説明

可変出力油圧アクチュエータシステム

【課題】車両の油圧システムによって加えられる動的可変平均流を生成する方法および装置を提供する。
【解決手段】油圧システムは、圧力源132とロッドチャンバ64の間の流体連通を調節するように構成された少なくとも1つのバルブ106、108、110、112と、ロッドチャンバ64への加圧流体の供給を周期的に変更するために少なくとも1つのバルブに結合された制御システム100とを備えている。制御システムは、油圧シリンダ52の所望の出力に関連して開弁コマンドと閉弁コマンドの間で自動的および周期的に交互になるように少なくとも1つのバルブに命令するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本分野は概して、油圧制御システムに関する。より詳細には、この分野は、油圧システムから可変の力および/または速度を与える方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]建設機器の多くの部品は、機器によって行われる機能を制御するために油圧システムを使用する。建設機器オペレータは、様々な動作を行うために機器の様々な構成部品またはデバイスの相対位置を制御する、油圧シリンダなどの1つまたは複数の油圧アクチュエータに動作可能に結合された1つまたは複数の入力デバイスを備えている。例えば、バックホーはしばしば、ブームアームの位置、ブームアームに結合されたディッパースティックアームの位置、およびディッパースティックアームに結合されたバケツの位置などの、バックホーの様々な機能を制御するための複数の制御レバーおよび/またはフットペダルを有する。
【0003】
[0003]制御レバーなどの入力デバイスの移動の大きさは普通、バックホー上のディッパースティックアームなどの所与のデバイスの出力、すなわち力および/または速度を制御する。いくつかの動作は、バックホーを備えたパイプ周りの掘削などの、所与のデバイスの正確な出力を必要とする。このような状況では、パイプまたは他の物体に対するディッパーアームの出力を制御することが望ましい。このような動作は、ディッパースティックアームの力および/または速度のより大きな制御などの、出力のより大きな制御により補助される。
【0004】
[0004]油圧システムは、加圧流体の形のエネルギーを貯蔵するアキュミュレータを使用することができる。アキュミュレータは、オーバーランニング負荷の影響を受けて加圧流体を獲得することができる。建設機器が負荷を下げると、機器への重力および負荷が、加圧流体をアキュミュレータに与える。この加圧流体は、追加の作業を行うことができる、またはアキュミュレータ内に貯蔵されたままにすることができる。負荷を下げると、加圧流体は、普通は事前充填および固定容量を有するアキュミュレータに案内される。加圧流体はその後、様々な動作を行うために、後の再利用または機器の様々な構成部品またはデバイスへの分配のために、アキュミュレータからのほぼ一定の圧力レベルで利用可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本発明の一態様によると、シャーシ、シャーシを支持する接地係合デバイス、およびシャーシによって支持された油圧システムを備えた車両が提供される。油圧システムは、ハウジングおよびピストンアセンブリを備えた油圧シリンダを備えている。ハウジングは、ピストンアセンブリの少なくとも一部を囲んでいる。ピストンアセンブリは、ピストンヘッドおよびピストンロッドを備えている。ピストンヘッドは、孔側表面、および孔側表面に対向するロッド側表面を備えている。ハウジングおよび孔側表面は、孔チャンバを画定する。ハウジングおよび孔側表面は、ロッドチャンバを画定する。油圧システムはさらに、加圧流体を孔チャンバに与えるために、孔チャンバと流体連通している圧力源を備えている。圧力源は、ロッドチャンバに加圧流体を与えるために、ロッドチャンバと流体連通している。油圧システムはさらに、圧力源とロッドチャンバの間の流体連通を調節するように構成された少なくとも1つのバルブと、ロッドチャンバへの加圧流体の供給を周期的に変更するために少なくとも1つのバルブに結合された制御システムとを備えている。制御システムは、油圧シリンダの所望の出力に関連して開弁コマンドと閉弁コマンドの間で自動的および周期的に交互になるように少なくとも1つのバルブに命令するように構成されている。
【0006】
[0006]本発明の別の態様によると、車両の油圧システムによって加えられる動的可変平均流を生成する方法が提供される。この方法は、油圧シリンダおよび圧力源を備えた油圧システムを備えた車両を提供するステップを含んでいる。油圧シリンダは、孔側表面およびロッド側表面を備えたピストンを備えている。油圧シリンダは、加圧流体を受けるように圧力源に流体結合されている。この方法はさらに、デューティサイクルに基づいて孔側表面およびロッド側表面の少なくとも一方に圧力を周期的に与えるステップと、少なくとも1つのオペレータ入力に応じてデューティサイクルを調整するステップとを含んでいる。
【0007】
[0007]本発明の別の態様によると、シャーシ、シャーシを支持する接地係合デバイス、およびシャーシによって支持される油圧システムを備えた車両が提供される。油圧システムは、油圧シリンダ、加圧流体を与えるように油圧シリンダと流体連通している圧力源、圧力源と油圧シリンダの間の流体連通を調節するように構成された少なくとも1つのバルブ、デューティサイクル上で油圧シリンダへの加圧流体の供給を周期的に変更するように少なくとも1つのバルブに結合された制御システム、および制御システムと連通しているオペレータ入力を備えている。制御システムはオペレータからの入力に基づいてデューティサイクルを調整する。
【0008】
[0008]本発明の上記および他の特性、およびこれらを得るための方法は、より明らかになり、本発明自体は、添付の図面と合わせて本発明の実施形態の以下の説明を参照してより良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】[0009]例示的な車両の斜視図である。
【図2】[0010]第1の完全動作モードの例示的な油圧システムの図である。
【図3】[0011]第2の部分動作モードの図2の油圧システムの図である。
【図4】[0012]得られるまたは「RMS」力または圧力を与えるデューティサイクルで第1および第2のモードの間で急速に切換えを行う、図2の油圧システムを示す一連のサイクルの図である。
【図5】[0013]好ましい実施形態の油圧システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0014]対応する参照記号は、一連の図全体を通して対応する部品を示している。図面は本発明の実施形態を示しているが、図面は必ずしも等尺度ではなく、特定の機構は本発明をより良く図示および説明するために誇張している可能性がある。
【0011】
[0015]以下に開示した実施形態は、排他的、または以下の詳細な説明で開示された正確な形態に本発明を限定することを意図したものではない。むしろ、当業者がその教示を利用することができるように、実施形態が選択および記載されている。
【0012】
[0016]図1に例示的に示すように、車両10は、土または他の材料を移動させるように多くの異なる動作を行うことが可能である。バックホーローダは例示的な車両として図示されているが、車両10は、地ならし機、ブルドーザなどの任意の適切な車両であってもよい。
【0013】
[0017]車両10は、シャーシ12、ブレードアセンブリ14、オペレータ区画16、接地係合デバイス18、およびバックホー20などの器具を備えている。ブレードアセンブリ14、オペレータ区画16、およびバックホー20はシャーシ12によって支持されている。ブレードアセンブリ14はまた、支持アーム24(1つのみが図示されている)によって支持された器具またはバケツ22を備えている。バケツ22および支持アーム24は、油圧シリンダ26によってシャーシ12に対して持ち上げるまたは下げることができる。バケツ22は、油圧シリンダ28によって支持アーム24に対して移動させることができる。
【0014】
[0018]同様に車両10のバックホー20は、シャーシ12によって支持されている。バックホー20は、ブームアーム30、ディッパースティックアーム32、およびバケツ34の移動により、溝を掘る、および/または材料を移動させるために使用することができる。ブームアーム30は、シャーシ12によって支持されている。ディッパースティックアーム32は、ブームアーム30に移動可能に結合されている。ディッパースティックアーム32は、油圧シリンダ36を通してブームアーム30に対して持ち上げるまたは下げることができる。バケツ34は、ディッパースティックアーム32に移動可能に結合されている。バケツ34は、油圧シリンダ38によってディッパースティックアーム32に対して移動させることができる。
【0015】
[0019]車両10は、複数の接地係合デバイス18によって推進される。追加の安定性が望ましい場合、複数のスタビライザ40は、車両10の基部を大きくするように下げることができる。
【0016】
[0020]オペレータ区画16内に位置しているオペレータは、ブレードアセンブリ14、バックホー20、および車両10の移動を制御する。オペレータ区画16は閉鎖区画として示されているが、オペレータ区画16は開放式、または一部閉鎖式とすることができる。オペレータは、オペレータ区画16内に置かれたレバー、ジョイスティックなどのオペレータ入力デバイス42を通してバケツ22、ブレードアセンブリ14、バックホー20、および車両10の動作を制御する。オペレータ入力デバイス42は、油圧シリンダ26、28、36および38と、他のデバイスを制御するように構成されている。
【0017】
[0021]油圧シリンダ26、28、36および38の位置および配向は、全体を通して論じた全ての油圧シリンダの位置および配向と同様に例示的なものである。油圧シリンダ26、28、36および38は、拡張または収縮のいずれかにより作業を行うように位置決めおよび配向されている。同様に、油圧シリンダ26、28、36および38は、拡張または収縮のいずれかの間にオーバーランニング負荷を有することができる。
【0018】
[0022]図2および3は、油圧シリンダ26、28、36および38の1つまたは複数、または車両10の他の油圧シリンダを示す、車両10の複動式シリンダ52の別の動作モードを示している。図2は、全出力70(すなわち、圧力源54からの利用可能な最大力および/または最大速度)でピストンアセンブリ58を押すように構成された第1のまたは全出力モードを示している。図3は、部分出力84(すなわち、圧力源54からの利用可能な部分力および/または部分速度)でピストンアセンブリ58を押すように構成された第2のまたは部分出力油圧モードを示している。
【0019】
[0023]圧力源54は、アキュミュレータ、ポンプ、または他の圧力源であってもよい。油圧シリンダ52は、ハウジング56と、およびピストンロッド59およびピストンヘッド60を備えたピストンアセンブリ58とを備えている。ハウジング56およびピストンヘッド60は孔チャンバ62を画定する。ハウジング56およびピストンヘッド60はまた、孔チャンバ62からピストンヘッド60の反対側でロッドチャンバ64を画定する。ピストンヘッド60は、孔側表面66、および孔側表面66の反対側にそれより小さいロッド側表面68を画定する。
【0020】
[0024]図2を参照すると、全出力モードの場合、圧力源54は、全出力70でピストンアセンブリ58を押す孔チャンバ62に加圧流体を与える。全出力70はまた、全力70、および/または全速度70として特徴付けられている。全出力70では、シリンダ52の出力は、孔側表面66の面積倍の圧力源54の圧力から任意の摩擦損失を差し引いたものに等しい。
【0021】
[0025]本実施形態に示すように、ロッドチャンバ64内に存在する流体は、タンクまたはリザーバ72に戻される。タンクまたはリザーバ72はまた、様々な動作を行うように、後の再利用または機器の様々な構成部品またはデバイスへの分配のために加圧流体を受けるアキュミュレータであってもよい。全出力70は、油圧シリンダ52のピストンアセンブリ58の延長線として図示されている。全出力70はまた、油圧シリンダ52の収縮中に起こる可能性がある。
【0022】
[0026]次に図3を参照すると、部分出力モードの場合、加圧流体は孔チャンバ62およびロッドチャンバ64の両方に与えられる。ロッド側表面68上の力は、孔側表面66上の力に対抗する。しかし、孔側表面66はロッド側表面68より大きいので、シリンダ52が全出力モードである場合よりもより小さい力および速度でシリンダ52はさらに拡張する。部分出力84は、油圧シリンダ52のピストンアセンブリ58の延長線として上に図示されている。また、部分出力84を使用して油圧シリンダ52を収縮させることができると考えられる。例えば、圧力源54は、孔チャンバ62に加圧流体に与えることなく、ロッドチャンバ64に加圧流体を与えることが可能であるとも考えられる。
【0023】
[0027]本開示の好ましい実施形態では、ロッド側表面68は、孔側表面66の表面積の何分の1かである。例えば、ロッド側表面68は、孔側表面66の表面積の半分を有することができる。本実施形態では、部分出力モードではピストンアセンブリ58の出力動作(すなわち、力および/または速度)は、全出力モードのピストンアセンブリ58に対する出力動作(すなわち、力および/または速度)のほぼ半分である。ロッド側表面68は、孔側表面66より大きな表面積、孔側表面66と同じ表面積、または孔側表面66の表面積のわずか何分の1か(4分の1など)であってもよい。
【0024】
[0028]本開示によると、図2の全出力モードと図3の部分出力モードの間でのシリンダ52の切換えを制御するように、1つまたは複数のバルブが設けられている。制御した割合でモードの間で変更することによって、シリンダ52の出力は、全出力と部分出力の間で調整することができる。例えば、全出力モードが長いほど、シリンダ52の出力は全出力に近くなる。部分出力モードが長いほど、シリンダ52の出力は部分出力に近くなる。したがって、2つの出力(全出力および部分出力)のみを有するのではなく、シリンダ52は全出力から部分出力にわたる可変出力を有することができる。
【0025】
[0029]次に図5を参照すると、例示的な油圧制御システム86が図示されている。オペレータは、シリンダ52対する所望の拡張速度または力を要求するように、(1つまたは複数の)オペレータ入力デバイス42を操作する。(1つまたは複数の)入力デバイス42は、コントローラ92へのオペレータ入力90を作り出す。コントローラ92は、(1つまたは複数の)オペレータ入力90を受信し、圧力源54からの利用可能な圧力を観察する。(オペレータ入力90によって示されるような)要求した拡張速度および利用可能な圧力に基づき、コントローラ92は、シリンダ52が(図2に示すような)全出力モードでどれだけ長く動作し、(図3に示すような)部分出力モードでどれだけ長く動作するかを制御する。コントローラ90と様々な他の構成部品の間の電子(または他の)通信ラインを示すために、破線が図5に示されている。
【0026】
[0030]好ましい実施形態によると、シリンダ52は、図4に示すようにデューティサイクルを使用して、全動作モードと部分動作モードの間で急速に切り換わる。各サイクルは、各パルス(b)と各パルスが継続する長さ(a)の間の周期を有する。パルス(b)間の周期に対するパルス長さ(a)の比が、デューティサイクルである。デューティサイクルは、0から1までの範囲であってもよい。デューティサイクルが0である場合、シリンダ52は常に、図示するようにF2で力または圧力を与える部分出力モードで動作する。デューティサイクルが1である場合、シリンダ52は常に、図示するようにF1で圧力を与える全出力モードで動作する。デューティサイクルが0に近ければ近いほど、シリンダ52の拡張速度(または力)は、部分出力モードでシリンダ52の拡張速度により近くなる。デューティサイクルが1に近ければ近いほど、シリンダ52の拡張速度(または力)は、全出力モードでシリンダ52の拡張速度により近くなる。全動作モードと部分動作モードの間での周期的な切換の得られる出力は、図4に示すように入力の二乗平均平方根である。
【0027】
[0031]オペレータ入力信号90により、コントローラ92はデューティサイクルを調整する。例えば、オペレータがシリンダ52のより速い拡張、またはより大きい力を要求すると、コントローラ92はデューティサイクルを大きくすることによって応答する。オペレータがシリンダ52のより遅い拡張、またはより小さい力を要求すると、コントローラ92はデューティサイクルを小さくすることによって応答する。シリンダ52の出力は、全出力モードで動作する間のシリンダ52の力、部分出力モードで動作する間のシリンダ52の力、およびデューティサイクルの関数である。全出力モードで動作する間のシリンダ52の力は、圧力源54によって供給される圧力およびシリンダ52の幾何形状(例えば、孔側表面66の表面積)の関数である。同様に、部分出力モードで動作する間のシリンダ52の力は、圧力源54によって供給される圧力およびシリンダ52の幾何形状(例えば、孔側表面66の表面積およびロッド側表面68の面積)の関数である。デューティサイクルは、各パルスの長さ(a)を増減させることによって調整されることが好ましい。しかし、デューティサイクルはまた、各パルス(b)間の期間を増減させること、このある組み合わせ、および各パルスの長さ(a)を調整することによって、または任意の他の方法で調整することもできる。
【0028】
[0032]各パルス(b)間の時間の長さは、全出力モードと部分出力モードの間の切換えの認知に影響を与える。各パルス(b)間の時間の長さが長くなれば長くなるほど、切換えはより認知されなくなる。例えば、各パルス(b)間の時間の長さが1分でありデューティサイクルが50%である場合、オペレータは、30秒毎の速度の変化に気付く可能性がある。しかし、各パルス(b)間の時間の長さがはるかに短い場合、オペレータは拡張の速度の急速な変化に気付かない。さらに、シリンダ52の質量および他の特徴、および車両10の他の構成部品による減衰により、シリンダ52の出力速度(または力)の変化の認知がさらに小さくなる。その結果、オペレータは、シリンダ52が異なるモードで急速に動作しているが、シリンダ52が一定の平均速度で延びることに気付く。シリンダ52の「平均」圧力(または力)はまた、シリンダ52によって受けられる圧力の二乗平均平方根と呼ぶこともできる。この二乗平均平方根圧力(または力)は、デューティサイクルと圧力源54によって与えられる圧力の関数である。加えて、シリンダ52によって移動されている負荷は、シリンダ52の出力に影響を与える。
【0029】
[0033]次に図5を参照すると、好ましい実施形態の油圧システム100が図示されている。油圧システム100は、ほぼ一定の圧力レベルで加圧流体を与える、圧力源/アキュミュレータ102を備えている。油圧システム100はまた、上に論じたシリンダ52を備えている。以下により詳細に論じるように、油圧システム100は、高速切換バルブ106、108、110および112を備えている。切換バルブ106、108、110および112は、上に論じるように、全出力70を与えるように孔側表面66に圧力源54から流体を案内し、上に論じるように、部分出力84を与えるように孔側表面66およびロッド側表面68に圧力源54から流体を案内する。
【0030】
[0034]切換バルブ106、108、110および112はそれぞれ、油圧システムコントローラ92に結合されている。切換バルブ106、108、110および112は、高周波数応答を有する高速切換バルブであることが好ましい。例えば、一実施形態によると、周波数応答は5Hz(または、200ミリ秒切換時間)である。別の実施形態によると、周波数応答は25Hz(または、40ミリ秒切換時間)である。より大きいまたは小さい周波数応答を有するバルブを使用することもできる。正確な周波数応答は、選択したバルブ、およびシステム圧力などの他の要因による。より速い切換時間および応答時間は、優れた効率およびより小さい認知につながる可能性があることが考えられる。
【0031】
[0035]高速切換バルブ110は、ロッドチャンバ64へまたはそこからの加圧流体の連通を開閉するように構成されており、ロッドバルブ110とも呼ばれる。高速切換バルブ112は、孔チャンバ62へのまたはそこからの加圧流体の連通を開閉するように構成されており、孔バルブ112とも呼ばれる。表1に示すように、油圧コントローラ92は、算出したデューティサイクルにより、開閉して図2の全出力70と図3の部分出力84の間で切り換わるように、高速切換バルブ106、108、110および112に命令する。
【0032】
【表1】

【0033】
[0036]全出力モードの場合、バルブ106は開いてロッドチャンバ64からタンク72に圧力を解放し、バルブ110は閉じて圧力源102からの圧力を遮断する。その結果、シリンダ52は全速度(または力)を与えようとする。部分出力モードの場合、バルブ110は開いてロッドチャンバ64に圧力を与え、バルブ106は閉じてタンク72に流体が逃げるのを遮断する。その結果、シリンダ52は部分出力速度(または力)を与えようとする。バルブ112は、加圧流体を孔チャンバ62に一定して与えるように、シリンダ52の拡張中は開いたままである。同様に、タンク72への流体の逃げを遮断するように、シリンダ52の拡張中はバルブ108は閉じたままである。
【0034】
[0037]油圧システム100は任意選択では、圧力ゲージ120およびバルブ122を備えている。油圧コントローラ92は、別のアキュミュレータなどの他のシステム、または車両10の別の機器を制御する任意選択の油圧システム130に加圧流体を送ろうとすることができる。油圧システム130は、油圧システム100と同様である。油圧システム130は、ポンプなどの圧力源132、および圧力ゲージ134を備えている。油圧コントローラ92はまた、バルブ122を開くように命令することによって、圧力ゲージ120と圧力ゲージ134の間の圧力読取りを均一にしようとすることができる。コントローラ92が、システム130が追加の圧力を必要とすることを検出し、ゲージ120がアキュミュレータ102が適当な圧力を有することを示す場合、コントローラ92はバルブ122を開いて、加圧流体がシステム130に流れるのを可能にする。同様に、システム100が圧力を必要とする場合、コントローラ92はバルブ122を開いて、圧力源132、あるいはシステム130から圧力を与えることができる。
【0035】
[0038]前に論じたように、車両10(バケツ22または支持アーム24など)がオーバーランニング負荷としても知られている負荷を下げると、ピストンアセンブリ58に置かれた力は、孔チャンバ62(または、負荷の位置によってロッドチャンバ64)内で流体を加圧することができる。油圧コントローラ92はまた、高速切換バルブ106、108、110および112を使用して、孔チャンバ62(およびロッドチャンバ64)から車両10の第2の機器(例えば、ブームアーム30)に加圧流体を送るために使用することもできる。例えば、オペレータが負荷を下げたい場合、オペレータ入力42を反対の方向に移動させることができる。その結果、バルブ122は開き、(油圧システム130の圧力がシステム100より小さいと仮定して)圧力逃がし経路を与える。孔チャンバ62(およびロッドチャンバ64)内の圧力がシステム130に放出して、シリンダ52の収縮が可能になる。孔チャンバ62からの圧力は、アキュミュレータ102などのアキュミュレータ、または別のアキュミュレータに蓄積することができる。
【0036】
[0039]図5に示すように、車両10は、シリンダ52の位置を監視するシリンダ位置センサ124を備えることができる。監視した位置に基づき、コントローラ92は、シリンダ52の位置、およびロッド59の拡張速度を判断することができる。コントローラ92は、ロッド59の実際の速度をオペレータがオペレータ入力42を通して要求した速度と比較することができる。速度が遅すぎる場合、コントローラ92はデューティサイクルを大きくすることができる。速度が遅すぎる場合、コントローラ92はデューティサイクルを小さくすることができる。
【0037】
[0040]同様に、コントローラ92がデューティサイクルを1(すなわち、最大出力)まで増加させ、ロッド59の所望の速度が達成されない場合、コントローラ92はバルブ122を開き、ポンプ132、またはアキュミュレータ102より高い別の圧力源からシステム100に大きな圧力を与えることができる。
【0038】
[0041]油圧コントローラ92は、全て同時に閉じるように(すなわち、全て閉位置に)高速切換バルブ106、108、110および112に命令することができる。油圧コントローラ92は、全出力モードと部分出力モードの間の変化を緩衝するまたは遅くするために、全ての閉位置を使用することができる。バルブ106、108、110、112の全てを閉じることによって、シリンダ52は均衡する可能性がある。コントローラ92はまた、シリンダ52の実際の移動がオペレータ入力を越えないことを保証するために全ての閉じ位置を使用することができる。例えば、オペレータ入力と位置センサ124によって感知されるような実際の移動の間の誤差修正として、全ての閉位置により、油圧システム100を均衡させることが可能になる。
【0039】
[0042]本発明が例示的な設計を有するものとして記載したが、本発明はさらに、本開示の趣旨および範囲内で変更することができる。本出願はしたがって、その一般的な原理を使用して、本発明の任意の様々な変更形態、使用、または適応形態を含むことを意図している。さらに、本出願は、本発明が関連する技術における知られているまたは習慣的な実施内にあるように、本開示からのこのような逸脱を含むことを意図している。
【符号の説明】
【0040】
10 車両
12 シャーシ
14 ブレードアセンブリ
16 オペレータ区画
18 接地係合デバイス
20 バックホー
22 バケツ
24 支持アーム
26 油圧シリンダ
28 油圧シリンダ
30 ブームアーム
32 ディッパースティックアーム
34 バケツ
36 油圧シリンダ
38 油圧シリンダ
40 スタビライザ
42 入力デバイス
52 複動式シリンダ
54 圧力源
56 ハウジング
58 ピストンアセンブリ
59 ピストンロッド
60 ピストンヘッド
62 孔チャンバ
64 ロッドチャンバ
66 孔側表面
68 ロッド側表面
70 全出力
72 リザーバ
84 部分出力
86 油圧制御システム
90 オペレータ入力
92 コントローラ
100 油圧システム
102 圧力源/アキュミュレータ
106 高速切換バルブ
108 高速切換バルブ
110 高速切換バルブ
112 高速切換バルブ
120 圧力ゲージ
122 バルブ
130 システム
132 圧力源
134 圧力ゲージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシと、
前記シャーシを支持する接地係合デバイスと、
前記シャーシによって支持された油圧システムであって、
ハウジングおよびピストンアセンブリを備えた油圧シリンダであって、前記ハウジングが前記ピストンアセンブリの少なくとも一部を囲んでおり、前記ピストンアセンブリがピストンヘッドおよびピストンロッドを含んでおり、前記ピストンヘッドが孔側表面および前記孔側表面と対向するロッド側表面を含んでおり、前記ハウジングおよび前記孔側表面が孔チャンバを画定し、前記ハウジングおよび前記ロッド側表面がロッドチャンバを画定する油圧シリンダと、
前記孔チャンバに加圧流体を与えるように前記孔チャンバと流体連通していると共に、前記ロッドチャンバに加圧流体を与えるように前記ロッドチャンバと流体連通している圧力源と、
前記圧力源と前記ロッドチャンバの間の流体連通を調節するように構成された少なくとも1つのバルブと、
前記ロッドチャンバへの前記加圧流体の供給を周期的に変更するように前記少なくとも1つのバルブに結合されると共に、前記油圧シリンダの所望の出力に関連して開コマンドと閉コマンドの間で自動的および周期的に交互になるように前記少なくとも1つのバルブに命令するように構成された制御システムとを備えた
前記油圧システムと
を備えた車両。
【請求項2】
前記圧力源はアキュミュレータである、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記少なくとも1つのバルブは、切換バルブである、請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記切換バルブは、約5Hz以上の周波数応答を有する、請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記圧力源と前記孔チャンバとの間の流体連通を調節するように構成された孔バルブをさらに備えた、請求項1に記載の車両。
【請求項6】
前記油圧シリンダは、複動式油圧シリンダである、請求項1に記載の車両。
【請求項7】
前記ロッド側表面は、前記孔側表面より小さい、請求項1に記載の車両。
【請求項8】
前記少なくとも1つのバルブのデューティサイクルを判断するためにオペレータ入力をさらに備えている、請求項1に記載の車両。
【請求項9】
車両の油圧システムによって加えられる動的可変平均流を生成する方法であって、
油圧シリンダおよび圧力源を含む油圧システムを備えた車両を提供するステップであって、前記油圧シリンダが孔側表面およびロッド側表面を有するピストンを備えており、前記油圧シリンダが加圧流体を受けるように前記圧力源に流体結合されているステップと、
デューティサイクルに基づいて前記孔側表面および前記ロッド側表面の少なくとも一方に圧力を周期的に与えるステップと、
少なくとも1つのオペレータ入力に応じて前記デューティサイクルを調整するステップとを含む方法。
【請求項10】
前記圧力源はアキュミュレータである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アキュミュレータは、ほぼ一定の圧力で加圧流体を蓄積する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記油圧シリンダは、複動式油圧シリンダである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ロッド側表面は、前記孔側表面より小さい、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
調整ステップでの誤差を判断し、誤差を小さくするためにデューティサイクルを調節するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
シャーシと、
前記シャーシを支持する接地係合デバイスと、
前記シャーシによって支持された油圧システムであって、
油圧シリンダ、
加圧流体を与えるように前記油圧シリンダと流体連通している圧力源、
前記圧力源と前記油圧シリンダの間の流体連通を調節するように構成された少なくとも1つのバルブ、
デューティサイクル上で前記油圧シリンダへの前記加圧流体の供給を周期的に変更するように、前記少なくとも1つのバルブに結合された制御システム、および
オペレータからの入力に基づいて前記デューティサイクルを調整する前記制御システムと連通しているオペレータ入力を備えた
油圧システムと
を備えた車両。
【請求項16】
前記圧力源はアキュミュレータである、請求項15に記載の車両。
【請求項17】
前記少なくとも1つのバルブは切換バルブである、請求項15に記載の車両。
【請求項18】
前記切換バルブは、約5Hz以上の周波数応答を有する、請求項17に記載の車両。
【請求項19】
前記油圧シリンダは、複動式油圧シリンダである、請求項15に記載の車両。
【請求項20】
前記制御システムは、前記油圧シリンダの拡張速度の増加を要求するオペレータに応じてデューティサイクルを大きくする、請求項15に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−137541(P2011−137541A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−269993(P2010−269993)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(591005165)ディーア・アンド・カンパニー (109)
【氏名又は名称原語表記】DEERE AND COMPANY
【Fターム(参考)】