説明

可逆熱変色性印刷物

【課題】 加熱発色像と加熱消色像のいずれか一方が他方の像の視認角度を変えた状態の像であり、加熱或いは冷却することにより、像が回転したり、転回するといった動的視覚を伴って視認される可逆熱変色性印刷物を提供する。
【解決手段】 支持体2上に、消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの降温により消色する加熱発色型可逆熱変色性顔料を含む加熱発色像3と、発色状態からの加熱により消色し、消色状態からの冷却により発色する加熱消色型可逆熱変色性顔料を含む加熱消色像を設けた印刷物であって、前記加熱発色像と加熱消色像のいずれか一方は他方の像の視認角度を変えた状態の像であり、加熱消色像が発色状態では加熱発色像が消色状態を示し、且つ、加熱消色像が消色状態では加熱発色像が発色状態を示す可逆熱変色性印刷物1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆熱変色性印刷物に関する。更に詳細には、温度変化により熱変色像が動的視覚を伴って視認される可逆熱変色性印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発色状態からの加熱により消色し、消色状態からの冷却により発色する加熱消色型の可逆熱変色性顔料を含む加熱消色像と、消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの降温により消色する加熱発色型の可逆熱変色性顔料を含む加熱発色像を組み合わせた表示体が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
前記可逆熱変色性表示体は、加熱又は冷却によって異なる像を視認することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−194295号公報
【特許文献2】特開2004−25842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記加熱発色型の可逆熱変色性顔料と、加熱消色型の可逆熱変色性顔料とを併用する系において、温度変化により像が角度を変えた状態で視認される意外性、マジック性を付与した可逆熱変色性印刷物を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、支持体上に、消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの降温により消色する加熱発色型可逆熱変色性顔料を含む加熱発色像と、発色状態からの加熱により消色し、消色状態からの冷却により発色する加熱消色型可逆熱変色性顔料を含む加熱消色像とを設けた印刷物であって、前記加熱発色像と加熱消色像のいずれか一方は他方の像の視認角度を変えた状態の像であり、加熱消色像が発色状態では加熱発色像が消色状態を示し、且つ、加熱消色像が消色状態では加熱発色像が発色状態を示す可逆熱変色性印刷物を要件とする。
更には、前記加熱発色像と、加熱消色像はいずれか一方が他方の像を反対側から視認した像であることを要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、加熱発色像と加熱消色像のいずれか一方が他方の像の視認角度を変えた状態の像であり、加熱又は冷却することにより、像が回転したり、転回するといった動的視覚を伴って視認される意外性、マジック性を満足させた可逆熱変色性印刷物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に適用する加熱消色型可逆熱変色性顔料の温度−色濃度曲線を示すグラフである。
【図2】本発明に適用する加熱発色型可逆熱変色性顔料の温度−色濃度曲線を示すグラフである。
【図3】本発明の可逆熱変色性印刷物の一実施例の加熱消色像が発色し、加熱発色像が消色した状態を示す正面図である。
【図4】図3の可逆熱変色性印刷物の加熱消色像が消色し、加熱発色像が発色した状態を示す正面図である。
【図5】本発明の可逆熱変色性印刷物の他の実施例の加熱消色像が発色し、加熱発色像が消色した状態を示す正面図である。
【図6】図5の可逆熱変色性印刷物の加熱消色像が消色し、加熱発色像が発色した状態を示す正面図である。
【図7】本発明の可逆熱変色性印刷物の他の実施例の加熱消色像が発色し、加熱発色像が消色した状態を示す正面図である。
【図8】図7の可逆熱変色性印刷物の加熱消色像が消色し、加熱発色像が発色した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
前記支持体は、印刷適性を備えた基材であれば全て有効である。
前記支持体の材質は特に限定されないが、紙、合成紙、布帛、フィルム、プラスチック、ゴム、合成皮革、皮革、ガラス、陶磁器、木材、石材等が挙げられる。
前記支持体の形状としては平面状、シート状のものが好ましいが、凹凸を有する形状、容器等の立体形状であってもよい。
シート状のものにあっては、対象物に貼付等により取り付けて実用に供することもできる。
前記支持体が容器の場合、前記容器内に所定温度の温水、冷水等の液体を注入することにより、容器に設けた熱変色像の現出、消失の熱源又は冷熱源として利用することができる。
前記容器としては、コップ、グラス、マグカップ、湯呑等の飲料用容器が好適である。
【0009】
前記発色状態からの加熱により消色し、消色状態からの冷却により発色する加熱消色型可逆熱変色性顔料としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物及び(ハ)前記(イ)と(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した加熱消色型可逆熱変色性顔料(加熱消色型可逆熱変色性マイクロカプセル顔料)が用いられる。
前記可逆熱変色性顔料は、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する。
前記加熱消色型可逆熱変色性顔料の変色挙動を図1の色濃度−温度曲線によって説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されており、温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。
消色状態からの降温過程で発色開始温度(t)に達すると発色し始め、完全発色温度(t)に達すると完全に発色状態になり、発色状態からの昇温過程で消色開始温度(t)に達すると消色し始め、完全消色温度(t)に達すると完全に消色状態になる。
(t+t)/2−(t+t)/2がヒステリシスの程度を示す温度幅(ヒステリシス幅:ΔH)である。
【0010】
前記加熱消色型可逆熱変色性顔料に適用される(イ)成分としては、公知のジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が用いられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ジフェニルアミノフルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、
3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン、
3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジメチルアミノ)−2−メチルフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン、
3′,6′−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3′,6′−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3′,6′−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
4−[2,6−ビス(2−エトキシフェニル)−4−ピリジニル]−N,N−ジメチルベンゼンアミン等を挙げることができる。
【0011】
前記加熱消色型可逆熱変色性顔料に適用される(ロ)電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)2−エチルヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0012】
前記加熱消色型可逆熱変色性顔料に適用される(ハ)前記(イ)と(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体としては、公知のアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類等が用いられる。
前記アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
【0013】
前記エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、p−tert−ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジステアレート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
又、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状もしくは炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1,1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、パルミチン酸2−メチルヘキシル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7−ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7−ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7−ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7−ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が挙げられる。
【0014】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナダカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
更には、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を用いることもできる。
【0015】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0016】
酸アミ類としては、以下に示す化合物が有効であり、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N−メチルアミド、カプリル酸N−メチルアミド、カプリン酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−メチルアミド、ミリスチン酸N−メチルアミド、パルミチン酸N−メチルアミド、ステアリン酸N−メチルアミド、ベヘニン酸N−メチルアミド、オレイン酸N−メチルアミド、エルカ酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−エチルアミド、ミリスチン酸N−エチルアミド、パルミチン酸N−エチルアミド、ステアリン酸N−エチルアミド、オレイン酸N−エチルアミド、ラウリン酸N−ブチルアミド、ミリスチン酸N−ブチルアミド、パルミチン酸N−ブチルアミド、ステアリン酸N−ブチルアミド、オレイン酸N−ブチルアミド、ラウリン酸N−オクチルアミド、ミリスチン酸N−オクチルアミド、パルミチン酸N−オクチルアミド、ステアリン酸N−オクチルアミド、オレイン酸N−オクチルアミド、ラウリン酸N−ドデシルアミド、ミリスチン酸N−ドデシルアミド、パルミチン酸N−ドデシルアミド、ステアリン酸N−ドデシルアミド、オレイン酸N−ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N−メチルアミド、アジピン酸N−メチルアミド、グルタル酸N−メチルアミド、マロン酸N−メチルアミド、アゼライン酸N−メチルアミド、コハク酸N−エチルアミド、アジピン酸N−エチルアミド、グルタル酸N−エチルアミド、マロン酸N−エチルアミド、アゼライン酸N−エチルアミド、コハク酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−ブチルアミド、グルタル酸N−ブチルアミド、マロン酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−オクチルアミド、アジピン酸N−ドデシルアミド等が挙げられる。
【0017】
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
前記可逆熱変色性顔料は可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包することにより得られる。
マイクロカプセル化は従来より公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等が適宜選択される。更に、マイクロカプセルの表面には二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を向上させたり、表面特性を改質させて実用に供することができる。
マイクロカプセル化して顔料形態となすことにより、酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は溶剤成分と接触しても、組成物の機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性が保持できるため、多様な使用条件下において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができる。
前記マイクロカプセルは平均粒子径が0.1〜50μm、好ましくは0.1〜30μm、より好ましくは、0.5〜20μmの範囲が実用性を満たす。
平均粒子径が50μmを越えると、インキ、塗料等への適用に際して、分散安定性や加工適性に欠ける。
一方、平均粒子径が0.1μm以下では、高濃度の発色性を示し難くなる。
なお、粒子径の測定はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製;LA−300〕を用いて測定し、その数値を基に平均粒子径(メジアン径)を算出する。
【0018】
前記消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの降温により消色する加熱発色型可逆熱変色性顔料としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物として例えば、炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物(特開平11−129623号公報)、ヒドロキシ安息香酸エステル(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル(特開2003−253149号公報)、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した加熱発色型可逆熱変色性顔料(加熱発色型可逆熱変色性マイクロカプセル顔料)が用いられる。
【0019】
前記加熱発色型可逆熱変色性顔料に適用される(イ)電子供与性呈色性有機化合物は、前記加熱消色型可逆熱変色性顔料に適用される(イ)成分と同様の化合物が用いられる。
【0020】
前記加熱発色型可逆熱変色性顔料に適用される(ロ)電子受容性化合物としては、アルコキシフェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル、没食子酸エステルが有効である。
前記アルコキシフェノールとしては、p−n−プロピルオキシフェノール、p−n−ブチルオキシフェノール、p−n−ペンチルオキシフェノール、p−n−ヘキシルオキシフェノール、p−n−ヘプチルオキシフェノール、p−n−オクチルオキシフェノール、p−n−ノニルオキシフェノール、p−n−デシルオキシフェノール、p−n−ウンデシルオキシフェノール、p−n−ドデシルオキシフェノール、p−n−トリデシルオキシフェノール、p−n−テトラデシルオキシフェノール、p−n−ペンチルデシルフェノール、p−n−ヘキシルデシルオキシフェノール、p−n−ヘプチルデシルオキシフェノール、p−n−オキシデシルフェノール、p−n−ヘプチルオキシフェノール、p−n−オクチルデシルフェノール、p−イソプロピルオキシフェノール、p−1−メチルプロピルオキシフェノール、p−3−メチルブチルオキシフェノール、p−2−メチルペンチルオキシフェノール、p−1−エチルペンチルオキシフェノール、p−1−エチルヘキシルオキシフェノール、p−3、5、5−トリメチルヘキシルオキシフェノール、p−3、7−ジメチルオクチルオキシフェノール、p−1−エチルプロピルオキシフェノール、p−2−メチルヘキシルオキシフェノール、p−1−メチルヘプチルオキシフェノール、p−1−メチルオクチルオキシフェノールを挙げることができる。
前記ヒドロキシ安息香酸エステルとしては、3−ヒドロキシ安息香酸トリデシルエステル、3−ヒドロキシ安息香酸テトラデシルエステル、3−ヒドロキシ安息香酸ペンタデシルエステル、3−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル、3−ヒドロキシ安息香酸ヘプタデシルエステル、3−ヒドロキシ安息香酸オクタデシルエステル、3−ヒドロキシ安息香酸ノナデシルエステル、3−ヒドロキシ安息香酸エイコシルエステル、3−ヒドロキシ安息香酸ヘンエイコシルエステル、3−ヒドロキシ安息香酸ドコシルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸トリデシルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸テトラデシルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸ペンタデシルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸ヘプタデシルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸オクタデシルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸ノナデシルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸エイコシルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸ヘンエイコシルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸ドコシルエステル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸トリデシルエステル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸テトラデシルエステル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸ペンタデシルエステル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸ヘプタデシルエステル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸オクタデシルエステル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸ノナデシルエステル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エイコシルエステル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸ヘンエイコシルエステル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸ドコシルエステル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸トリデシルエステル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸テトラデシルエステル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸ペンタデシルエステル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸ヘプタデシルエステル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸オクタデシルエステル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸ノナデシルエステル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸エイコシルエステル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸ヘンエイコシルエステル等を挙げることができる。
前記没食子酸エステルとしては、没食子酸ドデシル、没食子酸トリデシル、没食子酸テトラデシル、没食子酸ペンタデシル、没食子酸ヘキサデシル、没食子酸オクタデシル、没食子酸エイコシル、没食子酸ベヘニル等を挙げることができる。
【0021】
前記加熱発色型可逆熱変色性顔料に適用される(ハ)成分である前記(イ)と(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体としては、前記加熱消色型可逆熱変色性顔料に適用される(ハ)成分と同様の化合物が用いられる。
【0022】
前記加熱発色型可逆熱変色性顔料の変色挙動を図2の色濃度−温度曲線によって説明する。
図2において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されており、温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。
消色状態からの昇温過程で発色開始温度(T)に達すると発色し始め、完全発色温度(T)に達すると完全に発色状態になり、発色状態からの降温過程で消色開始温度(T)に達すると消色し始め、完全消色温度(T)に達すると完全に消色状態になる。
(T+T)/2−(T+T)/2がヒステリシスの程度を示す温度幅(ヒステリシス幅:ΔH)である。
【0023】
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分に、(ニ)成分として融点50℃以上の単分子有機化合物又は軟化点が70℃以上の高分子化合物を添加すると、前記(ニ)成分の作用により系内の結晶化を促進し、(ロ)成分の析出速度(白化)を早め、当該(ニ)成分の未添加の系に比べて、消色開始温度(T)及び完全消色温度(T)を高温側にシフトさせ、発色保持温度幅の狭小化により、加熱により発色させた後にあって、特殊の冷却具を適用することなく、元の消色状態への復帰を促進させることができる。
【0024】
前記(ニ)成分を以下に具体的に例示する。
融点50℃以上の単分子有機化合物としては、脂肪酸エステル類や二塩基酸エステル類等のエステル類、ケトン類、酸アミド類、エーテル類、炭化水素類が挙げられる。
前記脂肪酸エステル類は、ラウリン酸エイコシル、ラウリン酸ベヘニル、ラウリン酸テトラコシル、ラウリン酸ヘキサコシル、ラウリン酸オクタコシル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、ミリシチン酸エイコシル、ミリスチン酸ベヘニル、ミリスチン酸テトラコシル、ミリスチン酸ヘキサコシル、ミリスチン酸オクタコシル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ステアリル、パルミチン酸エイコシル、パルミチン酸ベヘニル、パルミチン酸テトラコシル、パルミチン酸ヘキサコシル、パルミチン酸オクタコシル、ステアリン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸エイコシル、ステアリン酸ベヘニル、ステアリン酸テトラコシル、ステアリン酸ヘキサコシル、ステアリン酸オクタコシル、エイコ酸デシル、エイコ酸ウンデシル、エイコ酸トリデシル、エイコ酸ミリスチル、エイコ酸セチル、エイコ酸ステアリル、エイコ酸エイコシル、エイコ酸ドコシル、エイコ酸テトラコシル、エイコ酸ヘキサコシル、エイコ酸オクタコシル、ベヘン酸メチル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸オクチル、ベヘン酸デシル、ベヘン酸ウンデシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸トリデシル、ベヘン酸ミリスチル、ベヘン酸セチル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸エイコシル、べへン酸ベヘニル、ベヘン酸テトラコシル、ベヘン酸ヘキサコシル、ベヘン酸オクタコシル等を挙げることができる。
前記二塩基酸エステル類としては、シュウ酸ジステアリル、シュウ酸ジエイコシル、シュウ酸ベヘニル、コハク酸ジステアリル、コハク酸エイコシル、コハク酸ベヘニル、グルタル酸ジステアリル、グルタル酸ジエイコシル、グルタル酸ベヘニル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、アジピン酸エイコシル、アジピン酸ベヘニル、スベリン酸ジセチル、スベリン酸ジステアリル、スベリン酸ジエイコシル、スベリン酸ベヘニル、アゼライン酸ミリスチル、アゼライン酸ジセチル、アゼライン酸ジステアリル、アゼライン酸エイコシル、アゼライン酸ベヘニル、セバシン酸ジミリスチル、セバシン酸ジセチル、セバシン酸ジステアリル、セバシン酸ジエイコシル、セバシン酸ジベヘニル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジセチル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジステアリル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸酸ジラウリル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジセチル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジステアリル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジデシル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジラウリル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジセチル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジステアリル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジデシル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジラウリル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジセチル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジステアリル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジベヘニル、トリミリスチン、トリパルミチン、トリステアリン、トリノナデカノイン、カプロン酸コレステロール、カプリル酸コレステロール、カプリン酸コレステロール、ウンデカン酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、エイコサン酸コレステロール、ベヘン酸コレステロール等を挙げることができる。
【0025】
前記ケトン類のうち、好適に用いられる脂肪族ケトン類としては、ジオクチルケトン、ジノニルケトン、ジウンデシルケトン、ジトリデシルケトン、ジペンタデシルケトン、ジヘプタデシルケトン、ジノナデシルケトン、フェニルオクチルケトン、フェニルウンデシルケトン、フェニルトリデシルケトン、フェニルペンタデシルケトン、フェニルヘプタデシルケトン等が挙げられる。
【0026】
前記酸アミド類のうち、好適に用いられる脂肪族酸アミド類としては、ヘキシルアミド、ヘプチルアミド、オクチルアミド、ノニルアミド、デシルアミド、ウンデシルアミド、ラウリルアミド、トリデシルアミド、ミリスチルアミド、パルミチルアミド、ステアリルアミド、エイコシルアミド、ベヘニルアミド、ヘキサコシルアミド、オクタコシルアミド等が挙げられる。
【0027】
前記エーテル類としては、ペンタデシルエーエル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、ジエイコシルエーテル、ジドコシルエーテル等が挙げられる。
脂肪酸としては、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ベヘン酸、トリコサン酸、リグノセリン酸、ペンタコサン酸、セロチン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、メリシン酸等が挙げられる。
【0028】
前記炭化水素類としては、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、トリトリアコンタン、テトラトリアコンタン、1−テトラコセン、1−ペンタコセン、1−ヘキサコセン、1−ヘプタコセン、1−オクタコセン、1−ノナコセン、1−トリアコンテン等が挙げられる。
【0029】
軟化点が70℃以上の高分子化合物としては、アクリル共重合芳香族炭化水素樹脂を例示でき、具体的には、アクリルスチレン共重合樹脂〔三洋化成(株)製、商品名:ハイマーSBM100、ハイマーSBM73F〕を挙げることができる。
【0030】
前記加熱発色型可逆熱変色性顔料を構成する各成分の配合割合について以下に説明する。
前記三成分系では、(イ)成分1〜60質量部、好ましくは2〜40質量部、(ロ)成分15〜120質量部、好ましくは、20〜90質量部、(ハ)成分100質量部の割合であり、四成分系では、前記に加えて(ニ)成分1〜70質量部、好ましくは、2〜50質量部の配合割合が有効である。
前記(ハ)成分100質量部に対し、(ロ)成分が15質量部未満では、加熱発色時の発色濃度が不充分であり、一方、120質量部を超えると(ロ)成分が過剰に存在するため、(ハ)成分中での溶解、析出の可逆性が損なわれがちであり、可逆的な発消色性を示し難く、色消えも悪くなる。
また前記(ハ)成分100質量部に対し、(ニ)成分が1質量部未満では、低温側変色曲線の高温側へのシフトの効果が不充分であり、一方、70質量部を超えると発消色の適性バランスに欠ける。
【0031】
前記可逆熱変色性顔料は可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包することにより得られる。
マイクロカプセル化は前記と同様の方法が挙げられる。
前記マイクロカプセルは平均粒子径が0.1〜50μm、好ましくは0.1〜30μm、より好ましくは、0.5〜20μmの範囲が実用性を満たす。
平均粒子径が50μmを越えると、インキ、塗料等への適用に際して、分散安定性や加工適性に欠ける。
一方、平均粒子径が0.1μm以下では、高濃度の発色性を示し難くなる。
【0032】
前記加熱消色像及び加熱発色像は、バインダー樹脂、例えば、各種合成樹脂エマルジョン、水溶性乃至油性の合成樹脂、紫外線硬化型樹脂、その他糊剤等から選ばれる樹脂を含むビヒクルに可逆熱変色性顔料をそれぞれ分散させた印刷インキとして、スクリーン印刷、グラビヤ印刷等の印刷方法により支持体の所望箇所に付着乾燥させて得られる。
【0033】
本発明の加熱発色像及び加熱消色像のいずれか一方は他方の像の視認角度を変えた状態の像である。
なお、加熱或いは冷却によって、加熱発色像と加熱消色像を択一的に視認させるために、加熱消色像が発色状態では加熱発色像が消色状態を示し、且つ、加熱消色像が消色状態では加熱発色像が発色状態を示すように構成される。
例えば、加熱発色像が25℃において消色状態を示す印刷物の系においては、加熱消色像が発色状態であり、加熱により前記加熱消色像が消色し、加熱発色像(加熱消色像の視認角度を変えた状態の像)が発色する構成が挙げられる。
更に、加熱消色像が45℃において消色状態を示す印刷物の系においては、加熱発色像が発色状態であり、冷却により前記加熱発色像が消色し、加熱消色像(加熱発色像の視認角度を変えた状態の像)が発色する構成が挙げられる。
よって、本発明は、加熱又は冷却により同一形象の像が温度変化により向きを変えて視認される印刷物が得られるものである。
なお、前記加熱発色像と、加熱消色像はいずれか一方が他方の像を反対側から視認した像であることにより、行き来する様相変化を温度変化により繰り返し視認することができる印刷物を得ることができる。
【実施例】
【0034】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、組成物中の部は質量部を示す。
実施例1(図3、4参照)
加熱消色型可逆熱変色性顔料の調製
(イ)成分として2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン3.0部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン6.0部、(ハ)成分としてセチルアルコール12.5部、ステアリルアルコール12.5部、ラウリン酸ステアリル25.0部からなる可逆熱変色性組成物をエポキシプレポリマー/アミン化合物の界面重合法で得られるエポキシ樹脂膜のマイクロカプセルに内包して加熱消色型可逆熱変色性顔料を得た。
前記加熱消色型可逆熱変色性顔料(固形分65%)は28℃以下で橙色、35℃以上で無色に変色する顔料であった。
【0035】
加熱消色型スクリーンインキの調製
前記加熱消色型可逆熱変色性顔料40.0部、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン50.0部、消泡剤3.0部、増粘剤1.0部、レベリング剤3.0部を混合して加熱消色型可逆熱変色性スクリーンインキを調製した。
【0036】
加熱発色型可逆熱変色性顔料の調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン3.0部、(ロ)成分として没食子酸ドデシル9.0部、(ハ)成分としてラウリルアルコール17.5部、ベヘン酸ステアリル7.5部からなる可逆熱変色性組成物を芳香族イソシアネートプレポリマーと水との反応で得られるポリ尿素膜のマイクロカプセルに内包して加熱発色型可逆熱変色性顔料を得た。
前記加熱発色型可逆熱変色性顔料(固形分65%)は28℃以上で黒色、25℃以下で無色に変色する顔料であった。
【0037】
加熱発色型スクリーンインキの調製
前記マイクロカプセル顔料40.0部、ウレタンエマルジョン50.0部、消泡剤3.0部、増粘剤1.0部、レベリング剤3.0部を混合して加熱発色型可逆熱変色性スクリーンインキを調製した。
【0038】
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体2として上質紙に、前記加熱発色型可逆熱変色性スクリーンインキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて左側に歩いていく人物像を印刷して加熱発色像3を形成した。
ついで、前記加熱発色像3上に、加熱消色型可逆熱変色性スクリーンインキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて右側に歩いていく人物像を印刷して加熱消色像4を形成して可逆熱変色性印刷物1を得た。
【0039】
前記可逆熱変色性印刷物は、25〜30℃の温度域においては加熱消色像が発色しているため、右側に歩いていく人物像が視認されると共に、加熱発色像の形状は視認されなかった(図3参照)。
35℃以上に加温すると加熱消色像が消色し、38℃以上になると加熱発色像が完全発色するため、左側に歩いていく人物像が現出し、人物が向きを変えて歩いていく様相が視認された(図4参照)。
温度を下げていくと加熱発色像が消色し、加熱消色像が発色するため、再び右側に歩いていく人物が視認される。
【0040】
実施例2(図5、6参照)
加熱消色型可逆熱変色性顔料の調製
(イ)成分として3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチル−3−インドール)−4−アザフタリド1.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン6.0部、(ハ)成分としてセチルアルコール12.5部、ステアリルアルコール12.5部、ラウリン酸ステアリル25.0部からなる可逆熱変色性組成物をエポキシプレポリマー/アミン化合物の界面重合法で得られるエポキシ樹脂膜のマイクロカプセルに内包して加熱消色型可逆熱変色性顔料を得た。
前記加熱消色型可逆熱変色性顔料(固形分65%)は28℃以下で青色、35℃以上で無色に変色する顔料であった。
【0041】
加熱消色型スクリーンインキの調製
前記マイクロカプセル顔料40.0部、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン50.0部、消泡剤3.0部、増粘剤1.0部、レベリング剤3.0部を混合し、加熱消色型可逆熱変色性スクリーンインキを調製した。
【0042】
加熱発色型可逆熱変色性顔料の調製
(イ)成分として3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド1.0部、(ロ)′成分として没食子酸ドデシル9.0部、(ハ)成分としてラウリルアルコール17.5部、ラウリン酸ステアリル7.5部からなる可逆熱変色性組成物を芳香族イソシアネートプレポリマーと水との反応で得られるポリ尿素膜のマイクロカプセルに内包して加熱発色型可逆熱変色性顔料を得た。
前記加熱発色型可逆熱変色性顔料(固形分60%)は38℃以上で青色、23℃以下で無色に変色する顔料であった。
【0043】
加熱発色型スクリーンインキの調製
前記マイクロカプセル顔料40.0部、ウレタンエマルジョン50.0部、消泡剤3.0部、増粘剤1.0部、レベリング剤3.0部を混合し、加熱発色型可逆熱変色性スクリーンインキを調製した。
【0044】
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体2として上質紙に、前記加熱発色型可逆熱変色性スクリーンインキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて大人と子供が去っていく像を印刷して加熱発色像3を形成した。
ついで、前記加熱発色像上に、加熱消色型可逆熱変色性スクリーンインキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて大人と子供が近寄ってくる像を印刷して加熱消色像4を形成して可逆熱変色性印刷物1を得た。
子供の加熱発色像は大人の加熱消色像上に印刷し、大人の加熱発色像は子供の加熱消色像上に印刷した。
【0045】
前記可逆熱変色性印刷物は、25〜30℃の温度域においては加熱消色像が発色しているため、大人と子供が近寄ってくる像が視認されると共に、加熱発色像の形状は視認されなかった(図5参照)。
35℃以上に加温すると加熱消色像が消色し、38℃以上になると加熱発色像が完全発色するため、大人と子供が去っていく像が現出し、人物が向きを変えて歩いていく様相が視認された(図6参照)。
温度を下げていくと加熱発色像が消色しつつ、加熱消色像が発色するため、再び大人と子供が近寄ってくる像が視認された。
【0046】
実施例3(図7、8参照)
加熱消色型可逆熱変色性顔料の調製
(イ)成分として2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−〔1〕ベンゾピラノ〔2,3−g〕ピリミジン−5,1′(3H)イソベンゾフラン〕−3−オン1.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン6.0部、(ハ)成分としてセチルアルコール12.5部、ステアリルアルコール12.5部、ラウリン酸ステアリル25.0部からなる可逆熱変色性組成物をエポキシプレポリマー/アミン化合物の界面重合法で得られるエポキシ樹脂膜のマイクロカプセルに内包して加熱消色型可逆熱変色性顔料を得た。
前記加熱消色型可逆熱変色性顔料(固形分65%)は28℃以下でピンク色、35℃以上で無色に変色する顔料であった。
【0047】
加熱消色型スクリーンインキの調製
前記マイクロカプセル顔料40.0部、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン50.0部、消泡剤3.0部、増粘剤1.0部、レベリング剤3.0部を混合し、加熱消色型可逆熱変色性スクリーンインキを調製した。
【0048】
加熱発色型可逆熱変色性顔料の調製
(イ)成分として3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド1.0部、(ロ)′成分として没食子酸ドデシル9.0部、(ハ)成分としてラウリルアルコール17.5部、ラウリン酸ステアリル7.5部からなる可逆熱変色性組成物を芳香族イソシアネートプレポリマーと水との反応で得られるポリ尿素膜のマイクロカプセルに内包して加熱発色型可逆熱変色性顔料を得た。
前記加熱発色型可逆熱変色性顔料(固形分60%)は38℃以上で青色、23℃以下で無色に変色する顔料であった。
【0049】
加熱発色型スクリーンインキの調製
前記マイクロカプセル顔料40.0部、ウレタンエマルジョン50.0部、消泡剤3.0部、増粘剤1.0部、レベリング剤3.0部を混合し、加熱発色型可逆熱変色性スクリーンインキを調製した。
【0050】
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体2として上質紙に、前記加熱発色型可逆熱変色性スクリーンインキを用いて、150メッシュのスクリーン版にてアメリカが見える状態の地球の像を印刷して加熱発色像3を形成した。
ついで、前記加熱発色像上に、加熱消色型可逆熱変色性スクリーンインキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて日本が見える状態の地球の像を印刷して加熱消色像4を形成して可逆熱変色性印刷物1を得た。
【0051】
前記可逆熱変色性印刷物は、25〜30℃の温度域においては加熱消色像が発色しているため、日本が見える状態の地球の像が視認されると共に、加熱発色像の形状は視認されなかった(図7参照)。
35℃以上に加温すると加熱消色像が消色し、38℃以上になると加熱発色像が完全発色するため、アメリカが見える状態の地球の像が現出し、地球が回転している様相が視認された(図8参照)。
温度を下げていくと加熱発色像が消色しつつ、加熱消色像が発色するため、再び日本が見える状態の地球の像が視認された。
【符号の説明】
【0052】
加熱消色型可逆熱変色性顔料の完全発色温度
加熱消色型可逆熱変色性顔料の発色開始温度
加熱消色型可逆熱変色性顔料の消色開始温度
加熱消色型可逆熱変色性顔料の完全消色温度
加熱発色型可逆熱変色性顔料の完全消色温度
加熱発色型可逆熱変色性顔料の消色開始温度
加熱発色型可逆熱変色性顔料の発色開始温度
加熱発色型可逆熱変色性顔料の完全発色温度
1 可逆熱変色性印刷物
2 支持体
3 加熱発色像
4 加熱消色像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの降温により消色する加熱発色型可逆熱変色性顔料を含む加熱発色像と、発色状態からの加熱により消色し、消色状態からの冷却により発色する加熱消色型可逆熱変色性顔料を含む加熱消色像とを設けた印刷物であって、前記加熱発色像と加熱消色像のいずれか一方は他方の像の視認角度を変えた状態の像であり、加熱消色像が発色状態では加熱発色像が消色状態を示し、且つ、加熱消色像が消色状態では加熱発色像が発色状態を示す可逆熱変色性印刷物。
【請求項2】
前記加熱発色像と、加熱消色像はいずれか一方が他方の像を反対側から視認した像である請求項1記載の可逆熱変色性印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−86504(P2012−86504A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237043(P2010−237043)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】