説明

可燃物含有原料の熱分解装置

【課題】タールを排出せずにチャーと可燃ガスを増量する可燃物含有原料の熱分解装置を提供する。
【解決手段】可燃物含有原料を熱分解してガス分とチャー含有固形物とを生成する加熱炉10と、ガス分を精製する精製装置30とを備え、加熱炉10は、両端に開口部14A,14Bが形成されて軸線まわりに回転する筒状体13と、筒状体の内部を区分する仕切壁20と、軸線に対して傾角をなす位置で仕切壁の両面から起立するガイド板21とを有し、仕切壁の両面でのガイド板は、仕切壁の各面が順次同一側に位置したときに互いに逆方向となる傾角をもち、仕切壁20は貫通窓部20Cが形成され、筒状体13の一端側の開口部14Aに外部から原料供給管15が進入し、他端側の開口部14Bに、ガス排出管16とチャー含有固形物排出管17とが接続され、精製装置30のタール含有液排出管31が筒状体内に進入して先端開口が貫通窓部20Cの範囲に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃物含有原料を加熱して熱分解し、可燃ガスを含有するガス分とチャー含有固形物とを得る可燃物含有原料の熱分解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可燃物を含有する原料を加熱して熱分解させて可燃ガスを含有するガス分とチャー含有固形物とを得る装置は、例えば特許文献1あるいは特許文献2にて知られている。
【0003】
特許文献1,2では、両端が開口している横型の回転する筒状体を有し、一端側の開口から筒状体内に投入された可燃物含有原料が筒状体の回転によって筒状体内で転動しながら他端側の開口へ搬送される過程で加熱されて熱分解することで、可燃ガス、タール蒸気及び水蒸気を含むガス分と、チャー含有固形物とを生成することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3162474号
【特許文献2】特開2008−111016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2においては、可燃物含有原料を熱分解して得られるガス分には、可燃ガス以外に、タール蒸気及び水蒸気も含まれており、このタール蒸気を冷却して得られるタールは液状で粘性も比較的高いことに起因して燃料として扱いにくく、また、換言すれば、タールが生じる分、燃料として扱い易いチャーが少なくなるし、このタールをチャーとするには、別装置での処理が必要となり、その処理が煩瑣となり装置が複雑化し費用が嵩む結果となる。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑み、生成されるガス分に含まれるタール蒸気をもチャーに転化して、最終的にガス分にタール蒸気を含まないようにして可燃ガス含有ガスを得ると共に、その分、得られるチャーを増量させることのできる可燃物含有原料の熱分解装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上述した課題は、次の第一発明あるいは第二発明により解決される。
【0008】
<第一発明>
第一発明に係る可燃物含有原料の熱分解装置は、横型の筒状体が外部から加熱され筒状体内の可燃物含有原料を熱分解してガス分とチャー含有固形物とを生成し排出する加熱炉と、該加熱炉からガス分を受けてこれを精製して可燃ガスそしてタール含有液とする精製装置とを備え、加熱炉は、水平方向に延びる軸線での両端に開口部が形成されて上記軸線まわりに回転する筒状体と、該開口部側部分をなす端域を除く軸線方向範囲で筒状体の内部を複数の空間に区分する、上記軸線に平行で筒状体と共に回転する仕切壁と、軸線に対して傾角をなす位置で仕切壁の両面から起立するガイド板とを有し、仕切壁の両面でのガイド板は、筒状体の回転により仕切壁の各面が順次同一側に位置したときに互いに逆方向となる傾角をもち、上記仕切壁は軸線方向中間位置で貫通窓部が形成されていて該仕切壁の両側の空間を連通しており、上記筒状体の軸線方向一端側の開口部に外部から原料を供給する原料供給管が進入して位置し、他端側の開口部には、ガス排出管とチャー含有固形物排出管とが接続されている。
【0009】
かかる可燃物含有原料の熱分解装置において、第一発明では、精製装置のタール含有液排出管が筒状体の他端側の開口部から筒状体内に進入していて該タール含有液排出管の先端開口が上記軸線方向で仕切壁の貫通窓部の範囲に位置していることを特徴としている。
【0010】
このような構成の第一発明によると、原料は、加熱炉にて、筒状体の回転に伴い仕切壁とガイド板の作用により転動しながら一端側から他端側へ向け搬送される過程で、一端側の開口部と貫通窓部を経て仕切壁の両側で上流側循環流を形成すると共に、上記貫通窓部と他端側の開口部を経て仕切壁の両側で下流側循環流を形成する。外部から加熱される筒状体により間接的に加熱される原料は、上記上流側循環流そして下流側循環流の形成により筒状体内での滞留加熱時間が長く確保され、一端側で乾燥が開始され他端側に向け搬送されながら熱分解が進行し、他端側に至るときには、ガス分とチャー含有固形物とを生成する。ガス分は可燃ガス、タール蒸気及び水蒸気を含み、チャー含有固形物はチャーの他に不燃物としての灰分をも含んでいる。ガス分は精製装置へ送られ、チャー含有固形物は筒状体から固体燃料となる製品として排出される。
【0011】
上記ガス分は、精製装置にもたらされ、無害な可燃ガスとタールそして水蒸気等を含むタール含有液とに分離され、可燃ガスは気体燃料となる製品として排出され、タール含有液はタール含有液排出管を経て、上記筒状体の仕切壁に形成された貫通窓部の範囲にもたらされる。したがってこのタール含有液は、原料の下流側循環流に混入して再び加熱されてチャーと可燃ガスに転化されチャー含有固形物と共に製品として排出される。かくして、この第一発明では、タール含有液が上記筒状体内に帰還されることで、すべてチャーと可燃ガスに転化されることとなる。
【0012】
<第二発明>
第二発明に係る可燃物含有原料の熱分解装置は、横型の筒状体内で可燃物含有原料が自燃により熱分解してガス分とチャー含有固形物とを生成し排出する加熱炉と、該加熱炉からガス分を受けてこれを精製して可燃ガスそしてタール含有液とする精製装置とを備え、加熱炉は、水平方向に延びる軸線での両端に開口部が形成されて上記軸線まわりに回転する筒状体と、該開口部側部分をなす端域及び軸線方向中間域を除く軸線方向範囲で筒状体の内部を複数の空間に区分する、上記軸線に平行で筒状体と共に回転する仕切壁と、軸線に対して傾角をなす位置で仕切壁の両面から起立するガイド板と、上記中間域に配されて上記軸線方向で互いに逆方向に原料を搬送する複数の螺旋搬送体とを有し、上記筒状体内に設けられた仕切壁の両面でのガイド板は、筒状体の回転により仕切壁の各面が順次同一側に位置したときに互いに逆方向となる傾角をもち、上記仕切壁のうち少なくとも軸線方向一端側に位置する仕切壁は軸線方向中間位置で貫通窓部が形成されていて該仕切壁の両側の空間を連通する連通空間を形成し、また、上記複数の螺旋搬送体の軸線方向一端側同士そして他端側同士がそれぞれ筒状体内空間を介して連通して中間域連通空間を形成しており、上記筒状体の軸線方向一端側の開口部に外部から原料を供給する原料供給管が進入して位置し、一端側の開口部にガス排出管がそして他端側の開口部にはチャー含有固形物排出管が接続されている。
【0013】
かかる可燃物含有原料の熱分解装置において、第二発明では、第一発明同様に、精製装置のタール含有液排出管が筒状体の一端側の開口部から筒状体内に進入していて該タール含有液排出管の先端開口が上記軸線方向で仕切壁の貫通窓部の範囲に位置していることを特徴としている。
【0014】
このような構成の第二発明によると、原料は加熱炉にて、筒状体の回転に伴い仕切壁とガイド板の作用により転動しながら一端側から他端側へ向け搬送される過程で、軸線方向一端側に位置する仕切壁の範囲内では、一端側の開口部と貫通窓部を経て仕切壁の両側で上流側一次循環流を形成すると共に、上記貫通窓部と螺旋搬送体の一端側の中間域連通空間を経て仕切壁の両側で上流側二次循環流を形成する。次に、中間域では、上記一端側の仕切壁側から搬送されてきた原料は、互いに搬送方向を逆向きとする螺旋搬送体により該螺旋搬送体の両端での中間域連通空間を経て中間域循環流を形成する。さらに、この中間域よりも他端側に位置する仕切壁の範囲では、他端側の中間域連通空間と他端側開口部を経て下流側循環流を形成する。したがって、一端側開口部へ供給された原料は、上述の上流側一次循環流と上流側二次循環流、中間域循環流そして他端側循環流を経て他端側開口部へ搬送され、その搬送過程において、各循環流の形成により筒状体内での滞留加熱時間が長く確保される。原料は他端側の仕切壁の範囲で形成される他端側循環流内で、一部が自燃し高熱を発し、その熱量が上記中間域循環流の原料を経て上流側循環流の原料へ伝熱される。かくして、原料は、上記上流側循環流でガス化そして熱分解されてガス分とチャー含有固形物を生成し、ガス分はガス排出管から精製装置へ導かれ、チャー含有固形物は、上記各循環流を順次経て他端側開口部へ向け搬送され、一部が上記他端側循環流での自燃に供し、残部はチャー含有固形物排出管から固形燃料となる製品として排出される。
【0015】
精製装置にもたらされた上記ガス分は、第一発明の場合と同様に、該精製装置にて、無害な可燃ガスとタールそして水蒸気等を含むタール含有液とに分離され、可燃ガスは気体燃料となる製品として排出され、タール含有液はタール含有液排出管を経て、上記筒状体の仕切壁に形成された貫通窓部の範囲にもたらされる。したがってこのタール含有液は、原料の上流側一次循環流に混入して再び加熱されてチャーと可燃ガスに転化されチャー含有固形物と共に製品として排出される。かくして、この第二発明においても、タール含有液が上記筒状体内へ帰還されることで、すべてチャーと可燃ガスに転化されることとなる。
【0016】
第一発明において、筒状体が燃焼装置に接続されていて、該燃焼装置が上記筒状体から熱分解後の可燃ガスの一部もしくはチャー含有固形物の少なくとも一部を受けてこれを燃焼し、燃焼ガスが筒状体の原料を加熱するように該筒状体に供給されるようにすることができる。これにより、加熱炉で得られる可燃ガスの一部あるいはチャー含有固形物の一部を、加熱炉での原料の加熱のための熱源として利用できる。
【0017】
さらに、第一発明において、筒状体は、除染装置を介して燃焼装置に接続されており、上記除染装置は、筒状体からチャー含有固形物を受け排出する離脱塔と、吸着材を受け排出する吸着塔とを有し、離脱塔と吸着塔が両塔の間を水が循環するように接続されていて、循環水が離脱塔でチャー含有固形物の汚染物を離脱した後に吸着塔へ搬送され、該吸着塔での汚染物の吸着材による吸着除去後に離脱塔へ帰還するようになっていると共に、離脱塔から排出されたチャー含有固形物が脱水器を経て脱水状態で燃焼装置へ燃料として供給され、吸着塔から排出された吸着材が他の脱水器を経て減容状態で排出されるようになっているようにすることができる。第二発明においては筒状体から排出されるチャーを燃焼装置を介さず減容状態で排出される。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上のように、加熱炉で可燃物含有原料が熱分解して生ずるガス分を精製して得られるタール含有液を再び加熱炉に戻すことによりチャーとすることによって、タールのすべてをチャーと可燃ガスに転化するので、取扱いが容易となると共に、チャーと可燃ガスの生成量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一実施形態装置の概要構成と、加熱炉の軸線を含む面での該加熱炉断面を示す図である。
【図2】(A)は図1の加熱炉の図1におけるII-II断面図であり、(B)はその部分拡大図である。
【図3】図1の加熱炉の変形例を示す、図2(A)相当の断面図である。
【図4】図1の加熱炉の他の変形例を示す、図1相当の断面図である。
【図5】第二実施形態装置の軸線を含む面での断面図である。
【図6】図5におけるVI-VI断面図である。
【図7】(A)は図5におけるVII-VII断面図であり、(B)はその部分拡大図である。
【図8】第三実施形態の概要構成図である。
【図9】(A)は図8装置に適用可能な他の離脱装置を示し、(B)はその変形例である。
【図10】(A)は図8装置に適用可能なさらに他の離脱装置を示し、(B)はその変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施形態を説明する。
【0021】
<第一実施形態>
図1は第一実施形態装置の軸線を通る面での断面図、図2(A)は軸線に直角な面での図1におけるII-II断面図、図2(B)は図2(A)の一部についての拡大図である。
【0022】
本実施形態の可燃物含有原料の熱分解装置1は、加熱炉10と精製装置30とを有している。
【0023】
加熱炉10は、ほぼ水平な軸線11、具体的には水平もしくは水平線に対して図にて右方へ向け下方に3°以下で傾く軸線11を中心とする、耐熱材から作られた非回転の外筒体12と、良伝熱材の内筒をなし上記軸線11まわりに回転する筒状体13とを、同心に有している。該筒状体13は、軸線方向両端で上記外筒体12から突出して、その両端に設けられたフランジ13A,13Bにて、軸受13A−1,13B−1により回転自在に支持され、図示しない駆動手段により駆動されてゆっくりと回転する。
【0024】
筒状体13は、軸線方向一端側(図にて左端側)の端壁(耐熱材)に比較的小径の開口部14Aが形成され、他端側の端壁(耐熱材)には開口部14Bが形成されており、両開口部14A,14Bにはスリーブ14A−1,14B−1がそれぞれ取り付けられている。上記一端側の開口部14Aのスリーブ14A−1には、静止している原料供給管15が進入配置されている。該原料供給管15はそのシールフランジ15Aにて上記開口部14Aのスリーブ14A−1との間で相対回転を許容しつつシールされている。
【0025】
他端側の開口部14Bのスリーブには、静止しているガス排出管16とチャー含有固形物排出管17とが、それらのシールフランジ16A,17Aによって、上記スリーブとの間で、相対回転を許容しつつシールされて設けられている。図では、ガス排出管16は上方に延びて精製装置30に接続され、チャー含有固形物排出管17は下方に延びている。
【0026】
上記外筒体12は、軸線方向の両端にて、上記筒状体13との間の相対回転を許容しつつその内フランジ部12A,12Bにてシールされ、筒状体13の周囲に筒状環状空間18を形成し、かつ一端側底部に加熱ガス排出管19Bそして他端側上部に加熱ガス導入管19Aが接続されていて、該加熱ガス導入管19Aから筒状環状空間18内へ導入された加熱ガスが上記筒状体13を外周面で加熱した後に、降温して上記加熱ガス排出管19Bから排出されるようになっている。また、加熱ガスは管19Bから導入し管19Aから排出することもできる。上記筒状体13は、加熱ガスから熱量を効果的に受熱するために、図2(B)のごとく外周面に伝熱フィン13Cが設けられていることが好ましい。
【0027】
上記筒状体13は図1にて軸線11に沿って延び紙面と平行に位置する仕切壁20を有していて該仕切壁20によって該筒状体13内を複数の内部空間に区分し、図示の場合、図2(A)に見られるように、一つの仕切壁20によって二つの内部空間に区分している。
【0028】
上記筒状体13の内面には、図2(A)に見られるように、仕切壁20の取付位置に溝部材13Dが取り付けられていて、上記仕切壁20の側端縁が該溝部材13Dの溝に対して軸線方向から挿入されるようになっており、該仕切壁20を着脱自在に支持している。
【0029】
上記仕切壁20は、図1のごとく、軸線方向で両端で開口部14A,14Bのそれぞれの近接端域に切欠部20A,20Bが形成され、また、中間部には貫通窓部20Cが形成されていて、仕切壁20の両側の空間を局部的に連通している。
【0030】
上記仕切壁20の両面には、軸線方向で間隔をもった複数位置にガイド板21が上記仕切壁20の面から立設されている。ガイド板21は、図1に見られるように、仕切壁20の面が紙面に平行となる位置にきたときに、図1で仕切壁20の片面側、例えば手前側の面に設けられたガイド板21が上方から下方に向かって延びるにしたがい軸線方向一端側から他端側に位置するように傾斜している。図1で仕切壁20の他面側、すなわち背面側に設けられたガイド板21は、筒状体13が半回転して該他面側が手前側にきたときに、上記片面側のガイド板21とは逆方向の傾斜をもって設けられている。換言すると、この他面側のガイド板21は背面側にあるときには、紙面に対して直角な方向で透視すると手前側に位置する片面側のガイド板21と同傾斜をもっている。したがって、両面側のガイド板21は、同じ側の位置にきたとき、すなわち、ガイド板21が設けられている仕切壁20の面が上方に向いている位置から下方に向かって回転するときに、原料は、片面側と他面側では仕切壁20の面に沿って落下しながらガイド板に案内されて軸線方向に互いに逆方向に搬送されることとなる。その結果、軸線方向で一端側の開口部14Aに近接する切欠部20Aと貫通窓部20Cとの間の領域では、原料は該切欠部20Aと貫通窓部20Cを経て仕切壁20の両側の空間で上流側循環流を生じ、該貫通窓部20Cと他端側の開口部14Bに近接する切欠部20Bとの間の領域では、原料は該貫通窓部20Cと切欠部20Bを経て仕切壁20の両側の空間で下流側循環流を生ずる。かくして、仕切壁20により筒状体13内で転動し攪拌される原料は、上記上流側循環流と下流側循環流を生じながら、一端側の開口部14Aから他端側の開口部14Bへと搬送される。
【0031】
既述の例では、筒状体13の内部空間が一つの仕切壁20により二つの空間に区分されていたが、図3のように、二つの仕切壁20を十文字に結合させて四つの空間に区分することも可能である。その場合、一つの空間に一連のガイド板21が設けられているように、図3の例では、仕切壁20の片面にのみガイド板21が立設される。四つの空間でのガイド板21の傾きは、一つおきの空間で、順次逆の傾きとなっている。
【0032】
本実施形態では、図1に見られるように、筒状体13の他端側の開口部14Bと連通するガス排出管16が既出の精製装置30に接続されている。この精製装置30自体は公知のものでよく、上記開口部14Bからガス排出管16を経て受けたガス分を精製して無害な可燃ガスと、タール含有液そして凝縮液とに分離するようになっており、可燃ガスは燃料として排出される。上記精製装置30には、タール含有液排出管31と凝縮液排出管32が接続されていて、両管31,32は他端側から筒状体13内に進入しており、それらの先端開口は軸線方向で仕切壁20の貫通窓部20Cの範囲に位置している。両管31,32は、別途形成されていなくとも共通管となっていてもよい。タール含有液排出管31からのタール含有液そして凝縮液排出管32からの凝縮液は、上記貫通窓部20Cの位置から原料の下流側循環流に合流しここで加熱されることで、タール分がチャー化そして不燃物が灰分となり、主として水分である凝縮液は蒸発する。発生したチャーは不燃物と共にチャー含有固形物排出管17から排出される。
【0033】
このように構成される本実施形態装置では、可燃物を含有する原料は原料供給管15から筒状体13内へ投入され、筒状体13内を転動すると共に仕切壁20の一端側の切欠部20Aと貫通窓部20Cの間の上流側循環流を形成して筒状環状空間18内の加熱ガスにより間接的に加熱されながら下流側へ搬送され、下流側では、筒状体13内で転動すると共に貫通窓部20Cと他端側切欠部20Bとの間の下流側循環流を形成して上記加熱ガスで間接加熱を受けながら他端側の開口部14Bへ至る。上記原料は、他端側の開口部14Bへ至るまでの間に、十分に加熱されて熱分解し、ガス分とチャー含有固形物とを生じ、ガス分はガス排出管16を経て精製装置30へ送られ、チャー含有固形物はチャー含有固形物排出管17から固形燃料として排出される。
【0034】
精製装置30へ送られたガス分は、可燃ガス、タール含有液、凝縮液を含んでおり、精製によりそれぞれ分離して、無害な可燃ガスは燃料として排出され、タール含有液はタール含有液排出管31を経て、凝縮液は凝縮液排出管32を経て、それぞれ筒状体13内に供給されて、原料の下流側循環流に合流し加熱される。この加熱によりタール分は、チャーと可燃ガスに転化され、凝縮液は蒸発する。かくして、原料は、タール分を生ずることなく、可燃ガスとチャー含有固形物となる。
【0035】
本実施形態では、仕切壁20に形成される貫通窓部20Cは一つでなく軸線方向で離れた位置に形成して二つとしてもよい。図4の例では、軸線方向でほぼ中央位置に上流側貫通窓部20C−1がそしてその下流側に下流側貫通窓部20C−2が形成されていて、精製装置からのタール含有液排出管31の先端開口が上流側貫通窓部20C−1、そして凝縮液排出管32の先端開口が下流側貫通窓部20C−2の範囲にそれぞれ位置してる。該貫通窓部20C−1,20C−2の位置は任意である。
【0036】
<第二実施形態>
図1〜図4の第一実施形態では、筒状体内の原料は筒状体の外部から加熱されていたが、図5の第二実施形態では、原料に含有される可燃物自体の燃焼、いわゆる自燃により原料を加熱する形態である。なお、図1と共通部位には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0037】
図5では、原料は筒状体の右端から供給されており、原料を供給する側を筒状体の一端側としている関係で、一端側は図の右端側として示されており、図1とは反対に表記されている。
【0038】
図5において、筒状体13は、軸線方向での中間域そして右側域(断面でハッチングされている範囲)が耐熱材で作られていて(左側域については後述する)、その内部には、右側域にガイド板21が取り付けられた仕切壁20が設けられ、中間域には螺旋搬送体40が設けられている。本実施形態では、上記筒状体13の外側には図1とは異なり外筒体は設けられていない。
【0039】
上記ガイド板21付きの仕切壁20は、図1の場合と同様の形態で、ガイド板21は仕切壁20の両面で互いに逆方向の搬送を行う傾斜をなし、仕切壁20は原料に上流側循環流(すなわち上流側一次循環流と上流側二次循環流)を生じさせるための切欠部20A,20Bそして貫通窓部20Cが形成されている。
【0040】
上記筒状体13の一端側の開口部14Aには、原料供給管15が進入している。さらに、上記開口部14Aには、原料供給管15の外側にガス排出管16が設けられている。
【0041】
原料供給管15は、縦部15Aと横部15Bとを有し、縦部15Aはその上方に位置するホッパ等(図示せず)に接続されており、横部15Bは横方向に延びその左端側が上記開口部14Aに進入している。上記横部15B内には、右方に突出する筒状の回転搬送体15Cが横部に対し相対回転可能に配設されている。該回転搬送体15Cは外周面に螺旋部材が取り付けられていて、外部から駆動を受けて軸線11まわりに回転することにより、上記横部15B内の原料を上記開口部14Aへ搬送投入する。この回転搬送体15C内には、図示せぬ精製装置からのタール含有液排出管31と凝縮液排出管32が貫通配置されている。該タール含有液排出管31と凝縮液排出管32の先端開口は上記仕切壁20の貫通窓部20Cの範囲に位置している。さらに、上記開口部14Aの外面には、筒状体13との相対回転を許容するようにガス排出管16が接続されている。
【0042】
中間域には、複数(図示の例では、図6にも見られるように四つ)の螺旋搬送体40が設けられている。螺旋搬送体40は、左右に開口する円筒部材内に配された軸体の周囲に螺旋板が取り付けられている形態をなし、筒状体13と共に回転することで、原料を螺旋板で軸線方向に搬送するようになっている。螺旋搬送体40は二種が配されていて、一種と他種は搬送方向が互いに逆向きとなっている。例えば、図6では上下に位置するのが一種で、左右に位置するのが他種である。図6にて、四つの螺旋搬送体40同士間の空間は、軸線方向で螺旋搬送体40の両端位置に設けられた遮板41により、軸線方向での原料の流通を阻止している。
【0043】
したがって、原料は一種の螺旋搬送体40で軸線方向で一方に向け搬送されると共に他種の螺旋搬送体40に進入して他方に向け搬送される結果、原料は中間域循環流を形成する。既述した仕切壁20の切欠部20Bと後述の燃焼室内仕切壁50の切欠部50Aとが上記中間域循環流の形成のために、二種の螺旋搬送体40の一端側開口同士と他端側開口同士のそれぞれの連通している。
【0044】
筒状体13の左側域は、断熱材の外周壁22と、透気性を有する多孔材の内周壁23と、さらには、図7(B)に見られるように、上記外周壁22の外面を覆う保護壁24とを有している。上記外周壁22には、周方向の複数位置で半径方向に貫通し軸線方向に延びる溝部25が形成されている。該溝部25には空気等の燃焼用酸化剤を送気する送気管27が配されている。この送気管27には、空気等を噴出する噴出小孔27Aが多数穿設されている。この送気管27については、再度後述する。
【0045】
上記筒状体13の左側域には、図5に見られるように、端壁13Eの位置にまで及ぶガイド板付きの燃焼室用仕切壁50が設けられている。この燃焼室用仕切壁50は、既述のガイド板20と比較すると、ガイド板51を有している点、両端に切欠部50A,50Bを有している点で共通しており、貫通窓部を有していない点で相違する。かくして、上記燃焼室用仕切壁50では、上記切欠部50A,50Bを経て燃焼室用仕切壁50の両面側の空間に原料の下流側循環流を生ずる。原料は、この下流側循環流を形成しつつ、上記送気管27からの空気等を多孔材の内周壁23を通して受け、該原料に含有されている可燃物が燃焼する。すなわち、原料の一部は自燃し、上記筒状体13の端壁13Eまでの左側域は燃焼室を形成することとなる。
【0046】
上記筒状体13の左側域の左端部は、保護壁24の軸線方向端部で筒状体13の回転を許容するようにシールされた排出筒55により覆われている。該排出筒55は、その内部が筒状体13の他端側の開口部14Bと連通していて、該排出筒55からは上方に向け排ガス管55Aそして下方に向けチャー含有固形物排出管17が延びている。上記筒状体13の他端側の開口部14Bは、断熱壁13Fとこれに密着した摺動壁13Gが設けられており、該摺動壁13Gは上記開口部14Bよりも半径方向外方にまで及んでいる。上記摺動壁13Gは軸線方向端面が凸球状面をなしており、送気管27が上記端壁13Eそして断熱壁13Fの外周面に沿うようにクランク状に屈曲されて上記断熱壁13Fの外周面上で軸線方向に延び、上記摺動壁13Gを貫通して摺動壁13Gの凸球状面に開口している。
【0047】
上記摺動壁13Gに対しては、該摺動壁13Gの凸球状面との相対摺動を許容する凹球状面をもつ摺動支持部材56が設けられている。上記摺動壁13Gと摺動支持部材56との球面形状は、筒状体13が熱の影響を受けて正規位置に対して傾いても、支障ないように自動調心性を与えている。摺動壁13Gの凸球状面と摺動支持部材56の凹球状面には、複数の上記送気管27の開口に連通する送気路(図示せず)が形成されている。さらに、この摺動支持部材56には、空気等の圧送管57が接続されていて、図示しない空気供給源からの空気が上記圧送管57と送気路を経て送気管27に供給できるようになっている。
【0048】
このような本実施形態において、可燃物を含有する原料が原料供給管15から開口部14Aを経て筒状体13の一端側に投入されると、原料は軸線方向で上流側の仕切壁20の範囲で、切欠部20A,20Bを経て上流側循環流を形成し、切欠部20Bの位置から中間域の螺旋搬送体40へ搬送されて該中間域で上記仕切壁20の切欠部20Bと燃焼室用仕切壁50の切欠部50Aを経て中間域循環流を形成した後、燃焼室となる筒状体13の左側域にもたらされる。この左側域では、原料が上記切欠部50Aと切欠部50Bを経て下流側循環流を形成しながら送気管27からの酸化剤としての空気を多孔性の内周壁23を透して受けて、この原料の一部が燃焼する。すなわち、原料は該原料の一部に含有される可燃物により自燃する。
【0049】
上記下流側循環流を形成する原料の一部が燃焼することで、その熱量は、切欠部50Aにて、中間域循環流の原料と接触してこの中間域循環流の原料に伝熱される。同様にして、上記中間域循環流の原料は切欠部20Bにて上流側循環流の原料と接触するので、上記熱量は上流側循環流の原料へ伝熱される。この熱量により、上流側循環流の原料は熱分解され、ガス分とチャー含有固形物とを生ずる。
【0050】
このように熱量は軸線方向の他端側から一端側へ伝熱されるが原料自体は一端側から他端側へ搬送されるので、上記チャー含有固形物は、他端側のチャー含有固形物排出管17から排出される。一方、原料の熱分解で生じたガス分は一端側に設けられたガス排出管16を通して、図示しない図1と同様の精製装置にもたらされる。精製装置からのタール含有液と凝縮液は、それぞれタール含有液排出管31と凝縮液排出管32で貫通窓部20Cの位置で筒状体13内にもたらされ、前実施形態の場合と同様に、タールはチャーと可燃ガスに転化され凝縮液は蒸発する。
【0051】
<第三実施形態>
図8に示される第三実施形態では、図1装置に加え、筒状体を加熱する熱源として筒状体からのチャーの一部を燃焼して得られる燃焼ガスを用いていること、放射線物質等の汚染物質がタール蒸気に含まれているとタール蒸気から除去しずらいので、タール蒸気をチャー化させることで汚染物質をすべてチャー含有固形物に付着させてこれを吸着材で除去し、汚染物質を高濃度で吸着材に吸着させて減容化して、後処理を容易とすることに特徴がある。
【0052】
図8において図1と共通部位には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0053】
図8において、図1と同一の熱分解装置1の加熱炉10のチャー含有固形物排出管17に、除染装置60が接続されている。
【0054】
除染装置60は、離脱塔61と吸着塔62とを有し、それぞれ、脱水器63と脱水器64が接続されている。
【0055】
離脱塔61は、冷却器65そしてバルブ65Aを介して上部受口61Aが上記加熱炉10のチャー含有固形物排出管17と接続されていて、バルブ65Aの開度を調整して所定量づつ加熱炉10からのチャー含有固形物(チャー及び不燃物)Pを冷却した状態で受けるようになっている。チャー含有固形物Pを収容する離脱塔61には水が充満されている。この離脱塔61の下部開口部にはバルブ61Bを介して上記脱水器63が接続されている。
【0056】
吸着塔62は、上部受口62Aから所定量毎に吸着材Qを受けるようになっており、内部には水が充満している。この吸着塔62の下部開口部にはバルブ62Bを介して上記脱水器64が接続されている。
【0057】
上記離脱塔61と吸着塔62は、離脱塔61の上部から水を抽出してポンプ67を経て吸着塔62の下部に注入するように、そして吸着塔62の上部から水を抽出してポンプ68を経て離脱塔61の下部に注入するように接続されている。
【0058】
上記除染装置60は、燃焼装置70を経て加熱炉10と接続されている。
【0059】
上記燃焼装置70は、図5における左側域と類似する構造を有しており(図8では図5の左側域を左右反転した構造に類似している)、多孔材の内周壁71Aを断熱材の外周壁71Bで覆って筒体71を形成し、この筒体71の外周壁に小孔が多数穿設された送気管72を配し、これを外周壁71Bの外面で保護壁で覆った構造をなし、上記内周壁71A内を燃焼室としている。上記筒体71は一端側(図では右端側)に端壁73と凸球状面をもつ摺動壁74を、そして他端側に端筒部75を有している。上記摺動壁74の凸球状面は、図5の場合と同様に、筒体71に自動調心性を与えている。かかる筒体71は、外周面に設けられたフランジ76にて軸受77により回転自在に支持され、図示しない駆動装置により回転駆動されている。
【0060】
上記送気管72は、図5の場合と同様に、摺動壁74を貫通し該摺動壁74の凸球状面に開口している。該摺動壁74は凹球状面をもつ摺動支持部材78により支持されている。該摺動支持部材78には燃料供給管79が貫通していてその一端開口は上記筒体71の内部に位置している。該燃料供給管79は他端側で上記除染装置60の脱水器63に接続されていて脱水後のチャーの一部を燃料として受けるようになっている。さらに、上記摺動支持部材78には送気管72に空気を圧送する圧送管80が接続されている。なお、本実施形態では、燃焼装置70へ燃料供給管79を通して供給される燃料として、加熱炉10で熱分解後に得られる可燃ガスの一部を用いることとしてもよい。
【0061】
上記燃焼装置70の筒体71の端筒部75には、排出筒81が筒体71の回転を許容するようにシール状態で覆うように設けられており、該排出筒81には上方に向け延びるガス排出管82がそして下方に向け延びる燃焼済固形物排出管83が接続されている。ガス排出管82は、その上端がサイクロン84に接続されていて、純粋なガス分と粉塵とに分離し、サイクロン84の上部から上記ガス分を加熱ガスとして上記加熱炉10の外筒体12と筒状体13との間に供給して該筒状体13を加熱すると共に、サイクロン84の下部からは粉塵を除去する。
【0062】
このような本実施形態では、熱分解して得られたチャー含有固形物に放射線物質のような汚染物質が付着しているおそれがある場合、チャー含有固形物Pは、離脱塔61内で水により洗浄されて汚染物質の離脱後、脱水器63で脱水され、一部が上記燃焼装置70へ供給され、残部は固形燃料として排出される。汚染物質を含有することとなった離脱塔61内の水はポンプ67により吸着塔62に送られて、汚染物質が吸着材Qに吸着され、浄化された水がポンプ68により再び離脱塔61へ帰還する。汚染物質を吸着された吸着材Qは脱水器64で脱水された後、減容化された状態で後処理装置へ送られる。
【0063】
脱水器63で脱水されたチャーの一部は、燃焼装置70に送られ、送気管72からの酸化剤としての空気を多孔材の内周壁71Aを透して受け、ここで自燃する。自燃後の燃焼ガスはサイクロン84を経て、ガス分のみが加熱ガスとして加熱炉10へ送られ筒状体13の加熱に供する。
【0064】
本実施形態では、離脱塔は図8の形態によらずとも、図9のような形態であってもよい。
【0065】
図9(A)では、離脱塔61は縦型の給水筒61−1と排水筒61−2を有し、給水筒61−1と排水筒61−2は、底部で横型の連絡筒61−3により連絡されている。連絡筒61−3内には、チャー含有固形物Pを排水筒61−2から給水筒61−1へ搬送する螺旋搬送体61−4が配されている。給水筒61−1は給水口61−1Aがそして排水筒61−2には排水口61−2Aが設けられていて、給水口61−1Aが排水口61−2Aよりも上方に位置していて給水筒61−1と排水筒61−2の間に水位差を与えている。熱分解装置1の加熱炉10からのチャー含有固形物Pは、上方から上記排水筒61−2へ投入され、給水筒61−1の下部からバルブ61−1Bを経て排出されるようになっている。
【0066】
この図9(A)の離脱塔61では、汚染物質が付着しているチャー含有固形物Pは排出筒61−2から連絡筒61−3を通って給水筒61−1に達する間に、向流する給水口61−1Aからの清浄水により汚染物質が除去され、上記バルブ61−1Bを経て排出される。排出後のチャー含有固形物は図8の脱水器63等により脱水される。一方、汚染物質を含有することとなった汚染水は排水口61−2Aから排出され、例えば図8の吸着塔62等により浄化される。
【0067】
図9(A)の離脱塔61は、図9(B)のように傾斜させることで、給水口61−1Aと排水口61−2Aとの間の水位差を確保している。
【0068】
さらに、離脱塔61は、チャー含有固形物が粉体あるいは細粒の場合、水との接触を良好とするように攪拌手段を有するようにすることもできる。
【0069】
図10(A)において縦型の離脱塔61は、下部に給水口61−1Aそして上部に排水口61−2Aを有し、下端にバルブ61−1Bが設けられ、さらに内部には、軸体65Aに攪拌翼65Bが取り付けられた攪拌部材65が設けられている。この例では、チャー含有固形物は清浄水と共に攪拌部材65により攪拌されて清浄水との接触を十分に行い汚染物質が良好に離脱される。
【0070】
図10(B)の例では、攪拌部材に代え、粉体あるいは細粒のチャー含有固形物の透過そして水の透水を許容する振動部材66が設けられており、その振動によりチャー含有固形物と水との接触を促進させる。
【0071】
図9(A),(B)そして図10(A),(B)の装置を離脱塔として説明したが、これは吸着塔としても使用可能である。図9(A),(B)そして図10(A),(B)にて、汚染物質が付着したチャー含有固形物Pに代えて、汚染されていない吸着材を排水筒61−2へ投入し、さらに、清浄水に代えて、汚染水を給水口61−1Aに注入すれば、汚染水は排水口61−2Aから排水までの間に汚染物質が吸着材により吸着除去され清浄水となる。かくして、図9(A),(B)そして図10(A),(B)の装置を吸着塔としても使用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 熱分解装置
10 加熱炉
11 軸線
13 筒状体
14A,14B 開口部
15 原料供給管
16 ガス排出管
17 チャー含有固形物排出管
20 仕切壁
20C 貫通窓部
21 ガイド板
30 精製装置
31 タール含有液排出管
40 螺旋搬送体
50 仕切壁
51 ガイド板
60 除染装置
61 離脱塔
62 吸着塔
63 脱水器
64 他の脱水器
70 燃焼装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横型の筒状体が外部から加熱され筒状体内の可燃物含有原料を熱分解してガス分とチャー含有固形物とを生成し排出する加熱炉と、該加熱炉からガス分を受けてこれを精製して可燃ガスそしてタール含有液とする精製装置とを備え、加熱炉は、水平方向に延びる軸線での両端に開口部が形成されて上記軸線まわりに回転する筒状体と、該開口部側部分をなす端域を除く軸線方向範囲で筒状体の内部を複数の空間に区分する、上記軸線に平行で筒状体と共に回転する仕切壁と、軸線に対して傾角をなす位置で仕切壁の両面から起立するガイド板とを有し、仕切壁の両面でのガイド板は、筒状体の回転により仕切壁の各面が順次同一側に位置したときに互いに逆方向となる傾角をもち、上記仕切壁は軸線方向中間位置で貫通窓部が形成されていて該仕切壁の両側の空間を連通しており、上記筒状体の軸線方向一端側の開口部に外部から原料を供給する原料供給管が進入して位置し、他端側の開口部には、ガス排出管とチャー含有固形物排出管とが接続されている可燃物含有原料の熱分解装置において、
精製装置のタール含有液排出管が筒状体の他端側の開口部から筒状体内に進入していて該タール含有液排出管の先端開口が上記軸線方向で仕切壁の貫通窓部の範囲に位置していることを特徴とする可燃物含有原料の熱分解装置。
【請求項2】
横型の筒状体内で可燃物含有原料が自燃により熱分解してガス分とチャー含有固形物とを生成し排出する加熱炉と、該加熱炉からガス分を受けてこれを精製して可燃ガスそしてタール含有液とする精製装置とを備え、加熱炉は、水平方向に延びる軸線での両端に開口部が形成されて上記軸線まわりに回転する筒状体と、該開口部側部分をなす端域及び軸線方向中間域を除く軸線方向範囲で筒状体の内部を複数の空間に区分する、上記軸線に平行で筒状体と共に回転する仕切壁と、軸線に対して傾角をなす位置で仕切壁の両面から起立するガイド板と、上記中間域に配されて上記軸線方向で互いに逆方向に原料を搬送する複数の螺旋搬送体とを有し、上記筒状体内に設けられた仕切壁の両面でのガイド板は、筒状体の回転により仕切壁の各面が順次同一側に位置したときに互いに逆方向となる傾角をもち、上記仕切壁のうち少なくとも軸線方向一端側に位置する仕切壁は軸線方向中間位置で貫通窓部が形成されていて該仕切壁の両側の空間を連通し、また、上記複数の螺旋搬送体の軸線方向一端側同士そして他端側同士がそれぞれ筒状体内空間を介して連通して中間域連通空間を形成しており、上記筒状体の軸線方向一端側の開口部に外部から原料を供給する原料供給管が進入して位置し、一端側の開口部にガス排出管がそして他端側の開口部にはチャー含有固形物排出管が接続されている可燃物含有原料の熱分解装置において、
精製装置のタール含有液排出管が筒状体の一端側の開口部から筒状体内に進入していて該タール含有液排出管の先端開口が上記軸線方向で仕切壁の貫通窓部の範囲に位置していることを特徴とする可燃物含有原料の熱分解装置。
【請求項3】
筒状体は燃焼装置に接続されており、該燃焼装置が上記筒状体から熱分解後の可燃ガスの一部もしくはチャー含有固形物の少なくとも一部を受けてこれを燃焼し、燃焼ガスが筒状体の原料を加熱するように該筒状体に供給されることとする請求項1に記載の可燃物含有原料の熱分解装置。
【請求項4】
筒状体は、除染装置を介して燃焼装置に接続されており、上記除染装置は、筒状体からチャー含有固形物を受け排出する離脱塔と、吸着材を受け排出する吸着塔とを有し、離脱塔と吸着塔が両塔の間を水が循環するように接続されていて、循環水が離脱塔でチャー含有固形物の汚染物を離脱した後に吸着塔へ搬送され、該吸着塔での汚染物の吸着材による吸着除去後に離脱塔へ帰還するようになっていると共に、離脱塔から排出されたチャー含有固形物の少なくとも一部が脱水器を経て脱水状態で燃焼装置へ燃料として供給され、吸着塔から排出された吸着材が他の脱水器を経て減容状態で排出されるようになっていることとする請求項3に記載の可燃物含有原料の熱分解装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−112704(P2013−112704A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257895(P2011−257895)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(390034212)株式会社チサキ (20)
【出願人】(391009969)
【Fターム(参考)】