説明

合成解析による配列決定システムおよび装置

本発明は、クローニング技術によって増幅させた単一分子のアレイに由来する短いDNA配列などの核酸の配列決定を行うシステムおよび装置を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸シーケンシングの分野に関し、詳しくは、クローニング技術で増幅させた単一分子アレイから得られる短いDNAシークエンスなどの核酸配列を解析するシステムおよび装置を提示する。
【0002】
なお、本発明は、2006年3月31日に出願されたUSSN60/788,248号明細書および2006年4月26日に出願されたUSSN60/795,368号明細書の優先権を主張し、これらの全体を本願の参照とする。
【背景技術】
【0003】
生物学の研究における近年の発達の多くは、核酸解析やシーケンシングの改良された手法から恩恵を受けている。例えば、ヒトゲノム計画は、病気の治療から基礎科学の発展までを含むさらなる発見につながることを期待して、ヒトゲノムの全塩基配列を決定した。「ヒトゲノム」の塩基配列が決定されても、依然として分析すべき遺伝物質(例えば、異なる人どうしの遺伝子の違い、組織、種など)が数多く存在する。
【0004】
長さの異なる断片を分離することに基づいたDNAシーケンシング用の装置は、1980年代に最初に発達し、それ以来ずっと市販されている。しかし、この技術は、ポリアクリルアミドゲルを充填したキャピラリーカラムに個別のサンプルを通過させることを含むので、各サンプルが通過する所要時間によって配列決定能力(スループット)が制限されてしまう。近年、増幅されない単一分子について大量の並行解析に基づいたDNAシーケンシング技術が数多く報告され(国際公開00006770号パンフレット;Proceeding of the National Academy of Sciences U.S.A,100,3960〜3964(2003)、或いは、増幅された単一分子について、平面アレイの形態(国際公開9844151号パンフレット)またはビード上(国際公開04069849号パンフレット;Nature,437,376〜380(2005);Science,309,5741,1728〜1732(2005);Nat Biotechnol.6630〜6344(2000))での大量の並行解析に基づいたDNAシーケンシング技術が数多く報告されている。
【0005】
これらの新しいシーケンシング技術において核酸の配列解析に使用される方法は、蛍光標識されたヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの検出に基づいていることが多い。このようなアレイ上の蛍光信号を読み取るために使用される検出器具類は、例えば、国際公開9641011号パンフレット、国際公開00006770号パンフレットまたは国際公開02072892号パンフレットに記載されているように、落射蛍光顕微鏡または内部全反射顕微鏡のいずれかに基づくものであることが多い。
【0006】
内部全反射顕微鏡を使用して表面上の一本鎖DNA分子および増幅されたDNA分子の両方を撮像するときの、ロバスト性および信頼性のある4色DNAシーケンシングのプラットホーム(例えば、加熱システム、流体の制御、一様な照射、光学ビーム成形の制御、自動焦点システム、および、すべての構成要素についての完全ソフトウェア制御)について、本明細書で初めて記述する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
迅速かつ信頼性のある核酸シーケンシングを行うために、さらに優良でロバスト性があり、低コストの装置およびシステムが必要とされている。本発明は、本明細書の詳細な説明、請求項および図面から明らかとなる様々な利点を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、さまざまな態様で、1つまたは複数のポリヌクレオチドの配列決定を行うためのシステムまたは装置を含む。これらのシステムは、(増幅されていない一本鎖分子、増幅された一本鎖分子、1つまたは複数の配列されたビードの集合体またはこれらの組合せなどを含み得る)平面基材を撮像するために使用することができる。これらのシステムは、シーケンシングに使用される場合、1つまたは複数のポリヌクレオチドが表面に結合される(例えば、基材に直接的に結合されるか又は基材に選択的に配列されたビードに結合される)平面固体基材と、様々な試薬(例えば、緩衝液、酵素、蛍光標識されたヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドなど)を上記ポリヌクレオチドに接触するように制御可能に導く流体誘導システムと、上記基材および/または上記試薬の温度を調節する温度制御システムと、内部全反射(TIR)を介して蛍光部を励起させる照射システムと、上記基材に近接して上記TIRシステムによって上記部分の励起から生じる蛍光を検出する検出器部品と、上記検出器に作動可能に接続され、上記検出器から蛍光画像を得るための指示セットを含むコンピュータと、を選択的に備え得る。
【0009】
いくつかの実施例においては、温度制御システムと相互作用させるために基材を検出器から外して、(例えば、ポリメラーゼ反応を促進させるように)基材の温度を調節することができる。これらの実施例においては、システムは、選択的にコンピュータ制御されるスキャニングステージまたは可動プラットホームを備え得る。加熱装置は、スキャニングステージに対して動くコンピュータ制御のペルティエ装置または他の加熱/冷却部品とすることができ、或いはステージを選択的に動かすことによってペルティエ装置が基材に接触することを確保できる。
【0010】
ここでの様々な実施例においては、基材はフローセルを含み得る。フローセルは、ポリヌクレオチドが陳列される1つまたは複数の流体チャネルを含むことができ(例えば、ポリヌクレオチドは、フローセルに直接的に結合されているか、あるいはポリヌクレオチドがフローセル上に整列された1つまたは複数のビードに結合されている)、ガラス、ケイ素、プラスチックまたはこれらの様々な組合せから形成することができる。
【0011】
典型的な実施例においては、試薬は、1つまたは複数のポリヌクレオチドと相補的な第2のシーケンスを合成する成分を含む。この合成は、標識されたヌクレオチド(これは、個別に添加しても良いし、またはヌクレオチドの混合物としてもよいし、あるいは標識されたオリゴヌクレオチドとしてもよい)を使って実行することができる。標識されたオリゴヌクレオチドの場合には、該標識されたオリゴヌクレオチドと相補的な1つまたは複数の塩基を特定することができる。標識されたヌクレオチドは、蛍光標識された三リン酸の形態を取ることができる。この形態は、添加を制御する保護基を含むことができ、各ポリヌクレオチドに単一のヌクレオチドが添加されることを保証することができる。蛍光体は、糖の3’位に配置できる保護基に結合させることができ、または保護基を除去するときと同じ条件で選択的に開裂させることができるリンカーを介してヌクレオチド塩基内に結合させることができる。同じ試薬を使ってリンカーと保護基とを開裂させてもよい。
【0012】
ここでの様々な実施例において、内部全反射(TIRF)システムは、例えば、ランプまたはレーザを備える。このシステムは、光ファイバデバイスを介して結合された1つより多くの励起レーザを備え得る。そのようなレーザは、同じ領域の少なくとも一部を照射することができる(すなわち、オーバーラップ)。ここでのTIRFレーザは、レーザの照射フットプリント全体にほぼ一様な光学強度をつくるために、振盪、振動および波長板変調された、或いは圧電アクチュエータで絞られたファイバモードスクランブラを選択的に含む。照射強度および一様性を制御する多くのメカニズムが本明細書中に説明されている。ファイバの形状は、照射フットプリントの形状を制御するように使うことができる。
【0013】
基材が焦点の位置に留められること、(1つまたは複数の)光ファイバが蛍光体の発光波長を伝えるとともに励起源からの光を遮断するのに適していること、および蛍光体からの蛍光発光を記録するシステムと、を確保するように、ここでの様々な実施例における検出器部品は、1つまたは複数の対物レンズ、追加的なチューブレンズ、ステージの位置および/または(1つまたは複数の)対物レンズの位置を調節する自動焦点システムを備え得る。
【0014】
本発明の上記および他の特徴は、以下の詳細な説明を添付の図および請求項に関連させて読むことにより、さらに明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、例えば、クローニングによって増幅された単一分子のDNAからなる数多くの様々な長さの核酸配列(シークエンス)を、フローセル内で、あるいはフローセルに固定されたビードの列に含まれる形態で、解析を行うシステムおよび装置を備える。本発明のシステムは、例えば、比較ゲノム科学(例えば、遺伝子型決定、SNP検出、BAC末端シーケンシング、染色体ブレイクポイント遺伝地図作製、および全体的なゲノムシーケンスアセンブリ)用のシーケンシング、遺伝子発現、マイクロRNAシーケンス分析、発生遺伝学(例えば、メチル化マッピングDNase−超感受性部位マッピングまたはクロマチン免疫沈降を使用する)、およびアプタマーおよびファージディスプレイライブラリの特徴付けなどに選択的に使用することができる。当業者であれば、本発明は、多様な他のシーケンシングの用途にも利用可能であることを容易に理解されるであろう。本発明のシステムは、以下にさらに詳細に説明する、光学的、機械的、流体的、電気的およびコンピュータ的なデバイス/態様からの様々な組合せからなる。さらに、本発明は、いくつかの実施例において特定の構成および/またはそれらの様態の組合せに関して記載されているが、当業者であれば、すべての実施例が、(特にそうするように言及されない限り)態様または特定の構成のすべてを含む必要はないことを理解されるであろう。
【0016】
要約すると、本発明の概要は、バックライト設計のTIRF撮像装置の一実施例を示す図1に概略的に示している。図1に見られるように、流体運搬モジュールすなわち装置100は、試薬(例えば、蛍光ヌクレオチド、緩衝液、酵素、開裂試薬など)の流れをフローセル110や廃液弁120に(通流させるように)導く。特定の実施例においては、フローセルは、該フローセルの基材に選択的に結合されて配列決定される核酸シーケンスのクラスタ(例えば、約200〜1000塩基)を含むとともに、選択的に他の構成要素を含む。また、フローセルは、各々のビードが一本鎖シーケンスからの複数のコピーを選択的に含むようなビードのアレイを含むことができる。このようなビードは、例えば、米国特許6172218号明細書または国際公開04069849号パンフレットに記載されている様々な技法(ビードエマルジョン核酸増幅)に従って準備することができる。
【0017】
本発明のシステムは、フローセル内の流体の温度条件を選択的に調節することができる温度ステーションアクチュエータ130および加熱器/冷却器135をさらに備える。以下に説明するように、様々な実施例において、様々な加熱/冷却部品の構成とすることができる。フローセルは、フィルタスイッチングアセンブリ145、対物レンズ142、および集光レーザ/集光レーザセンブリ150内の様々なフィルタと相互作用することができるカメラシステム140(例えば、CCDカメラ)によって監視され、シーケンシングが追跡される。レーザ装置160(例えば、複数のレーザを選択的に含むアセンブリ内の励起レーザ)は、光ファイバ161(これは、1つまたは複数の再結像レンズ、光ファイバマウントなどを選択的に含み得る)を介してのレーザ照射によって、フローセル内で蛍光シーケンシング反応を発生させる働きをする。図示した実施例においては、低ワットランプ165、ミラー180および反転ダイクロイックミラー185がさらに示されている(以下を参照)。加えて、取付け台170は、本発明の様々な部品に対して、フローセル、温度アクチュエータおよびカメラなどの適当な位置決めや動きを可能にする。集光(z軸)部品175は、様々な部品(例えば、対物レンズ)の操作や位置決めを助ける働きもする。このような部品は、選択的に、フレームワークに体系化されているか、および/またはハウジング構造体内に閉じられている。ここに示した図は、実施例を示すためのものであり、必ずしも限定するためのものではないことを理解されたい。従って、例えば、様々な実施例において、互いに様々な位置に部品が配置され得る(例えば、実施例Aでは、図1に示す位置に加熱器/冷却器を含み、実施例Bでは、フローセルの下に加熱器/冷却器を含む)。
【0018】
[定義]
本発明を詳細に説明する前に、本明細書中における本発明は、特定の核酸ないし生物学的システムについての使用に限定されるものではなく、様々に変化し得るものであることを理解されたい。また、本明細書中で使用される方法は、特定の実施例を説明するためのものであり、これに限定しないことを理解されたい。本明細書および添付の請求項で使用される単数名詞は、文脈で明確に示さない限り、複数名詞を含み得る。従って、例えば、「フローセル」と言及している箇所は、2つ以上のフローセルの組合せなどを選択的に含む。
【0019】
本明細書中に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)を示しているが、当業者であれば、本明細書中のシステムおよび装置は、リボ核酸(RNA)についても使用可能であることを理解されるであろう。これらの用語は、塩基同等物から精製されたDNAまたはRNA同等物や類似物を含むことを理解されたい。本明細書中で使用されるこの用語は、さらに、cDNAすなわち相補的DNAや、例えば逆転写酵素の働きによるRNAテンプレートから生成された複製DNAも含む。
【0020】
本明細書中のシステムおよび装置によってシーケンシングされる一本鎖ポリヌクレオチドの分子は、一本鎖DNAまたはRNAの形態を起源とするものでもよいし、二本鎖DNA(dsDNA)の形態(例えば、ゲノムDNA断片、PCRおよび増幅生成物およびこれらの類似物)を起源とするものでもよい。従って、一本鎖のポリヌクレオチドは、二本鎖ポリヌクレオチドのうちのセンス鎖であってもよいし、アンチセンス鎖であってもよい。標準的な技術を用いる本発明の方法で使用するのに適当な一本鎖ポリヌクレオチド分子を準備する方法は、当技術分野において周知の方法である。一次的なポリヌクレオチド分子の精密な塩基配列は、概して、本発明の対象とする物質ではなく、知ることができるかもしれないし、できないかもしれない。一本鎖ポリヌクレオチド分子は、イントロン配列およびエキソン配列(配列をコードする)の両方を含む遺伝子DNA分子(例えば、ヒトゲノムDNA)を表すことができるとともに、プロモータ配列やエンハンサ配列などの、配列をコードしない調節塩基配列を表すことができる。
【0021】
いくつかの実施例においては、本発明を使用して配列決定される核酸は、基材(例えば、フローセル内の基材、またはフローセルなどの基材上の1つまたは複数のビード内の基材など)に固定されている。本明細書中で使う「固定されている」という用語は、特に明記し又は文脈で示さない限り、直接的または間接的な共有結合または非共有結合を含むことを意図する。本発明のいくつかの実施例においては、共有結合が好ましいが、概して要求されることは、分子(例えば、核酸)が固定されたままであるか、または支持体を使用することが意図された条件において(例えば、核酸配列決定を要求する適用例において)、支持体に結合されていることのみである。
【0022】
本明細書中で使用される「固体支持体」(または、いくつかの使用例における「基材」)という用語は、ガラス表面、プラスチック表面、ラテックス、デキストラン、ポリスチレン表面、ポリプロピレン表面、ポリアクリルアミドゲル、金表面およびシリコンウェハーなどの、核酸が結合することができる不活性な基材ないし母材に言及している。多くの実施例において、固体支持体は、ガラス表面である(例えば、フローセルチャネルのプラナー表面)。いくつかの実施例において、固体支持体は、例えば、ポリヌクレオチドなどの分子に共有結合させる反応基を含む中間物質の層またはコーティングを適用することによって「機能化された」不活性な基材ないし母材を含み得る。非制限的な実施例において、これらの支持体は、ガラスなどの不活性な基材に支持されたポリアクリルアミドハイドロゲルを含み得る。このような実施例において、分子(ポリヌクレオチド)は、中間材(例えば、ハイドロゲル)に直接的に共有結合することができるが、この中間材自体は、基材ないし母材(例えば、ガラス基材)に、共有結合以外で結合させることができる。固体支持体への共有結合は、包括的なこの種の構成に応じて解釈される。
【0023】
[システムの概観]
上記に示したように、本発明は、核酸のシーケンシングを行う新規のシステムおよび装置を備える。当業者には明らかであるように、本明細書中において、特定の核酸シーケンスについての言及は、文脈に応じて、該核酸シーケンスを含む核酸分子にも言及している。標的断片のシーケンシングは、時系列に塩基を読み取ることが確立されていることを意味する。読み取られる塩基は、隣接している必要はなく(隣接していることが好ましいが)、断片全体のすべての塩基がシーケンシングで配列決定される必要もない。種々の適当なシーケンシング技術を使って配列決定を行うことができ、ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドが3’ヒドロキシル基に首尾よく加えられ、5’末端から3’末端の方向にポリヌクレオチドの鎖が合成される。添加されたヌクレオチドの本質は、各々のヌクレオチドの添加後に確定されることが好ましい。また、(連続するすべての塩基の配列が決定されるのではない)連結反応によるシーケンシンングを用いるシーケンシング技術や、(塩基が表面上の鎖に添加される代わりに鎖から除去される)超並列シグネチャ系列(MPSS)などの技術も本発明のシステムおよび装置に使用することに適している。
【0024】
いくつかの実施例において、本発明は、合成によるシーケンス(SBS)を利用する。SBSにおいては、蛍光標識された4つの修飾ヌクレオチドは、基材(例えばフローセル)の表面に存在する増幅DNA(おそらく数百万クラスタ)の高密度クラスタをシーケンスするために使用される。発明者らは、SBSの手順および方法に関する様々な追加的な態様を記述しており、これらの手順および方法は、ここでのシステムおよび装置に利用することができる。例えば、国際公開04018497号パンフレット、国際公開04018493号パンフレットおよび米国特許7057026号明細書(ヌクレオチド)、国際公開05024010号パンフレットおよび国際公開06120433号パンフレット(ポリメラーゼ)、国際公開05065814号パンフレット(表面結合技術)、ならびに国際公開9844151号パンフレット、国際公開06064199号パンフレットおよび国際公開07010251号パンフレット(これらの各々の内容の全体が本明細書中の参照となる)を参照されたい。
【0025】
ここでのシステム/装置の特定の使用において、シーケンシング用の核酸サンプルを含むフローセルは、本発明の適当なフローセルホルダ内に配置されている(様々な実施例を本明細書中に記述する)。シーケンシング用のサンプルは、単一分子、クラスタの形態の増幅された単一分子、または核酸分子を含むビードの形態とすることができる。核酸は、未知の標的シーケンスに隣接するオリゴヌクレオチドプライマを含むように準備される。第1のSBSシーケンスサイクルを開始するために、1つまたは複数の様々な標識されたヌクレオチドやDNAポリメラーゼなどが、流体流サブシステム(これの様々な実施例を本明細書中に記述する)によってフローセル内に流入/通流される。一度に単一のヌクレオチドを添加することができ、或いはシーケンシングの手順で使用されるヌクレオチドを逆転写終止特性を有するように特別に設計することができ、これにより、標識された4種類のヌクレオチド(A,C,T,G)が存在する場合に、シーケンシング反応の各サイクルが同時に起こることを可能にする。4種類のヌクレオチドを一緒に混合するとき、ポリメラーゼは、取り込むべき正しい塩基を選択することができ、各シーケンスは、単一の塩基によって伸長される。本発明のシステムを使用するこれらの方法においては、4種類の代替物の自然の競合は、反応混合物中に1種類だけのヌクレオチドしか存在しない場合(従って、塩基配列のほとんどが正しいヌクレオチドに晒されない)と比較して、高い確度を導く。特定の塩基が次々に繰り返されるシーケンス(例えば、ホモポリマー)が種々の他のシーケンスと同様に対処され、しかも高い確度で対処される。
【0026】
また、流体流サブシステムは、取り込まれた塩基の各々から、3’末端保護基(適当であれば)と蛍光体を除去するように、適当な試薬を流す。基材は、4つの保護されたヌクレオチドの第2周期目に晒すことができ、あるいは異なる個別のヌクレオチドを使って第2周期目に選択的に晒すことができる。続いて、このようなサイクルが繰り返され、各クラスタのシーケンスは、複数回の化学サイクルに亘って読み取られる。さらに長いポリマの配列を決定するために、本発明のコンピュータの態様は、各々の一本鎖分子、クラスタまたはビードから集められた配列データを選択的に整列させることができる。あるいは、画像処理および位置決めを独立したコンピュータで実行することができる。
【0027】
本発明のシステムの加熱/冷却部品が、フローセルチャネルおよび試薬貯蔵領域/コンテナ(および、選択的に、カメラ部品、光学部品および/または他の部品)内の反応条件を調整する一方で、流体流部品は、取り込みに適した試薬に基材表面が晒されることを可能にし、取り込まれなかった試薬が洗い流される。フローセルを載せるための選択的に可動なステージが配置され、基材のレーザ(または他の光線)励起の正しい方向にフローセルが向くことを可能にするとともに、基材の異なる領域を読み取ることができるように、対物レンズに対して選択的に動かされる。加えて、本発明のシステムの他の部品(例えば、カメラ、対物レンズ、加熱器/冷却器など)もまた、選択的に、移動/調整することができる。レーザ励起の間に、基材上の核酸から発光された蛍光の結像/位置の特定は、カメラ部品によって捕捉され、これによって、各々の単一分子、クラスタまたはビードの第1の塩基についての識別性をコンピュータに保存する。
【0028】
図2は、本発明のシステムの構成の一例を示す。図に見られるように、このシステムは、いくつかの基本グループ、例えば、流体素子および試薬貯蔵器を含む領域200(流体の流れの発生および調整用のポンプやモータなどや適当な試薬温度にする加熱器/冷却器などを含む)と、フローセルおよび検出器(1つまたは複数のカメラまたは類似した装置、1つまたは複数のレーザまたは他の光源、1つまたは複数の適当な光学フィルタおよび光学レンズ、温度制御アクチュエータを含む領域210と、(例えば、フローセルの温度条件の制御用のペルティエ加熱器/冷却器と、システム内の様々な装置/部を正確に位置づけるように制御する可動ステージプラットホームおよびモータを有する)を含む)コンピュータモジュールを含む領域220(メモリや、表示パネルおよびキーボードなどのユーザインタフェースを含む)と、に分けることができる。
【0029】
図3は、例示的なシステム内に配置されたフローセル(フローセル300)を示す。光ファイバ320を介して結合されたレーザが(シーケンシングされる核酸サンプルを含む)フローセルを照射するように配置され、対物レンズ部品(部品310)が、レーザまたは他の光線によって蛍光体が照射されたときに様々な蛍光発光を捕捉および監視する。さらに図3に見られるように、試薬は、適当な試薬貯蔵器などと接続する1つまたは複数のチューブ(チューブ330)を介してフローセル内に通流される。図3におけるフローセルは、フローセルホルダ340内に配置されている(このフローセルダ340は、可動ステージ領域350上に配置される)。フローセルホルダ340は、シーケンシングが行われているときに、レーザ、プリズム(これは、結像面にレーザ照射を導く)およびカメラシステムに対して適当な位置にフローセルを保つ。他のフローセルおよびフローセルの構成については、以下に述べる。
【0030】
本発明の様々な実施例は、いくつかの新規の特徴を提示する(特に示さない限り、すべての特徴がすべての実施例に必ずしも存在するのではないことに注意されたい)。例えば、ここでのシステムは、光ファイバデバイスを介して結合された2つの励起レーザを使用して、これらの2つの励起レーザが同じ領域を照射することを確保することができる(すなわち、レーザが重なり合った照射領域すなわちフットプリント)。加えて、照射フットプリントの全体に亘ってマルチモードビームからの光強度が一様につくられるように、本発明は、振盪され、絞られ、または波長板修飾されたファイバ(モードスクランブラ)を含み得る。ファイバの形状は、照射の形状がデータ収集装置(例えば、正方形のピクセルを有するCCD)の形状と合致させることができるように、例えば、正方形または長方形に調節することができる。さらに、いくつかの実施例においては、シングルレーザが、波長付近の狭帯域通過発光フィルタを使うことによって、またこれよりも長波長側でさらに広帯域通過発光フィルタを使うことによって、2種類の蛍光体を励起させる。このような構成により、2種類の色素の相対強度を正規化する(同じ帯域幅のフィルタを用いた場合、レーザ波長から遠い波長の色素は、大きく弱まる)。ここでの実施例は、(加熱および冷却を必要とする)化学反応が、同じ機器上で、しかし光学系の外側で起きることができるように、可動ステージをさらに含み得る。ここでのシステムは、数多くのタイルの自動撮像を可能にし、オンラインでの流体変化を実行する流体システムを含む。システム/装置の個々の部品(例えば、光源、カメラなど)は、選択的に、各々の電源すなわち電力供給源を有していてもよいし、あるいは1つの電力供給源からすべてに電力を供給してもよい。本明細書中における部品は、単独で、あるいは1つまたは2つの他の部品との関係で記述しているが、実施例における様々な部品は、典型的には、操作可能および/または機能可能に接続され、本明細書中のシステム/装置内で一緒に作動する。
【0031】
[フローセル]
様々な実施例において、本明細書中のシステムは、1つまたは複数の基材を備え、この基材上に、シーケンシングされる核酸が、結合され、付着され、または関連付けられる。国際公開9844151号パンフレットまたは国際公開0246456号パンフレットを参照されたい。いくつかの実施例においては、基材は、「フローセル」の一部としてのチャネル内または他の領域内にある。本発明の様々な実施例で使用されるフローセルは、数百万の個別の核酸クラスタ(例えば、1チャネル当たり約200万〜800万クラスタ)を含むことができる。これらのクラスタの各々は、DNAシーケンシング用の少なくとも25塩基の読み取り長さと、遺伝子発現分析用の20塩基と、を与えることができる。ここでのシステムは、1回の運転で、ギガ塩基(10億塩基)からなるシーケンスを生成することができる(例えば、1チャネル当たり500万核酸クラスタ、1フローセル当たり8チャネル、1ポリヌクレオチド当たり25塩基)。
【0032】
図4Aおよび図4Bは、フローセルの一実施例を示す。図から分かるように、特定のフローセル(フローセル400)の実施例は、(例えば、深さ1000μmのホウケイ酸ガラスからなる)塩基層410、この塩基層上に重ねられた(例えば、エッチングされた深さ100μmのケイ素からなる)チャネル層420、および(例えば、深さ300μmの)保護層すなわち最上層430を備える。これらの層が一体に組み上げられるとき、保護層を介して、いずれかの端部に入口/出口を有するように閉塞チャネルが形成される。以下の追加的な記述から明らかとなるように、いくつかのフローセルは、底部にチャネル用の開口を備え得る。
【0033】
当業者には周知であるように、チャネル層は、標準的なフォトリソグラフィー法を使って選択的に構築することができる。本発明に使用されるこのような方法の1つとしては、100μmのケイ素の層を露光させ、深部反応イオンエッチングまたは湿潤性エッチングを用いて、露光されたチャネルをエッチング除去する。
【0034】
特定のフローセルの構成が本明細書中に示されているが、これらの構成は必ずしも限定するためのものではないことを理解されたい。従って、例えば、ここでの様々なフローセルは、様々な数のチャネルとすることができる(例えば、1チャネル、2チャネル以上、4チャネル以上、あるいは6,8,10,16チャネル以上など)。さらに、様々なチャネルは、様々な深さおよび/または幅のチャネルとすることができる(異なるフローセル内のチャネル間で異なる場合もあれば、同じフローセル内のチャネル間で異なる場合もある)。例えば、図4Bのセル内に形成されたチャネルが100μmの深さである一方、他の実施例においては、選択的に、さらに深いチャネル(例えば、500μm)またはさらに浅いチャネル(例えば、50μm)とすることができる。フローセルの設計のさらなる例を、図4Cおよび図4Dに示す(例えば、図4Cに示すように、流れの一様性を保つための8つの入口出口ポート(ポート445(8つの入口および8つの出口))を有する2チャネルからなる「広い」チャネルと、追加的に構造を補強する壁45のような中央壁と、を備えるフローチャネルとしてもよいし、あるいは、16オフセットチャネル(チャネル480)のようなオフセットチャネルを有するフローセルなどとすることができる。このようなフローセルは、照射された面からの蛍光を最大限に集めるとともに、回折限界の結像ができるように設計することができる。例えば、図4Cに示す設計の特定の実施例においては、1000μmの厚さの底層460(これは、本明細書中に示されるように、ホウケイ酸ガラス、溶解したケイ素または他の物質からつくることができる)を通過してチャネルに侵入する光や放出される光は、チャネル内で深さ100μmの水溶液と、深さ300μmの「最上」層材料470と、を通過するように進む。しかし、いくつかの実施例においては、球面収差を避けるとともに回折限界のスポットを結像させるように、「最上」層の厚さを300μm未満とすることができる。例えば、標準的な回折限界の光学系で使用するために、最上層の厚さを約170μmとすることができる。球面収差に煩わされることなく更に厚い最上層を使用するために、対物レンズは、例えばここに記述されるように、選択的にカスタム設計することができる。
【0035】
ここでの様々な実施例においては、フローセルは、いくつかの可能な物質から/を使って、つくることができる。例えば、いくつかの実施例においては、フローセルは、必要に応じて形成することができ、巧みに処理することができるFoturan(登録商標)(独国マインツ所在のMikrogaslas社)またはFotoform(登録商標)(東京所在のHoya社)などの感光ガラスとすることができる。他の可能な物質としては、優れた光学的特性を有するとともに必要であれば高温に対して耐性を有する(例えば、100℃まで)サイクリックオレフィンコポリマ(例えば、Topas(登録商標)(ケンタッキー州フローレンス所在のTicona社)またはZeonor(登録商標)(ケンタッキー州ルイジビル所在のZeon Chemicals社)とすることができる。図4から明らかなように、フローセルは、同じセル内にいくつかの異なる材料を含むことができる。従って、いくつかの実施例においては、ベース層、チャネルの壁および最上/保護層は、異なる材料から選択的につくることができる。
【0036】
図4Bの実施例は3層からなるフローセルを示すが、他の実施例においては、2層からなるフローセル(例えば、エッチングされ/研磨され/あるいは内部に複数のチャネルが形成されたベース層および最上部の保護層)としてもよい。さらには、他の実施例においては、エッチングされ/研磨され/あるいは内部にフローチャネルが形成された1層だけからなるフローセルとすることができる。
【0037】
いくつかの実施例においては、フローセルは、Foturan(登録商標)とすることができる。Foturanは、様々な目的に合わせて構成することができる。Foturanは、様々な所望のガラス特性(例えば、透過性、固さ、熱化学的抵抗など)と、厳しい許容誤差および高アスペクト比(孔の深さ/孔の幅)を有する高精度の構造を達成する能力と、を併せ持つ。Foturan(登録商標)を使う場合、もっとも小さい可能な構造としては、通常は、例えば、25μmとし、このときの粗さを1μmとする。
【0038】
図5Aは、フローセル(例えば、Foturan(登録商標)からなるもの)をパターン化するのに可能な1つの方法を概略的に示す図である。最初に、基材510の表面上をマスク500で所望のパターンにマスキングし、その後、紫外光に露光される。この露光ステップにおいては、ガラスは、290nm〜330nmの波長の紫外光に露光される。2mmまでの厚さの材料を照射することが可能である。典型的には、1mmの厚さのFoturanプレートを構築するのには、約20J/cm2のエネルギ密度で十分である。紫外光露光ステップの際には、照射される領域(領域520)内に、銀または他の不純物原子が癒着する。次に、500℃〜600℃の熱処理の際に、領域520内において銀原子の周囲でガラスが結晶化する。最終的に、室温で10%のフッ化水素酸でエッチング(異方性エッチング)するときに、結晶化領域は、ガラス質の領域と比較して20倍のエッチング速度にすることができ、こうして、チャネル530を生じさせることができる。湿潤性化学エッチングを超音波エッチングまたはスプレーエッチングによって補助できる場合、生じる構造は、大きなアスペクト比を示す。図5Bは、Foturanガラス(d=1mm)のサンプルからの透過スペクトラムを示す。
【0039】
図6A〜図6Eは、本明細書中で使用されるフローセルのサンプルを構築するためのエッチングプロセスの一例を示す。図6Aにおいては、チャネル600(後方図に見られる)および貫通する孔605(後方図に見られる)は、層630内に露光/エッチングされる。図6Eに見られるように、層630は、2層のフローセルのうちの「最上」層とすることができる(底層620と係合している)。貫通する孔(ここから試薬/流体がフローセルチャネル内に侵入する)およびチャネルは、Invenios社(カリフォルニア州サンタバーバラ所在)から入手可能な3−Dプロセスなどを使って層630内にエッチングすることができる。保護層630は、上記に示した紫外光エッチング可能なFoturanとすることができる。Foturanは、紫外光に晒されたとき、色が変化し、光学的に不透明(すなわち偽の不透明)になる。こうして図6Bにおいて、保護層630は、この層に暗領域610を生成するように、マスキングされて光に晒される(図5Aにおけるマスキングと似ているが、さらなるエッチングを伴わない)。このような光学的に不透明な領域は、ここでの塩基配列の読み取りの質に否定的な影響を与え得る、間違った方向への光、光の散乱または他の望ましくない反射を防ぐことを助ける。他の実施例においては、クロムまたはニッケルなどの金属の薄い(例えば、100〜500nm)層は、フローセルの層の間(例えば、図6Eにおいて、最上層と底層との間)に選択的に堆積されて、望ましくない光の散乱を封鎖することを助ける。図6Cおよび図6Dは、チャネル層630を有する底層620の係合を示し、図6Eは、これらの層の切り欠き図を示す。
【0040】
さまざまな実施例において、フローセルの層は、いくつかの種々の方法で互いに接合させることができる。例えば、粘着剤、(例えば、熱的、化学的な)結合、および/または機械的方法を介して層を接合することができる。当業者であれば、様々なガラス/プラスチック/シリコンの層を互いに接着するための数多くの方法および技術について熟知しているであろう。
【0041】
本明細書中において、特定のフローセルの設計および構造について説明しているが、これらの記述は、必ずしも限定的なものではないことを理解されたい。本発明の他のフローセルは、本明細書中のもの以外の様々な材料および設計とすることができ、および/または、本明細書中に提示した設計および/または様々なエッチング/研磨技術または本明細書中に開示した以外の製造方法を使ってつくり出すことができる。従って、特定のフローセル構成要素または構造は、すべての実施例において必ずしも限定するためのものではない。
【0042】
[流体の流れ]
ここでの様々な実施例において、核酸シーケンシングに用いられる試薬や緩衝液などは、流体流のサブシステムまたは態様を介して調整かつ投与される。図7A〜図7Cは、本発明の流体流装置の一例を概略的に示し、それぞれ、1通路圧送、8通路吸引および1通路吸引の構成に設定されている。概して、流体流サブシステムは、適当な流量かつ選択的に適当な温度で、試薬貯蔵領域(例えば、ボトルまたは他の貯蔵容器)からフローセルに適当な試薬(例えば、酵素、緩衝液、色素、ヌクレオチドなど)を通流させ、選択的に廃液溜め領域まで運ぶ。
【0043】
流体流の態様は、選択的にコンピュータ制御され、様々な試薬成分の温度を選択的に制御することができる。例えば、いくつかの成分は、選択的に、(例えば、酵素を含む溶液に対して)4℃+/−1℃程度の低温に保たれる一方で、他の試薬は、選択的に高温に保たれる(例えば、この高温で特定の酵素反応が起きているときに、緩衝液がフローセル内に流されるようにする)。
【0044】
いくつかの実施例においては、フローセル内に流される前に、様々な溶液が選択的に混合される(例えば、希釈された適当なヌクレオチドなどと混合された濃縮緩衝液)。このような混合および調整も、本発明の流体流の態様によって選択的に制御される。多くの実施例において、混合流体とフローセルとの距離を最小限にできれば有利となる。そのために、このポンプを使って試薬をフローセル内に圧送する(図7A)のとは反対に、フローセルの下にポンプを配置してフローセル内に試薬が吸引されるようにすることができる(図7Bおよび図7C)。この吸引構成は、ポンプ内の死容量に捕捉された種々の物質がフローセルを汚染しないことを意味する。フローセルの各チャネル内に均等な流れを確保するように、ポンプをシリンジ型ポンプとし、1つの流れチャネルにつき1つのシリンジを有するように構成することができる。8通路フローセルを使用することが望ましい場合、ポンプは、例えば、Kloehn8通路シリンジポンプ(ネバダ州ラスベガス所在のKloehn社)などの8通路ポンプとすることができる。図7Bは、8通路吸引構成を流体工学的に図解する。図7Aにおいて、流体の試薬は、試薬容器700(例えば、室温における緩衝液、5倍SSC緩衝液、酵素緩衝液、水、開裂緩衝液など)および試薬容器710(例えば、酵素用の低温容器、酵素混合物、水、scanning mixなど)内に貯蔵されている。ポンプ730は、試薬容器から、試薬弁740、プライミング/廃液弁770を介して、フローセル760に圧送/吸引されるように流体を流す。
【0045】
図7Bにおいては、流体の試薬は、試薬弁701を介して繋がれた試薬容器702(例えば、上記に挙げた緩衝液と同じ室温における緩衝液)および試薬容器703(例えば、上記に挙げた容器と同様の酵素用の低温容器など)内に貯蔵されている。当業者であれば、複数のライン/容器からのアクセス/へのアクセスを制御する複数通路の弁(反応弁など)について熟知しているであろう。試薬弁は、選択的なプライミング弁(または廃棄弁)704を介してフローセル705内に繋がれ、選択的にプライミングポンプ706に接続されている。プライミングポンプは、容器から選択的に試薬を吸引してチュービング内に待機させ、試薬がフローセル内に入る「準備ができている」ようにすることができる。こうして、不適切な温度環境で空気や試薬が死んでいる(これは、例えば、チュービング内に留まっていることによる)ことを避けることができる。プライミングポンプで吸引するとき、流出流は、廃液領域内へ逸らされる。プライミングポンプを使用しない間に、試薬は、廃液溜め708に接続された8チャネルポンプ707を使ってフローセル内に吸引することができる。
【0046】
(圧送および吸引の)いずれの実施例においても、流体流装置は、容器から試薬を抽出するために、様々な試薬容器内に延びる「すすりチューブ」またはこれの類似物を備え得る。図7Cは、8チャネルポンプではなく、シングルチャネポンプを示す。シングルチャネルポンプ726は、選択的にプライミングポンプとして機能することもでき、従って、選択的なプライミングポンプまたは廃液弁723がバイパス725を介して直接的にポンプ726に接続されている。この実施例における構成要素の配置は、図7Bの配置に類似している。従って、この構成は、試薬容器721,722、複数通路選択弁720およびフローセル724などを含む。
【0047】
流体流そのものは、Encynova(登録商標)2−1ポンプ(コロラド州Greeley所在のEncynova社)またはKloehn(登録商標)V3シリンジポンプ(ネバダ州ラスベガス所在のKloehn社)などの種々のいくつかのポンプによって選択的に駆動される。ここでの特定のポンプなどの具体的な説明も、必ずしも限定するためのものではなく、ここに挙げた以外の様々なポンプおよび/またはポンプの種類を含み得ることを理解されたい。いくつかの実施例において、流体運搬速度は、8チャネルについて、約50μL/分から約500μL/分(例えば、+/−2μLに制御される)である。8通路吸引構成においては、プロセスに依存して、1チャネル当たりの流れ速度を10〜100μl/分とすることができる。いくつかの実施例においては、25塩基のポリヌクレオチドのシーケンシングに要求されるヌクレオチド試薬の最大量は約12mLである。
【0048】
いずれのポンプ/ポンプの種類がここで使用される場合にも、これらの試薬は、貯蔵領域からチュービングを介してフローセルに選択的に運ばれる。PTFEなどのチュービングは、例えば、試薬との相互作用を最小にするように選択することができる。チュービングの直径は、実施例ごとに(および/または試薬の貯蔵領域に応じて選択的に)変えることができるが、例えば、「死容量」すなわちライン中に残された流体の量を減らすための要求に応じて選択することができる。さらに、チュービングの寸法は、流れ通路の1つの領域から他の領域に向かって選択的に変えることができる。例えば、試薬貯蔵領域からのチューブの寸法は、ポンプからフローセルまでのチューブの寸法とは異なる直径にすることができる。
【0049】
本発明の流体流サブシステムは、含まれる試薬の流量を制御することができる。流量は、各流路について選択的に調整することができる(例えば、いくつかの流路は他の流路よりも高い流速で流すことができ、流速を選択的に逆向きにすることができ、あるいは互いに異なるチャネル間で異なる試薬流を受けたり、異なるタイミングで試薬流を受けることなどができる)。流速は、例えば、フローセル内に所与の時間に適当な量の試薬を有するように、各流路についてチューブの直径に関連させて設定することができる。例えば、いくつかの実施例においては、試薬が通流するチュービングの内径(ID)は、0.3mm,0.5mmまたは1.0mmであって、このときの流速は、480μL/分または120μL/分である。いくつかの実施例においては、流れの速度は、試薬の利益を最適化するように、選択的にバランスがとられる。高い流速は、ラインの効率的なクリアランスを生じさせることができ、所与のフローセル容積内で試薬を交換する時間を最小にすることができるが、基材表面に高レベルのせん断力を生じさせ、漏れや泡に関わる大きな問題を生じさせてしまうことがある。試薬の導入についての典型的な流速は、いくつかの実施例においては、1チャネル当たり15μl/分とすることができる。
【0050】
本発明のシステムは、さらに、システムにおける漏出、封鎖および流量などの流体性能の特徴を自動的に検出および報告する圧力センサを備える。このような圧力センサすなわち流れセンサは、機器のメンテナンスやトラブル解消に有用となり得る。流体流装置は、例えば、以下に記すような1つまたは複数のコンピュータで制御することができる。本発明の様々な実施例における流体制御系は、例えば、試薬容器の数、チュービングの長さ/直径/組成、切換弁およびポンプなどの種類に関して、違うものにすることができる。
【0051】
[加熱/冷却]
いくつかの実施例において、ここでのシステムは、例えば、ペルティエ装置などを使うことによる加熱/冷却能力を有する加熱/冷却制御部品を備える。ここでの様々な構成要素(例えば、フローセルおよびこれの内容物)は、環境温度を越えた反応条件をつくり出すように、選択的に、耐熱性要素によって加熱することができ、あるいは対流によって冷却することができる。このような(1つまたは複数の)加熱/冷却部品は、合成によるシーケンシングに要求される様々な反応の間に、フローセル(およびその内部の流体)の温度を制御することができる。例示的なフローセルの温度制御システムを(システムの他の部品から分離した姿で)図8に示す。図8において、ペルティエファン800は、ヒートシンク810およびペルティエヒータ820との関係で示されている。フローセル加熱/冷却部品は、システムの他の部品(例えば、フローセルおよびフローセルホルダなど)に対して、選択的に位置づけ及び/または移動させることができる。こうして、加熱/冷却部品は、必要なときに所定の場所に移動させ(例えば、酵素の活性化などを可能にするように、フローセル内の試薬の温度を上昇させる)、必要でないときに離れるように移動させることができる。これに加えて及び/又は代替的に、加熱/冷却部品に対して、フローセルおよびフローセルホルダを選択的に動かすことができる。以下の図10Aおよび10Bを参照されたい。様々な実施例において、温度制御要素は、システム/装置内で行われる反応による要求に応じて、例えば、約20℃〜約60℃または他の温度/温度範囲にフローセルの温度を制御する。加熱要素の温度は、フローセルおよびフローセル内の試薬の温度を制御するように調節することができる。フローセルが低温の試薬の流れに晒されるとき、加熱要素の温度は、フローセルの表面で要求される温度より高くしてもよい。例えば、フローセル温度を45℃にするために、加熱要素を55℃に設定することができる。
【0052】
当業者であれば、温度制御に使用されるペルティエ装置(これは、ここでのシステム内で選択的に使用できる)に精通しているであろう。いくつかの加熱/冷却装置の使用についてここで説明示したが、必ずしもこのような使用に限定されないことを理解されたい。従って、いくつかの実施例においては、本発明の範囲を逸脱することなく、ペルティエ装置以外の加熱/冷却装置を選択的に備え得る。典型的な実施例においては、装置の種類によらず、加熱/冷却部品は、コンピュータによって(例えば、温度、特定の温度における時間、部品の動き、および/またはフローセルホルダなどの他の部品の加熱/冷却部品への動きに関して)選択的に制御される(以下を参照)。
【0053】
いくつかの実施例においては、追加的な加熱/冷却要素は、フローセルに加えて又はフローセルの代わりに他の部品の温度を選択的に調整する。例えば、加熱/冷却部品は、カメラおよび試薬溜めの温度を選択的に調整して、例えば、4℃に冷却して、長いシーケンシング運転中における試薬の貯蔵寿命を延ばすことができる。また、機器内などの雰囲気温度を選択的に調整することができる。
【0054】
[複数のフローセルおよび代替的なTIRFおよび加熱/冷却アプローチ]
ここでのいくつかの実施例においては、システム/装置は、フローセルの構成、TIR照射、(1つまたは複数の)フローセルの加熱/冷却部品、およびフローセルを装置内に保持/安定化させる方法に、追加的なアプローチを含むことができる。そのようなアプローチは、いくつかの実施例において選択的に一緒に使用することができ、例えば、ここに示される種々の他のアプローチと互いに組み合わせて使用することができることが理解されよう。
【0055】
ここでのフローセルは、いくつかの実施例においては、「底面流れ」フローセルである。こうして、例えば、図4,6,9に示すフローセルとは反対に、フローセルはクランプ留めされ、フローセルの天井側から流体の流れが侵入し、いくつかのフローセルにおいては、フローセルの底面から流体の流れが侵入する構成とすることもできる。このような底面フローセルは、「天井流れ」フローセルの構造および構成要素に類似させることができる。いくつかの実施例においては、底面流れフローセルは、含まれる流体の死容量をさらに小さくすることができ(例えば、フローセルの末端がクランプ/マニホールドなどによって覆われないので、天井流れフローセルと比べてチャネルの長さ全体を多く使用することができる)。例えば、図44〜図49を参照されたい。
【0056】
底面流れフローセルは、クランプの代わりに真空チャッキングを介してフローセルホルダに選択的に保持され得る。そこで、真空は、適当な照射および撮像が行われるように、フローセルを装置内の正しい位置に保持することができる。図44〜図49と図9とを比較されたい。こうして、ここでのいくつかの実施例においては、フローセルおよび/またはプリズムをフローセルホルダ、XYステージなどに保持するための真空(または部分的な真空など)をつくり出す1つまたは複数の真空創出装置がさらに含まれる。
【0057】
図46に、底面流れフローセルとともに使用することができるフローセルホルダマニホールドの様々な実施例を示す。図に見られるように、フローセルに流入/通流/流出する流体は、マニホールド内の様々な枝分かれチューブを介してフローセル内の特定のチャネルへ/から導かれる。これらの実施例は、チャネルの長さ全体に亘る照射/撮像を妨げる恐れのあるフローセルの天井面のいずれも(または実質的にいずれもではない)を選択的に妨害することができない。図47は、流体弁の一例を示す。このような弁は、可動部および振動部がなく、死容量が小さい。この構成において、各々の試薬のボトル/容器は、開/閉弁を有することができる。流体を吸引した後、液溜め弁を閉じる前に空気を吹き込むことができ、それによって、試薬間の空気ギャップ弁を圧縮する。低温の試薬は、液溜めに戻すことができ、システムが停止した場合には、すべての試薬を戻すことができる。さらに、圧送/吸引ポンプ(例えば、kloehn pump)に空気噴射ポンプを組み合わせることができる。
【0058】
照射についての他のアプローチは、「トップダウン」照射を含むことができる。そのようなトップダウンアプローチは、真空チャッキング(および後述する底面温度制御)と一緒に使用されるとき、有用となり得る。これらの実施例は、フローセルの下の空間を利用することが多いので、真空チャッキングおよび底面側温度制御を用いる構成においは、(例えば、図1などに示すような)底面からの照射が問題となる場合がある。図44に見られるように、トップダウン照射すなわち側面照射は、上方からプリズム4401内に侵入し、このプリズム上にはフローセル4402が支えられている(そして真空によって選択的に保持される)。このような構成は、フローセルの撓みを防ぐことを助け、そうすることで、自動焦点合わせや平面領域での結像を支援することができ、さらに、同時読み取りなどを行う複数のフローセルを含む構成において支援することができる。さらに、図44は、ミラー4405およびマニホールド/流体コネクタ4404とともに、レーザ照射4400がプリズム中に進入する様子を示す。
【0059】
図45は、フローセル(およびフローセル中の試薬および反応)の熱力学的制御についての他のアプローチである。この態様は、このような実施例においては、読み取りサイクル中の寸法の安定性と、スキャニング緩衝液の温度制御を確保することを助ける水冷却ベンチを備え得る。熱プレートは、プリズムおよびフローセルを過ぎてマニホールドの下に延在し、一様な温度制御を選択的に助けることができる。流体は、入口マニホールドを通過する際に、選択的に予熱することができる。さらに、プリズムの天井にRTD温度フィードバックを埋め込むことにより、フローセルを所望の設定温度に保つとともに、プリズムの耐熱性効果を最小限にすることができる。
【0060】
図48は、フローセルホルダ内に複数のフローセルを有する構成を示す。図に見られるように、図48Aに示すホルダ内に4つまでのフローセルを装着することができる(または2倍の広域フローセル、例えば、各々が18〜20チャネルを有する)。ペルティエ装置または他の類似の装置は、フローセルの下に配置することができ、フローセルは、(選択的に室温に保つことができる)ホルダベンチの態様を介して、選択的に水冷却することができる。
【0061】
[ステージおよびフローセルホルダ]
例えば、フローセルおよびフローセルホルダ(または他の基材)の位置づけが行われる可動ステージによって、フローセル(及び従ってシーケンシングされる核酸)の位置づけ及び移動が制御され保証される。このような可動ステージは、レーザ照射およびチャネル内のシーケンス反応を読み取るために、対物レンズに対してフローセルを選択的に移動させることを可能にする。必要であれば、撮像サイクル中の基材の温度を制御するように、スキャニングサイクル中にスキャニングステージまたは他の部品を活発的に冷却することができる。
【0062】
図9のパネルA〜Dは、本発明のフローセルホルダの一例を概略的に示す。図9Aは、フローセルを設置する前のフローセルホルダ900を示す。図に見られるように、ホルダは、該ホルダにフローセルをしっかりと固定する調節可能な(選択的にバネで装着される)クランプ910と、流体システムの残りにフローセルチャネルを流体的に接続する(例えば、選択的にクランプ内に含まれる)1つまたは複数のマニホールドと、を備える。マニホールドは、チャネルの各々を個別に並列に接続することができる。代替的に、マニホールドは、それぞれのチャネルが単一の入口ラインを介して接続されるようにチャネルを接続することができ、この入口ラインは、各々のチャネルに並行に流れるように枝別れする、あるいは単一の流体流を形成する「蛇行」構成にすることができる。このようなマニホールドは、単一の1−8からなる枝分かれを含む構成とすることができ、または、8チャネルの各々に沿ってさらに一様な流れを与えるように(1−2−4−8からなる枝分かれを得るように)、各々の流体チャネルが2つだけに枝分かれする二元チャネルとすることができる。8通路吸引構成においては、フローセルからの「出口」マニホールドは、8個の個別のポートを備えることができ、それぞれが8通路シリンジポンプのバレルに接続されている一方で、「入口」マニホールドは、フローセルを満たすのに必要とされるチュービングの長さを短くする単一の入口チューブを含むことができる。入口マニホールドは、1−8スプリッタを含むことができ、あるいは、8チャンネルの各々に流れを一様に枝分かれさせる二元1−2−4−8スプリッタを含むことができる。図9Bは、さらに、フローセルの下側に接触するように選択的に上下に動かすことができる調節可能なプリズム920を示す。このプリズムは、TIRFが働いているときに、レーザと共に使用される。特定の実施例においては、プリズムと、一様で連続的な層に含まれるフローセルと、の間にオイル(例えば、Cargilleカタログ#19579などから調達可能な浸漬オイル)を配給し、プリズムとフローセルガラスの間の空気層を介して内部全反射をつくり出す。図9Cは、フローセル930のホルダへの取付けを示し、図9Dは、クランプおよびフローセルを固定するように低くされたハンドル/クランプ940とともに、フローセルホルダにクランプ留めされたフローセルを示す。
【0063】
フローセルおよびフローセルホルダは、可動ステージないし可動プラットホーム上に位置づけることができる。このようなステージは、X軸、Y軸およびZ軸方向に選択的に調節可能である。このことは、レーザ、カメラ、光学レンズなどに対してフローセルの高さや位置の微調整を可能にし、フローセルの表面を撮像装置の焦点に保つことを可能にする。さらに、可動ステージは、加熱/冷却部品と光学/レーザ部品との間でフローセルを前後に動かすことを選択的に可能にする(すなわち、加熱したときの酵素反応を可能にし、カメラ/レーザ部品でこのような反応の結果を定量化できるようにする)。図10は、加熱/冷却要素(左の絵)とカメラ/レーザ要素(右の絵)との間におけるフローセル1020およびフローセルホルダ1010の動きを示す。よって、x成分およびy成分は、フローセルの(例えば、数10センチメートルだけ)横方向への動きを可能にする一方で、垂直方向に高さを(例えば、数10ナノメートルだけ)調節することによって画像の焦点合わせを可能にする。代替的に、ステージは、垂直方向設定のない単純なXYステージとし、焦点が維持されるように、対物レンズをZ平面について調節できるようにしてもよい。加熱/冷却要素は、例えば、フローセルなどに近づけるように選択的に可動にできることを理解されたい。図10Aの左側の絵(加熱/冷却装置が上げられた)と図10Aの右側の絵(加熱/冷却装置が下げられた)とを比較されたい。
【0064】
図10Aは、加熱ステップの前および加熱ステップ中であることを示す。(ファン1001、ヒートシンク1002およびヒータユニット1003を備える)ペルティエ装置1000は、XYステージ1050上に設置されたフローセル1020およびフローセルホルダ1010と接触するように垂直方向に動く。チューブ1040を介してフローセル内に試薬が導入される。フローセルは、撮像のためにカメラ1030の下の位置に移動させることができる。図10Bは、撮像位置にある装置を概略的に示し、ペルティエ装置1070(ファン1071、ヒートシンク1072およびヒータ1073を有する)は、高い位置にあり、フローセル1085およびステージ1086は、光ファイバマウント1090の隣かつ対物レンズ1080の下に位置づけられている。この光ファイバマウントは、Zステージ1075に接続され、対物レンズ1080の高さを制御する。フローセルは、マニホールドレバー/ハンドル1095によって、フローセルホルダ上の所定の位置にクランプ留めされる。
【0065】
追加的に、ここでの様々な構成要素(例えば、レーザ部品、加熱/冷却部品など)が、足場材、シャーシないしフレームワークに典型的に配置され、機器を全体的または部分的に閉じ込めるように、ハウジング内に選択的に閉じ込められている。このようなフレームワークおよび/またはハウジングの特定の構成は、様々な実施例において、例えば、特定の部品やその寸法などに基づいて選択的に異なる。しかし、典型的な実施例においては、フレームワークは、様々な部品を固定して特定の位置および方向に保持するとともに、必要な部品の動きを選択的に支援することができる。フレームワークは、機器および様々な部品の内部振動を防ぐように十分に強固にするべきである。例えば、モードスクランブラは、撮像中のフローセルの振盪を防ぐように、動きが制振されるとともにステージから振動的に隔離され得る。図11Aは、カメラ(1100)、加熱/冷却部品1110、フローセルおよびフローセルホルダ(図8と比較)、および可動ステージ1120を保持するフレームワークの一例を概略的に示す。様々な部品を一体に結びつけることを助けるフレームワークや据付けの追加的な態様と、様々な整列および据付けピン/位置を含む装置/システムの態様とは、レーザ部鉛直調節部品1165およびフローセル水平調節部品1175に用いる軸受の摺動を示す図11Bに見ることができる。図12に、ハウジング用の外部カバー(スキン)を含む他のフレームワークやハウジングを、コンピュータモニタ1201とともに示す。
【0066】
[励起および観測]
ここでのいくつかの実施例においては、固有の蛍光体を有する固有の核酸塩基の取り込みは、レーザ励起およびカメラ観測によって追跡される。様々な実施例において、レーザ部品における内部全反射(TIR)を用いて照射が行われる。ここでの「TIRFレーザ」、「TIRFレーザシステム」、「TIRレーザ」および他の類似の用語は、例えば、LED、ハロゲンおよびキセノンアークランプのような光源(これらのすべては、ここにおけるTIRF、TIRFレーザおよびTIRFレーザシステムなどの本記述にも含まれる)からのレーザ励起または他の種類の非レーザ励起を使用する検出機器/システムに基づくTIRF(内部全反射蛍光体)にも言及している。従って、例えば、「TIRFレーザ」は、TIRFシステムで使用されるレーザであり、「TIRFレーザシステム」は、レーザを使用するTIRFシステムである。しかし、ここでのTIRFシステムは(レーザの使用を含むことに関して記述される場合などにおいても)、励起源に基づく非レーザを備えるTIRFシステム/機器を含むことをさらに理解されたい。当業者であれば、TIRFシステムの異なる態様や一般の使用について十分に認識されるであろう。様々な実施例において、カメラ部品は、CCDカメラからなる。いくつかの実施例において、レーザは、個別に50mWから500mWに変調された二元の固体レーザおよび/または半導体レーザからなり、これらのレーザは、TIRFプリズムに結合され、選択的に532nmおよび660nmの励起波長を有する。2つのレーザのフットプリントが基質の同じ領域に焦点合わせされること(すなわちオーバーラップ)を保証するように、光ファイバを介して機器内にレーザを結合させることができる。
【0067】
[モードスクランブル]
ここでの様々な実施例においては、(1つまたは複数の)レーザないし他の(1つまたは複数の)励起源がサンプルを照射する領域(この照射領域は、「フットプリント」と呼ばれる)は、一般に、平面かつ一様であることが望ましい。ここでの装置/システムは、多くの実施例において、照射される基材表面(例えば、フローセルの表面)などにレーザから平坦プロファイルつまり平頂プロファイルの照射フットプリントを生み出すように、マルチモードファイバの特質を利用して、すべての光モードがほぼ等しい振幅でコア内を伝播されるようにする。しかし、このようなファイバ内に存在する有限数のモードは、互いに強め合ったり弱め合うように干渉することがあり、レーザ(または他の光線)の強度プロファイルに極小値および極大値をつくり出す。例えば、図33Aおよび図34Aを参照されたい。これらの図は、マルチモードファイバからの不正確な出力から生じる極小値/極大値を示す。この問題を改善するために、ここでのいくつかの実施例では、例えば、波長板を使ってのビーム変調によって、あるいは、照射ビームを運ぶファイバの1つまたは複数の領域を振盪する、絞る、または圧縮することによる動的モードスクランブルを使用することによって、照射ビーム内の反射率を一定の割合で変化させ、ほぼ一様なフットプリントをつくり出す。こうして、本発明のいくつかの実施例においては、1つまたは複数の領域で照射ビームのモードを動的にスクランブルすることによって、例えば、ビームを運ぶファイバをその長さに沿った1つまたは複数の領域で、絞る/圧縮することによって、ほぼ一様な平頂出力(すなわち、レーザまたは光源からのほぼ一様な照射/励起フットプリント)をつくり出す。図33および図34は、ここで説明するモードスクランブルの様々な実施例を集約する。以下を参照されたい。
【0068】
[動的モードスクランブルおよび低損失ビームの成形]
ここでの装置は、いくつかの実施例においては、「平頂」照射(例えば、図35に示す特定の照射フットプリント全体に亘る一様な照射又はほぼ一様な照射)を生成する(1つまたは複数の)部品を備える。これらの実施例は、1つまたは複数のモードの照射を伝達する媒体(例えば、ファイバ)内で反射率を動的に変化させる1つまたは複数の態様を含む。例えば、反射率の連続的な変化を引き出すように、その長さに沿って様々な位置でファイバを絞ることができる。Step Index Fiberなどのファイバをそのように絞ることによって、ファイバ内のモードを空間的/一時的にスクランブルさせ、その結果、出力照射の所望の積分時間に亘って十分なオーバーラップを生じさせることができる。ここでも説明するように(以下を参照)、ファイバを振盪させる、回転させる、または他の方法で物理的に変形させることによって、ファイバを通過する光学経路を変えることができる。
【0069】
概して、ファイバ内のモードの動的スクランブルにより、ユーザが確定した最小の積分時間に亘って空間的に一様な照射が行われることを可能にする。そして、この一様な照射は、生じるビーム中に明暗のパターンを生み出してしまう単色光伝播モードの干渉がマルチモードファイバ内で発生しないようにする。そのようなモードを上記最小の積分時間に亘って消失させることで選択的に十分となる。従って、いくつかの実施例においては、例えば機械的手段で、時間変化する曲率および屈折率をファイバに導入することによって、照射ビーム内のこれらのモードの相対経路長は、急速に変化する。動的モードスクランブルのいくつかのパラメータは、選択的に変えることができ、または異なる構成の範囲を含むことができる。いずれにせよ、一般に、動的モードスクランブルは、最終的な照射フットプリントを平均化する1つまたは複数の態様/部品を使用して、照射ビームの反射率を動的に変えることができる。現在の屈折光学素子の多くは、入力ガウスビームを要求し、現在の回折光学素子の多くは、波長に依存するが、提示する実施例においては、ガウスビーム入力を要求することなく、しかも波長に依存しない。
【0070】
様々な実施例において、ここでの装置/システムは、シーケンシング反応などの励起/測定のために一様な照射フィールドを要求する。従って、マルチモードファイバ内の単色光伝播モードの干渉から生じる不均等な明/暗パターンは、一般には、望ましくない。(撮像中のカメラによる捕捉時間のような観測期間に亘って)光の統合を可能にするように、照射フットプリントの全体に亘って光出力を平均化することは、明/暗パターンが「消失する」つまり平均化されることを意味し、これによって、基材上の各々の蛍光体で見られる励起強度が一様になる。
【0071】
基調をなす動的モードスクランブルは、ある時間に亘って(例えば、ある時間に亘ってファイバを物理的に絞ることによって)光ビームの点つまり節点における屈折率を一定の割合で変化させることであり、これによって光がスクランブルされて異なる経路を通り、照射フットプリントにおける光出力が平均化される。従って、入力ビームの屈折率の変化に伴って、干渉が極小となる位置および極大となる位置が変化する。画像捕捉時間よりも速い周波数で屈折率が変化する場合、観測の時間スケール内に空間的に一様な像をつくり出すことができる。
【0072】
本実施例は、入力モードすなわち出力に対するモードのランダム化と言われることが多い「モードスクランブル」の一般的な利用と混乱されるべきではないことを理解されたい。
【0073】
本実施例の動的モードスクランブルは、特定の形状のコアを含むファイバと共に使用することにより、ビーム成形をして一様に照射することができる。例えば、四角いコアを使ってファイバを絞ることにより、四角いビームが一様に照射される。このビームは、特定の軸に沿って成形することにより長方形や楕円形の形状にすることができ、ビームは、結像面に当たるときに正方形や円の形状で撮像される。図17〜図18を参照されたい。例えば、図34に示すように、光ファイバから長方形ビームを発生させることができる。
【0074】
図35は、様々なレーザ、ファイバおよびモードスクランブルの態様などからの光出力を示す。装置の作動中に、ファイバの端部は、ビームプロファイラ上に再結像された。図35は、例えば、圧電アクチュエータを使って、1つまたは複数の節点でファイバを操ることによる動的モードスクランブルの効果を示す。この図は、各レーザの形式などについて、モードスクランブルが「オフ」であるときの光出力に対して動的モードスクランブルが「オン」であるときの光出力を示すことによって、様々なビーム成形器(長方形および円形の2つのバージョン)との関連で異なる波長のレーザ(例えば、532nmや550nm)や異なるレーザ時間(固体およびダイオード)からの画像を比較し、これによって、例えば、圧電アクチュエータを使って、1つまたは複数の節点でファイバを操ることによる動的モードスクランブルの効果を示す。
【0075】
従って、装置の一実施例においては、静的モードスクランブラの反対のものとして動的モードスクランブラを備え得ることを理解されるであろう。動的モードスクランブルは、所望の積分時間に亘ってモードをオーバーラップさせるような屈折率の動的変化である。屈折率は、1つまたは複数の位置(節点)において一定の割合で変化する。例えば、照射を伝達するファイバは、ある点において一定の割合で絞られるとともに、強度が変化する(例えば、零の絞りから最大の絞りまで、そしてその逆もある)。ファイバは、このような絞りによって一時的に変形させることができ、ファイバの形状は、円から楕円そしてまた円などと変化し、これが、屈折率を変化させ続ける。絞りを止めると直ぐにモードスクランブルが停止する。
【0076】
フットプリントの照射出力を平均化する効率は、画像を捕捉する距離、屈折率の変化の程度、光源の種類/強度などに依存する。従って、これは、ユーザ制御可能な変数であり、必ずしも制限的なものではない。ユーザは、スクランブルの程度を選択的に制御し、フットプリントにおける光出力の平均化を微調整することができる。
【0077】
従って、光出力の平均化に要する時間は変数として測定され、この時間は、例えば、光出力によって照射される領域(例えば、ここでのいくつかのシーケンシングの実施例におけるフローセル上のタイル(特有の画像捕捉領域))に画像が捕捉される時間とすることができる。いくつかの実施例においては、スクランブル効率についての時間は、カメラ(例えば、ここでの特定のシーケンシングにおけるCCDカメラ)によって捕捉される各画像の露光時間に等しいか或いはほぼ等しい。このような露光時間は実施例ごとに異なり、実施例の特定の要求に依存して、例えば、1ミリ秒未満〜1時間以上となり得ることを理解されたい(例えば、少なくとも1,5,10,25,50,100,250,500マイクロ秒またはそれ以上、少なくとも1,5,10,25,50,100,250,500ミリ秒またはそれ以上、少なくとも1,5,10,25,50,100,250,500秒またはそれ以上など)。ここで説明したシーケンシング反応については、撮像時間は、1回の露光当たり50〜500ミリ秒のオーダとすることができる。
【0078】
様々な実施例において、本発明の動的モードスクランブラは、これが使用される全体的なシステムに拘わらず、様々な光源/光の種類、様々なビーム媒体、屈折率を変化させる様々な方法を用い、屈折率を変化させる節点を様々な数として使用することができる。
【0079】
動的モードスクランブルは、使用される特定の光/照射によって制限されない。従って、例えば、ここでの多くの実施例においては、特定の波長(例えば、532nmおよび/または660nm)のレーザを選択的に使用することができ、他の実施例においては、全体的に異なる波長の照射を使用することができる。動的モードスクランブルと共に使用するレーザは、例えば、可視光レーザ、赤外線レーザ、狭帯域化レーザ、広域線幅レーザなどとすることができる。ここでも特定のレーザの波長が述べられているが、これらの列挙は、必ずしも限定的なものではない。使用される様々なレーザの型式/強度の各々に応じて他のパラメータを選択的に調節することにより、ほぼ一様な照射が実現されることが理解されよう。例えば、屈折率が変化する節点の数、および/またはこれらの節点における屈折率の変化は、異なる光源についてフットプリントに同程度の一様性を実現するために選択的に異なる。
【0080】
さらに、ここでの例は、概して、光ファイバライン内のモードスクランブルに対処しているが、ガラス、プラスチック、光ファイバ以外のライン、空気、真空などを通過して伝達される光に対して動的モードスクランブルを選択的に使用してもよい。従って、動的モードスクランブルは、光を伝達する媒体によって限定されない。ここでも、伝達媒体の違いは、ほぼ一様な出力を実現するのに必要とされるモードスクランブラの他の態様における違いと選択的に一致し得る。例えば、空気/真空(すなわち、ファイバなどの内部に含まれるものがない)を介して伝達される光については、屈折率は、輸送媒体中の種々の力学的変化よりも温度変化によって選択的に変化する/異なる率となる。
【0081】
屈折率は、いくつかの手段を介して選択的に変化し得る。例えば、上記のように、ケーブル/ファイバを介さずに空気/真空中を横切るように光が伝達されるとき、光ビームの屈折率は、温度変化によって変わり得る。従って、1つまたは複数の加熱器/冷却器を使用して、光ビームの1つまたは複数の節点の温度を変えて屈折率を変化させることができる。ファイバ/ケーブル内を進行するビームについては、屈折率を異なる率にするためにファイバの物理特性を変化させることができる。例えば、それらの点における屈折率を異なる率にするように、1つまたは複数の節点において、ファイバが物理的に曲げられ、振盪され、捻られ、絞られ、圧縮され、引っ張られ、または加熱/冷却される。ファイバとの物理的相互作用は、(例えば、ローラ、ピンチャなどを介して、および/または(例えば、General Photonics社(カルフォルニア州チノー所在)から調達可能なファイバと同様な)ファイバを絞る圧電アクチュエータを介して)実際の機械的操作によって行うことができる。一般に、屈折率を変化させるために種々の方法が使用される。
【0082】
屈折率を変化させる様々な方法に加え、屈折率の変化の割合や節点の数なども、選択的に異なる。こうして、いくつかの実施例において、動的モードスクランブルは、照射ビーム上に1つまたは複数の節点(すなわち、屈折率が変化する領域)を含むことができ、この節点は、光ビームに沿って、固定/静止させることができ、或いは動かすことができる。一般に、節点の数が増えるほど、数多くのスクランブルが発生するが、これに制限されない。同様に、複数の節点について、屈折率の変化は、互いに同期していないことが望ましい(すなわち、屈折率の変化は、ランダムであることが望ましい)。
【0083】
図33〜図35は、様々なファイバの形状と様々な光源を使ってモードスクランブルさせる例を示す。画像に見られるように、振動ファイバまたは絞りファイバを使って動的モードスクランブルが実行されるとき、ほぼ一様な「平頂」照射が実現される。これらの図は、コアが成形されたファイバを使用することにより像を成形できることをさらに示す。図33は、スクランブルのなかったビーム出力(A)を、ビーム出力との比較で示し、このファイバは、例えば、Point Source社(英国ハンブル所在)からのMKIII MSを使用して振盪されたもの(B)、例えば、Point Source社のMKIV MSを使って振動されたもの(C)、例えば、1つまたは複数の圧電スクイーザ/コンプレッサを使用して絞られたもの(例えば、1つの節点当たり約500〜600Htzで6回に亘って絞られたもの)(D)を示す。図33に示す結果は、すべて同じファイバおよびレーザの型式(例えば、15ミクロンのステップ率のファイバおよび532nmの固体レーザ)を使って実行されたものである。長方形コアのファイバについて、同様の結果を図34A〜図34Dに示す(スクランブルされなかったもの(A)、振盪されたもの(B)、振動されたもの(C)または絞られたもの(D))。図34における例は、すべて同じファイバ/レーザの型式を使って行われたものである。図35は、様々なレーザ源およびスクランブル手順についての類似した結果を示す。よって、図35において、それぞれのパネルは、長方形のコアファイバ内の660μmの波長のダイオードレーザを使ってモードスクランブルのない場合(A)、同じファイバを使って動的モードスクランブルがある場合(B)、532μmの波長の固体レーザを使ってモードスクランブルがない場合(C)、同じファイバを使って動的モードスクランブルがある場合(D)、660μmの波長のダイオードレーザ(第2の長方形)を使ってモードスクランブルがない場合(E)および同じファイバを使って動的モードスクランブルがある場合(F)、532μmの固体の第2の長方形ファイバを使ってスクランブルがない場合(G)および動的モードスクランブルがある場合(H)、660μmのダイオードレーザ(円形)を使ってモードスクランブルがない場合(I)と動的モードスクランブルがある場合(J)、532μmの固体レーザを使ってモードスクランブルがない場合(K)と動的モードスクランブルがある場合(L)、にそれぞれ対応する。
【0084】
[低損失のビーム成形器]
ここでのいくつかの実施例において、正方形レーザビームまたは長方形レーザビームなどの特定のビーム形状が選択的に使用される。このように成形された照射によって、効率的な露光および(核酸のサンプルなどを含む)表面を覆うタイリングを行うことができ、これによって、ここでの様々な装置における配列決定能力をさらに向上させることができる。このことは、正方形ピクセルでCCDデバイスを使って撮像する場合に有利となり得る。その理由は、画像捕捉領域の外側の領域への照射を避けるとともに、光脱色を避けるように、照射フットプリントないし結像領域をタイリングすることができるからである。
【0085】
ここでのいくつかの実施例においては、ビームを成形するマスクを使用する代わりに、サンプル表面にマスクを再結像させ(これは、マスクの外側のエネルギを選択的に浪費させることができる)、正方形または長方形(または他の形状の)コアファイバ内にレーザが結合されるようにする。従って、すべての利用可能なレーザ出力が、効率よく照射に使用される。このように成形されたファイバの十分な長さを進行する伝播は、効率よくコアを満たして、所望のように照射を成形する。そして、このファイバの末端は、サンプル(例えば、フローセル基材)上に再結像させることができる。特定の実施例においては、ファイバからの照射のこのような再結像は、一般に、スクランブルおよび/またはビーム成形から実現される平頂プロファイルおよび/またはビーム成形を実質的に阻害しないことが望ましい(ビームが成形されていない場合やスクランブルされていない場合にもビームを歪ませてしまうことがある)。従って、再結像の態様(例えば、(1つまたは複数の)レンズなど)は、実現されたプロファイルを歪ませないように、さらにフローセルへの光出力を正確に拡大することなどを選択的に行うように、適切に選択される。特定の実施例においては、再結像は、非染色性を選択することもできる(すなわち、どの波長の光を使っても機能する)。いくつかの実施例においては、再結像部品は、フローセルの特定の領域に照射ランドを正しく有するように、該再結像部品をわずかに動かすことによって「ピストン運動される」ようにすることができる。
【0086】
このような実施例における照射の一様性は、成形されたファイバ内に発射され、ファイバの長さに沿って結合されたビームの条件によって選択的に制御することができる。照射の一様性は、成形されたファイバ内のモードを動的にスクランブルすることによって、選択的に向上させることができる。例えば、成形されたコアファイバを様々な位置で連続的に絞る装置を使用する(上記を参照)。サンプル表面に送られるビームの範囲は、結像レンズによって選択的に操作することができる。
【0087】
図34および図35は、長方形コア光ファイバを使用したときの結果を示す。このファイバの末端はビームプロファイラ上に再結像された。ビームプロファイルからの画像は、鉛直方向および水平方向に一様に照射される所望の長方形ビームを示す。
【0088】
動的モードスクランブルおよび/またはビーム成形システムは、SBS読み取り装置内のフローセルチャネル(または他の基材)の低位置の表面に向けて、ほぼ一様な、波長切換え可能なエバネセントビームを発生させて送る部品を備える。これらの部品は、SBSシステム(例えば、上記に示した様々な光学部品など)全体における様々な他のモジュール/部品と相互作用し、1つまたは複数のコンピュータ部品を介して制御/指向され得る。
【0089】
本発明の動的モードスクランブルおよびビーム成形の実施例が、核酸シーケンシングシステム(例えば、ここで説明した合成装置による様々なシーケンシング)を含み、これらのシステムとの相互作用に関して全体的に記述されている場合にも、当業者であれば、そのような実施例が他の使用/システムに広範囲に適用できることを理解されるであろう。従って、動的モードスクランブルは、マルチモード光ファイバの光モードを混合するように照射ビームの屈折率を動的に変える1つまたは複数の態様を含む多様なシステムに含まれて、(例えば、カメラの画像捕捉時間などの)所望の時間フレーム内にほぼ一様な画像または出力を生成することができる。
【0090】
動的モードスクランブルは、プレートまたはマイクロアレイまたはこれの類似物上の蛍光を追跡するようなシステムと共に選択的に利用することができる(すなわち、シーケンシング反応の追跡を含まない使用)。
【0091】
[波長板を使用するモードスクランブル]
ここでのいくつかの態様においては、本発明は、波長板を使用することによってマルチモード光ファイバ内の光モードを混合するシステムを備える。このようなシステムは、光源(例えば、レーザ)を備え、この光源から送り出された光が、マルチモード光ファイバ内を通過し、さらに選択的に少なくとも1つの波長板を通過し、さらに選択的に(1つまたは複数の)再結像レンズおよびプリズムを通過して、基材(フローセル)に到達する。このようなシステムの波長板は、「回転している」波長板とすることができる。いくつかの実施例においては、波長板が実際に様々な回転速度で物理的に回転するが、液晶の波長板などを使用する他の実施例においては、プレートが「回転し」、液晶にかかる電圧を変えることによってプレートを通過する光を偏光させる。いくつかの実施例においては、波長板は、異なる方向に偏光を回転させるように指向されたリターダ区間を2つ以上含む。典型的な実施例においては、ファイバからの光出力は、所定の時間に亘って、表面上にほぼ一様な光出力を備える。ここでの様々な実施例において、表面への光出力は、1つまたは複数の回転波長板を備えていないマルチモード光ファイバからの出力と比較して、極小強度および極大強度がともに小さい。
【0092】
他の態様においては、本発明は、マルチモード光ファイバを介しておよび1つまたは複数の回転波長板を介して光源(例えば、レーザ)から光を送ることによって、所定の時間内に、マルチモード光ファイバからの光出力を均等化して表面全体に照射する方法を含む。いくつかの実施例においては、表面への出力は、1つまたは複数の回転波長板を備えていないマルチモード光ファイバからの出力と比較して、極小強度および極大強度がともに小さい。いくつかの実施例においては、波長板は、実際に様々な回転速度で物理的に回転するが、液晶の波長板を使うような他の実施例においては、プレートが「回転し」、液晶にかかる電圧を変えることによってプレートを通過する光の偏光を変化させる。いくつかの実施例においては、波長板は、様々な方向に偏光を回転させるように指向されたリターダを2セクション以上含む。
【0093】
ここでのいくつかの実施例に使用される「波長板」(つまり遅延板ないし位相差板またはこれらの類似物)は、光が通過するときの光線の速度を変化させる光学デバイスを指す。波長板は、典型的には、複屈折性結晶からなる。いくつかの実施例においては、液晶の波長板とすることができる。
【0094】
上記に示したように、特定の実施例においては、レーザまたは他の励起源を含み、サンプルの照射(このときの照射領域は、「フットプリント」と呼ばれる)は、空間的に平坦で一様である。ここでの光学機器は、マルチモードファイバの特性を引き出し、フットプリントに平坦プロファイルつまり平頂プロファイルをつくるほぼ等しい振幅で、すべての光モードがファイバのコア内を伝播できるようにする。このようなファイバ内に存在する有限数のモードは、互いに強め合ったり弱め合うように干渉することがあるので、レーザ(または他の光)の強度プロファイルに極小値および極大値をつくり出す。いくつかの実施例においては、一様なフットプリントをつくり出すために、カメラが画像を捕捉するときの露光時間よりも短い時間スケールでファイバを物理的に振盪させる(この振盪が、極大強度および極小強度を平均化して一様な平頂フットプリントをつくり出す)。この振盪は、ファイバを回転および振盪させるためにオフバランス直流モータを必要とすることがあり、その場合に、望ましくない騒音および振動を発生させてしまうことがある(その場合に、撮像の問題が生じないように制振する必要がある)。オフバランス直流モータは、バランスモータと比べて、失敗間の平均時間が短いので、ここでの振盪は、信頼性を低下させる恐れがあり、さらには、ファイバに物理的な磨耗を増やしてしまう恐れがある。これらの要因から、機械的振動を使わず(パーツを動かさない場合を含む)に波長板を使うことによるマルチモード光ファイバ内におけるモード混合の方が有利となる場合がある。
【0095】
本発明の一実施例においては、回転しているλ/2波長板(遅延板)を使ってマルチモード光ファイバのモードを混合することによってほぼ一様な平頂ビーム(すなわち、フットプリントの照射/励起領域)を生み出す。空間的なモードの実態は、入力光の偏光の状態に依存する。偏光が変化するにつれて、空間的な実態も変化する。従って、入力ビームの偏光が変化するにつれて、干渉が極大となる位置および極小となる位置が変化する。画像捕捉時間よりも速い角周波数で波長板が回転する場合、観測の時間スケール内に、空間的に一様な画像をつくり出すことができる。こうして、特定の実施例において、特定の時間をかけて、波長板は1つまたは複数の回転を完成する。この時間は、例えば、光出力によって照射される領域(例えば、ここでのシーケンシングのいくつかの実施例においては、フローセルの基材の領域)の画像が捕捉される時間に等しい。従って、いくつかの実施例においては、この時間は、カメラ(例えば、ここでの特定の実施例におけるCCDカメラ)で各画像を捕捉するときの露光時間に等しいか又はほぼ等しい。このような露光時間は、実施例ごとに、例えば、1ミリ秒未満〜1時間以上(例えば、少なくとも1,5,10,25,50,100,250,500またはこれより長いμ秒数、少なくとも1,5,10,25,50,100,250,500またはこれより長い秒数など)に、実施例の特定の要求に応じて変えることができる。ここで使用されるカメラについては、露光時間を50〜500ミリ秒とすることができる。いくつかの実施例においては、波長板は、上記の全回転の所要時間よりも短時間または長時間の所要時間で回転させることができ、その場合に、いくつかの実施例においては、エイリアシングが発生する恐れがある。
【0096】
多くの方法で偏光を回転させることができるが、典型的な実施例においては、波長板を回転させる。ここでの特定の実施例においては、適当なハウジング内のλ/2波長板(図38の波長板3800を参照)が、適当な直流モータなどによって回転され、適当な画像捕捉時間に空間的にほぼ一様な画像をつくり出せるほど速い速度で動作する。他の実施例においては、指向された波長板のいくつかの扇部ないし小さなピースからなる(1つまたは複数の)修正された波長板を備え、これらの速軸は様々な指向されている(図39の波長板3900を参照)。これらの扇部が様々な様式/量で偏光を回転させるので、さらに急速なモードの混合が発生することがあり、直流モータは、選択的に、いくつかの扇部を有する実施例ほど速くは回転しない。しかし他の実施例においては、液晶などの他のデバイス(コロラド州フレデリック所在のMeadowlark Optics社製のデバイスなどがあるが、これに限定しない)を使用して、レーザの偏光を回転させることができる。このような液晶を使用してデバイスにかかる電圧を変化させることによって、偏光を回転させることができる。
【0097】
図40は、本発明の装置の一実施例を概略的に示す。図40においては、ダイオード圧送の固体レーザ(4200)から線形に偏光された光4100(200mW,532nm)は、いくつかの光学(OD)フィルタを使って減衰される。ビームの強度は、λ/2波長板4900(例えば、Casix、Fuzhou、Fujian、中国)および偏光ビームスプリッタキューブ4300(例えば、ニュージャージー州ニュートン所在のThorlabs社製)によってさらに制御される。様々な実施例において、全体的なレーザ強度は必要ではなく、従って、説明した例においては、わずか約0.1μWだけが使用される。波長板4900の回転によって、偏光を一定に保ちつつ、入力レーザのエネルギを精密に制御することができる。このビームは、次に第2のλ/2遅延波長板4400を通過し、2つの鏡4500,4600によって案内されて、顕微鏡の対物レンズ4700(例えばニコン、20倍レンズ 開口数0.3)内に侵入する。この顕微鏡の対物レンズは、マルチモード光ファイバ4800、200μmコア、0.22NA(例えば、カナダ国オタワ所在のOZ optics社)によって許容される要求寸法にビームを低減する。示した実施例におけるファイバの端部出力は、CCDカメラ4905(例えば、アリゾナ州トゥーソン所在のPhotometrics社製Cascade512)のチップ上に直接的に結像される。示した実施例においては、カメラはフレーム転送モードで作動され、ここで説明したようなビームプロファイルを捕捉するためには100ミリ秒の露光が適当であった。
【0098】
様々な実施例において、本発明は、使用される全体のシステムに依らず、様々な波長板(例えば、種類、配置、構成、構造などに関して異なる)、様々なミラーおよび様々なビームスプリッタ(例えば、種類、位置、角度などに関して異なる)を備え得る。このように、様々な実施例において、例えば、λ/2波長板、λ/4波長板(例えば、入力偏光が円形のとき)、および他の特定のλ/n遅延波長板などを備えることができ、さらに様々な構成において、少なくとも1つの波長板、少なくとも2つの波長板、少なくとも3つの波長板、または少なくとも5つまたはそれ以上の波長板を備えることができる。本発明の波長板は、その構造が必ずしも限定されない。従って、ここでは、固体結晶(例えば、結晶石英または種々の他の適当な基材)および液晶の波長板を含む。
【0099】
本実施例は、核酸シーケンシングシステム(例えば、ここに記述したような合成装置による様々なシーケンシング)を含み、このシステムに関わる相互作用について一通り説明しているが、当業者であれば、本発明は広範囲に亘る他の使用/システムにも適用可能であることを理解されるであろう。ゆえに、この実施例は、所望の時間フレーム(例えば、カメラなどによる画像捕捉時間)内に、空間的にほぼ一様な画像つまり出力をつくり出すようにマルチモード光ファイバの光モードを混合する1つまたは複数の波長板(典型的には、回転している)を備えるシステムを含み得る。本発明の波長板の態様は、プレートまたはマイクロアレイなどの上で蛍光を追跡する(これは、シーケンシング反応ではない)ようなシステムにも選択的に使用される。使用されるシステムに応じて、波長板の態様は、ファイバの光モードを1つまたは複数の(典型的に回転している、さらには画像捕捉時間または所望の時間フレームよりも速い速度で典型的に回転している)波長板に通過させることによって、所望の時間フレーム内にマルチモード光ファイバからほぼ一様な画像つまり出力を生み出す方法をさらに含み得る。
【0100】
このような実施例におけるカメラの露光から得られた様々な画像を図41に示す。図41Aは、一回の露光後に明暗のピクセルが明確な領域を示す。マルチモード光ファイバ内に存在する様々なモードの強め合いや弱め合いの干渉から、明/暗の画像が生じる。波長板を回転することによって、図41Bの一連の画像に示すような明暗領域の空間的再配分が生じる。これらの図において、各々の画像は、互いに異なる波長板の設定で撮られたものである。上述したように、画像捕捉時間よりも波長板が速く回転する場合、空間的プロファイルが平均化され、画像が一様に補整される。そのような一様な補整は、多くの画像を撮ってそれらの画像を平均化したものと比較することができる。図41Cおよび図41Dは、それぞれ、単一の画像をスペクトラム線輪郭で示し(41C)、54枚の画像の平均に関連するスペクトラム線輪郭で示す(41D)。図42は、(1つまたは複数の)波長板を使用することによってつくり出されたほぼ一様なフットプリントを示す。
【0101】
撮像フットプリント上で光ビームが一様であることを保証する他の方法としては、ソレノイドを使用すること、ファラデーセルまたはポッケルスセルを使用して電界中ないし磁界中で光ビームを回転させること、ディフューザを通過した後の光を再結像させること、などがある。ディフューザは、ホログラフィックディフューザとすることができ、このホログラフィディフューザは、光波を重ねて所望のビーム形状を生み出すように、ファイバの端部で(ファイバが接続されている場合)、あるいはレーザの位置で(ファイバがない場合)、発生する光波を重ね合わせる。一例としては、ガウスビームを平頂ビームに変換するsinc(x)^2(sincは、sin(x)/x)の強度プロファイルを有するディフューザがある。
【0102】
ここでの様々なモードスクランブルの態様は、1つまたは複数のコンピュータを介して選択的に制御/操作することができ、典型的には、(さらに典型的には、ここでのコンピュータの態様によって)光照射部品および光検出部品と協調/同期化される。
【0103】
[蛍光を検出する装置]
蛍光を検出するためのデバイスは多くあり、例としては、フォトダイオードおよびカメラなどがあり、これらは、本発明の(1つまたは複数の)検出部/検出部品となり得る。ここでのいくつかの実施例においては、検出部品は、8μmピクセル1024×1024後方間引きCCDカメラのような1メガピクセルCCDに基づいた光学撮像系とすることができ、この光学撮像系は、0.5mm×0.5mmのレーザスポットサイズ(例えば、正方形スポットまたは直径0.5mmの円スポットまたは楕円スポットなど)を使用して、0.33mm×0.33mm/1タイルの領域を40倍の拡大率で選択的に撮像することができる。このカメラは、選択的に100万ピクセル以上または以下のピクセル数のカメラとすることができ、例えば、4メガピクセルのカメラを使用することができる。多くの実施例において、カメラの読み出し速度をできるだけ速くすることが望ましく、例えば、転送速度を10MHzまたはこれよりも速くし、さらには20MHzまたは30MHzとすることができる。ピクセル数を大きくすることは、一般に、撮像面の領域が大きくなることを意味し、これによって、一回の露光で同時に、さらに多くのシーケンス反応を撮像できることを意味する。また、ステージの移動およびフィルタホイールの要求変化が小さくなるという利点があり、撮像速度を速めることに寄与する。特定の実施例においては、ここでのCCDカメラ/TIRFレーザは、1600タイル/1サイクルを識別するために、約6400枚の画像を集めることができる(所定の位置に選択的に異なるフィルタを使って、4色の異なる色で選択的に撮像されるので)。1メガピクセルCCDについては、いくつかの画像が、約5,000〜50,000のランダムに配置された独特の核酸クラスタを選択的に含み得る(すなわち、フローセル表面上の画像)。図29に示すように、単位領域(または1画像)当たりの解像可能なクラスタの理論密度はクラスタの寸法に依存し、図29は、1メガピクセルの画像において、全クラスタ数および最小クラスタ領域の関数として検出されるクラスタの数を示す。4色について1タイル当たり2秒間の撮像速度で、25,000クラスタ/1タイルの密度である場合に、ここでのシステムは、1時間当たり約4,500万の特徴部を選択的に定量化することができる。さらに速い撮像速度でさらに高密度のクラスタにおいては、撮像速度を著しく向上させることができる。例えば、20MHzのカメラの最大読み出し速度で、20ピクセルごとに1クラスタが解像される場合に、読み出し速度を100万/秒とすることができる。1つのカメラより多くのカメラを有するように機器を構成することができる。その場合には、光を分割して2つのカメラに同時に2色を結像させることができ、さらには4つのカメラに4色を結像させることができる。4つのカメラを並列に使用することによって、100万塩基/秒(864億塩基/日)のシーケンスを行うことができる。
【0104】
2つのカメラシステムに対して光信号を分裂させるために2つの方法がある。2つのレーザを使う場合、赤色励起および緑色励起が生じ、半分に分割された発光が各カメラに向かう。代替的に、両方のレーザを両方の照射サイクルに使用することができ、光は、適当なダイクロイックミラーを通過して、一方に赤い光を送り、他方に緑色の光を送ることができる(図36)。このようなシステムは、ビームの分割に関連する信号の損失を回避するが、強度が記録される前に、これら2種類の色素がレーザに晒されることを意味する。いくつかの実施例においては、例えば図36に示すような励起ブロッカは、二元ノッチフィルタ(例えば、532nmおよび660nm)からなり得る。2つの検出カメラ3700および2つの流体システム3701(および2つのフローセル3702)を有する機器を図37に示す。
【0105】
ここでの「タイル」は、基材表面上にマッピングされた画像の寸法に関数的に等しい。タイルの寸法は、カメラのピクセルの数および寸法と、所望のレベルの拡大率と、に大きく依存するが、例えば、0.33mm2,0.5mm2,1mm2,2mm2などとすることができる。また、タイルは、レーザ(または他の光源)からの照射フットプリントと等しい寸法または形状であれば、光退色を最小にすることが望ましい場合には有利となり得るが、必ずしも等しくする必要はないことを理解されたい。
【0106】
上記のように、ここでの様々な実施例において、カメラ/レーザシステムは、4種類の異なる蛍光体色素(すなわち、フローセルに加えられる各ヌクレオチドの塩基の種類に対応する色素)から蛍光を集める。SBSシーケンシングの他の態様に関する追加的な材料およびこれに関する他の概念は、出願者が同時係属中の出願(例えば、国際公開04018497号パンフレット、国際公開040184893号パンフレットおよび米国特許7057026号明細書(ヌクレオチド)、国際公開05024010号パンフレットおよび国際公開06120433号パンフレット(ポリメラーゼ)、国際公開05065814号パンフレット(表面への結合技術)、並びに、国際公開9844151号パンフレット、国際公開06064199号パンフレットおよび国際公開07010251号パンフレット(クラスタの準備およびシーケンシング))中に見られることに再度留意されたい。
【0107】
図1および図13〜図16は、本発明のカメラおよびレーザの様々な可能な構成を示し、例えば、バックライト設計、TIRF撮像装置、レーザ集光装置、白色光観測装置および代替的なレーザ集光設計などがある。白色光励起源は、励起レーザと一緒にまたは励起レーザの代わりとして選択的に使用することができる。図1は、TIRF撮像装置において画像を記録するバックライト設計システムを示す。TIRF撮像を行う図1の装置は、選択的に、図13に示されるように設定されたバックライト設計の装置にすることができる。図1においては、(レーザアセンブリ160における)2つのレーザのうちの1つのレーザが、(フローセル110内の)サンプルを照射することに使用され、単一の発光波長を記録するとともに、散乱したレーザ光をカットするために、(フィルタ切替アセンブリ145における)4つの発光フィルタから単一のフィルタが選択される。撮像中に、集光レーザ(150)および選択的な白色光ランプ(165)はともに、シャッタで遮断されているか或いはスイッチが切られているときのいずれの場合にも、サンプルを照射しない。レーザ照射101と、フローセルから上に向かって対物レンズを通過する照射と、カメラ102と、が示されている。図13は、バックライト設計におけるシステムのすべての部品を示す(具体的なTIRF撮像装置を除く)。図1と図13を比較されたい。図13は、流体運搬モジュール1300、フローセル1310、廃液弁1320、温度アクチュエータ1330、加熱/冷却部品(例えば、ペルティエ装置)1335、カメラ(例えば、CCDカメラ)1340、対物レンズ1342、フィルタ切替アセンブリ1345、集光レーザセンブリ1350、励起レーザセンブリ1360、低ワットランプ1365、精密XYステージ1370、集光(z軸)装置1375、ミラー1380、「反転」ダイクロイックミラー1385、およびレーザ光ファイバ1390を示す。
【0108】
図14は、図1のシステムと類似のシステムを示すが、(レーザアセンブリ1460において)励起レーザおよび選択的な白色光1465のスイッチが切られているレーザ集光装置として示す。このシステムに集光レーザ1450を設置してシステム内に照射し、ビームスプリッタ1485(例えば、ピックオフミラー1%ビームスプリッタ)に当てる。このビームスプリッタ1485は、対物レンズより下に細いビーム1402を導いて、(フローセル1410内の)サンプル上の小さなスポットに当てる。サンプルからの散乱光は、対物レンズ(1442)より上に戻り、フィルタホイールスイッチングアセンブリ1445内の空のスロットを介してCCDカメラ1440で撮像される。カメラ上のスポットの位置は、サンプルが対物レンズから正しい距離にあって、焦点に像が結ばれることを保証するために使用される。図14における要素の符号の付け方は、図13における要素の符号の付け方と類似しているが、「13」の代わりに「14」として符号付けされている(例えば、1460は、1360の類似の要素として対応する)。自動焦点システムについて、以下にさらに詳細に記述する。
【0109】
図15は、集光レーザ1550および照射レーザ1560が切られているときの選択的な白色光観測装置を示す。このような装置においては、低ワットランプ1565からの白色光は、システム内にビーム1503として入射し、カメラに直接的に撮像される。ここでも、要素の符号の付け方は、ビーム1503などを除いて、図13および図14の符号の付け方に従う。図16は、代替的な集光装置を示し、ここでのシステムは、(象限検出器となり得る)第2の集光カメラ1641、PSD、または表面から反射した散乱ビームの位置を測定するための同様な検出器を含む。この装置は、データを収集しつつ焦点制御を行うことを可能にする。集光レーザの波長は、最も赤い色素発光フィルタの波長よりも選択的に長くすることができる。
【0110】
図17〜図19は、本発明のここでのシステムを使用してつくられたビームの形状とTIRFプリズムを通過した寸法とについての様々な概略図である。図20は、ここでのシステムで使用されるTIRFプリズムの選択的な実施例を表す。こうして、レーザビームおよび/またはレーザビームによって照射される結像領域の形状(例えば、丸い、正方形など)は、実施例に応じて選択的に変えることができる。図17は、ファイバから出現するときのビームの寸法および形状を示す。基材表面に直角の角度でビームが当たるので、基材上に円を照射するためには、楕円のファイバからビームを投射しなければならない。円の縁の外観1700は、楕円1730によって投射される(例えば、ファイバの出口でファイバ内央線を22°で見下ろしているように要求される楕円形のビーム形状)。プリズム表面の一部の輪郭1710は拡大されずに、楕円1730の縁の外観1720が短軸上に示されている。同様に、基材上に正方形を照射するためには、基材に向けて長方形の形状でビームを照射しなければならない(図18)。図18に、長方形1830を示す。ファイバ出口において、(22°でファイバ内央線を見下ろしているように)長方楕円形のビーム形状が要求される。また、長方形1830によって投射された正方形の縁の外観1800は、プリズム表面の一部の輪郭1830(拡大されず)や、長方楕円1830の縁の外観1820と(短軸)して示されている。
【0111】
図19に示すように、内部全反射を実現するとともに基材表面で蛍光体を励起させるエバネセントビームを発生させるために、プリズムは、結像ビームが(直角に対して)約68°で基材表面に当たることができるように設計されている。プリズムを通過するビームの経路を制御し、それによって、フローセルが動いても照射フットプリントが静止した対物レンズを直接的に覆ったままであるように、プリズムの形状は、表面に対してプリズムの角度を同じく68°になるようにすることができ、これによって、光が常に90°の角度でプリズムに当たることを保証する。プリズムの所望の形状は、国際公開03062897号パンフレットにさらに詳述されており、図20に例示的な寸法および形状などを示す。
【0112】
ここでのレーザのビーム形状は、例えば、正方形ビームをつくり出すために、マルチモードファイバの出力端部を磨くことによって選択的に制御される。例えば、図21を参照されたい。図21は、そのように磨かれた後の結像ビームを示す。他の実施例においては、ビームは選択的に丸い形状である。いくつかの例においては、ビームの特性は、以下の特性を有するガウスプロファイルとする。すなわち、半径0.17mmの公称スポットサイズ、半径0.25mmの最大スポットサイズ、およびレーザ強度の効果がなくなり始める点として0.32mmのスポットサイズとする。いくつかの実施例においては、ビーム強度は、公称スポットサイズの範囲にあるすべての位置で極大強度の90%より大きく、最大スポットサイズの範囲にあるすべての位置で極大強度の80%より大きく、半径0.32mmを越えたスポットサイズにおいては極大強度の1%より小さい。(動的モードスクランブラが存在しない)様々な実施例において、いずれの点における強度も、1秒〜1時間の時間スケール内で5%RMSより大きく変化することはなく、全体的な(総合的な)レーザ出力は、24時間の測定で3%RMSよりも大きくは変化しない。
【0113】
[照射システム]
本発明による装置において、様々な照射システムを使用することができる。照射システムは、ランプおよび/またはレーザを備え得る。照射システムは、1つまたは複数の異なる波長の照射レーザを含み得る。ここでの照射システムは、例えば、532nmおよび660nmの2つのレーザを含むが、他の波長のレーザを使用してもよい。また、ここでのシステムにおけるレーザは、様々な実施例において、0.1℃のレベルまで活発的に温度制御され、660nmのレーザダイオードに対して100ミリ秒よりも短い濯ぎ時間でTTL変調を有し、532nmのレーザの高速変調用に一体化された手動のシャッタを有し、SN比を最大化するために機器のインタフェースに最適なビームアスペクト比が維持されることを保証するように統合されたビーム成形光学素子を有し、マルチモードファイバの出力におけるリップルを減らすように統合されたモードスクランブラを有し、さらに発生する熱を抑える。遮断およびTTL変調は、カメラが画像を記録しているときにサンプル表面だけに照射が行われることを確保するために使用される。蛍光体への照射は光退色を生じさせることがあるので、必要でないときには(特に画像が記録される前には)、通常は、基材がレーザに晒されることを抑える。
【0114】
図22Aおよび図22Bは、様々な光学装置とともに使用される様々なフィルタホイール装置のいくつかの実施例を示す。図22Bに示すように、4種類の蛍光体を検出するために2つのレーザ励起システムを使用することは、蛍光体のうちの2つが最大吸収波長で励起されることを意味する。4つのチャネルすべてで使用される発光フィルタが同じ帯域幅であるとすれば、532nmのレーザおよび660nmのレーザ波長付近の2つの蛍光体は、このレーザによってさらに励起される2つの蛍光体よりも著しく明るいであろう。しかし、このファクタは、フィルタの帯域幅を変えることによって消すことができる。例えば、図22Bに示すように、532nmのレーザを使用する場合、例えば530nmおよび560nmの吸収波長の色素は共に、532nmのレーザで励起させることができる。レーザの波長に近い狭帯域通過フィルタ(例えば、560/20)を使用すると、550nm〜570nmの光が入射したときに、532nmの色素からの光だけが通過する。レーザの波長から遠い広帯域通過フィルタ(例えば、610/75)を使用すると、572nm〜647nmの光が入射したときに、両方の蛍光体からの光が通過する。
【0115】
560/20フィルタを通過する532蛍光体の強度は、610/75フィルタを通過する560蛍光体の強度と同程度である。従って、これら2種類の蛍光体は、単一のレーザと2種類の発光フィルタを使うことによって明確に識別することができる。
【0116】
この効果は、波長に固有のものではなく、種々の励起波長を使って実行することができる。従って、赤色レーザを使っても同じ効果を達成することができる。650nmおよび680nmの吸収波長を有する2つの蛍光体は、レーザの波長に近い狭帯域通過フィルタ(例えば、682/22)を使って識別することができ、レーザの波長から遠い広帯域通過フィルタ(例えば700ロングパス)を使って識別することもできる。それぞれのフィルタを通過する2つの色素の強度は同程度であるが、682/22フィルタを通過する680色素からの信号は、大きく低減している。700ロングパスでは両方の色素が発光するが、これらの信号は、狭帯域通過フィルタでの異なるレベルの発光によって明確に識別することができる。種々の波長の長さを使って4種類の蛍光体セットを得るように、レーザ波長、蛍光体の選択、およびフィルタの帯域幅を構成することができ、さらにフィルタの帯域幅を使って各チャネルを通過する発光の強度を標準化し、どれだけの光が送られるかを管理することができる。
【0117】
図23は、公称設計30倍システムにおける光線の軌跡を示し、図24は、その30倍の撮像性能を示す。このシステムにおける撮像性能は、このシステム内の対物レンズおよび他のレンズの拡大率に依存する。拡大率が小さいほど撮像される基材の領域が大きいが、密接に詰められたクラスタの解像度と各クラスタの明るさを犠牲にしてしまう。拡大率は、選択的に10倍〜40倍であることが好ましく、例えば、20倍または30倍とすることができる。対物レンズは、非標準的な幾何学形状(例えば、さらに厚いガラス基材)を介して蛍光体を観測するときに、回折限界の結像が保たれるようにカスタム設計することができ、球面収差が現れないようにすることができる。対物レンズは、さらなるチューブレンズを介して検出器に接続されるようにしてもよい。
【0118】
[自動焦点システム]
ここでのシステムは、特定の実施例において、クラスタの撮像に適当な集光がなされるように寄与する部品を備える。概して、自動焦点設定されたここでの特定の実施例において、自動集光レーザビームが対物レンズを介してサンプルを照らし、フローセルの表面から反射してレンズに戻り、次いでカメラに戻り、画像上にスポットをつくり出す。固定されたサンプルに対して対物レンズを上/下に動かすとき、スポットの重心は、画像に関する直線の付近に並ぶ(較正曲線)。この較正ラインに沿っての移動距離「dr」は、対物レンズと焦点面との間の距離の変化「d(z−zf)」に比例する。多くの実施例において、作動の前に、ソフトウェアが、較正ラインの向き(直線の傾き)及び「感度」:dz/dr(nm/ピクセル)を確定する。これは、視覚的に確定された集光位置の付近でz軸方向に1000nmのステップで21枚の画像を撮ることによってなされる。このソフトウェアは、サンプルが焦点(xf,yf)にあるときに、スポットのピクセル座標(x,y)をさらに要求することができる。この座標は、21枚の較正画像のセットからの第1の(中央の)焦点画像から確定される。例えば、ここでの装置は、z軸方向に50mmまで動くように設置されて100nmの解像度を実現する自動焦点機能対物レンズを選択的に備える。基材に対して垂直方向に対物レンズを選択的に動かすことができ、照射入力も基材に対して動くように、照射レーザをz方向の動きに結びつけることができる。自動焦点能力を有する実施例においては、顕微鏡の対物レンズの縁(最大感度に対応するために選択的にできるだけ軸から離間している)に沿って、自動焦点ビームが選択的に送られる。自動焦点ビームは、照射レーザからのものとすることができ、或いは照射レーザとは選択的に異なる波長(例えば、488nm,630nmまたは700nmの赤外レーザまたは更に波長の長い光)を有する独立したソースからのものとすることができる。次に、反射ビームは、象限セルによって或いはダイクロイックビームスプリッタを介しての蛍光体撮像カメラへの漏出によって、選択的に監視される。このような実施例においては、レンズおよびカメラは、選択的に、機器内で使用されるものと同じもの(例えば、20倍レンズ)にすることができる。本発明のシステムおよび装置に選択的に含まれる類似の自動焦点システムについては、例えば、国際出願03060589号パンフレットに既に記述されている。
【0119】
ここでの特定の自動焦点の態様を使って、対物レンズに対して結像面が動くとき、反射した監視ビームも横方向に動く(すなわち、図25において、実線は、検出されたビームが焦点面に集光されずに横方向シフトが生じる表し、点線は、焦点面に集光されることを表す)。この実施例において選択されるダイクロイックミラーは、普通は、自動焦点ビームを反射させるミラーである。実際に透過する漏出が小さい場合にも(c.a.<5%)、発光通路に発光フィルタなしで、CCDカメラで観測するのには十分である。図26は、撮像カメラ上に見られる、スポットが焦点にない画像およびスポットが焦点にある画像のサンプル写真を示す。下段の画像は、撮像カメラ上に検出された自動焦点スポットを示す。スポットは、システムから分離した検出器でも見ることができる(図27)。
【0120】
自動焦点の態様を備える実施例においては、コンピュータ部品は、自動集光アルゴリズムを選択的に備える。このようなアルゴリズムは、(例えば、上記の測定およびこの測定に従う調節を監視することによって)正確な集光を確定することに寄与する。自動焦点スポットが一次元方向に(例えば、x方向かつy方向ではなくy方向だけに)動くよう座標を決めることができ、これによって処理を簡単にできる。対物レンズの焦点位置は、z方向に動くと仮定する。
【0121】
自動焦点分析の実施例の第1のステップは、対物レンズのいくつかの座標(z1,z2…zn)に対して撮像カメラ上の自動焦点スポットの座標(y1,y2…yn)が測定されることからなる「応答関数の設定」である。典型的には、5つの座標があれば十分である。図27は、3つの座標による分析を示す。反射したスポットの動きは、蛍光カメラ上に撮像されている(下段のパネル)。各々のZ平面に対して、カメラ上の反射スポット(重心)の対応するy座標が存在する。これらの5つのデータの位置(z1,y1),(z2,y2),(z3,y3),(z4,y4),(z5,y5)は、1本の線で説明できる。
【0122】
【数1】

【0123】
ここで、mとcの値は、各データの点から最小二乗法を使って次のように求められる。
【0124】
【数2】

【0125】
【数3】

【0126】
【数4】

【0127】
こうして、5つのデータの点からc,m,y0の値が確定されて既知の応答関数を与える。
【0128】
このような自動焦点分析の実施例における次のステップは、各位置cが一定であるとき(すなわち焦点から外れる変化や焦点位置への変化をしないとき)に、「(焦点位置から外れる場合の)newCを計算せよ。」を含む。しかし、各位置cは、様々な位置に変化する。よって、ステージが新しい位置に移動するとともに、変化したZの値とyの値からnewCが計算される。
【0129】
【数5】

【0130】
このプロセスにおける第3のステップは、newCを使用して、焦点位置におけるy座標(y0)を得るために要求されるZ座標(newZ)を計算することである。
【0131】
【数6】

【0132】
【数7】

【0133】
mおよびy0は、ステップ1で、(1チップにつき一回)測定される。newCは、ステップ2から(すべての位置で)測定される。こうして、newZを計算することができる。
【0134】
本発明の自動焦点部品における他の態様は、レーザの指向性の安定を要求する。拡大した図28に示すように、適当な焦点距離で、簡易的な薄いレンズの対物レンズを通して観測することにより、自動集光レーザで許容される指向性誤差を評価することができる。
【0135】
簡易的な幾何学図形におけるy方向の変位は角度Φを生じさせ、この角度Φは、自動集光レーザビームが1ピクセルだけシフトされて現れるようにする角度であり、これは、約(Δ/F)の小さな角度として得ることができる。
【0136】
(いくつかの実施例においては、チューブレンズとリレーレンズとの組み合わせである)20倍対物レンズについては、ピクセルの寸法は、およそ0.3μmである。このときのレンズの焦点距離は、10mmである。従って、1ピクセルに対応する誤差角度は、30μラジアンである。本発明のシステムのいくつかの実施例においては、自動焦点セットは、z方向の1ミクロンの移動に対して自動集光レーザスポットが約4ピクセルだけシフトされるような感度を有する
0.5μmの焦点誤差(レーザスポットの位置における2ピクセルのシフトに対応する)が許容されると仮定すると、自動集光レーザについて許容できる最大の指向角度の変化は60μラジアンであると考えられる。
【0137】
通常の温度変化に亘って上記のような安定の要求を満たすために、ファイバに光学的に結合されたレーザを使用することが高く推奨される。固体レーザは、注意深く温度制御しなければ、通常の環境温度における特定の範囲(例えば、20〜30℃)で、この程度の指向性確度を維持することは困難であろう。
【0138】
焦点追跡アルゴリズムに関する追加的な情報や理論を提示するために、自動焦点システムについてのさらに詳しい実施例を以下に説明する。
【0139】
集光追跡手順のいくつかの実施例における第1のステップは、撮像装置(これは、撮像カメラとすることができる)上に、自動集光レーザスポットの画像を捕捉することである。この一次スポットからのデータは、2つのパス内に引き出される(スポットのおよその位置や寸法を確定する第1の粗いパスと、第1にパスに続いて、COL(光の中心)や他のスポットの特徴を確定する前に、スポットの境界を正しく画定する第2の微細なパス)。第1のパスにおける解析は、以下の5つのステップで行うことができる。(1)最大で255の画像セットおよび最小で0の画像セットを使って、並びにこれらの間のすべての他のグレースケールの値を線形的に使って、16ビットの画像を8ビットの画像に変換する。(2)画像の質が計算される。画像の質は、その画像自体に左方向への単位ピクセルシフトおよび下方向への単位ピクセルシフトがなされた画像の正規化自己相関の平均として確定される。画像にノイズが多い場合、ノイズは画像自体とは関連しないので、測定は以下のようになる。(3)次に、この像は、128で閾値を与えられる。この値より大きな値であれば、フォアグラウンドと見なされ、この水準以下の値は、バックグラウンドと見なされる。グレースケール255(すなわち、ホットスポット)から始まって、8ビット接続されたすべてのフォアグラウンド成分を見つけるように領域が成長する。(4)これらの候補となるフォアグラウンド成分のすべての中から、最も高い平均の明るさを有する成分が、一次スポットの位置およびおよその寸法を特定する「その」成分として選ばれる。(5)この成分のバウンディングボックスが計算で求められる。
【0140】
第2の(微細な)パスにおける解析は、3つのステップで行われる。(1)バウンディングボックスの領域の2倍に対応するサブ画像が、8ビットのグレースケール画像から切り出される。これは、フォアグラウンドおよびバックグラウンドのピクセル数をほぼ等しくし、閾値を与える技術に基づく標準画像のヒストグラムが確実に機能することを容易にする。(2)サブ画像のヒストグラムが計算によって求められるとともに、バックグラウンドとフォアグラウンドとを分離する「最良の」グレースケール閾値が確定される。この閾値は、「オオツの閾値」と呼ばれる(IEEE Trans.Systems,Man,and Cybernetics,vol.9,pp.62−66,1979またはComputer and Robot Vision,volume1.Addison−Wesley,1992.を参照)。および、(3)オオツの閾値で画像が閾値に達し、8ビット接続されたフォアグラウンド成分が決定される。これが一次スポットブロブとなり、続いての特徴のすべてがこのブロブから抽出される。
【0141】
二次スポットの位置を抽出するために追加的なパスを実行することができる。そのような追加的なパスは、以下の4つのステップで実行することができる。(1)8ビットの(第1のパスからの)画像が、16の低い閾値に達せられる。(2)この低い閾値において、一次スポット成分のピクセル(領域)数が増やされる。この一次スポットの面積が記録され、この領域がどのくらい密であるか又は拡散しているかを測定するために使用される。(3)一次スポット成分に最も近い位置にある(十分なサイズの)成分が、二次スポットとして認識される。(4)二次スポットの幾何学的重心が記録される。
【0142】
[光の中心の決定]
自動焦点用に光の中心(COL)を決定するために、一次スポットの光の中心として、
【0143】
【数8】

【0144】
と表示する。これは、一次スポットブロブについて次のように計算される。
【0145】
【数9】

【0146】
ここでの総和は、座標系(xi,yi)およびグレースケールgi(閾値より大きい)に基づいた画像を有するブロブ内のすべてのピクセルiについて取り込まれる。
【0147】
[他のスポットの特徴]
写真の質および光の中心に加えて、一次スポットブロブ用に計算される特徴のリストは、一次ブロブがどの程度拡散している(密ではない)かを示す測定値であるAreaを含む。これは、低い閾値における一次ブロブの面積(ピクセル数)をオオツの閾値における面積で割った値に設定されている。計算される他の特徴は、Volume(閾値より大きいときの平均の明るさ×一次ブロブのArea)、平均の明るさ(ブロブ内におけるピクセルのグレー値の合計をその面積で割った値)、および最大の明るさ(最大グレー値)などである。
【0148】
抽出したデータは、Z焦点を較正するために使用することができ、これにより、画像が集光されるために対物レンズをどのくらい動かしたらよいのかを決定する。較正手順の概要は、以下のようになる。(1)Z焦点の較正は、すべての運転の始めに、(ユーザの助けを借りて)行われる。(2)較正の始めに、ユーザは、画像が焦点(すなわち、集光面)にあることを確認する。そこで、彼/彼女は、Z焦点をzFと設定する。(3)この自動焦点の実施例は、ユーザの入力および画像上の自動集光レーザスポットの座標に依存する。(4)較正プロセスでzが変化するにつれて、スポットは、ラインに沿ったzの変化に線形に比例して移動する。
【0149】
較正アルゴリズムの手順は、zの変化につれて得られる連続的な自動焦点スポットの画像から抽出された光の中心(x,y)の点列から始める。これらの点は、グラフ化されたときに、完全に直線上に収まることが理想的である。
【0150】
【表1】

【0151】
実際には、これらの点は、物理的および計算上の様々なノイズ源によって、以下に示すように理想の直線からは外れている。
【0152】
【表2】

【0153】
従って、回帰に基づくXY主成分分析(例えば、I.T.Jolliffe,Principal Component Analysis,2nd ed.Springer Series in Statistics,2002)が、XとYの間で行われ、以下に示すような新しい(R,Q)座標系を導く。
【0154】
【表3】

【0155】
以下のことに留意されたい。(1)(R,Q)座標系の起源は、質点の中心(x,y)とする。(2)最良の当てはめ(主成分)線がR軸を確定し、(3)R軸と直交する線がQ軸を確定する。このモデルは、XとYの間に高い相関性を要求する。従って、Q座標の値は、最良の当てはめ線からの誤差「剰余」と見ることができ、これらの剰余を取り除いて観測値を補正することが理想的である。
【0156】
最終的には、このモデルは、(図示するように)空間座標とz座標の間に線形の関係を求める。rとzとの間で線形回帰を実行し、この直線の係数を決定する。
【0157】
【表4】

【0158】
加えて、自動焦点追跡は、回帰エンジンの様々な学習を含み得る。
【0159】
[XY PCA 回帰エンジンの学習]
【0160】
【表5】

【0161】
[RZ線形回帰エンジンの学習]
【0162】
【表6】

【0163】
[外れ値検出器の学習]
外れ値検出のスキームは、泡の存在を報知するために使用されるか、またはフィルタホイールの問題に警告を与える。
【0164】
【表7】

【0165】
[自動焦点システムの運転]
自動集光レーザスポットの画像から運転を開始し、較正プロセスで学習した変換係数を使用して、焦点まで動かすのに要求されるz軸方向の移動距離を最良に評価する。
【0166】
【表8】

【0167】
[コンピュータ]
上記に示したように、本発明のシステムの様々な構成要素は、適切にプログラムされたプロセッサないしコンピュータに接続され、これらのプロセッサないしコンピュータは、プログラムされた指示またはユーザが入力した指示と一致するようにシステムの内の機器の操作を指示し、システム内の機器からデータや情報を受け、その情報を解釈、処理し、ユーザに報告する。このように、コンピュータは、典型的には、これらの機器/部品(例えば、必要に応じて、アナログ−デジタル変換器またはデジタル−アナログ変換器を含む)に適切に接続されている。
【0168】
コンピュータは、設定パラメータフィールドにユーザが入力する形態(例えば、GUI)で、あるいは、予めプログラムされた(例えば、自動焦点、SBSシーケンシングなどの様々な特定の操作のために予めプログラムされた)形態で、ユーザからの指示を受ける適切なソフトウェアを選択的に含む。このソフトウェアは、(例えば、流体の誘導および輸送、自動集光などについての)所望の作動が実行されるように、ユーザからの指示を適切な言語に変換して、正しい作動を指示する。
【0169】
例えば、コンピュータは、例えば様々なチュービングを通流する流体流を制御する流体流部品を導くために選択的に使用される。この流体流部品は、適切な緩衝液、ヌクレオチド、酵素などの流れの向きを、フローセルに流入および通流するように選択的に導く。
【0170】
コンピュータは、システム内に含まれる1つまたは複数のセンサ/検出器からのデータを選択的に受け、解釈し、ユーザに理解されるフォーマット内に提供するか、或いは、プログラミング(例えば、流量や温度などの監視および制御など)と一致するように、制御装置に次の命令を開始するためにデータを使用する。
【0171】
本発明においては、コンピュータは、フローセル中の物質の監視および制御を行うソフトウェアを典型的に含む。加えて、ソフトウェアは、標識された蛍光体の励起を制御し、さらには生じる発光を監視するために選択的に使用される。コンピュータは、例えば、加熱/冷却部品および自動焦点システムなどに典型的に指示を与える。
【0172】
種々の制御装置またはコンピュータは、モニタ(これは、ブラウン管(CRT)ディスプレイであることが多い)、フラットパネルディスプレイ(例えば、アクティブマトリクス駆動の液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイ)などを選択的に含む。本発明のシステムから生み出されたデータ(例えば、核酸シーケンスの結果)は、モニタ上に電子形態で選択的に表示される。加えて、例えば、核酸アレイからの発光プロファイルのデータまたは本発明のシステムから集められた他のデータを印字形態で出力することができる。このデータは、印字形態であるか電子形態(例えば、モニタに表示される)であるかに拘わらず、様々なフォーマット即ち複数のフォーマット(例えば、曲線、ヒストグラム、連続的な数値、表、グラフなど)にすることができる。
【0173】
コンピュータ回路網は、例えば、マイクロプロセッサ、メモリ、インタフェース回路などの多くの一体化された回路チップを含むボックス内に設置されていることが多い。このボックスは、さらに選択的に、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、書換え可能CD−ROMなどの高容量リムーバブルドライブおよび他の共通の周辺要素を含む。キーボードまたはマウスなどの入力デバイスは、ユーザが入力することと、比較対象となるシーケンスをユーザが選択すること(さもなければ関連するコンピュータシステム内で処理される)と、を選択的に提供する。
【0174】
[使用例および構成要素の変化]
ここでのSBSシステムは、多くの実施例において、(典型的には、フローセル内の)1サンプル当たり数百万の核酸を撮像することができる励起・撮像サブシステムに基づくCCD/TIRFレーザを備え、このレーザは、4種類の蛍光体色素(4つの塩基の各々に対して1色素)の各々を検出することができる。例えば、ヌクレオチドなどのSBS化学成分(国際出願04018497号パンフレット、国際出願04018493号パンフレットおよび米国特許7057026号明細書)、ポリメラーゼ(国際出願05024010号パンフレットおよび国際出願06120433号パンフレット)、表面接合技術(国際出願05065814号パンフレット)、クラスタの準備およびシーケンス(国際出願9844151号パンフレット、国際出願06064199号パンフレットおよび国際出願07010251号パンフレット)は、チャネルが形成されたフローセル部品などと共に使用することができる。本発明のシステムにおけるコンピュータまたはデータ分析システムの態様は、1時間当たり数千の画像をシーケンス情報として処理することが選択的に可能である。
【0175】
要約すると、SBSによるシーケンシングの特定の例においては、ゲノムDNAがランダムに断片化され、周知のシーケンスで端部がキャップされ、例えば、共有結合性プライマへのハイブリダイゼーションによって、(フローセル内のチャネルなどの)基材に共有結合される。このように結合されたDNAから、国際出願9844141号パンフレットおよび国際出願07010251号パンフレットに記述されるように、核酸クラスタのアレイがつくり出される。(例えば、ここでのシステムおよび装置を使用する)SBS分析は、連続的なクラスタの画像を生成することができる。これらの画像は、各クラスタ内の核酸シーケンスを読み取るように処理することができ、これらのクラスタを参照シーケンスに対して整列させることにより、シーケンスの違いや、さらに大きな全体的なシーケンスなどを決定することができる。核酸の短い読み取り配列についてのアルゴリズムは、国際公開05068089号パンフレットに記述されている。
【0176】
上記のように、各シーケンシングサイクルは、核酸鎖の成長に1回の取り込みを含む。このようなサイクルは、4種類すべてのNTPを追加することによって典型的に行われ、dNTPの各々の各塩基は、特定の蛍光体によって識別できるように修飾されている。加えて、伸長を制御するとともに各サイクルにおいて各分子に2つ以上の塩基が加えられないように、三リン酸塩は、3’の位置で修飾される。図30〜図32に、ランダムなアレイ上に単一のテンプレート分子からクラスタを増殖させる一般的な方法、続いての上記アレイにおけるシーケンシングを示す。これらの図は、ここでのシステムで実行されるシーケンシング手順および方法の様々な態様を概略的に示す。例えば、核酸クラスタが形成され、クラスタアレイが生産される(このクラスタアレイが「典型的な」アレイに対して比較される)基本概要のステップと、シーケンシング方法のすべての概要を示している。図30は、核酸クラスタの創出およびシーケンシングの基本概要を示し、図31は、アレイ(左側)と、本発明のシステム/装置に使用することができるような核酸クラスタ基材上(右側)と、の間で核酸の密度を比較する。図32は、例えば、本発明によって実施されるようなSBSシーケンシングの手順の概要を示す。
【0177】
開裂可能リンカーを介してクラスタを構成する核酸に蛍光標識されたヌクレオチドが取り込まれるステップの後に、種々の取り込まれていないヌクレオチドおよび酵素を除去するために、流体流サブシステムによってフローセルのチャネルが洗浄される。
【0178】
次に、このシステムによって取り込みステップが行われ、取り込まれた(各クラスタ内のグループとして読み取られた)個別の標識の特性が光学顕微鏡を使って記録され、対応する取り込まれた塩基が記録される。このシーケンシングシステムは、スペクトラムの異なる部分について、波長が明確に異なる2つのレーザを使って、内部全反射顕微鏡(TIRF)および4種類の別個の発光フィルタを介して、4種類の蛍光体を読み取ることができる。これらの画像は、CCDカメラ上に記録されるとともに、付属のコンピュータモジュール内に報告される。
【0179】
具体的な取り込みが読み取られた後、脱保護ステップで標識部を除去し、表面の結合DNAからブロックする。脱保護ステップは、遺伝子コンテクスト内の(フローセル上に存在する)各核酸クラスタのシーケンスが独特に配置される程度の十分な情報サイクルが得られるまで、上記取り込みステップおよび読み取りステップの反復を可能にする。例えば、ヒトゲノムの場合、このサイクルは、16サイクルよりも多く、例えば、約25〜50サイクルである。これらの画像は、オフラインに保存することができ、或いはシーケンシングプロセス中に個別の塩基が読み取られるように実時間内に処理することができる。これらの画像を処理することにより、サンプル(例えば、ゲノム)全体のランダムな位置から抽出される各々のクラスタについて、どのクラスタから始まるシーケンス読み取りについてもデータベースを提供する。こうして、手順の過程で、ゲノムのすべての部分をカバーする数百万のシーケンス読み取りのデータベースが典型的に構築される。このようなデータベースは、例えば、参照シーケンスなどに由来するすべてのシーケンスのデータベースと比較することができる。様々な実施例において、画像の分析、配列の決定、および/またはシーケンスの配置は、蛍光画像を捕捉した後に、選択的に「オフライン」で実行することができる。また、これらの手順は、本発明のシステム中に存在するコンピュータから分離されたコンピュータによって選択的に実することができる。
【0180】
上記にすべて示したように、本発明は、実施例(例えば、構成要素またはサブシステムの数や種類)に応じて異なる。例えば、本発明の一実施例(実施例「b」)において、構成要素は、以下の要素を含み得る。すなわち、フローセル内のチャネル底部に直径0.5mmの円を投射するように出力75mW(または選択的にこれより大きい)で照射される532nmおよび660nmの照射レーザ(これは、シーケンシング反応で蛍光体を励起させるために使用される)、ガラス製TIRプリズム(68°または71°)、深さ100μmの8つのチャネルを有する1mm×61mmの領域(39mm×1mmが観測用に使用される即ちアクセス可能)を有するガラス製フローセル、(ガラスの厚さについて補正された)Nikon Plan Apo 20x,0.75NAからなるカメラ部品の対物レンズ、557±11nm,615±40nm,684±11nmおよび740±50nmの帯域通過フィルタを含む発光フィルタ(または、図22に示すフィルタまたはこれに類似した選択的なフィルタ)、約23倍の正味の拡大率に対するNavitar1.33倍アダプタを含む光学リレーまたは拡大率のないチューブレンズを含む光学リレー、および、ピクセルサイズが8μmで読み出し速度が10MHzのPhotometrics Cascade 1MPixないし1KカメラからなるデジタルCCDカメラである。さらに、0.75NA(開口数)で20倍の拡大率の顕微鏡対物レンズを含み得る。カスケード実施例「b」は、(回折限界よりわずかに大きな)約0.8μmの光解像度を有する0.35mm四方の領域の正味の性能を与えることができる。
【0181】
このような1メガピクセルの実施例は、直径0.5mmの円を照射し、この円の内側にある0.35mm四方の正方形を検出することができる。これらの実施例におけるフローセルは、1チャネルまたはさらに多くのチャネル内に総計156個の互いに重ならないタイルを有し得る。クラスタは、1μmのオーダとすることができる。顕微鏡の開口数は、700nmの波長において約0.6μmのPSFを選択的に与えることができる。こうして、「典型的な」クラスタは、約1.2μmの見かけの直径を得ることができる。結像面において、1ピクセルが約0.35μm四方を表示するので、典型的なクラスタは、直径に亘って約3.5ピクセルを有する。クラスタの領域内では、約9.25ピクセルとなる。1メガピクセルCCD上の10のエリアピクセル対象物のポアソン分布は、最大約38,000個の対象物が互いに重ならないことを示す(図28)。図29は、本発明のシステムの例示的な構成におけるスループットの一例を与える。検出されるクラスタの数は、全クラスタの数および最小クラスタ領域の関数である。
【0182】
「b」実施例において、(レイリーの基準を使っての)解像度の限界は約0.6μmであり、クラスタは、約1.2μmの見かけの寸法に対して約1μmの寸法である。結像面におけるピクセルマップが約0.35μmまでなので、1つのクラスタは、領域の直径に亘って約3.5ピクセルとなり、領域内において約10ピクセルとなる。ランダムに分配されたクラスタについては、1メガピクセルのカメラにおいて混乱されていないクラスタの最大数は、0.35mm四方の正方形のタイル内に約38,000とすることができる。「b」フローセルは、1フローセル当たり総計1200タイルについて、1チャネル当たり互いに重なっていない150の照射タイルに対処する。これは、45.6メガ塩基/1サイクル、すなわち約1ギガ塩基/25サイクルに相当する。互いに照射を重ね合わせ、タイルを密に敷き詰めることによって、1チャネル当たり200タイルを撮像することができ、従って、1フローセル当たり1600タイルを撮像することができる。
【0183】
「b」照射サブシステムのスループットについて、レーザの波長は、緑色レーザの波長が532nm(緑色レーザは、選択的に75mWを出力する)、赤色レーザの波長が660nmであり(赤色レーザは、選択的に75mWを出力する)、投射TIRFビームの直径は0.5mmであり、ビームの許容変動率は20%である。
【0184】
他の実施例(実施例「g」)においては、本発明のシステムは、以下の要素を含み得る。すなわち、各々が出力500mWの532nm,660nm照射レーザ(0.5mm四方の正方形として照射されることが理想的である)、ガラス製のTIRプリズム(68°)、深さ100μmの8つのチャネルを有する1mm×61mm(このうち50mmが利用可能)の領域からなるガラスフローセル、Nikon Plan Fluor 40x,0.6NA adjustable collarまたはSBSフローセルに対して補正されたcustom40x,0.75NAからなる対物レンズ、557±11nm,615±40nm,684±11nm,740±50nmの帯域パスフィルタからなる発光フィルタ、およびPhotometrics Cool SNAP K4(2048×2048ピクセル、4メガピクセルのカメラ、7.4μmのピクセル寸法、20MHzの読み出し速度)からなるデジタルCCDカメラである。このような実施例は、0.7μmの回折限界よりも小さな回折で、0.5mmの領域の正味の性能を与えることができる。これは、0.75倍のリレーレンズを含むことができ、システム全体の拡大率が30倍になる。
【0185】
いくつかのこのような「g」実施例において、0.5mm四方の正方形が一様に照射され、同じ0.5mm四方の正方形が検出されることが望ましい(2048x7.4/30000)。ここでのフローセル上のクラスタは、0.5μmまで小さくすることができる。700nmにおけるPSFは、約0.7μmである。よって、1ピクセルが0.25μmを表す場合に、各クラスタは0.86μmの大きさで表示される。従って、典型的なクラスタの直径に亘って3.5ピクセルとなり、クラスタの領域内には9.25ピクセルとなる。4メガピクセルCCDは、1タイル当たり、最大で約135,000の互いに重なっていないクラスタを与える。
【0186】
照射フットプリントを4倍大きくすることは、同じ露光時間で同じレベルの信号を得るためにレーザ出力を4倍に増大させることが必要であることを意味する。レーザ出力を増大させることにより、露光時間を抑えることができる。よって、このようなシステムが1回の実験当たり20億塩基のシーケンスを生成することができるのは、以下のパラメータが使用される場合である。すなわち、対物レンズについて開口数0.8および20倍の拡大率、4メガピクセルのカメラ、760μm×760μmの照射タイル、1フローチャネル当たり1撮像レーン/1フローチャネル、1レーン当たり48タイル、1チップ当たり8チャネル、平均寸法0.7μmのクラスタ、および40塩基の読み取り長さ、である。従って、全体のスループットは、8チャネル×48タイル×135,000クラスタ/タイル×40サイクル=20.7億塩基(G)となる。
【0187】
撮像されるタイル数、クラスタ密度または読み取り長さを増やすようにフローセルの寸法を大きくすることによって、1フローセル当たりに生成される塩基の数を増やすことができる。2つまたは4つのカメラを並列に設置して、スループットが2倍または4倍のシステムを得ることができる。図36および図37に、2つのカメラを使う構成を示す。スキャニング時間は、遅延時間積分(TDI)などの技法を使って短くすることができ、これは、表面が別個のタイルに撮像されることよりも、継続的にスキャニングされることを意味する。単一の光学系に接続された複数の流体システムを使って複数の化学ステップを実行するように機器を構成することができる。この単一の化学系においては、光学系が撮像をしていないときに、化学ステップが行われている。サイクルにおいて化学パートの時間と撮像パートの時間がほぼ同じ長さである場合、サイクル時間の50%に亘って、機器はデータを記録していない。このシステムにおけるスキャニングパートがさらに速くなれば、さらに高い割合の実験時間を化学パートに費やされる。この問題は、常に1つのセルが撮像されている間に複数のセルが同時に処理されているようにシステムを構成することにより緩和することができる。図43は、二元フローセルホルダを概略的に示す。
【0188】
説明するシステムにおいては、下方から照射がなされ、対物レンズが上方に示されているが、このシステムは、上方から照射がなされ、検出システムを下方に有するシステムに転換することができる。上記を参照されたい。加熱および照射は、基材のいずれの面に向けても行うことができるので、底面を加熱して上面を照射するシステムであっても、本発明の範囲に含まれる。本発明の範囲に含まれるシステムの作動は、以下の一般的な方法において詳細に説明する。
【0189】
[本発明のシステムをシーケンシングに使用する例]
以下は、本発明のシステムで選択的に適用することができる一般的な技法や手法の例(例えば、核酸クラスタの形成)である。これらの説明および例は、必ずしも本発明のシステムを制限するものではなく、特に示さない場合にも利用され得ることを理解されたい。核酸クラスタの形成およびシーケンシングの方法は、国際特許出願07010251号明細書にすべて記述され、この方法のプロトコールの全体が本願の参考となるが、これらのプロトコール要素のいくつかを以下にまとめる。
【0190】
[基材の準備および核酸クラスタの形成]
{ガラスチップのアクリルアミドコーティング}
シーケンシングを行うために核酸の結合に使用される固体の支持体は、選択的に、Silex Microsystems社(スウェーデン)から調達されるような8チャネルのガラスチップとすることができる。しかし、本発明の実験条件および手順は、他の個体の支持体にも容易に適用することができる。いくつかの実施例において、チップは、neatDeconで30分間、milliQ H2Oで30分間、NaOHで15分間、0.1N HClで15分間およびmilliQ H2Oで30分間、洗浄された。ポリマ溶液の準備が必要とされる。
10mlの2%polymerization mixに対して、
・milliQ H2O中における10mlの2%アクリルアミド溶液
・DMF中における165μlの100mg/ml N−(5−ブロモアセトアミジルペンチル)アクリルアミド(BRAPA)溶液(235μlのDMF中に23.5mg)
・11.5μlのTEMED
・milliQ H2O中における100μlの50mg/ml過硫酸カリウム(400μlのH2O中に20mg)
これらの実施例において、アクリルアミドの溶液は、最初にアルゴンを使って15分間脱気した。アクリルアミドの溶液に、BRAPA、TEMEDおよび過硫酸カリウムの溶液を首尾よく加えた。続いて、室温で1時間30分、重合を行った。その後、milliQ H2Oで30分間チャネルを洗浄し、0.1Mリン酸カリウム緩衝液を満たして必要とされるまで貯蔵した。
【0191】
{N−(5−ブロモアセトアミジルペンチル)アクリルアミド(BRAPA)の合成}
【0192】
【化1】

【0193】
N−Boc−1,5−ジアミノペンタントルエンスルホン酸は、Novabiochem社から調達した。塩化ブロモアセチルおよび塩化アクリロイルは、Fluka社から調達した。すべての他の試薬は、Aldrich製品であった。
【0194】
【化2】

【0195】
硫酸N−Boc−1,5−ジアミノペンタントルエン(5.2g,13.88mmol)と、0℃でTHF(120ml)中のトリエチルアミン(4.83ml,2.5当量)と、を攪拌した懸濁液に、等圧滴下漏斗を介して、塩化アクリロイル(1.13ml,1当量)を1時間に亘って添加した。次に、この反応混合物を室温で攪拌し、反応の進行はTLC(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)で監視した。2時間後、反応で生成された塩を濾過し、濾液をエバポレータで乾燥させた。この残渣をフラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチルで60%まで傾斜される純粋な石油エーテル)で精製し、ベージュ色の固体として2.56g(9.98mmol,71%)の生成物2を生成した。1H NMR(400MHz,d6−DMSO)の結果は、1.20−1.22(m,2H,CH2),1.29−1.43(m,13H,tBu,2xCH2),2.86(q,2H,J=6.8Hz,12.9Hz,CH2),3.07(q,2H,J=6.8Hz,12.9Hz,CH2),5.53(dd,1H,J=2.3Hz,10.1Hz,CH),6.05(dd,1H,J=2.3Hz,17.2Hz,CH),6.20(dd,1H,J=10.1Hz,17.2Hz,CH),6.77(t,1H,J=5.3Hz,NH),8.04(bs,1H,NH)であった。C13H24N2O3 256に対して計算された質量(エレクトロスプレー+)は、279(256+Na+)であった。
【0196】
【化3】

【0197】
生成物2(2.56g,10mmol)は、トリフルオロ酢酸:ジクロロメタン(1:9,100ml)中に溶解し、室温で攪拌した。反応の進行は、TLC(ジクロロメタン:メタノール9:1)で監視した。完成後、反応混合物をエバポレータで乾燥させ、この残渣をトルエンと一緒に3回蒸発させ、次いでフラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチルで60%まで傾斜される純粋な石油エーテル)で精製した。白色粉末として2.43g(9mmol,90%)の生成物3が得られた。1H NMR(400MHz,D2O)の結果は、1.29−1.40(m,2H,CH2),1.52(quint,2H,J=7.1Hz,CH2),1.61(quint,2H,J=7.7Hz,CH2),2.92(t,2H,J=7.6Hz,CH2),3.21(t,2H,J=6.8Hz,CH2),5.68(dd,1H,J=1.5Hz,10.1Hz,CH),6.10(dd,1H,J=1.5Hz,17.2Hz,CH),6.20(dd,1H,J=10.1Hz,17.2Hz,CH)であった。C8H16N2O 156に対して計算された質量(エレクトロスプレー+)は、179(156+Na+)であった。
【0198】
生成物3(6.12g,22.64mmol)と、THF(120ml)中のトリエチルアミン(6.94ml,2.2当量)との懸濁液に、−60℃(デュワー瓶中でcardiceおよびイソプロパノールの浴)で、等圧滴下漏斗を介して、塩化ブロモアセチル(2.07ml,1.1当量)を1時間に亘って添加した。次いで、この反応混合物を室温で一晩攪拌し、反応の終了は、翌日TLC(ジクロロメタン:メタノール=9:1)によってチェックした。この反応で生成された塩を濾過し、反応混合物をエバポレータで乾燥させた。この残渣をクロマトグラフィで精製した(メタノールで5%まで傾斜される純粋なジクロロメタン)。白色粉末として3.2g(11.55mmol,51%)の生成物1(BRAPA)が得られた。石油エーテル:酢酸エチル中で行ったさらなる再結晶化により、3gの生成物1が得られた。1H NMRの結果(400MHz,d6−DMSO)の結果は、1.21−1.30(m,2H,CH2),1.34−1.48(m,4H,2xCH2),3.02−3.12(m,4H,2xCH2),3.81(s,2H,CH2),5.56(d,1H,J=9.85Hz,CH),6.07(d,1H,J=16.9Hz,CH),6.20(dd,1H,J=10.1Hz,16.9Hz,CH),8.07(bs,1H,NH),8.27(bs,1H,NH)であった。C10H17BrN2O2 276または278に対して計算された質量(エレクトロスプレー+)は、279(278+H+),299(276+Na+)であった。
【0199】
{クラスタ形成プロセス}
流体工学
クラスタ形成プロセス中のすべての流体ステップにおいて、チュービングIsmatec Ref 070534−051(橙/黄色,0.51mmの内径)を備えた蠕動ポンプIsmatec IPCを選択的に使用する。このポンプは、順方向に送るように働く(流体を吸引する)。蠕動ポンプチュービングの出口で使用済みの溶液を回収するために廃液皿を設ける。各チャネル内で溶液の回収ポンピングを監視するために、プロセスの各ステップの間に、1チップ入口チュービング当たり1チューブを使って、種々の使用済み溶液を8チューブマイクロチューブストリップス中に分注する。1チャネル当たりに要求される量は、各ステップ毎に特定される。
【0200】
熱制御
クラスタ形成プロセス中に、様々な温度で定温放置することができるように、SilexチップをMJ−Researchサーモサイクラの頂部に設置する。このサーモサイクラの平坦加熱ブロックに結合された特注の銅製ブロックの頂部にチップが位置する。このチップは、小さいPerspexブロックで覆われ、粘着テープによって所定の位置に保たれる。ポンプとサーモサイクラは共にコンピュータランスクリプトによって制御され、このコンピュータランスクリプトは、ユーザに各ステップ間で溶液を変えることを促す。
【0201】
SFAコーティングされたチップの表面へのプライマのグラフト重合
SFAコーテンングされたチップは、上記に示したように、変更したMJ−Researchサーモサイクラ上に配置され、蠕動ポンプに取付けられる。10mMリン酸緩衝液(pH7.0)中に0.5μMの順方向プライマと、0.5μMの逆方向プライマからなるグラフト混合物は、20℃において、60μl/分の流速で75秒間、チップのチャネル内に圧送される。次いで、サーモサイクラを51.6℃まで加熱し、この温度で1時間チップを定温貯蔵する。この時間中に、グラフト混合物は、18サイクルの圧送を受ける。グラフト混合物は、15μl/分で20秒間圧送され、次いで、この溶液は、順方向および逆方向に(15μl/分で5秒間順方向に、15μl/分で5秒間逆方向に)180秒間圧送される。18サイクルの圧送後に、チップは、15μl/分で300秒間、51.6℃において、5xSSC/5mM EDTA中に圧送することによって洗浄される。次いで、サーモサイクラは、20℃まで冷却される。
【0202】
鋳型DNAのハイブリダイゼーション
移植チップにハイブリッドされるDNAの鋳型は、5xSSC/0.1%Tween中における要求濃度(最新は、0.5〜2pM)に希釈される。希釈したDNAを、加熱ブロック上で100℃において5分間加熱し、2本鎖DNAをハイブリダイゼーションに適する1本鎖に変性させる。次に、このDNAを、氷/水浴で3分間急冷する。このDNAを含むチューブは、種々の凝縮物を回収するために、しばらく回転させて遠心力が働くようにし、次いで、冷却前の8チューブストリップに移して直ぐに使用する。
【0203】
上記移植されたチップは、5xSSC/0.1%Tween中で、20℃において、60μl/分で75秒間圧送することによって準備される。次に、サーモサイクラは、98.5℃まで加熱され、変性したDNAは、15μl/分で300秒間圧送される。ハイブリダイゼーション混合物を加熱することによって形成される泡を介して洗い流されるように、100μl/分で10秒間、追加的な圧送が行われる。続いて、この温度は、98.5℃に30秒間保ち、その後、19.5分かけて40.2℃までゆっくりと冷却する。このスクリプトは、次のステップに繋がる。
【0204】
増幅
ハイブリッド鋳型分子は、移植プライマおよび熱的安定ポリメラーゼを使う架橋ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅される。10mMトリス(pH9.0)、50mM塩化カリウム、1.5mM塩化マグネシウム、1Mベタインおよび1.3%DMSOからなる増幅緩衝液は、40.2℃において、15μl/分で200秒間、チップ内に圧送される。その後、200μM dNTPsおよび25U/ml Taqポリメラーゼを追加した上記の緩衝液の増幅混合物は、40.2℃において、60μl/分で75秒間、圧送される。次に、サーモサイクラは、74℃まで加熱され、この温度に90秒間保たれる。このステップは、DNA鋳型鎖がハイブリダイズされる表面の結合されたプライマの伸長を可能にする。次に、サーモサイクラは、98.5℃に45秒間(架橋された鎖の変性)、58℃に90秒間(表面のプライマへの鎖のアニーリング)、および74℃に90秒間(プライマの伸長)、加熱することによって、50サイクルの増幅を実行する。98.5℃における定温放置の終わりに、未使用のPCR混合物が15μl/分で10秒間、チップのチャネル内に圧送される。このステップは、PCRの各サイクルに未使用の試薬を提供するとともに、表面から分離したDNA鎖およびプライマを除去してクラスタ間に汚染を導いてしまうことがある。熱サイクルの終わりに、チップは20℃まで冷却される。次に、このチップは、15μl/分で300秒間、74℃において、0.3xSSC/0.1%Tween中に圧送することによって洗浄される。次に、サーモサイクラは、20℃まで冷却される。
【0205】
線形近似
0.1M過ヨウ素酸ナトリウムおよび0.1Mエタノールアミンからなる線形混合物は、20℃において、15μl/分で1時間、チップ内に圧送される。次に、このチップは、20℃において、15μl/分の水を300秒間圧送することによって洗浄される。
【0206】
ブロッキング(選択的)
このステップは、ジデオキシヌクレオチドを(グラフト重合されたプライマおよび増幅したクラスタ分子の両方の)DNA鎖の3’OH末端に取り込むために、末端転写酵素を使用する。
【0207】
50mM 酢酸カリウム、20mM Tris−酢酸、10mM 酢酸マグネシウム、1mM ジチオトレイトール(pH7.9)および250μM CoCl2からなるブロッキング緩衝液が、20℃において、15μl/分で200秒間、チップ内に圧送される。その後、2.4μM ddNTPsおよび250U/ml 末端転写酵素を加えた上記の緩衝液のブロッキング混合物が、37.7℃において、15μl/分で300秒間、圧送される。サーモサイクラは、37.7℃に30分間保たれ、この間に、ブロッキング混合物は、3分ごとに、15μl/分で20秒間チップ内に圧送される。このチップは、ブロッキング後、20℃において、15μl/分で300秒間、0.3xSSC/0.1%Tweenを圧送ることによって洗浄される。
【0208】
クラスタの変性およびシーケンシングプライマのハイブリダイゼーション
このステップは、増幅され、線形化され、さらにブロックされたクラスタの鎖のうちの1つを変性させるとともに洗い流すためにNaOHを使用する。NaOHを除去するように洗浄した後、シーケンシングプライマは、表面上に残された一本鎖上にハイブリダイズされる。
【0209】
クラスタ中の二本鎖DNAは、20℃において、15μl/分で300秒間、0.1N NaOHを圧送することによって変性される。シーケンシングプライマは、5xSSC/0.1%Tween中で0.5μMに希釈され、20℃において、15μl/分で300秒間、チャネル内に圧送される。次に、サーモサイクラは、60℃まで加熱され、この温度に15分間保たれる。次に、サーモサイクラが40.2℃まで冷却され、チップは、0.3xSSC/0.1%Tweenを圧送することによって、15μl/分で300秒間洗浄される。
【0210】
クラスタは、(例えば、本発明のシステムおよび装置を使用する)第1のサイクルのシーケンシング酵素反応用に準備される。
【0211】
このプロセスで使用されるDNAシーケンスは、端部が移植プライマと相補的な400塩基の単一鋳型シーケンスである。二本鎖DNAは、上記のように変性された。
【0212】
プライマの移植
プライマは、典型的には、開裂に要求される種々の特定のシーケンスまたは変更を取り込む5’−ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドである。これらのシーケンスおよびサプライヤは、これらが使用される実験に応じて変化し、この場合には、鋳型二本鎖の5’末端と相補的であった。
【0213】
線形化されたクラスタのシーケンシング
増幅されたクラスタは、移植クラスタのうちの1つの内部にジオール連鎖を含んでいた。
ジオール連鎖は、固相増幅法に使用されるプライマのうちの1つの内部に適当な連鎖を含ませることによって、導くことができる。
【0214】
種々の所望の鋳型固有シーケンスを含む適当なプライマは、商業的な供給業者(例えば、Fidelity Systems Inc.,ATD)から調達可能な部品を使用する標準的な自動DNA合成技術によって製造され得る。
【0215】
開裂可能なジオール含有プライマは、以下の構造を典型的に有する。
【0216】
5’−ホスホロチオエート−アーム26−ジオール22A−シーケンス−3’OH
ここでの「シーケンス」は、鋳型にハイブリダイゼーションされて増幅されることができるヌクレオチドのシーケンスを表す。
【0217】
アーム26およびジオール22Aの成分(米国メリーランド州所在のFidelity Systems Inc,から調達可能)の構造は以下のようである。
【0218】
【化4】

【0219】
このようなジオール連鎖を含む生成物は、上記に示したように過ヨウ素酸を使って開裂させることができ、この結果、上記のようにハイブリダイズされた一本鎖ポリヌクレオチドが生じる。
【0220】
[DNAシーケンシングサイクル]
シーケンシングは、国際特許出願2004/018493号明細書に記載されるように準備された修飾ヌクレオチドを使用して行い、4つの異なる市販の蛍光体(Molecular Probes Inc.)で標識された。
【0221】
変種の9°Nポリメラーゼ酵素(三本鎖変異 L408Y/Y409A/P410VおよびC223Sを含むexo−variant)を、ヌクレオチド取り込みステップに使用した。
【0222】
incorporation mix、incorporation buffer(50mM Tris−HCl pH8.0,6mM MgSO4、1mM EDTA、0.05%(v/v)Tween−20,50mM NaCl)plus110nM YAV exo−C223S、および1μM 標識された4つの修飾ヌクレオチドの各々を、クラスター化された鋳型に適用し、45℃まで加熱した。
【0223】
鋳型を45℃に30分間維持し、20℃まで冷却し、incorporation bufferで洗浄し、続いて5xSSC/0.05%Tween20で洗浄した。その後、鋳型をイメージング緩衝液(溶解したばかりの100mM Tris pH7.0,30mM NaCl,0.05%Tween20,50mMアスコルビン酸ナトリウム)に晒した。鋳型は、室温において4色でスキャニングした。
【0224】
その後、以下のように、開裂および取り込みのシーケンシングサイクルに鋳型を晒した。
【0225】
{開裂}
・開裂緩衝液(0.1M Tris pH7.4,0.1M NaClおよび0.05%Tween20)でプライミングする。60℃に加熱する。
・開裂混合物(開裂緩衝液中に100mM TCEP)でクラスタを処理する。
・4分毎に未使用の緩衝液を圧送し、全体で15分間待つ。
・20℃に冷却する。
・酵素化学上の緩衝液で洗浄する。
・5xSSC/0.05%Tween20で洗浄する。
・イメージング緩衝液でプライミングする。
・室温において4色でスキャニング。
【0226】
{取り込み}
・incorporation bufferでプライミングし、60℃に加熱する。
・incorporation mixで処理する。4分毎に未使用の緩衝液を圧送して全体で15分間待つ。
・20℃に冷却する。
・incorporation bufferで洗浄する。
・5xSSC/0.05%Tween20で洗浄する。
・イメージング緩衝液でプライミングする。
・室温において4色でスキャニング。
・要求されるのと同じ数のサイクルに亘って、取り込み及び開裂のプロセスを繰り返す。
・取り込まれたヌクレオチドは、上記の蛍光撮像装置を使って検出された。
【0227】
代替的に、フローセルは、完全に自動でシーケンシングすることができ、第1の取り込みは、以下に記述するように、この器具上に行われる。
【0228】
器具マニホールド上にフローセルを設定した後、以下に説明するシーケンシングサイクルに鋳型を晒すことができる。すなわち、第1の塩基の取り込み、結像次いで交互開裂、結像および取り込み、要求数と同じ数のシーケンシングサイクルに亘る結像ステップである。
【0229】
第1の塩基の取り込み
・室温で1000μlのincorporation bufferを圧送する。
・温度を55℃に設定して保つ。
・2分間待つ。
・600μlのincorporation mixを圧送する。
・4分間待つ。
・200μlのincorporation mixを圧送する。
・4分間待つ。
・200μlのincorporation mixを圧送する。
・4分間待つ。
・温度を22℃に設定する。
・2分間待つ。
・600μlのincorporation bufferを圧送する。
・600μlの高塩濃度緩衝液を圧送する。
・800μlのscanning mixを圧送する。
・能動冷却を止める。
【0230】
結像ステップ
開裂
・1000μlの開裂緩衝液を室温で圧送する。
・温度を55℃に設定して保つ。
・2分間待つ。
・600μlの開裂混合物を圧送する。
・4分間待つ。
・200μlの開裂混合物を圧送する。
・4分間待つ。
・200μlの開裂混合物を圧送する。
・4分間待つ。
・温度を22℃に設定して保つ。
・2分間待つ。
・600μlのincorporation bufferを圧送する。
・600μlの高塩濃度緩衝液を圧送する。
・800μlのscanning mixを圧送する。
・能動冷却を止める。
【0231】
イメージングステップ
取り込み
・1000μlのincorporation bufferを室温で圧送する。
・温度を55℃に設定して保つ。
・2分間待つ。
・600μlのincorporation mixを圧送する。
・4分間待つ。
・200μlのincorporation mixを圧送する。
・4分間待つ。
・200μlのincorporation mixを圧送する。
・4分間待つ。
・温度を22℃に設定して保つ。
・2分間待つ。
・600μlのincorporation bufferを圧送する。
・600μlの高塩濃度緩衝液を圧送する。
・800μlのscanning mixを圧送する。
・能動冷却を止める。
【0232】
上記の完全ではない自動化プロセスに用いる各チップの各タイルは、標識されたヌクレオチドに対応する4色の各々で記録された。これらの画像を分析して、各クラスタに対して最も明るい色を拾い出し、その画像強度の分析を使って、各サイクルで各クラスタについての塩基を呼び出した。各サイクルからの画像は、各クラスタに対応するシーケンスを得るように共局在化された。各クラスタのシーケンスは周知のもので、かつ上記の実験においてすべてのクラスタについて同じであれば、ヌクレオチド取り込みの各サイクルについて、誤差率(すなわち、正しい手順でクラスタが呼び出されない)を分析することができるであろう。本実験の最初の20サイクルについて、誤差率は1%より低かった。このことは、単一鋳型の周知のシーケンスが正しく呼び出されたことを意味する。
【0233】
上述の発明は、明確性および理解されることを目的としていくつかの詳細を記述したが、当業者であれば、この開示を読めば、本発明の特許請求の範囲を逸脱することなく形態および詳細に様々な変更がなされ得ることが明らかであろう。例えば、上記に説明したすべての技術および装置は、様々に組み合わせて使用することができる。各個別の発行物、特許、特許明細書または他の文書が参照のみを目的として取り込まれることが個別に示される程度に、この明細書に引用されたすべての発行物、特許、特許明細書または他の文書は、全体が本願の参照とされる。
【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】本発明のシステムの一例における主な部品を概略的に示す図。
【図2】囲いのシャーシないし覆いを取り払った本発明のシステムの一例を示す図。
【図3】本発明のシステムに含まれる、フローセル、レンズ、対物レンズおよび光ファイバレーザ装置の一例を示す図。
【図4A】フローセルの形状の一例
【図4B】フローセルの形状の一例
【図4C】フローセルの形状の一例
【図4D】フローセルの形状の一例
【図5A】本発明のシステムのフローセルを形成する方法の1つを示す図。
【図5B】Foturanガラスの遷移スペクトラムを示す図。
【図6A】フローセルを構築するエッチング方法の一例を示す図。
【図6B】フローセルを構築するエッチング方法の一例を示す図。
【図6C】フローセルを構築するエッチング方法の一例を示す図。
【図6D】フローセルを構築するエッチング方法の一例を示す図。
【図6E】フローセルを構築するエッチング方法の一例を示す図。
【図7A】本発明のシステムにおける流体を流す部品/装置の概略図(圧送構成)。
【図7B】本発明のシステムにおける流体を流す部品/装置の概略図(吸引構成)。
【図7C】本発明のシステムにおける流体を流す部品/装置の概略図(吸引構成)。
【図8】本発明の他の部品から切り離して本発明のシステムの加熱/冷却部品を示す図。
【図9A】本発明のフローセルおよびフローセルホルダの構成を概略的に示す図。
【図9B】本発明のフローセルおよびフローセルホルダの構成を概略的に示す図。
【図9C】本発明のフローセルおよびフローセルホルダの構成を概略的に示す図。
【図9D】本発明のフローセルおよびフローセルホルダの構成を概略的に示す図。
【図10A】加熱/冷却部品およびフローセルホルダの移動を示す本発明の一実施例。
【図10B】一例としてのシステムにおける他の部品と関連さえて加熱/冷却部品を概略的に示す図。
【図11A】光学レンズ、光ファイバレーザマウント、加熱器/冷却器およびフローセルホルダ部品を保持するフレームワークの一例を示す図。
【図11B】水平位置を調節するフローセルの構成の一例を示す図。
【図12】本発明のシステムのフレームワークおよびハウジングを示す本発明のシステムの一実施例を示す図。
【図13】本発明のシステムのカメラ、光源および他の部品の選択的な構成を示す図。
【図14】本発明のシステムのカメラ、光源および他の部品の選択的な構成を示す図。
【図15】本発明のシステムのカメラ、光源および他の部品の選択的な構成を示す図。
【図16】本発明のシステムのカメラ、光源および他の部品の選択的な構成を示す図。
【図17】ここでのシステムの一実施例におけるTIRFレーザについてのビームの形状および寸法を示す図。
【図18】ここでのシステムの一実施例におけるTIRFレーザについてのビームの形状および寸法を示す図。
【図19】ここでのシステムの一実施例におけるTIRFレーザについてのビームの形状および寸法を示す図。
【図20】ここでのシステムおよび装置と共に使用するTIRFプリズムの選択的な一実施例を示す図。
【図21】マルチモードファイバ出力の端部を研磨することによって正方形のレーザビームをつくり出すことを示す図。
【図22A】ここでの様々な実施例に選択的に使われるフィルタおよびフィルタホイールの構成の一例を示す図。
【図22B】レーザの波長の位置で励起される4つの例示的な蛍光体との関連で図22Aのフィルタのスペクトラムを示す図。
【図23】本発明のシステムにおける光学部品の一例としての公称1G設計30xK4 System Ray traceを示す図。
【図24】本発明のシステムの一例の30xK4結像性能を示す図。
【図25】ここでのシステムの一例における自動焦点特性を概略的に示す図。ここ
【図26】ここでのシステム/装置における様々な実施例によってつくられた集光した測定および集光していない測定の写真図。
【図27】ここでのシステム/装置における様々な実施例によってつくられた集光した測定および集光していない測定の写真図。
【図28】自動集光レーザビームを図解して示す図。
【図29】本発明の実施例によって検出された全クラスタ数および最小クラスタ領域の関数として検出された核酸クラスタの数のグラフ。
【図30】核酸クラスタの概要および本発明のシステム/装置でのシーケンシングを示す図。
【図31】核酸クラスタの概要および本発明のシステム/装置でのシーケンシングを示す図。
【図32】核酸クラスタの概要および本発明のシステム/装置でのシーケンシングを示す図。
【図33】円形の光ファイバに対して3つの異なる形態の物理変形がファイバから出現するビームに与える効果を示す図。
【図34】長方形の光ファイバに対して3つの異なる形態の物理変形がファイバから出現するビームに与える効果を示す図。ファイバを振動させること又は絞ることにより結像の全時間に亘ってファイバから出現する光を一様にすることを示す図。
【図35A】様々なモードスクランブルが多数の異なる光ファイバから出現する光に与える効果を示す図。
【図35B】様々なモードスクランブルが多数の異なる光ファイバから出現する光に与える効果を示す図。
【図35C】様々なモードスクランブルが多数の異なる光ファイバから出現する光に与える効果を示す図。
【図35D】様々なモードスクランブルが多数の異なる光ファイバから出現する光に与える効果を示す図。
【図35E】様々なモードスクランブルが多数の異なる光ファイバから出現する光に与える効果を示す図。
【図35F】様々なモードスクランブルが多数の異なる光ファイバから出現する光に与える効果を示す図。
【図35G】様々なモードスクランブルが多数の異なる光ファイバから出現する光に与える効果を示す図。
【図35H】様々なモードスクランブルが多数の異なる光ファイバから出現する光に与える効果を示す図。
【図35I】様々なモードスクランブルが多数の異なる光ファイバから出現する光に与える効果を示す図。
【図35J】様々なモードスクランブルが多数の異なる光ファイバから出現する光に与える効果を示す図。
【図35K】様々なモードスクランブルが多数の異なる光ファイバから出現する光に与える効果を示す図。
【図35L】様々なモードスクランブルが多数の異なる光ファイバから出現する光に与える効果を示す図。
【図36】本発明の二元カメラシステムの可能な配置の一実施例を示す図。
【図37】同じ画像に2色で同時に記録するための2つのカメラを含む本発明の一実施例を示す図。
【図38】λ/2波長板を概略的に示す図。
【図39】異なる方向に向けられた扇形を含むλ/2修飾波長板を概略的に示す図。
【図40】本発明の一実施例におけるモード波長板修飾混合システムの概要を示す図。
【図41】マルチモード光ファイバからの照射フットプリント領域と、波長板の使用を介しての光モードの混合からの結果と、の写真図。
【図42】波長板の使用を介してのマルチモードの混合からほぼ一様なレーザフットプリント領域を示す図。
【図43】機器のスキャニング時間を最大化するように化学作用を並列に行う本発明の二元フローセルホルダの実施例。
【図44A】底流フローセル、プリズム、および側/頂面TIPF照射の実施例を示す図。
【図44B】底流フローセル、プリズム、および側/頂面TIPF照射の実施例を示す図。
【図44C】底流フローセル、プリズム、および側/頂面TIPF照射の実施例を示す図。
【図44D】底流フローセル、プリズム、および側/頂面TIPF照射の実施例を示す図。
【図44E】底流フローセル、プリズム、および側/頂面TIPF照射の実施例を示す図。
【図44F】底流フローセル、プリズム、および側/頂面TIPF照射の実施例を示す図。
【図45】フローセルおよびプリズムの下にある温度調整部品の一例を示す図。
【図46】底流フローセルなどと共に使用する流体弁およびマニホールドの一例を示す図。
【図47】本発明の流体弁の一例を示す図。
【図48】本発明の可能な二元フローセルの構造を示す図。
【図49A】本発明の底流フローセルと共に使用することができる底部温度調整構造の一例を示す図。
【図49B】本発明の底流フローセルと共に使用することができる底部温度調整構造の一例を示す図。
【図49C】本発明の底流フローセルと共に使用することができる底部温度調整構造の一例を示す図。
【図49D】本発明の底流フローセルと共に使用することができる底部温度調整構造の一例を示す図。
【図49E】本発明の底流フローセルと共に使用することができる底部温度調整構造の一例を示す図。
【図49F】本発明の底流フローセルと共に使用することができる底部温度調整構造の一例を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1つまたは複数のポリヌクレオチドが結合される固体基材と、
(b)上記ポリヌクレオチドに接触するように、1つまたは複数の蛍光標識された試薬を制御可能に移動させる流体誘導システムと、
(c)上記基材および/または上記試薬の温度を調節する温度制御システムと、
(d)内部全反射(TIR)を介して上記蛍光部を励起させる照射システムと、
(e)上記基材に近接して配置され、上記TIRシステムによって上記蛍光部の励起から生じる蛍光を検出する検出器部品と、
(f)上記検出器に作動可能に接続され、上記検出器から蛍光画像を得るための指示セットを含むコンピュータと、
を備える、1つまたは複数のポリヌクレオチドをシーケンシングするシステム。
【請求項2】
上記温度制御システムが上記基材の温度を調節するために、上記検出器の遠位に上記基材を動かすことができることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記固体基材が、上記ポリヌクレオチドが結合される1つまたは複数の流体チャネルを有するフローセルを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
上記基材が、ガラス、ケイ素またはプラスチックからなることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
上記固体基材が、ビードのアレイであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
上記試薬が、上記1つまたは複数のポリヌクレオチドに相補的な第2のシーケンスを伸長させる成分を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
上記試薬が蛍光標識されたヌクレオチド三リン酸であることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
上記試薬が蛍光標識されたオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
上記照射システムが、光ファイバデバイスを介して結合された少なくとも1つの励起レーザを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
一様な照射フットプリントを得るように、上記ファイバが物理的に変形されることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
上記物理的な変形が絞りによることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
上記物理的な変形が振動によることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
上記検出器がCCDカメラを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
上記検出器が2台のCCDカメラを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
上記検出器が4台のCCDカメラを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
上記検出器が、上記蛍光標識された試薬からの蛍光発光と、上記レーザからの1つまたは複数の光の波長と、に適当な1つまたは複数の光学フィルタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
上記検出器部品が、自動焦点メカニズムを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
2つのフローセルに同時に作用する2つの流体ステーションを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
上記照射システムが光ファイバデバイスを介して結合された2つの励起レーザを備え、そのようなレーザが少なくとも部分的に同じ領域を照射することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
上記検出器が、上記蛍光標識された4つの試薬からの蛍光発光と、上記レーザからの光の波長と、に適当な4つの光学フィルタをさらに備えることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
上記レーザが、532nmおよび660nmの波長で放射することを特徴とする請求項19に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35A】
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【図35B】
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【図35C】
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【図35D】
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【図35E】
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【図35F】
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【図35G】
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【図35H】
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【図35I】
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【図35J】
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【図35K】
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【図35L】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44A】
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【図44B】
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【図44C】
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【図44D】
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【図44E】
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【図44F】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49A】
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【図49B】
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【図49C】
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【図49D】
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【図49E】
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【図49F】
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【公表番号】特表2009−532031(P2009−532031A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503048(P2009−503048)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/007991
【国際公開番号】WO2007/123744
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(598114930)ソレクサ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】Solexa,Inc.
【住所又は居所原語表記】3832 Bay Center Place, Hayward, California 94545 U.S.A.
【Fターム(参考)】