可変速度カッターを備えた生検装置
外カニューレ(80)内に配された平行移動および回転移動カッター(104)を有する生検装置(20)が開示されている。カッター(104)の平行移動速度は、可変ピッチ部材(142)を用いて変えられる。可変ピッチ部材(142)は、急速切断進行用の相対的に粗いネジ部(146)および組織切断中における切断進行用の相対的に細かいネジ部(148)を有するシャフトを含めることができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
この出願は、2003年2月25日に出願された仮特許出願第60/449,970号の優先権を主張するものである。
【0002】
この発明は、概ね生検装置に関するものであり、より詳細には、生検装置におけるカッターを前進させかつ駆動するための方法および装置に関するものである。
【発明の背景】
【0003】
癌性腫瘍患者の診断および治療は、進行中の研究分野である。組織サンプルを採取し、次に標本化するための医療装置は、この分野において周知である。例えば、商品名モムモトム(MAMMOTOME)で現在上市されている生検器具は、胸部生検サンプルの採取用として市販されている。
【0004】
次の特許文献は、種々の生検装置を開示しており、参照によってこの明細書にそのまま組み込まれる:
【特許文献1】2001年8月14日発行の米国特許第6,273,862号
【特許文献2】2001年5月15日発行の米国特許第6,231,522号
【特許文献3】2001年5月8日発行の米国特許第6,228,055号
【特許文献4】2000年9月19日発行の米国特許第6,120,462号
【特許文献5】2000年7月11日発行の米国特許第6,086,544号
【特許文献6】2000年6月20日発行の米国特許第6,077,230号
【特許文献7】2000年1月25日発行の米国特許第6,017,316号
【特許文献8】1999年12月28日発行の米国特許第6,007,497号
【特許文献9】1999年11月9日発行の米国特許第5,980,469号
【特許文献10】1999年10月12日発行の米国特許第5,964,716号
【特許文献11】1999年7月27日発行の米国特許第5,928,164号
【特許文献12】1998年7月7日発行の米国特許第5,775,333号
【特許文献13】1998年7月23日発行の米国特許第5,769,086号
【特許文献14】1997年7月22日発行の米国特許第5,649,547号
【特許文献15】1996年6月18日発行の米国特許第5,526,822号
【特許文献16】2003年10月23日公開の米国特許出願第2003/0199785号
【特許文献17】2003年10月23日公開の米国特許出願第2003/0199754号
【発明の概要】
【0005】
生検装置における回転移動および平行移動カッターの平行移動速度を変更できることが望ましい。例えば、異なる速度で平行移動するカッターを有することが望ましい。例示として、特許文献4は生検装置を制御する方法を開示している。
【0006】
モータ速度がカッターの平行移動速度の所望の変化に対応して変更可能であるとはいえ、十分に異なる速度でのモータの運転を要するか、あるいはモータ速度を変えるための複合制御部を実装することは望ましくない場合がある。ギア列を有する動力伝達アセンブリは、カッターの平行移動速度を変更するのに用いることができるが、このようなアプローチは、望ましくない複雑性あるいは重量を上記生検装置に加えることになる。
【0007】
1つの実施の形態では、この発明は、組織受容ポートを有するカニューレと、このカニューレと同軸に配された組織カッターであって、上記カニューレに対する平行移動に対応したカッターと、上記組織カッターの平行移動速度に変化を与えるために、上記組織カッターに対して作用可能に関係した可変ピッチ部材を備えた、生検装置を提供するものである。上記組織カッターは、カッターの移動行程の一部において、上記カニューレ内での平行移動および回転移動に適応可能である。電気モータ等のモータは、上記可変ピッチ部材を回転させるのに使用可能である。上記モータは、所望の速度で回転を与えることができると共に、上記可変ピッチ部材は、上記モータの回転移動速度とは独立して、上記カッターの平行移動速度を変更するのに使用可能である。
【0008】
上記可変ピッチ部材は、可変ピッチカム表面を備えるピッチ変更用のネジ部を有する可変ピッチ用回転シャフトという形態を採ることができる。上記生検装置は、上記可変ピッチ部材に回転を与える第1のモータと、上記カッターに回転を与える第2のモータを含むハンディータイプの装置とすることができる。上記可変ピッチ用回転シャフトは、組織の切断前に、相対的に速い速度で上記カッターを前進させるための相対的に粗いピッチ部分と、組織の切断中に、相対的に遅い速度で上記カッターを前進させるための相対的に細かいピッチ部分を含めることができる。
【0009】
上記可変ピッチ用回転シャフトの可変ピッチカム表面は、上記シャフトの外表面に形成されたカムスロットという形態を採ることができる。カムナットは、回転させられたシャフト上に支持可能であり、かつ、上記シャフト上のカムスロットのピッチ機能を果たす速度で、上記シャフトの長さに沿って平行移動可能である。上記シャフトの回転方向次第で、上記カムナットの平行移動は、前(遠位)あるいは後(近位)方向の平行移動を上記カッターに与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この明細書がこの発明を特に指摘しかつ明白に請求する特許請求の範囲で締めくくっているが、この明細書は、添付の図面に関連して次の記述を参照することによって一層理解されることになるはずであると信じられている。
【0011】
この発明は、体内から組織部分を採取するための生検装置に関係するものであり、特に、コア生検装置内での切断器具の速度の制御に関係するものである。コア生検装置の例は、ヒブナーらに発行された特許文献5に記述されており、この文献は参照によってこの明細書に組み込まれる。図1は、符号20によって概ね確認されるハンドピースと、減圧システム22と、制御ユニット24と、電源26を含むこの発明によるコア採取用生検器具を示している。ハンドピース20は、操作者の手によって容易に操作されるのに好適な軽量で人間工学的な形状を有している。ハンドピース20は、プローブアセンブリ28と、着脱可能に連結されるホルスター30を含む。
【0012】
プローブアセンブリ28は、第1減圧チューブ32および第2減圧チューブ34によって減圧システム22に連結されている。第1減圧チューブ32および第2減圧チューブ34は、それぞれ、第1コネクタ36および第2コネクタ38によって減圧システム22に着脱可能に連結されている。第1コネクタ36は、雄部40と、第1減圧チューブ32に取り付けられた雌部42を有している。第2コネクタ38は、雌部44と、第2減圧チューブ34に取り付けられた雄部46を有している。コネクタとしての雄部40、雌部42、雌部44および雄部46は、第1減圧チューブ32および第2減圧チューブ34の減圧システム22への偶発的な切換えを防止する上記方法で取り付けられている。ホルスター30は、ハンドピース20を制御ユニット24および電源26に対して作用可能に連結する制御コード48を含む。制御コード48は、ハンドピース20に対して電力および制御情報を与えるものである。
【0013】
ハンドピース20が電気機械的アームではなく操作者の手によって操作されるので、操作者は、大きな自由度で、ハンドピース20の先端を対象の組織の塊に向けることが可能である。外科医は、操作中に触覚的なフィードバックを受け取り、これにより十分な程度、直面した組織の密度および硬度を確認することができる。さらに、ハンドピース20は、電気機械的アームに実装された器具を用いて採取される場合よりも、胸壁に近い部分の組織を採取するために、患者の胸壁に対して略平行に保持されてもよい。この技術分野における当業者は、万一、立体X線テーブルを使用することが望ましい場合には、立体X線テーブルの可動アームにハンドピース20を確実に保持するために、支持台あるいは「ネスト」が備えられることができるものと正当に評価する場合がある。
【0014】
図2は、ホルスター30から取り外されたプローブアセンブリ28を示している。プローブアセンブリ28は、上部ケース50と、下部ケース52を含み、各ケースは、ポリカーボネート等の剛性で生体適合性を有するプラスチックから射出成形されてもよい。プローブアセンブリ28の最終組立時においては、上部ケース50および下部ケース52は、超音波溶着、スナップファスナー、締り嵌めおよび接着を含むが、これらに限定されないプラスチック接合用に多くの周知の方法のいずれかによって、接合縁部54に沿って互いに接合可能である。同様に、ホルスター30は、ポリカーボネート等の剛性で生体適合性を有するプラスチックから射出成形され、プラスチック部分を接合するための任意の適切な方法によって縁部60に沿って互いに接合されてもよい上部ケース56および下部ケース58を含む。
【0015】
図3および図4は、ホルスター30の底部およびプローブの下部ケース52を示している。これらの図面に示されているように、プローブラッチ62は、プローブアセンブリ28をホルスター30に着脱可能に連結するためにプローブの下部ケース52内に向けて成形されている。プローブラッチ62は、片持ち梁であり、ラッチ傾斜面64に印加される力によって下方に撓み可能である。プローブラッチ62は、プローブアセンブリ28の近位端がホルスター30内に挿入されるときにホルスタースロット67内に挿入されるラッチ突出部66をさらに含む。ラッチ傾斜面64は、この傾斜面64とホルスター30のケースの内面65との間の相互作用によって下方に撓ませられている。プローブラッチ62は、プローブアセンブリ28が完全にホルスター30内に挿入されたときに、スロットキー68内に保持可能に嵌められる。ホルスター30からプローブアセンブリ28を取り外すために、操作者は、傾斜面64がスロットキー68から脱するまで、ラッチ突出部66を手動的に押し下げる。ラッチ突出部66は、その後に、プローブアセンブリ28およびホルスター30が分離されるまで、ホルスタースロット67を経由して軸方向に引かれてもよい。
【0016】
ここで図1および図2に戻ると、これらの図面には、操作者が片手でハンドピース20を使用できるようにホルスター30の上部ケース56上に設けられた電気スイッチが示されている。これらの電気スイッチは、カッターの動作(例えば、組織を採取するために前方(遠位側)へカッターを移動させるロッカースイッチ72の前方移動と、サンプル取得面74内に組織サンプルを位置決めするために逆方向(近位側)へカッターを駆動するロッカースイッチ72の後方移動)を駆動するための2ポジションロッカースイッチ72と、減圧システム22を駆動するための減圧スイッチ76を含めることができる。片手手動操作は、操作者の他方の手が自由になり、例えば超音波イメージング装置を保持することを可能にする。ホルスター30の遠位端上の隆起78は、操作者がハンドピース20を掴みかつロッカースイッチ72および減圧スイッチ76を操作するのを支援するために設けられている。プローブアセンブリ28のケース50および52も、使用中に、上記器具上の操作者の握りを改善するような輪郭に形成されてもよい。
【0017】
第1減圧チューブ32および第2減圧チューブ34は、シリコン配管、ポリ塩化ビニル配管あるいはポリエチレン配管等の可撓性、透明性あるいは半透明性の材料から構成可能である。この材料は、第1減圧チューブ32および第2減圧チューブ34を経由して流れる物質を視覚化することを可能にする。図3および図4に示されているように、例えば符号70によって示されるような1つまたはそれ以上のスロットは、第1減圧チューブ32および第2減圧チューブ34に間隙を与えるようにホルスター30の下部ケース58内に具備可能である。プローブアセンブリ28の遠位端にある開口領域は、サンプル取得面74へのアクセスを可能にする。操作者あるいは補助者は、サンプル取得面74から組織サンプルを取得することができる。
【0018】
図5は、プローブアセンブリ28を分解して示す投影図を与える。組織サンプルを採取するために外科患者の皮膚内に挿入される穿孔具(外カニューレ)80を含む生検針は、プローブアセンブリ28の遠位端に配置されている。穿孔具80は、長尺で金属製の穿孔チューブ82を有するカニューレと、上記チューブの軸方向長さに沿って延在し、上記カニューレに関連した管腔84を含む。穿孔チューブ82の遠位端の近傍には、外科患者から取得されるべき組織を受け取るための側方の組織受容ポート86が設けられている。穿孔チューブ82の傍らには、減圧管腔90を有する長尺の減圧チューブ88が接合されている。穿孔チューブ82は、金属あるいはプラスチックを含む任意の適切な材料で形成可能であり、穿孔用の管腔84に接合されるか、あるいはこの穿孔用の管腔84と一緒に形成可能である。図6に示されているように、穿孔用の管腔84は、ポート86によって規定される組織用穴の底部に配された複数の減圧穴92を介して減圧管腔90と流体的に連通している。これらの減圧穴92は、流体を排除するのに十分に小さいが、減圧88の減圧管腔に対して流体的に連結されている第1減圧チューブ32を経由して切除された組織部分が除去されるのに十分な大きさではない。穿孔具80の鋭利な先端は、穿孔具80の遠位端に取り付けられた分離穿孔用末端具94によって形成可能である。末端具94は2つの側面、すなわち、平坦形状部分と外科患者の組織に対して穿孔するのに適した他の形状部分を有している。
【0019】
穿孔具80の近位端は、長穴98が貫通する結合スリーブ96に取り付けられており、長穴98の幅広の中央部分の中には、横方向に形成された開口部102が形成されている。長尺で金属製の管状カッター104は、このカッターが遠位および近位の両方向に容易に摺動できるように、結合スリーブ96の長穴98および穿孔具80の穿孔用の管腔84に対して軸方向に一列に整列されている。カッターガイド106は、結合スリーブ96の近位端に配されている。カッターガイド106は、カッター104と結合スリーブ96との間で適切な整列を保証する金属製の漏斗形状ガイドの形態を採ることができる。結合スリーブ96およびカッターガイド106は、下部ケース52から延在する一体形成型の支持リブ107および上部ケース50の遠位端に設けられた一体形成型のハウジング108によって、プローブの上部ケース50と下部ケース52との間に支持されている。これらの一体形成型の支持リブ107およびハウジング108は、プローブの上部ケース50および下部ケース52に形成されたスロット110および開口部112と一緒に、カッターが遠位および近位の両方向に容易に平行移動できるように、カッター104と結合スリーブ96との間での適切な整列を保証するものである。第1減圧チューブ32の遠位端は、結合スリーブ96の横方向に形成された開口部102に堅く挿入する重合体製の減圧用取付け具113に取り付けられている。開口部102は、管腔90と流体的に連通しており、穿孔用の管腔84が減圧穴92を介して減圧システム22内の減圧容器と流体的に連通することを可能にする。
【0020】
カッター管腔114は、実質的にカッター104の全長を通り抜けて延在している。長尺で中空管状の組織除去器115は、カッター104が組織除去器115の長さに沿って平行移動できるように、上記カッター管腔114内に同軸的に配設可能である。組織除去器115は金属製あるいは非金属製であってもよい。第2減圧チューブ34は、組織除去器115を通過して延在する中央通路を経てカッター管腔114に減圧を与えるために、組織除去器115の近位端に流体的に取り付け可能である。第2減圧チューブ34は、第1減圧チューブ32の横に並んで、開口部117から下部ケース52を出る。ストレーナ119は、組織断片が組織除去器115を通過して減圧システム22に入るのを防止するために、組織除去器115の遠位端に取り付けられている。
【0021】
上記組織除去器115は、下部ケース52に対して固定的に保持されかつプローブの下部ケース52の内部上に設けられた一対の近位支持部(図示せず)によって支持されることが可能である。第2減圧チューブ34は中空の組織除去器115を経てカッター管腔114を通じて減圧を与えるものであり、この減圧は、カッター104の遠位端が組織受容ポート86の近位側に位置決めされたときに、組織受容ポート86内への組織の吸引を支援するのに使用可能である。
【0022】
カッター104の遠位端は鋭利になってカッター刃116を形成しており、このカッター刃116はカッター104が回転する際に、カッター刃116に抵抗して保持された組織を切断するためのものである。カッター104の近位端は、カッターギア118の軸穴内に取り付けられている。カッターギア118は、金属製あるいは重合体製であってもよく、複数のカッターギア歯120を含む。各カッターギア歯120は、この技術分野において周知であるような典型的な平歯車の構成を有している。
【0023】
図5および図6を参照すると、カッターギア118は、カッターギア歯120と噛合するように設計された複数の駆動ギア歯124を有する長尺の回転駆動シャフト122によって駆動される。この実施の形態では、駆動ギア歯124は、駆動シャフト122の略全長に沿って延在しており、カッター104の平行移動中ずっと、カッターギア歯120と係合している。駆動ギア歯124は、駆動シャフト122が回転駆動しているときはいつでもカッター104を回転させるために、カッターギア歯120と連続的な係合状態にある。以下に詳述されるように、駆動シャフト122は、カッターが組織を切断するために組織受容ポート86を通じて遠位側へ前進する際に、カッター104を回転させる。駆動シャフト122は、液晶ポリマー材料等の剛性エンジニアリングプラスチックから射出成形されてもよく、あるいはこれに代えて、金属あるいは非金属材料から製造可能である。また、駆動シャフト122はアルミニウムから押出成形あるいは金属材料から機械加工可能である。
【0024】
図7に示されているように、駆動シャフト122はこのシャフトの遠位側へ延在する第1軸方向端部126を含む。第1軸方向端部126は、プローブケースの内部上に成形された駆動シャフトインターフェース127によってプローブの下部ケース52内での回転に対応している。同様に、第2軸方向端部128は、回転駆動シャフト122の近位側へ延在しており、プローブの下部ケース52の内部上にも成形された他のインターフェース130で支持されている。Oリング131およびブッシュ133は、回転駆動シャフト122がプローブの下部ケース52内に配されているときに、上記インターフェース127および130内に置かれるように各軸方向端部126および128上に設けられてもよい。ブッシュ133は、Oリング131がプローブアセンブリ28の架台から回転駆動シャフト122の振動を切り離している間、回転シャフトインターフェース127および130における摩擦を低減する。また、ブッシュ133は、回転シャフトインターフェース127および130において、Oリング131なしで、使用可能である。駆動スロット132は、第1軸方向端部128内に形成されている。以下にさらに詳述されるように、駆動スロット132は、これに対応しモータ駆動シャフト134内に形成された駆動スロット、あるいは上記駆動シャフトに回転を与える他の回転駆動入力部と接続している。
【0025】
ここで、図8および図9を参照すると、カムナット136は、カッターギア118を保持すると共に、カムナット136の遠位側および近位側の両方向への平行移動中にカッターギア118および取り付けられたカッター104を搬送するために、プローブアセンブリ28内に設けられている。カムナット136は、好ましくは剛性ポリマーから成形され、かつ軸方向に延在する円筒状の穴138を有している。一対のJ字状のフック延長部140は、カムナット136の一側部から延在している。一対のフック延長部140は、カムナット136の遠位側および近位側の両方向への平行移動中に、カッターギア118およびカッター104に近位側および遠位側への平行移動を与えるために、カッターギア118の両側部上にカッター104を回転可能に支持している。フック延長部140は、カッターギア歯120が駆動ギア歯124と噛合する適切な方向に、カッター104およびカッターギア118を一列に整列させる。
【0026】
カムナット136は、平行移動シャフト(可変ピッチ部材)142に沿って平行移動するためのシャフト142上に支持されている。シャフト142は、カッター104および回転駆動シャフト122と平行な状態で、カムナットの穴138を通じて延在している。平行移動シャフト142は、アルミニウムあるいはこれと同様の他の材料から構成可能であり、シャフト142の外周部に機械加工可能であるか、あるいは他の方法で形成可能である主ネジ溝144の形態を採る通路等の通路を含めることができる。主ネジ溝144は、概ね螺旋状とすることができる。主ネジ溝144のピッチは、平行移動シャフト142の近位端と遠位端との間で変えてもよい。この明細書で記述された実施の形態では、主ネジ部のピッチは、粗い、すなわち上記シャフト142の近位部分における広い間隔のピッチから、細かい、すなわち上記シャフト142の遠位部分における狭い間隔のピッチまで変化している。ネジ部のピッチの特定ピッチ幅、並びに平行移動シャフト142の長さに沿う狭いピッチに対する広いピッチの比は、カッター104の所望の操作に依存して、この発明において変更することになる。
【0027】
図面において、平行移動シャフト142は、時計回りの回転(近位方向から遠位方向へ向く)がカムナット136を近位方向にシャフト142に沿って平行移動させるが、これに対して、シャフト142の逆回転がカムナット136を遠位方向に移動させるように、右回りネジで示されている。しかしながら、ネジ方向は、用途および回転駆動入力部に依存するネジ部の特定方向となるように、逆にすることができる。
【0028】
図10Aおよび図10Bに非常に詳細に示されているように、カムナット136は、穴138に対して直交する方向に延在する受容穴150を含むように、成形、機械加工あるいは他の方法で形成されている。カムフォロアピン152は、ネジ部が穴138を通過する際に、上記ピンの一部がカムナット136を越えて延在し、かつ平行移動シャフト142の主ネジ溝144内に延在するように、受容穴150内で位置決めされている。主ネジ溝144は、平行移動シャフト142が回転する際に、シャフト142の表面回りでカムフォロアピン152を案内する通路を形成している。カムフォロアピン152は、カムナット136と平行移動シャフト142との間のインターフェースを形成するようにカムナット136の一部として組み立てられる金属製で、機械加工されたピンとすることができる。図示された実施の形態では、カムフォロアピン152は、カムナットの受容穴150に嵌合するインターフェースで組み立てられている。これに代えて、カムフォロアピン152は、インサート成形あるいはネジによるなど、他の方法によって挿入可能である。他の実施の形態では、カムフォロアピン152は、主ネジ溝144内で半径方向に移動できる「フロート」となるようにカムナット136上に支持可能である。
【0029】
図10Bに示されているように、カムフォロアピン152は、カムナットの受容穴150内に置かれ、カム通路(主ネジ溝)144のプロファイルに適合するように形成された傾斜面156によって示されているようなテーパー形状あるいは他の形状の先端を有することができる。カム通路144は、テーパー状のプロファイルを有している。傾斜面156は、カムフォロアピン152が主ネジ溝144によって形成されたテーパー状の通路内を自由に摺動することを可能にし、主ネジ溝144のネジピッチおよび/または幅の容易な変更に適応することを可能にする。
【0030】
図8および図9を参照すると、スロット158は、図15に示されたモータシャフト160等の駆動モータシャフトに平行移動シャフト142を取り付けるためにシャフト142の近位端に設けられている。モータシャフト160は、このシャフト端部162とスロット158との係合を通じて平行移動シャフト142に回転を与える。平行移動シャフト142は、カム通路(主ネジ溝)144とカムフォロアピン152との間のインターフェースにより、可変ピッチのカム通路144に追従するカムナット136を回転させる。したがって、カムナット136は、シャフト142が回転する際に、シャフト142の長さに沿って平行移動する。カムナット136が平行移動シャフト142の回転によって遠位側へ平行移動する際に、カッターギア118はフック延長部140によって前方(遠位側)へ押圧される。カッターギア118は、カムナット136の平行移動と同一方向および同一速度でカッター104を移動させるために、カッター104にしっかりと取り付けられている。平行移動シャフト142がカムナット136内で回転する際に、円筒状の穴138は、カムナットが平行移動シャフト142を横切る際に、カムナットを安定化させるブッシュを兼ねている。
【0031】
この発明の生検装置の操作中に、カッター104は、サンプル取得面74に非常に近い完全に後退した位置と組織受容ポート86に非常に遠い完全に配設された位置との間のいずれかの方向で平行移動する。図示された実施の形態では、カッター104は、完全後退位置から完全配設位置までの約6インチ(1インチ=約2.54cm)の距離を平行移動することができる。カッターの平行移動の距離に沿う確認可能な複数の中間位置が存在している。カッター104の遠位端116が上記各位置に到達するときに、所望ならば、カッターの回転速度(しばしば単に回転速度という)あるいはカッターの平行移動速度(しばしば単に平行移動速度という)のいずれかあるいは双方に対する調節が可能である。
【0032】
この明細書に記述された生検装置の実施の形態に関し、カッターの平行移動の距離に沿って4つの位置が確認可能である。これらの位置ごとに、カッターの回転および/または平行移動の速度に対する調節が可能である。これらの速度の変化は、機械的に、あるいはモータ速度の変更のいずれかの異なる方法で、生検装置内で達成可能である。カッター位置の記述を容易にするために、カッター位置は、カッター104の遠位端上のカッター刃116の実際の位置として理解されるべきである。これらの4つのカッター位置は、次の4つがある:カッター104がサンプル取得面74に非常に近い第1の位置;カッター104がサンプル取得面74に非常に遠い第2の位置;カッター104が組織受容ポート86に非常に近い第3の位置;カッター104が組織受容ポート86に非常に遠い第4の位置。これらの4つの位置は、しばしば位置1、位置2、位置3および位置4と呼ばれる。これらの4つのカッター位置は、例示の目的のみで与えられ、多くの他のカッター位置は、この発明の範囲を逸脱することなく、カッターの回転速度および/平行移動速度に対する調節を知らせるために、この発明において使用されてもよい。
【0033】
図5、図6および図9に示された実施の形態では、カッター104が平行移動距離に沿って位置1から位置2への平行移動する際には、カムフォロアピン152は、主ネジ溝144の粗いピッチ部分146を横切り、これによりカッター104が平行移動シャフト142の回転ごとに、より速い速度で平行移動することができる。カッター104が位置2から位置3へ移動する際には、カムの主ネジ溝144が粗いピッチ幅から細かいピッチ幅へ移行し、これによりカッター104が平行移動シャフト142の回転ごとに、より遅い速度で平行移動することができる。カッター104が位置3に到達する際には、駆動シャフト122は、カッターの回転に呼応して回転し始める。したがって、カッター104は、カムフォロアピン152がカムの主ネジ溝144のより遅く、細かいピッチ部分148を横切り始めるときに、回転し始める。カッター104の平行移動速度は、組織の切断中に、組織受容ポート86を通じて回転するカッター104をより遅く前進させる細かいピッチ部分148で減速される。組織受容ポート86を通じた平行移動(位置3と位置4との間)中に、カッター104は、所望の組織切断速度で駆動シャフト122によって回転させられる。
【0034】
カムの主ネジ溝144のピッチ幅は、平行移動シャフト142の360°回転ごとに、カムナット136による直線移動距離を決定する。主ネジ溝144のピッチ幅が広ければ広いほど、シャフト142の360°回転ごとに、カッター104による直線移動距離が大きくなる。したがって、カッター104の直線速度は、平行移動シャフト142上のカムナット136の位置関数として変更可能である。主ネジ溝144のピッチは、平行移動シャフト142の回転速度に対するカッターの平行移動速度の所望の比を与えるように選択可能である。主ネジ溝144は、可変ピッチカムの通路として機能することができる。
【0035】
図9および図11は、平行移動シャフト142の全範囲並びに可変ピッチの主ネジ溝144を示している。これらの図面に示されているように、平行移動シャフト142は、このシャフト142の回転にかかわらず、カッター104の平行移動が妨げられるような、上記シャフト142の近位端および遠位端に近傍の領域を含めてもよい。符号164で示された上記領域では、主ネジ溝144は、零のピッチ幅を有してもよく、これによりシャフト142の外周回りに360°の溝を形成することになる。360°溝、すなわち零ピッチ領域164は、平行移動シャフト142に沿うカムナット136の移動を阻害する。主ネジ溝144が零ピッチ領域164へ移行する際には、平行移動シャフト142の外径は166で示されているように減らされ、主ネジ溝144のピッチは、カムフォロアピン152およびカッター104の平行移動を遅くするように、より細かくなっている。
【0036】
カムナット136が零ピッチ領域164に入るときには、シャフト142は回転し続けてもよいが、カムナット136は、零ピッチ領域164内にカムフォロアピン152が保持されているために、シャフト142に沿う平行移動が妨げられる。カッター104が移動行程の最も遠位(あるいは最も近位)点にあり、シャフト142の回転方向が逆(ロッカースイッチ72を押し下げることなどによって)になっているときには、カムフォロアピン152は、可変ピッチの主ネジ溝144と係合する状態に零ピッチ領域164から戻るように付勢されることになる。図11に示されているように、コイルスプリング168および170等の付勢装置は、シャフト142の回転方向を逆転させるときに、平行移動方向を変更する場合には、可変ピッチの主ネジ溝144と係合する状態に戻るようにカムナット136を付勢するために、平行移動シャフト142の各端部近傍に設けられてもよい。零ピッチ領域164におけるシャフト142の外径を減少させることおよび主ネジ溝144のピッチをより細かくすることは、カムフォロアピン152が零ピッチ領域164の溝内を進む際に、カムフォロアピン152の騒音あるいは振動を低減させるのにも有利となる。
【0037】
図12Aおよび図12Bは、カムナット136がシャフト142の近位端に向けて平行移動する際における零ピッチ領域164およびコイルスプリング168を示している。図13Aおよび図13Bは、カムナット136が最も近位位置(すなわちカッターの位置1)へ平行移動した後におけるカムナット136を示している。この位置1では、カムフォロアピン152は零ピッチ領域164に係合しており、コイルスプリング168はカムナット136に対して圧縮されている。カムナット136は、零ピッチ領域164に係合しているカムフォロアピン152のために、シャフト142が回転する際には、上記位置に留まる。一旦、モータ回転方向を変更するなどによって、シャフト142の回転方向が逆転すると、コイルスプリング168内に保存されたエネルギは、零ピッチ領域164外へ(カムフォロアピン152を経由して)カムナット136を押し出すように、カムナット136に対して作用する。コイルスプリング168は、カムナット136(およびカッター104)が反対方向へ平行移動し始めるように、主ネジ溝144に対応する可変ピッチの通路と係合する状態に戻るようにカムナット136を押圧する。
【0038】
シャフト142の外径は、機械加工あるいは他の方法で減少可能であり、主ネジ溝144のネジ(例えばテーパー状の壁部を有する)をより狭い間隔にすることで細かいピッチ(インチごとのネジ部が増える)を与えることになる。代替の実施の形態では、テーパー状のネジ壁部を有するカム通路(主ネジ溝)144のネジ深さは、カムフォロアピン152の平行移動速度を変更するために、変更可能である。例えば、カム通路(主ネジ溝)144の深さは、シャフト142の外径が一定に維持されるのに対して、シャフト142上により狭く配されるべきネジ部を可能にするために短くされてもよい。より間隔を狭くしたネジ部は、平行移動シャフト142の各回転中に、カッター104によって移動する直線距離を縮小する。
【0039】
図14Aから図14Cは、先の図1から図13に具体化されているようにこの発明の操作中に、カッター104の4つの位置のうち、3つを描写している。カッター104の3つの位置は、カッター104の遠位端上の(カッター104と共に移動する)カムナット136およびカッター刃116の相対的な位置を観察することによって、最も容易に識別される。図14Aは、カッター104が位置1に位置決めされているプローブアセンブリ28を部分断面視した上面図を示している。この位置1では、カッター104は、カッター刃116がサンプル取得面74の近位側に位置決めされた状態で、完全に後退した位置にある。カムナット136は、カムフォロアピン152がカム通路(主ネジ溝)144の零ピッチ領域164内で回転している状態で、平行移動用シャフト142の近位端に位置決めされている。コイルスプリング168は、カムナット136の近位端に対して圧縮されている。図14Aに示された位置では、カッター104は、穿孔具80内の組織受容ポート86が組織を受容するために開けられるように、完全に後退した位置にある。この位置では、組織サンプルは、サンプル取得面74から取得されてもよい。
【0040】
図14Bは、カッター刃116が組織受容ポート86の直近にある位置3に向けて前進したカッター104を示している。この位置3では、カムナット136は、カムフォロアピン152が主ネジ溝144の幅広の粗いピッチ部分146から細かいピッチ部分148へ平行移動している1点に向けて、シャフト142に沿って平行移動している。同様に、カッター104は、駆動シャフト122がカッターギア歯120および駆動ギア歯124を介してカッター104を回転させている中間位置へ前進している。カッター刃116は、組織受容ポート86に直近の位置に配されている。組織受容ポート86における減圧穴92は、第1減圧チューブ32が減圧システム22に対して流体的に連結されているときに、組織受容ポート86に隣接した軟組織が組織受容ポート86内に吸引されるように、開けられている。
【0041】
図14Cは、カッター104が最も延長した位置にあると共にカッター刃116が組織受容ポート86の遠位側にある位置4へ前進したカッター104を示している。この位置4では、カッター104は、回転駆動シャフト122によって適切な切断速度で回転させられている。減圧穴92を経由した減圧によって組織受容ポート86内へ吸引された組織は、回転しながら前進するカッター刃116によって切断されて、カッター管腔114内に保存される。カッター104が図14Aに示された位置1まで後退したときに、組織除去器115は、サンプル取得面74まで組織サンプルを引き戻す。図14Cには、カム通路(主ネジ溝)144の細かいピッチ部分を通って平行移動して、最も遠位位置にあるカムナット136が示されている。この位置では、カムフォロアピン152は、可変ピッチのカムスロットとしてのカム通路(主ネジ溝)144の遠位端における零ピッチ領域164に係合している。コイルスプリング170は、一旦、平行移動シャフト142の回転方向が反転すると、カム通路(主ネジ溝)144の細かいピッチ部分148と係合する後方位置にカムナット136を付勢するために、カムナット136によって圧縮され、カッター104は位置1まで戻される。
【0042】
図15は、ホルスター30の第1の実施の形態を分解して示す投影図である。この実施の形態では、ホルスター30は、2つのモータがプローブアセンブリ28内の回転駆動シャフト122および142に支持されている一体電動式のホルスターである。上述したように、ホルスター30は、この明細書で開示された上記2つのモータおよびモータ駆動シャフトを収容するように、図15および図16に示された形状とされる上部ケース56と下部ケース58を含む。最終組立時には、上部ケース56および下部ケース58は、複数の整列穴182に留めつけられるネジ180によって互いに接合されるか、あるいはこの技術分野において周知の他のタイプのファスナーによって互いに取り付けられる。
【0043】
一対のモータ駆動シャフト134および160は、ホルスター30の封入された近位部分内に収容されている。第1の駆動シャフト134は、回転駆動シャフト122のスロット132に対して作用可能に係合するように形成された遠位端172を有している。第2の駆動シャフト160は、平行移動シャフト142のスロット158に対して作用可能に係合するように形成された遠位端162を有している。モータ駆動シャフト134および160は、プローブアセンブリ28およびホルスター30が連結されたときに、駆動シャフト122および平行移動シャフト142と係合するギアケース184から遠位側へ延在している。第1の駆動モータ186および第2の駆動モータ188は、ギアケース184上に設けられている。第1の駆動モータ186は、図16に示されたギアアセンブリ190を介して駆動シャフト134に対して回転運動を与える。駆動シャフト134に生じる回転運動は、プローブアセンブリ28およびホルスター30が連結されたときに、遠位端172およびスロット132を経て、回転駆動シャフト122に伝達される。同様に、第2の駆動モータ188は、第2のギアアセンブリ192を介して駆動シャフト160に対して回転運動を与える。駆動シャフト160の回転運動は、スロット158と駆動シャフト160の遠位端162との係合によって平行移動シャフト142に伝達される。駆動モータ186および188は、スイス国サヒゼイン(Sachsein)のマキソン精密モータ社(Maxon Precision Motors)から入手可能な型式118718の4.5ワットモータ等の直流グラファイトブッシュモータとすることができる。駆動モータ186は、マキソン精密モータ社から入手可能な型式118184の遊星歯車の使用が可能であり、駆動モータ188は、マキソン精密モータ社から入手可能な型式110322の遊星歯車の使用が可能である。
【0044】
図16および図17を参照すると、第1ギアアセンブリ190および第2ギアアセンブリ192は、駆動モータ186および188と駆動シャフト134および160の近位端に位置決めされ、いずれのアセンブリもベルトによって連係した一対のギアから構成されている。駆動モータ186および188と駆動シャフト134および160との連結の解除は、追加のギアの必要なしに、駆動シャフト134および160が異なる期間および異なる速度で単独駆動を可能にする。さらに、個々の駆動モータが駆動シャフト134および160に使用されるので、駆動モータは、組み合わせて両シャフトを駆動するのに必要なモータよりも小型で低出力であってもよい。
【0045】
駆動モータ186および188は、例えば、ホルスター30の下部ケース58に成形された1つまたはそれ以上の支持部196によるなどして、任意の便利な方法でホルスター30内に支持可能である。配電盤198は、ホルスター30内に設けられ、かつ任意の便利な方法で駆動モータ186および188と電気的に接続されている。また、配電盤198は、ロッカースイッチ72および減圧スイッチ76等の種々のユーザー接続スイッチ並びに、制御ユニット24からの電力および信号をホルスター30に与える制御コード48と接続可能である。重合性ゴムあるいは他の適切な封止材料から構成されるスイッチシール200および202は、流体がホルスター30に入りかつ配電盤198に悪影響を及ぼすことを防止するために、配電盤198とこれと隣接する構成要素との間に配されている。金属板204は、ホルスター30内に構造支持部を設け、および/またはホルスター30のプローブアセンブリ28への固定を容易にする実装あるいは連結の態様を有することができる。
【0046】
図15から図17に示された実施の形態は、ギアケース184上に設けられ、かつモータ駆動シャフト134および160のそれぞれを単独で駆動するためにモータ駆動シャフト134および160に直接、連結された2つの一体型のモータを含む。図18から図20に示されたような代替の実施の形態では、単独の一体型のモータは、適切なギアを経て回転駆動シャフトおよび平行移動シャフトの双方を駆動するのに使用可能である。この実施の形態では、単独のモータ208は、ギアケース184およびホルスター30の近位端におけるモータ駆動シャフト134および160上に設けられてもよい。モータ208は、ギアアセンブリ210を経て駆動シャフト134および160に対して作用可能に連結されている。図19および図20は、モータ208とギアアセンブリ210とが連結された状態で、単独のモータアセンブリの後部を示している。この連結はモータシャフト216のギア214と駆動シャフト134のギア218との間を延在する単独のベルト212を含む。図20に示されているように、追加ギア220は、回転駆動シャフト134の回転から平行移動シャフト160を駆動するために、ギアケース184内に収容されている。追加のギア220は、平行移動駆動シャフト160が回転駆動シャフト134よりも遅い速度で回転することを可能にするために、2つの駆動シャフト134および160間にギア減速を与える。また、ギア220は、平行移動駆動シャフト160が回転駆動シャフト134よりも速い速度で回転することを可能にするように、あるいは、カッター104の所望の操作に依存して2つの駆動シャフトが同一速度で回転するのを可能にするように、構成可能である。上述した2つの実施の形態に加えて、この発明は、ホルスター30の側部あるいは底部に沿って、あるいはホルスター30の前端において、ギアケース184後方のホルスター30の近位端に位置決めされた1つまたはそれ以上の一体型のモータを含めることができる。さらに、1つまたはそれ以上の駆動モータは、ホルスター30の外部に配設され、かつ1つまたはそれ以上の回転可能なシャフトによって回転駆動シャフト122および平行移動駆動シャフト142に対して作用可能に連結されている。したがって、この発明における上記モータの特定配置は、ホルスター30の所望の寸法あるいは重量分布に依存して、変更可能である。
【0047】
図21および図22は、この発明の第2の単独モータの実施の形態に使用されるプローブアセンブリ28を示している。この単独モータの実施の形態では、回転駆動シャフト134および平行移動駆動シャフト160は、ギア214、218およびベルト212を作動する共通のモータ208が同時に上記2つのシャフトを駆動するので、この生検装置の全操作中に回転させられる。モータ駆動シャフト134の連続回転に対応するために、第1の実施の形態の回転駆動シャフト122は、上記駆動シャフトの遠位端に最も近い位置に配された駆動ギア歯224を有する改造駆動シャフト222に置き換えられる。この位置におけるギア歯224では、カッター104が組織受容ポート86に非常に近い位置に向けて遠位側へ前進した後だけ、カッターギア118は、改造駆動シャフト222と係合する。カッターギア118が駆動ギア歯224と係合するときには、ギア歯120および224は噛合し、カッター104は駆動シャフト222によって回転させられる。駆動ギア歯224は、この駆動ギア歯224の近位端に成形された引込み傾斜路254を含めることができる。傾斜路254は、ギアの円滑な噛合を与えるために、駆動ギア歯224と係合するギア歯120へ移行する。駆動シャフト222は、カッター104が組織切断段階のカッター前進中にだけ回転するように、この単独モータの実施の形態用の方法で改造されている。
【0048】
図23は、減圧システム22をより詳細に示している。図23に示されているように、減圧システム22は、第1コネクタ36の雄部40に対して第1減圧チューブ232によって連結された第1バルブ230を含む。第2バルブ234は、第2コネクタ38の雌部44に対して第2減圧チューブ236によって連結されている。第1バルブ230および第2バルブ234は、側方の第1減圧チューブ32および軸方向の第2減圧チューブ34に対するそれぞれの減圧供給を制御する。第1バルブ230および第2バルブ234は、生検装置20の操作中に、減圧チューブ232および236を開閉するための制御ユニット24からの信号によって制御されるソレノイドを含む。減圧チューブ232および236のそれぞれは、運転サイクル中に、異なる間隔で別々に開閉されてもよい。減圧チューブ232および236は、減圧タンク240等の流体タンクに向けて第1バルブ230および第2バルブ234から延在している。主要な減圧チューブ242は、モータ246によって駆動され、符号244によって示された減圧ポンプおよび容器に減圧タンク240を取り付ける。減圧ポンプ244は、例えばピストン、ダイアフラム、ロータリーすなわち回転弁ポンプ等の種々のタイプであってもよい。モータ246は、例えばブラシレス直流モータ等の可変速度で操作可能なタイプであることが好ましい。モータ速度は、減圧タンク240内の減圧レベル等、流体タンク中で検知された圧力に基づいて制御可能である。また、モータ速度は、所望の切断位置の予定等、運転サイクル中に減圧に関する予想された必要性に基づいて、制御されてもよい。
【0049】
マフラー・バッフルシステム256および排気ポート258は、騒音を低減しかつシステムを換気するために、減圧ポンプ244から延在している。追加の減圧チューブ248は、減圧タンク240から減圧センサ250へ延在している。減圧センサ250は、減圧タンク240内の減圧をモニターし、かつ圧力信号252を制御ユニット24へ周期的に送信する。制御ユニット24は、減圧センサ250からの圧力信号252に関してモータ246を制御するためのマイクロプロセッサすなわちマイクロコントローラ254を備えたプリント回路基板(PCB)を含む。
【0050】
1つの実施の形態では、マイクロコントローラ254は、減圧センサ250からの圧力信号252に関してモータ246の速度を調節することによって減圧タンク240内の均一で所望の減圧を維持する。モータ速度は、モータの電流、電圧あるいはトルクを変更することによって調節され、これにより減圧ポンプ速度の変更および/または減圧ポンプの電源のオン・オフを行ってもよい。1つの実施の形態では、減圧タンク240内の圧力が所望の予定レベルにある間は、マイクロコントローラ254は、減圧ポンプ244が減圧システム22内で余分な減圧(および騒音)を生じる操作をしないようにモータ246を無負荷運転する。バルブ230および234の一方または両方が開いている場合など、減圧センサ250からの圧力信号252が減圧タンク240内で圧力低下を示す場合には、マイクロコントローラ254は、モータ246を作動して、減圧タンク240内の圧力が再び所望レベルに到達するまで、減圧ポンプ244をつける。これにより、減圧センサ250は、減圧システム22に対して閉ループ制御を与えて、減圧ポンプ244を連続運転することもなく、減圧システム22内の所望の圧力を維持することができる。代替の実施の形態では、マイクロコントローラ254は、生検装置20の運転サイクル中に予想減圧に基づいて減圧ポンプ244を運転するためにモータ246を駆動する。マイクロコントローラ254は、運転サイクルにおいて異なる位置で減圧ポンプを運転するように予め設定されてもよい。したがって、マイクロコントローラ254は、例えばユーザーがロッカースイッチ72を前方へ作動することによって組織サンプルサイクルを開始する場合など、必要な減圧を予想してモータ速度を上昇させてもよい。マイクロコントローラ254は、モータ246の速度を変更して運転サイクル中の位置1から位置4までのカッター104の位置に基づいて真空状態を加減してもよい。1つの実施の形態では、減圧タンク240内の圧力は、約−26.5インチHg(局所的な大気圧以下の水銀柱約26.5インチ)とすることができる。
【0051】
望ましい場合には、加圧タンクの使用が可能であり、圧力センサおよび圧縮機は、上述したような閉ループ制御法を用いることによって、大気圧より高い所望の圧力レベルに加圧タンク内の圧力を維持するために使用可能である。例えば、代替の実施の形態では、減圧タンク240を加圧タンクとすることができ、減圧ポンプ244を上記減圧タンク240に加圧空気を供給するための圧縮機とすることができる。例えば、陽圧(あるいは減圧に使用する圧力差)で、カッターを空気作用により平行移動および/または回転させること、あるいはカッター管腔を経由して流体(ガスあるいは)の加圧流動を与えることは望ましい場合がある。これに代えて、減圧タンク240は、カッターに関連して減圧を与えるために使用可能であり、1つまたはそれ以上の独立した加圧タンクおよびこれに関連した圧縮機はカッターに動作を与えるために使用可能である。他の実施の形態では、減圧タンク240は、生検装置の操作中の一部分において減圧タンクとして、および生検装置の操作中の他の部分において加圧タンクとして使用可能である。
【0052】
図24Aから図24Eは、カッター104が上述した4つの別個の位置を経由して移動する際に、カッター104の操作を制御するための、この発明による制御方法を示すフロー図を与えている。制御方法の複数のステップはフロー図に概略的に示されている。フロー図における各ボックスは1ステップまたは1ステップ以上の複数ステップを示す場合がある。議論の目的のために、各ボックスは単に1つのステップとする。複数ステップは、概ね、複数のボックスを連結する矢印の方向へ進む。以下に記述される制御方法では、図1から図17に示された第1の実施の形態のように、単独モータを有するか、あるいはカッターの平行移動および回転移動を別々に駆動するための2つまたはそれ以上のモータを有する生検装置を使用してもよい。
【0053】
図24Aを参照すると、ステップ410は、制御方法の開始を示している。生検装置20が採取モードあるいは手動操作モードのいずれかを選択することによるなどの用途に作動されるときに、制御信号は電力コード(制御コード)48を経由してスイッチボード(配電盤)198に送信される。配電盤198は、パルス幅変調(PWM)方式がモータ188に供給されるべき信号を駆動して平行移動駆動シャフト160の回転運動を開始させるように、順に命令する。平行移動駆動シャフト160の回転運動は、遠位端162とスロット158との相互接続を通じて平行移動シャフト142に伝達される。平行移動シャフト142は回転し、カムナット136は、可変ピッチの主ネジ溝144におけるカムフロアピン152の動作により、位置1から位置2へのカッター104の平行移動を開始する。平行移動シャフト142に沿うカムナット136の平行移動をステップ412において続行する。
【0054】
ステップ414では、制御ユニット24における書換え可能メモリ内に格納された予定時間値は読み取られ、一時メモリ内に格納された蓄積時間数と比較される。上記書換え可能メモリは、例えばマイクロチップコーポレーション社によって製造されたPIC18F452等のマイクロコントローラに内蔵されている、例えば「フラッシュ」メモリとしてもよい。予定時間値は、カッターの平行移動用の通路内の指定位置に対応している。一時メモリ内の蓄積時間数は、略等しい時間間隔でマイクロコントローラによって更新される。1つの実施の形態では、時間間隔は、約100ミリ秒以下、より詳細には約50ミリ秒以下とすることができ、1つの実施の形態では約25ミリ秒とすることができる。上記蓄積時間数は、カッター104が相対的な位置1から位置4へ平行移動し、以下により詳細に記述されるモータ電圧対照から算出される時間がプラス(あるいはマイナス)される実時間から導き出される。一時メモリ内の蓄積時間数は予定時間値に適合しているときには、カッター104は位置2にあるものと考えられる。仮に一時メモリ内の蓄積時間数が位置2に関する予定時間値に適合していない場合には、カッター104は位置2にあるものと考えられず、操作はステップ416へ進む。
【0055】
ステップ416では、平行移動モータの現在の電流値が平行移動モータ188から読み取られる。ステップ418では、平行移動モータの現在の電流測定値は、フラッシュメモリ内に格納された予定電流限界値と比較される。仮に電流測定値が予定電流限界値より大きい場合には、エラー状態であると判断されてプログラムを終了する。平行移動モータ188の運転は停止され、エラーメッセージはステップ420においてユーザーインターフェース上で報告される。仮にステップ418が平行移動モータの現在の電流値が予定電流限界値以下である場合には、制御方法はステップ422へ進む。
【0056】
ステップ422では、平行移動モータの現在の電流値が、以下「電流参照用テーブル(Look-Up Table)」と呼ばれる書換え可能メモリ内に格納された予定電流限界値と比較される。電流参照用テーブルは、駆動モータ186および188のそれぞれの代表的な電流プロファイルを含む。電流プロファイルは、モータ運転および駆動電流に関係した実験的で経験的なデータから導き出される。電流プロファイルは、マイクロコントローラの時間間隔に対応し、この明細書に記述された例示の実施の形態では25ミリ秒である時間間隔に分化される。この比較で使用されるべき予定電流値の電流参照用テーブルにおける位置は、上記比較の時刻における蓄積時間数に依存している。図25は、カッター104が位置1から位置4へ進行した後に再び位置1へ戻る完全なサイクルを横切る際のモータ電流プロファイル260の例を示している。図25では、電流プロファイル260は、時間(水平軸)に対するモータ電流(垂直軸)として示されている。電流プロファイル260によって示されているように、モータ188への電流は、時間の増分間と4つのカッター位置間で変化する。電流参照用テーブルは、分化された時間間隔ごとに電流プロファイル260を含む。
【0057】
上記電流の測定に加えて、ステップ422では、平行移動モータ188の電圧は、パルス幅変調(PWM)方式のモータ駆動信号のサイクルから外れている間に、読み取られる。この電圧は、モータ188の電気機械的な戻り力、並びにカッター104の直線移動速度に比例する。電圧測定値から、移動通路に沿うカムナット136の実際の位置、したがってカッター104の位置は確認可能である。モータ188から読み取られた電圧は、モータの規格値あるいは予定された操作プロファイルと比較されて、上記測定電圧から実際の移動速度を判断してもよい。仮に蓄積時間数で読み取られたモータ電圧が上記蓄積時間数に関する予想電圧を超える場合には、カッター104は、蓄積時間数に対する予想電圧よりも電流プロファイルにおける進行した位置にあるものと考えられる。したがって、電流参照用テーブルにおけるポインタの位置は、蓄積時間数を増やすことによる移動距離差の原因となるように調節され、これによりカッターの全進行時間を遅延させることができる。同様に、仮に読み取られたモータ電圧が上記蓄積時間数に関する予想電圧よりも小さい場合には、カッター104は、蓄積時間数によって予想されているように電流プロファイルに沿って遠くへ移動しなかったものと考えられる。したがって、電流参照用テーブルにおけるポインタの位置は、蓄積時間数を減らすことによる移動距離差の原因となるように調節され、これにより再度、読み取られるか、あるいは電流参照用テーブルにおいて後方へ移動させ、カッターの全進行時間を増やすことができる。
【0058】
ステップ424では、平行移動モータの現在の電流値と電流参照用テーブルからの電流値との差が、図25における破線262によって示された範囲等、予定範囲から外れているか否かを確認するために、比較がなされる。仮に電流値間の差が上記予想範囲外である場合には、平行移動モータ188に対する電流が、動作サイクルのパルス幅が変調されたモータ制御信号を増加または減少させる(あるいは仮にPWMではなくアナログ式のモータ駆動が用いられる場合に電圧レベルを変化させる)ことなどにより、ステップ426で調節される。仮に平行移動モータの現在の電流値と電流参照用テーブルの予定電流値との差が許容範囲内であるようにステップ424で確認された場合には、その後、プロセスはステップ412へ戻り、カッター104は位置1から位置2へ平行移動し続ける。
【0059】
ステップ414では、仮にカッター104が位置2にあるものと考えられる場合には、その後に、制御方法は図24Bに示されたステップ428へ進み、カッター104は位置2から位置3へ平行移動し続ける。ステップ430では、カッター104が位置2と位置3との間の予定した中間位置に到達しているか否かを確認するために、点検がなされる。カッター104は、一時メモリ内の蓄積時間数が上記中間位置に対応する予定時間数に適合する場合に、上記中間位置に到達したものと考えられる。予定した中間位置は、実際のカッターの平行移動速度および予定したカッターの回転速度に基づいている。上記中間位置は、組織切除を開始した後で、カッター104が位置4に到達する前に、カッター104にとって十分な時間が零の回転速度から予定した回転速度へ加速することを可能にするように、選択される。ステップ430では、カッター104が上記中間位置に到達しなかった場合には、その後に、ステップ432で、平行移動モータの現在の電流値はモータ188から読み取られる。
【0060】
ステップ434では、平行移動モータの現在の電流値は、フラッシュメモリ内に格納された予定電流限界値と再び比較される。仮に平行移動モータの現在の電流値が上記予定電流限界値よりも大きい場合には、エラー状態であると判断されてプログラムを終了する。平行移動モータ188の運転は停止され、エラーメッセージはステップ436においてユーザーインターフェース上で報告される。仮にステップ434が平行移動モータの現在の電流値が予定電流限界値以下である場合には、生検装置20の操作をステップ438で続行する。ステップ438では、平行移動モータの現在の電流測定値は電流参照用テーブル内の予定値と再び比較される。一旦もう一度、電流参照用テーブル内の比較値の位置は、上記比較の時刻で更新された蓄積時間数に依存する。また、ステップ438では、現在のモータ電圧は、読み取られ、更新された蓄積時間数に基づく予想電圧と比較される。仮に実際の電圧測定値が予想電圧と異なる場合には、その後に、蓄積時間数は増加あるいは減少されて、電流参照用テーブルの位置を上記カッター104の実際位置と同調させる。ステップ440では、仮に現在の電流値と予定電流値との差が予定範囲外にある場合には、平行移動モータ188への電流はステップ442で調節される。仮にステップ440での比較差が予定範囲内にある場合には、その後に、カッター104はステップ428において現速度で位置2から位置3へ平行移動し続ける。
【0061】
ステップ430では、仮にカッター104が位置2と位置3との間の中間位置に到達したことが確認される場合には、その後に、カッター104は位置3に向けて平行移動を続行し、カッター104の回転は図24Cに示されたステップ444で開始される。ステップ446では、回転モータの現在の電流値は回転駆動モータ186で読み取られる。ステップ448では、回転モータの現在の電流値がフラッシュメモリ内に格納された予定電流限界値より大きいか否かを確認するために、比較がなされる。仮に現在の電流測定値が上記予定電流限界値よりも大きい場合には、その後に、回転駆動モータ186および平行移動駆動モータ188はステップ460で停止され、エラー状態はユーザーインターフェース上で報告される。仮に回転モータの現在の電流測定値が上記予定電流限界値以下である場合には、その後に、操作は次のステップで続行する。ステップ450では、回転モータの現在の電流測定値は、電流参照用テーブル内にロードされた予定電流値と比較される。上述したように、電流参照用テーブル内の比較値の位置は、上記比較の時刻における蓄積時間数に依存している。ステップ452では、仮に比較差が予定範囲外であると確認される場合には、回転駆動モータ186への電流はステップ454で調節される。ステップ452では、仮に現在の電流値と予定電流値との差が予定範囲内にある場合には、カッター104の回転運動を続行する。
【0062】
ステップ456では、マイクロコントローラ内のメモリ内に格納された予定時間値は一時メモリ内に格納された蓄積時間数と比較される。蓄積時間数は、カッターが相対位置を経由して移動し、ステップ422、438および464でのモータ電圧比較から算出された時間をプラス(あるいはマイナス)される実時間から導き出される。蓄積時間数が格納された時間数に適合するときには、カッター104は位置3にあるものと判断される。仮にカッター104が位置3にない場合には、プロセスは、平行移動モータの現在の電流値がモータ188から読み取られるステップ458で続行する。ステップ462では、平行移動モータの現在の電流測定値は、予定電流限界値と比較される。仮に平行移動モータの現在の電流測定値が予定電流限界値より大きい場合には、平行移動および回転移動モータは停止され、エラーはステップ460で報告される。
【0063】
仮に上記測定値が上記限界値以下である場合には、プロセスは、現在の電流測定値が電流参照用テーブル内にロードされた予定値と比較されるステップ464で続行する。電流参照用テーブル内の比較値の位置は、上記比較の時刻で更新された蓄積時間数に依存する。また、ステップ464では、実際のモータ電圧は、予想電圧と比較される。上記蓄積時間数は、カッター104の実際の移動速度での変化に対応するモータ電圧の増減の原因となるように、上述したように増減される。ステップ466では、仮に現在の電流測定値と電流参照用テーブルからの予定電流値との差が許容範囲内にあるものと確認される場合には、カッター104の平行移動を続行し、プロセスはステップ446へ進む。仮に比較との差が予定された許容範囲外である場合には、その後に、平行移動モータ468への電流は調節される。この調節後に、プロセスはステップ446で続行する。
【0064】
カッター104が位置3に到達したことをステップ456で確認されたときには、その後に、プロセスは図24Dで示されたステップ470へ進む。ステップ470では、モータ188への平行移動用電流は、メモリ内に格納された予定値に変更される。変更された電流値は、異なる速度、典型的には0.5インチ/秒であるが、位置4に向けたカッター104の平行移動を継続させる。ステップ472では、マイクロプロセッサ内の書換え可能メモリ内に格納された予定値は、一時メモリ内に格納された蓄積時間数と比較される。時間数は、カッター104が相対的な位置を経由して移動し、モータ電圧対照から算出される時間がプラス(あるいはマイナス)される実時間から導き出される。現在の時間数が格納された時間数に適合するときには、カッターが位置4にあるものと考えられる。
【0065】
ステップ474では、平行移動モータの現在の電流値は読み取られる。ステップ476では、平行移動モータの電流測定値は、予定電流限界値と比較される。仮に平行移動モータの電流測定値が予定電流限界値より大きい場合には、プロセスは、回転移動モータ186および平行移動モータ188が停止されかつエラーメッセージが表示されるステップ482へ移行する。ステップ476では、仮に平行移動モータの現在の電流測定値が上記予定電流限界値以下である場合には、プロセスはステップ478で続行する。ステップ478では、モータ電圧は読み取られ、かつモータの予定電圧レベルと比較される。仮に電圧測定値が予想値よりも高い場合には、その後に、蓄積時間数は、カッターの移動速度の上昇の原因となるように増加される。仮に電圧測定値が予想値よりも低い場合には、その後に、蓄積時間数は、カッターの移動速度の低下の原因となるように低減される。また、ステップ478では、平行移動モータの現在の電流測定値は、電流参照用テーブルにロードされた予定値と比較される。ステップ480では、仮に現在の電流値と予定電流値との差が予定範囲外にあるものと確認される場合には、ステップ484で平行移動モータ188への電流が調節される。ステップ480では、仮に現在の電流値と予定電流値との差が予定範囲内にある場合には、その後に、カッター104は平行移動を続行し、プロセスはステップ486へ移行する。ステップ486では、回転モータの現在の電流値は、再び読み取られ、ステップ488では、最新の電流測定値は、予定電流限界値と比較される。仮に電流測定値が予定電流限界値よりも大きい場合には、平行移動モータ188および回転移動モータ186は停止され、エラーはステップ482で報告される。仮に回転モータの現在の電流測定値が予定電流限界値以下である場合には、その後に、操作は次のステップで続行する。ステップ490では、回転モータの現在の電流値が電流参照用テーブルにロードされた予定電流値と比較され、上記2つの値間の差は算出される。仮に電流レベルにおける差が予定範囲外であるとステップ492で確認される場合には、その後に、ステップ494で、回転モータの電流は調節される。ステップ492では、上記2つの電流値間の差が予定範囲内にあるものと確認される場合には、その後に、カッターの回転は続行し、プロセスはステップ472へ移行する。
【0066】
ステップ472では、仮にカッター104が位置4へ到達した場合には、その後に、制御方法は、平行移動モータ188が停止されるステップ496で続行する。次に、ステップ498では、マイクロコントローラ内に格納された予定値は、一時メモリ内に格納された蓄積時間数と比較される。この蓄積時間数は、回転モータがモータ電圧比較から算出されたプラス(あるいはマイナス)調節時間で始動された実際の時間から導き出される。ステップ498では、仮に比較された時間数が格納された時間数に適合しない場合には、その後に、回転モータの実際の電流はステップ500で読み取られる。ステップ502では、回転モータの実際の電流は、電流参照用テーブル内の比較値の位置が比較時における時間数の間隔に依存する電流参照用テーブルにロードされた予定ちと比較される。仮にステップ504で回転モータの実際の電流と回転モータの予定電流値との差が予定範囲外である場合には、その後に、回転モータ186への電流はステップ506で調節される。仮に比較との差が予定範囲内にある場合には、その後に、制御方法はステップ498へ移行する。ステップ498では、予定時間数は回転モータ186に関する蓄積時間数と比較される。仮に蓄積時間数が予定時間数を超える場合には、その後に、回転モータはステップ508で停止される。
【0067】
電気モータが上述した実施の形態に開示されているが、空気圧駆動式モータ等の他のタイプのモータが使用可能であると理解されるはずである。さらに、内部カッターを有する外カニューレが開示されているが、カッターがカニューレ外の周囲に同軸的に配された実施の形態等の他の変形も使用されてもよい。
【0068】
この発明の好適な実施の形態が図示されかつこの明細書に記述されているが、そのような実施の形態は例示の目的のみによって与えられているものと、この技術分野における当業者にとって明白なはずである。多くの変形、変更および置換は、添付された請求項の精神および範囲から逸脱することなく、この技術分野における当業者によって見出されるはずである。さらに、開示された各構成要素は、この構成要素の機能を実行するための他の手段として記述されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】この発明の1つの実施の形態による生検装置であって、軟組織採取用のハンドピースを含む、生検装置を示す投影図である。
【図2】図1のハンドピースを示す投影図であって、ホルスターへの連結前のプローブアセンブリを示す投影図である。
【図3】上記ホルスターおよびプローブアセンブリのケース下面を示す投影図であって、このホルスターの下部ケースが上記プローブアセンブリ下部ケース上のラッチに対して着脱可能に連結されるためのスロットを含む状態を示す投影図である。
【図4】図3に似た投影図であって、上記ホルスターおよびプローブアセンブリのケース下面の着脱可能な連結を示す投影図である。
【図5】図2に示した上記プローブアセンブリを分解して示す投影図である。
【図6】内部構成要素を見せるために上部ケースを取り外した、図2のプローブアセンブリを示す投影図である。
【図7】回転駆動シャフトおよびプローブアセンブリのケース下面を分解して示す投影図である。
【図8】カムトラックおよびカムナットを示す平行移動シャフトアセンブリを示す部分投影図である。
【図9】カッターの回転移動および平行移動シャフトアセンブリを示す上面図である。
【図10A】カムナットフォロアおよび平行移動シャフトを示す上面図である。
【図10B】図10AにおけるA−A線で切断した断面図である。
【図11】平行移動シャフトアセンブリを分解して示す投影図である。
【図12A】平行移動シャフトの近位端に隣接するカムナットを示す上面図である。
【図12B】図12AにおけるA−A線で切断した断面図である。
【図13A】平行移動シャフトの最も近位位置におけるカムナットを示す上面図である。
【図13B】図13AにおけるA−A線で切断した断面図である。
【図14A】完全に後退した第1位置におけるカッターを見せるために上部ケースを取り外したプローブアセンブリを示す上面図である。
【図14B】カッターの遠位端がポートのすぐ近くになっている第3位置におけるカッターを見せるために上部ケースを取り外したプローブアセンブリを示す上面図である。
【図14C】完全に配置された第4位置におけるカッターを見せるために上部ケースを取り外したプローブアセンブリを示す上面図である。
【図15】この発明の2つのモータを有する第1の実施の形態を示すホルスターを分解して示す投影図である。
【図16】2モータアセンブリを見せるためにホルスターの上部ケースが外されている状態で、図15のホルスターアセンブリの後部を示す投影図である。
【図17】図16の2モータアセンブリを分解して示す投影図である。
【図18】この発明の単独モータを有する第2の実施の形態を示すホルスターを分解して示す投影図である。
【図19】単独モータアセンブリを見せるためにホルスターの上部ケースが外されている状態で、図18のホルスターの後部を示す投影図である。
【図20】図19の単独モータアセンブリを分解して示す投影図である。
【図21】この発明の単独モータを有する第2の実施の形態用のプローブアセンブリを分解して示す投影図である。
【図22】内部構成要素を見せるために上部ケースが取り外された状態で、図21のプローブアセンブリを示す投影図である。
【図23】この発明に従う減圧システムを示す模式図である。
【図24A】カッターの操作に関係するフロー図の第1部分であって、カッターが第1位置から第2位置へ平行移動する場合の制御ユニット論理を示すフロー図である。
【図24B】カッターの操作に関係するフロー図の第2部分であって、カッターが第2位置から第3位置へ平行移動する場合の制御ユニット論理を示すフロー図である。
【図24C】カッターの操作に関係するフロー図の第3部分であって、カッターが第2位置から第3位置へ平行移動する場合の追加制御ユニット論理を示すフロー図である。
【図24D】カッターの操作に関係するフロー図の第4部分であって、カッターが第3位置から第4位置へ平行移動する場合の制御ユニット論理を示すフロー図である。
【図24E】カッターの操作に関係するフロー図の第5部分であって、カッターが第4位置へ到達した後に、カッターの操作を終了する場合の制御ユニット論理を示すフロー図である。
【図25】平行移動モータの電流特性例を示すグラフである。
【発明の分野】
【0001】
この出願は、2003年2月25日に出願された仮特許出願第60/449,970号の優先権を主張するものである。
【0002】
この発明は、概ね生検装置に関するものであり、より詳細には、生検装置におけるカッターを前進させかつ駆動するための方法および装置に関するものである。
【発明の背景】
【0003】
癌性腫瘍患者の診断および治療は、進行中の研究分野である。組織サンプルを採取し、次に標本化するための医療装置は、この分野において周知である。例えば、商品名モムモトム(MAMMOTOME)で現在上市されている生検器具は、胸部生検サンプルの採取用として市販されている。
【0004】
次の特許文献は、種々の生検装置を開示しており、参照によってこの明細書にそのまま組み込まれる:
【特許文献1】2001年8月14日発行の米国特許第6,273,862号
【特許文献2】2001年5月15日発行の米国特許第6,231,522号
【特許文献3】2001年5月8日発行の米国特許第6,228,055号
【特許文献4】2000年9月19日発行の米国特許第6,120,462号
【特許文献5】2000年7月11日発行の米国特許第6,086,544号
【特許文献6】2000年6月20日発行の米国特許第6,077,230号
【特許文献7】2000年1月25日発行の米国特許第6,017,316号
【特許文献8】1999年12月28日発行の米国特許第6,007,497号
【特許文献9】1999年11月9日発行の米国特許第5,980,469号
【特許文献10】1999年10月12日発行の米国特許第5,964,716号
【特許文献11】1999年7月27日発行の米国特許第5,928,164号
【特許文献12】1998年7月7日発行の米国特許第5,775,333号
【特許文献13】1998年7月23日発行の米国特許第5,769,086号
【特許文献14】1997年7月22日発行の米国特許第5,649,547号
【特許文献15】1996年6月18日発行の米国特許第5,526,822号
【特許文献16】2003年10月23日公開の米国特許出願第2003/0199785号
【特許文献17】2003年10月23日公開の米国特許出願第2003/0199754号
【発明の概要】
【0005】
生検装置における回転移動および平行移動カッターの平行移動速度を変更できることが望ましい。例えば、異なる速度で平行移動するカッターを有することが望ましい。例示として、特許文献4は生検装置を制御する方法を開示している。
【0006】
モータ速度がカッターの平行移動速度の所望の変化に対応して変更可能であるとはいえ、十分に異なる速度でのモータの運転を要するか、あるいはモータ速度を変えるための複合制御部を実装することは望ましくない場合がある。ギア列を有する動力伝達アセンブリは、カッターの平行移動速度を変更するのに用いることができるが、このようなアプローチは、望ましくない複雑性あるいは重量を上記生検装置に加えることになる。
【0007】
1つの実施の形態では、この発明は、組織受容ポートを有するカニューレと、このカニューレと同軸に配された組織カッターであって、上記カニューレに対する平行移動に対応したカッターと、上記組織カッターの平行移動速度に変化を与えるために、上記組織カッターに対して作用可能に関係した可変ピッチ部材を備えた、生検装置を提供するものである。上記組織カッターは、カッターの移動行程の一部において、上記カニューレ内での平行移動および回転移動に適応可能である。電気モータ等のモータは、上記可変ピッチ部材を回転させるのに使用可能である。上記モータは、所望の速度で回転を与えることができると共に、上記可変ピッチ部材は、上記モータの回転移動速度とは独立して、上記カッターの平行移動速度を変更するのに使用可能である。
【0008】
上記可変ピッチ部材は、可変ピッチカム表面を備えるピッチ変更用のネジ部を有する可変ピッチ用回転シャフトという形態を採ることができる。上記生検装置は、上記可変ピッチ部材に回転を与える第1のモータと、上記カッターに回転を与える第2のモータを含むハンディータイプの装置とすることができる。上記可変ピッチ用回転シャフトは、組織の切断前に、相対的に速い速度で上記カッターを前進させるための相対的に粗いピッチ部分と、組織の切断中に、相対的に遅い速度で上記カッターを前進させるための相対的に細かいピッチ部分を含めることができる。
【0009】
上記可変ピッチ用回転シャフトの可変ピッチカム表面は、上記シャフトの外表面に形成されたカムスロットという形態を採ることができる。カムナットは、回転させられたシャフト上に支持可能であり、かつ、上記シャフト上のカムスロットのピッチ機能を果たす速度で、上記シャフトの長さに沿って平行移動可能である。上記シャフトの回転方向次第で、上記カムナットの平行移動は、前(遠位)あるいは後(近位)方向の平行移動を上記カッターに与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この明細書がこの発明を特に指摘しかつ明白に請求する特許請求の範囲で締めくくっているが、この明細書は、添付の図面に関連して次の記述を参照することによって一層理解されることになるはずであると信じられている。
【0011】
この発明は、体内から組織部分を採取するための生検装置に関係するものであり、特に、コア生検装置内での切断器具の速度の制御に関係するものである。コア生検装置の例は、ヒブナーらに発行された特許文献5に記述されており、この文献は参照によってこの明細書に組み込まれる。図1は、符号20によって概ね確認されるハンドピースと、減圧システム22と、制御ユニット24と、電源26を含むこの発明によるコア採取用生検器具を示している。ハンドピース20は、操作者の手によって容易に操作されるのに好適な軽量で人間工学的な形状を有している。ハンドピース20は、プローブアセンブリ28と、着脱可能に連結されるホルスター30を含む。
【0012】
プローブアセンブリ28は、第1減圧チューブ32および第2減圧チューブ34によって減圧システム22に連結されている。第1減圧チューブ32および第2減圧チューブ34は、それぞれ、第1コネクタ36および第2コネクタ38によって減圧システム22に着脱可能に連結されている。第1コネクタ36は、雄部40と、第1減圧チューブ32に取り付けられた雌部42を有している。第2コネクタ38は、雌部44と、第2減圧チューブ34に取り付けられた雄部46を有している。コネクタとしての雄部40、雌部42、雌部44および雄部46は、第1減圧チューブ32および第2減圧チューブ34の減圧システム22への偶発的な切換えを防止する上記方法で取り付けられている。ホルスター30は、ハンドピース20を制御ユニット24および電源26に対して作用可能に連結する制御コード48を含む。制御コード48は、ハンドピース20に対して電力および制御情報を与えるものである。
【0013】
ハンドピース20が電気機械的アームではなく操作者の手によって操作されるので、操作者は、大きな自由度で、ハンドピース20の先端を対象の組織の塊に向けることが可能である。外科医は、操作中に触覚的なフィードバックを受け取り、これにより十分な程度、直面した組織の密度および硬度を確認することができる。さらに、ハンドピース20は、電気機械的アームに実装された器具を用いて採取される場合よりも、胸壁に近い部分の組織を採取するために、患者の胸壁に対して略平行に保持されてもよい。この技術分野における当業者は、万一、立体X線テーブルを使用することが望ましい場合には、立体X線テーブルの可動アームにハンドピース20を確実に保持するために、支持台あるいは「ネスト」が備えられることができるものと正当に評価する場合がある。
【0014】
図2は、ホルスター30から取り外されたプローブアセンブリ28を示している。プローブアセンブリ28は、上部ケース50と、下部ケース52を含み、各ケースは、ポリカーボネート等の剛性で生体適合性を有するプラスチックから射出成形されてもよい。プローブアセンブリ28の最終組立時においては、上部ケース50および下部ケース52は、超音波溶着、スナップファスナー、締り嵌めおよび接着を含むが、これらに限定されないプラスチック接合用に多くの周知の方法のいずれかによって、接合縁部54に沿って互いに接合可能である。同様に、ホルスター30は、ポリカーボネート等の剛性で生体適合性を有するプラスチックから射出成形され、プラスチック部分を接合するための任意の適切な方法によって縁部60に沿って互いに接合されてもよい上部ケース56および下部ケース58を含む。
【0015】
図3および図4は、ホルスター30の底部およびプローブの下部ケース52を示している。これらの図面に示されているように、プローブラッチ62は、プローブアセンブリ28をホルスター30に着脱可能に連結するためにプローブの下部ケース52内に向けて成形されている。プローブラッチ62は、片持ち梁であり、ラッチ傾斜面64に印加される力によって下方に撓み可能である。プローブラッチ62は、プローブアセンブリ28の近位端がホルスター30内に挿入されるときにホルスタースロット67内に挿入されるラッチ突出部66をさらに含む。ラッチ傾斜面64は、この傾斜面64とホルスター30のケースの内面65との間の相互作用によって下方に撓ませられている。プローブラッチ62は、プローブアセンブリ28が完全にホルスター30内に挿入されたときに、スロットキー68内に保持可能に嵌められる。ホルスター30からプローブアセンブリ28を取り外すために、操作者は、傾斜面64がスロットキー68から脱するまで、ラッチ突出部66を手動的に押し下げる。ラッチ突出部66は、その後に、プローブアセンブリ28およびホルスター30が分離されるまで、ホルスタースロット67を経由して軸方向に引かれてもよい。
【0016】
ここで図1および図2に戻ると、これらの図面には、操作者が片手でハンドピース20を使用できるようにホルスター30の上部ケース56上に設けられた電気スイッチが示されている。これらの電気スイッチは、カッターの動作(例えば、組織を採取するために前方(遠位側)へカッターを移動させるロッカースイッチ72の前方移動と、サンプル取得面74内に組織サンプルを位置決めするために逆方向(近位側)へカッターを駆動するロッカースイッチ72の後方移動)を駆動するための2ポジションロッカースイッチ72と、減圧システム22を駆動するための減圧スイッチ76を含めることができる。片手手動操作は、操作者の他方の手が自由になり、例えば超音波イメージング装置を保持することを可能にする。ホルスター30の遠位端上の隆起78は、操作者がハンドピース20を掴みかつロッカースイッチ72および減圧スイッチ76を操作するのを支援するために設けられている。プローブアセンブリ28のケース50および52も、使用中に、上記器具上の操作者の握りを改善するような輪郭に形成されてもよい。
【0017】
第1減圧チューブ32および第2減圧チューブ34は、シリコン配管、ポリ塩化ビニル配管あるいはポリエチレン配管等の可撓性、透明性あるいは半透明性の材料から構成可能である。この材料は、第1減圧チューブ32および第2減圧チューブ34を経由して流れる物質を視覚化することを可能にする。図3および図4に示されているように、例えば符号70によって示されるような1つまたはそれ以上のスロットは、第1減圧チューブ32および第2減圧チューブ34に間隙を与えるようにホルスター30の下部ケース58内に具備可能である。プローブアセンブリ28の遠位端にある開口領域は、サンプル取得面74へのアクセスを可能にする。操作者あるいは補助者は、サンプル取得面74から組織サンプルを取得することができる。
【0018】
図5は、プローブアセンブリ28を分解して示す投影図を与える。組織サンプルを採取するために外科患者の皮膚内に挿入される穿孔具(外カニューレ)80を含む生検針は、プローブアセンブリ28の遠位端に配置されている。穿孔具80は、長尺で金属製の穿孔チューブ82を有するカニューレと、上記チューブの軸方向長さに沿って延在し、上記カニューレに関連した管腔84を含む。穿孔チューブ82の遠位端の近傍には、外科患者から取得されるべき組織を受け取るための側方の組織受容ポート86が設けられている。穿孔チューブ82の傍らには、減圧管腔90を有する長尺の減圧チューブ88が接合されている。穿孔チューブ82は、金属あるいはプラスチックを含む任意の適切な材料で形成可能であり、穿孔用の管腔84に接合されるか、あるいはこの穿孔用の管腔84と一緒に形成可能である。図6に示されているように、穿孔用の管腔84は、ポート86によって規定される組織用穴の底部に配された複数の減圧穴92を介して減圧管腔90と流体的に連通している。これらの減圧穴92は、流体を排除するのに十分に小さいが、減圧88の減圧管腔に対して流体的に連結されている第1減圧チューブ32を経由して切除された組織部分が除去されるのに十分な大きさではない。穿孔具80の鋭利な先端は、穿孔具80の遠位端に取り付けられた分離穿孔用末端具94によって形成可能である。末端具94は2つの側面、すなわち、平坦形状部分と外科患者の組織に対して穿孔するのに適した他の形状部分を有している。
【0019】
穿孔具80の近位端は、長穴98が貫通する結合スリーブ96に取り付けられており、長穴98の幅広の中央部分の中には、横方向に形成された開口部102が形成されている。長尺で金属製の管状カッター104は、このカッターが遠位および近位の両方向に容易に摺動できるように、結合スリーブ96の長穴98および穿孔具80の穿孔用の管腔84に対して軸方向に一列に整列されている。カッターガイド106は、結合スリーブ96の近位端に配されている。カッターガイド106は、カッター104と結合スリーブ96との間で適切な整列を保証する金属製の漏斗形状ガイドの形態を採ることができる。結合スリーブ96およびカッターガイド106は、下部ケース52から延在する一体形成型の支持リブ107および上部ケース50の遠位端に設けられた一体形成型のハウジング108によって、プローブの上部ケース50と下部ケース52との間に支持されている。これらの一体形成型の支持リブ107およびハウジング108は、プローブの上部ケース50および下部ケース52に形成されたスロット110および開口部112と一緒に、カッターが遠位および近位の両方向に容易に平行移動できるように、カッター104と結合スリーブ96との間での適切な整列を保証するものである。第1減圧チューブ32の遠位端は、結合スリーブ96の横方向に形成された開口部102に堅く挿入する重合体製の減圧用取付け具113に取り付けられている。開口部102は、管腔90と流体的に連通しており、穿孔用の管腔84が減圧穴92を介して減圧システム22内の減圧容器と流体的に連通することを可能にする。
【0020】
カッター管腔114は、実質的にカッター104の全長を通り抜けて延在している。長尺で中空管状の組織除去器115は、カッター104が組織除去器115の長さに沿って平行移動できるように、上記カッター管腔114内に同軸的に配設可能である。組織除去器115は金属製あるいは非金属製であってもよい。第2減圧チューブ34は、組織除去器115を通過して延在する中央通路を経てカッター管腔114に減圧を与えるために、組織除去器115の近位端に流体的に取り付け可能である。第2減圧チューブ34は、第1減圧チューブ32の横に並んで、開口部117から下部ケース52を出る。ストレーナ119は、組織断片が組織除去器115を通過して減圧システム22に入るのを防止するために、組織除去器115の遠位端に取り付けられている。
【0021】
上記組織除去器115は、下部ケース52に対して固定的に保持されかつプローブの下部ケース52の内部上に設けられた一対の近位支持部(図示せず)によって支持されることが可能である。第2減圧チューブ34は中空の組織除去器115を経てカッター管腔114を通じて減圧を与えるものであり、この減圧は、カッター104の遠位端が組織受容ポート86の近位側に位置決めされたときに、組織受容ポート86内への組織の吸引を支援するのに使用可能である。
【0022】
カッター104の遠位端は鋭利になってカッター刃116を形成しており、このカッター刃116はカッター104が回転する際に、カッター刃116に抵抗して保持された組織を切断するためのものである。カッター104の近位端は、カッターギア118の軸穴内に取り付けられている。カッターギア118は、金属製あるいは重合体製であってもよく、複数のカッターギア歯120を含む。各カッターギア歯120は、この技術分野において周知であるような典型的な平歯車の構成を有している。
【0023】
図5および図6を参照すると、カッターギア118は、カッターギア歯120と噛合するように設計された複数の駆動ギア歯124を有する長尺の回転駆動シャフト122によって駆動される。この実施の形態では、駆動ギア歯124は、駆動シャフト122の略全長に沿って延在しており、カッター104の平行移動中ずっと、カッターギア歯120と係合している。駆動ギア歯124は、駆動シャフト122が回転駆動しているときはいつでもカッター104を回転させるために、カッターギア歯120と連続的な係合状態にある。以下に詳述されるように、駆動シャフト122は、カッターが組織を切断するために組織受容ポート86を通じて遠位側へ前進する際に、カッター104を回転させる。駆動シャフト122は、液晶ポリマー材料等の剛性エンジニアリングプラスチックから射出成形されてもよく、あるいはこれに代えて、金属あるいは非金属材料から製造可能である。また、駆動シャフト122はアルミニウムから押出成形あるいは金属材料から機械加工可能である。
【0024】
図7に示されているように、駆動シャフト122はこのシャフトの遠位側へ延在する第1軸方向端部126を含む。第1軸方向端部126は、プローブケースの内部上に成形された駆動シャフトインターフェース127によってプローブの下部ケース52内での回転に対応している。同様に、第2軸方向端部128は、回転駆動シャフト122の近位側へ延在しており、プローブの下部ケース52の内部上にも成形された他のインターフェース130で支持されている。Oリング131およびブッシュ133は、回転駆動シャフト122がプローブの下部ケース52内に配されているときに、上記インターフェース127および130内に置かれるように各軸方向端部126および128上に設けられてもよい。ブッシュ133は、Oリング131がプローブアセンブリ28の架台から回転駆動シャフト122の振動を切り離している間、回転シャフトインターフェース127および130における摩擦を低減する。また、ブッシュ133は、回転シャフトインターフェース127および130において、Oリング131なしで、使用可能である。駆動スロット132は、第1軸方向端部128内に形成されている。以下にさらに詳述されるように、駆動スロット132は、これに対応しモータ駆動シャフト134内に形成された駆動スロット、あるいは上記駆動シャフトに回転を与える他の回転駆動入力部と接続している。
【0025】
ここで、図8および図9を参照すると、カムナット136は、カッターギア118を保持すると共に、カムナット136の遠位側および近位側の両方向への平行移動中にカッターギア118および取り付けられたカッター104を搬送するために、プローブアセンブリ28内に設けられている。カムナット136は、好ましくは剛性ポリマーから成形され、かつ軸方向に延在する円筒状の穴138を有している。一対のJ字状のフック延長部140は、カムナット136の一側部から延在している。一対のフック延長部140は、カムナット136の遠位側および近位側の両方向への平行移動中に、カッターギア118およびカッター104に近位側および遠位側への平行移動を与えるために、カッターギア118の両側部上にカッター104を回転可能に支持している。フック延長部140は、カッターギア歯120が駆動ギア歯124と噛合する適切な方向に、カッター104およびカッターギア118を一列に整列させる。
【0026】
カムナット136は、平行移動シャフト(可変ピッチ部材)142に沿って平行移動するためのシャフト142上に支持されている。シャフト142は、カッター104および回転駆動シャフト122と平行な状態で、カムナットの穴138を通じて延在している。平行移動シャフト142は、アルミニウムあるいはこれと同様の他の材料から構成可能であり、シャフト142の外周部に機械加工可能であるか、あるいは他の方法で形成可能である主ネジ溝144の形態を採る通路等の通路を含めることができる。主ネジ溝144は、概ね螺旋状とすることができる。主ネジ溝144のピッチは、平行移動シャフト142の近位端と遠位端との間で変えてもよい。この明細書で記述された実施の形態では、主ネジ部のピッチは、粗い、すなわち上記シャフト142の近位部分における広い間隔のピッチから、細かい、すなわち上記シャフト142の遠位部分における狭い間隔のピッチまで変化している。ネジ部のピッチの特定ピッチ幅、並びに平行移動シャフト142の長さに沿う狭いピッチに対する広いピッチの比は、カッター104の所望の操作に依存して、この発明において変更することになる。
【0027】
図面において、平行移動シャフト142は、時計回りの回転(近位方向から遠位方向へ向く)がカムナット136を近位方向にシャフト142に沿って平行移動させるが、これに対して、シャフト142の逆回転がカムナット136を遠位方向に移動させるように、右回りネジで示されている。しかしながら、ネジ方向は、用途および回転駆動入力部に依存するネジ部の特定方向となるように、逆にすることができる。
【0028】
図10Aおよび図10Bに非常に詳細に示されているように、カムナット136は、穴138に対して直交する方向に延在する受容穴150を含むように、成形、機械加工あるいは他の方法で形成されている。カムフォロアピン152は、ネジ部が穴138を通過する際に、上記ピンの一部がカムナット136を越えて延在し、かつ平行移動シャフト142の主ネジ溝144内に延在するように、受容穴150内で位置決めされている。主ネジ溝144は、平行移動シャフト142が回転する際に、シャフト142の表面回りでカムフォロアピン152を案内する通路を形成している。カムフォロアピン152は、カムナット136と平行移動シャフト142との間のインターフェースを形成するようにカムナット136の一部として組み立てられる金属製で、機械加工されたピンとすることができる。図示された実施の形態では、カムフォロアピン152は、カムナットの受容穴150に嵌合するインターフェースで組み立てられている。これに代えて、カムフォロアピン152は、インサート成形あるいはネジによるなど、他の方法によって挿入可能である。他の実施の形態では、カムフォロアピン152は、主ネジ溝144内で半径方向に移動できる「フロート」となるようにカムナット136上に支持可能である。
【0029】
図10Bに示されているように、カムフォロアピン152は、カムナットの受容穴150内に置かれ、カム通路(主ネジ溝)144のプロファイルに適合するように形成された傾斜面156によって示されているようなテーパー形状あるいは他の形状の先端を有することができる。カム通路144は、テーパー状のプロファイルを有している。傾斜面156は、カムフォロアピン152が主ネジ溝144によって形成されたテーパー状の通路内を自由に摺動することを可能にし、主ネジ溝144のネジピッチおよび/または幅の容易な変更に適応することを可能にする。
【0030】
図8および図9を参照すると、スロット158は、図15に示されたモータシャフト160等の駆動モータシャフトに平行移動シャフト142を取り付けるためにシャフト142の近位端に設けられている。モータシャフト160は、このシャフト端部162とスロット158との係合を通じて平行移動シャフト142に回転を与える。平行移動シャフト142は、カム通路(主ネジ溝)144とカムフォロアピン152との間のインターフェースにより、可変ピッチのカム通路144に追従するカムナット136を回転させる。したがって、カムナット136は、シャフト142が回転する際に、シャフト142の長さに沿って平行移動する。カムナット136が平行移動シャフト142の回転によって遠位側へ平行移動する際に、カッターギア118はフック延長部140によって前方(遠位側)へ押圧される。カッターギア118は、カムナット136の平行移動と同一方向および同一速度でカッター104を移動させるために、カッター104にしっかりと取り付けられている。平行移動シャフト142がカムナット136内で回転する際に、円筒状の穴138は、カムナットが平行移動シャフト142を横切る際に、カムナットを安定化させるブッシュを兼ねている。
【0031】
この発明の生検装置の操作中に、カッター104は、サンプル取得面74に非常に近い完全に後退した位置と組織受容ポート86に非常に遠い完全に配設された位置との間のいずれかの方向で平行移動する。図示された実施の形態では、カッター104は、完全後退位置から完全配設位置までの約6インチ(1インチ=約2.54cm)の距離を平行移動することができる。カッターの平行移動の距離に沿う確認可能な複数の中間位置が存在している。カッター104の遠位端116が上記各位置に到達するときに、所望ならば、カッターの回転速度(しばしば単に回転速度という)あるいはカッターの平行移動速度(しばしば単に平行移動速度という)のいずれかあるいは双方に対する調節が可能である。
【0032】
この明細書に記述された生検装置の実施の形態に関し、カッターの平行移動の距離に沿って4つの位置が確認可能である。これらの位置ごとに、カッターの回転および/または平行移動の速度に対する調節が可能である。これらの速度の変化は、機械的に、あるいはモータ速度の変更のいずれかの異なる方法で、生検装置内で達成可能である。カッター位置の記述を容易にするために、カッター位置は、カッター104の遠位端上のカッター刃116の実際の位置として理解されるべきである。これらの4つのカッター位置は、次の4つがある:カッター104がサンプル取得面74に非常に近い第1の位置;カッター104がサンプル取得面74に非常に遠い第2の位置;カッター104が組織受容ポート86に非常に近い第3の位置;カッター104が組織受容ポート86に非常に遠い第4の位置。これらの4つの位置は、しばしば位置1、位置2、位置3および位置4と呼ばれる。これらの4つのカッター位置は、例示の目的のみで与えられ、多くの他のカッター位置は、この発明の範囲を逸脱することなく、カッターの回転速度および/平行移動速度に対する調節を知らせるために、この発明において使用されてもよい。
【0033】
図5、図6および図9に示された実施の形態では、カッター104が平行移動距離に沿って位置1から位置2への平行移動する際には、カムフォロアピン152は、主ネジ溝144の粗いピッチ部分146を横切り、これによりカッター104が平行移動シャフト142の回転ごとに、より速い速度で平行移動することができる。カッター104が位置2から位置3へ移動する際には、カムの主ネジ溝144が粗いピッチ幅から細かいピッチ幅へ移行し、これによりカッター104が平行移動シャフト142の回転ごとに、より遅い速度で平行移動することができる。カッター104が位置3に到達する際には、駆動シャフト122は、カッターの回転に呼応して回転し始める。したがって、カッター104は、カムフォロアピン152がカムの主ネジ溝144のより遅く、細かいピッチ部分148を横切り始めるときに、回転し始める。カッター104の平行移動速度は、組織の切断中に、組織受容ポート86を通じて回転するカッター104をより遅く前進させる細かいピッチ部分148で減速される。組織受容ポート86を通じた平行移動(位置3と位置4との間)中に、カッター104は、所望の組織切断速度で駆動シャフト122によって回転させられる。
【0034】
カムの主ネジ溝144のピッチ幅は、平行移動シャフト142の360°回転ごとに、カムナット136による直線移動距離を決定する。主ネジ溝144のピッチ幅が広ければ広いほど、シャフト142の360°回転ごとに、カッター104による直線移動距離が大きくなる。したがって、カッター104の直線速度は、平行移動シャフト142上のカムナット136の位置関数として変更可能である。主ネジ溝144のピッチは、平行移動シャフト142の回転速度に対するカッターの平行移動速度の所望の比を与えるように選択可能である。主ネジ溝144は、可変ピッチカムの通路として機能することができる。
【0035】
図9および図11は、平行移動シャフト142の全範囲並びに可変ピッチの主ネジ溝144を示している。これらの図面に示されているように、平行移動シャフト142は、このシャフト142の回転にかかわらず、カッター104の平行移動が妨げられるような、上記シャフト142の近位端および遠位端に近傍の領域を含めてもよい。符号164で示された上記領域では、主ネジ溝144は、零のピッチ幅を有してもよく、これによりシャフト142の外周回りに360°の溝を形成することになる。360°溝、すなわち零ピッチ領域164は、平行移動シャフト142に沿うカムナット136の移動を阻害する。主ネジ溝144が零ピッチ領域164へ移行する際には、平行移動シャフト142の外径は166で示されているように減らされ、主ネジ溝144のピッチは、カムフォロアピン152およびカッター104の平行移動を遅くするように、より細かくなっている。
【0036】
カムナット136が零ピッチ領域164に入るときには、シャフト142は回転し続けてもよいが、カムナット136は、零ピッチ領域164内にカムフォロアピン152が保持されているために、シャフト142に沿う平行移動が妨げられる。カッター104が移動行程の最も遠位(あるいは最も近位)点にあり、シャフト142の回転方向が逆(ロッカースイッチ72を押し下げることなどによって)になっているときには、カムフォロアピン152は、可変ピッチの主ネジ溝144と係合する状態に零ピッチ領域164から戻るように付勢されることになる。図11に示されているように、コイルスプリング168および170等の付勢装置は、シャフト142の回転方向を逆転させるときに、平行移動方向を変更する場合には、可変ピッチの主ネジ溝144と係合する状態に戻るようにカムナット136を付勢するために、平行移動シャフト142の各端部近傍に設けられてもよい。零ピッチ領域164におけるシャフト142の外径を減少させることおよび主ネジ溝144のピッチをより細かくすることは、カムフォロアピン152が零ピッチ領域164の溝内を進む際に、カムフォロアピン152の騒音あるいは振動を低減させるのにも有利となる。
【0037】
図12Aおよび図12Bは、カムナット136がシャフト142の近位端に向けて平行移動する際における零ピッチ領域164およびコイルスプリング168を示している。図13Aおよび図13Bは、カムナット136が最も近位位置(すなわちカッターの位置1)へ平行移動した後におけるカムナット136を示している。この位置1では、カムフォロアピン152は零ピッチ領域164に係合しており、コイルスプリング168はカムナット136に対して圧縮されている。カムナット136は、零ピッチ領域164に係合しているカムフォロアピン152のために、シャフト142が回転する際には、上記位置に留まる。一旦、モータ回転方向を変更するなどによって、シャフト142の回転方向が逆転すると、コイルスプリング168内に保存されたエネルギは、零ピッチ領域164外へ(カムフォロアピン152を経由して)カムナット136を押し出すように、カムナット136に対して作用する。コイルスプリング168は、カムナット136(およびカッター104)が反対方向へ平行移動し始めるように、主ネジ溝144に対応する可変ピッチの通路と係合する状態に戻るようにカムナット136を押圧する。
【0038】
シャフト142の外径は、機械加工あるいは他の方法で減少可能であり、主ネジ溝144のネジ(例えばテーパー状の壁部を有する)をより狭い間隔にすることで細かいピッチ(インチごとのネジ部が増える)を与えることになる。代替の実施の形態では、テーパー状のネジ壁部を有するカム通路(主ネジ溝)144のネジ深さは、カムフォロアピン152の平行移動速度を変更するために、変更可能である。例えば、カム通路(主ネジ溝)144の深さは、シャフト142の外径が一定に維持されるのに対して、シャフト142上により狭く配されるべきネジ部を可能にするために短くされてもよい。より間隔を狭くしたネジ部は、平行移動シャフト142の各回転中に、カッター104によって移動する直線距離を縮小する。
【0039】
図14Aから図14Cは、先の図1から図13に具体化されているようにこの発明の操作中に、カッター104の4つの位置のうち、3つを描写している。カッター104の3つの位置は、カッター104の遠位端上の(カッター104と共に移動する)カムナット136およびカッター刃116の相対的な位置を観察することによって、最も容易に識別される。図14Aは、カッター104が位置1に位置決めされているプローブアセンブリ28を部分断面視した上面図を示している。この位置1では、カッター104は、カッター刃116がサンプル取得面74の近位側に位置決めされた状態で、完全に後退した位置にある。カムナット136は、カムフォロアピン152がカム通路(主ネジ溝)144の零ピッチ領域164内で回転している状態で、平行移動用シャフト142の近位端に位置決めされている。コイルスプリング168は、カムナット136の近位端に対して圧縮されている。図14Aに示された位置では、カッター104は、穿孔具80内の組織受容ポート86が組織を受容するために開けられるように、完全に後退した位置にある。この位置では、組織サンプルは、サンプル取得面74から取得されてもよい。
【0040】
図14Bは、カッター刃116が組織受容ポート86の直近にある位置3に向けて前進したカッター104を示している。この位置3では、カムナット136は、カムフォロアピン152が主ネジ溝144の幅広の粗いピッチ部分146から細かいピッチ部分148へ平行移動している1点に向けて、シャフト142に沿って平行移動している。同様に、カッター104は、駆動シャフト122がカッターギア歯120および駆動ギア歯124を介してカッター104を回転させている中間位置へ前進している。カッター刃116は、組織受容ポート86に直近の位置に配されている。組織受容ポート86における減圧穴92は、第1減圧チューブ32が減圧システム22に対して流体的に連結されているときに、組織受容ポート86に隣接した軟組織が組織受容ポート86内に吸引されるように、開けられている。
【0041】
図14Cは、カッター104が最も延長した位置にあると共にカッター刃116が組織受容ポート86の遠位側にある位置4へ前進したカッター104を示している。この位置4では、カッター104は、回転駆動シャフト122によって適切な切断速度で回転させられている。減圧穴92を経由した減圧によって組織受容ポート86内へ吸引された組織は、回転しながら前進するカッター刃116によって切断されて、カッター管腔114内に保存される。カッター104が図14Aに示された位置1まで後退したときに、組織除去器115は、サンプル取得面74まで組織サンプルを引き戻す。図14Cには、カム通路(主ネジ溝)144の細かいピッチ部分を通って平行移動して、最も遠位位置にあるカムナット136が示されている。この位置では、カムフォロアピン152は、可変ピッチのカムスロットとしてのカム通路(主ネジ溝)144の遠位端における零ピッチ領域164に係合している。コイルスプリング170は、一旦、平行移動シャフト142の回転方向が反転すると、カム通路(主ネジ溝)144の細かいピッチ部分148と係合する後方位置にカムナット136を付勢するために、カムナット136によって圧縮され、カッター104は位置1まで戻される。
【0042】
図15は、ホルスター30の第1の実施の形態を分解して示す投影図である。この実施の形態では、ホルスター30は、2つのモータがプローブアセンブリ28内の回転駆動シャフト122および142に支持されている一体電動式のホルスターである。上述したように、ホルスター30は、この明細書で開示された上記2つのモータおよびモータ駆動シャフトを収容するように、図15および図16に示された形状とされる上部ケース56と下部ケース58を含む。最終組立時には、上部ケース56および下部ケース58は、複数の整列穴182に留めつけられるネジ180によって互いに接合されるか、あるいはこの技術分野において周知の他のタイプのファスナーによって互いに取り付けられる。
【0043】
一対のモータ駆動シャフト134および160は、ホルスター30の封入された近位部分内に収容されている。第1の駆動シャフト134は、回転駆動シャフト122のスロット132に対して作用可能に係合するように形成された遠位端172を有している。第2の駆動シャフト160は、平行移動シャフト142のスロット158に対して作用可能に係合するように形成された遠位端162を有している。モータ駆動シャフト134および160は、プローブアセンブリ28およびホルスター30が連結されたときに、駆動シャフト122および平行移動シャフト142と係合するギアケース184から遠位側へ延在している。第1の駆動モータ186および第2の駆動モータ188は、ギアケース184上に設けられている。第1の駆動モータ186は、図16に示されたギアアセンブリ190を介して駆動シャフト134に対して回転運動を与える。駆動シャフト134に生じる回転運動は、プローブアセンブリ28およびホルスター30が連結されたときに、遠位端172およびスロット132を経て、回転駆動シャフト122に伝達される。同様に、第2の駆動モータ188は、第2のギアアセンブリ192を介して駆動シャフト160に対して回転運動を与える。駆動シャフト160の回転運動は、スロット158と駆動シャフト160の遠位端162との係合によって平行移動シャフト142に伝達される。駆動モータ186および188は、スイス国サヒゼイン(Sachsein)のマキソン精密モータ社(Maxon Precision Motors)から入手可能な型式118718の4.5ワットモータ等の直流グラファイトブッシュモータとすることができる。駆動モータ186は、マキソン精密モータ社から入手可能な型式118184の遊星歯車の使用が可能であり、駆動モータ188は、マキソン精密モータ社から入手可能な型式110322の遊星歯車の使用が可能である。
【0044】
図16および図17を参照すると、第1ギアアセンブリ190および第2ギアアセンブリ192は、駆動モータ186および188と駆動シャフト134および160の近位端に位置決めされ、いずれのアセンブリもベルトによって連係した一対のギアから構成されている。駆動モータ186および188と駆動シャフト134および160との連結の解除は、追加のギアの必要なしに、駆動シャフト134および160が異なる期間および異なる速度で単独駆動を可能にする。さらに、個々の駆動モータが駆動シャフト134および160に使用されるので、駆動モータは、組み合わせて両シャフトを駆動するのに必要なモータよりも小型で低出力であってもよい。
【0045】
駆動モータ186および188は、例えば、ホルスター30の下部ケース58に成形された1つまたはそれ以上の支持部196によるなどして、任意の便利な方法でホルスター30内に支持可能である。配電盤198は、ホルスター30内に設けられ、かつ任意の便利な方法で駆動モータ186および188と電気的に接続されている。また、配電盤198は、ロッカースイッチ72および減圧スイッチ76等の種々のユーザー接続スイッチ並びに、制御ユニット24からの電力および信号をホルスター30に与える制御コード48と接続可能である。重合性ゴムあるいは他の適切な封止材料から構成されるスイッチシール200および202は、流体がホルスター30に入りかつ配電盤198に悪影響を及ぼすことを防止するために、配電盤198とこれと隣接する構成要素との間に配されている。金属板204は、ホルスター30内に構造支持部を設け、および/またはホルスター30のプローブアセンブリ28への固定を容易にする実装あるいは連結の態様を有することができる。
【0046】
図15から図17に示された実施の形態は、ギアケース184上に設けられ、かつモータ駆動シャフト134および160のそれぞれを単独で駆動するためにモータ駆動シャフト134および160に直接、連結された2つの一体型のモータを含む。図18から図20に示されたような代替の実施の形態では、単独の一体型のモータは、適切なギアを経て回転駆動シャフトおよび平行移動シャフトの双方を駆動するのに使用可能である。この実施の形態では、単独のモータ208は、ギアケース184およびホルスター30の近位端におけるモータ駆動シャフト134および160上に設けられてもよい。モータ208は、ギアアセンブリ210を経て駆動シャフト134および160に対して作用可能に連結されている。図19および図20は、モータ208とギアアセンブリ210とが連結された状態で、単独のモータアセンブリの後部を示している。この連結はモータシャフト216のギア214と駆動シャフト134のギア218との間を延在する単独のベルト212を含む。図20に示されているように、追加ギア220は、回転駆動シャフト134の回転から平行移動シャフト160を駆動するために、ギアケース184内に収容されている。追加のギア220は、平行移動駆動シャフト160が回転駆動シャフト134よりも遅い速度で回転することを可能にするために、2つの駆動シャフト134および160間にギア減速を与える。また、ギア220は、平行移動駆動シャフト160が回転駆動シャフト134よりも速い速度で回転することを可能にするように、あるいは、カッター104の所望の操作に依存して2つの駆動シャフトが同一速度で回転するのを可能にするように、構成可能である。上述した2つの実施の形態に加えて、この発明は、ホルスター30の側部あるいは底部に沿って、あるいはホルスター30の前端において、ギアケース184後方のホルスター30の近位端に位置決めされた1つまたはそれ以上の一体型のモータを含めることができる。さらに、1つまたはそれ以上の駆動モータは、ホルスター30の外部に配設され、かつ1つまたはそれ以上の回転可能なシャフトによって回転駆動シャフト122および平行移動駆動シャフト142に対して作用可能に連結されている。したがって、この発明における上記モータの特定配置は、ホルスター30の所望の寸法あるいは重量分布に依存して、変更可能である。
【0047】
図21および図22は、この発明の第2の単独モータの実施の形態に使用されるプローブアセンブリ28を示している。この単独モータの実施の形態では、回転駆動シャフト134および平行移動駆動シャフト160は、ギア214、218およびベルト212を作動する共通のモータ208が同時に上記2つのシャフトを駆動するので、この生検装置の全操作中に回転させられる。モータ駆動シャフト134の連続回転に対応するために、第1の実施の形態の回転駆動シャフト122は、上記駆動シャフトの遠位端に最も近い位置に配された駆動ギア歯224を有する改造駆動シャフト222に置き換えられる。この位置におけるギア歯224では、カッター104が組織受容ポート86に非常に近い位置に向けて遠位側へ前進した後だけ、カッターギア118は、改造駆動シャフト222と係合する。カッターギア118が駆動ギア歯224と係合するときには、ギア歯120および224は噛合し、カッター104は駆動シャフト222によって回転させられる。駆動ギア歯224は、この駆動ギア歯224の近位端に成形された引込み傾斜路254を含めることができる。傾斜路254は、ギアの円滑な噛合を与えるために、駆動ギア歯224と係合するギア歯120へ移行する。駆動シャフト222は、カッター104が組織切断段階のカッター前進中にだけ回転するように、この単独モータの実施の形態用の方法で改造されている。
【0048】
図23は、減圧システム22をより詳細に示している。図23に示されているように、減圧システム22は、第1コネクタ36の雄部40に対して第1減圧チューブ232によって連結された第1バルブ230を含む。第2バルブ234は、第2コネクタ38の雌部44に対して第2減圧チューブ236によって連結されている。第1バルブ230および第2バルブ234は、側方の第1減圧チューブ32および軸方向の第2減圧チューブ34に対するそれぞれの減圧供給を制御する。第1バルブ230および第2バルブ234は、生検装置20の操作中に、減圧チューブ232および236を開閉するための制御ユニット24からの信号によって制御されるソレノイドを含む。減圧チューブ232および236のそれぞれは、運転サイクル中に、異なる間隔で別々に開閉されてもよい。減圧チューブ232および236は、減圧タンク240等の流体タンクに向けて第1バルブ230および第2バルブ234から延在している。主要な減圧チューブ242は、モータ246によって駆動され、符号244によって示された減圧ポンプおよび容器に減圧タンク240を取り付ける。減圧ポンプ244は、例えばピストン、ダイアフラム、ロータリーすなわち回転弁ポンプ等の種々のタイプであってもよい。モータ246は、例えばブラシレス直流モータ等の可変速度で操作可能なタイプであることが好ましい。モータ速度は、減圧タンク240内の減圧レベル等、流体タンク中で検知された圧力に基づいて制御可能である。また、モータ速度は、所望の切断位置の予定等、運転サイクル中に減圧に関する予想された必要性に基づいて、制御されてもよい。
【0049】
マフラー・バッフルシステム256および排気ポート258は、騒音を低減しかつシステムを換気するために、減圧ポンプ244から延在している。追加の減圧チューブ248は、減圧タンク240から減圧センサ250へ延在している。減圧センサ250は、減圧タンク240内の減圧をモニターし、かつ圧力信号252を制御ユニット24へ周期的に送信する。制御ユニット24は、減圧センサ250からの圧力信号252に関してモータ246を制御するためのマイクロプロセッサすなわちマイクロコントローラ254を備えたプリント回路基板(PCB)を含む。
【0050】
1つの実施の形態では、マイクロコントローラ254は、減圧センサ250からの圧力信号252に関してモータ246の速度を調節することによって減圧タンク240内の均一で所望の減圧を維持する。モータ速度は、モータの電流、電圧あるいはトルクを変更することによって調節され、これにより減圧ポンプ速度の変更および/または減圧ポンプの電源のオン・オフを行ってもよい。1つの実施の形態では、減圧タンク240内の圧力が所望の予定レベルにある間は、マイクロコントローラ254は、減圧ポンプ244が減圧システム22内で余分な減圧(および騒音)を生じる操作をしないようにモータ246を無負荷運転する。バルブ230および234の一方または両方が開いている場合など、減圧センサ250からの圧力信号252が減圧タンク240内で圧力低下を示す場合には、マイクロコントローラ254は、モータ246を作動して、減圧タンク240内の圧力が再び所望レベルに到達するまで、減圧ポンプ244をつける。これにより、減圧センサ250は、減圧システム22に対して閉ループ制御を与えて、減圧ポンプ244を連続運転することもなく、減圧システム22内の所望の圧力を維持することができる。代替の実施の形態では、マイクロコントローラ254は、生検装置20の運転サイクル中に予想減圧に基づいて減圧ポンプ244を運転するためにモータ246を駆動する。マイクロコントローラ254は、運転サイクルにおいて異なる位置で減圧ポンプを運転するように予め設定されてもよい。したがって、マイクロコントローラ254は、例えばユーザーがロッカースイッチ72を前方へ作動することによって組織サンプルサイクルを開始する場合など、必要な減圧を予想してモータ速度を上昇させてもよい。マイクロコントローラ254は、モータ246の速度を変更して運転サイクル中の位置1から位置4までのカッター104の位置に基づいて真空状態を加減してもよい。1つの実施の形態では、減圧タンク240内の圧力は、約−26.5インチHg(局所的な大気圧以下の水銀柱約26.5インチ)とすることができる。
【0051】
望ましい場合には、加圧タンクの使用が可能であり、圧力センサおよび圧縮機は、上述したような閉ループ制御法を用いることによって、大気圧より高い所望の圧力レベルに加圧タンク内の圧力を維持するために使用可能である。例えば、代替の実施の形態では、減圧タンク240を加圧タンクとすることができ、減圧ポンプ244を上記減圧タンク240に加圧空気を供給するための圧縮機とすることができる。例えば、陽圧(あるいは減圧に使用する圧力差)で、カッターを空気作用により平行移動および/または回転させること、あるいはカッター管腔を経由して流体(ガスあるいは)の加圧流動を与えることは望ましい場合がある。これに代えて、減圧タンク240は、カッターに関連して減圧を与えるために使用可能であり、1つまたはそれ以上の独立した加圧タンクおよびこれに関連した圧縮機はカッターに動作を与えるために使用可能である。他の実施の形態では、減圧タンク240は、生検装置の操作中の一部分において減圧タンクとして、および生検装置の操作中の他の部分において加圧タンクとして使用可能である。
【0052】
図24Aから図24Eは、カッター104が上述した4つの別個の位置を経由して移動する際に、カッター104の操作を制御するための、この発明による制御方法を示すフロー図を与えている。制御方法の複数のステップはフロー図に概略的に示されている。フロー図における各ボックスは1ステップまたは1ステップ以上の複数ステップを示す場合がある。議論の目的のために、各ボックスは単に1つのステップとする。複数ステップは、概ね、複数のボックスを連結する矢印の方向へ進む。以下に記述される制御方法では、図1から図17に示された第1の実施の形態のように、単独モータを有するか、あるいはカッターの平行移動および回転移動を別々に駆動するための2つまたはそれ以上のモータを有する生検装置を使用してもよい。
【0053】
図24Aを参照すると、ステップ410は、制御方法の開始を示している。生検装置20が採取モードあるいは手動操作モードのいずれかを選択することによるなどの用途に作動されるときに、制御信号は電力コード(制御コード)48を経由してスイッチボード(配電盤)198に送信される。配電盤198は、パルス幅変調(PWM)方式がモータ188に供給されるべき信号を駆動して平行移動駆動シャフト160の回転運動を開始させるように、順に命令する。平行移動駆動シャフト160の回転運動は、遠位端162とスロット158との相互接続を通じて平行移動シャフト142に伝達される。平行移動シャフト142は回転し、カムナット136は、可変ピッチの主ネジ溝144におけるカムフロアピン152の動作により、位置1から位置2へのカッター104の平行移動を開始する。平行移動シャフト142に沿うカムナット136の平行移動をステップ412において続行する。
【0054】
ステップ414では、制御ユニット24における書換え可能メモリ内に格納された予定時間値は読み取られ、一時メモリ内に格納された蓄積時間数と比較される。上記書換え可能メモリは、例えばマイクロチップコーポレーション社によって製造されたPIC18F452等のマイクロコントローラに内蔵されている、例えば「フラッシュ」メモリとしてもよい。予定時間値は、カッターの平行移動用の通路内の指定位置に対応している。一時メモリ内の蓄積時間数は、略等しい時間間隔でマイクロコントローラによって更新される。1つの実施の形態では、時間間隔は、約100ミリ秒以下、より詳細には約50ミリ秒以下とすることができ、1つの実施の形態では約25ミリ秒とすることができる。上記蓄積時間数は、カッター104が相対的な位置1から位置4へ平行移動し、以下により詳細に記述されるモータ電圧対照から算出される時間がプラス(あるいはマイナス)される実時間から導き出される。一時メモリ内の蓄積時間数は予定時間値に適合しているときには、カッター104は位置2にあるものと考えられる。仮に一時メモリ内の蓄積時間数が位置2に関する予定時間値に適合していない場合には、カッター104は位置2にあるものと考えられず、操作はステップ416へ進む。
【0055】
ステップ416では、平行移動モータの現在の電流値が平行移動モータ188から読み取られる。ステップ418では、平行移動モータの現在の電流測定値は、フラッシュメモリ内に格納された予定電流限界値と比較される。仮に電流測定値が予定電流限界値より大きい場合には、エラー状態であると判断されてプログラムを終了する。平行移動モータ188の運転は停止され、エラーメッセージはステップ420においてユーザーインターフェース上で報告される。仮にステップ418が平行移動モータの現在の電流値が予定電流限界値以下である場合には、制御方法はステップ422へ進む。
【0056】
ステップ422では、平行移動モータの現在の電流値が、以下「電流参照用テーブル(Look-Up Table)」と呼ばれる書換え可能メモリ内に格納された予定電流限界値と比較される。電流参照用テーブルは、駆動モータ186および188のそれぞれの代表的な電流プロファイルを含む。電流プロファイルは、モータ運転および駆動電流に関係した実験的で経験的なデータから導き出される。電流プロファイルは、マイクロコントローラの時間間隔に対応し、この明細書に記述された例示の実施の形態では25ミリ秒である時間間隔に分化される。この比較で使用されるべき予定電流値の電流参照用テーブルにおける位置は、上記比較の時刻における蓄積時間数に依存している。図25は、カッター104が位置1から位置4へ進行した後に再び位置1へ戻る完全なサイクルを横切る際のモータ電流プロファイル260の例を示している。図25では、電流プロファイル260は、時間(水平軸)に対するモータ電流(垂直軸)として示されている。電流プロファイル260によって示されているように、モータ188への電流は、時間の増分間と4つのカッター位置間で変化する。電流参照用テーブルは、分化された時間間隔ごとに電流プロファイル260を含む。
【0057】
上記電流の測定に加えて、ステップ422では、平行移動モータ188の電圧は、パルス幅変調(PWM)方式のモータ駆動信号のサイクルから外れている間に、読み取られる。この電圧は、モータ188の電気機械的な戻り力、並びにカッター104の直線移動速度に比例する。電圧測定値から、移動通路に沿うカムナット136の実際の位置、したがってカッター104の位置は確認可能である。モータ188から読み取られた電圧は、モータの規格値あるいは予定された操作プロファイルと比較されて、上記測定電圧から実際の移動速度を判断してもよい。仮に蓄積時間数で読み取られたモータ電圧が上記蓄積時間数に関する予想電圧を超える場合には、カッター104は、蓄積時間数に対する予想電圧よりも電流プロファイルにおける進行した位置にあるものと考えられる。したがって、電流参照用テーブルにおけるポインタの位置は、蓄積時間数を増やすことによる移動距離差の原因となるように調節され、これによりカッターの全進行時間を遅延させることができる。同様に、仮に読み取られたモータ電圧が上記蓄積時間数に関する予想電圧よりも小さい場合には、カッター104は、蓄積時間数によって予想されているように電流プロファイルに沿って遠くへ移動しなかったものと考えられる。したがって、電流参照用テーブルにおけるポインタの位置は、蓄積時間数を減らすことによる移動距離差の原因となるように調節され、これにより再度、読み取られるか、あるいは電流参照用テーブルにおいて後方へ移動させ、カッターの全進行時間を増やすことができる。
【0058】
ステップ424では、平行移動モータの現在の電流値と電流参照用テーブルからの電流値との差が、図25における破線262によって示された範囲等、予定範囲から外れているか否かを確認するために、比較がなされる。仮に電流値間の差が上記予想範囲外である場合には、平行移動モータ188に対する電流が、動作サイクルのパルス幅が変調されたモータ制御信号を増加または減少させる(あるいは仮にPWMではなくアナログ式のモータ駆動が用いられる場合に電圧レベルを変化させる)ことなどにより、ステップ426で調節される。仮に平行移動モータの現在の電流値と電流参照用テーブルの予定電流値との差が許容範囲内であるようにステップ424で確認された場合には、その後、プロセスはステップ412へ戻り、カッター104は位置1から位置2へ平行移動し続ける。
【0059】
ステップ414では、仮にカッター104が位置2にあるものと考えられる場合には、その後に、制御方法は図24Bに示されたステップ428へ進み、カッター104は位置2から位置3へ平行移動し続ける。ステップ430では、カッター104が位置2と位置3との間の予定した中間位置に到達しているか否かを確認するために、点検がなされる。カッター104は、一時メモリ内の蓄積時間数が上記中間位置に対応する予定時間数に適合する場合に、上記中間位置に到達したものと考えられる。予定した中間位置は、実際のカッターの平行移動速度および予定したカッターの回転速度に基づいている。上記中間位置は、組織切除を開始した後で、カッター104が位置4に到達する前に、カッター104にとって十分な時間が零の回転速度から予定した回転速度へ加速することを可能にするように、選択される。ステップ430では、カッター104が上記中間位置に到達しなかった場合には、その後に、ステップ432で、平行移動モータの現在の電流値はモータ188から読み取られる。
【0060】
ステップ434では、平行移動モータの現在の電流値は、フラッシュメモリ内に格納された予定電流限界値と再び比較される。仮に平行移動モータの現在の電流値が上記予定電流限界値よりも大きい場合には、エラー状態であると判断されてプログラムを終了する。平行移動モータ188の運転は停止され、エラーメッセージはステップ436においてユーザーインターフェース上で報告される。仮にステップ434が平行移動モータの現在の電流値が予定電流限界値以下である場合には、生検装置20の操作をステップ438で続行する。ステップ438では、平行移動モータの現在の電流測定値は電流参照用テーブル内の予定値と再び比較される。一旦もう一度、電流参照用テーブル内の比較値の位置は、上記比較の時刻で更新された蓄積時間数に依存する。また、ステップ438では、現在のモータ電圧は、読み取られ、更新された蓄積時間数に基づく予想電圧と比較される。仮に実際の電圧測定値が予想電圧と異なる場合には、その後に、蓄積時間数は増加あるいは減少されて、電流参照用テーブルの位置を上記カッター104の実際位置と同調させる。ステップ440では、仮に現在の電流値と予定電流値との差が予定範囲外にある場合には、平行移動モータ188への電流はステップ442で調節される。仮にステップ440での比較差が予定範囲内にある場合には、その後に、カッター104はステップ428において現速度で位置2から位置3へ平行移動し続ける。
【0061】
ステップ430では、仮にカッター104が位置2と位置3との間の中間位置に到達したことが確認される場合には、その後に、カッター104は位置3に向けて平行移動を続行し、カッター104の回転は図24Cに示されたステップ444で開始される。ステップ446では、回転モータの現在の電流値は回転駆動モータ186で読み取られる。ステップ448では、回転モータの現在の電流値がフラッシュメモリ内に格納された予定電流限界値より大きいか否かを確認するために、比較がなされる。仮に現在の電流測定値が上記予定電流限界値よりも大きい場合には、その後に、回転駆動モータ186および平行移動駆動モータ188はステップ460で停止され、エラー状態はユーザーインターフェース上で報告される。仮に回転モータの現在の電流測定値が上記予定電流限界値以下である場合には、その後に、操作は次のステップで続行する。ステップ450では、回転モータの現在の電流測定値は、電流参照用テーブル内にロードされた予定電流値と比較される。上述したように、電流参照用テーブル内の比較値の位置は、上記比較の時刻における蓄積時間数に依存している。ステップ452では、仮に比較差が予定範囲外であると確認される場合には、回転駆動モータ186への電流はステップ454で調節される。ステップ452では、仮に現在の電流値と予定電流値との差が予定範囲内にある場合には、カッター104の回転運動を続行する。
【0062】
ステップ456では、マイクロコントローラ内のメモリ内に格納された予定時間値は一時メモリ内に格納された蓄積時間数と比較される。蓄積時間数は、カッターが相対位置を経由して移動し、ステップ422、438および464でのモータ電圧比較から算出された時間をプラス(あるいはマイナス)される実時間から導き出される。蓄積時間数が格納された時間数に適合するときには、カッター104は位置3にあるものと判断される。仮にカッター104が位置3にない場合には、プロセスは、平行移動モータの現在の電流値がモータ188から読み取られるステップ458で続行する。ステップ462では、平行移動モータの現在の電流測定値は、予定電流限界値と比較される。仮に平行移動モータの現在の電流測定値が予定電流限界値より大きい場合には、平行移動および回転移動モータは停止され、エラーはステップ460で報告される。
【0063】
仮に上記測定値が上記限界値以下である場合には、プロセスは、現在の電流測定値が電流参照用テーブル内にロードされた予定値と比較されるステップ464で続行する。電流参照用テーブル内の比較値の位置は、上記比較の時刻で更新された蓄積時間数に依存する。また、ステップ464では、実際のモータ電圧は、予想電圧と比較される。上記蓄積時間数は、カッター104の実際の移動速度での変化に対応するモータ電圧の増減の原因となるように、上述したように増減される。ステップ466では、仮に現在の電流測定値と電流参照用テーブルからの予定電流値との差が許容範囲内にあるものと確認される場合には、カッター104の平行移動を続行し、プロセスはステップ446へ進む。仮に比較との差が予定された許容範囲外である場合には、その後に、平行移動モータ468への電流は調節される。この調節後に、プロセスはステップ446で続行する。
【0064】
カッター104が位置3に到達したことをステップ456で確認されたときには、その後に、プロセスは図24Dで示されたステップ470へ進む。ステップ470では、モータ188への平行移動用電流は、メモリ内に格納された予定値に変更される。変更された電流値は、異なる速度、典型的には0.5インチ/秒であるが、位置4に向けたカッター104の平行移動を継続させる。ステップ472では、マイクロプロセッサ内の書換え可能メモリ内に格納された予定値は、一時メモリ内に格納された蓄積時間数と比較される。時間数は、カッター104が相対的な位置を経由して移動し、モータ電圧対照から算出される時間がプラス(あるいはマイナス)される実時間から導き出される。現在の時間数が格納された時間数に適合するときには、カッターが位置4にあるものと考えられる。
【0065】
ステップ474では、平行移動モータの現在の電流値は読み取られる。ステップ476では、平行移動モータの電流測定値は、予定電流限界値と比較される。仮に平行移動モータの電流測定値が予定電流限界値より大きい場合には、プロセスは、回転移動モータ186および平行移動モータ188が停止されかつエラーメッセージが表示されるステップ482へ移行する。ステップ476では、仮に平行移動モータの現在の電流測定値が上記予定電流限界値以下である場合には、プロセスはステップ478で続行する。ステップ478では、モータ電圧は読み取られ、かつモータの予定電圧レベルと比較される。仮に電圧測定値が予想値よりも高い場合には、その後に、蓄積時間数は、カッターの移動速度の上昇の原因となるように増加される。仮に電圧測定値が予想値よりも低い場合には、その後に、蓄積時間数は、カッターの移動速度の低下の原因となるように低減される。また、ステップ478では、平行移動モータの現在の電流測定値は、電流参照用テーブルにロードされた予定値と比較される。ステップ480では、仮に現在の電流値と予定電流値との差が予定範囲外にあるものと確認される場合には、ステップ484で平行移動モータ188への電流が調節される。ステップ480では、仮に現在の電流値と予定電流値との差が予定範囲内にある場合には、その後に、カッター104は平行移動を続行し、プロセスはステップ486へ移行する。ステップ486では、回転モータの現在の電流値は、再び読み取られ、ステップ488では、最新の電流測定値は、予定電流限界値と比較される。仮に電流測定値が予定電流限界値よりも大きい場合には、平行移動モータ188および回転移動モータ186は停止され、エラーはステップ482で報告される。仮に回転モータの現在の電流測定値が予定電流限界値以下である場合には、その後に、操作は次のステップで続行する。ステップ490では、回転モータの現在の電流値が電流参照用テーブルにロードされた予定電流値と比較され、上記2つの値間の差は算出される。仮に電流レベルにおける差が予定範囲外であるとステップ492で確認される場合には、その後に、ステップ494で、回転モータの電流は調節される。ステップ492では、上記2つの電流値間の差が予定範囲内にあるものと確認される場合には、その後に、カッターの回転は続行し、プロセスはステップ472へ移行する。
【0066】
ステップ472では、仮にカッター104が位置4へ到達した場合には、その後に、制御方法は、平行移動モータ188が停止されるステップ496で続行する。次に、ステップ498では、マイクロコントローラ内に格納された予定値は、一時メモリ内に格納された蓄積時間数と比較される。この蓄積時間数は、回転モータがモータ電圧比較から算出されたプラス(あるいはマイナス)調節時間で始動された実際の時間から導き出される。ステップ498では、仮に比較された時間数が格納された時間数に適合しない場合には、その後に、回転モータの実際の電流はステップ500で読み取られる。ステップ502では、回転モータの実際の電流は、電流参照用テーブル内の比較値の位置が比較時における時間数の間隔に依存する電流参照用テーブルにロードされた予定ちと比較される。仮にステップ504で回転モータの実際の電流と回転モータの予定電流値との差が予定範囲外である場合には、その後に、回転モータ186への電流はステップ506で調節される。仮に比較との差が予定範囲内にある場合には、その後に、制御方法はステップ498へ移行する。ステップ498では、予定時間数は回転モータ186に関する蓄積時間数と比較される。仮に蓄積時間数が予定時間数を超える場合には、その後に、回転モータはステップ508で停止される。
【0067】
電気モータが上述した実施の形態に開示されているが、空気圧駆動式モータ等の他のタイプのモータが使用可能であると理解されるはずである。さらに、内部カッターを有する外カニューレが開示されているが、カッターがカニューレ外の周囲に同軸的に配された実施の形態等の他の変形も使用されてもよい。
【0068】
この発明の好適な実施の形態が図示されかつこの明細書に記述されているが、そのような実施の形態は例示の目的のみによって与えられているものと、この技術分野における当業者にとって明白なはずである。多くの変形、変更および置換は、添付された請求項の精神および範囲から逸脱することなく、この技術分野における当業者によって見出されるはずである。さらに、開示された各構成要素は、この構成要素の機能を実行するための他の手段として記述されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】この発明の1つの実施の形態による生検装置であって、軟組織採取用のハンドピースを含む、生検装置を示す投影図である。
【図2】図1のハンドピースを示す投影図であって、ホルスターへの連結前のプローブアセンブリを示す投影図である。
【図3】上記ホルスターおよびプローブアセンブリのケース下面を示す投影図であって、このホルスターの下部ケースが上記プローブアセンブリ下部ケース上のラッチに対して着脱可能に連結されるためのスロットを含む状態を示す投影図である。
【図4】図3に似た投影図であって、上記ホルスターおよびプローブアセンブリのケース下面の着脱可能な連結を示す投影図である。
【図5】図2に示した上記プローブアセンブリを分解して示す投影図である。
【図6】内部構成要素を見せるために上部ケースを取り外した、図2のプローブアセンブリを示す投影図である。
【図7】回転駆動シャフトおよびプローブアセンブリのケース下面を分解して示す投影図である。
【図8】カムトラックおよびカムナットを示す平行移動シャフトアセンブリを示す部分投影図である。
【図9】カッターの回転移動および平行移動シャフトアセンブリを示す上面図である。
【図10A】カムナットフォロアおよび平行移動シャフトを示す上面図である。
【図10B】図10AにおけるA−A線で切断した断面図である。
【図11】平行移動シャフトアセンブリを分解して示す投影図である。
【図12A】平行移動シャフトの近位端に隣接するカムナットを示す上面図である。
【図12B】図12AにおけるA−A線で切断した断面図である。
【図13A】平行移動シャフトの最も近位位置におけるカムナットを示す上面図である。
【図13B】図13AにおけるA−A線で切断した断面図である。
【図14A】完全に後退した第1位置におけるカッターを見せるために上部ケースを取り外したプローブアセンブリを示す上面図である。
【図14B】カッターの遠位端がポートのすぐ近くになっている第3位置におけるカッターを見せるために上部ケースを取り外したプローブアセンブリを示す上面図である。
【図14C】完全に配置された第4位置におけるカッターを見せるために上部ケースを取り外したプローブアセンブリを示す上面図である。
【図15】この発明の2つのモータを有する第1の実施の形態を示すホルスターを分解して示す投影図である。
【図16】2モータアセンブリを見せるためにホルスターの上部ケースが外されている状態で、図15のホルスターアセンブリの後部を示す投影図である。
【図17】図16の2モータアセンブリを分解して示す投影図である。
【図18】この発明の単独モータを有する第2の実施の形態を示すホルスターを分解して示す投影図である。
【図19】単独モータアセンブリを見せるためにホルスターの上部ケースが外されている状態で、図18のホルスターの後部を示す投影図である。
【図20】図19の単独モータアセンブリを分解して示す投影図である。
【図21】この発明の単独モータを有する第2の実施の形態用のプローブアセンブリを分解して示す投影図である。
【図22】内部構成要素を見せるために上部ケースが取り外された状態で、図21のプローブアセンブリを示す投影図である。
【図23】この発明に従う減圧システムを示す模式図である。
【図24A】カッターの操作に関係するフロー図の第1部分であって、カッターが第1位置から第2位置へ平行移動する場合の制御ユニット論理を示すフロー図である。
【図24B】カッターの操作に関係するフロー図の第2部分であって、カッターが第2位置から第3位置へ平行移動する場合の制御ユニット論理を示すフロー図である。
【図24C】カッターの操作に関係するフロー図の第3部分であって、カッターが第2位置から第3位置へ平行移動する場合の追加制御ユニット論理を示すフロー図である。
【図24D】カッターの操作に関係するフロー図の第4部分であって、カッターが第3位置から第4位置へ平行移動する場合の制御ユニット論理を示すフロー図である。
【図24E】カッターの操作に関係するフロー図の第5部分であって、カッターが第4位置へ到達した後に、カッターの操作を終了する場合の制御ユニット論理を示すフロー図である。
【図25】平行移動モータの電流特性例を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生検装置であって、
組織受容ポートを有するカニューレと、
前記カニューレと同軸に配された組織カッターであって、前記カニューレを基準とした平行移動に適応した組織カッターと、
前記組織カッターの平行移動速度に変化を与えるために、前記組織カッターに対して作用可能に関係した可変ピッチ部材と、を備えた、生検装置。
【請求項2】
請求項1記載の生検装置であって、前記組織カッターは、前記カニューレを基準とした平行移動および回転移動に適応している、生検装置。
【請求項3】
請求項1記載の生検装置であって、前記可変ピッチ部材を回転させるモータを含む、生検装置。
【請求項4】
請求項1記載の生検装置であって、前記可変ピッチ部材は、ピッチが変化しているネジ部を有するシャフトを含む、生検装置。
【請求項5】
請求項1記載の生検装置であって、前記可変ピッチ部材を回転させる第1のモータと、前記組織カッターを回転させる第2のモータとを含む、生検装置。
【請求項6】
請求項1記載の生検装置であって、前記組織カッターは、前記カニューレ内で平行移動するように配置されている、生検装置。
【請求項7】
請求項1記載の生検装置であって、前記可変ピッチ部材は、相対的に粗いピッチ部分と、相対的に細かいピッチ部分とを含む、生検装置。
【請求項8】
請求項7記載の生検装置であって、前記相対的に細かいピッチ部分は、組織受容ポートを通り越す前記組織カッターの平行移動を与える、生検装置。
【請求項9】
請求項1記載の生検装置であって、前記可変ピッチ部材は、ピッチが変化しているネジ部を有するシャフトを含み、前記シャフトの直径は前記ネジ部の長さに沿って変化している、生検装置。
【請求項10】
生検装置であって、
側方の組織受容ポートを有する外カニューレと、
前記外カニューレ内で平行移動するように配置された内管状のカッターと、
ピッチが変化しているネジ部を有する回転部材と、を含み、
前記回転部材は、前記カッターの平行移動速度を変えるために、前記カッターに対して作用可能に関係している、生検装置。
【請求項11】
請求項10記載の生検装置であって、前記回転部材を回転させるモータを含む、生検装置。
【請求項12】
請求項11記載の生検装置であって、前記モータは電気モータである、生検装置。
【請求項13】
請求項10記載の生検装置であって、前記回転部材は、相対的に粗いピッチ部分と、相対的に細かいピッチ部分とを含む、生検装置。
【請求項14】
請求項10記載の生検装置であって、前記回転部材は、前記カッターの少なくとも1つの位置において、前記カッターが平行移動することなく、回転移動するのに適応している、生検装置。
【請求項15】
請求項14記載の生検装置であって、前記回転部材は、前記カッターがそのカッターの移動行程における最も遠位側の位置にあるとき、および、前記カッターがそのカッターの移動工程における最も近位側の位置にあるときに、前記カッターが平行移動することなく、回転移動するのに適応している、生検装置。
【請求項16】
請求項14記載の生検装置であって、前記ネジ部は、前記ネジ部の遠位端および近位端において、前記カッターに平行移動を与えることなく、前記回転部材の回転移動を可能にするのに適応している、生検装置。
【請求項17】
請求項10記載の生検装置であって、前記回転部材に沿って平行移動するように支持されたカムナットを含み、前記カムナットは前記回転部材の前記ネジ部に係合し、かつ、前記カッターは前記カムナット上で回転可能に支持されている、生検装置。
【請求項18】
請求項17記載の生検装置であって、前記カッターを回転移動させる回転シャフトをさらに含む、生検装置。
【請求項19】
ハンディータイプの生検装置であって、
組織を受容するためのカニューレと、
前記外カニューレと同軸の中空カッターであって、前記外カニューレを基準として平行移動および回転移動するように支持された中空カッターと、
第1回転駆動部材であって、この第1回転駆動部材の回転速度を変えることなく、前記中空カッターの平行移動の速度を変えるのに対応した第1回転駆動部材と、
前記中空カッターを回転移動させるための第2回転駆動部材と、を含む、生検装置。
【請求項20】
請求項19記載の生検装置であって、前記第1および第2回転駆動部材を駆動するための少なくとも1つのモータを含む、生検装置。
【請求項21】
請求項20記載の生検装置であって、前記第1回転駆動部材を駆動する第1モータと、前記第2回転駆動部材を駆動する第2モータとを含む、生検装置。
【請求項22】
請求項21記載の生検装置であって、前記モータは電気モータである、生検装置。
【請求項23】
請求項19記載の生検装置であって、前記第1回転駆動部材および前記第2回転駆動部材を駆動する単独のモータを含む、生検装置。
【請求項1】
生検装置であって、
組織受容ポートを有するカニューレと、
前記カニューレと同軸に配された組織カッターであって、前記カニューレを基準とした平行移動に適応した組織カッターと、
前記組織カッターの平行移動速度に変化を与えるために、前記組織カッターに対して作用可能に関係した可変ピッチ部材と、を備えた、生検装置。
【請求項2】
請求項1記載の生検装置であって、前記組織カッターは、前記カニューレを基準とした平行移動および回転移動に適応している、生検装置。
【請求項3】
請求項1記載の生検装置であって、前記可変ピッチ部材を回転させるモータを含む、生検装置。
【請求項4】
請求項1記載の生検装置であって、前記可変ピッチ部材は、ピッチが変化しているネジ部を有するシャフトを含む、生検装置。
【請求項5】
請求項1記載の生検装置であって、前記可変ピッチ部材を回転させる第1のモータと、前記組織カッターを回転させる第2のモータとを含む、生検装置。
【請求項6】
請求項1記載の生検装置であって、前記組織カッターは、前記カニューレ内で平行移動するように配置されている、生検装置。
【請求項7】
請求項1記載の生検装置であって、前記可変ピッチ部材は、相対的に粗いピッチ部分と、相対的に細かいピッチ部分とを含む、生検装置。
【請求項8】
請求項7記載の生検装置であって、前記相対的に細かいピッチ部分は、組織受容ポートを通り越す前記組織カッターの平行移動を与える、生検装置。
【請求項9】
請求項1記載の生検装置であって、前記可変ピッチ部材は、ピッチが変化しているネジ部を有するシャフトを含み、前記シャフトの直径は前記ネジ部の長さに沿って変化している、生検装置。
【請求項10】
生検装置であって、
側方の組織受容ポートを有する外カニューレと、
前記外カニューレ内で平行移動するように配置された内管状のカッターと、
ピッチが変化しているネジ部を有する回転部材と、を含み、
前記回転部材は、前記カッターの平行移動速度を変えるために、前記カッターに対して作用可能に関係している、生検装置。
【請求項11】
請求項10記載の生検装置であって、前記回転部材を回転させるモータを含む、生検装置。
【請求項12】
請求項11記載の生検装置であって、前記モータは電気モータである、生検装置。
【請求項13】
請求項10記載の生検装置であって、前記回転部材は、相対的に粗いピッチ部分と、相対的に細かいピッチ部分とを含む、生検装置。
【請求項14】
請求項10記載の生検装置であって、前記回転部材は、前記カッターの少なくとも1つの位置において、前記カッターが平行移動することなく、回転移動するのに適応している、生検装置。
【請求項15】
請求項14記載の生検装置であって、前記回転部材は、前記カッターがそのカッターの移動行程における最も遠位側の位置にあるとき、および、前記カッターがそのカッターの移動工程における最も近位側の位置にあるときに、前記カッターが平行移動することなく、回転移動するのに適応している、生検装置。
【請求項16】
請求項14記載の生検装置であって、前記ネジ部は、前記ネジ部の遠位端および近位端において、前記カッターに平行移動を与えることなく、前記回転部材の回転移動を可能にするのに適応している、生検装置。
【請求項17】
請求項10記載の生検装置であって、前記回転部材に沿って平行移動するように支持されたカムナットを含み、前記カムナットは前記回転部材の前記ネジ部に係合し、かつ、前記カッターは前記カムナット上で回転可能に支持されている、生検装置。
【請求項18】
請求項17記載の生検装置であって、前記カッターを回転移動させる回転シャフトをさらに含む、生検装置。
【請求項19】
ハンディータイプの生検装置であって、
組織を受容するためのカニューレと、
前記外カニューレと同軸の中空カッターであって、前記外カニューレを基準として平行移動および回転移動するように支持された中空カッターと、
第1回転駆動部材であって、この第1回転駆動部材の回転速度を変えることなく、前記中空カッターの平行移動の速度を変えるのに対応した第1回転駆動部材と、
前記中空カッターを回転移動させるための第2回転駆動部材と、を含む、生検装置。
【請求項20】
請求項19記載の生検装置であって、前記第1および第2回転駆動部材を駆動するための少なくとも1つのモータを含む、生検装置。
【請求項21】
請求項20記載の生検装置であって、前記第1回転駆動部材を駆動する第1モータと、前記第2回転駆動部材を駆動する第2モータとを含む、生検装置。
【請求項22】
請求項21記載の生検装置であって、前記モータは電気モータである、生検装置。
【請求項23】
請求項19記載の生検装置であって、前記第1回転駆動部材および前記第2回転駆動部材を駆動する単独のモータを含む、生検装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図25】
【公表番号】特表2006−518654(P2006−518654A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503828(P2006−503828)
【出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/005381
【国際公開番号】WO2004/075728
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/005381
【国際公開番号】WO2004/075728
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】
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