可撓管電線管の製造方法及び製造装置
【課題】 長距離の配管をし、また曲げ部分が多数含まれている場合であっても、通線性に優れた可撓管電線管の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】 加熱手段によって合成樹脂材料を溶融状態にし、ダイノズル2とその管内に填装された内リップ部材3との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型90がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により複数の凹部1aa及び凸部1abを有する管本体1を連続押出成形すると共に、内リップ部材3の内側を通して潤滑剤を供給し、凹部1aa及び凸部1abを成形する際に、前記管本体3の内壁に当接する潤滑剤供給部より、凸部1abに潤滑剤を付着させることを特徴とするものである。
【解決手段】 加熱手段によって合成樹脂材料を溶融状態にし、ダイノズル2とその管内に填装された内リップ部材3との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型90がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により複数の凹部1aa及び凸部1abを有する管本体1を連続押出成形すると共に、内リップ部材3の内側を通して潤滑剤を供給し、凹部1aa及び凸部1abを成形する際に、前記管本体3の内壁に当接する潤滑剤供給部より、凸部1abに潤滑剤を付着させることを特徴とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線やケーブルを敷設する際に先行して配管され、当該電線等の配線に用いられる可撓管電線管の製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場設備やオフィスビルなどでは、その天井や天井裏のケーブルラック上又は床下等に、強電、弱電の電線や情報線等を敷設している。この敷設にあたっては、そのまま電線自体を敷設することもあるが、通常は、当該電線等を保護するために、先行して電線管を配管しておき、その電線管内に当該電線等を通線することが行われている。当該電線管には、鋼板製のものをはじめ、合成樹脂製のものがあり、後者の製造方法としては、例えば、特許文献1(特公昭45-16835号公報)に開示された製造装置を用いるものが知られている。
【0003】
図11(a)は当該製造装置の略図であり、同図に示すように、ダイノズル2からパリソン(成形材料であって、例えば溶融した管状の熱可塑性樹脂)が導出され、ギア、モータ等からなる金型駆動装置9によって駆動されたモールドトラックT内へと供給される。モールドトラックTは、図中の矢印の向きに回転してシャトルループを形成しており、それぞれ他方のモールドトラックTと当接して連動する部分を有している。そして、この当接連動部分において、ダイノズル2から導出されるパリソンを順次挟み込むようにして電線管1を成形している。ダイノズル2等のより詳細な構成は、図11(b)の要部拡大断面図に示す通りであり、当該ダイノズル2の内部には、材料押出通路20が形成され、その通路20内を樹脂材料R(熱可塑性樹脂)が溶融した状態で順に押し出されるようになっている。
【0004】
また、ダイノズル2の内部には、材料押出通路20よりも内側に、ブロー流体Aの流通路4が形成され、当該流通路4は、ダイノズル2の先端部に係合した中空状の支持棒7の、その中空部分と接続されている。モールドトラックTを形成する多数の成形型90は、それぞれ成形面が相対するようチェーン部材等にて一対の帯状に連結されており、モータによって当該チェーン部材と係合するギアを駆動することでシャトルループを形成している。そして、相対する成形型90に対して溶融した樹脂材料Rを導出すると共に、支持棒7に穿設された吹出口から(図示せず)ブロー流体Aを吹き出させ、その溶融した樹脂材料Rを成形型90の成形面に押し付けながらシャトルループを駆動させることで、所望の断面視波状の電線管を連続して成形できる(これを連続押出成形と呼ぶ)。
【0005】
尚、このとき、ブロー流体Aの圧力が低下しないよう、一対の成形型90の間であり、かつ支持棒7の先端部に密閉栓70を設けることにより、所定の圧力空間Sを形成している。このように構成することで、合成樹脂製の電線管を製造することが可能である。ところで、電線管内への電線等の通線につき、通線性が問題になることがある。すなわち、被通線対象である電線管は、工場設備等の空間に合わせて適宜曲げられるため、当該電線管の内壁と電線等との間で摩擦が増大し、時として通線作業は困難を極める場合がある。そこで、かかる通線性をより向上させるために、従来から、種々の発明が提案されるに至っている。
【0006】
例えば、特許文献2(特開昭55-80205号公報)に開示された発明では、コイル巻線性の向上を主目的としているが、電線の被覆上に不飽和脂肪酸エステル等からなる潤滑用被膜を形成することで、当該被覆の摩擦係数を低下させることが開示されている。この発明によれば、電線管の曲げ部分においても、潤滑用被膜を形成しなかった場合に比べて、通線作業の効率が改善されることとなる。しかしながら、当該発明にあっては、電線の被覆上に潤滑用被膜が形成されることになるため、電線管から導出している部分を通線のために引っ張ったり、また当該電線を運搬したりするときに滑りが生じてしまい、却って作業性を低下させる場合もあった。
【0007】
そこで、かかる不具合に鑑みて、電線の被覆上に潤滑被膜を設けるのではなく、被通線対象である電線管内に潤滑被膜を設けることが知られている。例えば、特許文献3(特開2000-13952号公報)に開示された発明では、通線性についても目的の一つに挙げられており、内層の潤滑層に脂肪酸類やシリコン系添加剤を配合することが開示されている。この発明によれば、上述した不具合もなく、通線作業の効率が改善できる。
【特許文献1】特公昭45−16835号公報
【特許文献2】特開昭55−80205号公報
【特許文献3】特開2000−13952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3に記載された発明にあっては、当該電線管の内層表面が平坦であり、それに伴って潤滑層表面も平坦となるため、当該潤滑層と電線との間の接触面積が大きくなる。従って、長距離の配管をし、また曲げ部分が多数含まれている場合には、なお通線性に支障を来たす場合があるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、長距離の配管をし、また曲げ部分が多数含まれている場合であっても、通線性に優れた可撓管電線管の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願の発明者らは、請求項1に対応する手段として、合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造方法であって、加熱手段によって前記合成樹脂材料を溶融状態にし、略管状のノズルとその管内に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形すると共に、前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給し、当該凹部及び凸部を成形する際に、前記管本体の内壁に当接する潤滑剤供給部より、当該凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とするものを提案している。
【0011】
また、請求項2に対応する手段として、合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造方法であって、加熱手段によって前記合成樹脂材料を溶融状態にし、略管状のノズルとその管内に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形すると共に、前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給し、当該凹部及び凸部を成形する際に、前記潤滑剤を混入させた流体を吹き付けることによって、当該凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とするものを提案している。
【0012】
また、請求項3に対応する手段として、合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造方法であって、加熱手段によって前記合成樹脂材料を溶融状態にし、略管状のノズルとその管内に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形すると共に、前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給し、当該内リップ部材の前記モールドトラック側の先端近傍に設けられた小径の潤滑剤供給部から潤滑剤を付着させることを特徴とするものを提案している。
【0013】
また、請求項4に対応する手段として、請求項1記載の可撓電線管の製造方法の手段に対して、ブロー成形により前記管本体を連続押出成形し、ブロー流体による圧力を保持するための密閉栓から潤滑剤を供給して、前記管状部材の内壁と密閉栓との当接面から、前記凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とするものを提案している。
【0014】
また、請求項5に対応する手段として、請求項2の可撓電線管の製造方法の手段に対して、ブロー成形により前記管本体を連続押出成形し、ブロー流体に潤滑剤を混入させて、前記凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とするものを提案している。
【0015】
また、請求項6に対応する手段として、合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造装置であって、前記合成樹脂材料を溶融状態にして押し出す原料供給装置と、その溶融状態の合成樹脂材料を内部に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形するノズルと、当該ノズルから押し出された管状部材を、ブロー成形又はバキューム成形によって前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形するためのモールドトラックと、前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給する潤滑剤供給路と、当該凹部及び凸部を成形する空間に設置されると共に前記管本体の内壁に当接して、前記潤滑剤供給路から供給された潤滑剤を当該管本体の内壁に付着させる潤滑剤供給部と、を備えたことを特徴とするものを提案している。
【0016】
また、請求項7に対応する手段として、合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造装置であって、前記合成樹脂材料を溶融状態にして押し出す原料供給装置と、その溶融状態の合成樹脂材料を内部に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形するノズルと、当該ノズルから押し出された管状部材を、ブロー成形又はバキューム成形によって前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形するためのモールドトラックと、前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給する潤滑剤供給路と、当該凹部及び凸部を成形する空間に設置され、前記潤滑剤供給路から供給された潤滑剤を圧力流体に混入させて、前記管本体の内壁にその混合流体を吹き付ける混合装置と、を備えたことを特徴とするものを提案している。
【0017】
また、請求項8に対応する手段として、合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造装置であって、前記合成樹脂材料を溶融状態にして押し出す原料供給装置と、その溶融状態の合成樹脂材料を内部に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形するノズルと、当該ノズルから押し出された管状部材を、ブロー成形又はバキューム成形によって前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形するためのモールドトラックと、前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給する潤滑剤供給路と、当該内リップ部材の前記モールドトラック側の先端近傍に設けられ、前記潤滑剤供給路から供給された潤滑剤を当該管状部材の内壁に付着させる小径の潤滑剤導出部と、を備えたことを特徴とするものを提案している。
【0018】
また、請求項9に対応する手段として、請求項6の可撓電線管の製造装置の手段に対して、前記モールドトラックは、ブロー成形により前記管本体を連続押出成形するものであり、前記潤滑剤供給部は、ブロー流体による圧力を保持するための密閉栓であることを特徴とするものを提案している。
【0019】
また、請求項10に対応する手段として、請求項7の可撓電線管の製造装置の手段に対して、前記モールドトラックは、ブロー成形により前記管本体を連続押出成形するものであり、前記圧力流体はブロー流体であることを特徴とするものを提案している。
【発明の効果】
【0020】
そして、請求項1乃至請求項10記載の発明では、管状部材の軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を成形できるので、当該管状部材の内壁と線条体との接触面積を小さくすることができる。また、管状部材の内面に対して潤滑剤を付着させているので、当該内壁の構成と相まって、長距離の配管をし、また曲げ部分が多数含まれている場合であっても、良好な通線性を確保することができる可撓管を製造することができる。さらに、潤滑剤の付着の際には、ノズルの内部であって当該材料押出通路の内側を通して潤滑剤を供給しているので、上述の凹部及び凸部の成形の際に、潤滑剤の付着を終了させることができ、以って生産性を向上させることができる。
【0021】
さらに、請求項2及び請求項7記載の発明にあっては、潤滑剤を混入させた流体を吹き付けるので、管状部材の内壁に均一に潤滑剤を付着させることができるという効果を奏する。
【0022】
さらに、請求項3及び請求項8記載の発明にあっては、管状部材の内壁に均一に潤滑剤を付着させることができるという効果を奏する。
【0023】
さらに、請求項4及び請求項9に記載の発明にあっては、管状部材の内側から圧力流体を供給することによって、複数の凹部及び凸部を成形する際に、管状部材の内壁と密閉栓のとの当接面から潤滑剤を付着させるので、管状部材の内壁に均一に潤滑剤を付着させることができると共に、圧力流体の逃げを少なくして成形面への押し付け力を高めることができるという効果を奏する。
【0024】
さらに、請求項5及び請求項10に記載の発明にあっては、管状部材の内側から圧力流体を供給することによって、複数の凹部及び凸部を成形する際に、その圧力流体に潤滑剤を混入させているので、管状部材の内壁に均一に潤滑剤を付着させることができると共に、潤滑剤を付着させるために、別の付着機構等を採用する必要がないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
〔第1の実施の形態〕
次に、上述の解決手段並びにその効果を踏まえて、本発明を実施するに当たって最良の実施の形態について詳細に説明する。まず、本実施形態に係る可撓管1の構成について、図1の断面図を参照して説明すると、同図に示すように、可撓管1は、管状部材である管本体1aとその内壁に付着した潤滑剤層1bとを備えている。管本体1aは、少なくともその内壁に、当該管本体1aの軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部1aa及び凸部1abを有している。同図の例では、外壁にも凹部1ac及び凸部1adを有しているが、可撓性を考慮したためであって、必須の構成ではない。当該管本体1aの材質は、合成樹脂製であり、一例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、硬質塩化ビニル、ポリアミド等が用いられる。
【0026】
一方、上述の潤滑剤層1bは、少なくとも管本体1aの内壁に形成された凸部1abに付着されている。同図の例では、凹部1aaにも均一に形成されているが、これは当該凹部1aaの開口面積が大きく、通線の際、電線等の先端部がその凹部に入り込んだ場合に、容易に外れること等を考慮したためであって、必須の構成ではない。潤滑剤層1bを構成する潤滑剤は、管本体1aの内壁に形成された凸部1abと、管内に挿通される線条体との間の摩擦力を低減させるものであれば足り、特に限定する趣旨ではないが、例えば、シリコーンオイル等の液状潤滑剤をはじめ、四フッ化エチレン、タルク、脂肪酸アミド等の脂肪酸類、二酸化モリブデン等の粉状潤滑剤が用いられる。尚、線条体とは、可撓管1内に挿通される線状のもので、例えば、電線、ケーブル等をいう。
【0027】
以上のように、本実施形態の可撓管1にあっては、当該可撓管1の内壁に、その可撓管1の軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部1aa及び凸部1abを有しているので、特許文献3に記載された発明のような平坦な内壁ではない。従って、当該内壁と線条体との接触面積は小さく、以って摩擦力を低下させることができる。また、少なくともそれらの凸部1abに潤滑剤が付着させてあるので、上述の内壁の構成と相まって、当該凸部1abにおける摩擦力は低くなる。従って、長距離の配管や、曲げ部分が多数に渡るような場合であっても、良好な通線性が得られる。
【0028】
次に、上述の可撓管1の製造方法を説明するにあたり、本実施形態に係る製造装置の構成について図2を参照して説明する。図2は、当該製造装置の要部断面図であって、モールドトラックを駆動する金型駆動装置9や、樹脂材料Rをダイノズル2へ供給する原料供給装置10等の一部構成については、ブロック図で示したものである。
【0029】
まず、本実施形態における製造装置が従来のものと異なり、特徴を有するのは、潤滑剤層1bを形成するための液状潤滑剤L(例えば、シリコーンオイル等)を供給する液送装置13と、その液送装置13に接続され、ダイノズル2の内部であって、材料押出通路20よりも内側に形成される潤滑剤供給路5と、流通路4から供給されるブロー流体A(圧力流体)及び潤滑剤供給路5から供給される液状潤滑剤Lを混合させ、圧力空間S内へと吹き出させる混合装置6とを新たに備えた点である。そして、これらの構成を採用したことで、連続押出ブロー成形により、当該可撓管1の軸方向に沿って複数の凹部及び凸部からなる略波形状を形成可能であると共に、ブロー流体Aに潤滑剤が混合されているので、潤滑剤を効率良く均一に当該管の内壁に付着させることができる。
【0030】
以下、当該製造装置の各部について詳細に説明する。ダイノズル2は、複数の成形型90から構成されるモールドトラックに、パリソン(成形材料)、詳しくは溶融状態の樹脂材料Rを管状部材に成形して供給する装置であって、略管状に形成されている。その管内には、同様に略管状からなる内リップ部材3が、当該ダイノズル2の内壁と所定の間隙を有するよう、圧力空間Sと反対側の端部を固定して(固定手段は図示せず)、片持ち梁状に填装されている。そして、当該間隙が、成形型90と密閉栓70とで形成される圧力空間Sへ、可撓管1を形成する樹脂材料Rを供給するための材料押出通路20となっている。内リップ部材3の管内は、ブロー流体Aの流通路4を挿嵌する流通路保持孔30となっており、成形型90側の端部には、当該材料押出通路20を狭める絞り部31が突設されている。流通路4は、ブロー流体Aを圧力空間Sへと供給する管体であって、その内部には、液状潤滑剤Lを供給する潤滑剤供給路5が形成されている。
【0031】
また、上述の内リップ部材3の絞り部31側の先端には、略円柱状の混合装置6(押付装置、潤滑剤付着装置に相当)が、相対する成形型90によって形成される空間内に位置するように係合されており、当該混合装置6は、流通路4の先端が挿嵌される流通路導入孔60と、その導入孔60と連設され、流通路4から供給されるブロー流体Aに、潤滑剤供給路5から供給される液状潤滑剤Lを混合させる混合部61と、その混合部61にて混合された混合流体A1を吹き出させる吹出孔62とを具備している。当該混合装置6の構成につき、図3(a)の混合装置6の周囲を示す要部断面図及び、同図(a)のA方向矢視図を示す図3(b)を参照して、より詳しく説明すると、次の通りである。まず、図3(a)に示すように、流通路導入孔60は孔径Eからなるのに対し、混合部61の孔径Fは当該孔径Eよりも小さくなるように構成されている。また、流通路4の先端からは、混合部61内に所定距離分、潤滑剤供給路5が延設されている。
【0032】
そして、このように構成された混合部61に、潤滑剤供給路5から液状潤滑剤Lを供給しつつ、流通路4からブロー流体Aを吹き出させることによって、当該液状潤滑剤Lが微粒化し、ブロー流体Aにその液状潤滑剤Lが混合された霧状の混合流体A1を生成させる。吹出孔62は、図3(b)に示すように、当該混合部61の軸中心から表面に渡って放射状に多数形成されており、管本体1aの内壁に効率良く霧状とするためには、当該吹出孔62の孔数nにその吹出孔62の孔径dを乗じた値が、混合部61の紙面方向(管本体1aの軸方向と垂直な方向)の断面積(円周率に孔径Fの自乗を乗じて4で叙した値)よりも小さくなるような関係とすれば良い。ところで、図2に示すように、混合装置6の先端部には支持棒7が係合しており、当該支持棒7の先端部には、圧力空間S内に向って先端部が円錐台形状をした略円柱状の密閉栓70が設けられている。そして、モールドトラックを形成する複数の成形型90と密閉栓70等との間には、ブロー流体Aによって所定圧力の圧力空間Sが形成される。
【0033】
制御装置8は、例えばパソコン等の中央演算処理装置であって、モールドトラックを駆動する金型駆動装置9と、可撓管1の樹脂材料Rを供給する原料供給装置10と、ブロー流体Aを発生させる送風装置11と、液状潤滑剤を供給する液送装置13と接続されている。これらの各部について説明すると、金型駆動装置9は、モールドトラックの駆動手段であって、ギア、減速器、モータ、モータドライバ等から構成されている。原料供給装置10は、加熱手段とホッパを備えており、当該ホッパ内に蓄えられた樹脂材料Rを加熱して溶融状態とし、スクリューシャフト等の搬送手段にて材料押出通路20内に押し出す装置である。送風装置11は、エアーコンプレッサーであって、圧縮したブロー流体Aを、風量センサ12を介して流通路4へと送風する。液送装置13は、液量センサ14を介して、潤滑剤層1bを形成するための潤滑剤を潤滑剤供給路5へと供給する。尚、風量センサ12、液量センサ14の情報は、制御装置8へと出力され、送風装置11等の制御に利用される。
【0034】
また、モールドトラックを形成する上述の成形型90には、管本体1aの外壁の半分、すなわち紙面方向(管本体1aの軸方向と垂直な方向)の断面視略半円状をしており、その半円状の表面には、凹部及び凸部が設けられている。そして、相対する一対の成形型90同士が当接することで、管本体1aの周壁に相当する型が形成され、その型に向ってパリソン、すなわち溶融した樹脂材料Rを供給しつつ、当該樹脂材料Rを、混合流体A1によって成形型90の成形面に押し付けることで、所定の形状に成形することができる。尚、成形型90は、一般に冷却装置(図示せず)によって、冷却されており、溶融した樹脂材料Rを凝固させるようになっている。
【0035】
以上の構成を踏まえて、本実施形態の製造方法について説明すると、次の通りである。まず制御装置8は、金型駆動装置9に対して、モールドトラックを構成する成形型90のシャトルループを開始させるよう制御指令を出力し、原料供給装置10に対して、材料押出通路20に樹脂材料Rを押し出すよう同指令を出力する。また、制御装置8は、送風装置11に対して、ブロー流体Aを流通路4に供給するよう出力し、液送装置13に対して、液状潤滑剤Lを潤滑剤供給路5に供給するよう出力する。上述の原料供給装置10から供給された樹脂材料Rは、材料押出通路20内を押し出されて、圧力空間S内へと導出される。
【0036】
このとき、混合装置6にて、送風装置11から供給されたブロー流体Aに、液送装置13から供給された液状潤滑剤Lが混合され、その混合流体A1が同じく圧力空間S内へと吹き出される。そして、その混合流体A1によって発生する圧力によって、導出された樹脂材料Rが成形型90へと押し付けられ、当該成形型90に形成された凹部及び凸部に沿って、管本体1aの形状が成形される。また、当該混合流体A1には、液状潤滑剤Lが含まれているので、管本体1aの内壁に、潤滑剤層1bが形成される。このように、モールドトラックのシャトルループに従って、潤滑剤層1bを具備した可撓管1を連続して成形することができる。
〔第2の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図4を参照して説明する。図4は、当該製造装置の要部断面図であって、上述の実施形態と同様にして、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が上述の実施形態と異なり、特徴を有するのは、液送装置13の代わりに、粉末潤滑剤P(例えば、上述したタルク、四フッ化エチレンなど)を供給する粉体供給装置15を具備している点である。粉体供給装置15は、圧力空間S内に粉末潤滑剤Pを供給するための装置であって、具体的には、潤滑剤供給路5の内部に粉体搬送用のスクリューシャフトを回動自在に設けてあり、制御装置8からの制御指令に基づいて、当該スクリューシャフトを回転させて、混合装置6(押付装置、潤滑剤付着装置に相当)へと当該粉末潤滑剤Pを送るようになっている。そして、混合装置6にて、粉末潤滑剤Pをブロー流体A(圧力流体)に混合させて、その混合流体A2を管本体1aの内壁に吹き付けることで、その内壁に潤滑剤層1bを形成することができる。尚、その他の構成、動作については、上述の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
〔第3の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図5を参照して説明する。図5は、当該製造装置の要部断面図であって、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が第1の実施形態と異なり、特徴を有するのは、混合装置6の代わりにブロー流体供給部16(押付装置に相当)が設けられ、また密閉栓7の代わりに潤滑剤供給路710を具備した密閉栓71(潤滑剤付着装置に相当)が設けられ、さらに潤滑剤供給路5が当該ブロー流体供給部16、支持棒7内部を通して、密閉栓71に設けられた当該潤滑剤供給路710に接続されている点である。上述のブロー流体供給部16は、流通路4の先端が挿嵌される流通路導入孔160と、その導入孔160の孔径よりも狭く形成された絞り部161と、その絞り部161を通過したブロー流体A(圧力流体)を吹き出させる吹出孔162とを備えている。
【0037】
ブロー流体供給装置16の先端部には、上述の実施形態における混合装置6と同様にして、支持棒7が取り付けられており、さらにその支持棒7には密閉栓71が取り付けられている。本実施形態における支持棒7は、中空部材から構成され、その中空部分には、ブロー流体供給装置16を介して延設された潤滑剤供給路5が挿嵌されている。そして、当該潤滑剤供給路5は、密閉栓71に設けられた潤滑剤供給路710と接続されている。潤滑剤供給路710は、当該密閉栓71の軸中心から表面に渡って、紙面方向(管本体1aの軸方向と垂直な方向)に放射状に多数形成されており、管本体1aの内壁の略全てに液状潤滑剤Lが供給されるようになっている。
【0038】
このように、連続押出ブロー成形に用いる密閉栓から潤滑剤を漏出させて、当該管の内壁に付着させているので、管本体1aの内壁の凸部の構成と相まって、長距離の配管をし、また曲げ部分が多数含まれている場合であっても、良好な通線性を確保できる。また、潤滑剤を連続押出ブロー成形に用いる密閉栓から漏出させているので、管の内壁に均一に付着させることができると共に、ブロー流体の逃げを少なくして、圧力を高めることができる。尚、その他の構成、動作については、第1の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
〔第4の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図6を参照して説明する。図6は、当該製造装置の要部断面図であって、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が第1の実施形態と異なり、特徴を有するのは、混合装置6の代わりにブロー流体供給部17(押付装置に相当)が設けられ、また潤滑剤供給路5の圧力空間S側の先端部が絞り部31の近傍に位置し、その先端部に、材料押出通路20に開口する潤滑剤供給路50(潤滑剤付着装置に相当)が設けられ、さらに潤滑剤供給路50よりも圧力空間S側の絞り部31が、潤滑剤を供給すべくその外径を小さくした潤滑剤導出部310となっている点である。ブロー流体供給部17は、第3の実施形態におけるブロー流体供給部16と比較して、圧力空間S側の端部に潤滑剤供給路5を挿通させる開口を具備していないが、その他の構成は同様である。また、潤滑剤供給路50は、内リップ部材3の軸中心から絞り部31の表面に渡って、紙面方向(管本体1aの軸方向と垂直な方向)に放射状に多数形成されており、ブロー成形される前の管本体1aの内壁の略全てに液状潤滑剤Lが供給されるようになっている。
【0039】
このように、潤滑剤を当該管の内壁に付着させた後、連続押出ブロー成形により、軸方向に沿って複数の凹部及び凸部からなる略波形状を形成しているので、当該内壁と線条体との接触面積を小さくでき、長距離の配管をし、また曲げ部分が多数含まれている場合であっても、良好な通線性を確保できる可撓管を製造できる。また、ブロー成形前の潤滑剤の付着により、仮にその付着に偏りが生じたとしても、ブロー成形時におけるブロー流体の当該圧力によって当該管の内壁に潤滑剤を均一に付着させることができる。尚、その他の構成、動作については、第1の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
〔第5の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図7を参照して説明する。図7は、当該製造装置の要部断面図であって、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が第1の実施形態と異なり、特徴を有するのは、まずブロー成形ではなく、バキューム成形を採用している点にある。具体的には、成形型90の代わりに、減圧吸引機構を具備した成形型91(減圧吸引機構が押付装置に相当)を設け、その成形型91に接続されたバキューム管190と、当該管190内における流体の圧力計測値を制御装置8へと出力する圧力センサ19と、その圧力センサ19を介してバキューム管190に接続され、制御装置8の制御指令によって動作するバキューム装置18とを新たに設けている。
【0040】
また、送風装置11からは、管本体1aに凹凸を形成することができる高圧のブロー流体Aではなく、当該管本体1aの内壁に潤滑剤層1bを形成するために、液状潤滑剤Lを霧状にできる程度の圧力をもった圧縮流体A3が送風されている(混合装置6は、潤滑剤付着装置に相当)。さらに、図示の通り、圧力空間Sを形成するために用いられていた密閉栓7や、混合装置6の先端部に係合していた支持棒7が、バキューム成形を採用したことによって、必須の構成ではなくなったため用いられていない。尚、圧縮流体A3を用いるとして説明したが、ブロー流体Aを併用することを妨げる趣旨ではない。
【0041】
而して、その動作について説明すると、次の通りである。まず、第1の実施形態と同様にして、制御装置8は、金型駆動装置9、原料供給装置10、送風装置11、液送装置13に対して制御指令を出力して、モールドトラックのシャトルループ等を動作させる。一方、本実施形態の制御装置8は、バキューム装置18に対しても制御指令を出力する。上述の原料供給装置10から供給された樹脂材料Rは、第1の実施形態と略同様にして、材料押出通路20内を押し出され、モールドトラックを構成する成形型91の成形面へと導出される。そして、バキューム装置18により、バキューム管190を介して、成形型91の減圧吸引機構を動作させることで、その導出された樹脂材料Rを、当該成形型91へと吸い付け、その成形型91に形成された凹部及び凸部に沿って、管本体1aの形状が成形される。
【0042】
このとき、混合装置6にて、送風装置11から供給された圧縮流体A3に、液送装置13から供給された液状潤滑剤Lが混合され、その混合流体A4が管本体1aの内壁へと吹き付けられ、当該管本体1aの内壁に潤滑剤層1bが形成される。このように、モールドトラックのシャトルループに従って、潤滑剤層1bを具備した可撓管1を連続して成形することができる。尚、その他の構成、動作については、第1の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
〔第6の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図8を参照して説明する。図8は、当該製造装置の要部断面図であって、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が第5の実施形態と異なり、特徴を有するのは、第2の実施形態に相当する構成を採用したこと、すなわち液送装置13の代わりに、粉末潤滑剤Pを供給する粉体供給装置15を備えている点である。粉体供給装置15は、第2の実施形態と同様のものであり、潤滑剤供給路5の内部に粉体搬送用のスクリューシャフトを回動自在に設け、制御装置8からの制御指令に基づいて、当該スクリューシャフトを回転させて、混合装置6へと当該粉末潤滑剤Pを送るものである。そして、混合装置6にて、粉末潤滑剤Pを圧縮流体A3に混合させて、その混合流体A5を管本体1aの内壁に吹き付けることで、その内壁に潤滑剤層1bを形成することができる。尚、その他の構成、動作については、第5の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
〔第7の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図9を参照して説明する。図9は、当該製造装置の要部断面図であって、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が第5の実施形態と異なり、特徴を有するのは、内リップ部材3の代わりに、管内が潤滑剤供給路5を挿嵌する供給路保持孔30Aとなっている点で相違する内リップ部材3Aが用いられ、その内リップ部材3Aの成形型91側の先端には支持棒7が係合しており、当該支持棒7の先端部には、管本体1aの内壁に当接し、内リップ部材3A側に向って先端部が円錐台形状をした略円柱状の潤滑剤供給部71A(潤滑剤付着装置に相当)が設けられている点である。また、本実施形態にあっては、この潤滑剤供給部71Aがあるため、混合装置6が用いられていない。
【0043】
上述の支持棒7は中空部材から構成され、その中空部分には、内リップ部材3Aからさらに延設された潤滑剤供給路5が挿嵌されている。潤滑剤供給路5は、潤滑剤供給部71Aに設けられた潤滑剤供給路710Aと接続されている。潤滑剤供給路710Aは、当該潤滑剤供給部71Aの軸中心から表面に渡って、紙面方向(管本体1aの軸方向と垂直な方向)に放射状に多数形成されており、管本体1aの内壁の略全てに液状潤滑剤Lが供給されるようになっている。このように、潤滑剤供給部71Aを設けて潤滑剤を漏出させて、当該管の内壁に付着させているので、管本体1aの内壁の凸部1abの構成と相まって、長距離の配管をし、また曲げ部分が多数含まれている場合であっても、良好な通線性を確保できる。尚、その他の構成、動作については、第5の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
〔第8の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図10を参照して説明する。図10は、当該製造装置の要部断面図であって、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が第5の実施形態と異なり、特徴を有するのは、内リップ部材3の代わりに、管内が潤滑剤供給路5を挿嵌する供給路保持孔30Aとなっている点で相違する内リップ部材3Aが用いられ、潤滑剤供給路5の成形型91側の先端部が絞り部31の近傍に位置し、その先端部に、材料押出通路20に開口する潤滑剤供給路50が設けられ、さらに潤滑剤供給路50よりも成形型91側の絞り部31が、潤滑剤を供給すべくその外径を小さくした潤滑剤導出部310となっている点である。この潤滑剤供給路50は、内リップ部材3Aの軸中心から絞り部31の表面に渡って、紙面方向(管本体1aの軸方向と垂直な方向)に放射状に多数形成されており、バキューム成形される前の管本体1aの内壁の略全てに液状潤滑剤Lを供給する。また、本実施形態にあっては、潤滑剤供給路50があるため、混合装置6が用いられていない。尚、その他の構成、動作については、第5の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る可撓管電線管の構造を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図3】図(a)は、本発明に係る混合装置6の周囲を示す要部断面図であり、図(b)は、図(a)のA方向矢視図を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図5】第3の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図6】第4の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図7】第5の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図8】第6の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図9】第7の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図10】第8の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図11】図(a)は、波付管の連続押出ブロー成形機の断面図であり、図(b)は、その要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1a 管本体
1aa 凹部
1ab 凸部
1b 潤滑剤層
2 ダイノズル
3 内リップ部材
10 原料供給装置(加熱手段を具備)
16 ブロー流体供給部(押付装置)
17 ブロー流体供給部(押付装置)
2 ノズル(ダイノズル)
20 材料押出通路
50 潤滑剤供給路(潤滑剤付着装置)
6 混合装置(潤滑剤付着装置、第1、2実施形態にあっては押付装置も兼ねる)
71 密閉栓(潤滑剤付着装置)
71A 密閉栓(潤滑剤付着装置)
90 成形型
91 成形型(減圧吸引機構が押付装置に相当)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線やケーブルを敷設する際に先行して配管され、当該電線等の配線に用いられる可撓管電線管の製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場設備やオフィスビルなどでは、その天井や天井裏のケーブルラック上又は床下等に、強電、弱電の電線や情報線等を敷設している。この敷設にあたっては、そのまま電線自体を敷設することもあるが、通常は、当該電線等を保護するために、先行して電線管を配管しておき、その電線管内に当該電線等を通線することが行われている。当該電線管には、鋼板製のものをはじめ、合成樹脂製のものがあり、後者の製造方法としては、例えば、特許文献1(特公昭45-16835号公報)に開示された製造装置を用いるものが知られている。
【0003】
図11(a)は当該製造装置の略図であり、同図に示すように、ダイノズル2からパリソン(成形材料であって、例えば溶融した管状の熱可塑性樹脂)が導出され、ギア、モータ等からなる金型駆動装置9によって駆動されたモールドトラックT内へと供給される。モールドトラックTは、図中の矢印の向きに回転してシャトルループを形成しており、それぞれ他方のモールドトラックTと当接して連動する部分を有している。そして、この当接連動部分において、ダイノズル2から導出されるパリソンを順次挟み込むようにして電線管1を成形している。ダイノズル2等のより詳細な構成は、図11(b)の要部拡大断面図に示す通りであり、当該ダイノズル2の内部には、材料押出通路20が形成され、その通路20内を樹脂材料R(熱可塑性樹脂)が溶融した状態で順に押し出されるようになっている。
【0004】
また、ダイノズル2の内部には、材料押出通路20よりも内側に、ブロー流体Aの流通路4が形成され、当該流通路4は、ダイノズル2の先端部に係合した中空状の支持棒7の、その中空部分と接続されている。モールドトラックTを形成する多数の成形型90は、それぞれ成形面が相対するようチェーン部材等にて一対の帯状に連結されており、モータによって当該チェーン部材と係合するギアを駆動することでシャトルループを形成している。そして、相対する成形型90に対して溶融した樹脂材料Rを導出すると共に、支持棒7に穿設された吹出口から(図示せず)ブロー流体Aを吹き出させ、その溶融した樹脂材料Rを成形型90の成形面に押し付けながらシャトルループを駆動させることで、所望の断面視波状の電線管を連続して成形できる(これを連続押出成形と呼ぶ)。
【0005】
尚、このとき、ブロー流体Aの圧力が低下しないよう、一対の成形型90の間であり、かつ支持棒7の先端部に密閉栓70を設けることにより、所定の圧力空間Sを形成している。このように構成することで、合成樹脂製の電線管を製造することが可能である。ところで、電線管内への電線等の通線につき、通線性が問題になることがある。すなわち、被通線対象である電線管は、工場設備等の空間に合わせて適宜曲げられるため、当該電線管の内壁と電線等との間で摩擦が増大し、時として通線作業は困難を極める場合がある。そこで、かかる通線性をより向上させるために、従来から、種々の発明が提案されるに至っている。
【0006】
例えば、特許文献2(特開昭55-80205号公報)に開示された発明では、コイル巻線性の向上を主目的としているが、電線の被覆上に不飽和脂肪酸エステル等からなる潤滑用被膜を形成することで、当該被覆の摩擦係数を低下させることが開示されている。この発明によれば、電線管の曲げ部分においても、潤滑用被膜を形成しなかった場合に比べて、通線作業の効率が改善されることとなる。しかしながら、当該発明にあっては、電線の被覆上に潤滑用被膜が形成されることになるため、電線管から導出している部分を通線のために引っ張ったり、また当該電線を運搬したりするときに滑りが生じてしまい、却って作業性を低下させる場合もあった。
【0007】
そこで、かかる不具合に鑑みて、電線の被覆上に潤滑被膜を設けるのではなく、被通線対象である電線管内に潤滑被膜を設けることが知られている。例えば、特許文献3(特開2000-13952号公報)に開示された発明では、通線性についても目的の一つに挙げられており、内層の潤滑層に脂肪酸類やシリコン系添加剤を配合することが開示されている。この発明によれば、上述した不具合もなく、通線作業の効率が改善できる。
【特許文献1】特公昭45−16835号公報
【特許文献2】特開昭55−80205号公報
【特許文献3】特開2000−13952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3に記載された発明にあっては、当該電線管の内層表面が平坦であり、それに伴って潤滑層表面も平坦となるため、当該潤滑層と電線との間の接触面積が大きくなる。従って、長距離の配管をし、また曲げ部分が多数含まれている場合には、なお通線性に支障を来たす場合があるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、長距離の配管をし、また曲げ部分が多数含まれている場合であっても、通線性に優れた可撓管電線管の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願の発明者らは、請求項1に対応する手段として、合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造方法であって、加熱手段によって前記合成樹脂材料を溶融状態にし、略管状のノズルとその管内に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形すると共に、前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給し、当該凹部及び凸部を成形する際に、前記管本体の内壁に当接する潤滑剤供給部より、当該凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とするものを提案している。
【0011】
また、請求項2に対応する手段として、合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造方法であって、加熱手段によって前記合成樹脂材料を溶融状態にし、略管状のノズルとその管内に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形すると共に、前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給し、当該凹部及び凸部を成形する際に、前記潤滑剤を混入させた流体を吹き付けることによって、当該凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とするものを提案している。
【0012】
また、請求項3に対応する手段として、合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造方法であって、加熱手段によって前記合成樹脂材料を溶融状態にし、略管状のノズルとその管内に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形すると共に、前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給し、当該内リップ部材の前記モールドトラック側の先端近傍に設けられた小径の潤滑剤供給部から潤滑剤を付着させることを特徴とするものを提案している。
【0013】
また、請求項4に対応する手段として、請求項1記載の可撓電線管の製造方法の手段に対して、ブロー成形により前記管本体を連続押出成形し、ブロー流体による圧力を保持するための密閉栓から潤滑剤を供給して、前記管状部材の内壁と密閉栓との当接面から、前記凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とするものを提案している。
【0014】
また、請求項5に対応する手段として、請求項2の可撓電線管の製造方法の手段に対して、ブロー成形により前記管本体を連続押出成形し、ブロー流体に潤滑剤を混入させて、前記凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とするものを提案している。
【0015】
また、請求項6に対応する手段として、合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造装置であって、前記合成樹脂材料を溶融状態にして押し出す原料供給装置と、その溶融状態の合成樹脂材料を内部に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形するノズルと、当該ノズルから押し出された管状部材を、ブロー成形又はバキューム成形によって前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形するためのモールドトラックと、前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給する潤滑剤供給路と、当該凹部及び凸部を成形する空間に設置されると共に前記管本体の内壁に当接して、前記潤滑剤供給路から供給された潤滑剤を当該管本体の内壁に付着させる潤滑剤供給部と、を備えたことを特徴とするものを提案している。
【0016】
また、請求項7に対応する手段として、合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造装置であって、前記合成樹脂材料を溶融状態にして押し出す原料供給装置と、その溶融状態の合成樹脂材料を内部に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形するノズルと、当該ノズルから押し出された管状部材を、ブロー成形又はバキューム成形によって前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形するためのモールドトラックと、前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給する潤滑剤供給路と、当該凹部及び凸部を成形する空間に設置され、前記潤滑剤供給路から供給された潤滑剤を圧力流体に混入させて、前記管本体の内壁にその混合流体を吹き付ける混合装置と、を備えたことを特徴とするものを提案している。
【0017】
また、請求項8に対応する手段として、合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造装置であって、前記合成樹脂材料を溶融状態にして押し出す原料供給装置と、その溶融状態の合成樹脂材料を内部に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形するノズルと、当該ノズルから押し出された管状部材を、ブロー成形又はバキューム成形によって前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形するためのモールドトラックと、前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給する潤滑剤供給路と、当該内リップ部材の前記モールドトラック側の先端近傍に設けられ、前記潤滑剤供給路から供給された潤滑剤を当該管状部材の内壁に付着させる小径の潤滑剤導出部と、を備えたことを特徴とするものを提案している。
【0018】
また、請求項9に対応する手段として、請求項6の可撓電線管の製造装置の手段に対して、前記モールドトラックは、ブロー成形により前記管本体を連続押出成形するものであり、前記潤滑剤供給部は、ブロー流体による圧力を保持するための密閉栓であることを特徴とするものを提案している。
【0019】
また、請求項10に対応する手段として、請求項7の可撓電線管の製造装置の手段に対して、前記モールドトラックは、ブロー成形により前記管本体を連続押出成形するものであり、前記圧力流体はブロー流体であることを特徴とするものを提案している。
【発明の効果】
【0020】
そして、請求項1乃至請求項10記載の発明では、管状部材の軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を成形できるので、当該管状部材の内壁と線条体との接触面積を小さくすることができる。また、管状部材の内面に対して潤滑剤を付着させているので、当該内壁の構成と相まって、長距離の配管をし、また曲げ部分が多数含まれている場合であっても、良好な通線性を確保することができる可撓管を製造することができる。さらに、潤滑剤の付着の際には、ノズルの内部であって当該材料押出通路の内側を通して潤滑剤を供給しているので、上述の凹部及び凸部の成形の際に、潤滑剤の付着を終了させることができ、以って生産性を向上させることができる。
【0021】
さらに、請求項2及び請求項7記載の発明にあっては、潤滑剤を混入させた流体を吹き付けるので、管状部材の内壁に均一に潤滑剤を付着させることができるという効果を奏する。
【0022】
さらに、請求項3及び請求項8記載の発明にあっては、管状部材の内壁に均一に潤滑剤を付着させることができるという効果を奏する。
【0023】
さらに、請求項4及び請求項9に記載の発明にあっては、管状部材の内側から圧力流体を供給することによって、複数の凹部及び凸部を成形する際に、管状部材の内壁と密閉栓のとの当接面から潤滑剤を付着させるので、管状部材の内壁に均一に潤滑剤を付着させることができると共に、圧力流体の逃げを少なくして成形面への押し付け力を高めることができるという効果を奏する。
【0024】
さらに、請求項5及び請求項10に記載の発明にあっては、管状部材の内側から圧力流体を供給することによって、複数の凹部及び凸部を成形する際に、その圧力流体に潤滑剤を混入させているので、管状部材の内壁に均一に潤滑剤を付着させることができると共に、潤滑剤を付着させるために、別の付着機構等を採用する必要がないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
〔第1の実施の形態〕
次に、上述の解決手段並びにその効果を踏まえて、本発明を実施するに当たって最良の実施の形態について詳細に説明する。まず、本実施形態に係る可撓管1の構成について、図1の断面図を参照して説明すると、同図に示すように、可撓管1は、管状部材である管本体1aとその内壁に付着した潤滑剤層1bとを備えている。管本体1aは、少なくともその内壁に、当該管本体1aの軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部1aa及び凸部1abを有している。同図の例では、外壁にも凹部1ac及び凸部1adを有しているが、可撓性を考慮したためであって、必須の構成ではない。当該管本体1aの材質は、合成樹脂製であり、一例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、硬質塩化ビニル、ポリアミド等が用いられる。
【0026】
一方、上述の潤滑剤層1bは、少なくとも管本体1aの内壁に形成された凸部1abに付着されている。同図の例では、凹部1aaにも均一に形成されているが、これは当該凹部1aaの開口面積が大きく、通線の際、電線等の先端部がその凹部に入り込んだ場合に、容易に外れること等を考慮したためであって、必須の構成ではない。潤滑剤層1bを構成する潤滑剤は、管本体1aの内壁に形成された凸部1abと、管内に挿通される線条体との間の摩擦力を低減させるものであれば足り、特に限定する趣旨ではないが、例えば、シリコーンオイル等の液状潤滑剤をはじめ、四フッ化エチレン、タルク、脂肪酸アミド等の脂肪酸類、二酸化モリブデン等の粉状潤滑剤が用いられる。尚、線条体とは、可撓管1内に挿通される線状のもので、例えば、電線、ケーブル等をいう。
【0027】
以上のように、本実施形態の可撓管1にあっては、当該可撓管1の内壁に、その可撓管1の軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部1aa及び凸部1abを有しているので、特許文献3に記載された発明のような平坦な内壁ではない。従って、当該内壁と線条体との接触面積は小さく、以って摩擦力を低下させることができる。また、少なくともそれらの凸部1abに潤滑剤が付着させてあるので、上述の内壁の構成と相まって、当該凸部1abにおける摩擦力は低くなる。従って、長距離の配管や、曲げ部分が多数に渡るような場合であっても、良好な通線性が得られる。
【0028】
次に、上述の可撓管1の製造方法を説明するにあたり、本実施形態に係る製造装置の構成について図2を参照して説明する。図2は、当該製造装置の要部断面図であって、モールドトラックを駆動する金型駆動装置9や、樹脂材料Rをダイノズル2へ供給する原料供給装置10等の一部構成については、ブロック図で示したものである。
【0029】
まず、本実施形態における製造装置が従来のものと異なり、特徴を有するのは、潤滑剤層1bを形成するための液状潤滑剤L(例えば、シリコーンオイル等)を供給する液送装置13と、その液送装置13に接続され、ダイノズル2の内部であって、材料押出通路20よりも内側に形成される潤滑剤供給路5と、流通路4から供給されるブロー流体A(圧力流体)及び潤滑剤供給路5から供給される液状潤滑剤Lを混合させ、圧力空間S内へと吹き出させる混合装置6とを新たに備えた点である。そして、これらの構成を採用したことで、連続押出ブロー成形により、当該可撓管1の軸方向に沿って複数の凹部及び凸部からなる略波形状を形成可能であると共に、ブロー流体Aに潤滑剤が混合されているので、潤滑剤を効率良く均一に当該管の内壁に付着させることができる。
【0030】
以下、当該製造装置の各部について詳細に説明する。ダイノズル2は、複数の成形型90から構成されるモールドトラックに、パリソン(成形材料)、詳しくは溶融状態の樹脂材料Rを管状部材に成形して供給する装置であって、略管状に形成されている。その管内には、同様に略管状からなる内リップ部材3が、当該ダイノズル2の内壁と所定の間隙を有するよう、圧力空間Sと反対側の端部を固定して(固定手段は図示せず)、片持ち梁状に填装されている。そして、当該間隙が、成形型90と密閉栓70とで形成される圧力空間Sへ、可撓管1を形成する樹脂材料Rを供給するための材料押出通路20となっている。内リップ部材3の管内は、ブロー流体Aの流通路4を挿嵌する流通路保持孔30となっており、成形型90側の端部には、当該材料押出通路20を狭める絞り部31が突設されている。流通路4は、ブロー流体Aを圧力空間Sへと供給する管体であって、その内部には、液状潤滑剤Lを供給する潤滑剤供給路5が形成されている。
【0031】
また、上述の内リップ部材3の絞り部31側の先端には、略円柱状の混合装置6(押付装置、潤滑剤付着装置に相当)が、相対する成形型90によって形成される空間内に位置するように係合されており、当該混合装置6は、流通路4の先端が挿嵌される流通路導入孔60と、その導入孔60と連設され、流通路4から供給されるブロー流体Aに、潤滑剤供給路5から供給される液状潤滑剤Lを混合させる混合部61と、その混合部61にて混合された混合流体A1を吹き出させる吹出孔62とを具備している。当該混合装置6の構成につき、図3(a)の混合装置6の周囲を示す要部断面図及び、同図(a)のA方向矢視図を示す図3(b)を参照して、より詳しく説明すると、次の通りである。まず、図3(a)に示すように、流通路導入孔60は孔径Eからなるのに対し、混合部61の孔径Fは当該孔径Eよりも小さくなるように構成されている。また、流通路4の先端からは、混合部61内に所定距離分、潤滑剤供給路5が延設されている。
【0032】
そして、このように構成された混合部61に、潤滑剤供給路5から液状潤滑剤Lを供給しつつ、流通路4からブロー流体Aを吹き出させることによって、当該液状潤滑剤Lが微粒化し、ブロー流体Aにその液状潤滑剤Lが混合された霧状の混合流体A1を生成させる。吹出孔62は、図3(b)に示すように、当該混合部61の軸中心から表面に渡って放射状に多数形成されており、管本体1aの内壁に効率良く霧状とするためには、当該吹出孔62の孔数nにその吹出孔62の孔径dを乗じた値が、混合部61の紙面方向(管本体1aの軸方向と垂直な方向)の断面積(円周率に孔径Fの自乗を乗じて4で叙した値)よりも小さくなるような関係とすれば良い。ところで、図2に示すように、混合装置6の先端部には支持棒7が係合しており、当該支持棒7の先端部には、圧力空間S内に向って先端部が円錐台形状をした略円柱状の密閉栓70が設けられている。そして、モールドトラックを形成する複数の成形型90と密閉栓70等との間には、ブロー流体Aによって所定圧力の圧力空間Sが形成される。
【0033】
制御装置8は、例えばパソコン等の中央演算処理装置であって、モールドトラックを駆動する金型駆動装置9と、可撓管1の樹脂材料Rを供給する原料供給装置10と、ブロー流体Aを発生させる送風装置11と、液状潤滑剤を供給する液送装置13と接続されている。これらの各部について説明すると、金型駆動装置9は、モールドトラックの駆動手段であって、ギア、減速器、モータ、モータドライバ等から構成されている。原料供給装置10は、加熱手段とホッパを備えており、当該ホッパ内に蓄えられた樹脂材料Rを加熱して溶融状態とし、スクリューシャフト等の搬送手段にて材料押出通路20内に押し出す装置である。送風装置11は、エアーコンプレッサーであって、圧縮したブロー流体Aを、風量センサ12を介して流通路4へと送風する。液送装置13は、液量センサ14を介して、潤滑剤層1bを形成するための潤滑剤を潤滑剤供給路5へと供給する。尚、風量センサ12、液量センサ14の情報は、制御装置8へと出力され、送風装置11等の制御に利用される。
【0034】
また、モールドトラックを形成する上述の成形型90には、管本体1aの外壁の半分、すなわち紙面方向(管本体1aの軸方向と垂直な方向)の断面視略半円状をしており、その半円状の表面には、凹部及び凸部が設けられている。そして、相対する一対の成形型90同士が当接することで、管本体1aの周壁に相当する型が形成され、その型に向ってパリソン、すなわち溶融した樹脂材料Rを供給しつつ、当該樹脂材料Rを、混合流体A1によって成形型90の成形面に押し付けることで、所定の形状に成形することができる。尚、成形型90は、一般に冷却装置(図示せず)によって、冷却されており、溶融した樹脂材料Rを凝固させるようになっている。
【0035】
以上の構成を踏まえて、本実施形態の製造方法について説明すると、次の通りである。まず制御装置8は、金型駆動装置9に対して、モールドトラックを構成する成形型90のシャトルループを開始させるよう制御指令を出力し、原料供給装置10に対して、材料押出通路20に樹脂材料Rを押し出すよう同指令を出力する。また、制御装置8は、送風装置11に対して、ブロー流体Aを流通路4に供給するよう出力し、液送装置13に対して、液状潤滑剤Lを潤滑剤供給路5に供給するよう出力する。上述の原料供給装置10から供給された樹脂材料Rは、材料押出通路20内を押し出されて、圧力空間S内へと導出される。
【0036】
このとき、混合装置6にて、送風装置11から供給されたブロー流体Aに、液送装置13から供給された液状潤滑剤Lが混合され、その混合流体A1が同じく圧力空間S内へと吹き出される。そして、その混合流体A1によって発生する圧力によって、導出された樹脂材料Rが成形型90へと押し付けられ、当該成形型90に形成された凹部及び凸部に沿って、管本体1aの形状が成形される。また、当該混合流体A1には、液状潤滑剤Lが含まれているので、管本体1aの内壁に、潤滑剤層1bが形成される。このように、モールドトラックのシャトルループに従って、潤滑剤層1bを具備した可撓管1を連続して成形することができる。
〔第2の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図4を参照して説明する。図4は、当該製造装置の要部断面図であって、上述の実施形態と同様にして、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が上述の実施形態と異なり、特徴を有するのは、液送装置13の代わりに、粉末潤滑剤P(例えば、上述したタルク、四フッ化エチレンなど)を供給する粉体供給装置15を具備している点である。粉体供給装置15は、圧力空間S内に粉末潤滑剤Pを供給するための装置であって、具体的には、潤滑剤供給路5の内部に粉体搬送用のスクリューシャフトを回動自在に設けてあり、制御装置8からの制御指令に基づいて、当該スクリューシャフトを回転させて、混合装置6(押付装置、潤滑剤付着装置に相当)へと当該粉末潤滑剤Pを送るようになっている。そして、混合装置6にて、粉末潤滑剤Pをブロー流体A(圧力流体)に混合させて、その混合流体A2を管本体1aの内壁に吹き付けることで、その内壁に潤滑剤層1bを形成することができる。尚、その他の構成、動作については、上述の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
〔第3の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図5を参照して説明する。図5は、当該製造装置の要部断面図であって、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が第1の実施形態と異なり、特徴を有するのは、混合装置6の代わりにブロー流体供給部16(押付装置に相当)が設けられ、また密閉栓7の代わりに潤滑剤供給路710を具備した密閉栓71(潤滑剤付着装置に相当)が設けられ、さらに潤滑剤供給路5が当該ブロー流体供給部16、支持棒7内部を通して、密閉栓71に設けられた当該潤滑剤供給路710に接続されている点である。上述のブロー流体供給部16は、流通路4の先端が挿嵌される流通路導入孔160と、その導入孔160の孔径よりも狭く形成された絞り部161と、その絞り部161を通過したブロー流体A(圧力流体)を吹き出させる吹出孔162とを備えている。
【0037】
ブロー流体供給装置16の先端部には、上述の実施形態における混合装置6と同様にして、支持棒7が取り付けられており、さらにその支持棒7には密閉栓71が取り付けられている。本実施形態における支持棒7は、中空部材から構成され、その中空部分には、ブロー流体供給装置16を介して延設された潤滑剤供給路5が挿嵌されている。そして、当該潤滑剤供給路5は、密閉栓71に設けられた潤滑剤供給路710と接続されている。潤滑剤供給路710は、当該密閉栓71の軸中心から表面に渡って、紙面方向(管本体1aの軸方向と垂直な方向)に放射状に多数形成されており、管本体1aの内壁の略全てに液状潤滑剤Lが供給されるようになっている。
【0038】
このように、連続押出ブロー成形に用いる密閉栓から潤滑剤を漏出させて、当該管の内壁に付着させているので、管本体1aの内壁の凸部の構成と相まって、長距離の配管をし、また曲げ部分が多数含まれている場合であっても、良好な通線性を確保できる。また、潤滑剤を連続押出ブロー成形に用いる密閉栓から漏出させているので、管の内壁に均一に付着させることができると共に、ブロー流体の逃げを少なくして、圧力を高めることができる。尚、その他の構成、動作については、第1の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
〔第4の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図6を参照して説明する。図6は、当該製造装置の要部断面図であって、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が第1の実施形態と異なり、特徴を有するのは、混合装置6の代わりにブロー流体供給部17(押付装置に相当)が設けられ、また潤滑剤供給路5の圧力空間S側の先端部が絞り部31の近傍に位置し、その先端部に、材料押出通路20に開口する潤滑剤供給路50(潤滑剤付着装置に相当)が設けられ、さらに潤滑剤供給路50よりも圧力空間S側の絞り部31が、潤滑剤を供給すべくその外径を小さくした潤滑剤導出部310となっている点である。ブロー流体供給部17は、第3の実施形態におけるブロー流体供給部16と比較して、圧力空間S側の端部に潤滑剤供給路5を挿通させる開口を具備していないが、その他の構成は同様である。また、潤滑剤供給路50は、内リップ部材3の軸中心から絞り部31の表面に渡って、紙面方向(管本体1aの軸方向と垂直な方向)に放射状に多数形成されており、ブロー成形される前の管本体1aの内壁の略全てに液状潤滑剤Lが供給されるようになっている。
【0039】
このように、潤滑剤を当該管の内壁に付着させた後、連続押出ブロー成形により、軸方向に沿って複数の凹部及び凸部からなる略波形状を形成しているので、当該内壁と線条体との接触面積を小さくでき、長距離の配管をし、また曲げ部分が多数含まれている場合であっても、良好な通線性を確保できる可撓管を製造できる。また、ブロー成形前の潤滑剤の付着により、仮にその付着に偏りが生じたとしても、ブロー成形時におけるブロー流体の当該圧力によって当該管の内壁に潤滑剤を均一に付着させることができる。尚、その他の構成、動作については、第1の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
〔第5の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図7を参照して説明する。図7は、当該製造装置の要部断面図であって、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が第1の実施形態と異なり、特徴を有するのは、まずブロー成形ではなく、バキューム成形を採用している点にある。具体的には、成形型90の代わりに、減圧吸引機構を具備した成形型91(減圧吸引機構が押付装置に相当)を設け、その成形型91に接続されたバキューム管190と、当該管190内における流体の圧力計測値を制御装置8へと出力する圧力センサ19と、その圧力センサ19を介してバキューム管190に接続され、制御装置8の制御指令によって動作するバキューム装置18とを新たに設けている。
【0040】
また、送風装置11からは、管本体1aに凹凸を形成することができる高圧のブロー流体Aではなく、当該管本体1aの内壁に潤滑剤層1bを形成するために、液状潤滑剤Lを霧状にできる程度の圧力をもった圧縮流体A3が送風されている(混合装置6は、潤滑剤付着装置に相当)。さらに、図示の通り、圧力空間Sを形成するために用いられていた密閉栓7や、混合装置6の先端部に係合していた支持棒7が、バキューム成形を採用したことによって、必須の構成ではなくなったため用いられていない。尚、圧縮流体A3を用いるとして説明したが、ブロー流体Aを併用することを妨げる趣旨ではない。
【0041】
而して、その動作について説明すると、次の通りである。まず、第1の実施形態と同様にして、制御装置8は、金型駆動装置9、原料供給装置10、送風装置11、液送装置13に対して制御指令を出力して、モールドトラックのシャトルループ等を動作させる。一方、本実施形態の制御装置8は、バキューム装置18に対しても制御指令を出力する。上述の原料供給装置10から供給された樹脂材料Rは、第1の実施形態と略同様にして、材料押出通路20内を押し出され、モールドトラックを構成する成形型91の成形面へと導出される。そして、バキューム装置18により、バキューム管190を介して、成形型91の減圧吸引機構を動作させることで、その導出された樹脂材料Rを、当該成形型91へと吸い付け、その成形型91に形成された凹部及び凸部に沿って、管本体1aの形状が成形される。
【0042】
このとき、混合装置6にて、送風装置11から供給された圧縮流体A3に、液送装置13から供給された液状潤滑剤Lが混合され、その混合流体A4が管本体1aの内壁へと吹き付けられ、当該管本体1aの内壁に潤滑剤層1bが形成される。このように、モールドトラックのシャトルループに従って、潤滑剤層1bを具備した可撓管1を連続して成形することができる。尚、その他の構成、動作については、第1の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
〔第6の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図8を参照して説明する。図8は、当該製造装置の要部断面図であって、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が第5の実施形態と異なり、特徴を有するのは、第2の実施形態に相当する構成を採用したこと、すなわち液送装置13の代わりに、粉末潤滑剤Pを供給する粉体供給装置15を備えている点である。粉体供給装置15は、第2の実施形態と同様のものであり、潤滑剤供給路5の内部に粉体搬送用のスクリューシャフトを回動自在に設け、制御装置8からの制御指令に基づいて、当該スクリューシャフトを回転させて、混合装置6へと当該粉末潤滑剤Pを送るものである。そして、混合装置6にて、粉末潤滑剤Pを圧縮流体A3に混合させて、その混合流体A5を管本体1aの内壁に吹き付けることで、その内壁に潤滑剤層1bを形成することができる。尚、その他の構成、動作については、第5の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
〔第7の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図9を参照して説明する。図9は、当該製造装置の要部断面図であって、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が第5の実施形態と異なり、特徴を有するのは、内リップ部材3の代わりに、管内が潤滑剤供給路5を挿嵌する供給路保持孔30Aとなっている点で相違する内リップ部材3Aが用いられ、その内リップ部材3Aの成形型91側の先端には支持棒7が係合しており、当該支持棒7の先端部には、管本体1aの内壁に当接し、内リップ部材3A側に向って先端部が円錐台形状をした略円柱状の潤滑剤供給部71A(潤滑剤付着装置に相当)が設けられている点である。また、本実施形態にあっては、この潤滑剤供給部71Aがあるため、混合装置6が用いられていない。
【0043】
上述の支持棒7は中空部材から構成され、その中空部分には、内リップ部材3Aからさらに延設された潤滑剤供給路5が挿嵌されている。潤滑剤供給路5は、潤滑剤供給部71Aに設けられた潤滑剤供給路710Aと接続されている。潤滑剤供給路710Aは、当該潤滑剤供給部71Aの軸中心から表面に渡って、紙面方向(管本体1aの軸方向と垂直な方向)に放射状に多数形成されており、管本体1aの内壁の略全てに液状潤滑剤Lが供給されるようになっている。このように、潤滑剤供給部71Aを設けて潤滑剤を漏出させて、当該管の内壁に付着させているので、管本体1aの内壁の凸部1abの構成と相まって、長距離の配管をし、また曲げ部分が多数含まれている場合であっても、良好な通線性を確保できる。尚、その他の構成、動作については、第5の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
〔第8の実施の形態〕
次に、別の好ましい実施の形態について、図10を参照して説明する。図10は、当該製造装置の要部断面図であって、金型駆動装置9等の一部構成については、ブロック図で示したものである。本実施形態が第5の実施形態と異なり、特徴を有するのは、内リップ部材3の代わりに、管内が潤滑剤供給路5を挿嵌する供給路保持孔30Aとなっている点で相違する内リップ部材3Aが用いられ、潤滑剤供給路5の成形型91側の先端部が絞り部31の近傍に位置し、その先端部に、材料押出通路20に開口する潤滑剤供給路50が設けられ、さらに潤滑剤供給路50よりも成形型91側の絞り部31が、潤滑剤を供給すべくその外径を小さくした潤滑剤導出部310となっている点である。この潤滑剤供給路50は、内リップ部材3Aの軸中心から絞り部31の表面に渡って、紙面方向(管本体1aの軸方向と垂直な方向)に放射状に多数形成されており、バキューム成形される前の管本体1aの内壁の略全てに液状潤滑剤Lを供給する。また、本実施形態にあっては、潤滑剤供給路50があるため、混合装置6が用いられていない。尚、その他の構成、動作については、第5の実施形態と同様であるから、その説明を省略することとする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る可撓管電線管の構造を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図3】図(a)は、本発明に係る混合装置6の周囲を示す要部断面図であり、図(b)は、図(a)のA方向矢視図を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図5】第3の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図6】第4の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図7】第5の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図8】第6の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図9】第7の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図10】第8の実施形態に係る製造装置の要部断面図であって、一部構成については、ブロック図で示したものである。
【図11】図(a)は、波付管の連続押出ブロー成形機の断面図であり、図(b)は、その要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1a 管本体
1aa 凹部
1ab 凸部
1b 潤滑剤層
2 ダイノズル
3 内リップ部材
10 原料供給装置(加熱手段を具備)
16 ブロー流体供給部(押付装置)
17 ブロー流体供給部(押付装置)
2 ノズル(ダイノズル)
20 材料押出通路
50 潤滑剤供給路(潤滑剤付着装置)
6 混合装置(潤滑剤付着装置、第1、2実施形態にあっては押付装置も兼ねる)
71 密閉栓(潤滑剤付着装置)
71A 密閉栓(潤滑剤付着装置)
90 成形型
91 成形型(減圧吸引機構が押付装置に相当)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造方法であって、
加熱手段によって前記合成樹脂材料を溶融状態にし、略管状のノズルとその管内に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形すると共に、
前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給し、当該凹部及び凸部を成形する際に、前記管本体の内壁に当接する潤滑剤供給部より、当該凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とする可撓電線管の製造方法。
【請求項2】
合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造方法であって、
加熱手段によって前記合成樹脂材料を溶融状態にし、略管状のノズルとその管内に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形すると共に、
前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給し、当該凹部及び凸部を成形する際に、前記潤滑剤を混入させた流体を吹き付けることによって、当該凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とする可撓電線管の製造方法。
【請求項3】
合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造方法であって、
加熱手段によって前記合成樹脂材料を溶融状態にし、略管状のノズルとその管内に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形すると共に、
前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給し、当該内リップ部材の前記モールドトラック側の先端近傍に設けられた小径の潤滑剤供給部から潤滑剤を付着させることを特徴とする可撓電線管の製造方法。
【請求項4】
ブロー成形により前記管本体を連続押出成形し、ブロー流体による圧力を保持するための密閉栓から潤滑剤を供給して、前記管状部材の内壁と密閉栓との当接面から、前記凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とする請求項1記載の可撓電線管の製造方法。
【請求項5】
ブロー成形により前記管本体を連続押出成形し、ブロー流体に潤滑剤を混入させて、前記凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とする請求項2記載の可撓電線管の製造方法。
【請求項6】
合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造装置であって、
前記合成樹脂材料を溶融状態にして押し出す原料供給装置と、その溶融状態の合成樹脂材料を内部に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形するノズルと、当該ノズルから押し出された管状部材を、ブロー成形又はバキューム成形によって前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形するためのモールドトラックと、
前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給する潤滑剤供給路と、当該凹部及び凸部を成形する空間に設置されると共に前記管本体の内壁に当接して、前記潤滑剤供給路から供給された潤滑剤を当該管本体の内壁に付着させる潤滑剤供給部と、を備えたことを特徴とする可撓電線管の製造装置。
【請求項7】
合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造装置であって、
前記合成樹脂材料を溶融状態にして押し出す原料供給装置と、その溶融状態の合成樹脂材料を内部に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形するノズルと、当該ノズルから押し出された管状部材を、ブロー成形又はバキューム成形によって前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形するためのモールドトラックと、
前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給する潤滑剤供給路と、当該凹部及び凸部を成形する空間に設置され、前記潤滑剤供給路から供給された潤滑剤を圧力流体に混入させて、前記管本体の内壁にその混合流体を吹き付ける混合装置と、を備えたことを特徴とする可撓電線管の製造装置。
【請求項8】
合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造装置であって、
前記合成樹脂材料を溶融状態にして押し出す原料供給装置と、その溶融状態の合成樹脂材料を内部に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形するノズルと、当該ノズルから押し出された管状部材を、ブロー成形又はバキューム成形によって前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形するためのモールドトラックと、
前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給する潤滑剤供給路と、当該内リップ部材の前記モールドトラック側の先端近傍に設けられ、前記潤滑剤供給路から供給された潤滑剤を当該管状部材の内壁に付着させる小径の潤滑剤導出部と、を備えたことを特徴とする可撓電線管の製造装置。
【請求項9】
前記モールドトラックは、ブロー成形により前記管本体を連続押出成形するものであり、前記潤滑剤供給部は、ブロー流体による圧力を保持するための密閉栓であることを特徴とする請求項6記載の可撓電線管の製造装置。
【請求項10】
前記モールドトラックは、ブロー成形により前記管本体を連続押出成形するものであり、前記圧力流体はブロー流体であることを特徴とする請求項7記載の可撓電線管の製造装置。
【請求項1】
合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造方法であって、
加熱手段によって前記合成樹脂材料を溶融状態にし、略管状のノズルとその管内に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形すると共に、
前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給し、当該凹部及び凸部を成形する際に、前記管本体の内壁に当接する潤滑剤供給部より、当該凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とする可撓電線管の製造方法。
【請求項2】
合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造方法であって、
加熱手段によって前記合成樹脂材料を溶融状態にし、略管状のノズルとその管内に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形すると共に、
前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給し、当該凹部及び凸部を成形する際に、前記潤滑剤を混入させた流体を吹き付けることによって、当該凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とする可撓電線管の製造方法。
【請求項3】
合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造方法であって、
加熱手段によって前記合成樹脂材料を溶融状態にし、略管状のノズルとその管内に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形した後、複数の成形型がシャトルループ駆動するモールドトラックに供給して、ブロー成形又はバキューム成形により前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形すると共に、
前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給し、当該内リップ部材の前記モールドトラック側の先端近傍に設けられた小径の潤滑剤供給部から潤滑剤を付着させることを特徴とする可撓電線管の製造方法。
【請求項4】
ブロー成形により前記管本体を連続押出成形し、ブロー流体による圧力を保持するための密閉栓から潤滑剤を供給して、前記管状部材の内壁と密閉栓との当接面から、前記凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とする請求項1記載の可撓電線管の製造方法。
【請求項5】
ブロー成形により前記管本体を連続押出成形し、ブロー流体に潤滑剤を混入させて、前記凸部に潤滑剤を付着させることを特徴とする請求項2記載の可撓電線管の製造方法。
【請求項6】
合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造装置であって、
前記合成樹脂材料を溶融状態にして押し出す原料供給装置と、その溶融状態の合成樹脂材料を内部に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形するノズルと、当該ノズルから押し出された管状部材を、ブロー成形又はバキューム成形によって前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形するためのモールドトラックと、
前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給する潤滑剤供給路と、当該凹部及び凸部を成形する空間に設置されると共に前記管本体の内壁に当接して、前記潤滑剤供給路から供給された潤滑剤を当該管本体の内壁に付着させる潤滑剤供給部と、を備えたことを特徴とする可撓電線管の製造装置。
【請求項7】
合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造装置であって、
前記合成樹脂材料を溶融状態にして押し出す原料供給装置と、その溶融状態の合成樹脂材料を内部に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形するノズルと、当該ノズルから押し出された管状部材を、ブロー成形又はバキューム成形によって前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形するためのモールドトラックと、
前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給する潤滑剤供給路と、当該凹部及び凸部を成形する空間に設置され、前記潤滑剤供給路から供給された潤滑剤を圧力流体に混入させて、前記管本体の内壁にその混合流体を吹き付ける混合装置と、を備えたことを特徴とする可撓電線管の製造装置。
【請求項8】
合成樹脂材料からなる管本体の内壁に、軸方向に沿って断面視略波状となる複数の凹部及び凸部を形成し、当該凸部に、通線対象である電線又はケーブルとの摩擦力を低減させる潤滑剤を付着させてなる可撓電線管の製造装置であって、
前記合成樹脂材料を溶融状態にして押し出す原料供給装置と、その溶融状態の合成樹脂材料を内部に填装された内リップ部材との間隙を通して管状部材に成形するノズルと、当該ノズルから押し出された管状部材を、ブロー成形又はバキューム成形によって前記複数の凹部及び凸部を有する管本体を連続押出成形するためのモールドトラックと、
前記内リップ部材の内側を通して潤滑剤を供給する潤滑剤供給路と、当該内リップ部材の前記モールドトラック側の先端近傍に設けられ、前記潤滑剤供給路から供給された潤滑剤を当該管状部材の内壁に付着させる小径の潤滑剤導出部と、を備えたことを特徴とする可撓電線管の製造装置。
【請求項9】
前記モールドトラックは、ブロー成形により前記管本体を連続押出成形するものであり、前記潤滑剤供給部は、ブロー流体による圧力を保持するための密閉栓であることを特徴とする請求項6記載の可撓電線管の製造装置。
【請求項10】
前記モールドトラックは、ブロー成形により前記管本体を連続押出成形するものであり、前記圧力流体はブロー流体であることを特徴とする請求項7記載の可撓電線管の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−130927(P2006−130927A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360400(P2005−360400)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【分割の表示】特願2004−319526(P2004−319526)の分割
【原出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【分割の表示】特願2004−319526(P2004−319526)の分割
【原出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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