説明

可逆性感熱記録媒体、並びに、可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法

【課題】 可逆性感熱記録媒体の作製時における黄ばみの発生を抑え、光に長時間曝されても地肌変色を抑えることができ、繰り返し消去印字を行っても発消色特性の低下が防止され、耐久性に優れた可逆性感熱記録媒体、並びに、可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法の提供。
【解決手段】 支持体と、該支持体上に少なくとも感熱層と、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層とをこの順に有してなり、前記感熱層が電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を含有し、温度に依存して色調が可逆的に変化すると共に、前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層がキシレンジイソシアネート化合物を含有する可逆性感熱記録媒体である。該紫外線吸収構造を持つポリマー含有層が、紫外線吸収剤を含有する態様などが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用し、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録媒体、並びに、該可逆性感熱記録媒体を用いた可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一時的な画像形成を行うことができ、不要となったときにはその画像の消去ができるようにした可逆性感熱記録媒体(以下、「熱可逆記録媒体」、「記録媒体」と称することがある)が注目されている。その代表的なものとして電子供与性呈色性化合物(以下、「発色剤」と称することがある)と電子受容性化合物(以下、「顕色剤」と称することがある)との間の発色反応を利用した可逆性感熱記録媒体が挙げられる。具体的には、樹脂母材中にロイコ染料のような発色剤と、長鎖脂肪族炭化水素基を持つ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、又はフェノール化合物のような顕色剤とを分散した可逆性感熱記録媒体が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
前記可逆性感熱記録媒体は、磁気記録層を有するPETフィルムを支持体としているものが多く、主にポイントカードとして市場に提供されている。また、薄手の支持体上に感熱層を設け、該支持体の反対面に接着層を設け、様々な基材に対して熱と圧力によってラミネートして用いる方法も多く提案されている。例えば、特許文献3に記載の接着層付きの可逆性感熱記録シート、特許文献4に記載の接着層付きの可逆性感熱記録媒体、特許文献5に記載の可逆性感熱記録フィルム、特許文献6に記載の可逆性感熱記録カード等が挙げられる。また、オフィスで使用する紙の低減を図るため、可逆性感熱記録媒体を一般文書として使用し、繰り返して使用する用途も考えられている(特許文献7参照)。また、繰り返し使用することができる可逆性感熱記録媒体を用いた表示装置も提案されている(特許文献8参照)。更に、入出チケット、冷凍食品用容器、工業製品、各種薬品容器等のステッカー、物流管理用途、製造工程管理用途などの表示用に可逆性記録媒体を使用する方法も提案されている。このように近時、可逆性感熱記録媒体の用途は多種多様になってきている。
【0004】
ところで、前記可逆性感熱記録媒体の発色剤として用いられるロイコ染料は、光が長時間照射されると劣化が進行して、発色と消色を繰り返す可逆性感熱記録媒体の特性が低下してしまうという問題がある。つまり、太陽や蛍光灯や種々の発光体から放射される光の中の紫外線領域が染料に当たることで染料自身の分解が進み、未反応の染料は無色から茶褐色に変色してしまう。また、顕色剤と反応して発色している染料は消去を試みた時に着色が薄く残り、消し残り画像となって残ってしまうという問題がある。
【0005】
これらの問題に対して、記録媒体の上部に設けた層の中に紫外線吸収剤を添加し、紫外線が感熱層へ直接届かなくする方法が考えられている。例えば、特許文献9には、感熱層と保護層との間に中間層を設け、該中間層中に低分子紫外線吸収剤を添加した非可逆性記録媒体が提案されている。しかし、この技術を可逆性感熱記録媒体に適用すると消去と印字を繰り返していくうちに、紫外線吸収剤が感熱層内に入り込み発消色機能を低下させてしまう。また、中間層内に紫外線吸収剤が留まらず表面にブリードしてしまい媒体の表面特性を変えてしまったり、紫外線吸収効果が低下してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、可逆性感熱記録媒体の中間層又は保護層に紫外線遮蔽効果のあるサイズの小さい無機顔料を添加して顔料自身の紫外線吸収能と制御された粒子サイズによる紫外線散乱能によって紫外線を感熱層まで届かなくする方法が提案されている(特許文献10参照)。しかし、この方法でも400nm以下の紫外線域を完全に遮断することはできないため、長時間光に曝されると感熱層まで紫外線が届いて、染料が徐々に分解されてしまう。また、層の脆さがあるために繰り返し消去印字を行うと表面に打痕やキズやヒビ割れが生じてしまうという問題もある。
【0007】
また、紫外線吸収構造を持つポリマー(以下、「紫外線吸収ポリマー」と称することもある)を感熱層の上部の層に添加する方法も提案されている(特許文献11及び特許文献12参照)。しかし、この提案では、繰り返し消去印字を行うと表面に打痕が発生し、発消色機能が十分に果たせない状態になってしまう。これは、紫外線吸収ポリマーの耐熱性が不十分であり、消去や印字時の熱履歴により劣化が進むことが原因であると考えられる。
【0008】
また、感熱層上に紫外線吸収性能又は紫外線遮蔽能を有する金属酸化物複合体を含有する層を設ける方法も提案されている(特許文献13参照)。しかし、この提案においても十分な紫外線遮蔽効果を得ることができない。
また、イソシアネート化合物と、該イソシアネート化合物と架橋する特定の紫外線吸収剤とを含有する層を感熱層上に設ける方法が提案されている(特許文献14参照)。この提案によれば、イソシアネートを紫外線吸収剤で架橋することによりブリードの発生を抑えることができる。この提案では、紫外線吸収剤が低分子であるため、十分な紫外線吸収能を持たせるには多量の紫外線吸収剤が必要となるが、添加量の多さにより未架橋のものが残留して表面のブリードや感熱層への発消色機能阻害の問題が発生する。また、紫外線吸収剤を架橋させるために多量の架橋剤が必要となる。
しかし、ベースとなる樹脂の添加量が制限され、膜強度の弱い層ができてしまうため、繰り返し消去印字により記録媒体の劣化がすぐに起こってしまうという問題がある。また、紫外線吸収剤の一部と架橋することにより紫外線吸収能が低下し、本来期待する機能が得られなくなるという問題もある。
【0009】
そこで、上記問題点を解決するための方法として、例えば、架橋状態にある紫外線吸収構造を持つポリマー含有層を設けた可逆性感熱記録媒体が提案されている(特許文献15及び特許文献16参照)。この提案では、紫外線吸収ポリマーを用いることにより、紫外線吸収剤がブリードする問題が解決され、光劣化や繰り返し消去印字による発消色特性への阻害が大きく低減される。
しかし、可逆性感熱記録媒体に要求される耐光性レベルは先に述べたように多岐にわたってきており、現状のレベルではまだ不完全である。つまり、紫外線の遮蔽効果は高まったが、今まで以上に長時間光に曝されることで記録媒体の劣化は進み、発色していない部分の着色が進んでしまうという問題がある。
【0010】
また、可逆性感熱記録媒体の作製時に紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の架橋を進めるために長時間の加熱キュアが必要となる。このように加熱キュア時間が長くなると、感熱層の染料が上部に塗布した紫外線吸収構造を持つポリマー含有層に入り込んで、表面に現れた染料が光によって劣化してしまい、可逆性感熱記録媒体の地肌部分が黄ばんでしまうという問題がある。
また、繰り返し消去印字による耐久性も更なる向上が必要となってきている。しかし、上記先行技術に記載された紫外線吸収構造を持つポリマー含有層を架橋しても繰り返し消去印字を行うと可逆性感熱記録媒体の劣化が進み十分な耐久性を得られないのが現状である。
【0011】
【特許文献1】特開平5−124360号公報
【特許文献2】特開平6−210954号公報
【特許文献3】特開2000−94866号公報
【特許文献4】特開2000−251042号公報
【特許文献5】特開2001−63228号公報
【特許文献6】特開2002−103654号公報
【特許文献7】特開2003−231355号公報
【特許文献8】特開2004−151170号公報
【特許文献9】特開昭62−48585号公報
【特許文献10】特開平10−100541号公報
【特許文献11】特開平8−224960号公報
【特許文献12】特開平9−207437号公報
【特許文献13】特開2003−118235号公報
【特許文献14】特開2001−30630号公報
【特許文献15】特開2002−187362号公報
【特許文献16】特開2002−337456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記要望に応え、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、可逆性感熱記録媒体の作製時における黄ばみの発生を抑え、光に長時間曝されても地肌変色を抑えることができ、繰り返し消去印字を行っても発消色特性の低下が防止され、耐久性に優れた可逆性感熱記録媒体、並びに該可逆性感熱記録媒体を用いた可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体と、該支持体上に少なくとも感熱層と、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層とをこの順に有してなり、前記感熱層が電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を含有し、温度に依存して色調が可逆的に変化すると共に、前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層がキシレンジイソシアネート化合物を含有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体である。
<2> 紫外線吸収構造を持つポリマー含有層が、紫外線吸収剤を含有する前記<1>に記載の可逆性感熱記録媒体である。
<3> 紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系化合物及びベンゾフェノン系化合物の少なくともいずれかである前記<2>に記載の可逆性感熱記録媒体である。
<4> 紫外線吸収構造を持つポリマー含有層が、架橋されている前記<1>から<3>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<5> 紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の膜厚が、0.5〜5μmである前記<1>から<4>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<6> 感熱層が、片側にアルキル基を持つ硫黄原子を含むフェノール系酸化防止剤を含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<7> 片側にアルキル基を持つ硫黄原子を含むフェノール系酸化防止剤の感熱層における含有量が、固形分で1〜10質量%である前記<1>から<6>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<8> 紫外線吸収構造を持つポリマー含有層上に、少なくとも1層の保護層を有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<9> 保護層が、紫外線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくともいずれかを含有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<10> 感熱層と支持体の間にアンダー層を有する前記<1>から<9>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<11> アンダー層が中空粒子を含有する前記<10>に記載の可逆性感熱記録媒体である。
<12> 感熱層における電子受容性化合物が、下記構造式(1)で表わされるフェノール化合物である前記<1>から<11>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
【化2】

ただし、前記構造式(1)中、nは、1〜3の整数を表す。Xは、窒素原子又は酸素原子を含む2価の有機基を表す。R及びRは、脂肪族炭化水素基を表し、これらは置換基で更に置換されていてもよい。
<13> 可逆性感熱記録媒体が、カード状、ラベル状、シート状及びロール状のいずれかに加工されている前記<1>から<12>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<14> 可逆性感熱記録媒体の画像を形成する面及び反対側の面の少なくともいずれかの面における少なくとも一部に、不可逆な可視情報及び印刷可能部分の少なくともいずれかを有する前記<1>から<13>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<15> 前記<1>から<14>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体における画像を形成する面と反対側の面に、接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有することを特徴とする可逆性感熱記録ラベルである。
<16> 情報記憶部と可逆表示部とを有し、該可逆表示部が前記<1>から<14>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を含むことを特徴とする可逆性感熱記録部材である。
<17> 情報記憶部と可逆表示部とが一体化された前記<16>に記載の可逆性感熱記録部材である。
<18> 情報記憶部が、磁気感熱層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、ホログラム、RF−IDタグカード、ディスク、ディスクカートリッジ及びテープカセットから選択される前記<16>から<17>のいずれかに記載の可逆性感熱記録部材である。
<19> 可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する画像消去手段との少なくともいずれかを有してなり、該可逆性感熱記録媒体が前記<1>から<14>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする画像処理装置である。
<20> 画像形成手段が、サーマルヘッド及びレーザー照射装置のいずれかである前記<19>に記載の画像処理装置である。
<21> 画像消去手段が、サーマルヘッド、セラミックヒータ、ヒートロール、ホットスタンプ、ヒートブロック及びレーザー照射装置から選択されるいずれかである前記<19>から<20>のいずれかに記載の画像処理装置である。
<22> 可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する画像形成工程、及び、可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、該可逆性感熱記録媒体が前記<1>から<14>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする画像処理方法である。
<23> 画像の形成が、サーマルヘッド及びレーザー照射装置のいずれかを用いて行われる前記<22>に記載の画像処理方法である。
<24> 画像の消去が、サーマルヘッド、セラミックヒータ、ヒートロール、ホットスタンプ、ヒートブロック及びレーザー照射装置から選択されるいずれかを用いて行われる前記<22>から<23>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<25> サーマルヘッドを用いて画像を消去しつつ新しい画像を形成する工程を含む前記<22>から<24>のいずれかに記載の画像処理方法である。
【0014】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体と、該支持体上に少なくとも感熱層と、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層とをこの順に有してなり、前記感熱層が電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を含有し、温度に依存して色調が可逆的に変化すると共に、前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層がキシレンジイソシアネート化合物を含有する。該本発明の可逆性感熱記録媒体においては、前記感熱層上に設けられる紫外線吸収構造を持つポリマー含有層がキシレンジイソシアネート化合物を含有しているので、可逆性感熱記録媒体の作製時における黄ばみの発生を抑え、光に長時間曝されても地肌変色を抑えることができ、繰り返し消去印字を行っても発消色特性の低下が防止され、耐久性に優れた可逆性感熱記録媒体を提供できる。
【0015】
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、本発明の前記可逆性感熱記録媒体における画像を形成する面と反対側の面に、接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有する。該可逆性感熱記録ラベルでは、可逆性感熱記録媒体の作製時における黄ばみの発生を抑え、光に長時間曝されても地肌変色を抑えることができ、繰り返し消去印字を行っても発消色特性の低下が防止され、耐久性に優れている。また、前記接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有するので、前記感熱層を直接塗布することが困難な磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等の厚手の基板、カードサイズよりも大きなシートサイズの容器、ステッカー、大画面、など広範な用途に適用できる。
【0016】
本発明の可逆性感熱記録部材は、情報記憶部と可逆表示部とを有し、該可逆表示部が本発明の前記可逆性感熱記録媒体である。該可逆性感熱記録部材は、前記可逆表示部において、前記感熱層上に設けられる紫外線吸収構造を持つポリマー含有層がキシレンジイソシアネート化合物を含有するので、可逆性感熱記録媒体の作製時における黄ばみの発生を抑え、光に長時間曝されても地肌変色を抑えることができ、繰り返し消去印字を行っても発消色特性の低下が防止され、印字部分の耐久性を著しく向上させることができる。そして、コントラスト、視認性等に優れた画像が形成される。一方、前記情報記憶部では磁気感熱層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、RF−IDタグカード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット、ホログラム等の種類に応じた記録方式により、文字情報、画像情報、音楽情報、映像情報等の所望の諸情報が記録され消去される。
【0017】
本発明の画像処理装置は、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱し、画像を形成する画像形成手段及び画像の消去を行う画像消去手段の少なくともいずれかを有する。該画像処理装置においては、前記画像形成手段が、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する。一方、前記画像消去手段が、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する。本発明では、前記可逆性感熱記録媒体として前記本発明の可逆性感熱記録媒体を用いているので、可逆性感熱記録媒体の作製時における黄ばみの発生を抑え、光に長時間曝されても地肌変色を抑えることができ、繰り返し消去印字を行っても発消色特性の低下が防止され、実用性の高い書き換え記録を行うことができる。
【0018】
本発明の画像処理方法は、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して画像の形成及び画像の消去の少なくともいずれかを行う。該画像処理方法においては、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する。一方、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する。本発明では、前記可逆性感熱記録媒体として前記本発明の可逆性感熱記録媒体を用いているので、可逆性感熱記録媒体の作製時における黄ばみの発生を抑え、光に長時間曝されても地肌変色を抑えることができ、繰り返し消去印字を行っても発消色特性の低下が防止され、地肌汚れ、ひび割れ、及び打痕が生じることなく、高発色濃度の画像を形成できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、可逆性感熱記録媒体の作製時における黄ばみの発生を抑え、光に長時間曝されても地肌変色を抑えることができ、繰り返し消去印字を行っても発消色特性の低下が防止され、耐久性に優れた可逆性感熱記録媒体、並びに、該可逆性感熱記録媒体を用いた可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(可逆性感熱記録媒体)
本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体と、該支持体上に少なくとも感熱層と、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層とをこの順に有してなり、アンダー層、保護層、中間層、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
【0021】
<紫外線吸収構造を持つポリマー含有層>
前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層は、前記感熱層上に設けられる。
ここで、前記紫外線吸収構造を持つポリマーとは、紫外線吸収構造(例えば、紫外線吸収性基)を分子中に有するポリマーを意味する。該紫外線吸収構造としては、例えば、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造などが挙げられ、これらの中でも、耐光性が良好である点でベゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造が特に好ましい。
【0022】
前記紫外線吸収構造を持つポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとスチレンからなる共重合体、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールとメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルとメタクリル酸メチルからなる共重合体、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとメタクリル酸メチルとメタクリル酸t−ブチルからなる共重合体、2,2,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノンとメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルとスチレンとメタクリル酸メチルとメタクリル酸プロピルからなる共重合体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記紫外線吸収構造を持つポリマーを含有層は、硬化剤としてキシレンジイソシアネート化合物(XDI)を含有し、架橋されていることが好ましい。従って該紫外線吸収構造を持つポリマーとしては、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基等のような、硬化剤と反応する基を有しているものを用いることが好ましく、特に水酸基を有しているポリマーが好ましい。該紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の強度を向上させるためには該ポリマーの水酸基価が10以上のポリマーを用いると十分な塗膜強度が得られ、より好ましくは30以上であり、更に好ましくは40以上である。十分な塗膜強度を紫外線吸収構造を持つポリマー含有層に持たせることで繰り返し消去印字を行っても記録媒体の劣化が抑えられることになる。
【0024】
前記硬化剤としては樹脂と架橋反応するものが広く用いられ、中でもイソシアネート系硬化剤が一般的に用いられている。しかし、紫外線吸収構造を持つポリマーを架橋させて紫外線吸収構造を持つポリマー含有層として機能させ、長時間光に曝されても可逆性感熱記録媒体の地肌着色が少なく、繰り返し消去印字を行っても記録媒体の劣化を低減するためにはキシレンジイソシアネート化合物(XDI)を用いることが非常に効果的である。本発明においては、前記キシレンジイソシアネート化合物を硬化剤として添加することにより、前記紫外線吸収構造を持つポリマーをキシレンジイソシアネート化合物により架橋して紫外線吸収構造を持つポリマー含有層を形成し、可逆性感熱記録媒体の作製時の黄ばみを抑え、光に長時間曝されても地肌の変色が抑えられ、更に繰り返し消去印字に対する耐久性が向上する。
【0025】
前記紫外線吸収構造を持つポリマーは、側鎖に紫外線吸収構造を持つ基とNCOと架橋する水酸基等の基を有しており、従来は無黄変タイプである脂肪族系のイソシアネートを用いて架橋していたが、紫外線吸収ポリマーの側鎖にある紫外線吸収機能を持つ基が立体障害となり架橋の進行具合が非常に遅かった。そこで、キシレンジイソシアネート化合物(XDI)は、芳香族環のメチレン基を介してNCOが結合しているため難黄変でありながら反応性が高い。この反応性の高さから紫外線吸収ポリマーとの架橋において側鎖の紫外線吸収基の障害を受けずに架橋できる。また、キシレンジイソシアネート化合物(XDI)は、無黄変で紫外線吸収ポリマーとの架橋が速く進むことから、感熱層上に設けた紫外線吸収ポリマー層に感熱層からの染料などの物質が溶け込んだりキュア中にマイグレーションすることがなくなる。
該キシレンジイソシアネート化合物としては、市販品を用いることができ、例えば、下記構造式で表される三井武田ケミカル株式会社製のD−110N、などが挙げられる。
【化3】

【0026】
前記キシレンジイソシアネート化合物の前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層における添加量は、記録媒体の耐久性を満足するレベルの量を加えればよく、ポリマーの水酸基価に対してキシリレンジイソシアネートの活性基の数がモル比で0.3〜2.0が好ましく、0.8〜1.5がより好ましい。前記モル比が0.3未満であると、十分な膜強度が得られず繰り返し消去印字を行うことで記録媒体の劣化が早まることがあり、2.0よりも大きくなると硬化剤の活性基が残留して記録層の発消色特性の障害となることがある。
【0027】
更に、架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。該架橋促進剤としては、例えば、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン等の3級アミン類、有機スズ化合物等の金属化合物、などが挙げられる。
【0028】
前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層には、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
前記紫外線吸収剤としては、無機系又は有機系化合物のいずれでも用いることができる。
前記無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径100nm以下の金属系化合物が好適であり、例えば、酸化亜鉛、酸化インジウム、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニア、酸化スズ、酸化セリウム、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ビスマス、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化トリウム、酸化ハフニウム、酸化モリブデン、鉄フェライト、ニッケルフェライト、コバルトフェライト、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムのような金属酸化物、又はこれらの複合酸化物;硫化亜鉛、硫酸バリウムのような金属硫化物又は硫酸化合物;チタンカーバイド、シリコンカーバイド、モリブデンカーバイド、タングステンカーバイド、タンタルカーバイドのような金属炭化物;窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化チタニウム、窒化ニオブ、窒化ガリウムのような金属窒化物、などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは金属酸化物系超微粒子であり、更に好ましいのはシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムである。これらは、表面をシリコーン、ワックス、有機シラン、又はシリカ等で処理することもできる。
【0029】
前記有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ケイ皮酸系化合物が挙げられ、具体例としては、例えば、フェニルサリチレート、モノグリコールサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2′−ヒドロキシ−3′、5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、レゾルシノールモノベンゾエート、2′−エチルヘキシル−2−シアノ−3−フェニルシンナメート、などが挙げられる。
これらの中でも、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物を用いることが好ましく、ベンゾトリアゾール系化合物が特に好ましい。
【0030】
前記紫外線吸収剤の前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層における添加量は、固形分で0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。前記添加量が0.1質量%未満であると、紫外線吸収剤を添加した効果を得ることができないことがあり、30質量%を超えると、紫外線吸収剤が紫外線吸収構造を持つポリマー含有層からマイグレーションし表面に析出したり、感熱層へ入り込み発消色特性を阻害する問題が発生することがある。
【0031】
前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層は、前記感熱層の上部に設けることが好ましい。また、感熱層と紫外線吸収構造を持つポリマー含有層との間にバリアー層、光熱変換層等のその他の層を設けてもよい。また、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の上部にサーマルヘッドや消去ヘッドやヒートロールなどとのマッチング性を向上させるために保護層を設けてもよく、更に印刷層、OP層を設けてもよい。なお、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層が最表面層となる場合には保護層としての機能を持たせるために後述する保護層で用いるフィラーや滑剤を添加することが好ましい。
【0032】
前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前紫外線吸収構造を持つポリマー、前記キシレンジイソシアネート化合物、前記その他の添加物を、溶媒と一緒に混合してなる混合物を均一に混合分散させて調製した塗液を支持体上の感熱層上に塗布し、乾燥させて、必要に応じて架橋する方法、などが挙げられる。
【0033】
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール、ケトン、アミド、エーテル類、グリコール類、グリコールエーテル類、グリコールエステルアセテート類、エステル類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、スルホキシド類、ピロリドン類、等が挙げられる。具体的には、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、などが挙げられる。これらの中でも、水、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが特に好適である。
なお、前記塗液の調製は、例えば、ペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、三本ロールミル、ケディーミル、サンドミル、ダイノミル、コロイドミル、等の公知の塗液分散装置を用いて行うことができる。
【0034】
前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ロール状で連続して、又はシート状に裁断した支持体を搬送し、該支持体上に、例えば、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法で塗布する。そして、塗布したシートは、引き続き、送風乾燥機の中に搬送され、30〜150℃にて10秒〜10分間乾燥される。
この場合特に、無欠陥塗工を行うためには、塗布液は事前や送液中に通常の濾紙の他、ステンレスメッシュ、ナイロンメッシュ等の網、又はコットンフィルター、ファイバーカーボンフィルター等の天然又は合成繊維系フィルター、メンブランフィルター等の膜濾過を通したり、超音波を1分〜200時間、好ましくは10分〜80時間掛けることによって異物を除いたり、泡の混入、分散物の凝集を避けることができる。
なお、前記塗布は、一般環境下で行っても良いが、クラス10,000以下のクリーンルーム内で行うと更に好ましい。
【0035】
前記乾燥には、フィルター及び除湿装置を通した空気又は窒素等の不活性ガスを熱し、これを表面から、裏面から、又は双方から吹き付けるのが好ましい。これらの中でも、コットンフィルターやメンブランフィルターによる濾過や超音波照射が好ましい。上記のような装置を適宜選択して使用することにより塗布層の均一性が向上する。
【0036】
前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層は、塗布乾燥した後、更に必要に応じてキュアを行うことが好ましい。該キュアによって、架橋を促進することができる。恒温槽等を用いて比較的高温で短時間でもよく、また、比較的低温で長時間かけて熱処理してもよい。前記キュア条件は10〜130℃程度の温度条件で1分〜200時間程度加温することが好ましく、15〜100℃の温度条件で2分〜180時間程度加温することがより好ましい。
前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の製造では、生産性を重視するので、架橋が充分完了するまで時間をかけるのは困難である。したがって、40〜100℃の温度条件で2分〜120時間程度加温することが好ましい。前記キュアは温風を塗布面に直接当ててもよく、ロール状、あるいはシート状に裁断してまとめた状態で恒温槽に静置しても良い。温度をかけたくない場合は減圧乾燥法でも良い。温度を段階的に上昇又は下降させるか、あるいは上層塗布後あるいは単純に時間を分割するなど複数回に分けることによって、物性を制御したり生産工程を効率化することもできる。
特にロール状にてキュアを行う場合には支持体と塗工した層がブロッキングしない条件にする必要がある。架橋を行う場合には高温で乾燥し、高温で長時間キュアすることが望ましいが、ロール状でキュアして架橋を進める場合にはなるべく低温で且つ短時間でキュアが進むことが望ましい。
【0037】
前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の膜厚は、0.5〜5μmが好ましく、1〜4μmがより好ましい。前記膜厚が0.5μmよりも薄くなると、紫外線吸収効果がほとんど得ることができず、5μmよりも厚くなると、紫外線吸収効果は高くなるが得られる可逆性感熱記録媒体の感度が低下したり、脆くなってしまうことがある。
【0038】
<感熱層>
前記感熱層は、温度に依存して色調が可逆的に変化し、電子供与性呈色化合物、電子受容性化合物、及び片側にアルキル基を持つ硫黄原子を含むフェノール系酸化防止剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0039】
前記感熱層における光照射による画像印字部の消去時の消し残りは、光照射で空気中の酸素が酸化剤となり感熱層中の電子供与性呈色化合物を劣化させることにより、不可逆性物質へと変わることで消去不良が発生することが原因の一つである。そこで、前記感熱層中に片側にアルキル基を持つ硫黄原子を含むフェノール系酸化防止剤を添加することが好ましい。
ここで、前記アルキル基を片側に持つ硫黄原子を含むフェノール系酸化防止剤とは、硫黄を含むフェノール系酸化防止剤において、硫黄原子の両側における置換基のうち片方がアルキル基であり、他方はアルキル基以外の置換基であることを意味する。なお、硫黄原子を2つ以上含む場合も同様である。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、などが挙げられる。
【0040】
したがって、硫黄含有フェノール系酸化防止剤であってもアルキル基を片側に持つ硫黄原子を含まないものは本発明の酸化防止剤には該当しない。即ち、下記構造式Aで表される4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール、下記構造式Bで表される2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕は、アルキル基を片側に持つ硫黄原子を含むフェノール系酸化防止剤ではなく、本発明の酸化防止剤には含まれない。
【0041】
【化4】

【化5】

【0042】
前記アルキル基を片側に持つ硫黄原子を含むフェノール系酸化防止剤としては、例えば、下記構造式Cで表される2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、下記構造式Dで表される2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、などが挙げられる。
【0043】
【化6】

【化7】

【0044】
前記アルキル基を片側に持つ硫黄原子を含むフェノール系酸化防止剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名「IRGANOX1520L」、「IRGANOX565」などが好適に挙げられる。
【0045】
前記片側にアルキル基を持つ硫黄原子を含むフェノール系酸化防止剤の前記感熱層における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、固形分で1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、酸化防止剤による電子供与性呈色化合物の劣化を防ぐ効果が得られないことがあり、10質量%を超えると、発消色特性を阻害し発色濃度が低下してしまうことがある。
【0046】
前記感熱層は、電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を含有してなり、温度に依存して色調が可逆的に変化する。
前記感熱層における「温度に依存して色調が可逆的に変化する」とは、温度変化によって目に見える変化を可逆的に起こす現象を意味し、加熱温度及び加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得ることを意味する。この場合、該目に見える変化は色の状態の変化と形状の変化に分けられるが、本発明においては、主に色の状態の変化を起こす材料を使用する。色の状態の変化には、透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化があり、実際の可逆性感熱記録材料はこれらの変化の組合せで表示を行っている。より具体的には、熱により透明度や色調が可逆的に変化するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常温より高い第一の特定温度で第一の色の状態となり、第一の特定温度よりも高い第二の特定温度で加熱し、その後、冷却することにより第二の色の状態となるもの、等が挙げられる。これらの中でも、第一の特定温度と第二の特定温度で色の状態が変化するものが特に好ましい。
【0047】
これらの例としては、第一の特定温度で透明状態となり、第二の特定温度で白濁状態となるもの(特開昭55−154198号公報)、第二の特定温度で発色し、第一の特定温度で消色するもの(特開平4−224996号公報、特開平4−247985号公報、特開平4−267190号公報など)、第一の特定温度で白濁状態となり、第二の特定温度で透明状態となるもの(特開平3−169590号公報など)、第一の特定温度で黒、赤、青等に発色し、第二の特定温度で消色するもの(特開平2−188293号公報、特開平2−188294号公報)等が挙げられる。
【0048】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、加熱温度及び加熱後の冷却速度の少なくともいずれかにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得るものである。ここで、発色剤と顕色剤からなる組成物の基本的な発色及び消色現象について説明する。図1は、この可逆性感熱記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。はじめ消色状態(A)にある記録媒体を昇温していくと、溶融し始める温度T1で発色が起こり溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固まった発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、はじめと同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)をふたたび昇温していくと発色温度より低い温度T2で消色が起き(DからE)、ここから降温するとはじめと同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組み合わせにより変化するので目的に合わせて選択できる。また溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0049】
前記可逆性感熱記録媒体においては、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は顕色剤と発色剤が分子どうしで接触反応しうる状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。図1に示した溶融状態から徐冷による消色及び発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。
【0050】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、発色記録の形成はサーマルヘッドなどにより一旦溶融混合する温度に加熱し、急冷すればよい。また、消色は加熱状態から徐冷する方法と発色温度よりやや低い温度に加熱する方法の二つである。しかし、これらは両者が相分離したり、少なくとも一方が結晶化する温度に一時的に保持するという意味で同じである。発色状態の形成で急冷するのは、この相分離温度又は結晶化温度に保持しないようにするためである。ここにおける急冷と徐冷はひとつの組成物に対して相対的なものであり、その境界は発色剤と顕色剤の組合せにより変化する。
【0051】
−電子受容性化合物−
前記電子受容性化合物(顕色剤)としては、熱を因子として発消色を可逆的に行うことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)電子供与性呈色化合物(発色剤)を発色させる顕色能を有する構造(例えば、フェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基など)、及び(ii)分子間の凝集力を制御する構造(例えば、長鎖炭化水素基が連結した構造)、から選択される構造を分子内に1つ以上有する化合物が好適である。なお、連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していてもよく、また、長鎖炭化水素基中にも同様の連結基及び芳香族基の少なくともいずれかが含まれていてもよい。これらの中でも特に、下記構造式(1)で表わされるフェノール化合物が好適である。
【0052】
【化8】

ただし、前記構造式(1)中、nは、1〜3の整数を表す。Xは、窒素原子又は酸素原子を含む2価の有機基を表す。R及びRは、脂肪族炭化水素基を表し、これらは置換基で更に置換されていてもよい。
【0053】
は、置換基により置換されていてもよい炭素数2以上の脂肪族炭化水素基を表し、特に炭素数5以上が好ましい。
は、置換基により置換されていてもよい炭素数は2〜24の脂肪族炭化水素基を表し、炭素数は8〜18が好ましい。
前記脂肪族炭化水素基は、直鎖でも分枝していてもよく、不飽和結合を有していてもよい。炭化水素基に結合している置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等がある。R及びRの炭素の和が7以下では発色の安定性や消色性が低下するため、炭素数は8以上が好ましく、11以上がより好ましい。
前記Rとしては、以下の示すものが好適に挙げられる。
【0054】
【化9】

ただし、前記式中のq、q’、q”、q’”は、それぞれ前記R及びRの炭素数を満足する整数を表す。これらの中でも、−(CH−が特に好ましい。
【0055】
また、前記Rとしては、以下に示すものが好適に挙げられる。
【化10】

ただし、前記式中のq、q’、q”、q’”は、それぞれ前記R、Rの炭素数を満足する整数を表す。これらの中でも、−(CH−CHが特に好ましい。
【0056】
Xは、窒素原子又は酸素原子を含む2価の有機基を示し、例えば、下記構造式で表される基を少なくとも1個以上有する2価の基を表す。
【化11】

【0057】
前記2価の有機基としては、下記構造式で表される基が好適に挙げられる。
【化12】

【0058】
これらの中でも、特に好ましい基としては下記構造式で表されるものが挙げられる。
【化13】

【0059】
前記構造式(1)で表されるフェノール化合物としては、例えば、下記構造式(2)及び下記構造式(3)のいずれかが好適に挙げられる。
【化14】

ただし、前記構造式(2)及び(3)中、mは、5〜11を表す。nは、8〜22を表す。
【0060】
前記構造式(2)及び構造式(3)で表されるフェノール化合物の具体的な例を下記に示す。
【0061】
【化15】

【0062】
【化16】

【0063】
−電子供与性呈色化合物−
前記電子供与性呈色化合物(発色剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロイコ染料などが好適に挙げられる。
【0064】
前記ロイコ染料としては、フルオラン化合物、アザフタリド化合物が好適であり、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−N−n−アミル−N−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、などが挙げられる。
【0065】
また、前記電子供与性呈色化合物(発色剤)としては、前記のフルオラン化合物、アザフタリド化合物の他に、従来公知のロイコ染料を使用することができ、例えば、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロロアニリノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−トルイジノ)フルオラン、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、異なる色調に発色する層を積層することによってマルチカラー、フルカラーにすることもできる。
【0066】
前記電子供与性呈色化合物(発色剤)と前記電子受容性化合物(顕色剤)の混合割合は、使用する化合物の組み合わせにより適切な範囲が異なり一概には規定できないが、モル比で発色剤1に対し顕色剤0.1〜20が好ましく、0.2〜10がより好ましい。この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色状態の濃度が低下して問題となることがある。また、発色剤と顕色剤とはマイクロカプセル中に内包させて用いることもできる。
【0067】
−消色促進剤−
本発明においては、前記顕色剤と、消色促進剤として分子中にアミド基、ウレタン基、及び尿素基を少なくとも一つ有する化合物を併用することにより、消去状態を形成する過程において消色促進剤と顕色剤の間に分子間相互作用が誘起され、消去速度を格段に速くすることが可能である。
【0068】
前記消色促進剤としては、分子中にアミド基、ウレタン基、及び尿素基から選択される少なくとも1つを有する化合物であればよく、これらの中でも、下記構造式(4)〜(10)で表される化合物が特に好ましい。
【0069】
−NHCO−R ・・・構造式(4)
−NHCO−R−CONH−R ・・・構造式(5)
−CONH−R−NHCO−R ・・・構造式(6)
−NHCOO−R ・・・構造式(7)
−NHCOO−R−OCONH−R ・・・構造式(8)
−OCONH−R−NHCOO−R ・・・構造式(9)
【化17】

ただし、前記構造式(4)〜(10)中、R、R、及びRは、炭素数7〜22の直鎖アルキル基、分枝アルキル基、不飽和アルキル基を表す。Rは、炭素数1〜10の2価の官能基を表す。Rは、炭素数4〜10の3価の官能基を表す。
【0070】
、R、及びRとしては、例えば、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基、ベヘニル基、オレイル基、等が挙げられる。
としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘプタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、−COC−基、−COC−基、−COCOC−基、等が挙げられる。
としては、下記構造式で表されるものが好適に挙げられる。
【0071】
【化18】

【0072】
前記構造式(4)〜前記構造式(10)で表される化合物の具体的な例としては、以下の式(1)〜式(81)で表される化合物が好適に挙げられる。
【0073】
(1)C1123CONHC1225
(2)C1531CONHC1633
(3)C1735CONHC1837
(4)C1735CONHC1835
(5)C2141CONHC1837
(6)C1531CONHC1837
(7)C1735CONHCHNHCOC1735
(8)C1123CONHCHNHCOC1123
(9)C15CONHCNHCOC1735
(10)C19CONHCNHCOC19
(11)C1123CONHCNHCOC1123
(12)C1735CONHCNHCOC1735
(13)(CHCHC1435CONHCNHCOC1435(CH
(14)C2143CONHCNHCOC2143
(15)C1735CONHC12NHCOC1735
(16)C2143CONHC12NHCOC2143
(17)C1733CONHCHNHCOC1733
(18)C1733CONHCNHCOC1733
(19)C2141CONHCNHCOC2141
(20)C1733CONHC12NHCOC1733
(21)C17NHCOCCONHC1837
(22)C1021NHCOCCONHC1021
(23)C1225NHCOCCONHC1225
(24)C1837NHCOCCONHC1837
(25)C2143NHCOCCONHC2143
(26)C1837NHCOC12CONHC1837
(27)C1835NHCOCCONHC1835
(28)C1835NHCOC16CONHC1835
(29)C1225OCONHC1837
(30)C1327OCONHC1837
(31)C1633OCONHC1837
(32)C1837OCONHC1837
(33)C2143OCONHC1837、
(34)C1225OCONHC1633
(35)C1327OCONHC1633
(36)C1633OCONHC1633
(37)C1837OCONHC1633
(38)C2143OCONHC1633
(39)C1225OCONHC1429
(40)C1327OCONHC1429
(41)C1633OCONHC1429
(42)C1837OCONHC1429
(43)C2245OCONHC1429
(44)C1225OCONHC1237
(45)C1327OCONHC1237
(46)C1633OCONHC1237
(47)C1837OCONHC1237
(48)C2143OCONHC1237
(49)C2245OCONHC1837
(50)C1837NHCOOCOCONHC1837
(51)C1837NHCOOCOCONHC1837
(52)C1837NHCOOCOCONHC1837
(53)C1837NHCOOC12OCONHC1837
(54)C1837NHCOOC16OCONHC1837
(55)C1837NHCOOCOCOCONHC1837
(56)C1837NHCOOCOCOCONHC1837
(57)C1837NHCOOC1224OCONHC1837
(58)C1837NHCOOCOCOCOCONHC1837
(59)C1633NHCOOCOCONHC1633
(60)C1633NHCOOCOCONHC1633
(61)C1633NHCOOCOCONHC1633
(62)C1633NHCOOC12OCONHC1633
(63)C1633NHCOOC16OCONHC1633
(64)C1837OCOHNC12NHCOOC1837
(65)C1633OCOHNC12NHCOOC1633
(66)C1429OCOHNC12NHCOOC1429
(67)C1225OCOHNC12NHCOOC1225
(68)C1021OCOHNC12NHCOOC1021
(69)C817OCOHNC12NHCOOC17
【化19】

【0074】
前記消色促進剤の添加量は、前記顕色剤100質量部に対し0.1〜300質量部が好ましく、3〜100質量部がより好ましい。前記添加量が0.1質量部未満であると、消色促進剤の添加効果が発揮されないことがあり、300質量部を超えると、発色濃度が低下することがある。
【0075】
前記感熱層には、上記成分以外にも、バインダー樹脂、更に必要に応じて感熱層の塗布特性や発色消色特性を改善したり、制御するための各種添加剤を用いることができる。該添加剤としては、例えば、架橋剤、架橋促進剤、フィラー、滑剤、界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤、可塑剤などが挙げられる。
【0076】
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン樹脂、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、アクリル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類、などが挙げられる。
これらのバインダー樹脂の役割は、組成物の各材料が記録消去の熱印加によって片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにある。したがって、前記バインダー樹脂としては、耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。また、前記バインダー樹脂としては、架橋剤を添加し、例えば、熱、紫外線、電子線などで架橋可能な硬化性樹脂を用いることが好ましい(以下、「架橋状態にある樹脂」と称することもある)。前記感熱層に硬化性樹脂を含有することによって、感熱層の耐熱性及び塗膜強度が向上し、可逆性感熱記録媒体の繰り返し耐久性が向上する。
【0077】
前記硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、又は架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂が好ましい。
また、前記硬化性樹脂の水酸基価としては、70KOHmg/g以上が好ましく、90KOHmg/g以上がより好ましく、耐久性、塗膜表面硬度及びワレ抵抗性を向上させることができる。前記水酸基価の大小は、架橋密度に影響するため、塗膜の耐化学薬品性、物性などを左右する。
【0078】
前記アクリルポリオール樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単量体と、カルボン酸基を有する不飽和単量体、水酸基を有する不飽和単量体及びその他のエチレン性不飽和単量体から選択される少なくともいずれかの単量体とを用い、公知の溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等に従って合成することができる。前記水酸基を有する不飽和単量体としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、2−ヒドロキシブチルモノアクリレート(2−HBA)、1,4―ヒドロキシブチルモノアクリレート(1−HBA)などが挙げられ、これらの中でも、特に第1級水酸基をもつモノマーを使用した方が、塗膜のワレ抵抗性や耐久性がよいことから、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好適である。
【0079】
前記架橋剤としては、従来公知のイソシアネート系化合物、アミン類、フェノール類、エポキシ化合物等が挙げられる。これらの中でも、イソシアネート系化合物が特に好適である。該イソシアネート系化合物としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソシアネート単量体のウレタン変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、ブロックドイソシアネートなどの変性体などが挙げられる。また、前記変性体を形成するイソシアネート単量体としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート化合物(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート化合物(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。
【0080】
前記架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。該架橋促進剤としては、例えば、1,4−ジアザ−ビシクロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミン類、有機すず化合物などの金属化合物などが挙げられる。また、架橋剤は添加した全量が架橋反応をしていても、していなくてもよい。即ち、未反応架橋剤が存在していてもよい。この種の架橋反応は経時的に進行するため、未反応の架橋剤が存在していることは架橋反応が全く進行していないことを示すのではなく、未反応の架橋剤が検出されたとしても、架橋状態にある樹脂が存在しないということにはならない。また、ポリマーが架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別する方法として、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸すことによって区別することができる。即ち、非架橋状態にあるポリマーは、溶媒中に該ポリマーが溶け出して溶質中には残らなくなるため、溶質のポリマー構造の有無を分析すればよい。そこで、溶質中にポリマー構造の存在が確認できなければ、該ポリマーは非架橋状態にあり、架橋状態のポリマーと区別することができる。具体的には、以下のゲル分率で表わすことができる。
【0081】
前記ゲル分率とは、溶媒中で樹脂溶質が相互作用により独立運動性を喪失して集合し固化した状態(ゲル)を生じるときの該ゲルの生成比率を意味する。前記ゲル分率は30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましく、80%以上が特に好ましい。前記ゲル分率が小さいと繰り返し耐久性が低下するので、ゲル分率を向上させるには、樹脂中に熱、紫外線照射(UV)、電子線照射(EB)等によって硬化する硬化性樹脂を混合するか、樹脂自身を架橋すればよい。
【0082】
ここで、前記ゲル分率の測定方法としては、支持体より膜を剥離してその膜の初期質量を測定し、その後、膜を400メッシュ金網に挾んで、架橋前の樹脂が可溶な溶剤中に24時間浸してから真空乾燥して、乾燥後の質量を測定することができる。
【0083】
前記ゲル分率は、下記数式1により求めることができる。
<数式1>
ゲル分率(%)=[乾燥後質量(g)/初期質量(g)]×100
この計算によりゲル分率を算出するときに、感熱層中の樹脂成分以外の有機低分子物質粒子等の質量を除いて計算を行う。この際、予め有機低分子物質の質量が分からないときには、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等の断面観察により、単位面積あたりに占める面積比率と樹脂と有機低分子物質のそれぞれの比重により質量比率を求めて、有機低分子物質の質量を算出して、ゲル分率値を算出すればよい。
【0084】
また、前記測定の際に、支持体上に感熱層が設けられており、該感熱層上に保護層等の他の層が積層されている場合や、支持体と感熱層の間に他の層がある場合には、まず、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等の断面観察により感熱層及びその他の層の膜厚を測定しておき、該その他の層の膜厚分の表面を削り、感熱層表面を露出させると共に、感熱層を剥離して前記測定方法と同様にゲル分率の測定を行えばよい。
【0085】
なお、前記ゲル分率の測定方法において、前記感熱層上層に紫外線硬化樹脂等からなる保護層がある場合には、該保護層が混入するのを極力防ぐために、保護層分の膜厚分を削ると共に、感熱層表面も少し削ってゲル分率値への影響を防ぐ必要がある。
【0086】
前記フィラーとしては、無機フィラーと有機フィラーに大別することができる。
前記無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、アルミナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、シリカ、タルク、マイカ、等が挙げられる。
前記有機フィラーとしては、例えば、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/ビニルベンゼン共重合体などのスチレン系樹脂;塩化ビニリデンアクリル、アクリルウレタン、エチレンアクリルなどのアクリル系樹脂;ポリエチレン樹脂;ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド系樹脂;ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。複数の場合、無機フィラーと有機フィラーの組み合わせ方について特に限定はされない。また、形状としては球状、粒状、板状、針状等が挙げられる。
前記フィラーの含有量は、体積分率で通常5〜50体積%である。
【0087】
前記滑剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エステルワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス類;硬化ひまし油等の植物性ワックス類;牛脂硬化油等の動物性ワックス類;ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸類;ソルビタンの脂肪酸エステルなどの高級脂肪酸エステル類;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド等のアミド類などが挙げられる。
前記滑剤の前記感熱層における含有量は、体積分率で0.1〜95%が好ましく、1〜75%がより好ましい。
【0088】
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、などが挙げられる。
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リン酸エステル、脂肪酸エステル、フタル酸エステル、二塩基酸エステル、グリコール、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、などが挙げられる。
【0089】
前記感熱層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)前記バインダー樹脂、及び前記電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を溶媒中に溶解乃至分散させた感熱層塗布液を支持体上に塗布し、該溶媒を蒸発させてシート状等にするのと同時に又はその後に架橋する方法、(2)前記バインダー樹脂のみを溶解した溶媒に前記電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を分散させた感熱層塗布液を支持体上に塗布し、該溶媒を蒸発させてシート状等にすると同時に又はその後に架橋する方法、(3)溶媒を使用せず、前記バインダー樹脂と前記電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物とを加熱溶融して互いに混合し、この溶融混合物をシート状等に成形して冷却した後に架橋する方法、などが好適に挙げられる。なお、これらにおいて、前記支持体を用いることなく、シート状の可逆性感熱記録媒体として成形することもできる。
【0090】
前記(1)又は(2)において用いる溶剤としては、前記バインダー樹脂、前記電子供与性呈色化合物及び前記電子受容性化合物の種類等によって異なり一概には規定することはできないが、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼン、などが挙げられる。
なお、前記電子受容性化合物は、前記感熱層中では粒子状に分散して存在している。
【0091】
前記感熱層塗布液には、コーティング材料用としての高度な性能を発現させる目的で、各種顔料、消泡剤、顔料、分散剤、スリップ剤、防腐剤、架橋剤、可塑剤等を添加してもよい。
前記感熱層の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ロール状で連続して、又はシート状に裁断した支持体を搬送し、該支持体上に、例えば、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法で塗布する。
前記感熱層塗布液の乾燥条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温〜140℃の温度で10分間〜1時間程度である。
【0092】
前記感熱層における前記樹脂を硬化させるには、加熱、紫外線照射、電子線照射などにより行うことができる。
前記紫外線照射は、特に制限はなく、公知の紫外線照射装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置等を備えたものが挙げられる。
前記光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどが挙げられる。該光源の波長は、前記可逆性感熱記録媒体用組成物に添加されている光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に応じて適宜選択することができる。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度等を決めればよい。
【0093】
前記電子線照射は、公知の電子線照射装置を用いて行うことができ、該電子線照射装置は、走査型(スキャンビーム)又は非走査型(エリアビーム)の2種に大別でき、その条件としては照射面積、照射線量等に応じて選択することができる。また、電子線照射条件は、樹脂を架橋するために必要な線量に応じて、電子流、照射幅、搬送スピードを考慮し、下記数式2から決定することができる。
<数式2>
D=(△E/△R)×η×I/(W×V)
ただし、前記数式2中、Dは、必要線量(Mrad)を表す。△E/△Rは、平均エネルギー損失を表す。ηは、効率を表す。Iは、電子流(mA)を表す。Wは、照射幅(cm)を表す。Vは、搬送速度(cm/s)を表す。
【0094】
なお、工業的には、前記数式2を簡略化し、下記数式3を用いることが好ましい。
<数式3>
D×V=K×(I/W)
ただし、前記数式3中、D、V、K、I、及びWは上記と同じ意味を表す。
ここで、装置定格は、Mrad・m/minで表され、電子流定格は、20〜500mA程度が選択される。
【0095】
前記感熱層の膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1〜20μmが好ましく、3〜15μmがより好ましい。
前記感熱層の厚みが、薄すぎると発色濃度が低くなるため、画像のコントラストが低くなることがあり、一方、厚すぎると層内での熱分布が大きくなり、発色温度に達せず発色しない部分が発生し、目的とする発色濃度が得られなくなることがある。
【0096】
<支持体>
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記可逆性感熱記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
【0097】
前記支持体の材料としては、例えば、無機材料、有機材料、などが挙げられる。前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、SiO、金属等が挙げられる。前記有機材料としては、例えば、紙、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、画像鮮明性の高いシートを得るために、支持体単独の曇り度(JIS K7105で規定される曇り度、ヘーズ)が10%以下であるポリエチレンテレフタレート、PET−Gフィルムが特に好ましい。
【0098】
前記支持体は、塗布層の接着性を向上させる目的で、コロナ放電処理、酸化反応処理(クロム酸等)、エッチング処理、易接着処理、帯電防止処理、等により表面改質することが好ましい。また、前記支持体には、酸化チタン等の白色顔料などを添加して白色にすることが好ましい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10〜2,000μmが好ましく、20〜1,000μmがより好ましい。
【0099】
前記支持体は、感熱層と同一面及び反対面の少なくともいずれかに磁気感熱層を有していてもよい。また、本発明の可逆性感熱記録媒体は粘着層等を介して、他の媒体へ貼り付けることもできる。
【0100】
<アンダー層>
前記アンダー層は、印加した熱を有効に利用し高感度化するため、又は支持体と感熱層の接着性の改善や支持体への感熱層材料の浸透防止を目的として、前記感熱層と前記支持体の間に設けられ、少なくとも中空粒子を含有してなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0101】
前記中空粒子としては、中空部が粒子内に一つ存在する単一中空粒子、中空部が粒子内に多数存在する多中空粒子、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記中空粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱可塑性樹脂などが好適に挙げられる。前記空隙粒子は、適宜製造したものであってもよいし、市販品であってもよい。該市販品としては、例えば、マイクロスフェアーR−300(松本油脂株式会社製)、ローペイクHP1055、ローペイクHP433J(いずれも日本ゼオン株式会社製)、SX866(JSR株式会社製)、などが挙げられる。
前記中空粒子の前記アンダー層における添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10〜80質量%が好ましい。
【0102】
前記バインダー樹脂としては、前記感熱層、又は前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層と同様の樹脂を用いることができる。
また、前記アンダー層には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルクなどの無機フィラー及び各種有機フィラーの少なくともいずれかを含有させることができる。
なお、前記アンダー層には、その他、滑剤、界面活性剤、分散剤などを含有させることもできる。
前記アンダーの膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましく、12〜24μmが更に好ましい。
【0103】
<保護層>
本発明においては、前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層上に少なくとも1層の保護層を設けることが好ましい。
前記保護層は、バインダー樹脂、及び紫外線吸収剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、熱や紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられる。これらの中でも熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂が好ましく、更に好ましくは紫外線硬化樹脂である。
【0104】
前記熱硬化性樹脂を用いる場合には、イソシアネート系化合物などを架橋剤とした前記感熱層で用いたバインダー樹脂、架橋剤と同様なものを好適に用いることができる。これらの中でも、特に印字時にサーマルヘッドを使用し、消去時にヒートロールやイレーズバー、サーマルヘッドを用いる場合には熱と応力に対しての耐久性が要求されるので紫外線硬化樹脂が好適である。
【0105】
前記紫外線硬化性樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系のオリゴマーや各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、エチレン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。これらの中でも、4官能以上の多官能性のモノマー又はオリゴマーが特に好ましい。これらのモノマー又はオリゴマーを2種類以上混合することで樹脂膜の硬さ、収縮度、柔軟性、塗膜強度等を適宜調節することができる。
前記多官能性モノマー又はオリゴマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド3モル付加物のトリアクリレート、グリセリルプロポキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトール・ポリアクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のポリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロピントリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールのテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールのペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート付加ウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、DPHAのε−カプロラクトン付加物、等が挙げられる。
また、前記モノマー又はオリゴマーを紫外線を用いて硬化させるためには、光重合開始剤、光重合促進剤を用いることが好ましい。
前記光重合開始剤としては、ラジカル反応型とイオン反応型に大別でき、更に、ラジカル反応型は光開裂型と水素引抜き型とに分けられる。
前記光重合開始剤としては、例えば、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテルベンゾインメチルエーテル、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシシカルボニル)オキシム、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンベンジル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、塩素置換ベンゾフェノン等が挙げられ、単独で又は2種以上混合して使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0106】
前記光重合促進剤としては、ベンゾフェノン系やチオキサントン系などの水素引抜きタイプの光重合開始剤に対し、硬化速度を向上させる効果を有するものが好ましく、例えば、芳香族系の第3級アミンや脂肪族アミン系、などが挙げられる。具体的には、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどが挙げられる。これら光重合促進剤は単独で又は2種以上混合して使用される。
前記光重合開始剤又は光重合促進剤の添加量は、前記保護層の樹脂成分の全質量に対し0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
前記紫外線硬化樹脂を硬化させるための紫外線照射は、公知の紫外線照射装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置等を備えたものが挙げられる。
前記光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、カリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどが挙げられる。該光源の波長は、前記熱可逆性感熱記録媒体用組成物に添加されている光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に応じて適宜選択することができる。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度等を決めればよい。
【0107】
前記保護層に紫外線硬化樹脂を用いた場合には、感熱層における発色剤としてロイコ染料を用いている場合には記録媒体の着色変化に注意が必要であった。しかし、本発明では、紫外線吸収構造を持つポリマーをキシレンジイソシアネート化合物で架橋した紫外線吸収構造を持つポリマー含有層(紫外線吸収層)を設けたことで、記録媒体の着色変化が大きく抑えられる。これは、従来の紫外線吸収層では、硬化までの時間がかかるため、キュアによる熱と時間により感熱層中の染料が紫外線吸収層内に混ざり込み更に表面までマイグレーションしていた。このため、保護層を塗布すると保護層塗布時に染料が入り込んだり、又は紫外線吸収層表面に染料が残るため紫外線照射時に染料が褐色に変色し、記録媒体が黄ばんでしまうという問題があった。しかし、紫外線吸収ポリマーとキシレンジイソシアネート化合物で架橋した紫外線吸収構造を持つポリマー含有層を設けたことにより、キュア時の架橋速度が速く、染料が紫外線吸収層表面に現れる前に十分硬化するため、保護層を塗布しても記録媒体の着色が大幅に抑えられる。
【0108】
また、搬送性を良好にするため、重合性基を持つシリコーン、シリコーングラフトをした高分子、ワックス、ステアリン酸亜鉛等の離型剤、シリコーンオイル等の滑剤を添加することができる。これらの添加量としては、保護層の樹脂成分全重量に対して0.01〜50質量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜40質量%である。添加量はわずかでも効果を発現するが、0.01質量%未満では添加による効果を得ることができなくなり、50質量%を越えると下層との接着性に問題が生じる場合がある。
また、前記保護層中には、有機紫外線吸収剤を含有しても良く、その含有量は保護層の樹脂成分全質量に対して0.5〜10質量%の範囲が好ましい。
【0109】
更に、ヘッドマッチング性、搬送性を向上させるために無機フィラーや有機フィラーを用いてもよい。無機フィラーとしては例えば、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、タルク、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機顔料の粒径としては、例えば、0.01〜10.0μmが好ましく、0.05〜8.0μmがより好ましい。前記無機顔料の添加量としては、前記耐熱性樹脂1質量部に対し、0.001〜2質量部が好ましく、0.005〜1質量部がより好ましい。
前記有機フィラーとしては、例えば、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、等が挙げられる。
【0110】
更に、前記保護層には、添加剤として従来公知の界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤等を含有していてもよい。
【0111】
前記保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、保護層の塗工方法、乾燥方法等は前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層及び前記感熱層で用いられた公知の方法を用いることができる。紫外線硬化樹脂を用いた場合には塗布して乾燥を行った紫外線照射による硬化工程が必要となるが、紫外線照射装置、光源、照射条件については前記の通りである。
【0112】
前記保護層の膜厚は、0.1〜20μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましく、1.5〜6μmが更に好ましい。前記膜厚が0.1μm未満であると、可逆性感熱記録媒体の保護層としての機能を十分に果たすことができず、熱による繰り返し履歴によりすぐに劣化し、繰り返し使用することができなくなってしまうことがあり、20μmを超えると、保護層の下層にある感熱層に十分な熱を伝えることができなくなり、熱による画像の印字と消去が十分にできなくなってしまうことがある。
【0113】
<中間層>
前記中間層は、前記感熱層と前記保護層の接着性向上、保護層の塗布による感熱層の変質防止、保護層中の添加剤の感熱層への移行を防止する目的で、両者の間に中間層を設けることが好ましく、これによって発色画像の保存性が改善できる。
【0114】
前記中間層は、バインダー樹脂及び紫外線吸収剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる
前記樹脂としては前記感熱層で用いられた樹脂を用いることができ、これらの中でも、硬化性樹脂を添加することにより、可逆性感熱記録媒体の耐熱性が更に向上し、より良好な繰り返し耐久性が得られる。
【0115】
前記紫外線吸収剤としては、前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層と同様の紫外線吸収剤を用いることができ、有機化合物系では、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系、ケイ皮酸系の紫外線吸収剤が挙げられ、これらの中でもベンゾトリアゾール系が好適である。
前記紫外線吸収剤の含有量は、前記中間層の樹脂成分100質量部に対し0.5〜80質量部の範囲が好ましい。
【0116】
なお、前記中間層には、紫外線吸収性又は遮蔽性の無機化合物、添加剤として従来公知の界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤等を含有していてもよい。
【0117】
前記中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、中間層の塗工方法、中間層の乾燥・硬化方法等は、前記感熱層、保護層で用いられた公知の方法を用いることができる。
前記中間層の膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜20μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
【0118】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、特に制限はなく、その用途に応じた形に加工することができ、例えば、カード状、シート状、ラベル状、ロール状などに加工される。
前記カード状に加工されたものについては、プリペイドカードやポイントカード、更にはクレジットカードなどへの応用が挙げられ、A4サイズなど一般文書サイズに加工されたシート状のものは、印字/消去装置を用いることにより、試し印字はもちろんのこと、カードサイズよりも大きなシートサイズでは印字する範囲が広くなるため一般文書や工程管理用の指示書、回覧文書や会議資料など一時出力用途などに広く用いることができる。
更に、ロール状に加工されたものは、印字/消去部を有した装置に組み込まれるなどして、表示板、掲示板又は電子黒板に用いることができる。このような表示装置は、塵、ゴミなどの発生がないため、クリーンルームなどに好ましく用いることができる。
【0119】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、非可逆性感熱層を併用しても構わない。この場合、それぞれの感熱層の発色色調は同じでも異なってもよい。また、本発明の可逆性感熱記録媒体の感熱層と同一面の一部もしくは全面、又は反対面の一部分に、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷(印刷可能部分)、又はインクジェットプリンター、熱転写プリンター、昇華型プリンターなどによって任意の絵柄などの不可逆な情報を形成することができる着色層を設けてもよい。更に着色層上の一部分もしくは全面に硬化性樹脂を主成分とするOPニス層を設けてもよい。前記任意の絵柄としては、文字、模様、図柄、写真、赤外線で検知する情報、などが挙げられる。また、単純に構成する各層のいずれかに染料や顔料を添加して着色することもできる。
更に、本発明の可逆性感熱記録媒体には、セキュリティのためにホログラムを設けることもできる。また、意匠性付与のためにレリーフ状、インタリヨ状に凹凸を付けて人物像や社章、シンボルマーク等のデザインを設けることもできる。
【0120】
前記可逆性感熱記録媒体に対する画像の形成及び消去は、公知の画像処理装置を用いて行うことができ、後述する本発明の画像処理装置を用いて行うのが好ましい。
【0121】
(可逆性感熱記録部材)
本発明の可逆性感熱記録部材は、前記可逆表示可能な感熱層と情報記憶部とを、同一のカードに設け(一体化させ)、該情報記憶部の記憶情報の一部を感熱層に表示することにより、カード所有者等は特別な装置がなくてもカードを見るだけで情報を確認することができ、利便性に優れる。また、情報記憶部の内容を書き換えた時には可逆性感熱性記録部の表示を書き換えることで、可逆性感熱記録媒体を繰り返し何度も使用することができる。
【0122】
前記情報記憶部と可逆表示部を有する部材としては、次の2つのものに大別できる。
(1)情報記憶部を有する部材の一部を可逆性感熱記録媒体の支持体として、感熱層を直接形成したもの。
(2)情報記憶部を有する部材に、別途形成された、支持体上に感熱層を有する可逆性感熱記録媒体の支持体面を接着したもの。
これら(1)及び(2)の場合、情報記憶部と可逆表示部のそれぞれの機能が発揮できるよう設定されることが必要であり、そうであれば情報記憶部の設定位置は、可逆性感熱記録媒体における支持体の感熱層を設けた面と反対側の面に設けることも、支持体と感熱層との間でも、あるいは感熱層上の一部に設けることもできる。
【0123】
前記情報記憶部としては、特に制限はないが、例えば、磁気感熱層、磁気ストライプ、ICメモリー、光メモリー、RF−IDタグ、ホログラムなどが好ましく用いられる。特にカードサイズよりも大きなサイズのシート媒体では、ICメモリー、RF−IDタグが好ましく用いられる。なお、前記RF−IDタグはICチップと、該ICチップに接続したアンテナとから構成されている。
【0124】
前記磁気感熱層としては、通常用いられる酸化鉄、バリウムフェライト等と塩化ビニル系やウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂等を用い、支持体上に塗工形成されるか、又は蒸着・スパッタリング等の方法により樹脂を用いず形成される。前記磁気感熱層は支持体における該感熱層とは反対側の面に設けてもよいし、支持体と該感熱層との間、該感熱層上の一部に設けてもよい。また、表示に用いる可逆感熱材料をバーコード、2次元コード等により記憶部に用いてもよい。これらの中でも、磁気記録、ICが更に好ましい。
前記ホログラムとしては、書き換え可能なものが好ましく、例えば、高分子アゾベンゼン液晶フィルムに干渉光を書き込んだ書き換え可能なホログラムなどが挙げられる。
【0125】
前記情報記憶部を有する部材としては、一般的には、カード、ディスク、ディスクカートリッジ、又はテープカセットがある。具体的には、ICカードや光カード等の厚手カード、フレキシブルディスク、光磁気記録ディスク(MD)やDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスク、CD−R等の追記型ディスク、相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)、ビデオテープカセット等が挙げられる。
また、可逆表示部と情報記憶部の双方を有する部材としては、例えば、カードの場合で説明すると、情報記憶部に記憶された情報の一部を感熱層に表示することによって、カード所有者等は、特別な装置がなくてもカードを見るのみで情報を確認することができて、可逆性感熱記録媒体を適用しないカードに比べてその利便性が非常に向上することになる。
前記情報記憶部は、必要な情報を記憶できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁気記録、接触型IC、非接触型IC、又は光メモリが有用である。
前記磁気感熱層は、通常用いられる酸化鉄、バリウムフェライト等のような金属化合物及び塩ビ系、ウレタン系及びナイロン系のような樹脂等を用いて支持体に塗工形成するか、又は樹脂を用いず前記の金属化合物を用いて蒸着、スパッタリング等の方法により形成される。また、表示に用いる可逆性感熱記録媒体における感熱層をバーコード、2次元コード等のようなやり方で記憶部として用いることもできる。
【0126】
ここで、更に具体的には、以下の本発明の可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法などに特に好適に使用することができる。なお、本発明において、可逆性感熱記録媒体表面とは、感熱層側表面のことを意味し、保護層に限ったものでなく、印刷層表面、OP層表面など印字消去の際サーマルヘッドに接触する全て又は一部の面を意味している。
【0127】
本発明の可逆性感熱記録部材は、前記可逆表示可能な感熱層と情報記憶部とを有し、該情報記憶部の好適なものとしてRF−IDタグが挙げられる。図2は、RF−IDタグ85の概略図を示す。このRF−IDタグ85はICチップ81と、該ICチップに接続したアンテナ82とから構成されている。前記ICチップ81は記憶部、電源調整部、送信部、受信部の4つに区分されており、それぞれが働きを分担して通信を行っている。通信はRF−IDタグとリーダライタのアンテナが電波により通信してデータのやり取りを行う。具体的には、RF−IDのアンテナがリーダライタからの電波を受信し共振作用により電磁誘導等により起電力が発生する。これによりRF−IDタグ内のICチップが起動し、チップ内の情報を信号化し、その後、RF−IDタグから信号を発信する。この情報をリーダライタ側のアンテナで受信してデータ処理装置で認識し、ソフト側でデータ処理を行う。
前記RF−IDタグはラベル状又はカード状に加工されており、図3に示すように、RF−IDタグ85を本発明の前記可逆性感熱記録媒体に貼り付けることができる。RF−IDタグ85は感熱層面又はバック層面に貼り付けることができるが、バック層面に貼ることが望ましい。RF−IDタグと可逆性感熱記録媒体を貼り合わせるためには公知の接着剤又は粘着剤を使用することができる。
【0128】
図4は、可逆性感熱記録媒体を産業用リライタブルシート(可逆性感熱記録部材)90に適用した例を示し、図4(A)に示すように、感熱層側には書き換え可能な表示部86が設けられており、裏面(バック層)87には、図4(B)に示すように、RF―IDタグを貼り付けなくてもよく、図3に示すようにRF−IDタグ85を貼り付けてもよく、利便性が向上する点で図3のRF−IDタグを有するものが好ましい。なお、図4(A)中88はバーコード印字部である。
図5に、本発明の前記可逆性感熱記録媒体(リライタブルシート)とRF−IDタグを組み合わせた産業用リライタブルシートの使い方の例を示す。まず、納品された原材料に対して物品名と数量などの情報をシートとRF−IDタグに記録し、通い箱等に添付し検品される。次工程では納入された原材料に加工指示が与えられ、リライタブルシートとRF−IDタグに情報が記録され加工指示書となり加工工程へと進む。次いで、加工された商品には発注指示書として発注情報が記録されたリライタブルシートとRF−IDタグが添付され、商品出荷後にリライタブルシートを回収し出荷情報を読み取り、再度納品書として使われる。
【0129】
(可逆性感熱記録ラベル)
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、本発明の前記可逆性感熱記録媒体における画像を形成する面と反対側の面(支持体の上に前記感熱層を有する場合には、該支持体における前記感熱層を形成した面の反対側の面)に接着剤層及び粘着剤層の少なくともいずれかを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の層を有してなる。なお、支持体として熱融着性のものが用いられた可逆性感熱記録媒体の場合には、支持体の感熱層を形成する面と反対の面に接着剤層又は粘着剤層は必ずしも必要ではない。
【0130】
前記接着剤層乃至前記粘着剤層の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、シート状、フィルム状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記感熱層よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
前記接着剤層乃至前記粘着剤層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、ホットメルトタイプでもよく、また、剥離紙を用いてもよいし、無剥離紙タイプでもよい。
【0131】
前記可逆性感熱記録ラベルは、通常、カード等の基体シートに貼着されて用いられる。なお、前記基体シートに貼り付ける前記可逆性感熱記録ラベルは、前記基体シートの全面であっても、一部であってもよく、また前記基体シートの片面もしくは両面に設けられていてもよく、適宜選択される。
【0132】
前記該基材シートとしては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記可逆性感熱記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができ、例えば、塩素含有重合体、ポリエステル樹脂、生分解性プラスチック樹脂、などの材料からなるシートやこれらの積層体が用いられる。
前記塩素含有重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、あるいはテレフタール酸、イソフタール酸などの酸成分と、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのアルコール成分との縮合エステル樹脂(例えば、PETG:イーストマンケミカル社の商標)などが挙げられる。
前記生分解性プラスチック樹脂としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂、デンプンと変性ポリビニルアルコール等とからなる天然高分子系樹脂、β−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸とからなる微生物産生の樹脂等が挙げられる。
更に、ポリアセテート樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂シート又は合成紙等が挙げられ、これら材料を適宜組み合わせてもよく、これら材料を積層したものでもよい。
【0133】
前記積層体としては、例えば、厚さ250μmの白色ポリ塩化ビニル樹脂シートを2枚積層したコアシートと、このコアシートの表裏面に厚さ100μmの透明ポリ塩化ビニル樹脂シートをオーバーシートとして積層したもの、また、例えば、厚さ250μmの白色PETGシートを2枚積層したコアシートと、このコアシートの表裏面に厚さ100μmの透明PETGをオーバーシートとして積層したものなどが挙げられる。
【0134】
前記基体シートと前記可逆性感熱記録ラベルを貼り付ける方法としては、例えば、図6に示されるように、可逆性感熱記録ラベル3と基体シート4とを対向するように重ね合わせたものを2枚の鏡面板2で挟み込んだ後、熱板1で熱を加えながらプレスをかけて行われる。
更に、図7に示されるように、コアシート6とオーバーシート7とを重ね合わせてなる基体シート4を用いる以外は、図6と同様にして行うこともできる。
熱圧着は、公知手段、例えば熱板1が設けられた熱プレス機を用いて、通常、5〜70kgf/cm、好ましくは10〜50kgf/cmの加圧下に、80〜170℃、好ましくは90〜150℃の範囲で行われる。
前記基体シートとして、例えば、透明ポリ塩化ビニルシート/白色ポリ塩化ビニルシート/白色ポリ塩化ビニルシート/透明ポリ塩化ビニルシートのような積層体を用いた場合には、前記熱圧着時の加熱温度は、130〜150℃程度が好ましい。また透明PETG/白色PETG/白色PETG/透明PETGのような積層体を用いた場合の加熱温度は、100〜130℃程度が好ましい。
【0135】
また、可逆性感熱記録ラベルと基体シートとを貼り付ける別の方法として、予め熱接着した後に熱貼り合わせすることもできる。前記熱接着はゴムロール等を押し当てて行われ、その後熱貼り合わせて熱接着が終了する。
前記熱接着の条件は、特に制限はなく、用いる基体シートによって最適な条件が決定されるが、通常、90〜130℃の温度で1時間以下、1〜50分間保持した状態で行うことができる。
【0136】
本発明においては、例えば、フィラー等によって表面を荒らした保護層を有する可逆性感熱記録ラベルをカード等の基体シート上に熱圧着した場合には、熱圧着により保護層表面のフィラーが保護層中又は下層に押し込まれて表面光沢が上がって、フィラーの効果がなくなって繰返し耐久性が低下してしまったり、更に表面光沢が上がった状態で印字・消去を繰り返すと、印字・消去を行った部分の光沢が低下して、非印字・消去部との光沢差が光沢ムラとして認識されるようになってしまうが、本発明の可逆性感熱記録媒体の保護層を設けることにより、このような問題も解決できる。この場合、前記可逆性感熱記録媒体の表面粗さが0.15μm以下であると更に光沢感が得られるので好ましい。
【0137】
前記可逆性感熱記録ラベルが前記接着剤層及び前記粘着剤層の少なくともいずれかを有していると、前記感熱層の塗布が困難な磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等の厚手基板の全面又は一部に、貼付可能であり、磁気に記憶された情報の一部を表示可能とすることができる。
【0138】
前記可逆性感熱記録記録ラベルは、ICカードや光カード等の厚手カード、フレキシブルディスク、光磁気記録ディスク(MD)やDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスク、CD−R等の追記型ディスク、相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)、ビデオテープカセット上の表示ラベルの代替品とすることができる。
【0139】
図8は、本発明の可逆性感熱記録ラベル10をMDのディスクカートリッジ70上に貼付した例を示す。この場合、MDへの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更するなどの用途への応用が可能である。なお、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスクの場合には、直接ディスクに本発明の前記可逆性感熱記録ラベルを貼付してもよい。
図9は、本発明の可逆性感熱記録ラベル10をCD−RW71上に貼付した例を示す。この場合、CD−RWの変わりにCR−R等の追記型ディスク上に、前記可逆性感熱記録ラベルを貼付して、そのCD−Rに追記した記憶情報の一部を書き換え表示することが可能である。
【0140】
図10は、AgInSbTe系の相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)上に、本発明の前記可逆性感熱記録ラベル10を貼付した例である。このCD−RWの基本的な構成は、案内溝を有する基体111上に、第1誘電体層110、光情報記憶層109、第2誘電体層108、反射放熱層107、中間層106がこの順に設けられ、基体111の裏面にハードコート層112を有する。このCD−RWの中間層106上に、本発明の可逆性感熱記録ラベル10が貼付されている。可逆性感熱記録ラベル10は、接着剤層及び粘着剤のいずれかの層105、バック層104、支持体103、感熱層102、及び保護層101をこの順に有してなる。なお、前記誘電体層は必ずしも前記光情報記憶層の両側に設ける必要はないが、前記基体がポリカーボネート樹脂のように耐熱性が低い材料の場合には、第一誘電体層110を設けることが望ましい。
【0141】
図11は、本発明の可逆性感熱記録ラベル10をビデオカセット72上に貼付した例を示す。この場合、ビデオテープカセットへの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更するなどの用途への応用が可能である。
【0142】
前記可逆性感熱記録機能を、カード、ディスク、ディスクカートリッジ、及びテープカセットのいずれかの上に設ける方法としては、前記可逆性感熱記録ラベルを貼る方法以外に、それらの上に前記感熱層を直接塗布する方法、予め別の支持体上に前記感熱層を形成しておき、前記カード、前記ディスク、前記ディスクカートリッジ及び前記テープカセット上に該感熱層を転写する方法、などが挙げられる。前記感熱層を転写する方法の場合には、前記感熱層上にホットメルトタイプなどの前記接着層や前記粘着層を設けておいてもよい。前記カード、前記ディスク、前記ディスクカートリッジ及びテープカセットなどのように剛直なものの上に前記可逆性感熱記録ラベルを貼付したり、前記感熱層を設ける場合には、サーマルヘッドとの接触性を向上させて画像を均一に形成するために弾力があり、クッションとなる層、又はシートを剛直な基体とラベル若しくは前記感熱層の間に設けることが好ましい。
【0143】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、例えば、図12に示すように、支持体11上に、可逆性感熱層13、中間層14、及び保護層15を設け、支持体11の裏面にバック層16を設けてなるフィルム、図13に示すように、支持体11上に、可逆性感熱層13、及び保護層15を設け、支持体11の裏面にバック層16を設けてなるフィルム、などの態様をとることができる。
これら各態様のフィルム(可逆性感熱記録媒体)は、例えば、図5に示すRF−IDタグ85を設けたシート状の各種産業用リライタブルシートなどに好適に使用することができる。また、例えば、図14(A)に示すように、印刷表示部23を有する可逆性感熱記録カード21に加工した形態として使用することができる。なお、図14(B)に示すように、カードの裏面側は磁気記録部と、該磁気記録部の上にバック層24が形成されている。
【0144】
また、図15(A)に示す可逆性感熱記録部材(カード)は、支持体上に、可逆性感熱層、保護層を設けてなるフィルムをカード状に加工し、ICチップを納める窪み部25を形成すると共に、カード状に加工したものである。図15(A)では、カード状の可逆性感熱記録媒体に書き換え記録部26がラベル加工されるとともに、カードの裏面側には所定箇所にICチップ埋め込み用窪み部25が形成されている。この窪み部25に、図15(B)に示すようにウエハ231が組込まれて固定される。ウエハ231は、ウエハ基板232上に、集積回路233が設けられると共に、集積回路233に電気的に接続されている複数の接触端子234がウエハ基板232に設けられる。この接触端子234はウエハ基板232の裏面側に露出しており、専用のプリンタ(リーダライタ)が、接触端子234に電気的に接触して所定の情報を読み出したり書き換えたりできるように構成されている。
【0145】
次に、前記可逆性感熱記録カードについて図16を参照しつつ、その機能について説明する。図16(A)は、集積回路233を示す概略の構成ブロック図である。また、図16(B)は、RAMの記憶データの一例を示す構成ブロック図である。集積回路233は、例えば、LSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるCPU235と、CPU235の動作プログラムデータを格納するROM236と、必要なデータの書き込み及び読み出しができるRAM237を含む。更に、集積回路233は、入力信号を受けてCPU235に入力データを与えるとともにCPU235からの出力信号を受けて外部に出力する入出力インターフェース238と、図示を省略しているが、パワーオンリセット回路、クロック発生回路、パルス分周回路(割込パルス発生回路)、アドレスデコード回路とを含む。
CPU235は、パルス分周回路から定期的に与えられる割込パルスに応じて、割込制御ルーチンの動作を実行することが可能となる。また、アドレスデコード回路は、CPU235からのアドレスデータをデコードし、ROM236、RAM237、入出力インターフェース238にそれぞれ信号を与える。入出力インターフェース238には、複数(図16中では8個)の接触端子234が接続されており、前記専用プリンタ(リーダライタ)からの所定データがこの接触端子234から入出力インターフェース238を介してCPU235に入力される。CPU235は、入力信号に応答して、かつROM236内に格納されたプログラムデータに従って、各動作を行い、かつ所定のデータ、信号を入出力インターフェース238を介してシートリーダライタに出力する。
【0146】
図16(B)に示すように、RAM237は、複数の記憶領域239a〜239gを含む。例えば、領域239aにはカードNoが記憶されている。例えば、記憶領域239bには、シート管理者の氏名、所属、電話番号等のIDデータが記憶されている。例えば、記憶領域239cには、使用者の使用しうる残存余白又は取り扱いに関する情報が記憶されている。例えば、記憶領域239d、記憶領域239e、記憶領域239f及び記憶領域239gには、前管理責任者、前使用者に関する情報、などが記憶される。
【0147】
本発明の前記可逆性感熱記録ラベル及び前記可逆性感熱記録部材の少なくともいずれかは、特に制限はなく、各種画像処理方法及び画像処理装置により、画像処理することができるが、後述する本発明の画像処理装置を用いて好適に画像の形成及び消去を行うことができる。
【0148】
(画像処理方法及び画像処理装置)
本発明の画像処理装置は、画像形成手段及び画像消去手段の少なくともいずれかを有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、搬送手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像処理方法は、前記本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して画像の形成及び消去の少なくともいずれかを行い、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、搬送工程、制御工程等を有してなる。
【0149】
本発明の画像処理方法は、本発明の画像処理装置により好適に実施することができ、前記本発明の可逆性感熱記録媒体を加熱して画像の形成及び画像の消去の少なくともいずれかは前記画像形成手段及び画像消去手段の少なくともいずれかにより行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0150】
−画像形成手段及び画像消去手段−
前記画像形成手段は、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して画像を形成する手段である。また、前記画像消去手段は、前記本発明の可逆性感熱記録媒体を加熱して画像を消去する手段である。
前記画像形成手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サーマルヘッド、レーザー照射装置などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記画像消去手段としては、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して画像を消去する手段であり、例えば、ホットスタンプ、セラミックヒータ、ヒートローラ、ヒートブロック、熱風等や、サーマルヘッド、レーザー照射装置、等が挙げられる。これらの中では、セラミックヒータが好適である。前記セラミックヒータを用いることにより、装置が小型化でき、かつ安定した消去状態が得られ、コントラストのよい画像が得られる。前記セラミックヒータの設定温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、110℃以上が好ましく、112℃以上がより好ましく、115℃以上が特に好ましい。
【0151】
前記サーマルヘッドを用いることにより、更に小型化が可能となり、また、消費電力を低減することが可能であり、バッテリー駆動のハンディタイプの装置も可能となる。また、前記画像の記録及び消去を兼ねて一つのサーマルヘッドとすることができ、この場合は、更に小型化が可能となる。一つのサーマルヘッドで記録と消去とを行う場合、一旦前画像を全部消去した後、改めて新しい画像を記録してもよいし、画像毎にエネルギーを変えて一度に前の画像を消去し、新しい画像を記録していくオーバーライト方式も可能である。該オーバーライト方式においては、前記画像の記録及び消去を合わせた時間が少なくなり、記録のスピードアップにつながる。
前記感熱層と情報記憶部とを有する可逆性感熱記録部材(カード)を用いる場合、上記装置には、情報記憶部の記憶を読み取る手段と書き換える手段なども含まれる。
【0152】
前記搬送手段は、前記可逆性感熱記録媒体を順次搬送する機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、搬送ベルト、搬送ローラ、搬送ベルトと搬送ローラとの組合せ、などが挙げられる。
【0153】
前記制御手段は、前記各工程を制御する機能を有する限り特に制限はなく、各工程の制御を行うことができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0154】
本発明の画像処理装置により本発明の画像処理方法を実施する一の態様について、図17〜図19を参照しながら説明する。図17に示すように、画像処理装置100は、ヒートローラ96と、サーマルヘッド95、及び搬送ローラを備えている。この画像処理装置においては、ヒートローラ96にて感熱層に記録された画像を加熱消去する。次いで、処理された新しい情報がサーマルヘッド95により感熱層に記録される。なお、図17中、97は給紙トレイ、98はリライタブルシート(可逆性感熱記録媒体)を表す。
【0155】
また、可逆性感熱記録媒体がRF−IDタグを有している場合には、図18及び図19に示すように、更に、RF−ID読み取り装置99を備えている。この場合、図19に示すような並列タイプの画像処理装置の態様もある。
図18及び図19に示すように、この画像処理装置100においては、最初、可逆性感熱記録媒体に貼り付けられたRF−IDタグの情報をRF―IDリーダライタ99により読み取り、新しい情報をRF−IDに入力した後に、ヒートローラ96にて感熱層に記録された画像を加熱消去する。更に、RF−IDリーダライタによって読み取り書き換えた情報を基にして、処理された新しい情報をサーマルヘッドにより感熱層に記録される。
なお、RF−IDリーダライタ以外ではバーコード読み取り装置や、磁気ヘッド等を用いてもよい。バーコード読み取り装置の場合には可逆感熱層に既に記録されているバーコード情報を読み取った後、ヒートローラにより可逆感熱層に記録されたバーコード及び可視化情報を消去し、バーコードから読み取った情報を基に処理された新しい情報がバーコード及び可視化情報としてサーマルヘッドにより可逆感熱層に記録される。
【0156】
図17又は図18に示す画像処理装置については、可逆性感熱記録媒体をスタックしておくトレイがあり、ここから媒体がフリクションパッド方式等の給紙方法により1枚ずつピックアップされる。搬送された媒体は搬送ローラにより搬送され、RF―IDリーダライタ部分へと送られ、ここでデータの読み書きが行われる。更に、搬送ローラにより消去ユニットであるヒートローラ部へ可逆性感熱記録媒体が搬送され、媒体に記録されている可視化情報が消去される。その後、サーマルヘッド部へと搬送され、可逆性感熱記録媒体に新しい情報を記録する。その後、搬送ローラにより可逆性感熱記録媒体が搬送され、上部の排紙部より媒体が搬出される。
ここで、ヒートローラの設定温度は可逆性感熱記録媒体の消去温度にマッチングする温度設定にすることが望ましい。例えば、ヒートローラ表面温度は、100℃以上190℃以下が好ましく、110℃以上180℃以下がより好ましく、115℃以上170℃以下が更に好ましい。
【0157】
更に、図20を参照しながら説明する。図20(A)に示す画像処理装置は、前記加熱処理手段としてのサーマルヘッド53と、セラミックヒータ38と、磁気ヘッド34と、搬送ローラ31、40及び47とを備えている。
図20(A)に示すように、この画像処理装置においては、最初、可逆性感熱記録媒体の磁気感熱層に記憶された情報を磁気ヘッドで読み取る。次に、セラミックヒータで可逆性感熱層に記録された画像を加熱消去する。更に、磁気ヘッドで読み取られた情報をもとにして、処理された新たな情報がサーマルヘッドにより、可逆性感熱層に記録される。その後、磁気感熱層の情報も新たな情報に書き換えられる。
図20(A)に示す画像処理装置においては、感熱層の反対側に磁気感熱層を設けた可逆性感熱記録媒体5は往復の矢印で図示されている搬送路に沿って搬送され、或いは搬送路に沿って装置内を逆方向に搬送される。可逆性感熱記録媒体5は、磁気ヘッド34及び搬送ローラ31間で磁気感熱層に磁気記録乃至消去され、セラミックヒータ38及び搬送ローラ40間で画像消去のため加熱処理され、サーマルヘッド53及び領域搬送ローラ47間で画像形成される。その後、装置外に搬出される。先に説明したように、セラミックヒータ38の設定温度は110℃以上が好ましく、112℃以上が更に好ましく、115℃以上が特に好ましい。ただし、磁気記録の書き換えはセラミックヒータによる画像消去の前であってもよいし、後であってもよい。また、所望により、セラミックヒータ38及び搬送ローラ40間を通過後、又はサーマルヘッド53及び搬送ローラ47間を通過後、搬送路を逆方向に搬送される。セラミックヒータ38よる再度の熱処理、サーマルヘッド53による再度の印字処理を施すことができる。
【0158】
図20(B)の画像処理装置においては、出入口30から挿入された可逆性感熱記録媒体5は、一点破線で図示されている搬送路50に沿って進行し、或いは搬送路50に沿って装置内を逆方向に進行する。出入口30から挿入された可逆性感熱記録媒体5は、搬送ローラ31及びガイドローラ32により記録装置内を搬送される。搬送路50の所定位置に到達するとセンサ33により制御手段34cを介してその存在を認識され、磁気ヘッド34とプラテンローラ35との間で磁気感熱層に磁気記録或いは記録消去され、ガイドローラ36及び搬送ローラ37間を通過し、ガイドローラ39及び搬送ローラ40間を通過し、センサ43により、セラミックヒータ制御手段38cを介してその存在を認識して作動するセラミックヒータ38とプラテンローラ44との間で画像消去のため加熱処理され、搬送ローラ45、46及び47により搬送路50内を搬送され、所定位置にてセンサ51により、サーマルヘッド制御手段53cを介してその存在を認識して作動するサーマルヘッド53及びプラテンローラ52間で画像形成され、搬送路56aから搬送ローラ59及びガイドローラ60により出口61を経て装置外に搬出される。ここで、セラミックヒータ38の設定温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上述したように、110℃以上が好ましく、112℃以上が更に好ましく、115℃以上が特に好ましい。
【0159】
また、所望により、搬送路切換手段55aを切り替えることにより搬送路56bに導き、可逆性感熱記録媒体5の押圧により入力するリミットスイッチ57aの作動により逆方向に動く搬送ベルト58によって、可逆性感熱記録媒体5を再度、サーマルヘッド53及びプラテンローラ52間で熱処理した後、搬送路切換手段55bを切り替えることにより通じる搬送路49b、リミットスイッチ57b、搬送ベルト48を介して順方向に搬送し、搬送路56aから搬送ローラ59及びガイドローラ60により出口61を経て装置外に搬出することができる。更に、このような分岐した搬送路及び搬送切換手段は、セラミックヒータ38の両側に設けることもできる。その場合には、センサ43aを、プラテンローラ44と搬送ローラ45との間に設けることが望ましい。
【0160】
本発明の画像処理装置及び画像処理方法によると、前記可逆性感熱記録媒体として前記本発明の可逆性感熱記録媒体を用いているので、光に長時間曝されても地肌変色を抑えることができ、繰り返し消去印字を行っても発消色特性の低下が防止され、高発色濃度の画像を形成できる。
【実施例】
【0161】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0162】
(実施例1)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−感熱層の作製−
下記構造式で表される顕色剤4質量部、ジアルキル尿素(日本化成株式会社製、ハクリーンSB)1質量部、アクリルポリオール樹脂40質量%溶液(三菱レイヨン株式会社製、LR327)10質量部、及びメチルエチルケトン(MEK)80質量部からなる組成物をボールミルを用いて平均粒径が約1.0μmになるように粉砕分散した。
【0163】
<顕色剤>
【化20】

【0164】
得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6ジブチルアミノフルオラン1質量部、及びイソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)3質量部を加え、よく撹拌して感熱層塗布液を調製した。
【0165】
次に、得られた感熱層塗布液を、厚さ125μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン社製、テトロンフィルムU2L98W)上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、100℃にて2分間乾燥した後、60℃にて24時間加熱して、膜厚11μmの感熱層を形成した。
【0166】
−紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の作製−
紫外線吸収性ポリマー40質量%溶液(日本触媒株式会社製、UV−A11、水酸基価:39)20質量部、下記構造式で表されるキシレンジイソシアネート化合物(三井武田ケミカル株式会社製、D−110N)2質量部、及びメチルエチルケトン(MEK)18質量部からなる組成物をボールミルにて十分に撹拌して紫外線吸収構造を持つポリマー含有層塗布液を調製した。
【化21】

【0167】
次に、得られた紫外線吸収構造を持つポリマー含有層塗布液を前記感熱層上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、90℃にて1分間乾燥した後、50℃にて24時間加熱して、膜厚2μmの紫外線吸収構造を持つポリマー含有層を形成した。
【0168】
−保護層の作製−
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)3質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業株式会社製、アートレジンUN−3320HA)3質量部、ジペンタエリスリトールカプロラクトンのアクリル酸エステル(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPCA−120)3質量部、シリカ(水澤化学工業株式会社製、P−526)1質量部、光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)0.5質量部、及びイソプロピルアルコール11質量部からなる組成物をボールミルにてよく撹拌して平均粒径が約3μmになるまで分散し、保護層塗布液を調製した。
得られた保護層塗布液を前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層上に、ワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下で架橋させて、膜厚3μmの保護層を形成した。
以上により、実施例1の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0169】
(実施例2)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
実施例1において、下記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層塗布液の組成に変更し、保護層の作製を以下のように変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の可逆性感熱記録媒体を作製した。
−紫外線吸収構造を持つポリマー含有層塗布液の調製−
紫外線吸収性ポリマー40質量%溶液(日本触媒株式会社製、UV−G100、水酸基価:22)20質量部、下記構造式で表されるキシレンジイソシアネート化合物(三井武田ケミカル株式会社製、D−110N)1.2質量部、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(ケミプロ化成株式会社製、KEMISORB111)0.5質量部、及びメチルエチルケトン(MEK)17質量部からなる組成物をボールミルにて十分に撹拌して、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層塗布液を調製した。
【化22】

【0170】
−保護層の作製−
アクリルポリオール樹脂50質量%溶液(三菱レイヨン株式会社製、LR327)10質量部、イソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)3質量部、シリカ(水澤化学工業株式会社製、P−526)1質量部、及びメチルエチルケトン(MEK)16質量部からなる組成物をボールミルにてよく撹拌して平均粒径が約3μmになるまで分散し、保護層塗布液を調製した。
得られた保護層塗布液を前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層上に、ワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱乾燥した後、60℃にて24時間加熱して、膜厚3μmの保護層を形成した。
【0171】
(実施例3)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
実施例1において、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層塗布液の組成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の可逆性感熱記録媒体を作製した。
−紫外線吸収構造を持つポリマー含有層塗布液の調製−
紫外線吸収性ポリマーの40質量%溶液(大塚化学株式会社製、PUVA−60MK−40K、水酸基価:60)20質量部、キシレンジイソシアネート化合物(三井武田ケミカル株式会社製、D−110N)3.2質量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(エバーライトケミカル社製、EVERSORB73)0.5質量部、及びメチルエチルケトン(MEK)23質量部からなる組成物をボールミルにて十分に撹拌して紫外線吸収構造を持つポリマー含有層塗布液を調製した。
【0172】
(実施例4)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
実施例1において、感熱層の組成を以下のように変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の可逆性感熱記録媒体を作製した。
−感熱層塗布液の調製−
下記構造式で表される顕色剤4質量部、ジアルキル尿素(日本化成株式会社製、ハクリーンSB)1質量部、アクリルポリオール樹脂40質量%溶液(三菱レイヨン株式会社製、LR327)10質量部、下記構造式で表されるフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGANOX565)0.7質量部、及びメチルエチルケトン(MEK)80質量部からなる組成物をボールミルを用いて平均粒径が約1.0μmになるように粉砕分散した。
【0173】
<顕色剤>
【化23】

【0174】
<IRGANOX565>
【化24】

【0175】
得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6ジブチルアミノフルオラン1質量部、及びイソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)3質量部を加え、よく撹拌して感熱層塗布液を調製した。
【0176】
(実施例5)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
実施例4において、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層及び保護層の代わりに下記組成の紫外線吸収層を兼ねた保護層を設けた以外は、実施例4と同様にして、実施例5の可逆性感熱記録媒体を作製した。
−紫外線吸収層を兼ねた保護層の作製−
紫外線吸収性ポリマーの40質量%溶液(大塚化学株式会社製、PUVA−60MK−40K、水酸基価:60)20質量部、キシレンジイソシアネート化合物(三井武田ケミカル株式会社製、D−110N)3.4質量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(エバーライトケミカル社製、EVERSORB73)0.5質量部、シリカ(水澤化学工業株式会社製、P−526)1質量部、架橋型シリコーングラフトポリマー45質量%溶液(東亞合成株式会社製、レゼダGS−1015)1.6質量部、及びメチルエチルケトン(MEK)29質量部からなる組成物をボールミルにて十分に撹拌して、平均粒径が約3μmになるように分散し、紫外線吸収層を兼ねた保護層塗布液を調製した。
次に、得られた紫外線吸収層を兼ねた保護層塗布液を前記感熱層上に、ワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下で架橋させて、膜厚3μmの紫外線吸収層を兼ねた保護層を形成した。
【0177】
(実施例6)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施4において、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の厚みを0.3μmとした以外は、実施例4と同様にして、実施例6の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0178】
(実施例7)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施4において、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の厚みを6μmとした以外は、実施例4と同様にして、実施例7の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0179】
(実施例8)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
実施例4において、支持体と感熱層との間に下記アンダー層を設けた以外は、実施例4と同様にして、実施例8の可逆性感熱記録媒体を作製した。
−アンダー層の作製−
スチレン−ブタジエン系共重合体(日本エイアンドエル社製、PA−9159)30質量部、ポリビニルアルコール樹脂(株式会社クラレ製、ポバールPVA103)12質量部、中空粒子(松本油脂株式会社製、マイクロスフェアーR−300)20質量部、及び水40質量部を添加し、均一状態になるまで約1時間撹拌して、アンダー層塗布液を調製した。
次に、得られたアンダー層塗布液を前記支持体上に、ワイヤーバーにて塗布し、80℃にて2分間加熱乾燥して、膜厚20μmのアンダー層を形成した。
【0180】
(実施例9)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
実施例4において、支持体の感熱層と反対側の面に下記バック層を設けた以外は、実施例4と同様にして、実施例9の可逆性感熱記録媒体を作製した。
−バック層の作製−
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)7.5質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業株式会社製、アートレジンUN−3320HA)2.5質量部、針状導電性酸化チタン(石原産業株式会社製、FT−3000、長軸:5.15μm、短軸:0.27μm)2.5質量部、光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)0.5質量部、及びイソプロピルアルコール13質量部からなる組成物をボールミルにてよく撹拌して、バック層塗布液を調製した。
得られたバック層塗布液を前記支持体の感熱層を設けない側の面に、ワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下で架橋させて、膜厚4μmのバック層を形成した。
【0181】
(実施例10)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
実施例1において、支持体として厚み25μmの透明なポリエステルフィルム(帝人デュポン社製、テトロンフィルムHPE)を用い、該支持体の感熱層と反対側の面に下記の接着層を設けた以外は、実施例1と同様にして、実施例10の可逆性感熱記録媒体を作製した。
−接着層の作製−
飽和ポリエステル樹脂(東亞合成株式会社製、PES−355S30、Tg=5.5℃)24質量部、飽和ポリエステル樹脂(東亞合成株式会社製、PES−360S30、Tg=65℃)6質量部、HDI系イソシアネート架橋剤(三井武田ケミカル株式会社製、D−178N、NCO/OH=1.55)0.9質量部、トルエン56質量部、メチルエチルケトン(MEK)14質量部、多価アルコール脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社製、SL−02)0.6質量部、及びシリコーン樹脂微粒子(東芝シリコーン株式会社製、トスパール3120)3質量部からなる組成物をよく撹拌して、接着層塗布液を調製した。
次に、得られた接着層塗布液を前記支持体の感熱層を設けない側の面に、ワイヤーバーにて塗布し、100℃にて2分間加熱乾燥した後、50℃にて48時間加熱し、膜厚10μmの接着層を形成した。
以上により作製した可逆性感熱記録媒体と透明な塩化ビニルからなるオーバーシート2枚の間に白色の塩化ビニルからなるコアシート2枚を挟みこんだサンプルを圧力15kg/cm、温度130℃、20分間ラミネートして、塩化ビニルからなる可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0182】
(比較例1)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層におけるキシレンジイソシアネート化合物2質量部をHDIアダクトタイプ架橋剤(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)1.8質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0183】
(比較例2)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例2において、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層におけるキシレンジイソシアネート化合物1.2質量部をHDIイソシアヌレートタイプ架橋剤(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHX)0.6質量部に変えた以外は、実施例2と同様にして、比較例2の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0184】
(比較例3)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例3において、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層におけるキシレンジイソシアネート化合物3.2質量部をトリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートL)2.7質量部に変えた以外は、実施例3と同様にして、比較例3の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0185】
(比較例4)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例4において、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層におけるキシレンジイソシアネート化合物3.2質量部をHDIビュレットタイプ架橋剤(住化バイエルウレタン社製、スミジュールN3200)1.6質量部に変えた以外は、実施例4と同様にして、比較例4の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0186】
(比較例5)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例4において、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層におけるキシレンジイソシアネート化合物3.2質量部を水添XDI(三井武田ケミカル株式会社製、D−120N)3.3質量部に変えた以外は、実施例4と同様にして、比較例5の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0187】
(比較例6)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例4おいて、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層におけるキシレンジイソシアネート化合物3.2質量部をイソフォロンジイソシアネート(三井武田ケミカル株式会社製、D−140N)3.4質量部に変えた以外は、実施例4と同様にして、比較例6の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0188】
(比較例7)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例5において、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層におけるキシレンジイソシアネート化合物3.4質量部をHDIイソシアヌレートタイプ架橋剤(三井武田ケミカル株式会社製、D−170N)1.9質量部に変えた以外は、実施例5と同様にして、比較例7の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0189】
以上のように作製した各可逆性感熱記録媒体を用いて以下の評価を行った。
<可逆性感熱記録媒体作製後の着色>
作製した可逆性感熱記録媒体の地肌の色味を観察し、目視により評価した。評価は下記のランク基準に基づき判定した。結果を表1に示す。
〔評価基準〕
◎・・・地肌の黄ばみなし。
○・・・地肌が僅かに黄ばむが変化は少ない。
△・・・地肌の黄ばみが目立ち出す。
×・・・地肌の黄ばみが非常に目立つ。
【0190】
<耐光性テスト>
PCC社製カードプリンター(R28000)を用いて、画像を形成し、5000Lux照射下、300時間放置した。使用した蛍光灯は松下電器株式会社製のFL10Nであった。照射後の非印字部の色調変化(照射前後の非印字部(地肌部)の色差)をXライト計を用いて測定して、下記数式により地肌色差を算出し、下記基準により評価した。結果を表2に示す。
【0191】
【数1】

〔評価基準〕
◎・・・地肌色差3.4以下
○・・・地肌色差3.5〜4.0
△・・・地肌色差4.1〜5.0
×・・・地肌式差5.1以上
【0192】
<繰り返し消去印字テスト>
PCC社製カードプリンター(R28000)を用いて消去と印字の繰り返し画像形成を200回行った後に、消去部と地肌部の濃度をXライト計にて測定し、その濃度差を消し残り濃度とした。実施例1から4と比較例1から7は同エネルギー条件にて行い、実施例6から10はそれぞれの媒体に最適化したエネルギー条件にて行った。下記ランク基準に基づき判定した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
◎・・・消し残り濃度0.020以下
○・・・消し残り濃度0.021〜0.025
△・・・消し残り濃度0.026〜0.034
×・・・消し残り濃度0.035以上
【0193】
【表1】

表1の結果から、紫外線で硬化させる層を設けない場合には地肌の黄ばみはない。一方、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層(保護層を兼ねる場合を含む)を設けた場合には、実施例1、3、4、7〜10においては地肌の黄ばみによる変化は少なく、比較例1,3〜6においては黄ばみが目立っている。
黄ばみの変化は紫外線吸収構造を持つポリマー含有層がキシレンジイソシアネート化合物により架橋されることで感熱層の染料の入り込みが抑えられ、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層を塗布しても地肌の黄ばみが抑えられたものと考えられる。実施例6では紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の膜厚が薄いために、紫外線の影響を受けているため黄ばみがある。また、比較例6では架橋剤速度の遅いイソフォロンジイソシアネートを用いているので黄ばみが非常に目立っている。
【0194】
【表2】

表2の結果から、照射前と後での地肌色差結果より実施例と比較例で差が大きくなっている。これは、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の上部や保護層に入り込んだ染料が紫外光を吸収して分解することによって劣化するが、実施例のようにキシレンジイソシアネート化合物によって架橋することで染料が紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の上部に混入することが抑えられたことによる効果である。
【0195】
【表3】

表3の結果から、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層にキシレンジイソシアネート化合物を用いたことで繰り返し消去印字による画像の劣化が抑えられていることが分かる。架橋反応性の高さにより紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の硬化が十分となるため、紫外線吸収ポリマーと染料や顕色剤が混ざり込み不可逆な反応が起こったり、塗膜の強度が不十分による記録媒体の劣化などが抑えられたためであると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、カード状に加工されたものについてはプリペイドカード、ポイントカード、更には、クレジットカードなどに用いられる。カードサイズよりも大きなシートサイズでは印字する範囲が広くなるため、一般文書や工程管理用の指示書等に使用することができる。従って、本発明の可逆性感熱記録媒体は、入出チケット、冷凍食品用容器、工業製品、各種薬品容器等のステッカー、物流管理用途、製造工程管理用途などの大きな画面、多様な表示に幅広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】図1は、本発明の可逆性感熱記録媒体における発色及び消色特性(発色及び消色現象)を示す図である。
【図2】図2は、RF−IDタグの一例を示す概略図である。
【図3】図3は、可逆性感熱記録媒体のバック層面側にRF−IDタグを貼り合せた状態を示す概略図である。
【図4】図4は、産業用リライタブルシート(可逆性感熱記録媒体)の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、産業用リライタブルシート(可逆性感熱記録媒体)の使用方法を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明における可逆性感熱記録ラベルと基体シートの熱圧着工程の一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明における可逆性感熱記録ラベルと基体シートの熱圧着工程の他の例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の可逆性感熱記録媒体ラベルをMDのディスクカートリッジ上に貼付した状態の一例を示す概略図である。
【図9】図9は、本発明の可逆性感熱記録媒体ラベルを光情報記録媒体(CD−RW)上に貼付した状態の一例を示す概略図である。
【図10】図10は、本発明の可逆性感熱記録媒体ラベルを光情報記録媒体(CD−RW)上に貼付した状態の一例を示す概略断面図である。
【図11】図11は、本発明の可逆性感熱記録媒体ラベルをビデオカセットに貼付した状態の一例を示す概略図である。
【図12】図12は、本発明の可逆性感熱記録媒体の層構成の一例を示す概略断面図である。
【図13】図13は、本発明の可逆性感熱記録媒体の層構成の別の一例を示す概略断面図である。
【図14】図14(A)は、本発明の可逆性感熱記録媒体の一例をカード状に加工したものの表面側の概略図である。図14(B)は、図14(A)の裏面側の概略図である。
【図15】図15(A)は、本発明の可逆性感熱記録媒体の一例を他のカード状に加工した例の概略図である。図15(B)は、図15(A)のICチップ用窪み部に埋め込まれるICチップの概略図である。
【図16】図16(A)は、集積回路を示す概略の構成ブロック図である。図16(B)は、RAMが複数の記憶領域を含むことを示す概略図である。
【図17】図17は、本発明の画像処理方法に用いる画像処理装置の一例を示す概略図である。
【図18】図18は、本発明の画像処理方法に用いる画像処理装置の別の一例を示す概略図である。
【図19】図19は、本発明の画像処理方法に用いる画像処理装置の更に別の一例を示す概略図である。
【図20】図20(A)は、面像の消去をセラミックヒータ、画像の形成をサーマルヘッドでそれぞれ行う場合の画像処理装置の概略図を示す。図20(B)は、本発明の画像処理装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0198】
1 熱板
2 鏡面板
3 可逆性感熱記録ラベル
4 基体シート
5 可逆性感熱記録媒体
6 コアシート
7 オーバーシート
10 可逆性感熱記録ラベル
11 支持体
13 感熱層
14 中間層
15 保護層
16 バック層
22 書き換え記録部
23 印刷表示部
24 バック層
25 窪み部
26 書き換え記録部
30 出入口
31 搬送ローラ
32 ガイドローラ
33 センサ
34 磁気ヘッド
34c 制御手段
35 プラテンローラ
36 ガイドローラ
37 搬送ローラ
38 セラミックヒータ
38c セラミックヒータ制御手段
39 ガイドローラ
40 搬送ローラ
43 センサ
43a センサ
44 プラテンローラ
45 搬送ローラ
46 搬送ローラ
47 搬送ローラ
48 搬送ベルト
49b 搬送路
50 搬送路
51 センサ
52 プラテンローラ
53 サーマルヘッド
53c サーマルヘッド制御手段
55a 搬送路切換手段
55b 搬送路切換手段
56a 搬送路
56b 搬送路
57a リミットスイッチ
57b リミットスイッチ
58 搬送ベルト
59 搬送ローラ
60 ガイドローラ
61 出口
70 MDディスクカートリッジ
71 CD−RW
72 ビデオカセット
81 ICチップ
82 アンテナ
85 RF−IDタグ
90 産業用リライタブルシート(可逆性感熱記録部材)
94 セラミックヒータ
95 サーマルヘッド
96 ヒートローラ
97 給紙トレイ
98 可逆性感熱記録媒体(リライタブルシート)
99 RF−IDリーダライタ
100 画像処理装置
101 保護層
102 感熱層
103 支持体
104 バック層
105 接着剤層又は粘着剤層
106 中間層
107 反射放熱層
108 第2誘電体層
109 光情報記憶層
110 第1誘電体層
111 基体
112 ハードコート層
231 ウエハ
232 ウエハ基板
233 集積回路
234 接触端子
235 CPU
236 ROM
237 RAM
238 入出力インターフェース
239a〜239g 記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体上に少なくとも感熱層と、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層とをこの順に有してなり、前記感熱層が電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を含有し、温度に依存して色調が可逆的に変化すると共に、前記紫外線吸収構造を持つポリマー含有層がキシレンジイソシアネート化合物を含有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【請求項2】
紫外線吸収構造を持つポリマー含有層が、紫外線吸収剤を含有する請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項3】
紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系化合物及びベンゾフェノン系化合物の少なくともいずれかである請求項2に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項4】
紫外線吸収構造を持つポリマー含有層が、架橋されている請求項1から3のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項5】
紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の膜厚が、0.5〜5μmである請求項1から4のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項6】
感熱層が、片側にアルキル基を持つ硫黄原子を含むフェノール系酸化防止剤を含有する請求項1から5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項7】
片側にアルキル基を持つ硫黄原子を含むフェノール系酸化防止剤の感熱層における含有量が、固形分で1〜10質量%である請求項1から6のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項8】
紫外線吸収構造を持つポリマー含有層上に、少なくとも1層の保護層を有する請求項1から7のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項9】
保護層が、紫外線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくともいずれかを含有する請求項1から8のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項10】
感熱層と支持体との間にアンダー層を有する請求項1から9のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項11】
アンダー層が中空粒子を含有する請求項10に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項12】
感熱層における電子受容性化合物が、下記構造式(1)で表わされるフェノール化合物である請求項1から11のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【化1】

ただし、前記構造式(1)中、nは、1〜3の整数を表す。Xは、窒素原子又は酸素原子を含む2価の有機基を表す。R及びRは、脂肪族炭化水素基を表し、これらは置換基で更に置換されていてもよい。
【請求項13】
可逆性感熱記録媒体が、カード状、ラベル状、シート状及びロール状のいずれかに加工されている請求項1から12のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項14】
可逆性感熱記録媒体の画像を形成する面及び反対側の面の少なくともいずれかの面における少なくとも一部に、不可逆な可視情報及び印刷可能部分の少なくともいずれかを有する請求項1から13のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体における画像を形成する面と反対側の面に、接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有することを特徴とする可逆性感熱記録ラベル。
【請求項16】
情報記憶部と可逆表示部とを有し、該可逆表示部が請求項1から14のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を含むことを特徴とする可逆性感熱記録部材。
【請求項17】
情報記憶部と可逆表示部とが一体化された請求項16に記載の可逆性感熱記録部材。
【請求項18】
情報記憶部が、磁気感熱層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、ホログラム、RF−IDタグカード、ディスク、ディスクカートリッジ及びテープカセットから選択される請求項16から17のいずれかに記載の可逆性感熱記録部材。
【請求項19】
可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する画像消去手段との少なくともいずれかを有してなり、該可逆性感熱記録媒体が請求項1から14のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項20】
画像形成手段が、サーマルヘッド及びレーザー照射装置のいずれかである請求項19に記載の画像処理装置。
【請求項21】
画像消去手段が、サーマルヘッド、セラミックヒータ、ヒートロール、ホットスタンプ、ヒートブロック及びレーザー照射装置から選択されるいずれかである請求項19から20のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項22】
可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する画像形成工程、及び、可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、該可逆性感熱記録媒体が請求項1から14のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする画像処理方法。
【請求項23】
画像の形成が、サーマルヘッド及びレーザー照射装置のいずれかを用いて行われる請求項22に記載の画像処理方法。
【請求項24】
画像の消去が、サーマルヘッド、セラミックヒータ、ヒートロール、ホットスタンプ、ヒートブロック及びレーザー照射装置から選択されるいずれかを用いて行われる請求項22から23のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項25】
サーマルヘッドを用いて画像を消去しつつ新しい画像を形成する工程を含む請求項22から24のいずれかに記載の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−167996(P2006−167996A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360508(P2004−360508)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】