説明

可逆性感熱記録媒体の消去方法、書き替え方法および装置

【課題】本発明は消去が必要な部分にのみ消去を行い、小さいエネルギー消費量で消去および書き替えを行う方法および装置を提供することである。また、ヘッド全体の過熱を防止して印字画像の低下のない高濃度な書き替えを行うことである。
【解決手段】加熱温度、冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録媒体を用いた画像の消去、書き換え方法において、書き替え前の画像情報をスキャナで読みとり、画像情報に応じて消去することを特徴とする。また、消去、書き換え領域を予め決めておく場合もある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱により可逆的に発色状態・消色状態を形成することによって、繰り返し印字・消去を可能とした可逆的感熱記録媒体用の消去方法または書き替え方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハードコピーは、紙などの記録媒体に外部からインクあるいはトナーなどの着色剤を付着固定して画像形成を行なうか、あるいは感熱記録紙のように、紙などの基材上に感熱記録層を設け、これにエネルギーを加えて可視画像を形成するなど、永久画像を形成するものであった。しかし、最近複写機やファクシミリの普及、コンピューターからの情報出力によって記録媒体の消費量が急激に増大し、自然破壊や廃棄物処理など社会問題を引き起こしている。この問題を解決するため、記録した可視画像を消去でき、繰り返し使用可能な記録材料が注目されている。
【0003】
このような記録媒体としては、たとえば、有機低分子結晶粒子を分散した高分子膜の光散乱性変化を利用し、透明と白濁の二状態を可逆的に形成できる記録媒体がある(たとえば、特許文献1等参照)。この記録媒体は、すでに磁気カードの内容表示部として実用化されている。しかし、表示される画像は、黒や青の着色地肌、またはアルミ蒸着膜などの光反射性の地肌に白色の印字が表示できるものであり、通常の文書と同様の視認性を有したものではなかった。
【0004】
さらに、白の地肌に黒発色といった、通常のハードコピーにと違和感無く使用できるものとして、発色と消色の二状態をとり得る電子供与性呈色性化合物(以下、ロイコ染料という)と電子受容性化合物(以下、顕色剤という)の可逆的な感熱記録層を用い、白色地肌に可逆的に発色印字画像を形成できる可逆的感熱記録媒体(以下、記録媒体と略称する)が提案された(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
これらの可逆性感熱記録媒体の消去および書き替え方法としては、特許文献3などに消去用加熱手段として、サーマルヘッド、ヒートローラーなどが提案されている。その後、特許文献4などに帯状のセラミックヒータが提案されている。しかしながら、これらの提案では記録媒体の全面を加熱するため、もともと消去の必要がない白色部にも加熱し、必要以上のエネルギーを消費してしまうと言う問題があった。
【0006】
また、特にサーマルヘッドで消去または消去・印字(オーバーライト)を行う場合には、連続で全ドットを全ラインに渡って発熱素子を加熱するために、サーマルヘッドの蓄熱などにより発熱素子から過剰な熱が記録媒体に供給され、消去部によわい発色(地肌カブリ)が見られたり、印字部の表面の劣化などの問題があった。
【0007】
一方、特許文献5などに電気抵抗の温度依存性が大きな材料で形成した発熱素子と電気抵抗の変化によって発熱素子の温度を検出し、印加エネルギーを制御するサーマルヘッドが提案されている。このサーマルヘッドを用いることで、消去および印字の際の発熱素子の温度を制御でき、記録媒体への過剰な加熱を防ぐことが可能となった。しかしながら、発熱素子自体の過熱を防ぐことはできるものの、全ドットを全ライン加熱するためヘッド全体が高温になって記録媒体を温めてしまい、加熱後の急冷ができなくなって印字濃度が低下するなどの問題を有していた。
【0008】
【特許文献1】特開昭55−154198号公報
【特許文献2】特開平5−124360号公報
【特許文献3】特開平5−124360号公報
【特許文献4】特開平11−192737号公報
【特許文献5】特開平7−205469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の第一の課題は消去が必要な部分にのみ消去を行い、小さいエネルギー消費量で消去および書き替えを行う方法および装置を提供することである。また、第二の課題としてはヘッド全体の過熱を防止して印字画像の低下のない高濃度な書き替えを行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録媒体を用いた画像の消去または書き替え方法において、書き変え前の画像情報に応じて消去またはオーバーライト書き変えを行うこと、あるいは、消去及び書き換えする画像情報領域が予め決められた領域とすることによって、上記の課題が解決できることを見いだした。
【0011】
すなわち、本発明によれば、
(1)支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録媒体を用いた画像の消去方法において、書き替え前の画像情報をスキャナで読みとり、画像情報に応じて消去することを特徴とする可逆性感熱記録媒体の消去方法、
(2)支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録媒体を用いた画像の書き替え方法において、書き替え前の画像情報をスキャナで読みとり、画像情報に応じて消去すると同時に新規な画像を印字する、オーバーライト書き替えを行うことを特徴とする可逆性感熱記録媒体の書き替え方法、
【0012】
(3)スキャナで読み込んだ画像情報よりも広い範囲を消去することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の可逆性感熱記録媒体の消去方法または書き替え方法、
(4)前記(3)における消去範囲が、スキャナで読み込んだ画像情報の1〜5ドット分手前からの範囲であることを特徴とする前記(3)に記載の可逆性感熱記録媒体の消去方法または書き替え方法、
(5)前記(3)における消去範囲が、スキャナで読み込んだ画像情報の周囲に1〜5ドット分広い範囲であることを特徴とする前記(3)に記載の可逆性感熱記録媒体の消去方法または書き替え方法、
(6)消去する画像情報領域が予め決められた領域である請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体の消去方法、
(7)消去及び書き換えする画像情報領域が予め決められた領域である請求項2に記載の可逆性感熱記録媒体の書き替え方法、
(8)前記(1)から(7)のいずれか一項に記載の消去または書き替えにおいて、消去およびまたは印字の際に、サーマルヘッドを用いることを特徴とする可逆性感熱記録媒体の消去または書き替え装置、
(9)消去または印字に用いるサーマルヘッドの発熱素子が、電気抵抗の温度依存性の大きな材料からなるものであることを特徴とする前記(8)に記載の可逆性感熱記録媒体の消去または書き替え装置
(10)消去または印字に用いるサーマルヘッドが、電気抵抗の変化に基づき発熱素子の温度を検出する回路と、検出された前記温度を基に前記発熱素子への印加エネルギーを制御する回路とを具備することを特徴とする前記(8)又は(9)に記載の可逆性感熱記録媒体の消去または書き替え装置、
【0013】
(11)前記(8)記載のサーマルヘッドにおいて、印加エネルギーを制御する回路は、発熱素子の到達温度を予め設定し、前記発熱素子の温度が前記到達温度に到達すると同時にエネルギーの供給を中止し、前記発熱素子の温度を一定に制御することを特徴とする可逆性感熱記録媒体の消去または書き替え装置、
(12)可逆性感熱記録媒体に用いられる電子受容性化合物が、炭素数8以上のフェノール化合物であることを特徴とする請求項1〜12に記載の可逆性感熱記録媒体の消去または書き替え方法および/またはその装置、が提供される。
【0014】
次に、本発明を図面に基いて具体的に説明する。
図1 は本発明で用いられる可逆的感熱記録媒体1(以下、記録媒体という)を示している。同図に示すように、記録媒体1は支持体2の上側面に可逆性感熱記録層3,第1の保護層4,第2の保護層5が順次積層されると共に、支持体2の下側面にバックコート層6が形成された構成とされている。尚、ここで、上側とは後述する画像読みとりスキャナ21と対向する側の面をいい、下側面とはこれと反対側の面をいう。
【0015】
支持体2は、紙,合成紙,或いはPET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂により構成されている。尚、後述する可逆性感熱記録層3の厚さは8 〜12μmであり、第1の保護層4,第2の透明保護層5,及びバックコート層6の厚さはそれぞれ2〜4μm程度である。
【0016】
一方、可逆性感熱記録層3は、樹脂バインダー中にロイコ染料および顕色剤を分散させることによって形成されている。この可逆性感熱記録層3に用いるロイコ染料は、たとえばフタリド系化合物、アザフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミン系化合物など公知の染料前駆体である。
【0017】
また、可逆性感熱記録層3に用いる顕色剤は、分子内にロイコ染料を発色させる顕色艶をもつ構造、たとえばフェノール性水酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基などと、分子間の凝集力を制御する構造、たとえば長鎖炭化水素基が連結した構造をもつ化合物である。連結部分にはヘテロ原子を含む2価の基を介していてもよく、また長鎖炭化水素基中にもヘテロ原子を含む2価の基または芳香族基が含まれていてもよい。
【0018】
具体的には、特許文献3などに記載されている公知の顕色剤が好ましく使用できる。なかでも炭素数8以上の炭化水素基を有したフェノール化合物が発色性/消色性の点から特に好ましく用いられ、その例としては、下記式(1)で示される構造の化合物が挙げられる。
【0019】
【化1】

式中、X1はヘテロ原子を含む2価の基または直接結合手を示し、X2はヘテロ原子を含む2価の基を示す。R1は2価の炭化水素基を表し、R2は炭素数8から22の炭化水素基を表す。また、pは0から4の整数を表しpが2から4の時繰り返されるR1およびX2は同一でも、異なっていても良い。また、qは1から3を表す。
X1,X2で示されるヘテロ原子を含む2価の基は−NH2−、−CO−、−O−またはこれらの組み合わせによってできる基を表す。
【0020】
本発明で用いる可逆性感熱記録媒体は、加熱温度およびまたは加熱後の冷却速度により相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうるものである。この本発明に用いられる発色剤と顕色剤からなる組成物の基本的な発色・消色現象を説明する。図2はこの記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。
【0021】
はじめ消色状態(A)にある記録媒体を昇温していくと、溶融し始める温度T1で発色が起こりロイコ染料と顕色剤とが溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固まった発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、はじめと同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。
【0022】
一方、急冷発色状態(C)をふたたび昇温していくと発色温度より低い温度T2で消色が起き(DからE)、ここから降温するとはじめと同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組合せにより変化するので目的に合わせて選択できる。また溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0023】
この可逆性感熱記録媒体では、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は顕色剤と発色剤が分子どうしで接触反応しうる状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。
【0024】
本発明では多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。図2に示した溶融状態から徐冷による消色および発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。
【0025】
本発明の発色画像の形成は、サーマルヘッドなどによりいったん溶融混合する温度に加熱し、急冷すればよい。また、消色は加熱状態から徐冷する方法と発色温度よりやや低い温度に加熱する方法の二つである。しかし、これらは両者が相分離したり、少なくとも一方が結晶化する温度に一時的に保持するという意味で同じである。発色状態の形成で急冷するのは、この相分離温度または結晶化温度に保持しないようにするためである。ここにおける急冷と徐冷はひとつの組成物に対して相対的なものであり、その境界は発色剤と顕色剤の組合せにより変化する。
【0026】
このように感熱記録層は加熱温度および/または加熱後の冷却速度の制御によって記録消去ができる。この感熱記録層による印字は、コントラストが高く優れた画像品質が得られる。
【0027】
本発明に用いられる画像読み取り用スキャナとしては、例えばCCD(Charge Coupled Device)を利用したラインイメージセンサが用いられており、1ライン毎に原稿を読み取って画像情報として出力することができる。
【0028】
また、画像の消去又は印字にはレーザ光やサーマルヘッドが用いられ、装置が小型であることや扱いやすいこと等から、とくにサーマルヘッドが好ましく用いられる。本発明では前記スキャナによって得られた画像情報によって、必要な部分にのみ消去を行うことにより、不必要な部分へのエネルギー印加がなくなり省エネルギー化が可能となる。また、通常のサーマルヘッドによるオーバーライト書き替えでは全ドットが全ライン発熱するためにサーマルヘッド全体高温になり、消去部および印字部に過剰な熱が加わることによる印字および消去の不良や記録媒体へのダメージが発生したり、印字後に急冷条件にならずに印字濃度が低下するなどの問題があるのに対し、ヘッド全体の温度上昇が押さえられるためこれらの問題のないオーバーライト書き替えが可能となる。
【0029】
本発明においては、スキャナで読み込んだ画像情報よりも消去の範囲を広くすることによって、消去不良による残像のない良好な消去およびオーバーライト書き替えが可能となる。これは、消去の1ライン目では発熱素子が消去温度まで昇温するのに時間がかかり消去に必要な温度や時間を得にくいため、スキャナで読み込んだ画像情報の手前から消去エネルギーをかけることで安定な消去が可能となる。好ましくは、スキャナで読み込んだ画像情報に対応する1〜5ドット手前から消去エネルギーをかけることがよい。
【0030】
さらに、搬送時の滑りなどの誤差により、記録媒体がスキャナでの読みとり部とサーマルヘッドのある消去/印字部とで位置のずれが発生することがある。そこで、スキャナで読み込んだ画像情報よりも広い範囲に対して消去エネルギーをかけることで消し残りを防止することが可能となる。このとき消去を設定する範囲としてはスキャナで読み込んだ画像情報よりも周囲に5mm程度広くすることが好ましい。
【0031】
また、本発明において消去または印字に用いられるサーマルヘッドは、発熱素子の電気抵抗が温度に対して大きく変化するサーマルヘッドが特に好ましく用いられる。ここで、発熱素子に用いられる材料が有する電気の温度依存性は正・負を問わないが、負に大きな温度依存性を有する方が発熱素子の温度制御の面で好ましく用いられる。発熱素子の温度を検出する回路は、消去又は印字中に発熱素子に流れる電流を検出し、その電流値によって求められる発熱素子の抵抗値から発熱素子の温度を検出する。
【0032】
また、発熱素子への印加エネルギーを制御する回路は、検出された温度があらかじめ規定された温度以上になった場合に、発熱素子へのエネルギー印加を抑制し、また、規定された温度以下になった場時に印加エネルギーを増大させて、消去または印字の際に発熱素子の温度が一定になるように制御する機能をもつ。
これらの制御によって、いっそう消去が均一に安定して行え、消去不良の発生などを防止することができる。また、印字の際には過剰な記録媒体への加熱を防止することができ、記録媒体へのダメージの発生などのないものとなる。
【発明の効果】
【0033】
これらの方法および装置により、消去が必要な部分にのみ消去エネルギーの印加が可能となり、消去または書き替えの際のエネルギー消費が少ないものとなる。また、サーマルヘッドによるオーバーライト書き替えにおいてはヘッド全体が過熱することを防ぐことができ、書き替え後の記録媒体の印字濃度の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に本発明を実施例に基づいて説明する。
図3は本発明の消去または書き替え装置の例を示す図である。
給紙台35から搬送ローラ33によって記録媒体が搬送され、スキャナ31で書き替え前の画像が読みとられる。この画像情報に応じて、サーマルヘッド32で消去が行われる。または、書き替え後の画像が消去と同時に印字されてオーバーライト書き替えが行われる。その後、搬送ローラ33によって排紙台36に排紙される。なお、38は制御ユニットである。
【0035】
図4は本発明の消去の例を示す図である。スキャナによって読み取られた画像情報に応じてサーマルヘッドから消去エネルギーを印加して消去している。Aは消去前の画像「1」を示している。Bは画像「1」を途中まで消去した図で、Cは画像「1」を消去した後の図である。いずれもスキャナで読み取った画像情報に応じて消去エネルギーを印加して消去を行ったものである。必要な部分にのみ消去エネルギーを印加する事ができるので、電力消費量が少ないものとなる。
【0036】
図5は本発明のオーバーライト書き替えの例を示す図である。スキャナによって読み取られた画像情報に応じてサーマルヘッドから消去エネルギーを印加すると同時に新たな画像を印字している。Aは消去前の画像「1」を示している。Bは画像「1」を途中まで新たな画像「2」まで書き変えた図で、Cは新たな画像「2」に書き変えた図である。必要な部分にのみ消去エネルギーを印加する事ができるので、エネルギー消費量が少ないものとなり、さらに書き替え時のサーマルヘッドの過熱を防止でき、高い印字濃度を得ることができる。
【0037】
図6は本発明の消去の例を示す図である。図4のBと同様の画像「1」を途中まで消去した図である。消去前の画像よりも手前1ドットから消去を開始することで、サーマルヘッドの立ち上がり時の温度上昇不足などによる消去不良のない良好な消去を行うことができ、さらに図4の例と同様に消費電力が少ないものとなる。
【0038】
図7は本発明のオーバーライト書き替えの例を示す図である。図5のBと同様「1」を途中まで新たな画像「2」に書き変えた図である。消去前の画像よりも手前1ドットから消去を開始することで、サーマルヘッドの立ち上がり時の温度上昇不足などによる消去不良のない良好な消去を行うことができ、さらに図5の例と同様に消費電力が少なく高い印字濃度の書き替えができる。
【0039】
図8は本発明の消去の例を示す図である。図4のBと同様の画像「1」を途中まで消去した図である。消去前の画像よりも広い範囲を消去することで、搬送不良などによる位置ずれなどによる消去不良のない良好な消去を行うことができ、さらに図4の例と同様に消費電力が少ないものとなる。
【0040】
図9は本発明のオーバーライト書き替えの例を示す図である。図5のBと同様「1」を途中まで新たな画像「2」に書き変えた図である。消去前の画像よりも広い範囲を消去することで、搬送不良などによる位置ずれなどによる消去不良のない良好な消去を行うことができ、さらに図5の例と同様に消費電力が少なく高い印字濃度の書き替えができる。
【0041】
図10は、本発明で予め消去や書き換えの領域を決めた例の説明図である。スキャナで読み込んだ画像情報の内、非書き換え領域41には消去や書き換えを行わずに、書き換え領域42の内容の書き換えを行う事により、書き換えの必要な領域にのみ消去または印字エネルギーを印加することになり、省エネルギー化が図られる。
【0042】
図11は、図10と同様に、スキャナで読み込んだ画像情報の内、非書き換え領域51には消去や書き換えを行わずに、書き換え領域53の内容の書き換えを行う。また、非書き換え領域と書き換え領域がその都度変わる書き換え領域52は必要な部分の書き換えを行う。
【0043】
図12は従来の消去の例を示す図である。図4のBと同様の画像「1」を途中まで消去した図である。全面ドット全ラインの加熱であり電力消費量が大きいものとなる。さらに、ヘッドの蓄熱により地肌カブリなどの問題がある。
【0044】
図13は従来のオーバーライト書き替えの例を示す図である。図5のBと同様「1」を途中まで新たな画像「2」に書き変えた図である。全面ドット全ラインの加熱であり電力消費量が大きいものとなる。さらに、ヘッドの蓄熱により地肌カブリや印字濃度の低下などの問題がある。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に用いられる可逆性感熱記録媒体の断面図。
【図2】本発明に用いる可逆性感熱記録媒体の発色・消色特性(発色・消色現象)を示す図。
【図3】消去または書き替え装置の例
【図4】本発明の消去の例を示す。
【図5】本発明のオーバーライト書き換えの例を示す。
【図6】本発明の消去の例を示す。
【図7】本発明のオーバーライト書き換えの例を示す。
【図8】本発明の消去の例を示す。
【図9】本発明のオーバーライト書き換えの例を示す。
【図10】本発明で予め消去書き換えの領域を決めた例の説明図である。
【図11】本発明で予め消去書き換えの領域を決めた別の例の説明図である。
【図12】従来の消去の例を示す。
【図13】従来のオーバーライト書き換えの例を示す。
【符号の説明】
【0046】
31:スキャナ
32:サーマルヘッド
33:搬送ローラ
34:プラテンローラ
35:給紙台
36:排紙台
37:搬送ガイド
38:制御ユニット
41:非書き換え領域
42:書き換え領域
51:非書き換え領域
52:書き換え領域
53:書き換え領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録媒体を用いた画像の消去方法において、書き替え前の画像情報をスキャナで読みとり、画像情報に応じて消去することを特徴とする可逆性感熱記録媒体の消去方法。
【請求項2】
支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録媒体を用いた画像の書き替え方法において、書き替え前の画像情報をスキャナで読みとり、画像情報に応じて消去すると同時に新規な画像を印字する、オーバーライト書き替えを行うことを特徴とする可逆性感熱記録媒体の書き替え方法。
【請求項3】
スキャナで読み込んだ画像情報よりも広い範囲を消去することを特徴とする請求項1または2に記載の可逆性感熱記録媒体の消去方法または書き替え方法。
【請求項4】
請求項3における消去範囲が、スキャナで読み込んだ画像情報の1〜5ドット分手前からの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の可逆性感熱記録媒体の消去方法または書き替え方法。
【請求項5】
請求項3における消去範囲が、スキャナで読み込んだ画像情報の周囲に1〜5ドット分広い範囲であることを特徴とする請求項3に記載の可逆性感熱記録媒体の消去方法または書き替え方法。
【請求項6】
消去する画像情報領域が予め決められた領域である請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体の消去方法。
【請求項7】
消去及び書き換えする画像情報領域が予め決められた領域である請求項2に記載の可逆性感熱記録媒体の書き替え方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の消去または書き替えにおいて、消去およびまたは印字の際に、サーマルヘッドを用いることを特徴とする可逆性感熱記録媒体を用いた消去、書き換え装置。
【請求項9】
消去または印字に用いるサーマルヘッドの発熱素子が、電気抵抗の温度依存性の大きな材料からなるものであることを特徴とする請求項8に記載の可逆性感熱記録媒体の消去または書き替え装置。
【請求項10】
消去または印字に用いるサーマルヘッドが、電気抵抗の変化に基づき発熱素子の温度を検出する回路と、検出された前記温度を基に前記発熱素子への印加エネルギーを制御する回路とを具備することを特徴とする請求項8又は9に記載の可逆性感熱記録媒体の消去または書き替え装置。
【請求項11】
請求項8記載のサーマルヘッドにおいて、印加エネルギーを制御する回路は、発熱素子の到達温度を予め設定し、前記発熱素子の温度が前記到達温度に到達すると同時にエネルギーの供給を中止し、前記発熱素子の温度を一定に制御することを特徴とする可逆性感熱記録媒体の消去または書き替え装置。
【請求項12】
可逆性感熱記録媒体に用いられる電子受容性化合物が、炭素数8以上のフェノール化合物であることを特徴とする請求項1〜12に記載の可逆性感熱記録媒体の消去または書き替え方法および/またはその装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−240037(P2006−240037A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58322(P2005−58322)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】