説明

可撓性本体

【課題】生産流体を運搬できるタイプの可撓性パイプで使用することができ、深い深さで効果的に作動できる、圧力外装層または張力外装層、または圧力および張力外装層を備える可撓性パイプ本体を提供する。
【解決手段】可撓性パイプのための可撓性本体100は、内側圧力シース102と、シースを覆うように複合材料のテープが巻かれた少なくとも1つの外装層103,105,106を備えている。引出成形法を使用して、複合テープを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水、ガス、鉱物油、原油、または同様な生産流体を運搬するようになっているタイプの可撓性本体を形成するのに使用される可撓性本体に関し、特に本発明は、複合材料製のテープを巻いて形成された1つ以上の外装層を有する可撓性パイプの本体に関する。しかし、このようなパイプ本体だけに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
従来の可撓性本体は、生産流体、例えばオイルまたはガスまたは水を、ある場所から別の場所に運搬するのに使用されている。可撓性パイプは、特に海抜以下の場所と、海抜以上の場所とを接続するのに特に有用である。
【0003】
この可撓性パイプは、一般に、パイプ本体と、1つ以上の端部継手との組立体として形成されている。パイプ本体は、一般に、流体を形成する層状の材料と、内部圧力を有する導管との組み合わせとして形成されている。
【0004】
このようなパイプ構造によると、パイプの寿命中に、パイプの機能を損なわせるような曲げ応力および歪みを生じることなく、大きな屈曲が可能になっている。このパイプ本体は、一般に、金属層とポリマー層とを備える構造体として製造されている。
【0005】
公知の多くの可撓性パイプ構造では、パイプは、1つ以上の圧力外装層を有し、この外装層にかかる主な負荷は、径方向の力によって生じる。圧力外装層は、通常、可撓性パイプ本体の長手方向軸線に対して大きな角度で巻かれ、パイプにかかる外側圧力および内側圧力から生じる径方向の力を受支し、かつ吸収できるよう、互いに係合しうる特定の断面プロフィルを有することが多い。
【0006】
このように圧力を受ける結果、パイプが圧潰されたり、または破裂されたりするのを防止するために巻かれているテープの断面形は、耐圧プロフィルと称されることが時々ある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
公知の多くの可撓性パイプ構造では、パイプは、1つ以上の張力外装層を備えている。この層にかかる主な負荷は、引っ張り力である。深海および極深海のような高圧の環境下での使用の際に、張力外装層は、内側圧力によるエンドキャップの負荷だけではなく、重量から生じる高張力の負荷も受ける。かかる状況は、長時間にわたって生じるので、このような状況により、可撓性本体に故障が生じる。
【0008】
無接合可撓性本体は、ここ15年にわたって、1,005.84m(3,300フィート)未満の深海、および1,005.84m(3,300フィート)より深い超深海の開発を可能にする手段となっている。90年代初頭には、この技術により、深海用パイプを製造することが可能となり、90年代の終わりには、1,981.2m(6500フィート)までの超深海用パイプを製造することが可能となった。
【0009】
1,981.2m(6500フィート)よりも深い海の海水は、代表的なフリーハンギングライザー構造、および一般的な可撓性本体が作動できるエンベロープに圧力をかける。オイルに対する要求は、次第に高まりつつあるが、このことは、より深い深さでの開発を促し、このような深い深さでは、環境上の要因がより苛酷となっている。
【0010】
例えば、かかる深海および超深海環境では、大洋底の温度は低温であり、生産流体が、パイプを閉塞させ得る温度まで冷却される危険性を高めている。深い深さでは、可撓性パイプが作動できなければならない環境に関連する圧力も高めている。そのため、可撓性パイプ本体の圧力外装層、および張力外装層の性能に対する高いレベルのニーズも高くなっている。
【0011】
外装層の強度、従ってその性能を改善する1つの方法は、層を、より厚くし、かつ強力な、従ってより丈夫な材料で製造することである。例えば、層の連結時に、隣接するコイルと共に巻かれたテープから層が形成されることが多い圧力外装層に対して、より厚い材料でテープを製造すると、強度は適当に増す。しかしながら、より多くの材料を使用するので、可撓性パイプの重量は増加する。終には、可撓性パイプの重量は、可撓性パイプを使用する際の制限要因となる。更に、より厚い材料を使用して、可撓性パイプを製造すると、材料のコストが増大し、このことも欠点となる。
【0012】
本発明の目的は、上記課題を、少なくとも部分的に緩和することにある。
【0013】
本発明の目的は、生産流体を運搬できるタイプの可撓性パイプで使用することができ、深い深さで効果的に作動できる、圧力外装層または張力外装層、または圧力および張力外装層を備える可撓性パイプ本体を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、流体を運搬するタイプの可撓性パイプに使用することができ、所望のパラメータに従って作動するのに、比較的軽量でかつ十分に強力となるように製造された外装層を備える可撓性パイプ本体を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、可撓性パイプを曲げる際に屈曲することができ、バリア層またはライナーのような下層の内側圧力シースの貫通破裂に耐えるよう、十分強力である可撓性パイプ内の層を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、ライザーアセンブリ、フローライン、またはジャンパー、および深海環境および超深海環境で作動できる可撓性パイプの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の様相によれば、
内側圧力シースと、シースを覆うように複合材料のテープが巻かれた少なくとも1つの外装層とを備える、可撓性パイプのための可撓性本体が提供される。
【0018】
本発明の第2の様相によれば、内側圧力シースの上に複合材料のテープを巻くことにより、内側圧力シースの上に少なくとも1つの外装層を形成するステップを備える、可撓性本体を製造する方法が提供される。
【0019】
本発明の第3の様相によれば、
複数の補強ファイバーを設けるステップと、
前記ファイバーを樹脂混合物で含浸させるステップと、
ダイ内で、前記ファイバーおよび樹脂を加熱するステップと、
前記ダイを通過するように、前記ファイバーを連続的に引き出すステップとを備える、引出成形法によって複合テープを製造する方法が提供される。
【0020】
本発明のある例では、流体保持層の上の少なくとも1つの外装層を、複合材料のテープで巻くことにより形成した可撓性パイプ本体を提供するものである。この複合材料は、制御された質量と、高い強度を提供する。重量が問題となる深海作業のために、複合材料のマトリックス(基材)を比較的軽量となるように選択できる。
【0021】
可撓性パイプの重量が設計上の限界的なパラメータとはならない作業を行うために、外装層を製造する複合材料のマトリックスを、選択された大重量の材料から形成でき、これによって、高強度で高性能、かつ比較的大重量の可撓性パイプを製造することができる。
【0022】
本発明のある例では、使用される、巻かれたテープの性能の特性を決定する補強ファイバーを位置決めし、または成形し、または異なる材料から製造できる外装層を提供するものである。例えば隣接するコイルを噛み合わせるときに、高応力が予想される底部の特定の領域において、より高い密度の補強ファイバーを提供できる。これとは異なり、テープの外側表面の近くに、これよりも低いか、または高い密度の補強ファイバーを提供できる。
【0023】
本発明のある例では、所定の温度を越えるように複合テープのマトリックス材料を決することにより、外装層の隣接するコイル部分を一体となるように溶着できるようにするものである。隣接するコイルを一体となるように溶着することにより、全体の強度を高めることができる。このように溶着された外装層の可撓性を提供するために、弱体部、例えば狭いネック領域を、外装層のまわりに巻かれたテープの断面内に形成できる。従って、可撓性のパイプを曲げなければならないときに、この狭くされたネック領域のまわりで屈曲が生じ得る。
【0024】
本発明のある例では、かみ合った外装層の外側に別の複合テープを径方向に巻くことにより、かみあったコイルを有する外装層を提供することができる。これによって、全体の性能を改善できる。全体の性能を向上させるために、かみ合った外装層に別の補強テープを溶着してもよい。
【0025】
以下図面を参照して、単なる例により、本発明の実施例について説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図中、同様の符号は、同様の部材を示す。
【0027】
本明細書全体において、可撓性パイプを例とする。可撓性パイプは、可撓性本体部分と、1つ以上の端部継手とのアセンブリであり、各端部継手において、可撓性本体の一端が終端している。
【0028】
図1は、本発明の一実施例に従い、圧力を含む導管を形成する層状材料の複合体から、いかに可動性本体100を形成するかを示している。図1には、特殊な多数の層が示されているが、本発明は、2つ以上の層を含む同軸状パイプの本体に広く適用しうるものである。
【0029】
図1に示すように、可撓性本体100は、最も内側に基層101を有する。この基層は、かみ合った金属構造体であり、この金属構造体は、パイプの分解、外部圧力、外装具の張力圧力、および機械的な押し潰し負荷に起因する内側圧力シース102の圧潰を、全体または部分的に防止するための最も内側の層となっている。しかし、本発明の例は、平滑孔だけでなく、凹凸孔にも適用することができるものである。
【0030】
内側圧力シース102は、流体保持層として働く。このシースは、内部流体の完全性を保証するポリマー層を備えている。この内側圧力シース自体は、多数のサブ層を備えている。基層を備えているとき、流体保持層は、バリア層とも称されることが多い。かかる基層を使用しない作動時(いわゆるスムーズボア作動時)に、この流体保持層は、ライナーと称されることが多い。
【0031】
圧力外装層103は、内側圧力および外側圧力、並びに機械的圧潰負荷に対する可撓性本体の抵抗力を増す、90°に近い撚り角を有する層である。この層は、内側圧力シースも構造的にサポートし、かみ合った金属構造体からなっている。以下、この圧力外装層について、より詳細に説明する。
【0032】
可撓性本体100は、1つ以上のテープ層104と、第1張力外装層105と、第2張力外装層106を備えている。各張力外装層は、20°〜55°の斜角を有する構造層である。各層は、張力負荷および内側圧力を維持するのに使用される。これら張力外装層は、ペアで逆方向に巻かれる。
【0033】
可撓性本体100は、外側シース108を備え、この外側シースは、海水の浸入およびその他の外部環境、腐食、摩耗および機械的破損からパイプを保護するポリマー層を備えている。
【0034】
各可撓性パイプは、可撓性本体100のセグメント、またはセクションと称される少なくとも1つの部分と、可撓性本体の少なくとも一端に位置する端部継手とを備えている。端部継手は、可撓性本体とコネクタとの間の移行部を形成する機械的装置となっている。例えば図1に示すような異なるパイプ層は、可撓性パイプとコネクタとの間で負荷を伝えるよう、端部継手内で終端されている。
【0035】
図2は、海面下の位置201から、フローティング設備202へ、生産流体、例えばオイルまたはガスまたは水を運搬するようになっている立ち上げライザーアセンブリ200を示す。図2では、海面下の位置201は、海面下のフローラインである。可撓性フローライン205は、全体または一部が海底204に載っているか、または海底より下に埋設され、静的な応用例で使用されている可撓性パイプを含んでいる。フローティング設備は、プラットフォーム、またはブイ、または図2に示すように、船舶により提供できる。
【0036】
ライザーアセンブリ200は、可撓性ライザーとなっている。すなわち、船舶を海底設備に接続する可撓性パイプとして設けられている。このライザーは、端部継手を有するセグメントとすることができ、深さに応じて、張力または圧潰のいずれかを最適にするハイブリッド構造とすることもできる。
【0037】
当業者には周知のように、ライザーには異なるタイプが存在する。本発明の実施例は、任意のタイプのライザー、例えば自由に懸架されているか(自由なたるみライザー)、ある程度拘束されているライザー(ブイやチェーン)、全体が拘束されているか、またはチューブ(IまたはJチューブ)内に収容されているライザーと共に使用できる。
【0038】
図2は、可撓性本体の一部を、フローライン205またはジャンパー206として、いかに使用できるかを示している。
【0039】
図3は、本発明の一実施例にかかわる引出成形製造法によって形成されたテープの断面を示す。図3に示すように、このテープの断面は、2つの突部301と2つの谷部302を有し、全体としてZ字形となっている。従って、この断面はほぼ凸状部分と凹状部分とを有し、1つのコイルの凸部は、隣接するコイルの凹部に嵌合し、隣接するコイルを連結するようになっている。テープ300は、テープを長手方向に延びる補強ファイバー304のまわりに形成されたマトリックス材料303から形成されている。
【0040】
図3に示す補強ファイバー304は、ほぼ均一に分布しており、テープ内のこれら補強ファイバーの位置は、後により詳細に説明するように、1つ以上のガイドプレートにより、製造プロセス中に決定される。このテープは、下方表面305と、上方表面306とを有する。各面は、ショルダー領域307を備え、このショルダー領域において、表面は他方の表面に対して内側に傾いている。
【0041】
Z字形の断面に関連して、本発明の実施例について説明するが、かみ合うことができる他のタイプのプロフィルの断面を、圧力外装層に対して使用することができる。本発明の実施例は、上記の他に、または上記とは異なり、張力外装層を提供するようにも使用できることも理解しうると思う。張力外装層に使用した場合、隣接するコイルはかみ合わせる必要はなく、種々の断面としうる。
【0042】
図4は、本発明の別の実施例に係わる、外装層を形成するように巻くことができるテープの断面を示す。この実施例では、補強ファイバーの断面のサイズは異なっている。一部のファイバー400は、直径が比較的大きいが、別のファイバー401は、断面がより小さい。所定領域、例えば大きい荷重応力が予想される領域において、ファイバーの集団を集中できる。
【0043】
異なる位置に、異なる断面を有する補強ファイバーを設けることにより、テープの性能を多少制御できることが理解できると思う。例えば、突部および谷部のまわりのテープの外側表面の近くで、直径がより小さいファイバーを集団化できる。このことは、外装層内の隣接するコイルがかみ合うときに、かなりの力を受ける可能性がある使用中に、こぶが破壊されるのを防止するのに役立つ。
【0044】
異なる断面を有する補強ファイバーを選択することに加え、または補強ファイバーを選択する別の方法として、ファイバーを製造する材料を変えることもできる。ファイバー自体を、種々の材料、例えば金属ファイバー、アラミドファイバーまたはグラスファイバーとすることができる。例えばキーとなる位置に、より小径のアラミドファイバーを使用することにより、全体のコスト、外装層の強度、および性能との間で、良好な妥協を図ることができる。
【0045】
図5は、可撓性本体100内の圧力外装層103における隣接するコイルを示す。内側圧力シース102に、テープの径方向内側表面305が接近して、接触し、最も左側の隣接するコイルの凹部に、最も右側のコイル500の凸部のこぶが嵌合するようになっている。図5には、楕円の断面を有する、巻かれたテープのうちの補強ファイバー502が示されている。本発明の実施例によれば、補強ファイバーの断面形だけでなく、直径の寸法も選択することができる。
【0046】
本発明の実施例によれば、隣接するコイルの間の接触領域504を、一体となるように溶着される。この溶着は、隣接するコイルがかみ合う領域において、局部的な加熱、例えば誘導過熱をすることにより、外装層104の製造中に達成できる。
【0047】
上記加熱とは別に、またはこの加熱に加えて、コイルを一体に溶着するのに、溶着接合/ウェルディングプロセスを適用できる。コイル内のマトリックス材料が一体に溶着するように、熱を所定の温度よりも高くする。材料軟化点または溶融点を越えるように加熱を行う。軟化点を使用する場合、溶着プロセスを助けるために圧力を加えてもよい。
【0048】
隣接するコイルのマトリックス材料を溶融することにより、隣接するコイルは効果的に一体成形される。この方法により、外装層内のギャップ間の下方の流体保持層102が貫通破裂する可能性が小となり、強力な外装層を製造することができる。
【0049】
隣接するコイルを、一体に溶融するのではなく、コイルの一部を一体に接着するよう、接着剤を使用してもよい。
【0050】
隣接するコイルを一体に溶着する場合、当業者であれば、層の可撓性は低下し、そのため、可撓性パイプ全体の可撓性が阻害されることは理解しうると思う。この問題を克服するために、テープの少なくとも1つの部分に、狭いネック領域が設けられている。その一例は、図6に示されている。ここで、外側のくぼみ601および内側のくぼみ602を形成することにより、狭いネック領域600が設けられている。このことは、くぼみを含むモールド形状を選択するか、またはくぼみを設けようとする場所で、テープの一部を除くことにより達成することができる。これにより、狭いネック領域600は、可撓性パイプを2方向に屈曲できるようにするヒンジ機構として働く。
【0051】
種々の選択肢に従って、この狭いネック領域を形成してもよいことは言うまでもない。例えば、くぼみを形成する他に、狭いポイントに対して、テープの外側面が内側に傾斜するようなテープの構造としてもよい。同じように、ヒンジ動作が維持される程度まで、テープの片側だけに狭い部分を形成してもよいことも理解しうると思う。
【0052】
図7は、外装層103の外側表面のまわりに、どのように補強テープ700を巻くことができるかを示している。コイルの外側への運動を拘束し、コイルがかみ合っていない状態となったり、または(特に張力外装層の場合に)径方向外側に移動することを防止するのに、補強テープ700を、当業者に利用できる周知の種々のテープとすることができる。
【0053】
図7に示す補強ワイヤー700は、実質的に平らなプロフィルを有する複合テープであることが好ましい。このテープは、マトリックス材料701と、それに沿って長手方向に延びる補強ファイバー702とを備えている。テープ層700のコイルは、外装テープのマトリックス材料303と同じであるマトリックス材料701から形成できる。ポリマーを使用する場合、マトリックス材料が同じであることは、選択された領域703で、外装テープ層を補強テープ層に溶着できることを意味する。テープが補強テープ700から離間している外装層テープのショルダー領域を除き、外側補強テープ層に、外装層テープの外側表面全体を溶着することが好ましい。
【0054】
図8は、本発明の実施例に係わる外装層、または補強テープ層を形成する複合テープを製造するための引出成形法を示す。所望の断面/サイズ/形状または材料を有する補強ファイルのリールに、ボビン800が装填されている。このプロセスは、図8の左側から図8の右側に、ファイバーを引き出す引出成形法である。
【0055】
ファイバーを最終製品内の所望する位置に位置決めすることを助けるガイドプレート801により、ファイバーは、所望の位置に位置決めされる。液体樹脂混合物(オプションとして樹脂、充填剤、顔料または特殊な添加剤を含むことができる)が、樹脂含浸器802に保持されている。この液体樹脂材料を通過し、次に、加熱された予備成形ステージ803を通過するように、ファイバーを引き出す。樹脂含浸器は、補強ファイバーを溶液で飽和状態にする。樹脂含浸器の内部は、ファイバーの完全な飽和状態または完全に近い飽和状態を達成するよう、補強材のウェットアウトプロセスを最適にするように、注意深く設計されている。
【0056】
補強ファイバーは、最終的に断面内に収められるよう、樹脂含浸器を出る際に、再び組織化され、位置決めされる。予備成形器803は、製品が染料に進入する前に、材料を成形し始めるように移動する際に、過剰な樹脂を押し出すための工具の列となっている。
【0057】
熱硬化反応を不活化し、複合体を硬化するように、所定の形状を有するモールド804を加熱する。このモールドを出る際に、引出しシステム805により、硬化したプロフィルを引出し、カッター806により、所定の長さにカットする。引出成形中に、種々のタイプの加熱機構を利用し、当業者が理解できるように、製品を冷却するよう、種々の冷却ステージを使用することができる。
【0058】
本発明の実施例は、可撓性本体、およびかかる可撓性本体の一部を利用する可撓性パイプの製造にも関する。製造中、製造場所において、バリア層またはライナーのような内側圧力シースを設け、次に、内側圧力シースのまわりに、螺旋状に上記のような複合テープを巻く。テープを巻く際に、圧力外装層を形成するように、隣接するコイルをかみ合わせる。製造場所には、隣接するコイルの一部を一体に溶着するための局部的な加熱を行うための加熱素子、例えば誘導または溶着加熱素子(図示せず)を設けても良い。
【0059】
凹凸ボアの場合には、内側圧力シース内に内側カーカスを設けてもよい。この場合、内側圧力シースは、バリア層を形成する。
【0060】
オプションとして、かみ合った圧力外装層のまわりに、別の複合テープ層を巻いてもよい。この別の補強テープ層は、同一または異なる断面形を有するものとし、外装層のマトリックス材料に、同じマトリックス材料ポリマーを有する、実質的に平らなストリップとすることが好ましい。補強テープの一部を、下方のコイルに溶着するための局部的加熱を行うために、加熱素子を設けてもよい。
【0061】
その後、外側層、例えば張力外装層、絶縁層、および外側支持層を形成してもよい。
【0062】
本発明によれば、複合材料の巻かれたテープとして、圧力外装層を設けることに加え、またはこの層を設けることとは別に、内側圧力シースと同軸となるように、複合材料のテープを巻くことにより、1つ以上の張力外装層を形成できる。張力外装層の断面をかみ合わせることができるが、この断面は、簡単な四角形または円形であることが好ましい。隣接するコイルの部分を、一体となるように溶着または接合してもよい。
【0063】
本明細書の詳細な説明および特許請求の範囲全体にわたり、「含む」、「備える」等の用語およびその用語の変形は、「有するが、これだけに限定されない」ことを意味するものであり、他の部分、添加物、成分、数またはステップを排除するものではない。
【0064】
本明細書の詳細な説明、および特許請求の範囲全体にわたり、特に文脈上必要でない限り、単数の表現は、複数の表現を含むものである。特に、不定詞を使用している場合、本明細書では、文脈上必要でない限り、複数だけでなく、単一のものも含むものである。
【0065】
本発明の特定の様相、実施例と共に説明した特徴事項、数、特性、化合物、化学的数または群は、相容性がない場合を除き、本明細書に説明した他の態様や例にも適用しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】可撓性パイプの本体を示す。
【図2】たるみライザーを示す。
【図3】外装層を形成するのに使用されるテープの断面を示す。
【図4】補強ファイバーが不均一な分布を有するテープの断面を示す。
【図5】かみ合った状態の外装層の隣接するコイルを示す。
【図6】隣接するコイルの突部が、隣接する谷部にどのように嵌合しているか、および狭くなっているネック領域を示す。
【図7】複合フラットテープが重ねられているかみ合いコイルを示す。
【図8】製造方法を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
100 可動性本体
101 基層
102 内側圧力シース
103 圧力外装層
104 テープの層
105 第1張力外装層
106 第2張力外装層
200 ライザー
201 海面下の位置
202 フローティング設備
204 海底
205 可撓性フローライン
206 ジャンパー
301 突部
302 谷部
303 マトリックス材料
304 補強ファイバー
305 下方表面
306 上方表面
308 ショルダー領域
400、401 ファイバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側圧力シースと、
このシースを覆うように、複合材料のテープが巻かれた、少なくとも1つの外装層とを備える、可撓性パイプ用の可撓性本体。
【請求項2】
前記テープは、引出成形された本体部分に、複数の補強ファイバーが設けられている、請求項1に記載の可撓性本体。
【請求項3】
各補強ファイバーは、前記テープに沿って、実質的に長手方向に延びている、請求項2に記載の可撓性本体。
【請求項4】
前記補強ファイバーは、前記テープの断面にわたって、実質的に均一に分布している、請求項2または3に記載の可撓性本体。
【請求項5】
前記補強ファイバーは、外装層内の高応力の領域に対応するテープの領域内に集中している、請求項2または3に記載の可撓性本体。
【請求項6】
複数の前記補強ファイバーは、所定の直径を有し、別の複数の補強ファイバーは、前記所定の直径未満の別の所定の直径を有する、請求項2または3に記載の可撓性本体。
【請求項7】
前記複数のファイバーは、所定の形状を有し、別の複数の補強ファイバーは、所定の形状とは異なる別の所定の形状を有する、請求項2または3に記載の可撓性本体。
【請求項8】
前記複数の補強ファイバーは、第1の材料から形成され、前記複数の別の補強ファイバーは、前記第1材料とは異なる別の材料から形成されている、請求項2または3に記載の可撓性本体。
【請求項9】
前記外装層内の前記テープの隣接するコイルは、互いに係合している、請求項1〜8のいずれか1つに記載の可撓性本体。
【請求項10】
各コイルの少なくとも1つの突部は、前記外装層の隣接するコイルの谷部とかみ合っている請求項9に記載の可撓性本体。
【請求項11】
前記外装層内の前記テープの隣接するコイルの各部分は、一体となるように溶着されている、請求項1〜10のいずれか1つに記載の可撓性本体。
【請求項12】
前記テープの少なくとも1つの領域は、近接領域に対して断面を小とするテープ断面に、狭いネック領域を含んでいる、請求項11に記載の可撓性本体。
【請求項13】
前記狭いネック領域は、前記テープの内側面に設けられた内側に延びるくぼみと、前記テープの外側面上の内側に延びるくぼみとの間に、テープのある領域を備えている、請求項12に記載の可撓性本体。
【請求項14】
前記外装層を覆うように、補強テープ層が巻かれている、請求項14に記載の可撓性本体。
【請求項15】
前記補強テープ層のコイルの一部は、前記外装層のテープの外側面のそれぞれの部分に溶着されている、請求項14に記載の可撓性本体。
【請求項16】
前記外装テープのショルダー領域を除く下方外装層の全頂部表面には、前記溶着された補強テープが溶着されている、請求項15に記載の可撓性本体。
【請求項17】
引出成形された本体部分内に複数の補強ファイバーを有する複合テープを有する、前記補強テープを備える、請求項9または10に記載の可撓性本体。
【請求項18】
前記外装層の前記複合テープのポリマーは、前記補強層の複合テープのポリマーと同じである、請求項17に記載の可撓性本体。
【請求項19】
前記外装層のテープは、実質的にZ字形の断面を有する、請求項1〜18のいずれか1つに記載の可撓性本体。
【請求項20】
前記外装層のテープは、実質的にU字形、S字形、T字形、またはI字形の断面を有する、請求項1〜18のいずれか1つに記載の可撓性本体。
【請求項21】
前記内側圧力シースは、バリア層またはライナーを備える、請求項1〜20のいずれか1つに記載の可撓性本体。
【請求項22】
前記可撓性本体の2つの端部のそれぞれに各々が位置する2つの端部継手を更に備え、前記外装層は、前記端部継手の間に延びる実質的に連続状の層を備えている、請求項1〜21のいずれか1つに記載の可撓性本体を備える可撓性パイプ。
【請求項23】
請求項22に記載の可撓性本体を備えるライザー、ジャンプライン、またはフローライン。
【請求項24】
内側圧力シースの上に複合材料のテープを巻くことにより、この内側圧力シースの上に少なくとも1つの外装層を巻くステップを備える、可撓性パイプの本体の製造方法。
【請求項25】
前記外装層は、かみ合った圧力外装層を備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記外装層は、張力外装層を備える請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記外装層を巻く前に、前記内側圧力シースの下方にカーカスを設けるステップを更に有する請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記外装層の上に外側シースを設けるステップを更に備えている請求項24に記載の方法。
【請求項29】
隣接するコイルの一部を一体に溶着するよう、隣接するコイルの部分を加熱するステップを更に備えている請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記外装層の上に、複合材料の補強テープを巻くステップを更に備えている請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記外装層の一部に、補強テープの一部を溶着するステップを更に備えている請求項30に記載の方法。
【請求項32】
複数の補強ファイバーを設けるステップと、
前記ファイバーに樹脂混合物を含浸させるステップと、
ダイ内で、前記ファイバーおよび樹脂を加熱するステップと、
前記ダイを通過するように、前記ファイバーを連続的に引き出すステップとを備えている、引出成形法によって複合テープを製造する方法。
【請求項33】
前記ダイにより、実質的にZ字状、U字状またはT字状、またはS字状、またはI字状の断面を有するテープを成形するステップを更に備えている請求項32に記載の方法。
【請求項34】
所定の直径を有する複数の補強ファイバー、および前記所定の直径未満の別の所定の直径を有する複数の別の補強ファイバーを更に備えている請求項32に記載の方法。
【請求項35】
所定の形状を有する複数のファイバー、および所定の形状とは異なる別の所定の形状を有する複数の別の補強ファイバーを設けるステップを更に備えている請求項32に記載の方法。
【請求項36】
第1の材料から形成された複数の補強ファイバー、および前記第1材料とは異なる別の材料から形成された複数の別の補強ファイバーを設ける請求項32に記載の方法。
【請求項37】
添付図面を参照して、実質的に上に説明したように構成され、かつ配置されている装置。
【請求項38】
添付図面を参照して、実質的に上に説明したような方法。

【公開番号】特開2009−36371(P2009−36371A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−169980(P2008−169980)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(506256057)ウェルストリーム インターナショナル リミテッド (6)
【Fターム(参考)】