説明

可逆性感熱記録媒体

【課題】 発色感度が良好で高速消色性に優れており、かつ画像部の保存安定性に優れた可逆性感熱記録媒体、情報表示記憶部材、可逆性感熱記録ラベル、およびそれらを用いる画像処理方法を提供すること。
【解決手段】 支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得る可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該電子受容性化合物として下記式[1]で表わされるフェノール化合物を用いることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。


(式中、lは17〜39の整数を表わす)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆性感熱発色組成物を用いた、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録媒体、情報記憶部を有する部材、可逆性感熱記録ラベル、及びこれらに画像を形成・消去する画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、OA化の進展と共にファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などの出力用紙として、また最近ではプリペイドカードやポイントカードなどの磁気感熱カードとしても広く使用されているが、環境問題、リサイクルの視点から、何度でも書き換え可能な可逆性感熱記録媒体の開発が望まれており、本発明者らは特許第2981558号公報(特許文献1)において顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物を用い、これらと発色剤であるロイコ染料とを組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行なわせることができ、その発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体を提案した。その後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定の構造の使用(例えば、特許第3380277号公報・・・特許文献2、特許第3557076号公報・・・特許文献3)が提案されている。
【0003】
しかし、このような材料を用いた記録媒体では、消色速度が遅くて書き替えに時間を要する、消色が不十分、あるいは発色画像の熱安定性が低いなどの問題を有していた。
そこで、さらに本発明者らは特許第3557077号公報(特許文献4)、特開平10−119440号公報(特許文献5)に記載のフェノール化合物を用いることで、発色と消色のコントラストが高く、高速消去が可能であり、画像部の発色安定性に優れる記録媒体を提案した。このフェノール化合物を用いた記録媒体は、ホットスタンプやヒートローラー、セラミックヒーターなどの加熱部材による消去が可能であり実用性に優れるものであった。
さらに、これらのフェノール化合物を用いた記録媒体は高速消去性に優れており、常温常湿環境ではサーマルヘッドによる加熱での消去も可能であり、サーマルヘッドオーバーライトの可能性を持つものであった。
【0004】
しかしながら、特許第3557077号公報、特開平10−119440号公報に例示されている化合物を用いた場合には、特に低温低湿環境での消去性が悪化して十分に消去ができないものであった。
【0005】
さらに、これらのフェノール化合物は高融点なものが多く、発色および消色の際に高温に加熱する必要があり、高エネルギーの印加が必要であった。
高エネルギーの印加をするために、記録時に長時間のパルスの印加が必要であるため書き込み速度が遅い、また、高温になるため記録媒体へのダメージが大きく打痕が発生しやすい、さらには記録装置の電源が大きくなってしまい書き変え装置が大きくなってしまうなどの問題があった。
【0006】
一方、特許第2981558号公報および特許第3557076号公報に記載のフェノール化合物には比較的低融点のものも提案されているが、これらの化合物を用いた記録媒体は発色感度は良好なものの画像の保存性が悪かったり、充分な消去性が得られず、実用性の低いものであった。
【0007】
【特許文献1】特許第2981558号公報
【特許文献2】特許第3380277号公報
【特許文献3】特許第3557076号公報
【特許文献4】特許第3557077号公報
【特許文献5】特開平10−119440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、発色感度が良好で高速消色性に優れており、かつ画像部の保存安定性に優れた可逆性感熱記録媒体を提供することである。
また本発明の課題は、情報記憶部と上記可逆性感熱記録媒体を構成する可逆性感熱記録層を可逆表示部とする部材、及び上記可逆性感熱記録媒体を利用した可逆性感熱記録ラベルを提供することである。
さらに本発明の課題は、上記可逆性感熱記録媒体、情報記憶部を有する部材、可逆性感熱記録ラベル、画像の形成・消去を行なう画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、このような電子供与性呈色性化合物としての発色剤と電子受容性化合物としての顕色剤の組成物の可逆的な発色消色現象では、長鎖脂肪族基をもつ顕色剤の発色剤を発色させる能力と分子間の凝集力のバランスが重要であり、さらに発色感度を高めるためには顕色剤の融点を低融点化することが必要であると考え、種々の構造の化合物を検討した。その結果、特定の構造をもつフェノール化合物を顕色剤として用いることにより、上記の課題が解決できることを見出した。
【0010】
すなわち、上記課題は本発明の(1)〜(13)によって解決される。
(1)「支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得る可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該電子受容性化合物として下記式[1]で表わされるフェノール化合物を用いることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【0011】
【化1】


(式中、lは17〜39の整数を表わす)」;
(2)「支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得る可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該電子受容性化合物として下記式[2]で表わされるフェノール化合物を用いることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【0012】
【化2】


(式中、mは2〜30の整数を、nは10〜40の整数を表わす)」;
(3)「前記電子供与性呈色性化合物として2−アニリノ−3−メチル−6−(ジn−ブチルアミノ)フルオラン,2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)フルオランおよび2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランのうち少なくとも1種以上を用いることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の可逆性感熱記録媒体」;
(4)「前記可逆性感熱記録層が分子中に少なくとも1つ以上のN原子および/またはO原子を含む2価の基を有する消色促進剤を含有することを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」;
(5)「前記消色促進剤が分子中に少なくとも1つ以上のウレタン基および/またはエステル基を含むことを特徴とする前記(4)に記載の可逆性感熱記録媒体」;
(6)「前記支持体と前記可逆性感熱記録層の間に断熱層を有することを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」;
(7)「情報記憶部と可逆表示部を有し、該可逆表示部が少なくとも前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を構成する可逆性感熱記録層からなるものであることを特徴とする情報記憶部を有する部材」;
(8)「前記情報記憶部を有する部材が、カード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットのいずれかであることを特徴とする前記(7)に記載の情報記憶部を有する部材」;
(9)「前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の、可逆性感熱記録層を形成する面とは反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたことを特徴とする可逆性感熱記録ラベル」;
(10)「前記(9)に記載の可逆性感熱記録ラベルを用いて可逆表示部が設けられているものであることを特徴とする前記(7)又は(8)に記載の情報記憶部を有する部材」;
(11)「前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体、又は前記(9)に記載の可逆性感熱記録ラベル、或いは前記(7)、(8)、(10)のいずれかに記載の情報記憶部を有する部材において、可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法」;
(12)「サーマルヘッドを用いて画像を形成することを特徴とする前記(11)に記載の画像処理方法」;
(13)「サーマルヘッド又はセラミックヒータを用いて画像を消去することを特徴とする前記(11)に記載の画像処理方法」。
【発明の効果】
【0013】
本発明の可逆性感熱記録媒体、情報記憶部を有する部材、および可逆性感熱記録ラベルは、前記特定の化学構造を有する電子受容性化合物を用いたことにより、画像形成における発色感度、発色濃度が良好であって、また充分な画像消去性を有し、かつ画像部の保存安定性にも優れたものである。
また本発明の画像処理方法は、上記可逆性感熱記録媒体、情報記憶部を有する部材、または可逆性感熱記録ラベルに、発色濃度が良好で、高速消去が可能であり、保存安定性に優れた画像を形成・消去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のフェノール化合物を用いる可逆的感熱記録媒体は、加熱温度および/または加熱後の冷却速度により相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得るものである。
この基本的な発色・消色現象を説明する。
【0015】
図1は本発明の記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。初め消色状態(A)にある記録媒体を昇温していくと、溶融し始める温度T1でロイコ染料と顕色剤が溶融混合し、発色が起こり溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固定された発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、初期と同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)を再び昇温していくと発色温度より低い温度T2で消色が起き(DからE)、ここから降温すると初期と同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組合せにより変化するので目的に合わせて選択できる。また溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0016】
本発明の記録媒体では、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は顕色剤と発色剤が分子同士で接触反応し得る状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。本発明では多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。図1に示した溶融状態から徐冷による消色および発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。
【0017】
発色状態の安定性は、顕色剤と発色剤の凝集構造が安定であるほど、より安定となると考えられる。そのために、本発明者らは顕色剤分子構造中に水素結合性の会合基の導入を試み、前記のように特許第3557076号公報あるいは特許第3557077号公報に記載の化合物を提案した。しかしながら、顕色剤分子の水素結合が強くなると顕色剤が高融点となり、発色開始温度が高くなってしまい記録媒体の感度特性が低下してしまう。
そこで本発明者らは、顕色剤の分子構造中にアシル尿素基と長鎖アルキル基を導入することで、顕色剤の高融点化を伴わずに発色の安定性が向上し、発色感度と画像部の保存安定性の両立が可能となり、さらにエーテル基を介して、アルキル基をより長鎖にすることで、さらに良好な発色感度と画像部の保存安定性が得られることを見出した。
【0018】
ここで、本発明において顕色剤として用いられるフェノール化合物は下記式[1]で示されるものである。
【0019】
【化3】


式中、lは17〜39の整数を示し、好ましくは21〜29の整数を示す。
【0020】
また、本発明において顕色剤として用いられるフェノール化合物は下記式[2]で表わされるものである。
【0021】
【化4】


式中、mは2〜30の整数を示し、好ましくは7〜20の整数を示す。また、nは10〜40の整数を示し、好ましくは14〜30の整数を示す。また、m+nは18以上が好ましく、さらには25以上が好ましい。
ここで、l、またはmおよびnが長くなるほど、発色濃度、消色濃度および発色画像の安定化が向上するため、それぞれの鎖長は長い方が良好な記録媒体を得ることができる。しかし、一方で鎖長が長くなると原料が高価で入手が困難になったり、溶剤に対する溶解性の低下により合成が困難になったりするため、実用性に問題が生じてくる。そこで、上記の範囲の鎖長であることによって、発色濃度、消色濃度、画像の安定性といった記録媒体特性が良好であって、さらに比較的安価に入手可能、あるいは比較的容易に合成が可能となり、実用性の高いものとなる。
【0022】
以下に本発明の化合物を例示する。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
これらの顕色剤は各種溶媒中、それぞれ対応するアシルイソシアネート化合物と4−アミノフェノールとを反応させることにより合成することが可能である。
【0026】
また、本発明において用いられるロイコ染料は単独又は混合して用いることができ、例えば、フタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物など公知の染料前駆体である。
【0027】
本発明において用いられるロイコ染料の具体例としては、以下のものが挙げられる。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジn−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−エトキシプロピル)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3−トルイジノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、
【0028】
3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−N−n−アミル−N−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、等が挙げられる。
【0029】
中でも、特にロイコ染料として2−アニリノ−3−メチル−6−(ジn−ブチルアミノ)フルオラン,2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−エトキシプロピル)フルオランおよび2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランのうち少なくとも1種以上を用いることで、発色濃度、消去性および画像部の保存安定性が良好で、発色色調が純黒色で鮮明な印字画像が得られる。
ここで、発色剤と顕色剤はマイクロカプセル中に内包して用いることもできる。
【0030】
本発明において、ロイコ染料、顕色剤とともに可逆性感熱記録層の形成に用いられるバインダー樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類などがある。これらのバインダー樹脂の役割は、組成物の各材料が記録消去の熱印加によって片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにある。したがって、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。例えば、熱、紫外線、電子線などで、バインダー樹脂を架橋させてもよい。
【0031】
本発明に用いられる架橋状態にある樹脂としては、具体的にはアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの、架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂など、或いは架橋反応性基を有する樹脂などが挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0032】
更に、本発明において好ましくは、水酸基価70(KOHmg/g)以上の樹脂が含有されるが、水酸基価70(KOHmg/g)以上の樹脂としては、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂などが用いられるが、特に発色の安定性が良好で、消色性が良好であることから、アクリルポリオール樹脂が好ましく用いられる。水酸基価としては70(KOHmg/g)以上であり、特に好ましくは90(KOHmg/g)以上である。水酸基価の大小は架橋密度に影響するため塗膜の耐化学薬品性、物性などを左右する。本発明者らは、水酸基価が70(KOHmg/g)以上で耐久性、塗膜表面硬度、ワレ抵抗性が向上することを見い出した。水酸基価70(KOHmg/g)以上の樹脂が用いられた可逆性感熱記録材料であるか否かは、残存水酸基の量やウレタン結合の量を分析すること等により確認することができる。
【0033】
また、アクリルポリオール樹脂においては構成の違いによってその特性に違いがあり、水酸基モノマーとしてヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、2−ヒドロキシブチルモノアクリレート(2−HBA)、1,4―ヒドロキシブチルモノアクリレート(1−HBA)などが用いられるが、特に第1級水酸基をもつモノマーを使用した方が塗膜のワレ抵抗性や耐久性が良いことから、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく用いられる。
【0034】
本発明に用いられる架橋剤としては、従来公知のイソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ化合物等が挙げられる。その中でもイソシアネート系架橋剤が好ましく用いられる。ここで用いられるイソシアネート系化合物は、公知のイソシアネート単量体のウレタン変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、ブロックドイソシアネートなどの変性体から選択される。また、変性体を形成するイソシアネート単量体としては、トリレンジイソシアネートTDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネートNDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4 −シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、等が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0035】
更に、架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。架橋促進剤としては、例えば1,4−ジアザ−ビシクロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミン類、有機すず化合物などの金属化合物などが挙げられる。また、架橋剤は添加した全量が架橋反応をしていても、していなくても良い。すなわち、未反応架橋剤が存在していても良い。この種の架橋反応は経時的に進行するため、未反応の架橋剤が存在していることは架橋反応が全く進行していないことを示すのではなく、未反応の架橋剤が検出されたとしても、架橋状態にある樹脂が存在しないということにはならない。また、本発明におけるポリマーが架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別する方法として、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸すことによって区別することができる。すなわち、非架橋状態にあるポリマーは、溶媒中に該ポリマーが溶け出し溶質中には残らなくなるため、溶質のポリマー構造の有無を分析すればよい。
【0036】
可逆性感熱記録層の乾燥・硬化方法は塗布・乾燥後、必要に応じて架橋処理を行なう。恒温槽等を用いて比較的高温で短時間でも良く、また、比較的低温で長時間かけて熱処理しても良い。架橋反応の具体的な条件としては反応性の面から30〜130℃程度の温度条件で1分〜150時間程度加温することが好ましい。より好ましくは40〜100℃の温度条件で2分〜120時間程度加温することが好ましい。また、製造では生産性を重視するので、架橋が充分完了するまで時間をかけるのは困難である。したがって、乾燥過程とは別に架橋工程を設けてもよい。架橋工程の条件としては40〜100℃の温度条件で2分〜120時間程度加温することが好ましい。
可逆性感熱記録層の膜厚は1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは3〜15μmである。
【0037】
また、本発明の可逆性感熱記録層には、必要に応じて可逆性感熱記録層の塗布特性などを改善したりするために従来公知の添加剤を用いることができる。これらの添加剤には、たとえば界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤などがある。
【0038】
なお、本発明において、可逆性感熱記録層中の発色成分と樹脂の割合は、発色成分1重量部に対して樹脂0.1〜10重量部が好ましく、これより少ないと可逆性感熱記録層の熱強度が不足し、これより多い場合には発色濃度が低下して問題となる。
【0039】
更に、前記の特徴を有する顕色剤と、消色促進剤として、好ましくは分子中に少なくとも1つ以上のN原子および/またはO原子を含む2価の基を有する化合物を併用することにより、消去状態を形成する過程において消色促進剤と顕色剤の間に分子間相互作用が誘起され消去速度が格段に速くなることがわかった。
【0040】
本発明で用いる消色促進剤としては分子中にアミド基(−NHCO−)、2級アミド基(>NCO−)、ウレタン基(−NHCOO−)、エステル基(−COO−)、尿素基(−NHCONH−)、ケトン基(−CO−)、ジアシルヒドラジド基(−CONHNHCO−)、スルホン基(−SO−)等を有する化合物が好ましく、中でも、アミド基、2級アミド基、ウレタン基、エステル基を有する化合物が特に好ましく、例えばアミド基、ウレタン基、エステル基を有する化合物としては下記一般式[3]〜[13]で表される化合物が挙げられる。
【0041】
【化5】

【0042】
【化6】

【0043】
【化7】

【0044】
【化8】

【0045】
【化9】

【0046】
【化10】

【0047】
【化11】

【0048】
【化12】

【0049】
【化13】

【0050】
【化14】

【0051】
【化15】


(式中、R、R、R、R、Rは炭素数1〜30の直鎖アルキル基、分枝アルキル基、不飽和アルキル基を示し、R、Rは環を形成していてもよく、形成される環はN原子、O原子またはS原子を介していてもよく、芳香族環、脂肪族環を有していてもよい。また該アルキル基は水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。Rは炭素数1〜18の2価の基、Rは炭素数4〜18の3価の基を示す。またYはN原子またはO原子を含む2価の基を示し、sは0または1の整数を示す。)
【0052】
、R、R、R、Rの好ましい例としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基、ベヘニル基、ヘキサコシル基、トリアコンチル基、オレイル基および末端に水酸基を有する炭素数1〜15のヒドロキシアルキル基等が挙げられる。またR、Rの他の好ましい例としてはメチル基、エチル基、ベンジル基、フェニルエチル基、シクロヘキシルメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられ、環状の構造を形成する場合にはブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、−COC−基、−CNC−基、−COCOC−基等が挙げられる。Rの好ましい例としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、−COC−基、−COC−基、−COCOC−基等が挙げられる。
またRの好ましい例として、
【0053】
【化16】

等が挙げられる。
Yの好ましい例としてはアミド基、ウレタン基、エステル基、尿素基、ケトン基、ジアシルヒドラジド基等が挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
一般式[3]〜[13]で表される化合物の具体的な例として以下のものが挙げられる。
1123CONHC1225、C1531CONHC1633、C1735CONHC1837、C1735CONHC1835、C2143CONHC1837、C2143CONHC2245、C2959CONHC2245、C1531CONHC1837、C1735CONHCHNHCOC1735、C1123CONHCHNHCOC1123、C15CONHCNHCOC1735、C19CONHCNHCOC19、C1123CONHCNHCOC1123、C1735CONHCNHCOC1735、(CHCHC1428CONHCNHCOC1428(CH、C2143CONHCNHCOC2143、C1735CONHC12NHCOC1735、C2143CONHC12NHCOC2143、C1733CONHCHNHCOC1733、C1733CONHCNHCOC1733、C2141CONHCNHCOC2141、C1733CONHC12NHCOC1733、C17NHCOCCONHC1837、C1021NHCOCCONHC1021、C1225NHCOCCONHC1225、C1837NHCOCCONHC1837、C2143NHCOCCONHC2143、C1837NHCOC12CONHC1837、C1835NHCOCCONHC1835、C1835NHCOC16CONHC1835、 C1225OCONHC1837、C1327OCONHC1837、C1633OCONHC1837、C1837OCONHC1837、C2143OCONHC1837、2143OCONHC2143、2245OCONHC2959、1225OCONHC1633、C1327OCONHC1633、C1633OCONHC1633、C1837OCONHC1633、C2143OCONHC1633、C1225OCONHC1429、C1327OCONHC1429、C1633OCONHC1429、C1837OCONHC1429、C2245OCONHC1429、C1225OCONHC1225、C1327OCONHC1225、C1633OCONHC1225、C1837OCONHC1225、C2143OCONHC1225、C2245OCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOC12OCONHC1837、C1837NHCOOC16OCONHC1837、C1837NHCOOCOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCOCONHC1837、C1837NHCOOC1224OCONHC18371837NHCOOCOCOCOCONHC1837、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOC12OCONHC1633、C1633NHCOOC16OCONHC1633、C1837OCOHNC12NHCOOC1837、C1633OCOHNC12NHCOOC1633、C1429OCOHNC12NHCOOC1429、C1225OCOHNC12NHCOOC1225、C1021OCOHNC12NHCOOC1021、C17OCOHNC12NHCOOC17、C1837COOC1836OCOC1837、C2143COOC1836OCOC2143、C1837OCOC1836COOC1837、C2245OCOC1836COOC2245
【0055】
【表3−1】

【0056】
【表3−2】

【0057】
【表3−3】

【0058】
【表3−4】

【0059】
【表3−5】

[表3−3]及び[表3−5]中、XはN原子またはO原子を含む2価の基を示し、好ましい例としてはアミド基、ウレタン基、エステル基、尿素基、ケトン基、ジアシルヒドラジド基等が挙げられる。また、n,n’,n’’,n’’’,n’’’’,n’’’’’は0〜29の整数を示す。ただし全てが5以下であることはない。
【0060】
また、本発明によれば、可逆性感熱記録層上に架橋状態にある樹脂を含有する保護層を設けることができる。該保護層に用いられる樹脂としては、前述の可逆性感熱記録層と同様の熱硬化樹脂、および/または従来公知の紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂を用いることができる。さらに、本発明においては保護層中に従来公知の無機/有機のフィラー、滑剤、紫外線吸収性材料などを含有して用いても良い。保護層の形成において、保護層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法、乾燥・硬化方法等は上記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
【0061】
さらに、可逆性感熱記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗布による可逆性感熱記録層の変質防止、保護層に含まれる添加剤が可逆性感熱記録層へ移行する、あるいは、可逆性感熱記録層に含まれる添加剤が保護層へ移行することを防止する目的で、両者の間に中間層を設けても良い。中間層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法、乾燥・硬化方法等は上記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。さらに、本発明においては中間層中に従来公知の無機/有機のフィラー、滑剤、紫外線吸収性材料などを含有して用いても良い。
【0062】
本発明の可逆性感熱記録媒体の支持体としては、紙、樹脂フィルム、PETフィルム、合成紙、金属箔、ガラスまたはこれらの複合体などであり、可逆性感熱記録層を保持できるものであればよい。また、必要に応じた厚みのものが単独あるいは貼り合わす等して用いることができる。すなわち、好ましくは60〜150μmで、数μm程度から数mm程度まで任意の厚みの支持体が用いられる。
【0063】
また、本発明において、記録時に媒体に与えられた熱を有効利用して発色感度を向上させるために、支持体と可逆性感熱記録層の間に断熱層を設けることができる。断熱層は、有機または無機の微小中空体粒子を含有したバインダー樹脂を用いて塗布することにより形成できる。
【0064】
断熱層には、前記の可逆性感熱記録層、中間層、保護層の樹脂と同様の樹脂を用いることができる。また、断熱層には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルクなどの無機フィラーおよび/または各種有機フィラーを含有させることができる。その他、界面活性剤、分散剤などを含有させることもできる。
また、前記断熱層を設ける場合、接着層を介して設けることにより、クラック発生防止やバリの発生が改善される。
該接着層は、上記の各層と同様の塗工方式等で形成することができる。
【0065】
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、上述した可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の可逆性感熱記録層を形成する面と反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたものである。
この可逆性感熱記録ラベルには、接着剤層又は粘着剤層を形成したもの(無剥離紙型)と、その接着剤層又は粘着剤層の下に剥離紙をつけるもの(剥離紙型)とがあり、接着剤層を構成する材料としては、ホットメルト型のものが通常用いられる。
【0066】
接着剤層又は粘着剤層の材料は、一般的に用いられているものが使用可能である。
例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコン系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、該可逆性感熱記録媒体を構成する少なくとも可逆性感熱層を可逆表示部として機能させ、それと情報記憶機能のある部材(情報記憶部)と合わせて作製される情報表示記憶部を有する部材として用いることができる。
【0068】
次に、該情報表示記憶部を有する部材について説明する。
この情報記憶部と可逆表示部を有する部材としては、次の3つのものに大別できる。
(1)情報記憶機能のある部材の一部を可逆性感熱記録媒体の支持体として用い、そこに可逆性感熱層を直接形成したもの。
(2)情報記憶機能のある部材に、別途形成された、支持体上に可逆性感熱層を有する可逆性感熱記録媒体の支持体面を接着したもの。
(3)情報記憶機能のある部材に、前記可逆性感熱記録ラベルが接着剤層又は粘着剤層を介して、接着されたもの。
【0069】
これら(1)、(2)、(3)場合、情報記憶部と可逆表示部のそれぞれの機能が発揮できるよう設定されることが必要であり、そうでありさえすれば情報記憶部の設定位置は目的に応じて任意に選定でき、可逆性感熱記録媒体における支持体の可逆性感熱層を設けた面と反対側の面に設けることも、支持体と感熱層との間でも、あるいは感熱層上の一部に設けることもできる。
【0070】
この情報記憶部を有する部材としては、特に限定されないが、一般的なカード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットを用いることができる。
【0071】
これらの例としては、ICカードや光カード等の厚手カード、フレキシブルディスク、光磁気記録ディスク(MD)やDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスク、CD−R等の追記型ディスク、相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)、ビデオテープカセット等を挙げることができる。
この可逆表示機能と情報記憶機能の双方を有する情報表示記憶部材は、例えばカードの場合で説明すると、情報記憶部に記憶された情報の一部を可逆性感熱記録層に表示することによって、カード所有者等は、特別な装置がなくてもカードを見るのみで情報を確認することができて、可逆性感熱記録媒体を適用しないカードに比べてその利便性が非常に向上することになる。
【0072】
情報記憶部は、必要な情報を記憶できるものでありさえすれば特に限定されないが、例えば、磁気記録、接触型IC、非接触型ICあるいは光メモリが有用である。
磁気記録層は、通常用いられる酸化鉄、バリウムフェライト等のような金属化合物及び塩ビ系、ウレタン系及びナイロン系のような樹脂等を用いて支持体に塗工形成するか、または樹脂を用いず前記の金属化合物を用いて蒸着、スパッタリング等の方法により形成される。また、表示に用いる可逆性感熱記録媒体における可逆性感熱記録層をバーコード、2次元コード等のようなやり方で表示部として用いることもできる。
【0073】
また、前記(3)の可逆性感熱記録ラベルを用いる例として、磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等のように、支持体として可逆性感熱記録層の塗布が困難な厚手のもの場合には、その全面又は一部に接着剤層又は粘着剤層を設けることができる(図2〜4参照)。
こうすることによって、磁気に記憶された情報の一部を表示することができる等、この媒体の利便性を向上できる。
この接着剤層又は粘着剤層を設けた可逆性感熱記録ラベルとしては、上記の磁気付塩ビカードだけでなく、ICカードや光カード等の厚手カードにも適用できる。
【0074】
また、この可逆性感熱記録ラベルは、フレキシブルディスク、MDやDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ上の表示ラベルの代わりとして用いることができる。
さらに、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスクの場合には、直接ディスクに可逆性感熱記録ラベルを貼ることや、直接ディスク上に可逆性感熱記録層を設けることもできる。こうすることによって、それらの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更する等の用途への応用が可能である。
【0075】
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、CD−Rなどの追記型ディスク上に可逆性感熱記録ラベルを貼って、CD−Rに追記した記憶情報の一部を書換え表示することも可能である。
さらに、ビデオテープカセットの表示ラベルとして用いてもよい。
厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に熱可逆記録機能を設ける方法としては、上記の可逆性感熱記録ラベルを貼る方法以外に、それらの上に可逆性感熱記録層を直接塗布する方法や、予め別の支持体上に可逆性感熱記録層を形成しておき、厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に該感熱記録層を転写する方法等がある。
転写する場合には、可逆性感熱記録層上にホットメルトタイプ等の接着層や粘着層を設けておいてもよい。
厚手カード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット等のように剛直なものの上に可逆性感熱記録ラベルを貼着したり、可逆性感熱記録層を設ける場合には、サーマルヘッドとの接触性を向上させ、画像を均一に形成するために、弾力がありクッションとなる層又はシートを、剛直な基体とラベル又は可逆性感熱記録層の間に設けることが好ましい。
【0076】
本発明は、さらに、上記可逆性感熱記録媒体、上記情報記憶部を有する部材又は上記ラベルを用い、加熱により画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法を提供する。情報記憶部を有する部材を用いた画像処理方法に用いる画像処理装置の模式図を図5に示す。
【0077】
画像の形成は、サーマルヘッド、レーザ等、該媒体を画像上に部分的に加熱可能である画像記録手段が用いられる。画像の消去は、ホットスタンプ、セラミックヒータ、ヒートローラ、熱風等やサーマルヘッド、レーザ等の画像消去手段が用いられる。
この中では、セラミックヒータが好ましく用いられる。セラミックヒータを用いることにより、装置が小型化でき、かつ安定した消去状態が得られ、コントラストのよい画像が得られる。
セラミックヒータの設定温度は、90℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
また、画像消去手段としてサーマルヘッドを用いることにより、さらに装置全体の小型化が可能となり、また、消費電力を低減することが可能であり、バッテリー駆動のハンディタイプの装置も可能となる。形成用と消去用を兼ねて一つのサーマルヘッドとすれば、さらに小型化が可能となる。
【0078】
一つのサーマルヘッドで形成と消去を行なう場合、一度前の画像を全部消去した後、あらためて新しい画像を形成してもよく、画像毎にエネルギーを変えて一度に前の画像を消去し、新しい画像を形成していくオーバーライト方式も可能である。
オーバーライト方式では、画像の形成と消去を合わせた時間が少なくなり、記録のスピードアップにつながる。可逆性感熱記録層と情報記憶部を有するカードを用いる場合、上記の装置には、情報記憶部の記憶を読み取る手段と書き換える手段も含まれる。
【実施例】
【0079】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、文中、部又は%とあるのは特に断わりのない限り重量基準である。
【0080】
実施例1
[可逆性感熱記録媒体の作製]
<可逆性感熱記録層の作製>
下記の構造の顕色剤 4部
【0081】
【化17】

アクリルポリオール樹脂の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液 9部
メチルエチルケトン(MEK) 70部
【0082】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。上記組成の可逆性感熱記録層塗布液を、厚さ約250μmの磁気層付き白色PETフィルム(大日本インキ製)上にワイヤーバーを用い塗布し、115℃1分で乾燥した後、60℃で24時間加熱して、膜厚約10.0μmの可逆性感熱記録層を設けた。
【0083】
この記録層上に下記組成よりなる中間層液をワイヤーバーを用い塗布し、90℃1分で乾燥した後、60℃2時間加熱して、膜厚約2.0μmの中間層を設けた。更に、下記組成よりなる保護層液をワイヤーバーを用いて塗工した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を12m/分の搬送速度で通して硬化して膜厚3μmの保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0084】
〔中間層液〕
ポリエステルポリオール樹脂
(武田薬品工業社製タケラックU−21)の
10%メチルエチルケトン(MEK)溶液 100部
酸化亜鉛(住友大阪セメント社製) 10部
コロネートHL(日本ポリウレタン社製) 15部
【0085】
〔保護層液〕
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂(大日本インキ社製C7−157) 7部
ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性アクリル酸エステル
(日本化薬社製KAYARADDPCA−120) 3部
シリカ(水沢化学社製P−527) 1.5部
酢酸エチル 90部
【0086】
実施例2
実施例1で用いた記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
<可逆性感熱記録層の作製>
下記の構造の顕色剤 4部
【0087】
【化18】

アクリルポリオール樹脂の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液 9部
メチルエチルケトン(MEK) 70部
【0088】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
【0089】
実施例3
実施例1で用いた記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
<可逆性感熱記録層の作製>
下記の構造の顕色剤 4部
【0090】
【化19】

アクリルポリオール樹脂の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液 9部
メチルエチルケトン(MEK) 70部
【0091】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
【0092】
実施例4
実施例1で用いた記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
<可逆性感熱記録層の作製>
下記の構造の顕色剤 4部
【0093】
【化20】

アクリルポリオール樹脂の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液 9部
メチルエチルケトン(MEK) 70部
【0094】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
【0095】
実施例5
実施例1で用いた記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
<可逆性感熱記録層の作製>
下記の構造の顕色剤 4部
【0096】
【化21】

アクリルポリオール樹脂の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液 9部
メチルエチルケトン(MEK) 70部
【0097】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
【0098】
実施例6
実施例1で用いた記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
<可逆性感熱記録層の作製>
下記の構造の顕色剤 4部
【0099】
【化22】

アクリルポリオール樹脂の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液 9部
メチルエチルケトン(MEK) 70部
【0100】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)フルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
【0101】
実施例7
実施例1で用いた記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
<可逆性感熱記録層の作製>
下記の構造の顕色剤 4部
【0102】
【化23】

アクリルポリオール樹脂の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液 9部
メチルエチルケトン(MEK) 70部
【0103】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
【0104】
実施例8
実施例1で用いた記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
<可逆性感熱記録層の作製>
下記の構造の顕色剤 4部
【0105】
【化24】

下記の構造の消色促進剤 1部
2143CONHC1837
アクリルポリオール樹脂の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液 9部
メチルエチルケトン(MEK) 70部
【0106】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−(ジn−ブチルアミノ)フルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
【0107】
実施例9
実施例1で用いた記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
<可逆性感熱記録層の作製>
下記の構造の顕色剤 4部
【0108】
【化25】

下記の構造の消色促進剤 1部
1837OCONHC1837
アクリルポリオール樹脂の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液 9部
メチルエチルケトン(MEK) 70部
【0109】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−(ジn−ブチルアミノ)フルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
【0110】
実施例10
実施例9と同様の支持体上に下記の断熱層液を用いてワイヤーバーにて塗布した後に、80℃、2minの乾燥を行ない、膜厚約20μmの断熱層を形成した。更に、その上に実施例1の可逆性感熱記録層、中間層及び保護層を実施例1と同様にして塗布し、可逆性感熱記録媒体を作成した。
【0111】
<断熱層液の作製>
スチレン−ブタジエン系共重合体
(日本エイアンドエル社製、PA−9159) 30部
ポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバールPVA103) 12部
中空粒子(松本油脂社製、マイクロスフェアーR−300) 20部
水 40部
上記組成物を加え、断熱層液が均一状態に分散できるまで、約1時間程攪拌し、断熱層液を作成した。
【0112】
比較例1
実施例1で用いた記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
<可逆性感熱記録層の作製>
下記の構造の顕色剤 4部
【0113】
【化26】

アクリルポリオール樹脂の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液 9部
メチルエチルケトン(MEK) 70部
【0114】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
【0115】
比較例2
実施例1で用いた記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
<可逆性感熱記録層の作製>
下記の構造の顕色剤 4部
【0116】
【化27】

アクリルポリオール樹脂の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液 9部
メチルエチルケトン(MEK) 70部
【0117】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
【0118】
比較例3
実施例1で用いた記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
<可逆性感熱記録層の作製>
下記の構造の顕色剤 4部
【0119】
【化28】

アクリルポリオール樹脂の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液 9部
メチルエチルケトン(MEK) 70部
【0120】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
【0121】
<発色感度試験>
各実施例及び比較例で作成した可逆性感熱記録媒体をビーコム株式会社製印字装置にてパルス幅2msec一定のもと電圧変動(10V〜22V)によるエネルギーを可変させて0.15mJ/dot〜0.71mJ/dotの範囲内で16階調の画像を形成し、マクベス濃度計R914にて測定をして画像濃度1.0に達した印加エネルギー値を算出した。
【0122】
<消色特性評価>
上記発色特性評価にて飽和発色させたものに対し、東洋精機社製熱傾斜試験器で1Kgf/cm、0.5秒間加熱し、最も消去された部分の濃度をマクベス濃度計R914にて測定し、消去濃度として求めた。
【0123】
<画像保存性試験>
前記のようにして作成した印字画像を高温(55℃、20%RH)環境下に24時間保存し、保存前後の画像濃度をマクベス濃度計RD−914を用いて測定し、画像濃度保持率(画像保持率)を求めた。
【0124】
【数1】

【0125】
以上の結果を表4に示す。
【0126】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の可逆性感熱発色組成物の発色・消色特性を示す図である。
【図2】本発明の可逆性感熱記録ラベルをMDのディスクカートリッジ上に貼った例を示す図である。
【図3】本発明の可逆性感熱記録ラベルをCD−RW上に貼った例を示す図である。
【図4】本発明の可逆性感熱記録ラベルをビデオテープカセットの表示ラベルとして用いた例を示す図である。
【図5】本発明の画像処理装置の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0128】
34 磁気ヘッド
38 セラミックヒータ
40 搬送ローラ
47 搬送ローラ
53 サーマルヘッド




【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得る可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該電子受容性化合物として下記式[1]で表わされるフェノール化合物を用いることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【化1】


(式中、lは17〜39の整数を表わす)
【請求項2】
支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得る可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該電子受容性化合物として下記式[2]で表わされるフェノール化合物を用いることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【化2】


(式中、mは2〜30の整数を、nは10〜40の整数を表わす)
【請求項3】
前記電子供与性呈色性化合物として2−アニリノ−3−メチル−6−(ジn−ブチルアミノ)フルオラン,2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)フルオランおよび2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランのうち少なくとも1種以上を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項4】
前記可逆性感熱記録層が分子中に少なくとも1つ以上のN原子および/またはO原子を含む2価の基を有する消色促進剤を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項5】
前記消色促進剤が分子中に少なくとも1つ以上のウレタン基および/またはエステル基を含むことを特徴とする請求項4に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項6】
前記支持体と前記可逆性感熱記録層の間に断熱層を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項7】
情報記憶部と可逆表示部を有し、該可逆表示部が少なくとも請求項1乃至6のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を構成する可逆性感熱記録層からなるものであることを特徴とする情報記憶部を有する部材。
【請求項8】
前記情報記憶部を有する部材が、カード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の情報記憶部を有する部材。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の、可逆性感熱記録層を形成する面とは反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたことを特徴とする可逆性感熱記録ラベル。
【請求項10】
請求項9に記載の可逆性感熱記録ラベルを用いて可逆表示部が設けられているものであることを特徴とする請求項7又は8に記載の情報記憶部を有する部材。
【請求項11】
請求項1乃至6のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体、又は請求項9に記載の可逆性感熱記録ラベル、或いは請求項7、8、10のいずれかに記載の情報記憶部を有する部材において、可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
サーマルヘッドを用いて画像を形成することを特徴とする請求項11に記載の画像処理方法。
【請求項13】
サーマルヘッド又はセラミックヒータを用いて画像を消去することを特徴とする請求項11に記載の画像処理方法。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−55096(P2007−55096A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243042(P2005−243042)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】