説明

合わせガラス用中間膜及び合わせガラス

【課題】遮熱性が高い合わせガラス用中間膜を提供する。
【解決手段】透明又は不透明な着色領域R1を一部に有する合わせガラス用中間膜2であり、着色領域R1において、熱可塑性樹脂と、可塑剤と、遮熱粒子5と、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも一種の成分と、黄色染料とを含有する。着色領域R1において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する遮熱粒子5の含有量は0.01〜2重量部の範囲内であり、かつ上記成分及び上記黄色染料の合計の含有量は0.5重量部以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車又は建築物などの合わせガラスに用いられる合わせガラス用中間膜に関し、より詳細には、合わせガラスの遮熱性を高めることができる合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより、製造されている。このような車両及び建築物の開口部に用いられる合わせガラスには、高い遮熱性が求められる。
【0003】
可視光よりも長い波長780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質にいったん吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。従って、合わせガラスの遮熱性を高めるためには、赤外線を十分に遮断する必要がある。
【0004】
近年、上記赤外線(熱線)を効果的に遮断するために、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)又はアンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)などの遮熱粒子が、合わせガラス用中間膜に用いられている。
【0005】
また、上記遮熱粒子を含まない合わせガラス用中間膜の一例として、下記の特許文献1には、合成樹脂96.5〜99.6重量%と、紫外線吸収剤0.2〜3.0重量%と、黄色染料0.02〜0.5重量%とを含む合わせガラス用中間膜が開示されている。ここでは、合わせガラスに害虫が飛来することを防止できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−300149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、ITO粒子又はATO粒子を含む従来の中間膜の遮熱性を更に高めることが要求されている。しかし、ITO粒子又はATO粒子は、近赤外線を充分に吸収しない。従って、中間膜中にITO粒子又はATO粒子を添加しただけでは、合わせガラスの遮熱性を大きく高めることは困難である。
【0008】
また、自動車などの車両用の合わせガラス、特にフロントガラスにおいては、太陽光線又は屋外照明等により、運転中のドライバーが眩しさを感じるのを防ぐことなどを目的として、中間膜に帯状の着色領域が設けられることがある。この着色領域は、シェードバンドと呼ばれている。上記着色領域は、一般的には、中間膜の上端側の縁部を帯状に着色することにより設けられていることが多い。このような着色領域を有する中間膜を用いた合わせガラスでも、高い遮熱性が望まれている。
【0009】
本発明の目的は、遮熱性が高い合わせガラスを得ることができる合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の広い局面によれば、透明又は不透明な着色領域と、該着色領域とは異なる第2の領域を有し、該着色領域において、熱可塑性樹脂と、可塑剤と、遮熱粒子と、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも一種の成分と、黄色染料とを含有し、上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記遮熱粒子の含有量が0.01〜2重量部の範囲内であり、かつ上記成分及び上記黄色染料の合計の含有量が0.5重量部以下である、合わせガラス用中間膜が提供される。上記遮熱粒子は金属酸化物粒子であることが好ましい。
【0011】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記成分の含有量は0.001〜0.1重量部の範囲内である。
【0012】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記黄色染料の含有量は0.005〜0.24重量部の範囲内である。
【0013】
本発明の他の広い局面によれば、透明又は不透明な着色領域と、該着色領域とは異なる第2の領域を有し、該着色領域において、熱可塑性樹脂と、可塑剤と、遮熱粒子と、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも一種の成分と、黄色染料とを含有し、上記着色領域において、上記遮熱粒子を0.05〜12g/mの割合で含有し、かつ上記成分及び上記黄色染料を合計で1.5g/m以下の割合で含有する、合わせガラス用中間膜が提供される。上記遮熱粒子は金属酸化物粒子であることが好ましい。
【0014】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、上記着色領域において、上記成分は、0.005〜1.0g/mの割合で含有される。
【0015】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、上記着色領域において、上記黄色染料は、0.025〜1.45g/mの割合で含有される。
【0016】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに他の特定の局面では、上記第2の領域の可視光線透過率は、上記着色領域の可視光線透過率よりも高い。
【0017】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の別の特定の局面では、上記第2の領域において、熱可塑性樹脂と、可塑剤とが含有される。
【0018】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに別の特定の局面では、上記着色領域は、少なくとも一端側の縁部に帯状に存在する。
【0019】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、該合わせガラス用中間膜は、自動車フロント合わせガラス用中間膜であり、上記着色領域は、上端側の縁部又は下端側の縁部の内の少なくとも一方に帯状に存在する。
【0020】
本発明に係る合わせガラスは、第1,第2の合わせガラス構成部材と、該第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた単層又は多層の中間膜とを備えており、該単層又は多層の中間膜が、本発明に従って構成された合わせガラス用中間膜を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、透明又は不透明な着色領域と、該着色領域とは異なる第2の領域を有し、該着色領域において、熱可塑性樹脂と、可塑剤と、遮熱粒子と、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも一種の成分と、黄色染料とを含有し、更に上記着色領域において、熱可塑性樹脂に対する又は合わせガラス用中間膜中の遮熱粒子の含有量並びに成分及び黄色染料の合計の含有量が上記特定の範囲内であるので、着色領域の遮熱性を高めることができる。このため、遮熱性が高い上記着色領域に由来して、合わせガラスの遮熱性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す部分切欠側面断面図である。
【図2】図2には、図1に示す合わせガラスに用いた合わせガラス用中間膜を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0024】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、透明又は不透明な着色領域(第1の領域)と、該着色領域とは異なる第2の領域とを有する。本発明に係る合わせガラス用中間膜は、透明又は不透明な着色領域を一部に有する。
【0025】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記着色領域において、熱可塑性樹脂と、可塑剤と、遮熱粒子と、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも一種の成分と、黄色染料とを含有する。以下、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも一種の成分を、成分Xと記載することがある。
【0026】
本発明に係る合わせガラス用中間膜では、上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記遮熱粒子の含有量が0.01〜2重量部の範囲内であり、かつ上記成分X及び上記黄色染料の合計の含有量が0.5重量部以下である。または、本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記着色領域において、上記遮熱粒子を0.05〜12g/mの割合で含有し、かつ上記成分X及び上記黄色染料を合計で1.5g/m以下の割合で含有する。
【0027】
本発明の主な特徴は、上記着色領域において、上記遮熱粒子と上記成分Xと上記黄色染料とが併用されており、かつこれらの上記熱可塑性樹脂に対する含有量又は合わせガラス用中間膜中での含有割合が上記着色領域において、上記関係を満たすことにある。これによって、合わせガラスの上記着色領域部分における遮熱性が高くなり、この結果、合わせガラスの遮熱性を効果的に高めることができる。すなわち、本発明に係る合わせガラス用中間膜の使用により、合わせガラスの遮熱性を高めることができる。
【0028】
ところで、近年、例えば、米国において、カリフォルニア大気資源委員会(CARB(California Air Resources Board))は、温室効果ガスを削減するために、自動車から排出される二酸化炭素の量を減らすことを提案していた。自動車から排出される二酸化炭素の量を減らすために、上記CARBは、合わせガラスを透過して自動車内に流入する熱エネルギーを規制して、エアコンで消費される燃料を低減し、自動車の燃費を改善することを検討していた。具体的には、上記CARBは、クールカー規制(Cool Cars Standards)の導入を予定していた。
【0029】
上記クールカー規制では、具体的には、2012年に、自動車に用いられる合わせガラスのTts(Total Solar Transmittance)が50%以下であることが要求される予定であった。2016年には、上記合わせガラスの上記Ttsが40%以下であることが要求される予定であった。上記Ttsは、熱線の遮蔽性の指標である。
【0030】
なお、一般的に熱反タイプと呼ばれる、金属薄膜を蒸着したガラス又は熱線反射PETを用いた熱線反射合わせガラスは、赤外線だけでなく通信波長領域の通信波を反射する。熱線反射合わせガラスをウインドシールドに用いる場合、多くのセンサー類に対応するため、熱線反射部分をくり抜く必要がある。この結果、Ttsが50%である熱線反射合わせガラスを用いたウインドシールド全面の平均のTtsは約53%となる。従って、通信波を透過し、赤外線を吸収するタイプの合わせガラスでは、Ttsが53%まで許容される見通しであった。
【0031】
2010年9月の時点では、上記クールカー規制の導入は見送られたものの、上記Ttsが低い合わせガラスが求められる傾向にあることに変わりはない。
【0032】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の使用により、上記クールカー規制(Cool Cars Standards)の要求性能を満たす合わせガラスを得ることが容易になる。具体的には、合わせガラスの上記Ttsを53%以下にすることが容易になる。
【0033】
従来、ITO粒子などの遮熱粒子を含有する合わせガラス用中間膜を用いた場合には、上記Ttsが53%以下である合わせガラスを得ることは極めて困難であった。これに対して、本発明に係る合わせガラス用中間膜の使用により、上記着色領域に由来して合わせガラスの遮熱性が高くなり、上記着色領域部分の上記Ttsが53%以下である合わせガラスを得ることができる結果、上記Ttsが53%以下である合わせガラスを得ることが容易になる。
【0034】
なお、本明細書において、上記Ttsの性能は、上記クールカー規制で要求されていた性能である。上記Ttsは、例えば、導入が予定されていたクールカー規制により定められた測定方法により測定される。
【0035】
上記透明又は不透明な着色領域とは異なる第2の領域は、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含むことが好ましい。この場合には、上記着色領域と上記第2の領域との境界における相溶性が高くなる。
【0036】
以下、本発明に係る合わせガラス用中間膜において、上記着色領域又は上記第2の領域に用いられ得る各成分の詳細を説明する。
【0037】
(熱可塑性樹脂)
本発明に係る合わせガラス用中間膜において、上記着色領域又は上記第2の領域に使用可能な上記熱可塑性樹脂は特に限定されない。上記熱可塑性樹脂として、従来公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。上記熱可塑性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0039】
上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、合わせガラス構成部材に対する中間膜の接着力をより一層高くすることができる。
【0040】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に80〜99.8モル%の範囲内である。
【0041】
上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は200、より好ましい下限は500、好ましい上限は3,000、より好ましい上限は2,500である。上記重合度が低すぎると、合わせガラスの耐貫通性が低下する傾向がある。上記重合度が高すぎると、合わせガラス用中間膜の成形が困難となることがある。
【0042】
上記アルデヒドは特に限定されない。上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒドがより好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、15〜40モル%の範囲内であることが好ましい。上記水酸基の含有率のより好ましい下限は18モル%、より好ましい上限は35モル%である。上記水酸基の含有率が低すぎると、中間膜の接着性が低くなることがある。また、上記水酸基の含有率が高すぎると、中間膜の柔軟性が低くなり、中間膜の取扱いに問題が生じやすい。
【0044】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠して、原料となるポリビニルアルコールの水酸基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
【0045】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)の好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は0.3モル%、さらに好ましい下限は0.5モル%、好ましい上限は30モル%、より好ましい上限は25モル%、さらに好ましい上限は20モル%、特に好ましい上限は10モル%である。上記アセチル化度が低すぎると、上記ポリビニルアセタール樹脂と上記可塑剤との相溶性が低下することがある。上記アセチル化度が高すぎると、中間膜の耐湿性が低くなることがある。
【0046】
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で示した値である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0047】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度の好ましい下限は60モル%、より好ましい下限は63モル%、好ましい上限は85モル%、より好ましい上限は75モル%、さらに好ましい上限は70モル%である。上記アセタール化度が低すぎると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が低いことがある。上記アセタール化度が高すぎると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が長くなることがある。
【0048】
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で示した値である。
【0049】
上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、アセチル基量とビニルアルコール量(水酸基の含有率)とを測定し、得られた測定結果からモル分率を算出し、ついで、100モル%からアセチル基量とビニルアルコール量とを差し引くことにより算出され得る。
【0050】
なお、ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル基量は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
【0051】
(可塑剤)
本発明に係る合わせガラス用中間膜において、上記着色領域又は上記第2の領域に使用可能な上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0052】
上記可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などのリン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0053】
上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル、並びにトリエチレングリコール又はトリプロピレングリコールと一塩基性有機酸とのエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
【0054】
上記多塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0055】
上記有機エステル可塑剤としては、特に限定されず、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
【0056】
上記有機リン酸可塑剤としては、特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0057】
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
【0058】
【化1】

【0059】
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6〜10の有機基であることが好ましい。
【0060】
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)及びトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)の内の少なくとも一種であることが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートであることがより好ましい。
【0061】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記着色領域において、上記可塑剤として、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)及びトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)の内の少なくとも一種を含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
【0062】
上記着色領域又は上記第2の領域における上記可塑剤の含有量は特に限定されない。上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量の好ましい下限は25重量部、より好ましい下限は30重量部、さらに好ましい下限は35重量部、好ましい上限は75重量部、より好ましい上限は60重量部、さらに好ましい上限は50重量部である。上記第2の領域における上記可塑剤の好ましい含有量の下限及び上限は、上記第1の領域における上記可塑剤の好ましい含有量の下限及び上限と同様である。上記可塑剤の含有量が上記好ましい下限を満たすと、合わせガラスの耐貫通性をより一層高めることができる。上記可塑剤の含有量が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の透明性をより一層高めることができる。
【0063】
(遮熱粒子)
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記着色領域において、遮熱粒子を含む。該遮熱粒子は、金属の酸化物により形成された粒子であることが好ましい。また、本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記第2の領域においても、遮熱粒子を含むことが好ましい。遮熱粒子は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0064】
可視光よりも長い波長である780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質にいったん吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。上記遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。なお、遮熱粒子とは、赤外線を吸収することができる粒子を意味する。
【0065】
上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子などの酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子及び珪素ドープ酸化亜鉛粒子などの金属酸化物粒子、並びに六ホウ化ランタン(LaB)粒子等が挙げられる。これら以外の遮熱粒子を用いてもよい。なかでも、熱線の遮蔽機能が高いため、遮熱粒子は金属酸化物粒子であることが好ましく、ATO粒子、GZO粒子、ITO粒子又は酸化タングステン粒子であることがより好ましく、ITO粒子であることがさらに好ましい。上記酸化タングステン粒子はセシウムドープ酸化タングステン粒子であることが好ましい。
【0066】
熱線の遮蔽性を充分に高めることができることから、上記ITO粒子の結晶の格子定数は、10.11Å〜10.16Åの範囲内であることが好ましい。なお、一般的に、ITO粒子の結晶の格子定数は10.11Å〜10.16Åの範囲内に含まれ、後述する実施例にて用いたITO粒子の結晶の格子定数も10.11Å〜10.16Åの範囲内に含まれている。
【0067】
合わせガラスの透明性及び遮熱性をより一層高める観点からは、上記遮熱粒子の平均粒子径の好ましい下限は10nm、より好ましい下限は20nm、好ましい上限は100nm、より好ましい上限は80nm、更に好ましい上限は50nmである。平均粒子径が上記好ましい下限を満たすと、熱線の遮蔽性を充分に高めることができる。平均粒子径が上記好ましい上限を満たすと、合わせガラスの透明性を高めることができる。
【0068】
上記「平均粒子径」は、体積平均粒子径を示す。平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製「UPA−EX150」)等を用いて測定できる。
【0069】
上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記遮熱粒子の含有量は0.01〜2重量部の範囲内であることが好ましい。または、本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記着色領域において、上記遮熱粒子を0.05〜12g/mの割合で含有することが好ましい。本発明では、上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記遮熱粒子の含有量が0.01〜2重量部の範囲内であるか、又は合わせガラス用中間膜が、上記着色領域において、上記遮熱粒子を0.05〜12g/mの割合で含有すればよい。上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記遮熱粒子の含有量、並びに合わせガラス用中間膜中での上記遮熱粒子の含有割合の内の一方が上記範囲内であることにより、合わせガラスの遮熱性を充分に高くすることができる。例えば、上記着色領域部分における合わせガラスの上記Ttsを53%以下にすることができる。ただし、本発明では、上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記遮熱粒子の含有量が0.01〜2重量部の範囲内であり、かつ合わせガラス用中間膜が、上記着色領域において、上記遮熱粒子を0.05〜12g/mの割合で含有していてもよい。なお、上記遮熱粒子の含有量が多すぎると、得られる合わせガラスのヘーズ値が高くなる。
【0070】
上記第2の領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記遮熱粒子の含有量は0.01〜2重量部の範囲内であることが好ましい。または、本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記第2の領域において、上記遮熱粒子を0.05〜12g/mの割合で含有することが好ましい。本発明では、上記第2の領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記遮熱粒子の含有量が0.01〜2重量部の範囲内であるか、又は合わせガラス用中間膜が、上記第2の領域において、上記遮熱粒子を0.05〜12g/mの割合で含有することが好ましい。上記第2の領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記遮熱粒子の含有量、並びに合わせガラス用中間膜中での上記遮熱粒子の含有割合の内の一方が上記範囲内であることにより、遮熱性を充分に高くすることができる。例えば、上記第2の領域部分における合わせガラスの上記Ttsを53%以下にすることができる。ただし、本発明では、上記第2の領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記遮熱粒子の含有量が0.01〜2重量部の範囲内であり、かつ合わせガラス用中間膜が、上記第2の領域において、上記遮熱粒子を0.05〜12g/mの割合で含有していてもよい。なお、上記遮熱粒子の含有量が多すぎると、得られる合わせガラスのヘーズ値が高くなる。
【0071】
上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記遮熱粒子の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より一層好ましい下限は0.14重量部、更に好ましい下限は0.5重量部、更に一層好ましい下限は0.55重量部、特に好ましい下限は0.6重量部であり、より好ましい上限は1.5重量部、より一層好ましい上限は1.2重量部、更に好ましい上限は1重量部、更に一層好ましい上限は0.9重量部、特に好ましい上限は0.8重量部である。上記着色領域において、合わせガラス用中間膜中の上記遮熱粒子の含有量のより好ましい下限は0.5g/m、より一層好ましい下限は0.8g/m、更に好ましい下限は1.2g/m、更に一層好ましい下限は1.5g/m、特に好ましい下限は2g/mであり、より好ましい上限は9g/m、より一層好ましい上限は8g/m、更に好ましい上限は7g/m、更に一層好ましい上限は5g/m、特に好ましい上限は4g/mである。上記第2の領域における上記遮熱粒子の好ましい含有量の下限及び上限は、上記第1の領域における上記遮熱粒子の好ましい含有量の下限及び上限と同様である。上記遮熱粒子の含有量が上記好ましい下限を満たすと、合わせガラスの遮熱性をより一層高めることができ、上記Ttsをより一層低くすることができる。上記遮熱粒子の含有量が上記好ましい上限を満たすと、上記可視光線透過率をより一層高くすることができる。
【0072】
(成分X)
上記成分Xは、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも一種の成分である。本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記着色領域において、上記成分Xを含む。本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記第2の領域においても、上記成分Xを含むことが好ましい。
【0073】
上記成分Xは特に限定されない。上記成分Xとして、従来公知のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物を用いることができる。上記成分Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0074】
上記遮熱粒子と上記成分Xと上記黄色染料との併用により、赤外線(熱線)を充分に遮断できる。
【0075】
上記成分Xとしては、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン、ナフタロシアニンの誘導体、アントラシアニン及びアントラシアニンの誘導体等が挙げられる。上記フタロシアニン化合物及び上記フタロシアニンの誘導体はそれぞれ、フタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記ナフタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニンの誘導体はそれぞれ、ナフタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記アントラシアニン化合物及び上記アントラシアニンの誘導体はそれぞれ、アントラシアニン骨格を有することが好ましい。
【0076】
上記合わせガラスの遮熱性をより一層高くし、上記Ttsをより一層低くする観点からは、上記成分Xは、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン及びナフタロシアニンの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、フタロシアニン及びフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも一種であることがより好ましい。上記成分Xは熱線の遮蔽性を充分に高めることができることから、上記成分Xは、金属を含有することが好ましく、銅を含有することがより好ましい。上記成分Xは、中心金属として、金属又は銅を含有することが好ましい。また、熱線の遮蔽性をより一層高めることができることから、上記成分Xは、金属を含有するナフタロシアニン化合物であることが好ましく、銅を含有するナフタロシアニン化合物であることがより好ましい。
【0077】
上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記成分X及び上記黄色染料の合計の含有量は0.5重量部以下であることが好ましく、0.25重量部以下であることがより好ましい。または、本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記着色領域において、上記成分X及び上記黄色染料を合計で1.5g/m以下の割合で含有することが好ましい。本発明では、上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記成分X及び上記黄色染料の合計の含有量が0.5重量部以下であるか、又は合わせガラス用中間膜が、上記着色領域において、上記成分X及び上記黄色染料を合計で1.5g/m以下の割合で含有すればよい。上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記成分X及び上記黄色染料の合計の含有量、並びに合わせガラス用中間膜中の上記成分X及び上記黄色染料の合計の含有割合が上記値以下であることにより、合わせガラスの遮熱性を充分に高めることができ、上記Ttsを充分に低くすることができる。例えば、上記着色領域における上記Ttsを53%以下にすることができる。ただし、本発明では、上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記成分X及び上記黄色染料の合計の含有量が0.5重量部以下であり、かつ合わせガラス用中間膜が、上記着色領域において、上記成分X及び上記黄色染料を合計で1.5g/m以下の割合で含有していてもよい。
【0078】
上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記成分X及び上記黄色染料の合計の含有量の好ましい下限は0.005重量部、より好ましい下限は0.03重量部、更に好ましい下限は0.04重量部、特に好ましい下限は0.07重量部であり、より好ましい上限は0.24重量部、更に好ましい上限は0.2重量部、特に好ましい上限は0.18重量部、最も好ましい上限は0.15重量部である。合わせガラス用中間膜中の上記成分X及び黄色染料の合計の含有量の好ましい下限は0.005g/m、より好ましい下限は0.03g/m、更に好ましい下限は0.2g/m、特に好ましい下限は0.25g/mであり、好ましい上限は1.5g/m、より好ましい上限は1.2g/m、さらに好ましい上限は1g/m、特に好ましい上限は0.7g/mである。上記成分X及び上記黄色染料の合計の含有量が上記好ましい下限を満たすと、合わせガラスの遮熱性をより一層高めることができ、上記Ttsをより一層低くすることができる。上記成分X及び上記黄色染料の合計の含有量が上記好ましい上限を満たすと、上記可視光線透過率をより一層高くすることができる。
【0079】
上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記成分Xの含有量は0.001〜0.1重量部の範囲内であることが好ましい。または、本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記着色領域において、上記成分Xを0.005〜1.0g/mの割合で含有することが好ましい。上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記成分Xの含有量又は合わせガラス用中間膜中の上記成分Xの含有割合が上記範囲内であることにより、合わせガラスの遮熱性をより一層高めることができ、上記Ttsをより一層低くすることができる。
【0080】
上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記成分Xの含有量のより好ましい下限は0.002重量部、更に好ましい下限は0.005重量部、特に好ましい下限は0.01重量部であり、より好ましい上限は0.025重量部、更に好ましい上限は0.022重量部、特に好ましい上限は0.02重量部である。上記着色領域において、合わせガラス用中間膜中の上記成分Xの含有量のより好ましい下限は0.01g/m、更に好ましい下限は0.028g/m、特に好ましい下限は0.055g/mであり、より好ましい上限は0.15g/m、更に好ましい上限は0.13g/m、特に好ましい上限は0.12g/mである。上記成分Xの含有量が上記好ましい下限を満たすと、合わせガラスの遮熱性をさらに一層高めることができ、上記Ttsをさらに一層低くすることができる。
【0081】
(黄色染料)
本発明に係る合わせガラス用中間膜において、上記着色領域に用いられる黄色染料は、特に限定されない。黄色染料は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記第2の領域において黄色染料を含有していてもよく、含有していなくてもよい。第2の領域部分における可視光線透過率を高くし、透明性を高める観点からは、本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記第2の領域において黄色染料の含有量は少ないほどよく、黄色染料を含まないことが好ましい。一方で、上記第2の領域部分における遮熱性を高める観点からは、本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記第2の領域において黄色染料を含むことが好ましい。
【0082】
上記黄色染料は、380〜500nmの透過光を効果的に吸収することが好ましく、390〜480nmの透過光を効果的に吸収することがより好ましく、395〜460nmの透過光を効果的に吸収することが更に好ましく、400〜450nmの透過光を効果的に吸収することが特に好ましい。この結果、上記遮熱粒子及び上記成分Xに加えて、黄色染料を用いることにより、合わせガラスの遮熱性をより一層高めることができ、上記Ttsをより一層低くすることができる。熱線の遮蔽性を充分に高めることができることから、黄色染料の極大吸収波長の好ましい下限は380nm、より好ましい下限は390nm、更に好ましい下限は395nm、特に好ましい下限は400nm、好ましい上限は500nm、より好ましい上限は480nm、更に好ましい上限は460nm、特に好ましい上限は450nmである。例えば、上記黄色染料の極大吸収波長は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)100重量部に対して、上記黄色染料0.01重量部を溶解させた溶液(セル長1mm、石英セル)を用いて、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)にて測定することができる。
【0083】
上記黄色染料の具体例としては、アンスラキノン染料、キノリン染料、イソキノリン染料、イソインドリノン染料、モノアゾ染料、ジスアゾ染料、キノフタロン染料、ペリレン染料、トリフェニルメタン染料及びメチン染料等が挙げられる。なかでも、合わせガラス用中間膜の着色領域における遮熱性をより一層高める観点からは、アンスラキノン染料が好ましい。
【0084】
市販されている黄色染料として、チバ・ジャパン社製の「ORACET Yellow GHS」(アンスラキノン染料、極大吸収波長450nm)、紀和化学工業社製の「KP Plast Yellow G」(メチン染料、極大吸収波長400nm)、「KP Plast Yellow 2G」(キノフタロン染料、極大吸収波長420nm)、「KP Plast Yellow 3G」(モノアゾ染料、極大吸収波長395nm)、「KP Plast Yellow F」(イソキノリン染料、極大吸収波長415nm)、及び「KP Plast Yellow 7G」(ペリレン染料、極大吸収波長460nm)等が挙げられる。
【0085】
上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記黄色染料の含有量は0.005〜0.24重量部の範囲内であることが好ましい。または、本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記着色領域において、上記黄色染料を0.025〜1.45g/mの割合で含有することが好ましい。上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記黄色染料の含有量、又は合わせガラス用中間膜中の上記黄色染料の含有割合が上記範囲内であることにより、遮熱性をより一層高めることができ、上記Ttsをより一層低くすることができる。
【0086】
上記着色領域において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記黄色染料の含有量のより好ましい下限は0.01重量部、更に好ましい下限は0.04重量部、特に好ましい下限は0.06重量部であり、より好ましい上限は0.2重量部、更に好ましい上限は0.15重量部、特に好ましい上限は0.1重量部である。上記着色領域において、合わせガラス用中間膜中の上記黄色染料の含有量のより好ましい下限は0.05g/m、更に好ましい下限は0.2g/m、特に好ましい下限は0.3g/mであり、より好ましい上限は1.2g/m、更に好ましい上限は1g/m、特に好ましい上限は0.8g/mである。上記黄色染料の含有量が上記好ましい下限を満たすと、合わせガラスの遮熱性をより一層高めることができ、上記Ttsをさらに一層低くすることができる。
【0087】
(他の成分)
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記着色領域又は上記第2の領域において、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含有していてもよい。本発明に係る合わせガラス用中間膜は、酸化防止剤を含有することが好ましい。本発明に係る合わせガラス用中間膜は、上記着色領域において、紫外線吸収剤を含有することが好ましく、上記第2の領域において、紫外線吸収剤を含有することも好ましい。
【0088】
(合わせガラス)
本発明に係る合わせガラスは、第1,第2の合わせガラス構成部材と、該第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた単層又は多層の中間膜とを備える。該単層又は多層の中間膜が、本発明に係る合わせガラス用中間膜を含む。
【0089】
図1に、本発明の一実施形態に係る合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に部分切欠側面断面図で示す。図1では、合わせガラス用中間膜の着色領域部分における断面図が示されている。また、図2に、図1に示す合わせガラスに用いた合わせガラス用中間膜を模式的に正面図で示す。なお、図1及び図2では、図示の便宜上、寸法及び大きさは、実際の寸法及び大きさから適宜変更している。
【0090】
図1に示す合わせガラス1は、中間膜2と、第1,第2の合わせガラス構成部材3,4とを備える。中間膜2は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜2は、合わせガラス用中間膜である。中間膜2は、第1,第2の合わせガラス構成部材3,4の間に挟み込まれている。従って、合わせガラス1は、第1の合わせガラス構成部材3と、中間膜2と、第2の合わせガラス構成部材4とがこの順で積層されて構成されている。
【0091】
図2に示すように、中間膜2は、透明又は不透明な着色領域R1(第1の領域)と、該着色領域R1とは異なる第2の領域R2とを有する。中間膜2では、着色領域R1は、中間膜2の上端2a側の縁部に設けられている。中間膜2では、着色領域R1は、中間膜2の下端2b側の縁部には設けられていない。上記着色領域R1は、中間膜2の上端2a側の縁部以外の領域に設けられていてもよく、例えば、中間膜2の下端2b側の縁部に設けられていてもよい。さらに、上記着色領域R1は、中間膜2の上端2a側の縁部と下端2b側の縁部との双方に設けられていてもよい。
【0092】
上記第2の領域R2の可視光線透過率は、上記着色領域R1の可視光線透過率よりも高いことが好ましい。この場合には、上記第2の領域R2において、視野を良好にすることができる。上記着色領域R1は、上記第2の領域R2よりも濃く着色していることが好ましい。
【0093】
上記着色領域R1は、少なくとも一端側の縁部に帯状に存在することが好ましい。自動車などの車両用の合わせガラス、特にフロントガラスにおいては、太陽光線又は屋外照明等により、運転中のドライバーが眩しさを感じるのを防ぐことなどを目的として、帯状の着色領域が設けられることがある。
【0094】
中間膜2は、着色領域R1において、熱可塑性樹脂と、可塑剤と、遮熱粒子5と、上記成分Xと、黄色染料とを含有する。中間膜2は、着色領域R1において、複数の遮熱粒子5を含有する。上記中間膜2は、2層以上の多層構造を有していてもよい。上記中間膜は、厚み方向において部分的に着色領域R1が設けられていてもよい。
【0095】
第1,第2の合わせガラス構成部材3,4としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラス1には、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラス1は、ガラス板を備える積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。
【0096】
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス及びグリーンガラス等が挙げられる。なかでも、上記無機ガラスとして、熱線吸収板ガラスを用いることが好ましく、JIS R3208に準拠した熱線吸収板ガラスを用いることがより好ましい。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
【0097】
第1,第2の合わせガラス構成部材3,4の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、合わせガラス構成部材3,4がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。合わせガラス構成部材3,4がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、0.03〜0.5mmの範囲内であることが好ましい。
【0098】
合わせガラス1の製造方法は特に限定されない。例えば、第1,第2の合わせガラス構成部材3,4の間に、中間膜2を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりして、第1,第2の合わせガラス構成部材3,4と中間膜2との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラス1を得ることができる。
【0099】
合わせガラス1は、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。合わせガラス1は、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。中間膜2は、建築用又は車両用の合わせガラス用中間膜であることが好ましく、車両用の合わせガラス用中間膜であることがより好ましく、自動車のフロント合わせガラス用中間膜であることが特に好ましい。合わせガラス1は、建築用又は車両用の合わせガラスであることが好ましく、車両用の合わせガラスであることがより好ましく、自動車のフロント合わせガラスであることが特に好ましい。合わせガラス1は、これらの用途以外にも使用できる。合わせガラスの上記着色領域部分の遮熱性が高く、上記Ttsが低いので、合わせガラス1は、自動車に好適に用いられる。
【0100】
遮熱性により一層優れた合わせガラスを得る観点からは、合わせガラス1の上記着色領域部分の上記Ttsは、53%以下であることが好ましく、50%以下であることが好ましく、40%以下であることが好ましい。
【0101】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0102】
(実施例1)
(1)分散液の作製
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部、ITO粒子(三菱マテリアル社製)0.28重量部、ナフタロシアニン化合物(富士フィルム社製「FF−IRSORB 203」)0.004重量部、及び、黄色染料(アンスラキノン染料、極大吸収波長450nm、チバ・ジャパン社製「ORACET Yellow GHS」)0.234重量部を混合し、さらに、分散剤としてリン酸エステル化合物を添加した後、水平型のマイクロビーズミルにて混合し、混合液を得た。その後、混合液にアセチルアセトン0.1重量部を撹拌下で添加し、分散液を作製した。分散液中のITO粒子の体積平均粒径は35nmであった。なお、ナフタロシアニン化合物(富士フィルム社製「FF−IRSORB 203」)は銅を含有している。
【0103】
(2)合わせガラス用中間膜の作製
ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化度68.5モル%、水酸基の含有率30.5モル%)100重量部に対し、得られた分散液全量を添加し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、押出機を用いて押出して、厚み0.76mmの中間膜を得た。
【0104】
(3)合わせガラスの作製
得られた合わせガラス用中間膜を、その両端からJIS R3208に準拠した2枚の熱線吸収板ガラス(縦30cm×横30cm×厚さ2.0mm)で挟み込み、積層体を得た。この積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、仮圧着された積層体を20分間圧着し、合わせガラス1を得た。
【0105】
また、得られた合わせガラス用中間膜を、その両端から透明なフロートガラス(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)で挟み込み、積層体を得た。この積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、仮圧着された積層体を20分間圧着し、合わせガラス2を得た。
【0106】
(実施例2〜9及び比較例1〜5)
合わせガラス用中間膜の組成を下記の表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、分散液、合わせガラス用中間膜、及び、合わせガラス1,2を作製した。
【0107】
(評価)
(1)Tts、及び、Tds(Solar Direct Transmittance)の測定
上記クールカー規制により定められた測定方法に従って、得られた合わせガラス1の上記Tts及び上記Tdsを測定した。具体的には、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3106(1998)に準拠して、上記Tts及び上記Tdsを測定した。
【0108】
(2)可視光線透過率の測定
分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3211(1998)に準拠して、得られた合わせガラス1の波長380〜780nmにおける上記可視光線透過率を測定した。
【0109】
(3)へーズ値の測定
ヘーズメーター(東京電色社製「TC−HIIIDPK」)を用いて、JIS K6714に準拠して、得られた合わせガラス1のヘーズ値を測定した。
【0110】
結果を下記の表1に示す。
【0111】
なお、表1には合わせガラス1の測定結果を示しているが、合わせガラス2に関しても同様に、Ttsが低い合わせガラスを得ることができた。従って、合わせガラス1又は合わせガラス2を部分的に着色領域として有する合わせガラスを作製することで、遮熱性が高い着色領域に由来して、合わせガラス全体の遮熱性も高くなる。合わせガラス1又は合わせガラス2を部分的に着色領域として有する合わせガラスでは、該着色領域を有さない合わせガラスと比べて、遮熱性が高くなる。
【0112】
【表1】

【符号の説明】
【0113】
1…合わせガラス
2…合わせガラス用中間膜
2a…上端
2b…下端
3…第1の合わせガラス構成部材
4…第2の合わせガラス構成部材
5…遮熱粒子
R1…着色領域
R2…第2の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は不透明な着色領域と、該着色領域とは異なる第2の領域を有し、
前記着色領域において、熱可塑性樹脂と、可塑剤と、遮熱粒子と、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも一種の成分と、黄色染料とを含有し、
前記着色領域において、前記熱可塑性樹脂100重量部に対する前記遮熱粒子の含有量が0.01〜2重量部の範囲内であり、かつ前記成分及び前記黄色染料の合計の含有量が0.5重量部以下である、合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
前記遮熱粒子は金属酸化物粒子である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
前記着色領域において、前記熱可塑性樹脂100重量部に対する前記成分の含有量が0.001〜0.1重量部の範囲内である、請求項1又は2に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
前記着色領域において、前記熱可塑性樹脂100重量部に対する前記黄色染料の含有量が0.005〜0.24重量部の範囲内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
透明又は不透明な着色領域と、該着色領域とは異なる第2の領域を有し、
前記着色領域において、熱可塑性樹脂と、可塑剤と、遮熱粒子と、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも一種の成分と、黄色染料とを含有し、
前記着色領域において、前記遮熱粒子を0.05〜12g/mの割合で含有し、かつ前記成分及び前記黄色染料を合計で1.5g/m以下の割合で含有する、合わせガラス用中間膜。
【請求項6】
前記遮熱粒子は金属酸化物粒子である、請求項5に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項7】
前記着色領域において、前記成分を0.005〜1.0g/mの割合で含有する、請求項5又は6に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
前記着色領域において、前記黄色染料を0.025〜1.45g/mの割合で含有する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項9】
前記第2の領域の可視光線透過率が、前記着色領域の可視光線透過率よりも高い、請求項1〜8のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項10】
前記第2の領域において、熱可塑性樹脂と、可塑剤とを含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項11】
前記着色領域が、少なくとも一端側の縁部に帯状に存在する、請求項1〜10のいずれか1項に合わせガラス用中間膜。
【請求項12】
自動車フロント合わせガラス用中間膜であって、
前記着色領域が、上端側の縁部又は下端側の縁部の内の少なくとも一方に帯状に存在する、請求項1〜11のいずれか1項に合わせガラス用中間膜。
【請求項13】
第1,第2の合わせガラス構成部材と、
前記第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた単層又は多層の中間膜とを備え、
前記単層又は多層の中間膜が、請求項1〜12のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜を含む、合わせガラス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−206877(P2012−206877A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72854(P2011−72854)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】