可撓性トラクション・エレメント
巻上げ及び巻戻しができる可撓性のトラクション・エレメント38は、少なくとも1本のストランデッド・ケーブル16を有し、各ストランデッド・ケーブル16のコア・ストランド124は可撓性を有する熱可塑性プラスチック層126で取り囲まれている。複数のストランデッド・ケーブル16を可撓性を有する熱可塑性プラスチック39に埋め込むための生産ライン10は、リール14とケーブルの配向装置24と加熱要素26、28、30と押し出し成形機32と冷却槽42とローラー・ストア52と切断ユニット66と貯蔵ユニット18とを有する。巻戻された複数のストランデッド・ケーブル16は脱脂等を施され、コア・ストランド124を囲繞する可撓性の熱可塑性プラスチックの溶融温度に関して約±20℃の温度まで予め加熱され、押し出し成形機32の内部で液状化したプラスチック86で被覆される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、人、荷物又は人荷用のリフトなどを巻上げ可能でかつ巻戻し可能な可撓性トラクション・エレメントに関し、このトラクション・エレメントは、引張り強度を保証する材料によって作られた少なくとも1本のストランデッド・ケーブルを有する。本発明は、また、複数のストランデッド・ケーブルを可撓性の熱可塑性プラスチック材料に埋め込むための生産ラインに関し、この生産ラインは、いずれの場合にも、複数のストランデッド・ケーブルを巻き戻すリールと、これらのストランデッド・ケーブルを正確に配向する装置と、これらのストランデッド・ケーブルを予熱する加熱装置と、これらのストランデッド・ケーブルを可撓性プラスチック材料のジャケットに共押し出しする少なくとも一つの押出成形機と、冷却槽と、ローラ装置と、切断装置と、貯蔵ローラとを有する。そして、本発明は、少なくとも1本のストランデッド・ケーブルを可撓性の熱可塑性プラスチック材料に埋め込むエンベッド方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アメリカ合衆国特許第3348585号は、複数のストランドを備え、ゴムで作られた、産業的に使用可能なバンド(帯材)を製造するための方法及び装置に関し、このストランドは、ワイヤー或いはスレッドとも呼ばれ、強磁性材料で作られ、バンドの内部に埋め込まれて、バンドの長さ方向にほぼ平行に延在する。これらのストランドは、特に鋼材からなり、それらの磁気特性は張力及び間隔保持力として使用されている。
【0003】
英国特許第1362514号は、バンド形のリフト・ケーブルの巻線機に関し、この巻線機では、鋼製のバンドは、合成プラスチック材料によって、特に、ポリウレタンによって、覆われている。種々の平坦なリフト・ケーブルが、図1に示されている。図1は、鋼製の複数のストランドを有する幅広で平坦なケーブルを示し、これらのストランドはポリウレタンで覆われている。合成樹脂材料製のジャケットには、また、長手方向に延在する複数の凹所17が示され、これらの凹所は必須のものではないと記載されている。図2は、また、プラスチック材料製のジャケットの内部で、長手方向に延在する複数の鋼製のストランドを備えた、バンド形のリフト・ケーブルを示し、このジャケットは滑らかな表面をいずれの側面にも有し、換言すると、長手方向に延在する凹所を有さない。
【0004】
WO 03/042085 A2には、平坦なジャケットの内部に複数のバンド又はブレード(コード)を有する、リフト用バンドの製造方法が記載され、この方法では複数のブレードが選択された並べ方で配向される。ある特別なジャケット材料が選択され、複数のストランドはいずれの場所においてもプラスチック材料製バンドの滑らかな表面から均一な距離に配置されて、最終的には、複数のストランドが個々に張力を受ける。このバンド形状のリフト用バンドは、リフトが動作中の騒音と振動の発生を最小限にする。
【特許文献1】アメリカ合衆国特許第3348585号明細書
【特許文献2】英国特許第1362514号公報
【特許文献3】WO 03/042085 A2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明者は、トラクション・エレメントと、生産ラインと、冒頭で述べた方法によってトラクション・エレメントを生産する方法とを提供することを目的とし、これにより、複数のストランデッド・ケーブルを有するトラクション・エレメントの可撓性を確実に増加させ、又、ストランデッド・ケーブルとプラスチック材料製ジャケットとの間の長期間にわたる接着性を確実に改善し、たとえ生産速度を増加させても、引張強度を保証する複数のストランデッド・ケーブルのバンド表面からの間隔を、より正確にかつ確実に制御することを保証し、そして、商業的に利用可能な最高の品質を有するバンド形のトラクション・エレメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このトラクション・エレメントに関する前述の目的は、本発明によれば、各ストランデッド・ケーブルのコア・ストランドが、可撓性を有する熱可塑性プラスチック材料からなる層で被覆されることによって達成される。このトラクション・エレメントの、特別な、そして詳細な複数の実施例は、本願の従属請求項の主題である。
【0007】
ストランデッド・ケーブルを製造するには、コア・ストランドに指定された中央ストランド・コードの周りに、少なくとも6本の周辺ストランド・コードが巻かれる。これらのストランド・コード自体は、同様に撚り合わされ、引張強度を保証する材料で作られた個々のファイバーやワイヤーからなる。本発明によれば、従来のストランデッド・ケーブルの可撓性を更に大幅に増加させることができ、また、周辺ストランド・コードを適用する前に複数のコア・ストランドを被覆することによって、従来の潤滑剤を使用することなく、可撓性をより高めることが可能になる。熱可塑性プラスチックからなるプラスチック材料は、少なくとも一部が流動化可能になされるが、高度に液状化されることなく、適用される。
【0008】
この熱可塑性プラスチックからなるプラスチック材料層の厚さは、便宜上、0.1乃至1mmの範囲にあり、複数のコア・ストランドの直径は、この層厚の決定要因の一つである。撚り線加工中に適用される、例えば100乃至200℃という温度範囲は、複数のケーブル溝の中にプラスチック材料を浸透させることが可能であるが、ストランデッド・ケーブルの表面からの滲出ができる限り避けられる温度範囲である。これらのストランデッド・ケーブルの外面は剥き出しのままであり、便宜上、脱脂されている。個々のケーブルは、それぞれ、好ましくは保護被覆によって被覆され、特に、これらのストランデッド・ケーブルの外径がより大きい場合には、約5mm又はそれ以上の範囲の保護皮膜によって被覆されることが好ましい。
【0009】
より小さな直径を有する複数のストランデッド・ケーブルは、例えば、約1乃至3mmの直径を有する場合には、実際には、共押し出し法等により、可撓性の熱可塑性プラスチック材料によって、そのプラスチック材料製ジャケットの最適な接着条件を監視しつつ、被覆され、並行して走行する。例えば、前述の脱脂や、プラズマ処理や、接着促進層の適用は、これに実質的に寄与する。リフト用バンドは、例えば、平面上に配置された直径2mmの8本のストランデッド・ケーブルを有し、断面が25×4mmのプラスチック材料製ジャケットを備える。このリフト用バンドは、極めて可撓性に富んだ安定複合材料であり、巻き取り及び巻戻しを容易に行うことができるトラクション・エレメントを形成する。
【0010】
このストランデッド・ケーブルの引張強度を保証する個々のファイバーは、例えば、スチール・ファイバー、アラミド・ファイバー、グラス・ファイバー、セラミック・ファイバー、カーボン・ファイバー等である。このストランデッド・ケーブルのコア・ストランドを被覆する可撓性の熱可塑性プラスチック材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレンからなる。被覆されたコア・ストランドを有するストランデッド・ケーブルは、同一の可撓性の熱可塑性プラスチック材料に埋め込まれることが望ましい。
【0011】
少なくとも1本のストランデッド・ケーブルを可撓性の熱可塑性プラスチック材料で被覆するための生産ラインに関する、本発明の目的は、押出成形機が、ストランデッド・ケーブル用のスレッド・ガイドと、少なくとも一つの鋳型とを有し、このスレッド・ガイドと鋳型とが、そのケーブル面に関して角度をなす平面Pで、個々に調整可能であると共に相互に調整可能であることによって達成される。特別な、そして詳細な複数の実施形態は、従属請求項の主題である。
【0012】
複数のストランデッド・ケーブルは、押出成形機と、一平面E上に位置する鋳型の出口開口とを通過する。とりわけ、平坦なトラクション・エレメントの場合には、複数のストランデッド・ケーブルが一平面上に存在して、プラスチック材料製ジャケットの平行な面が、いずれの箇所においても、埋め込まれた複数のストランデッド・ケーブルからほぼ同一の間隔を有することが重要である。ワイヤー・ガイドとも呼ばれるスレッド・ガイドを鋳型に関して相対的に変位させることにより、ストランデッド・ケーブルの鋳型に関する相対的な位置をノズルの出口開口の内部で変更し、これによってプラスチック材料製ジャケットの内部におけるストランデッド・ケーブルの位置も変化する。スレッド・ガイドと鋳型を、それらの間隔を変化させることなく、共に置き換えることが可能であり、換言すると、高さに関して置き換えることができる。ケーブル面Eに関して角度をなす平面Pは、45乃至135°の角度を有することが望ましく、特に、これらの2つの面は約90°の角度で延在することが望ましい。
【0013】
平行に配置された複数のストランデッド・ケーブルが生産ラインを通る平面上を流れる場合、複数の加圧ローラを押出成形機の直ぐ下流に配置することができる。例えば、これらの加圧ローラは少なくとも一対のローラで構成され、特に、トラクション・エレメントに対して直角に貫通する方向に調整可能な二対のローラで構成される。したがって、ストランデッド・ケーブルの位置を、未硬化のプラスチック材料の内部で修正することが可能であるが、この修正は1mmの10分のいくつかの範囲内のみにおける微細な修正である。しかし、複数の加圧ローラは、また、トラクション・エレメントの長手方向にオフセットさせて配置することが可能であり、これにより、未硬化の複合材料に作用を及ぼす。
【0014】
この生産ラインの細部はより詳しく図示され、これに相応するように記述されている。
【0015】
この生産ラインが、個々のストランデッド・ケーブルや、平面上に位置しない複数のストランデッド・ケーブルを被覆するために使用することができることは、明らかである。この場合、本発明にとって重要な装置は、不要なときには、作動されず、又は、取り外される。
【0016】
そして、本発明の目的は、複数の巻き戻されたストランデッド・ケーブルが、プラスチック材料製ジャケットの接着力が改善されるように脱脂され及び/又は前処理され、複数のコア・ストランドを被覆する可撓性の熱可塑性プラスチック材料の溶融温度の約±20℃の温度まで予備加熱され、そして、押出成形機の内部で液化されたプラスチック材料で被覆されるという、本発明に従って、プラスチック材料で被覆されたコア・ストランドを有する少なくとも1本のストランデッド・ケーブルを埋め込む方法に関して達成される。特別な、そして、より詳細な複数の実施形態は、従属請求項の主題である。
【0017】
前述の予備加熱は、例えば、誘電電気加熱炉、火炎バーナー、及び/又は、熱風加熱器によって行われる。この場合、とりわけ残余ガスが取り除かれることにより、プラスチック材料の被覆とストランデッド・ケーブルとの接着力が向上する。
【0018】
共押し出し法によってトラクション・エレメントを生産するために、可撓性の熱可塑性プラスチック材料によるストランデッド・ケーブルの被覆は、その独創的な知識のおかげで、最適の方法で実施することができる。複数のストランデッド・ケーブルの自由表面の脱脂や接着促進層による被覆、及び、液化プラスチック材料の溶融温度の約±20℃までの予備加熱が重要な役割を果たし、複数のストランデッド・ケーブルとプラスチック材料製ジャケットとの間の接着力の極めて大幅な改善が、端から端まで、いたるところで達成される。この改善は、また、長期間にわたる過酷な使用によっても、失われることなく持続する。例えば、リフトが作動中の場合のように、複数の比較的小さな半径周りに高い張力で持続的な撓みを受ける場合でさえ、ストランデッド・ケーブルとプラスチック材料の間の接着力は損なわれず、長期間にわたって観察したときにも、この接着力の低下は無視できる範囲にある。
【0019】
本発明方法によれば、また、処理工程の無駄を改善することができる。10乃至60m/minの範囲の極めて高い運転速度が達成される。
【0020】
各ストランデッド・ケーブルは、好ましくは5乃至100Nの引張り力で引張られ、特に35乃至45Nの引張り力で引張られる。押し出し成形機が、鋳型に関して移動可能なケーブルガイドと共に使用される場合には、ストランデッド・ケーブルに張力をかけることはそれ程重要な事項ではない。
【0021】
特に、複数の平行なストランデッド・ケーブルがジョイント・プラスチック材料によって被覆されつつあるときは、複数のトラクション・エレメントの幾何学的な断面形状は押し出し成形機の出口開口によって明らかに決定される。バンドの形態は、平面上に配置された複数のストランデッド・ケーブルで選択され、これらのストランデッド・ケーブルの断面外法寸法は、全体として、15×1.5乃至100×20mmの範囲にある。また、これらの断面寸法は、特に、ストランデッド・ケーブルの外法寸法に依存し、この外法寸法は1乃至5mmである頻度が最も高く、特に、約2mmである頻度が最も高い。埋め込まれたプラスチック材料中で、平行に案内されたストランデッド・ケーブルの位置は、ケーブルガイドを鋳型に関して相対的に調節することによって、±0.1mmの精度で調整することができる。その修正範囲は±0.5乃至2mmである。
【0022】
ジャケットと共に平面上の配置された複数のストランデッド・ケーブルの場合に、このジャケットが前述の複数のストランデッド・ケーブルの平面に対して平行に位置する2つの外表面を有するときには、更に、複数のストランデッド・ケーブルとジャケットの2つの外表面との相対的な位置を変更することができる。この目的のためには、既述のように、少なくとも2つの加圧ローラを押し出し成形機の直ぐ下流に配置することが望ましい。また、これらの加圧ローラはトラクション・エレメントの表面に、例えば粗面化された表面のような、ある一定の構造を付与することができる。互いに重ね合わされた複数のトラクション・エレメントの場合には、これによって、その摩擦係数がかなり増加するから、バンドの形態をしたトラクション・エレメントを、より高い寸法安定性を有する帯状ロールを形成するように巻上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明のトラクション・エレメントは高い汎用性を有する。これらのトラクション・エレメントは、一回又は繰り返して撓みを受け及び/又は巻き取り装置に貯蔵されるときには、特に、荷重の引上げ及び牽引に適する。リフト・バンドやリフト・ケーブルは重要な応用分野であり、高度の安全性の要求を満たす必要がある。1本のストランドの直径が約2mmの場合には、リフト・バンド及びリフト・ケーブルの引張り強度(抗張力)は、少なくとも約4000kN/鋼ストランデッド・ケーブルを有する。適当なストランド材料を選定した場合には、これらのトラクション・エレメントは、導電体として使用することもできる。
【0024】
本発明は、図面に示された複数の実施例を用いて、より詳細に記載され、これらの記載は従属請求項の主題でもある。
【実施例】
【0025】
撚られた複数の鋼ファイバーで作られた図8のストランデッド・ケーブル16と、可撓性の熱可塑性プラスチック材料で作られた矩形ジャケット39とを用いて、帯状トラクション・エレメント38を製造するための、図1に示された生産ライン10は、可撓性ストランデッド・ケーブル16を巻戻すために、この実施例では、2×8個のリール14を有するシステム12で始まり、そして、帯状トラクション・エレメント38を巻取るための貯蔵ローラ18で終わる。産業用生産システムでは、この生産ライン10の長さは数十メートルである。
【0026】
例えば、リフト・バンド等のトラクション・エレメント38を製造するためには、可撓性ストランデッド・ケーブル16の直径φは2mmである。複数のストランデッド・ケーブル16は、全て、プラスチック材料から成るジャケット39の中央に正確に配置され得るように、同一で、一定の直径φを有することが必要である。この直径の許容誤差は、最大で±0.05mmである。ストランデッド・ケーブル16は溶接されてはならず、撚り合わせ不良があってはならない。そして、ストランデッド・ケーブル16は、リール14に瑕疵なく巻き付けられなければならない。
【0027】
約50Nに保持されたストランデッド・ケーブル16の張力を個々に制御するには、空圧又は電磁システムを用いて、それ自体が知られている方法が用いられる。
【0028】
ストランデッド・ケーブル16は、展開された後、先ず、水平なガイド・スロットを有するスタンド20を通って、平面に移動する。ストランデッド・ケーブル16は清浄でなければならず、かつ、可能ならいつでもその表面に揮発性気体成分が存在するべきではないから、ストランデッド・ケーブル16は一列に並んで洗浄システム22の中を案内される。
【0029】
洗浄システム22の直ぐ下流で、ストランデッド・ケーブル16は次のスタンド24を通過するが、このスタンド24は、ストランデッド・ケーブル16を、水平方向に一定の間隔をおいて、正確に方向を定めて配置するための装置を備える。ストランデッド・ケーブル16は、このような方法で正確に方向を定めて配置され、誘電電気加熱炉26、炎燃焼炉28及び熱風加熱器30を通過し、この予熱の後に、ストランデッド・ケーブル16は100乃至200℃の範囲の表面温度を有し、そして、全ての残留気体は、次のプラスチック材料コーティングのために、取り除かれている。
【0030】
この正確に方向を定めて配置され、洗浄され、そして予熱されたストランデッド・ケーブル16は、図3乃至6に詳細に記載されている本発明のワイヤー・ガイド又はスレッド・ガイドと鋳型(メイトリクス)とを備えた、押し出し成形機32を通過する。液化されたプラスチック材料が、この実施例の場合にはポリウレタンであるが、矢印によって示されたストランデッド・ケーブル16の走行方向80に対して垂直方向に供給される。このプラスチック材料は粉体又は粒体の形態でフィルター34に注入され、そこから、図示しないバルク材が水平なフィード・スクリュー36に流れ込む。この供給中に、プラスチック材料は液化され、スレッド・ガイドを通って鋳型の内部に圧入され、ここで、平行に通過するストランデッド・ケーブル16はプラスチック材料で被覆される。これらのスレッド・ガイドと鋳型とを除いて、それ自体は知られている押し出し成形機32は、プラスチック材料の不変的な供給を確実に行い、かつ、ゲル化又は結晶化したプラスチック材料粒子の存在しない優れた品質を確保する。
【0031】
トラクション・エレメント38の最終的な寸法は、テトラフルオロエチレン(テフロン、登録商標、デュ ポン)で作られた、又は、テフロンで被覆された材料で作られた、次の複数の加圧ローラ40によって定められる。二対のローラ40は、また、トラクション・エレメント38の表層構造を定める。未だ暖かく柔らかなトラクション・エレメントの材料が加圧ローラ40に付着してはならず、加圧ローラ40は、ローラの空隙及び高さに関して精密に調節可能でなければならず、かつ、寸法安定性を有さなければならない。この実施例では、これらのローラ表面は粗面化され、精密にシリンダ・ジャケットの形態に形成されている。これによって、細長い矩形の形態をなし、かつ、図2aに示す粗面化された表面を備えたトラクション・バンドが製造される。
【0032】
加圧ローラ40から下流側で、未だ暖かいトラクション・エレメント38は、例えば、長さ20乃至40mの冷却槽42に流れ込む。図1には、冷却槽42が極めて短い形態で示されている。冷却槽42の第1の区画で、トラクション・エレメント38は、例えば65℃の温水中に導入されることができる。冷却槽42の更に他の一つの又はそれ以上の区画で、トラクション・エレメント38は、より低温の水に段階的に導入され、最終的には、蛇口温度の水道水又は工業用水に通される。他の形態においては、冷却槽42の全体に加熱されていない水道水又は工業用水を収容することができる。トラクション・エレメント38には、通過する間、引張り応力が作用することによって、トラクション・エレメント38は直線状に案内され、冷却システムの側壁に接触することが防止される。冷却槽42は、また、トラクション・エレメント38用の一つ又はそれ以上の屈曲部(折り返し部)を有することができる。
【0033】
冷却槽42の上流側及び下流側には、それぞれ、トラクション・エレメント38の、特に、厚さdを制御するための制御装置44、46が配置されている。ここで測定された寸法は、生産ライン10の完全な又は部分的な自動制御(例えば、ワイヤーの巻戻し装置12、予熱装置26、28、30、押し出し成形機32及び加圧ローラ40の調整)のために記録され、かつ、保存される。更に、保存されたデータは統計的評価と品質レポートのために使用することができる。
【0034】
トラクション・エレメント38は、自動又は手動で操作可能な記入装置48を通過するときに、例えば、トラクション・エレメント38の表面に良好に付着するインクを用いたインクジェット・プリンターを通過するときに、マーク(目印)を付けられる。
【0035】
連続的に円運動を行う2つのバンドを備えたキャタピラー・コンベア50は、帯状のトラクション・エレメント38に一定の牽引力を働かせ、かつ、一定の走行速度を維持することを確実にする。
【0036】
次のローラー・ストア52は、アキュムレータとも呼ばれ、静止スタンド54と移動スタンド56とに支持された複数のローラ58を有する。これらのスタンド54、56は、通常の作動状態における最小限の間隔で図示されている。ローラを交換する場合には、ローラー・ストア52は、約2分の間、押出し成形されたトラクション・エレメント38を受け入れる必要があり、その間に移動スタンド56は、点線で示されているように、走向方向80とは反対方向に移動する。この移動スタンド56はダンサー・ローラーとしても使用され、移動スタンド56が移動することによって、バンド速度の如何なる不規則性も補償可能である。例えば、ローラー・ストア52の70乃至75%が満たされているときには、バンド速度は毎分約10メートルという最小値まで減速される。ローラー・ストア52の下流側のバンド速度を増加させることによって、図1の連続線38で示された通常の作動状態が可能な限り迅速に再度生成される。
【0037】
この実施例では、ローラー・ストア52の下流側に、第2のキャタピラー型コンベア60が、ホルダ64に取付けられた先行する案内ローラ62と共に配置されている。第2のキャタピラー型コンベア60の下流側に配置された切断装置66は、貯蔵ローラ18が一杯になると、トラクション・エレメント38をある長さに切断する。貯蔵ローラ18の交換はローラー・ストア52に調和して行われ、この交換は2分以内に完了されるべきである。案内ローラ68は、トラクション・エレメント38が貯蔵ローラ18に規則的に巻上げられることを保証にする。
【0038】
図2aのトラクション・エレメント38を通る断面では、2.00mmの直径φを有する8本のストランデッド・ケーブル16が、平面Eに、一定の間隔0.5mmを置いて埋め込まれている。各場合において(図8を参照のこと)、これらのストランデッド・ケーブル16は、それぞれ、1本のコア・ストランド124と、順番に7本のスチール・ファイバー130で構成された6本の周辺ストランド・コード128を有する。ストランデッド・ケーブル16は、表面70、72から同一の間隔aを有する。トラクション・エレメント38は、3mmの全厚と25mmの幅bを有する。
【0039】
図2bによるトラクション・エレメント38は、その中央部の両側面に細長い溝17を有する。これにより、くびれ部15が形成される。
【0040】
図2cによる実施例では、トラクション・エレメント38は長手方向に延在する複数の狭窄部15を有し、これらの狭窄部15は、ジャケット39の細長い溝17によってストランデッド・ケーブル16の間に形成されている。細長い溝17はトラクション・エレメント38の抗張力(引っ張り強さ)を損なうことはなく、又は、ほとんど損なうことはない。トラクション・エレメント38は、より可撓性に富み、全体として、例えば、物品を固定するための引っ張り要素として使用される。
【0041】
ジャケット39の外部形状は、また、複数の加圧ローラ40によって形成され(図1)、これらの加圧ローラ40は、対応する構造のジャケット表面を有する。押出し成型機の鋳型開口は、必要な形態に形成することが可能であり、細長い矩形にすることもできる。
【0042】
図2dは、異なる厚さの複数のストランデッド・ケーブル16を有するトラクション・エレメント38を示す。内側のストランデッド・ケーブル16はより細く、外側のストランデッド・ケーブル16はより太い。幅の広い細長い溝17が形成された一方の側面では、ジャケット39の表面72は複数のストランデッド・ケーブル16の直径に適合し、そして他方の側面では、その表面は連続的に平滑である。この実施例も、また、種々の特別な目的に適し、ジャケット39の外部形態は複数の加圧ローラ40(図1)によって同様に形成される。
【0043】
図2eの実施例は、前述した複数の実施例とは対照的に、断面が非対称である。異なる太さのストランデッド・ケーブル16は、連結ウェブ15によって互いに連結され、いずれの箇所においてもほぼ同じ厚さのジャケット39を有する。
【0044】
図3は、スレッド・ガイド74と鋳型76の水平断面図を示し、この断面は、複数のストランデッド・ケーブル16のためのスレッド直径φに対応する8つの孔78の高さで切断され、複数のストランデッド・ケーブル16は、矢印80で示される走行方向に若干の遊びをもって走行し、これらのストランデッド・ケーブル16のうちの1本のみが断片として示されている。複数の孔84は、スレッド・ガイド74と鋳型76を着脱可能に連結する複数のネジ82に対して平行に延在し、これらの孔は、この実施例では、液化されたプラスチック材料コンパウンド86を供給するために、6mmの直径を有し、このプラスチック材料コンパウンドは、この断面には表れないが、鋳型キャビティ88を通過する複数のストランデッド・ケーブル16と共に鋳型キャビティ88に圧入される。この液化されたプラスチック材料86は、複数のストランデッド・ケーブル16を覆う。そして、この複合物は、細長い矩形断面を有する排出スロット116から、鋳型開口90を通過し、被覆されたトラクション・エレメント38として出てくる。
【0045】
図4は、図3のスレッド・ガイド74と鋳型76とを通り、1本のストランデッド・ケーブル16を通る縦断面図である。複数のストランデッド・ケーブル16が、順次、スレッド・ガイド74と鋳型76とを通って、走行方向80に案内される。孔78に入る前に、ストランデッド・ケーブル16は、先ず最初に、外部の入口溝92と内部のより小さな入口溝94とを通過するが、これらの入口溝92、94は、複数のストランデッド・ケーブル16用に近接して配置される精密な孔78の製造を単純化する。一つのV形状の入口スロット96には、図3に示す複数の孔84を介して、液状化されたプラスチック材料コンパウンド86が供給される。
【0046】
鋳型76上の案内プレート102、104を介して動作する調整ネジ98、100によって、案内プレートは鋳型76に関して最大でも約0.5mmであるΔtだけ垂直方向に移動され得る。この変位は、約0.05mm又はそれよりも高い精度で行われる。鋳型76をΔtだけ変位させたとき、ストランデッド・ケーブル16は出口溝116の内部又は鋳型開口90の内部に同量だけ移動させられる。このため、ストランデッド・ケーブル16は鋳型開口90の内部に正確に配置可能である。トラクション・エレメント38の内部の複数のストランデッド・ケーブルの位置は、これに相当する正確さである(図2)。もしも、連続孔112の代わりに、複数の調節ネジがスレッド・ガイド74の底部にも配置されている場合には、スレッド・ガイド74は、また、調節ネジ108と案内プレート110とによって、鋳型76と同じホルダ106に配置可能である。もしも、スレッド・ガイド74も移動可能であるときは、相対変位の範囲Δtは、スレッド・ガイド74と鋳型76の間で、それに相当するものとして拡大可能である。
【0047】
図5には、平面Pにそって互いに配置されたスレッド・ガイド74と鋳型76とが拡大されて図示されている。張力が付与された連続するストランデッド・ケーブル16は、スレッド・ガイド74と鋳型76とを通って、方向80に走行する。平面Pに沿ってスレッド・ガイド74を移動させると、ストランデッド・ケーブル16は、孔78を通る極めて小さい遊びをもって案内されているため(図4)、一緒に引きずられる。鋳型76が、固定されたスレッド・ガイド74と置き換えられるとき、ストランデッド・ケーブル16はスレッド・ガイド74と接触しないままである。しかし、鋳型開口90を有する排出スロット116の垂直方向位置が変化するにつれて、排出スロット116の上限及び下限からのストランデッド・ケーブル16の距離が変えられる。これにより、鋳型76を平面Pに沿って垂直方向に1又は数10分の1ミリメーターだけ単純に変位させることによって、排出スロット116の中心部におけるストランデッド・ケーブル16の位置決めが正確に行われる。このため、ストランデッド・ケーブル16はトラクション・エレメント38の中心で正確に調節され、言い換えると、ジャケット39はストランデッド・ケーブルの上方及び下方アペックスで同一寸法である。
【0048】
図6の実施例では、スレッド・ガイド74と鋳型76の間に、共押し出し用のもう一つの鋳型75が配置され、同一のプラスチック材料のジャケット39(図5)が、空間的に分離された方法で連続的に適用される。
【0049】
トラクション・エレメント38(図5)用の鋳型76は、延長された排出スロット116と排出開口90とを備えた突出したカラー114を有する。このカラー114の配置のおかげで、プラスチック材料のジャケット39は、鋳型開口90から排出される前に、より良く冷え、より良く硬化する。
【0050】
スレッド・ガイド74は、また、液状化されたプラスチック材料86のために、2つの周辺孔118と2つのV型の入口スロット96とを有する。複数のストランデッド・ケーブル16が通過する複数の孔78は、外部及び内部の入口溝92、94がそうであるように、実質的に変更されないままである。
【0051】
スレッド・ガイド74と鋳型76の間に配置されたもう一つの鋳型75は、2つのV形状の入口スロット96を有し、これらの入口スロット96は、供給された液状プラスチック材料を、複数の周辺孔118から鋳型キャビティ88まで案内する。先行鋳型キャビティ120には、スレッド・ガイド74内のV型の入口スロット96を通して送り込まれる。この鋳型キャビティ120から1本の連結溝122が鋳型76の鋳型キャビティ88に至り、この連結溝122は先行溝78よりも少し大きな直径を有する。通過するストランデッド・ケーブル16は、既にプレ・コートされた鋳型キャビティ88に到る。
【0052】
図7に示された異なる実施例によれば、図6のスレッド・ガイド74は、ストランデッド・ケーブル16用の注入手段87が、複数の入口スロット96を介して、先行鋳型キャビティ120の内部に案内されるように、設計されている。この液状化されたプラスチック材料のコンパウンド86は、複数の入口スロット97を介して、鋳型キャビティ88の内部に案内される。液状化された種々のプラスチック材料のコンパウンド86を入口スロット96、97を介して案内することができることは明らかである。
【0053】
図8は、ストランデッド・ケーブル16を通る断面図である。中央部のストランド・コードであるコア・ストランド124は、可撓性の熱可塑性プラスチック材料層126で覆われ、この実施例では、この熱可塑性プラスチック材料層126はポリウレタンである。6本のストランド・コードを撚るときに、すなわち、周辺のストランド・コード128のことであるが、流動化可能であり又は粘性のあるプラスチック材料層は変形して、複数のケーブル溝に流入する。コア・ストランド124と周辺のストランド・コード128の個々のファイバー130は、それ自体が知られている方法で撚り合わせられる。
【0054】
例えば、外径が少なくとも約5mmのストランデッド・ケーブル16は、1本のケーブルとして、トラクション・エレメントに必要とされる引張り力を達成する。このストランデッド・ケーブルは、プラスチック材料で作られた外部ジャケットによって保護されることが望ましい。
【0055】
より小さな直径を有する複数のストランデッド・ケーブル16は、図1の生産ライン10を通って並行して案内され、プラスチック材料39によって覆われ、そして、複数のストランデッド・ケーブル16を有するトラクション・エレメント38として使用される。
【0056】
撚り合わされた部分16又はコア・ストランド124の被覆は、それ自体が知られているいずれの方法でも行うことができるが、図1の生産ラインを一部変更して、本発明の方法を使用することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、帯状トラクション・エレメントを製造するための生産ラインを示す図である。
【図2】図2は、種々のトラクション・エレメントの断面図である。
【図3】図3は、スレッド・ガイドと鋳型(メイトリクス)を通る水平断面図である。
【図4】図4は、スレッド・ガイドと、ホルダーを有する鋳型とを通り、ストランデッド・ケーブルに沿って切断された縦断面図である。
【図5】図5は、スレッド・ガイドと鋳型とを通る縦断面図である。
【図6】図6は、スレッド・ガイドと2つの部品からなる鋳型とを通る縦断面図である。
【図7】図7は、図6の他の形態を示す断面図である。
【図8】図8は、1本のストランデッド・ケーブルの断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、人、荷物又は人荷用のリフトなどを巻上げ可能でかつ巻戻し可能な可撓性トラクション・エレメントに関し、このトラクション・エレメントは、引張り強度を保証する材料によって作られた少なくとも1本のストランデッド・ケーブルを有する。本発明は、また、複数のストランデッド・ケーブルを可撓性の熱可塑性プラスチック材料に埋め込むための生産ラインに関し、この生産ラインは、いずれの場合にも、複数のストランデッド・ケーブルを巻き戻すリールと、これらのストランデッド・ケーブルを正確に配向する装置と、これらのストランデッド・ケーブルを予熱する加熱装置と、これらのストランデッド・ケーブルを可撓性プラスチック材料のジャケットに共押し出しする少なくとも一つの押出成形機と、冷却槽と、ローラ装置と、切断装置と、貯蔵ローラとを有する。そして、本発明は、少なくとも1本のストランデッド・ケーブルを可撓性の熱可塑性プラスチック材料に埋め込むエンベッド方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アメリカ合衆国特許第3348585号は、複数のストランドを備え、ゴムで作られた、産業的に使用可能なバンド(帯材)を製造するための方法及び装置に関し、このストランドは、ワイヤー或いはスレッドとも呼ばれ、強磁性材料で作られ、バンドの内部に埋め込まれて、バンドの長さ方向にほぼ平行に延在する。これらのストランドは、特に鋼材からなり、それらの磁気特性は張力及び間隔保持力として使用されている。
【0003】
英国特許第1362514号は、バンド形のリフト・ケーブルの巻線機に関し、この巻線機では、鋼製のバンドは、合成プラスチック材料によって、特に、ポリウレタンによって、覆われている。種々の平坦なリフト・ケーブルが、図1に示されている。図1は、鋼製の複数のストランドを有する幅広で平坦なケーブルを示し、これらのストランドはポリウレタンで覆われている。合成樹脂材料製のジャケットには、また、長手方向に延在する複数の凹所17が示され、これらの凹所は必須のものではないと記載されている。図2は、また、プラスチック材料製のジャケットの内部で、長手方向に延在する複数の鋼製のストランドを備えた、バンド形のリフト・ケーブルを示し、このジャケットは滑らかな表面をいずれの側面にも有し、換言すると、長手方向に延在する凹所を有さない。
【0004】
WO 03/042085 A2には、平坦なジャケットの内部に複数のバンド又はブレード(コード)を有する、リフト用バンドの製造方法が記載され、この方法では複数のブレードが選択された並べ方で配向される。ある特別なジャケット材料が選択され、複数のストランドはいずれの場所においてもプラスチック材料製バンドの滑らかな表面から均一な距離に配置されて、最終的には、複数のストランドが個々に張力を受ける。このバンド形状のリフト用バンドは、リフトが動作中の騒音と振動の発生を最小限にする。
【特許文献1】アメリカ合衆国特許第3348585号明細書
【特許文献2】英国特許第1362514号公報
【特許文献3】WO 03/042085 A2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明者は、トラクション・エレメントと、生産ラインと、冒頭で述べた方法によってトラクション・エレメントを生産する方法とを提供することを目的とし、これにより、複数のストランデッド・ケーブルを有するトラクション・エレメントの可撓性を確実に増加させ、又、ストランデッド・ケーブルとプラスチック材料製ジャケットとの間の長期間にわたる接着性を確実に改善し、たとえ生産速度を増加させても、引張強度を保証する複数のストランデッド・ケーブルのバンド表面からの間隔を、より正確にかつ確実に制御することを保証し、そして、商業的に利用可能な最高の品質を有するバンド形のトラクション・エレメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このトラクション・エレメントに関する前述の目的は、本発明によれば、各ストランデッド・ケーブルのコア・ストランドが、可撓性を有する熱可塑性プラスチック材料からなる層で被覆されることによって達成される。このトラクション・エレメントの、特別な、そして詳細な複数の実施例は、本願の従属請求項の主題である。
【0007】
ストランデッド・ケーブルを製造するには、コア・ストランドに指定された中央ストランド・コードの周りに、少なくとも6本の周辺ストランド・コードが巻かれる。これらのストランド・コード自体は、同様に撚り合わされ、引張強度を保証する材料で作られた個々のファイバーやワイヤーからなる。本発明によれば、従来のストランデッド・ケーブルの可撓性を更に大幅に増加させることができ、また、周辺ストランド・コードを適用する前に複数のコア・ストランドを被覆することによって、従来の潤滑剤を使用することなく、可撓性をより高めることが可能になる。熱可塑性プラスチックからなるプラスチック材料は、少なくとも一部が流動化可能になされるが、高度に液状化されることなく、適用される。
【0008】
この熱可塑性プラスチックからなるプラスチック材料層の厚さは、便宜上、0.1乃至1mmの範囲にあり、複数のコア・ストランドの直径は、この層厚の決定要因の一つである。撚り線加工中に適用される、例えば100乃至200℃という温度範囲は、複数のケーブル溝の中にプラスチック材料を浸透させることが可能であるが、ストランデッド・ケーブルの表面からの滲出ができる限り避けられる温度範囲である。これらのストランデッド・ケーブルの外面は剥き出しのままであり、便宜上、脱脂されている。個々のケーブルは、それぞれ、好ましくは保護被覆によって被覆され、特に、これらのストランデッド・ケーブルの外径がより大きい場合には、約5mm又はそれ以上の範囲の保護皮膜によって被覆されることが好ましい。
【0009】
より小さな直径を有する複数のストランデッド・ケーブルは、例えば、約1乃至3mmの直径を有する場合には、実際には、共押し出し法等により、可撓性の熱可塑性プラスチック材料によって、そのプラスチック材料製ジャケットの最適な接着条件を監視しつつ、被覆され、並行して走行する。例えば、前述の脱脂や、プラズマ処理や、接着促進層の適用は、これに実質的に寄与する。リフト用バンドは、例えば、平面上に配置された直径2mmの8本のストランデッド・ケーブルを有し、断面が25×4mmのプラスチック材料製ジャケットを備える。このリフト用バンドは、極めて可撓性に富んだ安定複合材料であり、巻き取り及び巻戻しを容易に行うことができるトラクション・エレメントを形成する。
【0010】
このストランデッド・ケーブルの引張強度を保証する個々のファイバーは、例えば、スチール・ファイバー、アラミド・ファイバー、グラス・ファイバー、セラミック・ファイバー、カーボン・ファイバー等である。このストランデッド・ケーブルのコア・ストランドを被覆する可撓性の熱可塑性プラスチック材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレンからなる。被覆されたコア・ストランドを有するストランデッド・ケーブルは、同一の可撓性の熱可塑性プラスチック材料に埋め込まれることが望ましい。
【0011】
少なくとも1本のストランデッド・ケーブルを可撓性の熱可塑性プラスチック材料で被覆するための生産ラインに関する、本発明の目的は、押出成形機が、ストランデッド・ケーブル用のスレッド・ガイドと、少なくとも一つの鋳型とを有し、このスレッド・ガイドと鋳型とが、そのケーブル面に関して角度をなす平面Pで、個々に調整可能であると共に相互に調整可能であることによって達成される。特別な、そして詳細な複数の実施形態は、従属請求項の主題である。
【0012】
複数のストランデッド・ケーブルは、押出成形機と、一平面E上に位置する鋳型の出口開口とを通過する。とりわけ、平坦なトラクション・エレメントの場合には、複数のストランデッド・ケーブルが一平面上に存在して、プラスチック材料製ジャケットの平行な面が、いずれの箇所においても、埋め込まれた複数のストランデッド・ケーブルからほぼ同一の間隔を有することが重要である。ワイヤー・ガイドとも呼ばれるスレッド・ガイドを鋳型に関して相対的に変位させることにより、ストランデッド・ケーブルの鋳型に関する相対的な位置をノズルの出口開口の内部で変更し、これによってプラスチック材料製ジャケットの内部におけるストランデッド・ケーブルの位置も変化する。スレッド・ガイドと鋳型を、それらの間隔を変化させることなく、共に置き換えることが可能であり、換言すると、高さに関して置き換えることができる。ケーブル面Eに関して角度をなす平面Pは、45乃至135°の角度を有することが望ましく、特に、これらの2つの面は約90°の角度で延在することが望ましい。
【0013】
平行に配置された複数のストランデッド・ケーブルが生産ラインを通る平面上を流れる場合、複数の加圧ローラを押出成形機の直ぐ下流に配置することができる。例えば、これらの加圧ローラは少なくとも一対のローラで構成され、特に、トラクション・エレメントに対して直角に貫通する方向に調整可能な二対のローラで構成される。したがって、ストランデッド・ケーブルの位置を、未硬化のプラスチック材料の内部で修正することが可能であるが、この修正は1mmの10分のいくつかの範囲内のみにおける微細な修正である。しかし、複数の加圧ローラは、また、トラクション・エレメントの長手方向にオフセットさせて配置することが可能であり、これにより、未硬化の複合材料に作用を及ぼす。
【0014】
この生産ラインの細部はより詳しく図示され、これに相応するように記述されている。
【0015】
この生産ラインが、個々のストランデッド・ケーブルや、平面上に位置しない複数のストランデッド・ケーブルを被覆するために使用することができることは、明らかである。この場合、本発明にとって重要な装置は、不要なときには、作動されず、又は、取り外される。
【0016】
そして、本発明の目的は、複数の巻き戻されたストランデッド・ケーブルが、プラスチック材料製ジャケットの接着力が改善されるように脱脂され及び/又は前処理され、複数のコア・ストランドを被覆する可撓性の熱可塑性プラスチック材料の溶融温度の約±20℃の温度まで予備加熱され、そして、押出成形機の内部で液化されたプラスチック材料で被覆されるという、本発明に従って、プラスチック材料で被覆されたコア・ストランドを有する少なくとも1本のストランデッド・ケーブルを埋め込む方法に関して達成される。特別な、そして、より詳細な複数の実施形態は、従属請求項の主題である。
【0017】
前述の予備加熱は、例えば、誘電電気加熱炉、火炎バーナー、及び/又は、熱風加熱器によって行われる。この場合、とりわけ残余ガスが取り除かれることにより、プラスチック材料の被覆とストランデッド・ケーブルとの接着力が向上する。
【0018】
共押し出し法によってトラクション・エレメントを生産するために、可撓性の熱可塑性プラスチック材料によるストランデッド・ケーブルの被覆は、その独創的な知識のおかげで、最適の方法で実施することができる。複数のストランデッド・ケーブルの自由表面の脱脂や接着促進層による被覆、及び、液化プラスチック材料の溶融温度の約±20℃までの予備加熱が重要な役割を果たし、複数のストランデッド・ケーブルとプラスチック材料製ジャケットとの間の接着力の極めて大幅な改善が、端から端まで、いたるところで達成される。この改善は、また、長期間にわたる過酷な使用によっても、失われることなく持続する。例えば、リフトが作動中の場合のように、複数の比較的小さな半径周りに高い張力で持続的な撓みを受ける場合でさえ、ストランデッド・ケーブルとプラスチック材料の間の接着力は損なわれず、長期間にわたって観察したときにも、この接着力の低下は無視できる範囲にある。
【0019】
本発明方法によれば、また、処理工程の無駄を改善することができる。10乃至60m/minの範囲の極めて高い運転速度が達成される。
【0020】
各ストランデッド・ケーブルは、好ましくは5乃至100Nの引張り力で引張られ、特に35乃至45Nの引張り力で引張られる。押し出し成形機が、鋳型に関して移動可能なケーブルガイドと共に使用される場合には、ストランデッド・ケーブルに張力をかけることはそれ程重要な事項ではない。
【0021】
特に、複数の平行なストランデッド・ケーブルがジョイント・プラスチック材料によって被覆されつつあるときは、複数のトラクション・エレメントの幾何学的な断面形状は押し出し成形機の出口開口によって明らかに決定される。バンドの形態は、平面上に配置された複数のストランデッド・ケーブルで選択され、これらのストランデッド・ケーブルの断面外法寸法は、全体として、15×1.5乃至100×20mmの範囲にある。また、これらの断面寸法は、特に、ストランデッド・ケーブルの外法寸法に依存し、この外法寸法は1乃至5mmである頻度が最も高く、特に、約2mmである頻度が最も高い。埋め込まれたプラスチック材料中で、平行に案内されたストランデッド・ケーブルの位置は、ケーブルガイドを鋳型に関して相対的に調節することによって、±0.1mmの精度で調整することができる。その修正範囲は±0.5乃至2mmである。
【0022】
ジャケットと共に平面上の配置された複数のストランデッド・ケーブルの場合に、このジャケットが前述の複数のストランデッド・ケーブルの平面に対して平行に位置する2つの外表面を有するときには、更に、複数のストランデッド・ケーブルとジャケットの2つの外表面との相対的な位置を変更することができる。この目的のためには、既述のように、少なくとも2つの加圧ローラを押し出し成形機の直ぐ下流に配置することが望ましい。また、これらの加圧ローラはトラクション・エレメントの表面に、例えば粗面化された表面のような、ある一定の構造を付与することができる。互いに重ね合わされた複数のトラクション・エレメントの場合には、これによって、その摩擦係数がかなり増加するから、バンドの形態をしたトラクション・エレメントを、より高い寸法安定性を有する帯状ロールを形成するように巻上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明のトラクション・エレメントは高い汎用性を有する。これらのトラクション・エレメントは、一回又は繰り返して撓みを受け及び/又は巻き取り装置に貯蔵されるときには、特に、荷重の引上げ及び牽引に適する。リフト・バンドやリフト・ケーブルは重要な応用分野であり、高度の安全性の要求を満たす必要がある。1本のストランドの直径が約2mmの場合には、リフト・バンド及びリフト・ケーブルの引張り強度(抗張力)は、少なくとも約4000kN/鋼ストランデッド・ケーブルを有する。適当なストランド材料を選定した場合には、これらのトラクション・エレメントは、導電体として使用することもできる。
【0024】
本発明は、図面に示された複数の実施例を用いて、より詳細に記載され、これらの記載は従属請求項の主題でもある。
【実施例】
【0025】
撚られた複数の鋼ファイバーで作られた図8のストランデッド・ケーブル16と、可撓性の熱可塑性プラスチック材料で作られた矩形ジャケット39とを用いて、帯状トラクション・エレメント38を製造するための、図1に示された生産ライン10は、可撓性ストランデッド・ケーブル16を巻戻すために、この実施例では、2×8個のリール14を有するシステム12で始まり、そして、帯状トラクション・エレメント38を巻取るための貯蔵ローラ18で終わる。産業用生産システムでは、この生産ライン10の長さは数十メートルである。
【0026】
例えば、リフト・バンド等のトラクション・エレメント38を製造するためには、可撓性ストランデッド・ケーブル16の直径φは2mmである。複数のストランデッド・ケーブル16は、全て、プラスチック材料から成るジャケット39の中央に正確に配置され得るように、同一で、一定の直径φを有することが必要である。この直径の許容誤差は、最大で±0.05mmである。ストランデッド・ケーブル16は溶接されてはならず、撚り合わせ不良があってはならない。そして、ストランデッド・ケーブル16は、リール14に瑕疵なく巻き付けられなければならない。
【0027】
約50Nに保持されたストランデッド・ケーブル16の張力を個々に制御するには、空圧又は電磁システムを用いて、それ自体が知られている方法が用いられる。
【0028】
ストランデッド・ケーブル16は、展開された後、先ず、水平なガイド・スロットを有するスタンド20を通って、平面に移動する。ストランデッド・ケーブル16は清浄でなければならず、かつ、可能ならいつでもその表面に揮発性気体成分が存在するべきではないから、ストランデッド・ケーブル16は一列に並んで洗浄システム22の中を案内される。
【0029】
洗浄システム22の直ぐ下流で、ストランデッド・ケーブル16は次のスタンド24を通過するが、このスタンド24は、ストランデッド・ケーブル16を、水平方向に一定の間隔をおいて、正確に方向を定めて配置するための装置を備える。ストランデッド・ケーブル16は、このような方法で正確に方向を定めて配置され、誘電電気加熱炉26、炎燃焼炉28及び熱風加熱器30を通過し、この予熱の後に、ストランデッド・ケーブル16は100乃至200℃の範囲の表面温度を有し、そして、全ての残留気体は、次のプラスチック材料コーティングのために、取り除かれている。
【0030】
この正確に方向を定めて配置され、洗浄され、そして予熱されたストランデッド・ケーブル16は、図3乃至6に詳細に記載されている本発明のワイヤー・ガイド又はスレッド・ガイドと鋳型(メイトリクス)とを備えた、押し出し成形機32を通過する。液化されたプラスチック材料が、この実施例の場合にはポリウレタンであるが、矢印によって示されたストランデッド・ケーブル16の走行方向80に対して垂直方向に供給される。このプラスチック材料は粉体又は粒体の形態でフィルター34に注入され、そこから、図示しないバルク材が水平なフィード・スクリュー36に流れ込む。この供給中に、プラスチック材料は液化され、スレッド・ガイドを通って鋳型の内部に圧入され、ここで、平行に通過するストランデッド・ケーブル16はプラスチック材料で被覆される。これらのスレッド・ガイドと鋳型とを除いて、それ自体は知られている押し出し成形機32は、プラスチック材料の不変的な供給を確実に行い、かつ、ゲル化又は結晶化したプラスチック材料粒子の存在しない優れた品質を確保する。
【0031】
トラクション・エレメント38の最終的な寸法は、テトラフルオロエチレン(テフロン、登録商標、デュ ポン)で作られた、又は、テフロンで被覆された材料で作られた、次の複数の加圧ローラ40によって定められる。二対のローラ40は、また、トラクション・エレメント38の表層構造を定める。未だ暖かく柔らかなトラクション・エレメントの材料が加圧ローラ40に付着してはならず、加圧ローラ40は、ローラの空隙及び高さに関して精密に調節可能でなければならず、かつ、寸法安定性を有さなければならない。この実施例では、これらのローラ表面は粗面化され、精密にシリンダ・ジャケットの形態に形成されている。これによって、細長い矩形の形態をなし、かつ、図2aに示す粗面化された表面を備えたトラクション・バンドが製造される。
【0032】
加圧ローラ40から下流側で、未だ暖かいトラクション・エレメント38は、例えば、長さ20乃至40mの冷却槽42に流れ込む。図1には、冷却槽42が極めて短い形態で示されている。冷却槽42の第1の区画で、トラクション・エレメント38は、例えば65℃の温水中に導入されることができる。冷却槽42の更に他の一つの又はそれ以上の区画で、トラクション・エレメント38は、より低温の水に段階的に導入され、最終的には、蛇口温度の水道水又は工業用水に通される。他の形態においては、冷却槽42の全体に加熱されていない水道水又は工業用水を収容することができる。トラクション・エレメント38には、通過する間、引張り応力が作用することによって、トラクション・エレメント38は直線状に案内され、冷却システムの側壁に接触することが防止される。冷却槽42は、また、トラクション・エレメント38用の一つ又はそれ以上の屈曲部(折り返し部)を有することができる。
【0033】
冷却槽42の上流側及び下流側には、それぞれ、トラクション・エレメント38の、特に、厚さdを制御するための制御装置44、46が配置されている。ここで測定された寸法は、生産ライン10の完全な又は部分的な自動制御(例えば、ワイヤーの巻戻し装置12、予熱装置26、28、30、押し出し成形機32及び加圧ローラ40の調整)のために記録され、かつ、保存される。更に、保存されたデータは統計的評価と品質レポートのために使用することができる。
【0034】
トラクション・エレメント38は、自動又は手動で操作可能な記入装置48を通過するときに、例えば、トラクション・エレメント38の表面に良好に付着するインクを用いたインクジェット・プリンターを通過するときに、マーク(目印)を付けられる。
【0035】
連続的に円運動を行う2つのバンドを備えたキャタピラー・コンベア50は、帯状のトラクション・エレメント38に一定の牽引力を働かせ、かつ、一定の走行速度を維持することを確実にする。
【0036】
次のローラー・ストア52は、アキュムレータとも呼ばれ、静止スタンド54と移動スタンド56とに支持された複数のローラ58を有する。これらのスタンド54、56は、通常の作動状態における最小限の間隔で図示されている。ローラを交換する場合には、ローラー・ストア52は、約2分の間、押出し成形されたトラクション・エレメント38を受け入れる必要があり、その間に移動スタンド56は、点線で示されているように、走向方向80とは反対方向に移動する。この移動スタンド56はダンサー・ローラーとしても使用され、移動スタンド56が移動することによって、バンド速度の如何なる不規則性も補償可能である。例えば、ローラー・ストア52の70乃至75%が満たされているときには、バンド速度は毎分約10メートルという最小値まで減速される。ローラー・ストア52の下流側のバンド速度を増加させることによって、図1の連続線38で示された通常の作動状態が可能な限り迅速に再度生成される。
【0037】
この実施例では、ローラー・ストア52の下流側に、第2のキャタピラー型コンベア60が、ホルダ64に取付けられた先行する案内ローラ62と共に配置されている。第2のキャタピラー型コンベア60の下流側に配置された切断装置66は、貯蔵ローラ18が一杯になると、トラクション・エレメント38をある長さに切断する。貯蔵ローラ18の交換はローラー・ストア52に調和して行われ、この交換は2分以内に完了されるべきである。案内ローラ68は、トラクション・エレメント38が貯蔵ローラ18に規則的に巻上げられることを保証にする。
【0038】
図2aのトラクション・エレメント38を通る断面では、2.00mmの直径φを有する8本のストランデッド・ケーブル16が、平面Eに、一定の間隔0.5mmを置いて埋め込まれている。各場合において(図8を参照のこと)、これらのストランデッド・ケーブル16は、それぞれ、1本のコア・ストランド124と、順番に7本のスチール・ファイバー130で構成された6本の周辺ストランド・コード128を有する。ストランデッド・ケーブル16は、表面70、72から同一の間隔aを有する。トラクション・エレメント38は、3mmの全厚と25mmの幅bを有する。
【0039】
図2bによるトラクション・エレメント38は、その中央部の両側面に細長い溝17を有する。これにより、くびれ部15が形成される。
【0040】
図2cによる実施例では、トラクション・エレメント38は長手方向に延在する複数の狭窄部15を有し、これらの狭窄部15は、ジャケット39の細長い溝17によってストランデッド・ケーブル16の間に形成されている。細長い溝17はトラクション・エレメント38の抗張力(引っ張り強さ)を損なうことはなく、又は、ほとんど損なうことはない。トラクション・エレメント38は、より可撓性に富み、全体として、例えば、物品を固定するための引っ張り要素として使用される。
【0041】
ジャケット39の外部形状は、また、複数の加圧ローラ40によって形成され(図1)、これらの加圧ローラ40は、対応する構造のジャケット表面を有する。押出し成型機の鋳型開口は、必要な形態に形成することが可能であり、細長い矩形にすることもできる。
【0042】
図2dは、異なる厚さの複数のストランデッド・ケーブル16を有するトラクション・エレメント38を示す。内側のストランデッド・ケーブル16はより細く、外側のストランデッド・ケーブル16はより太い。幅の広い細長い溝17が形成された一方の側面では、ジャケット39の表面72は複数のストランデッド・ケーブル16の直径に適合し、そして他方の側面では、その表面は連続的に平滑である。この実施例も、また、種々の特別な目的に適し、ジャケット39の外部形態は複数の加圧ローラ40(図1)によって同様に形成される。
【0043】
図2eの実施例は、前述した複数の実施例とは対照的に、断面が非対称である。異なる太さのストランデッド・ケーブル16は、連結ウェブ15によって互いに連結され、いずれの箇所においてもほぼ同じ厚さのジャケット39を有する。
【0044】
図3は、スレッド・ガイド74と鋳型76の水平断面図を示し、この断面は、複数のストランデッド・ケーブル16のためのスレッド直径φに対応する8つの孔78の高さで切断され、複数のストランデッド・ケーブル16は、矢印80で示される走行方向に若干の遊びをもって走行し、これらのストランデッド・ケーブル16のうちの1本のみが断片として示されている。複数の孔84は、スレッド・ガイド74と鋳型76を着脱可能に連結する複数のネジ82に対して平行に延在し、これらの孔は、この実施例では、液化されたプラスチック材料コンパウンド86を供給するために、6mmの直径を有し、このプラスチック材料コンパウンドは、この断面には表れないが、鋳型キャビティ88を通過する複数のストランデッド・ケーブル16と共に鋳型キャビティ88に圧入される。この液化されたプラスチック材料86は、複数のストランデッド・ケーブル16を覆う。そして、この複合物は、細長い矩形断面を有する排出スロット116から、鋳型開口90を通過し、被覆されたトラクション・エレメント38として出てくる。
【0045】
図4は、図3のスレッド・ガイド74と鋳型76とを通り、1本のストランデッド・ケーブル16を通る縦断面図である。複数のストランデッド・ケーブル16が、順次、スレッド・ガイド74と鋳型76とを通って、走行方向80に案内される。孔78に入る前に、ストランデッド・ケーブル16は、先ず最初に、外部の入口溝92と内部のより小さな入口溝94とを通過するが、これらの入口溝92、94は、複数のストランデッド・ケーブル16用に近接して配置される精密な孔78の製造を単純化する。一つのV形状の入口スロット96には、図3に示す複数の孔84を介して、液状化されたプラスチック材料コンパウンド86が供給される。
【0046】
鋳型76上の案内プレート102、104を介して動作する調整ネジ98、100によって、案内プレートは鋳型76に関して最大でも約0.5mmであるΔtだけ垂直方向に移動され得る。この変位は、約0.05mm又はそれよりも高い精度で行われる。鋳型76をΔtだけ変位させたとき、ストランデッド・ケーブル16は出口溝116の内部又は鋳型開口90の内部に同量だけ移動させられる。このため、ストランデッド・ケーブル16は鋳型開口90の内部に正確に配置可能である。トラクション・エレメント38の内部の複数のストランデッド・ケーブルの位置は、これに相当する正確さである(図2)。もしも、連続孔112の代わりに、複数の調節ネジがスレッド・ガイド74の底部にも配置されている場合には、スレッド・ガイド74は、また、調節ネジ108と案内プレート110とによって、鋳型76と同じホルダ106に配置可能である。もしも、スレッド・ガイド74も移動可能であるときは、相対変位の範囲Δtは、スレッド・ガイド74と鋳型76の間で、それに相当するものとして拡大可能である。
【0047】
図5には、平面Pにそって互いに配置されたスレッド・ガイド74と鋳型76とが拡大されて図示されている。張力が付与された連続するストランデッド・ケーブル16は、スレッド・ガイド74と鋳型76とを通って、方向80に走行する。平面Pに沿ってスレッド・ガイド74を移動させると、ストランデッド・ケーブル16は、孔78を通る極めて小さい遊びをもって案内されているため(図4)、一緒に引きずられる。鋳型76が、固定されたスレッド・ガイド74と置き換えられるとき、ストランデッド・ケーブル16はスレッド・ガイド74と接触しないままである。しかし、鋳型開口90を有する排出スロット116の垂直方向位置が変化するにつれて、排出スロット116の上限及び下限からのストランデッド・ケーブル16の距離が変えられる。これにより、鋳型76を平面Pに沿って垂直方向に1又は数10分の1ミリメーターだけ単純に変位させることによって、排出スロット116の中心部におけるストランデッド・ケーブル16の位置決めが正確に行われる。このため、ストランデッド・ケーブル16はトラクション・エレメント38の中心で正確に調節され、言い換えると、ジャケット39はストランデッド・ケーブルの上方及び下方アペックスで同一寸法である。
【0048】
図6の実施例では、スレッド・ガイド74と鋳型76の間に、共押し出し用のもう一つの鋳型75が配置され、同一のプラスチック材料のジャケット39(図5)が、空間的に分離された方法で連続的に適用される。
【0049】
トラクション・エレメント38(図5)用の鋳型76は、延長された排出スロット116と排出開口90とを備えた突出したカラー114を有する。このカラー114の配置のおかげで、プラスチック材料のジャケット39は、鋳型開口90から排出される前に、より良く冷え、より良く硬化する。
【0050】
スレッド・ガイド74は、また、液状化されたプラスチック材料86のために、2つの周辺孔118と2つのV型の入口スロット96とを有する。複数のストランデッド・ケーブル16が通過する複数の孔78は、外部及び内部の入口溝92、94がそうであるように、実質的に変更されないままである。
【0051】
スレッド・ガイド74と鋳型76の間に配置されたもう一つの鋳型75は、2つのV形状の入口スロット96を有し、これらの入口スロット96は、供給された液状プラスチック材料を、複数の周辺孔118から鋳型キャビティ88まで案内する。先行鋳型キャビティ120には、スレッド・ガイド74内のV型の入口スロット96を通して送り込まれる。この鋳型キャビティ120から1本の連結溝122が鋳型76の鋳型キャビティ88に至り、この連結溝122は先行溝78よりも少し大きな直径を有する。通過するストランデッド・ケーブル16は、既にプレ・コートされた鋳型キャビティ88に到る。
【0052】
図7に示された異なる実施例によれば、図6のスレッド・ガイド74は、ストランデッド・ケーブル16用の注入手段87が、複数の入口スロット96を介して、先行鋳型キャビティ120の内部に案内されるように、設計されている。この液状化されたプラスチック材料のコンパウンド86は、複数の入口スロット97を介して、鋳型キャビティ88の内部に案内される。液状化された種々のプラスチック材料のコンパウンド86を入口スロット96、97を介して案内することができることは明らかである。
【0053】
図8は、ストランデッド・ケーブル16を通る断面図である。中央部のストランド・コードであるコア・ストランド124は、可撓性の熱可塑性プラスチック材料層126で覆われ、この実施例では、この熱可塑性プラスチック材料層126はポリウレタンである。6本のストランド・コードを撚るときに、すなわち、周辺のストランド・コード128のことであるが、流動化可能であり又は粘性のあるプラスチック材料層は変形して、複数のケーブル溝に流入する。コア・ストランド124と周辺のストランド・コード128の個々のファイバー130は、それ自体が知られている方法で撚り合わせられる。
【0054】
例えば、外径が少なくとも約5mmのストランデッド・ケーブル16は、1本のケーブルとして、トラクション・エレメントに必要とされる引張り力を達成する。このストランデッド・ケーブルは、プラスチック材料で作られた外部ジャケットによって保護されることが望ましい。
【0055】
より小さな直径を有する複数のストランデッド・ケーブル16は、図1の生産ライン10を通って並行して案内され、プラスチック材料39によって覆われ、そして、複数のストランデッド・ケーブル16を有するトラクション・エレメント38として使用される。
【0056】
撚り合わされた部分16又はコア・ストランド124の被覆は、それ自体が知られているいずれの方法でも行うことができるが、図1の生産ラインを一部変更して、本発明の方法を使用することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、帯状トラクション・エレメントを製造するための生産ラインを示す図である。
【図2】図2は、種々のトラクション・エレメントの断面図である。
【図3】図3は、スレッド・ガイドと鋳型(メイトリクス)を通る水平断面図である。
【図4】図4は、スレッド・ガイドと、ホルダーを有する鋳型とを通り、ストランデッド・ケーブルに沿って切断された縦断面図である。
【図5】図5は、スレッド・ガイドと鋳型とを通る縦断面図である。
【図6】図6は、スレッド・ガイドと2つの部品からなる鋳型とを通る縦断面図である。
【図7】図7は、図6の他の形態を示す断面図である。
【図8】図8は、1本のストランデッド・ケーブルの断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻上げ及び巻戻しが可能で、特に、人又は荷物のいずれか一方又は双方を搬送するためのリフトに使用される、可撓性を有するトラクション・エレメント(38)であって、前記トラクション・エレメント(38)は、引張り強度を保証する材料で作られた少なくとも1本のストランデッド・ケーブル(16)を有する、前記トラクション・エレメント(38)において、各ストランデッド・ケーブル(16)のコア・ストランド(124)は、可撓性を備えた熱可塑性プラスチック材料層(126)によって被覆されていることを特徴とする、前記トラクション・エレメント。
【請求項2】
請求項1に記載のトラクション・エレメント(38)において、前記プラスチック材料層(126)は、複数の周辺ストランド・コード(128)の複数のケーブル溝の内部に、少なくとも部分的に延在することを特徴とする、前記トラクション・エレメント。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のトラクション・エレメント(38)において、前記トラクション・エレメント(38)は、平行に延在する複数のストランデッド・ケーブル(16)によって構成され、前記複数のストランデッド・ケーブル(16)は、ある間隔(a)を置いて、可撓性を備えた熱可塑性プラスチック材料製のジャケット(39)に埋め込まれ、前記ジャケット(39)は、好ましくは帯状又は円筒状をなすことを特徴する、前記トラクション・エレメント。
【請求項4】
請求項3に記載のトラクション・エレメント(38)において、前記ストランデッド・ケーブル(16)の自由表面は、脱脂され、又は、予め処理されていることを特徴とする、前記トラクション・エレメント。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載のトラクション・エレメント(38)において、前記ストランデッド・ケーブル(16)は、鋼、アラミド、グラス、セラミック、又は、カーボンのスレッドによって構成されていることを特徴とする、前記トラクション・エレメント。
【請求項6】
複数のストランデッド・ケーブル(16)を、可撓性を有する熱可塑性プラスチック材料(39)に埋め込むための生産ライン(10)であって、前記生産ライン(10)は、いずれも、前記ストランデッド・ケーブル(16)を巻戻すためのリール(14)と、前記ストランデッド・ケーブル(16)を正確に方向を定めて配置するための装置(24)と、前記ストランデッド・ケーブル(16)を予熱するための加熱装置(26、28、30)と、前記ストランデッド・ケーブル(16)を可撓性のプラスチック材料製ジャケットに共押し出しするための少なくとも一つの押し出し成形機(32)と、冷却槽(42)と、ローラー・ストア(52)と、切断装置(66)と、貯蔵ローラ(18)とを有する、前記生産ライン(10)において、前記押し出し成形機(32)は、前記ストランデッド・ケーブル用のスレッド・ガイド(74)と、少なくとも一つの鋳型(76)とを有し、前記少なくとも一つの鋳型(76)は、ケーブル平面(E)に関して角度を成した平面(P)において、調節可能であり、かつ、相互の関連で、個別的に調整可能であることを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項7】
請求項6に記載の生産ライン(10)において、前記複数のストランデッド・ケーブル(16)はスレッド・ガイド(74)と少なくとも一つの鋳型(75、76)とを通って案内され、前記スレッド・ガイド(74)と前記少なくとも一つの鋳型(75、76)は、±0.5乃至2mmの範囲(Δt)において、好ましくは、互いに、少なくとも±0.1mmの精度で、調節可能であり、前記複数の平面(E、P)は45乃至135°の角度で延在し、好ましくは約90°の角度で延在することを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の生産ライン(10)において、前記複数のストランデッド・ケーブル(16)はスレッド・ガイド(74)と少なくとも一つの鋳型(75、76)を通って走行し、前記スレッド・ガイド(74)と前記少なくとも一つの鋳型(75、76)は、複数の調整ネジ(98、100、108)によって適正に位置決めすることができることを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項9】
請求項6乃至8のうちのいずれか一項に記載の生産ライン(10)において、前記複数のストランデッド・ケーブル(16)はスレッド・ガイド(74)と少なくとも一つの鋳型(75、76)を通過し、前記スレッド・ガイド(74)と前記少なくとも一つの鋳型(75、76)は、個々に交換可能であることを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項10】
請求項6乃至9のうちのいずれか一項に記載の生産ライン(10)において、前記押し出し成形機(32)の前記ケーブル・ガイド(74)と鋳型(75、76)は、2つ又はそれ以上の部品で形成され、かつ、2つ又はそれ以上の独立した供給システム(96、120及び120、88)を有し、前記供給システムは、特に、前記液状化されたプラスチック材料(86)を供給するシステムであることを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項11】
請求項6乃至10のうちのいずれか一項に記載の生産ライン(10)において、平面(E)を通るストランデッド・ケーブル(16)用の少なくとも2つの取り外し可能な平行加圧ローラ(40)は、前記押し出し成形装置(32)の直下流に配置され、かつ、前記複数のストランデッド・ケーブル(16)に対して直角になるように、個々に、前記空隙に関して調節可能であることを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項12】
請求項11に記載の生産ライン(10)において、2つ又は4つの加圧ローラ(40)が構成され、前記加圧ローラは、位置と空隙に関して調節可能な間隙を形成し、又は、前記トラクション・エレメント(38)の走行方向(80)に互いにオフセットされて配置されていることを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項13】
請求項6乃至12のうちのいずれか一項に記載の生産ライン(10)において、前記押し出し成形装置(32)の前記鋳型(76)は冷却システムを有することを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項14】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載され、かつ、引張り強度(抗張力)を保証する材料で作られた、少なくとも1本のストランデッド・ケーブル(16)を、埋め込む方法であって、前記ストランデッド・ケーブル(16)は、その都度、リールから巻き戻され、複数のストランデッド・ケーブル(16)の場合には方向を定めて配向され、液状化されたプラスチック材料(86)で被覆され、少なくとも2つの加圧ローラ(40)の間に案内され、冷却され、そして、ローラー・ストア(52)と、ある長さに切断するための切断ユニット(66)とを通過した後に、貯蔵ローラ(18)に巻上げられる、前記方法において、前記巻き戻されたストランデッド・ケーブル(16)は、プラスチック材料製ジャケット(39)の接着性を向上させるため、脱脂され及び/又は予熱され、コア・ストランド(124)を被覆する可撓性の熱可塑性プラスチック材料製ジャケットの溶融温度の約±20℃の温度まで予熱され、そして、押し出し成形装置(32)において、液状化されたプラスチック材料(86)によって被覆されることを特徴とする、前記方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記鋳型(76)は、加熱され又は冷却され、好ましくは前記スレッド・ガイド(74)と比較して40乃至100℃だけ加熱され又は冷却されることを特徴とする、前記方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の方法において、前記ストランデッド・ケーブル(16)は、10乃至60m/minの走行速度で、前記押し出し成形装置(32)を通るように案内されることを特徴とする、前記方法。
【請求項17】
請求項14乃至16のうちのいずれか一項に記載の方法において、各ストランデッド・ケーブル(32)には、5乃至100Nの個々に調節可能な引張り力が維持され、好ましくは35乃至45Nの引張り力が維持されることを特徴とする、前記方法。
【請求項18】
請求項14乃至17のうちのいずれか一項に記載の方法において、前記押し出し成形されたトラクション・エレメント(38)内の平面(E)上を平行に延びるストランデッド・ケーブル(16)の位置は、押し出し成形装置(32)に直接取付けられかつ個々に高さ調節可能な複数の加圧ローラ(40)によって、前記平面(E)に関して、好ましくは自動的に、調節されることを特徴とする、前記方法。
【請求項19】
請求項14乃至18のうちのいずれか一項に記載の方法において、前記押し出し成形されたトラクション・エレメント(38)はその走行方向(80)に温度勾配を有する冷却槽(42)中に案内されることを特徴とする、前記方法。
【請求項20】
請求項14乃至19のうちのいずれか一項に記載の方法において、前記予熱に先行する前記予備的な処理は、プラズマ処理手段又は接着剤の塗布によって行われることを特徴とする、前記方法。
【請求項21】
請求項14乃至20のうちのいずれか一項に記載の方法において、前記ストランデッド・ケーブル(16)は、残留ガスを除去するため、誘導加熱器(26)、火炎バーナー(28)、及び/又は、温風ヒーター(30)によって予熱され、又は、前記誘導加熱器(26)の代わりに赤外線ヒーターを使用することを特徴とする、前記方法。
【請求項1】
巻上げ及び巻戻しが可能で、特に、人又は荷物のいずれか一方又は双方を搬送するためのリフトに使用される、可撓性を有するトラクション・エレメント(38)であって、前記トラクション・エレメント(38)は、引張り強度を保証する材料で作られた少なくとも1本のストランデッド・ケーブル(16)を有する、前記トラクション・エレメント(38)において、各ストランデッド・ケーブル(16)のコア・ストランド(124)は、可撓性を備えた熱可塑性プラスチック材料層(126)によって被覆されていることを特徴とする、前記トラクション・エレメント。
【請求項2】
請求項1に記載のトラクション・エレメント(38)において、前記プラスチック材料層(126)は、複数の周辺ストランド・コード(128)の複数のケーブル溝の内部に、少なくとも部分的に延在することを特徴とする、前記トラクション・エレメント。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のトラクション・エレメント(38)において、前記トラクション・エレメント(38)は、平行に延在する複数のストランデッド・ケーブル(16)によって構成され、前記複数のストランデッド・ケーブル(16)は、ある間隔(a)を置いて、可撓性を備えた熱可塑性プラスチック材料製のジャケット(39)に埋め込まれ、前記ジャケット(39)は、好ましくは帯状又は円筒状をなすことを特徴する、前記トラクション・エレメント。
【請求項4】
請求項3に記載のトラクション・エレメント(38)において、前記ストランデッド・ケーブル(16)の自由表面は、脱脂され、又は、予め処理されていることを特徴とする、前記トラクション・エレメント。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載のトラクション・エレメント(38)において、前記ストランデッド・ケーブル(16)は、鋼、アラミド、グラス、セラミック、又は、カーボンのスレッドによって構成されていることを特徴とする、前記トラクション・エレメント。
【請求項6】
複数のストランデッド・ケーブル(16)を、可撓性を有する熱可塑性プラスチック材料(39)に埋め込むための生産ライン(10)であって、前記生産ライン(10)は、いずれも、前記ストランデッド・ケーブル(16)を巻戻すためのリール(14)と、前記ストランデッド・ケーブル(16)を正確に方向を定めて配置するための装置(24)と、前記ストランデッド・ケーブル(16)を予熱するための加熱装置(26、28、30)と、前記ストランデッド・ケーブル(16)を可撓性のプラスチック材料製ジャケットに共押し出しするための少なくとも一つの押し出し成形機(32)と、冷却槽(42)と、ローラー・ストア(52)と、切断装置(66)と、貯蔵ローラ(18)とを有する、前記生産ライン(10)において、前記押し出し成形機(32)は、前記ストランデッド・ケーブル用のスレッド・ガイド(74)と、少なくとも一つの鋳型(76)とを有し、前記少なくとも一つの鋳型(76)は、ケーブル平面(E)に関して角度を成した平面(P)において、調節可能であり、かつ、相互の関連で、個別的に調整可能であることを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項7】
請求項6に記載の生産ライン(10)において、前記複数のストランデッド・ケーブル(16)はスレッド・ガイド(74)と少なくとも一つの鋳型(75、76)とを通って案内され、前記スレッド・ガイド(74)と前記少なくとも一つの鋳型(75、76)は、±0.5乃至2mmの範囲(Δt)において、好ましくは、互いに、少なくとも±0.1mmの精度で、調節可能であり、前記複数の平面(E、P)は45乃至135°の角度で延在し、好ましくは約90°の角度で延在することを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の生産ライン(10)において、前記複数のストランデッド・ケーブル(16)はスレッド・ガイド(74)と少なくとも一つの鋳型(75、76)を通って走行し、前記スレッド・ガイド(74)と前記少なくとも一つの鋳型(75、76)は、複数の調整ネジ(98、100、108)によって適正に位置決めすることができることを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項9】
請求項6乃至8のうちのいずれか一項に記載の生産ライン(10)において、前記複数のストランデッド・ケーブル(16)はスレッド・ガイド(74)と少なくとも一つの鋳型(75、76)を通過し、前記スレッド・ガイド(74)と前記少なくとも一つの鋳型(75、76)は、個々に交換可能であることを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項10】
請求項6乃至9のうちのいずれか一項に記載の生産ライン(10)において、前記押し出し成形機(32)の前記ケーブル・ガイド(74)と鋳型(75、76)は、2つ又はそれ以上の部品で形成され、かつ、2つ又はそれ以上の独立した供給システム(96、120及び120、88)を有し、前記供給システムは、特に、前記液状化されたプラスチック材料(86)を供給するシステムであることを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項11】
請求項6乃至10のうちのいずれか一項に記載の生産ライン(10)において、平面(E)を通るストランデッド・ケーブル(16)用の少なくとも2つの取り外し可能な平行加圧ローラ(40)は、前記押し出し成形装置(32)の直下流に配置され、かつ、前記複数のストランデッド・ケーブル(16)に対して直角になるように、個々に、前記空隙に関して調節可能であることを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項12】
請求項11に記載の生産ライン(10)において、2つ又は4つの加圧ローラ(40)が構成され、前記加圧ローラは、位置と空隙に関して調節可能な間隙を形成し、又は、前記トラクション・エレメント(38)の走行方向(80)に互いにオフセットされて配置されていることを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項13】
請求項6乃至12のうちのいずれか一項に記載の生産ライン(10)において、前記押し出し成形装置(32)の前記鋳型(76)は冷却システムを有することを特徴とする、前記生産ライン。
【請求項14】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載され、かつ、引張り強度(抗張力)を保証する材料で作られた、少なくとも1本のストランデッド・ケーブル(16)を、埋め込む方法であって、前記ストランデッド・ケーブル(16)は、その都度、リールから巻き戻され、複数のストランデッド・ケーブル(16)の場合には方向を定めて配向され、液状化されたプラスチック材料(86)で被覆され、少なくとも2つの加圧ローラ(40)の間に案内され、冷却され、そして、ローラー・ストア(52)と、ある長さに切断するための切断ユニット(66)とを通過した後に、貯蔵ローラ(18)に巻上げられる、前記方法において、前記巻き戻されたストランデッド・ケーブル(16)は、プラスチック材料製ジャケット(39)の接着性を向上させるため、脱脂され及び/又は予熱され、コア・ストランド(124)を被覆する可撓性の熱可塑性プラスチック材料製ジャケットの溶融温度の約±20℃の温度まで予熱され、そして、押し出し成形装置(32)において、液状化されたプラスチック材料(86)によって被覆されることを特徴とする、前記方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記鋳型(76)は、加熱され又は冷却され、好ましくは前記スレッド・ガイド(74)と比較して40乃至100℃だけ加熱され又は冷却されることを特徴とする、前記方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の方法において、前記ストランデッド・ケーブル(16)は、10乃至60m/minの走行速度で、前記押し出し成形装置(32)を通るように案内されることを特徴とする、前記方法。
【請求項17】
請求項14乃至16のうちのいずれか一項に記載の方法において、各ストランデッド・ケーブル(32)には、5乃至100Nの個々に調節可能な引張り力が維持され、好ましくは35乃至45Nの引張り力が維持されることを特徴とする、前記方法。
【請求項18】
請求項14乃至17のうちのいずれか一項に記載の方法において、前記押し出し成形されたトラクション・エレメント(38)内の平面(E)上を平行に延びるストランデッド・ケーブル(16)の位置は、押し出し成形装置(32)に直接取付けられかつ個々に高さ調節可能な複数の加圧ローラ(40)によって、前記平面(E)に関して、好ましくは自動的に、調節されることを特徴とする、前記方法。
【請求項19】
請求項14乃至18のうちのいずれか一項に記載の方法において、前記押し出し成形されたトラクション・エレメント(38)はその走行方向(80)に温度勾配を有する冷却槽(42)中に案内されることを特徴とする、前記方法。
【請求項20】
請求項14乃至19のうちのいずれか一項に記載の方法において、前記予熱に先行する前記予備的な処理は、プラズマ処理手段又は接着剤の塗布によって行われることを特徴とする、前記方法。
【請求項21】
請求項14乃至20のうちのいずれか一項に記載の方法において、前記ストランデッド・ケーブル(16)は、残留ガスを除去するため、誘導加熱器(26)、火炎バーナー(28)、及び/又は、温風ヒーター(30)によって予熱され、又は、前記誘導加熱器(26)の代わりに赤外線ヒーターを使用することを特徴とする、前記方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図8】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図8】
【公表番号】特表2007−514873(P2007−514873A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541781(P2006−541781)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/CH2004/000721
【国際公開番号】WO2005/054569
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506184004)ブルック カーベル アクツィエンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/CH2004/000721
【国際公開番号】WO2005/054569
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506184004)ブルック カーベル アクツィエンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】
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