説明

可視光レーザビーム照射システム、および、車両に可視光レーザビーム照射装置を搭載する方法

【課題】可視光レーザビームを、車両の車室内に照射する技術において、乗員にとっての可視光レーザビームの視認性を高くする。
【解決手段】可視光レーザビーム21、22の波長に対する拡散反射率がインストルメントパネル7の他の部分よりも高い高反射部31を、インストルメントパネル上面7a上に散在させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内にレーザビームを照射するための可視光レーザビーム照射システム、および、車両にレーザビーム照射装置を搭載する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、可視光レーザビームを車両前端部から路面に対して照射することで、路面に描画を行う技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−210716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、可視光レーザビームを、車外ではなく車両の車室内に照射することについては、従来想定されていなかった。本発明は、可視光レーザビームを、車外ではなく車両の車室内に照射する技術において、乗員にとっての可視光レーザビームの視認性を高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
まず、車両のインストルメントパネルに可視光レーザビームを照射する場合を考える。この場合、太陽光が車外から入るような状況においては、インストルメントパネルが太陽光を反射するので、インストルメントパネル上に照射された可視光レーザビームの光が見え難くなりがちである。
【0005】
この問題を解決して可視光レーザビームの視認性を向上するための本発明の第1の特徴は、可視光レーザビーム照射システムが、車両の車室内に設けられたインストルメントパネル(7)と、当該車両に搭載され、可視光レーザビームをインストルメントパネルに照射するレーザビーム照射装置(3、4)と、を備え、インストルメントパネルは、レーザビーム照射装置が照射する可視光レーザビームの波長における拡散反射率が第1の値となるように形成された第1の表面部分、および、当該波長における拡散反射率が第1の値より大きい第2の値となるように形成された第2の表面部分を有し、レーザビーム照射装置は、可視光レーザビームを、この第2の表面部分に照射することである。
【0006】
このように、レーザビーム照射装置が照射する可視光レーザビームの波長における拡散反射率が高い、すなわち、より効率的かつ選択的にレーザ光を反射することができる第2の表面部分に可視光レーザビームを照射することで、当該第2の部分上における可視光レーザビームの光の視認性が向上する。
【0007】
また、可視光波長帯域を、青色サブ波長帯域、緑色サブ波長帯域、黄色サブ波長帯域、および赤色サブ波長帯域という5つのサブ波長帯域に区分けして考えた場合、第2の表面部分の拡散反射率の波長特性は、照射波長が属するサブ波長帯域以外の波長帯域の少なくとも一部における拡散反射率が、照射波長における拡散反射率の50パーセント以上を保っているようになっていてもよい。
【0008】
例えば、第2の表面部分の拡散反射率が高い領域が、照射波長が属するサブ波長帯域内のみに収まっていれば、可視光レーザの色と第2の表面の色とが同系統になってしまう。しかし、上記のように、照射波長における拡散反射率の50パーセント以上を保つ波長帯域が当該サブ波長帯域以外にもあれば、第2の表面の色は、可視光レーザビームの色と区別がつき易くなる。したがって、第2の表面上において、可視光レーザビームの光がより見易くなる。
【0009】
また、第2の表面部分は、第1の表面部分よりもフロントガラスに窓映りしやすくなってしまう傾向がある。そのような場合のため、第2の表面部分を、複数の離れた部分によって構成し、それら複数の離れた部分のそれぞれが、第1の表面部分に囲まれていてもよい。
【0010】
このようになっていることで、窓映りしやすい第2の表面部分が、窓映りしにくい第1の表面部分中に散在することになる。したがって、フロントガラス上では、窓映りしている部分が分散することになる。このようになっているとで、窓映りによってフロントガラスが見え辛くなってしまう程度を軽減することができる。
【0011】
また、これらら複数の離れた部分は、インストルメントパネル上に規則的に並んでいてもよい。このようになっていることで、散在する第2の表面部分によって、乗員の美感が喚起されるという効果を得ることができる。
【0012】
また、第2の表面部分において、レーザビーム照射装置から照射された可視光レーザビームの反射率の、反射方向についての依存性が、車室内のドライバの頭部を含む方向領域における反射率が他のいずれかの方向における反射率よりも高くなるよう、第2の表面部分が配置されていてもよい。このようになっていることで、第2の表面部分に照射された可視光レーザビームは、より効果的にドライバの目に入るようになる。
【0013】
また、インストルメントパネルは、その上面において、上方向に突出する突出部(41)を有し、突出部の乗員側の面(41a)が、第2の表面部分となっていてもよい。なお、ここでいう「上」とは、車両を基準とした「上」のことをいう。このようになっていることで、可視光レーザビームの光がフロントガラスに窓映りする可能性がほとんどなくなる。
【0014】
また、本発明の第1の特徴は、レーザビーム照射装置(3、4)が照射する可視光レーザビームの波長(以下、照射波長という)における拡散反射率が第1の値となるように形成された第1の表面部分、および、照射波長における拡散反射率が第1の値より大きい第2の値となるように形成された第2の表面部分(31、41a、61、71a〜d、90)を有するインストルメントパネル(7)を備えた車両に前記レーザビーム照射装置を搭載する方法であって、レーザビーム照射装置を、当該レーザビーム照射装置から照射される可視光レーザビームが第2の表面部分に当たるように、車両に搭載する方法としても捉えることができる。
【0015】
また、本発明の第1の特徴は、車両に搭載され、可視光レーザビームを車両の車室内に設けられたインストルメントパネルに照射するレーザビーム照射装置(3、4)と、レーザビーム照射装置の照射方向を制御する制御装置(11)と、を備え、制御装置は、レーザビーム照射装置(3、4)が照射する可視光レーザビームの波長(以下、照射波長という)に対する拡散反射率が第1の値となるインストルメントパネルの第1の表面部分、および、照射波長に対する拡散反射率が第1の値より大きい第2の値となるインストルメントパネルの第2の表面部分のうち、第2の表面部分に、レーザビーム照射装置が可視光レーザビームを照射するよう制御することを特徴とする可視光レーザビーム照射システムとして捉えることもできる。
【0016】
また、本発明の第2の特徴は、可視光レーザビーム照射システムが、車両の車室内に設けられたインストルメントパネル(7)と、当該車両に搭載され、可視光レーザビームをインストルメントパネルに照射するレーザビーム照射装置(3、4)と、を備え、インストルメントパネルは、そのレーザ/太陽反射率比が第1の値となるように形成された第1の表面部分、および、レーザ/太陽反射率比が第1の値より大きい第2の値となるように形成された第2の表面部分を有し、レーザビーム照射装置は、可視光レーザビームを、この第2の表面部分に照射することである。
【0017】
なお、ある表面部分のレーザ/太陽反射率比とは、その表面部分のレーザビーム反射率RLと、太陽光反射率RSとの比RL/RSのことをいう。そして、ある表面部分のレーザビーム反射率RLとは、その表面部分に入射した可視光レーザビームを反射した結果の反射光の可視光領域中のエネルギーの、当該入射した可視光レーザビームの可視光領域中のエネルギーに対する比のことをいう。また、ある表面部分の太陽光反射率RSとは、その表面部分に入射した太陽光を反射した結果の反射光の可視光領域中のエネルギーの、当該入射した太陽光の可視光領域中のエネルギーに対する比のことをいう。
【0018】
このように、レーザ/太陽反射率比が高い、すなわち、より効率的にレーザ光を反射することができる第2の表面部分に可視光レーザビームを照射することで、当該第2の部分上における可視光レーザビームの光の視認性が向上する。
【0019】
また、本発明の第2の特徴は、レーザ/太陽反射率比というが、第1の値となるように形成された第1の表面部分、および、レーザ/太陽反射率比が第1の値より大きい第2の値となるように形成された第2の表面部分を有するインストルメントパネル(7)を備えた車両にレーザビーム照射装置を搭載する方法であって、レーザビーム照射装置(3、4)を、当該レーザビーム照射装置から照射される可視光レーザビームが第2の表面部分に当たるように、車両に搭載する方法としても捉えることができる。
【0020】
また、本発明の第2の特徴は、車両に搭載され、可視光レーザビームを車両の車室内に設けられたインストルメントパネルに照射するレーザビーム照射装置(3、4)と、レーザビーム照射装置の照射方向を制御する制御装置(11)と、を備え、制御装置は、インストルメントパネルの、レーザ/太陽反射率比が第1の値となる第1の表面部分、および、レーザ/太陽反射率比が第1の値より大きい第2の値となる第2の表面部分のうち、第2の表面部分に、レーザビーム照射装置が可視光レーザビームを照射するよう制御することを特徴とする可視光レーザビーム照射システムとしても捉えることができる。ただし、表面のレーザ/太陽反射率比は、当該表面に入射した可視光レーザビームを反射した結果の反射光の可視光領域中のエネルギーの、入射した可視光レーザビームの可視光領域中のエネルギーに対する比RL(以下、レーザビーム反射率RLという)と、当該表面に入射した太陽光を反射した結果の反射光の可視光領域中のエネルギーの、当該入射した太陽光の可視光領域中のエネルギーに対する比RSとの比RL/RSである。
【0021】
また、本発明の第3の特徴は、可視光レーザビーム照射システムが、車両に搭載され、可視光レーザビームを車両の車室内に照射するレーザビーム照射装置(3、4)と、可視光レーザビーム照射装置から照射される可視光レーザビームの照射方向および照射強度を制御する制御装置(11、16)と、を備え、制御装置は、照射方向に対応する車室内の照射位置照射位置の、前記照射波長における拡散反射率の情報に基づいて、当該照射位置の前記拡散反射率が低くなるほど前記照射強度を高くすることである。
【0022】
このようになっていることで、車室内の各照射位置において、拡散反射率が低くなるほど、その照射位置に当たる可視光レーザビームの強度が高くなる。したがって、可視光レーザビームの反射光の強度のばらつきが抑えられる。その結果、乗員にとって照射位置における可視光レーザビームの光の視認性が向上する。
【0023】
またこのとき、可視光レーザビーム照射システムは、車室内の照射位置を撮影するカメラ(5)を備えていてもよい。このとき、制御装置は、カメラの撮影画像に基づいて照射位置を特定し、特定した照射位置を、拡散反射率と前記車室内の位置との対応関係のデータに適用することで、照射波長における拡散反射率の情報を取得するようになっていてもよい。このようになっていることで、カメラを用いた照射位置の特定およびその照射位置を用いた照射輝度の調整が実現する。
【0024】
またこのとき、可視光レーザビーム照射システムは、車室内の照射位置を撮影するカメラ(5)を備えていてもよい。このとき、制御装置は、カメラによって撮影された照射位置の輝度を検出し、検出した輝度が低くなるほど、照射強度を高くするようになっていてもよい。このように、カメラを用いることで、照射方向に対応する車室内の照射位置における拡散反射率の情報を取得することができる。
【0025】
また、本発明の第4の特徴は、車両に搭載され、可視光レーザビームを車両の車室内に照射するレーザビーム照射装置(3、4)と、レーザビーム照射装置から照射される可視光レーザビームの照射強度を制御する制御装置(11)と、車室内へ車外から入る光の強度を検出する車外光センサ(6)と、を備え、制御装置は、車外光センサが検出した光の強度が高いほど照射強度を高くするようになっていてもよい。
【0026】
このようになっていることで、車外からの光が強くなるほど、可視光レーザビームの強度も増すので、車外からの光が強くなるにつれ可視光レーザビームが見え辛くなる可能性が低減される。
【0027】
また、本発明の第5の特徴は、可視光レーザビーム照射システムが、車両に搭載され、第1の可視光レーザビームを車両の車室内に照射する第1のレーザビーム照射装置(3)と、第1のレーザビーム射出装置の車両への搭載位置とは異なる位置において車両に搭載され、第2の可視光レーザビームを車両の車室内に照射する第2のレーザビーム照射装置(4)と、第1の可視光レーザビームが照射される車室内の照射位置と、第2の可視光レーザビームが照射される車室内の照射位置とが一致するように、第1の可視光レーザビームおよび第2の可視光レーザビームの照射方向を制御する制御装置と、を備えたことである。
【0028】
このようにすることで、レーザビーム照射装置一台で照射位置を照らす場合に比べ、照射位置における可視光レーザビームの光の強に対する個々のレーザビーム照射装置の出力が小さくなる。したがって、可視光レーザビームの経路に人の目が入っても、個々の可視光レーザビーム自体の強度が低いので、瞳に対する悪影響が発生する可能性が低下する。したがって、このような本発明の特徴により、人の目に対する安全性と可視光レーザビームの視認性を同時に確保することができる。
【0029】
具体的には、制御装置は、第1のレーザビーム照射装置の照射方向と第1の可視光レーザビームによって照射される車室内の照射位置との対応関係、および、第2のレーザビーム照射装置の照射方向と第2の可視光レーザビームによって照射される車室内の照射位置との対応関係を表す方向・位置対応情報を記憶する記憶媒体を備え、制御装置は、方向・位置対応情報に基づいて、第1の可視光レーザビームが照射される車室内の照射位置と、前記第2の可視光レーザビームが照射される前記車室内の照射位置とが一致するように、第1の可視光レーザビームおよび第2の可視光レーザビームの照射方向を制御するようになっていてもよい。
【0030】
また、可視光レーザビーム照射システムは、車室内を撮影するカメラ(5)を備え、制御装置は、カメラの撮影した車室内の画像に基づいて、第1の可視光レーザビームが照射される車室内の照射位置と、第2の可視光レーザビームが照射される車室内の照射位置とを検出し、この検出結果に基づいて、これら照射位置が一致するように、第1の可視光レーザビームおよび第2の可視光レーザビームの照射方向を制御するようになっていてもよい。
【0031】
このように、カメラの撮影画像によって、照射位置のフィードバック制御を行うことで、精度良くこれら2つの照射位置を一致させることができる。
【0032】
なお、上記特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された構成要素等の一例として後述の実施形態に記載される具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る可視光レーザビーム照射システムが搭載された車両の車室1内を概略的に示し、図2に、この可視光レーザビーム照射システムの電気的接続関係を示す。
【0034】
可視光レーザビーム照射システムは、レーザ照射装置3、レーザ照射装置4、室内カメラ5、レーザビームECU11、各種ECU12、14、16、およびECU11〜16間の通信を媒介する通信線17を含んでいる。
【0035】
可視光レーザビームを照射するレーザ照射装置3、4のそれぞれは、車室1の天井部2の前端付近に装着されており、レーザビームECU11からの制御に応じて、可視光レーザの照射のオン・オフおよび照射方向を変える。照射方向を変化させるための機構としては、例えばモータ駆動機構がある。
【0036】
可視光レーザビーム照射システムは、レーザ照射装置3、レーザ照射装置4、室内カメラ5、日射センサ6、レーザビームECU11、各種ECU12〜16、およびECU11〜16間の通信を媒介する通信線17を含んでいる。
【0037】
レーザ照射装置3、4のそれぞれは、車室1の天井部2の前端付近に装着されており、レーザビームECU11からの制御に応じて、可視光レーザの照射のオン・オフ、照射方向、照射強度等を変える。照射方向を変化するための機構としては、例えばモータ駆動機構がある。これらレーザ照射装置3、4の照射方向としては、例えば、インストルメントパネル7の上面7a等がある。レーザ照射装置3、4が照射する可視光レーザビームは、本実施形態においては単色光である。この単色光の波長(以下、照射波長という)は、可視光レーザビーム照射システムの搭載時にあらかじめ決められていてもよいし、レーザビームECU11の制御によって変化するようになっていてもよい。
【0038】
室内カメラ5は、車室1の天井部2の前端付近に装着されており、インストルメントパネル上面7a等、可視光レーザビームが照射されるようになっている位置の全体を繰り返し撮影し、撮影結果の画像をECU16に出力する。ECU16は、この室内カメラ5から受けた撮影画像から、可視光レーザビームが現に照射されている照射位置および当該照射位置への可視光レーザビームの照射の輝度を、周知の画像認識処理を用いてくり返し検出し、それら検出した照射位置および検出輝度を、撮影画像と共に室内カメラ情報としてレーザビームECU11に出力する。なお、画像認識処理においては、例えば、あらかじめ(例えば、可視光レーザビーム照射システムの車両への搭載時において)可視光レーザビームが照射されていない状態における撮影画像を参照用として取得しておき、その参照用撮影画像と取得した室内カメラ情報内の撮影画像との比較を行うことで、照射位置の特定を行うようになっていてもよい。
【0039】
日射センサ6は、インストルメントパネル上面7aへの日射量を検出し、その検出結果をECU15に出力する。ECU15は、日射センサ6から受けた日射量の情報を、日射センサ情報としてレーザビームECU11に出力する。
【0040】
ECU12は、車両内部の各種センサ(図示せず)からの信号に基づいて、車両の状態に関する情報(車両内外の状況の情報の一例に相当する)を取得または算出し、それら取得または算出した情報に基づいて、可視光レーザによる表示が必要であるか否かを判定し、必要であると判定した場合は、さらに照射対象物を特定し、この特定した照射対象物の識別子の情報を含む照射開始指示信号をレーザビームECU11に出力する。そして、可視光レーザによる表示が必要なくなったと判定すると、照射停止指示信号をレーザビームECU11に出力する。
【0041】
例えば、ドアが開いている、エンジン冷却水音が所定温度を超えている、ガソリン残量が所定量を下回っている。車内電話機に着信があった、車内のETC車載器が課金処理を行った等の状況を検出すると、それぞれの検出内容に応じた照射部位(例えばインストルメントパネル上面7a上の右上端部、右下端部等)を照射対象物として特定し、その特定した照射対象物の識別子の情報を含む照射開始指示信号をレーザビームECU11に出力する。そして、これら照射開始信号を出力した原因の状況が解消すると、照射停止指示信号をレーザビームECU11に出力する。
【0042】
ECU13は、車両の各種センサ(図示せず)からの信号に基づいて、ドライバの状態の情報(車両内外の状況の情報の一例に相当する)を取得または算出し、可視光レーザによる表示が必要であるか否かを判定し、必要であると判定した場合は、さらに照射対象物を特定し、この特定した照射対象物の識別子の情報を含む照射開始指示信号をレーザビームECU11に出力する。そして、可視光レーザによる表示が必要なくなったと判定すると、照射停止指示信号をレーザビームECU11に出力する。
【0043】
例えば、ドライバ撮影用カメラがドライバの居眠り動作を撮影した場合、インストルメントパネル上面7a上の目立つ位置(例えばドライバの正面)を照射対象物として特定し、その特定した照射対象物の識別子の情報を含む照射開始指示信号をレーザビームECU11に出力する。そして、ドライバの居眠り動作が解消した場合、照射停止指示信号をレーザビームECU11に出力する。
【0044】
ECU14は、車両の各種センサ(図示せず)からの信号に基づいて、車両周辺の状態に関する情報(車両内外の状況の情報の一例に相当する)を取得または算出し、可視光レーザによる表示が必要であるか否かを判定し、必要であると判定した場合は、さらに照射対象物を特定し、この特定した照射対象物の識別子の情報を含む照射開始指示信号をレーザビームECU11に出力する。そして、可視光レーザによる表示が必要なくなったと判定すると、照射停止指示信号をレーザビームECU11に出力する。
【0045】
例えば、車両の周辺の障害物を検出して表示する障害物警告装置(例えばクリアランスソナー:図示せず)が障害物および当該障害物までの距離を検出した場合、その距離に応じて変化するインストルメントパネル上面7a上の部位を照射対象物として特定し、この特定した照射対象物の識別子の情報を含む照射開始指示信号をレーザビームECU11に出力する。そして、障害物が存在しなくなると、照射停止指示信号をレーザビームECU11に出力する。
【0046】
レーザビームECU11は、方向・位置対応テーブル11bを記憶している。方向・位置対応テーブル11bは、それぞれが車両内の各箇所に対応する複数のレコードを有し、各レコードは、
(1)対象箇所の識別子
(2)当該対象箇所に可視光レーザを照射するためにレーザ照射装置3が向くべき方向
(3)当該対象箇所に可視光レーザを照射するためにレーザ照射装置4が向くべき方向
等が記録されている。
【0047】
ここで、対象箇所の識別子は、対象箇所の名称(例えば、インストルメントパネル上面7a、ドライブポジションレバー等)でもよいし、対象箇所の車両内の3次元座標でもよいし、名称と座標の組み合わせ(例えば、インストルメントパネル上面7a上の2次元座標)でもよい。この方向・位置対応テーブル11bは、可視光レーザビーム照射システムの車両への設置時、または可視光レーザビーム照射システムの製造時に、あらかじめレーザビームECU11の記憶媒体に記録されるようになっている。
【0048】
ここで、可視光レーザビームが照射される部位であるインストルメントパネル7の構造について説明する。図3に、インストルメントパネル7の構成を概略的に示す。
【0049】
インストルメントパネル上面7aには、(図中では4行7列の)格子状に等間隔で並べられた高反射部31(第2の表面部分の一例に相当する)が貼り付けられている。レーザ照射装置3、4は、より具体的には、これら高反射部31に、可視光レーザビームを照射するようになっている。
【0050】
これら高反射部31のそれぞれは、インストルメントパネル上面7aの露出している表面部分(第1の表面部分の一例に相当する)に囲まれている。そして、照射波長における拡散反射率については、高反射部31の方が、インストルメントパネル上面7aよりも高くなっている。
【0051】
また、レーザ/太陽反射率比に関しても、高反射部31の方がインストルメントパネル上面7aよりも高くなっている。ここで、ある表面部分のレーザ/太陽反射率比とは、その表面部分のレーザビーム反射率RLと、太陽光反射率RSとの比RL/RSのことをいう。そして、ある表面部分のレーザビーム反射率RLとは、その表面部分に入射した可視光レーザビームを反射した結果の反射光の可視光領域中のエネルギーの、当該入射した可視光レーザビームの可視光領域中のエネルギーに対する比のことをいう。また、ある表面部分の太陽光反射率RSとは、その表面部分に入射した太陽光を反射した結果の反射光の可視光領域中のエネルギーの、当該入射した太陽光の可視光領域中のエネルギーに対する比のことをいう。
【0052】
これらのような反射特性を実現するためには、例えば、インストルメントパネル上面7aの色が、黒、グレー、茶、紺等の暗色系となっているのに対し、高反射部31のそれぞれの色が、白、ベージュ等の明色系となっているようにしてもよい。また例えば、インストルメントパネル上面7aが非メタリック色調を有しているのに対し、高反射部31のそれぞれが、シルバー等のメタリック色調を有するようにしてもよい。また、例えば、インストルメントパネル上面7aにはつや処理を施さず、その一方で、高反射部31のそれぞれにはつや処理を施すようになっていてもよい。
【0053】
このように、照射波長における拡散反射率が高い高反射部31、すなわち、より効率的かつ選択的にレーザ光を反射することができる高反射部31に可視光レーザビームが照射されることで、当該高反射部31上における可視光レーザビームの光の視認性が向上する。
【0054】
また、レーザ/太陽反射率比が高い、すなわち、太陽光よりも効率的にレーザ光を反射することができる高反射部31に可視光レーザビームを照射することで、高反射部31上における可視光レーザビームの光の視認性が向上する。
【0055】
したがって、太陽光が車外から入るような状況において、インストルメントパネルが太陽光を反射して、インストルメントパネル上に照射された可視光レーザビームの光が見え難くなりがちな傾向を緩和することができる。
【0056】
また、高反射部31は、インストルメントパネル上面7aよりもフロントガラスに窓映りしやすくなってしまう傾向がある。しかし、上記のように、高反射部31を、複数の離れた部分によって構成し、それら複数の離れた部分のそれぞれが、インストルメントパネル上面7aの露出部分に囲まれていることで、窓映りしやすい高反射部31が、窓映りしにくいインストルメントパネル上面7aの表面部分中に散在することになる。したがって、フロントガラス上では、窓映りしている部分が分散することになる。このようになっていることで、窓映りによってフロントガラスが見え辛くなってしまう程度を軽減することができる。
【0057】
また、これらら高反射部31は、上述の通り、インストルメントパネル7上に規則的に並んでいるので、散在する高反射部31によって、乗員の美感が喚起されるという効果を得ることができる。
【0058】
ここで、高反射部31の反射特性について更に詳しく説明する。高反射部31の色が白色に近い場合、高反射部31の波長−拡散反射率特性は、図4のグラフの実線80ように、可視光領域中でほぼ一定となる。ここで、波長−拡散反射率特性とは、ある波長の光が入射したときの拡散反射率の、当該入射波長に対する依存性を示す特性をいう。ここで、図4に示すように、照射波長が、緑色に相当する波長であると、高反射部31の色と可視光レーザビームの色とが異なるので、さらに可視光レーザビームの光が見え易い。
【0059】
ここで、図4に示すように、可視光波長領域を、5つのサブ領域81〜85に分割する。各領域は、紫色系統の波長帯である紫色サブ波長帯域81(380nm〜430nm)、青色系統の波長帯である青色サブ波長帯域82(430nm〜490nm)、緑色系統の波長帯である緑色サブ波長帯域83(490nm〜550nm)、黄色系統の波長帯である黄色サブ波長帯域84(550nm〜590nm)、および、赤色系統の波長帯である赤色サブ波長帯域85(590nm〜770nm)である。
【0060】
このような区分けに基づいてみた場合、高反射部31の波長−拡散反射率特性は、図5の実線87のようになっていても、高反射部31と可視光レーザビームの色との違いが明確になる。図5の波長―拡散反射率特性87においては、照射波長86を含む緑色サブ波長帯域83のみならず、その緑色サブ波長帯域83に隣接する黄色サブ波長帯域84、および赤色サブ波長帯域85、青色サブ波長帯域82の一部においても、拡散反射率が、照射波長86における拡散反射率の50パーセント以上を保っている。したがって、高反射部31は、可視光レーザビームの色である緑色からずれた色を有するようになる。これによりさらに可視光レーザビームの光が見え易くなる。
【0061】
このような効果は、第2の表面部分の、照射波長が属するサブ波長帯域以外の波長帯域の少なくとも一部における拡散反射率が、照射波長における拡散反射率の50パーセント以上を保っているようになっていれば得ることができる。
【0062】
次に、可視光レーザビーム照射システムの作動について説明する。図6に、このレーザビームECU11が繰り返し(例えば10ミリ秒毎に)実行する処理100のフローチャートを示す。
【0063】
この処理100の1回分の実行において、レーザビームECU11は、まずステップ110で、ECU12〜14のいずれかから照射開始指示信号を受信した後であり、かつ、当該ECUから照射停止指示信号をまだ受けていない状態であるか否かを判定し、判定結果が肯定的なら続いてステップ120を実行し、否定的なら処理100の1回分の実行を終了する。
【0064】
ステップ120では、照射開始指示信号に含まれる照射対象の識別子を、方向・位置対応テーブル11bに適用することで、レーザ照射装置3およびレーザ照射装置4の照射方向を特定する。したがって、レーザ照射装置3およびレーザ照射装置4の照射対象となる位置は、同一の位置となる。
【0065】
また、ステップ120においては、ECU16から逐次受けている室内カメラ情報中の現実の照射位置の情報に基づいて、方向・位置対応テーブル11bによって特定した照射方向を修正する。この修正の方法としては、フィードバック的な手法を用いてもよい。具体的には、処理100の前回の実行時における修正量が、2つの照射位置の相対的なずれの変化(すなわち、前回取得したレーザ照射装置3および4の間の現実の照射位置の相対的なずれから、今回室内カメラ情報から取得した現実の照射位置の相対的なずれへの変化)に影響を及ぼしたとみなして、現在の相対的なずれをゼロにするよう、レーザ照射装置3およびレーザ照射装置4の照射方向を修正する。なお、第1回目の修正量については、所定の方向への所定量の修正であってもよい。
【0066】
続いてステップ130では、レーザ照射装置3およびレーザ照射装置4の照射強度を決定する。具体的には、ECU15から受けた日射センサ情報中の照射量が高いほど、照射強度が高くなるように制御する。
【0067】
続いてステップ140では、ステップ120および130の決定に従ってレーザ照射装置3、4を制御する。さらにステップ150では、照射開始指示信号を出力したECUから照射停止指示信号を受けたか否かを判定し、受けていなければ処理100の1回分の実行を終了し、受けていれば続いてステップ160を実行することでレーザ照射装置3、4による可視光レーザビームの照射を停止させ、その後、処理100の1回分の実行を終了する。
【0068】
以上の通り、レーザビームECU11は、照射開始指示をECU12〜14のいずれかから受けて(ステップ110参照)以降、照射停止指示を当該ECUから受ける(ステップ150参照)までの間、その照射開始指示に含まれる照射対象物を照射するためのレーザ照射装置3、4の照射方向(ステップ120参照)および照射強度(ステップ130参照)を決定し、決定に従ってレーザ照射装置3およびレーザ照射装置4に照射させる(ステップ140参照)という処理を繰り返し続ける。
【0069】
そして、その繰り返しにおいて、レーザ照射装置3の照射位置とレーザ照射装置4の照射位置とが一致するよう、照射方向の決定の際には、方向・位置対応テーブル11bを用いて、それぞれの照射方向を制御する。
【0070】
このように、複数のレーザ照射装置3、4を用いて同じ位置に可視光レーザビームを照射するので、レーザビーム照射装置一台で照射位置を照らす場合に比べ、照射位置における可視光レーザビームの光の強に対する個々のレーザビーム照射装置3、4の出力を抑えることができる。したがって、可視光レーザビームの経路に人の目が入っても、個々の可視光レーザビーム自体の強度が低いので、瞳に対する悪影響が発生する可能性が低下する。結果として、人の目に対する安全性と可視光レーザビームの視認性を同時に確保することができる。
【0071】
より具体的には、照射方向の決定において、室内カメラ情報における現実の照射位置の情報を逐次フィードバックすることで、レーザ照射装置3とレーザ照射装置4との間の可視光レーザビームの照射位置の相対的なずれを補正する。これによって、更に精度良く2つの照射位置を一致させることができる。
【0072】
また、上記の繰り返しにおいて、照射強度の決定の際には、ECU15からの日射センサ情報に応じて、日射量が多いほどレーザ照射装置3およびレーザ照射装置4の照射強度を高く制御する。このようになっていることで、車外からの光が強くなるほど、可視光レーザビームの強度も増すので、車外からの光が強くなるにつれ可視光レーザビームが見え辛くなる可能性が低減される。
【0073】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7に、本実施形態の可視光レーザビーム照射システムの電気的接続関係を概略的に示す。本実施形態の可視光レーザビーム照射システムが第1実施形態と異なるのは、可視光レーザビームの照射位置と、本実施形態のレーザビームECU11が反射率・位置対応テーブル11aを備え、この反射率・位置対応テーブル11aを用いた処理を処理100に代えて実行することである。
【0074】
本実施形態においては、レーザビームECU11は、車両内外の状況の情報に基づいて、例えば図8中のインストルメントパネル上面7a、操作部51b、ドライブポジションレバー部52、コンソールボックス部53等に可視光レーザビームが照射されるよう、レーザ照射装置3、4を制御する。
【0075】
反射率・位置対応テーブル11aは、それぞれが車両内の各箇所に対応する複数のレコードを有し、各レコードは、
(1)対象箇所の識別子
(2)当該対象箇所において可視光レーザビームの照射を受ける物体の拡散反射率
等が記録されている。ここでいう拡散反射率とは、照射波長における拡散反射率(すなわち、照射波長の光が入射したときの拡散反射率)をいう。この反射率・位置対応テーブル11aは、可視光レーザビーム照射システムの車両への設置時、または可視光レーザビーム照射システムの製造時に、あらかじめレーザビームECU11の記憶媒体に記録されるようになっている。また、本実施形態においては、対象箇所の識別子が、室内カメラ5の表示画像中の2次元位置座標であってもよい。
【0076】
図9に、本実施形態のレーザビームECU11が処理100に代えて実行する処理200のフローチャートを示す。この処理中、ステップ210、220、240、250、260の内容は、それぞれ処理100のステップ110、120、140、150、160の内容と同じである。
【0077】
ステップ230では、室内カメラ5が撮影し、ECU16が室内カメラ情報に含めて出力した撮影画像から、周知の画像認識処理を用いて、可視光レーザビームによる光点の位置、すなわちレーザ照射装置3、4の照射対象の位置を特定する。この画像認識処理においては、例えば、あらかじめ(例えば、可視光レーザビーム照射システムの車両への搭載時において)可視光レーザビームが照射されていない状態における撮影画像を参照用として取得しておき、その参照用撮影画像と取得した室内カメラ情報内の撮影画像との比較を行うことで、照射位置の特定を行うようになっていてもよい。
【0078】
続いて、ステップ230では、この特定した照射位置(例えば表示画像中の2次元位置座標)の情報を、反射率・位置対応テーブル11aに適用することで、特定した照射位置に対応する対象箇所の識別子を有するレコードを抽出し、抽出したレコード中の拡散反射率を、当該照射位置の拡散反射率として特定する。
【0079】
例えば、インストルメントパネル上面7a、操作部51、ドライブポジションレバー部52、コンソールボックス部53が、黒色樹脂、金属調パネル、木目調パネル、内装ファブリックである場合、操作部51b、ドライブポジションレバー部52、コンソールボックス部53、インストルメントパネル上面7aの順に拡散反射率が高い。
【0080】
さらにステップ230では、特定した拡散反射率が高いほど照射強度が低くなる対応関係に従って、当該照射位置への照射強度を決定する。
【0081】
以上の通り、レーザビームECU11は、照射開始指示をECU12〜14のいずれかから受けて(ステップ210参照)以降、照射停止指示を当該ECUから受ける(ステップ250参照)までの間、その照射開始指示に含まれる照射対象物を照射するためのレーザ照射装置3、4の照射方向(ステップ220参照)および照射強度(ステップ230参照)を決定し、決定に従ってレーザ照射装置3およびレーザ照射装置4を照射させる(ステップ240参照)という処理を繰り返し続ける。
【0082】
そして、上記の繰り返しにおいて、照射強度の決定の際には、ECU16から得た室内カメラ情報中の撮影画像に基づいて、レーザ照射装置3、4の照射位置を検出し、検出した照射位置を反射率・位置対応テーブル11aに適用することで、当該位置の照射波長における拡散反射率を特定し、特定した拡散反射率が大きいほどレーザ照射装置3、4の照射強度を低くする。
【0083】
このように、拡散反射率が大きいほどレーザ照射装置3、4の照射強度を低くすることで、車室内の各照射位置において、拡散反射率が低くなるほど、その照射位置に当たる可視光レーザビームの強度が高くなる。したがって、可視光レーザビームの反射光の強度のばらつきが抑えられる。その結果、乗員にとって照射位置における可視光レーザビームの光の視認性が向上する。また、カメラ5を用いた照射位置の特定およびその特定された照射位置を用いた照射輝度の調整が実現する。
【0084】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、図10に示すように、照射波長における拡散反射率がインストルメントパネル上面7aよりも高い高反射部61(第2の表面部分の一例に相当する)が、高反射部31に代えてインストルメントパネル上面7a上に貼り付けられていることである。なお、高反射部61の反射特性は、第1実施形態の高反射部31と同じである。
【0085】
この高反射部61は、規則的に等間隔にインストルメントパネル上面7a上に配置され、かつそれぞれがインストルメントパネル上面7aの露出部に囲まれているのは、高反射部31と同じであるが、そのマクロスケールの配置が、高反射部31と異なっている。可視光レーザビームの照射を受ける高反射部61がこのように配置されていても、可視光レーザビームがその高反射部に照射されたときに、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、図11に示すように、照射波長における拡散反射率がインストルメントパネル上面7aよりも高い高反射部71a〜71dを含む障害物距離表示部71が、高反射部31に代えてインストルメントパネル上面7a上に貼り付けられていることである。なお、高反射部71a〜71dの反射特性は、第1実施形態の高反射部31と同じである。
【0087】
ECU14は、障害物センサの出力によって特定した障害物までの距離を、その距離に応じて4段階に分類し、最も長い距離段階に属する場合には、高反射部71a全体を照射対象として特定し、順次短い距離の段階に属するようになっていくにつれ、順次高反射部71b、71c、71dと、照射対象を変化させていく。レーザビームECU11は、この変化に従ってレーザ照射装置3、レーザ照射装置4を制御する。
【0088】
可視光レーザビームの照射を受ける高反射部71a〜71dがこのように配置されていても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、図12に示すように、インストルメントパネル上面7a上には、高反射部31に代えて、立ち壁41が設けられていることである。立ち壁41は、インストルメントパネル上面7aの左端付近から右端付近まで配置され、インストルメントパネル上面7aから上方にほぼ垂直に突出している。また、立ち壁41の上端には、乗員側に膨らんだひさし部41bが設けられている。そして、レーザビームECU11は、立ち壁41の乗員側の側面41a(以下、照射面41aという:第2の表面部分の一例に相当する)に、可視光レーザビームが照射されるよう、レーザ照射装置3、4を制御する。
【0090】
照射面41a全体の、波長に関する反射特性は、第1実施形態の高反射部31と同じである。あるいは、波長に関する反射特性が高反射部31と同じ部分は、照射面41aのうち、規則的かつ離散的に配置された複数の部分のみであってもよい。
【0091】
図13に、この照射面41aの、方向に関する反射特性を示すために、立ち壁41の断面図を示す。この図中、矢印91がレーザ照射装置3、4から照射面41aへの可視光レーザビームの入射方向を示し、矢印92がドライバの設計上の(すなわち、あらかじめ定められた仮想的な)頭部位置付近の方向を示している。また、実線93は、照射方向91から可視光レーザビームが入射した場合の、照射面41aの角度−反射率特性を示している。この図に示す通り、立ち壁41の乗員側、すなわちドライバ方向92を含む方向範囲への拡散反射率に比べれば、立ち壁41の車両前方側の方向範囲への拡散反射率は非常に低い。
【0092】
このような立ち壁41を設けたことで、可視光レーザビームの光がフロントガラスに窓映りする可能性がほとんどなくなる。また、ひさし部41bの存在により、可視光レーザビームの光がフロントガラスに窓映りする可能性が更に低下する。
【0093】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、図12に断面図として示すように、インストルメントパネル上面7a上には、高反射部31に代えて、ホログラム90(第2の表面部分の一例に相当する)が貼り付けられていることである。このホログラム90の波長に関する反射特性については、高反射部31と同じである。
【0094】
このホログラム90は、照射方向91から入射した可視光レーザビームに対して、実線94に示すような放射特性を有するように、周知の技術で予め製造されている。すなわち、照射方向91から入射した可視光レーザビームは、ドライバ方向92およびその周囲の角度範囲にのみ強く反射され、他の角度範囲にはほとんど反射されない。
【0095】
このようになっていることで、ホログラム90に照射された可視光レーザビームが、より効果的にドライバの目に入るようになる。
【0096】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0097】
例えば、室内カメラ5は、可視光レーザビームが照射されるようになっている位置の全体を撮影するようになっておらずともよい。この場合、レーザ照射装置3、4の照射位置およびその周辺を撮影できるように、その撮影方向を、レーザビームECU11またはECU16によって制御されるようになっていればよい。
【0098】
また、第2実施形態においては、レーザビームECU11は、ステップ230で、カメラ5によって撮影された照射位置の輝度を検出し、検出した輝度が低くなるほど、照射強度を高くするようになっていてもよい。このように、反射率・位置対応テーブル11aを用いずとも、カメラ5を用いることで、照射方向に対応する車室内の照射位置における拡散反射率の情報を取得することができる。
【0099】
また、レーザ照射装置3、4の照射する可視光レーザビームは、必ずしも単色光ビームである必要はない。その場合、特許請求の範囲の照射波長は、当該可視光レーザビームの強度−波長特性においてピークとなる波長をいうものとする。ただし、ピークとなる波長が複数ある場合は、それらピークの波長の平均値を照射波長とする。
【0100】
また、レーザ照射装置3の照射する可視光レーザビームとレーザ照射装置4の照射する可視光レーザビームの色は、互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。異なっている場合、本発明の第2の表面部分は、それらの色のうち少なくとも1つに対応する照射波長に対して、上述のような反射特性を有していれば、少なくともその色の可視光レーザビームについての乗員の視認性は向上する。
【0101】
また、必ずしも2つのレーザ照射装置3、4で同一の位置を照射する必要はない。1つのレーザ照射装置のみで照射を行うようになっていてもよい。あるいは逆に、3台以上のレーザ照射装置で同一の位置に照射を行うようになっていてもよい。
【0102】
また、第2実施形態のステップ230においては、特定した照射位置を、反射率・位置対応テーブル11aに適用する前に、所定の画像認識技術等を用いて、当該位置の物体の名称(例えば、操作部51b、ドライブポジションレバー部52、コンソールボックス部53等)を特定し、その名称を照射位置に対応する対象箇所の識別子として、反射率・位置対応テーブル11aに適用することで、照射位置の拡散反射率を特定するようになっていてもよい。
【0103】
また、上記の実施形態においては、照射対象物の決定は、ECU12〜14が行っているが、このようなものに限らず、レーザビームECU11がECU12〜14から車両内外情報を取得し、取得した車両内外情報に基づいて照射対象物を決定するようになっていてもよい。
【0104】
また、レーザ照射装置3、4の搭載位置は、天井部2に限らず、車室1内に可視光レーザを照射できる位置ならどのような位置でもよい。また、室内カメラ5の搭載位置は、天井部2に限らず、ドライバ9の顔を撮影できる位置なら、どのような位置でもよい。
【0105】
また、可視光レーザビーム照射システムの必須構成要素は、レーザ照射装置3およびレーザ照射装置4のうちいずれかと、レーザビームECU11のみである。したがって、他の構成要素は、可視光レーザビーム照射システムに含まれていてもいなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】第1実施形態に係る可視光レーザビーム照射システムが搭載された車両の車室1内を示す概略図である。
【図2】第1実施形態に係る可視光レーザビーム照射システムの電気的接続関係を示す図である。
【図3】第1実施形態におけるインストルメントパネル上面7aおよび高反射部31の構成を示す概略図である。
【図4】高反射部31の色が白色に近い場合の波長―拡散反射率特性の一例を示すグラフである。
【図5】高反射部31の波長―拡散反射率特性の他の例を示すグラフである。
【図6】第1実施形態においてレーザビームECU11が実行する処理100のフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係る可視光レーザビーム照射システムの電気的接続関係を示す図である。
【図8】第2実施形態における可視光レーザビームの照射位置を示す図である。
【図9】第2実施形態においてレーザビームECU11が実行する処理200のフローチャートである。
【図10】第3実施形態に係る高反射部61の配置を示す図である。
【図11】第4実施形態に係る障害物距離表示部71の構成を示す図である。
【図12】第5実施形態におけるインストルメントパネル上面7aおよび立ち壁41の構成を示す概略図である。
【図13】照射面41aの反射特性を示す概略図である。
【図14】第6実施形態におけるホログラム90の反射特性を示す概略図である。
【符号の説明】
【0107】
1…車室、2…天井部、3…レーザ照射装置、4…レーザ照射装置、5…室内カメラ、
6…日射センサ、7…インストルメントパネル、7a…インストルメントパネル上面、
11…レーザビームECU、11a…反射率・位置対応テーブル、
11b…方向・位置対応テーブル、12〜16…ECU、17…通信線、
21、22…可視光レーザビーム、31、61、71a〜71d…高反射部、
41…立ち壁、41a…照射面、41b…ひさし部、51…操作部、
52…ドライブポジションレバー部、53…コンソールボックス部、
71…障害物距離表示部、80、87…波長−拡散反射率特性、
81〜85…サブ波長帯域、86…照射波長、90…ホログラム、
91…照射方向、92…ドライバ方向、93、94…角度−反射率特性、
100、200…処理。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内に設けられたインストルメントパネル(7)と、
前記車両に搭載され、可視光レーザビームを前記インストルメントパネルに照射するレーザビーム照射装置(3、4)と、を備え、
前記インストルメントパネルは、前記レーザビーム照射装置が照射する前記可視光レーザビームの波長(以下、照射波長という)における拡散反射率が第1の値となるように形成された第1の表面部分、および、前記照射波長における拡散反射率が前記第1の値より大きい第2の値となるように形成された第2の表面部分(31、41a、61、71a〜d、90)を有し、
前記レーザビーム照射装置は、前記可視光レーザビームを、前記第2の表面部分に照射することを特徴とする可視光レーザビーム照射システム。
【請求項2】
可視光波長帯域を、青色サブ波長帯域、緑色サブ波長帯域、黄色サブ波長帯域、および赤色サブ波長帯域という5つのサブ波長帯域に区分けして見た場合、前記第2の表面部分の拡散反射率の波長特性は、前記照射波長が属するサブ波長帯域以外の波長帯域の少なくとも一部における拡散反射率が、前記照射波長における拡散反射率の50パーセント以上を保っていることを特徴とする請求項1に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項3】
前記第2の表面部分は、複数の離れた部分から成り、それら複数の離れた部分のそれぞれが、前記第1の表面部分に囲まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項4】
前記複数の離れた部分は、前記インストルメントパネル上に規則的に並んでいることを特徴とする請求項3に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項5】
前記第2の表面部分において、前記レーザビーム照射装置から照射された前記可視光レーザビームの反射率の、反射方向についての依存性が、前記車室内のドライバの頭部を含む方向領域における反射率が他のいずれかの方向における反射率よりも高くなるよう、前記第2の表面部分が配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項6】
前記インストルメントパネルは、その上面において、上方向に突出する突出部(41)を有し、前記突出部の乗員側の面(41a)が、前記第2の表面部分となっていることを特徴とする請求項5に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項7】
レーザビーム照射装置(3、4)が照射する可視光レーザビームの波長(以下、照射波長という)における拡散反射率が第1の値となるように形成された第1の表面部分、および、前記照射波長における拡散反射率が前記第1の値より大きい第2の値となるように形成された第2の表面部分(31、41a、61、71a〜d、90)を有するインストルメントパネル(7)を備えた車両に前記レーザビーム照射装置を搭載する方法であって、
前記レーザビーム照射装置を、当該レーザビーム照射装置から照射される可視光レーザビームが前記第2の表面部分に当たるように、前記車両に搭載する方法。
【請求項8】
車両に搭載され、可視光レーザビームを車両の車室内に設けられたインストルメントパネルに照射するレーザビーム照射装置(3、4)と、
前記レーザビーム照射装置の照射方向を制御する制御装置(11)と、を備え、
前記制御装置は、レーザビーム照射装置(3、4)が照射する可視光レーザビームの波長(以下、照射波長という)に対する拡散反射率が第1の値となる前記インストルメントパネルの第1の表面部分、および、前記照射波長に対する拡散反射率が前記第1の値より大きい第2の値となる前記インストルメントパネルの第2の表面部分のうち、前記第2の表面部分に、前記レーザビーム照射装置が前記可視光レーザビームを照射するよう制御することを特徴とする可視光レーザビーム照射システム。
【請求項9】
車両の車室内に設けられたインストルメントパネル(7)と、
前記車両に搭載され、可視光レーザビームを前記インストルメントパネルに照射するレーザビーム照射装置(3、4)と、を備え、
前記インストルメントパネルは、入射した前記可視光レーザビームを反射した結果の反射光の可視光領域中のエネルギーの、前記入射した可視光レーザビームの可視光領域中のエネルギーに対する比RL(以下、レーザビーム反射率RLという)と、入射した太陽光を反射した結果の反射光の可視光領域中のエネルギーの、当該入射した太陽光の可視光領域中のエネルギーに対する比RSとの比RL/RS(以下、レーザ/太陽反射率比という)が、第1の値となるように形成された第1の表面部分、および、前記レーザ/太陽反射率比が前記第1の値より大きい第2の値となるように形成された第2の表面部分を有し、
前記レーザビーム照射装置は、前記可視光レーザビームを、前記第2の表面部分に照射することを特徴とする可視光レーザビーム照射システム。
【請求項10】
入射した前記可視光レーザビームを反射した結果の反射光の可視光領域中のエネルギーの、前記入射した可視光レーザビームの可視光領域中のエネルギーに対する比RL(以下、レーザビーム反射率RLという)と、入射した太陽光を反射した結果の反射光の可視光領域中のエネルギーの、当該入射した太陽光の可視光領域中のエネルギーに対する比RSとの比RL/RS(以下、レーザ/太陽反射率比という)が、第1の値となるように形成された第1の表面部分、および、前記レーザ/太陽反射率比が前記第1の値より大きい第2の値となるように形成された第2の表面部分を有するインストルメントパネル(7)を備えた車両にレーザビーム照射装置(3、4)を搭載する方法であって、
前記レーザビーム照射装置を、当該レーザビーム照射装置から照射される可視光レーザビームが前記第2の表面部分に当たるように、前記車両に搭載する方法。
【請求項11】
前記車両に搭載され、可視光レーザビームを車両の車室内に設けられたインストルメントパネルに照射するレーザビーム照射装置(3、4)と、
前記レーザビーム照射装置の照射方向を制御する制御装置(11)と、を備え、
前記制御装置は、前記インストルメントパネルの、レーザ/太陽反射率比が第1の値となる第1の表面部分、および、前記レーザ/太陽反射率比が前記第1の値より大きい第2の値となる第2の表面部分のうち、前記第2の表面部分に、前記レーザビーム照射装置が前記可視光レーザビームを照射するよう制御することを特徴とする可視光レーザビーム照射システム。
ただし、表面の前記レーザ/太陽反射率比は、当該表面に入射した可視光レーザビームを反射した結果の反射光の可視光領域中のエネルギーの、前記入射した可視光レーザビームの可視光領域中のエネルギーに対する比RL(以下、レーザビーム反射率RLという)と、当該表面に入射した太陽光を反射した結果の反射光の可視光領域中のエネルギーの、当該入射した太陽光の可視光領域中のエネルギーに対する比RSとの比RL/RSである。
【請求項12】
前記車両に搭載され、可視光レーザビームを前記車両の車室内に照射するレーザビーム照射装置(3、4)と、
前記可視光レーザビーム照射装置から照射される前記可視光レーザビームの照射方向および照射強度を制御する制御装置(11、16)と、を備え
前記制御装置は、前記照射方向に対応する前記車室内の照射位置の、前記照射波長における拡散反射率の情報に基づいて、当該照射位置の前記拡散反射率が低くなるほど前記照射強度を高くすることを特徴とする可視光レーザビーム照射システム。
【請求項13】
前記車室内を撮影するカメラ(5)を備え、
前記制御装置は、前記カメラの撮影画像に基づいて前記照射位置を特定し、特定した照射位置を、拡散反射率と前記車室内の位置との対応関係のデータに適用することで、前記照射波長における拡散反射率の情報を取得することを特徴とする請求項12に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項14】
前記車室内の前記照射位置を撮影するカメラ(5)を備え、
前記制御装置は、前記カメラによって撮影された前記照射位置の輝度を検出し、検出した輝度が低くなるほど、前記照射強度を高くすることを特徴とする請求項12に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項15】
車両に搭載され、可視光レーザビームを前記車両の車室内に照射するレーザビーム照射装置(3、4)と、
前記レーザビーム照射装置から照射される前記可視光レーザビームの照射強度を制御する制御装置(11)と、
前記車室内へ車外から入る光の強度を検出する車外光センサ(6)と、を備え、
前記制御装置は、前記車外光センサが検出した光の強度が高いほど前記照射強度を高くすることを特徴とする可視光レーザビーム照射システム。
【請求項16】
車両に搭載され、第1の可視光レーザビームを前記車両の車室内に照射する第1のレーザビーム照射装置(3)と、
前記第1のレーザビーム射出装置の前記車両への搭載位置とは異なる位置において前記車両に搭載され、第2の可視光レーザビームを車両の車室内に照射する第2のレーザビーム照射装置(4)と、
前記第1の可視光レーザビームが照射される前記車室内の照射位置と、前記第2の可視光レーザビームが照射される前記車室内の照射位置とが一致するように、前記第1の可視光レーザビームおよび前記第2の可視光レーザビームの照射方向を制御する制御装置と、を備えた可視光レーザビーム照射システム。
【請求項17】
前記制御装置は、前記第1のレーザビーム照射装置の照射方向と前記第1の可視光レーザビームによって照射される前記車室内の照射位置との対応関係、および、前記第2のレーザビーム照射装置の照射方向と前記第2の可視光レーザビームによって照射される前記車室内の照射位置との対応関係を表す方向・位置対応情報(11b)を記憶する記憶媒体を備え、
前記制御装置は、前記方向・位置対応情報に基づいて、前記第1の可視光レーザビームが照射される前記車室内の照射位置と、前記第2の可視光レーザビームが照射される前記車室内の照射位置とが一致するように、前記第1の可視光レーザビームおよび前記第2の可視光レーザビームの照射方向を制御することを特徴とする請求項16に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項18】
前記車室内を撮影するカメラ(5)を備え、
前記制御装置は、前記カメラの撮影した前記車室内の画像に基づいて、前記第1の可視光レーザビームが照射される前記車室内の照射位置と、前記第2の可視光レーザビームが照射される前記車室内の照射位置とを検出し、この検出結果に基づいて、これら照射位置が一致するように、前記第1の可視光レーザビームおよび前記第2の可視光レーザビームの照射方向を制御することを特徴とする請求項16または17に記載の可視光レーザビーム照射システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−238925(P2008−238925A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81202(P2007−81202)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】