説明

合わせガラス半製品の検査装置及び検査方法

【課題】 本発明は、予備圧着処理を経た合わせガラス半製品に圧着不良があるか否かを効率的に検出することに寄与することができる検査装置の提供を目的とする。
【解決手段】 複数枚のガラス板間に不透明な中間膜を介在させた合わせガラス半製品を検査する検査装置において、本圧着処理前の予備圧着処理を経た合わせガラス半製品の全体領域を含む画像を用いて、予備圧着処理後の合わせガラス半製品の曇度を検査することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のガラス板間に不透明な中間膜を介在させた合わせガラス半製品の予備圧着処理後の曇度を検査する検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガラス板内の異物,泡およびガラス板表面の傷,凹凸を判別する連続シート状物体の欠点検査装置として、明視野照明装置と、暗視野照明装置と、反射照明装置とを備えることを特徴とする連続シート状物体の欠点検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−327561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、車のウインドウシールド等に使われる合わせガラスは、一般的に、複数枚のガラス板間に不透明な中間膜を介在させた合わせガラス半製品に対して予備圧着処理及び本圧着処理を行うことで製造される。この予備圧着処理は、例えば合わせガラス半製品をロール間に通して圧着させたり、又は、ゴム袋に合わせガラス半製品を入れて当該ゴム袋を減圧したりすることで行われるが、かかる予備圧着処理を経た合わせガラス半製品に圧着不良(減圧不良)があると、その後の本圧着処理によっても完全な圧着が不能となるので(即ち、本圧着処理を経ても不良品となる)、かかる無駄を無くすため、本圧着処理の前段階で予備圧着不良の有無の検査が必要になる。
【0004】
そこで、本発明は、予備圧着処理を経た合わせガラス半製品に圧着不良があるか否かを効率的に検出することに寄与することができる検査装置及び検査方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明によれば、複数枚のガラス板間に不透明な中間膜を介在させた合わせガラス半製品を検査する検査装置において、
本圧着処理前の予備圧着処理を経た合わせガラス半製品の全体領域を含む画像を用いて、予備圧着処理後の合わせガラス半製品の曇度を検査することを特徴とする合わせガラス半製品の検査装置が提供される。
【0006】
本発明による合わせガラス半製品の検査装置において、内部が減圧可能な複数の予備圧着処理用の袋に、1つずつ入れられて予備圧着処理される複数の合わせガラス半製品の曇度の検査結果を、袋毎に管理してもよい。
【0007】
また、本発明によれば、複数枚のガラス板間に不透明な中間膜を介在させた合わせガラス半製品を検査する検査方法において、
本圧着処理前の予備圧着処理を経た合わせガラス半製品の全体領域を含む画像を取得する行程と、
前記取得した画像におけるエッジ検出により合わせガラス半製品の全体領域の検出し、該検出した合わせガラス半製品の全体領域内に検査領域を決定する行程と、
検査領域内の画素の明るさに基づいて、予備圧着処理後の合わせガラス半製品の曇度を検査する工程と、を含むことを特徴とする合わせガラス半製品の検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したとおり本発明は、本圧着処理前の予備圧着処理を経た合わせガラス半製品の全体領域を含む画像を用いて、予備圧着処理後の合わせガラス半製品の曇度を検査することで、予備圧着処理を経た合わせガラス半製品に圧着不良があるか否かを効率的に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0010】
本発明は、複数枚のガラス板間に不透明な中間膜を介在させた合わせガラス半製品の予備圧着処理後の曇度を検査する検査装置及び検査方法に関する。
【0011】
合わせガラスは、一般的に、複数枚のガラス板間に不透明な中間膜を介在させてなる積層体(以下、「合わせガラス半製品」という)に対して予備圧着処理及び本圧着処理を行うことで製造される。本明細書及び特許請求の範囲における用語“合わせガラス半製品”とは、製造途中の合わせガラス、即ち完成品でない合わせガラスを表現するために用いられている。
【0012】
本発明では、合わせガラスの製造に用いるガラス板や中間膜の材料や形状、特性、用途、合わせるガラス板の枚数等の如何を問わない。例えば、合わせガラス に使用される無機ガラス板としては、一般建築用(窓用)に使用されるソーダライムガラスが使用できる。その他、用途に応じて各種組成の無機ガラス板が使用できる。また、通常の板ガラスのみならず、強化ガラス、倍強化ガラス、半強化ガラス等の強化ガラスも使用できる。また、合わせガラスに使用される有機ガラス板としては、ポリカーボネート樹脂シート、アクリル樹脂シート等が使用できる。その他、用途に応じて各種材質の有機ガラス板が使用できる。また、合わせガラスは、一般的には自動車のフロントウインドシールドとして用いられるが、自動車のサイドガラスやリアガラスとして用いられてもよいし、自動車関連以外の用途にも使用できる。また、合わせガラスに使用される中間膜としては、EVA系(エチレン酢酸ビニル系)の樹脂シート、ポリウレタン系の樹脂シート、ポリビニルブチラール樹脂シート等が使用できる。その他、用途に応じて各種材質の樹脂製シートが使用できる。樹脂シートの厚みとしては、ガラス板の厚みと目的により変わってくるが、0.1〜1.6[mm]程度の厚みが好ましく、また、前記樹脂シート1の両面に形成されるエンボスの深さは、およそ1〜50[μm]程度とすればよい。また、中間膜は必ずしも一層である必要は無く、2枚のガラス板間に複数層存在してもよい。また、中間膜は、遮音機能や熱線反射機能のような他の機能を備えていてもよい。
【0013】
また、本発明では、原則として、予備圧着処理及び本圧着処理の方法(タイプ)の如何を問わない。例えば、予備圧着工程としては、(1)合わせガラス半製品をゴムもしくはプラスチックフィルムよりなる袋に入れて減圧脱気する袋法、(2)合わせガラス半製品を加熱しながら圧着ゴムロール間を通してロール圧力により脱気する圧着ゴムロール法が一般的である。本圧着工程としては、(1)大気圧下での熱による圧着(オーブン法)、(2)大気圧下での光による圧着(光圧着法)、(3)高圧下での熱による圧着(オートクレーブ法)がある。あるいは予備圧着工程で袋法もしくはラミネートマシンを用いて脱気しながら同時に加熱して本圧着工程まで1回のプロセスで行う方法、予備圧着工程で圧着ゴムロール法を用い本圧着工程で搬送ロール内蔵の加熱炉を通す連続プロセスなどもある。以下では、一例として、予備圧着工程として袋法を用い、本圧着行程でオートクレーブ(圧力釜、加圧脱泡装置)を用いる構成について説明する。
【0014】
本発明による検査装置及び検査方法は、本圧着処理前の予備圧着処理を経た合わせガラス半製品に適用される。
【0015】
図1(A)は、本圧着処理前の予備圧着処理を経た合わせガラス半製品のライン搬送状態を示す側面図であり、図1(B)は、同合わせガラス半製品の上面図である。図2は、本発明による検査装置100の一実施例を示すシステム構成図である。
【0016】
予備圧着処理を経た合わせガラス半製品は、図1(A),(B)に示すように、コンベア10上に載置された状態で、図中矢印に示す搬送方向に沿って搬送されて、本発明による曇度検査セクションを介して、オートクレーブ(図示せず)による本圧着行程に至る。
【0017】
コンベア10としては、以下で説明する合わせガラス半製品の曇度検査に影響を与えないように(以下で説明する曇度検査用の画像中におけるコンベア10の占める範囲が小さくなるように)、好ましくは、図に示すようなロープコンベヤまたはベルトコンベヤが用いられる。
【0018】
曇度検査セクションには、図1(A),(B)に示すように、ラインカメラ12と照明14とがセットでコンベア10の上下に配置される。
【0019】
照明14は、コンベア10の上方に位置するラインカメラ12に向けてコンベア10の下方から光を放射する。照明14は、合わせガラス半製品の幅方向の長さ全体を照明できる長さで、コンベア10の幅方向(搬送方向に直交する方向)に延在している。照明14としては、高周波点灯蛍光灯が用いられてよい。
【0020】
ラインカメラ12は、合わせガラス半製品の幅方向の長さ全体を撮像できるように、照明14に対向してコンベア10の上方に配置される。ラインカメラ12としては、その受光域がコンベア10の幅方向に沿って延在するラインセンサーカメラが用いられてよい。また、合わせガラス半製品の幅方向の長さが大きい場合等、必要に応じて、複数のラインカメラ12がコンベア10の幅方向に並べられてもよい。
【0021】
図2に示すように、検査装置100は、以下で詳説するガラス半製品の曇度検査処理を行うマイクロコンピューター102(以下、「検査コンピューター102」という)を備える。検査コンピューター102は、例えば、以下で説明する画像処理を行う画像処理回路、検査プログラム等の各種データを格納するROM、演算結果等を格納する読書き可能なRAM、タイマ、カウンタ、入力インターフェイス、及び出力インターフェイス等を有する。
【0022】
検査コンピューター102には、ライン制御PLC(programmable logic controller)70が接続される。ライン制御PLC70は、合わせガラスの生産ラインにおける各種マシン(コンベアやロボット等)を制御するシーケンサであり、例えば各セクション間での合わせガラス半製品の受け渡しや搬送ルートの切り替え等を実現する。検査コンピューター102には、ライン制御PLC70から、曇度検査セクションへの合わせガラス半製品の搬入を知らせるガラス検出信号(図2参照)が入力される。
【0023】
検査コンピューター102には、ラインカメラ12が接続される。検査コンピューター102には、ラインカメラ12により撮像した画像が入力される。検査コンピューター102には、高周波電源14aを介して照明14が接続される。検査コンピューター102は、周囲光の明るさの変化(例えば工場内の昼と夕方での明るさの違い)によってラインカメラ12による撮像画像の明暗が変化しないように、照明14の明るさを制御する。
【0024】
図3は、検査コンピューター102により実行されるガラス半製品の曇度検査処理の流れを示すフローチャートであり、図4は、図3のフローチャートの処理により得られる検査用画像の各状態を示す図である。
【0025】
ステップ100では、ラインカメラ12により撮像された画像が入力される。図4(A)は、ラインカメラ12からの入力画像(初期状態の画像)を示す。入力画像は、例えば8ビットのグレイ画像(0〜255階調)である。入力画像は、図4(A)に示すように、合わせガラス半製品の全体領域(全体像)を含む。かかる画像は、合わせガラス半製品がラインカメラ12と照明14との間をコンベア10により移動されながら通過する際に得られる(即ち、コンベア10による移動により、合わせガラス半製品の全体がラインカメラ12によりスキャニングされる)。
【0026】
ステップ110では、入力画像に対して合わせガラス半製品の全体領域(以下、「ガラス領域」という)を抽出する処理が行われる。本例では、図4(B)に示すように、入力画像からコンベアベルト部及び黒セラ部が除去される。黒セラ部とは、合わせガラス半製品の周縁部にプリントされるぼろ隠しのための黒色層(黒セラミック層)をいう。これらの除去は、例えば入力画像から低グレイ値(0〜5)の部分を除去することで実現できる。
【0027】
ステップ120では、入力画像に対して検査条件の均一化処理が行われる。この処理は、ラインカメラ12と照明14の位置関係上、画像の端の部分が中央部分に比べて暗くなる傾向にあり、かかる傾向を補償するために実行される。具体的には、初期セットアップ時に、合わせガラス半製品が存在しない状態の画像(ラインカメラ12による画像内の光量分布を表す基準データ)を取得して、検査コンピューター102のメモリに登録しておき、この登録画像を入力画像から差し引く。即ち、入力画像の光量分布を、基準となる登録画像の光量分布に基づいて補正する。これにより、画像の中央部と端部との測定誤差が補償され、図4(C)に示すような濃淡が反転する画像が得られる。
【0028】
ステップ130では、ガラス領域内の染分け部に対応する部位が除去され、最終的な検査領域が抽出される(図4(D)参照)。染分け部とは、ウインドウシールド用の合わせガラス半製品の上辺に沿って設けられた略帯状の可視光減衰領域のことであり、朝陽や夕陽等に対する防眩効果を高めるために設定される。尚、染分け部は、中間膜の一部を帯状に染色したり、フロントガラスの表面(中間膜側の面)に着色層を成膜したりすることで形成される。
【0029】
ステップ140では、図4(D)に示す検査領域(ガラス領域から染分け部を除去して得られる領域)に対して曇度検査処理が実施される。具体的には、検査領域内の画素のグレイ値に基づいて、合わせガラス半製品の曇度(光の透過量)が検査され、曇度が所定基準に満たない部位が、曇部として検出される。曇部は、光の透過量が所定基準を満たさない透明度の小さい部位であり、これは、合わせガラス半製品の全領域における圧着が不十分で空気が残っている部位を意味する。というのは、圧着が不十分な部位では、中間膜の表面のエンボス(微少凹凸)により光が散乱して光の透過率が小さくなるからである。
【0030】
従って、本実施例によれば、合わせガラス半製品の全体像を含む画像を解析して合わせガラス半製品の曇度を検査することで、合わせガラス半製品の全領域に対して一括的に、圧着が不十分な部位があるか否かを検出することができる。特に、圧着が不十分な領域は、合わせガラス半製品の全領域において局所的且つランダム的に発生するが、本実施例によれば、かかる圧着が不十分な領域を、合わせガラス半製品の全体像を含む画像を用いて検出することが可能となる。
【0031】
本例では上記ステップ120での処理によりグレイ値が高いほど光の透過量が少ないことを意味するので、本ステップ140では、所定閾値よりも大きいグレイ値を持つ複数の連続する画素からなる部位が、曇部として検出される。
【0032】
図4(D)には、上述の曇度検査処理により検出される2つの曇部が例示的に示されている。本実施例によれば、上述の如く、合わせガラス半製品の全領域(正確には、コンベアベルト部等を除いた領域。)に対して曇度検査が実施されるので、図4(D)に示すような従来では目視によってしか検出できないような比較的小さな曇部についても効率的に検出することが可能となる。
【0033】
ステップ150では、上記ステップ140で得られた曇度の検査結果に基づいて、最終的に、今回検査した合わせガラス半製品が良品であるか否かが判断される。この判定は、例えば、合わせガラス半製品の全領域の面積に対する曇部の面積(曇部が複数ある場合にはその合計)の比[%]、検査領域全体における平均曇度[%]、極端に曇度が悪い曇部が存在した場合にはその曇部の面積[mm]等のようなパラメータに対して、適切な閾値を設定することで実現される。この閾値は、後工程の本圧着行程で問題となるレベル(即ち、オートクレーブによる完全な圧着ができないレベル)の曇を持つ部位が検出され、且つ、問題とならないレベルや大きさの曇を持つ部位が検出されないような適切な値を取ることが望ましく、実稼動(試験)により適合される。
【0034】
本ステップ150において今回検査した合わせガラス半製品は良品で無いと判定された場合、ライン制御PLC70に対して、不良品である旨の判定が出力される(図2の判定出力参照)。これを受けてライン制御PLC70は、当該合わせガラス半製品が、後工程の本圧着処理を受けないように、その搬送経路を変更する。尚、判定結果は、ライン管理者がリアルタイムに監視できるように、例えば検査コンピューター102に接続されるディスプレイ上に、検査結果と共に表示されてもよい。
【0035】
本ステップ150において今回検査した合わせガラス半製品は良品であると判定された場合、ライン制御PLC70に対して、不良品である旨の判定が出力される(図2の判定出力参照)。同様に、判定結果は、ライン管理者がリアルタイムに監視できるように、例えば検査コンピューター102に接続されるディスプレイ上に、検査結果と共に表示されてもよい。この場合、今回検査した合わせガラス半製品は、通常通り、本圧着行程へと搬送され、オートクレーブ内で本圧着処理される。これにより、完全に圧着された透明な合わせガラスができあがる。
【0036】
このように本実施例によれば、本圧着処理によっても完全な圧着が不能となるような(即ち、本圧着処理を経ても不良品となるような)曇部を有する合わせガラス半製品を効率的に検出して、かかる合わせガラス半製品が誤って本圧着処理されてしまう無駄を省くことができる。
【0037】
また、本実施例によれば、上述の検査結果をデータベースとして蓄積することで、検査結果(平均曇度等の各パラメータ)の推移ないしトレンド(傾向)を検知することができ、不良発生原因の解明やその予防に役立てることができる。例えば、不良品の発生する原因としては、予備圧着処理に用いる袋の劣化ないし磨耗がある。以下、袋の劣化ないし磨耗の検出方法について説明する。
【0038】
図5は、予備圧着処理中の合わせガラス半製品の端部の状態を示す断面図である。上述の袋法により予備圧着処理を行う予備圧着装置50は、内部が減圧可能な複数の予備圧着処理用の袋(密閉袋)52を有する。予備圧着処理中、袋52の内部は、図5に示すように、真空ポンプ53により所定の圧まで真空引きされ、これにより、減圧脱気による予備圧着が実現される。
【0039】
尚、図5に示す例では、袋52を真空ポンプ53により減圧した際、合わせガラス半製品の周縁部が局部的に強く圧着されることを防止するため、袋52に入れられる合わせガラス半製品の周囲には、合わせガラス半製品の厚みより厚いアルミの角材などからなるスペーサ54が配置されている。
【0040】
生産ライン稼働中、前工程から予備圧着行程へと順次搬入されてくる合わせガラス半製品は、予備圧着装置50の複数の袋52に、1つずつ入れられて予備圧着処理される。この予備圧着処理は、全ての袋52に合わせガラス半製品を入れてから同時に減圧を行うバッチ処理であってもよく、或いは、搬送されてきた合わせガラス半製品に対して順次処理を行うものであってもよい。このようにして予備圧着処理が終了されると、上述の如く、検査処理のため曇度検査セクションに搬入される。
【0041】
ところで、本実施例のように複数の袋52を用いる構成では、前工程から順次送られてくる合わせガラス半製品に対して効率的に予備圧着処理を行える点で有効であるが、その反面、上述の如く予備圧着後の合わせガラス半製品に圧着不良が検出された場合に、この圧着不良が袋52の劣化ないし磨耗によるものなのか、そうだとしても、どの袋52に、かかる劣化ないし磨耗が発生しているのかを判断することが困難となる。
【0042】
そこで、本実施例では、上述の検査結果(平均曇度等の各パラメータ)をデータベースに蓄積する際、各検査結果を、当該検査結果に係る合わせガラス半製品に対して予備圧着処理を行った袋52のIDに対応付ける。袋52のIDは、例えば袋52の製品番号などでよく、各合わせガラス半製品がどの袋52により処理されたかは、適切なトラッキングシステムにより判断・管理し、例えば曇度検査セクションに搬入される際にライン制御PLC70により検査コンピューター102に通知すればよい。検査コンピューター102は、各合わせガラス半製品に対して行う上述の曇度検査処理により得られる検査結果を、袋52のID毎に読み出し可能な態様で、例えばハードディスクのような適切なメモリ(データベース)に保管する。
【0043】
従って、本実施例によれば、例えば定期的に検査結果(平均曇度等の各パラメータ)のトレンドを、袋52毎にチェックすることで、袋52の経時的な劣化ないし磨耗を検出することができる。即ち、袋52の経時的な劣化ないし磨耗の場合は、検査結果における平均曇度等の各パラメータの悪化傾向が徐々に現れてくるので、この悪化傾向を把握することで検出することができる。これにより、経時的な劣化ないし磨耗の傾向を示す袋52を事前に交換することで、合わせガラス半製品の不良品の発生を未然に防ぐことができる。即ち、上述の検査装置100による検査により不良品と判定される合わせガラス半製品の数を低減して、無駄を無くすことができる。
【0044】
また、同様の考え方で、予備圧着行程へと順次搬入されてくる合わせガラス半製品に対して、複数の袋52のうちの1つを順次周期的に用いる構成において、不良品の発生が周期的に起こる場合、その周期に基づいて、当該不良品の発生が袋52の劣化ないし磨耗によるものか否かを判別することができる。これは、ある袋52に劣化ないし磨耗が発生した場合は、その袋52による予備圧着処理された合わせガラス半製品が搬入される周期に合わせて、不良品が検出される傾向が出るためである。尚、これらのチェックは、適切なソフトウェアにより自動的に実行されるものであってよい。
【0045】
また、不良品が発生したときの画像における曇部の位置の傾向を把握することで、袋52の劣化ないし磨耗位置の早期発見に寄与できると共に、袋52の構造(例えば真空ポンプ53からの負圧導入口の位置(真空チャック55の取り付け位置)等)を最適化することもできる。また、不良品の発生が周期的に起こり、いつも画像内の同一の領域に曇部が検出される場合には、当該領域に対応する袋52の箇所に劣化ないし磨耗が発生している可能性が高いと判断することができる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0047】
例えば、上述の実施例では、オンラインで移動している合わせガラス半製品に対してその全体像を撮影できるラインカメラ12を用いているが、本発明は特にこの構成に限定されることはなく、搬送中の合わせガラス半製品を所定位置で停止させ、エリアセンサカメラでその全体像を撮影し、これにより得られる画像に基づいて上述と同様に曇度検査を行う構成であってもよい。
【0048】
また、上述の実施例では、入力画像から検査領域を抽出するために黒セラ部等を除去しているが、これらが存在しないときは当然ながらこのような処理が省略されてよく、上述以外の他の領域が検査領域から除外されてもよい。例えば、例えばアンテナシートをガラス板間に封入する合わせガラスにおいては、アンテナシート又はアンテナパターンが存在する領域が検査領域から除外されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1(A)は、本圧着処理前の予備圧着処理を経た合わせガラス半製品のライン搬送状態を示す側面図であり、図1(B)は、同合わせガラス半製品の上面図である。
【図2】本発明による検査装置100の一実施例を示すシステム構成図である。
【図3】検査コンピューター102により実行されるガラス半製品の曇度検査処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図3のフローチャートの処理により得られる検査用画像の各状態を示す図である。
【図5】予備圧着処理中の合わせガラス半製品の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
10 コンベア
12 ラインカメラ
14 照明
30 予備圧着装置
50 ライン制御PLC
52 袋
53 真空ポンプ
54 スペーサ
55 真空チャック
70 ライン制御PLC
100 検査装置
102 検査コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のガラス板間に不透明な中間膜を介在させた合わせガラス半製品を検査する検査装置において、
本圧着処理前の予備圧着処理を経た合わせガラス半製品の全体領域を含む画像を用いて、予備圧着処理後の合わせガラス半製品の曇度を検査することを特徴とする合わせガラス半製品の検査装置。
【請求項2】
内部が減圧可能な複数の予備圧着処理用の袋に、1つずつ入れられて予備圧着処理される複数の合わせガラス半製品の曇度の検査結果を、袋毎に管理することを特徴とする、請求項1に記載の合わせガラス半製品の検査装置。
【請求項3】
複数枚のガラス板間に不透明な中間膜を介在させた合わせガラス半製品を検査する検査方法において、
本圧着処理前の予備圧着処理を経た合わせガラス半製品の全体領域を含む画像を取得する行程と、
前記取得した画像におけるエッジ検出により合わせガラス半製品の全体領域の検出し、該検出した合わせガラス半製品の全体領域内に検査領域を決定する行程と、
検査領域内の画素の明るさに基づいて、予備圧着処理後の合わせガラス半製品の曇度を検査する工程と、を含むことを特徴とする合わせガラス半製品の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−300899(P2006−300899A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126991(P2005−126991)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】