説明

同期信号検出回路および半導体集積回路

【課題】水平方向の描画開始位置を決定する同期信号の検出精度を向上させることができる同期信号検出回路および半導体集積回路を提供する。
【解決手段】同期信号検出回路は、単位検出回路のうちの偶数番目の単位検出回路からなり、偶数番目の単位検出回路による単位検出結果にもとづいた偶数側検出結果を出力する偶数側検出回路と、奇数番目の単位検出回路からなり、奇数番目の単位検出回路による単位検出結果にもとづいて奇数側検出結果を出力する奇数側検出回路と、偶数側検出結果と奇数側検出結果とを比較し、比較の結果に応じて、偶数側検出結果と奇数側検出結果とのいずれかにもとづいて、有効エッジのタイミングを判定する判定回路とを有し、同期信号の有効エッジの多相クロック信号のクロックエッジに対するタイミングを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザープリンタやコピー機において、水平方向(主走査方向)の描画開始位置を決定する同期信号のタイミングを検出する同期信号検出回路および半導体集積回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンタやコピー機においては、正しい位置に描画を行うために、一定の周期でスキャンする描画用のレーザービームを、スキャンのタイミングに同期して、画像データに応じて変調(例えば、パルス幅変調(PWM))する必要がある。そのため、レーザービームを所定の位置に配設したセンサーに入射し、センサーが出力する同期信号のタイミングを検出することでスキャンのタイミングを検出している。
【0003】
このタイミングの検出には、大別して2通りの手法が知られている。1つは、特許文献1,2に開示されているように、同期信号検出用の多相のクロック信号のエッジで同期信号をサンプリングすることで、そのエッジのタイミングを検出する手法である。もう1つは、特許文献3に開示されているように、多相のクロック信号を同期信号のエッジでサンプリングすることで、同期信号のエッジのタイミングを検出する手法である。
【0004】
同期信号のエッジのタイミングの検出精度(分解能)を向上させるためには、例えば、検出用のクロック信号を1つだけ使用する場合、その検出用クロック信号の周波数を高くしたり、上記のように、多相クロック信号を利用したりすることが行われる。
【0005】
例えば、特許文献1には、φ0〜φ3、φ0’〜φ3’の8相のクロック信号を利用することが記されている。この8相のクロック信号を、互いに逆相のクロック信号対からなる4組に分け、それぞれの組の中でどちらのクロック信号が先に同期信号のエッジを検知したか、すなわち、同期信号のエッジの後で、どちらのクロック信号のエッジが先に変化したかに基づいて、同期信号のエッジのタイミングを検出する。
【0006】
通常状態であれば、8相のクロック信号のうち、隣り合うクロック信号の位相が逆転することはなく、両者の位相差も保たれた状態になると考えられるため、特許文献1のタイミング検出回路は問題なく動作する。
【0007】
しかし、動作周波数が非常に高くなり、隣り合うクロック信号の位相差が短くなると、何らかの外部要因等で、一部の隣り合うクロック信号の位相が逆転する可能性が高くなる。この場合、デコーダへの入力が、想定した組合せ(特許文献1の表1に示されているもの)のいずれとも一致せず、エラー(検知不可能)になる。そのため、検出精度の向上のために、クロック信号の相数を増やすことが難しいという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開2008−55750号公報
【特許文献2】特開2005−14525号公報
【特許文献3】特開平7−72400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解消し、水平方向の描画開始位置を決定する同期信号の検出精度を向上させることができる同期信号検出回路および半導体集積回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、同一の周波数を持ち、順番にクロックエッジを有する0番目から2n−1番目(nは2以上の整数)までの多相クロック信号のうちの、対応するクロック信号が供給され、該供給されたクロック信号のクロックエッジと同期信号の有効エッジとの時間的関係を検出する0番目から2n−1番目までの単位検出回路を備え、該同期信号の有効エッジの該多相クロック信号のクロックエッジに対するタイミングを判定する同期信号検出回路であって、
前記単位検出回路のうちの偶数番目の単位検出回路からなり、該偶数番目の単位検出回路による単位検出結果にもとづいた偶数側検出結果を出力する偶数側検出回路と、奇数番目の単位検出回路からなり、該奇数番目の単位検出回路による単位検出結果にもとづいて奇数側検出結果を出力する奇数側検出回路と、
前記偶数側検出結果と奇数側検出結果とを比較し、該比較の結果に応じて、該偶数側検出結果と奇数側検出結果とのいずれかにもとづいて、前記有効エッジのタイミングを判定する判定回路とを有することを特徴とする同期信号検出回路を提供するものである。
【0011】
ここで、前記単位検出回路は、前記対応するクロック信号のクロックエッジで前記同期信号をサンプリングするものであり、
前記偶数側検出回路は、前記偶数番目の単位検出回路のいずれが最初に前記有効エッジを検出したかを示す信号を前記偶数側検出結果として出力し、前記奇数側検出回路は、前記奇数番目の単位検出回路のいずれが最初に前記有効エッジを検出したかを示す信号を前記奇数側検出結果として出力することが好ましい。
【0012】
また、nが偶数であり、
前記偶数番目の単位検出回路は、それぞれが2個の単位検出回路からなり、該2個の単位検出回路のいずれが先に前記有効エッジを検出したかを示す単位比較結果を前記単位検出結果として出力する、1番目からn/2番目までの偶数側単位比較回路に構成され、前記偶数側検出回路は、該1番目からn/2番目までの偶数側単位比較回路が出力する単位比較結果を偶数側比較結果として出力し、
前記奇数番目の単位検出回路は、それぞれが2個の単位検出回路からなり、該2個の単位検出回路のいずれが先に前記有効エッジを検出したかを示す単位比較結果を前記単位検出結果として出力する、1番目からn/2番目までの奇数側単位比較回路に構成され、前記奇数側検出回路は、該1番目からn/2番目までの奇数側単位比較回路が出力する単位比較結果を奇数側比較結果として出力することが好ましい。
【0013】
また、前記1番目からn/2番目までの偶数側単位比較回路が、それぞれ、前記単位検出回路のうちの2j−2番目の単位検出回路と2k−2番目の単位検出回路とからなる(j、kは互いに異なる1からnまでの整数)場合に、
前記1番目からn/2番目までの奇数側単位比較回路が、それぞれ、前記単位検出回路のうちの2j−1番目の単位検出回路と2k−1番目の単位検出回路とからなり、
前記判定回路は、前記偶数側検出結果と奇数側検出結果とが同一であるか異なるかに応じて、前記偶数側比較結果と奇数側比較結果とのいずれかにもとづいて、前記有効エッジのタイミングを判定することが好ましい。
【0014】
また、前記1番目からn/2番目までの偶数側単位比較回路は、それぞれ、前記単位検出回路のうちの2i−2番目(iは1からn/2までの整数)の単位検出回路と2i−2+n番目の単位検出回路とからなり、
前記1番目からn/2番目までの奇数側単位比較回路は、前記単位検出回路のうちの2i−1番目の単位検出回路と2i−1+n番目の単位検出回路からなることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の同期信号検出回路と、前記多相クロック信号を生成し、該同期信号検出回路に供給するクロック信号供給回路とを含む半導体集積回路を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、多相クロック信号の各々に対応する単位検出回路を、偶数側検出回路と奇数側検出回路とに分けることによって、位相が正常な時の同期信号の検出精度(分解能)を従来の2倍とすることができ、位相が逆転した場合であっても、従来と同じ検出精度を得ることができる。これにより、同期信号の検出精度(すなわち、描画開始位置の検出精度)を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の同期信号検出回路および半導体集積回路を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の同期信号検出回路の構成を表す一実施形態の概略図である。同図に示す同期信号検出回路10は、同期信号検出用の16相のクロック信号PH0〜15の各々のクロックエッジ(本実施形態では、立上りエッジ)に対する、同期信号TRの有効エッジ(本実施形態では、立下りエッジ)のタイミングを判定し、その判定結果を出力するものである。検出回路10は、偶数側検出回路12と、奇数側検出回路14と、比較器&デコーダ16とによって構成されている。
【0019】
ここで、16相のクロック信号PH0〜15は、同一の周波数を持ち、1周期の時間内において、それぞれ、所定の時間ずつずれたタイミングで順番にクロックエッジを有する。また、16相のクロック信号PH0〜15のうち、クロック信号PH0とPH8、PH1とPH9、PH2とPH10、PH3とPH11、PH4とPH12、PH5とPH13、PH6とPH14、PH7とPH15は、それぞれ、逆相の(位相が180°ずれた)クロック信号である。
【0020】
偶数側検出回路12は、16相のクロック信号PH0〜15の各々に対応する16個の単位検出回路18z(z=0〜15の整数)のうちの、偶数番目のクロック信号PHx(x=0,2,4,6,8,10,12,14)に対応する8個の単位検出回路(偶数側単位検出回路)18xを含む。偶数側検出回路12は、偶数側単位検出回路18xによる単位検出結果(偶数側単位検出結果)に基づいて偶数側検出結果を出力する。
【0021】
一方、奇数側検出回路14は、16相のクロック信号PH0〜15の各々に対応する16個の単位検出回路18zのうちの、奇数番目のクロック信号PHy(y=1,3,5,7,9,11,13,15)に対応する8個の単位検出回路(奇数側単位検出回路)18yを含む。奇数側検出回路14は、奇数側単位検出回路18yによる単位検出結果(奇数側単位検出結果)に基づいて奇数側検出結果を出力する。
【0022】
比較器&デコーダ16は、本発明の判定回路に相当するものであり、偶数側検出結果と奇数側検出結果とを比較し、両者の比較の結果(両者の値が一致するか不一致か)に応じて、偶数側検出結果と奇数側検出結果とのいずれかに基づいて、その検出結果の値をデコードし、最初に同期信号TRを検出したクロック信号PHzを特定することにより、同期信号TRの有効エッジのタイミングを判定し、判定結果PHASEを出力する。
【0023】
次に、単位検出回路18zについて説明する。
【0024】
16個の単位検出回路18zの各々には、16相のクロック信号PH0〜15のうちの、対応するクロック信号PHzが供給される。単位検出回路18zは、供給されたクロック信号PHzのクロックエッジと同期信号TRの有効エッジとの時間的関係を検出する。単位検出回路18zの各々は、2つのフリップフロップ(FF)20,22によって構成されている。
【0025】
前段のFF20のデータ入力端子には同期信号TRが入力され、後段のFF22のデータ入力端子には前段のFF20の出力信号が入力される。FF20,22のクロック入力端子には、クロック信号PHzが入力される。FF22の出力信号、すなわち、単位検出回路18zの出力信号は、比較器&デコーダ16に入力されるとともに、逆相の単位検出回路18zのセット端子SBにも入力される。
【0026】
クロック信号PHzの立上りエッジに同期して、FF20には、その時点での同期信号TRが保持(サンプリング)され、FF22にはFF20の出力信号(1クロック前のクロック信号PHzでFF20に保持された同期信号TR)が保持される。すなわち、同期信号TRは、クロック信号PHzの2クロック後にFF22に保持される。FF22の出力信号は、各々の単位検出回路18zの単位検出結果として出力される。
【0027】
また、前述の通り、単位検出回路18zのFF22の出力信号は、その逆相の単位検出回路18zのFF22のセット端子SBに入力される。単位検出回路18zの出力信号がHの場合、その逆相の単位検出回路18zのFF22は上記の通りに動作する。一方、単位検出回路18zの出力信号がLの場合、その逆相の単位検出回路18zのセット端子がLとなり、逆相の単位検出回路18zの出力信号は強制的にHとなる。
【0028】
ここで、偶数側検出回路12は、偶数側単位検出結果に基づいて、偶数側単位検出回路18xのいずれが最初に同期信号TRの立下りエッジを検出したかを示す信号を偶数側検出結果として出力する。一方、奇数側検出回路14は、奇数側単位検出結果に基づいて、奇数側単位検出回路18yのいずれが最初に同期信号TRの立下りエッジを検出したかを示す信号を奇数側検出結果として出力する。
【0029】
次に、検出回路10の動作を説明する。
まず、クロック信号PH0〜15の位相が正常な場合の動作を説明する。
【0030】
例えば、クロック信号PH4に対応する単位検出回路184で最初に同期信号TRの立下りエッジが検出された場合、それぞれの単位検出回路18zのFF22の出力信号は下記表1の通りとなる。
【0031】
【表1】

【0032】
この場合、同期信号TRが立ち下がった後、クロック信号PH4の立上りエッジで最初に単位検出回路184に同期信号TRのL(0)が保持され、続いて、クロック信号PH5〜11に対応する単位検出回路185〜1811にもLが保持される。一方、単位検出回路184〜1811の出力信号がセット端子に入力される逆相の単位検出回路1812〜1815および180〜183の出力信号はH(1)に固定される。
【0033】
表1に示すように、偶数側検出回路12に含まれる単位検出回路18xのFF22の出力信号の値(偶数側検出結果)と、奇数側検出回路14に含まれる単位検出回路18yのFF22の出力信号の値(奇数側検出結果)は等しくなっている。
【0034】
また、クロック信号PH5に対応する単位検出回路185で最初に同期信号TRの立下りエッジが検出された場合、それぞれの単位検出回路18zのFF22の出力信号は下記表2の通りとなる。
【0035】
【表2】

【0036】
この場合、同期信号TRが立ち下がった後、クロック信号PH5の立上りエッジで最初に単位検出回路185に同期信号TRのLが保持され、続いて、クロック信号PH6〜12に対応する単位検出回路186〜1812にもLが保持される。一方、単位検出回路185〜1812の出力信号がセット端子に入力される逆相の単位検出回路1813〜1815および180〜184の出力信号はHに固定される。
【0037】
表2に示すように、偶数側検出回路12に含まれる単位検出回路18xのFF22の出力信号の値(偶数側検出結果)と、奇数側検出回路14に含まれる単位検出回路18yのFF22の出力信号の値(奇数側検出結果)は異なっている。
【0038】
検出回路10では、比較器&デコーダ16により、偶数側検出結果と奇数側検出結果とを比較し、両者の値が等しい時には偶数側検出結果をデコードし、異なっている時には奇数側検出結果をデコードする。そして、デコード値に基づいて、FF22の値が最初に0となっている単位検出回路18zを特定することによって、どのクロック信号PHzに対応する単位検出回路18zが最初に同期信号TRを検出したかを判定し、判定結果PHASEを出力する。
【0039】
続いて、隣り合うクロック信号の位相が逆転した場合の動作を説明する。
【0040】
隣り合うクロック信号PH3とPH4の位相が逆転しており、クロック信号PH4が先に立ち上がり、続いて、クロック信号PH3が立ち上がる場合を考える。例えば、クロック信号PH4の立上りエッジのタイミングでは同期信号TRがHであり、その後、同期信号TRが立ち下がって、クロック信号PH3の立上りエッジのタイミングでは同期信号TRがLになっているものとする。
【0041】
この場合、まず、クロック信号PH4に対応する単位検出回路184に同期信号TRのHが保持され、続くクロック信号PH3の立上りエッジで最初に単位検出回路183に同期信号TRのLが保持される。下記表3に示すように、単位検出回路18zの出力期待値は表1と同じ値であるが、誤検出値のように、単位検出回路184の値(1)と単位検出回路183の値(0)が逆転した形となる。
【0042】
【表3】

【0043】
例えば、特許文献1のタイミング検出回路では、上記表3の誤検出値をデコードできないため、同期信号TRの検出結果が無効となり、描画開始位置の期待値からの誤差が大きくなる。これに対し、本実施形態の検出回路10の場合、それぞれの単位検出回路18zのFF22の出力信号は下記表4に示す通りとなる。表4における期待値と誤検出値の値は、表3に示すものと同じである。
【0044】
【表4】

【0045】
検出回路10では、16個の単位検出回路が、偶数番目の8個の単位検出回路18xを含む偶数側検出回路12と、奇数番目の8個の単位検出回路18yを含む奇数側検出回路14とに分けられている。表4から分かるように、偶数側検出結果(誤検出値)と奇数側検出結果(誤検出値)は異なっているため、前述のように、比較器&デコーダ16によって奇数側検出結果(誤検出値)がデコードされる。
【0046】
その結果、同期信号TRを最初に検出したクロック信号PHzは、クロック信号PH3であると判定される。この場合、PWM信号の描画開始位置の期待値からの誤差は、隣り合うクロック信号PH3とPH4の位相分のみとなり、描画開始位置の検出精度(分解能)としては正常時の半分となる。なお、他の隣り合うクロック信号PHz間の位相のいずれかが逆転した場合も全く同じである。
【0047】
つまり、検出回路10では、多相クロック信号の各々に対応する単位検出回路を、偶数側検出回路と奇数側検出回路とに分けることによって、位相が正常な時の同期信号の検出精度(分解能)を従来(例えば、特許文献1)の2倍とすることができ、位相が逆転した場合であっても、従来と同じ検出精度を得ることができる。これにより、同期信号の検出精度(すなわち、描画開始位置の検出精度)を向上させることができる。
【0048】
なお、同期信号検出用の多相クロック信号の相数は4以上の偶数であれば、0番目から2n−1番目(nは2以上の整数)までの多相クロック信号とすることができる。また、同期検出用の多相クロック信号の相数を4の倍数とする(上記のnを偶数とする)ことが望ましい。いずれの場合においても、単位検出回路は、多相クロック信号に含まれる各々のクロック信号に1対1に対応して設けられる。
【0049】
相数を4の倍数とする場合、偶数側単位検出回路は、1番目からn/2番目までの偶数側単位比較回路に(として)構成することができる。偶数側単位比較回路は、それぞれが2個の単位検出回路からなり、2個の単位検出回路のいずれが先に有効エッジを検出したかを示す単位比較結果を単位検出結果として出力する。偶数側検出回路は、1番目からn/2番目までの偶数側単位比較回路が出力する単位比較結果を偶数側比較結果として出力する。
【0050】
一方、奇数側単位検出回路は、1番目からn/2番目までの奇数側単位比較回路に(として)構成することができる。奇数側単位比較回路は、それぞれが2個の単位検出回路からなり、2個の単位検出回路のいずれが先に有効エッジを検出したかを示す単位比較結果を単位検出結果として出力する。奇数側検出回路は、1番目からn/2番目までの奇数側単位比較回路が出力する単位比較結果を奇数側比較結果として出力する。
【0051】
上記比較回路を構成するのは、上記のように、比較結果を得ることによって多相クロック信号のそれぞれのクロックエッジのタイミングでのサンプリング結果の利用を容易にすることが第1の目的であり、多相クロック信号のうちの特定のものを組み合わせることは必須ではない。つまり、単位比較結果が0になる個数が同数となる組合せであれば、どのような組合せであってもよい。
【0052】
例えば、偶数側検出回路では、それぞれ、クロック信号PH0とPH2、クロック信号PH4とPH6、クロック信号PH8とPH10、クロック信号PH12とPH14に対応する単位検出回路を組み合わせると、クロック信号PH4で最初に同期信号TRを検出した場合、単位検出回路180〜1814のFF22の出力信号は、1,1,0,0,0,0,1,1,になる。
【0053】
また、偶数側単位比較回路の組合せ方と奇数側単位比較回路の組合せ方とが同一であることが望ましい。
【0054】
つまり、1番目からn/2番目までの偶数側単位比較回路が、それぞれ、単位検出回路のうちの2j−2番目の単位検出回路と2k−2番目の単位検出回路とからなる(j、kは互いに異なる1からnまでの整数)場合に、1番目からn/2番目までの奇数側単位比較回路が、それぞれ、単位検出回路のうちの2j−1番目の単位検出回路と2k−1番目の単位検出回路とからなるようにする。
【0055】
これにより、判定回路は、偶数側検出結果と奇数側検出結果とが同一であるか異なるかに応じて、偶数側比較結果と奇数側比較結果とのいずれかに基づいて、有効エッジのタイミングを判定することができる。すなわち、判定回路は、偶数側検出結果と奇数側検出結果とを比較するのみで、どちらの検出結果をデコードすればよいのかを決めることができる。
【0056】
上記の偶数側検出回路の組合せ例の場合、奇数側検出回路も同様に、クロック信号PH1とPH3、クロック信号PH5とPH7、クロック信号PH9とPH11、クロック信号PH13とPH15に対応する単位検出回路を組み合わせると、偶数側検出結果と奇数側検出結果とを比較するのみで、どちらの検出結果をデコードすればよいのかを決めることができる。
【0057】
ただし、組み合わせるクロック信号の位相差を大きくすることにより、安定した比較結果を得ることができる。
【0058】
すなわち、1番目からn/2番目までの偶数側単位比較回路が、それぞれ、単位検出回路のうちの2i−2番目(iは1からn/2までの整数)の単位検出回路と2i−2+n番目の単位検出回路とからなるようにする。一方、1番目からn/2番目までの奇数側単位比較回路は、単位検出回路のうちの2i−1番目の単位検出回路と2i−1+n番目の単位検出回路からなるようにする。
【0059】
また、本発明では、実施形態のように、多相クロック信号のクロックエッジで同期信号のレベルをサンプリング(保持)することによって、同期信号の有効エッジのタイミングを判定(検出)してもよいし、特許文献3に開示されているように、同期信号の有効エッジで多相クロック信号の各々のレベルをサンプリングすることによって、同期信号の有効エッジのタイミングを判定することもできる。
【0060】
また、本発明の半導体集積回路は、本発明の同期信号検出回路と、同期信号検出用の多相クロック信号を生成し、同期信号検出回路に供給するクロック信号供給回路とを含むものである。クロック信号供給回路は、その具体的な回路構成は何ら限定されないが、例えば、特許文献1の図2に記載されたような、逓倍回路、遅延回路、インバータを利用した多相クロック回路を利用することができる。
【0061】
また、本発明は、レーザープリンタやコピー機などの画像形成装置において、水平方向の描画開始位置を決定する同期信号のタイミングを検出する用途に限らず、同期信号の有効エッジを検出するあらゆる用途に適用できる。
【0062】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の同期信号検出回路の構成を表す一実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0064】
10 同期信号検出回路
12 偶数側検出回路
14 奇数側検出回路
16 比較器&デコーダ
18 単位検出回路
20,22 フリップフロップ(FF)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の周波数を持ち、順番にクロックエッジを有する0番目から2n−1番目(nは2以上の整数)までの多相クロック信号のうちの、対応するクロック信号が供給され、該供給されたクロック信号のクロックエッジと同期信号の有効エッジとの時間的関係を検出する0番目から2n−1番目までの単位検出回路を備え、該同期信号の有効エッジの該多相クロック信号のクロックエッジに対するタイミングを判定する同期信号検出回路であって、
前記単位検出回路のうちの偶数番目の単位検出回路からなり、該偶数番目の単位検出回路による単位検出結果にもとづいた偶数側検出結果を出力する偶数側検出回路と、奇数番目の単位検出回路からなり、該奇数番目の単位検出回路による単位検出結果にもとづいて奇数側検出結果を出力する奇数側検出回路と、
前記偶数側検出結果と奇数側検出結果とを比較し、該比較の結果に応じて、該偶数側検出結果と奇数側検出結果とのいずれかにもとづいて、前記有効エッジのタイミングを判定する判定回路とを有することを特徴とする同期信号検出回路。
【請求項2】
前記単位検出回路は、前記対応するクロック信号のクロックエッジで前記同期信号をサンプリングするものであり、
前記偶数側検出回路は、前記偶数番目の単位検出回路のいずれが最初に前記有効エッジを検出したかを示す信号を前記偶数側検出結果として出力し、前記奇数側検出回路は、前記奇数番目の単位検出回路のいずれが最初に前記有効エッジを検出したかを示す信号を前記奇数側検出結果として出力することを特徴とする請求項1記載の同期信号検出回路。
【請求項3】
nが偶数であり、
前記偶数番目の単位検出回路は、それぞれが2個の単位検出回路からなり、該2個の単位検出回路のいずれが先に前記有効エッジを検出したかを示す単位比較結果を前記単位検出結果として出力する、1番目からn/2番目までの偶数側単位比較回路に構成され、前記偶数側検出回路は、該1番目からn/2番目までの偶数側単位比較回路が出力する単位比較結果を偶数側比較結果として出力し、
前記奇数番目の単位検出回路は、それぞれが2個の単位検出回路からなり、該2個の単位検出回路のいずれが先に前記有効エッジを検出したかを示す単位比較結果を前記単位検出結果として出力する、1番目からn/2番目までの奇数側単位比較回路に構成され、前記奇数側検出回路は、該1番目からn/2番目までの奇数側単位比較回路が出力する単位比較結果を奇数側比較結果として出力することを特徴とする請求項2記載の同期信号検出回路。
【請求項4】
前記1番目からn/2番目までの偶数側単位比較回路が、それぞれ、前記単位検出回路のうちの2j−2番目の単位検出回路と2k−2番目の単位検出回路とからなる(j、kは互いに異なる1からnまでの整数)場合に、
前記1番目からn/2番目までの奇数側単位比較回路が、それぞれ、前記単位検出回路のうちの2j−1番目の単位検出回路と2k−1番目の単位検出回路とからなり、
前記判定回路は、前記偶数側検出結果と奇数側検出結果とが同一であるか異なるかに応じて、前記偶数側比較結果と奇数側比較結果とのいずれかにもとづいて、前記有効エッジのタイミングを判定することを特徴とする請求項3記載の同期信号検出回路。
【請求項5】
前記1番目からn/2番目までの偶数側単位比較回路は、それぞれ、前記単位検出回路のうちの2i−2番目(iは1からn/2までの整数)の単位検出回路と2i−2+n番目の単位検出回路とからなり、
前記1番目からn/2番目までの奇数側単位比較回路は、前記単位検出回路のうちの2i−1番目の単位検出回路と2i−1+n番目の単位検出回路からなることを特徴とする請求項4記載の同期信号検出回路。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の同期信号検出回路と、前記多相クロック信号を生成し、該同期信号検出回路に供給するクロック信号供給回路とを含む半導体集積回路。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−76127(P2010−76127A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244026(P2008−244026)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(501285133)川崎マイクロエレクトロニクス株式会社 (449)
【Fターム(参考)】