説明

同期化回路

【課題】 同期化回路の無駄なスイッチング動作を回避し、消費電力を低減する。
【解決手段】 同期化レジスタ20および30には、受信レジスタ10が取り込んだデータの下位8ビットデータRD0〜RD7および上位8ビットデータRD8〜RD15が各々与えられる。クロックゲーティング制御回路40は、同期化レジスタ20の入力データおよび出力データの不一致が発生したときのみ同期化クロックCLK2aを同期化レジスタ20に与え、クロックゲーティング制御回路50は、ビット幅指定信号BT8がLレベルであり、同期化レジスタ30の入力データおよび出力データの不一致が発生したときのみ同期化クロックCLK2bを同期化レジスタ30に与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非同期インターフェースに用いられる同期化回路に関する。
【背景技術】
【0002】
同期が取れていない送信側装置と受信側装置との間でデータの受け渡しを行う場合、受信側装置に同期化回路を設けるのが一般的である。この同期化回路は、送信側装置から与えられるデータを受信側装置の内部クロックに同期化させて出力する回路である。この種の同期化回路は、基本的には、受信レジスタと同期化レジスタにより構成されている。ここで、受信レジスタは、送信側装置から書き込みクロックおよびデータを受信し、受信したデータを書き込みクロックにより取り込んで出力する。同期化レジスタは、受信レジスタの出力データを内部クロックにより取り込み、内部クロックに同期したデータとして出力する。
【特許文献1】特開平11−96112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した従来の同期化回路においては、同期化レジスタに内部クロックが常時供給されるため、受信レジスタに新規なデータが書き込まれず、同期化レジスタを動作させる必要がない期間においても同期化レジスタがスイッチング動作し、電力が無駄に消費されるという問題があった。
【0004】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、同期化レジスタの無駄なスイッチング動作を回避し、消費電力を低減することができる同期化回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、送信側装置から書き込みクロックおよびデータを受信し、前記データを前記書き込みクロックにより取り込んで出力する受信レジスタと、前記受信レジスタの出力データが入力データとして与えられ、この入力データを内部クロックに同期した同期化クロックにより取り込み、前記内部クロックに同期したデータとして出力する同期化レジスタと、前記同期化レジスタの入力データと出力データとを比較する比較手段と、前記同期化レジスタの入力データと出力データとが一致しないことを前記比較手段の比較結果が示しているとき、前記内部クロックを通過させ、前記同期化クロックとして前記同期化レジスタに与えるクロックゲーティング制御手段とを具備することを特徴とする同期化回路を提供する。
かかる発明によれば、クロックゲーティング制御手段は、受信レジスタに新規なデータが書き込まれ、同期化レジスタの入力データと出力データに不一致が生じた場合に限り、内部クロックを同期化クロックとして同期化レジスタに与え、受信レジスタの出力データを同期化レジスタに書き込む。従って、同期化レジスタの無駄なスイッチング動作を回避し、消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
<第1実施形態>
図1はこの発明の第1実施形態である同期化回路の構成を示すブロック図である。この同期化回路は、ある半導体集積回路に設けられた回路であり、図示しない外部の送信側装置から送信されてくる16ビットの入力データD0〜D15と書き込みクロックCLK1を受け取り、受け取ったデータを内部クロックCLK2に同期化させ、半導体集積回路の内部回路に供給する回路である。ここで、書き込みクロックCLK1は、内部クロックCLK2とは非同期な送信側装置の内部クロックに同期した信号であり、入力データD0〜D15はこの書き込みクロックCLK1に同期して送信側装置から送信される。
【0007】
図1において、受信レジスタ10は、16ビットのレジスタであり、書き込みクロックCLK1の立ち上がり時点における入力データD0〜D15を取り込んで保持し、データRD0〜RD15として出力する。受信レジスタ10の後段には、同期化レジスタ20および30が設けられている。同期化レジスタ20は、8ビットのレジスタであり、受信レジスタ10から出力される16ビットのデータのうちの下位8ビットのデータRD0〜RD7を同期化クロックCLK2aの立ち上がりにより取り込み、出力データSD0〜SD7として出力する。同期化クロックCLK2aは、この半導体集積回路の内部クロックCLK2に同期したクロックであり、クロックゲーティング制御回路40により発生される。同期化レジスタ30は、8ビットのレジスタであり、受信レジスタ10から出力される16ビットのデータのうちの上位8ビットのデータRD8〜RD15を同期化クロックCLK2bの立ち上がりにより取り込み、出力データSD8〜SD15として出力する。同期化クロックCLK2bは、内部クロックCLK2に同期したクロックであり、クロックゲーティング制御回路50により発生される。同期化レジスタ20の出力データSD0〜SD7および同期化レジスタ30の出力データSD8〜SD15は、内部クロックCLK2に同期したデータとして半導体集積回路の内部回路に供給される。
【0008】
比較回路60および70は、同期化レジスタ20および30の入力データRD0〜RD15と出力データSD0〜SD15とを比較する比較手段を構成している。さらに詳述すると、比較回路60は、同期化レジスタ20の入力データRD0〜RD7と出力データSD0〜SD7とを比較し、比較結果信号CMPaを出力する回路である。図2は、この比較回路60の構成例を示すものである。この比較回路60は、同期化レジスタ20の入力データRD0〜RD7の各ビットと出力データSD0〜SD7の各ビットとの排他的論理和を各々出力する8個の排他的論理和ゲート411と、これらの8個の排他的論理和ゲート411の出力データが入力され、比較結果信号CMPaを出力するローアクティブANDゲート412とにより構成されている。ここで、比較結果信号CMPaは、入力データRD0〜RD7の各ビットと出力データSD0〜SD7の各ビットが全て一致している場合にはHレベル、1ビットでも異なっている場合にはLレベルとなる。この比較結果信号CMPaは、インバータ61によってレベルが反転され、不一致検出信号NEaとしてクロックゲーティング制御回路40に供給される。
【0009】
比較回路70は、比較回路60と同様な構成の回路であり、同期化レジスタ30の入力データRD8〜RD15と出力データSD8〜SD15とを比較し、両者が一致している場合にはHレベルの比較結果信号CMPbを出力し、両者が不一致である場合にはLレベルの比較結果信号CMPbを出力する回路である。この比較回路70の後段には、インバータ71が設けられ、さらにその後段には、ハイアクティブ入力端子とローアクティブ入力端子を持ったANDゲート72が設けられている。比較回路70から出力される比較結果信号CMPbは、インバータ71によってレベルが反転され、ANDゲート72のハイアクティブ入力端子に入力される。ANDゲート72のローアクティブ入力端子には、ビット幅指定信号BT8が与えられる。このビット幅指定信号BT8は、受信レジスタ10に与えられるデータD0〜D15の有効部分を示す有効性信号であり、データD0〜D15の16ビット全部が有効である場合にはLレベル、下位8ビットD0〜D7のみが有効である場合にはHレベルとされる。ビット幅指定信号BT8は、データD0〜D15の送信元である装置からこの半導体集積回路に与えるものであってもよいし、それ以外の他の装置から与えられるものであってもよい。このビット幅指定信号BT8がLレベルの場合、ANDゲート72は、インバータ71の出力信号を通過させ、不一致検出信号NEbとしてクロックゲーティング制御回路50に供給する。ビット幅指定信号BT8がHレベルの場合、ANDゲート72は、Lレベルの不一致検出信号NEbをクロックゲーティング制御回路50に供給する。
【0010】
クロックゲーティング制御回路40は、不一致検出信号NEaがHレベルになったとき、内部クロックCLK2を通過させ、同期化レジスタ20に同期化クロックCLK2aとして出力する回路である。
【0011】
クロックゲーティング制御回路40の構成には各種の態様が考えられるが、本実施形態におけるクロックゲーティング制御回路40は、図3に示すように、ラッチ41とANDゲート42とにより構成されている。ここで、ラッチ41は、内部クロックCLK2がLレベルである期間は不一致検出信号NEaを通過させ、内部クロックCLK2がHレベルである期間は、その直前の内部クロックCLK2の立ち上がり時点における不一致検出信号NEaを保持し、イネーブル信号ENとして出力する回路である。ANDゲート42は、このイネーブル信号ENと内部クロックCLK2の論理積を取り、同期化クロックCLK2aとして出力する。
【0012】
クロックゲーティング制御回路50は、クロックゲーティング制御回路40と同様な構成の回路であり、不一致検出信号NEbがHレベルになったとき、内部クロックCLK2を通過させ、同期化レジスタ30に同期化クロックCLK2bとして出力する回路である。上述したように不一致検出信号NEbは、ANDゲート72から出力される。このANDゲート72は、同期化レジスタ30に与えられる入力データRD8〜RD15が無効であることを有効性信号であるビット幅指定信号BT8が示しているときに、比較回路70から出力される比較結果信号CMPbに拘わらず、同期化レジスタ30に対応したクロックゲーティング制御回路50が同期化クロックCLK2bを出力するのを阻止する同期化クロック強制停止制御部としての役割を果たす。
以上が本実施形態による同期化回路の構成である。
【0013】
図4は、本実施形態による同期化回路の各部の波形を示すタイムチャートである。以下、この図を参照し、本実施形態の動作を説明する。図示の例において、送信側装置は、データD0〜D15を送信し、その後、一定期間に亙って書き込みクロックCLK1をHレベルとしている。送信側装置からのデータD0〜D15は、この書き込みクロックCLK1の立ち上がりにより受信レジスタ10に書き込まれる。
【0014】
図4(a)は、同期化回路において、送信側装置から与えられる下位8ビットのデータD0〜D7の処理を行う各部の波形を例示している。また、図4(b)および(c)は、ビット幅指定信号BT8がLレベルの場合およびHレベルの場合の各々について、送信側装置から与えられる上位8ビットのデータD8〜D15の処理を行う各部の波形を例示している。
【0015】
図4(a)に示す例では、書き込みクロックCLK1の立ち上がり時、少なくとも下位8ビットの内容がそれまでのものと異なったデータD0〜D15が受信レジスタ10へ書き込まれ、受信レジスタ10から同期化レジスタ20に与えられる下位ビットデータRD0〜RD7が切り換わっている。このため、書き込みクロックCLK1の立ち上がり時に、比較結果信号CMPaがLレベル、不一致検出信号NEaがHレベルとなる。このHレベルの不一致検出信号NEaは、その後の内部クロックCLK2のLレベルになったとき、クロックゲーティング制御回路40内のラッチ41を通過し、Hレベルのイネーブル信号ENとしてANDゲート42に与えられる(図3参照)。このHレベルのイネーブル信号ENは、その後の内部クロックCLK2の立ち上がりによりラッチ41に保持される。そして、このHレベルのイネーブル信号ENをラッチ41に保持させた内部クロックCLK2は、ANDゲート42を通過し、同期化クロックCLK2aとして同期化レジスタ20に与えられる。このようにして1個の同期化クロックCLK2aが出力されると、下位ビットデータRD0〜RD7が同期化レジスタ20に書き込まれ、不一致検出信号NEaがLレベルとなる。このLレベルの不一致検出信号NEaは、その後の内部クロックCLK2のLレベルになったとき、クロックゲーティング制御回路40内のラッチ41を通過し、ANDゲート42に与えられるイネーブル信号ENがLレベルとなる。このため、クロックゲーティング制御回路40における内部クロックCLK2の通過は阻止される。
【0016】
図4(b)に示す例では、書き込みクロックCLK1の立ち上がり時、少なくとも上位8ビットの内容がそれまでのものと異なったデータD0〜D15が受信レジスタ10へ書き込まれ、受信レジスタ10から同期化レジスタ30に与えられる上位ビット入力データRD8〜RD15が切り換わっている。このため、書き込みクロックCLK1の立ち上がり時に、比較結果信号CMPbがLレベルとなり、ビット幅指定信号BT8がLレベルであることから、不一致検出信号NEbがHレベルとなる。このため、1個の内部クロックCLK2がクロックゲーティング制御回路50を通過し、同期化クロックCLK2bとして同期化レジスタ30に与えられる。このようにして1個の同期化クロックCLK2bが出力されると、上位ビットデータRD8〜RD15が同期化レジスタ30に書き込まれ、不一致検出信号NEbがLレベルとなる。これにより、クロックゲーティング制御回路50における内部クロックCLK2の通過は阻止される。
【0017】
図4(c)に示す例でも、書き込みクロックCLK1の立ち上がり時、受信レジスタ10へのデータ書き込みにより、受信レジスタ10から同期化レジスタ30に与えられる上位ビット入力データRD8〜RD15が切り換わり、比較結果信号CMPbがLレベルとなっている。しかし、この例では、比較結果信号CMPbがLレベルとなっても、ビット幅指定信号BT8がHレベルであることから、不一致検出信号NEbはLレベルのまま変化しない。このため、クロックゲーティング制御回路50から同期化レジスタ30へ同期化クロックCLK2bが供給されることはない。
【0018】
以上が書き込みクロックCLK1の立ち上がりにより受信レジスタ10の出力データRD0〜RD15の内容が変化する場合の動作である。書き込みクロックCLK1が立ち上がらず受信レジスタ10に対するデータ書き込みが行われない場合には、不一致検出信号NEaおよびNEbがLレベルを維持するため、同期化レジスタ20および30に対して同期化クロックCLK2aおよびCLK2bの供給が行われることはない。また、たとえ書き込みクロックCLK1が立ち上がり、受信レジスタ10に対するデータ書き込みが行われたとしても、同期化レジスタ20に対する下位ビット入力データRD0〜RD7の内容が変化しない場合は、比較結果信号CMPaがHレベル、不一致検出信号NEaがLレベルを維持するため、クロックゲーティング制御回路40から同期化レジスタ20への同期化クロックCLK2aの供給は行われない。また、同期化レジスタ30に対する上位ビット入力データRD8〜RD15の内容が変化しない場合は、比較結果信号CMPbがHレベル、不一致検出信号NEbがLレベルを維持するため、クロックゲーティング制御回路50から同期化レジスタ30への同期化クロックCLK2bの供給は行われない。
【0019】
以上説明したように、本実施形態によれば、受信レジスタ10に対してデータD0〜D15の書き込みが行われない限り、同期化レジスタ20および30に対して同期化クロックCLK2aおよびCLK2bの供給が行われることはないので、同期化レジスタ20および30が不要にスイッチング動作し、電力が無駄に消費されるのを防止することができる。また、本実施形態によれば、受信レジスタ10の出力データのうち同期化レジスタ20に対する下位8ビット入力データRD0〜RD7に変化があった場合に限り、同期化レジスタ20への同期化クロックCLK2aの供給が行われ、同期化レジスタ30に対する上位8ビット入力データRD8〜RD15に変化があった場合に限り、同期化レジスタ30への同期化クロックCLK2bの供給が行われる。このように、入力データに変化があり、スイッチング動作させる必要のある同期化レジスタ20または30のみに同期化クロックCLK2aまたはCLK2bの供給が行われるので、消費電力を必要最低限に抑えることができる。また、本実施形態によれば、受信レジスタ10に対するデータD0〜D15のうちの上位8ビットが無効であることをビット幅指定信号BT8が示している場合には、たとえ同期化レジスタ30に対する入力データRD8〜RD15に変化があっても、同期化レジスタ30への同期化クロックCLK2bの供給は行われない。従って、同期化レジスタ30が無効な上位ビット入力データRD8〜RD15を取り込み、電力が無駄に消費されるのを防止することができる。また、この場合に不一致検出信号NEb自体をLレベルに固定するので、クロックゲーティング制御回路50に無駄なスイッチング動作をさせず、消費電力をさらに低減することができる。
【0020】
<第2実施形態>
図5は、この発明の第2実施形態である同期化回路の構成を示すブロック図である。この同期化回路は、上記第1実施形態のものに対し、いわゆるメタステーブル対策を施したものである。メタステーブルとは、受信レジスタ10の出力データRD0〜RD15のレベル変化のタイミングと内部クロックCLK2の発生タイミングとが非常に接近した場合に、同期化レジスタ(上記第1実施形態では同期化レジスタ20および30)の出力データが一時的に不安定になる現象である。なお、メタステーブルおよびその対策に関する技術文献としては、例えば特許文献1がある。本実施形態では、このメタステーブル対策として、上記第1実施形態における同期化レジスタ20が2段のレジスタ81および82からなる同期化シフトレジスタ80に置き換えられ、同期化レジスタ30が2段のレジスタ91および92からなる同期化シフトレジスタ90に置き換えられている。また、本実施形態では、上記第1実施形態におけるクロックゲーティング制御回路40および50がクロックゲーティング制御回路40Sおよび50Sに置き換えられている。
【0021】
図6は、クロックゲーティング制御回路40Sの構成例を示すブロック図である。このクロックゲーティング制御回路40Sは、フリップフロップ421および422と、ORゲート423と、ラッチ424と、ANDゲート425とにより構成されている。ここで、フリップフロップ421および422は、不一致検出信号NEaを内部クロックCLK2の立ち上がりに同期して順次シフトする2段のシフトレジスタを構成している。ORゲート423は、フリップフロップ421の出力信号Xaとフリップフロップ422の出力信号Xbとの論理和を取り、イネーブル信号ENとして出力する。ラッチ424は、内部クロックCLK2がLレベルである期間はイネーブル信号ENを通過させ、内部クロックCLK2がHレベルである期間は、その直前の内部クロックCLK2の立ち上がり時点におけるイネーブル信号ENを保持して出力する回路である。ANDゲート425は、このラッチ424の出力信号と内部クロックCLK2の論理積を取り、同期化クロックCLK2aとして出力する。クロックゲーティング制御回路50Sも同様な構成である。
【0022】
図7は、本実施形態による同期化回路の各部のうち特に送信側装置から送信される下位8ビットデータD0〜D7に関連した部分の動作を示すタイムチャートである。図示の例では、書き込みクロックCLK1の立ち上がりにより、受信レジスタ10にデータD0〜D15が書き込まれ、同期化シフトレジスタ80に対する入力データRD0〜RD7が変化している。このため、不一致検出信号NEaがHレベルとなる。このHレベルの不一致検出信号NEaは、その後の内部クロックCLK2の立ち上がりによりフリップフロップ421に書き込まれ、フリップフロップ421の出力信号XaがHレベルとなる。この結果、ORゲート423が出力するイネーブル信号ENがHレベルとなる。さらにその後、内部クロックCLK2が立ち上がると、このHレベルの信号Xaがフリップフロップ422に書き込まれ、フリップフロップ422の出力信号XbがHレベルとなる。
【0023】
イネーブル信号ENがHレベルに立ち上がると、その後、内部クロックCLK2がLレベルになったとき、このHレベルのイネーブル信号ENがラッチ424を通過し、その後、内部クロックCLK2が立ち上がるとき、このHレベルのイネーブル信号ENがラッチ424によって保持され、ANDゲート425に供給される。この結果、内部クロックCLK2がANDゲート425を通過し、同期化クロックCLK2aとして同期化シフトレジスタ80に供給される。そして、同期化クロックCLK2aが2個出力されると、同期化シフトレジスタ80に対する入力データRD0〜RD7が最終段のレジスタ82までシフトされる。この結果、同期化シフトレジスタ80の出力データSD0〜SD7が同期化シフトレジスタ80の入力データRD0〜RD7と一致し、不一致検出信号NEaがLレベルとなる。
【0024】
不一致検出信号NEaがLレベルになると、その後、内部クロックCLK2が2回立ち上がることにより、フリップフロップ421および422の出力信号XaおよびXbの両方がLレベルとなり、イネーブル信号ENがLレベルとなる。その後、内部クロックCLK2の1周期相当の時間だけ遅れてラッチ424の出力信号がLレベルとなり、ANDゲート425を介した同期化クロックCLK2aの出力が停止する。
【0025】
以上のようにクロックゲーティング制御回路40Sは、不一致検出信号NEaがHレベルとなった場合に、4個の同期化クロックCLK2aを同期化シフトレジスタ80に供給し、同期化シフトレジスタ80に対する入力データRD0〜RD7を最終段まで到達させ、出力データSD0〜SD7として出力させる。クロックゲーティング制御回路50Sも同様であり、不一致検出信号NEbがHレベルとなった場合に、4個の同期化クロックCLK2bを同期化シフトレジスタ90に供給し、同期化シフトレジスタ90に対する入力データRD8〜RD15を最終段まで到達させ、出力データSD8〜SD15として出力させる。
【0026】
本実施形態と上記第1実施形態との相違は、メタステーブル対策として設けられた同期化シフトレジスタ80および90と、これらに対して同期化クロックCLK2aおよびCLK2bの供給を行うクロックゲーティング制御回路40Sおよび50Sにあり、他の点は上記第1実施形態と同様である。従って、本実施形態によれば、メタステーブルの発生する状況においてもその悪影響を回避しつつ、上記第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0027】
<第3実施形態>
本実施形態は、上記第2実施形態におけるクロックゲーティング制御回路40Sを図8に示すクロックゲーティング制御回路40Tに置き換えたものである。クロックゲーティング制御回路50Sも同様である。
【0028】
クロックゲーティング制御回路40Tは、上記第2実施形態におけるクロックゲーティング制御回路42Sに対し、非同期リセット端子Rを持ったフリップフロップ426と、ANDゲート427とを追加した構成となっている。ここで、フリップフロップ426は、データ入力端子がHレベルに固定され、非同期リセット端子Rにイネーブル信号ENが与えられ、クロック端子に書き込みクロックCLK1が与えられる。そして、ANDゲート427は、このフリップフロップ426の出力信号と不一致検出信号NEaとの論理積を取り、信号NEa’としてフリップフロップ421のデータ入力端子に供給する。
【0029】
図9は本実施形態による同期化回路の各部のうち特に送信側装置から送信される下位8ビットデータD0〜D7に関連した部分の動作を示すタイムチャートである。この例でも、上記第2実施形態の動作例(図7参照)と同様、書き込みクロックCLK1の立ち上がりにより、受信レジスタ10にデータD0〜D15が書き込まれ、同期化シフトレジスタ80に対する入力データRD0〜RD7が変化している。このため、不一致検出信号NEaがHレベルとなる。
【0030】
上記第2実施形態では、イネーブル信号ENがHレベルとなって同期化クロックCLK2aが2個出力され、これによる同期化シフトレジスタ80のシフト動作が行われ、不一致検出信号NEaがLレベルとなった後、内部クロックCLK2がさらに2回立ち上がることによりイネーブル信号ENがLレベルとなった。このため、上記第2実施形態では、内部クロックCLK2の4周期相当の期間、イネーブル信号ENがHレベルとなり、4個の同期化クロックCLK2aが同期化シフトレジスタ80に供給された。
【0031】
これに対し、本実施形態では、次の動作が得られる。まず、書き込みクロックCLK1の立ち上がりにより不一致検出信号NEaがHレベルとなるとき、同書き込みクロックCLK1の立ち上がりによりフリップフロップ426に“1”が書き込まれ、フリップフロップ426の出力信号がHレベルになる。このため、不一致検出信号NEaは、ANDゲート427を通過し、信号NEa’としてフリップフロップ421に与えられる。
【0032】
その後、内部クロックCLK2が立ち上がると、Hレベルの信号NEa’がフリップフロップ421に書き込まれ、イネーブル信号ENがHレベルとなる。この結果、フリップフロップ426がリセットされ、ANDゲート427の出力信号NEa’がLレベルとされる。このように、内部クロックCLK2の立ち上がりによりフリップフロップ421に“1”が書き込まれ、イネーブル信号ENがHレベルになると、直ちにフリップフロップ421に対する入力信号NEa’がLレベルとされる。このため、イネーブル信号ENは、内部クロックCLK2の2周期相当の期間だけHレベルとなり、2個の内部クロックCLK2がクロックゲーティング制御回路40Tを通過し、同期化クロックCLK2aとして同期化シフトレジスタ80に供給される。
【0033】
本実施形態では、フリップフロップ426およびANDゲート427が追加されているため、これらのスイッチング動作により消費電力が増加する。しかし、上記第2実施形態においては、書き込みクロックCLK1の立ち上がり時、4個の同期化クロックCLK2aが発生されたのに対し、本実施形態では、同期化シフトレジスタ80の最終段までシフトさせるのに最低限必要な2個の同期化クロックCLK2aしか発生されない。同期化シフトレジスタ90に対する同期化クロックCLK2bも同様である。従って、本実施形態によれば、上記第2実施形態に比べて、同期化シフトレジスタ80および90の消費電力を低減することができる。
【0034】
<他の実施形態>
以上、この発明の各実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態があり得る。例えば次の通りである。
【0035】
(1)上記各実施形態における同期化回路は、16ビット幅のデータD0〜D15を受信して内部クロックCLK2に同期化させたが、これはあくまでも例示であり、この発明は任意のビット幅のデータを受信し、内部クロックCLK2に同期化させる同期化回路に適用可能である。
【0036】
(2)上記各実施形態では、送信側装置から与えられる16ビットのデータの全部が有効な場合と下位8ビットのみが有効な場合とがあったため、送信側装置から送信されて受信レジスタ10に書き込まれたデータを下位8ビットのデータと上位8ビットのデータに分割し、分割した各データ毎に内部クロックCLK2に同期化させた。しかし、送信側装置から与えられる16ビットのデータの全部が常に有効な場合には、受信レジスタ10と同一ビット幅の同期化レジスタを設け、この同期化レジスタに受信レジスタ10の出力データを与え、同期化レジスタの入力データと出力データとに不一致が生じた場合に1個のクロックゲーティング制御回路により同期化クロックを同期化レジスタに供給する構成としてもよい。
【0037】
(3)上記各実施形態では、受信レジスタ10の出力データを上位と下位に2分割して取り扱った。しかし、送信側装置から与えられるデータが例えば上位ビット列、中位ビット列、下位ビット列に区分されており、いずれの部分が有効であるかが切り換わるような場合も考えられる。その場合には、送信側装置から与えられる上位ビット列、中位ビット列、下位ビット列の各々に対応した同期化レジスタおよびクロックゲーティング制御回路の組を同期化回路に設け、各ビット列単位で内部クロックCLK2への同期化を行わせればよい。また、上位ビット列、中位ビット列、下位ビット列のいずれかが無効になった場合には、その無効になったビット列を取り扱う同期化レジスタに対する同期化クロックの供給を強制的に断つように構成すればよい。
【0038】
(4)上記第2および第3実施形態では、同期化シフトレジスタの段数を2段としたが、この同期化シフトレジスタの段数は、同期化回路が設けられる半導体集積回路の動作速度等を考慮して適切な段数とすればよい。この場合において、同期化シフトレジスタに対してクロックゲーティング制御回路が出力する同期化クロックの個数は、この同期化シフトレジスタの段数以上の個数であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の第1実施形態である同期化回路の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態における比較回路60の構成例を示すブロック図である。
【図3】同実施形態におけるクロックゲーティング制御回路40の構成例を示すブロック図である。
【図4】同実施形態の各部の波形を示すタイムチャートである。
【図5】この発明の第2実施形態である同期化回路の構成を示すブロック図である。
【図6】同実施形態におけるクロックゲーティング制御回路40Sの構成例を示すブロック図である。
【図7】同実施形態の各部の波形を示すタイムチャートである。
【図8】この発明の第3実施形態である同期化回路におけるクロックゲーティング制御回路40Tの構成を示すブロック図である。
【図9】同実施形態の各部の波形を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0040】
10……受信レジスタ、20,30……同期化レジスタ、40,50,40S,50S,40T……クロックゲーティング制御回路、60,70……比較回路、61,71……インバータ、72……ANDゲート、80,90……同期化シフトレジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側装置から書き込みクロックおよびデータを受信し、前記データを前記書き込みクロックにより取り込んで出力する受信レジスタと、
前記受信レジスタの出力データが入力データとして与えられ、この入力データを内部クロックに同期した同期化クロックにより取り込み、前記内部クロックに同期したデータとして出力する同期化レジスタと、
前記同期化レジスタの入力データと出力データとを比較する比較手段と、
前記同期化レジスタの入力データと出力データとが一致しないことを前記比較手段の比較結果が示しているとき、前記内部クロックを通過させ、前記同期化クロックとして前記同期化レジスタに与えるクロックゲーティング制御手段と
を具備することを特徴とする同期化回路。
【請求項2】
送信側装置から書き込みクロックおよびデータを受信し、前記データを前記書き込みクロックにより取り込んで出力する受信レジスタと、
前記受信レジスタの出力データを複数に分割した各データが入力データとして各々与えられるとともに、内部クロックに同期した同期化クロックが各々与えられ、各々に与えられる入力データを各々に与えられる同期化クロックにより取り込み、前記内部クロックに同期したデータとして各々出力する複数の同期化レジスタと、
前記複数の同期化レジスタの各々について入力データと出力データとを比較する比較手段と、
前記複数の同期化レジスタの各々に対応した複数のクロックゲーティング制御回路であって、各々に対応した同期化レジスタの入力データと出力データとが一致しないことを前記比較手段の比較結果が示しているとき、前記内部クロックを通過させ、各々に対応した同期化レジスタに同期化クロックとして与える複数のクロックゲーティング制御回路と
を具備することを特徴とする同期化回路。
【請求項3】
前記複数の同期化レジスタは、各々少なくとも2段のレジスタからなる同期化シフトレジスタであり、前記複数のクロックゲーティング制御回路は、各々に対応した同期化シフトレジスタの入力データと出力データとが一致しないことを前記比較手段の比較結果が示しているとき、前記内部クロックを少なくとも2個通過させ、各々に対応した同期化シフトレジスタに同期化クロックとして与えることを特徴とする請求項2に記載の同期化回路。
【請求項4】
前記送信側装置から与えられるデータの有効部分を示す有効性信号を受け取り、前記複数の同期化レジスタのうちの一部の同期化レジスタに与えられる入力データが無効であることを前記有効性信号が示しているときに、前記比較手段の比較結果に拘わらず、当該一部の同期化レジスタに対応したクロックゲーティング制御回路が同期化クロックを出力するのを阻止する同期化クロック強制停止制御部を具備することを特徴とする請求項2または3に記載の同期化回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−134926(P2008−134926A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321986(P2006−321986)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】