説明

可変構成自動車

【課題】
現在の一般的な乗用車は数人乗車可能で高速走行、長距離走行の能力を有しているが、実際の使い方はその保有能力の一部活用の走行移動が殆どである。例えば一人乗車での走行移動の場合には、他の四人乗車分に関連する車体部分の重量は引き摺って走行していることになり、余分の多くのエネルギーを消費している。
旅客輸送量データからも平均乗車人数が1.358人であり、殆どの走行時において一人が移動するのに、1トン前後の重量を引きずって移動していることになり、エネルギー効率が極めて悪い移動手段である。
【解決手段】
乗用車システムを原点に立ち返って見直し、最小限の乗用車両と走行移動能力付加車両を組み合わせて一体構成が可能な可変構成自動車であって、走行移動方法と乗車人数に応じて最適な必要最小限な車両構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車システムに関するものであり、最小限の乗用車両と走行移動能力付加車両を組み合わせて一体構成が可能な可変構成自動車であって、走行移動方法と乗車人数に応じて最適な必要最小限な車両構成とすることにより、自動車の有する高い利便性を維持しながら、エネルギー消費量を革新的に減少させる車両システムとその運用方法である。
【背景技術】
【0002】
自動車は人々の日常生活や社会活動、企業官公庁等の業務追行に必要不可欠なものとなっている。日本を含む先進各国においては一家に一台は当たり前で、数台保有も珍しいことではなく、極めて身近な当たり前の存在になっている。
現在の一般的な殆どの乗用自動車である乗用車は乗車定員5人で、100km/h以上の最高速度、航続距離が数百kmの走行移動能力を有しており車両総重量は1トン以上である。然しながら、実際の使い方はその保有能力の一部活用の走行移動が殆どであり、例えば一人乗車での走行移動の場合には他の四人乗車分に関連する車体部分の重量は引き摺って走行していることになり、余分の多くのエネルギーを消費している。
然しながら、一般の人が乗用車を購入や利用する場合は、以上のような乗用車の中から選択せざるを得ないのが実態である。
【0003】
図1は標準的な定員5人の自家用の乗用車25の一般的な家族四人の家庭101での使用例である。家庭101では、日常的には通勤や買い物等の所用に使用し、休日には家族でドライブに出掛ける場合がある等である。以下に代表例として、日常の通勤と休日のドライブを例に説明する。往きの説明のみとし、帰りは省略する。
(1)日常の通勤
走行移動1032は、一人乗車の乗用車25aで会社1021に自動車通勤走行移動する場合の例である。図1では乗用車25aの丸記号が乗車席を表し、ハッチングの丸記号が乗車している状態、白抜きの丸記号が乗車していない状態を示している。一般的には日々繰り返される日常的な走行移動で、走行時間、走行距離は比較的短く、比較的低い平均走行速度で、一般路を走行する場合が多いが、必要に応じて自動車専用道や高速道等を活用するなど、比較的短時間ながら、中高速走行する場合もある。別の方法である走行移動1031は一般路等を走行して、最寄の駅1051で車を駐車し、電車105等の公共交通機関に乗車して駅1052まで移動し、そこから会社1021へは徒歩等で通勤する場合で、所謂パークアンドライドである。又、図示してないが、奥さん等に駅1051まで自動車25で送ってもらう、所謂キッスアンドライドにすれば自動車は日中買い物等の別の用途に活用でき、効率的である。
以上のような走行移動においては、例えば1日分の走行移動を総計しても、乗用車25の有する走行能力(乗車定員、最高速度、航続距離)の活用は一部なので、このような走行移動を短距離及び/又は短時間な走行移動なので、以後は短距離短時間走行移動1041とする。又、以上の説明では一人乗車の場合を例にしているが、乗車人数に関係なく、上記のような走行移動を短距離短時間走行移動1041とする。現状の乗用車25においては車体重量が重いので、走行燃費に対する乗車人数の影響は比較的小さいと言える。
尚、以上の説明において「走行移動」としたのは、本願発明の趣意が自動車の走行により消費するエネルギーを革新的に低減することが狙いであり、瞬間的な走行状態ではなく走行して移動することによる仕事量を表現するためである。
【0004】
(2)休日のドライブ
一般的には比較的頻度の低い場合が多いが、非日常的な走行移動の例として、家族4人乗車の乗用車25bで、観光地である目的地102に出掛ける場合の走行1033を説明する。走行1033は一般路等を長時間走行する場合や、最寄のインターチェンジから高速道路等を比較的長距離を比較的に高速度で走行する場合や、山岳地域の道路で登降坂の多い道路を走行して目的地102に行く場合である。
以上のような走行移動においては、長い走行時間で、長距離走行で、走行車速も比較的高く、乗車人数も比較的多い場合が一般的で、乗用車25の有する走行能力(乗車定員、最高速度、航続距離)のうち、その多くの能力を活用する走行なので、以後は、このような走行を長距離及び/長時間な走行移動なので長距離長時間走行移動1043とする。この場合も前項と同様に乗車人数に関係なく、上記のような走行を長距離長時間走行移動1043とする。
【0005】
(3)その他の走行
以上のような一般的な、代表的な乗用車の使われ方ばかりでなく、乗用車は天候に左右されず、時間的にも所有者だけの都合で走行移動が可能で、極めて利便性の高い移動手段として活用されている。従って、前述のように短距離短時間走行移動1041、長距離長時間走行移動1043だけでなく、中間的な中距離中時間走行移動1042や他の分類方法が考えられるが、本願発明は例として、短距離短時間走行移動1041、長距離長時間走行移動1043の二つに分類し、説明をする。尚、以後は短距離短時間走行移動1041、長距離長時間走行移動1043を総称して走行移動モード104とし、走行の分類については後の説明でも触れる。
以上のように本願発明では一般的な走行の分類の指標としてエネルギー消費量に着目して短距離短時間走行移動1041と長距離長時間走行移動1043に分類して説明するが、別の指標として走行距離に着目した短距離走行移動と遠距離走行移動、走行時間に着目して短時間走行移動と長時間走行移動、また使い方に着目すれば日常走行移動と非日常走行移動というように置き換えても良い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在の乗用車を改めて眺めてみると、百年ほど前に一世を風靡した乗用車の代表であるフォードT型等と比較しても、車としての基本的構成は本質的に変わっていないとも考えられる。例えば数人乗車可能とした車体に車輪は四つで構成されている。軽自動車の乗用車と大型の乗用車を比較しても、大きさ重さ、走行性能に差異が見られるものの、基本構成に本質的な差異はないと言っても良い。
これからは地球温暖化問題、化石燃料の枯渇等の大きな課題に直面することになり、自動車においても革新的な効率改善が必要となり、乗用車システムを原点に立ち返って見直すことが急務となるのは必然的である。
【0007】
近年、近い将来の化石燃料の枯渇や地球温暖化等が現実的な危機的な問題として急激に注目されてきつつあり、非特許文献1ではそのような危機的な状況をデータにより明確に説明するとともに、自動車に対する様々なエネルギー消費量低減の方策を主にITSの立場から整理し提言している。
又、燃費改善については自動車の機構構造面からの様々な取り組みがなされており、車両燃費改良技術の代表例として非特許文献2の4.4.5項の燃費の改善(P136〜139)に記載されている。そこに記載されている内容は主に(1)エンジンの熱効率改善、(2)エンジンの高効率領域の利用、(3)補記駆動エネルギーの低減、(4)非駆動時の燃料供給低減、(5)減速エネルギー回収、(6)走行抵抗低減であり、六項目に集約されている。
然しながら、以上の方策は基本的には現在の乗用車基準での改善、改良レベルを目的とする方策であり、問題点に対する抜本的な方策には不十分と言わざるを得ない。当然のことながら、燃費効率の評価においてもこれらの方策の効果を評価することが前提で行われている。
【非特許文献1】津川定之:“持続可能な交通システム”自動車研究第29巻第10号(2007年10月)P9-15
【非特許文献2】自動車技術会:自動車技術ハンドブック2004改訂版1基礎・理論編、表4-10(P137)
【0008】
以上のような課題を含めて特許文献1の(課題1)〜(課題5)に於いて、現在の自動車が有する様々な深刻な問題点が述べられている。特にその中の一つ(課題5)にて、これからの人口大国であるBRICs等の経済成長が著しく、このまま自動車台数が単純に増加すれば、エネルギー資源面で破綻するであろうことを述べている。特許文献1において提案する発明は、改めて自動車の原点に立ち返って、現在の自動車システムを見直すことによる新しい自動車システムの発明であり、そのような大きな課題に対する解決策となり得る。本願発明は特許文献1の発明である自動車システムをさらに進化させ明確にしたものである。
【特許文献1】特願2007-341461
【0009】
特許文献1で説明した(課題1)〜(課題5)を以降に改めて記述する。自動車は高度な技術や複雑な制御が適用されている極めて大きな精密なシステムであるが、その利便性のゆえに身近な生活の場で大量に使われている。そして、前述したように自動車は一般的には乗車定員数人で、車両総重量は1トン以上、最高速度は100km/時以上、走行距離は数百kmの極めて大きな能力を有している。然しながら現実の使用方法においては、図1で説明した使用例のように、その保有する能力を全面的に活用する機会は少なく、以下のような大きな問題点を有していることになる。
【0010】
(課題1)自家用乗用車の輸送効率が低い。
非特許文献1によれば、自家用乗用車25は輸送機関全体のエネルギーの82.7%を消費するが、輸送量は60.1%である。一方、鉄道の輸送機関全体のエネルギー消費は3%であるが、輸送量は27%をしめている。自家用乗用車の輸送効率が相対的に極めて低い点が大きな課題である。地球温暖化問題が叫ばれる中、自家用乗用車の輸送効率の低減を、早急かつ革新的に図る必要がある。
【0011】
(課題2)平均乗車人数が1.358人である。
図2(1)に非特許文献3の旅客輸送量及び原単位データ活用の計算例を示す。自家用の登録自動車の乗用車の場合の例で実働1日1車当たり輸送人員が3.64人であり、実働1日1車当たり輸送回数が2.68回で除算すると平均乗車人数が1.358人/回となる。
この数値は走行している自動車の大半が一人乗車で、二人以上が乗車している自動車の走行する割合が僅かであることを示している。即ち、大半の走行時において、一般的には体重数十kgの一人が移動するのに、1トン前後の重量を引きずって移動していることになる。即ち、現在の乗用車で一人移動するには、使用エネルギー効率が基本的に極めて悪い移動手段と言えるであろう。
【非特許文献3】国土交通省:自動車輸送統計年表、平成17年度、旅客輸送量と原単位3-1-2自家用乗用車
【0012】
(課題3)一日の走行距離、走行時間が少ない
図2の非特許文献3の原単位データで、実働1日1車当たり走行キロは自家用乗用車で39.23km。走行時間は図2(2)の計算例では、平均走行速度を30km/時と仮定すれば、1.31時間である。即ち、残りの一日の大半の時間は、自宅や会社等移動先の車庫や駐車場等で非稼動の状態で置かれ、スペースも占有していることになる。
更には図2に示すデータは実際に走行している自動車のデータであり、その他にも車庫等に眠ったままの自動車が多数存在していることは身近に感じることである。特に自家用乗用車の場合はせいぜい週に一度使うかどうかというような場合が数多く見受けられる。そのようなことまで考えれば、乗用車全体の平均の稼働率は更に低くなるものと思われる。
多数の生産工程、多くの様々な部品や原材料を集積した高度な複雑な精密な大きく、かつ重い上に極めて大量に使われているシステムでありながら、稼働率が極めて低いことになり、経済的、資源的、エネルギー的にも大きな無駄であり、損失となっている。
【0013】
(課題4)移動手段としての役割と走る楽しみが同時に要求されている。
自動車は極めて利便性の高い移動手段であり、様々な使われ方がされている。自動車の総台数の多くを占める一般家庭の乗用車の使われ方を大きく捉えてみると、例えば以下のように二つの使い方に層別することが出来る。
一つは日常的な通勤時や買い物時、商用での走行移動時等での使用であり、一般的には一人乗車ないしは少人数乗車し、短距離短時間の走行移動であるが、走行頻度の比較的高い走行移動である。このような走行移動では、ひと区切りの走行移動による移動距離は小さいが頻度が高いため、累積の走行距離がその乗用車の総走行距離に占める割合が比較的高い場合が多い。
二つ目の使われ方は、例えば、偶の休日には家族・仲間同士で揃って、一台の乗用車に複数人乗車して、一定の共通の団欒できるスペースの中で、観光地等へドライブするような走行移動である。このような走行移動では比較的頻度が少ない場合が多いが、一般的には長距離長時間の走行移動であり、高速走行や山間部の登降坂走行等が含まれることが多い。このような走行移動では頻度が少なくても、ひと区切りの走行での走行距離が長いため、使う人によってはその乗用車の総走行距離に占める割合が多くなる場合もある。
即ち人が自動車を所有するときは、以上の要求の最大公約数として、乗車定員数人で、車両総重量は1t以上、最高速度は100km/時以上、走行距離は数百kmの能力を有する自動車を所有するのが一般的である。又、市場に出回っている乗用車も以上の要求を考慮した仕様となっており、軽自動車と大型乗用車を比較しても大きな差異が見られないと言っても過言ではない。
各個人の必要に応じて、また場合に応じて変わる様々な要求に、それぞれ対応できる自動車を別々に所有することは経済的にも駐車のスペース面等からも現実的ではないからである。即ち、経済的には一人乗りの小型軽量な乗用車が良いと言っても、普及しない大きな理由の一つである。
【0014】
(課題5)自動車台数の単純増加ではエネルギー資源、原材料資源面で破綻する。
高度で複雑で、多くの大量の資源、材料、エネルギーを使用して生産される大きなシステム製品でありながら、身近に大量に販売され、所有されている。加えて、近年においてはBRICs等の人口大国の経済成長が著しく、単純に現在の先進国レベルの自動車保有率になると仮定すれば、世界中の自動車台数が現在の数倍になる。これはエネルギー資源、原材料資源等の面でも現実的には成立が極めて困難と言わざるを得ない。尚、この問題は自動車に限定される問題でなく、生活水準の向上により様々の分野でエネルギー消費量、原材料資源消費量が増加することであり、単純に考えれば人間の生活の存続そのものにも係る話であるが、ここでは自動車に限定している。
【0015】
以上のように極めて大きな課題が自動車に存在し、その中の一部の課題に対しては、これまでに各種の提案がされている。(課題1)に対しては非特許文献1では情報技術活用による自動車交通の地球温暖化対策としての様々な方策を紹介している。(課題2)に対しては非特許文献4では一人乗り車両が必要に応じて複数台隊列走行する方法が提案されている。特許文献2では単独走行が可能な一人乗りの車両を、必要に応じて複数台組み合わせ、連係して所定の走行形態で一体的に走行する車両が提案されている。特許文献3では一人で利用する場合は単独車両を車両本体から切り離して単独走行する案である。特許文献4では、各車両には小型バッテリーを備え、連係して走行する場合は連結装置に備えた大型バッテリーを使用する案である。
然しながら、いずれの案も前述した課題1から課題5に対し、総合的に対応できる案ではなく、一部の課題に対する案である。特許文献1で提案されている発明は、以上のような自動車に対する様々な大きな課題に対し、総合的に解決できる発明であり、自動車の高い利便性を維持しながら、革新的にエネルギー効率の良い車両システムとその運用方法に関するものである。特許文献1の発明は、一人乗りの日常的な走行移動能力を有する超小型の乗用車両と、その乗用車両に長距離長時間走行移動に必要なエネルギー等の機能付加能力を有する走行移動能力付加車両等で車両システムを構成し、複数人乗車して移動する場合や家族、同僚等とドライブする等の長距離長時間走行移動等の様々な走行移動状態に応じて必要最小限の車両構成で一体となって走行する車両システムとその運用方法を提案している。自動車が本来有する極めて高い利便性を生かしたまま、革新的にエネルギー効率を高める考え方である。
又、特許文献5の発明は特許文献1で提案している車両システムを「可変構成自動車」と定義し、走行移動により消費するエネルギーを相対的に評価することにより、可変構成自動車の走行移動状態に対応する最適な車両構成を設定する方法について提案している。
本願発明は以上のような自動車に対する様々な大きな課題に対し、総合的に解決できる発明であり、特許文献1にて提案した発明を進展させ、より具体的に明確にした発明である。自動車の高い利便性を維持しながら、革新的にエネルギー効率の良い車両システムとその運用方法に関するものである。
【非特許文献4】S.Tsugawa,et al.:Super Smart VehicleSystem-Its Concept and Preliminary Works, Proceeding of Vehicle Navigation andInformation Systems Conference, Vol.2, pp269-277(1991)
【特許文献2】特開2006-338117
【特許文献3】特開2007-1490
【特許文献4】特開2007-22229
【特許文献5】特願2008-274993
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載の発明では、運転操作を行う運転手段と、自車両を駆動する駆動手段とを具備する乗用車両と、前記乗用車両に車両機能を付加及び/又は強化する機能付加装置とからなる車両システムであって、乗用車両と機能付加装置を連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする可変構成自動車を提案することによって、前記目的を達成する。
請求項2に記載の発明では、前記機能付加装置が機能付加車両とからなる車両システムであって、乗用車両と機能付加車両を連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、前記機能付加車両は前記乗用車両に、長距離及び/又は長時間の走行移動である長距離長時間走行移動の走行能力を付加及び/又は強化する走行能力付加車両であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、前記可変構成自動車は、複数の走行状態に対応して1以上の乗用車両と、ゼロ又は1以上の走行能力負荷車両を連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする。
請求項5に記載の発明では、前記複数の走行状態は、自動車の走行移動方法を分類する方法である走行モードと、自動車の利用状態である走行移動する乗車人数に対応して分類する方法である乗車人数モードにより定義され、その複数の走行状態の一つの走行状態に対応させて1以上の乗用車両と、ゼロ又は1以上の走行能力負荷車両を連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、前記走行モードは、自動車の走行移動方法である短距離及び/又は短時間の走行移動である短距離短時間走行移動と長距離及び/又は長時間の走行移動である長距離長時間走行移動を含み、前記乗車人数モードは自動車の利用状態である走行移動する乗車人数に対応することを特徴とする。
請求項7に記載の発明では、前記乗用車両は、前記走行モードの一つである短距離及び/又は短時間の走行移動である短距離短時間走行移動の走行能力を有する車両であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、前記機能付加装置は、前記乗用車両の保持する車両機能を付加及び/又は強化することを特徴とする。
請求項9に記載の発明では、前記機能付加装置は前記乗用車両に、走行モードの一つである長距離及び/又は長時間の走行移動である長距離長時間走行移動の走行能力を付加及び/又は強化する走行能力付加装置であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明では、前期可変構成自動車は、前記走行モードが前期短距離短時間走行移動の場合の走行セルにおいては、その走行セルに対応する乗車人数モードの乗車人数に応じた台数の前記乗用車両を連携させて一体の自動車を構成し、前記走行モードが前記長距離長時間走行移動の走行セルにおいては、その走行セルに対応する乗車人数モードの乗車人数に応じた台数の前記乗用車両と、一台又は複数台の前記走行能力付加車両を連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする。
請求項11に記載の発明では、前期可変構成自動車は、前記走行モードが前期短距離短時間走行移動の場合の走行セルにおいては、その走行セルに対応する乗車人数モードの乗車人数に応じた台数の前記乗用車両を連携させて一体の自動車を構成し、前記走行モードが前記長距離長時間走行移動の走行セルにおいては、その走行セルに対応する乗車人数モードの乗車人数に応じた台数の前記乗用車両と、一台又は複数台の前記走行能力付加装置を連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする。
請求項12に記載の発明では、前記走行能力付加車両は自身が走行能力のある車両であることを特徴とする。
請求項13に記載の発明では、前記可変構成自動車を構成する1以上の前記乗用車両と、ゼロ又は1以上の前記走行能力付加車両は、相互に連結装置で連結し、連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする。
請求項14に記載の発明では、前記連結装置は、前記可変構成自動車を構成する1以上の前記乗用車両と、ゼロ又は1以上の前記走行能力付加車両の相互間に相互にエネルギー授受ができる機構を具備することを特徴とする。
請求項15に記載の発明では、前記連結装置は、連結する1以上の前記乗用車両とゼロ又は1以上の前記走行能力付加車両の相互間に、連結による相互負荷を軽減する柔軟な機構を有する連結装置で相互に連結する連携形態であることを特徴とする。
請求項16に記載の発明では、前記可変構成自動車を構成する1以上の前記乗用車両と、ゼロ又は1以上の前記走行能力付加車両は走行時において、一体自動車としての連携の下に、各々個別に走行制御及び/または姿勢制御することにより相互間の連結負荷を軽減することを特徴とする。
請求項17に記載の発明では、前記可変構成自動車を構成する複数の前記乗用車両の相互間において、車室空間を共有可能とする開放部を設けることを特徴とする。
請求項18に記載の発明では、前記可変構成自動車を構成する1以上の前記乗用車両と、ゼロ又は1以上の前記走行能力付加車両は走行時において、一つの乗用車両の一人の乗員のみが運転操作可能とし、他の乗用車両と走行能力付加車両は、前記一つの乗用車両の運転操作と走行制御状態及び走行姿勢に対応するように、連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、
(1)常にどのような走行状態に対しても、必要最小限の車両重量の自動車で走行移動でき、消費エネルギーが軽減できる。
(2)なおかつ家族や仲間同士での揃っての移動時にも、寛ぎ団欒できる共通空間を提供できる。
(3)使用頻度の高い車両には、必要最小限の大きさの車両を最少必要数だけ所有すればよく、経済的にも空間的にも有利である。更に使用頻度の低い単位車は共同所有でタイムシェアリングする、又はレンタカーとすることにより総台数を必要最小限とし、有効活用することが可能となり、乗車人員一人当たりの、車に使われる資源、原材料を大幅に削減できる。
(4)飲み会に車で出掛けても、帰りは自分の車に乗車して、飲まない人の車の伴走車として送ってもらうことが出来る。
(5)移動方法も選択の自由度が広がり、活動範囲を拡張できる。
(6)本願発明はエネルギー源やエネルギーの種類、動力源の種類等には、無関係に適用できる基本的な考え方であり、現在自動車の消費エネルギー改善に検討されている殆どの方策が適用できる。
(7)自動車の生産からユーザーに販売するまでの全ての過程において関連する原材料、製造設備、生産工数、製造に消費するエネルギー等を大幅に削減できる。
(8)以上の効果の相乗効果により、自動車分野でのCO2排出の大幅削減効果があり、地球温暖化対策に大きく貢献できることになる。
(9)また、今後のBRICs等の人口大国の経済成長により、世界全体の自動車台数が急速に増加する可能性が大きいが、そのような事態に対しても対応できる自動車システムの発明である。
(10)又、以上のことは前述した非特許文献2のP136〜139に記載されている様々の車両燃費改良技術はそのまま適用できる技術であり、特許文献1と特許文献5の車両システムにも有効である。非特許文献2の車両燃費改良技術は主に内燃機関を前提にしているが、モータ等の他の原動機に置き換えても良い。近い将来に実用化が期待されている家庭の帰宅後や移動先の駐車場等で充電する電気自動車等、いわゆるプラグインEV等にも適用できることは当然である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の運用システムの最適な実施の形態について、図3から図45を参照して詳細に説明する。特許文献1に記載の発明を進化させ、明確に説明する。可変構成自動車の最適な構成設定方法とそれによるエネルギー消費率の改善効果は特許文献5に記載されているので参照されたい。
最初に本願発明を説明するに当たって、適用するシステムとして特許文献1で詳細に述べられているシステムを改めて明確に説明する。特許文献1の例は現状の自動車を改めて基本に立ち返って説明しており、それに基づいて本願発明を説明することが分かりやすいからである。
(1)車両構成の基本的な考え方
図3に現在の一般的な乗用自動車の仕様を基準にして、重量構成に関して本願発明の車両の構成例を示す。図3の“(1)現在の車の構成”に現在の標準的な定員5人の乗用車25の重量構成を模式的に示す。縦軸を車両総重量を乗車定員数で除した一人当たり重量とし、横軸を乗車定員分の乗車人数とした。即ち乗用車25の枠内の図の面積が車両総重量をあらわす。車両総重量は車両本体251と乗車定員である乗車人員(n)252(図3中で四角枠のPで表示)の5人分の重量の総計である。図3の(1)の例では乗車人数は一人2521のみの場合を示す。2521のPの枠の縦線のハッチングは乗車している状態を表し、白抜きのPの枠2522〜2525は乗車していない状態を表すものとし、以下同様である。車両本体251は乗車定員5人乗車の場合の車両総重量、殆どの乗用車は1t以上である乗用車の車両総重量を、最高速度100km/時以上、走行距離数百km走行できる能力を保有している。従って、日常的な通勤時や買い物時、商用での移動時等での使用のように一般的には一人乗車ないしは少人数乗車し、短距離短時間の走行の場合には、不必要な過剰な能力を保持していることになる。
以上のような走行は短距離短時間走行移動1041であり、後の説明において詳細に説明する。特許文献1における「少エネルギー走行1041」と基本的に同一である。同様に、対比する走行である長距離長時間走行移動1043についても、後の説明において詳細に説明する。同様に、特許文献1における多エネルギー走行1043と基本的に同一である。
【0019】
そこで先ず図3の“(2)車両の機能分割”において車両本体251を、人を乗車させ日常的な短距離短時間走行移動1041に最低限必要な基本走行移動能力を有する基本走行車両部2511と基本走行車両部2511に長距離長時間走行移動1043機能を含む様々な付加能力を付加する「車両機能付加部2512」に仮想的に重量を分割する。様々な付加能力としては、例えば短距離短時間走行移動1041をする場合において、荷物を搭載するために車両機能付加部2512を必要とするような場合をも考える。この車両機能付加部2512には高速走行移動、長距離走行移動、及び多人数乗車しての走行移動等に対し、車両の走行移動能力を高めるための付加部分であり、エンジンや車体や車体強化部分、大量の搭載燃料や乗員の快適性・利便性関連等を含めて考える。基本走行に必要な車体やエンジン、燃料等、更には人の乗車関連部分は基本走行車両部2511に含めて考える。以上のように、二つの分割部分、基本走行車両部2511と車両機能付加部2512には、車体、原動機、エネルギー源(燃料、バッテリー等)、快適性、安全性関連等の全ての必要な機能を、分割部分の設定必要機能を考慮して分割する。尚、ここで言う車両機能付加部2512の付加の意味は、元々無い機能を付け加える意味と、元々有る機能を更に追加或いは強化する意味も含めて考える。以降の説明において、機能付加の意味は同様である。
【0020】
次に図3の“(3)発明の車の構成1”においては図3の“(2)車両の機能分割”の基本走行車両部分2511と車両機能付加部2512を車両29の乗車定員である乗車人員(n)252の5人分で仮に分割する。実際は、定員5人乗車は稀であり、最大4人乗車で考えるのが現実的であるが、本願発明では仮に5人として以下の説明を続ける。分割割合は後述の個別車両の役割分担等に応じて任意に考えれば良いが、図3の(3)の例では均等に分割している。
基本走行車両部分2511を5分割した一つを、一人乗車の基本走行移動能力を有する乗用車両とし、以下「子車21」と定義する。基本走行移動能力については本願発明の説明では例として、短距離短時間走行移動1041の走行移動能力を有するものとして説明するが、限定するものではない。車両機能付加部2512を分割した一つを以下、「機能付加装置37」と定義する。即ち、この子車21と機能付加装置37、後述の機能付加装置37に走行移動能力を付加した「機能車23」(と定義する)が本願発明の基本的な構成要素である。機能車23の一つで乗用車両である子車21に連結し長距離長時間走行移動1043の能力を付加する走行移動能力付加車両を「エネルギー車231」と定義する。
一人乗車で短距離短時間走行移動1041時には子車21を使って走行し、長距離長時間走行移動1043時には機能付加装置37を子車21に付加して、あるいは子車21と機能車23が連係走行することが本願発明の基本的な走行である。以上の説明では基本的な構成要素として、一人乗車分の子車21、機能付加装置37、機能車23としたが、これは前述したように一般的に一人乗車の割合が高いからである。個別の場合には、例えば殆ど二人乗車で車を使う場合が多ければ、二人乗車分に分割すればよい。当然のことながら常に五人乗車し、長距離長時間走行移動1043であれば現在の乗用車でよいのである。機能付加装置37、機能車23についても同様であり使用実態に応じた設定にすれば良いのであり、限定するものではない。
【0021】
図3の“(4)発明の車の構成2”は前項の機能付加装置37を機能車23に置き換えた図であり、他は同じである。以降の説明においては、子車21と機能車23との組み合わせを主に説明していく。機能付加装置37を活用する場合の説明においては、機能付加装置37は自走能力の有無は無関係なので、子車21と機能車23との組み合わせにおいて、自走能力を前提に説明している箇所では、自走能力なしを前提とした運用方法にも触れて置き換えればよい。
【0022】
子車21は一人乗りで短距離短時間走行移動1041に必要な安全性、快適性等を備え、最低限の大きさ、重量、走行能力、エネルギー量等で構成される。機能車23は子車21を支援する機能を有し、遠距離走行や高速走行、登降坂の多いルートの走行等エネルギー消費の多い長距離長時間走行移動1043に必要な走行能力、エネルギー量、快適性、安全性、荷物搭載機能等の現在の自動車が有している機能を乗車人数に応じて付加できる。子車21、機能車23、後述の母車22を総称して本願発明の基本的な車両構成、又は構成要素とし、以下「単位車20」と総称する。又、後述の複数の単位車20が集合し、合体し一体走行する車両状態を「合車24」とする。以上のように本願発明の自動車システムは走行状態に応じて車両構成が変換可能な自動車であり、以下「可変構成自動車」と定義する。
【0023】
(2)走行の分類
図4に走行モード(m)104と乗車人数モード(n)752に対応した本願発明の車両構成の例を示す。ここまでの説明では横軸は乗車人数と表記しても充分ではあるが、乗車人数や走行目的に付随する荷物等の搭載物の変動を含む意味で「乗車人数モード(n)752」と定義し、以下表記する。特に後述するように本願発明の説明に用いる可変構成自動車のように乗車人数に対応して車両構成の変動を伴い、それにより車両重量が大きく変動をする車両システムの場合には、より重要な意味合いを有することになる。
図4の車両構成例は重量構成を面積比で定量的に表したもので、車両構成の形態や連結方法を表したものではない。縦軸に走行モード(m)104として、走行モード(m=1)の前述した短距離短時間走行移動1041、走行モード(m=2)の前述した長距離長時間走行移動1043の二つに分類した。そして、横軸に乗車人数モード(n)752の一緒に乗車して移動する乗車人数(n)252を示している。
本願発明の説明で用いる走行モード(m)104は、非特許文献2のP137の表4-10に示す日本を含む各国燃費規制の各々において規定されている特定の走行パターンのように厳密に走行方法を規定する必要はないが、前述したように現在の車の使われ方を大きく捉えて代表できる複数の走行パターンが設定できれば良く、本願発明の例では前述の(課題4)で説明した二つの使い方を「短距離短時間走行移動1041」、「長距離長時間走行移動1043」の二つの走行モードに分類して現実的な実用的な走行移動を表現する。
例えば短距離短時間走行移動1041の代表例である通勤を例にとると、家を出る時刻は様々な都合があり必ずしも一定ではない。又、途中の渋滞状況も時間帯、曜日、季節、天候、事故、工事等により様々である。通勤ルートにしても、時には別ルートにする場合もあり、支店に立ち寄る場合やよその会社に出張等、日々変動する要素が多くある。従って、厳密に考えれば同一の走行方法は一つとしてないと考えても間違いではない。然しながら、このような走行による燃費が実用燃費であることが実態である。本願発明で用いる走行モードは以上のような走行を類似走行として分類する方法である。
以上の分類方法は、主に自動車を活用する立場からの分類方法であるが、走行方法の別の分類方法として、自動車の走行能力(乗車定員、最高速度、航続距離等)の活用度合いに着目しても良い。例えば、走行能力の一つである航続距離の活用度合いの低い走行を「低負荷走行移動」、活用度合いの高い走行を「高負荷走行移動」とする。現在の乗用車は軽自動車から大型乗用車を並べてみると、航続距離には大きな差異はなく、低負荷走行移動は短距離短時間走行移動1041、高負荷走行移動は長距離長時間走行移動1043とほぼ同一の走行方法の分類方法となる。
自動車の走行能力については他にも最高速度、加速/減速性能、旋回性能、搭載能力等の活用度合いでも必要に応じて類推して分類できるが、本願発明では触れない。
【0024】
短距離短時間走行移動1041は、日常的な通勤や通学、買い物等の所用のために一人乗車ないしは少人数乗車し、一般的には短距離短時間の走行、比較的近距離で、比較的低い平均走行速度で、比較的短時間の走行で日常的に繰り返される身近な走行を表している。そして、そのような走行の場合には、例えば一日での走行している時間も比較的短時間であり、走行する以外の1日の殆どの時間は自宅又は移動先の駐車場所等で何もせずただ駐車しているだけである。当然のことながら通勤のために自動車専用道や高速道路等を利用して高速走行することもあり、含めて考える。要は走行に必要なエネルギー量が比較的少ない走行である。従って、走行の一部に渋滞走行や高速走行等の単位走行距離当りのエネルギー効率の低い走行が含まれていても、走行の目的を達成するための総消費エネルギーが比較的に少ない走行を意味するものとする。別の言い方をすれば、例えば通常の日常的な1日の通勤や所要等の全てを含めて考えることも可能である。基本的にはエネルギー消費量と補給のバランスの問題であり、例えば電気自動車の場合ならば帰宅後に夜間充電や移動先の駐車場等で充電が出来るならば、日常的な一日分、又は充電間隔分の全走行を短距離短時間走行移動1041と設定しても良いことになる。
搭載エネルギー量が多くなれば、当然車体重量が重くなり、近距離走行時に余計な重量を常に引き摺って走行することになるので無駄である。従って日常的な走行時には必要最小限な重量とする必要がある。
【0025】
短距離短時間走行移動1041に対比する長距離長時間走行移動1043は、長距離を長時間走行移動する場合で、高速道路等を高速走行する場合や登降坂の多い、走行に必要なエネルギーが多い走行やそれらを複合した全走行の総エネルギー量が多い走行である。その中には低速走行も当然ながら含まれる。例えば、偶の休日には家族・仲間同士で揃って、一定の共通の団欒できるスペースの中で、纏まって移動する場合等が含まれる。このような長距離長時間走行移動1043の場合は、動力性能としての遠距離、高速走行性能だけでなく、そのような走行移動に付随する乗員の快適性・利便性・安全性関連等が必要だということを含めて考える。尚、以上の分類方法は、他にも変型例は各種考えられるが、本願発明の説明では前述したように短距離短時間走行移動1041、長距離長時間走行移動1043という二つに分けて説明を進める。他に、両走行移動の中間的な走行の設定が必要であれば、例えば中距離中時間走行移動1042というように、必要に応じて設定すればよい。
【0026】
このように走行モード(m)104と乗車人数モード(n)752に基づいて、自動車の走行状態を分類したものを以下、「走行フェーズ19」と定義する。そして、走行モード(m)104と乗車人数モード(n)752より分類する走行フェーズ19の構成要素を「走行セル(Pmn)190」と定義する。即ち、一つの走行セル(Pmn)190は走行モード(m)104の一つと、その時の乗車人員(n)252の乗車人数で特定される自動車の一つの走行状態を表す。従って、走行セル(Pmn) 190の集合体が走行フェーズ19であり、走行フェーズ19は自動車の全ての走行状態を含ませて表現でき、整理することが出来る分類整法である。此処で全ての走行状態という意味は、必要な範囲内での全ての走行状態ということである。
【0027】
これまでの説明で、以上の分類は一般的な家庭の乗用車の走行移動を例に取り説明しているが、自動車の使われ方は様々であり必要な分類対象の自動車又は自動車群に対して適応した走行移動の分類が出来ることは当然である。重要な点はどのような分類対象であれ、その分類対象の自動車又は自動車群の走行移動形態を全て含むように分類することが可能である。勿論、一般的でない極めて特殊な走行移動の形態は除いて検討する方が良い場合もありえることも当然である。
走行移動の分類対象の例を挙げると、一個人の走行移動の場合、ある団体、地域、国や全世界等で分類する場合や、自動車の車種、形式、大きさ、製造メーカー等々で分類し、分布を解析することによりあらゆる場合に応じて適切に表現し、様々な有益な情報を読み取り活用することが可能となる。適用例の一つを特許文献5の図19に説明されているので、参照されたい。
【0028】
例えば、図4の中で走行フェーズ19の一つの構成要素である走行セル(P11)1911は、一人が短距離短時間走行移動1041する場合を表している。その場合の車両構成を図4の例では、本願発明の最も基本的な必要最小限な構成である子車21と乗員2521で構成する例を示している。同様に走行セル(P25)1925の車両構成例は、乗員252が5人、子車21と機能車23が5台で構成し、図3(1)で示した現在の標準的な自動車29が乗員5人で長距離長時間走行移動1043する場合と同様である。
【0029】
この走行フェーズ19の考え方は特許文献5の発明の根幹の一つである。乗用車の消費エネルギーを考える際に、一般的には様々な走行モードに対し、一台の車が単位燃料量当りの走行距離、即ちkm/Lで評価されている。然しながら日々の生活の中では前述の走行モード(m)104としての短距離短時間走行移動1041と長距離長時間走行移動1043のように様々な走行があり、乗車人数も一人以上で最大定員までと様々である。このような観点から、本願発明では様々な走行状態、前述の例は走行セル(P11)1911から1915と1921〜1925毎に消費するエネルギーを全ての走行セル(Pmn)190で総計し、又は必要に応じて一部の走行セル(Pmn)190で総計し、消費エネルギーを評価する。詳細は特許文献5を参照されたい。
尚、ここで定義した走行セル(Pmn)190は特許文献1で説明している4桁の符号で示す各走行フェーズに対応している。例えば、特許文献1の走行フェーズ1911、走行フェーズ1925は本出願の走行セル(P11)1911、走行セル(P25)1925に夫々対応している。以下、同様である。
【0030】
(3)実施形態の概要
本願発明の実施形態の車両は、単独走行が可能な一人乗り用で必要最小限の乗用車両や自動走行可能な機能車両を走行フェーズ19の構成要素であり様々な走行状態である走行セル(Pmn)190に応じて最適な車両構成を提供し、又、様々な走行セル(Pmn)190が複数組み合わされた旅行計画に基づいて効率的に運用する。
乗車人数に合わせ、又乗車メンバーの個々の行動の相違により変動する走行セル(Pmn)190にも対応させながら、使用総エネルギーが最少となるように運用する。
【0031】
図5に本願発明車両と現状の乗用車との走行セル(Pmn)190に対応した車両重量の比較を定性的に示す。図示した面積の比が概略の重量比を表す。一人乗車での短距離短時間走行移動1041の走行セル(P11)1911では、下段の乗用車が五台分の子車21と機能車23、即ち基本走行車両部2511と車両機能付加部2512と一人の乗員252であるのに比し、上段の本願発明の車両構成は一つの子車21と一人の乗員252の重量構成でよい。
仮に現在の一般的な乗用車の重量構成を参考にして、概略ではあるが、乗員の重量を1、子車21の重量を3、機能車23の重量を2とした場合には、本願発明車両の総重量/現在の乗用車での総重量は(1+3)/(1+3×5+2×5)=0.167となり、六分の一の総重量で走行できる。車両総重量は走行で消費するエネルギー量に影響する最も基本的な大きな要素であり、総重量の大きな低減は走行エネルギーの削減に、極めて大きな効果を発揮する。同様に五人乗車での短距離短時間走行移動1041の走行セル(P15)1915では、下段の乗用車が五台分の子車21と機能車23、即ち基本走行車両部2511と車両機能付加部2512と五人の乗員252を総計した重量相当であるのに比し、上段の本願発明の車両構成は車両機能付加部2512を除いた重量構成と出来る。即ち、重量比は三分の二で走行できることになる。
同様に走行セル(P25)1925の場合は5人乗車で長距離長時間走行移動1043する場合で、下段の現在の乗用車と上段の本願発明の重量構成は同一となる。以上のように走行セル(Pmn)190に応じて自在に車両構成を編成して、常に必要最小限の車両構成を可能とすることにより使用エネルギーを必要最小限とすることが実現できる車両システムと、その運用方法であり、本願発明の狙いである。の詳細は特許文献5を参照されたい。
【実施例1】
【0032】
(1)運用システム1
図6に、一般的な家庭の、ある休日のドライブを例にして実施形態の運用例を説明する。両親と子供二人の四人家族の、ある家庭101で次の休日に目的地102にドライブに行くことになった。あらかじめ運行管理センター114と連絡を取り、目的地情報や渋滞予測情報をベースに旅行計画1101を設定する。所有している子車は、普段父親(以下、乗員F)が通勤に使っている一台の子車2101だけなので、近くのレンタカー店1151で3台の子車2102,2103,2104を予約する。更に長距離高速ドライブとなるので機能車23の一つであるエネルギー車231のうち子車21の4台用のエネルギー車2314をレンタカー店1152に予約する。これらのレンタカー店115の選択と機能車23の選択は運行管理センター114からの情報をベースに走行ルート、道路種別、交通予測等を加味し、旅行計画1101で、最少のエネルギー消費量となるように設定されている。
【0033】
当日は出発予定時間までに間があるので、レンタカー店1151に連絡し3台の子車2102、2103、2104をあらかじめ届けてもらうことにし、3台の子車2102,2103,2104は自動走行で自宅101に届けられた。母親(以下、乗員M)は、3台の子車2102,2103,2104を連係させ、あたかも一台の車のように一体走行可能な合車24の一つの形態である後述するソフト合車241aを構成する。構成する三台の子車を2102a,2103a,2104aとする。図6の例はいわば二次元プラトゥーニングというべき形態で、相互に適切な車両間隔を相互の情報交換により車両制御し保ちながら、あたかも一台の車のように合車24の状態を構成するが、この合車状態は機械的に接続してない状態なので、以下「ソフト合車241」とする。後述の機械的に連結する合車の状態を「ハード合車242」とする。
乗員Mはソフト合車241a状態で、二人の子供(以下、乗員C1,C2)を公園111に送り、遊ばせる。この間に乗員Mは子車2103,2104を公園111に駐車させ、子車2102bでスーパー112に立ち寄り、ドライブ用の食べ物、飲み物等を調達し、公園に戻り子供と遊ぶ。公園に子車2103,2104を駐車させることにより、乗員Mは必要最小限の子車2102bのみで移動できるので、走行に必要なエネルギーを最小限にできる。
【0034】
三台の子車は各々独立に運転による走行が可能となっているが、設定により乗員Mの乗った子車2102のみが運転可能(マスター車)と設定し、子車2103,2104は子車2102の走行に追従走行のみ可能(スレイブ車)と設定されている。後述するが設定は自由に出来るわけではなく、例え設定されていても、各々の子車には乗員を認識する機能が備わっており、登録された乗員のみが運転可能にしている。また、マスター車設定され、登録されている乗員でもアルコールが検出された場合や、眠気等の運転不適当と判断された場合等にも運転できないように設定することができる。
又、当然のことながら、以上の旅行計画1101では子供C1、C2用の子車2103、2104は運転機能を具備する必要はなく、よりシンプルな軽量な子車を選択することも可能である。
【0035】
乗員Fは三人とは別に、子車2101aに乗り、ゴルフ練習場113で汗を流し、旅行計画1101のゴルフ練習場113の出発予定時間になると、子車2101cで家族との合流地点1161に向け走行する。この走行情報は通信回線を介して運行管理センター114に伝えられている。
【0036】
運行管理センター114は乗員Fの乗った子車2101cの走行情報、ゴルフ練習場から合流地点1161への走行予定ルートのルート情報、交通情報、公園111から合流地点1161までの同様な情報を加味し、乗員Mへは旅行計画1101の公園111の新しい出発予定時刻を伝達する。尚、本実施形態の場合は公園111から合流地点1161への所要時間は、ゴルフ練習場113から合流地点1161への所要時間より短いという前提で説明した。逆でも良いのは当然である。
【0037】
乗員Mは新しい出発予定時刻に従って、改めてソフト号車241cを構成し、二人の乗員C1,C2を乗せ合流地点1161に向かう。ソフト合車241cの走行情報は運行管理センター114に伝達される。ソフト合車241aと241cの合車形態は同じである必要はなく、任意に構成可能であり、走行中にも変更できる。
【0038】
運行管理センター114は、ソフト合車241cと子車2101cの走行情報と交通情報を基に、ソフト合車241cと子車2101cに合流地点への各々の到達予測時刻を伝達する。交通状況等によっては新たな合流地点に変更することも出来る。
【0039】
子車2101cとソフト合車241cは運行管理センター114からの情報と相互間で情報交換をしながら走行速度やルートを調整し、合流地点1161に向かい走行する。合流地点1161近辺で合流し、合体して新たにソフト合車241dの編成を経てハード合車242dを構成し、次の合流地点1162に向かう。このときの合流、合体は走行しながらでも可能である。この場合、ソフト合車241dとしても同様であるが、本例の場合は次の合流地点1162でエネルギー車2314と合車242eを構成するので、予めハード合車242dとした。そして、この合流・合体に際し、ソフト合車241cで子車2102cに設定されていたマスター車機能を新しいハード合車242dの子車2101dに移管統合し合流・合体を行う。このマスター車機能の移管は走行中でも可能であり、運転に疲れた場合等に行うことが出来る。又、合体形態についても走行しながらの変更が可能である。合流・合体についての詳細は後述するが、ここで合流地点1161、後述の合流地点1162、1163は厳密な意味の一点ではなく領域として柔軟に考えればよい。そのときの交通状況、渋滞、事故等に対応して臨機応変に変更することが出来る。
【0040】
運行管理センターは以上の旅行計画1101の進展状況を基にレンタカー店1152にあらかじめ予約したエネルギー車2314の新しい出発予定時刻を連絡し準備させる。運行管理センター114は、ハード合車242dの走行情報や予定ルート上の交通情報を加味し、ハード合車242dの合流地点1162への到着予測を行い、エネルギー車2314の出発予定時間をレンタカー店1152に伝達する。レンタカー店1152は出発予定時刻になるとエネルギー車2314を出発させる。エネルギー車2314にはあらかじめ合流地点1162と合流相手であるハード合車242dの情報が入力されており、自動走行で合流地点1162に向かう。
【0041】
ハード合車242dとエネルギー車2314は、合流地点1162で合流・合体し、新たなハード合車242eを構成し、長距離長時間走行移動1043により目的地102に向かう。合流・合体については後述の子車2101cとソフト合車241cの合流・合体に同じであり、説明は省略する。図示しないが、目的地周辺ではエネルギー車2314を分離し、最寄のレンタカー店に返却し、合車242cの走行形態で、短距離短時間走行移動1041で家族団らんで、観光を楽しむ。また、子車がそれぞれ分離し、それぞれ楽しむ等が自在に可能である。帰りは基本的には往きの逆に合流・合体、分離・離脱を行うが詳細説明は省略する。当然のことながら、本願発明の運行方法であれば、状況の変化、予定変更等はその都度対応が可能である。
【0042】
ハード合車242eでは各単位車20である子車2101,2102,2103,2104とエネルギー車2314が、後述する連結装置34で機械的に結合されて一体化され、さらに各単位車20に設けられている動力源のエネルギー授受が相互に可能なように接続される。具体的には電気エネルギーの場合は電気的に相互に接続され、走行駆動用の電力供給だけでなく、回生電力も相互に授受できる。長距離長時間走行移動1043中は目的地周辺での各子車の短距離短時間走行移動1041に備え、エネルギー車2314から各子車21に充電用にも電力を供給することもできる。燃料エネルギーの場合でも必要に応じて授受できる。又、ソフト合車241の場合でも構成する単位車20同士間でエネルギーを授受する方法として、例えば電磁的な伝達方法も提案されているので可能である。
【0043】
レンタカー店1152には複数の子車21、機能車23が、レンタル、乗り捨ての要求に対応できるように準備されている。図示されていないが、子車21には様々な要求に対応できるよう、図示していないが二人乗り用、三人乗り用等複数人乗用の子車も用意されている。機能車23には走行フェーズ19の構成要素である走行セル(Pmn)190の様々な要求に対応できるように複数の種類の機能車が準備されている。又は、様々な要求に対応し変更できるようになっている。例えば機能車23は子車21や合車車24の走行セル(Pmn)190に対応して走行距離の増加、高速走行に必要な付加エネルギー、付加動力を支援するエネルギー車231や荷物積載に使用するトランク車232、その他快適性や安全性を付加する等、自動車走行に必要な様々な機能車が考えられる。勿論、それらの機能車23は個別の機能で説明したが夫々一緒に機能を組み合わせて構成することが出来る。また、エネルギー車231は長距離長時間走行移動1043用のエネルギー車2314だけでなく、例えば中距離中時間走行の中距離中時間走行移動1042の走行セル(Pmn)190用のエネルギー車2314aもあるし、設定変更により変更可能となっている。更に、子車一台に機能車一台という一々の対応だけでなく、各走行セル(Pmn)190に応じて自由に設定できる。
【0044】
本実施形態の旅行計画1101ではエネルギー車231は子車1台用のエネルギー車2311を4台、又は子車2台用のエネルギー車2312を2台も可能であるが、本実施形態では子車4台用のエネルギー車2314とした。旅行計画1101では、合流地点1161から目的地119までは家族揃ってドライブすることになっているからである。以上と異なる別の旅行計画で、長距離長時間走行移動1043の途中で合流したり、途中で別れて別の目的地に行く等ならばその計画に応じたエネルギー車231を選択できる。以上のことは子車21でも同様であり、旅行計画1101では子車2103と子車2104は常に同じに使われているので二人乗用の子車21を使うこともできる。
【0045】
現在の乗用車においては短距離短時間走行移動1041の占める走行頻度の割合は高く、長距離長時間走行移動1043の走行頻度は少ないのが一般的である。勿論、長距離長時間走行移動1043の走行頻度が少ない場合でも、走行距離の割合では短距離短時間走行移動1041による走行距離の総計を上回ることがあるのは当然のことである。従って、使用頻度の高い日常走行の短距離短時間走行移動1041に使用する子車21は必要最少台数を所有すれば良いし、使用頻度の低い長距離長時間走行移動1043に使われるだけの機能車23や子車21は必要に応じてレンタルや共同所有にしてタイムシェアリングにより必要台数のみ使用することが出来る。
このような運用方法をとることにより、現在の自動車の利便性を損なうことなく、なおかつ様々な走行フェーズ19やその構成要素である走行セル(Pmn)190に応じた必要最小限の車両構成で走行できるため、走行に必要なエネルギーを格段に減少させることが可能となる。又、使用頻度の低い場合の子車21と機能車23を共同使用やレンタルとすることにより使用効率も高まり、総車両台数の面でも大幅削減が可能となる車両システムであり、経済的になる。以上のべた車両システムの効果については特許文献5に詳述されているので、参照されたい。
【0046】
エネルギー車231は子車21の台数に対応するだけでなく、必要に応じて増減も可能である。高速で走るが距離が短い、長距離走行するが、ルートが平坦で渋滞も無くエネルギー消費が少ないと言うような場合が考えられる。そのような場合には、例えば二台の子車21に一台のエネルギー車231、又は逆の場合には三台のエネルギー車231という構成をとる場合があることは当然である。
【0047】
家101からの出発から目的地102到着までの全ての使用エネルギーに、レンタカー店1151から家101への三台の子車2102,2103,2104の走行エネルギー、レンタカー店1152から合流地点1162へのエネルギー車2314の走行エネルギーを総計した総エネルギー量が最少となるように、旅行計画1101の中で、ルートの設定、合流地点の設定、レンタカー店の選定がされる。又は、急ぐ場合は時間が最少となるよう旅行計画1102を設定できる。
【0048】
走行移動距離が更に長く、渋滞や登降坂が多い場合等でエネルギー量が不足する場合には走行ルート途中で、レンタカー店1153の付加エネルギー車、図6の例では4台用中距離走行用のエネルギー車2314bと使用してきたエネルギー車2314を交換する。方法は同様に合流地点1163にてエネルギー車2314bと合流し、エネルギー車2314と交換しグループ車構成を再編成し、続けて走行する。これらは全て走行しながら行うので、時間的な損失が無く、更に遠距離に走行できる。
【0049】
運行管理センター114は以上の旅行行程の運行管理の目的で説明したが、これは例えば、子車2101搭載の情報制御装置等に機能をもたせることも出来るし、通信回線を活用して自宅の情報機器や携帯の情報機器を活用する等の、その他のシステムに委ねることも出来るので、固定的に考える必要は無い。
【0050】
又、以上説明した本願発明の可変構成自動車を活用した図6の運用システムの例の特徴は、現状の交通インフラのままで適用が可能であり、小さな集団内、図6の例では家庭での活用例であるが、他の例では同一グループ内、会社の組織内等で導入すれば、すぐに効果を発揮できることである。
現在の交通システム、例えば日本や欧米のように自動車交通が発達し、数千万台、数億台の自動車が普及している状態で、新しい革新的な交通システムを導入することには大きな制約となる障害がある。どんなに革新的な交通システムで大きな効果が得られると明確になっている交通システムであっても、全ての又は多くの交通インフラが整備され、全ての又は多くの自動車が新しい交通システム対応の自動車となって、はじめて新しい交通システムの効果が発揮できるようなシステムでは、実現が困難であり、普及にも長期間が必要となる。初期段階において自動車利用者には効果が見えずに費用負担が強いられ、インフラ整備にも大きな費用と時間が必要となる。
本願発明のように導入した利用者はすぐに効果を享受でき、また、後述する他の運用システム例のように、必要な交通インフラが整備され公共の交通機関が運用システムを導入すれば、さらに効果が増大できることが本願発明の大きな特徴である。
【実施例2】
【0051】
(2)運用システム2
図7は本願発明の可変構成自動車の車両システムに対応可能な自動車が普及し、例えば道路の特定車線で第三者の自動車と連係走行が可能となるように交通インフラ、社会システムが導入された段階での適用例である。即ち、前述の運用システム1が私的な走行移動であるのに対し、以下述べる例は公的な走行移動に関連するものである。
図7は本願発明の単位車量20の一つ子車21を活用して、図1の“(1)日常の通勤”に示す走行方法の応用例である。子車21は自宅101を走行移動1034により、自宅最寄の隊列走行の合流地点121に向かう。高速道路等にあらかじめ他の子車211、212、213や図示していないが他の従来型車両である乗用車25が隊列走行可能な専用レーン120が設けられている。この専用レーンでは単独での自動走行も出来るようになっている。自宅101から、又は走行移動1034の途中で運行管理センター114と情報交換しながら隊列走行への参入を予約する。子車21は運行管理センター114の指示に従い走行制御し、合流地点121で隊列走行123に合流する。隊列走行については非特許文献1等に説明されているので、ここでは詳述しない。一般的には隊列走行は前の走行車との車間距離を一定に保つ制御をするが、後述する機構的に連結する方法でも良い。必要に応じて機能車23を必要とするならば、図7の例では図示していないが、エネルギー車231と連結し、長距離長時間走行移動1043することも出来る。通勤先の会社1021近辺の離脱地点122で隊列走行123から離れ、走行1034aにより会社1021に出勤する。このような可変構成自動車の走行移動方法を“自由参加型走行移動”と定義し、このような可変構成自動車のいわゆる乗り合い方式の隊列走行形態を“乗合形態A”と定義する。このような隊列走行を組み合わせることにより、専用レーンでの安定した定常走行が可能となり、又、空気抵抗低減の効果もあり、エネルギー消費効率が高まり、更に自動運転とすれば運転による疲労が軽減できるという効果もある。
【0052】
前項の図7の説明例では、走行や運行管理に運行管理センター114を介在させているが、運行管理センター114は必要条件ではない。例えば、同じ道路上を同じ時間に同じ方向に走行する互いに第三者である複数の子車であれば、前述の乗合形態Aを構成することが任意に可能である。然しながら無闇に見ず知らずの第三者である子車21同士で乗合形態Aを構成することには様々な問題が生ずる可能性がある。例えば、少しの距離、少しの時間だけ乗合形態Aを構成しても前述の効果が小さい、又乗合形態Aで事故が発生した場合に責任の所在をどうするか等である。従って互いの走行ルート、走行速度等の情報を交換した上でメリットがあれば乗合形態Aを構成すればよいし、連結形態Aを構成する複数の子車21の少なくとも一台は乗合形態Aを主導する、又は先導する資格等や何らかの代償交換のやり取りのルール等を明確にしておく必要があるのは当然である。
【実施例3】
【0053】
(3)運用システム3
図8は図7の自由参加型走行移動の変型例で、専用レーン120に替わって公共乗入母車2215が一般路、高速道路等に走行しており、子車21は走行移動1035で単独走行し、乗入地点131で公共乗入母車2215の中に乗込み、公共乗入母車2215の統括の基に走行し、離脱地点132で離脱し、以後は単独走行1035aにより会社1021へ出勤する。公共乗入母車2215は運転手付の走行、又は自動走行となっており、子車は公共乗入母2215と連係走行が可能なように構成されており、公共乗入母2215と一体となって追従走行するように制御される。必要に応じて公共乗入母車2215からエネルギー補給を受けたり、回生エネルギーを返すこともできる。当然のことながら公共乗入母車2215には長距離長時間走行移動1043の走行能力を持たせることも出来る。現在、高速バスとして大都市から地方へ多くの長距離バスが運行されており、公共乗入母車2215を同様の形態で運用すれば、途中での乗入、離脱が容易に自由に出来るようになり、利便性をさらに高めることができる。
図8の例では公共乗入母2215が所謂バス様の屋根付の車両として描かれているが、限定されるものではない。例えば図示していないが、枠状の形体の公共乗入母の枠内に複数の子車21が乗入れる形態。図8に示す他の例では、複数の子車21の連結が可能となるように、連結装置を設けた筒状の後部胴体を有する公共連結母車2216の筒部に複数の子車21が連結する等の形態は、本願発明のコンセプトからは容易に想定できる。以上のことは後述の図9の例、図35、図36、図37の例においても同様である。
乗入については、事前に又は走行中に運行管理センター114又は公共乗入母車2215と運行情報、交通情報等の情報交換しながら、任意の最適地点に乗入地点131、離脱地点132を設定する。最適地点は自宅位置と出発時間、公共乗入母車2215の運行ルートとダイヤ、運行状況等を加味して、最少消費エネルギーとなるように設定される。状況によっては最少時間とする場合も考えられる。尚、ここで説明している公共乗入母車2215は、公共的な交通機関としての形態であり、長距離通勤等の場合にも活用できる。このような可変構成自動車のいわゆる乗入式の乗合走行形態を“乗合形態B”と定義する。仲間同士やグループ、家族間等での私的な走行移動に活用する乗入母車221については後述する。
【実施例4】
【0054】
(4)運用システム4
図9は図8の変型例で、図1の“(1)日常の通勤”の中で説明したパークアンドライドの発展型である。子車21は走行移動1036で単独走行し駅141で現在の電車やバスのような公共交通機関である公共乗込母車2225に、子車21に乗車したまま乗込み、駅142まで移動する。駅142で下車し、走行移動1036aで会社1021まで子車21に乗車したまま出勤する。このような可変構成自動車のいわゆる乗込み式の乗合走行形態を“乗合形態C”と定義する。乗込母車222については後述する。
尚、ここで説明している公共乗込母車2225は、公共的な交通機関としての形態であり、長距離通勤等の場合に活用できる。仲間同士やグループ、家族間等で活用する乗込母車222については後述する。
【実施例5】
【0055】
図10に本願発明に使用される単位車20の一つである人乗用の子車21について説明する。図10の“(1)子車外観図”の例で示すように、子車21は一人乗用の最小限の大きさと重量と基本走行移動能力を有する車両である。図では例として一輪車で図示されているが、車輪の数は限定されるものではなく、二輪車、三輪車等、それ以上の多輪車も可能である。又、本願発明の趣意は人の移動に伴う走行エネルギーを革新的に減少させることであり、車両は必要最小限ということが発明の効果を大きくするためには重要な要素の一つである。従って、以降の説明は一人乗りの一輪車の子車を前提で行っていくが、常時または殆どの走行で二人以上の乗車が多ければ、それに応じた必要最小限の車両構成とすればよい。一人乗り子車の車両としての構造、安定制御、走行方法等については後述する。ここでは合流・合体走行に必要な車両装置についてのみ説明する。この車両装置は単位車20では基本的に同様であり、役割に応じて変形できるようになっている。
【0056】
GPSアンテナ452はGPS衛星450からの信号を受信するもので、子車21の走行ルート上の絶対位置を算出するのに活用する。この絶対位置情報を活用し、地図データに基づいて運行制御ユニット52が旅行計画1101に対応してルート案内をする。通信用アンテナ461は前述の運行管理センター114、レンタカー店115や自宅の情報機器等との情報交換や合流・合体予定の単位車20、合車25や家族・仲間同士の情報交換に活用される。連結装置34は図10の例では、図10の“(2)子車水平断面図”に示すように、子車21の前後面に各二つ、左右に各一つ計6個を備えている。連結装置34の車両への設置位置、数量は限定されるものではなく必要に応じ設定すればよい。設置位置、数量、連結相手車の車体形状と連結装置の設置位置、数量より連結形態の自由度が増加するのは当然のことである。図10では後述の本願発明の合体の形態例を実現するための連結装置34の設置例である。隣車センサー451は、子車21の前後左右面に各一つと計四つ設定した。この設置位置、設置数量も限定されるものではなく、必要に応じて設定することが出来る。隣車センサー451は単位車20である子車21、母者22、機能車23、合車25、更には現状の乗用車29等との相互間の相対距離、相対方向、相対姿勢等を検出するためのもので、後述の合体制御に使われる。又、走行中は走行中の他車両や障害物検出にも活用できる。
【0057】
図10の“(3)座標設定”は子車21を例にして、本願発明の図の座標設定方法を明確にしておく。前後方向X軸で前方を正、左右方向をY軸で左方を正、上下方向をZ軸で上方を正とする。又、X軸まわりの回転運動をローリング、Y軸まわりの回転運動をピッチング、そしてZ軸周りの回転運動をヨーイングとする。以降の車両の説明図において共通である。
【実施例6】
【0058】
図11に図5において説明した合流地点1161での子車2101cとソフト合車241cの合流・合体方法について説明する。公園111で出発予定時間になると、子車2102cはマスター車として、子車2103c、2104cを合体させソフト合車241cを構成し、子車2101cとの合流地点1161に向かう。図11の例では合車24の形態をソフト合車241cとしたが、ハード合車の形態でも設定は自由である。ここでは合流地点1161で改めてソフト合車241cの三つの子車2102c、2103c、2104cと子車2101cの四つの子車を再編成する事になっているので、短時間走行である故、ソフト合車241cの形態とした。ソフト合車241cの構成形態は自由であるが、図11の例ではマスター車である子車2102cの後に子車2103c、2104cが並列で従属する形態とした。設定はマスター車の乗員が自由に設定できるし、走行中も編成変更が自由にできる。ソフト合車241cの連係走行はマスター車である子車2102cを基準車とし子車2103c、2104cが各車に設定されている隣車センサー451の信号を活用して、互いの関連する車間距離を保つように各子車21の走行及び姿勢を制御する。子車21の走行制御に付いては後述する。尚、子車2103cと2104c相互間については、片方例えば子車2103cを基準として子車2104cが走行制御して形態を設定しても良い。又は、二つの子車2103cと2104cが子車2102cを基準として走行制御して車間距離を制御し、子車2103c、2104c相互間は補正分だけ制御しても良い。
【0059】
子車2101c、ソフト合車241cは、各々合流地点1161に向かいつつ、GPS衛星450からの信号を受信して子車2101cは絶対位置としての自車位置4531を、ソフト合車241cは絶対位置としての4532を検出し、相互に位置情報を交換し、走行を調整しながら、合流地点1161へ向かう。合流地点1161にて、子車2101cとソフト合車241cが各車の位置情報4531、4532より算出する相対距離が、又は、各車に設置されている隣車センサー451で検出する相対距離が一定範囲内に近づいたら、隣車センサー451により相対距離と相対方向を検出して相互に走行制御して改めてソフト合車241dを編成する。このときにはマスター車機能の統合処置を行う必要がある。例えば子車2102cに設定してあるマスター車機能を子車2101cに移管し子車2101cにマスター車機能を統合する。次にマスター車である子車2101cを基準にして相互の子車を走行制御により接近させ、相互に連結装置34で連結し、ハード合車242dを構成し、次の合流地点1162に向かう。合流地点1162でのハード合車242aとエネルギー車2314の合流・合体も同様に行われる。連結装置34については後述する。
【0060】
ソフト合車241cと子車2101cの合流地点1161への走行は、合流するまでは、各々に搭載の運行制御ユニット52により、GPSによる位置情報4521と地図データに基づいて合流するよう案内し、ソフト合車241cと子車2101cの各々の位置情報4521より算出する相対距離に基づいて、相対距離が設定範囲内に入るまで走行制御し、設定範囲内では走行制御ユニット51が隣車センサー451で相対距離と相対位置、相対姿勢を検出し、乗員252に合体のための運転操作支援を行う。又は自動運転にて合体制御する。
【実施例7】
【0061】
図12は子車21の詳細構造を断面図を用いて示したものである。図12の例では子車21の構造基盤としてのフレーム213に、各種装置が組み込まれている構造を例として説明する。各種装置の作動、役割等は後述する。子車21の走行用の駆動輪31は姿勢制御装置33を介して、フレーム213に取り付けられている。姿勢制御装置33はフレーム213を基盤にして、駆動輪31に様々な動作を与える装置であり後述する。補助輪32は本例では子車21の四隅に四つの補助輪前左3211、補助輪前右3212、補助輪後左3221、補助輪後右3222が取り付けられている。補助輪32の役割は駐車・停止時や急加減速に子車21を支える役割を持っている。通常の走行中は、収納されている。バッテリー36は駆動輪のモーター駆動や、制御等の必要電力を供給する。本願発明の子車21は例として電気自動車として説明しているが、原動機はモーターに限定されず、内燃機関等全ての原動機が使用可能である。バッテリー36はエネルギー蓄積装置としての例であり、原動機が内燃機関であれば、燃料タンクに置き換えればよい。
【0062】
車両センサー44は子車21の姿勢、動作等、即ち図10の(3)座標設定で前述したX,Y,Z方向の並進運動と各軸まわりの回転運動を検出する。走行制御ユニット51は姿勢制御装置33、後述のホィールモータ312を制御することにより子車21の姿勢や走行を制御することができる。走行制御ユニット51を含む制御装置5については図43で後述する。乗員39はフレーム213に設置された搭乗部214に乗車し、操縦装置215を介して子車21を運転する。操縦装置215はアクセル、ブレーキ、ステアリング等の役割を持っている。乗員センサー43は乗員39の認証や乗員の運転の適否等を検出する。入力装置216は、走行や運行等に関する様々な設定や、車外や他車や運行管理センター114等との情報交換や目的地や合流・合体に関する設定等に使われる。表示装置217は走行情報や、運行情報、交通情報等を表示する。運行制御ユニット52は図11のGPS衛星450からGPSアンテナ452を介して受信した信号を基に、子車21の走行時の絶対位置を算出し、又、通信アンテナ461を介して運行管理センター114や合流・合体予定の一つ又は複数の他の単位車20等と連係しつつ、運行を管理制御する。隣車センサー451は子車21の外部に設置され、設定範囲内に接近した他単位車20の相対位置及び接近情報、即ち相対距離、方向、相対的な姿勢とその変化、接近速度等を検出できる。隣車センサー451の設置位置、設置個数は後述する他単位車20や現状の乗用車25等との合流・合体に活用できるように設定すれば良い。連結装置34は他単位車20との連結装置であり、詳細は後述するが、柔軟な連結機構を有しており、連結による連結相手車に対し、機械的力学的負担が最小限となるよう設定された装置である。図10で前述したように、車両への設置位置、数量は限定されるものではなく必要に応じ設定すればよい。連結相手車の車体形状と連結装置の設置位置、数量より連結形態の自由度が増加するのは当然のことである。子車外装212は車室空間保持機能を有しており、子車全体と乗員39に対する保護機能や快適性機能等を有しており、着脱可能とすることも出来る。詳細は後述する。
【0063】
図13は子車21の構成の車両機能の区分を示すもので、以後の説明のために、名称と符号の定義を明確にしておく。走行時等において、子車21の車体挙動を考える場合は駆動輪31と子車21の駆動輪31を除いた全体部分を子車体210とする。駆動輪31と子車体210は前述の姿勢制御装置33を介して相対的に異なった動きをする。詳細は後述する。子車21を構造面で区分する場合は子車本体211と子車外装212に区分される。子車本体211と子車外装212は分割でき、子車外装212派車室空間保持機能を有しており、子車全体と乗員39に対する保護機能や快適性機能等を有し、着脱可能となっている。子車本体211は子車外装212の機能を除き、子車21の車両機能の全てを有している。従って、子車本体211のみで乗車しての走行が可能であり、開放的な気分での走行が味わうことも可能である。
【実施例8】
【0064】
図14に子車本体211と子車外装212との関係を示す。子車外装212には開閉扉2121が設置されており、子車本体211と合体・分割可能な構造となっている。開閉窓2122は通常の車の窓と同様な機能は当然のことながら、他の子車21と合体時には開放部2123として他の子車21との車室空間共有機能を有する。尚、図14ではGPSアンテナ452、通信アンテナ461が便宜的に外装212に設置されているが、機能的には子車本体211と一体である。又、補助輪32は省略されている。
尚、子車本体211と子車外装212との関係は図15に示す形態に限定されるものではなく、開閉扉2121の位置は子車外装212の前後左右、更には上下の屋根や床部に設けても良い。又、子車外装212の構成も例えば、前後面部や左右側面部の一部を子車本体211と子車外装212に含ませることも自由である。
【実施例9】
【0065】
図15は子車21の走行に関する装置について、詳細に説明する図である。駆動輪31はタイヤ311、ホィールモータ312、支持脚313で構成されている。ホィールモータ312は子車21の走行駆動の原動機としての例であり、原動機の種類や設置位置等は限定されるものではない。姿勢制御装置33はフレーム213を基準にして駆動輪31の動きを制御するもので、車高装置331、X-Y移動装置332、屈曲装置333、操舵装置334で構成される。以上の各装置の設置位置、順番等は任意であり、各々の機構や構造等に応じて最適に設定することが出来る。夫々の装置の詳細は説明しないが、後述の動作が可能な装置は各種実用化されており、後述の図17〜20に説明する動作に最適な装置を選択すれば良い。
【0066】
補助輪32は四つ3211、3212、3221、3222が設置されているが、以下の説明において、説明の便宜上、補助輪前左3211、補助輪前右3212を総称して補助輪前321、同様に後部の補助輪3221、3222を補助輪後322、左側補助輪3211、3221を補助輪左326、右側補助輪3212、3222を補助輪右327とする。補助輪32の役割は停止時や走行時に子車21を補助的に支えることが役割であり、取り付け数、取り付け場所は必要に応じて設定すればよい。例えば、駆動輪31と二つの補助輪の組み合わせも可能であり、図16で変形例を説明する。
収納の構造、機構は基本的に同じであり、子車21の右後の補助輪後右3222を代表にして説明する。フレーム213に設置された収納装置3253に結合した支持脚3252に小車輪3251が設定されている。支持却3252には伸縮装置3254が設置されている。停止中や乗員の乗降時等は、図14に示すように、補助輪32は子車21を支えるが、走行中は破線で示すように収納装置3253により子車21の子車本体211内に収納されるようになっている。小車輪3252はスキッドや脚状の装置等に置き換えることも出来るが、図示していない。
【実施例10】
【0067】
図16は図15で説明した補助輪32の変形例で子車21の左右に設置した各一つの補助輪32を、必要に応じて前後に移動させることにより、図15で前述した補助輪四つと同様な効果を発揮できるようにしたものである。図16では簡略のため、右側側面に設置した補助輪32Rのみを図示して説明するが、図示していない左側の補助輪32Lも同様であり、省略する。
図16の“(1)補助輪後設定”は補助輪32R(と補助輪32L)を子車21の後側に設定し、駆動輪31と共に、停止時や走行時に子車21を補助的に支えることが役割である。又、駆動輪31を前方に移動させ駆動輪31aとすれば、より安定にすることが出来る。図16の“(2)補助輪前設定”は以上と逆であり、説明は省略する。図16の“(3)補助輪作動”は補助輪32Rの作動を示す。補助輪小車輪3251は図15で補助脚3255、収納装置3253、支持脚3252、補助輪装置3256を経て子車21のフレーム213に作動可能に設定されている。補助輪装置3256はフレーム213に設置されており補助輪32Rを前後に移動させることが出来る。図では回転移動により小車輪3251r、3251fとなることが示されているが、前後の平行移動でも良い。前後移動の際に収納装置3253により図中の実線のように小車輪3251を地面から浮かせることにより、スムースに移動させることが出来る。
【実施例11】
【0068】
次に姿勢制御装置33による子車体210に対する駆動輪31の動作を説明する。図17は姿勢制御装置33の一つであるX-Y移動装置332による、子車体210に対する駆動輪31の動きを示している。X-Y移動装置332は、子車体210の車体フレーム213に設置されている基盤3321と駆動輪側の移動体3322で構成されている。移動体3322は基盤に対して、設定の範囲内でX-Y面方向(左右前後方向)に、走行制御ユニット51からの信号を受けて、自由に移動可能である。図17の“(1)前後(Y軸)方向移動”は、移動体3322の前方への移動3322aに対応して駆動輪31が31aの位置に、後方への移動が3322bに対応して31bの位置に移動することを示す。これらの移動は相対的であり、本例では子車体210を基準にして説明する。以下同様である。同様に図17の“(2)左右(X軸)方向移動”は、移動体3322の右への移動3322cに対応して31c、左への移動3322dに対応して31dに移動することを示す。
【0069】
図18は姿勢制御装置33の一つである屈曲装置333による駆動輪31の動きを示している。屈曲装置333はX軸中心3331回り、Y軸中心3332回りに設定された範囲内で、子車体210に対し、駆動輪31を回転移動できる。図18の“(1)X軸回り回転”は、駆動輪31が屈曲装置333のX軸中心3331周りの回転角333g、333hに対応して31g、31hに移動することを示す。図18の“(2)Y軸回り回転”は、駆動輪31が屈曲装置333のY軸中心3332回りの回転角333i、333jに対応して駆動輪31は31i、31jに移動することを示す。
【0070】
図19は姿勢制御装置33の一つである操舵装置334による、子車体210のZ軸中心3333回りの駆動輪31の回転移動を示している。操舵装置334による回転334k、334nに対応して駆動輪31の動きが31k、31nである。尚、図示してないが、駆動輪31に対応する子車体21の動きは210k、210nで表現するものとする。
【0071】
図20は姿勢制御装置33の一つである車高装置331による駆動輪31に対する子車体210の動きを示す。車高装置331はZ軸方向(上下方向)に伸縮可能で、車高装置331が伸びた状態331mで子車体210は210mと車高が3311高くなる。尚、図20では車高装置331は基準から伸びた状態の説明となっているが、これは限定されるものではなく、基準から縮む、又は伸縮等、必要に応じて設定しておくことが出来る。
【0072】
次に、図21の“(1)前後傾斜(X軸回り回転)”は、図18が子車体210に対する駆動輪31の動作を表示したものに対し、駆動輪31に対する子車体210の動きを示したものである。図18の屈曲装置333のX軸中心3331回り回転333g、333hに対応して図21の子車体210の動き210g、210hを表している。同様に図21の“(2)左右傾斜(Y軸回り回転)”は、図18の屈曲装置333のY軸中心3332回りの回転333i、333jに対応して、子車体210の動き210i、210jが対応している。
【実施例12】
【0073】
図22は機能車23の説明図である。車両としての基本的な機能は子車21と同様に走行能力を有するが、子車21の車両機能が前述の短距離短時間走行移動1041に限定されているのに対し、子車21に機能車23が合体し合車24となった場合には高速走行、長距離走行、快適性、安全性、搭載荷物を増やせる等の個々の機能、又は複数の機能の能力を子車21単独の場合に比較して増大させる等の支援機能を有することを特徴とする。長距離長時間走行移動1043の場合は前述の高速走行、長距離走行、快適性、安全性、搭載荷物を増やせる能力は最低限必要である。図22の例はエネルギー車231を示している。エネルギー車バッテリー362は子車21と合車24を構成したときに、必要に応じて子車バッテリー361では不足する高速走行や長距離走行、山間部等の高負荷走行等である長距離長時間走行移動1043を可能とするエネルギー量を搭載することが出来る「走行能力付加車両」である。又、子車21の動力源ホィールモータ312の出力不足を補強する機能も有することが出来る。図5でも説明したようにエネルギー車231の能力は固定されるものではなく、必要に応じて例えば、中距離走行用、複数の子車21対応用等を設定することが出来る。又、以上説明した機能車23及びエネルギー車231は、図6で前述した自動走行の能力を持たせることが出来、必要なときに必要な場所、図6の例では自宅101、合流地点1161、1162、1163まで無人走行で移動させることも可能である。又、機能車23及びエネルギー車231自身に走行能力がない構成も可能であり、連結相手車、例えば子車21に走行エネルギーを供給して長距離長時間走行移動1043等が可能なことは当然である。尚、ここで説明した機能車23とエネルギー車231の有する機能は、後述する母車22の乗入母車221、乗込母車222、連結母車223にも必要に応じて設定できる。
【0074】
次に図23を使って子車21のバランスについて説明する。図示した子車21の形態は基本的には二重倒立振り子車両であり、姿勢制御の方法としては、例えば、米国特許6,302,230号明細書、特開昭63-35082号公報、特開2004-129435公報、特開2004-276727公報で開示された各種制御方法が適用可能である。然しながら、乗員39の走行中の身体の動きや車内での荷物の移動等によっても子車のバランスにも影響を及ぼすので、この場合には三重倒立振り子車両として考慮する必要があるが、此処では詳細は省略する。図23は、一輪車である子車21の走行時の前後方向(X軸方向)の力学的バランスを示しており、例として加速走行中の状態を表示している。減速走行、後進走行も原理的には同様であり、説明は省略する。この系のバランスの基本は定常状態において、又加速減速状態においても合力2930の方向線の合力線2924の地面との接地点である合力接地点2923と駆動輪31の接地点2921が一致するように制御することが必要である。接地点2921は現実は点ではなく、駆動輪31、接地路面の変形により接地面を構成するが、以下では接地点2921として説明をする。
概略は乗員39の速度、加速度等の運転操作情報41に応じて、子車体210の必要な姿勢を維持するように車両センサー44の信号を検出しながら、駆動輪31の駆動力や姿勢制御装置33を制御することである。走行速度を変える、加減速度を変える、姿勢を変える、後述の旋回の開始終了、旋回半径の変更等の過渡的状態を作るには、このバランス状態を一旦崩すことが必要となる。バランスした状態では合力線2924と垂直線とのなす角度の合力線角2925は加速度等増により増加し、減速時は負になる。合力2930は水平合力2931と垂直合力2932との合力である。
【0075】
以下に図23に基づき、進行方向(X軸方向)のバランス式を図44の式(1)から式(7)に示す。尚、図44のバランス式は非特許文献2の第4章「動力性能の基礎・理論」p123〜を参考にして、本願発明の子車21に適用した例である。最初に水平方向のバランス、駆動力Fと走行抵抗Rの関係は、式(1)に示す。
式(1)は駆動力(F)2934と走行抵抗(R)2931は基本的に等しいことを示している。然しながら本願発明の子車21のように姿勢変動の影響が大きく関わる場合には変動することがあるが、説明は省略する。加速抵抗は式(2)であり、式(1)と合わせて、加速度αを式(3)で算出することが出来る。尚、式(1)の転がり抵抗(Rr)2936と勾配抵抗(Ri)2937に含まれる自動車総重量(Wt)2952は後述する走行による揚力を考慮した走行重量(W)2951とすべきであるが、揚力の影響は小さいとして自動車総重量(Wt)2952を採用した。又、図23では勾配抵抗(Ri)2937の表現に対し、図面の走行路面を示す下端の太線を平坦に描いているが、図面の簡略化のためである。次に垂直方向(Z軸方向)のバランスは図44の式(4)に示す。
図44の式(4)は走行重量(W)2951と自動車総重量(Wt)2952、揚力(WL)2939との関係を表している。通常の乗用車が走行する場合には影響が比較的に小さく出来るが、本願発明の例の子車21のように一人乗車の超小型軽量な乗用車の場合には影響が大きくなる可能性があり、設計時には考慮する必要がある。
【0076】
以上の結果を活用して、次に図23の走行角(γ)2925を前述の図44の式(1)から式(4)を使って求めたのが、図44の式(5)、(6)、(7)である。走行角(γ)2925は走行重量(W)2951と走行抵抗(R)2931の合力である走行合力2930が垂直線(Z軸)となす角度であり、その走行合力2930の向きを示す走行線2924の延長が路面と交差する点を走行線接地点2923とする。走行形態が一定で、定加減速時を含む定常走行時には走行線接地点2923は駆動輪接地点2921に一致するが、走行形態及び走行状態が変動する際には走行線接地点2923は駆動輪接地点2921に一致しない場合もありえる。後進時も同様である。尚、図44の式(7)に示す走行角(γ)2925の式は、揚力(WL)2939は走行車速(V)が低い場合は自動車総重量(Wt)2952に対して小さいとして、走行重量(W)2951は自動車総重量(Wt)2952にほぼ等しいとした式である。
図44の式(6)又は式(7)より、車両の加速度の大きさに対応して、走行角(γ)2925が大きくなる。即ち、走行角(γ)2925は乗員39の要求する走行状態、例えば加減速状態、一定速走行状態、前後進等に対応して子車21をバランスするための設定条件である。従って、走行角(γ)2925を大きく設定できるように車両構造を構成できるようにして置けば、走行の自由度を確保する点で重要であり、その走行の自由度については図24で後述する。
【0077】
尚、以上の説明においては進行方向(X軸方向)と垂直方向(Z軸方向)のバランス式において、説明の簡略化のためにモーメントの影響を省略している。図44の式(1)から式(4)に説明したそれぞれの力の着力点の相違、例えば図23に示す駆動力(F)2934の着力点は駆動輪接地点2921であり、空気抵抗(R1)2938と揚力(WL)2939の着力点(図示していないが子車21の走行前面近くに存在する空力中心)によるモーメントの影響もあり、又、ホィールモータ312によるモーメントの影響も考慮する必要があるが、詳細説明は省略する。
更には、乗員39の姿勢変更や子車21に搭載した荷物の移動によっても、子車のバランスに影響するので、図27の説明で後述する。
尚、車両総重心291の位置は子車21全体と乗員39や搭載してある荷物等により確定される位置である。従って、駆動輪31の動き、乗員39の動き等で随時変わるが、図23を含む全ての図の中で、説明の簡略化のため図面上は固定して示している。
【実施例13】
【0078】
図24は子車21の直線走行時の動作と走行形態を示したものである。以下このような走行形態を単位車走行形態27とする。単位車走行形態27には単位車直線走行形態271と後述の単位車旋回走行形態272がある。説明は上段の「発進/加速」を例に行い、下段「停止/減速」は原理的には対称なので絵図のみで説明を省略する。さらに後退走行の場合も以降の説明の一部を適用すればよいので、簡略化のため説明を省略する。図24では“(1)駆動輪を後移動”から“(4)後補助輪で支持”と加速度を大きく出来る子車21の動作を示している。尚、図24の説明例では“(1)駆動輪を後移動”から“(4)後補助輪で支持”へ動作を数字の順に加算しているが、各々の動作は独立して制御可能であり、順番と加算するかどうかは限定されるものではない。説明では図18から図23で用いている前述の符号を説明無しで用いている。図24の“(1)駆動輪を後移動”での単位車直線走行形態2711はX-Y移動装置332の移動体3322を後端側に寄らせた状態3322bで、走行角2925aは小さく、加速度の少ない走行形態を表している。図24の“(2)駆動輪を後傾”での単位車直線走行形態2712は前項(1)の単位車走行形態2711に加えて、屈曲装置333で駆動輪31を後ろに傾けた状態31hとなり、走行角2925bが走行角2924aより増加する。
図24の“(3)車体を前傾”での単位車直線走行形態2713は更に前2項(1)、(2)の加算効果による単位車直線走行形態2712に加えて子車体210を前傾させた状態210gにすることにより、走行角2925cと更に増加する。
図24の“(4)後補助輪で支持”での単位車直線走行形態2714は前3項(1)、(2)、(3)の加算効果による単位車直線走行形態2713に加えて、後の補助輪後322を活用することにより走行角を2925dと大きく出来る。この場合、走行線接地点2923は補助輪後322の接地点2922と駆動輪接地点2921の間であればバランスさせることが出来る。さらに、伸縮装置3254を作動させることにより、補助輪後322の接地点2922を後方に移動することにより、走行線接地点2923の可能範囲を後方に拡張できるので、より大きな加速度での発進・加速が可能となる。
【0079】
尚、前述したように以上のX-Y移動装置332の動作による3322b、屈曲装置333の動作による31h、子車体21の傾き動作による210g、補助輪後322の動作順番は例であって、各々個別でも、任意の二つ以上の組み合わせでも、各々順番を入れ替えても、同時に行ってもかまわない。又、各々の動作による効果は加算だけでなく、相互に効果を減算することも可能であることは明白であり、必要に応じて設定すればよい。例えば、図24の“(3)車体を前傾”、“(4)後補助輪で支持”において、子車体210が前傾した210gとなっているが、限定された範囲内であるが、図21で説明した後傾した子車体210hの姿勢や通常の乗用車のように垂直な姿勢にすることも可能である。これまでの説明を加速度を例として説明したが、急坂路を登る場合や高速になり空気抵抗が増加する場合も同様である。以上のように、姿勢制御装置33の構成要素の一つ又は複数を組み合わせて使うことにより子車21は様々な走行形態が可能である大きな自由度を有しており、これにより幅広い走行状態に対応させることができる。例えば、加速度が同じでも、子車体210を後に傾ければ、乗員の感じる加速感を大きく出来るし、逆も可能である。
【0080】
次に走行の制御方法について説明する。図24で説明したように本願発明の子車21は走行形態、走行姿勢に大きな自由度を持っており、必要に応じて選択設定することが出来る。
然しながら、本願発明の子車21のような小型の乗用車が急発進、急加速する場合には現在の一般的な四輪乗用車に比較して基本的に車体の前後、即ちY方向のピッチングが大きくなり易い。勿論、小型の乗用車であり、逆にピッチングし易い特徴を活用して後傾、前傾を活用した軽快な走行を設定することも可能である。
この問題は左右二輪の小型車の場合も同様であり、四輪でも前後車輪のホィールベースが小さい場合には、程度の差があるが同様な問題が生じやすい。車両を小型化する場合、現在の乗用車の長さ、幅、高さを相似的に縮小すれば問題が生じにくくなるが、日常的に使用する乗用車として、人が乗車することの居住性を考慮する必要があり、車両高さは現状の乗用車と大きく変えることは現実的ではなく、ほぼ同一にせざるを得ない。結果的に車両の総重心の高さは現状の乗用車とほぼ同一のまま、車両全体の車輪による前後の接地長さ、いわゆるホィールベースが小さくならざるを得ない。本願発明の子車21や左右の二輪車の場合は、前後の接地長さは一つのタイヤの接地面のみであり、ピッチングに対する不利な車両形状になり易い。
勿論、図12で前述した補助輪32を活用する後述する方法や、駆動輪31を除いて補助輪31を主車輪として状況に応じてホィールベースを大きくする等の案により、ピッチングに対する問題点は解消できるが、小型軽量化に対しては不利にならざるを得ない。
【実施例14】
【0081】
以上述べた問題点に対する解決方法の一例を、図25の動作説明図と図26のフローチャートを使って発進時の制御動作の例を説明する。尚、以下に説明する制御は図43で後述する制御システム5に示す制御装置50の一つの要素である走行制御ユニット51により制御される。図26のステップ1(図26中の表示は簡略化のため“S1”と表示、以下のステップも同様である)は図25の“(1)静止状態”に対応し、駆動輪31の駆動力や姿勢制御装置33を制御して子車体210は静止状態210pになっている。姿勢制御の方法については図23で説明しているので、ここでは省略する。
ステップ2は乗員39が図25に示す操縦装置215や図示していない別の切替スィッチ等で前進するか後退するかの設定をする。当然のことながら後退の選択に関しては安全上の配慮が必要である。この前後進の設定情報は図12で前述した走行制御ユニット51に入力される。尚、以降の図26のステップに関しては走行制御ユニット51により処理されるが、説明文には省略する。
ステップ3では、乗員39が操縦装置215、或いは図示していない現状の乗用車のアクセルペダル相当の装置により行った発進操作により要求加速度の度合いαを判断する。
ステップ4ではステップ2で入力した前後進選択情報に基づいて、前進ならばステップ6に後進ならばステップ5に進むことを判断する。以降の説明はステップ6で行い、ステップ5の説明は基本的にステップ6の前後逆であり省略する。
【0082】
ステップ6は図25の“(2)発進準備”に対応し、前述の姿勢制御装置33の一つの要素であるX-Y移動装置332の移動体3322を後方、図25の(2)では矢印4711で示す後方向(図では左方向)に移動する。同時に移動体3322の移動に同期させて駆動輪31を後回転3141(図では反時計回り)させ、駆動輪31bに示す位置に移動する。このように移動体3322と駆動輪31の移動を同期させることにより、移動体3322の移動に伴う反力が子車体210pに及ばないようにすることが出来る。その時の移動量は、乗員39の要求加速度αに対応した前述の式(6)で示した走行角γ2925にする移動量である。又、以上の動作は移動体3322の移動に換えて、姿勢制御装置33の別の要素である屈曲装置333を活用しても同様な制御が可能であり、移動体3322と屈曲装置333を合わせて作動させることも可能である。これらの制御は図43にて後述する制御装置50の構成要素である走行制御ユニット51と車体姿勢制御ユニット52の連係制御により行われる。
【0083】
移動体3322と駆動輪31の移動を同期させず、例えば移動体3322のみで子車体210Pを駆動輪31に対して相対的に前方(図では右方向)に移動させようとしても、倒立振り子としての子車21内部での動きであり、子車体210pは後傾してバランスした状態で前述した走行角γ2925は“ゼロ”のままで、発進することは出来ない。又、駆動輪31のみで発進させる事も困難である、すなわち図25の“(1)静止状態”から駆動輪31を前回転(図では時計回り)させると子車体210pは後傾し、そのまま倒れることになる。逆に駆動輪31を後回転(図では反時計回り)させると子車体210pは前傾し、そのまま倒れることになる。
然しながら、この倒れ掛かることにより結果的に走行角γ2925が増加することになるので、要求加速度α2942に達した段階で、駆動輪31を前回転(図では時計回り)駆動することによって発進する事も可能である。
【0084】
ステップ7で走行角γ2925が小さければステップ6に戻り、大きければステップ8で補正し、走行角γ2925が基準内であればステップ9で発進を開始する。
ステップ9が図25の“(3)発進開始”に対応し、要求加速度α2924に対応するように駆動輪31を前回転(図では時計回り)で駆動することにより、子車21は安定した姿勢を保ったまま発進することが出来る。走行中の様々な走行形態である加減速や定速走行、登降坂走行や後進走行においても同様である。
【0085】
これまでの説明により、走行に関連する子車21の制御方法については述べた。然しながら前述の子車21の走行とは独立して、乗員39の子車21に乗車中の動きや搭載してある荷物の移動、更には図33で後述する複数の子車21の連結形態での走行時に子車21相互間での荷物移動等が行われる。このような場合でも前述の走行制御により子車21の安定性が損なわれないように出来るのは当然である。然しながら子車21内部での相対的な動きを考えると、問題が生じてくる。乗員39や移動する荷物の重量が子車21の車体重量に対し相対的に小さい場合は影響は小さいが、本願発明の子車21のように乗員一人当たりの車体重量が小さい場合には大きな影響が生ずる可能性がある。例えば、図27で子車21が停止状態であれ、走行状態であれ姿勢が安定に制御されている状態の中で、あるときに乗員39が前(図では時計回り)に屈んで矢印で示す移動2961すると乗員39の重心が移動する事になるので、子車体210は矢印で示す移動2962して後ろ(図では反時計回り)することにより車両総重心位置291が保たれるように制御されることになる。以上の制御による作動は、乗員39又は荷物の動きでも前後左右上下にどのように移動しても相対的に重心位置が変わるようであれば同様である。
以上の動作を子車体210に乗車している乗員39の立場で考えると、乗員39と子車体210の間では相互に相対的に近づく動きとなっており、乗員30からは自身の動き以上に子車体210に近づくことになり、違和感を受けるとともに、大きな動きであれば乗員39は自身の頭部等を子車体210にぶつける事になる。
もう一つの見方は、後述する連結形態での走行時に連結形態を構成する複数の子車21間で、各々の子車体210の姿勢が相対的に変動することになり相互に様々な負荷を生ずることになる。
【実施例15】
【0086】
図27に示す発明は、前項で説明した問題点に対する解決策を提案するものであり、乗員39や荷物等の子車21内部での重心変動の影響を軽減する案である。
重心補償装置335は子車体210のフレーム23に設置されている。重心補償装置335はウェート3351はX-X移動体3352及びY-Y移動体3353を介してフレーム23に移動可能に設置されており、ウェート3351はX-X移動体3352により前後方向(X軸方向)、Y-Y移動体3353により左右方向(Y軸方向)にフレーム23の制限内で子車体210に対して相対的に移動することが出来るようになっている。ウェート3351は例えば子車21の走行に必要なエネルギー源、例えばバッテリーや燃料タンク等を活用すれば、全体の重量増加を軽減することができる。
例えば、乗員39が前述の前屈みで移動2961した場合に、その乗員の動きを乗員姿勢センサー436(図ではX、Y、Z方向に4361、4362、4363の三つ示している)で検出し、その乗員の動き量に応じて子車体210の姿勢に影響を軽減するようにウェート3351を矢印2963X-に示すように後方移動させる。これらの制御は図43にて後述する制御装置50の構成要素の一つである重心補償制御ユニット53により行われる。
【0087】
図28は子車21が旋回走行する場合の旋回走行形態の一例で、旋回走行時のバランスを示したもので、そのバランス式を図45の式(8)から式(12)に示す。本願発明の子車21は図29、図30に後述するように様々な旋回走行形態を必要に応じて採ることが可能という大きな自由度を持っているが、図45の式(8)から式(12)に説明するバランス式は基本的に共通である。子車21の遠心力(Fc)2935は図45の式(8)に示しており、垂直方向のバランス式は前述の図44の式(4)に同じである。
図28で旋回角(β)2928は走行重量(W)2951と遠心力(Fc)2935の合力である旋回合力2932が垂直線(Z軸)となす角度であり、その走行合力2930の向きを示す旋回線2927の延長が路面と交差する点を旋回線接地点2929とする。旋回走行形態が一定で、定加減速時を含む定常旋回走行時には旋回線接地点2929は駆動輪接地点2921に一致するが、走行形態及び先回走行状態(旋回半径や旋回走行速度)が変動する際には旋回線接地点2929は駆動輪接地点2921に一致しない場合もありえる。尚、図28では駆動輪接地点2921がタイヤ311のセンターのように図示しているが、実際はタイヤの旋回内側(図28では右側)のショルダー側に移動する。図中では省略しており、以降も同様である。
旋回角(β)2928は図44の式(4)、図45の式(7)を用いて図45の式(10)より、式(11)、式(12)に示すように求めることが出来る。尚、図45の式(12)に示す旋回角(β)2928の式は、揚力(WL)2939は走行車速(V)が低い場合は自動車総重量(Wt)2952に対して小さいとして、走行重量(W)2951は自動車総重量(Wt)2952にほぼ等しいとした式である。
図28のように旋回内側に子車体210を傾けて走行する場合には、乗員39は遠心力2935を感じることなく、快適な旋回走行が可能である。
更には図24の“(4)後補助輪で支持”の直線走行時に補助輪32を活用と同様に、旋回時に適用する例を図29に示す。旋回線接地点2929は旋回外側の補助輪接地点2922aと旋回内側の補助輪接地点2922bの間であれば、路面摩擦力の限界内であれば、車両全体としてのバランスは成立する。
【0088】
然しながら、図28のように旋回内側に子車体210を傾ける場合や、前述の図24の“(3)車体を傾斜”、“(4)後補助輪で支持”の様に前後進時に、または加減速時に子車体210を前後に傾けることは、子車21単独走行時には、乗員39への前後左右方向への力が働かず、又は減少でき、快適に走行できるが、後述の合体走行時には合体相手車(以下、隣車26)との相対的移動が生じ、現在の乗用車25の車室のような一体感が損なわれことがある。その様子は図41の“(2)連結旋回走行1-1”で後述する。又、単独走行時においても、遠心力や加減速感を感じるようにしたい場合もある。
【実施例16】
【0089】
前項の説明のように、走行状況に応じた走行形態が必要となるので、本願発明の単位車20が採りえる単位車走行形態27の例を子車21の場合を代表例として説明する。単位車走行形態27には単位車直線走行形態271と単位車旋回走行形態272がある。図30は単位車20の代表である子車21の旋回時における走行形態の例を示している。姿勢制御装置33の動作と駆動輪の駆動力を制御することにより、色々な走行形態を実現できる。図30に旋回時の子車21の挙動例を示す。図30の“(1)子車全体を内側傾斜1-1”の単位車旋回走行形態2721は図28で前述した子車21全体を旋回内側に傾ける走行で、二輪車の走行に類似している。傾斜角2925eは旋回半径が小さい、旋回速度が大きいほど大きくなるが、路面とタイヤ311との摩擦力による限界が存在する。タイヤ断面が楕円形状の場合などに適している。又、子車単独での走行には適している形態で、力がバランスしているため、乗り心地が良い。
【0090】
図30の“(2)子車体を内側傾斜1-2”の単位車旋回走行形態2722は駆動輪31はそのままで、屈曲装置333を作動させ、子車体210を旋回内側(図では右側)に傾ける。フラット形状のタイヤ等に有効である。図30の“(3)駆動輪を外側傾斜2-1”の単位車旋回走行形態2723は屈曲装置333を作動させ、駆動輪31を旋回外側(図では左側)に傾ける。現状の車と同様な姿勢を好む場合には有効である。又、後述の合車24である連結形態での旋回走行状態で有効に活用できる。図30の“(4)駆動輪を外側移動2-2”の単位車旋回走行形態2724は駆動輪31を旋回外側(図では左側)に移動、前項と同様な効果が得られる。以上の動作は各々単独でも、また複数組み合わせての動作も可能である。更に相互に効果の加算が可能であるし、また減算も可能である。例えば、必要に応じて設定限界内であれば子車体210を旋回外側に傾斜させての走行も可能である。
【0091】
図31は各種の走行形態と姿勢制御装置33、駆動輪31及び補助輪32の制御の組み合わせ例を示す。図31中の姿勢制御装置33、駆動輪31、補助輪32の組み合わせは標準的な組み合わせの例を示したもので、乗員39の操作、交通状況、道路状況等の必要に応じ、自由に組み合わせが可能である。
【0092】
これまでの説明は一輪車を例に説明したが、本願発明の姿勢制御装置33と補助輪32は一輪車に限定されるものではない。当然のことながら、必要最小限の車両においても車輪の数を例えば三輪車、四輪車等に設定しておけば、基本的に車両の安定性は確保できる。然しながら、現在の乗用車の形態をそのままで、必要最小限に軽量化するために、相似的に小型化することには限度が存在する。人が乗車することを前提に考えると、車高を低くすることには限界があり、長さと幅が小さいまま車両の総重心の位置が相対的に高い車両形態にならざるを得ないため、必然的に基本的な走行安定性が不足することは避けられない。従って、従来の乗用車と同等の走行をするためには、本願発明の姿勢制御装置33等で車両総重心の自在な移動、又は補助輪32による安定範囲拡大等が必要となり、本願発明の姿勢制御装置33と補助輪32は有効な装置として適用できる。
【実施例17】
【0093】
次に、本願発明の基盤であり、特徴でもある単位車20の連結形態である合車24について説明する。図32に合車24の車両連結形態例を、図4で前述した走行フェーズ19に対応する形で説明する。図4では走行フェーズ19の個別の走行セル(Pmn)190に対応した車両構成の重量構成を定性的に表現したものであるが、図32では具体的な単位車20の車両連結形体である合車24の構成例を示している。本願発明の合車24の連結形態は自由に可能であるが、図32の例は最大乗車人数を五人、横に並列乗車する場合の最大乗車人数を三人として連結形態例を示している。図32での走行フェーズ19、及び走行セル(Pmn)190は図4と同一なので説明は省略する。図32の上部を進行方向として配列し、図32の右上欄外に表示するように、子車21を白抜きの四角で、エネルギー車231をハッチングの四角記号を用いて表示する。ハード合車242、ソフト合車241両方ともに限定されずに構成可能であるが乗車人数252、走行方法104や、道路状況、法規制、交通状況等に応じて、構成し、途中での車両構成の変更や、分割、合体、更には車両連結形体の変更も自由である。そして合車構成時は相互に情報交換、エネルギー授受が可能なように構成することが出来る。以下の説明はハード合車242を例に説明する。例え、ソフト合車241の構成であっても、エネルギー車231とのエネルギー授受が必要なときには、電磁気的な無線送電技術等を活用すれば、構成の制約は存在せず、同様に構成できる。
【実施例18】
【0094】
図32で紹介した合車構成例の一部を、具体的に説明する。図32の構成例であるハード合車2421,2422,2423,2424に対応し、図33に車両連結形体の具体例を示す。図33中の340は各々の連結装置34(図33中の子車21の四囲に表記した細長い白抜き、及びハッチングの小四角)同士で連結した状態を示している。図33の“(1)子車2両並列連結”のハード合車2421は2台の子車21が横に並列状態で連結した形態を示す。連結装置34は本願発明の例では柔軟な構造で、相互に連結したことによる力学的な負荷を相互に与えない機能を有しており、詳細構造については後述する。従って、連結装置34により合車構成時の子車21、機能車23、後述の母車22、及び以上の連結による合車24は連結した状態であっても、バランス制御は各々独立に行うことが可能となり、車両の強度、剛性は各車両ごとに成立していれば良く、軽量化が可能である。
勿論、本願発明の可変構成自動車の場合には、ハード合車242の場合であっても、以上の連結形体に限定されるものではなく、車体構造の重量、強度等に余裕があれば、固定した車両連結形体が可能であることは、当然である。
尚、図33に示す単位車20である子車21同士、子車21と機能車23(図では例としてエネルギー車231)の連結形態を“連結形態A”と定義する。
【0095】
硬い連結を採用すると相互の相対的な移動の自由度がなくなり、車両剛性的には相互の負荷を負担する事になり、又、車体が2次元的に広がったことと同様な効果が生じ、旋回走行時やワインディング路走行時等において左右前後の負荷アンバランスにより合車全体に捩じりや曲げ等の負荷が増加するため、強度・剛性を確保するために重量が増加する場合がある。
図33の“(2)子車2両直列連結”のハード合車2422は2台の子車が進行方向に直列に連結した形態である。狭い道の走行や渋滞時等に有効な形態であるし、又、高速走行時等には相互に支持しあうことによりホィールベースが構成されることになり、走行安定性を向上させるように活用することも可能である。
【0096】
図33の“(3)子車3両連結”のハード合車2423は3台の子車21が三角形状に連結した連係形態例を示す。子車21には図10で説明されているように、前後に連結装置34を各二つ設置した例であり、三角形に連結した形態も可能である。当然のことながら、連結する単位車20のサイズが相対的に異なれば、二つ以上の連結装置34を設けて、二台以上の単位車20が連結することが出来る。勿論、前後だけでなく左右も同様である。図33の“(4)子車とエネルギー車の直列連結”のハード合車2424は子車21一台とエネルギー車231一台が前後に直列に結合した連係形態である。長距離長時間走行移動1043や、短距離でも高速走行等の負荷の高い走行する場合の最少必要限の構成例である。勿論、子車21とエネルギー車231の相対的な位置関係は自由であり、子車21を基準にすればエネルギー車231を前後左右に配置可能である。
【実施例19】
【0097】
前述のハード合車2424の変型例を図34に示す。エネルギー車231を長距離長時間走行移動1043を可能とする走行能力付加搭載装置3711に置き換えて、子車21に搭載した例(この場合の子車を子車2101とする)である。この構成で基本的にはハード合車2424と同様の車両能力を有する。然しながら、走行能力付加搭載装置3711は走行能力を有しないため、運用方法においてはエネルギー車231の場合と異なる使い方が必要となる。例えば、図5の説明において、合流地点1162でエネルギー車2314との合流・合体が行われたが、本例の場合はレンタカー店1152に立ち寄るなり、別の方法で合流地点に届けてもらう、又は家101を出発時に搭載する等が必要となる。図34の連結形態は図33の連結形態Aの変形例として“連結形態A-1”と定義する。
【実施例20】
【0098】
単位車20の連結形態である合車24の変型例を図35、図36、図37に示す。前述した連結形態Aである子車21同士、必要に応じて機能車23が複数相互に連結するソフト合車241、ハード合車242に対し、一台又は複数台の子車21を連結する機能を有する形態の機能付加装置37であって、以下、この連結する形態の機能付加装置37を母車22とする。母車22には走行能力を付加することが出来る。
母車22の一形態で、一台又は複数台の子車21、あるいは子車本体211が乗入れる形態で連結し、自身も走行能力を有する母車を乗入母車221とし、このような連結形態を“連結形態B”と定義する。同じように一台又は複数台の子車21、あるいは子車本体211が乗入れる形態で連結し、自身には走行能力を有しない母車を連結母車223として、図37で後述する。このような連結形態を“連結形態D”と定義する。以上の二形態とも乗入れた子車21、或いは子車本体211は乗入れた状態の時には母車と連係し一体走行する。一方もう一つの形態は、一台又は複数台の子車21、あるいは子車本体211が乗込む形態で連結する乗込母車222である。即ち乗込み後は走行機能は乗込母車222に依存する形態で、図36で後述する。このような連結形態を“連結形態C”と定義する。
この方式の形態の特徴は母車22に、図22で説明した機能車23の機能である長距離長時間走行移動1043や高速走行、登降坂の激しい走行等の負荷の大きい走行に必要なエネルギー、安全性、快適性、等々の強化機能を設けることにより、より子車21をシンプルに軽量に構成できる。尚、以上に説明した「連結」の意味は、機械的に接続する方式だけでなく、図6で説明したソフト合車241と同様に母車22と連結する一台以上の子車21間で、相互に適切な車両間隔を相互の情報交換により車両制御して保って母車合車243を構成する方法も含んでおり、以降でも同様である。
【実施例21】
【0099】
図35は連結形態Bの構成例の説明図である。 図35の“(1)子車が乗入母車に乗入”に示す例は複数の子車21が子車乗入母車2211に乗入れる形態で一体化して連係走行する子車乗入母車合車2431である。乗入れる子車21が複数の場合は、一台はマスター車として設定する。子車は夫々の走行機能と走行能力を発揮しつつ、子車乗入母車合車2431として一台の車としての走行能力を有する。子車21の一台又は複数台を機能付加装置37或いは機能車23と入替も可能である。又、子車乗入母車2211は前述の機能付加装置37の役割を担うことが出来、エネルギー補助機能、トランク機能等を一体的に構成することが可能である。更には機能車23と同様に、走行機能を加えてエネルギー補助機能、トランク機能等を一体的に構成することが可能である。図35の連結形態B である“(2)子車本体が乗入母車に乗入”は子車本体乗入母車2212に子車本体211が乗入れる方式の母車合車2432である。特徴は子車外装212が不要となるため、母車合車2432全体で軽量化でき、かつ乗入母車2211内で開放的になり、家族、仲間間で団欒しながらのドライブ等が容易に出来る。又、子車乗入母車2211及び子車本体乗入母車2212は自走能力を有するので、図5で説明した運用方法の中で子車4台用のエネルギー車2314に替わって活用することが出来る。更に子車乗入母車2211及び子車本体乗入母車2212は内部に乗込んだ複数の子車21や子車本体211を覆う形になるので、長距離長時間走行移動1043に対応した安全性や快適性の付加に対応しやすく、その分は子車21や子車本体211を簡略化や軽量化がしやすくなる。
又、乗入れる子車21及び子車本体211と子車乗入母車2211及び子車本体乗入母車2212はエネルギー授受が相互に可能なように接続することが出来、長距離長時間走行移動1043用にエネルギー補給を受けるだけでなく、例えば、各子車21及び子車本体211は分離降車後の走行に備えて、乗込み母車222より充電電力の供給を受けることが出来る。マスター車と子車乗入母車2211及び子車本体乗入母車2212は、図示してないが運転操作等の情報信号系統は接続されており、マスター車の乗員の運転操作に対応して子車乗入母車合車2431及び子車本体乗入母車合車2432として夫々一体の一台の車として走行する。必要に応じて例えばエネルギー車231を乗込ませることにより走行距離を増大させる等の能力増大を図ることもできる。子車乗入母車2211及び子車本体乗入母車2212に一人以上の乗員39乗車できる機構や運転操作が可能な機構を設置することも当然可能である。
【実施例22】
【0100】
図36は連結形態Cの構成例の説明図で、一台以上の複数台の子車等が乗込む方式の乗込母車222の説明図である。形式的には単位車20である子車21等が母車の荷物のように乗込み、走行機能を母車に委ねる形態である。この形態の特徴は、例えば子車21は短距離短時間走行移動1041専用に設定することにより軽量化、シンプル化し、乗込母車222は長距離長時間走行移動1043用に設定し最適化できる。図36の“(1)子車が乗込母車に乗込み”の例は子車乗込母車2221に一台又は複数台の子車21が乗込む子車乗込母車合車2433である。同様に図36の“(2)子車本体が乗込母車に乗込み”は子車本体乗込母車2222に一台又は複数台の子車本体211が乗込む子車本体乗込母車合車2434である。乗込む子車21又は子車本体211が複数台の場合は、一台をマスター車として設定する。
乗込む子車21及び子車本体211と子車乗込母車2221及び子車本体乗込母車2222はエネルギー授受が相互に可能なように接続することが出来、例えば、各子車21及び各子車本体211は降車後の走行に備えて、子車乗込母車2221及び子車本体乗込母車2222より充電電力の供給を受けることが出来る。マスター車と乗込み母車222は、図示してないが運転操作等の情報信号系統は接続されており、マスター車の乗員の運転操作により、母車合車2433は走行する。走行機能は基本的には乗込み母車222に依存するが、必要に応じて例えばエネルギー車231を乗込ませることにより走行距離を増大させる等の能力増大を図ることもできる。この方式の特徴は子車21に前述の長距離長時間走行移動1043に含まれる高速走行や登降坂の激しい走行等の高負荷走行に必要な車体強度等が不要となるので、より軽量化、小型化できる。変型例として、図36の“(2)子車本体が乗込母車に乗込み”に示す子車本体乗込母車合車2434は子車21が図14で説明した子車外装212を除いた子車本体211の形態で子車本体乗込母車2222に乗込んだ形態である。前述の乗込み母車合車2433より軽量化され、経済的に走行できる。又、各子車本体211の乗員間の開放感が向上することになる。
子車乗込母車2221及び子車本体乗込母車2222に一人以上の乗員39乗車できる機構や運転操作が可能な機構を設置することも当然可能である。
【実施例23】
【0101】
図37は連結形態Dの構成例の説明図で、一台以上の複数台の子車21が連結母車223に覆われる形で乗入れて連結母車223と一体となって合車24を形成する連結母車合車である。連結母車223は自身の走行機能は有しないが、連結する一台以上複数台の子車21を連結する機能と機能付加装置37の機能を有することが出来る。連結母車223に快適性や長距離長時間走行移動1043能力、大きな車内スペースを確保できるので、家族やグループ等でのドライブ等に便利な合車形態である。
図37の“(1)子車が連結母車に乗入”は1台以上(図では4台)の子車21が連結母車223の一つ子車連結母車2231に乗入れる子車連結母車合車2435である。同様に図37の“(2)子車本体が連結母車に乗入”は子車本体連結母車2232に1台以上(図では4台)の子車本体211が乗入れる子車本体連結母車合車2436である。
図37の“(3)子車が子車連結装置に連結”は1台以上(図では4台)の子車21が子車連結装置2233に連結する子車連結装置合車2437である。
【実施例24】
【0102】
子車本体211の1台専用にした方式が図38に示す子車外装212に走行能力付加装置371を設置した子車外装2120である。
以上の方式の子車連結母車合車2435と子車本体連結母車2232及び子車外装212の特徴は自走能力以外は前述の子車乗入母車2211や子車本体乗入母車2212と同様であるが、走行能力を有しないためシンプルに軽量化することが出来る。図6で説明した運用方法に適用する場合はレンタカー店1152に立ち寄り合車形態を構成するか、あるいはレンタカー店より合流地点1162に配送して貰うことにより対応する。図38の連結形態は図37の連結形態Dの変形例として“連結形態D-1”と定義する。
【0103】
以上の子車21及び子車本体211と様々な機能付加装置37との連結形態の関係を整理し、図39に示す。機能付加装置37には、自身は自走能力を有しないが一台又は複数の子車21及び子車本体211と連係し長距離長時間走行移動1043の能力を付加する走行能力付加装置371、走行能力付加装置371に自走能力を付加する走行能力付加車両372、更には機能付加装置37の能力を持って一台又は複数台の子車21等を搭載して長距離長時間走行移動1043を可能とする車両搭載機能を有する乗込母車222と荷物搭載機能、安全性、快適性向上機能等のその他の機能を付加するその他機能付加装置375等に分けられる。
走行能力付加装置371には走行能力付加搭載装置3711と連結母車223が含まれて、連結母車223による連結形態は前述の連結形態Dに該当し、例として図37の(1)と(2)の連結形態図を示す。図38にて説明した子車外装212に走行能力付加装置371を搭載した例もこの分類に含まれる。
走行能力付加車両372には機能車23(図では機能車23の代表例としてエネルギー車231を図示した)と乗入母車231が含まれる。機能車23による連結形態は前述の連結形態Aに該当し、例として図33の(4)の連結形態図を示す。乗入母車221による連結形態は前述の連結形態Bに該当し、例として図35の(1)と(2)の連結形態図を示す。
乗込母車222による連結形態は前述の連結形態Cに該当し、例として図36の(1)と(2)の連結形態図を示す。
その他機能付加装置375は前述した走行能力付加装置371と走行能力付加車両372の機能を除き、比較的日常的な走行以外で必要となる機能を必要に応じて子車21や合車24に付加する車両、又は搭載装置である。機能例としては荷物搭載機能や快適性や安全性等を更に増加させたい等である。日常的な走行においても時には会社からの帰りに買い物に立ち寄り大きな荷物スペースが必要になる等が考えられ。
【実施例25】
【0104】
次に、前述した連結装置34について図40を用いて説明する。二台の子車21a、21bがハード合車242を構成する場合を例としている。子車21aにMタイプの連結装置341、子車21bにFタイプの連結装置342が、夫々設置されている。連結装置341と連結装置342を総称して連結装置34とし、連結した状態を340とする。連結装置341の結合部3415と連結装置342の結合部3425が結合することにより子車21aと子車21bが機械的に結合することにより、ハード合車242の合車状態となる。同時にコネクター3431とコネクター3432も結合するようになっており、夫々伝達コード3433、3434を経由して、夫々の子車の電気系統又は燃料系統、及び情報通信系統に連結できるようになり、電気又は燃料等のエネルギー授受、信号の授受が可能となる。結合の機構については電磁的方法、電車やトレーラーの連結装置等、様々な方法が提案され、実用化されているので、ここでは詳細の説明は省略する。
【0105】
結合部3415は伸縮部3414、回転部3423、稼動部3412を経て基板3411に繋がり、基板3411が子車21aに固定されている。伸縮装置3414はX軸方向に伸縮可能で回転部3423はY軸回り、Z軸周りに回転可能となっている。稼動部3412は基板3411の面上をY-Z方向に自由に移動できる。以上の機構により、結合部3415は基板3411に対し、機構的な制限の範囲内で大きな自由度を持って移動することが出来る。従って、子車21aと子車21bは互いに機械的に結合しているが、設定された範囲内において相対的に、自由に動くことが出来る。
【0106】
又、子車21aに設置されている隣車センサー451a、子車21bに設置されている隣車センサー451bは、夫々隣り合った、夫々隣り合っている隣車である子車21aと子車21bの相対的な動きを検出できるようになっている。検出方法は電磁的な方法や光学的な方法等活用すれば可能であるが此処では説明を省略する。前述したように、複数の単位車20が合車24を構成した場合には、一台をマスター車とし、他の単位車はマスター車より、操作情報、走行情報を受け、自車のマスター車に対する相対位置を加味してマスター車に随走するように自車を制御する。然しながら、そのような制御にはバラツキ、ズレ、遅れが伴うのは当然なので、隣車センサー451の信号を活用して、制御を補正する。別の方法として、連結装置341の基盤3411と結合部3415の相対移動を検出する結合部センサー445の信号により、制御を補正する。図40では基板3411に結合部センサー445を設定したが、基板3411又は子車21aの子車体210aと結合部3415又は子車21bの子車体210bの相対移動が検出できれば良い。
【0107】
連結状態340においては、ハード合車242の状態であっても、連結した単位車20相互間において、隣車同士である子車21間で連結状態を維持しつつ、限定された範囲内で相対的に移動可能である。このような機構を採用することによってハード合車242の構成車である単位車20の各々は、相互に機械的負荷を授受することなく、単位車20単独で走行時の強度、合成を保持すればよく、軽量な子車20が可能となる。
【実施例26】
【0108】
次に、合車24での走行時の車室空間共有について説明する。この車室空間共有と言う考え方は本願発明において、極めて重要なコンセプトとしている。前述の「発明の効果」の(2)項にて述べた、家族、仲間同士での揃っての移動時にも、寛ぎ、団欒できる共有空間を合車走行時に提供する方法に関するものである。図41の例は図33の“(1)子車2両並列連結”で説明した二台の子車21a、21b同士の並列連結状態のハード合車2421を例に説明する。この考え方は図32で示した合車の連結形態例を含め、あらゆる合車の連結形態に同様に適用できる方法であり、他の説明は省略する。図33の“(2)子車2両直列連結”で説明した二台の子車21a、21b同士の直列連結形態の場合であっても、前後の子車21a、21b間での車室空間共有も容易に想定できることなので、此処では説明を省略する。
図41の“(1)連結直線走行”の合車直線走行形態281では二台の子車21a、21bが並列連結状態で合車状態を構成し、相互に向き合う開閉窓2122a、2122bを開いた状態の開窓部2123a、2123bで子車21a、21b間二車間の開放部を構成することにより、共有空間を形成している。
【0109】
図41の“(2)連結旋回走行1-1”の合車旋回走行形態2821の場合は子車21a、21bともに図30(1)の単位車旋回走行形態2721に該当するが、当然のことながら子車21a、21bの夫々の開閉窓2122a、2122bの開窓部2123a,2123bが相互に食い違い、共有空間性が損なわれるが、二台並列走行の楽しさを味わえる形態でもある。図41の“(3)連結旋回走行1-2”の合車旋回走行2822は旋回外側の子車21aの車高装置331を伸張して331mとし、子車21a、21bの夫々の開閉窓2122a、2122bの開窓部2123a、2123bを一致させ、共有空間を形成する方法である。当然のことながら、子車21bの車高装置331を縮小する方法、又は子車21aの車高装置331を伸張と子車21bの車高装置331を縮小し組み合わせる方法も考えられる。
【0110】
図41の“(4)連結旋回走行2”の合車旋回走行2823の場合は子車21a、21bともに図30の“(4)駆動輪を外側移動”にて前述した単位車旋回走行形態2724に該当し、両車の開閉窓2122a、2122bの開窓部2123a,2123bが一致し、共有空間が確保される。合車旋回走行2823の場合は子車21a,21bの乗員39a,39bとも旋回外側への遠心力を受け、横方向への力を感じることになるが、通常の乗用車以上になることはない。定員5人の四輪乗用車の場合は、旋回時には必然的に旋回外側に車体が傾く構造になっており、横方向への感じる力を増幅することになるからである。図41の“(5)連結旋回走行3”の合車旋回走行2824は前述の合車旋回走行2823に加え、駆動輪31を旋回外側に屈曲装置333を作動させて傾斜させ、より高速旋回走行、より急旋回に対応できるようにする方法である。図30単位車旋回走行の2723、2724を組み合わせた走行に該当する。尚、以上説明した四つの連結旋回走行は各々の組み合わせは任意に独立に制御可能であり、自由に組み合わせが出来る。
【実施例27】
【0111】
図42に図41の“(3)連結旋回走行1-2”に示す連結旋回形態を例にとり旋回走行時のバランスを示しており、そのバランス式を図45の式(13)から式(20)に示す。図45の式(13)から式(20)に示すバランス式は図28の説明に用いた記号と同じとし、記号の添え字のaとbにより子車21aと子車21bを区別する。但し旋回半径は旋回内側の子車21bを旋回半径(R)とし、旋回外側の子車21aの旋回半径は旋回半径(R+dR)とする(尚、以降の数式においてはdR及び後述のdβのdをギリシャ文字のデルタの大文字で表現していることに注意されたい)。旋回中心(図42には図示していない)に対しての角速度(ω)は子車21b、子車21aともに共通である。
図45の式(13)、(14)が子車21aと子車21bの遠心力(F)の式で、式(14)に角速度(ω)と走行速度、旋回半径の関係を示す。式(16)と式(17)で子車21bの旋回角(βb)を求め、式(18)と式(19)で子車21aの旋回角(βa)を求める。式(20)で子車21aの旋回角(βa)が子車21bの旋回角(βb)よりdβだけ大きく、即ち旋回外側の子車21aの方が旋回内側の子車21bより大きく旋回内側にむけて傾くことを示している。図42ではその様子を子車21aの旋回線2927a、子車21bの旋回線2927bで表している。子車21aの車両総重心291aを通り、子車21bの旋回線2927bと平行な線2927cと子車21aの旋回線2927aのなす角度が(dβ)2928cである。尚、式(15)、式(17)において子車21bの揚力(WLb)、子車21aの揚力(WLa)は夫々子車21bの車両総重量(Wb)2932b、子車21aの車両総重量(Wa)2932aに対して小さいとして、計算式を簡略化している。
【0112】
以上の計算結果より、連結形態での旋回走行時には旋回内側の子車21bと旋回外側の子車21aとの間には同一の姿勢制御であれば必然的に旋回角に差異が生じるため、図41で説明した連結形態時の車室空間共有機能が損なわれることになる。図42の図は以上の問題点に対する解決策の一例を示したものである。
図42の例は内側の子車21bの旋回走行時のバランス状態(旋回線2927bが駆動輪接地点2921bに一致した旋回走行)に、外側の子車21aが子車21bと別の姿勢制御を適用することにより、車室空間共有機能を満たす例である。子車21aは子車21bの旋回線2927bと平行な線2927cとなるように姿勢制御をする。方法は図31にて説明した隣車センサー451aの信号により子車21bとの姿勢のズレを検出し、図12で説明した車体姿勢制御ユニット52によりX-Y移動装置332を作動させて駆動輪31を移動し、駆動輪31の駆動輪接地点2921と旋回線2927aの旋回線接地点2929aが一致するように制御する。図42では制御した結果の夫々の位置の符合にcを付加して区別している。X-Y移動装置332の位置は332c、駆動輪31の位置は31cで接地点は2921c、旋回線2927aの接地点は2929cで示している。
【0113】
図42で説明した制御方法の例では、子車21aの車両全体としてのバランスは、旋回線2927aと駆動輪接地点2929aが一致しているので、連結相手車である子車21bとの間に連結に関する相互の負荷は無いように又は小さくなるように制御されている。然しながら、旋回外側の子車21aの乗員39aは旋回線2927aから(dβ)2928c外側に傾いて着座しているので、外向きに遠心力を受けることになるが、現状の乗用車に比較して同じ旋回半径で同じ旋回速度であれば、受けて感じる遠心力は小さいのはこれまでの説明から明らかである。
尚、図42の例では内側の子車21bを基準にして外側の子車21aを制御したが、固定されるものではない。外側の子車21aを基準にして内側の子車21bを制御しても良いし、両車両の中間を基準にして両車両を制御することも可能である。又、図42の説明は図41の”(3)連結旋回走行1-2”を例に取り上げたが、その他の図42の”(2)連結旋回走行1-1” ”(4)連結旋回走行2” ”(5)連結旋回走行3”にも同様の考え方で適用できることは明らかである。
【実施例28】
【0114】
図43は本願発明の車両システムの制御システム5で、入力装置40と制御装置50及び出力装置60で構成されている。入力装置40は運転・走行操作41、運行・旅行設定42、乗員情報43、車両情報44及び運行・環境情報で構成されており、必要に応じて追加・削除が可能になっている。運転・走行操作41は走行時における乗員の意思や操作の入力等であり、「走る・曲がる・止まる」の基本的な運転操作は勿論のこと、連結形態構成時の合体・分離操作、走行時・旋回時の車両姿勢の設定、マスター/スレイブの設定等が入力できるようになっている。運行・旅行設定42は走行・旅行予定として走行モード104の設定、目的地、連結台数、公的連結か私的連結、合流・連結地点等を設定し、途中での変更追加も自由に出来る。乗員情報43は年齢を含む運転資格情報やアルコール、薬物、疲労等の検出で運転可能かどうかの判断、又公的連結形態の走行時に連結車の主導資格があるかどうか、更には乗員の車室内での動きを検出して、重心補償制御に活用する情報等を含むことができる。車両情報44は走行のために必要な車速や姿勢情報、合流・合体する連結相手車の相対距離、相対姿勢、更には連結走行時のマスター車であればスレイブ車への走行情報提供、連結走行時の連結装置からの負荷情報等が含まれる。運行・環境情報45は自車の絶対位置、連結相手車の絶対位置と合流地点への到着予定、エネルギー車等の合流可能地点、公的連結相手車である公的母車の時刻表と合流地点での合流予定等を含むことが出来る。
【0115】
制御装置50は走行制御ユニット51、車体姿勢制御ユニット52、重心補償制御ユニット53自動運転制御ユニット54、運行制御ユニット55及びナビゲーション56で構成されており必要に応じて追加・削除できるように構成できる。走行制御ユニット51は車体姿勢制御ユニット52と連係の基に、運転・走行操作41や車両情報44を得て、駆動輪31、補助輪32、車体姿勢制御装置33、制動装置34を制御して、いわゆる乗用車としての基本的な「走る・曲がる・止まる」の基本的な運転操作による走行に加えて、走行や旋回時の好みの姿勢等を制御することが出来る。重心補償制御ユニット53は以上の走行に関連する車体姿勢制御とは独立に、乗員や荷物の移動等による車体姿勢への影響を軽減し、走行に関連する制御をしやすくすることが出来る。自動運転制御ユニット54は連結形態時のスレイブ車の場合はマスター車への追従制御、子供や運転資格のない乗員等の場合は旅行計画に沿って、合流地点までは自動走行で移動可能とすることが出来る。運行制御ユニット55はナビゲーション56と連係し、運行・旅行設定42情報と運行・環境情報45を得て、運行管理センターと情報交換しつつ、最適な走行計画と合流・合体地点と時間、機能車の手配等を制御することが出来る。
【0116】
出力装置60は駆動輪31、補助輪32、車体姿勢制御装置33、連結装置34、制動装置35及び重心補償制御装置で構成されており、必要に応じて追加・削除できるようになっている。駆動輪31は補助輪32、制動装置35、車体姿勢制御装置33と連動し制御装置50の制御情報に対応できる。重心補償制御装置38は重心補償制御ユニット53の制御情報により、走行に関連する車体姿勢制御とは独立に、乗員や荷物の移動等による車体姿勢への影響を軽減し、走行に関連する制御をしやすくする機能を有している。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本願発明は現在の自動車の使い方、利便性を損なうことなくエネルギー消費量と車両製造に必要な多くの原材料と資源を大幅に減少できる自動車とその運用方法であり、地球温暖化対策やCO2削減に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】車両の運用形態を例示した説明図である。
【図2】車両の平均的走行データを示した図である。
【図3】本発明の基本概念の車両構成の考え方を説明した図である。
【図4】走行方法、乗車人数に対応した本発明の車両構成例を示した図である。
【図5】本願発明車両と現在の乗用車との比較図である。
【図6】本発明車両システムの運用例を示した図である。
【図7】運用システムの適用例の一つで乗合型の説明図である。
【図8】運用システムの適用例の一つで乗入式の説明図である。
【図9】運用システムの適用例の一つで乗込み式の説明図である。
【図10】車両の外観と関連装置の説明図である。
【図11】合流・合体を説明する図である。
【図12】車両の構造を説明する三面図である。
【図13】車両の機能区分の説明図である。
【図14】車両と外装の説明図である。
【図15】車両の走行装置の説明図である。
【図16】補助輪の変形例の説明図である。
【図17】駆動輪の前後左右への水平移動の説明図である。
【図18】駆動輪の前後左右への回転移動の説明図である。
【図19】操舵装置による駆動輪の動きの説明図である。
【図20】車体の車高装置による上下移動の説明図である。
【図21】車体の前後左右への傾きの説明図である。
【図22】付加機能車の説明図である。
【図23】車両の前後方向の力学的バランスの説明図である。
【図24】走行時の姿勢制御装置による車両の動作の説明図である。
【図25】車両の発進制御の説明図である。
【図26】発進制御のフローチャートを示す図である。
【図27】重心補償装置の説明図である。
【図28】旋回走行時の力学的バランスの説明図である。
【図29】補助輪使用時の旋回の説明図である。
【図30】旋回時の車体の動作の説明図である。
【図31】走行と姿勢制御装置の作動対応の関係図である。
【図32】走行に対応する連結車の連結構成例を示す図である。
【図33】連結車の連結方式の説明図である。
【図34】走行能力付加装置の搭載の説明図である。
【図35】乗入方式の車両の説明図である。
【図36】乗込み方式の車両の説明図である。
【図37】連結方式の車両の説明図である。
【図38】走行能力付加装置の搭載の説明図である。
【図39】機能付加装置と連係走行形態の関係の説明図である。
【図40】連結装置の説明図である。
【図41】連結時の車室空間共有の説明図である。
【図42】旋回走行時のバランスの説明図である。
【図43】制御システムの説明図である。
【図44】発進時のバランス式を示す図である。
【図45】旋回走行時のバランス式を示す図である。
【符号の説明】
【0119】
10〜19 運用方法
20〜29 車両
30〜37 車両要素
40〜46 入力情報
50〜52 制御

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転操作を行う運転手段と、自車両を駆動する駆動手段とを具備する乗用車両と、前記乗用車両に車両機能を付加及び/又は強化する機能付加装置とからなる車両システムであって、乗用車両と機能付加装置を連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする可変構成自動車。
【請求項2】
運転操作を行う運転手段と、自車両を駆動する駆動手段とを具備する乗用車両と、前記乗用車両に車両機能を付加及び/又は強化する機能付加装置である機能付加車両とからなる車両システムであって、乗用車両と機能付加車両を連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする請求項1記載の可変構成自動車。
【請求項3】
前記機能付加車両は前記乗用車両に、長距離及び/又は長時間の走行移動である長距離長時間走行移動の走行能力を付加及び/又は強化する走行能力付加車両であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の可変構成自動車。
【請求項4】
前記可変構成自動車は、複数の走行状態に対応して1以上の乗用車両と、ゼロ又は1以上の走行能力負荷車両を連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする請求項1から請求項3記載の可変構成自動車。
【請求項5】
前記複数の走行状態は、自動車の走行移動方法を分類する方法である走行モードと、自動車の利用状態である走行移動する乗車人数に対応して分類する方法である乗車人数モードにより定義され、その複数の走行状態の一つの走行状態に対応させて1以上の乗用車両と、ゼロ又は1以上の走行能力負荷車両を連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする請求項1から請求項4記載の可変構成自動車。
【請求項6】
前記走行モードは、自動車の走行移動方法である短距離及び/又は短時間の走行移動である短距離短時間走行移動と長距離及び/又は長時間の走行移動である長距離長時間走行移動を含み、前記乗車人数モードは自動車の利用状態である走行移動する乗車人数に対応することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の複数の走行状態。
【請求項7】
前記乗用車両は、前記走行モードの一つである短距離及び/又は短時間の走行移動である短距離短時間走行移動の走行能力を有する車両であることを特徴とする請求項1から請求項5記載の可変構成自動車。
【請求項8】
前記機能付加装置は、前記乗用車両の保持する車両機能を付加及び/又は強化することを特徴とする請求項1記載の可変構成自動車。
【請求項9】
前記機能付加装置は前記乗用車両に、走行モードの一つである長距離及び/又は長時間の走行移動である長距離長時間走行移動の走行能力を付加及び/又は強化する走行能力付加装置であることを特徴とする請求項1記載の可変構成自動車。
【請求項10】
前記可変構成自動車は、前記走行モードが前記短距離短時間走行移動の場合の複数の走行状態においては、その一つの走行状態に対応する乗車人数モードの乗車人数に応じた台数の前記乗用車両を連携させて一体の自動車を構成し、前記走行モードが前記長距離長時間走行移動の複数の走行状態においては、その一つの走行状態に対応する乗車人数モードの乗車人数に応じた台数の前記乗用車両と、一台又は複数台の前記走行能力付加車両を連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする請求項1から請求項5及び請求項7に記載の可変構成自動車。
【請求項11】
前記可変構成自動車は、前記走行モードが前記短距離短時間走行移動の場合の複数の走行状態においては、その一つの走行状態に対応する乗車人数モードの乗車人数に応じた台数の前記乗用車両を連携させて一体の自動車を構成し、前記走行モードが前記長距離長時間走行移動の複数の走行状態においては、その一つの走行状態に対応する乗車人数モードの乗車人数に応じた台数の前記乗用車両と、一台又は複数台の前記走行能力付加装置を連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする請求項1から請求項5及び請求項7に記載の可変構成自動車。
【請求項12】
前記走行能力付加車両は自身が走行能力のある車両であることを特徴とする請求項3記載の走行能力付加車両。
【請求項13】
前記可変構成自動車を構成する1以上の前記乗用車両と、ゼロ又は1以上の前記走行能力付加車両は、相互に連結装置で連結し、連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする請求項1から請求項5記載の可変構成自動車。
【請求項14】
前記連結装置は、前記可変構成自動車を構成する1以上の前記乗用車両と、ゼロ又は1以上の前記走行能力付加車両の相互間に相互にエネルギー授受ができる機構を具備することを特徴とする請求項11記載の連結装置。
【請求項15】
前記連結装置は、連結する1以上の前記乗用車両とゼロ又は1以上の前記走行能力付加車両の相互間に、連結による相互負荷を軽減する柔軟な機構を有する連結装置で相互に連結する連携形態であることを特徴とする請求項11記載の連結装置。
【請求項16】
前記可変構成自動車を構成する1以上の前記乗用車両と、ゼロ又は1以上の前記走行能力付加車両は走行時において、一体自動車としての連携の下に、各々個別に走行制御及び/または姿勢制御することにより相互間の連結負荷を軽減することを特徴とする請求項1から請求項5記載の可変構成自動車。
【請求項17】
前記可変構成自動車を構成する複数の前記乗用車両の相互間において、車室空間を共有可能とする開放部を設けることを特徴とする請求項1から請求項5記載の可変構成自動車。
【請求項18】
前記可変構成自動車を構成する1以上の前記乗用車両と、ゼロ又は1以上の前記走行能力付加車両は走行時において、一つの乗用車両の一人の乗員のみが運転操作可能とし、他の乗用車両と走行能力付加車両は、前記一つの乗用車両の運転操作と走行制御状態及び走行姿勢に対応するように、連携させて一体の自動車を構成することを特徴とする請求項1から請求項5記載の可変構成自動車。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2009−176295(P2009−176295A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335591(P2008−335591)
【出願日】平成20年12月27日(2008.12.27)
【出願人】(707001470)
【Fターム(参考)】