説明

可食性口唇用油性化粧料

【課題】口唇に塗布して用いるその使用状況から、経口的に体内に摂取した場合においても安全性に懸念がなく、且つ唇に艶やかさを付与し、魅力的な外観にする化粧効果を有すると共に、冷暖房による空気の乾燥等、外界の刺激から口唇を保護し、口唇の荒れを予防又は改善するリップケアの機能を併せ持つ可食性口唇用油性化粧料を提供する。
【解決手段】
可食性成分のみで構成され、20℃の粘度が1,000mPa・s以上で、且つ食品添加物であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルから選ばれる1種又は2種以上を80重量%以上配合する可食性口唇用油性化粧料を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可食性口唇用油性化粧料に関するものであり、更に詳しくは、食品添加物であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを主成分として配合する事で、安全性が高く、また優れたツヤ付与効果及び口唇の保護効果を有する、口紅、リップスティック、リップカラー、リップグロス、リップクリーム、リップライナー、リップペンシル、リップバーム等の可食性口唇用油性化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの女性が使用している口紅やリップグロス等の口唇用油性化粧料は、唇に艶やかさを付与し、魅力的な外観にする化粧効果を有すると共に、冷暖房による空気の乾燥等、外界の刺激から口唇を保護し、口唇の荒れを予防又は改善するリップケアの機能を併せ持つ事が重要になってきた。リップケア機能を向上する目的で、特許文献1には、血清からタンパク質を除去した低分子成分を配合する技術や、特許文献2には、ヘパリン類似物質を配合する技術が記載されている。しかし、口唇用化粧料は口唇に塗布して用いるその使用状況から、経口的に体内に摂取される事になり、これらの成分も同時に体内に摂取される為、安全性の面で問題視される場合があった。また、前記以外の口唇用化粧料に使用される原料についても、その殆どが非可食性の原料であり、長年に渡り継続して経口的に体内に摂取される事を考えた場合、安全性が懸念されるものである。
【0003】
安全性面に関するこれらの問題点を解決すべく、特許文献3には、食品材料及び食品添加物といった可食性成分から形成される化粧品が提案されている。また、特許文献4には、配合成分が口腔内に滲入しても安全である可食性成分から構成する事が出来る医薬用リップクリームが提案されている。
【0004】
口唇用油性化粧料に求められる機能であるツヤ付与効果及び口唇の保護効果は、配合する油性成分に大きく依存している。特許文献3には、食品材料及び食品添加物を主要成分とする口唇用油性化粧料である口紅の実施例が記載されている。しかし、この実施例には、本発明で用いる必須の油性成分の食品添加物であるポリグリセリン脂肪酸エステルや、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの配合の記載はない。その為、本発明の可食性口唇用油性化粧料とは異なり、唇に艶やかさを付与し、魅力的な外観にする化粧効果に満足するものではなかった。また特許文献3では、界面活性剤の例示があり、その中でポリグリセリン脂肪酸エステルが記載されているが、それを配合する実施例の記載はなく、更に、それを油性成分として、ましてや主要成分(80%以上の配合)として配合する口唇用油性化粧料の記載もない。
【0005】
また、特許文献3の口紅に使用されているヒマシ油は、ヒマシ油脂肪酸とグリセリンとのグリセリン脂肪酸エステルであるが、ポリグリセリン脂肪酸エステルとは異なり、口唇へ塗布した場合、唇への付着性(密着性)が悪い為、ポリグリセリン脂肪酸エステルに比べ、塗布面の均一性が悪くなり、ツヤを付与する効果が不十分となり、口唇用油性化粧料としては満足出来るものではなかった。その他にも、例えばツバキ油や綿実油等の植物油脂が例示されているが、これらも同様である。
【0006】
特許文献4には、非水系軟膏基剤を主基剤にして、可食性成分から構成するリップクリームが記載されており、その界面活性剤の例示として、モノステアリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステルが記載されているが、それを配合する実施例の記載はなく、更に、それを油性成分として、ましてや主要成分(80%以上の配合)として配合する口唇用油性化粧料の記載もない。更には、このリップクリームは口唇の保護を目的とした物であり、本発明の可食性口唇用油性化粧料とは異なり、唇に艶やかさを付与し、魅力的な外観にする化粧効果は無く、口唇用油性化粧料としては満足出来るものではなかった。
【0007】
これらの様に、従来技術の範囲では多くの課題を残すものであった。この事から、口唇に塗布して用いるその使用状況から、経口的に体内に摂取した場合においても、安全性に懸念がなく、且つ唇に艶やかさを付与し、魅力的な外観にする化粧効果を有すると共に、冷暖房による空気の乾燥等、外界の刺激から口唇を保護し、口唇の荒れを予防又は改善するリップケアの機能を併せ持つ可食性口唇用油性化粧料の開発が望まれていた。
【特許文献1】特開平6−219922号
【特許文献2】特開2000−204020号
【特許文献3】特開平8−291042号
【特許文献4】特開2007−284456号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術における種々の欠点を解決しようとするものである。即ち、本発明が解決しようとする課題は、食品添加物であり、20℃の粘度が1,000mPa・s以上のポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを主成分(80%以上の配合)として配合する事で、口唇に塗布して用いるその使用状況から、経口的に体内に摂取した場合においても安全性に懸念がなく、且つ唇に艶やかさを付与し、魅力的な外観にする化粧効果を有すると共に、冷暖房による空気の乾燥等、外界の刺激から口唇を保護し、口唇の荒れを予防又は改善するリップケアの機能を併せ持つ、可食性口唇用油性化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述の事情に鑑み、鋭意研究した結果、特定の食品添加物であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを主成分として配合する事で、口唇に塗布して用いるその使用状況から、経口的に体内に摂取した場合においても安全性に懸念がなく、且つ唇に艶やかさを付与し、魅力的な外観にする化粧効果を有すると共に、冷暖房による空気の乾燥等、外界の刺激から口唇を保護し、口唇の荒れを予防又は改善するリップケアの機能を併せ持つ可食性口唇用油性化粧料が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は可食性成分のみで構成され、20℃の粘度が1,000mPa・s以上で且つ食品添加物であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルから選ばれる1種又は2種以上を80重量%以上配合する可食性口唇用油性化粧料であり、前記ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが、炭素数14〜22の不飽和脂肪酸とグリセリンの平均重合度が2〜12のポリグリセリンとから成り、そのHLB値が11未満のポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又は縮合度が2〜7の縮合リシノレイン酸とグリセリンの平均重合度が2〜12のポリグリセリンとから成るポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである可食性口唇用油性化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の可食性口唇用油性化粧料は、食品添加物であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを主成分(80%以上の配合)として配合する事で、口唇に塗布して用いるその使用状況から、経口的に体内に摂取した場合においても安全性に懸念がなく、且つ唇に艶やかさを付与し、魅力的な外観にする化粧効果を有すると共に、冷暖房による空気の乾燥等、外界の刺激から口唇を保護し、口唇の荒れを予防又は改善するリップケアの機能を併せ持つ可食性口唇用油性化粧料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細にする。
【0013】
本発明の口唇用油性化粧料は、可食性成分のみで構成される。可食性成分のみで、口唇用油性化粧料を構成する事により、口唇に塗布して用いるその使用状況から、経口的に体内に摂取した場合においても安全性に懸念がなく、安全性の高い口唇用油性化粧料を得る事が出来る。
【0014】
本発明では、20℃の粘度が1,000mPa・s以上で食品添加物であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを使用する。20℃の粘度が1,000mPa・s未満のもので調製した場合、口唇に塗布した時、その塗布膜の膜厚が薄く、唇に艶やかさを付与し、魅力的な外観にする化粧効果と、空気の乾燥等、外界の刺激から口唇を保護し、口唇の荒れを予防又は改善するリップケアの機能が不十分となり、好ましくない。
【0015】
また、本発明では食品添加物公定書の成分規格に合致するポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを用いる。食品添加物公定書の成分規格に合致するものであれば、特に指定はない。食品添加物公定書の成分規格に合致しないもので調製した場合、口唇に塗布して用いるその使用状況から、経口的に体内に摂取した場合において安全性に懸念があり、本発明の目的である安全性の高い可食性口唇用油性化粧料を得ることが出来ない。
【0016】
上記条件を満たすポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとしては、例えばポリグリセリンカプリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル、ポリグリセリンミリスチン酸エステル、ポリグリセリンパルミチン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンベヘン酸エステル、ポリグリセリンミリストレイン酸エステル、ポリグリセリンパルミトレイン酸エステル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンリノール酸エステル、ポリグリセリンリノレン酸エステル、ポリグリセリンエルカ酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等が挙げられる。
【0017】
本発明では、上記条件を満たすポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを用いる。食品添加物公定書には、これら包含してグリセリン脂肪酸エステルとして総称されており、本発明で用いるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル以外に、例えばグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸エステル等が挙げられている。しかし、これらのものでは、口唇に塗布した時、その塗布膜の膜厚が薄く、唇に艶やかさを付与し、魅力的な外観にする化粧効果と、空気の乾燥等、外界の刺激から口唇を保護し、口唇の荒れを予防又は改善するリップケアの機能が不十分となり、好ましくない。
【0018】
また、本発明の可食性口唇用油性化粧料には、上記20℃の粘度が1,000mPa・s以上で、且つ食品添加物であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルから選ばれる1種又は2種以上を80重量%以上、より好ましくは85重量%以上配合する。80重量%未満では、口唇に塗布した時、その塗布膜の膜厚が薄く、唇に艶やかさを付与し、魅力的な外観にする化粧効果と、空気の乾燥等、外界の刺激から口唇を保護し、口唇の荒れを予防又は改善するリップケアの機能が不十分となり、好ましくない。
【0019】
また、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの内、炭素数14〜22の不飽和脂肪酸とグリセリンの平均重合度が2〜12のポリグリセリンとから成り、そのHLB(Hydrophile Lipophile Balance)値が11未満のポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又は縮合度が2〜7の縮合リシノレイン酸とグリセリンの平均重合度が2〜12のポリグリセリンとから成るポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを使用する事が、本発明の効果を発現するには、より好ましい。ここで言う、HLBとはGriffinの経験式から算出されるものであり、以下の(1)式より求められる。
HLB=20−(1−SV/NV) (1)
SV:エステルのケン化価
NV:脂肪酸の中和価
【0020】
上記、炭素数14〜22の不飽和脂肪酸とグリセリンの平均重合度が2〜12のポリグリセリンとから成り、そのHLB値が11未満のポリグリセリン脂肪酸エステルは、口唇への塗布時のノビを軽くし使用感の向上や、口唇への塗布膜の持ちを長時間維持し化粧持ちの向上及びツヤ付与効果の向上等、本発明の効果をより向上する事が出来る。例えば、飽和脂肪酸から成るポリグリセリン脂肪酸エステルに比べ、口唇への塗布時のノビを軽くし使用感を向上出来る。また、HLB値が11未満のポリグリセリン脂肪酸エステルは、口唇への塗布膜の持ちが長時間維持し化粧持ちが向上する等、本発明の効果をより向上する事が出来る。更には、グリセリンの平均重合度が2〜12のポリグリセリン脂肪酸エステルがより好ましい。例えば、グリセリンの平均重合度が2未満のものに比べ、口唇への塗布面の均一性を向上し、ツヤ付与効果が向上出来る。逆に、平均重合度が12を超えるポリグリセリン脂肪酸エステルは、本発明の効果を妨げるものではないが、その殆どは石油由来のグリシドールを原料とするものであり、本発明の目的である安全性の高い可食性口唇用油性化粧料としては、最善の成分とは言い難い。
【0021】
上記条件を満たすポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えばジグリセリンモノミリストレイン酸エステル、ジグリセリンジミリストレイン酸エステル、ジグリセリンモノパルミトレイン酸エステル、ジグリセリンジパルミトレイン酸エステル、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、ジグリセリンジオレイン酸エステル、ジグリセリンモノリノール酸エステル、ジグリセリンジリノール酸エステル、ジグリセリンモノリノレン酸エステル、ジグリセリンジリノレン酸エステル、ジグリセリンモノアラキドン酸エステル、ジグリセリンジアラキドン酸エステル、ジグリセリンモノエルカ酸エステル、ジグリセリンジエルカ酸エステル、テトラグリセリンジミリストレイン酸エステル、テトラグリセリントリミリストレイン酸エステル、テトラグリセリンテトラミリストレイン酸エステル、テトラグリセリンモノパルミトレイン酸エステル、テトラグリセリンジパルミトレイン酸エステル、テトラグリセリントリパルミトレイン酸エステル、テトラグリセリンテトラパルミトレイン酸エステル、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、テトラグリセリンジオレイン酸エステル、テトラグリセリントリオレイン酸エステル、テトラグリセリンテトラオレイン酸エステル、テトラグリセリンモノリノール酸エステル、テトラグリセリンジリノール酸エステル、テトラグリセリントリリノール酸エステル、テトラグリセリンテトラリノール酸エステル、テトラグリセリンモノリノレン酸エステル、テトラグリセリンジリノレン酸エステル、テトラグリセリントリリノレン酸エステル、テトラグリセリンテトラリノレン酸エステル、テトラグリセリンモノアラキドン酸エステル、テトラグリセリンジアラキドン酸エステル、テトラグリセリントリアラキドン酸エステル、テトラグリセリンテトラアラキドン酸エステル、テトラグリセリンモノエルカ酸エステル、テトラグリセリンジエルカ酸エステル、テトラグリセリントリエルカ酸エステル、テトラグリセリンテトラエルカ酸エステル、ヘキサグリセリンジミリストレイン酸エステル、ヘキサグリセリントリミリストレイン酸エステル、ヘキサグリセリンテトラミリストレイン酸エステル、ヘキサグリセリンペンタミリストレイン酸エステル、ヘキサグリセリンヘキサミリストレイン酸エステル、ヘキサグリセリンジパルミトレイン酸エステル、ヘキサグリセリントリパルミトレイン酸エステル、ヘキサグリセリンテトラパルミトレイン酸エステル、ヘキサグリセリンペンタパルミトレイン酸エステル、ヘキサグリセリンヘキサパルミトレイン酸エステル、ヘキサグリセリンジオレイン酸エステル、ヘキサグリセリントリオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンテトラオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンペンタオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンヘキサオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンジリノール酸エステル、ヘキサグリセリントリリノール酸エステル、ヘキサグリセリンテトラリノール酸エステル、ヘキサグリセリンペンタリノール酸エステル、ヘキサグリセリンヘキサリノール酸エステル、ヘキサグリセリンジリノレン酸エステル、ヘキサグリセリントリリノレン酸エステル、ヘキサグリセリンテトラリノレン酸エステル、ヘキサグリセリンペンタリノレン酸エステル、ヘキサグリセリンヘキサリノレン酸エステル、ヘキサグリセリンジアラキドン酸エステル、ヘキサグリセリントリアラキドン酸エステル、ヘキサグリセリンテトラアラキドン酸エステル、ヘキサグリセリンペンタアラキドン酸エステル、ヘキサグリセリンヘキサアラキドン酸エステル、ヘキサグリセリンジエルカ酸エステル、ヘキサグリセリントリエルカ酸エステル、ヘキサグリセリンテトラエルカ酸エステル、ヘキサグリセリンペンタエルカ酸エステル、ヘキサグリセリンヘキサエルカ酸エステル、デカグリセリントリミリストレイン酸エステル、デカグリセリンテトラミリストレイン酸エステル、デカグリセリンペンタミリストレイン酸エステル、デカグリセリンヘキサミリストレイン酸エステル、デカグリセリンヘプタミリストレイン酸エステル、デカグリセリンオクタミリストレイン酸エステル、デカグリセリンノナミリストレイン酸エステル、デカグリセリンデカミリストレイン酸エステル、デカグリセリントリパルミトレイン酸エステル、デカグリセリンテトラパルミトレイン酸エステル、デカグリセリンペンタパルミトレイン酸エステル、デカグリセリンヘキサパルミトレイン酸エステル、デカグリセリンヘプタパルミトレイン酸エステル、デカグリセリンオクタパルミトレイン酸エステル、デカグリセリンノナパルミトレイン酸エステル、デカグリセリンデカパルミトレイン酸エステル、デカグリセリントリオレイン酸エステル、デカグリセリンテトラオレイン酸エステル、デカグリセリンペンタオレイン酸エステル、デカグリセリンヘキサオレイン酸エステル、デカグリセリンヘプタオレイン酸エステル、デカグリセリンオクタオレイン酸エステル、デカグリセリンノナオレイン酸エステル、デカグリセリンデカオレイン酸エステル、デカグリセリントリリノール酸エステル、デカグリセリンテトラリノール酸エステル、デカグリセリンペンタリノール酸エステル、デカグリセリンヘキサリノール酸エステル、デカグリセリンヘプタリノール酸エステル、デカグリセリンオクタリノール酸エステル、デカグリセリンノナリノール酸エステル、デカグリセリンデカリノール酸エステル、デカグリセリントリリノレン酸エステル、デカグリセリンテトラリノレン酸エステル、デカグリセリンペンタリノレン酸エステル、デカグリセリンヘキサリノレン酸エステル、デカグリセリンヘプタリノレン酸エステル、デカグリセリンオクタリノレン酸エステル、デカグリセリンノナリノレン酸エステル、デカグリセリンデカリノレン酸エステル、デカグリセリンジアラキドン酸エステル、デカグリセリントリアラキドン酸エステル、デカグリセリンテトラアラキドン酸エステル、デカグリセリンペンタアラキドン酸エステル、デカグリセリンヘキサアラキドン酸エステル、デカグリセリンヘプタアラキドン酸エステル、デカグリセリンオクタアラキドン酸エステル、デカグリセリンノナアラキドン酸エステル、デカグリセリンデカアラキドン酸エステル、デカグリセリンジエルカ酸エステル、デカグリセリントリエルカ酸エステル、デカグリセリンテトラエルカ酸エステル、デカグリセリンペンタエルカ酸エステル、デカグリセリンヘキサエルカ酸エステル、デカグリセリンヘプタエルカ酸エステル、デカグリセリンオクタエルカ酸エステル、デカグリセリンノナエルカ酸エステル、デカグリセリンデカエルカ酸エステル、ドデカグリセリンテトラトリミリストレイン酸エステル、ドデカグリセリンペンタミリストレイン酸エステル、ドデカグリセリンヘキサミリストレイン酸エステル、ドデカグリセリンヘプタミリストレイン酸エステル、ドデカグリセリンオクタミリストレイン酸エステル、ドデカグリセリンノナミリストレイン酸エステル、ドデカグリセリンデカミリストレイン酸エステル、ドデカグリセリンウンデカミリストレイン酸エステル、ドデカグリセリンドデカミリストレイン酸エステル、ドデカグリセリントリパルミトレイン酸エステル、ドデカグリセリンテトラパルミトレイン酸エステル、ドデカグリセリンペンタパルミトレイン酸エステル、ドデカグリセリンヘキサパルミトレイン酸エステル、ドデカグリセリンヘプタパルミトレイン酸エステル、ドデカグリセリンオクタパルミトレイン酸エステル、ドデカグリセリンノナパルミトレイン酸エステル、ドデカグリセリンデカパルミトレイン酸エステル、ドデカグリセリンウンデカパルミトレイン酸エステル、ドデカグリセリンドデカパルミトレイン酸エステル、ドデカグリセリントリオレイン酸エステル、ドデカグリセリンテトラオレイン酸エステル、ドデカグリセリンペンタオレイン酸エステル、ドデカグリセリンヘキサオレイン酸エステル、ドデカグリセリンヘプタオレイン酸エステル、ドデカグリセリンオクタオレイン酸エステル、ドデカグリセリンノナオレイン酸エステル、ドデカグリセリンデカオレイン酸エステル、ドデカグリセリンウンデカオレイン酸エステル、ドデカグリセリンドデカオレイン酸エステル、ドデカグリセリントリリノール酸エステル、ドデカグリセリンテトラリノール酸エステル、ドデカグリセリンペンタリノール酸エステル、ドデカグリセリンヘキサリノール酸エステル、ドデカグリセリンヘプタリノール酸エステル、ドデカグリセリンオクタリノール酸エステル、ドデカグリセリンノナリノール酸エステル、ドデカグリセリンデカリノール酸エステル、ドデカグリセリンウンデカリノール酸エステル、ドデカグリセリンドデカリノール酸エステル、ドデカグリセリントリリノレン酸エステル、ドデカグリセリンテトラリノレン酸エステル、ドデカグリセリンペンタリノレン酸エステル、ドデカグリセリンヘキサリノレン酸エステル、ドデカグリセリンヘプタリノレン酸エステル、ドデカグリセリンオクタリノレン酸エステル、ドデカグリセリンノナリノレン酸エステル、ドデカグリセリンデカリノレン酸エステル、ドデカグリセリンウンデカリノレン酸エステル、ドデカグリセリンドデカリノレン酸エステル、ドデカグリセリンジアラキドン酸エステル、ドデカグリセリントリアラキドン酸エステル、ドデカグリセリンテトラアラキドン酸エステル、ドデカグリセリンペンタアラキドン酸エステル、ドデカグリセリンヘキサアラキドン酸エステル、ドデカグリセリンヘプタアラキドン酸エステル、ドデカグリセリンオクタアラキドン酸エステル、ドデカグリセリンノナアラキドン酸エステル、ドデカグリセリンデカアラキドン酸エステル、ドデカグリセリンウンデカアラキドン酸エステル、ドデカグリセリンドデカアラキドン酸エステル、ドデカグリセリンジエルカ酸エステル、ドデカグリセリントリエルカ酸エステル、ドデカグリセリンテトラエルカ酸エステル、ドデカグリセリンペンタエルカ酸エステル、ドデカグリセリンヘキサエルカ酸エステル、ドデカグリセリンヘプタエルカ酸エステル、ドデカグリセリンオクタエルカ酸エステル、ドデカグリセリンノナエルカ酸エステル、ドデカグリセリンデカエルカ酸エステル、ドデカグリセリンウンデカエルカ酸エステル、ドデカグリセリンドデカエルカ酸エステル等が挙げられる。
【0022】
上記、縮合度が2〜7の縮合リシノレイン酸とグリセリンの平均重合度が2〜12のポリグリセリンとから成るポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、口唇への塗布時のノビを軽くし使用感の向上や、口唇への塗布膜の持ちを長時間維持し化粧持ちの向上及びツヤ付与効果の向上等、本発明の効果をより向上する事が出来る。例えば、縮合度が2未満のものに比べ、口唇への塗布面の均一性を向上し、ツヤ付与効果が向上出来る。逆に縮合度が7を超えるものに比べ、口唇への塗布時のノビを軽くし、使用感を向上する等、本発明の効果をより向上する事が出来る。更には、グリセリンの平均重合度が2〜12のポリグリセリン脂肪酸エステルがより好ましい。例えば、グリセリンの平均重合度が2未満のものに比べ、口唇への塗布面の均一性を向上し、ツヤ付与効果が向上出来る。逆に、平均重合度が12を超えるポリグリセリン脂肪酸エステルは、本発明の効果を妨げるものではないが、その殆どは石油由来のグリシドールを原料とするものであり、本発明の目的である安全性の高い可食性口唇用油性化粧料としては、最善の成分とは言い難い。
【0023】
上記条件を満たすポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとしては、例えばジグリセリンと縮合度2〜7の縮合リシノレイン酸とのエステル、テトラグリセリンと縮合度2〜7の縮合リシノレイン酸とのエステル、ヘキサグリセリンと縮合度2〜7の縮合リシノレイン酸とのエステル、デカグリセリンと縮合度2〜7の縮合リシノレイン酸とのエステル、ドデカグリセリンと縮合度2〜7の縮合リシノレイン酸とのエステル等が挙げられる。
【0024】
本発明の可食性口唇用油性化粧料には、発明の効果を損なわない範囲で、可食性であり通常の口唇用油性化粧料に用いられる成分、例えばトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、オレンジ油、カカオ脂、カロット油、杏仁油、ククイナッツ油、ゴマ油、コムギ胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シアバタ−、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーム核油、硬化パーム核油、パーム油、硬化パーム油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油、ホホバ種子油、マカデミアナッツ油、ローズヒップ油、綿実油、ヤシ油、硬化ヤシ油、ミツロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ等の油性成分、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の食品用乳化剤、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、プルラン、トレハロース、トリメチルグリシン、マルチトール、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿剤、キサンタンガム、カラギーナン、グァーガム、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、クインスシードガム、寒天、デンプン、セルロース等の増粘剤、天然ビタミンE、トコフェロール、オリザノール等の酸化防止剤、酸化チタン、ベンガラ等の顔料、紅花色素、コチニール等の食用色素、防腐剤、香料、植物エキス等を適宜配合する事が出来る。
【0025】
本発明の可食性口唇用油性化粧料は、常法によって調製出来る。例えば全成分を加熱溶解、攪拌混合、脱泡、冷却等の操作を加える事によって調製できる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。尚、配合量は特に指定が無い限り、重量%で示す。
【0027】
表1に記載の口唇用油性化粧料であるリップグロスを調製し、以下の評価方法により評価した。その結果を表1に示す。
(評価方法)
1)官能評価(塗布時のノビ、ツヤ、塗布膜の持続性)
健常者パネラー30名に、各口唇用油性化粧料であるリップグロスを使用させ「塗布時のノビ」、「ツヤ」、「塗布膜の持続性」について官能評価した。評価は下記の絶対評価基準に従い、5段階評価し、評点の平均点を算出し、以下に示す4段階判定基準を用いて判定した。
・絶対評価基準 ・4段階判定基準
(評点):(評価) (評点の平均点) :(判定)
5点 :非常に良好 4.5点以上 : ◎
4点 :良好 4.0点以上4.5点未満: ○
3点 :普通 3.0点以上4.0点未満: △
2点 :やや不良 3.0点未満 : ×
1点 :不良
2)リップケア効果
口唇が荒れ易いと自覚している10名のパネラーに、各口唇用油性化粧料であるリップグロスを、1日2回、4週間連続で使用させ、リップケア効果について評価した。評価は下記の絶対評価基準に従い、4段階評価し、評点の平均点を算出し、以下に示す4段階判定基準を用いて判定した。
・絶対評価基準
(評点): (評価)
4点 :非常に口唇の荒れが予防又は改善された。
3点 :口唇の荒れが予防又は改善された。
2点 :やや口唇の荒れが予防又は改善された。
1点 :口唇の荒れは予防も改善もされなかった。
・4段階判定基準
(評点の平均点) :(判定)
3.5点以上 : ◎
2.5点以上3.5点未満: ○
1.5点以上2.5点未満: △
1.5点未満 : ×
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
実施例1〜8で得た可食性口唇用油性化粧料は、塗布時のノビやツヤ、塗布膜の持続性が良好で優れた化粧効果を発揮するとともに、口唇の荒れを予防又は改善するリップケア効果においても優れていた。一方、比較例1〜10で得た口唇用油性化粧料は、評価項目の全て、または何れかにおいて満足するものではなかった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の可食性口唇用油性化粧料は、口唇に塗布して用いるその使用状況から、経口的に体内に摂取した場合においても安全性に懸念がなく、且つ唇に艶やかさを付与し、魅力的な外観にする化粧効果を有すると共に、冷暖房による空気の乾燥等、外界の刺激から口唇を保護し、口唇の荒れを予防又は改善するリップケアの機能を併せ持つ可食性口唇用油性化粧料に利用可能なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可食性成分のみで構成され、20℃の粘度が1,000mPa・s以上で、且つ食品添加物であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルから選ばれる1種又は2種以上を80重量%以上配合する可食性口唇用油性化粧料。
【請求項2】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが、炭素数14〜22の不飽和脂肪酸とグリセリンの平均重合度が2〜12のポリグリセリンとから成り、そのHLB値が11未満のポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又は縮合度が2〜7の縮合リシノレイン酸とグリセリンの平均重合度が2〜12のポリグリセリンとから成るポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである請求項1記載の可食性口唇用油性化粧料。

【公開番号】特開2010−120895(P2010−120895A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297808(P2008−297808)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(500247769)株式会社 ルバンシュ (7)
【Fターム(参考)】