説明

可搬型医療機器

サンプリングモードにおいて対象物の体液を少なくとも1サンプル分提供するサンプリング手段(26,16,M1;51,54,55,56,57,60)と、定量モードにおいて上記体液の少なくとも1つのパラメータを定量する定量手段(15,A,M2;62)と、注入モードにおいて注入媒体の注入を少なくとも1回実施する注入手段(19,M4;48,58,64,65,66,61)と、を少なくとも含む携帯用医療装置であって、上記の各手段が互いに独立して動作することができる携帯用医療装置(1;22;31;43)は、糖尿病等の病気を従来よりも良好に自己治療するのに役立つ。携帯用医療装置は、少なくともサンプリング手段(26,16,M1;51,54,55,56,57,60)、定量手段(15,A,M2;62)、及び注入手段(19,M4;48,58,64,65,66,67)に対して共通となる単一筐体(2)と、少なくともサンプリングモード、定量モード、及び注入モードのうちの任意のモード間での切換えを行う切換え手段(30,40,41)と、サンプリング手段(26,16,M1;51,54,55,56,57,60)、定量手段(15,A,M2;62)、及び注入手段(19,M4;48,58,64,65,66,67)のうちの少なくとも1つの手段を独立して作動させるための作動手段(5;23,24;44,45,47,52,59,63)と、を含む。装置は、携帯性の領域で実現した諸改善、即ち、複数個のデバイスに代えてポケットサイズのデバイスを1つだけ携帯し、動作させ、維持管理すれば良いという事実及び様々なセットの機能にアクセスし、それら間で切り換わる統合されたユーザーインターフェースが用いられているという事実、によって患者、医療専門家、及び/又は他の職業の他の人々が医学的治療過程を楽に行えるようにする、一体化されたデバイスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、サンプリング・モードにおいて対象物の体液(流体)を少なくとも1サンプル分提供するサンプリング手段と、定量モード(測定モード、決定モード)において上記体液の少なくとも1つのパラメータを定量(測定、決定)する定量手段(測定手段、決定手段)と、注入モード(注射モード)において注入媒体(注射媒体)の注入(注射)を少なくとも1回実施する注入手段(注射手段)と、を少なくとも具備し、上記各手段は、互いに独立して、又は互いに協働して、動作することができる、可搬型医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの治療領域では、どのパラメータについて自己治療を実施することができるかに対応して、体液についての1つ又は複数のパラメータを絶えずモニターすることが必要とされている。自己治療の典型例は、糖尿病患者の血液サンプルのグルコース濃度を定量(測定、決定)し、これに対応して適量のインシュリンを注入することである。
【0003】
しかし、かかる公知のデバイスの一般的な問題点は、それらが、十分にユーザー・フレンドリーではないことである。というのは、多くの場合、数点の器具を携帯し、動作させ、且つ解析に関わる解析要件及び作動要件を満たすように維持管理しなければならないからである。例えば、上述の糖尿病の自己治療において、糖尿病患者の多くは、下記の器具(装備)を携帯し使用する必要がある。すなわち、当該器具(装備)は、血液サンプルを採取するランセットを具備したランサー、血液サンプルのグルコース濃度を定量するためのテスト・ストリップを具備したグルコース測定器、インシュリンのアンプル、及び、典型的にはペン又は注射器の形態を成すインシュリンの注入手段である。
【0004】
これらの難点については、米国特許第6,302,855B1号に開示の多機能デバイスによる解決が試みられている。この公知のデバイスは、糖尿病患者が自己治療において必要とする複数の下位デバイス(サブ・デバイス)の幾つかを集めたものである。各下位デバイスは、それぞれが独自の専用機能を有し、それら全てが、1つの可搬型の、しかし粗大である連結型のデバイスを提供するように、相互に結合可能である。この粗大であるデバイスは、持ち運ぶときに、かなりの場所をとる。また、使用後に、1つのデバイスを置き忘れるリスクもある。下位デバイスが足りないことが、次にこの多機能デバイスを使用するまでに発見されなかった場合、それは、少なくとも、不足の下位デバイスのステップであって、自己治療を行うための一連のステップの全体を実施する上で不可欠であるステップ、を実施できない患者にとって、耐え難いものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,302,855B1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故、自己治療の手順において、上記不利益を受けない、信頼性が高く、小型で、操作が簡単なデバイス又は機器(装置)が必要とされている。
【0007】
従って、冒頭のパラグラフで言及した類の可搬型医療機器(ポータブル型医療機器、携帯用医療機器)であって、集積化(一体化、integrated)された小型の(コンパクトな)構造体を提供するように複数の機能が共通の筐体(ハウジング)内に集積化されている可搬型医療機器を提供することが、本願発明の主たるアスペクトである。
【0008】
本願発明の第2のアスペクトは、冒頭のパラグラフで言及した類の可搬型医療機器であって、体液サンプルを解析し該解析結果に基づいて作用(機能)する過程(プロセス)で用いられる幾つかのデバイスの機能性及び利点を兼ね備えた機器を提供することである。
【0009】
本願発明の第3のアスペクトは、冒頭のパラグラフで言及した類の可搬型医療機器であって、患者、医療の専門家及び/又は他の人々によって実施される医学的治療過程(プロセス)を容易化する機器を提供することである。
【0010】
本願発明の第4のアスペクトは、冒頭のパラグラフで言及した類の可搬型医療機器であって、異なった機能モード間の調節と切換えを容易且つ迅速に行える機器を提供することである。
【0011】
本願発明の第5のアスペクトは、冒頭のパラグラフで言及した類の可搬型医療機器であって、解析し該解析結果に基づいて作用(機能)する過程(プロセス)で用いられる幾つかのデバイスの機能性及び利点を単一の可搬型ユニットの中に兼ね備えた(組み入れた、合わせ持った)機器を提供することである。
【0012】
本願発明の第6のアスペクトは、冒頭のパラグラフで言及した類の可搬型医療機器であって、医療手順を一層容易に実行できるようにするために、従来は3つに分かれていたデバイスを1つのポケットサイズのデバイスに合体(結合)させた機器を提供することである。
【0013】
本願発明の第7のアスペクトは、冒頭のパラグラフで言及した類の可搬型医療機器であって、既存の解決策(解決法、解決物、solutions)よりも持ち運び易く、維持が容易である機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これを達成する新規且つ特有の特徴は、機器が、少なくとも、サンプリング手段、定量手段、及び注入手段のための共通となる筐体と、少なくとも、サンプリング・モード、定量モード、及び注入モードの何れかの間で切換えを行うための切換え手段と、サンプリング手段、定量手段、及び注入手段のうちの少なくとも1つを独立して作動させるための作動手段と、を更に備えているという事実にある。
【0015】
下位デバイス(サブ・デバイス)、即ち、少なくとも、サンプリング手段、定量手段、及び注入手段、を1つの共通筐体内に収納することによって、機器は、集積化(一体化、integrated)された構造体として具現化され、これにより、使用者は、常に、下位デバイスを、使用準備が整った状態のものとして、有することができる。切換え手段は、有益なことに、必要に応じて、種々の機能モード間での切換えを行うように機能する。従って、例えば、サンプリングが必要な場合、機器を必要とされる機能モードに設定するのに、切換え手段が使用され、所定の行為を実施するのに、作動手段が動作せしめられる。典型的な一連のステップは、最初に、切換え手段を用いてサンプリング・モードを選択し、作動手段を作動させて、体液サンプル(液体サンプル、流体サンプル)、即ち、一滴の血液、を採取するために対象物に穿孔を開けることを含む。次に、切換え手段を用いて、定量モードを選択し、作動手段によって定量手段を作動させて体液サンプルの定量可能なパラメータ、例えば、血液滴中のグルコース濃度、を定量し、定量化されたパラメータ、この場合はグルコース濃度、に応じ、切換え手段を用いて、注入モードを選択し、注入手段を作動させることによって注入媒体の注入を実施することを含む。
【0016】
従来技術のデバイスの場合の如く誤って切り離してしまうおそれがないように、単一の共通筐体が、下位デバイスを集合した状態に維持していることは、有利である。
【0017】
機器は、該機器の機能モードを制御(コントロール)するための処理ユニットを備えることができる。サンプリング・モードにおいて、処理ユニットは、例えば、サンプルを採取するのに用いられる動力、即ち、サンプリング・ストローク又はランシング力、を制御又は調節することができる。
【0018】
例えば、2mm或いは3mmといった各ストローク深度(ストローク深さ)は、異なるストローク力を要するかもしれない。調節可能なストローク力は、例えば、ガス・カートリッジからの圧力、共通筐体内の電池駆動モーターによってランセット先端の実際の位置を長さ方向に機械的に調節すること、又は、ひとたび解放されたときにランセット先端を目標とする対象物の方に押しやる圧縮バネ手段の手動張力、を用いることによって生み出されることができる。これらの手段の1つ若しくはそれ以上の手段を組み合わせることによって、また、上記調節可能ストローク力は達成可能であり、また、そのような手段を用いて、注入手段の注入動力を調節することが可能である。このように、非常に単純な実施形態において、注入手段とサンプリング手段とは、1つ又はそれ以上の共通パーツを共有する。
【0019】
サンプリング力は、段階的に調節可能であるだけでなく、連続尺度で調節可能である。これにより、使用者のあらゆる特定の要望に対して、よりよく調整可能である。当業者であれば、ランシング力の調節は連続的であることを理解するであろう。
【0020】
本願発明において、サンプリング力という用語と、ランシング力という用語は、互換的に(区別せずに)用いられている。
【0021】
処理手段のもう一つの機能は、パラメータの定量過程(定量プロセス)を制御することであり、望まれる場合には、可能性として、定量化されたパラメータの値に基づいて注入されるべき注入媒体の適切な投与量(用量)を計算し、そして、当該適切な投与量の情報を使用者に伝達することである。
【0022】
処理ユニットは、また、日付、曜日、時刻等の毎日の情報を使用者に提供し、絶えず最新データを与えるようにしてもよい。関連する実際の機能モードの情報と、機器の状態(ステータス)に関する情報とは、機器を使用し易くし且つ機器の信頼性を高め、誤使用を防止する。
【0023】
好ましくは、本願発明に係る機器は、音響、振動、又は他の感知可能なアラームであって、1日の投薬回数のリマインダーを目的として設定可能なもの、を含むことができる。
【0024】
処理ユニットは、集積回路等の中央処理装置であることができる。この集積回路は、今日の技術を用いれば、例えば、今日の携帯電話で用いられている如く、ナノメータ・オーダーにあるであろう。従って、処理ユニットは、共通筐体内で、あまり場所をとらない。使用者が使用に関連し使用に応じたデータを格納できるように、データ格納手段を設けてもよい。機器は、更に、遠隔的に処理ユニットをプログラムし、そして、格納されたデータを読み出すための手段を備えてもよい。医師又は他の有資格者は、そのような操作を都合よく実施できる。従って、本願発明に係る進歩的な機器を使用すれば、多数の疾患についてセルフ・メディケーションや自己治療を実施しモニターすることにおいて、これ迄にまだ明らかになっていない展望が明らかになる。この機器により、医師は、例えば、訓練期間に必要でる場合に、或いは、使用者のパラメータ・レベルの調節が困難及び/又は定量化されたパラメータが大幅に変動する場合に、自己治療の管理(養生、regimen)において、関与することが可能になる。
【0025】
好ましくは、この機器は、各個人の必要に従って、また、機能モードの選択に従って、サンプリング手段、定量手段、及び注入手段のうちの少なくとも1つの手段を調節するための1つ又はそれ以上の調節手段を含むことができる。そのような調節手段を用いることによって、使用者が最も好む標準的な構成を有し且つ保持するように、又は個別に調節されるように、機器を容易に構成することができる。個別調節は、格納手段に格納され、処理ユニットによって計算され伝達されたデータに基づいて行うことができる。或いは、この個別調節は、処理手段が調節手段を個別に制御するように機能する場合、新しい機能モードへ機器の構成を変更する場合や、治療の管理がそのような調整を必要とする時に各操作前後の条件を変更する場合に、手動で実施することができる。調節手段は、作動手段及び/又は処理手段の一部であることができる。
【0026】
本願発明に係る機器の最良(最適)の実施形態において、機器は、定量化(測定、決定)されたパラメータに応じて、注入手段を動作させるように構成されてもよい。例えば、処理ユニットは、体液(流体、液体)について定量化されたパラメータに応じて、注入されるべき注入媒体の適切な投与量(用量)を計算又はテーブル参照(table look-up)によって定める。これは、少なくとも、サンプリング・モードや、定量モードが実施されるべき次の時期まで、対象物の体液について、上記定量化されたパラメータのレベルを緩和し、改善し、又は調整するためである。この目的(アスペクト)のために、機器は、該機器を再度使用するように使用者に注意を促すために、処理手段によって都合良く制御される警報手段(警告手段)を備えていてもよい。この処理手段は、同一長さの間隔又は異なる長さの間隔において、いつ、再使用が最適に行われるかを予測するように構成されてもよい。
【0027】
好ましいユーザー・フレンドリーな共通筐体の構造は、第1のパーツ(第1部分)が作動手段の外装パーツ(外側パーツ、外側部分)で覆われた中空本体を含む。この第1のパーツは、任意に、外装パーツの反対側で、少なくとも切換え手段を介して、第2のパーツ(第2部分)と動作可能に連通している。該第2のパーツは、少なくとも、サンプリング手段、定量手段、及び注入手段のうちの任意の手段を対象物又は他の手段の1つと相互作用するようにそこから露出させることが可能である動作端部を有する。この第1のパーツは、機器の細長い共通筐体のパーツ(部分)であって、作動手段の外装パーツに容易にアクセスできるように、例えば、親指を使って該外装パーツを押下できるように、使用時に手の平に収まるパーツである。上記第2のパーツは、使用時に対象物の方に向くパーツ(部分)である。共通筐体の第2のパーツは、とりわけ、注入媒体、定量手段、サンプリング手段、及び注入手段を収容することができる。これらの全ては、機器の動作時(操作時)のある段階(ステージ)において、対象物と相互作用することを必要とする。
【0028】
第1のパーツ及び第2のパーツの断面領域は、同一且つ円形であることが好ましいが、本願発明の範囲(スコープ)内で、複数の他の形状が見越される。また、第1のパーツ及び第2のパーツは、当該第1のパーツ及び第2のパーツが互いに触知(手触り)で区別できるように、異なる断面領域、若しくは、異なる外面を有していてもよい。これは、誰にとっても、特に視覚が不自由な使用者又は他に障害を持つ使用者にとって、歓迎すべき特徴であろう。従って、使用時及び動作時に機器を完全に静止した状態に維持するために、且つ、機器の特定部分を識別するために、長円、楕円、更には、四角形の断面領域が、一部の使用者には好まれるであろう。共通筐体の外装構造には、何れの機能モードが提供されているかの標示を使用者に提供するために、1つ又はそれ以上の個々の窪み又は突起又はそれらのセットが設けられていてもよい。当該窪み又は突起は、提供される機能モードの指による位置決めの容易化が意図されており、また、選択された機能モードや、機器の位置と配向とを、使用時に維持することが意図されている。加えて、一段と扱い易くするために、種々の色彩による標示を用いてもよい。
【0029】
切換え手段を第1のパーツと第2のパーツとの双方に近接して設けることにより、同じ切換え手段を用いて、当該両パーツを、依然として連通状態に維持したままで、動作させることができる。
【0030】
好適な実施形態において、第1のパーツは、共通筐体の長手方向軸に沿って、第2のパーツとは反対方向に回転可能である。この回転可能な構成は、切換え手段の少なくとも一部をなす。従って、共通筐体の第2のパーツに関して、共通筐体の第1のパーツを回転させることにより、異なった機能モード間での切換えが、達成される。使用者が、右利きか左利きかに応じて、該使用者は、プログラミング・ユニット及び切換え手段を用いて、機器の設定を行うことができる。従って、第1のパーツ及び第2のパーツは、それぞれ、左回り若しくは右回り、若しくは、その構成がより好ましい場合にはその逆方向に、回される。好適な実施形態において、長手方向軸(長手軸)は、第1のパーツ及び第2のパーツの双方に共通である。
【0031】
異なる機能モード間での切換えが行われたこと、又は切換えが進行中であることを確認し、その標示を提供すために、切換え手段は、少なくとも、サンプリング・モード、定量モード、及び/又は注入モード間の切換えを登録するための少なくとも1つのセンサーを備えていてもよい。このセンサーは、例えば、光学センサー、接触センサー等の電子センサー、第1のパーツ及び第2のパーツの対向する接触機械パーツが回転時に相互に通過したときに音を発するノイズ・インジケータ、又は、2つのパーツの段差式相互結合(stepwise interlocking)であって、ひとたび一つの機能モードに達したときに相互に結合し、解放は手動で行わなければならない相互結合とすることができる。
【0032】
上に論じられ、示唆されたいずれの状況においても、機能モード間の切換え過程(プロセス)に関する情報、回転方向とその度合いに関する情報、及び少なくともその機器についての何らかの他の現状に関する情報は、表示器(ディスプレイ)に表示されるようにしてもよい。好ましくは、表示器が汚損されないように、また、及び視認性が損なわれないように、関連情報を使用者に表示するために、表示器は、共通筐体の第1のパーツに設けられる。但し、この表示器は、本願発明の範囲内で、機器にとって適切なあらゆる場所に設けることができ、また、この表示器は、タッチ・スクリーンを介して機器を制御するために用いられることもできる。一セットの標準情報は、機器にとって基本的なものであるが、しかし、使用者は、記憶すべき重要なデータ及び自己治療を最適化するのに必要とされる情報を最新状態に維持するように、処理ユニットを適切にプログラムすることによって、情報の程度を個別設定してもよい。
【0033】
好ましくは、任意に、切換え手段の反対側で、第2のパーツは、少なくとも、サンプリング手段、定量手段、及び注入手段を露出させるための少なくとも1つの開口を有する縁端パーツ(端部)によって、閉鎖されることができる。この実施形態において、サンプリング時、定量時、及び注入時に、対象物から出てくる残留物は、共通筐体内部に侵入することを阻止される。血液の飛散や、注入媒体の飛散は、時に、使用者が経験することであるが、そのような液体物質が、共通筐体内の機械的可動パーツ及び/又は電子パーツに接触した場合には、機器の機能性及び動作性に影響が及ぶおそれがあり、その結果、機器の信頼性は、失われる。蒸気や、液体の水、或いは他の液体等の湿気が、共通筐体に入った場合にも、同じ不都合が見られる。このように、電子パーツは、短絡状態になり、機械パーツは、単に該機械パーツの移動を邪魔しているだけの堆積物に起因して誤動作(誤作動)するおそれがある。第2のパーツ内に設けられるパーツ及び手段であって、使用済みのもの、失効したのもの(期限がきたもの)、及び/又は不良のものを入れ替えて交換できるようにするために、好ましくは、第2のパーツの動作端部に螺着又は覆設される着脱自在の蓋又はキャップをもって縁端パーツ(端部)を設計することにより、該縁端パーツは、開かれるように構成されてもよい。
【0034】
機器の第2のパーツの動作端部を正しい方向に向け、種々の動作を概観し、そして、第2のパーツの動作端部を誘導(manoeuvre)するために、機器には、対象物の少なくとも一部を照明するための照明手段が有利に設けられ得る。小型電球(バルブ)又はLEDは、動作端部に配置されれば、その目的を満たすであろう。代替案において、これに代わり、照明手段は、共通筐体に沿って、或いは、機器上のその他のあらゆる適切な位置に、設けられることができる。
【0035】
機器は、共通筐体内部に設けられる電源によって、典型的には、共通筐体の第1のパーツ内に設けられる使い捨て電池又は再充電可能電池によって、都合よく電力を与えられることが可能である。当該電池は、共通筐体の第1のパーツにある開口を通して交換され、及び/又は、USB接続等の接続手段を介して再充電される。
【0036】
サンプリング手段、定量手段、注入手段、作動手段、処理ユニット、格納手段、及び/又は表示器のうちの少なくとも1つと、単独で又は組合わせで、直接的又は間接的に、動作可能に連通する回転リングが、使用者に関連があり且つ表示器上に示されるべき格納データ及び他の格納情報上をナビゲートするためのジョイスティックとして機能することができるだけでなく、選択を行い、使用者入力(user input)を追加し、そして機器のプログラムを行うためのジョイスティックとして機能することができる。
【0037】
回転リングは、共通筐体の長手方向軸に沿って、少なくとも1つの長手方向に操作可能であり、及び/又は長手方向軸を中心として(長手方向軸の周りで)少なくとも1つの回転方向に回転可能である。つまり、回転リングは、処理ユニットから導き出されることが可能である様々な種類の情報及び/又は格納手段に格納される様々な種類の情報、をスクロールすることができるように、例えば、共通筐体の長手方向の2つの端部に向かう方向と、共通筐体の長手方向軸に対して右回り及び左回りの方向と、を含む異なる4方向に、ナビゲートされるようにしてもよい。機器は、追加情報として、内蔵式のカレンダー及び/又は時計を特徴的に備え、これにより、使用者に、実際の年月日や、その日の時刻を提供することができる。ポケットタイプの電卓を処理ユニットに集積化してもよく、この場合、回転リングは、データを入力し、数学的機能を実施する働きをする。利用不可能な情報又は使用時に機器でまだ使用可能になっていない情報に応じて、使用者が手動で薬剤等の注入媒体の投与量を再計算する必要がある場合に、このことは、意義があるであろう。例えば、糖尿病患者は、突然に沢山の運動を行った場合や、特別の食物を摂取した場合に、より多量の又はより少量のインシュリンを必要とするかもしれない。使用者の体液、例えば血液サンプル、における代謝状態の変化がまだ定量されていないが、使用者には調節がすぐに必要と分かる場合又はそのような感じがする場合に、使用者は、計算機を用いて、調節レベルを容易に計算し、或いは、回転リングを用いて、同様の状況で使用者が経験したデータそのものを取得する。そのようなデータは、都合よくログが作製されて格納され、自己治療の経験を基礎とする個人データベース及び日誌を構築する。ゲーム、ストップウォッチ、タイマー、アラーム、測位システム、及び他のコンピュータシステムは、進歩性を有する多機能機器に集積化できる他の便利な機能であり、本願発明の範囲内で予見される(見越される)ものである。但し、ここに列挙したものは、包括的であることを意図したものではない。例えば、追跡システムを集積化することにより、転倒し及び/又は意識を失った場合に、使用者を追跡することができるようになるであろう。
【0038】
少なくとも、サンプリング手段、定量手段、及び注入手段が、共通筐体内で、互いに、横に並んで又は任意に共通軸を共有して同心に、配置される場合、共通筐体の内部空間は、最適に利用される。
【0039】
共通筐体の第2のパーツ内に収容されるように構成された交換可能なカートリッジ内で、少なくともサンプリング手段と、少なくとも定量手段の第1のパーツとが合体されれば(組み合わされれば)、扱い勝手(使い勝手、ユーザー・フレンドリネス)は非常に良くなり、また、衛生状態は非常に良くなる。代替案において、カートリッジは、共通筐体内の他の適切な場所に設けられることができる。
【0040】
カートリッジは、少なくともサンプリング手段の一部分と、定量手段の少なくとも第1のパーツと、を含む独立したユニットを構成し、所定期間内において反復して使用することができる。カートリッジが全部消費されたとき、失効したとき(期限切れになったとき)、又は誤動作するとき、例えば、第2のパーツの縁端パーツ(端部)を開放又は除去することによって、カートリッジを共通筐体の第2のパーツから簡単に取り外すことができ、古いカートリッジを新しいものと交換することができる。或いは、共通筐体の第1のパーツ又は第2のパーツの外周壁に、そこを通してカートリッジを交換できる閉鎖可能な開口があってもよい。カートリッジ内のエレメント(部材)は、外から操作可能である。カートリッジは、該カートリッジの内部に設置されたサンプリング手段と動作可能に連通している作動手段と定量手段とを含む共通筐体の内部又は外部の任意の適切な手段と相互に作用する。共通筐体の外周壁の閉鎖可能な開口は、また、予備パーツを用いて機器を修理することを含み、機器内部に配置された他の要素の交換を行うのにも役立つ。また、このようにして、注入媒体は、交換されることが可能である。
【0041】
カートリッジの好ましい構造(デザイン)は、サンプリング手段の少なくとも一部と、任意に定量手段の一部と、を保持する中空の外周壁チャンバを有する円柱形状及び/又は他の管形状の本体である。この外周壁チャンバは、注入可能媒体用の貯蔵槽(リザーバ)を収容するための貫通内腔、若しくは、該貯蔵槽へのアクセスを提供する貫通内腔、を形成する。この配置は、有利にも、空間(スペース)の使用度を最大化する。
【0042】
上記貫通内腔は、注入針が注入可能媒体用の貯蔵槽と流体連通するときに、着脱可能な注入針等の交換可能な注入手段の一部のための案内手段として、機能することができる。注入針は、使用する度に、交換してもよい。このアスペクトについて、貫通内腔チャンバは、新しい、好ましくは覆いを被せられた(キャップが被せられた、キャップで覆われた、capped)注入針であって、定量化されたパラメータに応じて所定投与量の注入媒体を分注(投薬、ディスペンス)し注入するように注入手段を構成した貯蔵槽上に配置された注入針のための案内手段として、好都合に機能する。上記注入可能媒体用貯蔵槽と流体連通する注入針のこの安全なガイダンスにより、注入針の交換は、非常に安全であり、そして、不用意に針が刺さったり、偶発的に針が刺さったりするリスクは、最小になる。
【0043】
上記貯蔵槽と注入針とは、貯蔵槽の出口を通して連通している。貯蔵槽からの漏出を阻止するために、出口は、弁機構を有することができる。この弁機構は、一旦、注入媒体が、処分されるべく貯蔵槽から取り外された時には、閉じ、一旦、新たな注入針が装着された時には、開く。或いは、中空の注入針(注射針)は、両端において先鋭であり、貯蔵槽の出口にある弁機構は、膜材又はゴムの封着材(シール)であり、貯蔵槽に面する特別に構成された注入針の無菌端部は、貫通して、貯蔵槽と注入針との間の流体連通を提供する。一旦、注入(注射)が完了すれば、注入針(注射針)は、取り外し、処分してもよい。膜材若しくは封着材のゴム材料の固有の弾性メモリにより、膜材又はゴム封着材になされた穿通(貫通)の閉鎖が、自動的に、誘導される。カートリッジ及び注入手段の構造に応じて、注入針を装着し、取り外し、そして交換する他のやり方(方法)を利用してもよい。例えば、注入手段が、カートリッジに平行に位置している場合、注入針の交換は、前述した共通筐体の第2のパーツの外周壁にある開口を用いて、行われる。
【0044】
好都合にも、サンプリング手段は、周囲に、直線的及び/又はランダムに分布する複数のランセットを含むことができる。当該ランセットは、有利にも、作動手段の作動(起動)に応じて、第2のパーツから突出するように構成されることができ、これにより、対象物を突いて小さな切り目を作り、流体サンプルを採取して、該流体のパラメータを定量することができる。周囲に分布する配置は、使用するのに、特に、簡易である。サンプリング・モードが選択され、カートリッジからランセットの先端(チップ)を露出するために作動手段の外側縁端パーツ(外側端部)が起動され、作動手段の同一外側縁端パーツが再度起動され、そして、外傷を形成するためにランセットの先端が強制的に対象物の中に入れられる。格納されるべきランセット先端をカートリッジ内に引き込むために、作動手段の外装パーツ(外側パーツ、外側部分)が、再度、起動され、最終的に、単一のカートリッジ内の全てのランセットが使用される。或いは、ランセットは、カートリッジから引き出すことによって、直接、処分されてもよい。
【0045】
機能モード間での切換えが行われると、ランセットの先端、テスト・ストリップ、又は注入針等のうちの任意のものが、該切り替え時に直ちに露出され、或いは、例えば、アクチュエータ手段の外側縁端パーツを押圧することによって、最初の起動後にのみ、上記ランセットの先端、テスト・ストリップ、注入針等の露出が行われる。
【0046】
定量手段は、複数のテスト・ストリップを含んでいてもよい。これらのテスト・ストリップは、任意に、カートリッジの外周壁チャンバ内に、対応する数のランセットと交互に配置される。交互以外の他の配置(配列)も、本願発明の範囲において、予見する(見越す)ことができる。前述の如く、ランセットを用いて外傷を形成すると、流体(体液)、例えば血液、のサンプルが、対象物上に出現する。該流体が血液である場合、対象物は、人間又は動物であるかもしれない。共通筐体の第1のパーツと、第2のパーツを反対方向に回転させることにより、切換え手段を用いて、定量モードが選択される。ひとたび定量モードが設定されると、作動手段の外側縁端パーツを起動して、サンプル流体と接触するテスト・ストリップを露出させることができる。このテスト・ストリップは、流体サンプルの組成物と反応する1つ又は複数の化学物質を含有する種類のものであることができ、これによって、流体サンプルにおいて検査され解析されるべきパラメータのレベルを定量(決定、測定)することができる。糖尿病の場合、その流体は、糖尿病患者の皮膚に強制的にランセットを入れることによって採取される血液のしずくである。対象とする血液のしずくのパラメータは、グルコース濃度である。この分析において、テスト・ストリップは、記録可能な色彩反応を生じさせるために、グルコース酸化酵素及びヨー素を浸漬(含浸)させた小さなスポットを有する。現像された色彩の強度は、グルコース濃度に比例し、共通筐体、任意に使い捨てカートリッジ、の中のグルコース測定器によって、記録されることができる。各テスト・ストリップは、1回限り使用されることができ、その後、ランセットについて記載したものと同じ方法で、廃棄されるか、若しくはカートリッジの内部に引き込まれる。
【0047】
従って、ランセット及び/又はテスト・ストリップは、共通筐体の長手方向軸に沿って、双方向に移動可能(変位可能)である。当該ランセット及び/又はテスト・ストリップは、使用後に隔離するためにカートリッジの中へ後退可能であることができ、或いは、当該ランセット及び/又はテスト・ストリップは、使用後に廃棄するためにカートリッジから抜き取り可能であることができる。
【0048】
前述の如く、定量手段は、パラメータを読み取るための測定デバイスを含むことができる。この測定デバイスは、共通筐体内で、集積化(一体化、integrated)されていても、集積化されていなくてもよい。
【0049】
典型的な測定デバイスは、グルコース測定器である。当該グルコース測定器が共通筐体内に集積化されない種類のものである場合、そのグルコース測定器は、時々、或いは適切と考えられるときはいつでも、他の集積化されたグルコース測定器を校正するのに用いることができる。この集積化されていないグルコース測定器は、また、唯一のグルコース測定器であることができる。いずれの種類のグルコース測定器が用いられるかにかかわらず、若しくは両方の種類のグルコース測定器が用いられる場合に、それらは、モニターされるべきパラメータ、この場合はグルコース濃度、を反映する標示を計算するために、定量化された信号又は測定値(量、measurement)を処理ユニットに伝達するように構成される。次いで、処理ユニットは、サンプリングした特定の時間における対象物のパラメータのレベル又は濃度を調節するために、注入すべき正確な投与量を算出(計算)することができる。作動手段の外装パーツ(外側部分)を回すことによって、注入手段は、注入媒体を算出された投与量だけ注入するように設定される。作動手段の同じ外装パーツを押し下げることによって、注入が行われる。共通筐体の長手方向軸に沿って移動が可能であり、且つ、該長手方向軸の周りで回転が可能である、ように構成された作動手段の外装パーツが、外面上で、把持力及び把持能力を高めるパターンを有する多機能ノブであることは、都合のよいことである。
【0050】
糖尿病の場合、注入可能媒体(注射可能媒体)は、インシュリン、又はインシュリン派生物(インシュリン誘導剤、インシュリン誘導薬、insulin derivate)であり、これは、適切な投与量(用量、dose)だけ注入される。この投与量は、糖尿病患者の血液サンプルで定量化したグルコース濃度に基づいて、算出されることができる。最初(初期に)、手動で投与量を設定することが、ほとんどの使用者がしばしば好む代替的な方法である。というのは、これは、公知のデバイスで用いられてきた方法だからである。
【0051】
人間や動物に加えて、対象物は、植物であってもよい。植物の例として、サトウキビや、木や、柑橘類を挙げることができる。これらは、全て、或る一定の甘味度を有する。この甘味度は、例えば、観察すべき個々の植物及びその植物に与えられる土や水、の両方に適切な処置と滋養とを施すことによって、追跡され、変更され得る。
【0052】
機器の不使用時には、待機モードを選択することができる。使用者にストレスを感じさせないように、また、諸機能モード間でのナビゲートをより便利なものとするために、数秒経過後に、例えば、1秒又は2秒経過後に、表示が徐々に消えて、待機機能モードに入るようにしてもよい。この待機機能モードを選択するには、使用者は、前述のように、共通筐体の第1のパーツと第2のパーツを反対方向に、再度、回すだけでよい。
【0053】
情報機能モードにおいて、使用者は、回転リングを用いて、格納手段に格納された情報を通してブラウズし、計算機やアラーム等の付加機能にアクセスすることができる。表示器は、起動され、点灯されると、シェルを通して視認可能になる。
【0054】
表示されるべき情報は、機能モード、日付、時刻、定量化されたパラメータ、パラメータの状態及び/又はレベルを反映する標示(インジケーション)、定量化されたパラメータに応じて注入されるべき媒体の量、使用者に関する情報、機器の状態、電源の電力レベル(パワーレベル)、及び、これらの組み合わせから成る群(グループ)から選択されるデータを含むことができる。但し、どのような種類の情報でも、表示することは可能である。
【0055】
サンプリング手段、定量手段、及び注入手段のうちの1つ又はそれ以上の手段が、互いに、集積化(一体化)されれば、共通筐体の内部空間を最大限に利用することができ、その機器は、非常に使い易くなる。
【0056】
本願発明に係る好適な実施形態において、中空本体は、管状体であり、好ましくは、細長の管状のペンである。或いは、該中空本体は、箱型、若しくは円盤型であることができる。
【0057】
機器が、右手モード、或いは左手モードの一方に構成されることは、現使用者によって、理解されることであろう。
【0058】
下記各図面を参照し、例示的な実施形態により、本願発明に係る機器(装置)を以下に更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本願発明に係る機器の一実施形態の主要パーツを模式的に示す図である。
【図2】本願発明に係る機器の別の実施形態をより詳細に示す模式図である。
【図3】本願発明に係るペン型機器の外装構造(外側構造)示す斜視図である。
【図4】図3の実施形態をサンプリング・モードで示す図である。
【図5】図3の実施形態を定量モードで示す図である。
【図6】図3の実施形態を注入モードで示す図である。
【図7】カートリッジの構成を含む共通筐体内部が見える長さ方向の断面図であって、図3に表示のペン型機器を示す図である。
【図8a】本願発明に係るペン型機器の他の実施形態における共通筐体内部の長さ方向の断面図である。
【図8b】本願発明に係るペン型機器の他の実施形態における共通筐体内部の長さ方向の断面図である。
【図9】図8の実施形態をサンプリング・モードで示す図である。
【図10】図8の実施形態を定量モードで示す図である。
【図11】図8の実施形態を注入モードで示す図である。
【図12】図8の実施形態をPDA−カートリッジ・フィード・モードで示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下の説明では、機器(装置)はペンの形に形成されているものと仮定しているが、他の外装(外側)構造も、本願発明の範囲内にあるものとして意図されている。
【0061】
図1は、本願発明に係る機器(装置)1の一実施形態の主要パーツを模式的に示す。主要パーツは、第1のパーツ(第1部分)3と、第2のパーツ(第2部分)4とによって規定される細長で管状の共通筐体(共通ハウジング)2である。第1のパーツ3は、作動手段の一部である外側縁端パーツ(外端部)5を有する。この外側縁端パーツ5は、多機能で、回転可能で、長手方向軸に沿って長さ方向に移動可能(変位可能)な単一のノブ又はボタン6として設計されている。このノブ又はボタン6は、機能モードに応じて、下記を含むがそれらに限定されない幾つかの機能を調節し制御(コントロール)する働きをする。すなわち、それらは、
− ノブを回転することによって、ランシング力(突き力、lancing force)及びランシング深度を調節する機能や、
− サンプリング・モードにおいて、ノブを押下又は押圧することによって、ランセットを発進させる(送り出す、launching)機能や、
− 注入モードにおいて、ノブを回転することによって、薬剤の用量(投薬、1回分の投薬量)を調節する機能や、
− 注入モードにおいて、ノブを押圧することによって、薬剤を注入する機能である。
【0062】
多機能ノブの特徴によって、より清潔で、より扱い易い(よりユーザー・フレンドリーな)設計が可能となる。更に、只一つの針長さを用いて、薬剤注入針のランセット侵入深度を調節することができる。作動手段は、別々の針を用いずに、クレードルに起因する様々な侵入深度を支持し、それによって、使用者のいかなる特定の要望にも、より良く適合する。更に、機器は、薬剤の量を連続的に調節することを許容する。従って、薬剤の量は、段階的に調節可能であるだけでなく、連続尺度でも調節可能である。
【0063】
電池7の形態を成す、機器1に電力供給するための電源が、第1のパーツ3の空洞8内に設けられている。第1のパーツ3は、また、処理ユニット(プロセシング・ユニット)9及び他の電子コンポーネントを収容する。表示器(ディスプレイ)10が、筐体2の外周壁11に設けられている。この表示器10は、処理ユニット9又はあらゆる他の適切な電子パーツ、例えば、電子的データ格納手段、と電子的に連通状態にある。この電子パーツも、やはり、機器のあらゆるパーツと電子的に連通状態にあり、機械的制御や、上記パーツと電子的にやりとりを行うことを可能にして、表示可能な情報を提供する。
【0064】
共通筐体2の第1のパーツ3の外側縁端パーツ5の反対側において、第1のパーツ3は、第2のパーツ4の中に延在している。この第2のパーツ4は、照明が不十分な環境で使用者を支援する小型電球等の照明手段13と、共通筐体2の第2のパーツ4内に設置されたカートリッジ17から、テスト・ストリップ15又はランセット16を、点線で示すように露出させるための第1の開口14と、第2のパーツ4内に設置された薬剤アンプル又はバイアル20と連通する注入針19が露出できるようにする第2の開口18と、を有する動作端部12で終端している。グルコースのテスト・ストリップ溶液及びグルコース測定器(計量器)は、カートリッジ17の内部又は外部でテスト・ストリップ15にアクセスできるようにしてもよい(図示せず)。アンプル又はバイアル20は、特製アンプル針19に使用するように構成されてもよい。このアンプル針は、螺合ではなく嵌合によって装着することができ、それによって、交換手順は簡素化する。或いは、アンプル又はバイアルは、ねじ山が螺刻され又は該当する突出した噴出手段及び/又は弁手段の周囲に円錐フィットするように造られた、一般的なルアー・ロック・ハブを有する周知の針と用いられるように構成されてもよい。
【0065】
検査/解析キットとランセット16とを1つの交換可能ユニット内で組み合わせることで、カートリッジ17は、より簡単で、より自動化された使用を可能にするだけでなく、維持管理が楽で補充が容易になる。例えば、糖尿病患者は、ランセット16及びグルコース・テスト・ストリップ15の両方から構成される補充パッケージ又は補充カートリッジを用いることの恩恵を享受することができる。
【0066】
使用する際に、切換え手段は、共通筐体2の第1のパーツ3及び第2のパーツ4の2つの主要パーツを反対方向に回転させることによって、イネーブル(可能、enabled)になる。こうすることで、機器1が、1つの機能モードから別の機能モードに切り換わることになり、それによって、異なった機能セットにアクセスすることが、より迅速且つより容易になる。
【0067】
回転リング21は、ジョイスティックに似た機能を提供するものであり、電子的にアクセス可能な適切な格納手段に格納された情報を取得しナビゲートする柔軟性に富む直感的なナビゲーション・システムを提供する。この格納手段は、任意の適切な種類のものとすることができる。従って、回転リング21は、4方向ナビゲーション(four-way navigation)であることができる。使用者は、表示器の内容を180度回転させることができ、それによって、右手による使用と左手による使用のどちらをも、自然な形で支持する。代替実施形態において、回転リング21は、外周壁に組み込まれた押圧ボタン(圧力ボタン)であってもよい。押圧ボタンは、湾曲していても、平坦であっても、又は、僅かに隆起していても良く、或いは、識別領域を有していてもよい。更に、押圧ボタンは、異なったスポット上での圧力により、コンピュータ・キーボードの矢印キーの使用に対応して、ディスプレイ上でのナビゲーションが可能になるように、設計されてもよい。ナビゲーション・システムの他の変形形態は、本願発明の範囲内である。
【0068】
図2は、本願発明に係る機器の別の実施形態22のより詳細な模式図である。主要パーツは実質的に同一であり、同様のパーツには、同じ参照番号が用いられている。
【0069】
作動手段の外装(外側)パーツ5が、2つのノブ・パーツ(ノブ部)、回転ノブ23と機能ノブ24から構成されているという点で、機器22は機器1と異なる。回転ノブ23は、ランシング深度(lancing depth)、注入力、薬剤の用量等の動作パラメータを段階的に又は非段階的に調節する働きをし、機能ノブ24は、ランセット・ストロ−ク、注入ストローク、及びテスト・ストリップの露出を起動し、また、任意に、使用後に、テスト・ストリップ15及び/又はランセット16の引込み(退避)を起動する働きをする。
【0070】
作動手段5,6の機能ボタン24は、導線W1を介して処理ユニット9と電子的に連通しており、回転ボタン23は、導線W2を介して処理ユニット9と電子的に連通している。処理ユニット9は、電気供給線W3を介して、電池7により電力が与えられる。
【0071】
電池7は、導線W4を介して第1のモーターM1にも電力を供給する。このモーターM1は、線L1を介して処理ユニット9から来る信号に応じて第1のバネ27の力を調節することによって、ランシング・デバイス26を装填する。ひとたび第1のバネ27が解放されると、ランシング・デバイス26は、開口14からランセット16の先端を素早く送出し、最終的に、逆に作用する第2のバネ28が、使い捨てカートリッジ17のランシング・デバイス26内で、ランセット16をその初期位置に戻す。或いは、モーターM1の力を解放する代わりに解放されることができるフック(図示せず)が備えられても良い。この場合、ランセット16は、使用後に、処分されるべく除去されてもよい。
【0072】
第2のモーターM2は、テスト・ストリップ15を引っ掛けて誘導するアーム29を制御する。モーターM2は、導線W5を介して、電池7により電力が与えられ、且つ、線L2を介して、処理ユニット9により制御される。テスト・ストリップ15は、各線L3,L4を介して、測定デバイス、解析装置Aとに連通している。この解析装置は、適切な化学物質を含むグルコース測定器であることができる。従って、解析装置Aは、テスト・ストリップ15の検査値を読み取る解析ユニットを構成する。この解析装置Aは、導線W6を介して電池7によって電力が与えられ、且つ、線L4を介して処理ユニットと連通しており、情報を、処理ユニット9によって登録(registered)して処理し、そして任意にデータ格納部(図示せず)に格納することが可能になっている。
【0073】
第3のモーターM3は、カートリッジ17全体を回転させて、少なくともサンプリング・モードと定量モードとの間で機能を変移させる(シフトさせる、転じる)。モーターM3は、導線W7を介して、電池7により電力が与えられ、且つ、線L5を介して、処理ユニット9により制御される。
【0074】
第4のモーターM4は、注入針18を通してインシュリンを押し出す注入モードの機能を制御する。モーターM4は、導線W8を介して電池7により電力が与えられ、且つ、線L6を介して処理ユニットと電子的に連通している。
【0075】
更に、解析装置は、線L7を介して処理ユニット9と電子的に連通している。
【0076】
上記のモーターM1,M2,M3,M4の機能は、或いは、単一の共通モーターにまとめてもよく(組み合わせてもよく)、2個以上のモーターを組み合わせて、機器のパーツを制御するのに用いてもよい。これらのモーターは、作動手段5の一部を形成する。
【0077】
電球(バルブ)13も、図面の例では導線W9を介して、電池7により電力が与えられている。
【0078】
処理ユニット9は、第1のパーツ3及び第2のパーツ4の回転をモニターする1つ又は複数のセンサーを有する制御部(コントローラー)30を介して、回転リング21と電子的に連通している。
【0079】
図2の模式図には、只1つのテスト・ストリップ15と、1つのランセット16とが表示されているが、カートリッジ17内に複数個を収納してもよい。
【0080】
図3は、本願発明に係るペン型機器31であって、血液のグルコース濃度をモニターし、定量化した実際のグルコース濃度に対応して(応じて)適量のインシュリンを注入することによってインシュリンを投与する際に糖尿病患者が用いるペン型機器31、の外装構造(外側構造)を、作動手段5,6の外側縁端パーツ5から見た斜視図である。示されているペン31は、右手で使用するように構成されている。
【0081】
ペン31の主要パーツは、前述した実施形態1;22のものと実質的に同一であり、類似のパーツには、同じ参照番号が用いられている。このペン型機器31は、以下の説明において、糖尿病患者によって使用されるペンとして示される。この表示は、本願発明の範囲を限定することを意図しておらず、糖尿病以外の他の治療領域及び投薬領域並びに他の外装構造を見通したものであり、その例として、例えば、円盤型(ディスク型)の構造を含む。この場合、ランセット16及びグルコース・ストリップ15及び注入針18を送出する機能及び引き込む(退避させる)機能は、独立して回転できる2つの円盤パーツの外周に沿ってなされることができる。円盤(ディスク)の大きい表面は、諸機能と電子的に相互作用を行うのに都合のよい大きい表面を提供する。治療可能な別の病気の例として、喘息を挙げることができる。喘息に使用するために、可搬型機器は、吐出器又は吸入器、及び患者からの排気又は血液におけるパラメータを定量する手段を含み得る。既に上記した共通筐体に収納される他のコンポーネント及びパーツと組み合わせて、肺活量計を組み込むことも可能である。
【0082】
ペン31は、第1のパーツ(第1の部分)3と、第2のパーツ(第2の部分)4と、回転リング21と、回転ノブ23及び押し下げ可能な機能ノブ24から構成される外側縁端パーツ5を有するアクチュエータ5と、を有する。第1のパーツ3及び第2のパーツ4は、矢印A1,A2で示すように、反対方向に回転させることができる。回転ノブ23は、使用者が上記回転ノブ23においてしっかりしたグリップを得られるように、反対側に、指当て用キャビティー、即ち窪み32、を有する(図には1個だけが図示されている)。回転ノブ23は更に、触知可能なように、不規則な表面を有する。この不規則体は、図面の例では、矩形(方形、四角形)のぎざぎざ33の同心状のリング(環状体)である。
【0083】
ペン31の第1のパーツ3は、ペン31を、例えば、胸ポケット、ベルト、又はケースに装着又は掛着するためのクリップ34を有する。
【0084】
第2のパーツ4は、目盛35を有し、これによって、使用者は、ペン31が注入するように構成されている注入媒体の投与量(一回分の投与量)をモニターすることができるようになっている。
【0085】
ペン31は、機能モードで、待機状態で(in the stand)、図示されている。表示器(ディスプレイ)10上のデータは、日付と時刻であるが、これは例示的に表示されたものである。
【0086】
図4は、サンプリング・モードのペン31を、斜視図の形で示したものである。このペン31は、第2のパーツ4の動作端部12から斜めに観察したものであり、回転ノブ23を矢印Bで示すように回転させることによって、モードはサンプリング・モードになっている。電球(バルブ)13は、点灯されており、ランセットの先端は、共通筐体2の第2のパーツ4の動作端部12にある第1の開口14から露出している。ランセット16の先端は、機能ノブ24を矢印Cで示すように押下することによって送出(エジェクト)される。ランセット強度又はランシング力は、使用者が適切であるとして選択した係数(ファクター)に設定される。表示器10は、例えば、適切な大きさの血液のしずくを提供するものと使用者が経験的に見出している、選択された深度を表示することができる。第2のパーツ4の動作端部12は、更に、テスト・ストリップ16の検査領域37を送出するためのスロット36を有する。
【0087】
図5において、ペン31は、ここでは定量モードに設定されており、テスト・ストリップ16がスロット36から露出されている。変形形態において、第1の開口14とスロット36とは、同一の開口であってもよい。集積化された解析装置Aによって、グルコース濃度が定量され、表示器10に表示される。これによって、使用者は、血液のグルコース濃度の制御状態を維持するために、注入モードに進み、注入すべきインシュリン量を調節できるようになる。
【0088】
図6では、ペン31は、注入モードにおいて示されており、機能ノブ24を起動することによって、注入針19の先端を第2の開口18を通して露出させている。随意に、注入針を露出させた後、実際に対象物への注入を実施するのに、矢印Dで示すように、機能ノブ24をもう一度起動することが必要となるようにしてもよい。
【0089】
カートリッジ17の内部配列、及び共通筐体2の第1のパーツ3と第2のパーツ4との間の回転関係は、図7に示す長手方向に二分したペン31に見られる。機能モード間で変移(シフト)する第1のパーツと第2のパーツとの間の回転機能をより良く概観するために、センサー等の切換え手段パーツ(切換え手段部)、モーター又はフック等の作動手段パーツ(作動手段部)、及び、処理ユニットや導線や電子的線体(ライン、line)は、省略され、図示されていない。
【0090】
カートリッジ17は、テスト・ストリップ15及びランセット16が中で周囲に交互に配置される外周壁チャンバ38を形成する。使用する際に、作動手段が、機能モードに応じて、カートリッジを1回又は複数回回動又は回転させて、テスト・ストリップ又はランセットを第2のパーツ4の動作端部12にある第1の開口14の前方に位置決めする。この開口は、テスト・ストリップ15又はランセット16を送出するためのユニット開口14である。動作端部は、テスト・ストリップ15及びランセット16用の別々の送出開口、即ち、スリット36及び第1の開口14を、夫々、有していてもよい。機能ボタン24が押下され、テスト・ストリップ15又はランセット16が、適切な開口を通して送出され、使用に供される。外周壁チャンバ38は、薬剤アンプル20が中に設置され且つ中で注入針19に結合される、貫通内腔39を形成する。
【0091】
共通筐体の第1のパーツ3及び第2のパーツ4は、接触縁端パーツ(接触端部)上の係合ねじ溝によって、相互に回転可能に係合している。このように、第1のパーツ3はねじ溝40を有し、第2のパーツ4はねじ溝41を有し、ねじ付結合部材42を介して、相互に動作可能に回転式に連通している。これらのねじ溝40,42は、1つ又は複数のセンサー(図示せず)と一緒に、異なった機能モード間の切換えを行うための切換え手段の主要部(主要部分)を構成する。
【0092】
図8a及び図8bは、本願発明に係るペン型機器43の代替実施形態を、待機モードで示したものである。
【0093】
図8aは、外側縁端パーツ5から斜めに観察した、本願発明に係るペン型機器31の斜視図であり、図8bは、同じものを動作端部12から観察して示したものである。
【0094】
ここでは、血液のグルコース濃度をモニターし、定量化した実際のグルコース濃度に対応して(応じて)適量のインシュリンを注入することによってインシュリンを投与するのに、ペン43が用いられるものと仮定している。この観点において、使用者の要求を満足させるために、ペン43は、オフ・モード、サンプリング・モード又はランサー・モード、定量モード又はテスト・ストリップ・モード、注入モード及びPDA/カートリッジ回転モードの5種類の異なる機能モードを有する。但し、機能モードの実際の数は、本願発明の範囲内において、より多くても、より少なくてもよい。
【0095】
ペン43の主要パーツは、前述した実施形態1;22;31のものと実質的に同一であり、同様のパーツには、同じ参照番号が用いられている。
【0096】
主要パーツは、第1のパーツ3及び第2のパーツ4とによって規定(形成)される細長で管状の共通筐体2である。第1のパーツ3は、作動手段の一部であり、しかも回転ノブ23と押下可能な機能ノブ24とから構成される、外側縁端パーツ5を有する。使用者が、上記回転ノブ上でしっかりしたグリップを得られるように、回転ノブ23は、有利なことに、例えば、指当て用キャビティー、即ち窪み(図示せず)、を有し得る。
【0097】
電池(図示せず)の形態を成す、機器43に電力供給するための電源は、第1のパーツ3内に設けられる。第1のパーツ3は、また、処理ユニット、即ち、CPU及び定量手段、を含む異なった電子部品用の電子区画(電子コンパートメント)9を収容する。この電子区画は、機器の関連パーツと電子的に連通しており、機械的制御及び上記パーツとの電子的連通を可能にしている。
【0098】
第1のパーツ3は、また、ペン43が異なった機能モードにあるときに、異なった機械的パーツ(機械的部分)に回転力を送るように構成された複合フィーダー(マルチ・フィーダー)44を備えている。
【0099】
押下可能な機能ノブ24に結合された圧力パーツ(圧力部)45は、第1のパーツ3の空洞内に配置され、発射ピン47を起動するように構成されている。この発射ピンは、各機能モードに応じて、第2のパーツ4における異なった機械的パーツを起動する(作動させる)。
【0100】
第1のパーツ3は、第2のパーツ4の中に延在している。この第2のパーツ4は、溝50を有する動作端部12で終端する。ペン43が使用されていないときに使用者に偶発的に針が刺さるのを防止するために、外筐体2は、注入針19と共に動作端部12を越えて延在する。
【0101】
第2のパーツ4は、また、テスト・ストリップ及びランセットを収容するカートリッジ(図示せず)を備えている。このカートリッジは、例えば、図7のカートリッジ17の構造以外に、あらゆる適切な構造を有することができる。
【0102】
注入針19を所定位置に保持する、針ホルダー/注入機能アーム結合体48が、また、第2のパーツ4内に配置されている。注入針は、また、第2のパーツ4内に設置された薬剤アンプル又はバイアル20と連通している。注入針19は、針固定蓋49を介して、針ホルダー/注入機能アーム結合体48に固着されている。
【0103】
第1のパーツ3及び第2のパーツ4を互いに対して回転させることによって、異なったモード間の切換えが可能になる。それぞれの実施形態において、5つの異なる機能モードが存在するため、その回転は、ペン43の外周の5分の1である。但し、他の回転関係も、本願発明の範囲に入るであろう。
【0104】
異なったモード間の切換えは、上方外筐体2の溝(図示せず)を介して達成される。この溝は、第2のパーツの方に下がる小さな部分を除いて、ペン43を一周する直線である。運動、力、又は信号を上記機械的パーツと連通する他の機械的パーツ及び/又は電子パーツに確実に転送し、もって、所望の機能モードが得られるようにする目的で、上記溝と連通する機械的パーツ(機械的部分)を引き摺り下ろし(dragged down)、回転させ、若しくは他の形で移動させ、又は動かすことが、この溝によってできるようになる。この点については、後の説明で明確になるであろう。
【0105】
ペン43の異なったパーツ(部分)の詳細は、それらの異なった機能モードとの連携に関連させて、説明されるであろう。
【0106】
図9は、ランサー・モード又はサンプリング・モードのペン43を斜視図の形で示したものである。第1のパーツ及び第2のパーツ3,4を、互いに、相手方に対して、矢印Bで示す方向に、ペン43の外周の5分の1だけ回転させることによって、モードは、サンプリング・モードになっている。
【0107】
上記回転時に、筐体2の溝が、ランサー機能アーム54を筐体の下方位置まで強制的に降下させることになる。この移動時に、ランサー機能アーム54は、装填/発射歯車55を介して、その運動/力をランサー送出ロッド56に送り、ロッド56を動作端部12の方に引き寄せることになる。これにより、ランサー送出ロッド56とランサー強度設定アーム57との間に配置されたバネ(図示せず)が伸張/緊張する。同時に、CPUと連通(連絡、通信、交信、communicate)するランサー機能アーム54が、CPUのランサー・モードを起動(作動)させることになる。
【0108】
複合フィーダー44も、この回転によって、強制的に第2のパーツ4の環状溝59を通って移動さしめられ、最終的に、所定位置に到達する。上記位置において、複合フィーダー44は、上方移動ランサー歯車(上方トランスファー・ランサー歯車)51と結合(接続)し、更に、この歯車は、下方移動ランサー歯車(下方トランスファー・ランサー歯車)60と結合(接続)する。この下方移動ランサー歯車60は、ランサー強度設定アーム57が結合(接続)されるその内部孔(内側ホール)に「スクリュー」トラックを有する。
【0109】
回転リング25への回転力が、複合フィーダー44及び上方移動ランサー歯車51を介して、下方移動ランサー歯車60まで下方に伝えられると、使用者は、ランサー送出ロッド56とランサー強度設定アーム57との間に配置されたバネ(図示せず)の張力を制御することができる。これは、ランサー強度設定アーム57が、下方移動歯車60の内部孔の溝に適合するらせん溝を有しているために、下方移動歯車60の回転が、ランサー強度設定アーム57の位置を調節し、これによって、ランサー送出ロッド56とランサー強度設定アーム57との間に配置されたバネをどれだけ伸張させるかを制御し、これによって、単に、回転ノブ23を回転させるだけで、ランシング力、及びランサーの侵入強度を連続的に調節することができるという事実に起因する。
【0110】
次いで、ランサーを送出するために、使用者は、単純に、機能ノブ24を押圧する。これにより、圧力パーツ(圧力部)45が発射リング52を強制的に回転させることになり、次いで、この発射リング52が発射ピン47を押し下げることになる。発射ピンを強制的に上昇させるために、発射ピンは、下にバネを有しており(図示せず)、このピンが、順に、上方移動ランサー歯車51を介して、第2のパーツ4のランサー発射ピン53を強制的に下げる。
【0111】
ランサー発射ピン53が押し下げられると、これに強制されて、装填/発射歯車55は、ランサー機能アーム54とランサー送出ロッド56との間の結合を解き、もって、ランサー送出ロッド56が、バネ(図示せず)によって強制的に送出(エジェクト)されることになる。
【0112】
この力は、順に、カートリッジ(図示せず)内にある現時点で準備が整っているランサーに伝えられてこのランサーを射出することになり、これにより、使用者は、所望量の血液のしずくを採取する目的で、自分の皮膚を突くことが可能になる。
【0113】
図10において、ペン43は、第1のパーツ3及び第2のパーツ4を、互いに、相手方に対して矢印Bで示す方向に、ペン43外周の5分の1だけもう一度回転させることによって、ここでは、定量モードに設定されている。
【0114】
上記回転時に、筐体2の溝は、テスト・ストリップ機能アーム62を筐体の下方位置に強制的に降下させることになる。この移動時に、テスト・ストリップ機能アーム62は、カートリッジ(図示せず)から、テスト・ストリップを送出し、それを定量手段に結合して、CPUのテスト・ストリップ・モードを起動することになる。
【0115】
図11において、注入モードのペン43が示されている。第1のパーツ及び第2のパーツを、互いに相手方に対して、矢印Bで示す方向に、ペン43の外周の5分の1だけ追加的に回転することによって、モードは注入モードになっている。
【0116】
上記回転時に、筐体2の溝に強制されて、組み合わされた注射器ホルダーと注入機能アーム48とは、動作端部に向けて押し下げられ、これによって、針19は、カートリッジ(図示せず)の孔を通って、ペン43の筐体2の外に延在することを確実にし、針を対象物の中に差し込むことが可能になる。
【0117】
モードが注入モードになると、使用者は、回転ノブ23を回転することによって、機能ノブ24を上げる(持ち上げる)ことができる。モードが注入モードになるように上記回転を行っているとき、複合フィーダー44は、環状溝59を辿ることになり、そこで、それは、複合フィーダー44を強制的に持ち上げる隆起部(an elevation)に接する(meet)ことになる。持ち上げられた複合フィーダー44は、該複合フィーダー44に配置された複合フィーダー歯車63が移動歯車(トランスファー・コグ、transfer cog)46に接続できるようにすることを確実にする。これによって、圧力パーツ(圧力部)45に回転力が生じせしめられ、これは、更に、図11に示されるように、機能ノブ24を持ち上げる。
【0118】
モードを注入モードにするために行う上記回転によって、また、複合フィーダー44は、第2のパーツ4の環状溝59内で移動することになり、最終的に、複合フィーダーは、それが上方移動注入歯車(アッパー・トランスファー・インジェクション・コグ、upper transfer injection cog)58と結合するその所定位置に達する。この歯車は、下方移動注入歯車(ロワー・トランスファー・インジェクション・コグ、lower transfer injection cog)64に影響を及ぼすことなく自由に回転し、最終的に、発射ピン47によって用量移動ピン(用量トランスファー・ピン、dosage transfer pin)65が圧下される。
【0119】
薬剤を送出するために、使用者は、機能ノブ24を押圧し、もって、発射ピン47は、ペン43の第2のパーツ4の中に圧し下げられる。ここで、ピン47は、上方移動注入歯車58と下方移動注入歯車64とを結合するように用量移動ピン65を付勢し、これにより、複合フィーダー44から下方移動注入歯車64に回転力が転送される。
【0120】
機能ノブ24が連続して押し下げられると、圧力パーツ45が回転力を複合フィーダー44に転送する(送る、トランスファーする)ことになり、最終的に、圧力パーツ45は、その底位置(最下位置)に当接する。従って、下方移動注入歯車64は、一方向にのみ回転することになる。歯車64の回転は、上部用量歯車/ピン66を回転せしめることになり、これは、更に、下方用量歯車/注射器接続体67を回転させることになる。上部用量歯車/ピン66及び下方用量歯車/注射器接続体67は、回転能力を緩めることなく延伸することができるので、異なった寸法の注射器を同一ユニットで使用することができる。
【0121】
図12には、携帯情報端末(PDA)−カートリッジ・フィーダー・モードにおけるペン43が示されている。第1のパーツ及び第2のパーツを、互いに、相手方に対して、矢印Bで示す方向に、ペン43の外周の5分の1だけ追加的に回転することによって、モードは上記モードになっている。
【0122】
上記回転時に、筐体2の溝に強制されて、カートリッジ上方フィーダー・アーム68が押し下げられることになる。これは、更に、カートリッジ下方フィーダー・アーム69を強制的に降下させることになり、これは、更に、カートリッジ・フィーダー・ロッド70を下方に移動させ、これが、ピストンのような態様で、カートリッジ・フィーダー回転盤(カートリッジ・フィーダー・ホイール)71を回転させる。図8bに最も良く示されているように、この回転盤71が第2のパーツ4の外側に延伸すると、それは、カートリッジのトラックに接続して、それを所定の長さ回転せしめ、従って、次回デバイスが使用されるのに備えて、カートリッジ内に、新しいランサー及びテスト・ストリップを整列させる。
【0123】
第1のパーツ及び第2のパーツを、互いに、相手方に対して、矢印Bで示す方向に、ペン43の外周の5分の1だけ追加的に回転させることによって、モードを待機モードにする。
【0124】
要約すると、本願発明に係る機器(装置)は、可搬性の領域で実現した諸改善、即ち、複数個のデバイスに代えてポケットサイズのデバイスを1つだけ携帯し、動作させ、維持管理すればよいという事実、及び異なったセットの機能にアクセスし、それらの間で切り換わる統合されたユーザー・インターフェースが用いられるという事実、によって、患者、医療専門家、及び/又は他の職業の他の人々が医学的治療過程を楽に行えるようにする、一体化されたデバイスである。その機器は、上記新規な特徴の全部又は一部に基づいて、製造されることができる。
【0125】
また、本願発明に係る機器は、交換可能コンポーネントのタイプ(様式、型)に応じて、その挙動及び機能に適合させることができ、それによって、人為的な誤りのリスクを軽減する。従って、その進歩的な機器には、交換可能なコンポーネントの電子所在標識(電子的タグ、electronic tagging)が設けられる。
【0126】
強調したいことは、図面に示されている実施形態は、添付の請求項の範囲(スコープ)によってカバーされる変形形態の広い範囲(スコープ)を制限することを意図したものではなく、例示的実施形態を示しているということである。
【0127】
本願発明に係る、多機能で可搬型の機器は、1回につき、1つの機能モードを選択することによって、動作せしめられる。これらの機能モードは、機器の2つの主要パーツ(主要部)を反対方向に回転させることによって、アクセスされることができる。機能モードのリストは、機器の応用分野に適合するように構成されている。即ち、後に示されるリストは、多くの可能な解決策の中の1つに過ぎない。そのリストは、複製物、交換物、削除物、及び追加物から構成されていてもよく、また、それは、再構成されてもよい。各機能モード毎に、ユーザー・インターフェースを変えて、異なった状況に、より良好に適合(フィット)するようにしてもよい。かかるインターフェースの重要な変更であって、機能モード切換えに起因する1つの変更は、多機能ノブ/ボタン23,24であり、その機能は、各モードに適合するようになっている。この点については、後で説明する。多機能ノブ/ボタン23,24に加えて、人間−機器対話用(人間−装置通信用)に、ナビゲーション回転リング21が用いられる。例えば、この入力方法を用いて、グラフィカル・ユーザー・インターフェース、表示器10を動作させてもよい。上下にスクロールするのに、この入力コンポーネント、ナビゲーション回転リング21を用いてもよく、機器を保持しているときに、横に左右に押圧することも可能である。
【0128】
(機能モードの組合わせ例)
a.待機モード:
− 省電力モード。キーロックを作動させて、機器を、再度、動作させることができる。
b.サンプリング・モード:
− 作動手段を用いてランセットが装填され、ランセットは使用準備状態になる。表示器が起動され、ランシングを実施するために、多機能ノブ/ボタンの機能ノブが押下される。多機能ノブ/ボタンの回転ノブを回すことによって、ランシング力(lancing power)又はランセット力(lancet strength)が調節される。より多くのサンプルが必要とされる場合は、ランセットを再充填するために、使用者は後戻りして、再度、反復する。
c.定量モード:
− 更なる動作なしに、サンプル解析装置内で、例えば、グルコース測定器等の体液解析装置内で、検査コンポーネントは使用準備が整っている。テスト・ストリップが提供され、使用準備が整っている。表示器が起動される。より多くの血液が必要とされる場合は、使用者はサンプリング・モードに後戻りする。そこでは、ランセットは、使用準備が整っており、ランセットは、新たなサンプルを採取する。
d.注入モード:
− インシュリンの如く薬剤等の注入媒体の注入に用いられる注入針が提供され、該注射針は、使用準備が整っている。表示器が起動される。選択された用量の薬(薬剤)を注入するために、使用者は、多機能ノブ/ボタンを押圧するだけである。同一のノブ/ボタンを回すことにより、注入する薬の量(容量)を調節することができる。
e.情報モード:
− 情報モードは、格納情報を通してブラウズすることによって、情報を管理し、付加的な機能にアクセスするのに用いられる。表示器が起動される。このモードにおいて、使用者は、自分の個人情報にアクセスし、付加的なアプリケーションや機能から、便益を受けることができる。
【0129】
他の機能として、上記した付加的な特徴や機能を挙げることができる。本願発明に係る機器に集積化でき又は組み込めるものとして意図される、他の機能及び特徴の例として、以下のような非網羅的なリストを挙げることも可能である。
− 温度計及び温度警告器。
− 時間及び/又は情報に基づくアラーム、警報器、及び警告器。
− スピーカー及び/又は他の信号発信コンポーネント。
− 左手モード/右手モード設定器。
− トラック保持、パーソナル・プロフィール、及び個人化のためのメモリ。
− 携帯情報端末(パーソナル・デジタル・アシスタント)。
− (PDA)機能。
− 例えば、コンピュータや、PDA、携帯電話、メディア・プレーヤー等の移動デバイスや、他の医療器具等の、他のデバイスとの接続性。
− 例えば、歩数計(万歩計)、メディア・プレーヤー、フラッシュ・ライト、ドッキング・ステーション、クリップオン・シェル等のアドオン(追加物、拡張機能)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリング・モードにおいて、対象物の流体を少なくとも1サンプル提供するサンプリング手段(26,16,M1;51,54,55,56,57,60)と、
定量モードにおいて、上記流体の少なくとも1つのパラメータを定量する定量手段(15,A,M2;62)と、
注入モードにおいて、注入媒体の注入を少なくとも1回行う注入手段(19,M4;48,58,64,65,66,67)と、を少なくとも備え、
上記手段は、互いに独立して、又は互いに協働して、動作することができる、可搬型医療機器(1;22;31;43)にして、
更に、少なくとも、サンプリング手段(26,16,M1;51,54,55,56,57,60)と、定量手段(15,A,M2;62)と、注入手段(19,M4;48,58,64,65,66,67)とのための、単一の共通筐体(2)と、
少なくとも、サンプリング・モードと、定量モードと、注入モードの何れかとの間で切換えを行う、切換え手段(30,40,41)と、
サンプリング手段(26,16,M1;51,54,55,56,57,60)と、定量手段(15,A,M2;62)と、注入手段(19,M4;48,58,64,65,66,67)のうちの少なくとも1つを独立して作動させる、作動手段(5;23,24;44,45,47,52,59,63)と、を備えることを特徴とする、可搬型医療機器。
【請求項2】
更に、上記機能モードを制御するための処理ユニット(9)を備えることを特徴とする、請求項1記載の可搬型医療機器。
【請求項3】
更に、各個人の必要及び機能モードの選択に従って、上記サンプリング手段(26,16,M1;51,54,55,56,57,60)と、上記定量手段(15,A,M2;62)と、上記注入手段(19,M4;48,58,64,65,66,67)のうちの少なくとも1つを調節するための調節手段(23,9,M1,M2,M3)を備えることを特徴とする、請求項1又は2記載の可搬型医療機器。
【請求項4】
定量化されたパラメータに応じて上記注入手段(19,M4;48,58,64,65,66,67)を動作させるように構成されていることを特徴とする、請求項1、2又は3記載の可搬型医療機器。
【請求項5】
上記共通筐体(2)は、上記作動手段(5;23,24;44,45,47,52,59,63)の外側パーツ(5)で覆われた第1のパーツ(3)を有する中空本体であり、
外側パーツ(5)の反対側にある第1のパーツ(3)は、任意に、少なくとも上記切換え手段(30,40,41)を介して、第2のパーツ(4)と機能的に連通し、
第2のパーツ(4)は、少なくとも、上記サンプリング手段(26,16,M1;51,54,55,56,57,60)と、上記定量手段(15,A,M2;62)と、上記注入手段(19,M4;48,58,64,65,66,67)のうちの何れかが上記対象物又は上記他の手段の1つと相互作用するように露出されることが可能である、動作端部(12)を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項6】
上記第1のパーツ(3)は、上記共通筐体(2)の長手方向軸(X)に沿って、上記第2のパーツ(4)に対して、反対方向に回転可能であることを特徴とする、請求項5記載の可搬型医療機器。
【請求項7】
上記切換え手段(30,40,41)は、少なくとも、上記サンプリング・モード、上記定量モード、及び/又は上記注入モード間の切換えを登録するための少なくとも1つのセンサー(30)を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項8】
使用者に情報を表示するための表示器(10)を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項9】
上記第2のパーツ(4)は、少なくとも、上記サンプリング手段(26,15,M1)と、上記定量手段(15,A,M2;62)と、上記注入手段(19,M4;48,58,64,65,66,67)とを露出させるための少なくとも1つの開口(14;36;18)を有する端部(12)によって閉鎖されることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項10】
上記第2のパーツ(4)の上記端部(12)は、動作時に、上記対象物の少なくとも一部分を照明する照明手段(13)を備えることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項11】
上記共通筐体(2)の内部に位置する電源(7)によって電力が与えられることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項12】
更に、上記サンプリング手段(26,16,M1)、上記定量手段(15,A,M2)、上記注入手段(19,M4)、上記作動手段(5;23,24)、上記処理ユニット(9)、上記格納手段、及び/又は上記表示器(10)のうちの少なくとも1つと、単独で、又は組合わせで、機能的に連通する回転リング(21)を備えることを特徴とする、請求項1記載の可搬型医療機器。
【請求項13】
上記回転リングは、上記共通筐体(2)の長手方向軸(X)に沿って、少なくとも1つの長手方向に操作可能であり、及び/又は、上記回転リングは、上記長手方向軸(X)の周りで、少なくとも1つの回転方向(A1,A2)に回転可能であることを特徴とする、請求項12記載の可搬型医療機器。
【請求項14】
少なくとも、上記サンプリング手段(26,16,M1;51,54,55,56,57,60)と、上記定量手段(15,A,M2;62)と、上記注入手段(19,M4;48,58,64,65,66,67)とは、上記共通筐体(2)内で、互いに、並んで又は同心に、位置しており、任意に共通軸(X)を共有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項15】
少なくとも上記サンプリング手段(26,16,M1;51,54,55,56,57,60)と、少なくとも上記定量手段(15,A,M2;62)の第1のパーツとが、上記共通筐体(2)の上記第2のパーツ(4)内に収容されるように構成された交換可能なカートリッジ(17)内で合体されていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項16】
上記カートリッジ(17)は、上記サンプリング手段(26,16,M1)の少なくとも一部と、任意に上記定量手段(15,A,M2)の一部と、を保持する中空の外周壁チャンバ(38)を有する円柱状及び/又は他の管状体であり、
上記外周壁チャンバ(38)は、注入可能媒体用のリザーバ(20)を収容するための、又は該リザーバ(20)へのアクセスを提供するための、貫通内腔チャンバ(39)をなすことを特徴とする、請求項15記載の可搬型医療機器。
【請求項17】
注入可能媒体用の上記リザーバ(20)は、着脱可能な注入針(19)との液体連通を提供する出口を有することを特徴とする、請求項16記載の可搬型医療機器。
【請求項18】
少なくとも上記サンプリング手段(26,16,M1;51,54,55,56,57,60)は、周囲に直線的に及び/又はランダムに分布する複数のランセット(16)を備えることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項19】
上記定量手段(15,A,M2;62)は、上記外周壁チャンバ(38)内において、任意に、対応する数のランセット(16)と交互に配置される複数のテスト・ストリップ(15)を含むことを特徴とする、請求項18記載の可搬型医療機器。
【請求項20】
上記ランセット(16)及び/又は上記テスト・ストリップ(15)は、上記共通筐体(2)の長手方向軸(X)に沿って、両方向に移動可能であることを特徴とする、請求項18又は19記載の可搬型医療機器。
【請求項21】
上記ランセット(16)及び/又は上記テスト・ストリップ(15)は、使用後にカートリッジ(17)の中に隔離されるために、後退可能であることを特徴とする、請求項18〜20のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項22】
上記ランセット(16)及び/又は上記テスト・ストリップ(15)は、使用後に廃棄されるために、上記カートリッジ(17)から抜き取り可能であることを特徴とする、請求項18〜20のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項23】
上記定量手段(15,A,M2;62)は、上記共通筐体(2)内で一体化された又は一体化されていない測定デバイス(A)を備えることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項24】
上記測定デバイス(A)は、グルコース測定器であることを特徴とする、請求項23記載の可搬型医療機器。
【請求項25】
上記注入可能媒体は、インシュリン又はインシュリン誘導剤であることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項26】
上記対象物は、人間、動物、又は植物であることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項27】
待機モードを有することを特徴とする、請求項1〜26のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項28】
上記情報は、機能モード、日付、時刻、上記定量化されたパラメータ、該パラメータの状態及び/又はレベルを反映する標示、定量化されたパラメータに応じて注入されるべき媒体の量、使用者に関する情報、機器(1;22;31;43)の状態、上記電源(7)の電力レベル、及び、これらの組合わせ、からなる群から選択されるデータを含むことを特徴とする、請求項8〜27のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項29】
上記サンプリング手段(26,16,M1;51,54,55,56,57,60)、上記定量手段(15,A,M2;62)、及び上記注入手段(19,M4;48,58,64,65,66,67)のうちの1つ又はそれ以上の手段が、互いに一体化されていることを特徴とする、請求項1〜28のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項30】
中空本体は、管状であることを特徴とする、請求項1〜29のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項31】
右手モード又は左手モードのいずれかに構成されていることを特徴とする、請求項1〜30のいずれか1つに記載の可搬型医療機器。
【請求項32】
請求項5〜31のいずれか1つに記載の可搬型医療機器(1;22;31;43)を使用する方法であって、
上記機器(1;22;31;43)が、上記第1のパーツ(3)と上記第2のパーツ(4)とを互いに対して回転させることによって、少なくとも、上記サンプリング・モード、上記定量モード、及び上記注入モードの何れかの間で切換えられることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−537702(P2010−537702A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522508(P2010−522508)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053517
【国際公開番号】WO2009/027950
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.万歩計
【出願人】(510055183)ブライター・アクチボラゲット (1)
【氏名又は名称原語表記】BRIGHTER AB
【Fターム(参考)】