説明

台紙なしラベル連続体および台紙なしラベル連続体の製造方法

【課題】製造工程を簡略化可能であるとともに、サーマル紙を用いた台紙なしラベルの場合は着色した部分の感度が低下することがなく良好な印字が可能な台紙なしサーマルラベル連続体および台紙なしラベル連続体の製造方法を提供する。
【解決手段】長尺帯状のラベル基材3の表面に剥離剤層4、裏面に粘着剤層5が設けられ、ロール状に巻回された台紙なしラベル連続体1であり、剥離剤層4が着色されている。この台紙なしラベル連続体は、長尺帯状のラベル基材3の表面に剥離剤を塗工して剥離剤層4を形成する工程と、前記ラベル基材3の裏面に粘着剤層5を設ける工程と、をこの順に行い、剥離剤には着色剤を添加しておき、剥離剤の塗工によってラベル基材3を着色する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省資源を図るために台紙をなくしてロール状に巻き取った台紙なしラベル連続体および台紙なしラベル連続体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールやラベル製品に用いる粘着紙は、ラベル基材、粘着剤層およびセパレータをこの順に積層したものである。粘着紙は、片面に剥離剤層を設けたセパレータの剥離剤層側に液状の粘着剤を塗工し、粘着剤の水分または溶剤を蒸発させた後、乾燥した粘着剤層にラベル基材を貼り合わせて作成される。この他、ラベル基材に粘着剤を直接塗工し、乾燥させた後にセパレータと貼り合わせる場合もある。このような工程を経て作成された粘着紙は所定の幅にスリットされ、粘着原紙ロールとしてラベル印刷機でラベルに加工される。しかし、このラベルは使用する際にセパレータを剥がしてラベルを貼り付けるため、剥がしたセパレータがゴミになってしまう。
【0003】
そこで近年、省資源とゴミの減量を目的として台紙を省いた台紙なしラベルが使われている。図5(a)に台紙なしラベル12が連なった台紙なしラベル連続体11の斜視図、図5(b)にそのb−b線断面を示す。台紙なしラベル12は基材13の一面に剥離剤層14、他面に粘着剤層15を設けたもので、その連続体をロール状に巻き取った時に内周側の基材13の剥離剤層14上に外周側の基材13の粘着剤層15が重なるため、台紙(セパレータ)を不要にできる構造となっている。これにより、ラベル使用後にゴミとなる台紙が発生しない利点が生じる。
【0004】
台紙なしラベル12には、基材13と剥離剤層14との間に予め印刷9を施し、この印刷のみを表示に使うもの、基材13としてサーマル紙(感熱発色紙)を用い、ラベルプリンタで感熱印字できるようにしたもの、専用の熱転写リボンを用いて剥離剤層14の表面に熱転写印字を可能としたもの、剥離剤層14の表面に筆記可能にしたもの等がある。また、台紙なしラベル連続体11には、ラベル一単位毎に切り離すためのミシン目7を設けることも多い。
【0005】
この台紙なしラベル12を得るには、長尺帯状のラベル基材13の裏面にタイミングマーク(不図示)、表面に文字や図柄等の印刷9を設けた後、表面の文字や図柄を覆って剥離剤層14を設ける。この状態でミシン目7や切込みを形成する等の作業を行う。そして、裏面側に粘着剤15を塗工した後、所望の幅にスリットし、所定長さに巻回して完成する。
【0006】
台紙なしラベル12には、表面の全部あるいは一部にベタ印刷を施したものも多い。先に説明したように基材13の表面に印刷9を設け、その上に剥離剤層14を設けて行くが、例えば、生鮮品の値引きに用いる、所謂値引きラベル(例えば「100円引き」や「半額」を強調表示するラベル)は、多くの場合黄色と赤色を用いたデザインであり、2色分、二つの印刷ユニットが必要である。台紙なしラベルで剥離剤層14を設けるにはこの二つの印刷ユニットに加えて剥離剤用に塗工ユニットが必要になる。印刷の作業は、色の数が増えるほど見当合わせや調整に時間を要し、ロスも増える。
【0007】
基材13としてサーマル紙(感熱発色紙)を用い、ラベルプリンタで感熱印字できるようにした台紙なしラベルでは、これとは別の問題が生じる。サーマル紙の殆どは白色で、加熱により黒色に発色するものであるが、予め着色しておく用途もある。この場合はサーマル紙表面にベタ印刷を行い、ベタ印刷に重ねて剥離剤を塗工する事になる。表面にベタ印刷がある場合でも、サーマルプリンタで印字すると、ベタ印刷の色に係わらず発色した部分は概ね黒色に見える。しかし、この方法はサーマルヘッドが発した熱をサーマル紙に対して剥離剤層と印刷インキの層との2つの層を透して印字するために、熱伝導が損なわれ、結果的にサーマル紙の感度が低下する。AC電源で動作する卓上型のプリンタは電力に余裕があり印加エネルギを増やして対応可能であるが、バッテリ駆動の携帯型のプリンタでは電力に余裕がなく、印加エネルギを高めた場合にはバッテリの動作時間が短くなるという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−036026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためなされたもので、製造工程を簡略化可能な台紙なしラベル連続体および台紙なしラベル連続体の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明はサーマル紙を用いた台紙なしラベルでも感度が低下することがなく良好な印字が可能な台紙なしラベル連続体および台紙なしラベルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一の発明は、長尺帯状のラベル基材の表面に剥離剤層、裏面に粘着剤層が設けられ、ロール状に巻回された台紙なしラベル連続体であって、前記剥離剤層が着色されていることを特徴とする台紙なしラベル連続体である。
第二の発明は、長尺帯状のラベル基材の表面に剥離剤を塗工して剥離剤層を形成する工程と、前記ラベル基材の裏面に粘着剤層を設ける工程と、をこの順に含む台紙なしラベル連続体の製造方法であって、前記剥離剤には着色剤を添加しておき、剥離剤の塗工によってラベル基材を着色することを特徴とする台紙なしラベル連続体の製造方法である。
上記の剥離剤層に着色剤が添加されていることを特徴としている。
上記のラベル基材と剥離剤層との間には印刷インキによる画像が形成され、その画像を着色された剥離剤層を透して視認可能であることを特徴としている。
上記のラベル基材はサーマル紙であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の台紙なしラベル連続体および台紙なしラベル連続体の製造方法によれば、剥離剤層を着色しておくことによって剥離剤層を印刷インキの代りに用いることができ、製造工程の簡略化を図ることができる。
また、ラベル基材としてサーマル紙を用いた台紙なしサーマルラベルの場合は、着色に用いる印刷インキによる印刷層を省くことができるため、印刷層と剥離剤層とが重なった部分への印字が回避され、サーマルラベルとしての発色感度が低下することがないという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る台紙なしラベル連続体をロール状に巻回した状態を示す一実施例の斜視図およびそのb−b線断面図。
【図2】本発明に係る台紙なしラベル連続体をロール状に巻回した状態を示す別な実施例の斜視図およびそのb−b線断面図。
【図3】本発明の台紙なしラベル連続体の製造に用いるラベル加工機の概略側面図。
【図4】本発明の台紙なしラベル連続体の製造に用いる粘着剤コータの概略側面図。
【図5】従来の台紙なしラベル連続体をロール状に巻回した状態を示す一実施例の斜視図およびそのb−b線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1に本発明の台紙なしラベル連続体1を示す。図1(a)はロール状に巻回した台紙なしラベル連続体1の斜視図、図1(b)は台紙なしラベル連続体1から巻出した台紙なしラベル2のb−b線断面図である。この台紙なしラベル2はラベル基材3の表面に剥離剤層4を設け、他面に粘着剤層5を設けたものである。台紙なしラベル連続体1には、台紙なしラベル2を一単位毎に切り離すためのミシン目7が形成されている。多くの場合、台紙なしラベル2は支管に巻いて台紙なしラベル連続体1として提供される。
【0015】
ラベル基材3の裏面、即ちラベル基材3と粘着剤層5との間には、台紙なしラベル連続体1をラベルプリンタや自動貼付機で走行させる場合に、ラベル一単位を検出するためのタイミングマーク8が印刷されている。
【0016】
ラベル基材3の表面、即ち剥離剤層4との間には、剥離剤層4の形成に先んじ、必要に応じて、商品名、商品コード、バーコード、金額、年月日、社名等の画像9を印刷しておいても良い。図1では画像9として円形のベタ印刷を示したが、そのサイズ、形状、色は任意である。
【0017】
剥離剤層4には着色剤が添加されており、ラベル表面全体が着色してある。ラベル基材3が白色であればラベル基材3は概ね剥離剤層4の色に見える。ラベル基材3の表面に画像9が印刷してある場合、画像9は剥離剤層4を透して視認されるため、画像9本来の色に剥離剤層4の色が混色した別の色に見えるようになる。
例えば、画像9を淡い赤系統のインキで印刷し、剥離剤層4を黄色に着色しておけば、画像9は橙色として視認される。具体的な使用例としてはスーパーマーケットの生鮮品売り場等で用いる値下げラベルがある。画像9として濃い赤インキで「半額」等の文字を印刷し、黄色の剥離剤層4を重ねると、買い物客の目に留まり易い赤色と黄色を用いたアイキャッチラベルとして使用可能である。
このように、ラベル基材3に画像9として1色の印刷しか行っていない場合でも、剥離剤層4の色と合わせることで2色印刷と同じ外観が得られる。
【0018】
ラベル基材3の種類や材質は、紙や合成樹脂フィルムなど特に限定されるものではなく、粘着紙として一般的に用いられているものである。例えば、上質紙、コート紙、アート紙、サーマル紙(紙ベースのサーマル紙)のような紙基材、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)を素材とした合成樹脂フィルムや、前記の合成樹脂を複数種組み合わせたシート、合成樹脂シートやフィルムをベースにしたサーマル紙、合成樹脂フィルムと紙とを合わせた複合シートも使用できる。
【0019】
剥離剤層4に用いる剥離剤としては、例えば、紫外線硬化型のシリコーン、熱硬化型のシリコーン、溶剤型のシリコーン、アルキルペンダントポリマーの他、フッ素系の剥離剤や、それらを含む組成物が使用可能である。
【0020】
剥離剤層4に添加する着色剤は、顔料や染料など、任意のものを使用することができる。
無機系顔料としては、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、酸化鉄、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、アルミナ白、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトポン、朱、カドミウムレッド、黄鉛、モリブデートオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウクロメート、ホワイトカーボン、クレィ、タルク、群青、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、炭酸カルシウム、鉛白、フェロシアン化物(紺青)、燐酸塩(マンガンバイオレット)、カーボンブラックが挙げられる。
【0021】
有機系顔料としては、例えば、ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ、キノリンエローレーキ、マラカイトグリーンレーキ、アリザリンレーキ、カーミン6B、レーキレッドC、ジスアゾエロー、レーキレッド4R、クロモフタルエロー3G、クロモフタルスカーレットRN、ニッケルアゾエロー、パーマネントオレンジHL、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、フラバンスロンエロー、チオインジゴボルドー、ペリンレッド、ジオキサドンバイオレット、キナクリドンレッド、ナフトールエローS、ピグロントグリーンB、ルモゲンエロー、シグナルレッド、アルカリブルー、アニリンブラックが挙げられる。
【0022】
これらの他、食品添加物として用いられる着色料では、例えば、アナトー色素、アルカネット色素、アントシアニン色素、ウコン色素、カラメル色素、カロチン色素、カロチノイド色素、クチナシ色素、コチニール色素、食用タール系色素、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、パプリカ色素、ベニコウジ色素、ベニバナ色素、フラボノイド色素等が使用可能である。具体的には、例えば、アマランス(赤色2号)、エリスロシン(赤色3号)、アルラレッドAC(赤色40号)、ニューコクシン(赤色102号)、フロキシン(赤色104号)、ローズベンガル(赤色105号)、アシッドレッド(赤色106号)、タートラジン(黄色4号)、サンセットイエローFCN(黄色5号)、ファストグリーンFCN(緑色3号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)、インジゴカルミン(青色2号)等が挙げられる。
【0023】
粘着剤層5に用いる粘着剤は、例えば、エマルジョン系(粘着剤を水に分散したもの)、ソルベント系(粘着剤を溶剤に溶解したもの)、ホットメルト系(熱可塑性を利用したもの)等である。材質としては、合成ゴム系や天然ゴム系、アクリル樹脂系、ポリビニルエーテル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等の粘着剤があげられる。ホットメルト系の粘着剤はゴム系でもアクリル系でも良い。塗工後に紫外線を照射して硬化させる(化学的な安定化をはかる)紫外線硬化型の粘着剤も使用可能である。粘着剤の粘着特性は、いわゆる微粘着、再剥離、弱粘、標準糊、中粘、強粘、超強粘、冷凍糊、ポリオレフィン用、粗面用、タイヤ用など任意である。被着体の種類に応じて選定すれば良い。更に、ラベル基材3に塗布する際の粘着剤の粘度は、ミシン目7を通ってラベル基材3の表面に粘着剤が滲み出ない程度が好ましい。例えば、500cps以上、好ましくは3000cps以上である。この粘度の粘着剤を塗工すると、粘着剤がラベル基材3の表面に滲み出ることがない。
【0024】
図2に本発明の別な実施の形態を示す。これはラベルプリンタで印字するための台紙なしラベル2で、図2(a)はロール状に巻回した台紙なしラベル連続体1の斜視図、図2(b)は台紙なしラベル連続体1から巻出した台紙なしラベル2のb−b線断面図である。
この台紙なしラベル2は、先に図1を用いて説明した台紙なしラベル2のラベル基材3として、表面に加熱により発色するサーマル層6を設けたサーマル紙を用いたものである。図2の台紙なしラベル2は、ラベル基材3にサーマル紙を用いた以外は図1の台紙なしラベル2と同じであるため、同一部位には同じ番号を付し、詳しい説明は省略する。
【0025】
図2のサーマル紙を用いた台紙なしラベル2も使い方は同じである。剥離剤層4には着色剤が添加されており、ラベル表面全体が着色してある。大抵のサーマル紙は白色であるため、台紙なしラベル2全体は剥離剤層4の色に依存した色相になる。ラベル基材3の表面に画像9が印刷してある場合、画像9は剥離剤層4を透して視認されるため、画像9本来の色と剥離剤層4の色が混色した別の色として視認される。例えば、画像9が赤色、剥離剤層4を黄色にしておけば、図1の台紙なしラベルと同様なアイキャッチラベルとしての使い方もできる。
【0026】
この台紙なしラベル2をラベルプリンタ(不図示)で印字すると、台紙なしラベル2へサーマルヘッド(不図示)の発熱走査でサーマル層6が発色し、文字やバーコード等の画像が印字される。黒色に発色するサーマル紙の場合、印字された文字やバーコード等は着色された剥離剤層4を透して視認するが、サーマル層6の黒色の濃度と比べて剥離剤層4の色は相対的に淡いために文字やバーコードは実質的に黒色に見える。画像9の色と剥離剤層4による色に加え、サーマル層6の発色による可変情報の印字も併用可能になる。
【0027】
サーマル紙を用いた台紙なしラベル2に印字する場合、ラベル表面全体が着色されているにも関わらず、サーマルヘッドが発する熱は剥離剤層4の一層のみを透過してサーマル層6に伝導し発色させている。そのため、従来の台紙なしサーマルラベルのように剥離剤層4とベタ印刷との二層を透してサーマル層を発色させる場合に比べ、鮮明で高品位な印字を得ることができる。さらに、二層を透して印字する場合よりも印可エネルギーが小さくても鮮明な印字が得られるため、バッテリー駆動のプリンタにおいては消費電力を抑えることが可能になり、バッテリーの充電サイクルを延ばすことが可能になる。
【0028】
次に、本発明の台紙なしラベル2の製造方法を図3および図4を用いて説明する。図3はラベル基材へ印刷と剥離剤塗工を行うラベル加工機20の概略側面図、図4はラベル基材へ粘着剤を塗工するコータ100の概略側面図である。
【0029】
図3に示すように、ラベル加工機20の巻出し部30の供給軸31には、ロール状に巻かれた長尺帯状のラベル基材3が装着されている。供給軸31から巻き出されたラベル基材3は、多数のガイドローラ22、23・・・29に案内されながら、裏面印刷工程40、表面印刷工程50、剥離剤塗工工程60、ダイカット工程70を経て巻き取り部80の巻き取り軸81に巻き取られる。以下、各工程について説明する。
【0030】
裏面印刷工程40は、供給軸31から巻き出されたラベル基材3の裏面に印刷を施す工程であり、印刷ユニット41を備えている。印刷ユニット41は、版を巻いた版胴42と、圧胴43と、UVランプ44とからなり、版胴42と圧胴43とでラベル基材3を挟圧して搬送するとともに、版胴42周囲の版へ紫外線硬化型インキ(紫外線の照射により硬化するインキ)を供給してラベル基材3の裏面に印刷を行う。そして、UVランプ44から紫外線を照射して印刷したインキを硬化させる。これにより、ラベル基材3の裏面にタイミングマーク8が印刷される(図1、図2参照)。
【0031】
次の表面印刷工程50ではラベル基材3表面(サーマル層4表面)に印刷を行い画像9を形成する(図1、図2参照)。印刷ユニット51は、例えば、版を巻いた版胴52と、圧胴53と、UVランプ54とからなる。個々の動作は裏面印刷工程40と同一であるため、詳しい説明は省略する。裏面印刷工程および表面印刷工程の印刷ユニットは、タイミングマークの有無や、表面印刷の色数に合わせて用意しておく。
【0032】
剥離剤塗工工程60は、表面印刷工程50を経たラベル基材3やサーマル層4の表面に剥離剤を塗工する工程である。剥離剤の種類や剥離効果は、後述する粘着剤塗工工程100で使用する粘着剤の種類に合わせて選択され、例えばシリコーンを主成分とする剥離剤が使用される。この剥離剤は、塗工ロール62とバックアップロール63を有する塗工ユニット61によってラベル基材3の表面に塗布され、UVランプ64から紫外線を照射することにより硬化する。これにより図1(b)、図2(b)に示すようにラベル基材3の表面に剥離剤層4が形成される。
【0033】
この剥離剤には塗工前に着色剤を予め混合しておく。着色剤としては所望の色を混合するのであるが、使用する剥離剤の種類に応じて相溶性あるいは分散性の良いものを一種または複数種選択して使用する。混合方法は、剥離剤の粘度や着色剤の相溶性等に応じ、適宜、装置や方法を選択する。例えば、撹拌機を用いた撹拌混合、ボールミルによる分散混合、サンドミルを用いた分散などがあげられる。振動ミルも使用できる。
【0034】
次のダイカット工程70は、剥離剤塗工工程60を経たラベル基材3に、ミシン目や切り込みを形成する工程で、ダイロール71とアンビルロール72とからなる。ダイロール71をラベル基材3に押し当てて回転させることによってラベル基材3から剥離剤層4までを貫通するミシン目7が形成される。
【0035】
ダイカット工程70を経たラベル基材3は、巻き取り部80の巻き取り軸81に巻き取られ、剥離処理済ロール82となる。剥離処理済ロール82は巻き取り軸81から取り外され、ロール状態のまま図3に示すコータ100へ移送される。
【0036】
図4に示すコータ100は、巻出し部110、粘着剤塗工工程130および巻き取り部140で構成される。
【0037】
巻出し部110は剥離処理済ロール82を軸支して巻出す供給軸111からなる。供給軸111から巻出された剥離処理済のラベル基材3はガイドローラ112を経て粘着剤塗工工程130へ移送される。
【0038】
粘着剤塗工工程130は、ホットメルト粘着剤を吐出する塗工ヘッド131と、チルロール132と、粘着剤供給タンク133とを有する。粘着剤供給タンク133のホットメルト粘着剤を塗工ヘッド131先端からラベル基材3裏面へ吐出すると、粘着剤層5が形成される。粘着剤層5が形成されたラベル基材3は、ガイドローラ113・114を経て巻き取り部140の巻き取り軸141に巻き取られ、マスターロール142となる。
【0039】
粘着加工を終えたマスターロール142はスリッタ小巻機(不図示)で所望の幅、列にスリットされ、規定幅の支管に規定枚数または規定長ごとに巻き取られて台紙なしラベル連続体1が完成する。
【0040】
上記の如く製造された台紙なしラベル連続体1は、ミシン目7で切り離し、単葉の台紙なしラベル2として被着体に貼り付けて使用する。ラベル基材3がサーマル紙で、ラベルプリンタ(不図示)を用いて印字する場合は、プリンタに付属するカッタで切り離しても良い。
【0041】
なお、本発明が前述した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状、配置等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 台紙なしラベル連続体
2 台紙なしラベル
3 ラベル基材
4 剥離剤層
5 粘着剤層
6 サーマル層
7 ミシン目
8 タイミングマーク
9 画像(プレ印刷)
11 台紙なしラベル連続体
12 台紙なしラベル
13 ラベル基材
14 剥離剤層
15 粘着剤層
20 ラベル加工機
22・23・24・25・26・28・29 ガイドローラ
30 巻出し部
31 供給軸
40 裏面印刷工程
41 印刷ユニット
42 版胴
43 圧胴
44 UVランプ
50 表面印刷工程
51 印刷ユニット
52 版胴
53 圧胴
54 UVランプ
60 剥離剤塗工工程
61 塗工ユニット
62 塗工ロール
63 バックアップロール
64 UVランプ
70 ダイカット工程
71 ダイロール
72 アンビルロール
80 巻き取り部
81 巻き取り軸
82 剥離処理済ロール
100 コータ
110 巻出し部
111 供給軸
112・113・114 ガイドローラ
130 粘着剤塗工工程
131 塗工ヘッド
132 チルロール
133 粘着剤供給タンク
140 巻き取り部
141 巻き取り軸
142 マスターロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺帯状のラベル基材の表面に剥離剤層、裏面に粘着剤層が設けられ、ロール状に巻回された台紙なしラベル連続体であって、前記剥離剤層が着色されていることを特徴とする台紙なしラベル連続体。
【請求項2】
前記剥離剤層に着色剤が添加されていることを特徴とする請求項1に記載の台紙なしラベル連続体。
【請求項3】
前記ラベル基材と剥離剤層との間に印刷インキによる画像が形成され、該画像を着色された剥離剤層を透して視認可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の台紙なしラベル連続体。
【請求項4】
前記ラベル基材がサーマル紙であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の台紙なしラベル連続体。
【請求項5】
長尺帯状のラベル基材の表面に剥離剤を塗工して剥離剤層を形成する工程と、前記ラベル基材の裏面に粘着剤層を設ける工程と、をこの順に含む台紙なしラベル連続体の製造方法であって、
前記剥離剤に着色剤を添加しておき、剥離剤の塗工によってラベル基材を着色することを特徴とする台紙なしラベル連続体の製造方法。
【請求項6】
前記着色剤が顔料または染料から一または複数選ばれることを特徴とする請求項5に記載の台紙なしラベル連続体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−97101(P2013−97101A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238606(P2011−238606)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】