科用照明を実現することができる。さらに、別の応用例においては、放射の輪郭が調整可能なことにより、液体のプラスチックの硬化を個別に制御することが可能になる。
【0050】
さらに、図11に基づく眼科の実施形態によって、診断または治療用の放射を、ラスタ状に偏向させて目に照射することができる。可変光学系を用いた診断機器の有利な一実施形態は、走査型眼底カメラの実現である。また可変光学系を用いた治療機器の有利な一実施形態は、目の組織の一部を切除するための放射誘導レーザの実現である。
【0051】
図15に示された例では、複数の電極15mが、波打つ界面11m’もしくは11m”が生じるように交互に制御される。界面の起伏の周期性は、したがってそれぞれの焦点面29m’または29”に属する焦点31m’または31m”の間隔a’またはa”は、制御の周期性(図示せず)によって規定される。界面起伏の振幅は、したがって可変光学系1mとそれぞれの焦点面との間隔f’またはf”は、印加された電圧の差の大きさによって規定される。
【0052】
このような装置を用いると、例えば動的で可変なシャック・ハルトマン・センサ用の、個々のレンズの焦点距離が制御可能で、またレンズ直径が可変(アレイの解像度)の、正規のまたは統計上の可変レンズアレイを実現することが可能になる。
【0053】
本発明による可変光学系により、電極配置の解決策を用いて、比較的高次数の収差を、波面の屈折率の基本補正に含めることが可能になる。その際、制御は構造化して行うことができ、また比較的高次数の結像誤差(収差)を数学的に記述するツェルニケ多項式に合わせることができる。
【0054】
したがって、この新しい可変光学系を用いて、光学要素によるほぼ任意の波面補正を動的に調整することができる。
この可変光学系は、任意の光学システムに、例えばカメラのズームシステムの部品として組み込むことができる。その際、所与の焦点合せの場合(例えば球面=10ジオプトリー)、最適な結像品質を達成するために、球面の修正によって具体的な結像形状のための理想的な非球面または収差補正されたレンズを得ることができる。これは、本発明による光学系が、任意の結像形状に調整可能な、動的で可変な特性を有することによるものである。
【0055】
要約すると、本発明は、その可変性が少なくとも部分的に、誘電性の流体ともう1つの流体との界面への電界の影響に基づく、可変な光学要素を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】2つの誘電体を備えた本発明による可変光学系を示す図。
【図2】2つの誘電体を備え、蓋部および底部に電極を備えた本発明による可変光学系を示す図。
【図3】2つの誘電体を備え、周囲壁に電極を備えた第1の実施形態による可変光学系を示す図。
【図4】伝導性の液体を備え、蓋部および底部に電極を備えた第2の実施形態による可変光学系を示す図。
【図5】直接接触する金属の液体を備え、蓋部に電極を備えた可変光学系を示す図。
【図6】全反射する界面を備えた更なる可変光学系を示す図。
【図7】直接接触する伝導性の液体を備え、蓋部に電極を備えた第3の実施形態による可変光学系を示す図。
【図8】直接接触する伝導性の液体を備え、周囲壁に電極を備えた第3の実施形態による別の可変光学系を示す図。
【図9】接触角を調整するために追加の電極を備えた本発明による可変光学系を示す図。
【図10】スペクトルにより異なる偏角を調整するために複数の電極を備えた本発明による可変光学系を示す図。
【図11】調整可能な偏角を提供するために複数の電極を備えた本発明による可変光学系を示す図。
【図12】調整可能な絞りを提供するために透過性の異なる流体を備えた本発明による可変光学系を示す図。
【図13】調整可能なカラー・フィルタを提供するために色の異なる流体を備えた本発明による可変光学系を示す図。
【図14】個別に制御可能な複数の電極の配置例を示す図。
【図15】レンズアレイを提供するための、本発明による可変光学系における電極配置例の詳細図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系と相互作用する電磁放射に制御可能に影響を及ぼすための可変光学系であって、
容器と、
該容器に収容された誘電性の第1の流体と、
該容器に収容され、該第1の流体との間に相界面を形成し、該第1の流体と異なる比誘電率を有する誘電性の第2の流体と、
少なくとも1つの第1の電極と、
少なくとも1つの第2の電極であって、該第1の電極と第2の電極との間に印加された電圧により該相界面を貫通する電界が発生するように、該第1の電極に対応して配置されている少なくとも1つの第2の電極と
を備える可変光学系。
【請求項2】
Δε=2*|ε1−ε2|/(ε1+ε2)
として、Δε>0.1であり、
式中、
ε1は、前記第1の流体の比誘電率であり、
ε2は、前記第2の流体の比誘電率であり、
Δεは、前記第1の流体と前記第2の流体の比誘電率の相対的な差である、請求項1に記載の可変光学系。
【請求項3】
Δε>0.3、特にΔε>0.5、好ましくはΔε>0.7、特に好ましくはΔε>0.9である請求項2に記載の可変光学系。
【請求項4】
光学系と相互作用する電磁放射に制御可能に影響を及ぼすための可変光学系であって、
容器と、
該容器に収容された誘電性の第1の流体と、
該容器に収容され、該第1の流体との間に相界面を形成する電気伝導性の第2の流体と、
少なくとも1つの第1の電極と、
少なくとも1つの第2の電極であって、該第1の電極と第2の電極との間に印加された電圧により該第1の流体を貫通する電界が発生するように、該第1の電極に対応して配置されている少なくとも1つの第2の電極と
を備え、
該容器が、少なくとも1つの第1の電極が配置された第1の壁部を備えており、
該相界面が、該第1の壁部とは異なる第2の壁部に接しており、
該相界面が該第2の壁部に接しているすべての場所で、該第2の壁部が該第1の壁部に対して40°を超える角度で延びている、可変光学系。
【請求項5】
光学系と相互作用する電磁放射に制御可能に影響を及ぼすための可変光学系であって、
容器と、
該容器に収容された誘電性の第1の流体と、
該容器に収容され、該第1の流体との間に相界面を形成している電気伝導性の第2の流体と、
少なくとも1つの第1の電極と、
少なくとも1つの第2の電極であって、該第1の電極と第2の電極との間に印加された電圧により該第1の流体を貫通する電界が発生するように、該第1の電極に対応して配置されている少なくとも1つの第2の電極と
を備え、
該容器が、電磁放射に対して透過性のある少なくとも1つの壁部を備えており、
少なくとも1つの該第1の電極が、該透過性のある壁部に配置されている、可変光学系。
【請求項6】
前記相界面が、前記第1の壁部とは異なる第2の壁部に接している、請求項5に記載の可変光学系。
【請求項7】
光学系と相互作用する電磁放射に制御可能に影響を及ぼすための可変光学系であって、
容器と、
該容器に収容された誘電性の第1の流体と、
該容器に収容され、該第1の流体との間に相界面を形成している反射性のある、特に金属の第2の流体と、
少なくとも1つの第1の電極と、
少なくとも1つの第2の電極であって、該第1の電極と第2の電極との間に印加された電圧により該第1の流体を貫通する電界が発生するように、該第1の電極に対応して配置されている少なくとも1つの第2の電極と
を備える、可変光学系。
【請求項8】
Δn=2*|n1−n2|/(n1+n2)
として、Δn>0.01であり、
式中、
n1は、前記第1の流体の屈折率であり、
n2は、前記第2の流体の屈折率であり、
Δnは、前記第1の流体と前記第2の流体の屈折率の相対的な差である、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の可変光学系。
【請求項9】
Δn>0.03、特にΔn>0.06、特にΔn>0.1である、請求項8に記載の可変光学系。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1の電極が、電磁放射に対して透過性である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の可変光学系。
【請求項11】
前記第1の流体または/および前記第2の流体が液体である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の可変光学系。
【請求項12】
Δd=2*|d1−d2|/(d1+d2)
として、Δd<0.1であり、
式中、
Δdは、前記第1の流体と前記第2の流体の相対的な密度差であり、
d1は、前記第1の流体の密度であり、
d2は、前記第2の流体の密度である、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の可変光学系。
【請求項13】
Δd<0.03、特にΔd<0.01、特にΔd<0.003である、請求項12に記載の可変光学系。
【請求項14】
前記第1の電極および前記第2の電極が、前記容器の、互いに対向する側面に配置されている、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の可変光学系。
【請求項15】
前記相界面が、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置されている、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の可変光学系。
【請求項16】
前記容器の壁の内側が、前記第2の流体に対してよりも前記第1の流体に対して大きな付着力を有する第1の表面部を備えており、また前記容器の該壁の内側が、前記第2の流体に対してよりも前記第1の流体に対して小さな付着力を有する第2の表面部を備えている、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の可変光学系。
【請求項17】
前記第1の表面部および前記第2の表面部が互いに隣り合っており、また前記相界面が、前記第1の表面部と前記第2の表面部との間の境界線の少なくとも一部に接している、請求項16に記載の可変光学系。
【請求項18】
前記境界線がリング状に閉じており、また前記相界面が、前記境界線の全体に接している、請求項17に記載の可変光学系。
【請求項19】
前記容器が、第1の壁と、該第1の壁に対向する第2の壁と、該第1の壁と該第2の壁の間に広がる周囲壁とを備えており、前記第1の表面部が該第1の壁にあり、前記第2の表面部が該周囲壁にある、請求項16乃至18のいずれか1項に記載の可変光学系。
【請求項20】
前記第1の電極が、絶縁性間隙によって互いに分離されている複数の部分電極を含む、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の可変光学系。
【請求項21】
前記複数の部分電極の電位を調整するための少なくとも1つの電圧源をさらに備える、請求項20に記載の可変光学系。
【請求項22】
前記電圧源が抵抗回路網を含む、請求項21に記載の可変光学系。
【請求項23】
前記容器が、第1の壁部と、該第1の壁部に対向する第2の壁部と、該第1の壁部と該第2の壁部の間に広がる周囲壁部とを備えており、前記第1の電極が該第1の壁部にあり、前記第2の電極が該第2の壁部にある、請求項20乃至22のいずれか1項に記載の可変光学系。
【請求項24】
前記周囲壁部に第3の電極がある、請求項23に記載の可変光学系。
【請求項25】
前記容器が、電磁放射に対して透過性のある少なくとも1つの壁部を備えている、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の可変光学系。
【請求項26】
前記容器が、電磁放射に対して透過性のある少なくとも1つの第1の壁部および第2の壁部を備え、前記相界面が、放射に対して透過性のある該第1の壁部と該第2の壁部の間に配置されている、請求項25に記載の可変光学系。
【請求項27】
光学系と相互作用する電磁放射が、前記第1の壁部および前記第2の壁部および前記相界面を通り抜ける、請求項26に記載の可変光学系。
【請求項28】
前記容器が、電磁放射に対して透過性があり、かつ前記相界面の同じ側に配置されている少なくとも1つの第1の壁部および第2の壁部を備えている、請求項25に記載の可変光学系。
【請求項29】
光学系と相互作用する電磁放射が、前記第1の壁部および前記第2の壁部を通り抜け、前記相界面によって反射される、請求項28に記載の可変光学系。
【請求項30】
光学系と相互作用する電磁放射が、前記少なくとも1つの透過性のある壁部を通り抜け、前記相界面によって反射され、その後、前記少なくとも1つの透過性の壁部を再び通り抜ける、請求項25に記載の可変光学系。
【請求項31】
前記第1の透過性のある壁部および/または前記第2の透過性のある壁部により可変光学系の平面またはほぼ球面を微小構造で形成することが可能な透過性のある電極アレイを有することを特徴とする請求項1乃至30のいずれか1項に記載の可変光学系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2008−530587(P2008−530587A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553563(P2007−553563)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001039
【国際公開番号】WO2006/084653
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(503078265)カール ツァイス メディテック アクチエンゲゼルシャフト (51)
【Fターム(参考)】