可視光応答型光触媒合成法
【課題】市販の酸化タングステンと比較しても粒子径の小さい酸化タングステン光触媒微粒子を得ることができることを課題とする。
【解決手段】金属タングステンを燃焼させて酸化タングステン微粒子を合成することを特徴とする可視光応答型光触媒合成法。
【解決手段】金属タングステンを燃焼させて酸化タングステン微粒子を合成することを特徴とする可視光応答型光触媒合成法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光応答型光触媒合成法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、光触媒材料には、主に酸化チタンが使用されている。酸化チタンは、防汚,消臭等の目的で応用製品が広く使用されている。しかし、励起が紫外線になるため、紫外線が少ない屋内用途では十分な性能が得られないという問題がある。この対策のため、いわゆる可視光応答型光触媒が盛んに研究開発されている。具体的には、酸化チタンに窒素をドープしたタイプや酸化チタンに白金を坦持したタイプが開発されている。しかし、このタイプは励起光の波長範囲が400〜410nm以下で、屋内の照明の光では性能が不足する。
【0003】
また、可視光応答型光触媒として酸化タングステンや酸化鉄が検討されている。酸化タングステンはバンドギャップが2.5eVで色が黄色であるので、建材等に応用する場合有利な材料である。また、有害性が少なく、比較的安価な材料である。酸化タングステンの可視光による光触媒効果は、反応性スパッター法で作成した膜について知られている(例えば、特許文献1や非特許文献1)。一方、酸化タングステン粉を使用した可視光応答型光触媒が検討されてきているが、十分な効果が得られていない。
【特許文献1】特開2001−152130号公報
【非特許文献1】光触媒,エヌ,ティー,エス社2005年5月27日、p676
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化タングステンは常温大気中で三酸化タングステン(WO3)が安定であるが、この三酸化タングステンは結晶構造が複雑で変化しやすい特徴を持つ。通常、パラタングステンアンモニウムやメタタングステン酸アンモニウム、タングステン酸から作成した三酸化タングステンは単斜晶系である。しかし、粉を処理する際の応力によって容易に結晶構造が変化し、三斜晶系に変化してしまう(J.Solid State Chemistry 143,24 32(1999))。光触媒は光により励起された電子と正孔が表面まで移動することで光触媒の表面で酸化・分解反応が生起されるので、結晶内に再結合センターとなる欠陥を少なくするために、粒子を極力小さくする必要がある。
【0005】
ところで、従来の三酸化タングステン粉末では十分な光触媒効果が得られなかった。この理由は、粉末の前処理段階での加工時に部分的に結晶変化が発生して異なる結晶が混在し、この境界が電子と正孔の再結合を起こす欠陥になっているためと考えられる。市販されているWO3微粒子は粒子径が1〜100μmと大きく、WO3光触媒粉末を塗料化するにあたりボールミルやビーズミルで分散処理を行う必要性がある。しかし、分散処理を行う際に光触媒活性が低下し、光触媒効果が高い塗料が得られなくなる等の問題もある。
【0006】
通常、金属タングステンを昇華または燃焼させて得られた酸化タングステンヒュームは、加熱条件、雰囲気により結晶構造のバラツキが発生し、安定した結晶構造を得ることが困難であった。また、気相法で合成した超微粒子は回収方法に問題がある。更に、物理的なフィルターを使用した場合、特に超微粒子の回収ではすぐにフィルターの目詰まりを起こし安定した回収ができなくなる等の問題がある。
【0007】
本発明は、こうした問題点を解消するためになされたもので、市販の酸化タングステンと比較しても粒径が小さく、光触媒効果が高い酸化タングステン光触媒微粒子を得ることができる可視光応答型光触媒合成法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の可視光応答型光触媒合成法は、金属タングステンを燃焼させて酸化タングステン微粒子を合成することを特徴とする。金属タングステンは例えばバーナーにより酸化燃焼することができる。
請求項2記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子の平均粒径が0.01〜0.1μmであることを特徴とする。酸化タングステン微粒子の平均粒径が0.1μmを超えると、微粒子表面で発生する光触媒反応が低下するので好ましくない。また平均粒径が0.01μm未満であると、微粒子の分散性が低下して塗料化が困難となる。
【0009】
請求項3記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子の平均粒径が0.05μm以下であることを特徴とする。酸化タングステン微粒子の平均粒径が0.05μmを超えると、BET値の上昇によってガス分解効果が低下するため好ましくない。また、平均粒径は0.01〜0.05μmが好ましく、更に好ましくは0.01〜0.03μmである。なお、平均粒径が0.01μm未満であると、微粒子が緻密になりすぎて塗料化・成膜化が困難となる。
【0010】
請求項4記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子が、燃焼により昇華した酸化タングステン微粒子のヒュームを採取して得られたものであることを特徴とする。ここで、金属タングステンはバーナーにより加熱することにより昇華し急激に酸化されてWO3微粒子のヒュームとして大気に放出される。
請求項5記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子のヒュームを600℃〜1000℃の酸化雰囲気炉内に通過させることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子のヒュームをアルカリ性水溶液中に導入し、微粒子の表面を溶解させることを特徴とする。
請求項7記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子は単斜晶系の結晶構造を有していることを特徴とする。
請求項8記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子のヒュームを電気集塵法で捕集することを特徴とする。ヒュームを電気集塵機により採取することにより、酸化タングステン微粒子のヒュームを得ることができる。
【0012】
請求項9記載の可視光応答型光触媒合成法は、前記電気集塵機の電極間距離を5〜15mmとして電極間に電圧を印加することにより、10〜20nmの微粒子を回収することを特徴とする。電圧は、2000〜5000V程度印加すればよい。微粒子の平均粒径は10〜20nmである。
請求項10記載の可視光応答型光触媒合成法は、ヒュームを含む空気の流量または印加電圧を調整することにより任意の粒子径の微粒子の回収を可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属タングステンを燃焼させて酸化タングステン微粒子を合成することにより、市販の酸化タングステン微粒子と比較して粒径が小さく、光触媒効果が高い酸化タングステン光触媒超微粒子を得ることができる。また、燃焼によって得られた微粒子を、更に加熱処理することにより、光触媒活性が向上し安定化する。
【0014】
また、600〜1000℃の酸化雰囲気炉内で酸化タングステン微粒子のヒュームを熱処理することにより、比較的短時間で高活性の酸化タングステン微粒子を合成することができる。
更に、酸化タングステン微粒子のヒュームをアルカリ性水溶液中に導入し、微粒子の表面を溶解させることにより、微粒子の表面がエッチングされるので、より一層微細な酸化タングステン光触媒超微粒子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、酸化タングステンを合成する装置の概略図を示す。図中の符番1は金属タングステンワイヤー2を送り出すタングステンワイヤースプール(以下、スプールと呼ぶ)を示す。金属タングステンワイヤー2は、ガスバーナー3により加熱、燃焼されて酸化タングステン微粒子のヒューム4となる。このヒューム4は回収装置としての電気集塵機5に設けられたヒューム吸引管6により回収される。ヒューム吸引管6の一部は、電気炉7内に配置されている。
【0016】
まず、線径0.1〜1.0mmの金属タングステンワイヤー2を、ガスバーナー3により1000〜1500℃程度に加熱する。これにより金属タングステンが燃焼することで昇華し、急激に酸化されることによって三酸化タングステン(WO3)微粒子(粒径:0.2〜0.5μm)のヒューム4が大気に放出される。次に、このヒューム4を電気集塵機5により採取し、酸化タングステン微粒子を得る。
【0017】
このようにして得られた三酸化タングステン微粒子は、不純物が少なく格子欠陥も少ないので、結晶性の高い光触媒材料となる。また、粒径も小さいので光触媒活性に優れている。ここで、採取したヒューム4には三斜晶系と単斜晶系の2種類が混在する場合があるので、この場合には三斜晶系リッチの0.02〜0.1μmの超微粒子が含まれている。そこで、WO3微粒子の結晶粒子成長を抑え、結晶構造を三斜晶系から単斜晶系へ移転させるために、600〜1000℃の酸化雰囲気で短時間加熱処理を行い、高活性の酸化タングステン微粒子を合成する。これより、高活性の酸化タングステン微粒子を合成することができる。
【0018】
図2は、アセトアルデヒドガス分解試験の測定装置の概略図を示す。なお、図2において、符番8は容量3000ccの測定容器を示し、内部に光触媒粉(質量:0.1g)入り時計皿9が配置され、その下部にファン10が配置されている。また、測定容器8の上部には、光源11としての青色LED(0.88mW/cm2(UV−42)、0.001mW/cm2(YV−35)使用)が配置されている。測定容器8には測定器としてのマルチガスモニタ12が配管を介して接続されている。なお、導入ガスとしては、アセトアルデヒド10ppm相当が用いられる。
【0019】
図3は、第1の実施形態の三酸化タングステン微粒子について、図2に示す測定装置を用いてアセトアルデヒトガスの分解試験を行ったときの結果を表すグラフである。
図3の線(a)は、光触媒材料を容器に配置していない状態を示す。線(a)では、装置内にアセトアルデヒドガスが吸着すること等によってアセトアルデヒドガスの残存率が若干低下しているが、脱臭効果が見られないほどの変化はない。曲線(b)は、原料としてタングステン錯体を熱処理して得られた酸化タングステンを解砕することによって粉末化した三酸化タングステン微粒子を使用した状態を示す。この微粒子では、曲線(b)に示すようにアセトアルデヒドガス残存率が時間の経過とともに徐々に低下するが、その残存率は1時間経過後であっても50%を超えていた。曲線(c)は、第1の実施形態の酸化タングステン微粒子を示す。第1の実施形態の微粒子は、曲線(c)に示すように、アセトアルデヒドガス残存率が曲線(b)で示す光触媒より早く低下し、その残存率は1時間経過後には20%未満となった。これにより、第1の実施形態の光触媒は光触媒活性が高いことが明らかになった。
【0020】
次に、図2に示すような測定装置の光源11を日亜化学工業(株)製の白色LED(NSPW500BS)に変えて、アセトアルデヒドガス分解試験を行った。図4は、この測定装置を用いてアセトアルデヒドガスの分解試験を行った結果を示すグラフである。また、この試験では、第1の実施形態の三酸化タングステン微粒子の焼成温度を変化させたものを3種類用意して測定した。なお、図4の線(a)は光触媒なし、線(b)はタングステン錯体を熱処理して得た三酸化タングステン微粒子を夫々示し、その詳細は図3で説明したものと同様である。
【0021】
その結果、図4のように、ヒュームを更に電気炉で600℃,800℃,1000℃で1〜15分間夫々加熱処理した場合は、夫々線(c),線(d)及び線(e)で示すように変化した。これにより、加熱温度を高くすることにより、アセトアルデヒドガス残存率がより一層早く低下し、光触媒活性がより一層高くなることが明らかである。なお、この加熱処理の温度が1000℃を超えると、結晶成長が進んで酸化タングステンの粒径が大きくなり過ぎ、光触媒効果が低下してしまう。また、温度が600℃未満の場合、単斜晶への結晶転移が十分に行われないので、光触媒活性が不十分となる。
【0022】
(第2の実施形態)
第1の実施形態と同じ方法によって得られた酸化タングステン微粒子をアンモニア水等のアルカリ水溶液中に導入した。これにより、酸化タングステン微粒子の表面がエッチングされ、酸化タングステン微粒子をより微粒子化することができる。なお、回収装置5の吸引条件例えば吸引速度、吸引量を調節することにより、安定した活性を持った酸化タングステン光触媒超微粒子を得ることができる。また、アルカリ水溶液のアルカリ濃度を調整することによって任意の平均粒径を有する微粒子を得ることができる。
【0023】
第2の実施形態によれば、酸化タングステン微粒子をアルカリ水溶液中に導入することにより、酸化タングステン微粒子の粒径をより小さくして光触媒活性を高めることができる。このように平均粒径を小さくすることによって得られた酸化タングステン微粒子からなる光触媒は、主にガス分解性能を高める効果があり、脱臭用途や炭酸ガス、NOx,SOx等の排出ガスの分解用途に適用する場合に有効である。
【0024】
第2の実施形態によって得られた酸化タングステン微粒子について、図2に示すような測定装置を用いてアセトアルデヒドガス分解試験を行ったところ、図5に示すような結果が得られた。但し、図2における光源11としては前述の白色LED(NSPW500BS)を用いた。なお、線(a)は図3で示す光触媒なし、線(c)は第1の実施形態において電気炉を用いて600℃で加熱焼成したものと同じである。線(f)は第2の実施形態の酸化タングステン微粒子を示す。この酸化タングステン微粒子は、ヒュームを電気炉で600℃で加熱処理した後、更にアンモニア水で表面処理することによって平均粒径を0.01〜0.05μmとしたものである。線(f)に示すように、アンモニア水で更に表面処理した第2の実施形態の酸化タングステン微粒子によれば、表面処理を行っていない線(c)と比較して、アセトアルデヒド残存率がより一層速く低下し、光触媒活性がより一層高くなることが明らかである。
【0025】
(第3の実施形態)
第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を、水もしくはアルコール等の有機溶媒に分散させた。次に、遷移金属塩MX(M=Ag,Pt,Ni,Zn,Co等、X=Cl−やNO3−等の無機陰イオン全般ならびにアセチルアセトン等の有機系配位子全般)を溶解させた。つづいて、この溶液を蒸発乾固させて得られる粉末を焼成し、遷移金属酸化物を酸化タングステン微粒子表面に担持させた可視光応答型光触媒を得た。
【0026】
第3の実施形態によれば、このようにして得られた可視光応答型光触媒が可視光の照射を受けて有機色素を分解するので、例えば照明器具へ塗布した際に防汚、脱臭機能を付与することができる。
【0027】
(第4の実施形態)
第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を、水、アルコール、またはアルコールと水との混合溶媒中へ分散させて、分散液を得た。ひきつづき、この分散液をガラス板などへ塗布し、ホットプレートなどで溶媒成分を蒸発することによって、透明かつ膜強度に優れた光触媒膜を作成することが可能となる。
第4の実施形態によれば、分散液をガラス板等へ塗布し、溶媒成分を蒸発させることによって、透明かつ膜強度に優れた光触媒膜を作成することが可能となる。
【0028】
(第5の実施形態)
第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を、水、アルコール、またはアルコールと水との混合溶媒中へ分散させて、酸化タングステン塗料を得た。ひきつづき、酸化珪素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)または酸化ジルコニウム(ZrO)からなる微粒子を含む塗料を、ディップもしくはスピンコート法によりガラス板の上へ塗布した。更に、溶媒を乾燥した後、電気炉にて500℃で10分焼成して透明な保護膜を形成した。
次に、この保護膜上に先ほど作成した酸化タングステン分散液をディップもしくはスピンコート法により塗布した。つづいて、溶媒を乾燥した後、電気炉にて500℃で10分焼成した。これにより、酸化タングステン光触媒膜が形成された。
【0029】
第5の実施形態によれば、ガラス板と光触媒膜との間に保護層を設けることにより、ガラス板に含まれるアルカリイオンの拡散を防ぎ、光触媒活性の低下を防止することができる。従って、第1の実施形態の酸化タングステン微粒子を主成分とする光触媒膜を、アルカリ成分を含むガラス板等へ塗布した場合であっても、親水性、防汚によるセルフクリーニング機能を確実に得ることができる。
【0030】
図6は、第5の実施形態によって作成した酸化タングステン光触媒膜付きガラス板の水接触角の時間変化について測定した結果を示すグラフである。なお、ガラス板表面は予めステアリン酸を用いて汚染させ、蛍光灯照射下における水接触角の変化をアルカリイオンブロックの保護層を有するタイプと無いタイプとで測定を行った。図6中の線(g)は保護層が無い場合、線(h)は保護層が有る第5の実施形態を示す。その結果、保護層を有する第5の実施形態の光触媒膜は、蛍光灯照射後2日で超親水性が発現した。これに対し、線(g)で示す保護層が無い比較例の光触媒膜では親水性が1週間経過しても発現していない。これは、ガラス板中のアルカリイオンが析出して光触媒膜に侵入し、酸化タングステン微粒子の結晶性が劣化して光触媒効果が低下しているものと思われる。
【0031】
(第6の実施形態)
第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を、水、アルコール、またはアルコールと水との混合溶媒中へ分散させて、分散液を得た。この分散液を石英ガラス製のガラス板などへ塗布し、溶媒成分を蒸発させて酸化タングステン光触媒膜を成膜した。この光触媒膜について、更に500℃以上の熱処理を行った。これにより、透明かつ膜強度に優れた光触媒膜を作成することが可能となる。
【0032】
第6の実施形態によれば、光触媒膜を500℃以上の高温で熱処理を行うことによって、透明かつ膜強度に優れた光触媒膜を作成することが可能となる。
図7は、第6の実施形態による手法を用いて得られた光触媒膜の断面を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図7において、符番15は基材としてのガラス板であり、符番16は光触媒膜(膜厚:約0.5μm)である。
【0033】
(第7の実施形態)
図8は、第7の実施形態に係る光触媒脱臭照明ユニットの例を示す。
図中の符番17a,17bは、夫々対向して配置された白色LEDユニットを示す。各白色LEDユニット17a、17bには、光源としての複数の白色発光ダイオード(LED)19が夫々直列に配置されている。これらの白色LED19には、複数の拡散型導光チューブ18が若干の隙間を介して配置されている。これらの拡散型導光チューブ18表面には、第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子からなる可視光応答型光触媒体がコーティングされている。ここで、光触媒体は、例えば、シリコーン樹脂等の可視光、紫外光透過率の高い成分を混合させた厚さ0.15μmの下地膜と、窒素置換型酸化チタン及び金属担持酸化チタンの微粒子を主成分として下地膜上に成膜された第1の光触媒膜と、三酸化タングステン微粒子を主成分として第1の光触媒膜上に成膜された第2の光触媒膜との3層の積層膜が形成されている。
【0034】
第7の実施形態の光触媒脱臭照明ユニットによれば、LED19を備えた白色ユニット17a,17b間に、WO3光触媒体がコーティングされた拡散型導光チューブ18を備えた構成となっているので、冷蔵庫等の低温の家電製品に適用しても低温でも同じ出力で点灯でき、またLED数と拡散型導光チューブの本数を増やすことで最適な光量と脱臭,抗菌機能を得ることができる。
【0035】
図9は、図8の光触媒脱臭照明ユニットを用いてホルムアルデヒドガスの分解効果を脱臭試験により測定した結果を示すグラフである。図9中、線(i)は拡散型導光チューブが3本の場合、線(j)は5本の場合を示す。図9の結果によれば、導光チューブの本数を増やすことにより、ホルムアルデヒドガスの残存率の低下が早くなって、脱臭効果が向上することが確認できた。
【0036】
(第8の実施形態)
図10は、第8の実施形態に係る光触媒脱臭照明ユニットの概略断面図である。
図中の符番21は白色LEDを示し、この白色LED21がアクリル樹脂製の導光板22の入光端面に沿って複数配列されている。この導光板22の片面(図中の下面)には、ポリカーボネート樹脂からなる拡散シート23が形成されている。前記導光板22の上部側(光照射面側)には、アクリル製集光シート24が配置されている。この集光シート24の光照射面と反対側の表面には、第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を主成分として成膜された光触媒膜25がコーティングされている。光触媒膜25は、例えば、シリコーン樹脂等の可視光、紫外光透過率の高い成分を混合させた厚さ150nmの下地膜を介して形成されている。なお、図10では導光板22と集光シート24は便宜上離間して図示されているが、本来は導光板22と集光シート24とは接触した状態で配設されている。
【0037】
第8の実施形態の光触媒脱臭照明ユニットによれば、LED21を光源として用いているので、冷蔵庫等の低温の家電製品に適用しても効率が損われることなく所定の光出力で点灯でき、またLED21の配列数と導光板22の大きさを調整することで最適な光量と脱臭,抗菌機能を得ることができる。また、導光板22表面には光触媒体25を直接形成しないで、集光シート24等の光学手段を介して形成しているので、導光板22及び光触媒材料の屈折率の差に起因する光の減衰を回避することができる。
【0038】
図11は、図10の光触媒脱臭照明ユニットを用いてアセトアルデヒドドガスの分解効果を脱臭試験により測定した結果を示すグラフである。図11中、線(k)は光触媒体を照明ユニットに担持しない場合、線(l)は第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を0.1g担持した場合、線(m)は同酸化タングステン微粒子を0.2g担持した場合を示す。図11より、酸化タングステン微粒子の担持量が多いほどアセトアルデヒドガスの残存率の低下が早くなり、光触媒担持量の増加による脱臭効果が確認できた。
【0039】
(第9の実施形態)
厚み4〜5mmの窓ガラスの屋外に面する表面部分に親水防汚機能を有する酸化チタン微粒子を主成分とする膜厚0.1〜0.5μmの第1の光触媒膜を形成し、かつ窓ガラスの室内側の表面部分に第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を主成分とする膜厚0.5〜2.0μmの第2の光触媒膜を形成した構成の光触媒付板ガラスを得た。ここで、第1の光触媒膜は紫外線の照射によって親水性を発揮する光触媒膜であり、第2の光触媒膜は可視光応答型光触媒膜である。
【0040】
第9の実施形態によれば、屋外側の表面では太陽光の紫外線照射によって第1の光触媒膜が活性化して親水効果によるセルフクリーニング機能を得ることができ、かつ室内側の表面では窓ガラスを透過した太陽光の可視光線及び室内光源により可視光線の照射によって第2の光触媒膜が活性化して臭い等の有機物分解効果を得ることができる。
【0041】
(第10の実施形態)
まず、線径0.1〜1.0mmの金属タングステンワイヤー2を、ガスバーナー3により1000〜1500℃程度に加熱する。これにより金属タングステンが燃焼することで昇華し、急激に酸化されることによって三酸化タングステン(WO3)微粒子(粒径:0.2〜0.5μm)のヒューム4が大気に放出される。次に、このヒューム4を電気集塵機5により採取し、酸化タングステン微粒子を得る。この際、電気集塵機5の一構成である電極間距離は5〜15mmとし、2000Vの高電圧を印加した。発生したヒューム4には三斜晶系と単斜晶系の2種類が混在し、三斜晶系リッチの平均粒径0.03〜0.1μmの超微粒子が含まれている。更に、WO3微粒子を600〜1000℃の酸化雰囲気の電気炉内に導入した後、短時間(例えば10分)で熱処理を行い、WO3微粒子の結晶粒子成長を押さえて結晶構造を三斜晶系から単斜晶系へ転移させ、高活性の酸化タングステン微粒子を合成する。図12は、電気集塵子化装置のイメージ図を示す。図中の符番31a,31bは板状集電電極、符番32は線状放電電極、符番33は酸化タングステン微粒子を示す。
【0042】
第10の実施形態によれば、電気集塵機の電極間に高電圧を印加して酸化タングステンヒュームを帯電吸着させるので、物理的な回収法と比較して目詰まり、不純物の混合を防止することができる。また、フィルターは使い捨てで再利用困難であるが、電気集塵機法は電極部分を線状すれば再利用可能になり、製造コストを抑えることが可能になる。更に、電気集塵部分で印加電圧を低く流量を大きくすることにより、大きい粒子を吸着させずに小さい粒子だけを選択的に吸着して回収することが可能になる。小さい粒子だけを集めることにより、光触媒微粒子の比表面積を増加させ、光触媒活性を向上させることができる。なお、市販されている家庭用電気集塵機の印加電圧は3000〜4000V、業務用で9000〜15000Vとなっている。また、従来のヘパフィルター等の物理的フィルターを用いた捕集法では目詰まりを起こし吸着能力の低下を引き起こし、安定捕集ができなくなる。
【0043】
図12は、第10の実施形態に係る酸化タングステン光触媒合成装置の電極部分の説明図を示す。図中の符番31a,31bは互に平行に配置された板状集電電極、符番32は板状集電電極間に配置された線状放電電極、符番33は酸化タングステン微粒子を示す。また、第10の実施形態によって得られた酸化タングステン微粒子について、図2に示すような測定装置を用いてアセトアルデヒドガス分解試験を行ったところ、図13に示すような結果が得られた。なお、線(a)は高電圧を印加しない場合、線(b)は10kVを印加した場合、線(c)は3kVを印加した場合を示す。図13より、印加電圧が小さい程、アセトアルデヒド残存率がより一層速く低下し、光触媒活性がより一層高くなることが明らかである。
【0044】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る酸化タングステンを合成する装置の概略図である。
【図2】アセトアルデヒドガス分解試験の測定装置の概略図を示す。
【図3】第1の実施形態の三酸化タングステン微粒子について、図2の測定装置を用いてアセトアルデヒトガスの分解試験を行ったときの結果を表すグラフである。
【図4】図2の測定装置を用いてアセトアルデヒドガスの分解試験を行った結果を示すグラフである。
【図5】第2の実施形態によって得られた酸化タングステン微粒子について図2の測定装置を用いてアセトアルデヒドガス分解試験を行った結果を示すグラフである。
【図6】第5の実施形態によって作成した酸化タングステン光触媒膜付きガラス板の水接触角の時間変化について測定した結果を示すグラフである。
【図7】第6の実施形態による手法を用いて得られた光触媒膜の断面を撮影したSEM写真である。
【図8】第7の実施形態に係る光触媒脱臭照明ユニットの例を示す。
【図9】図8の光触媒脱臭照明ユニットを用いてホルムアルデヒドガスの分解効果を脱臭試験により測定した結果を示すグラフである。
【図10】第8の実施形態に係る光触媒脱臭照明ユニットの概略断面図である。
【図11】図10の光触媒脱臭照明ユニットを用いてアセトアルデヒドドガスの分解効果を脱臭試験により測定した結果を示すグラフである。
【図12】本発明の第10の実施形態に係る酸化タングステン光触媒合成装置の電極部分の説明図を示す。
【図13】本発明の第10の実施形態により電気集塵機の印加電圧を変化させて回収した光触媒微粒子のアセトアルデヒドガスの分解試験を行った結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0046】
1…金属タングステンワイヤーリール、2…金属タングステンワイヤー、3…ガスバーナー、4…酸化タングステンヒューム、5…回収装置、6…ヒューム吸引管、7…電気炉、16…光触媒膜、17a,17b…白色LEDユニット、18…拡散型導光チューブ,19,21…LED、22…導光板、25…光触媒体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光応答型光触媒合成法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、光触媒材料には、主に酸化チタンが使用されている。酸化チタンは、防汚,消臭等の目的で応用製品が広く使用されている。しかし、励起が紫外線になるため、紫外線が少ない屋内用途では十分な性能が得られないという問題がある。この対策のため、いわゆる可視光応答型光触媒が盛んに研究開発されている。具体的には、酸化チタンに窒素をドープしたタイプや酸化チタンに白金を坦持したタイプが開発されている。しかし、このタイプは励起光の波長範囲が400〜410nm以下で、屋内の照明の光では性能が不足する。
【0003】
また、可視光応答型光触媒として酸化タングステンや酸化鉄が検討されている。酸化タングステンはバンドギャップが2.5eVで色が黄色であるので、建材等に応用する場合有利な材料である。また、有害性が少なく、比較的安価な材料である。酸化タングステンの可視光による光触媒効果は、反応性スパッター法で作成した膜について知られている(例えば、特許文献1や非特許文献1)。一方、酸化タングステン粉を使用した可視光応答型光触媒が検討されてきているが、十分な効果が得られていない。
【特許文献1】特開2001−152130号公報
【非特許文献1】光触媒,エヌ,ティー,エス社2005年5月27日、p676
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化タングステンは常温大気中で三酸化タングステン(WO3)が安定であるが、この三酸化タングステンは結晶構造が複雑で変化しやすい特徴を持つ。通常、パラタングステンアンモニウムやメタタングステン酸アンモニウム、タングステン酸から作成した三酸化タングステンは単斜晶系である。しかし、粉を処理する際の応力によって容易に結晶構造が変化し、三斜晶系に変化してしまう(J.Solid State Chemistry 143,24 32(1999))。光触媒は光により励起された電子と正孔が表面まで移動することで光触媒の表面で酸化・分解反応が生起されるので、結晶内に再結合センターとなる欠陥を少なくするために、粒子を極力小さくする必要がある。
【0005】
ところで、従来の三酸化タングステン粉末では十分な光触媒効果が得られなかった。この理由は、粉末の前処理段階での加工時に部分的に結晶変化が発生して異なる結晶が混在し、この境界が電子と正孔の再結合を起こす欠陥になっているためと考えられる。市販されているWO3微粒子は粒子径が1〜100μmと大きく、WO3光触媒粉末を塗料化するにあたりボールミルやビーズミルで分散処理を行う必要性がある。しかし、分散処理を行う際に光触媒活性が低下し、光触媒効果が高い塗料が得られなくなる等の問題もある。
【0006】
通常、金属タングステンを昇華または燃焼させて得られた酸化タングステンヒュームは、加熱条件、雰囲気により結晶構造のバラツキが発生し、安定した結晶構造を得ることが困難であった。また、気相法で合成した超微粒子は回収方法に問題がある。更に、物理的なフィルターを使用した場合、特に超微粒子の回収ではすぐにフィルターの目詰まりを起こし安定した回収ができなくなる等の問題がある。
【0007】
本発明は、こうした問題点を解消するためになされたもので、市販の酸化タングステンと比較しても粒径が小さく、光触媒効果が高い酸化タングステン光触媒微粒子を得ることができる可視光応答型光触媒合成法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の可視光応答型光触媒合成法は、金属タングステンを燃焼させて酸化タングステン微粒子を合成することを特徴とする。金属タングステンは例えばバーナーにより酸化燃焼することができる。
請求項2記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子の平均粒径が0.01〜0.1μmであることを特徴とする。酸化タングステン微粒子の平均粒径が0.1μmを超えると、微粒子表面で発生する光触媒反応が低下するので好ましくない。また平均粒径が0.01μm未満であると、微粒子の分散性が低下して塗料化が困難となる。
【0009】
請求項3記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子の平均粒径が0.05μm以下であることを特徴とする。酸化タングステン微粒子の平均粒径が0.05μmを超えると、BET値の上昇によってガス分解効果が低下するため好ましくない。また、平均粒径は0.01〜0.05μmが好ましく、更に好ましくは0.01〜0.03μmである。なお、平均粒径が0.01μm未満であると、微粒子が緻密になりすぎて塗料化・成膜化が困難となる。
【0010】
請求項4記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子が、燃焼により昇華した酸化タングステン微粒子のヒュームを採取して得られたものであることを特徴とする。ここで、金属タングステンはバーナーにより加熱することにより昇華し急激に酸化されてWO3微粒子のヒュームとして大気に放出される。
請求項5記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子のヒュームを600℃〜1000℃の酸化雰囲気炉内に通過させることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子のヒュームをアルカリ性水溶液中に導入し、微粒子の表面を溶解させることを特徴とする。
請求項7記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子は単斜晶系の結晶構造を有していることを特徴とする。
請求項8記載の可視光応答型光触媒合成法は、酸化タングステン微粒子のヒュームを電気集塵法で捕集することを特徴とする。ヒュームを電気集塵機により採取することにより、酸化タングステン微粒子のヒュームを得ることができる。
【0012】
請求項9記載の可視光応答型光触媒合成法は、前記電気集塵機の電極間距離を5〜15mmとして電極間に電圧を印加することにより、10〜20nmの微粒子を回収することを特徴とする。電圧は、2000〜5000V程度印加すればよい。微粒子の平均粒径は10〜20nmである。
請求項10記載の可視光応答型光触媒合成法は、ヒュームを含む空気の流量または印加電圧を調整することにより任意の粒子径の微粒子の回収を可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属タングステンを燃焼させて酸化タングステン微粒子を合成することにより、市販の酸化タングステン微粒子と比較して粒径が小さく、光触媒効果が高い酸化タングステン光触媒超微粒子を得ることができる。また、燃焼によって得られた微粒子を、更に加熱処理することにより、光触媒活性が向上し安定化する。
【0014】
また、600〜1000℃の酸化雰囲気炉内で酸化タングステン微粒子のヒュームを熱処理することにより、比較的短時間で高活性の酸化タングステン微粒子を合成することができる。
更に、酸化タングステン微粒子のヒュームをアルカリ性水溶液中に導入し、微粒子の表面を溶解させることにより、微粒子の表面がエッチングされるので、より一層微細な酸化タングステン光触媒超微粒子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、酸化タングステンを合成する装置の概略図を示す。図中の符番1は金属タングステンワイヤー2を送り出すタングステンワイヤースプール(以下、スプールと呼ぶ)を示す。金属タングステンワイヤー2は、ガスバーナー3により加熱、燃焼されて酸化タングステン微粒子のヒューム4となる。このヒューム4は回収装置としての電気集塵機5に設けられたヒューム吸引管6により回収される。ヒューム吸引管6の一部は、電気炉7内に配置されている。
【0016】
まず、線径0.1〜1.0mmの金属タングステンワイヤー2を、ガスバーナー3により1000〜1500℃程度に加熱する。これにより金属タングステンが燃焼することで昇華し、急激に酸化されることによって三酸化タングステン(WO3)微粒子(粒径:0.2〜0.5μm)のヒューム4が大気に放出される。次に、このヒューム4を電気集塵機5により採取し、酸化タングステン微粒子を得る。
【0017】
このようにして得られた三酸化タングステン微粒子は、不純物が少なく格子欠陥も少ないので、結晶性の高い光触媒材料となる。また、粒径も小さいので光触媒活性に優れている。ここで、採取したヒューム4には三斜晶系と単斜晶系の2種類が混在する場合があるので、この場合には三斜晶系リッチの0.02〜0.1μmの超微粒子が含まれている。そこで、WO3微粒子の結晶粒子成長を抑え、結晶構造を三斜晶系から単斜晶系へ移転させるために、600〜1000℃の酸化雰囲気で短時間加熱処理を行い、高活性の酸化タングステン微粒子を合成する。これより、高活性の酸化タングステン微粒子を合成することができる。
【0018】
図2は、アセトアルデヒドガス分解試験の測定装置の概略図を示す。なお、図2において、符番8は容量3000ccの測定容器を示し、内部に光触媒粉(質量:0.1g)入り時計皿9が配置され、その下部にファン10が配置されている。また、測定容器8の上部には、光源11としての青色LED(0.88mW/cm2(UV−42)、0.001mW/cm2(YV−35)使用)が配置されている。測定容器8には測定器としてのマルチガスモニタ12が配管を介して接続されている。なお、導入ガスとしては、アセトアルデヒド10ppm相当が用いられる。
【0019】
図3は、第1の実施形態の三酸化タングステン微粒子について、図2に示す測定装置を用いてアセトアルデヒトガスの分解試験を行ったときの結果を表すグラフである。
図3の線(a)は、光触媒材料を容器に配置していない状態を示す。線(a)では、装置内にアセトアルデヒドガスが吸着すること等によってアセトアルデヒドガスの残存率が若干低下しているが、脱臭効果が見られないほどの変化はない。曲線(b)は、原料としてタングステン錯体を熱処理して得られた酸化タングステンを解砕することによって粉末化した三酸化タングステン微粒子を使用した状態を示す。この微粒子では、曲線(b)に示すようにアセトアルデヒドガス残存率が時間の経過とともに徐々に低下するが、その残存率は1時間経過後であっても50%を超えていた。曲線(c)は、第1の実施形態の酸化タングステン微粒子を示す。第1の実施形態の微粒子は、曲線(c)に示すように、アセトアルデヒドガス残存率が曲線(b)で示す光触媒より早く低下し、その残存率は1時間経過後には20%未満となった。これにより、第1の実施形態の光触媒は光触媒活性が高いことが明らかになった。
【0020】
次に、図2に示すような測定装置の光源11を日亜化学工業(株)製の白色LED(NSPW500BS)に変えて、アセトアルデヒドガス分解試験を行った。図4は、この測定装置を用いてアセトアルデヒドガスの分解試験を行った結果を示すグラフである。また、この試験では、第1の実施形態の三酸化タングステン微粒子の焼成温度を変化させたものを3種類用意して測定した。なお、図4の線(a)は光触媒なし、線(b)はタングステン錯体を熱処理して得た三酸化タングステン微粒子を夫々示し、その詳細は図3で説明したものと同様である。
【0021】
その結果、図4のように、ヒュームを更に電気炉で600℃,800℃,1000℃で1〜15分間夫々加熱処理した場合は、夫々線(c),線(d)及び線(e)で示すように変化した。これにより、加熱温度を高くすることにより、アセトアルデヒドガス残存率がより一層早く低下し、光触媒活性がより一層高くなることが明らかである。なお、この加熱処理の温度が1000℃を超えると、結晶成長が進んで酸化タングステンの粒径が大きくなり過ぎ、光触媒効果が低下してしまう。また、温度が600℃未満の場合、単斜晶への結晶転移が十分に行われないので、光触媒活性が不十分となる。
【0022】
(第2の実施形態)
第1の実施形態と同じ方法によって得られた酸化タングステン微粒子をアンモニア水等のアルカリ水溶液中に導入した。これにより、酸化タングステン微粒子の表面がエッチングされ、酸化タングステン微粒子をより微粒子化することができる。なお、回収装置5の吸引条件例えば吸引速度、吸引量を調節することにより、安定した活性を持った酸化タングステン光触媒超微粒子を得ることができる。また、アルカリ水溶液のアルカリ濃度を調整することによって任意の平均粒径を有する微粒子を得ることができる。
【0023】
第2の実施形態によれば、酸化タングステン微粒子をアルカリ水溶液中に導入することにより、酸化タングステン微粒子の粒径をより小さくして光触媒活性を高めることができる。このように平均粒径を小さくすることによって得られた酸化タングステン微粒子からなる光触媒は、主にガス分解性能を高める効果があり、脱臭用途や炭酸ガス、NOx,SOx等の排出ガスの分解用途に適用する場合に有効である。
【0024】
第2の実施形態によって得られた酸化タングステン微粒子について、図2に示すような測定装置を用いてアセトアルデヒドガス分解試験を行ったところ、図5に示すような結果が得られた。但し、図2における光源11としては前述の白色LED(NSPW500BS)を用いた。なお、線(a)は図3で示す光触媒なし、線(c)は第1の実施形態において電気炉を用いて600℃で加熱焼成したものと同じである。線(f)は第2の実施形態の酸化タングステン微粒子を示す。この酸化タングステン微粒子は、ヒュームを電気炉で600℃で加熱処理した後、更にアンモニア水で表面処理することによって平均粒径を0.01〜0.05μmとしたものである。線(f)に示すように、アンモニア水で更に表面処理した第2の実施形態の酸化タングステン微粒子によれば、表面処理を行っていない線(c)と比較して、アセトアルデヒド残存率がより一層速く低下し、光触媒活性がより一層高くなることが明らかである。
【0025】
(第3の実施形態)
第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を、水もしくはアルコール等の有機溶媒に分散させた。次に、遷移金属塩MX(M=Ag,Pt,Ni,Zn,Co等、X=Cl−やNO3−等の無機陰イオン全般ならびにアセチルアセトン等の有機系配位子全般)を溶解させた。つづいて、この溶液を蒸発乾固させて得られる粉末を焼成し、遷移金属酸化物を酸化タングステン微粒子表面に担持させた可視光応答型光触媒を得た。
【0026】
第3の実施形態によれば、このようにして得られた可視光応答型光触媒が可視光の照射を受けて有機色素を分解するので、例えば照明器具へ塗布した際に防汚、脱臭機能を付与することができる。
【0027】
(第4の実施形態)
第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を、水、アルコール、またはアルコールと水との混合溶媒中へ分散させて、分散液を得た。ひきつづき、この分散液をガラス板などへ塗布し、ホットプレートなどで溶媒成分を蒸発することによって、透明かつ膜強度に優れた光触媒膜を作成することが可能となる。
第4の実施形態によれば、分散液をガラス板等へ塗布し、溶媒成分を蒸発させることによって、透明かつ膜強度に優れた光触媒膜を作成することが可能となる。
【0028】
(第5の実施形態)
第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を、水、アルコール、またはアルコールと水との混合溶媒中へ分散させて、酸化タングステン塗料を得た。ひきつづき、酸化珪素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)または酸化ジルコニウム(ZrO)からなる微粒子を含む塗料を、ディップもしくはスピンコート法によりガラス板の上へ塗布した。更に、溶媒を乾燥した後、電気炉にて500℃で10分焼成して透明な保護膜を形成した。
次に、この保護膜上に先ほど作成した酸化タングステン分散液をディップもしくはスピンコート法により塗布した。つづいて、溶媒を乾燥した後、電気炉にて500℃で10分焼成した。これにより、酸化タングステン光触媒膜が形成された。
【0029】
第5の実施形態によれば、ガラス板と光触媒膜との間に保護層を設けることにより、ガラス板に含まれるアルカリイオンの拡散を防ぎ、光触媒活性の低下を防止することができる。従って、第1の実施形態の酸化タングステン微粒子を主成分とする光触媒膜を、アルカリ成分を含むガラス板等へ塗布した場合であっても、親水性、防汚によるセルフクリーニング機能を確実に得ることができる。
【0030】
図6は、第5の実施形態によって作成した酸化タングステン光触媒膜付きガラス板の水接触角の時間変化について測定した結果を示すグラフである。なお、ガラス板表面は予めステアリン酸を用いて汚染させ、蛍光灯照射下における水接触角の変化をアルカリイオンブロックの保護層を有するタイプと無いタイプとで測定を行った。図6中の線(g)は保護層が無い場合、線(h)は保護層が有る第5の実施形態を示す。その結果、保護層を有する第5の実施形態の光触媒膜は、蛍光灯照射後2日で超親水性が発現した。これに対し、線(g)で示す保護層が無い比較例の光触媒膜では親水性が1週間経過しても発現していない。これは、ガラス板中のアルカリイオンが析出して光触媒膜に侵入し、酸化タングステン微粒子の結晶性が劣化して光触媒効果が低下しているものと思われる。
【0031】
(第6の実施形態)
第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を、水、アルコール、またはアルコールと水との混合溶媒中へ分散させて、分散液を得た。この分散液を石英ガラス製のガラス板などへ塗布し、溶媒成分を蒸発させて酸化タングステン光触媒膜を成膜した。この光触媒膜について、更に500℃以上の熱処理を行った。これにより、透明かつ膜強度に優れた光触媒膜を作成することが可能となる。
【0032】
第6の実施形態によれば、光触媒膜を500℃以上の高温で熱処理を行うことによって、透明かつ膜強度に優れた光触媒膜を作成することが可能となる。
図7は、第6の実施形態による手法を用いて得られた光触媒膜の断面を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図7において、符番15は基材としてのガラス板であり、符番16は光触媒膜(膜厚:約0.5μm)である。
【0033】
(第7の実施形態)
図8は、第7の実施形態に係る光触媒脱臭照明ユニットの例を示す。
図中の符番17a,17bは、夫々対向して配置された白色LEDユニットを示す。各白色LEDユニット17a、17bには、光源としての複数の白色発光ダイオード(LED)19が夫々直列に配置されている。これらの白色LED19には、複数の拡散型導光チューブ18が若干の隙間を介して配置されている。これらの拡散型導光チューブ18表面には、第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子からなる可視光応答型光触媒体がコーティングされている。ここで、光触媒体は、例えば、シリコーン樹脂等の可視光、紫外光透過率の高い成分を混合させた厚さ0.15μmの下地膜と、窒素置換型酸化チタン及び金属担持酸化チタンの微粒子を主成分として下地膜上に成膜された第1の光触媒膜と、三酸化タングステン微粒子を主成分として第1の光触媒膜上に成膜された第2の光触媒膜との3層の積層膜が形成されている。
【0034】
第7の実施形態の光触媒脱臭照明ユニットによれば、LED19を備えた白色ユニット17a,17b間に、WO3光触媒体がコーティングされた拡散型導光チューブ18を備えた構成となっているので、冷蔵庫等の低温の家電製品に適用しても低温でも同じ出力で点灯でき、またLED数と拡散型導光チューブの本数を増やすことで最適な光量と脱臭,抗菌機能を得ることができる。
【0035】
図9は、図8の光触媒脱臭照明ユニットを用いてホルムアルデヒドガスの分解効果を脱臭試験により測定した結果を示すグラフである。図9中、線(i)は拡散型導光チューブが3本の場合、線(j)は5本の場合を示す。図9の結果によれば、導光チューブの本数を増やすことにより、ホルムアルデヒドガスの残存率の低下が早くなって、脱臭効果が向上することが確認できた。
【0036】
(第8の実施形態)
図10は、第8の実施形態に係る光触媒脱臭照明ユニットの概略断面図である。
図中の符番21は白色LEDを示し、この白色LED21がアクリル樹脂製の導光板22の入光端面に沿って複数配列されている。この導光板22の片面(図中の下面)には、ポリカーボネート樹脂からなる拡散シート23が形成されている。前記導光板22の上部側(光照射面側)には、アクリル製集光シート24が配置されている。この集光シート24の光照射面と反対側の表面には、第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を主成分として成膜された光触媒膜25がコーティングされている。光触媒膜25は、例えば、シリコーン樹脂等の可視光、紫外光透過率の高い成分を混合させた厚さ150nmの下地膜を介して形成されている。なお、図10では導光板22と集光シート24は便宜上離間して図示されているが、本来は導光板22と集光シート24とは接触した状態で配設されている。
【0037】
第8の実施形態の光触媒脱臭照明ユニットによれば、LED21を光源として用いているので、冷蔵庫等の低温の家電製品に適用しても効率が損われることなく所定の光出力で点灯でき、またLED21の配列数と導光板22の大きさを調整することで最適な光量と脱臭,抗菌機能を得ることができる。また、導光板22表面には光触媒体25を直接形成しないで、集光シート24等の光学手段を介して形成しているので、導光板22及び光触媒材料の屈折率の差に起因する光の減衰を回避することができる。
【0038】
図11は、図10の光触媒脱臭照明ユニットを用いてアセトアルデヒドドガスの分解効果を脱臭試験により測定した結果を示すグラフである。図11中、線(k)は光触媒体を照明ユニットに担持しない場合、線(l)は第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を0.1g担持した場合、線(m)は同酸化タングステン微粒子を0.2g担持した場合を示す。図11より、酸化タングステン微粒子の担持量が多いほどアセトアルデヒドガスの残存率の低下が早くなり、光触媒担持量の増加による脱臭効果が確認できた。
【0039】
(第9の実施形態)
厚み4〜5mmの窓ガラスの屋外に面する表面部分に親水防汚機能を有する酸化チタン微粒子を主成分とする膜厚0.1〜0.5μmの第1の光触媒膜を形成し、かつ窓ガラスの室内側の表面部分に第1の実施形態で得られた酸化タングステン微粒子を主成分とする膜厚0.5〜2.0μmの第2の光触媒膜を形成した構成の光触媒付板ガラスを得た。ここで、第1の光触媒膜は紫外線の照射によって親水性を発揮する光触媒膜であり、第2の光触媒膜は可視光応答型光触媒膜である。
【0040】
第9の実施形態によれば、屋外側の表面では太陽光の紫外線照射によって第1の光触媒膜が活性化して親水効果によるセルフクリーニング機能を得ることができ、かつ室内側の表面では窓ガラスを透過した太陽光の可視光線及び室内光源により可視光線の照射によって第2の光触媒膜が活性化して臭い等の有機物分解効果を得ることができる。
【0041】
(第10の実施形態)
まず、線径0.1〜1.0mmの金属タングステンワイヤー2を、ガスバーナー3により1000〜1500℃程度に加熱する。これにより金属タングステンが燃焼することで昇華し、急激に酸化されることによって三酸化タングステン(WO3)微粒子(粒径:0.2〜0.5μm)のヒューム4が大気に放出される。次に、このヒューム4を電気集塵機5により採取し、酸化タングステン微粒子を得る。この際、電気集塵機5の一構成である電極間距離は5〜15mmとし、2000Vの高電圧を印加した。発生したヒューム4には三斜晶系と単斜晶系の2種類が混在し、三斜晶系リッチの平均粒径0.03〜0.1μmの超微粒子が含まれている。更に、WO3微粒子を600〜1000℃の酸化雰囲気の電気炉内に導入した後、短時間(例えば10分)で熱処理を行い、WO3微粒子の結晶粒子成長を押さえて結晶構造を三斜晶系から単斜晶系へ転移させ、高活性の酸化タングステン微粒子を合成する。図12は、電気集塵子化装置のイメージ図を示す。図中の符番31a,31bは板状集電電極、符番32は線状放電電極、符番33は酸化タングステン微粒子を示す。
【0042】
第10の実施形態によれば、電気集塵機の電極間に高電圧を印加して酸化タングステンヒュームを帯電吸着させるので、物理的な回収法と比較して目詰まり、不純物の混合を防止することができる。また、フィルターは使い捨てで再利用困難であるが、電気集塵機法は電極部分を線状すれば再利用可能になり、製造コストを抑えることが可能になる。更に、電気集塵部分で印加電圧を低く流量を大きくすることにより、大きい粒子を吸着させずに小さい粒子だけを選択的に吸着して回収することが可能になる。小さい粒子だけを集めることにより、光触媒微粒子の比表面積を増加させ、光触媒活性を向上させることができる。なお、市販されている家庭用電気集塵機の印加電圧は3000〜4000V、業務用で9000〜15000Vとなっている。また、従来のヘパフィルター等の物理的フィルターを用いた捕集法では目詰まりを起こし吸着能力の低下を引き起こし、安定捕集ができなくなる。
【0043】
図12は、第10の実施形態に係る酸化タングステン光触媒合成装置の電極部分の説明図を示す。図中の符番31a,31bは互に平行に配置された板状集電電極、符番32は板状集電電極間に配置された線状放電電極、符番33は酸化タングステン微粒子を示す。また、第10の実施形態によって得られた酸化タングステン微粒子について、図2に示すような測定装置を用いてアセトアルデヒドガス分解試験を行ったところ、図13に示すような結果が得られた。なお、線(a)は高電圧を印加しない場合、線(b)は10kVを印加した場合、線(c)は3kVを印加した場合を示す。図13より、印加電圧が小さい程、アセトアルデヒド残存率がより一層速く低下し、光触媒活性がより一層高くなることが明らかである。
【0044】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る酸化タングステンを合成する装置の概略図である。
【図2】アセトアルデヒドガス分解試験の測定装置の概略図を示す。
【図3】第1の実施形態の三酸化タングステン微粒子について、図2の測定装置を用いてアセトアルデヒトガスの分解試験を行ったときの結果を表すグラフである。
【図4】図2の測定装置を用いてアセトアルデヒドガスの分解試験を行った結果を示すグラフである。
【図5】第2の実施形態によって得られた酸化タングステン微粒子について図2の測定装置を用いてアセトアルデヒドガス分解試験を行った結果を示すグラフである。
【図6】第5の実施形態によって作成した酸化タングステン光触媒膜付きガラス板の水接触角の時間変化について測定した結果を示すグラフである。
【図7】第6の実施形態による手法を用いて得られた光触媒膜の断面を撮影したSEM写真である。
【図8】第7の実施形態に係る光触媒脱臭照明ユニットの例を示す。
【図9】図8の光触媒脱臭照明ユニットを用いてホルムアルデヒドガスの分解効果を脱臭試験により測定した結果を示すグラフである。
【図10】第8の実施形態に係る光触媒脱臭照明ユニットの概略断面図である。
【図11】図10の光触媒脱臭照明ユニットを用いてアセトアルデヒドドガスの分解効果を脱臭試験により測定した結果を示すグラフである。
【図12】本発明の第10の実施形態に係る酸化タングステン光触媒合成装置の電極部分の説明図を示す。
【図13】本発明の第10の実施形態により電気集塵機の印加電圧を変化させて回収した光触媒微粒子のアセトアルデヒドガスの分解試験を行った結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0046】
1…金属タングステンワイヤーリール、2…金属タングステンワイヤー、3…ガスバーナー、4…酸化タングステンヒューム、5…回収装置、6…ヒューム吸引管、7…電気炉、16…光触媒膜、17a,17b…白色LEDユニット、18…拡散型導光チューブ,19,21…LED、22…導光板、25…光触媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属タングステンを燃焼させて酸化タングステン微粒子を合成することを特徴とする可視光応答型光触媒合成法。
【請求項2】
酸化タングステン微粒子の平均粒径が0.01〜0.1μmであることを特徴とする請求項1記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項3】
酸化タングステン微粒子の平均粒径が0.01〜0.05μm以下であることを特徴とする請求項1記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項4】
酸化タングステン微粒子は、燃焼により昇華した酸化タングステン微粒子のヒュームを採取して得られたものであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項5】
酸化タングステン微粒子のヒュームを600℃〜1000℃の酸化雰囲気炉内に通過させることを特徴とする請求項4に記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項6】
酸化タングステン微粒子のヒュームをアルカリ性水溶液中に導入し、微粒子の表面を溶解させることを特徴とする請求項4に記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項7】
酸化タングステン微粒子は単斜晶系の結晶構造を有していることを特徴とする請求項1乃至6いずれか一記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項8】
酸化タングステン微粒子のヒュームを電気集塵法で捕集することを特徴とする請求項4に記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項9】
電気集塵機の電極間距離を5〜15mmとして電極間に電圧を印加することにより、10〜20nmの微粒子を回収することを特徴とする請求項8に記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項10】
ヒュームを含む空気の流量または印加電圧を調整することにより任意の粒子径の微粒子の回収を可能としたことを特徴とする請求項8に記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項1】
金属タングステンを燃焼させて酸化タングステン微粒子を合成することを特徴とする可視光応答型光触媒合成法。
【請求項2】
酸化タングステン微粒子の平均粒径が0.01〜0.1μmであることを特徴とする請求項1記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項3】
酸化タングステン微粒子の平均粒径が0.01〜0.05μm以下であることを特徴とする請求項1記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項4】
酸化タングステン微粒子は、燃焼により昇華した酸化タングステン微粒子のヒュームを採取して得られたものであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項5】
酸化タングステン微粒子のヒュームを600℃〜1000℃の酸化雰囲気炉内に通過させることを特徴とする請求項4に記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項6】
酸化タングステン微粒子のヒュームをアルカリ性水溶液中に導入し、微粒子の表面を溶解させることを特徴とする請求項4に記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項7】
酸化タングステン微粒子は単斜晶系の結晶構造を有していることを特徴とする請求項1乃至6いずれか一記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項8】
酸化タングステン微粒子のヒュームを電気集塵法で捕集することを特徴とする請求項4に記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項9】
電気集塵機の電極間距離を5〜15mmとして電極間に電圧を印加することにより、10〜20nmの微粒子を回収することを特徴とする請求項8に記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項10】
ヒュームを含む空気の流量または印加電圧を調整することにより任意の粒子径の微粒子の回収を可能としたことを特徴とする請求項8に記載の可視光応答型光触媒合成法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−168277(P2008−168277A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77340(P2007−77340)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]