同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ
【課題】 部品点数が少なく組み立て工数も増加させることのない、低コスト化が可能な同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを提供することを目的とする。
【解決手段】 並列コンタクト部であるマルチコネクタを構成するレセプタクル側絶縁ハウジングとプラグ側ボディのそれぞれの端部に特性インピーダンスが調整された同軸レセプタクルと同軸プラグを形成することで、マルチコネクタを嵌合させるのと同時に同軸コネクタによる信号の反射や放射の少ない伝送ラインが出来るようにした。
【解決手段】 並列コンタクト部であるマルチコネクタを構成するレセプタクル側絶縁ハウジングとプラグ側ボディのそれぞれの端部に特性インピーダンスが調整された同軸レセプタクルと同軸プラグを形成することで、マルチコネクタを嵌合させるのと同時に同軸コネクタによる信号の反射や放射の少ない伝送ラインが出来るようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、接触子を多数備え基板と基板とを接続するマルチコネクタと、例えば高周波信号のような伝送線路の特性インピーダンスを考慮しなければならない信号とを同時に接続出来るようにした基板接続用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
基板間においてインピーダンス整合が必要な信号伝達に使われるマルチコネクタとしては、4層基板によって伝送ラインをストリップライン構造にしたものが知られている(非特許文献:HIROSE ELECTRIC CO.,LTD.FLシリーズ製品カタログ)。インピーダンス整合が必要な信号が多数ある場合はこのようなコネクタを使用する。しかし、基板間で伝達する信号においては、例えば携帯電話を例に挙げると、一般的にインピーダンス整合が必要な信号の数は、それを問題にしなくても良い信号よりも少ない場合が多い。例えばベースバンド化される前のアンテナ信号については、伝送路の特性インピーダンスをきちんと整合させる必要がある。それ以外の音声系の信号であるとか、LSIの動作状態を設定する為の直流電圧レベルの制御信号などについては、伝送路の特性インピーダンスを考慮する必要がない。したがって、全ての信号に対して前記したような特性インピーダンスが調整されたマルチコネクタを使用するのは不経済な場合が多い。
【0003】
そこで特性インピーダンスを考慮しなくて良い信号の接続については、一般的なマルチコネクタが使用され、アンテナ信号については特性インピーダンスが考慮された同軸コネクタが使用される。その従来例を図13に示す。図13(a)は、従来の基板間接続の一例を示す斜視図である。I/O基板131には図示しないアンテナ及び図示しないスピーカ、サウンダー、振動モータが実装される。そのI/O基板131の長辺の一辺側に、長手方向をI/O基板131の長辺に平行にしたプラグ側マルチコネクタ132が実装されている。同じI/O基板131上のプラグ側マルチコネクタ132の長手方向延長線上、I/O基板131のコーナー部に、同軸レセプタクル134が実装されている。
【0004】
I/O基板131上のプラグ側マルチコネクタ132は、対向する位置にあるRF(ラジオ・フレケンシー以下RFと略す)/BB(ベースバンド以下BBと略す)基板135の短辺側の一辺の端に短辺と平行に実装されているレセプタクル側マルチコネクタ136と嵌合している。I/O基板131上の同軸レセプタクル134には、RF/BB基板135に一端が半田付けされた同軸ケーブル133の他端を形成する同軸プラグ137が嵌め込まれている。このように特性インピーダンスの整合が必要なアンテナ信号については、同軸ケーブルで接続され、他の特性インピーダンスの整合の必要性の無い音声系の信号については、マルチコネクタが使われていた。
【0005】
図13(b)に他の従来例を示す斜視図を示す。図13(a)と同じものは参照番号を同一とし説明を省略する。I/O基板131の長辺の一辺側に、第1のフラットケーブルレセプタクル138が実装されている。第1のフラットケーブルレセプタクル138は、複数の配線を配線の被覆同士が一体になって信号を伝達出来るフラットケーブル140の一端を形成する第1のフラットケーブルプラグ139と嵌合する。第1のフラットケーブルレセプタクル138の長手方向延長線のI/O基板131のコーナーに同軸レセプタクル134が実装されている。同軸レセプタクル134は、RF/BB基板135上に直接実装されている同軸プラグ137とケーブルを介さずに直接接続している。I/O基板131上の第1のフラットケーブルレセプタクル138にはフラットケーブル140の一端を形成している第1のフラットケーブルプラグ139が挿入されている。フラットケーブル140の他端には第2のフラットケーブルプラグ141が接続され、第2のフラットケーブルプラグ141はRF/BB基板135の短辺側の一辺に平行に実装されている第2のフラットケーブルレセプタクル142に嵌合している。このように特性インピーダンスの整合が必要なアンテナ信号については、基板上に実装された同軸コネクタ同士を直接接続させ、特性インピーダンスの整合の必要が無い信号については、フラットケーブルを使用して伝送する方法もある。
【非特許文献1】HIROSE ELECTRIC CO.,LTD.FLシリーズ製品カタログ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
伝送ラインをストリップライン構造にしたマルチコネクタは、各伝送ラインの特性インピーダンスZ0を式(1)に示す関係から例えば50Ωや75Ωに設定するものである。
【0007】
【数1】
【0008】
Lは伝送ラインの単位長あたりのインダクタンスであり、Cは同じく単位長あたりのキャパシタンスである。この式(1)から分かるように各伝送ラインの特性インピーダンスを調整するためには、各伝送ラインに、ある程度のサイズ(調整代)が必要であり、マルチコネクタ全体としては大きくなってしまう課題があった。その大きくなったマルチコネクタは、小型化薄型化が進んだ携帯電話端末では使用出来ない。また、特性インピーダンスを整合させる必要のある伝送ラインの数が少ない機器においては、その必要の無い信号についてもその伝送ラインを使用することになり不経済であった。
【0009】
そこで背景技術で述べたように特性インピーダンスの整合の必要の無い信号については、通常のマルチコネクタで接続し、整合の必要な信号については同軸コネクタを使用する方法が取られる。
ここで疑問が発生すると思う。何故、背景技術で述べた図13(a)と図13(b)を組み合わせて、ケーブル類を使わずに基板同士を直接接続しないのか、と言う疑問である。すなわち、マルチコネクタ同士を図13(a)に示す方法でフラットケーブル140を使用しないで接続し、同軸コネクタは図13(b)に示す方法で同軸レセプタクル134と同軸プラグ137とを直接同軸ケーブル133を介さずに接続する方法である。
【0010】
この方法のように複数のレセプタクルと複数のプラグの部品を基板上に直接実装して一度に接続させる場合は、各部品同士の実装精度や各部品の仕上がり精度が問題になり接続部の位置が合わなくなってしまう問題がある。これを無理に接続させようとすると接続部を破壊したり、接続出来ても信頼性や耐久性が著しく劣化することがある。
これを防止する目的で複数個の接続部の一方をケーブル接続として、その精度の悪い部分を吸収していたのが図13(a)及び図13(b)で示した方法である。しかし、この方法では、接続部の破壊や信頼性の低下を防止することは出来たが、部品点数が増えてしまう課題があった。また、ケーブル部の引き回しにスペースを要することとケーブルの引き回しの処理に工数(組み立て時間)を必要としコストアップの原因になっていた。
【0011】
この発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、部品点数が少なく組み立て工数も増加させることのない、低コスト化が可能な同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明では、直方体状絶縁ハウジングの一面中央部にその長手方向に沿った相手プラグ挿入用凹部が形成され、その挿入用凹部の長手方向に沿う対向面にそれぞれ定ピッチで接触子収納部が配列形成され、各接触子収納部にレセプタクル接触子が収納された絶縁ハウジングの一端部に第1の同軸コネクタが一体に形成されたレセプタクルと、そのレセプタクル挿入用凹部と嵌合する絶縁ボディの長手方向の両側にプラグ接触子収納部が上記と同一のピッチで配列形成され、上記プラグ接触子収納部にプラグ接触子が収納された絶縁ボディの一端部に上記第1同軸コネクタと嵌合する第2同軸コネクタが一体に形成されたプラグとの組で基板接続用コネクタを構成した。
【発明の効果】
【0013】
以上のようにこの発明によれば、マルチコネクタを構成するレセプタクル側絶縁ハウジングとプラグ側ボディのそれぞれと一体に同軸コネクタを形成することで、マルチコネクタと同軸コネクタとの位置関係を高精度に作り込むことができる。その結果、特性インピーダンスの整合が必要な信号とインピーダンス整合の必要は無いが多数ある信号を一対のコネクタによって接続することが可能になり、ケーブルを無くし、組み立て工数も削減し、低コスト化も可能にした同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
[第1実施形態]
図1にこの発明による同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの一実施例を示すレセプタクルとプラグとその両者が嵌合した場合の斜視図を示す。
レセプタクルは、レセプタクル本体を形成する直方体状絶縁ハウジングの一面中央部にその長手方向に沿った相手プラグ挿入用凹部と、その挿入用凹部の長手方向に沿う対向面にそれぞれ定ピッチで接触子収納部が配列形成される接触子収納部と、各接触子収納部に収納されるレセプタクル接触子と、直方体状絶縁ハウジングの一端部に設けられた第1の同軸コネクタとで構成される。
【0016】
プラグは、上記挿入用凹部に嵌合する絶縁ボディと、絶縁ボディの長手方向の両側にプラグ接触子収納部が上記と同一のピッチで配列形成されるプラグ接触子収納部と、各プラグ接触子収納部に収納されるプラグ接触子と、絶縁ボディの一端部に設けられた第2の同軸コネクタとで構成される。
これらレセプタクルとプラグとは、それぞれが別々の基板に実装され、それぞれを嵌合させることで、基板同士を電気的に接続させるものである。
〔レセプタクルの構成〕
図1(a)はこの発明の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを構成するレセプタクルの一実施例を示す斜視図である。レセプタクル本体を形成する絶縁ハウジング1は直方体であり、その一面中央部の長手方向に沿って相手プラグが挿入される挿入用凹部2が形成されている。その挿入用凹部2の長手方向に沿う対向面にそれぞれ定ピッチで接触子収納部3が配列形成され、各接触子収納部3それぞれにレセプタクル接触子4が収納されている。挿入用凹部2の裏面側が絶縁ハウジング1が実装される図示しない基板の表面(以下実装面と称する)に接する。絶縁ハウジング1の長手方向の一端は、接触子収納部3が形成されている幅よりも狭い幅で且つ実装面300に近い厚み(第1同軸コネクタ形成部5の厚みが接触子収納部より薄い)の第1同軸コネクタ形成部5が一体に延長形成されている。
【0017】
第1同軸コネクタ形成部5の中央には、実装面に対して垂直方向に第1の中心導体7が立設している。第1の中心導体7と一体の金属部品であり、第1の中心導体7を実装面300上の図示しない配線パターンに伝達するセンターピン6を第1同軸コネクタ形成部5の接触子収納部3と反対側の一辺に突出させている。この第1の中心導体7とセンターピン6を形成する金属部品は、第1同軸コネクタ形成部5に組み付けられている。
第1の中心導体7を中心に第1の中心導体7と凡そ同じの高さの壁を持ったリング状の第1アースリング9が立設している。第1アースリング9を接地させるアース端子8が第1同軸コネクタ形成部5の絶縁ハウジング1の長手方向に沿う2辺の実装面300上に突出している。
【0018】
第1アースリング9とアース端子8は一体に形成された金属部品であり、絶縁ハウジング1を製造する際に第1同軸コネクタ形成部5の部分にインサート成形されている。
第1の同軸コネクタ形成部5に第1の中心導体7と第1アースリング9による第1の同軸コネクタ10が同軸レセプタクル(以下第1の同軸コネクタ10を同軸レセプタクル10と称する)として形成されている。
同軸レセプタクル10の反対側の絶縁ハウジング1の端部は、接触子収納部3が形成される面よりも実装面300側に低く且つ第1同軸コネクタ形成部5より高い面を持つレセプタクル端部11が形成されている。レセプタクル端部11のほぼ中央部分で挿入用凹部2に隣接する位置に係合用突出部12が実装面300に対して垂直方向に形成されている。
【0019】
〔プラグの構成〕
図1(b)はこの発明の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを構成するプラグの一実施例を示す斜視図である。レセプタクルの挿入用凹部2と嵌合する絶縁ボディ13の長手方向の両側にプラグ接触子収納部14が、レセプタクル側と同一の定ピッチで配列形成され、プラグ接触子収納部14にプラグ接触子15が収納されている。レセプタクルの挿入用凹部2に挿入される絶縁ボディ13の挿入方向と反対側の面が絶縁ボディ13が実装される図示しない基板の表面(以下プラグ実装面と称する)に接する。
【0020】
絶縁ボディ13の長手方向の一端は、絶縁ボディ13を実装するプラグ実装面400からの厚みがプラグ接触子収納部14の厚みより薄くて、絶縁ボディ13と凡そ同一の幅の第2同軸コネクタ形成部16が一体に延長形成されている。
第2同軸コネクタ形成部16のプラグ接触子収納部14と反対側の端に、同軸レセプタクル10の第1アースリング9の内径とほぼ等しい外径の円筒状取付け部19が、プラグ実装面400に対して垂直方向に絶縁ボディ13と一体に形成されている。円筒状取付け部19の実装面400と反対の面の中央には第1の同軸コネクタ10の第1の中心導体7が挿入される円筒部穴17が空けられ、円筒部穴17を中心にすり鉢形状の凹部18が形成されている。
【0021】
円筒状取付け部19の周囲には円環状の空隙20を空けて第1アースリング9の外径とほぼ等しい内径を持ち、ほぼ円筒状取付け部19と同一の高さのリング状の第2アースリング21が第2同軸コネクタ形成部16に係止されている。第2アースリング21の絶縁ボディ13の長手方向に沿う2辺に、第2アースリング21をプラグ実装面400上の接地電極に半田付けする接地端子22が第2アースリング21と一体に形成されている。
円筒状取付け部19の上面中央部分に形成された円筒部穴17は、プラグ実装面400に向けた貫通穴であり、貫通穴の中にプラグ実装面400から図示しない第2の中心導体が挿入されている。第2同軸コネクタ形成部16の先端部のプラグ実装面400の高さには、第2の中心導体と一体の金属部品であるコンタクト23が突出している。第2の同軸コネクタ形成部16に円筒状取付け部19と第2アースリング21と第2の中心導体(図1(b)では図示されない後述する)とで第2の同軸コネクタ24が同軸プラグとして形成されている。(以下第2の同軸コネクタを同軸プラグと称する、したがって、以降同軸プラグ24及び同軸プラグ形成部16と称する)
同軸プラグ24と反対側の絶縁ボディ13の端部には、プラグ接触子収納部14が形成される面よりもプラグ実装面400側に低くやや広い幅のプラグ端部25が形成されている。プラグ端部25のほぼ中央部分にはレセプタクルの係合用突出部12と係合する係合穴26が形成されている。
〔レセプタクルとプラグの嵌合〕
図1(c)はこれらレセプタクルとプラグとを嵌合した斜視図を示す。図1(c)では、レセプタクルとプラグが実装されるそれぞれ別体の基板は省略している。図1(c)は、図1(a)のレセプタクル、すなわち絶縁ハウジング1を180°反時計方向に反転させ、レセプタクルの係合用突出部12をプラグの係合穴26に係合させ、挿入用凹部2に絶縁ボディ13を挿入嵌合させ、同軸プラグ24の空隙20に第1アースリング9を、凹部18に第1の中心導体7を挿入嵌合させた図である。
【0022】
レセプタクル本体を形成する直方体の絶縁ハウジング1の長手方向に沿って定ピッチで接触子収納部3が配列形成され、植設されたレセプタクル接触子4の一端が実装面300の高さで絶縁ハウジング1から突出している。レセプタクルの挿入用凹部2に挿入されたプラグの絶縁ボディ13の長手方向には、レセプタクル接触子4と一対一に対応したプラグ接触子15がプラグ実装面400の高さでその一端を絶縁ボディ13から突出させて配列している。この一対一に対応したレセプタクル接触子4とプラグ接触子14とが接触することによって、異なる基板間の配線パターンを導通させることが出来る。このレセプタクル接触子4とプラグ接触子15とによる伝送ラインは、特性インピーダンスが考慮されていないので、音声系の低周波の信号やLSIの動作状態を設定するための直流電圧信号などの伝送路として使用される。
【0023】
同軸プラグ24を構成する第2アースリング21は、同軸レセプタクル10を構成する第1アースリング9と嵌合する。その際、第1の中心導体7は同軸プラグ24を構成する円筒状取付け部19の中央に空けられた貫通穴である円筒部穴17に挿入される。また、同軸レセプタクル10の第1アースリング9は同軸プラグ24の円筒状取付け部19と第2アースリング21の内径とで形成する空隙20に、挿入されて嵌合する。
同軸プラグ24が形成される側の絶縁ボディ13の最端部にはコンタクト23がプラグ実装面400の高さで突出している。コンタクト23が突出した一辺と異なる同軸プラグ形成部16の他の2辺には、第2アースリング21と一体に形成された接地用端子22がプラグ実装面400の高さに配置されている。
【0024】
絶縁ハウジング1と絶縁ボディ13を嵌合すると同軸レセプタクルを構成する第1の中心導体7は、同軸プラグ24を構成する円筒状取付け部19の中央部分に形成された円筒部穴17に挿入され、円筒部穴17の内面に形成された図示しない可動電極である第2の中心導体(第2の中心導体については後述する)と接触する。この結果、センターピン6に接続される絶縁ハウジング1が実装される基板上の信号は、絶縁ボディ13が実装される対向する位置にある別の基板上の配線パターンにコンタクト23を介して伝達される。
この同軸レセプタクル10と同軸プラグ24による伝送ラインの特性インピーダンスは、例えば50Ωに設定されている。特性インピーダンスの調整は、第1の中心導体7の外径や長さ、円筒状取付け部19を形成する材料の誘電率や、センターピン6及びコンタクト23の電極幅などを変えることで、式(1)で示した伝送ラインの単位長あたりのインダクタンスとキャパシタンスを変えて行う。したがって、これらを調整することで特性インピーダンスを50Ωや75Ωに調整することが出来る。
【0025】
このように伝送ラインの特性インピーダンスを所望の値にすることが出来るので、伝送ラインのインピーダンス整合が求められる例えばアンテナ信号等の高周波信号を損失の少ない形で伝達することが可能である。また、第2アースリング21及び第1アースリング9によって第1の中心導体9及び第2の中心導体(後述する)が電磁遮蔽されているので、信号の放射が問題になる例えばマイクロ波回路の信号の伝送ラインとして好適である。
図1に示す実施例によれば、音声系の信号や、直流電圧レベルによるLSIの制御信号など、特性インピーダンスを問題にしないが比較的に数の多い信号と、数は少ないが伝送ラインの特性インピーダンス整合を取らなければならない例えばアンテナ信号とを、一つの基板間接続用コネクタで接続させることが可能となる。
【0026】
また図1に示す実施例によれば、第1同軸コネクタ形成部5と第2同軸コネクタ形成部16の厚みが接触子収納部より薄く形成されているので嵌合時にコネクタの厚みを低背化することが可能である。
図1に示した実施例では、マルチコネクタのレセプタクルを形成する絶縁ハウジング1と一体に第1の同軸コネクタ10として同軸レセプタクルを、マルチコネクタのプラグを形成する絶縁ボディ13と一体に第2の同軸コネクタ24として同軸プラグを、それぞれ形成した例を示した。この発明はこの実施例に限定されない。マルチコネクタのレセプタクル側に同軸プラグを、マルチコネクタのプラグ側に同軸レセプタクルを形成しても良い。
〔同軸レセプタクルの詳細な構造〕
図2は図1(a)で示した同軸レセプタクル10を拡大した斜視図である。図1(a)で示したものと対応する部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。図2によってより構造が明確になる部分について説明を追加する。
【0027】
第1の中心導体7の他方の端を形成するセンターピン6は、絶縁ハウジング1の最端の一辺中央部分にセンターピン6の底面を実装面300の高さにして突出している。
第1アースリング9を接地させるアース端子8は、絶縁ハウジング1の長手方向に沿う2辺に実装面300の高さで突出している。
図3に図2のIII−III面を切断した断面図を示す。第1の中心導体7は第1同軸コネクタ形成分5の中央部分に空けられた穴30に、実装面300側から挿入され基板に対して垂直に立設している。第1の中心導体7と一体であり基板面と平行なセンターピン6は、同軸レセプタクル形成部5の実装面300側に形成された溝31に絞め代を持った嵌め合い構造で固定される。この実施例では、第1の中心導体7とセンターピン6を形成する略L字形状の部品を組み込み部品で説明したが、絶縁ハウジング1を製造する際にインサート成形しても良い。
【0028】
図4に図2のIV−IV面を切断した断面図を示す。第1同軸コネクタ形成分5の中央部分には第1の中心導体7を挿入する穴30が開けられており、穴30に第1の中心導体7が挿入され、実装面300に対して垂直に第1の中心導体7が立設している。図4に示す第1の中心導体7の例は、絞り加工で製造された物なので試験管のように中空形状になっている。第1アースリング9は、第1の中心導体7を中心に第1の中心導体7とほぼ同じ高さを持った壁を形成して円環状に配置され、第1アースリング9と一体のアース端子8を実装面300の高さで同軸レセプタクル形成部5の左右に突出させている。
【0029】
第1アースリング9を形成する円環状の壁の断面は、同軸プラグ24との嵌合を容易にすると共に嵌合を確実にするために高さ方向に3段構造になっている。最上段(実装面300と反対の方向)の内径は第1アースリング9の最小内径Bよりもやや大きい内径Cを持ち、第1アースリング9の最大厚み40の約4分の1の大きさの幅になっている。同軸プラグ24に嵌め易いように上端外縁部から最上段の壁の高さの約5分の1下がった位置の第1アースリング9の外壁面の成す径を最大外径Aとするように、外側へ行くほど外径が大きくなるテーパー形状41になっている。最大外径になった後は、その外径を維持して切り落とされた形で最上段部を形成している。
【0030】
中段部は、逆に最大外径から第1アースリング9の上端外縁部の径に向けて第1アースリング9の外壁面の成す径が小さくなる方向のテーパー形状42を形成し、上端外縁部の径と等しい径となった後、その径でテーパー形状42とほぼ等しい高さ延長され、その後再び外壁面の成す径を最大外形径Aとするように、外側へ行くほど外径が大きくなるテーパー形状43が形成されている。
最下段部は、最大外径Aで同軸レセプタクル形成部5の上面(実装面300の反対側の面)まで延長されている。
【0031】
第1アースリング9の断面は以上述べたような形状になっていて、最上段部で同軸プラグ24に挿入し易くし、中断部のテーパー形状42で同軸プラグ24と確実な接触が得られるようにしている。この第1アースリング9及びアース端子8は、絶縁ハウジング1を製造する際にインサート成形されて作られている。
〔同軸プラグの詳細な構造〕
図5は図1(b)で示した同軸プラグ24を拡大した斜視図である。図1(b)で示したものと対応する部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。図5によってより構造が明確になる部分について説明を追加する。
【0032】
円筒状取付け部19とほぼ同一の高さを持った円環状の第2アースリング21が、第2アースリング21の回転を規制する為の切欠き部50を第2同軸コネクタ形成部16の先端部に形成された位置決め用突起51に噛み合わせて位置決めされている。位置決め用突起は、第2同軸コネクタ形成部16の先端部にプラグ実装面400に対して垂直の方向に略長方形形状で突出している。
第2アースリング21の切欠き部50の中央から第2アースリング21のリング状の壁上部にかけてスリット52が切り通されている。この実施例では、第2アースリング21の壁のプラグ実装面400側から反対側まで切り通されているが、挿入方向の端部の一部が切れているだけでも良い。
【0033】
第2アースリング21のスリット52から時計方向約60°付近に係合用穴53aが、第2アースリング21の円環状の壁の高さの中央部分よりプラグ実装面400寄りの位置に形成されている。この係合用穴53aを円筒状取付け部19の外周に形成された爪に係合させて第2アースリング21は絶縁ボディ13に固定されている。爪は爪54aを基準に反時計方向120°の位置に爪54b(図5では見えない)、時計方向120°の位置に爪54c(図5では見えない)の3箇所に形成されている。第2アースリング21の係合用穴も円筒状取付け部19の爪に対応した位置、係合用穴53aを基準に反時計方向120°の位置に爪54b(図5では見えない)、時計方向120°の位置に爪54c(図5では見えない)の3箇所に配置されている。
【0034】
円筒状取付け部19のプラグ実装面400と反対の方向から、第2アースリング21を円筒状取付け部19の位置決め用突起51に切欠き部50の位置に合わせて落とし込む。すると、第2アースリング21に設けられたスリット52によって第2アースリング21が径方向に押し広げられて円筒状取付け部19の爪54a,54b,54cと第2アースリング21の係合用穴53a,53b,53cが係合し、第2アースリング21が絶縁ボディ13と一体になる。
図6に図5から第2アースリング21を取り外した円筒状取付け部19の斜視図を示す。円筒状取付け部19は、プラグ実装面400に近い部分の、径を第2アースリング21の内径とほぼ等しくする円筒部19bと、円筒部19bよりも径の小さい第1アースリング9の内径とほぼ等しい径の円筒部19aとの2段構造になっている。円筒部19aの上面(プラグ実装面400と反対側)には、同軸レセプタクルの第1の中心導体7の直径にほぼ等しい円筒部穴17が開けられプラグ実装面400まで貫通している。円筒状取付け部19の上面は、第1の中心導体7を円筒部穴17に挿入し易いように円筒部19aの外径と円筒部穴17との間を凡そ3等分した長さ円筒部穴17から外側に離れた位置から円筒部穴17に向けてすり鉢形状60になっている。すり鉢形状60の上端部は、その3等分した長さ平坦部61が形成されている。平坦部61の外側は同軸レセプタクルの第1アースリング9のほぼ内径の大きさの径まで外側に行くほど低くなるテーパー形状62となっている。円筒部19aの外径が同軸レセプタクルの第1アースリング9のほぼ内径の大きさになったところからほぼプラグ実装面400に対して垂直に、第1アースリング9の高さ以上の長さ円筒部19aが延長される。
【0035】
円筒部19aの上端部からの長さが同軸レセプタクルの第1アースリング9の高さ以上となったところで、平坦部61とほぼ等しい幅で、プラグ実装面400に対して水平な面63が形成され、その外側にはテーパー形状62とほぼ同じ外側に行けば低くなるテーパー形状64が第2アースリング21のほぼ内径と等しい大きさまで形成される。円筒部19bの外径が第2アースリング21のほぼ内径と等しくなったところからその外径でほぼ垂直にプラグ実装面400まで延長されて円筒部19bを形成している。
同軸プラグ形成部16の先端には第2の中心導体と導通したコンタクト23が突出している。コンタクト23を中心としてコンタクト23の約2倍の幅を持った位置決め用突起51が、円筒部19aから第2アースリング21の外径の大きさまで突出し円筒部19bと一体に形成されている。
【0036】
円筒部19bのコンタクト23の中心位置から時計方向に約60°の位置に爪54aが形成されている。爪54aは、第2アースリング21の円環状の壁に形成された係合用穴の大きさでプラグ実装面400に近いほど第2アースリング21の外径の大きさに近づくテーパー形状であり、円筒部19bの外周面から形成され始め爪のプラグ実装面400に対して垂直方向の長さの約2/3程度の位置で第2アースリング21の外径と同じ厚みになり、その後、プラグ実装面400に対して垂直に切り落とされた形状をしている。すなわち円筒部19bの外周面から突出した形状をしている。爪は爪54aを基準にすると反時計方向約120°の位置に爪54b、時計方向約120°の位置に爪54c(図6では見えない)の3箇所に形成されている。
【0037】
図7に同軸プラグ24を示した図5のVII−VII面の断面図を示す。円筒部穴17はプラグ実装面400まで貫通している。円筒状取付け部19の上端の円筒部穴17は円形であるが円筒状取付け部19の径方向の内部断面の形状は略四角形であり、その四角形の内面に三角形を成す形で3方向に電極70,71,72を備えた第2の中心導体73が配置されている。図7では確認出来ないが、図7に示す第2の中心導体70のプラグ実装面400寄りのところで第2の中心導体73と電極70,71,72は一体となった一つの部品である。円筒部19aの側壁に形成された爪54bが、第2アースリング21の円環状の壁に形成された係合用穴53bと係合して第2アースリング21と絶縁ボディ13が一体になっている。
【0038】
図8に第2の中心導体73を単体で示す。プラグ実装面400上の配線パターンに半田付けされるコンタクト23を形成する金属部品は、コンタクト23の幅の短冊形状でプラグ実装面400に平行に延長される。短冊状に延長された後、コンタクト23の端辺と平行な向きの電極70をプラグ実装面400に対して垂直方向に形成する。電極70の幅はコンタクト23の端辺よりやや大きく、高さは凡そ円筒状取付け部19の内部に空けられた貫通穴の高さに等しい。電極70のほぼ半分の高さからほぼ電極70の幅に等しい電極が、電極70の幅の両端から内側に折り曲げ延長され略三角形を形成している。三角形の頂点は空隙になっており電極70の上端方向(プラグ実装面400と反対側)から見ると御結び形状をしている。折り曲げ延長された先端部(空隙)から延長された電極の約半分の幅の部分が電極70と同じ高さまで延長され、電極71と電極72を形成している。電極71と72の先端部の肉厚は薄くなっており御結び形状の内側に向けて徐々に厚くなるテーパー形状をしている。折り曲げられ三角形の2辺を成す電極71と電極72の辺の中間部分の対向する長さが挿入される第1の中心導体7の径より短い長さに設定されている。したがって、第1の中心導体7が挿入されると、第1の中心導体7の径方向に第2の中心導体73は可変する。
【0039】
図14に絶縁ボディ13に第2の中心導体73が固定される様子をプラグ実装面400側から見た図を示す。今までに説明した部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。円筒状取付け部19の軸方向の断面が略四角形の第2の中心導体装着孔90に、プラグ実装面400側から第2の中心導体73が挿入されている。第2の中心導体73は、同軸プラグ形成部16のプラグ実装面400側に形成された固定用溝91に絞め代を持った嵌め合い構造で固定され、同軸プラグ形成部16の端部のプラグ実装面400にコンタクト23を突出させている。
【0040】
図9に同軸レセプタクル10と同軸プラグ24とが嵌合している時の断面図を示す。今までに説明した部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。図9によってより構造が明確になる部分について説明を追加する。同軸レセプタクル10を構成する第1の中心導体7は、同軸レセプタクル形成部5の中央部分に空けられた穴30に実装面300側から挿入され、実装面300に対して垂直に立設している。第1の中心導体7と一体であり実装面300と平行なセンターピン6は、同軸レセプタクル形成部5の実装面300側(同軸レセプタクル形成部5の裏面)に形成された溝31に絞め代を持った嵌め合い構造で固定され、同軸レセプタクル形成部5の実装面300の高さにセンターピン6を突出させている。
【0041】
第1の中心導体7は円筒部穴17に挿入され、円筒部穴17の貫通穴内面に配置された第2の中心導体73の上部部分(プラグ実装面400と反対方向)で第1の中心電極7と第2の中心導体73が接触している。第2アースリング21の上端部(プラグ実装面400と反対側)は、同軸レセプタクル10の第1アースリング9が嵌合し易いように、花弁状に外側に開いた形状をしている。第2アースリング21の上端外縁部が、第2アースリング21の最大外径を形成している。その第2アースリング21の上端部から径方向内側に径が縮小するテーパー形状しており、嵌合する同軸レセプタクル10の第1アースリング9の最大外径よりもやや小さい径まで縮小したあと、逆方向に径が広がるテーパー形状となり円筒部19bの外径に第2アースリング21の内径が等しくなったところからその外径でプラグ実装面400方向に延長されている。
【0042】
すなわち、第2アースリング21の上端部の嵌合方向の断面の一部は“く”の字型を形成している。この“く”形状部92が形成する内径は、嵌合する第1アースリング9の最大外径よりもやや小さく形成されている為に、嵌合は第1アースリング9が第2アースリング21を押し広げるようにして行われる。
このように嵌合が径方向に押し広げて行われる為に、第2アースリング21は径の内側に向けて元に戻ろうとする力が常に働く。これは、嵌合部の信頼性を向上させる要因となる。特に小型のプッシュオンタイプと呼ばれる同軸コネクタにおいては、嵌合する軸方向にのみ変位部分を持つのが一般的であるので、この実施例はそれらに対して有利な構造となっている。
【0043】
第1アースリング9と第2アースリング21との接触は、第2アースリング21の“く”形状部92と第1アースリング9のテーバー形状42の斜面とが接触して行われる。
この嵌合力は、例えば第2アースリング21の形状を変えることで調整が可能である。その例を図10に示す。今までに説明した部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。図10(a)は第2アースリング21の直径を隔てて対向する位置に配置された2つの接地電極8と直交する部分にスリット100を形成した例である。スリット100は、スリット52の上端部分(接地電極8と反対側の部分)の円周方向の切り欠き幅を広げて形成されている。スリット100を形成することで、同軸レセプタクル10が嵌合する際に第2アースリング21が外側に開き易くなるので、嵌合力を弱めることが出来る。
【0044】
図11(b)はより嵌合力を弱める為に、スリット100と第2アースリング21の直径を挟んで対向する位置に2つ目のスリット101を形成した例である。スリット101は、第2アースリング21の径を挟んで対向する位置にある係合用穴53cに繋がっているが、係合用穴53cの接地端子22側の第2アースリング21の壁は切れていない。
図11(c)はスリット100を基準として時計方向約120°の位置にスリット102、反時計方向にスリット103を形成した例である。スリット102と103はスリット52のような幅の細い切り通しの部分が無い形状をしている。このようにスリットを追加形成することで嵌合力を弱めることが可能である。もちろん第1アースリング9や第2アースリング21の肉厚や径や材質を変えても嵌合力は調整できる。
〔マルチコネクタ部の接点構造〕
図11に図1(c)に示したマルチコネクタが嵌合したXI−XI面の断面図を示す。
【0045】
まずレセプタクル側の構造を説明する。
絶縁ハウジング1が実装される実装面300、図11においては、絶縁ハウジング1の上面から垂直に接触子110を固定する保持柱111aと111b(以下、挿入用凹部2を中心として対向する位置にある同じ構成bについては、特に必要が無い限り省略する)が、絶縁ハウジング1の長手方向両側の壁を形成している。保持柱111aを中心にレセプタクル接触子4を収納する接触子収納部3を形成する壁112aが、保持柱111aを中心に左右に、絶縁ハウジング1の短辺方向の中心に向かって延長され接触子収納部3を形成する。その反対側は、保持柱111aの幅とほぼ同じ長さ張り出している。保持柱111aを中心にレセプタクル接触子4を形成する導体線の太さ分の幅、壁112aが切り欠かれて接触子ガイド部113aが形成されている。
【0046】
実装面300と平行にレセプタクル接触子4の結線部4αが形成されている。レセプタクル接触子4は結線部4αから挿入用凹部2の方向に延長され、保持柱111aの部分で垂直方向に立ち上がり(図11においては立ち下がり)延長され、保持柱111aの上端部でヘアピン状に折り返され、取り付け用ヘアピン部4βを形成する。更に絶縁ハウジング1の実装面300方向に延長され、絶縁ハウジング1の底部で再び大きくU字状に折り曲げ延長され、保持柱111aのほぼ上端部の位置に結線部4αの他端として接触部4γを形成している。接触部4γは円弧状に形成され、その頂点は挿入用凹部2を向いて壁112aよりも挿入用凹部2側に突出している。レセプタクル接触子4が絶縁ハウジング1の底部で大きくU字状に折り曲げ延長されたことで、レセプタクル接触子4は挿入用凹部2から保持柱111aに向けた横方向のバネ力を持つ。
【0047】
次にプラグ側を説明する。
絶縁ボディ13がプラグ実装面400と接する底面から垂直にボディ中心部114が形成され、ボディ中心部114から両外側に壁115a,115b(ここでもボディ中心部114を中心として対向する位置にある同じ構成bについては、特に必要が無い限り省略する)を張り出してプラグ接触子収納部14(図1参照)が形成されている。
プラグ接触子収納部14は、壁115aによって形成される。壁115a,115b及びボディ中心部114の大きさは、それぞれの幅を合わせた長さが、挿入用凹部2の幅より若干短めになるように設定される。壁115aがボディ中心部114から延長される部分である壁115aの根元部分に、プラグ接触子15を絶縁ボディ13に挿入する際のガイドとなる溝が形成されたプラグ接触子ガイド部116aが形成されている。
【0048】
すなわち、絶縁ボディ13はボディ中心部114を中心として、両側に壁115a,115bを張り出した背骨の様な形状をしている。
プラグ接触子15の一端を形成するプラグ結線部15αは、プラグ実装面400と同一面内で絶縁ボディ13の外側から絶縁ボディ中心部130まで延長されたあと、垂直方向に立ち上がり延長され、絶縁ボディ13の天板の直前の位置で折り返され、折り返されたプラグ接触子15の他方の端は“く”の字状(図11では“く”を逆さまにした形)に形成されプラグ接触部15βとなる。“く”の字の山の部分はボディ中心部114と反対方向である外側を向いている。
【0049】
レセプタクルの挿入用凹部2の短辺方向の長さを決めている壁112a,112bにプラグ接触子収納部14を形成する壁115a,115bが案内される形で、挿入用凹部2にプラグの絶縁ボディ13が挿入される。絶縁ボディ13が挿入されると、プラグ接触子15の“く”の字状に形成された接触部15βの“く”形状の先端部分が、円弧状に形成されたレセプタクル接触子4の接触部4γを乗り越えて接触子同士の接触がなされる。この時、レセプタクル接触子4及びプラグ接触子15は、挿入用凹部2の短辺方向のバネ力を持つのでその方向においてお互いの持つバネ力が拮抗する位置に安定する。このようにそれぞれのレセプタクル接触子及びプラグ接触子がバネ力を持って接触するため、良好な接続が得られる。
【0050】
このようにしてレセプタクル実装面300上の信号とプラグ実装面400上の信号との導通が得られる。
[第2実施形態]
前述したマルチコネクタ部の接点は、特性インピーダンスが考慮されていない伝送ラインである。マルチコネクタ部も特性インピーダンスを合わせようとすると、背景技術で述べたようにコネクタ全体が大型化してしまう課題があった。そこで、特性インピーダンスを整合させる程の必要は無いが、マルチコネクタ部を電磁遮蔽したいと言う要求もある。その要求に答えたこの発明の他の実施例を図12に示し、この発明を更に説明する。今までに説明した部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。図12によってより構造が明確になる部分について説明を追加する。
〔第2実施例のレセプタクルの構成〕
図12(a)に第2実施例のレセプタクルを示す。挿入用凹部2の長手方向に対向する両端部に固定板150,151が配置されている。固定板150は、接触子収納部3よりも絶縁ハウジング1が実装される実装面300側に低い面のレセプタクル端部11を覆っている。挿入用凹部2の長手方向に対向する位置のレセプタクル端部11と実装面300からの高さが同一のレセプタクル端部152を固定板151が覆っている。
【0051】
固定板150の絶縁ハウジング1の長手方向に沿う面の凡そ半分の幅が実装面300方向に折り曲げられ、実装面300まで延長されている。実装面300まで延長された固定板150,151は、レセプタクル端部11,152の実装面300からの高さの約半分の高さで絶縁ハウジング1の両端部方向に延長され係止部153,154,155,156を形成する。
固定板150の挿入用凹部2と反対側の辺の絶縁ハウジング1の長手方向に沿う角部を除く部分が実装面300まで折り曲げ延長され、辺の中央分に固定板150を実装面300の接地パターンと半田付けする固定脚157が形成されている。
【0052】
固定板151の接触子収納部3の反対側中央には、レセプタクル端部152より実装面300側に低く絶縁ハウジング1の長手方向に沿う対向方向の幅が狭い同軸コネクタ形成部5が形成されている。同軸コネクタ形成部5を中心に固定板151挿入用凹部2と反対側の辺の絶縁ハウジング1の長手方向に沿う角部を除く部分が実装面300まで折り曲げ延長され、固定脚158,159が形成されている。
各係止部153,154,155,156の接触子収納部3側は、レセプタクル接触子4のすぐ上から絶縁ハウジング1の天板(実装面300の反対側)を越える高さで他方の固定板まで延長されシールド板157,158を形成する。
【0053】
シールド板157,158によって、挿入用凹部2の長手方向に対向する両端部の固定板150,151は一体に形成されシールド板付固定板200を構成している。シールド板固定板200は、絶縁ハウジング1の四隅に形成された係止用爪160,161,162,163と係止部153,154,155,156とが係合することで絶縁ハウジング1と一体になっている。
〔第2実施例のプラグの構成〕
図12(b)に第2実施例のプラグを示す。絶縁ボディ13の長手方向の一端には、第2同軸コネクタ形成部16があり同軸プラグ24が形成されている。絶縁ボディ13の反対側の一端にはプラグ接触子収納部14が形成された面よりもプラグ実装面400側に低く広い幅で延長されたプラグ端部25が絶縁ボディ13と一体に形成されている。プラグ端部25のほぼ中央部分には、レセプタクルの係合用突出部12と係合する係合穴26が形成され、係合穴26の周囲には嵌合時にレセプタクルの固定板130と接触するプラグ固定板170が配されている。プラグ固定板170は絶縁ボディ13の長手方向に沿う2辺に形成された凹部171,172と係合して絶縁ボディ13と一体に固定される。プラグ固定板170のプラグ接触子15が配置される方向と反対側の辺には、プラグをプラグ実装面400に堅固に固定する為のプラグ固定脚173が形成されている。
【0054】
プラグ固定脚173の絶縁ボディ13を挟んで反対側のプラグ接触子収納部14と同軸プラグ24との間にもう一方のプラグ固定板174が配されている。プラグ固定板174は絶縁ボディ13の長手方向に沿う2辺に形成された凹部175,176と係合して絶縁ボディ13と一体に固定される。プラグ固定板174の絶縁ボディ13の長手方向に沿う2辺には、プラグをプラグ実装面400に堅固に固定する為のプラグ固定脚177,178が形成されている。
〔第2実施例のレセプタクルとプラグの嵌合〕
図12(c)はこれら第2実施例のレセプタクルとプラグとを嵌合した斜視図を示す。図12(c)では、レセプタクルとプラグが実装されるそれぞれ別体の基板は省略している。図1(c)は、図12(a)のレセプタクル、すなわち絶縁ハウジング1を180°反時計方向に反転させ、レセプタクルの係合用突出部12をプラグの係合穴26に係合させ、挿入用凹部2に絶縁ボディ13を挿入嵌合させ、同軸レセプタクル10と同軸プラグ24嵌合させた図である。今までに説明した部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。
【0055】
プラグ本体を構成する絶縁ボディ13のプラグ接触子収納部14の長手方向両端部にプラグ固定板174とプラグ固定板170が配され、嵌合したレセプタクル側の固定板151と固定板150とに接触している。嵌合したレセプタクルとプラグの長手方向の両側面を、レセプタクルが実装される基板の実装面300上の位置にあるレセプタクル接触子4のすぐ下からプラグが実装される基板の実装面400上の位置にあるプラグ接触子15のすぐ上の高さまでシールド板157,158が覆っている。
レセプタクル側の固定板151と固定板150とをレセプタクルが実装される基板上の接地電極と半田付けして導通させることで、マルチコネクタの両側面を電磁遮蔽することが出来る。
【0056】
また、プラグ固定板170,174をプラグが実装される基板側の接地電極と半田付けすることで、レセプタクルが実装される基板とプラグが実装される基板の接地電位を共通にすることが可能である。
このように第2実施例によれば、特性インピーダンスが調整され且つ電磁遮蔽された1本の伝送線路と、電磁遮蔽されたマルチコネクタとを一組のレセプタクルとプラグで構成することが出来る。
今まで説明した実施例では、同軸コネクタを並列コンタクト部を形成する直方体状絶縁ハウジング及び絶縁ボディの長手方向の一端部に配置した例を用いて説明して来たが、同軸コネクタを両端部に配置しても良い。
【0057】
また、同軸レセプタクルと同軸プラグの嵌合力は、可変径アースリングに設けるスリットの数や材料、厚み等で調整可能であることを述べたが、その嵌合力によっては同軸コネクタ側に形成される固定板を削除しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明による同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの一実施例を示す図である。
【図2】図1(a)で示した同軸レセプタクルを拡大した斜視図である。
【図3】図2のIII−III面を切断した断面図を示す。
【図4】図2のIV−IV面を切断した断面図を示す。
【図5】図1(b)で示した同軸プラグを拡大した斜視図である。
【図6】図5から可変径アースリングを取り外した凸部の斜視図を示す。
【図7】同軸プラグを示した図5のVII−VII面の断面図を示す。
【図8】第2の中心導体を単体で示す図である。
【図9】同軸レセプタクルと同軸プラグとが嵌合している時の断面図を示す。
【図10】可変径アースリングの形状を変えた実施例を示す図である。
【図11】図1(c)に示したマルチコネクタが嵌合したXI−XI面の断面図を示す。
【図12】マルチコネクタ部を電磁遮蔽したこの発明の他の実施例を示す図である。
【図13】従来の基板間接続の一例を示す斜視図である。
【図14】絶縁ボディに第2の中心導体が固定される様子を示す図である。
【技術分野】
【0001】
この発明は、接触子を多数備え基板と基板とを接続するマルチコネクタと、例えば高周波信号のような伝送線路の特性インピーダンスを考慮しなければならない信号とを同時に接続出来るようにした基板接続用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
基板間においてインピーダンス整合が必要な信号伝達に使われるマルチコネクタとしては、4層基板によって伝送ラインをストリップライン構造にしたものが知られている(非特許文献:HIROSE ELECTRIC CO.,LTD.FLシリーズ製品カタログ)。インピーダンス整合が必要な信号が多数ある場合はこのようなコネクタを使用する。しかし、基板間で伝達する信号においては、例えば携帯電話を例に挙げると、一般的にインピーダンス整合が必要な信号の数は、それを問題にしなくても良い信号よりも少ない場合が多い。例えばベースバンド化される前のアンテナ信号については、伝送路の特性インピーダンスをきちんと整合させる必要がある。それ以外の音声系の信号であるとか、LSIの動作状態を設定する為の直流電圧レベルの制御信号などについては、伝送路の特性インピーダンスを考慮する必要がない。したがって、全ての信号に対して前記したような特性インピーダンスが調整されたマルチコネクタを使用するのは不経済な場合が多い。
【0003】
そこで特性インピーダンスを考慮しなくて良い信号の接続については、一般的なマルチコネクタが使用され、アンテナ信号については特性インピーダンスが考慮された同軸コネクタが使用される。その従来例を図13に示す。図13(a)は、従来の基板間接続の一例を示す斜視図である。I/O基板131には図示しないアンテナ及び図示しないスピーカ、サウンダー、振動モータが実装される。そのI/O基板131の長辺の一辺側に、長手方向をI/O基板131の長辺に平行にしたプラグ側マルチコネクタ132が実装されている。同じI/O基板131上のプラグ側マルチコネクタ132の長手方向延長線上、I/O基板131のコーナー部に、同軸レセプタクル134が実装されている。
【0004】
I/O基板131上のプラグ側マルチコネクタ132は、対向する位置にあるRF(ラジオ・フレケンシー以下RFと略す)/BB(ベースバンド以下BBと略す)基板135の短辺側の一辺の端に短辺と平行に実装されているレセプタクル側マルチコネクタ136と嵌合している。I/O基板131上の同軸レセプタクル134には、RF/BB基板135に一端が半田付けされた同軸ケーブル133の他端を形成する同軸プラグ137が嵌め込まれている。このように特性インピーダンスの整合が必要なアンテナ信号については、同軸ケーブルで接続され、他の特性インピーダンスの整合の必要性の無い音声系の信号については、マルチコネクタが使われていた。
【0005】
図13(b)に他の従来例を示す斜視図を示す。図13(a)と同じものは参照番号を同一とし説明を省略する。I/O基板131の長辺の一辺側に、第1のフラットケーブルレセプタクル138が実装されている。第1のフラットケーブルレセプタクル138は、複数の配線を配線の被覆同士が一体になって信号を伝達出来るフラットケーブル140の一端を形成する第1のフラットケーブルプラグ139と嵌合する。第1のフラットケーブルレセプタクル138の長手方向延長線のI/O基板131のコーナーに同軸レセプタクル134が実装されている。同軸レセプタクル134は、RF/BB基板135上に直接実装されている同軸プラグ137とケーブルを介さずに直接接続している。I/O基板131上の第1のフラットケーブルレセプタクル138にはフラットケーブル140の一端を形成している第1のフラットケーブルプラグ139が挿入されている。フラットケーブル140の他端には第2のフラットケーブルプラグ141が接続され、第2のフラットケーブルプラグ141はRF/BB基板135の短辺側の一辺に平行に実装されている第2のフラットケーブルレセプタクル142に嵌合している。このように特性インピーダンスの整合が必要なアンテナ信号については、基板上に実装された同軸コネクタ同士を直接接続させ、特性インピーダンスの整合の必要が無い信号については、フラットケーブルを使用して伝送する方法もある。
【非特許文献1】HIROSE ELECTRIC CO.,LTD.FLシリーズ製品カタログ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
伝送ラインをストリップライン構造にしたマルチコネクタは、各伝送ラインの特性インピーダンスZ0を式(1)に示す関係から例えば50Ωや75Ωに設定するものである。
【0007】
【数1】
【0008】
Lは伝送ラインの単位長あたりのインダクタンスであり、Cは同じく単位長あたりのキャパシタンスである。この式(1)から分かるように各伝送ラインの特性インピーダンスを調整するためには、各伝送ラインに、ある程度のサイズ(調整代)が必要であり、マルチコネクタ全体としては大きくなってしまう課題があった。その大きくなったマルチコネクタは、小型化薄型化が進んだ携帯電話端末では使用出来ない。また、特性インピーダンスを整合させる必要のある伝送ラインの数が少ない機器においては、その必要の無い信号についてもその伝送ラインを使用することになり不経済であった。
【0009】
そこで背景技術で述べたように特性インピーダンスの整合の必要の無い信号については、通常のマルチコネクタで接続し、整合の必要な信号については同軸コネクタを使用する方法が取られる。
ここで疑問が発生すると思う。何故、背景技術で述べた図13(a)と図13(b)を組み合わせて、ケーブル類を使わずに基板同士を直接接続しないのか、と言う疑問である。すなわち、マルチコネクタ同士を図13(a)に示す方法でフラットケーブル140を使用しないで接続し、同軸コネクタは図13(b)に示す方法で同軸レセプタクル134と同軸プラグ137とを直接同軸ケーブル133を介さずに接続する方法である。
【0010】
この方法のように複数のレセプタクルと複数のプラグの部品を基板上に直接実装して一度に接続させる場合は、各部品同士の実装精度や各部品の仕上がり精度が問題になり接続部の位置が合わなくなってしまう問題がある。これを無理に接続させようとすると接続部を破壊したり、接続出来ても信頼性や耐久性が著しく劣化することがある。
これを防止する目的で複数個の接続部の一方をケーブル接続として、その精度の悪い部分を吸収していたのが図13(a)及び図13(b)で示した方法である。しかし、この方法では、接続部の破壊や信頼性の低下を防止することは出来たが、部品点数が増えてしまう課題があった。また、ケーブル部の引き回しにスペースを要することとケーブルの引き回しの処理に工数(組み立て時間)を必要としコストアップの原因になっていた。
【0011】
この発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、部品点数が少なく組み立て工数も増加させることのない、低コスト化が可能な同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明では、直方体状絶縁ハウジングの一面中央部にその長手方向に沿った相手プラグ挿入用凹部が形成され、その挿入用凹部の長手方向に沿う対向面にそれぞれ定ピッチで接触子収納部が配列形成され、各接触子収納部にレセプタクル接触子が収納された絶縁ハウジングの一端部に第1の同軸コネクタが一体に形成されたレセプタクルと、そのレセプタクル挿入用凹部と嵌合する絶縁ボディの長手方向の両側にプラグ接触子収納部が上記と同一のピッチで配列形成され、上記プラグ接触子収納部にプラグ接触子が収納された絶縁ボディの一端部に上記第1同軸コネクタと嵌合する第2同軸コネクタが一体に形成されたプラグとの組で基板接続用コネクタを構成した。
【発明の効果】
【0013】
以上のようにこの発明によれば、マルチコネクタを構成するレセプタクル側絶縁ハウジングとプラグ側ボディのそれぞれと一体に同軸コネクタを形成することで、マルチコネクタと同軸コネクタとの位置関係を高精度に作り込むことができる。その結果、特性インピーダンスの整合が必要な信号とインピーダンス整合の必要は無いが多数ある信号を一対のコネクタによって接続することが可能になり、ケーブルを無くし、組み立て工数も削減し、低コスト化も可能にした同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
[第1実施形態]
図1にこの発明による同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの一実施例を示すレセプタクルとプラグとその両者が嵌合した場合の斜視図を示す。
レセプタクルは、レセプタクル本体を形成する直方体状絶縁ハウジングの一面中央部にその長手方向に沿った相手プラグ挿入用凹部と、その挿入用凹部の長手方向に沿う対向面にそれぞれ定ピッチで接触子収納部が配列形成される接触子収納部と、各接触子収納部に収納されるレセプタクル接触子と、直方体状絶縁ハウジングの一端部に設けられた第1の同軸コネクタとで構成される。
【0016】
プラグは、上記挿入用凹部に嵌合する絶縁ボディと、絶縁ボディの長手方向の両側にプラグ接触子収納部が上記と同一のピッチで配列形成されるプラグ接触子収納部と、各プラグ接触子収納部に収納されるプラグ接触子と、絶縁ボディの一端部に設けられた第2の同軸コネクタとで構成される。
これらレセプタクルとプラグとは、それぞれが別々の基板に実装され、それぞれを嵌合させることで、基板同士を電気的に接続させるものである。
〔レセプタクルの構成〕
図1(a)はこの発明の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを構成するレセプタクルの一実施例を示す斜視図である。レセプタクル本体を形成する絶縁ハウジング1は直方体であり、その一面中央部の長手方向に沿って相手プラグが挿入される挿入用凹部2が形成されている。その挿入用凹部2の長手方向に沿う対向面にそれぞれ定ピッチで接触子収納部3が配列形成され、各接触子収納部3それぞれにレセプタクル接触子4が収納されている。挿入用凹部2の裏面側が絶縁ハウジング1が実装される図示しない基板の表面(以下実装面と称する)に接する。絶縁ハウジング1の長手方向の一端は、接触子収納部3が形成されている幅よりも狭い幅で且つ実装面300に近い厚み(第1同軸コネクタ形成部5の厚みが接触子収納部より薄い)の第1同軸コネクタ形成部5が一体に延長形成されている。
【0017】
第1同軸コネクタ形成部5の中央には、実装面に対して垂直方向に第1の中心導体7が立設している。第1の中心導体7と一体の金属部品であり、第1の中心導体7を実装面300上の図示しない配線パターンに伝達するセンターピン6を第1同軸コネクタ形成部5の接触子収納部3と反対側の一辺に突出させている。この第1の中心導体7とセンターピン6を形成する金属部品は、第1同軸コネクタ形成部5に組み付けられている。
第1の中心導体7を中心に第1の中心導体7と凡そ同じの高さの壁を持ったリング状の第1アースリング9が立設している。第1アースリング9を接地させるアース端子8が第1同軸コネクタ形成部5の絶縁ハウジング1の長手方向に沿う2辺の実装面300上に突出している。
【0018】
第1アースリング9とアース端子8は一体に形成された金属部品であり、絶縁ハウジング1を製造する際に第1同軸コネクタ形成部5の部分にインサート成形されている。
第1の同軸コネクタ形成部5に第1の中心導体7と第1アースリング9による第1の同軸コネクタ10が同軸レセプタクル(以下第1の同軸コネクタ10を同軸レセプタクル10と称する)として形成されている。
同軸レセプタクル10の反対側の絶縁ハウジング1の端部は、接触子収納部3が形成される面よりも実装面300側に低く且つ第1同軸コネクタ形成部5より高い面を持つレセプタクル端部11が形成されている。レセプタクル端部11のほぼ中央部分で挿入用凹部2に隣接する位置に係合用突出部12が実装面300に対して垂直方向に形成されている。
【0019】
〔プラグの構成〕
図1(b)はこの発明の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを構成するプラグの一実施例を示す斜視図である。レセプタクルの挿入用凹部2と嵌合する絶縁ボディ13の長手方向の両側にプラグ接触子収納部14が、レセプタクル側と同一の定ピッチで配列形成され、プラグ接触子収納部14にプラグ接触子15が収納されている。レセプタクルの挿入用凹部2に挿入される絶縁ボディ13の挿入方向と反対側の面が絶縁ボディ13が実装される図示しない基板の表面(以下プラグ実装面と称する)に接する。
【0020】
絶縁ボディ13の長手方向の一端は、絶縁ボディ13を実装するプラグ実装面400からの厚みがプラグ接触子収納部14の厚みより薄くて、絶縁ボディ13と凡そ同一の幅の第2同軸コネクタ形成部16が一体に延長形成されている。
第2同軸コネクタ形成部16のプラグ接触子収納部14と反対側の端に、同軸レセプタクル10の第1アースリング9の内径とほぼ等しい外径の円筒状取付け部19が、プラグ実装面400に対して垂直方向に絶縁ボディ13と一体に形成されている。円筒状取付け部19の実装面400と反対の面の中央には第1の同軸コネクタ10の第1の中心導体7が挿入される円筒部穴17が空けられ、円筒部穴17を中心にすり鉢形状の凹部18が形成されている。
【0021】
円筒状取付け部19の周囲には円環状の空隙20を空けて第1アースリング9の外径とほぼ等しい内径を持ち、ほぼ円筒状取付け部19と同一の高さのリング状の第2アースリング21が第2同軸コネクタ形成部16に係止されている。第2アースリング21の絶縁ボディ13の長手方向に沿う2辺に、第2アースリング21をプラグ実装面400上の接地電極に半田付けする接地端子22が第2アースリング21と一体に形成されている。
円筒状取付け部19の上面中央部分に形成された円筒部穴17は、プラグ実装面400に向けた貫通穴であり、貫通穴の中にプラグ実装面400から図示しない第2の中心導体が挿入されている。第2同軸コネクタ形成部16の先端部のプラグ実装面400の高さには、第2の中心導体と一体の金属部品であるコンタクト23が突出している。第2の同軸コネクタ形成部16に円筒状取付け部19と第2アースリング21と第2の中心導体(図1(b)では図示されない後述する)とで第2の同軸コネクタ24が同軸プラグとして形成されている。(以下第2の同軸コネクタを同軸プラグと称する、したがって、以降同軸プラグ24及び同軸プラグ形成部16と称する)
同軸プラグ24と反対側の絶縁ボディ13の端部には、プラグ接触子収納部14が形成される面よりもプラグ実装面400側に低くやや広い幅のプラグ端部25が形成されている。プラグ端部25のほぼ中央部分にはレセプタクルの係合用突出部12と係合する係合穴26が形成されている。
〔レセプタクルとプラグの嵌合〕
図1(c)はこれらレセプタクルとプラグとを嵌合した斜視図を示す。図1(c)では、レセプタクルとプラグが実装されるそれぞれ別体の基板は省略している。図1(c)は、図1(a)のレセプタクル、すなわち絶縁ハウジング1を180°反時計方向に反転させ、レセプタクルの係合用突出部12をプラグの係合穴26に係合させ、挿入用凹部2に絶縁ボディ13を挿入嵌合させ、同軸プラグ24の空隙20に第1アースリング9を、凹部18に第1の中心導体7を挿入嵌合させた図である。
【0022】
レセプタクル本体を形成する直方体の絶縁ハウジング1の長手方向に沿って定ピッチで接触子収納部3が配列形成され、植設されたレセプタクル接触子4の一端が実装面300の高さで絶縁ハウジング1から突出している。レセプタクルの挿入用凹部2に挿入されたプラグの絶縁ボディ13の長手方向には、レセプタクル接触子4と一対一に対応したプラグ接触子15がプラグ実装面400の高さでその一端を絶縁ボディ13から突出させて配列している。この一対一に対応したレセプタクル接触子4とプラグ接触子14とが接触することによって、異なる基板間の配線パターンを導通させることが出来る。このレセプタクル接触子4とプラグ接触子15とによる伝送ラインは、特性インピーダンスが考慮されていないので、音声系の低周波の信号やLSIの動作状態を設定するための直流電圧信号などの伝送路として使用される。
【0023】
同軸プラグ24を構成する第2アースリング21は、同軸レセプタクル10を構成する第1アースリング9と嵌合する。その際、第1の中心導体7は同軸プラグ24を構成する円筒状取付け部19の中央に空けられた貫通穴である円筒部穴17に挿入される。また、同軸レセプタクル10の第1アースリング9は同軸プラグ24の円筒状取付け部19と第2アースリング21の内径とで形成する空隙20に、挿入されて嵌合する。
同軸プラグ24が形成される側の絶縁ボディ13の最端部にはコンタクト23がプラグ実装面400の高さで突出している。コンタクト23が突出した一辺と異なる同軸プラグ形成部16の他の2辺には、第2アースリング21と一体に形成された接地用端子22がプラグ実装面400の高さに配置されている。
【0024】
絶縁ハウジング1と絶縁ボディ13を嵌合すると同軸レセプタクルを構成する第1の中心導体7は、同軸プラグ24を構成する円筒状取付け部19の中央部分に形成された円筒部穴17に挿入され、円筒部穴17の内面に形成された図示しない可動電極である第2の中心導体(第2の中心導体については後述する)と接触する。この結果、センターピン6に接続される絶縁ハウジング1が実装される基板上の信号は、絶縁ボディ13が実装される対向する位置にある別の基板上の配線パターンにコンタクト23を介して伝達される。
この同軸レセプタクル10と同軸プラグ24による伝送ラインの特性インピーダンスは、例えば50Ωに設定されている。特性インピーダンスの調整は、第1の中心導体7の外径や長さ、円筒状取付け部19を形成する材料の誘電率や、センターピン6及びコンタクト23の電極幅などを変えることで、式(1)で示した伝送ラインの単位長あたりのインダクタンスとキャパシタンスを変えて行う。したがって、これらを調整することで特性インピーダンスを50Ωや75Ωに調整することが出来る。
【0025】
このように伝送ラインの特性インピーダンスを所望の値にすることが出来るので、伝送ラインのインピーダンス整合が求められる例えばアンテナ信号等の高周波信号を損失の少ない形で伝達することが可能である。また、第2アースリング21及び第1アースリング9によって第1の中心導体9及び第2の中心導体(後述する)が電磁遮蔽されているので、信号の放射が問題になる例えばマイクロ波回路の信号の伝送ラインとして好適である。
図1に示す実施例によれば、音声系の信号や、直流電圧レベルによるLSIの制御信号など、特性インピーダンスを問題にしないが比較的に数の多い信号と、数は少ないが伝送ラインの特性インピーダンス整合を取らなければならない例えばアンテナ信号とを、一つの基板間接続用コネクタで接続させることが可能となる。
【0026】
また図1に示す実施例によれば、第1同軸コネクタ形成部5と第2同軸コネクタ形成部16の厚みが接触子収納部より薄く形成されているので嵌合時にコネクタの厚みを低背化することが可能である。
図1に示した実施例では、マルチコネクタのレセプタクルを形成する絶縁ハウジング1と一体に第1の同軸コネクタ10として同軸レセプタクルを、マルチコネクタのプラグを形成する絶縁ボディ13と一体に第2の同軸コネクタ24として同軸プラグを、それぞれ形成した例を示した。この発明はこの実施例に限定されない。マルチコネクタのレセプタクル側に同軸プラグを、マルチコネクタのプラグ側に同軸レセプタクルを形成しても良い。
〔同軸レセプタクルの詳細な構造〕
図2は図1(a)で示した同軸レセプタクル10を拡大した斜視図である。図1(a)で示したものと対応する部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。図2によってより構造が明確になる部分について説明を追加する。
【0027】
第1の中心導体7の他方の端を形成するセンターピン6は、絶縁ハウジング1の最端の一辺中央部分にセンターピン6の底面を実装面300の高さにして突出している。
第1アースリング9を接地させるアース端子8は、絶縁ハウジング1の長手方向に沿う2辺に実装面300の高さで突出している。
図3に図2のIII−III面を切断した断面図を示す。第1の中心導体7は第1同軸コネクタ形成分5の中央部分に空けられた穴30に、実装面300側から挿入され基板に対して垂直に立設している。第1の中心導体7と一体であり基板面と平行なセンターピン6は、同軸レセプタクル形成部5の実装面300側に形成された溝31に絞め代を持った嵌め合い構造で固定される。この実施例では、第1の中心導体7とセンターピン6を形成する略L字形状の部品を組み込み部品で説明したが、絶縁ハウジング1を製造する際にインサート成形しても良い。
【0028】
図4に図2のIV−IV面を切断した断面図を示す。第1同軸コネクタ形成分5の中央部分には第1の中心導体7を挿入する穴30が開けられており、穴30に第1の中心導体7が挿入され、実装面300に対して垂直に第1の中心導体7が立設している。図4に示す第1の中心導体7の例は、絞り加工で製造された物なので試験管のように中空形状になっている。第1アースリング9は、第1の中心導体7を中心に第1の中心導体7とほぼ同じ高さを持った壁を形成して円環状に配置され、第1アースリング9と一体のアース端子8を実装面300の高さで同軸レセプタクル形成部5の左右に突出させている。
【0029】
第1アースリング9を形成する円環状の壁の断面は、同軸プラグ24との嵌合を容易にすると共に嵌合を確実にするために高さ方向に3段構造になっている。最上段(実装面300と反対の方向)の内径は第1アースリング9の最小内径Bよりもやや大きい内径Cを持ち、第1アースリング9の最大厚み40の約4分の1の大きさの幅になっている。同軸プラグ24に嵌め易いように上端外縁部から最上段の壁の高さの約5分の1下がった位置の第1アースリング9の外壁面の成す径を最大外径Aとするように、外側へ行くほど外径が大きくなるテーパー形状41になっている。最大外径になった後は、その外径を維持して切り落とされた形で最上段部を形成している。
【0030】
中段部は、逆に最大外径から第1アースリング9の上端外縁部の径に向けて第1アースリング9の外壁面の成す径が小さくなる方向のテーパー形状42を形成し、上端外縁部の径と等しい径となった後、その径でテーパー形状42とほぼ等しい高さ延長され、その後再び外壁面の成す径を最大外形径Aとするように、外側へ行くほど外径が大きくなるテーパー形状43が形成されている。
最下段部は、最大外径Aで同軸レセプタクル形成部5の上面(実装面300の反対側の面)まで延長されている。
【0031】
第1アースリング9の断面は以上述べたような形状になっていて、最上段部で同軸プラグ24に挿入し易くし、中断部のテーパー形状42で同軸プラグ24と確実な接触が得られるようにしている。この第1アースリング9及びアース端子8は、絶縁ハウジング1を製造する際にインサート成形されて作られている。
〔同軸プラグの詳細な構造〕
図5は図1(b)で示した同軸プラグ24を拡大した斜視図である。図1(b)で示したものと対応する部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。図5によってより構造が明確になる部分について説明を追加する。
【0032】
円筒状取付け部19とほぼ同一の高さを持った円環状の第2アースリング21が、第2アースリング21の回転を規制する為の切欠き部50を第2同軸コネクタ形成部16の先端部に形成された位置決め用突起51に噛み合わせて位置決めされている。位置決め用突起は、第2同軸コネクタ形成部16の先端部にプラグ実装面400に対して垂直の方向に略長方形形状で突出している。
第2アースリング21の切欠き部50の中央から第2アースリング21のリング状の壁上部にかけてスリット52が切り通されている。この実施例では、第2アースリング21の壁のプラグ実装面400側から反対側まで切り通されているが、挿入方向の端部の一部が切れているだけでも良い。
【0033】
第2アースリング21のスリット52から時計方向約60°付近に係合用穴53aが、第2アースリング21の円環状の壁の高さの中央部分よりプラグ実装面400寄りの位置に形成されている。この係合用穴53aを円筒状取付け部19の外周に形成された爪に係合させて第2アースリング21は絶縁ボディ13に固定されている。爪は爪54aを基準に反時計方向120°の位置に爪54b(図5では見えない)、時計方向120°の位置に爪54c(図5では見えない)の3箇所に形成されている。第2アースリング21の係合用穴も円筒状取付け部19の爪に対応した位置、係合用穴53aを基準に反時計方向120°の位置に爪54b(図5では見えない)、時計方向120°の位置に爪54c(図5では見えない)の3箇所に配置されている。
【0034】
円筒状取付け部19のプラグ実装面400と反対の方向から、第2アースリング21を円筒状取付け部19の位置決め用突起51に切欠き部50の位置に合わせて落とし込む。すると、第2アースリング21に設けられたスリット52によって第2アースリング21が径方向に押し広げられて円筒状取付け部19の爪54a,54b,54cと第2アースリング21の係合用穴53a,53b,53cが係合し、第2アースリング21が絶縁ボディ13と一体になる。
図6に図5から第2アースリング21を取り外した円筒状取付け部19の斜視図を示す。円筒状取付け部19は、プラグ実装面400に近い部分の、径を第2アースリング21の内径とほぼ等しくする円筒部19bと、円筒部19bよりも径の小さい第1アースリング9の内径とほぼ等しい径の円筒部19aとの2段構造になっている。円筒部19aの上面(プラグ実装面400と反対側)には、同軸レセプタクルの第1の中心導体7の直径にほぼ等しい円筒部穴17が開けられプラグ実装面400まで貫通している。円筒状取付け部19の上面は、第1の中心導体7を円筒部穴17に挿入し易いように円筒部19aの外径と円筒部穴17との間を凡そ3等分した長さ円筒部穴17から外側に離れた位置から円筒部穴17に向けてすり鉢形状60になっている。すり鉢形状60の上端部は、その3等分した長さ平坦部61が形成されている。平坦部61の外側は同軸レセプタクルの第1アースリング9のほぼ内径の大きさの径まで外側に行くほど低くなるテーパー形状62となっている。円筒部19aの外径が同軸レセプタクルの第1アースリング9のほぼ内径の大きさになったところからほぼプラグ実装面400に対して垂直に、第1アースリング9の高さ以上の長さ円筒部19aが延長される。
【0035】
円筒部19aの上端部からの長さが同軸レセプタクルの第1アースリング9の高さ以上となったところで、平坦部61とほぼ等しい幅で、プラグ実装面400に対して水平な面63が形成され、その外側にはテーパー形状62とほぼ同じ外側に行けば低くなるテーパー形状64が第2アースリング21のほぼ内径と等しい大きさまで形成される。円筒部19bの外径が第2アースリング21のほぼ内径と等しくなったところからその外径でほぼ垂直にプラグ実装面400まで延長されて円筒部19bを形成している。
同軸プラグ形成部16の先端には第2の中心導体と導通したコンタクト23が突出している。コンタクト23を中心としてコンタクト23の約2倍の幅を持った位置決め用突起51が、円筒部19aから第2アースリング21の外径の大きさまで突出し円筒部19bと一体に形成されている。
【0036】
円筒部19bのコンタクト23の中心位置から時計方向に約60°の位置に爪54aが形成されている。爪54aは、第2アースリング21の円環状の壁に形成された係合用穴の大きさでプラグ実装面400に近いほど第2アースリング21の外径の大きさに近づくテーパー形状であり、円筒部19bの外周面から形成され始め爪のプラグ実装面400に対して垂直方向の長さの約2/3程度の位置で第2アースリング21の外径と同じ厚みになり、その後、プラグ実装面400に対して垂直に切り落とされた形状をしている。すなわち円筒部19bの外周面から突出した形状をしている。爪は爪54aを基準にすると反時計方向約120°の位置に爪54b、時計方向約120°の位置に爪54c(図6では見えない)の3箇所に形成されている。
【0037】
図7に同軸プラグ24を示した図5のVII−VII面の断面図を示す。円筒部穴17はプラグ実装面400まで貫通している。円筒状取付け部19の上端の円筒部穴17は円形であるが円筒状取付け部19の径方向の内部断面の形状は略四角形であり、その四角形の内面に三角形を成す形で3方向に電極70,71,72を備えた第2の中心導体73が配置されている。図7では確認出来ないが、図7に示す第2の中心導体70のプラグ実装面400寄りのところで第2の中心導体73と電極70,71,72は一体となった一つの部品である。円筒部19aの側壁に形成された爪54bが、第2アースリング21の円環状の壁に形成された係合用穴53bと係合して第2アースリング21と絶縁ボディ13が一体になっている。
【0038】
図8に第2の中心導体73を単体で示す。プラグ実装面400上の配線パターンに半田付けされるコンタクト23を形成する金属部品は、コンタクト23の幅の短冊形状でプラグ実装面400に平行に延長される。短冊状に延長された後、コンタクト23の端辺と平行な向きの電極70をプラグ実装面400に対して垂直方向に形成する。電極70の幅はコンタクト23の端辺よりやや大きく、高さは凡そ円筒状取付け部19の内部に空けられた貫通穴の高さに等しい。電極70のほぼ半分の高さからほぼ電極70の幅に等しい電極が、電極70の幅の両端から内側に折り曲げ延長され略三角形を形成している。三角形の頂点は空隙になっており電極70の上端方向(プラグ実装面400と反対側)から見ると御結び形状をしている。折り曲げ延長された先端部(空隙)から延長された電極の約半分の幅の部分が電極70と同じ高さまで延長され、電極71と電極72を形成している。電極71と72の先端部の肉厚は薄くなっており御結び形状の内側に向けて徐々に厚くなるテーパー形状をしている。折り曲げられ三角形の2辺を成す電極71と電極72の辺の中間部分の対向する長さが挿入される第1の中心導体7の径より短い長さに設定されている。したがって、第1の中心導体7が挿入されると、第1の中心導体7の径方向に第2の中心導体73は可変する。
【0039】
図14に絶縁ボディ13に第2の中心導体73が固定される様子をプラグ実装面400側から見た図を示す。今までに説明した部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。円筒状取付け部19の軸方向の断面が略四角形の第2の中心導体装着孔90に、プラグ実装面400側から第2の中心導体73が挿入されている。第2の中心導体73は、同軸プラグ形成部16のプラグ実装面400側に形成された固定用溝91に絞め代を持った嵌め合い構造で固定され、同軸プラグ形成部16の端部のプラグ実装面400にコンタクト23を突出させている。
【0040】
図9に同軸レセプタクル10と同軸プラグ24とが嵌合している時の断面図を示す。今までに説明した部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。図9によってより構造が明確になる部分について説明を追加する。同軸レセプタクル10を構成する第1の中心導体7は、同軸レセプタクル形成部5の中央部分に空けられた穴30に実装面300側から挿入され、実装面300に対して垂直に立設している。第1の中心導体7と一体であり実装面300と平行なセンターピン6は、同軸レセプタクル形成部5の実装面300側(同軸レセプタクル形成部5の裏面)に形成された溝31に絞め代を持った嵌め合い構造で固定され、同軸レセプタクル形成部5の実装面300の高さにセンターピン6を突出させている。
【0041】
第1の中心導体7は円筒部穴17に挿入され、円筒部穴17の貫通穴内面に配置された第2の中心導体73の上部部分(プラグ実装面400と反対方向)で第1の中心電極7と第2の中心導体73が接触している。第2アースリング21の上端部(プラグ実装面400と反対側)は、同軸レセプタクル10の第1アースリング9が嵌合し易いように、花弁状に外側に開いた形状をしている。第2アースリング21の上端外縁部が、第2アースリング21の最大外径を形成している。その第2アースリング21の上端部から径方向内側に径が縮小するテーパー形状しており、嵌合する同軸レセプタクル10の第1アースリング9の最大外径よりもやや小さい径まで縮小したあと、逆方向に径が広がるテーパー形状となり円筒部19bの外径に第2アースリング21の内径が等しくなったところからその外径でプラグ実装面400方向に延長されている。
【0042】
すなわち、第2アースリング21の上端部の嵌合方向の断面の一部は“く”の字型を形成している。この“く”形状部92が形成する内径は、嵌合する第1アースリング9の最大外径よりもやや小さく形成されている為に、嵌合は第1アースリング9が第2アースリング21を押し広げるようにして行われる。
このように嵌合が径方向に押し広げて行われる為に、第2アースリング21は径の内側に向けて元に戻ろうとする力が常に働く。これは、嵌合部の信頼性を向上させる要因となる。特に小型のプッシュオンタイプと呼ばれる同軸コネクタにおいては、嵌合する軸方向にのみ変位部分を持つのが一般的であるので、この実施例はそれらに対して有利な構造となっている。
【0043】
第1アースリング9と第2アースリング21との接触は、第2アースリング21の“く”形状部92と第1アースリング9のテーバー形状42の斜面とが接触して行われる。
この嵌合力は、例えば第2アースリング21の形状を変えることで調整が可能である。その例を図10に示す。今までに説明した部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。図10(a)は第2アースリング21の直径を隔てて対向する位置に配置された2つの接地電極8と直交する部分にスリット100を形成した例である。スリット100は、スリット52の上端部分(接地電極8と反対側の部分)の円周方向の切り欠き幅を広げて形成されている。スリット100を形成することで、同軸レセプタクル10が嵌合する際に第2アースリング21が外側に開き易くなるので、嵌合力を弱めることが出来る。
【0044】
図11(b)はより嵌合力を弱める為に、スリット100と第2アースリング21の直径を挟んで対向する位置に2つ目のスリット101を形成した例である。スリット101は、第2アースリング21の径を挟んで対向する位置にある係合用穴53cに繋がっているが、係合用穴53cの接地端子22側の第2アースリング21の壁は切れていない。
図11(c)はスリット100を基準として時計方向約120°の位置にスリット102、反時計方向にスリット103を形成した例である。スリット102と103はスリット52のような幅の細い切り通しの部分が無い形状をしている。このようにスリットを追加形成することで嵌合力を弱めることが可能である。もちろん第1アースリング9や第2アースリング21の肉厚や径や材質を変えても嵌合力は調整できる。
〔マルチコネクタ部の接点構造〕
図11に図1(c)に示したマルチコネクタが嵌合したXI−XI面の断面図を示す。
【0045】
まずレセプタクル側の構造を説明する。
絶縁ハウジング1が実装される実装面300、図11においては、絶縁ハウジング1の上面から垂直に接触子110を固定する保持柱111aと111b(以下、挿入用凹部2を中心として対向する位置にある同じ構成bについては、特に必要が無い限り省略する)が、絶縁ハウジング1の長手方向両側の壁を形成している。保持柱111aを中心にレセプタクル接触子4を収納する接触子収納部3を形成する壁112aが、保持柱111aを中心に左右に、絶縁ハウジング1の短辺方向の中心に向かって延長され接触子収納部3を形成する。その反対側は、保持柱111aの幅とほぼ同じ長さ張り出している。保持柱111aを中心にレセプタクル接触子4を形成する導体線の太さ分の幅、壁112aが切り欠かれて接触子ガイド部113aが形成されている。
【0046】
実装面300と平行にレセプタクル接触子4の結線部4αが形成されている。レセプタクル接触子4は結線部4αから挿入用凹部2の方向に延長され、保持柱111aの部分で垂直方向に立ち上がり(図11においては立ち下がり)延長され、保持柱111aの上端部でヘアピン状に折り返され、取り付け用ヘアピン部4βを形成する。更に絶縁ハウジング1の実装面300方向に延長され、絶縁ハウジング1の底部で再び大きくU字状に折り曲げ延長され、保持柱111aのほぼ上端部の位置に結線部4αの他端として接触部4γを形成している。接触部4γは円弧状に形成され、その頂点は挿入用凹部2を向いて壁112aよりも挿入用凹部2側に突出している。レセプタクル接触子4が絶縁ハウジング1の底部で大きくU字状に折り曲げ延長されたことで、レセプタクル接触子4は挿入用凹部2から保持柱111aに向けた横方向のバネ力を持つ。
【0047】
次にプラグ側を説明する。
絶縁ボディ13がプラグ実装面400と接する底面から垂直にボディ中心部114が形成され、ボディ中心部114から両外側に壁115a,115b(ここでもボディ中心部114を中心として対向する位置にある同じ構成bについては、特に必要が無い限り省略する)を張り出してプラグ接触子収納部14(図1参照)が形成されている。
プラグ接触子収納部14は、壁115aによって形成される。壁115a,115b及びボディ中心部114の大きさは、それぞれの幅を合わせた長さが、挿入用凹部2の幅より若干短めになるように設定される。壁115aがボディ中心部114から延長される部分である壁115aの根元部分に、プラグ接触子15を絶縁ボディ13に挿入する際のガイドとなる溝が形成されたプラグ接触子ガイド部116aが形成されている。
【0048】
すなわち、絶縁ボディ13はボディ中心部114を中心として、両側に壁115a,115bを張り出した背骨の様な形状をしている。
プラグ接触子15の一端を形成するプラグ結線部15αは、プラグ実装面400と同一面内で絶縁ボディ13の外側から絶縁ボディ中心部130まで延長されたあと、垂直方向に立ち上がり延長され、絶縁ボディ13の天板の直前の位置で折り返され、折り返されたプラグ接触子15の他方の端は“く”の字状(図11では“く”を逆さまにした形)に形成されプラグ接触部15βとなる。“く”の字の山の部分はボディ中心部114と反対方向である外側を向いている。
【0049】
レセプタクルの挿入用凹部2の短辺方向の長さを決めている壁112a,112bにプラグ接触子収納部14を形成する壁115a,115bが案内される形で、挿入用凹部2にプラグの絶縁ボディ13が挿入される。絶縁ボディ13が挿入されると、プラグ接触子15の“く”の字状に形成された接触部15βの“く”形状の先端部分が、円弧状に形成されたレセプタクル接触子4の接触部4γを乗り越えて接触子同士の接触がなされる。この時、レセプタクル接触子4及びプラグ接触子15は、挿入用凹部2の短辺方向のバネ力を持つのでその方向においてお互いの持つバネ力が拮抗する位置に安定する。このようにそれぞれのレセプタクル接触子及びプラグ接触子がバネ力を持って接触するため、良好な接続が得られる。
【0050】
このようにしてレセプタクル実装面300上の信号とプラグ実装面400上の信号との導通が得られる。
[第2実施形態]
前述したマルチコネクタ部の接点は、特性インピーダンスが考慮されていない伝送ラインである。マルチコネクタ部も特性インピーダンスを合わせようとすると、背景技術で述べたようにコネクタ全体が大型化してしまう課題があった。そこで、特性インピーダンスを整合させる程の必要は無いが、マルチコネクタ部を電磁遮蔽したいと言う要求もある。その要求に答えたこの発明の他の実施例を図12に示し、この発明を更に説明する。今までに説明した部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。図12によってより構造が明確になる部分について説明を追加する。
〔第2実施例のレセプタクルの構成〕
図12(a)に第2実施例のレセプタクルを示す。挿入用凹部2の長手方向に対向する両端部に固定板150,151が配置されている。固定板150は、接触子収納部3よりも絶縁ハウジング1が実装される実装面300側に低い面のレセプタクル端部11を覆っている。挿入用凹部2の長手方向に対向する位置のレセプタクル端部11と実装面300からの高さが同一のレセプタクル端部152を固定板151が覆っている。
【0051】
固定板150の絶縁ハウジング1の長手方向に沿う面の凡そ半分の幅が実装面300方向に折り曲げられ、実装面300まで延長されている。実装面300まで延長された固定板150,151は、レセプタクル端部11,152の実装面300からの高さの約半分の高さで絶縁ハウジング1の両端部方向に延長され係止部153,154,155,156を形成する。
固定板150の挿入用凹部2と反対側の辺の絶縁ハウジング1の長手方向に沿う角部を除く部分が実装面300まで折り曲げ延長され、辺の中央分に固定板150を実装面300の接地パターンと半田付けする固定脚157が形成されている。
【0052】
固定板151の接触子収納部3の反対側中央には、レセプタクル端部152より実装面300側に低く絶縁ハウジング1の長手方向に沿う対向方向の幅が狭い同軸コネクタ形成部5が形成されている。同軸コネクタ形成部5を中心に固定板151挿入用凹部2と反対側の辺の絶縁ハウジング1の長手方向に沿う角部を除く部分が実装面300まで折り曲げ延長され、固定脚158,159が形成されている。
各係止部153,154,155,156の接触子収納部3側は、レセプタクル接触子4のすぐ上から絶縁ハウジング1の天板(実装面300の反対側)を越える高さで他方の固定板まで延長されシールド板157,158を形成する。
【0053】
シールド板157,158によって、挿入用凹部2の長手方向に対向する両端部の固定板150,151は一体に形成されシールド板付固定板200を構成している。シールド板固定板200は、絶縁ハウジング1の四隅に形成された係止用爪160,161,162,163と係止部153,154,155,156とが係合することで絶縁ハウジング1と一体になっている。
〔第2実施例のプラグの構成〕
図12(b)に第2実施例のプラグを示す。絶縁ボディ13の長手方向の一端には、第2同軸コネクタ形成部16があり同軸プラグ24が形成されている。絶縁ボディ13の反対側の一端にはプラグ接触子収納部14が形成された面よりもプラグ実装面400側に低く広い幅で延長されたプラグ端部25が絶縁ボディ13と一体に形成されている。プラグ端部25のほぼ中央部分には、レセプタクルの係合用突出部12と係合する係合穴26が形成され、係合穴26の周囲には嵌合時にレセプタクルの固定板130と接触するプラグ固定板170が配されている。プラグ固定板170は絶縁ボディ13の長手方向に沿う2辺に形成された凹部171,172と係合して絶縁ボディ13と一体に固定される。プラグ固定板170のプラグ接触子15が配置される方向と反対側の辺には、プラグをプラグ実装面400に堅固に固定する為のプラグ固定脚173が形成されている。
【0054】
プラグ固定脚173の絶縁ボディ13を挟んで反対側のプラグ接触子収納部14と同軸プラグ24との間にもう一方のプラグ固定板174が配されている。プラグ固定板174は絶縁ボディ13の長手方向に沿う2辺に形成された凹部175,176と係合して絶縁ボディ13と一体に固定される。プラグ固定板174の絶縁ボディ13の長手方向に沿う2辺には、プラグをプラグ実装面400に堅固に固定する為のプラグ固定脚177,178が形成されている。
〔第2実施例のレセプタクルとプラグの嵌合〕
図12(c)はこれら第2実施例のレセプタクルとプラグとを嵌合した斜視図を示す。図12(c)では、レセプタクルとプラグが実装されるそれぞれ別体の基板は省略している。図1(c)は、図12(a)のレセプタクル、すなわち絶縁ハウジング1を180°反時計方向に反転させ、レセプタクルの係合用突出部12をプラグの係合穴26に係合させ、挿入用凹部2に絶縁ボディ13を挿入嵌合させ、同軸レセプタクル10と同軸プラグ24嵌合させた図である。今までに説明した部分は、参照符号を同一として説明を繰り返さない。
【0055】
プラグ本体を構成する絶縁ボディ13のプラグ接触子収納部14の長手方向両端部にプラグ固定板174とプラグ固定板170が配され、嵌合したレセプタクル側の固定板151と固定板150とに接触している。嵌合したレセプタクルとプラグの長手方向の両側面を、レセプタクルが実装される基板の実装面300上の位置にあるレセプタクル接触子4のすぐ下からプラグが実装される基板の実装面400上の位置にあるプラグ接触子15のすぐ上の高さまでシールド板157,158が覆っている。
レセプタクル側の固定板151と固定板150とをレセプタクルが実装される基板上の接地電極と半田付けして導通させることで、マルチコネクタの両側面を電磁遮蔽することが出来る。
【0056】
また、プラグ固定板170,174をプラグが実装される基板側の接地電極と半田付けすることで、レセプタクルが実装される基板とプラグが実装される基板の接地電位を共通にすることが可能である。
このように第2実施例によれば、特性インピーダンスが調整され且つ電磁遮蔽された1本の伝送線路と、電磁遮蔽されたマルチコネクタとを一組のレセプタクルとプラグで構成することが出来る。
今まで説明した実施例では、同軸コネクタを並列コンタクト部を形成する直方体状絶縁ハウジング及び絶縁ボディの長手方向の一端部に配置した例を用いて説明して来たが、同軸コネクタを両端部に配置しても良い。
【0057】
また、同軸レセプタクルと同軸プラグの嵌合力は、可変径アースリングに設けるスリットの数や材料、厚み等で調整可能であることを述べたが、その嵌合力によっては同軸コネクタ側に形成される固定板を削除しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明による同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの一実施例を示す図である。
【図2】図1(a)で示した同軸レセプタクルを拡大した斜視図である。
【図3】図2のIII−III面を切断した断面図を示す。
【図4】図2のIV−IV面を切断した断面図を示す。
【図5】図1(b)で示した同軸プラグを拡大した斜視図である。
【図6】図5から可変径アースリングを取り外した凸部の斜視図を示す。
【図7】同軸プラグを示した図5のVII−VII面の断面図を示す。
【図8】第2の中心導体を単体で示す図である。
【図9】同軸レセプタクルと同軸プラグとが嵌合している時の断面図を示す。
【図10】可変径アースリングの形状を変えた実施例を示す図である。
【図11】図1(c)に示したマルチコネクタが嵌合したXI−XI面の断面図を示す。
【図12】マルチコネクタ部を電磁遮蔽したこの発明の他の実施例を示す図である。
【図13】従来の基板間接続の一例を示す斜視図である。
【図14】絶縁ボディに第2の中心導体が固定される様子を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状絶縁ハウジングの一面中央部にその長手方向に沿った相手プラグ挿入用凹部が形成され、
その挿入用凹部の長手方向に沿う対向面にそれぞれ定ピッチで接触子収納部が配列形成され、各接触子収納部にレセプタクル接触子が収納された絶縁ハウジングの一端部に第1の同軸コネクタが一体に形成されたレセプタクルと、
上記挿入用凹部と嵌合する絶縁ボディの長手方向の両側にプラグ接触子収納部が上記と同一のピッチで配列形成され、上記プラグ接触子収納部にプラグ接触子が収納された絶縁ボディの一端部に上記第1の同軸コネクタと嵌合する第2の同軸コネクタが一体に形成されたプラグとを組みとすることを特徴とする同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項2】
上記直方体状絶縁ハウジングと上記絶縁ボディの一方の長手方向の一端に一体に延長形成され、コネクタ結合方向と垂直な平板状の第1同軸コネクタ形成部と、他方の上記一端と同一側の一端に一体に延長形成されコネクタ結合方向と垂直な平板状の第2同軸コネクタ形成部を備え、
上記第1の同軸コネクタは上記第1同軸コネクタ形成分の中央部に突出して設けられた第1の中心導体と、上記第1同軸コネクタ形成部に取り付けられ、その第1の中心導体を中心としてリング状の第1アースリングとを備え、
上記第2の同軸コネクタは、上記第1の同軸コネクタと嵌合方向で対向する上記第2同軸コネクタ形成部の中央部に一体に形成された円筒状取付け部と、上記円筒状取付け部の嵌合方向上面中央に上記第1の中心導体が挿入される円筒部穴が空けられ、上記円筒部穴の内部に配置される第2の中心導体と、上記円筒状取付け部に装着されるリング状の第2アースリングとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項3】
上記第1の同軸コネクタ形成部と上記第2の同軸コネクタ形成部は、上記直方体状絶縁ハウジング及び絶縁ボディの接触子収納部が形成される並列コンタクト部の厚みよりも薄く形成されていることを特徴とする請求項2に記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項4】
上記第1の中心導体と上記第1アースリングは、上記第1同軸コネクタ形成部に一体に形成され、
上記第2同軸コネクタ形成部に円筒状取付け部が一体に形成され、上記円筒状取付け部の外周面に第2アースリングが取り付けられ、
上記円筒状取付け部の突出側の外周の径が小とされ、
上記円筒状取付け部と上記第2アースリングとの間に上記第1アースリングが挿入され、
上記円筒状取り付け部の内側に第2の中心導体が取り付けられていることを特徴とする請求項2と請求項3に記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項5】
上記第2アースリングには上記円筒状取付け部の軸心と平行なスリットが上記円筒状取付け部の突出端面より形成され、
上記第2中心導体は軸と直角方向に弾性変位可能に形成されていることを特徴とする請求項2および請求項4の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項6】
上記スリットの上記第1アースリング側の径方向の幅が反対方向の幅よりも大であることを特徴とする第2アースリングを備えたことを特徴とする請求項2および請求項5の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項7】
上記スリットが径方向の対向する位置に形成された第2アースリングを備えたことを特徴とする請求項2および請求項6の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項8】
上記スリットを中心に円周上左右方向120°のそれぞれの位置に第2及び第3のスリットが形成された第2アースリングを備えたことを特徴とする請求項2および請求項7の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項9】
上記円筒部穴を中心に備えた上記レセプタクル側アースリングの内径とほぼ等しい外径を持つ円筒状取付け部の嵌合方向上面が、円筒状取り付け部の外径よりも小さい径から円筒部穴にかけてすり鉢状に形成されている円筒状取付け部を備えたことを特徴とする請求項2および請求項8の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項10】
上記第1同軸コネクタ形成部の第1の中心導体突出側と反対側の面は、第1同軸コネクタ形成部と一体に形成されている絶縁ハウジング又は絶縁ボディの実装面と同一面上にあり、
上記第2同軸コネクタ形成部の円筒状取付け部突出側と反対側の面は、第2同軸コネクタ形成部と一体に形成されている絶縁ハウジング又は絶縁ボディの実装面と同一面上にあり、
それぞれの面が基板に対する実装面とされていることを特徴とする請求項2および請求項9の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項11】
上記直方体状絶縁ハウジングの上記並列コンタクト部を形成する両端部に金属材料よりなるレセプタクル固定板と、
それら両固定板と一体に形成され上記絶縁ハウジングの長手方向両側面と対向し、少なくともこれらの両側面を覆うシールド板とを備えたことを特徴とする請求項1および請求項10の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項12】
上記第2アースリングの接地端子が一方の固定板を兼ねていることを特徴とする請求項11に記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項1】
直方体状絶縁ハウジングの一面中央部にその長手方向に沿った相手プラグ挿入用凹部が形成され、
その挿入用凹部の長手方向に沿う対向面にそれぞれ定ピッチで接触子収納部が配列形成され、各接触子収納部にレセプタクル接触子が収納された絶縁ハウジングの一端部に第1の同軸コネクタが一体に形成されたレセプタクルと、
上記挿入用凹部と嵌合する絶縁ボディの長手方向の両側にプラグ接触子収納部が上記と同一のピッチで配列形成され、上記プラグ接触子収納部にプラグ接触子が収納された絶縁ボディの一端部に上記第1の同軸コネクタと嵌合する第2の同軸コネクタが一体に形成されたプラグとを組みとすることを特徴とする同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項2】
上記直方体状絶縁ハウジングと上記絶縁ボディの一方の長手方向の一端に一体に延長形成され、コネクタ結合方向と垂直な平板状の第1同軸コネクタ形成部と、他方の上記一端と同一側の一端に一体に延長形成されコネクタ結合方向と垂直な平板状の第2同軸コネクタ形成部を備え、
上記第1の同軸コネクタは上記第1同軸コネクタ形成分の中央部に突出して設けられた第1の中心導体と、上記第1同軸コネクタ形成部に取り付けられ、その第1の中心導体を中心としてリング状の第1アースリングとを備え、
上記第2の同軸コネクタは、上記第1の同軸コネクタと嵌合方向で対向する上記第2同軸コネクタ形成部の中央部に一体に形成された円筒状取付け部と、上記円筒状取付け部の嵌合方向上面中央に上記第1の中心導体が挿入される円筒部穴が空けられ、上記円筒部穴の内部に配置される第2の中心導体と、上記円筒状取付け部に装着されるリング状の第2アースリングとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項3】
上記第1の同軸コネクタ形成部と上記第2の同軸コネクタ形成部は、上記直方体状絶縁ハウジング及び絶縁ボディの接触子収納部が形成される並列コンタクト部の厚みよりも薄く形成されていることを特徴とする請求項2に記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項4】
上記第1の中心導体と上記第1アースリングは、上記第1同軸コネクタ形成部に一体に形成され、
上記第2同軸コネクタ形成部に円筒状取付け部が一体に形成され、上記円筒状取付け部の外周面に第2アースリングが取り付けられ、
上記円筒状取付け部の突出側の外周の径が小とされ、
上記円筒状取付け部と上記第2アースリングとの間に上記第1アースリングが挿入され、
上記円筒状取り付け部の内側に第2の中心導体が取り付けられていることを特徴とする請求項2と請求項3に記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項5】
上記第2アースリングには上記円筒状取付け部の軸心と平行なスリットが上記円筒状取付け部の突出端面より形成され、
上記第2中心導体は軸と直角方向に弾性変位可能に形成されていることを特徴とする請求項2および請求項4の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項6】
上記スリットの上記第1アースリング側の径方向の幅が反対方向の幅よりも大であることを特徴とする第2アースリングを備えたことを特徴とする請求項2および請求項5の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項7】
上記スリットが径方向の対向する位置に形成された第2アースリングを備えたことを特徴とする請求項2および請求項6の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項8】
上記スリットを中心に円周上左右方向120°のそれぞれの位置に第2及び第3のスリットが形成された第2アースリングを備えたことを特徴とする請求項2および請求項7の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項9】
上記円筒部穴を中心に備えた上記レセプタクル側アースリングの内径とほぼ等しい外径を持つ円筒状取付け部の嵌合方向上面が、円筒状取り付け部の外径よりも小さい径から円筒部穴にかけてすり鉢状に形成されている円筒状取付け部を備えたことを特徴とする請求項2および請求項8の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項10】
上記第1同軸コネクタ形成部の第1の中心導体突出側と反対側の面は、第1同軸コネクタ形成部と一体に形成されている絶縁ハウジング又は絶縁ボディの実装面と同一面上にあり、
上記第2同軸コネクタ形成部の円筒状取付け部突出側と反対側の面は、第2同軸コネクタ形成部と一体に形成されている絶縁ハウジング又は絶縁ボディの実装面と同一面上にあり、
それぞれの面が基板に対する実装面とされていることを特徴とする請求項2および請求項9の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項11】
上記直方体状絶縁ハウジングの上記並列コンタクト部を形成する両端部に金属材料よりなるレセプタクル固定板と、
それら両固定板と一体に形成され上記絶縁ハウジングの長手方向両側面と対向し、少なくともこれらの両側面を覆うシールド板とを備えたことを特徴とする請求項1および請求項10の何れかに記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【請求項12】
上記第2アースリングの接地端子が一方の固定板を兼ねていることを特徴とする請求項11に記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−185773(P2006−185773A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378855(P2004−378855)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】
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