説明

合成樹脂成形品の製造方法及び金型装置

【課題】溶融した合成樹脂を注入する圧力及び型締めによる圧力を低減させ、インサート部材に関する不具合の発生を減少させる合成樹脂成形品の製造方法及び金型装置を提案する。
【解決手段】固定金型10と移動金型20との間に形成されたキャビティ5の移動金型20側に、インサート部材1が配置され、固定金型10側からキャビティ5に溶融した合成樹脂2hを注入して、合成樹脂成形品を製造する方法であって、固定金型10と移動金型20とが開いた状態で、溶融した合成樹脂2hをキャビティ5に注入する注入工程と、固定金型10と移動金型20とを型締めして、溶融した合成樹脂2hを加圧する第1加圧工程と、固定金型10からキャビティ5に向けて加圧材15を送り出して、溶融した合成樹脂2hを加圧する第2加圧工程と、を備える製造方法を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂成形品の製造方法及び金型装置に関わり、特にインサート成形及び射出圧縮成形を用いた合成樹脂成形品の製造方法及び金型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インサート成形及び射出圧縮成形を用いた合成樹脂成形品の製造方法として、例えば特許文献1に示すような方法が開示されている。
特許文献1に開示されている方法は、まず、固定金型と移動金型との間に形成されたキャビティに、既に成形されたインサート部材を配置する。次に、固定金型と移動金型とが開いた状態で、キャビティに溶融した合成樹脂を注入する。最後に、固定金型と移動金型とを型締めして、溶融した合成樹脂を加圧することにより、少なくとも異なる2種の材質からなる合成樹脂成形品を製造する方法である。
【特許文献1】特許第3700316号公報(第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来において、固定金型と移動金型との間に形成されたキャビティが複雑な形状をしていた場合、そのような複雑な形状の端部まで溶融した合成樹脂を充填するためには、溶融した合成樹脂を注入する圧力又は型締めによる圧力を高くする必要があった。
しかし、例えばインサート部材の、溶融した合成樹脂が接触する側の表面に、表面処理等により、耐圧性の低い表面処理層が形成されていた場合には、溶融した合成樹脂を注入する圧力又は型締めによる圧力を高くすることにより、上記表面処理層にひび、しわ、ムラ等が発生するという問題があった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、溶融した合成樹脂を注入する圧力及び型締めによる圧力を低減させ、インサート部材に関する不具合の発生を減少させる合成樹脂成形品の製造方法及び金型装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、固定金型と移動金型との間に形成されたキャビティの移動金型側に、インサート部材が配置され、固定金型側からキャビティに溶融した合成樹脂を注入して、合成樹脂成形品を製造する方法であって、固定金型と移動金型とが開いた状態で、溶融した合成樹脂をキャビティに注入する注入工程と、固定金型と移動金型とを型締めして、溶融した合成樹脂を加圧する第1加圧工程と、固定金型からキャビティに向けて加圧材を送り出して、溶融した合成樹脂を加圧する第2加圧工程と、を備える製造方法を採用する。
【0006】
このような製造方法を採用することによって、本発明では、第2加圧工程における加圧により、溶融した合成樹脂がキャビティ内全てに充填されればよく、溶融した合成樹脂をキャビティに注入する圧力及び第1加圧工程における型締めによる圧力を、従来の製造方法を用いるよりも低くしつつ、第1加圧工程における圧力よりも低い圧力で第2加圧工程における加圧材による加圧を行い、溶融した合成樹脂をキャビティ内全てに充填させることができる。
【0007】
また、本発明では、キャビティ内に配置されるインサート部材の、溶融した合成樹脂が接触する側の表面に、金属蒸着、金属めっき又は塗装のうち少なくともいずれか一種の表面処理がなされているという製造方法を採用する。
このような製造方法を採用することによって、本発明では、上記インサート部材の金属蒸着、金属めっき又は塗装のうち少なくともいずれか一種がなされた表面処理層に加えられる圧力を、従来の製造方法を用いるよりも低減させることができる。
【0008】
また、本発明では、第2加圧工程では、所定の位置の近傍の特定領域を加圧するという製造方法を採用する。
前述の通り、固定金型と移動金型との間に形成されたキャビティが複雑な形状をしている場合、そのような複雑な形状の端部まで溶融した合成樹脂を充填するためには、溶融した合成樹脂を注入する圧力又は型締めによる圧力を高くする必要がある。しかし、それではインサート部材の表面処理層に不具合を発生させることから、上記複雑な形状が存在する箇所(所定の位置)の近傍の特定領域を、第2加圧工程において加圧するという製造方法を採用する。
【0009】
このような製造方法を採用することによって、本発明では、溶融した合成樹脂が上記所定の位置へ向かう流れを、従来の製造方法に比べて効率よく作り出すことができる。したがって、溶融した合成樹脂を注入する圧力及び型締めによる圧力を、従来の製造方法を用いるよりも低減でき、第2加圧工程では必要な箇所のみを第1加圧工程における型締めによる圧力よりも低い圧力で押すことで、上記複雑な形状の端部まで溶融した合成樹脂を充填させることができる。
【0010】
また、本発明では、上記所定の位置を挟んだ加圧材の逆側に、キャビティ内に突出する突部を設け、溶融した合成樹脂の流れを規制するという製造方法を採用する。
このような製造方法を採用することによって、本発明では、溶融した合成樹脂が所定の位置へ向かう流れを作り出すことができる。
【0011】
また、本発明では、加圧材は、固定金型と移動金型とが型締めされた状態で、固定金型からキャビティに向けて移動するという製造方法を採用する。
このような製造方法を採用することによって、本発明では、上記注入工程及び第1加圧工程では、加圧材は固定金型に配置され、第2加圧工程では、加圧材がキャビティに向けて移動することでキャビティの容積を減少させ、結果として第2加圧工程における加圧を行うことができる。
【0012】
また、本発明では、移動金型の移動に連動して、移動金型の移動方向と直交する方向に移動部材が移動するカム構造を設け、加圧材は、上記移動部材の移動により、キャビティに向けて移動をするという製造方法を採用する。
このような製造方法を採用することによって、本発明では、移動金型の移動に連動して、加圧材を移動させることができる。また、独立した駆動装置を用いることなく、加圧材を移動させることができる。
【0013】
また、本発明では、加圧材に、流体を用いるという製造方法を採用する。
このような製造方法を採用することによって、本発明では、流体がキャビティ内に送り出されることにより、密閉されたキャビティの内部における溶融した合成樹脂を押し出し、結果として第2加圧工程における加圧を行うことができる。
【0014】
また、本発明では、上記流体に、気体を用いるという製造方法を採用する。
このような製造方法を採用することによって、本発明では、気体がキャビティ内に送り出されることにより、密閉されたキャビティの内部における溶融した合成樹脂を押し出し、結果として第2加圧工程における加圧を行うことができる。
【0015】
また、本発明では、上記第2加圧工程において所定の位置の近傍の特定領域を加圧し、上記流体の注入口を挟んだ上記所定の位置の逆側に、キャビティ内に突出する第2突部を設け、流体の流れを規制するという製造方法を採用する。
このような製造方法を採用することによって、本発明では、流体は上記第2突部側には流れていかず、所定の位置側に流れていくことになる。そのため、流体が所定の位置側の溶融した合成樹脂を押し出し、溶融した合成樹脂が所定の位置へ向かう流れを作り出すことができる。
【0016】
また、本発明では、固定金型と移動金型との間にキャビティが形成された金型装置であって、固定金型と移動金型とが型締めされた状態で、固定金型側よりキャビティ内に送り出される加圧材を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、溶融した合成樹脂をキャビティに注入する工程や、固定金型と移動金型とを型締めして、溶融した合成樹脂を加圧する工程を経た後に、固定金型と移動金型とが型締めされた状態で、固定金型側からキャビティに向けて加圧材を送り出すことにより、溶融した合成樹脂を加圧する。
そのため、加圧材による加圧により、溶融した合成樹脂がキャビティ内全てに充填されればよく、溶融した合成樹脂をキャビティに注入する圧力及び型締めによる圧力を従来の金型装置で製造するよりも低くしつつ、型締めによる圧力よりも低い圧力で加圧材による加圧を行い、溶融した合成樹脂をキャビティ内全てに充填させることができる。
【0017】
また、本発明では、キャビティの移動金型側に配置されたインサート部材と、インサート部材の溶融した合成樹脂が接触する側の表面に、金属蒸着、金属めっき又は塗装のうち少なくともいずれか一種がなされた表面処理層と、を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、上記インサート部材の金属蒸着、金属めっき又は塗装のうち少なくともいずれか一種がなされた表面処理層にかかる圧力を、従来の金型装置で製造するよりも低減させることができる。
【0018】
また、本発明では、加圧材が送り出される領域は、所定の位置の近傍の特定領域であるという構成を採用する。
前述の通り、固定金型と移動金型との間に形成されたキャビティが複雑な形状をしている場合、そのような複雑な形状の端部まで溶融した合成樹脂を充填するためには、溶融した合成樹脂を注入する圧力又は型締めによる圧力を高くする必要がある。しかし、それではインサート部材の表面処理層に不具合を発生させることから、加圧材が送り出される領域は、上記複雑な形状が存在する箇所(所定の位置)の近傍の特定領域であるという構成を採用する。
このような製造方法を採用することによって、本発明では、溶融した合成樹脂が上記所定の位置へ向かう流れを、従来の金型装置で製造するよりも効率よく作り出すことができる。したがって、溶融した合成樹脂を注入する圧力及び型締めによる圧力を、従来の金型装置で製造するよりも低減でき、必要な箇所のみを型締めによる圧力より低い圧力で押すことで、上記複雑な形状の端部まで溶融した合成樹脂を充填させることができる。
【0019】
また、本発明では、上記所定の位置を挟んだ加圧材の逆側に配置されて、溶融した合成樹脂の流れを規制する規制部材(突部)を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、溶融した合成樹脂が所定の位置へ向かう流れを作り出すことができる。
【0020】
また、本発明では、加圧材は、固定金型と移動金型とが型締めされた状態で、固定金型からキャビティに向けて移動する部材であるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、加圧材が、溶融した合成樹脂のキャビティへの注入時及び固定金型と移動金型の型締めによる溶融した合成樹脂への加圧時に配置する位置から、キャビティに向けて移動することでキャビティの容積を減少させ、結果として溶融した合成樹脂への加圧を行うことができる。
【0021】
また、本発明では、移動金型の移動に連動して、移動金型の移動方向と直交する方向に移動する移動部材と、移動部材の移動方向と直交する方向に移動する加圧材と、を備えるカム構造を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、移動金型の移動に連動して、加圧材を移動させることができる。また、独立した駆動装置を用いることなく、加圧材を移動させることができる。
【0022】
また、本発明では、加圧材は、流体であるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、流体がキャビティ内に送り出されることにより、密閉されたキャビティの内部における溶融した合成樹脂を押し出し、結果として加圧材(流体)による加圧を行うことができる。
【0023】
また、本発明では、上記流体は、気体であるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、気体がキャビティ内に送り出されることにより、密閉されたキャビティの内部における溶融した合成樹脂を押し出し、結果として加圧材(気体)による加圧を行うことができる。
【0024】
また、本発明では、上記加圧材が送り出される領域は、所定の位置の近傍の特定領域であって、上記流体の注入口を挟んだ上記所定の位置の逆側に配置されて、流体の流れを規制する第2規制部材(第2突部)を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、流体は、流体の注入口を挟んだ所定の位置の逆側には流れていかず、所定の位置側に流れていくことになる。そのため、流体が所定の位置側の溶融した合成樹脂を押し出し、溶融した合成樹脂が所定の位置へ向かう流れを作り出すことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
上記のように、本発明によれば多様な作用が得られるが、それら作用の最終的な目的は、インサート部材にかかる圧力、特にインサート部材の溶融した合成樹脂が接触する側の表面にかかる圧力を従来の製造方法又は金型装置で製造するよりも低減することにある。
前述の通り、インサート部材の、溶融した合成樹脂が接触する側の表面に、表面処理等により、耐圧性の低い表面処理層、例えば金属蒸着、金属めっき又は塗装等がなされていた場合には、溶融した合成樹脂を注入する圧力又は型締めによる圧力により、上記表面処理層にひび、しわ、ムラ等が発生するという問題があった。
【0026】
本発明によれば、インサート部材にかかる圧力、特にインサート部材の溶融した合成樹脂が接触する側の表面にかかる圧力を、従来の製造方法又は金型装置で製造するよりも低減することができる。そのため、インサート部材の溶融した合成樹脂が接触する側の表面に、耐圧性の低い表面処理層が形成されている場合であっても、上記表面処理層に発生していたひび、しわ、ムラ等の不具合の発生を減少させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1実施形態)
次に、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明における製造方法を用いて製造された、合成樹脂成形品Pの側面図である。
合成樹脂成形品Pは、図1に示すように、インサート部材1と、例えばABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、AES(アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合合成樹脂)等の合成樹脂材で形成されたベース部材2と、を有している。また、インサート部材1は、例えばポリカーボネイト等の合成樹脂材で形成されたインサート部材本体部1Aと、例えば金属蒸着、金属めっき又は塗装等の表面処理により形成された表面処理層1Bと、を有している。
【0028】
インサート部材本体部1Aの一面に表面処理層1Bが上記表面処理により形成され、表面処理層1Bの、インサート部材本体部1Aと逆側の表面に、ベース部材2が接合されている。ベース部材2の、表面処理層1Bと逆側の表面には、ベース部材凹部2A、ベース部材突部2B及びベース部材第2凹部2Cが形成されている。
ベース部材凹部2Aは、ベース部材2の表面に2つ間隔をあけて形成されている。ベース部材突部2Bは、ベース部材凹部2Aよりも外側に形成され、ベース部材第2凹部2Cは、ベース部材突部2Bよりも外側に形成されている。
なお、本実施形態では、インサート部材本体部1Aの成形及びその表面処理層1Bの形成は既に終了しているものとする。
【0029】
本実施形態における、合成樹脂成形品Pの製造に使用される金型装置Kの構成を、図2ないし図5に基づいて説明する。
金型装置Kは、固定金型10と、固定取付板19と、移動金型20と、を有している。固定金型10は、固定取付板19に連結されている。移動金型20が固定金型10側に移動することにより、固定金型10と移動金型20との間にキャビティ5が形成される。キャビティ5には、硬化後にベース部材2となる溶融した合成樹脂2hが注入される。
【0030】
固定金型10は、キャビティ5と固定金型10の上面とに開口し型締め方向に延びるスプルーブッシュ用孔部(図示せず)と、一端がキャビティ5に開口し型締め方向に延びる孔部14と、孔部14内に配置され型締め状態でキャビティ5内の溶融した合成樹脂2hを加圧する加圧装置と、を有している。固定取付板19は、厚さ方向に貫通するスプルーブッシュ用孔部(図示せず)を有している。
固定金型10及び固定取付板19の上記スプルーブッシュ用孔部には、スプルーブッシュ13が嵌合されている。また、スプルーブッシュ13は、溶融した合成樹脂2hをキャビティ5に注入するための注入路11と、注入路11の移動金型20側の先端部分にある注入口(ゲート)12と、を有している。溶融した合成樹脂2hは、供給装置50から注入路11に供給される。
上記加圧装置は、孔部14に移動自在に嵌合する加圧材15と、駆動装置16と、を有している。駆動装置16は、加圧材15を孔部14に沿って、固定金型10の表面と略面一となる位置と、キャビティ5内で突出する位置との間を往復移動させる。
【0031】
図5に示すように、キャビティ5は、固定金型10の移動金型20に臨む面と、上記面にベース部材突部2Bに対応して形成された固定金型凹部17と、上記面にベース部材第2凹部2Cに対応して形成された固定金型突部(規制部材)18と、加圧材15の移動金型20側の先端部と、移動金型20の固定金型10に臨む面と、により形成される。
加圧材15は、固定金型凹部17の近傍に配置されている。固定金型突部18は、固定金型凹部17を挟んだ加圧材15の逆側に配置されている。
【0032】
続いて、本実施形態における金型装置Kを用いて、合成樹脂成形品Pを製造する方法について説明する。
この製造方法は、固定金型10と移動金型20との間に形成されたキャビティ5の移動金型20側に、インサート部材1が配置され、固定金型10側からキャビティ5に溶融した合成樹脂2hを注入して、合成樹脂成形品Pを製造する方法であって、固定金型10と移動金型20とが開いた状態で、溶融した合成樹脂2hをキャビティ5に注入する注入工程と、固定金型10と移動金型20とを型締めして、溶融した合成樹脂2hを加圧する第1加圧工程と、固定金型10からキャビティ5に向けて加圧材15を送り出して、溶融した合成樹脂2hを加圧する第2加圧工程と、を備えることを特徴とする。以下、各工程について説明する。
【0033】
最初に、上記注入工程以前の工程を説明する。
まず、固定金型10と移動金型20とが開いた状態で、インサート部材1を、キャビティ5の移動金型20側に配置する。
次に、移動金型20を、固定金型10との間に所定の間隔を残すまで移動させる。
【0034】
図2を用いて注入工程を説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態における注入工程を示す概略図である。
固定金型10と移動金型20とが上記所定の間隔を残して開いた状態で、溶融した合成樹脂2hを、キャビティ5に注入する。溶融した合成樹脂2hは、供給装置50の作動により、注入路11及び注入口12を通って注入され、その注入量は、硬化後にベース部材2を成形するに十分な量である。溶融した合成樹脂2hには注入の圧力のみが作用するため、キャビティ5の端部までは充填されず、注入口12の周辺に留まる。また、溶融した合成樹脂2hは、インサート部材1の固定金型10に臨む面に接触している。
【0035】
図3を用いて第1加圧工程を説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態における第1加圧工程を示す概略図である。
溶融した合成樹脂2hの注入を終了した後、固定金型10と移動金型20とを型締めして、溶融した合成樹脂2hを加圧する。加圧された結果、溶融した合成樹脂2hはキャビティ5内に拡充されていくが、型締めの圧力は従来の製造方法を用いるよりも低減させているため、キャビティ5の端部までは充填されず、キャビティ5の端部には、溶融した合成樹脂2hの未充填部分であるスペースSが存在している。
【0036】
図4及び図5を用いて第2加圧工程を説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態における第2加圧工程を示す概略図である。図5は、本発明の第1の実施形態における第2加圧工程において、溶融した合成樹脂2hが加圧される部分の拡大図である。
駆動装置16の作動により、加圧材15が、移動金型20側に向かってキャビティ5内に送り出される。その結果、キャビティ5の容積が減少し、溶融した合成樹脂2hはさらに加圧され、キャビティ5の端部にまで溶融した合成樹脂2hが充填される。
【0037】
加圧材15は、固定金型凹部17の近傍の特定領域を加圧している。そのため、溶融した合成樹脂2hが本来充填されにくい部分である固定金型凹部17へ向かう流れを、従来の製造方法に比べて効率よく作り出すことができる。
また、固定金型凹部17を挟んだ加圧材15の逆側に、キャビティ5内に突出する固定金型突部18を設け、溶融した合成樹脂の流れを規制している。そのため、溶融した合成樹脂2hが固定金型凹部17へ向かう流れを、従来の製造方法に比べて効率よく作り出すことができる。
【0038】
なお、加圧材15がキャビティ5内へ送り出されたまま、溶融した合成樹脂2hが硬化し、ベース部材2が成形されると、加圧材15の形状により、ベース部材2にはベース部材凹部2Aが形成される。また、同様に固定金型凹部17の形状により、ベース部材突部2Bが形成され、固定金型突部18の形状により、ベース部材第2凹部2Cが形成される。
【0039】
したがって、第1の実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、第2加圧工程における加圧により、溶融した合成樹脂2hがキャビティ5内全てに充填されればよく、溶融した合成樹脂2hをキャビティ5に注入する圧力及び第1加圧工程における型締めによる圧力を、従来の製造方法を用いるよりも低くしつつ、第1加圧工程における圧力よりも低い圧力で第2加圧工程における加圧材15による加圧を行い、溶融した合成樹脂2hをキャビティ5内全てに充填させることができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、加圧材15が固定金型凹部17の近傍の特定領域を加圧していること及び固定金型突部18を設けていることから、溶融した合成樹脂2hが本来充填されにくい部分である固定金型凹部17へ向かう流れを、従来の製造方法に比べて効率よく作り出すことができる。そのため、加圧材15により固定金型凹部17の近傍の特定領域を、第1加圧工程における型締めによる圧力よりも低い圧力で押すことで、キャビティ5の端部まで溶融した合成樹脂2hを充填させることができる。
【0041】
以上より、インサート部材1の溶融した合成樹脂2hが接触する側の面に、金属蒸着、金属めっき又は塗装等の表面処理による、耐圧性の低い表面処理層1Bが形成されている場合であっても、表面処理層1Bにおけるひび、しわ、ムラ等の不具合の発生を減少させることができるという効果がある。
【0042】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態における金型装置K2を、図6及び図7に基づいて説明する。なお、図6及び図7において、図2ないし図5に示す第1の実施形態の構成要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
金型装置K2は、第2加圧工程を行うためのカム構造を有している。上記カム構造は、移動部材30と、第2移動部材31と、加圧材15と、を備えている。
【0043】
移動金型20の型締め方向と直交する方向の両端には、2つの移動部材30が固定金型10へ向けて突出して設けられており、移動部材30は、移動金型20の型締め方向に、移動金型20と共に移動する。
移動部材30の固定金型10側の先端には、固定金型10の中央部に臨む側に斜面30Aが形成されている。斜面30Aは、固定金型10へ向かうに従って漸次直交する方向の外側に向かって傾斜して形成されている。
【0044】
固定金型10は、型締め方向と直交する方向に延び両端で開口する孔部32と、孔部32に移動自在に嵌合し、加圧材15を挟んだ両側に設けられた2つの第2移動部材31と、一端がキャビティ5に開口し型締め方向に延びる第2孔部33と、第2孔部33に移動自在に嵌合する2つの加圧材15と、加圧材15をキャビティ5内で突出する位置から固定金型10の表面と略面一となる位置まで戻すための駆動装置(図示せず)と、を有している。
【0045】
第2移動部材31の型締めと直交する方向の端部には第2斜面31A及び第3斜面31Bが形成されている。第2斜面31Aは、斜面30Aと接合する傾きを有し、移動金型20へ向かうに従って漸次直交する方向の内側に向かって傾斜して形成されている。第3斜面31Bは、移動金型20へ向かうに従って漸次直交する方向の外側に向かって傾斜して形成されている。
加圧材15の移動金型20と逆側の先端には第4斜面15Aが形成されている。第4斜面15Aは、第3斜面31Bと接合する傾きを有し、移動金型20へ向かうに従って漸次直交する方向の外側に向かって傾斜して形成されている。第3斜面31Bと第4斜面15Aとは、常に摺接している。また、加圧材15は、固定金型10の表面と略面一となる位置と、キャビティ5内で突出する位置との間を往復移動できる。
【0046】
移動部材30、第2移動部材31及び加圧材15は、注入工程の直前では、斜面30Aと第2斜面31Aとが摺接し、第3斜面31Bと第4斜面15Aとが摺接し、加圧材15が固定金型10の表面と略面一となる位置に配置されるに適切な大きさに成形され、適切な位置に配置されている。また、移動部材30、第2移動部材31及び加圧材15は、第2加圧工程では、斜面30Aと第2斜面31Aとが摺接し、第3斜面31Bと第4斜面15Aとが摺接し、加圧材15がキャビティ5内に突出する位置に配置されるに適切な大きさに成形され、適切な位置に配置されている。
【0047】
続いて、第2の実施形態における合成樹脂成形品Pの製造方法を、図6及び図7を用いて説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態における注入工程に入る直前の、固定金型10と移動金型20の位置関係を示す概略図である。
【0048】
最初に、上記注入工程以前の工程を説明する。
まず、固定金型10と移動金型20とが開いた状態で、インサート部材1を、キャビティ5の移動金型20側に配置する。
次に、移動金型20を、固定金型10との間に所定の間隔を残すまで移動させる。この時、斜面30Aと第2斜面31Aとが、摺動自在に当接する。
【0049】
次に、注入工程の説明であるが、この工程は第1の実施形態における注入工程と同一の工程を用いるため、説明を省略する。
【0050】
図7を用いて第1加圧工程及び第2加圧工程を説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態における第1加圧工程及び第2加圧工程を示す概略図である。
溶融した合成樹脂2hの注入を終了した後、固定金型10と移動金型20とを型締めして、溶融した合成樹脂2hを加圧する第1加圧工程を行う。この時、本実施形態においては、加圧材15を送り出すための上記カム構造を有しているため、移動金型20の型締め方向への移動に連動して、加圧材15による第2加圧工程も行う。
【0051】
すなわち、移動部材30が移動金型20と共に、固定金型10側に型締め方向に移動すると、斜面30Aと第2斜面31Aとが摺接しているため、移動部材30の固定金型10側への移動に連動して、第2移動部材31は固定金型10の中央側に移動する。
すると、第3斜面31Bと第4斜面15Aとが摺接しているため、第2移動部材31の中央側への移動に連動して、加圧材15は移動金型20側に移動する。
したがって、移動金型20の型締めによる第1加圧工程と、加圧材15の移動金型20側への移動による第2加圧工程は、連動して行うことになる。型締めの圧力は、従来の製造方法を用いるよりも低減させているため、加圧材15による加圧が無ければ、溶融した合成樹脂2hはキャビティ5の端部まで充填されないのであるが、加圧材15による第2加圧工程も第1加圧工程と連動して行うため、キャビティ5の端部に溶融した合成樹脂2hが充填される。
【0052】
したがって、第2の実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
第2の実施形態では、第1加圧工程と第2加圧工程とを同時に行っているが、第2加圧工程における加圧により、溶融した合成樹脂2hがキャビティ5内全てに充填されればよいという構成は、第1の実施形態と同様である。また、加圧材15が固定金型凹部17の近傍の特定領域を加圧していること、及び、固定金型突部18を設けていることも第1の実施形態と同様である。
【0053】
そのため、溶融した合成樹脂2hをキャビティ5に注入する圧力及び第1加圧工程における型締めによる圧力を、従来の製造方法を用いるよりも低くしつつ、加圧材15により固定金型凹部17の近傍の特定領域を、従来の製造方法における上記注入圧力及び型締めの圧力よりも低い圧力で押すことで、キャビティ5の端部まで溶融した合成樹脂2hを充填させることができる。
【0054】
結果として、インサート部材1の溶融した合成樹脂2hが接触する側の面に、金属蒸着、金属めっき又は塗装等の表面処理による、耐圧性の低い表面処理層1Bが形成されている場合であっても、表面処理層1Bにおけるひび、しわ、ムラ等の不具合の発生を減少させることができるという効果がある。
【0055】
さらに、第2の実施形態では、移動金型20の移動に連動して、移動金型20の移動方向と直交する方向に第2移動部材31が移動するカム構造を設けており、移動金型20の移動に連動して、加圧材15を移動させることができる。そのため、独立した駆動装置を用いることなく、加圧材15を移動させることができ、装置の小型化・低価格化に寄与できるという効果がある。
【0056】
(第3実施形態)
本発明の第3の実施形態における金型装置K3を、図8に基づいて説明する。
図8は、本発明の第3の実施形態における第2加圧工程において、溶融した合成樹脂2hが加圧される部分の拡大図である。なお、この図において、図2ないし図5に示す第1の実施形態の構成要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
第3の実施形態において、加圧材として、流体である気体42が用いられる。気体は、例えば、窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスであることが好ましい。固定金型10は、気体42をキャビティ5に注入するための気体注入路40と、気体注入路40の移動金型20側の先端部分にある気体注入口41と、気体供給装置(図示せず)と、を有している。
【0058】
本実施形態では、キャビティ5を形成する、固定金型10の移動金型20に臨む面には、固定金型第2突部(第2規制部材)43が形成されている。
固定金型第2突部43は、気体注入口41を挟んだ固定金型凹部17の逆側に配置されている。
【0059】
続いて、第3の実施形態における金型装置K3を用いて、合成樹脂成形品Pを製造する方法について説明する。なお、合成樹脂成形品Pを製造する方法のうち第1加圧工程までは、第1の実施形態と同一の工程を用いるため、説明を省略する。
【0060】
第2加圧工程では、上記気体供給装置の作動によって、気体42が気体注入路40を通り、気体注入口41から移動金型20側に向かってキャビティ5内に送り出される。その結果、キャビティ5内部における溶融した合成樹脂2hは押し出され移動することになり、合成樹脂2hはさらに加圧され、キャビティ5の端部に溶融した合成樹脂2hが充填される。
【0061】
気体42は、固定金型凹部17の近傍の特定領域を加圧する。また、固定金型凹部17を挟んだ気体注入口41の逆側に、キャビティ5内に突出する固定金型突部18を設け、溶融した合成樹脂の流れを規制している。
その結果、溶融した合成樹脂2hが本来充填されにくい部分である固定金型凹部17へ向かう流れを、従来の製造方法に比べて効率よく作り出すことができる。
【0062】
また、気体注入口41を挟んだ固定金型凹部17の逆側に、キャビティ5内に突出する固定金型第2突部43を設け、気体42の流れを規制しているため、気体42は、固定金型第2突部43側には流れて行かず、固定金型凹部17側に流れていくことになる。そのため、気体42が固定金型凹部17側の溶融した合成樹脂2hを押し出し、溶融した合成樹脂2hが固定金型凹部17へ向かう流れを作り出すことができる。
【0063】
したがって、第3の実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、第2加圧工程における加圧により、溶融した合成樹脂2hがキャビティ5内全てに充填されればよく、溶融した合成樹脂2hをキャビティ5に注入する圧力及び第1加圧工程における型締めによる圧力を、従来の製造方法を用いるよりも低くしつつ、第1加圧工程における圧力よりも低い圧力で第2加圧工程における気体42による加圧を行い、溶融した合成樹脂2hをキャビティ5内全てに充填させることができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、気体42が固定金型凹部17の近傍の特定領域を加圧していること、固定金型突部18を設けていること、及び、固定金型第2突部43を設けていることから、溶融した合成樹脂2hが固定金型凹部17へ向かう流れを、従来の製造方法に比べて効率よく作り出すことができる。そのため、気体42により固定金型凹部17の近傍の特定領域を、第1加圧工程における型締めによる圧力よりも低い圧力で押したとしても、キャビティ5の端部まで溶融した合成樹脂2hを充填させることができる。
【0065】
結果として、インサート部材1の溶融した合成樹脂2hが接触する側の面に、金属蒸着、金属めっき又は塗装等の表面処理による、耐圧性の低い表面処理層1Bが形成されている場合であっても、表面処理層1Bにおけるひび、しわ、ムラ等の不具合の発生を減少させることができるという効果がある。
【0066】
なお、前述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0067】
例えば、上記実施形態では、インサート部材1における表面処理層1Bには、金属蒸着、金属めっき又は塗装のうち少なくともいずれか一種の表面処理層が形成されているが、本発明は、上記表面処理層に限定されるものではなく、インサート部材表面上の耐圧性の低い微細加工・微細装飾もしくは他の表面処理層等であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、ベース部材2の材質として、ABS及びAESが用いられているが、その他の合成樹脂を用いてもよい。また、インサート部材本体部1Aの材質として、ポリカーボネイトが用いられているが、その他の合成樹脂を用いてもよい。
【0069】
また、第1の実施形態では、加圧材15を移動金型20側に押し出すために駆動装置16が用いられているが、この駆動装置16の動力としては、油圧、空圧、電動スライダ等が利用できる。
【0070】
また、第2の実施形態では、2つの加圧材15が使用されているが、これを1つの円筒形状の部材としてもよい。この場合、加圧材15は、型締め方向に延びキャビティ5側及び供給装置50側で開口する孔部を有し、スプルーブッシュ13は、上記孔部に移動自在に嵌合される。
【0071】
また、第1及び第2の実施形態では、加圧材15は、固定金型10の表面と略同一となる位置から、キャビティ5内で突出する位置まで移動しているが、本発明は上記移動方法に限定されるものではなく、例えば、図9(a)(b)に示すように、加圧材15が、固定金型10の表面から下がった位置から、固定金型10の表面と略同一となる位置まで移動してもよい。
なお、例示した移動方法を採用した場合、図1に示す合成樹脂成形品Pにおける、ベース部材2の表面に、ベース部材凹部2Aは形成されない。
【0072】
また、第3の実施形態では、加圧材15の一例として、流体である気体42が用いられているが、本発明は、上記気体に限定されるものではなく、例えば液体を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明における製造方法を用いて製造された、合成樹脂成形品Pの側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における注入工程を示す概略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における第1加圧工程を示す概略図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における第2加圧工程を示す概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における第2加圧工程において、溶融した合成樹脂2hが加圧される部分の拡大図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における注入工程に入る直前の、固定金型10と移動金型20の位置関係を示す概略図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における第1加圧工程及び第2加圧工程を示す概略図である。
【図8】本発明の第3の実施形態における第2加圧工程において、溶融した合成樹脂2hが加圧される部分の拡大図である。
【図9】本発明の第1又は第2の実施形態における、溶融した合成樹脂2hが加圧される部分の拡大図であり、(a)は、第2加圧工程に入る直前の、加圧材15が固定金型10の表面から下がった位置にあることを示す概略図、(b)は、第2加圧工程で、加圧材15が固定金型10の表面と略同一となる位置まで移動したことを示す概略図である。
【符号の説明】
【0074】
P…合成樹脂成形品、K…第1の実施形態における金型装置、K2…第2の実施形態における金型装置、K3…第3の実施形態における金型装置、1…インサート部材、1B…表面処理層、2h…溶融した合成樹脂、5…キャビティ、10…固定金型、15…加圧材、17…固定金型凹部、18…固定金型突部(規制部材)、20…移動金型、30…移動部材、31…第2移動部材、42…気体(加圧材)、43…固定金型第2突部(第2規制部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型と移動金型との間に形成されたキャビティの前記移動金型側に、インサート部材が配置され、前記固定金型側から前記キャビティに溶融した合成樹脂を注入して、合成樹脂成形品を製造する方法であって、
前記固定金型と前記移動金型とが開いた状態で、溶融した合成樹脂を前記キャビティに注入する注入工程と、
前記固定金型と前記移動金型とを型締めして、溶融した前記合成樹脂を加圧する第1加圧工程と、
前記固定金型から前記キャビティに向けて加圧材を送り出して、溶融した前記合成樹脂を加圧する第2加圧工程と、を備えることを特徴とする合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項2】
前記キャビティ内に配置される前記インサート部材の、溶融した合成樹脂が接触する側の表面に、金属蒸着、金属めっき又は塗装のうち少なくともいずれか一種の表面処理がなされていることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項3】
前記第2加圧工程では、所定の位置の近傍の特定領域を加圧することを特徴とする請求項1または2に記載の合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項4】
前記所定の位置を挟んだ前記加圧材の逆側に、前記キャビティ内に突出する突部を設け、溶融した合成樹脂の流れを規制することを特徴とする請求項3に記載の合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項5】
前記加圧材は、前記固定金型と前記移動金型とが型締めされた状態で、前記固定金型から前記キャビティに向けて移動することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項6】
前記移動金型の移動に連動して、前記移動金型の移動方向と直交する方向に移動部材が移動するカム構造を設け、前記加圧材は、前記移動部材の移動により前記キャビティに向けて移動をすることを特徴とする請求項5に記載の合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項7】
前記加圧材に、流体を用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項8】
前記流体に、気体を用いることを特徴とする請求項7に記載の合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項9】
前記第2加圧工程では、所定の位置の近傍の特定領域を加圧し、前記流体の注入口を挟んだ前記所定の位置の逆側に、前記キャビティ内に突出する第2突部を設け、前記流体の流れを規制することを特徴とする請求項7または8に記載の合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項10】
固定金型と移動金型との間にキャビティが形成された金型装置であって、
前記固定金型と前記移動金型とが型締めされた状態で、前記固定金型側より前記キャビティ内に送り出される加圧材を有することを特徴とする金型装置。
【請求項11】
前記キャビティの前記移動金型側に配置されたインサート部材と、
前記インサート部材の溶融した合成樹脂が接触する側の表面に、金属蒸着、金属めっき又は塗装のうち少なくともいずれか一種がなされた表面処理層と、
を有することを特徴とする請求項10に記載の金型装置。
【請求項12】
前記加圧材が送り出される領域は、所定の位置の近傍の特定領域であることを特徴とする請求項10または11に記載の金型装置。
【請求項13】
前記所定の位置を挟んだ前記加圧材の逆側に配置されて、溶融した合成樹脂の流れを規制する規制部材を有することを特徴とする請求項12に記載の金型装置。
【請求項14】
前記加圧材は、前記固定金型と前記移動金型とが型締めされた状態で、前記固定金型から前記キャビティに向けて移動する部材であることを特徴とする請求項10ないし13のいずれか一項に記載の金型装置。
【請求項15】
前記移動金型の移動に連動して、前記移動金型の移動方向と直交する方向に移動する移動部材と、
前記移動部材の移動方向と直交する方向に移動する前記加圧材と、を備えるカム構造を有することを特徴とする請求項14に記載の金型装置。
【請求項16】
前記加圧材は、流体であることを特徴とする請求項10ないし13のいずれか一項に記載の金型装置。
【請求項17】
前記流体は、気体であることを特徴とする請求項16に記載の金型装置。
【請求項18】
前記加圧材が送り出される領域は、所定の位置の近傍の特定領域であって、前記流体の注入口を挟んだ前記所定の位置の逆側に配置されて、前記流体の流れを規制する第2規制部材を有することを特徴とする請求項16または17に記載の金型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−297960(P2009−297960A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153203(P2008−153203)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(504136889)株式会社ファルテック (57)
【Fターム(参考)】